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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】インナーショーツ
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/02 20060101AFI20240708BHJP
   A41C 1/00 20060101ALI20240708BHJP
   A61F 13/66 20060101ALI20240708BHJP
   A61F 13/471 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
A41B9/02 F
A41B9/02 Z
A41C1/00 Z
A61F13/66
A61F13/471
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023212593
(22)【出願日】2023-12-17
【審査請求日】2023-12-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523475066
【氏名又は名称】有限会社三島オート商会
(74)【代理人】
【識別番号】100186451
【弁理士】
【氏名又は名称】梅森 嘉匡
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正夫
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-523139(JP,A)
【文献】特開2013-158453(JP,A)
【文献】特開2016-130381(JP,A)
【文献】特開2004-353114(JP,A)
【文献】特開2004-353149(JP,A)
【文献】特開2018-066076(JP,A)
【文献】特開2013-209755(JP,A)
【文献】特開2002-275703(JP,A)
【文献】特開2021-070894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 9/02
A41C 1/00
A61F 13/66
A61F 13/471
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の下腹部及び男性器を覆う前身頃と、着用者の腰部及び臀部を覆う後見頃と、を備える健康メンズガードルショーツを着用する際に利用可能なインナーショーツであって、
前記健康メンズガードルショーツが、
前記前身頃のうち前記下腹部に接する部分、又は、前記後見頃のうち前記腰部に接する部分のいずれか一方又は双方を、伸縮性材料を用いて形成し、
前記男性器が挿脱可能な縦方向に延びるスリットを、前記前見頃に設け、
前記スリットの下側を覆う下側布部と前記下側布部の上方に連設され前記スリットの上側を覆う上側布部とにより構成され、外方に膨出する布製カバーを、前記前身頃の外面側に取り付け、
前記下側布部の下辺側縁部、左辺側縁部、及び右辺側縁部を前記前身頃に縫い付けることにより、前記下側布部を上方に開口するポケット状に形成し、
前記上側布部の上辺側縁部を前記前身頃に取り付けることにより、前記上側布部の左辺側又は右辺側の少なくともいずれか一方に開口部を設けることを特徴とし、
前記インナーショーツが、
前記男性器が挿脱可能な開口窓が設けられ、当該開口窓よりも上側に外側取付部が設けられる前面部と、
着用者の臀部を覆う後面部と、
前記前面部と前記後面部とを繋ぎ、内面側に内側取付部が設けられる股部と、
長手方向寸法が前記外側取付部から前記内側取付部までの長さよりも長尺に設定される帯状に形成された布製のインナーカバーと、
を有し、
前記インナーカバーが、前記開口窓を通って外方に膨らむように配置され、上縁部が前記外側取付部に縫い付けられ、下縁部が前記内側取付部に縫い付けられることを特徴とするインナーショーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下半身に着用する男性用の下着及び尿取りパッドに関し、特に、ガードルの機能を有する健康等を目的とした男性用の健康メンズガードルショーツ、及び、当該健康メンズガードルショーツに対して任意に装着可能な尿取りパッド、並びに、健康メンズガードルショーツを着用する際にその内側に着用することが可能な男性用のインナーショーツ(下着)に関する。
