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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】掘削物の破砕装置
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/00 20060101AFI20240708BHJP
   E21D 9/12 20060101ALI20240708BHJP
   B02C 1/04 20060101ALN20240708BHJP
【FI】
E21D9/00 C
E21D9/12 Z
B02C1/04
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020209211
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2022096227
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】浜田 元
(72)【発明者】
【氏名】浅野 剛
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-197126(JP,A)
【文献】特開昭61-071846(JP,A)
【文献】特開2005-190855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/00
E21D 9/12
B02C 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの掘削により生じた掘削物の破砕装置であって、
前記破砕装置は、
トンネルの切羽から坑口に向かって縦列配置された第1の破砕装置および第2の破砕装置であり、
掘削物が投入される投入部と、
前記投入部に投入された掘削物を予め決められた大きさに破砕する破砕部と、
前記投入部への掘削物の投入の可否を表示する第1の検出装置および第2の検出装置とを有し、
前記第1の検出装置は、
前記投入部の前記破砕部側に複数台設置されて、前記投入部における前記破砕部と反対側の内壁面における相互に異なる上端位置に向けて水平に発信した信号の反射信号を受信して検出された距離に基づき、前記投入部の上縁部を含む平面から上方における掘削物の有無を検出するセンサと、
前記センサからの検出結果に基づいて動作し、前記センサで掘削物が検出された場合には掘削物の投入不可と表示し、そうでない場合には掘削物の投入可能と表示する表示手段とを備え、
前記第2の検出装置は、
前記投入部内の掘削物の状況を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置で撮影した画像に前記投入部の上縁部と重なった基準ラインを付加して表示する画像表示装置と、
前記投入部に投入された掘削物が前記基準ラインを超えた場合には掘削物の投入不可と表示し、そうでない場合には掘削物の投入可能と表示する表示手段とを備える、
ことを特徴とする掘削物の破砕装置。
【請求項2】
前記第1の破砕装置および前記第2の破砕装置がともに掘削物を投入可能な場合には、前記第1の破砕装置の前記表示手段のみが掘削物を投入可能と表示し、
前記第1の破砕装置のみが掘削物を投入可能な場合には、当該第1の破砕装置の前記表示手段が掘削物を投入可能と表示し、
前記第2の破砕装置のみが掘削物を投入可能な場合には、当該第2の破砕装置の前記表示手段が掘削物を投入可能と表示し、
前記第1の破砕装置および前記第2の破砕装置がともに掘削物を投入不可の場合には、前記第1の破砕装置の前記表示手段および前記第2の破砕装置の前記表示手段が掘削物を投入不可と表示する、
ことを特徴とする請求項1記載の掘削物の破砕装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの掘削工事により生じた掘削物の破砕装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネルの掘削工事において、硬岩等を掘削する場合、岩盤にダイナマイトを仕掛けて爆破することでトンネルを掘削する発破方式が採用されている。発破で生じたズリを切羽からトンネルの抗口に運ぶには、ダンプトランク等を使用する方法の他、発破で生じたズリをクラッシャによりさらに細かくした後、ベルトコンベアに載せてトンネルの抗口に運ぶ方法がある。ベルトコンベアを使用する場合、ダンプトラック等を使用しないことにより、トンネル内の排出ガス汚染や粉塵公害を防止することができる上、作業環境の安全性を高めることができるとともに、省人化により搬送コストの低減を図ることができる。さらに、ベルトコンベアに代えて、延伸ベルトコンベアを使用することにより、ズリをクラッシャに積載する積載用重機の移動距離が短くなるように、延伸ベルトコンベアを延ばすことができるので、運搬作業効率の向上を図ることができる。
【0003】
このような発破方式を用いたトンネルの掘削技術については、例えば、特許文献1に記載があり、トンネルの先端を発破等で破砕したときに生じたズリを、第1のクラッシャと、その後方に縦列配置された第2のクラッシャとで小さくした後、さらに第2のクラッシャの後方に縦列配置された搬出ベルトコンベアでトンネル外に運ぶ技術が開示されている。そして、この特許文献1には、クラッシャを2段にしたことにより、それぞれのクラッシャの能力を下げることができるので、個々のクラッシャを小型にすることができる上、クラッシャからベルトコンベアに運ばれるズリの直径を目標値にできるので、ベルトコンベアを小型にすることができてベルト搬送速度を向上させることができ、ズリの運搬作業効率を向上させることができることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-350880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような上記した特許文献1においては、破砕装置(クラッシャ)の投入部内に掘削物(ズリ)がどの程度入っているのかについての配慮がなされていないために、作業者(積載用重機のオペレータ)が破砕装置内の掘削物の量を運転席から目視で確認して投入の可否を判断しなければならず、作業効率の向上が阻害される。
