(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】クーラント浄化装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20240708BHJP
B01D 29/00 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
B23Q11/00 U
B01D23/02 A
(21)【出願番号】P 2020184366
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100155457
【氏名又は名称】野口 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】古賀 省伍
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-123782(JP,A)
【文献】特開2001-138172(JP,A)
【文献】実開昭52-161573(JP,U)
【文献】特開平07-124844(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1585597(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q11/00
B01D23/00-35/04
B01D35/08-37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機から排出される切粉を含む汚濁クーラントを浄化するクーラント浄化装置であって、
前記工作機から排出された前記汚濁クーラントを斜め下向きに流れ落とす
シュート面を有するシュートと、
水平方向に対して鋭角をなし、前記シュート
面に沿って流れ落ちてくる前記汚濁クーラント
が衝突する捕捉面を有し、この捕捉面に前記汚濁クーラントが衝突した際に、前記汚濁クーラントに含まれる前記切粉を
前記捕捉面で捕捉しつつ、前記汚濁クーラントの液体成分であるクーラントを通過させるフィルタパネルと、
前記捕捉面で捕捉されてから自由落下する前記切粉を受け取って前記クーラント浄化装置の外部に搬出する搬送コンベアと、
前記フィルタパネルを通過した
前記クーラントを、これを貯留するクーラントタンクに誘導する誘導路と、を備え
、
前記捕捉面が水平方向に対してなす角度が、前記シュート面が水平方向に対してなす角度よりも大きいことを特徴とするクーラント浄化装置。
【請求項2】
前記捕捉面が水平方向に対してなす角度
を30°以上70°以下とした請求項1に記載のクーラント浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機から排出される切粉を含む汚濁クーラントを浄化するクーラント浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば金属製のワークに対して切削、研削、穿孔等の機械加工を施す際には、工作機に装着される加工工具とワークの接触部(加工点)の潤滑・冷却などを目的として加工点およびその周辺にクーラントが供給される。加工点に供給されたクーラントは、ワークに機械加工を施すのに伴って生成される大小様々な加工屑(以下、「切粉」と言う。)と共に工作機の外側に排出された後、クーラント浄化装置によって浄化された上で再使用されるのが一般的である。
【0003】
例えば下記の特許文献1には、工作機から排出された汚濁クーラントを浄化する(汚濁クーラントを、切粉と切粉が取り除かれた浄化クーラントとに分別する)ためのクーラント浄化装置が開示されている。この浄化装置は、コンベアフレームの下部に設けられ、工作機から排出された汚濁クーラントを受け入れる汚濁クーラント貯留槽と、この貯留槽内に配置され、水平軸回りに回転しながら汚濁クーラントをフィルタで濾過して浄化クーラントとする円筒型の濾過ドラムと、コンベアフレーム内を循環走行しながら汚濁クーラント貯留槽内の切粉を掬い上げてコンベアフレームの外部に排出するコンベアベルトと、濾過ドラムから排出された浄化クーラントを貯留するクーラントタンクと、を備えている。
【0004】
上記の構成を有する特許文献1のクーラント浄化装置によれば、以下のようにして、汚濁クーラントが切粉と浄化クーラントとに分別される。
【0005】
