IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-放電検出システム 図1
  • 特許-放電検出システム 図2
  • 特許-放電検出システム 図3
  • 特許-放電検出システム 図4
  • 特許-放電検出システム 図5
  • 特許-放電検出システム 図6
  • 特許-放電検出システム 図7
  • 特許-放電検出システム 図8
  • 特許-放電検出システム 図9
  • 特許-放電検出システム 図10
  • 特許-放電検出システム 図11
  • 特許-放電検出システム 図12
  • 特許-放電検出システム 図13
  • 特許-放電検出システム 図14
  • 特許-放電検出システム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】放電検出システム
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
H02B1/40 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020212009
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022098566
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 淳史
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-038064(JP,A)
【文献】特開2018-093698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出システムであって、
ノイズを検出するノイズ検出部と、ノイズ検出部の情報から放電事象を判定可能な判定部と、を備えた親機と、
ノイズを検出するノイズ検出部と、ノイズ検出部の情報から放電事象を判定可能な判定部と、を備えた子機と、
を備え、
親機は、主幹回路と分岐回路を備えた分電盤に備えられた各分岐回路の一次側に配置され、
子機は、主幹回路と分岐回路を備えた分電盤の分岐回路の二次側に設けられたコンセントに接続され、
親機で放電事象が生じたと判定を行った場合は、主幹回路、又は、コンセントが接続された分岐回路に放電事象の検出信号を出力し、
子機で放電事象が生じたと判定を行った場合は、親機、主幹回路、又は、コンセントが接続された分岐回路に放電事象の検出信号を出力する放電検出システム。
【請求項2】
親機又は子機のノイズ検出部でノイズを検出し、ノイズを検出した親機又は子機で放電事象が生じたと判定した場合、
若しくは、放電事象が生じたことがわかる信号を子機から親機が受け取った場合に、
親機又は子機から、主幹回路、又は、コンセントが接続された分岐回路に遮断信号を送信する請求項1に記載の放電検出システム。
【請求項3】
負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出システムであって、
ノイズを検出するノイズ検出部と、ノイズ検出部の情報から放電事象を判定可能な判定部と、を備えた親機、または主幹回路、または、分岐回路と、
ノイズを検出するノイズ検出部を備えた子機と、
を備え、
子機は、主幹回路と分岐回路を備えた分電盤の分岐回路の二次側に設けられたコンセントに接続され、
子機のノイズ検出部で検出した信号を、親機、主幹回路、又は、コンセントが接続された分岐回路に送信する放電検出システム。
【請求項4】
親機は、親機のノイズ検出部の情報又は子機のノイズ検出部の情報から放電事象が生じたと判定部で判定した場合に、主幹回路、又は、コンセントが接続された分岐回路に遮断信号を送信する請求項3に記載の放電検出システム。
【請求項5】
親機は、子機のノイズ検出部から送られた信号を受信した場合に、判定部で放電事象の判定を行い、判定結果を子機に送信する請求項3又は4に記載の放電検出システム。
【請求項6】
子機から主幹回路、又は、コンセントが接続された分岐回路に遮断信号を送信することが可能である請求項4又は5に記載の放電検出システム。
【請求項7】
子機に、負荷に給電可能な給電部と、給電部への通電経路を開閉する開閉部を備え、
放電事象が生じたと検出したとき、開閉部を開放させる請求項1又は3に記載の放電検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、分電盤の主幹ブレーカと分岐ブレーカの間に1台の放電検出ユニットを接続して使用することが知られている。このようにすることで、建物全体の配線について、放電事象により発生するノイズの出力を検知することができるため、建物内の放電検出の有無を監視することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-134231号公報
