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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】バーストエラー検出回路
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/00 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
H04L27/00 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020144883
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039724
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141678
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 賢晃
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-021695(JP,A)
【文献】特開昭60-030240(JP,A)
【文献】特開2007-068052(JP,A)
【文献】Junghoon Lee,NDA PLL design for carrier phase recovery of QPSK/TDMA bursts without preamble,Proceedings of the Tenth IEEE Workshop on Statistical Signal and Array Processing,2000年,pp. 660-663
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/00 - 27/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送波再生ループの位相誤差検出器から出力される位相誤差の入力を受けて連続するシンボル間における前記位相誤差の変動量を算出する変動量算出部と、
前記位相誤差の変動量に基づいてバーストエラーの発生の有無を判断する判定部と、を有する、
ことを特徴とするバーストエラー検出回路。
【請求項2】
搬送波再生ループの位相誤差検出器から出力される位相誤差の入力を受けて連続するシンボル間における前記位相誤差の変動量を算出する変動量算出部と、
前記位相誤差の変動量の絶対値について所定の数のシンボル分を加算して位相誤差の変動量積算値を算出する変動量加算部と、
前記位相誤差の変動量積算値に基づいてバーストエラーの発生の有無を判断する判定部と、を有する、
ことを特徴とするバーストエラー検出回路。
【請求項3】
前記所定の数が、5~15の範囲のうちのいずれかである、
ことを特徴とする請求項2に記載のバーストエラー検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バーストエラー検出回路に関し、特に、デジタル無線伝送において搬送波・受信波を再生する回路に組み込まれてバーストエラーを検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線トラフィックの増大に伴う周波数利用の高効率化の要求からデジタル無線伝送においては高多値QAM(QAM:Quadrature Amplitude Modulation の略;直角位相振幅変調)方式による高速伝送の要求が高まっている。
【0003】
高多値QAM方式では、送信装置や受信装置において生じる搬送波の位相ノイズ(位相誤差)などによって、復調性能が劣化する場合がある。このため、位相ノイズと熱雑音の影響度に基づいて復調性能(具体的には、符号誤り率)を向上させる、という搬送波再生回路が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-101177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高多値化変調においては搬送波再生の位相誤差検出範囲が著しく狭くなり、位相ノイズ環境下で位相ジッタが増加する状況になると搬送波再生の補正精度が大幅に劣化する、という問題がある。
【0006】
