特許 7515948 航空機、及び、回転翼モジュール

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-07-05

(45)【発行日】2024-07-16

(54)【発明の名称】航空機、及び、回転翼モジュール

(51)【国際特許分類】

   B64C 29/00 20060101AFI20240708BHJP

   B64C 27/24 20060101ALI20240708BHJP

   B64C 27/26 20060101ALI20240708BHJP

   B64D 33/08 20060101ALI20240708BHJP

【ＦＩ】

B64C29/00 A

B64C27/24

B64C27/26

B64D33/08

【請求項の数】 10

(21)【出願番号】P 2024500824

(86)(22)【出願日】2022-02-17

(86)【国際出願番号】 JP2022006426

(87)【国際公開番号】W WO2023157189

(87)【国際公開日】2023-08-24

【審査請求日】2024-05-09

【早期審査対象出願】

(73)【特許権者】

【識別番号】518210225

【氏名又は名称】テトラ・アビエーション株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100131428

【弁理士】

【氏名又は名称】若山 剛

(72)【発明者】

【氏名】中井 佑

【審査官】塚本 英隆

(56)【参考文献】

【文献】米国特許出願公開第２０１８／０１０５２６８（ＵＳ，Ａ１）

【文献】欧州特許出願公開第３９５０４９６（ＥＰ，Ａ１）

【文献】国際公開第２０１６／１７８００８（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特開２０２０－１３１７８１（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１６－１７５４８９（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６４Ｃ ２９／００

Ｂ６４Ｃ ２７／２４

Ｂ６４Ｃ ２７／２６

Ｂ６４Ｄ ３３／０８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

垂直離着陸を行う航空機であって、
胴体と、
前記胴体から左右方向にて延在する、少なくとも１対の固定翼と、
回転駆動されることにより前記航空機を鉛直上方向へ推進させる推力を発生する回転翼と、
電力によって前記回転翼を回転駆動する回転駆動部と、
前記航空機の前後方向にて延在するとともに、前記回転駆動部の少なくとも一部が収容される内部空間を有し、且つ、前記回転翼を支持する支持体と、
を備え、
前記支持体は、
前記回転翼が回転することによって送出する空気の流れの下流と異なる位置にて、前記内部空間と前記支持体の外部とを連通する第１開口を有する第１開口形成部と、
前記回転翼が回転することによって送出する空気の流れの下流にて、前記内部空間と前記支持体の外部とを連通する第２開口を有する第２開口形成部と、を備え、
前記第２開口形成部は、
前記回転翼が回転することによって送出する空気の流れによって、前記第２開口の近傍の圧力が低下することにより、前記第１開口から前記内部空間へ空気が流入するとともに前記内部空間の空気が前記支持体の外部へ流出する形状を有し、
前記支持体は、前記固定翼の鉛直下方に位置するとともに、前記固定翼の前方と前記固定翼の後方とに亘って延在し、
前記第１開口形成部は、前記支持体のうちの、前記航空機の鉛直上方における端面内の位置を有する、航空機。

【請求項2】

請求項１に記載の航空機であって、
前記支持体は、前記航空機及び前記回転翼が静止している状態において、仮に、前記第１開口から空気を流入させた場合に、前記第２開口から流出する空気の流れの、前記第２開口の中央部における方向である流出方向が鉛直上方向の成分を有しない、航空機。

【請求項3】

請求項１又は請求項２に記載の航空機であって、
前記第２開口形成部は、前記支持体の鉛直面による断面において、前記支持体の外表面のうちの、前記第２開口を形成する２つの端を結ぶ直線に直交し、且つ、前記内部空間から前記支持体の外部へ向かう方向である開口方向が、鉛直上方向の成分を有しない、航空機。

【請求項4】

請求項１乃至請求項３のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記支持体は、前記固定翼の鉛直下方に位置するとともに、前記固定翼の前方と前記固定翼の後方とに亘って延在し、
前記第１開口形成部は、前記固定翼の鉛直下方に位置する、航空機。

【請求項5】

請求項１乃至請求項４のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記回転駆動部は、前記回転翼を回転駆動する電動機を含む、航空機。

【請求項6】

請求項１乃至請求項５のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記回転駆動部は、前記回転翼の回転速度を制御する速度制御器を含む、航空機。

【請求項7】

請求項１乃至請求項６のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記回転駆動部は、前記回転翼を回転駆動するための電力を供給する蓄電池を含む、航空機。

【請求項8】

請求項１乃至請求項７のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記第２開口形成部は、前記支持体のうちの、前記航空機の左右方向における外表面に位置する、航空機。

【請求項9】

請求項１乃至請求項８のいずれか一項に記載の航空機であって、
前記支持体は、前記内部空間のうちの、前記第１開口及び前記第２開口と異なる部分を、気体に対して密閉する遮蔽体を備える、航空機。

【請求項10】

航空機の胴体から左右方向にて延在する固定翼に固定される回転翼モジュールであって、
回転駆動されることにより前記航空機を鉛直上方向へ推進させる推力を発生する回転翼と、
電力によって前記回転翼を回転駆動する回転駆動部と、
前記航空機の前後方向にて延在するとともに、前記回転駆動部の少なくとも一部が収容される内部空間を有し、且つ、前記回転翼を支持する支持体と、
を備え、
前記支持体は、
前記回転翼が回転することによって送出する空気の流れの下流と異なる位置にて、前記内部空間と前記支持体の外部とを連通する第１開口を有する第１開口形成部と、
前記回転翼が回転することによって送出する空気の流れの下流にて、前記内部空間と前記支持体の外部とを連通する第２開口を有する第２開口形成部と、を備え、
前記第２開口形成部は、
前記回転翼が回転することによって送出する空気の流れによって、前記第２開口の近傍の圧力が低下することにより、前記第１開口から前記内部空間へ空気が流入するとともに前記内部空間の空気が前記支持体の外部へ流出する形状を有し、
前記支持体は、前記固定翼の鉛直下方に位置するとともに、前記固定翼の前方と前記固定翼の後方とに亘って延在し、
前記第１開口形成部は、前記支持体のうちの、前記航空機の鉛直上方における端面内の位置を有する、回転翼モジュール。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、航空機、及び、回転翼モジュールに関する。

【背景技術】

【0002】

垂直離着陸を行う航空機が知られている。例えば、特許文献１に記載の航空機は、胴体と、胴体から左右方向にて延在する１対の固定翼と、１対の固定翼に固定される複数の回転翼モジュールと、を備える。

【0003】

回転翼モジュールは、回転駆動されることにより航空機を鉛直上方向へ推進させる推力を発生する１対の回転翼と、電力によって回転翼を回転駆動する回転駆動部と、１対の回転翼を支持する支持体と、を備える。支持体は、航空機の前後方向にて延在するとともに、回転駆動部が収容される内部空間を有する。

【0004】

支持体は、鉛直上方における外表面のうちの、回転翼の鉛直下方の位置にて、内部空間と支持体の外部とを連通する第１開口を有する。支持体は、鉛直下方における外表面のうちの、１対の回転翼の中間の位置にて、内部空間と支持体の外部とを連通する第２開口を有する。

【0005】

このような構成により、回転翼が回転することによって送出する空気は、第１開口を通って内部空間へ直接に流入するとともに、第２開口を通って内部空間から流出する。従って、内部空間に位置する回転駆動部は、回転翼の回転に伴って生じる気流によって冷却される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0006】

【文献】米国特許出願公開第２０１８／０１０５２６８号明細書

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0007】

しかしながら、回転翼が回転することによって送出する空気には、塵埃、雨、又は、雪等の異物が含まれやすい。このため、上記航空機においては、回転翼が回転することによって送出する空気とともに、内部空間に異物が流入しやすい。この結果、内部空間に位置する回転駆動部が異物によって劣化する虞があった。