【0006】
また、このような技術では、投入部内へ掘削物を投入したものの、当該掘削物がこぼれ落ちそうになって途中で投入を中断したり、投入部から掘削物がこぼれ落ちてしまったりすることがある。すると、掘削物投入の中断や投入部からこぼれ落ちた掘削物の後処理により、掘削物の搬出効率が低下する。
【0007】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、掘削物の投入の可否を作業者が目視で判断することが不要な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の掘削物の破砕装置は、トンネルの掘削により生じた掘削物の破砕装置であって、前記破砕装置は、トンネルの切羽から坑口に向かって縦列配置された第1の破砕装置および第2の破砕装置であり、掘削物が投入される投入部と、前記投入部に投入された掘削物を予め決められた大きさに破砕する破砕部と、前記投入部への掘削物の投入の可否を表示する第1の検出装置および第2の検出装置とを有し、前記第1の検出装置は、前記投入部の前記破砕部側に複数台設置されて、前記投入部における前記破砕部と反対側の内壁面における相互に異なる上端位置に向けて水平に発信した信号の反射信号を受信して検出された距離に基づき、前記投入部の上縁部を含む平面から上方における掘削物の有無を検出するセンサと、前記センサからの検出結果に基づいて動作し、前記センサで掘削物が検出された場合には掘削物の投入不可と表示し、そうでない場合には掘削物の投入可能と表示する表示手段とを備え、前記第2の検出装置は、前記投入部内の掘削物の状況を撮影する撮影装置と、前記撮影装置で撮影した画像に前記投入部の上縁部と重なった基準ラインを付加して表示する画像表示装置と、前記投入部に投入された掘削物が前記基準ラインを超えた場合には掘削物の投入不可と表示し、そうでない場合には掘削物の投入可能と表示する表示手段とを備える、ことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の本発明の掘削物の破砕装置は、上記請求項1記載の発明において、前記第1の破砕装置および前記第2の破砕装置がともに掘削物を投入可能な場合には、前記第1の破砕装置の前記表示手段のみが掘削物を投入可能と表示し、前記第1の破砕装置のみが掘削物を投入可能な場合には、当該第1の破砕装置の前記表示手段が掘削物を投入可能と表示し、前記第2の破砕装置のみが掘削物を投入可能な場合には、当該第2の破砕装置の前記表示手段が掘削物を投入可能と表示し、前記第1の破砕装置および前記第2の破砕装置がともに掘削物を投入不可の場合には、前記第1の破砕装置の前記表示手段および前記第2の破砕装置の前記表示手段が掘削物を投入不可と表示する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1の検出装置では、センサで掘削物が検出された場合には表示手段により掘削物の投入が不可であることが表示され、第2の検出装置では、投入部に投入された掘削物が基準ラインを超えた場合には表示手段により掘削物の投入が不可であることが表示されるので、破砕装置への掘削物の投入の可否を作業者が目視で判断することが不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る運搬装置の平面図である。
図2図1の運搬装置の側面図である。
図3図1の運搬装置を構成するクラッシャの斜視図である。
図4図3の破線で囲んだ領域Aの拡大斜視図である。
図5図3のクラッシャの概略構成図である。
図6】(a)は図3の二次クラッシャのズリ投入部およびズリ破砕部の平面図、(b)は図6(a)の二次クラッシャのズリ投入部およびズリ破砕部を側面側から見た概略構成図である。
図7】(a)は図6(b)のズリ破砕部の要部拡大構成図、(b)は図7(a)のズリ破砕部の破砕室の平面図である。
図8】二次クラッシャのズリ投入部でのズリ投入の可否を知らせる検出装置の概略構成図である。
図9】(a)は二次クラッシャの検出装置における検出信号路を側面から示す説明図、(b)は二次クラッシャの検出装置における検出信号路を平面から示す説明図である。
図10】(a)は二次クラッシャの検出装置においてズリ投入部にズリ投入が可能と判断されるズリ投入状態を示す説明図、(b)は二次クラッシャの検出装置においてズリ投入部にズリ投入が不可と判断されるズリ投入状態を示す説明図である。
図11】トンネル掘削作業における発破工程時のトンネル内の運搬装置の側面図である。
図12図11に続くトンネル掘削作業における発破工程後のトンネル内の運搬装置の側面図である。
図13図12に続くトンネル掘削作業における発破工程後のトンネル内の運搬装置の平面図である。
図14図13の運搬装置の側面図である。
図15図13に続くトンネル掘削作業におけるズリ運搬工程時のトンネル内の運搬装置の平面図である。
図16図15の運搬装置の側面図である。
図17】トンネル掘削作業において発破により生じたズリを二次クラッシャに直接投入している工程時のトンネル内の運搬装置の平面図である。
図18図17の運搬装置の側面図である。
