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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】プラント設備監視装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20240708BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240708BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240708BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240708BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240708BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G08B25/04 K
G08B21/02
G05B19/418 Z
H04M11/00 301
H04Q9/00 311J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021095087
(22)【出願日】2021-06-07
(65)【公開番号】P2022187197
(43)【公開日】2022-12-19
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】杉野 佑平
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/039277(WO,A1)
【文献】特開2017-204826(JP,A)
【文献】特開2021-051464(JP,A)
【文献】特開2009-134488(JP,A)
【文献】特開2011-145839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0036085(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G08B 19/00-31/00
G21D 1/00- 9/00
H04M 11/00
H04N 7/18
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操業状態を有するプラント設備の特定のエリアを撮影した画像データを通信によって取得する通信部と、
前記画像データの表す画像上において前記特定のエリアのうちの人の立ち入りを抑制したい場所に関連付けて設定される検出範囲を表す検出範囲情報を記憶する記憶部と、
前記画像データと前記検出範囲情報とを基に画像処理を行うことにより、前記検出範囲内への人の侵入の検出を行い、前記検出範囲内への人の侵入の検出に応じて検出信号を前記通信部から外部に出力する制御部と、
を備え、
前記通信部は、前記プラント設備の制御装置と通信を行うことにより、前記プラント設備の現在の操業状態が前記複数の操業状態のうちのいずれの操業状態であるかを表す操業状態情報を前記制御装置から取得し、
前記検出範囲情報は、前記画像上における前記検出範囲の位置及び形状を表す設定情報を有するとともに、前記複数の操業状態のそれぞれに対応して設定された複数の前記設定情報を有し、
前記制御部は、前記操業状態情報の表す前記現在の操業状態に対応する前記設定情報を前記検出範囲情報から読み出すことにより、前記検出範囲の位置及び形状を前記プラント設備の前記現在の操業状態に応じて変更可能とするプラント設備監視装置。
【請求項2】
前記記憶部は、複数の前記検出範囲を表す複数の前記検出範囲情報を記憶し、
前記制御部は、前記画像データと複数の前記検出範囲情報とを基に、複数の前記検出範囲内への人の侵入の検出を行う請求項1記載のプラント設備監視装置。
【請求項3】
複数の前記検出範囲情報は、複数の前記検出範囲を複数のグループに分けるグループ情報を有し、
前記制御部は、複数の前記検出範囲のいずれかへの人の侵入を検出した際に、人の侵入を検出した前記検出範囲の前記グループに応じた前記検出信号を出力する請求項2記載のプラント設備監視装置。
【請求項4】
前記検出範囲情報は、前記検出範囲内に人が侵入していない状態で前記複数の操業状態が行われた際における前記検出範囲内の画像の変化を表す画像情報をさらに有し、
前記制御部は、前記画像情報の表す前記画像の変化と異なる画像の変化が前記検出範囲内で発生した際に、前記検出範囲内への人の侵入を検出する請求項1~3のいずれか1つに記載のプラント設備監視装置。
【請求項5】
前記画像情報は、前記検出範囲内の画像の色及び明度の変化を表し、
前記制御部は、前記検出範囲内の画像の色及び明度の少なくとも一方に、前記画像情報の表す色及び明度の変化と異なる変化が発生した際に、前記検出範囲内への人の侵入を検出する請求項4記載のプラント設備監視装置。
【請求項6】
前記通信部は、前記特定のエリアを異なる方向から撮影した複数の前記画像データを通信によって取得し、
前記記憶部は、複数の前記画像データのそれぞれに設定される前記検出範囲を表す複数の前記検出範囲情報を記憶し、