【0004】
ところで、分岐回路数が多くなる場合や、分岐回路の配線に複数のコンセントが接続される場合、接続される負荷によっては、放電検出ユニットで検出できるノイズ出力の幅が小さくなる虞がある。また、放電検出ユニットから放電事象が発生した箇所が離れている場合にもノイズ出力の幅が小さくなる虞がある。このような事象に対応するために、放電検出装置で設定する閾値を下げ、検出感度を上げることも考えられるが、1台の放電検出装置で複数の負荷の状態を検出するため、閾値の設定の変更は、他の負荷に対する検出感度を上げることにもなる。このため、放電事象が起こっていないにも関わらず、負荷のノイズ出力で放電事象と判定してしまう虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、建物の複数個所で、放電事象に起因するノイズを検出できるようにしても、ノイズの検出感度を犠牲にする必要が無いようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出システムであって、ノイズを検出するノイズ検出部と、ノイズ検出部の情報から放電事象を判定可能な判定部と、を備えた親機と、ノイズを検出するノイズ検出部と、ノイズ検出部の情報から放電事象を判定可能な判定部と、を備えた子機と、を備え、子機は、主幹回路と分岐回路を備えた分電盤の分岐回路の二次側に設けられたコンセントに接続され、親機で放電事象が生じたと判定を行った場合は、主幹回路、又は、コンセントが接続された分岐回路に放電事象の検出信号を出力し、子機で放電事象が生じたと判定を行った場合は、親機、主幹回路、又は、コンセントが接続された分岐回路に放電事象の検出信号を出力する放電検出システムとする。
【0007】
また、親機又は子機のノイズ検出部でノイズを検出し、ノイズを検出した親機又は子機で放電事象が生じたと判定した場合、若しくは、放電事象が生じたことがわかる信号を子機から親機が受け取った場合に、親機又は子機から、主幹回路、又は、コンセントが接続された分岐回路に遮断信号を送信する構成とすることが好ましい。
【0008】
また、負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出システムであって、ノイズを検出するノイズ検出部と、ノイズ検出部の情報から放電事象を判定可能な判定部と、を備えた親機、または主幹回路、または、分岐回路と、ノイズを検出するノイズ検出部を備えた子機と、を備え、子機は、主幹回路と分岐回路を備えた分電盤の分岐回路の二次側に設けられたコンセントに接続され、子機のノイズ検出部で検出した信号を、親機、主幹回路、又は、コンセントが接続された分岐回路に送信する放電検出システムとする。
【0009】
また、親機は、親機のノイズ検出部の情報又は子機のノイズ検出部の情報から放電事象が生じたと判定部で判定した場合に、主幹回路、又は、コンセントが接続された分岐回路に遮断信号を送信する構成とすることが好ましい。
【0010】
また、親機は、子機のノイズ検出部から送られた信号を受信した場合に、判定部で放電事象の判定を行い、判定結果を子機に送信する構成とすることが好ましい。
【0011】
また、子機から主幹回路、又は、コンセントが接続された分岐回路に遮断信号を送信することが可能である構成とするのが好ましい。
【0012】
また、子機に、負荷に給電可能な給電部と、給電部への通電経路を開閉する開閉部を備え、放電事象が生じたと検出したとき、開閉部を開放させる構成とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、建物の複数個所で、放電事象に起因するノイズを検出できるようにしても、ノイズの検出感度を犠牲にする必要が無いようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】放電検出システムを用いて放電を監視できるようにした例を表す図である。ただし、親機は分電盤に組み込まれている。
図2】放電検出システムを用いて放電を監視できるようにした例を表す図である。ただし、親機は分電盤の外に設けた筐体に組み込まれている。
図3】親機の外観の例を示す図である。
図4】親機の回路の一部の例を表す図である。
図5】放電検出システムを用いて放電を監視できるようにした建物の例を表す図である。