そこでこの発明は、シングルキャリア高多値QAM無線システムにおいて、性能の劣化の原因となる搬送波の位相ノイズが付加された条件下でも高い復調性能を実現することを可能とする、バーストエラー検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、搬送波再生ループの位相誤差検出器から出力される位相誤差の入力を受けて連続するシンボル間における前記位相誤差の変動量を算出する変動量算出部と、前記位相誤差の変動量に基づいてバーストエラーの発生の有無を判断する判定部と、を有する、ことを特徴とするバーストエラー検出回路である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、搬送波再生ループの位相誤差検出器から出力される位相誤差の入力を受けて連続するシンボル間における前記位相誤差の変動量を算出する変動量算出部と、前記位相誤差の変動量の絶対値について所定の数のシンボル分を加算して位相誤差の変動量積算値を算出する変動量加算部と、前記位相誤差の変動量積算値に基づいてバーストエラーの発生の有無を判断する判定部と、を有する、ことを特徴とするバーストエラー検出回路である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のバーストエラー検出回路において、前記所定の数が、5~15の範囲のうちのいずれかである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、搬送波再生ループの位相誤差検出器から出力される位相誤差の変動量に基づいてバーストエラーの発生の有無を判断するようにしているので、バーストエラーが発生する区間(言い換えると、バーストエラーが起こりうる残留位相誤差がある区間)を正確に検出することができ、バーストエラーに対する補償を必要とする区間を的確に把握し、延いては搬送波の再生を適切に行って高い復調性能を実現することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、位相誤差の変動量の絶対値について連続する所定の数のシンボル分を加算して算出される位相誤差の変動量積算値を用いるようにしているので、バーストエラーの発生の有無を一層確実に判断することができ、バーストエラーに対する補償を必要とする区間を的確に把握し、延いては搬送波の再生を適切に行って高い復調性能を一層確実に実現することが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、位相誤差の変動量に基づくバーストエラーの発生の有無の判断を適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の実施の形態に係るバーストエラー検出回路を含む搬送波再生回路の概略構成を示す機能ブロック図である。
図2図1の搬送波再生回路の検出器の出力を示す図である。
図3図2の検出器の出力に基づく位相誤差の変動量積算値を示す図である。
図4】バーストエラーの検出の状況を示す図である。(A)は位相誤差を示す図である。(B)はバーストエラーの推定区間を示す図である。
図5図4の部分拡大図である。(A)は図4(A)の位相誤差のうちの左側のピークを含む部分の部分拡大図である。(B)は図4の(B)のバーストエラーの推定区間のうちの左側のピークを含む部分の部分拡大図である。
図6図4の部分拡大図である。(A)は図4(A)の位相誤差のうちの右側のピークを含む部分の部分拡大図である。(B)は図4の(B)のバーストエラーの推定区間のうちの右側のピークを含む部分の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0015】
図1は、この発明の実施の形態に係るバーストエラー検出回路を含む搬送波再生回路の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0016】
この搬送波再生回路は、デジタル無線伝送において搬送波・受信波を再生する機序であり、主として、搬送波再生ループ1と、第2の等化器2と、を有するとともに、バーストエラー検出回路として、変動量算出部3と、変動量加算部4と、判定部5と、を有する。搬送波再生回路に関係する信号の変調方式として、QAM(Quadrature Amplitude Modulation の略;直角位相振幅変調)方式を仮定する。
【0017】
搬送波再生ループ1は、第1の位相回転器11、第1の等化器12、検出器13、LPF14、NCO15、第2の位相回転器16、および遅延回路17を含む。
【0018】
第1の位相回転器11は、入力される信号の位相を回転する回転器・乗算器であり、NCO15から出力される位相回転制御信号に基づいて、入力される信号の位相を回転する。
【0019】