前記制御部は、複数の前記画像データと複数の前記検出範囲情報とを基に、複数の前記画像データに設定された複数の前記検出範囲内への人の侵入の検出を行う請求項1~5のいずれか1つに記載のプラント設備監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プラント設備監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラによってプラント設備の特定のエリアを撮影し、設置した監視カメラの撮影画角内に検出範囲を任意に設定することにより、検出範囲内に侵入した人を検出するプラント設備監視装置が知られている。検出範囲は、例えば、プラント設備内において人が立ち入ると危険な場所など、人の立ち入りを抑制したい場所に設定される。プラント設備監視装置は、例えば、検出範囲内への人の侵入を検出した際に、スピーカやランプなどによるアラーム通知を行う。
【0003】
一方で、例えば、製紙産業における抄紙機など、プラント設備によっては、操業の都合上、オペレータが機械に近付いて作業を行わなければならない状況が発生する場合がある。このように、操業において必要な作業においても逐一アラームが通知されてしまうと、作業を行うオペレータをアラームによって驚かせてしまったり、アラームを止めるための作業が必要になってしまったりするなど、必ずしも良好な使い勝手のプラント設備監視装置とならなくなってしまう可能性がある。
【0004】
例えば、プラント設備の稼働状況を取得し、検出範囲内に人が侵入した際に、プラント設備が稼働している時にだけアラームの通知を行うことも提案されている。これにより、プラント設備の休止中に検出範囲内に人が侵入したとしても、意図せずアラームが通知されてしまうことを抑制することができる。
【0005】
しかしながら、実際のプラント設備における操業の状態は複雑である。例えば、監視カメラの撮影画角内においても、高速運転中に人が近付いて作業することがあり得る場所、低速運転中のみ人が近付いて作業することがあり得る場所、運転中は立ち入りが禁止されている場所などといったように、人の立ち入りを抑制したい場所は、プラント設備の操業の状態に応じて変化する可能性がある。従って、プラント設備が稼働しているか否かだけでは、プラント設備の操業の状態に応じた適切な人の検出を行うことが難しかった。
【0006】
このため、プラント設備監視装置においては、プラント設備の操業の状態に応じて、より適切に人を検出できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-145839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、プラント設備の操業の状態に応じて、より適切に人を検出することができるプラント設備監視装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によれば、複数の操業状態を有するプラント設備の特定のエリアを撮影した画像データを通信によって取得する通信部と、前記画像データの表す画像上において前記特定のエリアのうちの人の立ち入りを抑制したい場所に関連付けて設定される検出範囲を表す検出範囲情報を記憶する記憶部と、前記画像データと前記検出範囲情報とを基に画像処理を行うことにより、前記検出範囲内への人の侵入の検出を行い、前記検出範囲内への人の侵入の検出に応じて検出信号を前記通信部から外部に出力する制御部と、を備え、前記通信部は、前記プラント設備の制御装置と通信を行うことにより、前記プラント設備の現在の操業状態が前記複数の操業状態のうちのいずれの操業状態であるかを表す操業状態情報を前記制御装置から取得し、前記検出範囲情報は、前記画像上における前記検出範囲の位置及び形状を表す設定情報を有するとともに、前記複数の操業状態のそれぞれに対応して設定された複数の前記設定情報を有し、前記制御部は、前記操業状態情報の表す前記現在の操業状態に対応する前記設定情報を前記検出範囲情報から読み出すことにより、前記検出範囲の位置及び形状を前記プラント設備の前記現在の操業状態に応じて変更可能とするプラント設備監視装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
プラント設備の操業の状態に応じて、より適切に人を検出することができるプラント設備監視装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るプラント設備監視装置、及びこれを用いたプラント設備監視システムを模式的に表すブロック図である。
図2】実施形態に係るプラント設備監視装置を模式的に表すブロック図である。
図3】検出範囲情報の一例を模式的に表す説明図である。
図4】報知態様情報の一例を模式的に表す説明図である。
図5】画像データの表す画像及び画像上に設定された検出範囲の一例を模式的に表す説明図である。
図6】画像データの表す画像及び画像上に設定された検出範囲の別の一例を模式的に表す説明図である。
図7】画像データの表す画像及び画像上に設定された検出範囲の別の一例を模式的に表す説明図である。
図8】画像データの表す画像及び画像上に設定された検出範囲の別の一例を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係るプラント設備監視装置、及びこれを用いたプラント設備監視システムを模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、プラント設備監視システム2は、プラント設備監視装置10と、監視カメラ11、12と、表示部14と、操作部16と、報知部18と、を備える。
【0014】