【背景技術】
【0002】
ガードルには、下腹部、臀部や大腿部といった装着部を引き締めることでクビレ効果やヒップアップ効果を奏してボディラインを美しく見せるための美容機能、当該装着部を加圧して保温する体温調節機能や、骨盤を引き締めてその歪みを是正し姿勢を矯正して腰痛を緩和ないし抑制する補整機能等がある。これらの機能を備えるガードルは、専ら女性が愛好しており、女性用のものが大半である。
【0003】
尿取りパッドは、下着等の衣類への尿の付着や漏洩を防止するための吸水性ないし吸湿性素材を積層して成るパッドであり、通常、使い捨てのものである。尿取りパッドの一面には接着テープが予め取り付けられており、この接着テープの剥離紙を剥がし、下着の前面部から股部にわたって張り付けて使用する。使用後は、下着から引き剥がして、廃棄する。そのため、尿取りパッドに取り付けられる接着テープの接着力は、過度に強力なものではなく、下着を傷めない程度に調整される。
【0004】
従来、男性用の下ばきとして、男性器の陰茎部及び陰嚢部を隔離して収容するための空間を下着に付設し、着用者の下腹部や大腿部付け根周辺に対して、男性器の陰茎部及び陰嚢部が直接接触しないように構成したものが知られている。かかる構成の下ばきによれば、当該空間内に陰茎部や陰嚢部を収容して日常生活を快適に過ごすことができ、着用者の下腹部や大腿部付け根周辺から生じた汗や体温が、陰茎部や陰嚢部に直接伝わることがないため、漏れや蒸れによる不快感が低減され、生殖機能にとっても良好であるといった効果が期待できる。
【0005】
例えば、特許文献1には、男性用収容仕切ポケット内設型男性器ホールド下着と称する発明が開示されている。この男性器ホールド下着は、仕切ポケットを区画形成するために仕切布を下着の内側に設けることを特徴とする。仕切布は、その一側辺、他側辺及び下辺の3辺が下着本体の前身頃に逢着されることにより下着本体の内側に内設され、逢着されない上辺側が開口しており、上側の開口から尿取りパッドを収容する構成である(段落[0009]8段落目、[0010]5段落目参照)。同文献1の記載によれば、かかる男性器ホールド下着は、仕切ポケット内に男性器を収容するようにして着用するものであり、尿取りパッドは仕切布で区画された空間内で安定して保持されるため、仮に失禁しても下着等が濡れ難く、大腿部付け根周辺に対して、男性器の陰茎部及び陰嚢部が直接接触しないことから、男性器が不快を感じたり蒸れたりするのを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-10299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のとおり、ガードルは女性用のものが大半であり、ガードル機能を有する健康等を目的とした男性用のショーツ(下着)は限られている。しかしながら、ガードルが有する機能は男性にも好適なものであり、例えば、下腹部を引き締めて下っ腹のたるみを覆い隠す効果や、筋力低下に伴う腰痛を低減するサポート効果を発揮する下着に対しては一定の需要が見込まれる。この点、女性用ガードルをそのまま男性用に転用しようとしても、骨格や体型の性差、好まれるデザイン性等の違いから不適当であり、強いて女性用のガードルを着用しても男性器が過度に締め付けられてしまい窮屈感や不快感がある。従って、男性向けの機能や形状に特化した、ガードル機能付きの男性用下着を開発する必要がある。
【0008】
本願発明者は、単にガードル機能を備えた男性用下着ではなく、大腿部付け根周辺に対して、男性器の陰茎部・陰嚢部が直接接触しないようにすることで、より男性から好まれる下着を提案することができる旨着想した。この点、特許文献1に開示される男性器ホールド下着に係る発明は、仕切布を下着本体の内側に内設することを特徴とするものであるため、実際に着用する場面において窮屈さを感じるものと言わざるを得ず、また、素肌に接触する下着内側の形状を変えるものであることから、肌へのフィット感を損ねてしまう構成である。
【0009】
昨今のガードルは、パワーネットと称されるポリウレタン弾性糸を織製又は編製したメッシュ生地の伸縮性材料を用いて下着本体を形成することがあるが、特許文献1に開示されるような形態の男性器ホールド下着の本体部分に対してパワーネットを適用しようとしても、男性器が当該下着本体の内部に配置される構成であるため、男性器が締め付けられてしまい窮屈感や不快感があるといった問題もある。
【0010】