図19】運搬装置の一次クラッシャおよび二次クラッシャに対するズリの投入状態と一次クラッシャおよび二次クラッシャに設置されたズリの投入可否を表示する回転灯の信号表示との対応を示す図である。
図20】本発明の第2の実施の形態に係る運搬装置の二次クラッシャのズリ投入部でのズリ投入の可否を知らせる検出装置の概略構成図である。
図21】二次クラッシャの検出装置を構成するモニタの画像を示す説明図である。
図22】(a)は二次クラッシャの検出装置においてズリ投入部にズリ投入が可能と判断されるモニタの画像を示す説明図、(b)は二次クラッシャの検出装置においてズリ投入部にズリ投入が不可と判断されるモニタの画像を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
(第1の実施の形態)
【0018】
まず、本実施の形態に係る運搬装置の構成例について図1および図2を参照して説明する。図1は本実施の形態に係る運搬装置の平面図、図2図1の運搬装置の側面図である。
【0019】
本実施の形態の運搬装置1は、例えば、トンネルTの切羽Kを発破により掘削した場合に生じたズリ(掘削物)をトンネルTの抗口へ運ぶズリ運搬装置であり、クラッシャ(掘削物の破砕装置)2と、伸縮ベルトコンベア(コンベア)3とを有している。
【0020】
この運搬装置1は、図1に示すように、トンネルTの幅方向の一方の片側に寄せられた状態で、切羽Kから坑口に向かって順に縦列配置されており、トンネルTの幅方向の他方の片側は、発破装薬用重機、積載用重機および支保吹付用重機等のような各種の重機の通路として使用可能になっている。
【0021】
クラッシャ2は、発破により生じたズリを伸縮ベルトコンベア3で運ぶことが可能な大きさに破砕する破砕機であり、一次クラッシャ(第1の破砕装置)2aと、二次クラッシャ(第2の破砕装置)2bとを有している。この一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bは、例えば、自走式のクラッシャで構成されており、切羽Kから伸縮ベルトコンベア3に向かって順に縦列配置されている。
【0022】
一次クラッシャ2aの処理能力は、例えば、400t/h(267m/h)である。排出隙間(オフセット、以下、OSSという)は、例えば、190mmである。破砕後のズリの直径は、例えば、300mm以下とする。破砕能力は、例えば、280t/h、破砕不要分は、例えば、120t/hである。
【0023】
二次クラッシャ2bの処理能力、破砕能力および破砕不要分は、例えば、上記した一次クラッシャ2aと同じである。また、二次クラッシャ2bのOSSは、一次クラッシャ2aと同様に、例えば、190mmに設定されているが、二次クラッシャ2bには一次クラッシャ2aで破砕されたズリが運ばれること等により、破砕後のズリの直径を、例えば、250mm以下にすることができる。ただし、二次クラッシャ2bから排出されるズリの直径が250mm以下になるように二次クラッシャ2bのオフセットを調整(190mmよりも小さく)する場合もある。
【0024】
伸縮ベルトコンベア3は、二次クラッシャ2bから排出されたズリを坑口に向かって運ぶ運搬手段であり、例えば、一次ベルトコンベア3aと、二次ベルトコンベア3bとを有している。この一次ベルトコンベア3aおよび二次ベルトコンベア3bは、相互に独立して移動(自走)可能な搬送装置であり、例えば、トンネルTの長手方向に沿って伸縮(移動)可能な状態で二次クラッシャ2bの後方から坑口に向かって順に縦列配置されている。なお、相互とは、通常、両者間の関係を表現する文言であるが、ここでは伸縮ベルトコンベア3が3台以上ある場合にも適用される。
【0025】
伸縮ベルトコンベア3のベルト幅は、例えば、750mmまたは900mm程度であり、比較的小型の伸縮ベルトコンベア3を使用することができる。このため、伸縮ベルトコンベア3のコストを低減することができる。また、ズリの運搬速度を向上させることができるので、ズリの運搬効率を向上させることができる。伸縮ベルトコンベア3のズリの運搬能力は、例えば、600t/hである。
【0026】
また、発破の際には、クラッシャ2および伸縮ベルトコンベア3が、切羽Kから飛散するズリが届かない位置に移動する。すなわち、一次ベルトコンベア3aが二次ベルトコンベア3bの上方に重なる位置まで移動し、その分、一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bも切羽Kから離れた位置に移動する。これにより、発破の際に切羽Kから飛散したズリに起因してクラッシャ2および伸縮ベルトコンベア3が破損するのを防止することができる。
【0027】
一方、発破後のズリの運搬の際には、クラッシャ2および伸縮ベルトコンベア3が切羽Kに近づく。すなわち、一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bが切羽Kに近づくとともに、一次ベルトコンベア3aが切羽Kに向かって移動する。これにより、切羽Kの近傍のズリの集合位置からクラッシャ2までの距離を短くすることができるので、切羽Kの近傍からクラッシャ2までズリを運搬する際の運搬時間を短くすることができる。
【0028】
次に、上記したクラッシャ2の構成例について図3図11を参照して説明する。図3図1の運搬装置を構成するクラッシャの斜視図、図4図3の破線で囲んだ領域Aの拡大斜視図、図5図3のクラッシャの概略構成図、図6(a)は図3の二次クラッシャのズリ投入部およびズリ破砕部の平面図、図6(b)は図6(a)の二次クラッシャのズリ投入部およびズリ破砕部を側面側から見た概略構成図、図7(a)は図6(b)のズリ破砕部の要部拡大構成図、図7(b)は図7(a)のズリ破砕部の破砕室の平面図である。