図6】子機の外観の例を示す図である。
図7】子機の回路の一部の例を表す図である。
図8】放電事象が生じたため、子機と親機の双方が発報していることを表す図である。
図9】放電事象が生じた回路に隣接する回路でも、放電事象が生じたことを子機が検知したことを表す図である。
図10】判定部を備えていない子機の外観の例を示す図である。
図11】判定部を備えていない子機の回路の一部の例を表す図である。
図12】二次側へ電流を流さないことが選択できるようにするための開閉部を備えた子機の外観の例を示す図である。
図13】二次側へ電流を流さないことが選択できるようにするための開閉部を備えた子機の回路の一部の例を表す図である。
図14】子機を設置した方が良い個所を調べるための作業のイメージを表す図である。
図15】疑似放電発生回路を各負荷付近で同様に動作させた場合であっても、親機で検知した結果にばらつきが生じたことを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1乃至図5に示されていることから理解されるように、一つの実施形態の放電検出システムは、負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出システムであって、「ノイズを検出するノイズ検出部41と、ノイズ検出部41の情報から放電事象を判定可能な判定部42と、を備えた親機40」と、「ノイズを検出するノイズ検出部61と、ノイズ検出部61の情報から放電事象を判定可能な判定部62と、を備えた子機60」と、を備え、子機60は、主幹回路81と分岐回路82を備えた分電盤8の分岐回路82の二次側に設けられたコンセント91に接続され、親機40で放電事象が生じたと判定を行った場合は、「主幹回路81」、又は、「コンセント91が接続された分岐回路82」に放電事象の検出信号を出力し、子機60で放電事象が生じたと判定を行った場合は、「親機40」、「主幹回路81」、又は、「コンセント91が接続された分岐回路82」に放電事象の検出信号を出力するように構成されている。このため、検出がし難い箇所を補うことができる子機を形成することで、建物内で生じる放電事象を漏れなく検出することが出来る。また、建物の複数個所で、放電事象に起因するノイズを検出できるようにしても、ノイズの検出感度を犠牲にする必要が無いようにすることが可能となる。
【0016】
また、別の実施形態では、負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出システムであって、「ノイズを検出するノイズ検出部41と、ノイズ検出部41の情報から放電事象を判定可能な判定部42と、を備えた親機40」と、「ノイズを検出するノイズ検出部61を備えた子機60」と、を備え、子機60は、主幹回路81と分岐回路82を備えた分電盤8の分岐回路82の二次側に設けられたコンセント91に接続され、子機60のノイズ検出部61で検出した信号を、「親機40」、「主幹回路81」、又は、「コンセント91が接続された分岐回路82」に送信するように構成されている。
【0017】
次に、実施形態の放電検出システムの詳細について説明する。図1に示すことから理解されるように、放電検出システムが適用される分電盤8は、主幹回路81である主幹ブレーカ、分岐回路82である分岐ブレーカを備えたものであり、実施形態では、主幹回路81と分岐回路82を接続する母線バー、または、母線バーに接続される配線を介して親機40が接続されている。すなわち、分岐回路82の一次側に親機40を備えているものであり、図1に示す実施形態では、分電盤8の内部に主幹回路81と分岐回路82と一緒に親機40が収められている。なお、図2に示すことから理解されるように、親機40は、分電盤8とは別個の筐体59に収められるようにしても良い。この場合でも、分岐回路82の一次側と接続しておけば、建物全体における放電事象の監視を行うことができる。
【0018】
分岐回路82の一次側に接続される親機40は、実施形態では概略図3に示すような外観を有する。また、この親機40は、図4に示すことから理解されるように、放電事象時に生じるノイズを検出するノイズ検出部41と、ノイズ検出部41の情報から放電事象を判定可能な判定部42と、を備えている。実施形態のノイズ検出部41は、CR回路からなるフィルタ部の抵抗43間に生じる電圧を検出し、その電圧出力を増幅部44で増幅するように構成されている。
【0019】
この親機40には内部に演算部45が組み込まれており、親機40に備えられたさまざまな機器に指示を送ることができる。また、親機40は、情報を記憶可能な記憶部46も備えている。このため、入力された情報や演算結果などを記憶可能である。