加えて、特許文献1によれば、尿取りパッドは、仕切布により区画された仕切ポケット内に配置するものとされ、尿取りパッドが股部と隔離される構成であるため、仕切布が障壁となって股部に生じた湿気を尿取りパッドで効率的に吸収することができない。また、一般的に上市される尿取りパッドは、股部に取り付けられる形状、即ち、両太股の付け根に沿って後方に向けて延びる形状のものであるから、下着本体に内設された仕切ポケット内に収容するには折りたたんで収容することになり窮屈である。
【0011】
下着に取り付けられる男性用の尿取りパッドとしては、用便に際して支障が無く、かつ、日常生活上の動作により意図せず下着から外れてしまわないものが求められる。この点、単に、接着テープの接着力を強化して外れにくくする方法では、使用後に廃棄するため下着から取り外す際に、下着に粘着成分が残ったり下着の繊維を傷めてしまう可能性がある。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ガードルの機能を備え、快適に装着することができ、排尿し易く、生殖機能にとっても良好である男性用下着(健康メンズガードルショーツと称する。)、及び、当該健康メンズガードルショーツに対して任意に装着可能な、外れにくい尿取りパッド、並びに、当該健康メンズガードルショーツを着用する際にその内側に着用することが可能な男性用のインナーショーツを提供することを目的とする。なお、本願発明者は本発明に係る製品を健康メンズガードルショーツと称しており、健康目的を主眼とするが、本願の課題及び効果はこれに限られない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る健康メンズガードルショーツは着用者の下腹部及び男性器を覆う前身頃と、着用者の腰部及び臀部を覆う後見頃と、を備える健康メンズガードルショーツであって、
前記前身頃のうち前記下腹部に接する部分、又は、前記後見頃のうち前記腰部に接する部分のいずれか一方又は双方を、伸縮性材料を用いて形成し、
前記男性器が挿脱可能な縦方向に延びるスリットを、前記前見頃に設け、
前記スリットの下側を覆う下側布部と前記下側布部の上方に連設され前記スリットの上側を覆う上側布部とにより構成され、外方に膨出する布製カバーを、前記前身頃の外面側に取り付け、
前記下側布部の下辺側縁部、左辺側縁部、及び右辺側縁部を前記前身頃に縫い付けることにより、前記下側布部を上方に開口するポケット状に形成し、
前記上側布部の上辺側縁部を前記前身頃に取り付けることにより、前記上側布部の左辺側又は右辺側の少なくともいずれか一方に開口部を設けることを特徴とする。着用者の下腹部を覆うとは、下腹部の一部分を覆う場合も含む。また、着用者の腰部及び臀部を覆うとは、腰部の一部分及び臀部の一部分を覆う場合も含む。
【0014】
前記健康メンズガードルショーツは、前記開口部の縁部に伸縮性ゴムを用いることにより、前記開口部を閉じる方向に付勢するようにしても良い。また、前記布製カバーの内面には、下方に開口する陰茎部挿入用ポケットを設けるようにしても良い。
【0015】
本発明に係る健康メンズガードルショーツに対して装着される尿取りパッドは、
着用者の下腹部及び男性器を覆う前身頃と、着用者の腰部及び臀部を覆う後見頃と、を備える健康メンズガードルショーツに対して装着される尿取りパッドであって、
前記健康メンズガードルショーツが、
前記前身頃のうち前記下腹部に接する部分、又は、前記後見頃のうち前記腰部に接する部分のいずれか一方又は双方を、伸縮性材料を用いて形成し、
前記男性器が挿脱可能な縦方向に延びるスリットを、前記前見頃に設け、
前記スリットの下側を覆う下側布部と前記下側布部の上方に連設され前記スリットの上側を覆う上側布部とにより構成され、外方に膨出する布製カバーを、前記前身頃の外面側に取り付け、
前記下側布部の下辺側縁部、左辺側縁部、及び右辺側縁部を前記前身頃に縫い付けることにより、前記下側布部を上方に開口するポケット状に形成し、
前記上側布部の上辺側縁部を前記前身頃に取り付けることにより、前記上側布部の左辺側又は右辺側の少なくともいずれか一方に開口部を設けることを特徴とし、
前記尿取りパッドが、
接着テープが裏面に取り付けられた尿取りパッド本体と、
前記尿取りパッド本体の両側縁を一定の深さで切り込むことにより形成される一対の切込みと、
を有し、
前記スリットに対して一対の前記切込みを嵌め込むようにして前記尿取りパッド本体を取り付けるとともに、前記切込みよりも前面側を前記布製カバーの内面に貼り付け、前記切込みよりも後面側を前記健康メンズガードルショーツの股部内面に貼り付けることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る健康メンズガードルショーツを着用する際に利用可能なインナーショーツは、