プラント設備監視システム2及びプラント設備監視装置10は、プラント設備PEに用いられ、プラント設備PEの特定のエリアARに対応して設定される所定の検出範囲内に侵入する人の検出を行う。換言すれば、プラント設備監視システム2及びプラント設備監視装置10は、所定の検出範囲内に侵入する人の監視を行う。
【0015】
プラント設備PEは、複数の操業状態を有する。この例では、プラント設備PEの一例として、紙の製造を行う抄紙機を示している。この場合、複数の操業状態とは、例えば、紙を高速で送る高速運転の状態、紙を低速で送る低速運転の状態、紙の送りを停止させた運転停止の状態などである。プラント設備PEは、これに限ることなく、例えば、鋼板の製造を行う圧延機など、製品の製造や加工などを行う任意のプラント設備でよい。プラント設備PEは、例えば、複数の操業状態を有し、運転中にも人が近づいて作業を行う必要がある任意のプラント設備でよい。複数の操業状態は、プラント設備PEの操業に必要な任意の状態でよい。
【0016】
監視カメラ11、12は、プラント設備PEの特定のエリアARを撮影することにより、特定のエリアARを撮影した画像データを取得する。特定のエリアARは、例えば、プラント設備PEにおいて人の立ち入りを抑制したい任意の場所に設定される。換言すれば、特定のエリアARは、プラント設備PEにおいて安全を確保したい任意の場所に設定される。
【0017】
監視カメラ11は、例えば、プラント設備PEの特定のエリアARを上方から撮影する。監視カメラ11は、例えば、特定のエリアARの上方に、鉛直下方に向けて設置されることにより、特定のエリアARを真上から撮影する。但し、監視カメラ11は、特定のエリアARを斜め上方などから撮影してもよい。
【0018】
監視カメラ12は、例えば、プラント設備PEの特定のエリアARを側方から撮影する。監視カメラ12は、より詳しくは、監視カメラ11の撮影する特定のエリアARと同じ特定のエリアARを側方から撮影する。換言すれば、監視カメラ12は、監視カメラ11の撮影する特定のエリアARを別の方向から撮影する。監視カメラ12は、例えば、特定のエリアARの側方に、水平方向に向けて設置されることにより、特定のエリアARを真横から撮影する。なお、監視カメラ12の撮影の方向は、厳密に水平である必要はなく、水平方向に対して傾いていてもよい。監視カメラ12の撮影の方向は、監視カメラ11の撮影の方向と異なる方向から特定のエリアARを撮影する任意の方向でよい。
【0019】
このように、複数台の監視カメラ11、12を設け、特定のエリアARを複数の方向から撮影する。これにより、特定のエリアARに対応して設定される所定の検出範囲内に侵入する人を、より確実に検出することができる。この例では、2台の監視カメラ11、12を設けている。設置する監視カメラの台数は、これに限ることなく、3台以上でもよい。
【0020】
また、監視カメラの台数は、複数台に限ることなく、1台でもよい。例えば、上方からの撮影のみで特定のエリアAR内の必要な部分を全て撮影できる場合などには、上方から撮影する1台の監視カメラ11のみを設ければよい。例えば、上方からの撮影のみでは、プラント設備PEを構成する装置などによって撮影できない部分が生じてしまう場合などには、複数台の監視カメラを設置し、特定のエリアAR内の必要な部分に死角ができないようにする。
【0021】
監視カメラ11、12は、プラント設備監視装置10と通信を行うことにより、特定のエリアARを撮影した画像データをプラント設備監視装置10に入力する。監視カメラ11、12は、例えば、所定の周期で静止画像データを取得し、取得した静止画像データをプラント設備監視装置10に入力する。監視カメラ11、12は、換言すれば、動画像データをプラント設備監視装置10に入力する。
【0022】
プラント設備監視装置10は、監視カメラ11、12で撮影された画像データに対し、所定の検出範囲を設定する。検出範囲は、画像データの表す画像上において、特定のエリアARのうちの人の立ち入りを抑制したい場所に関連付けて設定される。これにより、プラント設備監視装置10は、監視カメラ11、12で撮影された画像データを基に、プラント設備PEの特定のエリアARに対応して設定された所定の検出範囲内に侵入する人をリアルタイムで監視する。なお、特定のエリアARに対応して設定される検出範囲の数は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0023】
監視カメラ11、12は、例えば、中継器20を介してプラント設備監視装置10と接続され、プラント設備監視装置10と有線通信を行うことにより、画像データをプラント設備監視装置10に入力する。但し、監視カメラ11、12とプラント設備監視装置10との間の通信は、有線通信に限ることなく、無線通信を介してもよい。
【0024】
プラント設備監視装置10は、表示部14、操作部16、及び報知部18と通信可能に構成されている。プラント設備監視装置10は、取得した画像データを表示部14に出力する。表示部14は、プラント設備監視装置10から入力された画像データを表示する。表示部14には、例えば、液晶ディスプレイなどの周知の表示装置が用いられる。これにより、プラント設備PEやプラント設備監視システム2のオペレータなどが、表示部14を参照することで、監視カメラ11、12によって撮影された特定のエリアARの映像を参照することができる。
【0025】