【0008】

本発明の目的の一つは、異物の流入を抑制しながら回転駆動部を冷却することである。

【課題を解決するための手段】

【0009】

一つの側面では、航空機は、垂直離着陸を行う。
航空機は、胴体と、胴体から左右方向にて延在する、少なくとも１対の固定翼と、回転駆動されることにより航空機を鉛直上方向へ推進させる推力を発生する回転翼と、電力によって回転翼を回転駆動する回転駆動部と、航空機の前後方向にて延在するとともに、回転駆動部の少なくとも一部が収容される内部空間を有し、且つ、回転翼を支持する支持体と、を備える。

【0010】

支持体は、回転翼が回転することによって送出する空気の流れの下流と異なる位置にて、支持体の内部空間と支持体の外部とを連通する第１開口を有する第１開口形成部と、回転翼が回転することによって送出する空気の流れの下流にて、支持体の内部空間と支持体の外部とを連通する第２開口を有する第２開口形成部と、を備える。

【0011】

第２開口形成部は、回転翼が回転することによって送出する空気の流れによって、第２開口の近傍の圧力が低下することにより、支持体の内部空間の空気が支持体の外部へ流出する形状を有する。

【0012】

他の一つの側面では、回転翼モジュールは、航空機の胴体から左右方向にて延在する固定翼に固定される。
回転翼モジュールは、回転駆動されることにより航空機を鉛直上方向へ推進させる推力を発生する回転翼と、電力によって回転翼を回転駆動する回転駆動部と、航空機の前後方向にて延在するとともに、回転駆動部の少なくとも一部が収容される内部空間を有し、且つ、回転翼を支持する支持体と、を備える。

【0013】

支持体は、回転翼が回転することによって送出する空気の流れの下流と異なる位置にて、支持体の内部空間と支持体の外部とを連通する第１開口を有する第１開口形成部と、回転翼が回転することによって送出する空気の流れの下流にて、支持体の内部空間と支持体の外部とを連通する第２開口を有する第２開口形成部と、を備える。

【0014】

第２開口形成部は、回転翼が回転することによって送出する空気の流れによって、第２開口の近傍の圧力が低下することにより、支持体の内部空間の空気が支持体の外部へ流出する形状を有する。

【発明の効果】

【0015】

異物の流入を抑制しながら回転駆動部を冷却することができる。

【図面の簡単な説明】

【0016】

【図1】第１実施形態の航空機の構成を表す斜視図である。

【図2】第１実施形態の航空機の構成を表す上面図である。

【図3】第１実施形態の航空機の構成を表す正面図である。

【図4】第１実施形態の航空機の構成を表す背面図である。

【図5】第１実施形態の航空機の構成を表す左側面図である。

【図6】第１実施形態の回転翼モジュールの概略構成を表すブロック図である。

【図7】第１実施形態の回転翼モジュールの、航空機の左右方向に直交する鉛直面による断面図である。

【図8】図７のＶＩＩＩ－ＶＩＩＩ線により表される鉛直面による回転翼モジュールの断面図である。

【図9】図８の第２開口形成部の近傍が拡大された断面図である。

【図10】図８の第２開口形成部の近傍が拡大された断面図である。

【図11】第１実施形態の変形例の回転翼モジュールの、航空機の左右方向に直交する鉛直面による断面図である。

【図12】第１実施形態及び変形例の第２開口形成部を概念的に表す説明図である。

【図13】第１実施形態の変形例の第２開口形成部を概念的に表す説明図である。

【図14】第１実施形態の変形例の回転翼モジュールの、航空機の前後方向に直交する鉛直面による断面図である。

【図15】図１４の第２開口形成部の近傍が拡大された断面図である。

【図16】図１４の第２開口形成部の近傍が拡大された断面図である。

【図17】第１実施形態の変形例の回転翼モジュールの、航空機の前後方向に直交する鉛直面による断面図である。

【図18】図１７の第２開口形成部の近傍が拡大された断面図である。

【図19】図１７の第２開口形成部の近傍が拡大された断面図である。

【図20】第１実施形態の変形例の回転翼モジュールの、航空機の前後方向に直交する鉛直面による断面図である。

【図21】図２０の第２開口形成部の近傍が拡大された断面図である。

【図22】図２０の第２開口形成部の近傍が拡大された断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0017】

以下、本発明の航空機、及び、回転翼モジュールに関する各実施形態について図１乃至図２２を参照しながら説明する。

【0018】

＜第１実施形態＞
（概要）
第１実施形態の航空機は、垂直離着陸を行う。
航空機は、胴体と、胴体から左右方向にて延在する、少なくとも１対の固定翼と、回転駆動されることにより航空機を鉛直上方向へ推進させる推力を発生する回転翼と、電力によって回転翼を回転駆動する回転駆動部と、航空機の前後方向にて延在するとともに、回転駆動部の少なくとも一部が収容される内部空間を有し、且つ、回転翼を支持する支持体と、を備える。

【0019】

支持体は、回転翼が回転することによって送出する空気の流れの下流と異なる位置にて、内部空間と支持体の外部とを連通する第１開口を有する第１開口形成部と、回転翼が回転することによって送出する空気の流れの下流にて、内部空間と支持体の外部とを連通する第２開口を有する第２開口形成部と、を備える。

【0020】

第２開口形成部は、回転翼が回転することによって送出する空気の流れによって、第２開口の近傍の圧力が低下することにより、内部空間の空気が支持体の外部へ流出する形状を有する。

【0021】

これによれば、回転翼が回転することによって空気が送出されている場合、送出された空気の流れによって、内部空間の空気が、当該空気の流れの下流に位置する第２開口を通って支持体の外部へ流出する。これにより、当該空気の流れの下流と異なる位置を有する第１開口を通って内部空間へ空気が流入する。この結果、内部空間に位置する回転駆動部は、内部空間における空気の流れによって冷却される。

【0022】

このように、上記航空機においては、回転翼が回転することによって送出する空気の流れの下流において、空気は、内部空間へ流入しない。従って、回転翼が回転することによって送出する空気に異物が含まれる場合であっても、異物が内部空間へ流入することを抑制できる。即ち、上記航空機によれば、異物の流入を抑制しながら回転駆動部を冷却できる。
次に、第１実施形態の航空機、及び、回転翼モジュールについて、より詳細に説明する。

【0023】

（構成）
図１乃至図５に表されるように、航空機１は、垂直離着陸を行う。本例では、航空機１は、電力によって航空機を飛行させるｅＶＴＯＬ（ｅｌｅｃｔｒｉｃ Ｖｅｒｔｉｃａｌ Ｔａｋｅ－Ｏｆｆ ａｎｄ Ｌａｎｄｉｎｇ）である。航空機１は、鉛直方向にて飛行する（換言すると、鉛直方向にて上昇又は下降する）鉛直飛行を行う状態（換言すると、離着陸状態）と、水平方向にて飛行する（換言すると、巡航する）水平飛行を行う状態（換言すると、巡航状態）と、の間で動作状態が切り替わる。

【0024】

本例では、後述の各方向（例えば、上下方向、前後方向、又は、左右方向）は、離着陸状態における方向である。なお、各方向は、巡航状態における方向であってもよい。上方向、及び、下方向は、それぞれ、鉛直上方向、及び、鉛直下方向である。

【0025】

航空機１は、胴体１０と、１対の前方固定翼２０－１，２０－２と、１対の後方固定翼２０－３，２０－４と、を備える。なお、航空機１が備える固定翼の対の数は、１対であってもよいし、３対以上であってもよい。本例では、１対の前方固定翼２０－１，２０－２、及び、１対の後方固定翼２０－３，２０－４のそれぞれは、単に、固定翼２０－ｊ（ｊは、１乃至４の整数を表す。）とも表される。