【0029】
なお、ズリZaは発破により生じたズリを示し、ズリZbは一次クラッシャ2aから排出されたズリを示し,ズリZcは二次クラッシャ2bから排出されたズリを示している。また、一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bのズリ投入部およびズリ破砕部の構成は同じなので、代表して二次クラッシャ2bのズリ投入部を図6に示している。
【0030】
図3および図5に示すように、一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bは、それぞれ走行部4a,4bと、ズリ投入部(投入部)5a,5bと、ズリ破砕部(破砕部)6a,6bと、ベルトコンベア部7a,7bとを一体的に備えている。
【0031】
一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bの走行部4a,4bは、一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bを自走可能とするための機構部であり、例えば、無限軌道によって構成されている。無限軌道は、複数枚の鋼製の履板を鎖のように無端環状に接続することで構成された履帯を、複数の回転ローラの周囲に取り付けることにより構成されている。ただし、走行部4a,4bは、無限軌道で構成することに限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、タイヤ車輪で走行する構成としてもよい。
【0032】
一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bのズリ投入部5a,5bは、ズリ投入部5a,5bに投入されたズリをズリ破砕部6a,6bに運ぶ運搬手段であり、図4図6に示すように、フィーダ10と、その上方の枠体に一体的に装着されたホッパ11とを備えている。
【0033】
フィーダ10は、例えば、グリズリーフィーダによって構成されており、トラフ10aと、その下流のグリズリーデッキ10bとを一体的に備えている。トラフ10aは、ズリ投入部5a,5bのホッパ11を介して投入されたズリを受け入れるプレートであり、水平または前傾(グリズリーデッキ10bに向かって低くなるように傾斜)した状態で設置されている。このトラフ10aに対して上下運動が加わった振動を機械的に与えることにより、トラフ10a上のズリを前方のグリズリーデッキ10b上に送るようになっている。グリズリーデッキ10bは、トラフ10aから送られたズリのうち、破砕の必要のない大きさのズリを、複数本のグリズリーバーによってふるいにかけることで、グリズリーデッキ10bの下方に設置されたベルトコンベア(図示せず)等に載せる機構部である。
【0034】
一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bのズリ破砕部6a,6bは、ズリを予め決められた大きさ(直径)に破砕するための機構部であり、例えば、シングルトッグル型ジョークラッシャにより構成されている。ただし、ズリ破砕部6a,6bは、シングルトッグル型ジョークラッシャに限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、ダブルトッグル型ジョークラッシャまたはローヘッド型ジョークラッシャを用いてもよい。
【0035】
ズリ破砕部6a,6bは、図5図6(b)および図7に示すように、一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bの枠体に装着された固定歯板13aと、動力により揺動運動するスイングジョー14に装着された動歯板13bと、これらの歯板13a,13bが所定の角度を持って対向することで略V型に形成された破砕室15とを備えている。
【0036】
ズリ破砕部6a,6bのスイングジョー14は、その支持軸14a(図6(b)参照)が偏心軸と一致するように設置されている。破砕処理時には、ズリ破砕部6a,6bの一枚のトッグルプレート16(図6(b)および図7参照)と偏心軸とでスイングジョー14を揺動運動させる。この際、スイングジョー14の動きが上部で円運動、下部に近づくにつれて細長い楕円運動から円弧状運動となる。この状態でズリ破砕部6a,6bの破砕室15に供給されたズリは、重力によって落下しながら動歯板13bの揺動運動による圧縮作用や破砕物同士の衝突等により破砕される。そして、ズリ破砕部6a,6bの破砕室15で破砕されたズリは、破砕室15の下方のベルトコンベア部7a,7b上に載せられるようになっている。図7(b)に示すように、固定歯板13aの谷と動歯板13bの山との最小間隙Dをセットといい、この最小間隙Dが最大の時を開き側セット、最小の時を閉じ側セットという。上記したOSSは、開き側セット時の間隔である。
【0037】
一次クラッシャ2aのベルトコンベア部7aは、一次クラッシャ2aのズリ破砕部6aから排出されたズリZbを、トンネルTの長手方向の後段の二次クラッシャ2bのズリ投入部5bまで運ぶ運搬手段である。ズリの運搬時において、一次クラッシャ2aは、そのベルトコンベア部7aの先端部が、後段の二次クラッシャ2bのズリ投入部5bの一部に係るように配置される。ベルトコンベア部7aのズリ運搬能力は、例えば、600t/hである。
【0038】
二次クラッシャ2bのベルトコンベア部7bは、二次クラッシャ2bのズリ破砕部6bから排出されたズリZcを伸縮ベルトコンベア3の一次ベルトコンベア3aまで運ぶ運搬手段である。ズリの運搬時において、二次クラッシャ2bは、そのベルトコンベア部7bの先端部が、後段の一次ベルトコンベア3aの一部に係るように配置される。ベルトコンベア部7bのズリ運搬能力は、例えば、600t/hである。