操作部16は、オペレータなどからの操作指示の入力を受け付け、入力された操作指示をプラント設備監視装置10に出力する。プラント設備監視装置10は、操作部16からの操作指示の入力を受け付ける。操作部16は、例えば、マウス16a、キーボード16bを有する。操作部16は、これらに限ることなく、例えば、タッチパネルなどでもよい。操作部16の構成は、オペレータなどからの入力を受け、プラント設備監視装置10に対して操作指示を入力可能な任意の構成でよい。
【0026】
プラント設備監視装置10は、監視カメラ11、12で撮影された画像データを基に、プラント設備PEの特定のエリアARに対応して設定される検出範囲内に侵入する人をリアルタイムで監視し、検出範囲内に侵入する人を検出した際に、検出信号を報知部18に出力する。
【0027】
報知部18は、例えば、プラント設備PEの検出範囲に対応する場所に近接して配置される。報知部18は、プラント設備監視装置10からの検出信号の入力に応じて報知を行う。これにより、報知部18は、検出範囲内に侵入した人に対して、検出範囲内への侵入を報知する。換言すれば、報知部18は、検出範囲内に侵入した人に対して、人の立ち入りを抑制したい場所に侵入していることを報知する。
【0028】
このように、プラント設備監視システム2では、プラント設備PEの特定のエリアARに対応して設定される検出範囲内に侵入する人をプラント設備監視装置10によって検出し、プラント設備監視装置10による人の検出に応じて、侵入した人への報知を行う。これにより、プラント設備監視システム2では、プラント設備PEのうちの危険な場所などへの人の立ち入りを抑制することができる。
【0029】
報知部18は、例えば、ランプ18a、スピーカ18bを有する。報知部18は、例えば、ランプ18aの点灯、及びスピーカ18bからの音声の出力によって、検出範囲内に侵入した人への報知を行う。但し、報知部18による報知の態様は、これらに限ることなく、検出範囲内に侵入した人に対して適切に報知を行うことができる任意の態様でよい。
【0030】
また、図1では図示を簡略しているが、報知部18は、例えば、複数のランプ18a及び複数のスピーカ18bを有する。検出範囲は、例えば、特定のエリアARに対して複数設定される。この場合に、複数のランプ18a及び複数のスピーカ18bは、複数の検出範囲のそれぞれに対応させて設けられる。プラント設備監視装置10は、複数の検出範囲のいずれかへの人の侵入を検出した際に、人の侵入を検出した検出範囲に応じて、点灯させるランプ18a、音声を出力するスピーカ18b、及びスピーカ18bから出力する音声の内容などを変化させる。これにより、複数の検出範囲が設定される場合に、人の侵入が検出された検出範囲に応じて、より適切な報知を行うことができる。
【0031】
プラント設備監視装置10は、プラント設備PEの制御を行う制御装置100とも通信を行う。制御装置100は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)である。プラント設備監視装置10は、例えば、検出範囲内に侵入する人を検出した検出信号を報知部18に出力するとともに、制御装置100にも出力する。これにより、検出範囲内への人の侵入を制御装置100でも把握することができる。例えば、プラント設備PEの運転中に危険な場所に人が近づいたことをプラント設備監視装置10が検出した場合に、制御装置100がプラント設備PEの運転を停止させることなどが可能となる。
【0032】
制御装置100は、プラント設備PEの現在の操業状態が複数の操業状態のうちのいずれの操業状態であるかを表す操業状態情報をプラント設備監視装置10に出力する。例えば、プラント設備PEが抄紙機である場合には、操業状態情報は、現在のライン速度、現在の運転モード、現在の巻取径などを含む。制御装置100は、定期的に、あるいは現在の運転モードなどの操業状態情報の内容が変化する毎に、操業状態情報をプラント設備監視装置10に出力する。
【0033】
なお、操業状態情報に含まれる内容は、上記に限ることなく、プラント設備PEの種類などに応じて適宜設定すればよい。操業状態情報は、少なくともプラント設備PEの現在の操業状態を表すことができる任意の情報でよい。
【0034】
図2は、実施形態に係るプラント設備監視装置を模式的に表すブロック図である。
図2に表したように、プラント設備監視装置10は、通信部40と、制御部42と、記憶部44と、を備える。
【0035】
通信部40は、監視カメラ11、12、表示部14、操作部16、報知部18、及び制御装置100のそれぞれと通信を行う。通信部40は、例えば、監視カメラ11、12と通信を行うことにより、プラント設備PEの特定のエリアARを撮影した画像データを通信によって取得する。通信部40は、例えば、特定のエリアARを異なる方向から撮影した複数の画像データを通信によって取得する。この例において、通信部40は、監視カメラ11、12のそれぞれと通信を行うことにより、特定のエリアARを異なる方向から撮影した2つの画像データを取得する。
【0036】
また、通信部40は、プラント設備PEの制御装置100と通信を行うことにより、プラント設備PEの現在の操業状態が複数の操業状態のうちのいずれの操業状態であるかを表す操業状態情報を制御装置100から取得する。
【0037】
通信部40は、例えば、監視カメラ11、12、表示部14、操作部16、報知部18、及び制御装置100の各機器において通信規格が異なる場合などには、各通信規格に対応する複数の通信機器で構成してもよい。通信部40は、各機器の通信規格が共通である場合などには、1つの通信機器で構成してもよい。
【0038】