【0020】
実施形態の判定部42は、ノイズ出力の有無の判定基準となる閾値以上、かつ、所定時間経過の条件を満たした場合に、放電事象が発生したと判定する。親機40に備えられた判定部42は、子機60から送信されたノイズ検出部61の検出信号を基に、放電事象の有無を判定することができる。判定部42で放電事象が発生したと判定された場合に、自動的に分電盤8の主幹回路81や分岐回路82に遮断信号を送信する遮断信号を出力するものとすれば、放電事象に起因する危険を早期に回避することができる。なお、実施形態の親機40には、遮断信号を送信するための遮断信号出力部47を備えている。
【0021】
親機40は、親機40のノイズ検出部41の情報又は子機60のノイズ検出部61の情報から放電事象が生じたと判定部42で判定した場合に、主幹回路81、又は、コンセント91が接続された分岐回路82に遮断信号を送信するように制御する構成とするのが好ましい。
【0022】
実施形態の親機40には、子機60との通信に用いることができる通信部48を備えている。このため、親機40は子機60からの検出信号を受信したり、判定の結果を子機60に送信したりすることができる。なお、親機40と子機60の通信は、無線やPLCなどにより行えばよい。
【0023】
実施形態の親機40には、情報を外部に知らせるための報知手段49が備えられている。実施形態の報知手段49は出力部51により出力された内容を基に、外部に情報を知らせるようにしている。報知手段49は、親機40に通電されていることを表示する電源表示部49aや、音声を出力可能なスピーカー49bであっても良いし、その他のものでも構わない。
【0024】
図3及び図4に示す例では、電源表示部49aやスピーカー49bの他に、子機60からの検出信号を受けた場合に、どの子機60から受信したかを作業者に把握させることが可能な表示部49cを備えている。実施形態の表示部49cは親機40の表面に設けられており、内容をLEDで表示することができる。なお、表示部49cの表示などをリセットすることが可能なリセットボタン52も備えている。
【0025】
ところで、図1及び図5に示すことから理解されるように、主幹回路81の二次側に設けられた分岐回路82は建物に設けられたコンセント91と電気的に接続されているものであり、そのコンセント91に子機60が接続される。なお、子機60は、図からは分かりにくいが、負荷で生じる漏電も検出することができる。
【0026】
図6に示す例の子機60には、コンセント91に接続されるプラグ部79を備えており、このプラグ部79を通して子機60の内部機器に電源を供給する。また、プラグ部79がコンセント91に接続されることにより回路の放電事象を検出することができる。なお、ここでは、コンセント91に差し込むことが可能なプラグ部79を備えるものとしているが、子機60はコンセント91への接続のために用いられるケーブルを備えるものであっても良い。
【0027】
図6に示す例の子機60には、図7に示すことから理解されるように、親機40と同様、放電事象を判定することが可能な判定部62を備えている。また、遮断信号を送信するための遮断信号出力部67を備えている。このため、子機60から主幹回路81、又は、コンセント91が接続された分岐回路82に遮断信号を送信することが可能である。
【0028】
子機60が遮断信号出力部67を備えていると、子機60でなされた判定の結果をもとに主幹回路81や分岐回路82に対して子機60から直接遮断信号を送信することもできる。また、親機40、子機60各々の判断で主幹回路81や分岐回路82を遮断することができる。なお、遮断機能を持たせていない子機60を利用する場合は親機40が遮断機能を発揮できるようにすれば良い。
【0029】
親機40のノイズ検出部41又は子機60のノイズ検出部61でノイズを検出し、ノイズを検出した親機40又は子機60で放電事象が生じたと判定した場合、当該親機40又は子機60から、主幹回路81、又は、コンセント91が接続された分岐回路82に遮断信号を送信するようにすれば、遮断するまでに必要なプロセスを短くできる。
【0030】
また、放電事象が生じたことがわかる信号を子機60から親機40が受け取った場合に、当該親機40又は子機60から、主幹回路81、又は、コンセント91が接続された分岐回路82に遮断信号を送信するようにすれば、判定機能を親機40に集約できるという経済的なメリットがある。なお、子機60のノイズ検出部61から送られた信号を受信した親機40が判定部42で放電事象の判定を行う場合、判定結果を子機60に送信するものとするのが好ましい。この際、子機60に表示情報を送信するようにするのが好ましい。