工作機から排出された汚濁クーラントが汚濁クーラント貯留槽に投入されると、この貯留槽内の切粉がコンベアフレーム内を循環走行するコンベアベルトによって掬い上げられ、切粉回収ボックスに排出される。コンベアベルトが循環走行するのに伴って、汚濁クーラント貯留槽内に配置された濾過ドラムも回転駆動される。これに伴い、汚濁クーラントに含まれる切粉が濾過ドラムの外周部に設置されたフィルタにより捕捉される一方、汚濁クーラントの液体成分(クーラント)は上記フィルタを通過して濾過ドラムの内部に流入する。そのため、濾過ドラムの内部に流入したクーラントは、切粉が取り除かれた浄化クーラントとなる。この浄化クーラントは、吸出し管を介して濾過ドラムの内部からクーラントタンクに排出され、クーラントタンクに貯留される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のクーラント浄化装置では、工作機から排出された汚濁クーラントがそのままコンベアフレームの下部に設けられた汚濁クーラント貯留槽に投入されるため、汚濁クーラントに含まれる切粉が汚濁クーラント貯留槽の全域に分散してしまう。そのため、汚濁クーラントに含まれる切粉を効率良く取り除くことが難しいという問題がある。
【0008】
また、特許文献1のクーラント浄化装置では、浄化クーラントを生成してこれをクーラントタンクに貯留させるにあたり、コンベアフレーム(汚濁クーラント貯留槽)内で回転駆動される濾過ドラムや、濾過ドラム内に流入した浄化クーラントをクーラントタンクに移動させためのポンプユニットが必要になることから、装置全体が複雑かつ大掛かりなものになることが懸念される。
【0009】
そこで、本発明は、簡素な構成でありながら、工作機から排出される切粉を含む汚濁クーラントを効率良く浄化することができるクーラント浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために創案された本発明は、工作機から排出される切粉を含む汚濁クーラントを浄化するクーラント浄化装置であって、工作機から排出された汚濁クーラントを斜め下向きに流れ落とすシュートと、シュートを流れ落ちてくる汚濁クーラントに含まれる切粉を捕捉して自由落下させるフィルタパネルと、自由落下する切粉を受け取って浄化装置外部に搬出する搬送コンベアと、フィルタパネルを通過したクーラントを、これを貯留するクーラントタンクに誘導する誘導路と、を備えることを特徴とする。なお、本発明で言う「切粉」とは、加工対象のワークに機械加工を施すのに伴って生成される様々な大きさ・形状の加工屑を含む概念であり、粉末状、小片状などといった微小な加工屑に限定する趣旨ではない。
【0011】
上記の構成を有する本発明に係るクーラント浄化装置によれば、工作機から排出された汚濁クーラントに含まれる切粉は、搬送コンベアよりも上流側で汚濁クーラントから取り除かれた上で搬送コンベアに受け渡される。そのため、工作機から排出された汚濁クーラントがそのままコンベアフレームの下部に設けられた汚濁クーラント貯留槽に投入されることにより、汚濁クーラントに含まれる切粉が汚濁クーラント貯留槽内で分散してしまう特許文献1の浄化装置に比べ、汚濁クーラントに含まれる切粉の除去効率を高めることができる。
【0012】
また、本発明に係るクーラント浄化装置によれば、工作機から排出された汚濁クーラントは、搬送コンベアよりも上流側で切粉と切粉が取り除かれたクーラント(浄化クーラント)とに分別され、浄化クーラントは、搬送コンベアに投入されることなくクーラントタンクに誘導される。そのため、本発明に係る浄化装置においては、特許文献1の浄化装置で採用されている濾過ドラムや、浄化クーラントを濾過ドラム(汚濁クーラント貯留槽)からクーラントタンクに移動させるためのポンプユニットなどといった動力を必要とする装置は不要となる。このため、浄化装置の全体構成を大幅に簡素化することができる。
【0013】
上記構成のクーラント浄化装置において、フィルタパネルは、切粉を捕捉する捕捉面が水平方向に対してなす角度が鋭角となるように配設するのが好ましい。
【0014】
このようにすれば、シュートに沿って流れ落ちてきた汚濁クーラントがフィルタパネルに衝突すると、フィルタパネルの捕捉面で捕捉された切粉に対してこれを捕捉面から剥離させる方向の力が作用するので、フィルタパネルで捕捉された切粉を自由落下させ易くなる。そのため、フィルタパネルの目詰まりを効果的に防止しつつ、切粉の除去・回収効率を一層高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上より、本発明に係るクーラント浄化装置によれば、簡素な構成でありながら、工作機から排出される汚濁クーラントを効率良く浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るクーラント浄化装置の概略側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るクーラント浄化装置の概略平面図である。