【0026】

胴体１０は、航空機１の左右方向における中央部において、航空機１の前後方向にて延在する。本例では、胴体１０は、航空機１の上下方向における位置、及び、航空機１の前後方向における位置のそれぞれが互いに異なる２個の棒状体又は柱状体が、航空機１の前後方向における中央部にて互いに連結された形状を有する。

【0027】

本例では、胴体１０は、航空機１の前方向における端部の鉛直下方向における端面が、航空機１の後方向における端部の鉛直下方向における端面よりも鉛直下方に位置する。本例では、胴体１０は、航空機１の前方向における端部の鉛直上方向における端面が、航空機１の後方向における端部の鉛直上方向における端面よりも鉛直下方に位置する。

【0028】

なお、胴体１０は、航空機１の前後方向にて延在する棒状又は柱状であってもよい。例えば、胴体１０は、航空機１の前後方向における両端部のそれぞれにおいて、先端に近づくほど細くなる形状（換言すると、先細形状）を有してよい。
例えば、胴体１０の前後方向における長さは、１ｍ乃至１５ｍの長さであってよい。

【0029】

１対の前方固定翼２０－１，２０－２は、航空機１の左方向、及び、航空機１の右方向へ、胴体１０からそれぞれ延在する板状である。１対の前方固定翼２０－１，２０－２のそれぞれは、航空機１の左右方向に直交する平面によって切断された断面において、翼型形状を有する。

【0030】

１対の前方固定翼２０－１，２０－２は、航空機１の左右方向に直交し、且つ、胴体１０の左右方向における中央を通る平面に対して、互いに面対称である。例えば、１対の前方固定翼２０－１，２０－２のそれぞれの左右方向における長さは、０．５ｍ乃至１０ｍの長さであってよい。

【0031】

１対の前方固定翼２０－１，２０－２は、航空機１の前後方向における胴体１０の中央よりも前方に位置する。本例では、１対の前方固定翼２０－１，２０－２は、胴体１０の前方向における端部に位置する。例えば、１対の前方固定翼２０－１，２０－２は、航空機１の前後方向において、胴体１０の前方向における端から１対の前方固定翼２０－１，２０－２の後方向における端までの距離の、航空機１の前後方向における胴体１０の長さに対する比が、０．０１乃至０．４（本例では、０．１乃至０．３）の値である位置を有する。
本例では、図５に表されるように、１対の前方固定翼２０－１，２０－２は、航空機１の重心ＣＧよりも前方の位置を有する。

【0032】

１対の前方固定翼２０－１，２０－２は、航空機１の上下方向における胴体１０の中央よりも下方に位置する。本例では、１対の前方固定翼２０－１，２０－２は、胴体１０の下方向における端部に位置する。例えば、１対の前方固定翼２０－１，２０－２は、航空機１の上下方向において、胴体１０の下方向における端から１対の前方固定翼２０－１，２０－２の上方向における端までの距離の、航空機１の上下方向における胴体１０の高さ（本例では、後述の尾翼１１－１，１１－２を除いた航空機１の上下方向における胴体１０の高さの最大値）に対する比が、０．０１乃至０．４（本例では、０．０５乃至０．２）の値である位置を有する。
本例では、図５に表されるように、１対の前方固定翼２０－１，２０－２は、航空機１の重心ＣＧよりも鉛直下方の位置を有する。

【0033】

１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、航空機１の左方向、及び、航空機１の右方向へ、胴体１０からそれぞれ延在する板状である。１対の後方固定翼２０－３，２０－４のそれぞれは、航空機１の左右方向に直交する平面によって切断された断面において、翼型形状を有する。

【0034】

１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、航空機１の左右方向に直交し、且つ、胴体１０の左右方向における中央を通る平面に対して、互いに面対称である。１対の後方固定翼２０－３，２０－４のそれぞれの左右方向における長さは、１対の前方固定翼２０－１，２０－２のそれぞれの左右方向における長さと略等しい。本例では、１対の後方固定翼２０－３，２０－４のそれぞれの左右方向における長さは、１対の前方固定翼２０－１，２０－２のそれぞれの左右方向における長さよりも僅かに長い。例えば、１対の後方固定翼２０－３，２０－４のそれぞれの左右方向における長さは、０．５ｍ乃至１０ｍの長さであってよい。

【0035】

１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、航空機１の前後方向における胴体１０の中央よりも後方に位置する。本例では、１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、胴体１０の後方向における端部に位置する。例えば、１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、航空機１の前後方向において、胴体１０の後方向における端から１対の後方固定翼２０－３，２０－４の前方向における端までの距離の、航空機１の前後方向における胴体１０の長さに対する比が、０．０１乃至０．４（本例では、０．１乃至０．３）の値である位置を有する。
本例では、図５に表されるように、１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、航空機１の重心ＣＧよりも後方の位置を有する。

【0036】

１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、航空機１の上下方向における胴体１０の中央よりも上方に位置する。本例では、１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、胴体１０の上方向における端部に位置する。例えば、１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、航空機１の上下方向において、胴体１０の上方向における端から１対の後方固定翼２０－３，２０－４の下方向における端までの距離の、航空機１の上下方向における胴体１０の高さに対する比が、０．０１乃至０．４（本例では、０．０５乃至０．２）の値である位置を有する。
本例では、図５に表されるように、１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、航空機１の重心ＣＧよりも鉛直上方の位置を有する。

【0037】

このように、本例では、航空機１は、航空機１の前後方向における位置が互いに異なるとともに、航空機１の上下方向における位置が互いに異なる２対の固定翼２０－１～２０－４を備える。
換言すると、本例では、航空機１は、１対の前方固定翼２０－１，２０－２と、１対の前方固定翼２０－１，２０－２よりも後方に位置し、且つ、鉛直方向における位置が１対の前方固定翼２０－１，２０－２と異なる１対の後方固定翼２０－３，２０－４と、を備える。
本例では、１対の前方固定翼２０－１，２０－２は、１対の第１固定翼に対応する。本例では、１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、１対の第２固定翼に対応する。

【0038】

上述のように、本例では、１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、鉛直方向における位置が１対の前方固定翼２０－１，２０－２よりも鉛直上方の位置である。なお、１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、鉛直方向における位置が１対の前方固定翼２０－１，２０－２よりも鉛直下方の位置であってもよい。この場合、１対の前方固定翼２０－１，２０－２は、航空機１の重心ＣＧよりも鉛直上方の位置を有し、且つ、１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、航空機１の重心ＣＧよりも鉛直下方の位置を有していてよい。

【0039】

航空機１は、１対の前方固定翼２０－１，２０－２、及び、１対の後方固定翼２０－３，２０－４に固定される、複数（本例では、１６個）の回転翼モジュール４０－１～４０－１６を備える。なお、航空機１が備える回転翼モジュールの数は、２乃至１５個であってもよく、１７個以上であってもよい。例えば、航空機１が備える回転翼モジュールの数は、８個、１２個、１６個、２０個、又は、２４個である。
なお、各固定翼２０－ｊに固定される回転翼モジュールの数は、２以上であることが好適である。

【0040】

本例では、複数の回転翼モジュール４０－１～４０－１６は、１対の前方固定翼２０－１，２０－２、及び、１対の後方固定翼２０－３，２０－４に取り外し可能に固定される。なお、複数の回転翼モジュール４０－１～４０－１６は、１対の前方固定翼２０－１，２０－２、及び、１対の後方固定翼２０－３，２０－４に取り外し不能に固定（例えば、一体に形成）されていてもよい。