着用者の下腹部及び男性器を覆う前身頃と、着用者の腰部及び臀部を覆う後見頃と、を備える健康メンズガードルショーツを着用する際に利用可能なインナーショーツであって、
前記健康メンズガードルショーツが、
前記前身頃のうち前記下腹部に接する部分、又は、前記後見頃のうち前記腰部に接する部分のいずれか一方又は双方を、伸縮性材料を用いて形成し、
前記男性器が挿脱可能な縦方向に延びるスリットを、前記前見頃に設け、
前記スリットの下側を覆う下側布部と前記下側布部の上方に連設され前記スリットの上側を覆う上側布部とにより構成され、外方に膨出する布製カバーを、前記前身頃の外面側に取り付け、
前記下側布部の下辺側縁部、左辺側縁部、及び右辺側縁部を前記前身頃に縫い付けることにより、前記下側布部を上方に開口するポケット状に形成し、
前記上側布部の上辺側縁部を前記前身頃に取り付けることにより、前記上側布部の左辺側又は右辺側の少なくともいずれか一方に開口部を設けることを特徴とし、
前記インナーショーツが、
前記男性器が挿脱可能な開口窓が設けられ、当該開口窓よりも上側に外側取付部が設けられる前面部と、
着用者の臀部を覆う後面部と、
前記前面部と前記後面部とを繋ぎ、内面側に内側取付部が設けられる股部と、
長手方向寸法が前記外側取付部から前記内側取付部までの長さよりも長尺に設定される帯状に形成された布製のインナーカバーと、
を有し、
前記インナーカバーが、前記開口窓を通って外方に膨らむように配置され、上縁部が前記外側取付部に縫い付けられ、下縁部が前記内側取付部に縫い付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の健康メンズガードルショーツによれば、ガードルの機能を備え、快適に装着することができ、排尿し易く、生殖機能にとっても良好である健康等を目的とする男性用の下着を提供することができる。男性器が股部に接触することによる股ずれの防止や、変色防止、かゆみやかぶれの防止に効果がある。さらに、股部を衛生に保ち、血行を促し、健康維持に効果がある。伸縮性材料を用いたガードル効果により下腹を引き締め尻下がり防止に役立ち外観を整える効果や、椎間板ヘルニア、骨盤の補整、大腿骨盤・股関節痛の緩和効果がある。
【0018】
とくに、前記健康メンズガードルショーツは、前記布製カバーの前記開口部を伸縮性材料により形成し、当該伸縮性材料により、前記開口部を閉じる方向に付勢することにより、開口部からの男性器の露出を防ぎ、布製カバー内に収容される男性器のフィット感を増加させることができる。
【0019】
本発明の尿取りパッドによれば、当該健康メンズガードルショーツに対して任意に装着可能な、外れにくい尿取りパッドを提供することができる。前記健康メンズガードルショーツのスリットに対して、切込みを嵌め込むようにして尿取りパッドを取り付けることで、尿取りパッドを前後方向にズレ難くすることができ、尿漏れを効果的に抑制し、臭い防止や、除菌効果がある。汗疹やインキタムシ(股部白癬)等の防止にも効果がある。本発明に係る尿取りパッドを装着した健康メンズガードルショーツによれば、尿取り、血行促進、骨盤補正、股間擦れ対策及び男性器のブレ対策(安定)等の効果を発揮する健康下着を提供することができる。
【0020】
本発明のインナーショーツによれば、前記健康メンズガードルショーツを着用する際にその内側に着用することが可能なインナーショーツを提供することができる。前記健康メンズガードルショーツを着用するに先だって、その内側(インナー)に着用するための下着として利用することで、股部との擦れを防止し、健康メンズガードルショーツを清潔に保ち、健康メンズガードルショーツの洗濯の回数を減らすことができる。前記尿取りパッドに代えて、このインナーショーツを穿くようにしてもよく、又は、前記尿取りパッドを当該インナーショーツに取り付けて使用する、即ち、尿取りパッドの切込みをインナーショーツの切れ目及び前記健康メンズガードルショーツのスリットに対して嵌め込むようにして取り付けて着用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の健康メンズガードルショーツの正面図である。
図2図1に示す健康メンズガードルショーツの右側面図であり、尿取りパッドの装着状態説明図でもある。
図3図2に示すA-A線断面図である。
