(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】車載カメラ
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240708BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240708BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240708BHJP
G03B 17/08 20210101ALI20240708BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20240708BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
G03B15/00 V
G03B17/56 H
G03B17/08
H04N23/52
(21)【出願番号】P 2020189993
(22)【出願日】2020-11-16
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】森岡 成貴
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇介
(72)【発明者】
【氏名】薬師寺 賢志郎
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-203788(JP,A)
【文献】国際公開第2019/021907(WO,A1)
【文献】特開平07-038788(JP,A)
【文献】特開2019-159167(JP,A)
【文献】特開2006-135790(JP,A)
【文献】実開昭54-035125(JP,U)
【文献】特開2016-203952(JP,A)
【文献】特開平08-079667(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102135701(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0169771(US,A1)
【文献】特開2020-001586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
G03B 15/00
G03B 17/56
G03B 17/08
H04N 23/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の前方を撮影するカメラと、
前記カメラが収容支持されるケース体と、
前記ケース体を前記走行機体側に支持する支持機構とを備え、
前記ケース体は、支持パッキンを介して前記カメラの前方に配置される板状のガラス体と、前記ガラス体の前方に配置される筒状の前カバー部とを有し、
前記ガラス体は、前記カメラに対して傾斜した状態で取付けられ
、
前記支持パッキンは、前記ガラス体の前後を挟持するように前後に設けられ、
前記ガラス体の後側の支持パッキンの前後幅を、前記ガラス体の前側の支持パッキンの前後幅に比べて幅広に形成した
車載カメラ。
【請求項2】
前記支持パッキンを傾斜させることにより、前記カメラと前記ガラス体との前後方向の間は、上部側よりも下部側が狭くなるよう構成された
請求項1に記載の車載カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の前方を撮影する車載カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
走行機体の前方を撮影するカメラと、前記カメラが収容支持されるケース体と、前記ケース体を前記走行機体側に支持する支持機構とを備え、前記支持機構が前記カメラの撮像角度を調整可能に構成されたことにより、前記走行機体に進行方向を撮影するカメラを後付けで設置できる特許文献1に記載の車載カメラが従来公知である。
【0003】
また、特許文献2には、前記カメラの前方をカバーするレンズ体と、該レンズ体を露出させつつ前記カメラの前方を収容するフロントカバーとを有し、前記レンズ体と前記フロントカバーとの間に水が浸入することを防止するOリングを設けたことにより、防水性能を高めた車載カメラが開示されている。
【0004】
該構成の車載カメラによれば、防水性を有するため車載カメラをキャビンのない作業車両等にも設置することができるものであるが、前記カメラの収容・設置作業に手間とコストが掛かるとともに、前記レンズ体が汚れやすくなる他、作業環境によっては太陽光等が前記カメラに差込むことで撮影される画像が鮮明でなくなる場合があるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-203788号公報