【0041】

４個の回転翼モジュール４０－１～４０－４は、１対の前方固定翼２０－１，２０－２のうちの、胴体１０の左方に位置する前方固定翼２０－１に固定される。４個の回転翼モジュール４０－５～４０－８は、１対の前方固定翼２０－１，２０－２のうちの、胴体１０の右方に位置する前方固定翼２０－２に固定される。４個の回転翼モジュール４０－９～４０－１２は、１対の後方固定翼２０－３，２０－４のうちの、胴体１０の左方に位置する後方固定翼２０－３に固定される。４個の回転翼モジュール４０－１３～４０－１６は、１対の後方固定翼２０－３，２０－４のうちの、胴体１０の右方に位置する後方固定翼２０－４に固定される。

【0042】

胴体１０の左方に位置する８個の回転翼モジュール４０－１～４０－４，４０－９～４０－１２と、胴体１０の右方に位置する８個の回転翼モジュール４０－５～４０－８，４０－１３～４０－１６と、は、航空機１の左右方向に直交し、且つ、胴体１０の左右方向における中央を通る平面に対して、互いに面対称である。

【0043】

固定翼２０－ｊに固定される回転翼モジュール４０－ｉ（ｉは、１乃至１６の整数を表す。）は、航空機１の左右方向における当該固定翼２０－ｊの先端部以外の領域に位置する。
本例では、固定翼２０－ｊに固定される回転翼モジュール４０－ｉは、航空機１の左右方向において、当該固定翼２０－ｊの先端から当該回転翼モジュール４０－ｉまでの距離の、航空機１の左右方向における当該固定翼２０－ｊの長さに対する比が、０より大きく且つ１より小さい（本例では、０より大きく且つ０．９５以下である）位置を有する。
なお、固定翼２０－ｊに固定される回転翼モジュール４０－ｉの少なくとも１つは、航空機１の左右方向における当該固定翼２０－ｊの先端部に位置していてもよい。

【0044】

本例では、固定翼２０－ｊに固定される４個の回転翼モジュール４０－ｋ～４０－ｌ（ｋは、１、５、９、又は、１３の整数を表す。ｌは、ｋ＋３の整数を表す。）は、航空機１の左右方向において、等間隔にて位置する。なお、固定翼２０－ｊに固定される４個の回転翼モジュール４０－ｋ～４０－ｌは、航空機１の左右方向において、異なる間隔を有していてもよい。

【0045】

例えば、固定翼２０－ｊに固定される４個の回転翼モジュール４０－ｋ～４０－ｌは、航空機１の左右方向において、当該４個の回転翼モジュール４０－ｋ～４０－ｌのうちの、互いに隣り合う２個の回転翼モジュール間の距離の、航空機１の左右方向における当該固定翼２０－ｊの長さに対する比が、０．１乃至０．４（本例では、０．２乃至０．３）の値である位置を有してよい。

【0046】

本例では、航空機１の左右方向において、前方固定翼２０－１に固定される４個の回転翼モジュール４０－１～４０－４のうちの、互いに隣り合う２個の回転翼モジュール間の距離と、後方固定翼２０－３に固定される４個の回転翼モジュール４０－９～４０－１２のうちの、互いに隣り合う２個の回転翼モジュール間の距離と、は、互いに等しい。なお、両者の距離は、互いに異なっていてもよい。

【0047】

本例では、前方固定翼２０－１に固定される４個の回転翼モジュール４０－１～４０－４と、後方固定翼２０－３に固定される４個の回転翼モジュール４０－９～４０－１２と、の航空機１の左右方向における位置は、それぞれ略同じである。
本例では、航空機１の左右方向において、前方固定翼２０－１に固定される４個の回転翼モジュール４０－１～４０－４の位置と、後方固定翼２０－３に固定される４個の回転翼モジュール４０－９～４０－１２の位置と、は、互いに一致する。なお、両者の位置は、互いに異なっていてもよい。

【0048】

本例では、前方固定翼２０－１に固定される４個の回転翼モジュール４０－１～４０－４と、後方固定翼２０－３に固定される４個の回転翼モジュール４０－９～４０－１２と、の航空機１の上下方向における位置は、互いに異なる。本例では、前方固定翼２０－１に固定される４個の回転翼モジュール４０－１～４０－４は、後方固定翼２０－３に固定される４個の回転翼モジュール４０－９～４０－１２よりも、航空機１の下方向の位置を有する。なお、前方固定翼２０－１に固定される４個の回転翼モジュール４０－１～４０－４は、後方固定翼２０－３に固定される４個の回転翼モジュール４０－９～４０－１２よりも、航空機１の上方向の位置を有していてもよい。

【0049】

本例では、図２に表されるように、前方固定翼２０－１に固定される４個の回転翼モジュール４０－１～４０－４と、後方固定翼２０－３に固定される４個の回転翼モジュール４０－９～４０－１２と、は、航空機１を鉛直方向にて見た場合において、航空機１の前後方向にて互いに隔てられている。

【0050】

図６に表されるように、固定翼２０－ｊに固定される回転翼モジュール４０－ｉは、支持体４０１と、１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２と、１対の電動機４０３－１，４０３－２と、１対の速度制御器４０４－１，４０４－２と、１対の第１蓄電池４０５－１，４０５－２と、１対の回路保護器４０６－１，４０６－２と、１対の回路開閉器４０７－１，４０７－２と、１対の制御器４０８－１，４０８－２と、を備える。

【0051】

支持体４０１は、航空機１の前後方向において（換言すると、航空機１を鉛直方向にて見た場合において）、固定翼２０－ｊの前方と固定翼２０－ｊの後方とに亘って、航空機１の前後方向にて延在する棒状又は柱状である。支持体４０１は、航空機１の前後方向における中央部が固定翼２０－ｊに取り外し可能に固定される。支持体４０１は、後述の内部空間ＳＰを有する。
本例では、支持体４０１は、固定翼２０－ｊの鉛直下方に位置する。なお、支持体４０１は、固定翼２０－ｊの鉛直上方に位置していてもよい。

【0052】

１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２のそれぞれは、回転の中心軸が航空機１の上下方向が主成分である方向にて延在するように、支持体４０１の鉛直上方にて回転可能に支持体４０１に支持される。１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２は、１対の電動機４０３－１，４０３－２によってそれぞれ回転駆動されることにより航空機１を上方向へ推進させる推力を発生する。
本例では、１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２は、１対の鉛直方向用回転翼に対応する。

【0053】

１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２は、航空機１の前後方向において、固定翼２０－ｊの前方と固定翼２０－ｊの後方とにそれぞれ位置する。本例では、１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２は、航空機１の前後方向における支持体４０１の両端部にそれぞれ位置する。

【0054】

１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２は、航空機１の前後方向における１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２間の距離の、航空機１の前後方向における固定翼２０－ｊの長さに対する比が、１．２乃至４．５（本例では、２乃至３）の値である位置を有してよい。

【0055】

１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２のそれぞれは、当該第１回転翼４０２－１，４０２－２の先端の軌跡と、固定翼２０－ｊと、の間の最短距離の、航空機１の前後方向における固定翼２０－ｊの長さに対する比が、０よりも大きく且つ０．２以下（本例では、０．０２乃至０．０８の値）である位置を有してよい。

【0056】

本例では、１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２の鉛直方向における位置は、当該１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２の回転の中心軸を通る平面による固定翼２０－ｊの断面のうちの、最も鉛直上方向の位置と、最も鉛直下方向の位置と、の間の位置である。換言すると、図３及び図４に表されるように、航空機１の前後方向にて航空機１を見た場合において、１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２は、固定翼２０－ｊと重なる位置を有する。

【0057】

本例では、１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２は、回転方向が互いに異なる。
本例では、航空機１の左右方向にて隣接する２個の第１回転翼４０２－１は、回転方向が互いに異なるとともに、航空機１の左右方向にて隣接する２個の第１回転翼４０２－２は、回転方向が互いに異なる。また、本例では、航空機１の上下方向にて隣接する２個の第１回転翼４０２－１，４０２－２は、回転方向が互いに異なる。
本例では、第１回転翼４０２－１，４０２－２は、ロータと表されてもよい。