【0039】
次に、図8は二次クラッシャのズリ投入部でのズリ投入の可否を知らせる検出装置の概略構成図、図9(a)は二次クラッシャの検出装置における検出信号路を側面から示す説明図、図9(b)は二次クラッシャの検出装置における検出信号路を平面から示す説明図、図10(a)は二次クラッシャの検出装置においてズリ投入部にズリ投入が可能と判断されるズリ投入状態を示す説明図、図10(b)は二次クラッシャの検出装置においてズリ投入部にズリ投入が不可と判断されるズリ投入状態を示す説明図である。なお、一次クラッシャ2aにも検出装置は設置されているが、一次クラッシャ2aの検出装置と二次クラッシャ2bの検出装置とは同じなので、代表して二次クラッシャ2bの検出装置を図8に示している。
【0040】
図8において、検出装置(第1の検出装置)20は、ホッパ11内のズリの投入状態を検出することでホッパ11内へのズリの投入の可否を知らせる装置であり、複数台(本実施の形態では2台)のセンサ20aと、プログラムリレー回路20bと、回転灯20cとを備えている。
【0041】
各センサ20aは、ホッパ11の上縁部を含む平面から上方におけるズリの有無を検出する装置であり、ホッパ11よりも僅かに上方の枠体上に装着されている。各センサ20aは、例えば、レーザダイオードまたはLED(Ligt Emitting Diode)等を光源とする光学方式の距離センサまたは超音波方式の距離センサによって構成されており、図9(a)に示すように、ホッパ11の内壁面の上端に向けて水平に発信した信号の反射信号を受信して距離を検出している。センサ20aは、ズリ投入部5a,5bのズリ破砕部6a,6b側に設置されており、ズリ破砕部6a,6bと反対側のホッパ11の内壁面に向けて信号を発信するようになっている。なお、本願において「水平」とは、厳密な意味においての水平(つまり、重力方向と直角に交わった方向)に限定されるものではなく、水平に近い状態つまりほぼ水平であれば足りる。
【0042】
また、図9(b)に示すように、複数台のセンサ20aは、ホッパ11の内壁面の上端の相互に異なる位置に向けて信号を発信するように設置されており、ホッパ11にズリが偏った状態で投入されていても、確実に検出できるように配慮されている。なお、センサ20aは、複数台に限定されるものではなく1台でもよい。しかしながら、ズリの検出範囲が限定的になるためにズリが偏って投入されているときに検出精度が落ちる(ズリが検出されない場合がある)ことから、センサ20aは複数台設置されていることが望ましい。
【0043】
センサ20aは、配線を通じてプログラムリレー回路20bと電気的に接続されている。このプログラムリレー回路20bは、各センサ20aからの検出信号に基づいて回転灯20cのオン(点滅または点灯)またはオフ(消灯)を制御する回路であり、配線を通じて回転灯20cと電気的に接続されている。
【0044】
プログラムリレー回路20bは、何れものセンサ20aで警報オフの場合(すなわち、図10(a)に示すように、センサ20aの検出箇所において、ホッパ11の上縁部を含む平面から上方にズリZbがない、つまりセンサ20aによってズリZbが検出されない場合)、回転灯20cをオフ(消灯)してズリZbの投入が可能であることを知らせるようになっている。一方、何れかのセンサ20aで警報オンの場合(すなわち、図10(b)に示すように、センサ20aの検出箇所において、ホッパ11の上縁部を含む平面から上方にズリZbがある、つまりセンサ20aによってズリZbが検出された場合)、回転灯20cをオン(点滅または点灯)してズリZbの投入が不可であることを知らせるようになっている。但し、ここでは複数のセンサ20cの何れかがオンの場合に回転灯20cをオンする場合について説明したが、これに限定されるものではなく、全てのセンサ20aがオンの場合に回転灯20cをオンにするようにしてもよい。
【0045】
回転灯(表示手段)20cは、プログラムリレー回路20bからの制御信号に基づいてオン(点滅または点灯)またはオフ(消灯)することにより、ホッパ11内へのズリの投入可否を知らせる表示手段であり、ホッパ11よりも上方の枠体上の見易い位置に装着されている。一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bのズリ投入部5a,5bへのズリの投入の可否は、例えば、発破により生じたズリをクラッシャ2に運搬する作業者が、一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bの各々に配置された回転灯20cのオン・オフ状態を確認することで判断する。
【0046】
次に、本実施の形態のトンネルの掘削方法および掘削により生じたズリの運搬方法の一例を図11図19を参照して説明する。なお、掘削工法は、特に限定されるものではないが、例えば、NATM(New Austrian Tunneling Method)である。岩種は、特に限定されるものではないが、例えば、砂岩である。
【0047】
まず、図11はトンネル掘削作業における発破工程時のトンネル内の運搬装置の側面図、図12図11に続くトンネル掘削作業における発破工程後のトンネル内の運搬装置の側面図である。
【0048】
ここでは、図11に示すように、例えば、油圧ジャンボ等のような自走式の装薬用重機によってトンネルTの切羽K1にダイナマイトを仕掛けた後、そのダイナマイトを爆破(発破)することにより、図12に示すように、トンネルTの切羽K1を掘削する。なお、図12の切羽K2は、発破による掘削後の切羽を示している。
【0049】