図4図1に示す健康メンズガードルショーツの分解説明図であり、構成要素である布製カバーの形状、及び、尿取りパッドの形状を説明するための斜視図でもある。
図5図1に示す健康メンズガードルショーツの着用状態の一例を示す右側面図である。
図6図1に示す健康メンズガードルショーツに適用可能なインナーショーツの正面、上面、及び右側面を示す斜視図であり、尿取りパッドの装着状態説明図でもある。
図7図6に示すインナーショーツの右側面図である。
図8図6に示すインナーショーツの分解説明図である。
図9】布製カバーの内面に陰茎部挿入用ポケットを縫い付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について具体的に説明するが、本発明の実施例はこれらに限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の健康メンズガードルショーツ1の正面図であり、図2は、健康メンズガードルショーツ1の右側面図であり、図3は、図2に示すA-A線断面図であり、図4は、健康メンズガードルショーツ1の分解説明図であり、図5は、健康メンズガードルショーツ1の着用状態の一例を示す右側面図である。健康メンズガードルショーツ1は、ハイウエストなボクサーパンツ型の下着である。なお、本明細書にいう左右、上下は、図1に示す正面図を基準に定める。
【0024】
健康メンズガードルショーツ1は、着用者の下腹部S及び男性器Mを覆う前身頃2と、着用者の腰部W及び臀部Hを覆う後見頃3と、を備える。本発明を構成する前身頃には下腹部Sの一部分と男性器Mの全体を覆う場合を含む。また、本発明を構成する後身頃には腰部Wの一部分及び臀部Hの一部分を覆う場合も含む。そして、前身頃2のうち着用者の下腹部Sに接する部分、及び、後見頃3のうち着用者の腰部Wに接する部分の双方を、ヘムパワーネット等の伸縮性材料4を用いて形成する。これらの位置にパワーネットを用いることにより、下腹部Sを引き締めて下っ腹のたるみを覆い隠すための効果や、筋力低下に伴う腰痛を低減するサポート効果を発揮することができる。なお、下腹部S(の全部ないし一部)に接する部分、又は、腰部W(の全部ないし一部)に接する部分のいずれか一方にのみパワーネットを用いても良いし、これら以外の箇所、例えば、臀部Hに接する部分を伸縮性材料を用いて形成し、ヒップアップ効果を図るようにしても良い。さらに、健康メンズガードルショーツ1全体にパワーネット等の伸縮性材料を用いても良い。
【0025】
健康メンズガードルショーツ1の前身頃2には、縦方向に延びるスリット5を設ける。スリット5は、男性器Mである陰茎部M1及び陰嚢部M2が挿脱可能なサイズに形成する。好ましくは、健康メンズガードルショーツ1は正面視で左右対称形状であり、スリット5は、好ましくは、正面視で、健康メンズガードルショーツ1の中心線上に沿って形成する。スリット5は、例えば、肛門より3―5cmの位置から前方に15cmの長さで形成する。
【0026】
前身頃2の外面側には、スリット5の全体を覆い外方に膨出するように湾曲したカップ状の布製カバー6を取り付ける。布製カバー6は、好ましくは、正面視で、健康メンズガードルショーツ1の中心線を基準に左右対称に形成する。
【0027】
布製カバー6は、スリット5の下側を覆う下側布部61と、下側布部61の上辺に連設され、スリット5の上側を覆う上側布部62と、により構成される。下側布部61と上側布部62は一体であり、一枚の布から切り出して形成されるが、これに限られず、複数の布を繋ぎ合わせても良い。布製カバー6は、正面視で、スリット5を覆い隠すように、スリット5の上端よりも上側に上側布部62の上辺側縁部621を配置し、スリット5の下端よりも下側に下側布部61の下辺側縁部611を配置する
【0028】
下側布部61の下辺側縁部611、左側側縁部612及び右側側縁部613は、前身頃2に縫い付ける。これにより、下側布部61は上方が開口するポケット状に形成される。一方、上側布部62は、上辺側縁部621を前身頃2に縫い付けることにより取り付けられているが、左辺側縁部622側及び右辺側縁部623側のそれぞれは前身頃2に縫い付けずに、陰茎取出し用の開口部71、72とする。すなわち、布製カバー6は、下側がポケット状の男性器収容部であり、上側が左右に開口部71、72を備える陰茎取出し可能部となる。布製カバー6で覆われた内側の空間はスリット5を介して前身頃2の内側に通じている。開口部71、72は布製カバー6内の通気性を確保する役目も果たす。
【0029】