【0058】

以下、第１回転翼４０２－１を回転駆動するための構成（本例では、電動機４０３－１、速度制御器４０４－１、第１蓄電池４０５－１、回路保護器４０６－１、回路開閉器４０７－１、及び、制御器４０８－１）が説明される。なお、第１回転翼４０２－２を回転駆動するための構成（本例では、電動機４０３－２、速度制御器４０４－２、第１蓄電池４０５－２、回路保護器４０６－２、回路開閉器４０７－２、及び、制御器４０８－２）は、第１回転翼４０２－１を回転駆動するための構成と同様に説明されるため、当該説明が省略される。

【0059】

本例では、航空機１の左右方向に直交する鉛直面による回転翼モジュール４０－ｉの断面を表す図７に表されるように、速度制御器４０４－１、第１蓄電池４０５－１、回路保護器４０６－１、回路開閉器４０７－１、及び、制御器４０８－１は、支持体４０１の内部空間ＳＰに収容される。本例では、電動機４０３－１の一部も、支持体４０１の内部空間ＳＰに収容される。図７において、電流が流れるケーブル、及び、制御信号が伝送される信号線は、図示が省略される。なお、電動機４０３－１の全体が、支持体４０１の内部空間ＳＰに収容されていてもよい。また、電動機４０３－１の全体が、支持体４０１の外部に位置していてもよい。

【0060】

電動機４０３－１は、速度制御器４０４－１から供給される電力に従って、第１回転翼４０２－１を回転駆動する。

【0061】

速度制御器４０４－１は、制御器４０８－１から伝送される制御信号に従って、電動機４０３－１によって回転駆動される第１回転翼４０２－１の回転速度（換言すると、回転数）を制御するように、電動機４０３－１へ供給する電力を制御する。

【0062】

本例では、速度制御器４０４－１は、ＥＳＣ（Ｅｌｅｃｔｒｉｃ Ｓｐｅｅｄ Ｃｏｎｔｒｏｌｌｅｒ）と表されてもよい。

【0063】

第１蓄電池４０５－１は、電力を充放電する。本例では、第１蓄電池４０５－１は、直列に接続された複数の単電池（換言すると、セル）を含む。本例では、第１蓄電池４０５－１は、２４Ｖ乃至１２０Ｖの電圧を有する。
第１蓄電池４０５－１は、回路保護器４０６－１、回路開閉器４０７－１、及び、速度制御器４０４－１を介して、電動機４０３－１へ電力を供給する。

【0064】

第１蓄電池４０５－１は、支持体４０１に固定される。本例では、第１蓄電池４０５－１は、航空機１の前後方向において、１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２の間に位置する。例えば、第１蓄電池４０５－１は、航空機１の前後方向における支持体４０１の中央部に位置する。本例では、第１蓄電池４０５－１は、固定翼２０－ｊの下方に位置する。なお、第１蓄電池４０５－１は、航空機１の前後方向において、第１回転翼４０２－１と固定翼２０－ｊとの間に位置していてもよい。

【0065】

回路保護器４０６－１は、速度制御器４０４－１と第１蓄電池４０５－１との間にて、第１蓄電池４０５－１から速度制御器４０４－１へ供給される電流が所定の閾値を超えた場合、電流を遮断する。本例では、回路保護器４０６－１は、電力ヒューズと表されてもよい。

【0066】

回路開閉器４０７－１は、速度制御器４０４－１と第１蓄電池４０５－１との間（本例では、回路保護器４０６－１と速度制御器４０４－１との間）にて、制御器４０８－１から伝送される制御信号に従って、第１蓄電池４０５－１から速度制御器４０４－１へ電流が供給されることを許可するオン状態と、第１蓄電池４０５－１から速度制御器４０４－１へ電流が供給されることを禁止する（換言すると、第１蓄電池４０５－１から速度制御器４０４－１へ供給される電流を遮断する）オフ状態と、の間で動作状態が切り替わる。本例では、回路開閉器４０７－１は、接触器である。

【0067】

制御器４０８－１は、後述の制御装置１３から伝送される制御信号に従って、速度制御器４０４－１、及び、回路開閉器４０７－１のそれぞれを制御する。
本例では、電動機４０３－１、速度制御器４０４－１、第１蓄電池４０５－１、回路保護器４０６－１、回路開閉器４０７－１、及び、制御器４０８－１は、電力によって第１回転翼４０２－１を回転駆動する回転駆動部に対応する。

【0068】

このような構成により、航空機１は、複数の回転翼モジュール４０－１～４０－１６のそれぞれが備える１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２のそれぞれが発生する、航空機１を上方向へ推進させる推力によって、垂直離着陸を行う。

【0069】

以下、図７、及び、図８を参照しながら、支持体４０１について説明が追加される。図８は、図７のＶＩＩＩ－ＶＩＩＩ線により表される鉛直面による回転翼モジュール４０－ｉの断面を表す。

【0070】

支持体４０１は、第１開口形成部４１１と、複数の第２開口形成部４１２と、を備える。本例では、支持体４０１が備える第２開口形成部４１２の数は、８個である。なお、支持体４０１が備える第２開口形成部４１２の数は、１乃至７個でもよく、９個以上であってもよい。

【0071】

第１開口形成部４１１は、第１回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって送出する空気の流れＦＬ０の下流と異なる位置にて、支持体４０１の内部空間ＳＰと支持体４０１の外部とを連通する第１開口を有する。
本例では、第１開口形成部４１１は、固定翼２０－ｊの鉛直下方に位置する。本例では、第１開口形成部４１１は、固定翼２０－ｊの鉛直下方における端面に対向する。なお、第１開口形成部４１１は、固定翼２０－ｊの鉛直下方において、支持体４０１のうちの、航空機１の左右方向における端面（換言すると、側面）に位置していてもよい。

【0072】

また、第１開口形成部４１１は、固定翼２０－ｊの鉛直下方において、支持体４０１のうちの、航空機１の鉛直下方向における端部に位置していてもよい。また、第１開口形成部４１１は、支持体４０１のうちの、固定翼２０－ｊの鉛直下方以外の部分であって、支持体４０１のうちの、航空機１の鉛直下方向における端部に位置していてもよい。

【0073】

図８に表されるように、複数の第２開口形成部４１２のそれぞれは、第１回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって送出する空気の流れＦＬ０の下流にて、支持体４０１の内部空間ＳＰと支持体４０１の外部とを連通する第２開口を有する。

【0074】

図８における第２開口形成部４１２を拡大した図９に表されるように、第２開口形成部４１２は、支持体４０１の鉛直面による断面において、支持体４０１の外表面のうちの、第２開口を形成する２つの端を結ぶ直線Ｌ１に直交し、且つ、支持体４０１の内部空間ＳＰから支持体４０１の外部へ向かう方向である開口方向ＤＯが、鉛直上方向ＤＵの成分を有しない（換言すると、鉛直方向に直交する、又は、鉛直下方向ＤＤの成分を有する）。

【0075】

このような構成により、第１回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって送出する空気の流れＦＬ０によって、第２開口の近傍の圧力が低下する。これにより、矢印ＦＬ２により表されるように、支持体４０１の内部空間ＳＰの空気が支持体４０１の外部へ流出する。

【0076】

換言すると、第２開口形成部４１２は、第１回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって送出する空気の流れＦＬ０によって、第２開口の近傍の圧力が低下することにより、支持体４０１の内部空間ＳＰの空気が支持体４０１の外部へ流出する形状を有する。

【0077】

また、他の側面では、図１０に表されるように、支持体４０１は、航空機１、及び、第１回転翼４０２－１，４０２－２が静止している状態において、仮に、第１開口から空気を流入させた場合に、第２開口から流出する空気の流れの、第２開口の中央部における方向である流出方向ＤＦが鉛直上方向ＤＵの成分を有しない。