【
図3】
図1に示すクーラント浄化装置の部分概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面(
図1~
図4)に基づいて説明する。なお、
図1は、本発明の一実施形態に係るクーラント浄化装置1の概略側面図、
図2は、同浄化装置1の概略平面図、
図3は、
図1の部分概略縦断面図、
図4は、
図3のX-X線矢視断面図である。
【0018】
図1および
図2に示すクーラント浄化装置1は、工作機Aで図示外のワーク(例えば、金属製のワーク)に対して切削、研削、穿孔等の機械加工を施すのに伴って工作機Aから排出される切粉を含む汚濁クーラント2を浄化する(汚濁クーラント2を、切粉3と、切粉3が取り除かれることによって再使用可能な程度まで浄化された浄化クーラント4とに分別する)ものであって、主に、工作機Aの下方に配置されるシュート5と、汚濁クーラント2を濾過して汚濁クーラント2から切粉3を取り除く濾過ユニット20と、切粉3を浄化装置1の外部に搬出する搬送コンベア10と、浄化クーラント4を貯留するクーラントタンク7と、を備える。
【0019】
搬送コンベア10は、濾過ユニット20によって汚濁クーラント2から取り除かれた切粉3を受け取って装置1外部に搬出する。図示例の搬送コンベア10は、切粉3を受け取る下側水平搬送部11と、上側水平搬送部12と、両水平搬送部11,12を接続する傾斜搬送部13とを有し、これら搬送部11~13はコンベアフレーム14に収容されている。コンベアフレーム14のうち、下側水平搬送部11を収容した部分の上面には切粉投入口15(
図3参照)が形成され、上側水平搬送部12を収容した部分には切粉排出口16が形成されている。切粉排出口16の下方には、排出された切粉3を回収・収容するための切粉回収箱17が設置される。
【0020】
搬送コンベア10としては、例えば、コンベアベルト上に切粉3を載置した状態で搬送するいわゆるヒンジ式、コンベアベルトの長手方向に沿って間隔を空けて設けられたスクレーパによって切粉3を掻き取るようにして搬送するスクレーパ式、あるいは、マグネットの磁力によって切粉3を吸着した状態で搬送するマグネット式などを採用することができ、いかなるタイプの搬送コンベア10を採用するかは、切粉3のサイズ等に応じて選択される。なお、この種の搬送コンベア10は、チップコンベアとも称される。
【0021】
本実施形態のクーラントタンク7は、上面が開口した平面視方形状の槽体で構成され、搬送コンベア10の下側水平搬送部11(厳密には、搬送コンベア10を収容したコンベアフレーム14のうち、下側水平搬送部11を収容した部分)を収容している。図示は省略しているが、クーラントタンク7には、クーラントタンク7の内底面から所定量上方にシフトした位置でコンベアフレーム14を下方側から支持可能な支持部材が設けられている。これにより、クーラントタンク7に貯留された浄化クーラント4への切粉3の混入が可及的に防止される。
【0022】
図示は省略しているが、クーラント浄化装置1は、クーラントタンク7に貯留された浄化クーラント4を吸引して工作機Aに圧送(再供給)するポンプを有する。
【0023】
シュート5は、工作機Aと濾過ユニット20(詳細は後述する)の間に配設され、工作機Aから排出された汚濁クーラント2を濾過ユニット20に向けて斜め下向きに流れ落とすシュート面6を有する。シュート5の上流側端部は工作機Aに設けられた汚濁クーラント2の排出口の下方に配置され、シュート5の下流側端部は濾過ユニット20(を構成するフィルタケース23)に液密的に接続されている。
【0024】
図3にも示すように、濾過ユニット20は、搬送コンベア10の下側水平搬送部11の上方に配置される。この濾過ユニット20は、一方の面(捕捉面)22がシュート面6の延長線6aと交差するような起立姿勢で配設されたフィルタパネル21と、コンベアフレーム14(コンベアフレーム14のうち下側水平搬送部11を収容した部分)の上部に固定され、フィルタパネル21を所定の姿勢に保持した状態で収容したフィルタケース23とを備える。フィルタパネル21はフィルタケース23に対して着脱可能とされる。
【0025】