制御部42は、プラント設備監視装置10の各部の動作を統括的に制御する。記憶部44には、例えば、プラント設備監視装置10の制御を行うための種々のプログラムやデータなどが記憶されている。制御部42は、例えば、記憶部44から種々のプログラムやデータなどを読み出し、プログラムに従って逐次処理を実行することにより、プラント設備監視装置10の各部の動作を統括的に制御する。
【0039】
記憶部44は、例えば、画像データ50と、検出履歴情報52と、検出範囲情報54と、報知態様情報56と、を記憶する。
【0040】
画像データ50は、監視カメラ11、12によって取得された特定のエリアARを撮影した画像データである。検出履歴情報52は、検出範囲内への人の侵入を検出した際の、検出範囲の情報と、発生時刻の情報と、を関連付けて記憶する。
【0041】
制御部42は、例えば、検出範囲内への人の侵入を検出した際に、侵入を検出した検出範囲の情報と、発生時刻の情報と、を検出履歴情報52に記憶させるとともに、検出範囲内への人の侵入を検出している期間(人立ち入りの期間)の前後の任意設定時間の画像データを画像データ50として記憶部44に記憶させる。このように、制御部42は、人の侵入が検出された際の画像データ50を記憶部44に自動保存する。
【0042】
プラント設備PEやプラント設備監視システム2のオペレータなどは、操作部16を操作し、画像データ50及び検出履歴情報52を表示部14に表示することにより、画像データ50の映像及び検出履歴情報52の内容を参照することができる。これにより、例えば、操業の不具合、事故などが発生した際に、その時刻におけるプラント設備PEの稼働状態やオペレータの作業状態などを映像として確認することができる。
【0043】
検出履歴情報52は、検出範囲内への人の侵入を検出した際の対応する画像データ50の情報(例えば、画像データ50のファイル名など)をさらに関連付けて記憶してもよい。これにより、検出履歴情報52を参照することで、対応する画像データ50を検索し易くすることができる。例えば、画像データ50を検出履歴情報52とリンクさせ、検出履歴情報52を参照することで、所望の人立ち入りに関する画像データ50を簡単に読み出せるようにしてもよい。
【0044】
検出範囲情報54は、画像データの表す画像上において特定のエリアARのうちの人の立ち入りを抑制したい場所に関連付けて設定される検出範囲を表す。制御部42は、通信部40によって取得された画像データと、記憶部44に記憶された検出範囲情報54と、を基に、画像処理を行うことにより、検出範囲内への人の侵入の検出を行う。
【0045】
そして、制御部42は、検出範囲内への人の侵入の検出に応じて、検出信号を通信部40から報知部18及び制御装置100に出力する。これにより、検出範囲内への人の侵入の検出に応じて、検出範囲内に侵入した人への報知を行うことができるとともに、必要に応じてプラント設備PEの運転を停止させることができる。
【0046】
図3は、検出範囲情報の一例を模式的に表す説明図である。
図3に表したように、検出範囲情報54は、画像上における検出範囲の位置及び形状を表す設定情報54aを有するとともに、複数の操業状態のそれぞれに対応して設定された複数の設定情報54aを有する。
【0047】
制御部42は、制御装置100から取得した操業状態情報の表す現在の操業状態に対応する設定情報54aを検出範囲情報54から読み出すことにより、検出範囲の位置及び形状をプラント設備PEの現在の操業状態に応じて変更可能とする。
【0048】
通信部40は、特定のエリアARを異なる方向から撮影した複数の画像データを通信によって取得する。前述のように、この例において、通信部40は、監視カメラ11、12のそれぞれと通信を行うことにより、特定のエリアARを異なる方向から撮影した2つの画像データを取得する。
【0049】
記憶部44は、複数の画像データのそれぞれに設定される検出範囲を表す複数の検出範囲情報54を記憶する。複数の検出範囲情報54は、例えば、複数の画像データのいずれの画像データに設定される検出範囲であるかを識別するための画像データの識別情報54cを有する。識別情報54cは、換言すれば、複数の監視カメラのいずれの監視カメラに対応する検出範囲であるかを識別するための識別情報である。
【0050】
制御部42は、例えば、複数の検出範囲情報54の識別情報54cを参照することにより、複数の画像データのいずれの画像データに設定される検出範囲であるかを識別し、識別した画像データの画像上に設定情報54aに応じた位置及び形状の検出範囲を設定する。これにより、制御部42は、複数の画像データと複数の検出範囲情報54とを基に、複数の画像データのそれぞれに設定された複数の検出範囲内への人の侵入の検出を行う。
【0051】
特定のエリアARを異なる方向から撮影した複数の画像データに設定される複数の検出範囲は、実質的に同じ場所を異なる方向から見た検出範囲である可能性がある。このように、複数の検出範囲が、実質的に同じ場所に対応するものである場合には、制御部42は、複数の検出範囲のいずれか1つへの人の侵入の検出に応じて検出信号を出力してもよいし、複数の検出範囲のそれぞれでの人の侵入の検出に応じて検出信号を出力してもよい。
【0052】
複数の検出範囲のいずれか1つへの人の侵入の検出に応じて検出信号を出力する場合には、例えば、より早期に人の侵入を検出でき、安全性の向上などを図ることができる。一方、複数の検出範囲のそれぞれでの人の侵入の検出に応じて検出信号を出力する場合には、例えば、誤検出などをより抑制し、人の侵入をより確実に検出することができる。