【0078】

このような構成によっても、第１回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって送出する空気の流れＦＬ０によって、第２開口の近傍の圧力が低下する。これにより、矢印ＦＬ２により表されるように、支持体４０１の内部空間ＳＰの空気が支持体４０１の外部へ流出する。

【0079】

本例では、第２開口形成部４１２は、支持体４０１のうちの、航空機１の左右方向のそれぞれにおける外表面に位置する。なお、第２開口形成部４１２は、支持体４０１のうちの、航空機１の左右方向のいずれか一方における外表面に位置していてもよい。この場合、第２開口形成部４１２は、支持体４０１のうちの、航空機１の左右方向の、胴体１０に近い方の外表面に位置していてもよい。また、第２開口形成部４１２は、支持体４０１のうちの、航空機１の左右方向の、胴体１０に遠い方の外表面に位置していてもよい。

【0080】

本例では、第２開口形成部４１２は、支持体４０１のうちの、第１回転翼４０２－１，４０２－２の回転の中心軸に対して、航空機１の前後方向のそれぞれにおける外表面に位置する。なお、第２開口形成部４１２は、支持体４０１のうちの、第１回転翼４０２－１，４０２－２の回転の中心軸に対して、航空機１の前後方向のいずれか一方における外表面に位置していてもよい。この場合、第２開口形成部４１２は、支持体４０１のうちの、第１回転翼４０２－１，４０２－２の回転の中心軸に対して、航空機１の前後方向の、支持体４０１の中央部に近い方の外表面に位置していてもよい。また、第２開口形成部４１２は、支持体４０１のうちの、第１回転翼４０２－１，４０２－２の回転の中心軸に対して、航空機１の前後方向の、支持体４０１の中央部に遠い方の外表面に位置していてもよい。

【0081】

支持体４０１は、複数の第２開口形成部４１２が、航空機１の前後方向にて互いに隣接するように位置していてもよい。また、支持体４０１は、複数の第２開口形成部４１２が、航空機１の上下方向にて互いに隣接するように位置していてもよい。

【0082】

また、本例では、図３乃至図５に表されるように、前方固定翼２０－１に固定される４個の回転翼モジュール４０－１～４０－４のそれぞれが備える１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２と、後方固定翼２０－３に固定される４個の回転翼モジュール４０－９～４０－１２のそれぞれが備える１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２と、の航空機１の上下方向における位置は、互いに異なる。

【0083】

本例では、図３乃至図５に表されるように、前方固定翼２０－１に固定される４個の回転翼モジュール４０－１～４０－４のそれぞれが備える１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２は、後方固定翼２０－３に固定される４個の回転翼モジュール４０－９～４０－１２のそれぞれが備える１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２よりも、航空機１の下方向の位置を有する。なお、前方固定翼２０－１に固定される４個の回転翼モジュール４０－１～４０－４のそれぞれが備える１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２は、後方固定翼２０－３に固定される４個の回転翼モジュール４０－９～４０－１２のそれぞれが備える１対の第１回転翼４０２－１，４０２－２よりも、航空機１の上方向の位置を有していてもよい。

【0084】

本例では、図２に表されるように、前方固定翼２０－１に固定される４個の回転翼モジュール４０－１～４０－４のそれぞれが備える第１回転翼４０２－２と、後方固定翼２０－３に固定される４個の回転翼モジュール４０－９～４０－１２のそれぞれが備える第１回転翼４０２－１と、は、航空機１を鉛直方向にて見た場合において、航空機１の前後方向にて互いに隔てられている。

【0085】

胴体１０は、輸送対象を収容する内部空間を有する。本例では、内部空間は、航空機１の前後方向において、１対の前方固定翼２０－１，２０－２と、１対の後方固定翼２０－３，２０－４と、の間に位置する。例えば、内部空間は、航空機１の前後方向における中央部に位置する。

【0086】

輸送対象は、人、及び、物体のうちの、少なくとも１つを含む。例えば、輸送対象に含まれる人は、搭乗者と表されてもよい。例えば、搭乗者は、航空機１を操縦してよい。また、航空機１が自動操縦により飛行するように構成されている場合、搭乗者は、航空機１を操縦しなくてもよい。例えば、輸送対象に含まれる物体は、貨物又は荷物である。

【0087】

例えば、胴体１０が有する内部空間は、１人乃至５人の搭乗者を収容可能であってよい。本例では、胴体１０が有する内部空間は、１人又は２人の搭乗者を収容可能である。
例えば、航空機１の最大離陸重量は、１２０ｋｇ乃至３０００ｋｇの重量であってよい。本例では、航空機１の最大離陸重量は、１５０ｋｇ乃至４６０ｋｇの重量である。胴体１０は、収容空間を開閉可能な扉（本例では、カウル）を備える。

【0088】

胴体１０は、尾翼１１と、第２回転翼１２と、制御装置１３と、を備える。なお、胴体１０が備える尾翼の数は、２個以上であってもよい。

【0089】

尾翼１１は、胴体１０の後方向における端部に位置する。尾翼１１は、航空機１の左右方向に直交する平面に沿って延在する板状である。尾翼１１は、胴体１０から航空機１の上方向へ延出する。

【0090】

第２回転翼１２は、回転の中心軸が航空機１の前後方向が主成分である方向にて延在するように回転可能に胴体１０に支持される。

【0091】

本例では、航空機１は、図示されない、第２蓄電池、速度制御器、及び、電動機を備える。第２回転翼１２は、第２蓄電池から供給される電力に従って回転駆動される。更に、航空機１は、第２回転翼１２の回転速度を制御するように、速度制御器が第２蓄電池から電動機へ供給される電力を制御する。
本例では、第２蓄電池は、胴体１０に収容される。なお、第２蓄電池は、胴体１０に代えて、又は、胴体１０に加えて、固定翼２０－ｊに収容されていてもよい。

【0092】

第２回転翼１２は、電動機によって回転駆動されることにより航空機１を前方向へ推進させる推力を発生する。
このような構成により、航空機１は、第２回転翼１２が発生する、航空機１を前方向へ推進させる推力と、１対の前方固定翼２０－１，２０－２、及び、１対の後方固定翼２０－３，２０－４が発生する揚力と、によって、水平方向にて飛行する。

【0093】

本例では、第２回転翼１２は、胴体１０の後方向における端部に位置する。なお、第２回転翼１２は、胴体１０の後方向における端部以外の部分（例えば、胴体１０の前方向における端部、又は、胴体１０の前後方向における中央部等）に位置してもよい。

【0094】

なお、胴体１０が備える第２回転翼１２の数は、２個以上であってもよい。この場合、例えば、複数の第２回転翼１２は、胴体１０の前方向における端部、及び、胴体１０の後方向における端部の両方にそれぞれ位置していてもよいし、いずれか一方のみに位置していてもよい。また、例えば、複数の第２回転翼１２は、１対の前方固定翼２０－１，２０－２、及び、１対の後方固定翼２０－３，２０－４の少なくとも１つに位置していてもよい。
本例では、第２回転翼１２は、プロペラと表されてもよい。
本例では、第２回転翼１２は、水平方向用回転翼に対応する。

【0095】

制御装置１３は、胴体１０に収容される。制御装置１３は、電力によって動作することにより航空機１を制御する。制御装置１３は、航空機１の状態を表す情報（例えば、高度、経度、緯度、及び、速度等）を取得する電子機器を含む。本例では、制御装置１３は、アビオニクス（例えば、通信機器、航法システム、又は、飛行管理システム等）を含む。

【0096】

本例では、制御装置１３は、搭乗者の操縦に従って制御信号を生成し、生成された制御信号に基づいて、複数の回転翼モジュール４０－１～４０－１６の第１回転翼４０２－１，４０２－２、及び、第２回転翼１２のそれぞれの回転数を制御する。