【0031】
図6及び図7に示す例の子機60では、親機40との通信に用いることができる通信部68を備えている。このため、子機60は親機40からの検出信号を受信したり、検知結果や判定の結果を親機40に送信したりすることができる。なお、親機40と子機60の通信は、無線やPLCなどにより行えばよい。
【0032】
また、この子機60は、情報を外部に知らせるための報知手段69が備えられている。実施形態の報知手段69は出力部71により出力された内容を基に、外部に情報を知らせるようにしている。報知手段69は、子機60に通電されていることを表示する電源表示部69aや、音声を出力可能なスピーカー69bであっても良いし、その他のものでも構わないのは親機40と同様である。また、図6及び図7に示す例では、電源表示部69aやスピーカー69bの他に、子機60で検出したノイズの検出レベルを表示することが可能な検出レベル表示部69cを備えている。実施形態の検出レベル表示部69cは子機60の表面に設けられており、内容をLEDで表示することができる。なお、表示部69cの表示などをリセットすることが可能なリセットボタン72も備えている。
【0033】
この子機60は、実施形態では、放電事象時に生じるノイズを検出するノイズ検出部61と、ノイズ検出部61の情報から放電事象を判定可能な判定部62と、を備えている。実施形態のノイズ検出部61は、CR回路からなるフィルタ部の抵抗63間に生じる電圧を検出し、その電圧出力を増幅部64で増幅するように構成されている。
【0034】
この子機60には内部に演算部65が組み込まれており、親機40に備えられたさまざまな機器に指示を送ることができる。また、親機40は、情報を記憶可能な記憶部66も備えている。このため、検出した情報や演算結果などを記憶可能である。
【0035】
なお、親機40で確認された放電事象に関する情報と子機60で確認された放電事象に関する情報は、そのまま、遮断信号を送信する基準として扱っても良いが、他の情報と比較してから、遮断信号を送信するか否かを判定するようにしても良い。この場合、比較機能は子機60に持たせずに親機40にだけ持たせるようにするのが、経済的な面からは好ましい。なお、図8に示す例では、親機40も子機60も放電事象が生じたと判定しており、それぞれが、特定の分岐回路82を遮断するように信号を送信している。
【0036】
ところで、ノイズの他回路からの回り込みにより生じる不具合があり得る。このため、図9に示すように、子機60を複数台設置した場合、ノイズの原因となる箇所とは関係が薄い子機60でノイズを検出する場合もありうる。このような状態となっても、より精度の良い判定をするため、互いのノイズの検出結果を比較し、問題となる箇所を特定できるようにするのが好ましい。
【0037】
例えば、複数の子機60から親機40の判定部42に送信された情報について、ノイズ出力値の大きさ、ノイズの検出開始時間、ノイズ継続時間などを項目として、親機40で比較判定を行うことが好ましい。この親機40での比較判定の結果、放電事象が生じた箇所を判定し、分岐回路82、主幹回路81へ遮断信号を送るようにするのが好ましい。この際、親機40から該当する分岐回路82、主幹回路81へ遮断信号を送るようにするのが好ましいが、放電事象が生じた箇所についての情報を送信してきた子機60から、該当する分岐回路82、主幹回路81へ遮断信号を送るようにしてもよい。
【0038】
なお、実施形態の子機60は、表面上に報知手段69を備えており、子機60自身の判定結果を表示することができる。この報知手段69は、親機40でなされた判定結果を表示させるようにしても良い。上記比較により、ノイズ検出が不適切だと判定された子機60については、報知手段69での報知などをやめるようにしても良い。また、ノイズ検出が不適切だと判定された子機60については、報知手段69での報知のしかたを変えるようにしても良い。
【0039】
子機60が複数設けられた場合、全ての子機60を同じ仕様にしても良いが、異なる仕様の子機60を混ぜ合わせて使用することも考えられる。後者の場合、例えば、表1に記載のような構成とすることが考えられる。
【0040】
【表1】
【0041】
上記した表1に記載の例では、子機60はノイズ検出機能と判定機能を備えるようにしているが、判定機能は備えないようにしても良い。この場合、図10及び図11に示すような構造とすることが考えられる。
【0042】