【0053】
複数の検出範囲のいずれか1つへの人の侵入の検出に応じて検出信号を出力するか、複数の検出範囲のそれぞれでの人の侵入の検出に応じて検出信号を出力するかは、プラント設備PEの種類などに応じて適宜選択すればよい。また、複数の検出範囲のいずれか1つへの人の侵入の検出に応じて検出信号を出力するか、複数の検出範囲のそれぞれでの人の侵入の検出に応じて検出信号を出力するかは、例えば、操作部16などの操作に基づいて変更できるようにしてもよい。
【0054】
記憶部44は、例えば、1つの画像データに対する複数の検出範囲を表す複数の検出範囲情報54を記憶する。制御部42は、画像データと複数の検出範囲情報54とを基に、1つの画像データに対して設定される複数の検出範囲内への人の検出を行う。図3では、監視カメラ11によって撮影された画像データ1に対して3つの検出範囲が設定された例を表している。このように、記憶部44に複数の検出範囲情報54を記憶させることにより、1つの画像データに対して複数の検出範囲を設定することができる。但し、1つの画像データに対して設定される検出範囲の数は、任意の数でよい。1つの画像データに対して設定される検出範囲の数は、1つでもよい。
【0055】
複数の検出範囲情報54は、複数の検出範囲を複数のグループに分けるグループ情報54dを有する。制御部42は、複数の検出範囲のいずれかへの人の侵入を検出した際に、人の侵入を検出した検出範囲のグループに応じた検出信号を出力する。
【0056】
制御部42は、例えば、複数の検出範囲のいずれかへの人の侵入を検出した際に、人の侵入を検出した検出範囲のグループに応じた検出信号を報知部18に出力する。例えば、報知部18が複数のランプ18aを有する場合に、人の侵入を検出した検出範囲のグループに応じたランプ18aを点灯させるように、検出信号を報知部18に出力する。これにより、人の侵入を検出した検出範囲のグループに応じた報知を行うことができる。
【0057】
例えば、人の侵入を検出した検出範囲のグループに応じた検出信号を制御装置100に出力する。これにより、例えば、検出されたグループに応じたライン制御や、特定のオペレータ操作を禁止するインターロックを行うなど、人の侵入を検出した検出範囲のグループに応じてプラント設備PEの制御を行うことが可能となる。
【0058】
図4は、報知態様情報の一例を模式的に表す説明図である。
図4に表したように、報知態様情報56は、複数の検出範囲の複数のグループと、報知の態様と、を関連付けて記憶する。また、図4に表したように、報知態様情報56は、例えば、プラント設備PEの複数の操業状態のそれぞれに対応して設定された複数の報知の態様を、複数のグループと関連付けて記憶する。このように、報知態様情報56は、例えば、複数の操業状態とグループ別の人立ち入り状況とをマトリックスとして場合分けする。
【0059】
制御部42は、複数の検出範囲のいずれかへの人の侵入を検出した際に、報知態様情報56を参照することにより、人の侵入を検出した検出範囲のグループ、及びプラント設備PEの現在の操業状態に応じた報知の態様を報知態様情報56から読み出し、読み出した報知の態様に応じた検出信号を報知部18及び制御装置100に出力する。これにより、制御部42は、マトリックスに対応する任意の場所に設置した特定のランプ18aを点灯させるとともに、特定のアラーム音声をスピーカ18bから出力する。
【0060】
図5は、画像データの表す画像及び画像上に設定された検出範囲の一例を模式的に表す説明図である。
図5は、監視カメラ11によって取得された特定のエリアARを真上から撮影した画像データの表す画像の一例を模式的に表す。検出範囲の設定は、例えば、画像データの表す画像を表示部14に表示し、操作部16を操作することによって行われる。プラント設備PEやプラント設備監視システム2のオペレータなどは、操作部16を操作し、画像データの表す画像を表示部14に表示することにより、検出範囲の設定を行う。検出範囲の設定は、過去に撮影された画像データや操業開始前の画像データなどに基づいて実際の操業の前に予め行うようにしてもよいし、操業中に設定できるようにしてもよい。
【0061】
監視カメラ1台が撮影する映像データは3次元情報を二次元化した画像データであるので、操作部16を操作し、X軸、Y軸としてグループ別の検出範囲を設定することで、図5の検出範囲1のように画像内の指定範囲を設定する。検出範囲2及び検出範囲3のようにマウス16a等で画像上に任意の範囲を描いて設定することも可能である。範囲設定すると共にそれぞれの検出範囲に対し、グループを設定する。これにより、一つの撮影画角内において、複数のグループ別の検出範囲を設定することができる。すなわち、検出範囲情報54に対して、所定の検出範囲の画像上における位置及び形状を表す設定情報54aと、グループ情報54dと、を入力することができる。
【0062】
図6は、画像データの表す画像及び画像上に設定された検出範囲の別の一例を模式的に表す説明図である。
例えば、制御装置100から受信する操業状態情報において、図5に表した例のように、ライン運転中信号がON状態のときは、ローラ間に紙が張った状態で巻き取られているので、図5の検出範囲1では、張った紙の近辺全体を検出範囲として設定している。
【0063】
一方、図6に表したように、巻取が完了して、ライン運転中信号がOFFとなり、紙を払い出す場合については、巻き取られた紙の周囲のみが範囲となるように、検出範囲1を小さくする。これにより、設備周りで発生するオペレータ作業で人の侵入が検出されてしまうことを抑制することができる。