フィルタパネル21としては、シュート面6に沿って流れ落ちてくる汚濁クーラント2が捕捉面22に衝突したときに変形しないだけの剛性を有し、かつ、汚濁クーラント2の液体成分(クーラント)が円滑に通過する一方、汚濁クーラント2に含まれる切粉3の大半を一方の面(捕捉面)22で捕捉し得るような板状部材が使用される。具体的には、例えばパンチングメタル(無数の貫通孔が設けられた金属板)をフィルタパネル21として使用することができる。
【0026】
フィルタケース23は、フィルタパネル21を、その上端部21aが下端部21bよりもシュート5に接近した位置に配置されるような傾斜姿勢で保持している。つまり、フィルタパネル21は、捕捉面22が水平方向に対してなす角度θが鋭角(好ましくは30°≦θ≦70°)となるようにフィルタケース23に収容・保持されており、ここでは、汚濁クーラント2の濾過効率を高めるために、上記の角度θが、シュート面6が水平方向に対してなす角度θ
1よりも大きくなるようにしてフィルタケース23に保持されている。なお、
図3ではθ≒40°、θ
1≒10°としている。
【0027】
後段でも説明するが、汚濁クーラント2に含まれる切粉3は、上記態様で設けられたフィルタパネル21の捕捉面22で捕捉され、捕捉された切粉3は自由落下して搬送コンベア10の下側水平搬送部11で受け取られる。そのため、フィルタパネル21を保持したフィルタケース23の底板23Eには、コンベアフレーム14に設けられた切粉投入口15と略同寸・同形状の切粉排出口24が切粉投入口15と同心的に設けられ、また、フィルタパネル21は、切粉排出口24を上側に投影した投影面F内に捕捉面22の少なくとも一部(図示例では捕捉面22の全域)が位置するように配設される。係る構成により、フィルタパネル21の捕捉面22で捕捉された切粉3を適切に搬送コンベア10の下側水平搬送部11に受け渡すことができる。
【0028】
図3および
図4に示すように、フィルタケース23は、シュート面6に沿って流れ落ちてくる汚濁クーラント2の流入口が設けられた前板23Aと、フィルタパネル21を挟んで前板23Aの反対側に配置された後板23Bと、前板23Aおよび後板23Bを連結する一対の側板23Cと、天板23Dおよび底板23Eと、側板23Cよりも搬送コンベア10の幅方向中央側に配置され、フィルタパネル21の幅方向両端部を下方側から支持した一対のパネル支持板23Fと、を有する。パネル支持板23Fの前端部(
図3の紙面左側の端部)は前板23Aに液密的に当接し、パネル支持板23Fの下端部は底板23Eに液密的に当接している。そのため、フィルタケース23の内部空間は、前板23A、底板23E、一対のパネル支持板23Fおよびフィルタパネル21の協働で画成される内側空間と、前板23A、後板23B、一対の側板23C、底板23E、一対のパネル支持板23Fおよびフィルタパネル21の協働で画成される外側空間とに区分される。
【0029】
天板23Dは、前板23A,後板23Bおよび一対の側板23Cで画成されるフィルタケース23の上面開口を開閉可能に閉塞する開閉扉として機能し、工作機Aの運転時にはフィルタケース23の上面開口を閉塞する一方、フィルタパネル21を清掃・交換等する際には上面開口が開放され、この上面開口を介してフィルタパネル21がフィルタケース23から取り出される。図示例では、ヒンジ部材を介して天板23Dを後板23Bに連結することにより、天板23Dを開閉扉として機能させるようにしている。なお、工作機Aの運転時に汚濁クーラント2を適切に濾過できているか否か(フィルタパネル21に目詰まりが生じていないか)を外部から目視確認可能とするため、天板23Dの一部又は全部はアクリル板等の透明板で形成するのが好ましい。
【0030】
濾過ユニット20(フィルタケース23)は、フィルタパネル21を通過することで浄化されたクーラント(浄化クーラント4)をクーラントタンク7に誘導するための誘導路25を有する。この誘導路25は、フィルタパネル21と後板23Bとの間に形成される第1通路26と、フィルタケース23の幅方向で隣り合うパネル支持板23Fと側板23Cとの間に形成される第2通路27と、フィルタケース23に形成されたクーラント排出孔28とで構成される。クーラント排出孔28は底板23Eおよび側板23Cの少なくとも一方に設けられ、本実施形態では底板23Eにクーラント排出孔28を設けている(
図4参照)。
【0031】
本実施形態のクーラント浄化装置1は以上の構成を有し、工作機Aから排出される汚濁クーラント2を以下のようにして切粉3と浄化クーラント4とに分別する。
【0032】