この発破工程時においては、一次ベルトコンベア3aと二次ベルトコンベア3bとが重なって配置されており、一次クラッシャ2a、二次クラッシャ2b、一次ベルトコンベア3aおよび二次ベルトコンベア3bは、発破により飛散した破砕物が届かない位置に待機している。これにより、発破により飛散した破砕物が一次クラッシャ2a、二次クラッシャ2b、一次ベルトコンベア3aおよび二次ベルトコンベア3bに当たるのを防止することができるので、破砕物の衝突に起因する一次クラッシャ2a、二次クラッシャ2b、一次ベルトコンベア3aおよび二次ベルトコンベア3bの損傷や破壊を防止することができる。
【0050】
続いて、図13図12に続くトンネル掘削作業における発破工程後のトンネル内の運搬装置の平面図、図14図13の運搬装置の側面図である。
【0051】
ここでは、トンネルT内の空気を換気した後、図13に示すように、一次クラッシャ2a、二次クラッシャ2b、一次ベルトコンベア3aを切羽K2に向かって移動させる。また、発破により生じたズリZaをクラッシャ2に積載するためのサイドダンプシャベル等のような自走式の積載用重機30をトンネルTの切羽K2に移動させる。なお、移動停止後の一次クラッシャ2aの切羽側先端部と切羽K2との間には、ズリZaの運搬作業や支保工作業等の各種作業を行えるだけの空間(距離)が確保されている。また、使用する積載用重機30は1台に限定されるものではなく、例えば、2台でもよい。
【0052】
次いで、図15図13に続くトンネル掘削作業におけるズリ運搬工程時のトンネル内の運搬装置の平面図、図16図15の運搬装置の側面図である。
【0053】
ここでは、一次クラッシャ2a、二次クラッシャ2b、一次ベルトコンベア3aおよび二次ベルトコンベア3bの駆動を開始した後、図15および図16に示すように、発破により生じたズリZaを、積載用重機30によって一次クラッシャ2aのズリ投入部5aにホッパ11を通じて投入する。
【0054】
一次クラッシャ2aに投入されたズリZaは、一次クラッシャ2aのズリ破砕部6aで予め決められた直径のズリZbに破砕された後、一次クラッシャ2aのベルトコンベア部7aに載せられて二次クラッシャ2bのズリ投入部5bにホッパ11を通じて投入される。ズリZbの直径は、例えば、300mm以下である。
【0055】
二次クラッシャ2bに投入されたズリZbは、二次クラッシャ2bのズリ破砕部6bで、伸縮ベルトコンベア3に積載可能な予め決められた直径のズリZcに破砕された後、二次クラッシャ2bのベルトコンベア部7bに載せられて一次ベルトコンベア3a上に積載され、さらに二次ベルトコンベア3bに受け渡されてトンネルTの抗口に運ばれる。ズリZcの直径は、例えば、250mm以下である。
【0056】
ところで、このまま一次クラッシャ2aのみにズリZaを投入し続けると、一次クラッシャ2aの処理能力によってズリの運搬量が決められてしまうため、ズリの運搬作業効率が低下してしまう場合がある。そこで、本実施の形態においては、発破により生じたズリZaを二次クラッシャ2bに直接投入する。図17はトンネル掘削作業において発破により生じたズリを二次クラッシャに直接投入している工程時のトンネル内の運搬装置の平面図、図18図17の運搬装置の側面図である。この場合、一次クラッシャ2aでは処理に余裕が無くズリZaを投入できないときでも、二次クラッシャ2bでは処理に余裕がある場合があるので、処理に余裕のある二次クラッシャ2bに発破で生じたズリZaを直接投入することにより、ズリの運搬処理効率を向上させることができる。
【0057】
しかし、発破で生じたズリZaを二次クラッシャ2bに直接投入することでズリの運搬効率を向上させることができたとしても、発破で生じたズリを単純に二次クラッシャ2bに投入してしまうと、二次クラッシャ2bから排出されるズリの直径が目標値よりも大きくなってしまう場合がある。その場合、二次クラッシャ2bの後段の伸縮ベルトコンベア3の大型化を招くのでコスト高となってしまう。
【0058】
そこで、本実施の形態においては、一次クラッシャ2aから二次クラッシャ2bに送られたズリZbが二次クラッシャ2bで破砕されている状態で、発破で生じたズリZaを二次クラッシャ2bのズリ投入部5bに直接投入する。すなわち、二次クラッシャ2bのズリ破砕部6bの破砕室15内に、一次クラッシャ2aで破砕された後の300mm以下のズリZbと、発破で生じたズリZaとが同時に投入される。これにより、二次クラッシャ2bのズリ破砕部6bの破砕室15内が圧密状態になるため、二次クラッシャ2bのOSSが一次クラッシャ2aのOSSと同じ190mmであっても二次クラッシャ2bから直径が250mm以下のズリZbを排出することができた。このため、二次クラッシャ2bや伸縮ベルトコンベア3の大型化を招くこともないのでコスト高を招くこともない。したがって、本実施の形態によれば、発破方式を用いたトンネルTの掘削時に生じたズリを予め決められた直径以下にした状態で伸縮ベルトコンベア3に載せて運ぶ場合においてズリの運搬作業効率を向上させることができる。ただし、二次クラッシャ2bから排出されるズリの直径が250mm以下になるように二次クラッシャ2bのOSSを調整する(190mmよりも小さくする)場合もある。
【0059】
次に、一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bへのズリの投入について図19を参照して説明する。図19は運搬装置の一次クラッシャおよび二次クラッシャにおけるズリの投入状態と一次クラッシャおよび二次クラッシャに設置されたズリの投入可否を表示する回転灯の信号表示との対応を示している。なお、青は投入可能、赤は投入不可を示している。
【0060】