【文献】特開2020-1586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、よりシンプル且つ安価な構成で前記カメラを防水した状態で前記走行機体側に支持するとともに、逆光であっても前記走行機体の前方をより鮮明に撮影することができる車載カメラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1に、走行機体の前方を撮影するカメラと、前記カメラが収容支持されるケース体と、前記ケース体を前記走行機体側に支持する支持機構とを備え、前記ケース体は、支持パッキンを介して前記カメラの前方に配置される板状のガラス体と、前記ガラス体の前方に配置される筒状の前カバー部とを有し、前記ガラス体は、前記カメラに対して傾斜した状態で取付けられたことを特徴としている。
【0008】
第2に、前記支持パッキンを傾斜させることにより、前記カメラと前記ガラス体との前後方向の間は、上部側よりも下部側が狭くなるよう構成されたことを特徴としている。
【0009】
第3に、前記支持パッキンは、前記ガラス体の前後を挟持するように前後に設けられ、 前記ガラス体の後側の支持パッキンの前後幅を、前記ガラス体の前側の支持パッキンの前後幅に比べて幅広に形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
前記ガラス体の前方に庇となる前カバー部を設けたことにより、前記ガラス体を介して前記カメラに光が入ってくることを防止することができるため、前記カメラによる撮影画像を鮮明に保つことができる。また、前記ガラス体を前記カメラに対して傾斜して取付けたことにより、前記ガラス体と前記カメラとの間で乱反射することを抑制するとともに、前記ガラス体に付着した水滴が前記カメラの撮影範囲外に流れ易くなるため、作業環境が悪い場合でも鮮明な画像を撮影し易くなる。
【0011】
また、前記支持パッキンを傾斜させることにより、前記カメラと前記ガラス体との前後方向の間は、上部側よりも下部側が狭くなるよう構成されたものによれば、前記ガラス体が後方下側に向けて傾斜した状態で取付けられるため、水滴が溜まり難くなって防水性が向上するとともに、前記カメラと前記ガラス体との間をより接近することで前記カメラの視野角も大きくなる。
【0012】
なお、前記支持パッキンは、前記ガラス体の前後を挟持するように前後に設けられ、前記ガラス体の後側の支持パッキンの前後幅を、前記ガラス体の前側の支持パッキンの前後幅に比べて幅広に形成したものによれば、幅広に形成された前記ガラス体の後側の支持パッキンにより、前記ガラス体を後方から押えるようにして取付ける組付作業をよりスムーズ且つ容易に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の車載カメラが搭載されたトラクタの全体側面図である。
【
図2】車載カメラを示したトラクタの要部斜視図である。
【
図4】(A)及び(B)は、カメラユニットの前方分解斜視図及び後方分解斜視図である。
【
図6】カメラユニット内の撮像制御部を示した図である。
【
図7】(A)及び(B)は、取付ブラケットへのカメラと撮像制御部との取付態様を示した前方分解斜視図と、後方分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の車載カメラが搭載されたトラクタの全体側面図であり、
図2は、車載カメラを示したトラクタの要部斜視図である。本トラクタは、左右一対の前輪1,1及び後輪2,2によって支持される機体フレーム3と、該機体フレーム3の前側に設置された操縦部4とを備えることにより走行機体6が構成されている。該走行機体6の後方には、昇降リンク7を介してロータリ耕耘装置等の作業機(図示しない)を昇降可能に連結することができる。
【0015】
前記操縦部4は、オペレータが着座する座席9と、該座席9の前方側に配置されたステアリングハンドル11と、該ステアリングハンドル11の左右一方(図示する例では左)側に配置された前後進切換レバー12と、床面となるフロアステップ13とが設けられており、上記座席9の後部側には、前記座席9の上方を左右方向に跨ぐように逆U字状に成形された安全フレーム16が設けられている。
【0016】
上記ステアリングハンドル11に連結されたステアリング軸の上端側には、該ステアリング軸の軸回転を制御することにより前記ステアリングハンドル11の操向操作を制御するように構成された操舵ユニット17が着脱可能に設けられている。
【0017】
上記ステアリグハンドル11の前方には、前記走行機体6の前方を撮影するカメラユニット(車載カメラ)18と、前記機体フレーム3の左右外側に取付固定されて前記カメラユニット18を前記操縦部4前側(ボンネット後端)の上方に支持する支持機構19とが設けられている(
図1及び
図2参照)。
【0018】
前記支持機構19は、前記フロアステップ13の前方側で且つ前記機体フレーム3の左右外側に取付固定された上下方向の基端フレーム21,21と、左右一対の前記基端フレーム21の上端側にそれぞれ挿通されるL字状の支持フレーム22,22と、一対の支持フレーム22、22の上端側同士を連結する連結フレーム23とを有し、全体が前記操縦部4前側を跨ぐ逆U字状に構成されている(
図1及び