まず、工作機Aから排出された汚濁クーラント2は、シュート5のシュート面6上に自由落下した後、シュート面6に沿って濾過ユニット20に向けて斜め下向きに流れ落ちる。シュート面6に沿って流れ落ちてくる汚濁クーラント2がフィルタケース23の内部空間(詳細には、上記の内側空間)に流入してフィルタパネル21の捕捉面22に衝突すると、汚濁クーラント2に含まれる切粉3はフィルタパネル21の捕捉面22で捕捉されて自由落下する。その一方、汚濁クーラント2の液体成分(クーラント)はフィルタパネル21を通過し、上記の外側空間に流入する。
【0033】
自由落下した切粉3は、フィルタケース23の底板23Eに設けられた切粉排出口24およびコンベアフレーム14に設けられた切粉投入口15を介してコンベアフレーム14内に投入され、搬送コンベア10の下側水平搬送部11で受け取られる。下側水平搬送部11に受け取られた切粉3は、傾斜搬送部13を経由して上側水平搬送部12まで搬送された後、コンベアフレーム14に設けられた切粉排出口16を介して浄化装置1の外部に排出され、切粉回収箱17に収容される。
【0034】
一方、フィルタパネル21を通過したクーラントは、切粉3が取り除かれた浄化クーラント4となり、この浄化クーラント4は、フィルタケース23に形成された誘導路25に沿って流動し、クーラント排出孔28を介してフィルタケース23の外部に排出される。フィルタケース23の外部に排出された浄化クーラント4は自由落下し、クーラントケース7に収容される。なお、クーラントケース7に収容・貯留された浄化クーラント4は、図示外のポンプに吸入されて工作機Aに圧送される。
【0035】
以上で説明した本実施形態のクーラント浄化装置1によれば、工作機Aから排出された汚濁クーラント2に含まれる切粉3は、搬送コンベア10よりも上流側で汚濁クーラント2から取り除かれた上で搬送コンベア10に受け渡される。そのため、工作機から排出された汚濁クーラントがそのまま汚濁クーラント貯留槽に投入されることにより、汚濁クーラントに含まれる切粉が汚濁クーラント貯留槽内で分散してしまう特許文献1の浄化装置に比べ、汚濁クーラント2に含まれる切粉3の除去効率を格段に高めることができる。
【0036】
また、本実施形態のクーラント浄化装置1によれば、工作機Aから排出された汚濁クーラント2は、搬送コンベア10よりも上流側で切粉3と浄化クーラント4とに分別され、浄化クーラント4は、搬送コンベア10を収容したコンベアフレーム14に投入されることなくクーラントタンク7に向けて誘導され、排出される。そのため、本実施形態の浄化装置1においては、特許文献1の浄化装置で採用されている濾過ドラムや、浄化クーラントを濾過ドラムからクーラントタンクに移動させるためのポンプユニットなどといった動力を必要とする装置は不要である。このため、クーラント浄化装置1の全体構成を大幅に簡素化することができる。
【0037】
また、本実施形態のクーラント浄化装置1において、フィルタパネル21は、切粉3を捕捉する捕捉面22が水平方向に対してなす角度θが鋭角となるように配設されている。このようにすれば、シュート5に沿って流れ落ちてきた汚濁クーラント2がフィルタパネル21に衝突すると、フィルタパネル21の捕捉面22で捕捉された切粉3に対してこれを捕捉面3から剥離させる方向の力が作用するので、捕捉面22で捕捉された切粉3を自由落下させ易くなる。そのため、フィルタパネル21の目詰まりを効果的に防止しつつ、切粉3の除去・回収効率を一層高めることができる。
【0038】
以上のことから、本発明の実施形態に係るクーラント浄化装置1は、簡素な構成でありながら、汚濁クーラント2を効率良く浄化することができる、という特徴を有する。
【0039】
以上、本発明の一実施形態に係るクーラント浄化装置1について説明を行ったが、クーラント浄化装置1には本発明の要旨を変更しない範囲で適宜の変更を施すことが可能である。
【0040】
例えば、以上で説明した実施形態では、下側水平搬送部11、上側水平搬送部12および両水平搬送部11,12を接続する傾斜搬送部13からなる搬送コンベア10を採用したが、搬送コンベア10としては、水平搬送部のみで構成されたものを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 クーラント浄化装置
2 汚濁クーラント
3 切粉
4 浄化クーラント
5 シュート
6 シュート面
7 クーラントタンク
10 搬送コンベア
14 コンベアフレーム
20 濾過ユニット
21 フィルタパネル
22 捕捉面
23 フィルタケース
25 誘導路
28 クーラント排出孔
A 工作機
θ 角度