ズリの投入の可否は、発破により生じた切羽周辺のズリを一次クラッシャ2aまたは二次クラッシャ2bまで運ぶ作業者が、一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bの各々に配置された回転灯20cのオン・オフの表示状態を確認することによって判断する(すなわち、一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bの各々のセンサ20aで検出されたホッパ11内のズリの投入状態で判断する)。
【0061】
このとき、本実施の形態において、ズリの投入は、一次クラッシャ2aへの投入を優先させるようになっている。すなわち、一次クラッシャ2aでズリが投入可能で、二次クラッシャ2bでもズリが投入可能となっている場合には、一次クラッシャ2aの回転灯20cの信号表示を投入可能(青)、二次クラッシャ2bの回転灯20cの信号表示を投入不可(赤)とし、一次クラッシャ2aにズリZaを投入するように作業者に指示を出す。なお、一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bで共にズリが投入可能となっている場合に一次クラッシャ2aにズリを投入するようにしたのは、前述のように、発破で生じたズリを二次クラッシャ2bに投入してしまうと、二次クラッシャ2bから排出されるズリの直径が目標値よりも大きくなってしまう場合があるからである。次に、一次クラッシャ2aでズリが投入可能で、二次クラッシャ2bでズリが投入不能となっている場合には、一次クラッシャ2aの回転灯20cの信号表示を投入可能(青)、二次クラッシャ2bの回転灯20cの信号表示を投入不可(赤)とし、一次クラッシャ2aにズリZaを投入するように作業者に指示を出す。次に、一次クラッシャ2aでズリが投入不可で、二次クラッシャ2bでズリが投入可能となっている場合には、一次クラッシャ2aの回転灯20cの信号表示を投入不可(赤)、二次クラッシャ2bの回転灯20cの信号表示を投入可能(青)とし、二次クラッシャ2bにズリZaを投入するように作業者に指示を出す。
そして、一次クラッシャ2aでズリが投入不可で、二次クラッシャ2bもズリが投入不可となっている場合には、一次クラッシャ2aの回転灯20cの信号表示を投入不可(赤)、二次クラッシャ2bの回転灯20cも信号表示を投入不可(赤)とし、ズリ投入を待機するように作業者に指示を出す。
【0062】
このように、一次クラッシャ2aに対するズリの投入を優先させることにより、発破により生じたズリZaを二次クラッシャ2bに直接投入する際には常に一次クラッシャ2aから排出されたズリZbが二次クラッシャ2bで破砕されている状態にすることができるので、二次クラッシャ2bから予め決められた直径以下のズリZcを排出することができる。
【0063】
次いで、トンネルTの切羽K2の周辺のズリをクラッシャ2に運搬する作業が終了したら、自走式の2台の吹付用重機によってトンネルTの掘削箇所の内壁面にコンクリート等からなる被覆材を吹き付けた後、トンネルTの内壁面に対して交差する方向に金属製の複数のロックボルトを設置してトンネルTの掘削箇所の内壁面を補強する(支保工作業)。
【0064】
続いて、トンネルT内の支保工作業の終了後、伸縮ベルトコンベア3上にズリが無いことを確認してから一次ベルトコンベア3aをトンネルTの抗口に向かって移動(スライド)して二次ベルトコンベア3bの上方に重なるように配置し、一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bを抗口側に移動する。
【0065】
その後、次の掘削サイクルの発破作業に移行し、上記と同様の作業を進める。そして、上記のような発破による掘削作業およびズリの運搬作業を複数回繰り返すことにより、地山にトンネルTを形成する。
【0066】
(第2の実施の形態)
【0067】
まず、第2の実施の形態に係る破砕装置の検出装置について図20図22を参照して説明する。図20は二次クラッシャのズリ投入部でのズリ投入の可否を知らせる検出装置の概略構成図、図21は二次クラッシャの検出装置を構成するモニタの画像を示す説明図、図22(a)は二次クラッシャの検出装置においてズリ投入部にズリ投入が可能と判断されるモニタの画像を示す説明図、図22(b)は二次クラッシャの検出装置においてズリ投入部にズリ投入が不可と判断されるモニタの画像を示す説明図である。なお、一次クラッシャ2aにも検出装置は設置されているが、一次クラッシャ2aの検出装置と二次クラッシャ2bの検出装置とは同じなので、代表して二次クラッシャ2bの検出装置を図20に示している。
【0068】
本実施の形態の破砕装置においては、第1の実施の形態の検出装置(第1の検出装置)20に代えて、図20に示す検出装置(第2の検出装置)21が設けられている。これ以外の構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0069】
図20において、本実施の形態での検出装置(第2の検出装置)21は、ホッパ11内のズリの投入状態を画像処理で判断してズリの投入の可否を知らせる装置であり、カメラ(撮影装置)21aと、レコーダ21bと、ハブ21cと、パーソナルコンピュータ21dと、モニタ21eと、プログラムリレー回路21fと、回転灯21gとを備えている。なお、本実施の形態では、撮影装置としてCCDカメラが用いられているが、これ以外の撮影装置を用いてもよい。
【0070】
カメラ21aは、ホッパ11内のズリの状況を撮影する装置であり、ホッパ11よりも上方の枠体上に装着されている。ただし、一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bに直接設置すると振動等で画像が不鮮明になる場合もあるので、その場合は、カメラ用の足場を一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bから離れた位置に別途用意してもよい。カメラ21aは、配線を通じてレコーダ21bと電気的に接続されている。