また、このような子機60を組み合わせて使用する場合、例えば、表2に示すようなことが考えられる。ただし、表2における三角のしるしは機能を発揮させる指示は親機40が出すようにしたことを表している。なお、表1及び表2で表された形態の子機60は親機40と1台だけ組み合わされる場合であっても使用可能であるし、その組み合わせ方に制限はない。
【0043】
【表2】
【0044】
表2に示す例の場合、子機60は判定機能を備えていないため、子機60のノイズ検出部61で検出された情報は、親機40に送信される。そして、この情報を受けた親機40は、放電事象が生じたか否かの判定を行う。なお、実施形態の親機40は、親機40のノイズ検出部41で検出された情報を利用した判定も行える。
【0045】
親機40で、放電事象が生じていたとの判定がなされた場合、その結果や警報出力指示を子機60に送信する。実施形態の子機60は親機40から当該情報を受信した場合、報知手段69が動作する。報知手段69の動作の指示は親機40が行うようにしても良い。実施形態の子機60は、親機40から放電事象が生じていたとの情報を受けた場合、主幹回路81や分岐回路82に遮断信号を送信する。また、判定機能は親機40に形成し、親機40の情報を主幹回路81や分岐回路82に形成することを説明したが、主幹回路81、分岐回路82に判定機能を持たせるものであっても良い。この場合、子機60のノイズ検出部61で検出された情報は、主幹回路81、または分岐回路82に送信され、主幹回路81、または分岐回路82に備えた判定部により放電事象の発生の判定を行うようにすることが可能である。
【0046】
ところで、子機60がその二次側に設けた負荷への送電を遮断できるようにするために、子機60に設けた給電部73に繋がる経路を開閉可能な構造とすることが考えられる。具体的には、子機60に設けたコンセント状の給電部73に繋がる経路に開閉部74を設け、当該開閉部74を判定結果に基づいて動作させるようにすることが考えられる。このような構成とすることにより、給電部73の二次側への通電を規制するか否かを選択できる。図12及び図13に示す例では、子機60に開閉部74が一つだけ設けられているが、一つの子機60に複数の開閉部74が設けられるようにしても良い。
【0047】
子機60に、負荷に給電可能な給電部73と、給電部73への通電経路を開閉する開閉部74を備え、放電事象が生じたと検出したとき、開閉部74を開放させるように制御する構成とすれば、子機60から外部に信号を送れなくても負荷への通電の停止が可能となる。
【0048】
ここで、子機60を設置する個所を選定するための方法例について説明する。例えば疑似放電発生回路95を用いて子機60を設置する個所を選定する。この場合、疑似放電発生回路95を負荷の近くなどで動作させ、その疑似放電発生回路95の動作状況を親機40側で十分に確認できるか否かを、子機60を設置する個所を選定するための一つの目安にすればよい。
【0049】
図14に示す例では、01番の負荷の近くで疑似放電発生回路95を動作させている。実施形態では親機40を学習モードに設定した状態で疑似放電発生回路95を動作させ、疑似放電発生回路95と通信することを可能としている。疑似放電発生回路95は放電を発生させた際に親機40に回路番号を送信するようにしており、親機40は受信した回路番号とともに放電の検出状態を記憶できるようにしている。なお、疑似放電発生回路95は回路番号設定部96で設定された回路番号を親機40に送信することができる。
【0050】
このようにして、子機60を設置することを検討している個所に関連する個所で順次作業を行っていく。図14に示す例では、01番の負荷、02番の負荷、03番の負荷・・・07番の負荷、といったように、疑似放電発生回路95を移動させて確認作業をする。
【0051】
記憶した検出状態から、放電の検出状態が悪いと判断できるものがある場合、その負荷に給電しているコンセント91に子機60を取り付けるように提案できる出力をするのが好ましい。例えば、図15に示す例のような検出結果が得られた場合、03番の負荷が接続されているコンセント91に子機60を取り付けるように提案する内容を出力できるようにするのが好ましい。
【0052】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
8 分電盤
40 親機
41 ノイズ検出部(親機)
42 判定部(親機)
60 子機
61 ノイズ検出部(子機)
62 判定部(子機)
73 給電部
74 開閉部
81 主幹回路
82 分岐回路
91 コンセント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15