下側布部61は、陰嚢部M2を収めるため、上側布部62よりも幅広に形成される。下側布部61及び上側布部62の各辺は直線的に形成する必要は無く、陰茎や陰嚢の一般的形状に対応して任意に設定され、例えば、図1に示すように曲線的に形成しても良い。開口部は、左辺側又は右辺側のいずれか一方にのみ設ける、即ち、左辺側縁部622又は右辺側縁部623のいずれか一方を前身頃2に縫い付けるようにしても良い。
【0030】
なお、図示する健康メンズガードルショーツ1は、前述のとおり、布製カバー(上側布部62)の上辺側縁部621が前身頃2に縫い付けられているが、これに変えて、上側布部62をボタン留めにより前身頃2に対して着脱可能に取り付けるようにしても良い。具体的には、上辺側縁部621にボタンホール(図示しない)を設け、前身頃2のスリット5上端よりも上側に当該ボタンホールに対して着脱可能なボタン(図示しない)を設けるようにしても良い。かかる構成によれば、当該ボタンをボタンホールに取り付けた状態とすることで、男性器Mを布製カバー6にて覆うことができる一方、例えば排尿時には、当該ボタンをボタンホールから取り外して、上側布部62を垂れ下げることにより、布製カバー6の上側を開口させて、男性器Mを露出させることが可能であり、排尿終了時には、上側布部62に取り付けたボタンを前記ボタンホールに着脱可能に取り付けて、男性器Mが露出しないように上側布部62で覆うことができる。また、かかる構成の他の効果として、当該ボタンをボタンホールから取り外して上側布部62を垂れ下げることにより、スリット5が外方に露出するので、尿取りパット10などの各種パッドを、図4に矢印で示すようにスリット5の内側から外側に向けて取り付ける方法ではなく、スリット5の外側から内側に向けて取り付ける方法により装着することができ、便利である。なお、ボタン留めに代わる係止手段として、フックや面ファスナーを用いても良い。
【0031】
次に、健康メンズガードルショーツ1の着用方法について説明する。先ず、通常の下ばきと同様の方法により健康メンズガードルショーツ1を穿く。そうすると、男性器の前側にスリット5が配置されるので、男性器Mをスリット5から露出して、陰嚢部M2を下側布部61内に配置する。陰茎部M1は図示するように、基本的には上側布部62内に配置するが(図5の破線参照)、下側布部61内に陰茎部M1を配置するようにして使用しても良い。
【0032】
着用者の下腹部Sに接する部分、及び、腰部Wに接する部分には伸縮性材料4が用いられており、腹部Sを引き締めて下っ腹のたるみを覆い隠すための効果や、筋力低下に伴う腰痛を低減するサポート効果が発揮される。小用の際には、健康メンズガードルショーツ1を脱ぐことなく、開口部71、72から陰茎を露出させて排尿することができる。
【0033】
男性器Mは、スリット5を通して前身頃2外側の布製カバー6に包まれる空間内に配置される。着用者の大腿部付け根周辺に対して、男性器の陰茎部や陰嚢部が直接接触しない構成であり、股ずれ(股ずれによる黒ずみ)を防止し、保温効果による血行を促し、快適な装着感を得ることができる。伸縮性材料4は健康メンズガードルショーツ1の本体側に用いられ、布製カバー6には取り付けられないので、伸縮性材料4として強力なものを用いても男性器が締め付けられることがなく快適である。
【0034】
このように本発明によれば、ガードルの機能を備え、快適に装着することができ、排尿し易く、生殖機能にとっても良好である健康メンズガードルショーツ(男性用下着)を提供することができる。健康メンズガードルショーツ1の腰回りに、パワーバンド装着用の通し穴91を設けるようにしても良い(図1参照)。パワーバンド(図示しない)を装着することで、パワーバンドを用いた骨盤の矯正、補整や安定保持機能を付加することもできる。なお、図示する通し穴91の数は任意に増減できる。
【0035】
健康メンズガードルショーツ1は、布製カバー6の開口部71、72の縁部に伸縮性ゴム8を縫い付けて、開口部71、72を閉じる方向に付勢するようにしても良い。これにより、布製カバー6内に収容される男性器M(特に陰茎部M1)の露出を防ぎ、布製カバー6とのフィット感を増加させることができる。伸縮性ゴム8は、左辺側縁部622及び右辺側縁部623に取り付けられるので、男性器Mが窮屈さを感じにくい。
【0036】