【0064】
プラント設備PEやプラント設備監視システム2のオペレータなどは、このように、操業の状態毎に設定情報54aの入力を行う。これにより、複数の操業状態のそれぞれに対応して設定された複数の設定情報54aを検出範囲情報54に入力することができる。
【0065】
そして、プラント設備PEやプラント設備監視システム2のオペレータなどは、複数の検出範囲のそれぞれについて、同様の処理を行う。これにより、複数の検出範囲を表す複数の検出範囲情報54を記憶部44に記憶させることができる。
【0066】
図7は、画像データの表す画像及び画像上に設定された検出範囲の別の一例を模式的に表す説明図である。
図7は、監視カメラ12によって取得された特定のエリアARを真横から撮影した画像データの表す画像の一例を模式的に表す。プラント設備PEに人が近づいたことを確実に検出する為、プラント設備PEを真上から見下ろした画角からの検出を基本とするが、より検出範囲を特定する為、複数台の監視カメラによる画像データの組み合わせを可能とする。
【0067】
図7に表したように、真横から撮影した監視カメラのみの場合、実際の人とプラント設備PEの距離が離れていても、検出範囲に上半身が写り込んだだけでも人を検出してしまう。そこで、例えば、プラント設備PEの特定のエリアARを真上から撮影する監視カメラ11と、真横から撮影する監視カメラ12を設置し、真上から撮影した監視カメラ11における検出範囲1の検出と、真横から撮影した画角における検出範囲3の検出と、の二つを同時に検出した場合に、検出信号を出力し、報知部18による特定のプラントアラームアナウンスや、制御装置100による指定したプラント制御を実行することを可能とする。
【0068】
プラント設備PEやプラント設備監視システム2のオペレータなどは、複数の画像データのそれぞれについて、上記と同様に、設定情報54aの入力の処理を行う。これにより、複数の画像データのそれぞれに設定される検出範囲を表す複数の検出範囲情報54を記憶部44に記憶させることができる。
【0069】
なお、検出範囲情報54の設定方法は、上記に限るものではない。検出範囲情報54は、例えば、他の装置などで予め設定されたものをプラント設備監視装置10に送信することにより、記憶部44に記憶させてもよい。
【0070】
図3に表したように、検出範囲情報54は、検出範囲内に人が侵入していない状態で複数の操業状態が行われた際における検出範囲内の画像の変化を表す画像情報54bをさらに有する。制御部42は、画像情報54bの表す画像の変化と異なる画像の変化が検出範囲内で発生した際に、検出範囲内への人の侵入を検出する。
【0071】
検出範囲情報54は、例えば、プラント設備PEの複数の操業状態のそれぞれに対応して設定された複数の画像情報54bを有する。これにより、検出範囲内に人が侵入していない状態で複数の操業状態が行われた際における検出範囲内の画像の変化を複数の操業状態毎に設定することができ、検出範囲内への人の侵入をより確実に検出することができる。
【0072】
画像情報54bは、例えば、検出範囲内の画像の色及び明度の変化を表す。制御部42は、検出範囲内の画像の色及び明度の少なくとも一方に、画像情報54bの表す色及び明度の変化と異なる変化が発生した際に、検出範囲内への人の侵入を検出する。
【0073】
例えば、検出範囲内の画像をメッシュ状などのように複数の領域に分割し、複数の領域のそれぞれの色と明度を数値化する。色と明度の変化だけで人を検出と判定する場合、操業で発生する機械的な動作による画像の変化を、人を検出したと誤判定する可能性がある。そこで、サンプリング期間として、事前に任意の期間、人が立ち入らないプラント設備PEの操業状態の映像を撮影し、その期間内における事前に設定したグループ別の検出範囲内における画像データの色と明度の変化を、それぞれの閾値として設定する。より詳しくは、検出範囲内の画像の各領域について、色及び明度のそれぞれの数値に所定の幅を持たせ、上限側の閾値及び下限側の閾値を設定する。サンプリング期間は、例えば、1つの操業状態の期間である。複数の操業状態のそれぞれについて同様の処理を行うことにより、複数の操業状態のそれぞれに対応して設定された複数の画像情報54bを取得する。
【0074】
プラント設備PEやプラント設備監視システム2のオペレータなどは、操作部16を操作し、画像データの表す画像を表示部14に表示し、検出範囲内に人が侵入していない状態で、サンプリングの開始を制御部42に指示する。制御部42は、例えば、サンプリングの開始の指示に応じて、検出範囲内の画像の色及び明度を解析することにより、サンプリング期間内の色及び明度の変化を閾値として自動的に設定する。
【0075】
事前に撮影した人がいない状態の映像の画像データを閾値とすることで、機械的な動作や、材料の変化による画像の変化があっても、それは操業上機械的に発生する画像の変化であり、閾値内の色と明度の変化となる。このため、制御部42は、人の検出とは判定しない。制御部42は、事前に設定した色と明度の閾値を超えた画像の変化があった場合に人の検出と判定する。
【0076】
図8は、画像データの表す画像及び画像上に設定された検出範囲の別の一例を模式的に表す説明図である。
例えば、図8のように、サンプリング中に画像内にクレーンが侵入した場合、クレーンが映像に入り込むことによる画面の色、明度の変化については、機械的な動作による画像の変化と閾値が設定され、サンプリング完了後の監視状態において、検出範囲内にクレーンが侵入したとしてしても、人の侵入を検出しないようにすることができる。換言すれば、クレーンの侵入による誤検出を抑制することができる。