図2参照)。
【0019】
上記基端フレーム21は、上部側に挿通される支持フレーム22の固定位置を調整する固定ノブ24,24が上下一対設けられ、上記支持フレーム22の下部側には、前記固定ノブ24が挿通される固定孔(図示しない)が上下方向に複数穿設されている。該構成によれば、オペレータの座高等に応じて、前記支持フレーム22(連結フレーム23、カメラユニット18)の高さ位置を多段階でスムーズ且つ容易に調整することができる。
【0020】
上記支持フレーム22は、その上端側にアングル状の板状部材である固定部材26が溶着等によって取付固定されており、該固定部材26を介して、前記連結フレーム23の左右端側がボルト固定等によって取付固定されるように構成されている。
【0021】
上記連結フレーム23は、左右方向に延設された板状部材であって、その左右端側は前記固定部材26を介して前記支持フレーム22側に取付固定されており、該連結フレーム23の左右中央側には、下方に向けて延設される左右一対の板状部材であるユニット支持部27,27が設けられている(
図2参照)。
【0022】
該ユニット支持部27は、前記カメラユニット18の左右外側を挟持するように一対配置されており、各ユニット支持部27には、前記カメラユニット18側に設けられる後述する取付ブラケット側に回動可能に取付固定される取付孔27aと、該取付孔27aの上方に形成される円弧状の揺動規制孔27bとが穿設されている(
図2等参照)。
【0023】
該構成によれば、前記連結フレーム23(ユニット支持部27)側に取付けられた前記カメラユニット18は、所定範囲内で上下揺動させることで取付姿勢を調整することができる。このため、前記カメラユニット18の取付けられた高さ位置や用途に応じて、前記カメラユニット18により撮影する位置(角度)を任意に調整することができる。
【0024】
上述の前記支持機構19によれば、キャビンのない作業車両に対してもカメラユニット(車載カメラ)18を後付けで取付けることができる。カメラユニットの具体的な構成について、以下説明する。
【0025】
次に、
図3乃至7に基づいて、前記カメラユニットの構成について具体的に説明する。
図3は、カメラユニットの側断面図であり、
図4(A)及び(B)は、カメラユニットの前方分解斜視図及び後方分解斜視図であり、
図5は、取付ブラケットを示した要部斜視図であり、
図6は、カメラユニット内の撮像制御部を示した図であり、
図7(A)及び(B)は、取付ブラケットへのカメラと撮像制御部との取付態様を示した前方分解斜視図と、後方分解斜視図である。
【0026】
前記カメラユニット18は、前記支持機構19(連結フレーム23)側に取付けられる板状に形成された金属製の前記取付ブラケット31と、該取付ブラケット31側に取付固定されるカメラ32と、前記カメラ32の後端側に取付固定される撮像制御部33と、前記カメラ32のレンズ前方側(
図3の矢印に示す前記カメラの撮像方向)に配置されるガラス板(ガラス体)34と、該ガラス板34を所定位置で支持する支持パッキン36とを有し、前記カメラ32や前記撮像制御部33等を樹脂製のケース37体内に収容することによって構成されている(
図3乃至
図5等参照)。
【0027】
前記ケース体37は、前記取付ブラケット31の前面側に枠状の第1取付パッキン41を介して取付固定される樹脂製の前ケース部37Aと、前記取付ブラケット31の後面側に枠状の第2取付パッキン42を介して取付固定される樹脂製の後ケース部37Bとを備え、前記前ケース部37Aと前記後ケース部と37Bで前記取付ブラケット31を前後で挟むように取付固定することにより構成されている(
図3及び
図4等参照)。
【0028】
このとき、前記前ケース部37Aと、前記後ケース部37Bには、接着面側に両部材を密着させた状態で取付固定するためのボス部40が形成されている(
図4参照)。該ボス部40には、前記取付ブラケット31を介して、ゴム等の柔らかい樹脂製部材によって成形された枠状の前記第1取付パッキン41と、第2取付パッキン42とを挟持する際に、各取付パッキン41,42が撓むことを防止するための支持リブが一体成形されている。
【0029】
該構成によれば、防水性・防塵性を有する樹脂製の前記ケース体37の中に前記カメラ32と前記撮像制御部33とを収容することができるため、キャビンのない作業車両であっても前記カメラユニット18を後付けすることができる。
【0030】
上記前ケース部37Aは、後端側が開放された箱状に形成されており、その正面(前面)側に前記ケース体37内に収容された前記ガラス板34を露出させるように開口形成された開口部43と、該開口部43の周囲を前方に向けて突出成型した筒状の前カバー部44とが形成されている。
【0031】
該前カバー部44は、内周面側に光の反射を抑制する加工が施されている。この加工としては、例えば前記前カバー部44の内周面側を黒色に塗装したり、表面をざらざらにするマット加工したりすることが考えられるが、これらには限られない。該構成によれば、前記カメラ32の撮影方向が逆光の場合でも、前記前カバー部44が庇となって前記カメラ32に余計な光が入ることをより効率的に防止できるため、前記カメラ32により撮影される画像・映像の質を高く保つことができる。