第1の位相回転器11は、具体的には、送信側において直交変調されたIF信号が入力される直交復調器(図示していない)によって直交復調されたうえでA/D変換器(図示していない)によってデジタル信号に変換された同相成分Ichのベースバンド信号および直交成分Qchのベースバンド信号の入力を受け、前記同相成分Ichおよび直交成分Qchのベースバンド信号のそれぞれに対して、NCO15から出力される位相回転制御信号としての正弦波および余弦波に基づいて位相回転を行う。なお、図においては、同相成分Ichと直交成分Qchとを1本の信号線によって示している。
【0020】
第1の等化器12は、第1の位相回転器11から出力される信号(「位相回転信号」と呼ぶ)の周波数特性の劣化(伝搬路および無線装置内の回路で変動した周波数特性)を補償する適応等化器であり、つまり位相回転信号の波形歪やデータ誤りを解消する等化器である。第1の等化器12は、具体的には例えば判定帰還型等化器や線形等化器によって構成され、判定指向アルゴリズムやCMAアルゴリズムに基づいてタップ係数を更新する機能を備える。
【0021】
検出器13は、第1の等化器12による補償後の位相回転信号に含まれる位相誤差を検出して出力する位相誤差検出器である。位相誤差には、位相の回転方向(即ち、進み方向か遅れ方向か)と位相誤差量(即ち、回転量)とが含まれる。
【0022】
検出器13による位相誤差の検出の仕法は、特定の手法には限定されないものの、例えば特開2008-244918号公報に記載の手法や特開2019-220942号公報に記載の手法などが用いられ得る。
【0023】
LPF14は、検出器13によって検出された位相誤差の高周波成分を、所定の帯域幅(言い換えると、カットオフ周波数)に応じて除去するフィルタであり、具体的にはローパスフィルタ(LPF:Low Pass Filter の略)によって構成される。
【0024】
NCO15は、LPF14によって高周波成分が除去された位相誤差に基づいて位相回転制御信号を生成する機器であり、数値制御発振器(NCO:Numerically Controlled Oscillator の略)によって構成される。
【0025】
NCO15は、具体的には、LPF14から出力される位相誤差に基づいて逆位相の正弦波および余弦波を生成して、生成した前記逆位相の正弦波および余弦波を位相回転制御信号として第1の位相回転器11へと出力して該第1の位相回転器11による位相回転を制御するとともに、前記逆位相の正弦波および余弦波を位相回転制御信号として第2の位相回転器16へも出力する。
【0026】
上記により、第1の位相回転器11において、IF信号の搬送波周波数と直交復調に用いられるローカル周波数との差分の周波数成分が取り除かれて搬送波周波数同期がとられる。
【0027】
第2の位相回転器16は、入力される信号の位相を回転する回転器・乗算器であり、NCO15から出力される位相回転制御信号に基づいて、入力される信号の位相を回転する。
【0028】
第2の位相回転器16は、具体的には、第1の等化器12によって周波数特性の劣化が補償されたうえで(即ち、線形歪などが解消されたうえで)検出器13によって検出された位相誤差に基づいてNCO15から出力される位相回転制御信号としての正弦波および余弦波に基づいて、遅延回路17から出力される信号の位相回転を行う。
【0029】
遅延回路17は、第1の位相回転器11へと入力される信号(具体的には、同相成分Ichのベースバンド信号および直交成分Qchのベースバンド信号)を主に第1の位相回転器11からNCO15までの処理時間の合計に相当する時間だけ遅延させた信号を生成して第2の位相回転器16に対して出力する。
【0030】
上記のように、搬送波再生ループ1は、信号処理ループのなかに第1の等化器12が組み込まれることにより、周波数特性の劣化を補償した後(即ち、線形歪などが解消された後)に推定した位相誤差に基づいて入力信号の位相ノイズのキャンセル処理が施される。これにより、マイクロ波無線システムはマルチパスフェージング環境下での無線伝送が前提となるため、フェージングによる受信信号の位相回転やレベル変動によって搬送波の位相ノイズの推定精度が著しく低下する場合があるのに対し、信号処理ループのなかに等化器が組み込まれることで、フェージング環境下における搬送波の位相ノイズの推定精度が向上し、延いては高い搬送波再生性能/復調性能が実現される。
【0031】
第2の等化器2は、第2の位相回転器16から出力される信号の周波数特性の劣化を補償する等化器である。第2の等化器2は、具体的には例えば判定帰還型等化器や線形等化器によって構成され、判定指向アルゴリズムやCMAアルゴリズムに基づいてタップ係数を更新する機能を備える。
【0032】