次に、健康メンズガードルショーツ1に対して任意に装着可能な尿取りパッド10について説明する。図4に尿取りパッド10の形状を示す。尿取りパッド10の装着状態は図2、3に示す。尿取りパッド10は、接着テープ(図示省略)が裏面に取り付けられた尿取りパッド本体10と、尿取りパッド本体10の両側縁を一定の深さで切り込むことにより形成される一対の切込み121、122と、を有する。尿取りパッド10は使用前の保管状態においては平らであるが、使用時(装着時)には図4に示すように湾曲させる。切込み121、122よりも前面側が布製カバー6に接する領域111であり、後面側が着用者の両太腿の間に配置される領域112である。かかる構成の尿取りパッド10は、上市される尿取りパッド10の所定の位置にハサミやカッター等で一対の切込みを設けることにより容易に製造可能である。
【0037】
尿取りパッド10を健康メンズガードルショーツ1に取り付ける際には、健康メンズガードルショーツ1のスリット5に対して、切込み121、122を嵌め込むようにして尿取りパッド10を取り付ける。領域111は、布製カバー6の内面に貼り付けられる。領域112は、健康メンズガードルショーツ1の股部内面に貼り付けられる。尿取りパッド10が前後方向にズレようとしても、切込み121、122がスリット5に係合してストッパとして作用し前後の移動が規制されるため、過酷な作業や起臥状態においても、ズレ難い。かかる尿取りパッド10によれば、尿取りパッド10裏面に取り付けられる接着テープの接着力が過度に強力なものではなく、下着を傷めない程度のものであっても、また、接着テープの接着力が劣化しても、下着から外れにくい尿取りパッドとして使用可能である。
【0038】
尿取りパッド10は、図4に矢印で示すように、健康メンズガードルショーツ1の上側(胴側)開口部からその内部に入れた後、尿取りパッド本体11の領域111をスリット5の内側から外側に向けて取り出すようにして装着しても良い。また、前述のとおり、上側布部62をボタン留めにより前身頃2に対して着脱可能に取り付けるように構成した場合には、図4に矢印で示したような取付方法に限られることなく、例えば、当該ボタンをボタンホールから取り外して上側布部62を垂れ下げた後、スリット5の外側から取り付ける、即ち、尿取りパッド本体11の領域112をスリット5の外側から内側に押し込むようにして取り付ける方法により装着しても良い。いずれの方法による場合でも、スリット5に対して切込み121、122が嵌め込まれるようにして取り付ける。
【0039】
図2図5においては図示省略しているが、尿取りパッド10は、健康メンズガードルショーツ1に着用した状態において、正面視で逆凹字状となるように、即ち、その両側縁部が太ももの付け根に接触するように、両側の縁部のそれぞれが下方に折り曲げた状態で着用される(図4に示す尿取りパット1参照)。尿取りパット10の幅方向の寸法は、下方に折り曲げられる部分を除くと、約3cmから5cmである。
【0040】
次に、健康メンズガードルショーツ1を着用する際に利用可能なインナーショーツ20について説明する。図6は、図1に示す健康メンズガードルショーツ1に適用可能なインナーショーツ20の正面、上面、及び右側面を示す斜視図である。図7は、インナーショーツ20の右側面図であり、図8は、図6に示すインナーショーツ20の分解説明図である。インナーショーツ20の着用は任意であり、地肌に健康メンズガードルショーツ1を直接穿くこともできるが、健康メンズガードルショーツ1の内側にインナーショーツ20を着用しても良い。インナーショーツを着用する場合、任意に装着される尿漏れパッドは、インナーショーツの内側に取り付ける。かかる場合には、尿取りパッド10の切込み121、122を、スリット5及び開口窓24のそれぞれに嵌め込むようにして取り付ける。
【0041】
インナーショーツ20は、着用者の男性器が挿脱可能な縦方向に延びる開口窓24が設けられ、開口窓24よりも上側に外側取付部が設けられる前面部21と(図8参照)、着用者の臀部Hを覆う後面部23と、前面部21と後面部22とを繋ぎ、内面側に内側取付部が設けられる股部23と、インナーカバー25とを備える。股部23は、着用者の各太股の付け根の間に配置される。インナーカバー25は、開口窓24を通って外方に膨らむように配置され、上縁部が前記外側取付部に縫い付けられ、下縁部が内側取付部に縫い付けられる帯状に形成された布製の部材である。
【0042】
インナーショーツ20は、前面部21に開口窓24に相当する開口部が設けられたブリーフ型のパンツに対して、帯状の布(インナーカバー25)の上縁部を外側取付部に縫い付け、下縁部を股部内面231の適当な位置(例えば、着用者の男性器Mの付け根の位置の近傍)に設けられた内側取付部に縫い付けることにより容易に製造できる。インナーカバー25の長手方向寸法は、外側取付部から内側取付部までの長さよりも長尺に設定され、その中腹部が開口窓24を通って外方にハンモック状に膨らむように配置される。