【0071】
レコーダ21bは、カメラ21aで撮影した動画や静止画などの画像を記憶する装置であり、ハブ21cを介してパーソナルコンピュータ21dと電気的に接続されている。パーソナルコンピュータ21dは、カメラ21aから送られた信号を画像に変換してモニタ21eに表示するようになっている。
【0072】
ここで、モニタ21eの画像21epを図21に示す。図示するように、パーソナルコンピュータ21dによって、モニタ21eの画像21epには、カメラ21aで撮影した画像にホッパ11の上縁部と重なった基準ラインL1,L2が表示される。基準ラインL1はカメラ21aの対向に位置するホッパ11の上縁部と重なったラインであり、基準ラインL2はカメラ21aの両側に位置するホッパ11の上縁部と重なったラインである。したがって、基準ラインL1は1本であるが、基準ラインL2は2本になっている。
【0073】
モニタ21eは、配線を通じてプログラムリレー回路21fと電気的に接続されている。このプログラムリレー回路21fは、モニタ21eの画像21epに表示されるホッパ11内のズリと基準ラインL1,L2との関係に基づいて回転灯21gのオン(点滅または点灯)またはオフ(消灯)を制御する回路であり、配線を通じて回転灯21gと電気的に接続されている。
【0074】
プログラムリレー回路21fは、モニタ21eの画像21epに表示されたホッパ11内のズリが何れかの基準ラインL1,L2を超えた(横切った)場合、回転灯21gをオン(点滅または点灯)してズリの投入が不可であることを知らせるようになっている。すなわち、図22(a)に示すように、ホッパ11内のズリZbが基準ラインL1,L2を超えていない場合には、回転灯21gをオフ(消灯)してズリZbの投入が可能であることを知らせるようになっている。一方、図22(b)に示すように、ホッパ11内のズリZbが何れかの基準ラインL1,L2(ここでは、基準ラインL1)を超えている場合には、回転灯21gをオン(点滅または点灯)してズリZbの投入が不可であることを知らせるようになっている。また、本実施の形態では、モニタ21eの画像21epに「投入禁止!」と文字が表示されるようにし、画像21epからもズリZbの投入が不可であることが作業者に伝わるようになっている。
【0075】
なお、本実施の形態では基準ラインL1,L2はホッパ11の上縁部の延長線上まで引かれているが、ホッパ11の上縁部のみであってもよい。また、基準ラインL1,L2はズリに対して手前になっていてもよいし、逆に、ズリに隠れて後方になっていてもよい。さらに、3本の基準ラインL1,L2が表示されるようになっているが、カメラ21aの対向に位置するホッパ11の上縁部と重なった基準ラインL1のみが表示されていれば足り、カメラ21aの両側に位置するホッパ11の上縁部と重なった基準ラインL2は表示されていなくてもよい。
【0076】
回転灯21gは、プログラムリレー回路21fからの制御信号に基づいてオン(点滅または点灯)またはオフ(消灯)することにより、ホッパ11内へのズリの投入可否を知らせる表示手段であり、ホッパ11よりも上方の枠体上の見易い位置に装着されている。一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bのズリ投入部5a,5bへのズリの投入の可否は、例えば、発破により生じたズリをクラッシャ2に運搬する作業者が、一次クラッシャ2aおよび二次クラッシャ2bの各々に配置された回転灯21gのオン・オフ状態を確認することで判断する。
【0077】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0078】
例えば、クラッシャ2は、ホッパ11内のズリの状態をセンサ20aで検出する検出装置(第1の検出装置)20と、カメラ21aで検出する検出装置(第2の検出装置)21との両方を備えていてもよい。
【0079】
また、上記の説明においては、トンネル掘削方式として発破方式を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、機械掘削方式を用いる場合でも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明に係るトンネルの掘削工事により生じた掘削物の破砕装置は、地山の掘削により生じた掘削物を破砕するのに適用して有効である。
【符号の説明】
【0081】
1 運搬装置
2 クラッシャ(掘削物の破砕装置)
2a 一次クラッシャ(第1の破砕装置)
2b 二次クラッシャ(第2の破砕装置)
3 伸縮ベルトコンベア(コンベア)
3a 一次ベルトコンベア
3b 二次ベルトコンベア
4a,4b 走行部
5a,5b ズリ投入部(投入部)
6a,6b ズリ破砕部(破砕部)
7a,7b ベルトコンベア部
10 フィーダ
11 ホッパ
13a 固定歯板
13b 動歯板
14 スイングジョー
14a 支持軸
15 破砕室
16 トッグルプレート
20 検出装置(第1の検出装置)
20a センサ
20b プログラムリレー回路
20c 回転灯(表示手段)
21 検出装置(第2の検出装置)
21a カメラ
21b レコーダ
21c ハブ
21d パーソナルコンピュータ
21e モニタ
21ep 画像
21f プログラムリレー回路
21g 回転灯(表示手段)
T トンネル
K,K1,K2 切羽
L1,L2 基準ライン
Z,Za,Zb,Zc ズリ(掘削物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22