ここで、NCO15から出力される位相回転制御信号は、第1の等化器12によって為された位相回転も含めて位相誤差が0になる値となっている。一方、遅延回路17から出力される信号は第1の等化器12による位相回転は付加されていない。このため、第2の位相回転器16から出力される信号には第1の等化器12によって為される位相回転に相当する分が位相誤差として残る。このため、第2の等化器12により、第2の位相回転器16から出力される信号から、第1の等化器12によって為される位相回転に相当する分の位相誤差が除去される。
【0033】
そして、実施の形態に係るバーストエラー検出回路は、搬送波再生ループ1の検出器13から出力される位相誤差の入力を受けて連続するシンボル間における位相誤差の変動量を算出する変動量算出部3と、位相誤差の変動量に基づいてバーストエラーの発生の有無を判断する判定部5と、を有する、ようにしている。
【0034】
実施の形態に係るバーストエラー検出回路は、特に、搬送波再生ループ1の検出器13から出力される位相誤差の入力を受けて連続するシンボル間における位相誤差の変動量を算出する変動量算出部3と、位相誤差の変動量の絶対値について所定の数のシンボル分を加算して位相誤差の変動量積算値を算出する変動量加算部4と、位相誤差の変動量積算値に基づいてバーストエラーの発生の有無を判断する判定部5と、を有する、ようにしている。
【0035】
変動量算出部3は、搬送波再生ループ1の検出器13から出力される位相誤差について、連続するシンボル間における位相誤差の変動量(即ち、n番目のシンボルの位相誤差-(n-1)番目のシンボルの位相誤差)を算出してその絶対値を出力する。変動量算出部3による位相誤差の変動量の算出はシンボルごとに行われ、1シンボルあたりの(別言すると、連続する2シンボル間における)位相誤差の変動量の絶対値が出力される。
【0036】
変動量加算部4は、変動量算出部3からシンボルごとに出力される位相誤差の変動量の絶対値について、連続する所定の数のシンボル分を加算して位相誤差の変動量積算値として出力する。加算するシンボルの数は、特定の値には限定されないものの、例えば処理対象の位相誤差の変動速度に合わせて調整することやシンボル間隔をふまえて即時的な信号処理に支障が生じないことが考慮されるなどしたうえで適当な値に適宜設定される。加算するシンボルの数は、具体的には例えば5~15程度の範囲のうちの適当な値に設定されることが考えられる。
【0037】
判定部5は、変動量加算部4から出力される位相誤差の変動量積算値の入力を受け、入力された前記位相誤差の変動量積算値と所定の閾値とを比較し、比較の結果に基づいてバーストエラーの発生の有無に関する情報を出力する。
【0038】
判定部5は、具体的には例えば、変動量加算部4から出力される位相誤差の変動量積算値と予め設定される変動量閾値とを比較し、位相誤差の変動量積算値が変動量閾値よりも大きいか否かに応じて、バーストエラーの発生の有無に関する情報としてバーストエラー発生信号を出力するように構成される。なお、バーストエラー発生信号は、例えば、位相誤差の変動量積算値が変動量閾値よりも小さい場合に0の値をとるとともに位相誤差の変動量積算値が変動量閾値よりも大きい場合に1の値をとるフラグのような信号として構成されることが考えられる。
【0039】
変動量閾値は、特定の値に限定されるものではなく、従来の知見や処理対象の信号における位相誤差の変動量の実際の値ならびに変動量加算部4において加算されるシンボルの数が考慮されるなどしたうえで適当な値に適宜設定される。
【0040】
判定部5から出力されるバーストエラーの発生の有無に関する情報(具体的には例えば、バーストエラー発生信号)は、例えば、バーストエラーの発生の有無に対応しながら位相誤差の補償を行う回路へと提供される情報として利用されたり、受信信号の安定性/信頼性の判断に利用されたりすることが考えられる。具体的には例えば、バーストエラー発生信号が出力された時は(或いは、バーストエラー発生信号が出力されている間は)、バーストエラーが発生することを前提とする搬送波再生の補正(特に、位相誤差の補正)が行われるようにしたり、搬送波再生ループ1のNCO15による位相回転制御信号の更新が一時的に中断されるようにしたりしてもよい。これにより、通常想定される位相誤差の程度を前提とするために特に大きい位相誤差には適切に追従できない位相回転制御信号が生成されることを回避したり、受信信号の安定性/信頼性が著しく低いために搬送波再生の補正(特に、位相誤差の補正)における利用に適していない位相誤差に基づいて位相回転制御信号が生成されることを回避したりして、搬送波再生の補正精度の悪化や搬送波の再生の失敗が防止される。
【0041】