【0043】
スリット5及び開口窓24のそれぞれは、着用時に、それぞれが重なり合う位置に形成する。着用者は、男性器Mをスリット5及び開口窓24から挿入して前身頃2の外方に露出する。男性器Mは、インナーカバー25及び布製カバー6に包まれた状態となる。インナーカバー25の一側辺及び他側辺側はいずれも開口しているので、インナーショーツ20を着用した状態でも排尿が可能である。
【0044】
本発明は、上記実施の形態に限定されず、その発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。例えば、布製カバー6の内側に挿入用ポケットを設けるようにしても良い。図9は、布製カバー6の内面に陰茎部挿入用ポケット92を縫い付けて取り付けた状態を示す図である。陰茎部挿入用ポケット92は布製であり、上縁及び両側縁が布製カバー6に縫い付けられ、その下方には陰茎部挿入用開口部921が設けられる。この陰茎部挿入用ポケット92は、好ましくは、開口部71、72を塞ぐことなく、排尿時に開口部71、72から陰茎部M1を取り出すことができる位置に設ける。かかる陰茎部挿入用ポケット92を有する健康メンズガードルショーツによれば、着用者が、スリット5から男性器を露出した後、陰茎部M1の先端側を陰茎部挿入用開口部921から挿入し、陰茎部M1の先端側を陰茎部挿入用ポケット92に収容することができる。これにより、各種運動に対してブレることなく、陰茎部を安定して収容することができる。また、排尿時には、陰茎部挿入用ポケット92から陰茎部M1の先端側を取り出し、いずれかの開口部71、72から先端側を露出させて排尿することができる。
【0045】
本発明に係る健康メンズガードルショーツ1は外観が特徴的であることから、これを着用した後に、モモヒキや、スパッツ、シルク製のペチコート状の下着を履いて、健康メンズガードルショーツ1を隠すようにしても良い。健康メンズガードルショーツ1の寸法は任意であり、例えば、太ももを覆う部分の長さが一分丈、三分丈、五分丈のもの、胴回りがMサイズ、Lサイズ、LLサイズのもの、というように各寸法のものを揃えるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、男性用の下着及び尿取りパッドとして利用することができる。加えて、本発明は、メンズガードル機能付きの健康に役立つ尿取りパッドを備えたショーツとして利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 健康メンズガードルショーツ
2 前見頃
3 後見頃
4 伸縮性材料
5 スリット
6 布製カバー
61 下側布部
611 下辺側縁部
612 左辺側縁部
613 右辺側縁部
62 上側布部
621 上辺側縁部
622 左辺側縁部
623 右辺側縁部
71 開口部
72 開口部
8 伸縮性ゴム
91 通し穴
92 陰茎部挿入用ポケット
921 陰茎部挿入用開口部
10 尿取りパッド
11 尿取りパッド本体
121 切込み
122 切込み
20 インナーショーツ
21 前面部
22 後面部
23 股部
231 股部内面
24 開口窓
25 インナーカバー
S 下腹部
M 男性器
M1 陰茎部
M2 陰嚢部
W 腰部
H 臀部
【要約】
【課題】ガードルの機能を備え、快適に装着することができ、排尿し易く、生殖機能にとっても良好である健康メンズガードルショーツ等を提供する。
【解決手段】健康メンズガードルショーツ1の前身頃2のうち、着用者の下腹部Sに接する部分、及び、後見頃3のうち着用者の腰部Wに接する部分を伸縮性材料で形成する。前身頃2には男性器が挿脱可能な縦方向に延びるスリット5を設けるとともに、スリット5を覆い外方に突出するカップ状の布製カバー6を前身頃2の外面側に取り付ける。布製カバー6は、スリット5の下側を覆う下側布部61と、下側布部61の上辺に連設され、スリット5の上側を覆う上側布部62と、により構成される。下側布部61の下辺側縁部611、左辺側縁部612及び右辺側縁部613を前身頃2に縫い付ける。上側布部62の上辺を前身頃2に縫い付けることにより、陰茎下側布部61の左辺側や右辺側に開口部71、72を設ける。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9