【0097】

（動作）
次に、航空機１の動作について説明する。
先ず、搭乗者は、航空機１の左方の位置から、前方固定翼２０－１と後方固定翼２０－３との間を通って、胴体１０の内部空間に搭乗する。なお、搭乗者は、航空機１の右方の位置から、前方固定翼２０－２と後方固定翼２０－４との間を通って、胴体１０の内部空間に搭乗してもよい。

【0098】

次いで、航空機１は、１６個の回転翼モジュール４０－１～４０－１６がそれぞれ備える１６対の第１回転翼４０２－１，４０２－２のそれぞれを回転駆動する。これにより、航空機１を上方向へ推進させる推力が発生する。この結果、航空機１は、鉛直上方向へ飛行（換言すると、上昇）することにより離陸する。

【0099】

この場合、第１回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって空気が送出されているので、送出された空気の流れによって、支持体４０１の内部空間ＳＰの空気が、当該空気の流れの下流に位置する第２開口を通って支持体４０１の外部へ流出する。これにより、当該空気の流れの下流と異なる位置を有する第１開口を通って、支持体４０１の内部空間ＳＰへ空気が流入する。この結果、支持体４０１の内部空間ＳＰに位置する回転駆動部（本例では、電動機４０３－１、速度制御器４０４－１、第１蓄電池４０５－１、回路保護器４０６－１、回路開閉器４０７－１、及び、制御器４０８－１）は、内部空間ＳＰにおける空気の流れによって冷却される。

【0100】

その後、航空機１は、第２回転翼１２を回転駆動する。これにより、航空機１を前方向へ推進させる推力が発生する。この結果、１対の前方固定翼２０－１，２０－２、及び、１対の後方固定翼２０－３，２０－４は、揚力を発生する。次いで、航空機１は、１６個の回転翼モジュール４０－１～４０－１６がそれぞれ備える１６対の第１回転翼４０２－１，４０２－２のそれぞれの回転駆動を停止する。この結果、航空機１は、水平方向へ飛行（換言すると、巡航）する。

【0101】

その後、航空機１は、１６個の回転翼モジュール４０－１～４０－１６がそれぞれ備える１６対の第１回転翼４０２－１，４０２－２のそれぞれを回転駆動する。これにより、航空機１を上方向へ推進させる推力が発生する。次いで、航空機１は、第２回転翼１２の回転駆動を停止する。この結果、航空機１は、鉛直下方向へ飛行（換言すると、下降）する。

【0102】

この場合、第１回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって空気が送出されているので、送出された空気の流れによって、支持体４０１の内部空間ＳＰの空気が、当該空気の流れの下流に位置する第２開口を通って支持体４０１の外部へ流出する。これにより、当該空気の流れの下流と異なる位置を有する第１開口を通って、支持体４０１の内部空間ＳＰへ空気が流入する。この結果、支持体４０１の内部空間ＳＰに位置する回転駆動部は、内部空間ＳＰにおける空気の流れによって冷却される。
その後、航空機１は、着陸する。

【0103】

以上、説明したように、第１実施形態の航空機１は、垂直離着陸を行う。航空機１は、胴体１０と、胴体１０から左右方向にて延在する、少なくとも１対の固定翼２０－１～２０－４と、回転駆動されることにより航空機１を鉛直上方向へ推進させる推力を発生する回転翼４０２－１，４０２－２と、電力によって回転翼４０２－１，４０２－２を回転駆動する回転駆動部（本例では、電動機４０３－１、速度制御器４０４－１、第１蓄電池４０５－１、回路保護器４０６－１、回路開閉器４０７－１、及び、制御器４０８－１）と、航空機１の前後方向にて延在するとともに、回転駆動部の少なくとも一部が収容される内部空間ＳＰを有し、且つ、回転翼４０２－１，４０２－２を支持する支持体４０１と、を備える。

【0104】

支持体４０１は、回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって送出する空気の流れＦＬ０の下流と異なる位置にて、支持体４０１の内部空間ＳＰと支持体４０１の外部とを連通する第１開口を有する第１開口形成部４１１と、回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって送出する空気の流れＦＬ０の下流にて、支持体４０１の内部空間ＳＰと支持体４０１の外部とを連通する第２開口を有する第２開口形成部４１２と、を備える。

【0105】

第２開口形成部４１２は、回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって送出する空気の流れＦＬ０によって、第２開口の近傍の圧力が低下することにより、支持体４０１の内部空間ＳＰの空気が支持体４０１の外部へ流出する形状を有する。

【0106】

これによれば、回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって空気が送出されている場合、送出された空気の流れによって、内部空間ＳＰの空気が、当該空気の流れＦＬ０の下流に位置する第２開口を通って支持体４０１の外部へ流出する。これにより、当該空気の流れＦＬ０の下流と異なる位置を有する第１開口を通って内部空間ＳＰへ空気が流入する。この結果、内部空間ＳＰに位置する回転駆動部は、内部空間ＳＰにおける空気の流れによって冷却される。

【0107】

このように、航空機１においては、回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって送出する空気の流れＦＬ０の下流において、空気は、内部空間ＳＰへ流入しない。従って、回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって送出する空気に異物が含まれる場合であっても、異物が内部空間ＳＰへ流入することを抑制できる。即ち、航空機１によれば、異物の流入を抑制しながら回転駆動部を冷却できる。

【0108】

更に、第１実施形態の航空機１において、支持体４０１は、航空機１、及び、回転翼４０２－１，４０２－２が静止している状態において、仮に、第１開口から空気を流入させた場合に、第２開口から流出する空気の流れの、第２開口の中央部における方向である流出方向ＤＦが鉛直上方向ＤＵの成分を有しない。

【0109】

これによれば、回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって空気が送出されている場合、送出された空気の流れによって、第２開口の近傍の圧力を十分に低下できる。

【0110】

更に、第１実施形態の航空機１において、第２開口形成部４１２は、支持体４０１の鉛直面による断面において、支持体４０１の外表面のうちの、第２開口を形成する２つの端を結ぶ直線Ｌ１に直交し、且つ、内部空間ＳＰから支持体４０１の外部へ向かう方向である開口方向ＤＯが、鉛直上方向ＤＵの成分を有しない。

【0111】

これによれば、回転翼４０２－１，４０２－２が回転することによって空気が送出されている場合、送出された空気の流れによって、第２開口の近傍の圧力を十分に低下できる。更に、開口方向ＤＯが鉛直上方向ＤＵの成分を有する場合と比較して、第２開口を通って内部空間ＳＰへ異物が流入することをより一層抑制できる。

【0112】

更に、第１実施形態の航空機１において、支持体４０１は、固定翼２０－ｊの鉛直下方に位置するとともに、固定翼２０－ｊの前方と固定翼２０－ｊの後方とに亘って延在する。更に、第１開口形成部４１１は、固定翼２０－ｊの鉛直下方に位置する。

【0113】

これによれば、第１開口は、落下する異物から固定翼によって遮蔽される。従って、異物が内部空間ＳＰへ流入することを抑制できる。

【0114】

更に、第１実施形態の航空機１において、回転駆動部は、回転翼４０２－１，４０２－２を回転駆動する電動機４０３－１，４０３－２を含む。

【0115】

ところで、回転翼４０２－１，４０２－２が回転駆動される場合、電動機４０３－１，４０３－２は、熱を発生する。従って、航空機１によれば、回転翼４０２－１，４０２－２が回転駆動される場合、回転駆動部の温度が過度に高くなることを抑制できる。

【0116】

更に、第１実施形態の航空機１において、回転駆動部は、回転翼４０２－１，４０２－２の回転速度を制御する速度制御器４０４－１，４０４－２を含む。

【0117】

ところで、回転翼４０２－１，４０２－２が回転駆動される場合、速度制御器４０４－１，４０４－２は、熱を発生する。従って、航空機１によれば、回転翼４０２－１，４０２－２が回転駆動される場合、回転駆動部の温度が過度に高くなることを抑制できる。