【0032】
また、該前カバー部44の突出長さは、前記カメラの撮像範囲に入ってこない範囲で、前記開口部43周りから前方へと突出させること可能に構成されている。すなわち、この前記前カバー部44の突出可能な長さは、前記開口部43の前後方向の傾斜角度(詳しくは後述する前記支持パッキン36により前後方向に傾斜した状態で取付けられた前記ガラス板34の傾斜角度)に応じて決定される(
図3参照)。言い換えると、前記カメラ32による上下方向の撮影範囲(視野角)は、前記ガラス板34の傾斜角度によって決定されるように構成されている。
【0033】
図3に示される例では、前記ガラス板34は、前記支持パッキン36により側面視で下方に向けて後方傾斜させた状態で支持されているため、前記カメラ32による撮影範囲(視野角)は、該カメラ32の撮影方向(
図3の矢印を参照)から上限位置(UL)の範囲(角度)よりも、該カメラ32の撮影方向から下限位置(LL)の範囲(角度)の方が広くなっている。
【0034】
ちなみに、前記カメラ32の撮像範囲の角度は、上記のように前記ガラス板34の傾斜角度によって調整されるが、前記カメラ32(のレンズ)と前記ガラス板34との間の距離によって、前記カメラ32による撮像範囲(視野角)の大きさが決定する。
【0035】
上記後ケース部37Bは、前端側が開放された箱状に形成されており、前記取付ブラケット31の後方側に配置された前記撮像制御部33を収容できるように構成されている。また、該後ケース部37Bの後端側には、前記撮像制御部33等に電力供給等を行う配線を通すことのできる配線部46が形成されている。
【0036】
前記取付ブラケット31は、その前面側で前記前ケース部37Aの開放された後端側を閉じるとともに、その後面側で前記後ケース部37Bの開放された前端側を閉じるように形成された金属製の板状部材である。該取付ブラケット31は、その中央に前記カメラ前部のレンズ側を挿通するためのカメラ挿通孔31aが穿設されており、前記カメラ32と、前記撮像制御部33とが取付固定されている。これらの具体的な取付構成については後述する。
【0037】
また、該取付ブラケット31の左右端側は、前方に向けて屈曲形成された取付部31bが形成されることにより全体で前方が開放されたコ字状に形成されている。該取付部31bには、前記ユニット支持部側27の前記取付孔27aと前記揺動規制孔27bに対応するユニット側取付孔47と、ユニット側の揺動規制ピン支持孔48とが上下に並べて設けられている。
【0038】
前記カメラ32は、前記取付ブラケット31の後面側に取付固定されたカメラ固定部49を介して前記取付ブラケット31側に取付固定されている。該カメラ32の具体的な取付構成については後述する。また、該カメラ32は、前記取付ブラケット31の前面側に配置されて前記カメラ32を特定の設置位置にガイドするカメラ支持部51,52によって、前記ケース体37内部の特定の位置に取付固定されるように構成されている(
図3乃至7参照)。
【0039】
上記カメラ支持部51,52は、円板状に成形された柔軟性のあるスポンジ等の素材からなり、その中心に前記カメラ32の筒状のレンズ胴部が嵌合される嵌合孔51aが穿設されたカメラ支持台51と、中心側に前記カメラ支持台51が嵌合される円形の支持台嵌合孔52aが形成されて前記取付ブラケット31の前面側に固定される板状のカメラガイド体52とから構成されている(
図7等参照)。
【0040】
該カメラガイド体52は、その左右端側に円弧状の切欠部52bがそれぞれ形成されており、前記取付ブラケット31前面側の左右端側には、該切欠部52bと嵌合する円柱状の係合部55が左右一対設けられている。該構成によれば、前記カメラガイド体52は、左右一対の前記切欠部52bを前記係合部55に嵌め込むことで所定位置に支持することにより、前記カメラ32(前記カメラ支持台51)を、所定位置にガイド(位置決め)することができる。
【0041】
また、該構成によれば、前記カメラ32の筒状のレンズ胴部分を、円柱状のスポンジからなる前記カメラ支持台51の嵌合孔51aに摩擦接触させながら挿通させてることにより、車体振動等で前記カメラ32の位置がずれたり、前記カメラ32の固定が緩んだりすることを防止することができる。
【0042】
前記撮像制御部33は、スペーサ53を介して複数の基板33A,33B,33Cを所定間隔で前後方向に積層させることにより、コンパクトに構成されている。前記撮像制御部33を構成する基板のうち、前端側の基板33Aの前面側には、前記カメラ32(の後端)が取付固定されている(
図6及び
図7等参照)。
【0043】
また、該撮像制御部33を構成する後端側の基板(以下、支持基板)33Cは、積層支持された前方側の基板と比較して左右(又は上下)に幅広に形成されている。これにより、前記撮像制御部33は、該撮像制御部33を構成する前端側の基板33Aが前記取付ブラケット31後面に設けられた前記カメラ固定部49側に取付固定されるとともに、後方側の前記支持基板33Cも、円柱状の支持部材54を介して前記カメラ固定部49側に取付固定されるように構成されている。