上記のようなバーストエラー検出回路の作用効果の検証例として、検出器13の出力を図2に示す。図2中の楕円で囲んだ部分はバーストエラーが発生する時の検出器13の出力であり、図2に示す結果から、バーストエラーが発生する区間では位相誤差によって検出器13の出力は大きく揺らいで変動量が増加することが確認される。なお、図2の縦軸の「検出器の出力」は、位相誤差と比例関係にある信号であり、ΔP=α×PDout によって位相誤差ΔP[deg]に変換できる。なお、PDoutが検出器の出力である。また、αは、固定ゲインであり、位相誤差の検出手法や変調方式によって異なる値をとる。
【0042】
また、図2の検出器13の出力に基づく位相誤差の変動量積算値を図3に示す。図3では、1シンボルあたりの(別言すると、連続する2シンボル間における)位相誤差の変動量の絶対値について連続する10シンボル分を加算した場合の位相誤差の変動量積算値と予め設定した変動量閾値(図中の横実線)との比較を示す。図3中の楕円で囲んだ部分はバーストエラーが発生する時の位相誤差の変動量積算値であり、図3に示す結果から、バーストエラーが発生する区間の位相誤差の変動量積算値は他の区間と比べて大幅に増加することが確認される。したがって、位相誤差の変動量積算値と適切に設定された閾値とを比較することにより、バーストエラーの発生を検知可能であることが確認される。
【0043】
また、バーストエラーの検出の状況を図4乃至図6に示す。図4(B)ならびに図5(B)および図6(B)では、バーストエラー発生信号が出力されていないときのバーストエラー推定区間の値(尚、フラグのような信号の値と理解され得る)を0とするとともにバーストエラー発生信号が出力されているときのバーストエラー推定区間の値を1として表示している。図4乃至図6に示す結果から、検出器13から出力される位相誤差が大きくなり位相誤差の変動が大きくなってバーストエラーが発生する区間(言い換えると、バーストエラーが起こりうる残留位相誤差がある区間)が正確に検出されていることが確認される。
【0044】
上記のようなバーストエラー検出回路によれば、搬送波再生ループ1の検出器13から出力される位相誤差の変動量に基づいてバーストエラーの発生の有無を判断するようにしているので、バーストエラーが発生する区間(言い換えると、バーストエラーが起こりうる残留位相誤差がある区間)を正確に検出することができ、バーストエラーに対する補償を必要とする区間を的確に把握し、延いては搬送波の再生を適切に行って高い復調性能を実現することが可能となる。
【0045】
上記のようなバーストエラー検出回路によれば、特に、位相誤差の変動量の絶対値について連続する所定の数のシンボル分を加算して算出される位相誤差の変動量積算値を用いるようにしているので、バーストエラーの発生の有無を一層確実に判断することができ、バーストエラーに対する補償を必要とする区間を的確に把握し、延いては搬送波の再生を適切に行って高い復調性能を一層確実に実現することが可能となる。
【0046】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。
【0047】
例えば、上記の実施の形態では、連続するシンボル各々の位相誤差の差分としての位相誤差の変動量の絶対値について連続する所定の数のシンボル分を加算して得られる位相誤差積算値に基づいて、バーストエラーの発生の有無を判定するようにしている。しかしながら、バーストエラーの発生の有無を位相誤差の程度に基づいて判定する場合の仕法は、上記の実施の形態における手順や方法に限定されるものではなく、1シンボルごとの位相誤差や連続する2シンボル間における位相誤差の変動の程度が大きいか否かや、連続する複数のシンボルにわたる位相誤差や位相誤差の変動の程度が大きいか否かを判断することができる手順や方法であれば、他の手順や方法が用いられるようにしてもよい。例えば、連続する所定の数のシンボルにわたる位相誤差の絶対値の平均値が所定の閾値を超えるか否かで判断されたり、連続する所定の数のシンボルにわたる位相誤差の変動量の絶対値の平均値が所定の閾値を超えるか否かで判断されたりするようにしてもよい。
【0048】
また、上記の実施の形態における第2の位相回転器16および遅延回路17ならびに第2の等化器2は、バーストエラー検出回路と直接関係するものではなく、すなわちバーストエラー検出回路としては必須の構成ではなく、バーストエラー検出回路を含む搬送波再生回路の例として含めるようにした構成であり、他の構成が採用されるなどするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 搬送波再生ループ
11 第1の位相回転器
12 第1の等化器
13 検出器
14 LPF
15 NCO
16 第2の位相回転器
17 遅延回路
2 第2の等化器
3 変動量算出部
4 変動量加算部
5 判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6