【0118】

更に、第１実施形態の航空機１において、回転駆動部は、回転翼４０２－１，４０２－２を回転駆動するための電力を供給する第１蓄電池４０５－１，４０５－２を含む。

【0119】

ところで、回転翼４０２－１，４０２－２が回転駆動される場合、第１蓄電池４０５－１，４０５－２は、熱を発生する。従って、航空機１によれば、回転翼４０２－１，４０２－２が回転駆動される場合、回転駆動部の温度が過度に高くなることを抑制できる。

【0120】

更に、第１実施形態の航空機１において、第２開口形成部４１２は、支持体４０１のうちの、航空機１の左右方向における外表面に位置する。

【0121】

これによれば、支持体４０１が航空機１の前後方向にて延在しているため、航空機１の前後方向における第２開口の長さを長くすることができる。従って、支持体４０１の内部空間ＳＰから流出する空気の流量を増加できる。この結果、内部空間ＳＰに位置する回転駆動部を高い効率にて冷却できる。

【0122】

なお、第１実施形態の変形例において、図１１に表されるように、支持体４０１は、内部空間ＳＰのうちの、第１開口及び前記第２開口と異なる部分を、気体に対して密閉する遮蔽体４０１１を備える。換言すると、遮蔽体４０１１は、内部空間ＳＰを形成する支持体４０１の内壁面のうちの、第１開口及び前記第２開口以外の部分を被覆する。

【0123】

これによれば、第１開口から流入する空気の流量を増加できる。従って、支持体４０１の内部空間ＳＰに位置する回転駆動部を高い効率にて冷却できる。

【0124】

第１実施形態の第２開口形成部４１２は、図１２の（Ａ）に表されるように、支持体４０１の外表面のうちの、支持体４０１の外表面における法線方向が鉛直下方向の成分を有する領域に位置するとともに、第２開口を形成する縁部のうちの、鉛直下方向側の部分４１２Ｄが、鉛直上方向側の部分４１２Ｕよりも支持体４０１の内方に位置するように窪んだ形状を有する。

【0125】

なお、第１実施形態の変形例の第２開口形成部４１２は、図１２の（Ｂ）に表されるように、支持体４０１の外表面のうちの、支持体４０１の外表面における法線方向が鉛直上方向の成分を有する領域に位置するとともに、第２開口を形成する縁部のうちの、鉛直下方向側の部分４１２Ｄが、鉛直上方向側の部分４１２Ｕよりも支持体４０１の内方に位置するように窪んだ形状を有していてもよい。

【0126】

また、第１実施形態の変形例の第２開口形成部４１２は、図１２の（Ｃ）に表されるように、支持体４０１の外表面のうちの、支持体４０１の外表面における法線方向が鉛直下方向の成分を有する領域に位置するとともに、第２開口を形成する縁部のうちの、鉛直上方向側の部分４１２Ｕが、鉛直下方向側の部分４１２Ｄよりも支持体４０１の外方に位置するように突出した形状を有していてもよい。

【0127】

また、第１実施形態の変形例の第２開口形成部４１２は、図１２の（Ｄ）に表されるように、支持体４０１の外表面のうちの、支持体４０１の外表面における法線方向が鉛直上方向の成分を有する領域に位置するとともに、第２開口を形成する縁部のうちの、鉛直上方向側の部分４１２Ｕが、鉛直下方向側の部分４１２Ｄよりも支持体４０１の外方に位置するように突出した形状を有していてもよい。

【0128】

また、第１実施形態の変形例の第２開口形成部４１２は、図１３の（Ｅ）に表されるように、支持体４０１の外表面のうちの、支持体４０１の外表面における法線方向が鉛直下方向の成分を有する領域に位置するとともに、第２開口を形成する縁部のうちの、鉛直上方向側の部分４１２Ｕが、支持体４０１の外表面に沿って、鉛直下方向側の部分４１２Ｄと隔てられた形状を有していてもよい。

【0129】

ここで、図１２の（Ｂ）に表される第１実施形態の変形例の具体例について説明を加える。鉛直面による回転翼モジュール４０－ｉの断面を表す図１４、及び、図１４における第２開口形成部４１２を拡大した図１５に表されるように、第２開口形成部４１２は、支持体４０１の鉛直面による断面において、支持体４０１の外表面のうちの、第２開口を形成する２つの端を結ぶ直線Ｌ１に直交し、且つ、支持体４０１の内部空間ＳＰから支持体４０１の外部へ向かう方向である開口方向ＤＯが、鉛直上方向ＤＵの成分を有しない。

【0130】

また、他の側面では、図１６に表されるように、支持体４０１は、航空機１、及び、第１回転翼４０２－１，４０２－２が静止している状態において、仮に、第１開口から空気を流入させた場合に、第２開口から流出する空気の流れの、第２開口の中央部における方向である流出方向ＤＦが鉛直上方向ＤＵの成分を有しない。

【0131】

次に、図１２の（Ｃ）に表される第１実施形態の変形例の具体例について説明を加える。鉛直面による回転翼モジュール４０－ｉの断面を表す図１７、及び、図１７における第２開口形成部４１２を拡大した図１８に表されるように、第２開口形成部４１２は、支持体４０１の鉛直面による断面において、支持体４０１の外表面のうちの、第２開口を形成する２つの端を結ぶ直線Ｌ１に直交し、且つ、支持体４０１の内部空間ＳＰから支持体４０１の外部へ向かう方向である開口方向ＤＯが、鉛直上方向ＤＵの成分を有しない。

【0132】

また、他の側面では、図１９に表されるように、支持体４０１は、航空機１、及び、第１回転翼４０２－１，４０２－２が静止している状態において、仮に、第１開口から空気を流入させた場合に、第２開口から流出する空気の流れの、第２開口の中央部における方向である流出方向ＤＦが鉛直上方向ＤＵの成分を有しない。

【0133】

次に、図１２の（Ｅ）に表される第１実施形態の変形例の具体例について説明を加える。鉛直面による回転翼モジュール４０－ｉの断面を表す図２０、及び、図２０における第２開口形成部４１２を拡大した図２１に表されるように、第２開口形成部４１２は、支持体４０１の鉛直面による断面において、支持体４０１の外表面のうちの、第２開口を形成する２つの端を結ぶ直線Ｌ１に直交し、且つ、支持体４０１の内部空間ＳＰから支持体４０１の外部へ向かう方向である開口方向ＤＯが、鉛直上方向ＤＵの成分を有しない。

【0134】

また、他の側面では、図２２に表されるように、支持体４０１は、航空機１、及び、第１回転翼４０２－１，４０２－２が静止している状態において、仮に、第１開口から空気を流入させた場合に、第２開口から流出する空気の流れの、第２開口の中央部における方向である流出方向ＤＦが鉛直上方向ＤＵの成分を有しない。

【0135】

なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において当業者が理解し得る様々な変更が加えられてよい。

【符号の説明】

【0136】

１ 航空機
１０ 胴体
１１ 尾翼
１２ 第２回転翼
１３ 制御装置
２０－１，２０－２ 前方固定翼
２０－３，２０－４ 後方固定翼
４０－１～４０－１６ 回転翼モジュール
４０１ 支持体
４０１１ 遮蔽体
４０２－１，４０２－２ 第１回転翼
４０３－１，４０３－２ 電動機
４０４－１，４０４－２ 速度制御器
４０５－１，４０５－２ 第１蓄電池
４０６－１，４０６－２ 回路保護器
４０７－１，４０７－２ 回路開閉器
４０８－１，４０８－２ 制御器
４１１ 第１開口形成部
４１２ 第２開口形成部
ＳＰ 内部空間

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】