【0044】
該構成により、前記撮像制御部33が強固且つ安定的に前記取付ブラケット31(後面)に取付固定される。すなわち、該撮像制御部33を介して、前記カメラ32も前記取付ブラケット31の後面側に取付固定される(
図7等参照)。
【0045】
このとき、前記カメラ固定部49は、放熱可能な(金属製の)部材によって構成されており、前端側の基板と面接触させることにより、前記撮像制御部33(及び前記カメラ32)を効率的に放熱できるように構成されている。また、前記カメラ固定部49と前記支持基板33Cとを連結する円柱状の前記支持部材54も放熱可能な(金属製の)部材によって構成することにより、前記撮像制御部33をさらに効率的に放熱できるように構成されている。
【0046】
また、前記支持基板33Cの後面側には、アンテナ用スペーサ56を介して、無線通信用のアンテナ57が設けられたアンテナ基板58が設けられている(
図3、
図6及び
図7等参照)。このとき、前記アンテナ用スペーサ56には、前記アンテナ基板58と前記支持基板33Cとの間に、前記アンテナ57を設置するための切欠部56aが形成されている(
図6等参照)。
【0047】
該構成によれば、前記アンテナ用基板58を、前記撮像制御部33を構成する各基板と平行に取付固定することができる。言い換えると、該アンテナ用基板58は、前記カメラ32の撮像方向に対して垂直方向に向けた状態で取付けることができる。これにより、前記アンテナ57を設けた前記撮像制御部33をよりコンパクトに構成することができるとともに、前記アンテナ57の通信効率を維持し易くなる。
【0048】
前記支持パッキン36は、前記ガラス板34の前面側に配置される前側支持パッキン36Aと、前記ガラス板34の後面側に配置される後側支持パッキン36Bとによって、前記ガラス板34を前後で挟持するように構成されおり、各支持パッキン36A,36Bの中央側には、前記カメラ32のレンズ前方を開放するための開口孔61,62が形成されている(
図3等参照)。
【0049】
また、該支持パッキン36は、前記前ケース部37Aの開口部43と、前記カメラ支持部(カメラガイド体52、カメラ支持台51)の前面側に取付けられる板状のパッキン支持板64との間に挟まれるようにして嵌合支持されることによって、前記開口部43と前記カメラ32との間の所定位置に前記ガラス板34を支持できるように構成されている。
【0050】
このとき、各支持パッキン36A,36Bの左右中央下端側には、上方に向けて凹設された凹部35がそれぞれ形成されており、該凹部35は、前記前ケース部37Aの設置箇所に形成されたリブ(図示しない)と係合させることができるように構成されている(
図4等参照)。該構成によれば、各支持パッキン36A,36Bは、上下位置を間違えることなく前記前ケース部37A内の正しい位置に設置することができる。
【0051】
上記前側支持パッキン36Aは、前記開口孔61の他に、その後面側に左右方向に長い板状に成形された前記ガラス板34が嵌合される支持溝63が形成されている。該支持溝63は、前記ガラス板34が嵌合されるように、前記ガラス板34と同じ大きさで且つ、前記ガラス板34の厚さと同じ深さに形成されている(
図3等参照)。
【0052】
上記後側支持パッキン36Bは、前記支持溝63に前記ガラス板34が嵌合された状態の前記前側支持パッキン36Aの後面側と当接することにより、前記ガラス板34を挟持することができるように構成されている。
【0053】
該構成によれば、前記ガラス板34は、柔らかめの素材からなる前記前側支持パッキン36Aと前記後側支持パッキン36Bとで挟持した状態で、前記支持パッキン36内に収容され、該支持パッキン36が、前記前ケース部37A(開口部43)側に押付けられるようにして前記ケース体37内前端側に支持されるため、前記カメラユニット18の防水性と防塵性が向上する。
【0054】
また、上記後側支持パッキン36Bは、前記前側支持パッキン36Aよりも前後(厚さ)方向が幅広となるように構成されており、特に、該後側支持パッキン36Bの前面側が上方に向かって前方に傾斜する傾斜面となるように、その上部側の前後幅よりもその下部側の前後幅が狭くなるように構成されている(
図3等参照)。
【0055】
該構成によれば、前記カメラ32の(レンズ)前方に支持される前記ガラス板34を、前記カメラ32に対して下方に向かって後方に傾斜させた状態で、前記開口部側に設置することができる。これにより、前記ガラス板34を前記カメラ32のレンズからより近い位置に配置できるため、前記カメラ32の視野角が広くなる他、前記カメラ32のレンズに対して傾斜された前記ガラス板34によって、前記カメラ32の乱反射を防止(抑制)することができる。
【符号の説明】
【0056】
6 走行機体
19 支持機構
32 カメラ
34 ガラス板(ガラス体)
36 支持パッキン
37 ケース体
44 前カバー部