【0077】
なお、このように、別の機械などが映像内に入り込む場合には、画像情報54bは、例えば、機械などが入り込む前の色及び明度の閾値、及び入り込んだ機械の色及び明度の閾値などのように、複数の閾値を含んでもよい。
【0078】
制御部42による検出範囲内への人の侵入の検出方法は、上記に限定されるものではない。制御部42は、例えば、輪郭などの形状に基づくパターン認識などによって、検出範囲内への人の侵入を検出してもよい。制御部42による検出範囲内への人の侵入の検出方法は、検出範囲内への人の侵入を適切に検出可能な任意の方法でよい。
【0079】
以上、説明したように、本実施形態に係るプラント設備監視装置10では、検出範囲情報54が、プラント設備PEの複数の操業状態のそれぞれに対応して設定された複数の設定情報54aを有し、制御部42が、制御装置100から取得した操業状態情報の表す現在の操業状態に対応する設定情報54aを検出範囲情報54から読み出すことにより、検出範囲の位置及び形状をプラント設備PEの現在の操業状態に応じて変更可能とする。これにより、プラント設備監視装置10では、プラント設備PEの操業の状態に応じて、より適切に人を検出することができる。
【0080】
なお、監視カメラ11、12は、例えば、プラント設備PE側に設けられるものとしてもよい。プラント設備監視装置10は、プラント設備PEに設けられた監視カメラ11、12と通信を行うことにより、監視カメラ11、12から画像データを取得する構成としてもよい。また、プラント設備監視装置10は、例えば、監視カメラ11、12と直接通信を行うことなく、上位のコントローラなどの別の装置と通信を行うことにより、別の装置から画像データを取得してもよい。プラント設備監視装置10の構成は、監視カメラ11、12によって取得された特定のエリアARを撮影した画像データの入力を受けることができる任意の構成でよい。プラント設備監視システム2は、必ずしも監視カメラ11、12を備えていなくてもよい。監視カメラ11、12は、プラント設備監視システム2において必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0081】
また、上記の実施形態では、プラント設備PEに対して1つの特定のエリアARのみを設定している。プラント設備PEに設定される特定のエリアARの数は、1つに限ることなく、2つ以上でもよい。プラント設備PEに対して複数の特定のエリアARが設定される場合には、複数の特定のエリアARのそれぞれに対して、1台又は複数台の監視カメラを設ければよい。これにより、複数の特定のエリアARのそれぞれの検出範囲に対する人の侵入をプラント設備監視装置10でリアルタイムに監視することができる。
【0082】
表示部14及び操作部16は、例えば、プラント設備監視装置10に設けられるものとしてもよい。表示部14及び操作部16は、例えば、1つの装置としてまとめられていてもよい。プラント設備監視装置10は、例えば、プラント設備PEやプラント設備監視システム2のオペレータなどの所有するスマートフォンなどの携帯端末と通信を行う構成としてもよい。この場合には、例えば、携帯端末のディスプレイを表示部14とし、携帯端末のタッチパネルを操作部16とすることができる。あるいは、表示部14及び操作部16は、オペレータなどの所有する携帯端末など、プラント設備監視システム2とは別の装置に設けられるものとしてもよい。
【0083】
プラント設備監視装置10は、例えば、検出範囲内に侵入する人を検出した検出信号をオペレータなどの携帯端末に出力してもよい。この場合には、例えば、携帯端末のスピーカやディスプレイなどでオペレータに報知を行い、オペレータの操作などに基づいて、携帯端末から報知部18に信号が出力されることにより、検出範囲内に侵入した人に対する報知が行われるようにしてもよい。
【0084】
また、例えば、報知部18を上位のコントローラなどの別の装置に接続し、プラント設備監視装置10は、検出範囲内に侵入する人を検出した検出信号を別の装置に出力してもよい。そして、別の装置から報知部18に信号が出力されることにより、検出範囲内に侵入した人に対する報知が行われるようにしてもよい。
【0085】
このように、プラント設備監視装置10は、少なくとも検出信号を通信部から外部に出力できればよく、検出範囲内に侵入した人に対する報知などは、別の装置によって行われるようにしてもよい。
【0086】
報知部18は、例えば、プラント設備PE側に設けられるものとしてもよい。報知部18と制御装置100とを通信可能とし、報知部18の動作は、制御装置100によって制御されるようにしてもよい。例えば、制御装置100が、プラント設備監視装置10からの検出信号の入力に応じて報知部18を動作させることにより、検出範囲内に侵入した人に対する報知が行われるようにしてもよい。
【0087】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0088】
2…プラント設備監視システム、 10…プラント設備監視装置、 11、12…監視カメラ、 14…表示部、 16…操作部、 18…報知部、 20…中継器、 40…通信部、 42…制御部、 44…記憶部、 50…画像データ、 52…検出履歴情報、 54…検出範囲情報、 56…報知態様情報、 100…制御装置、 AR…特定のエリア、 PE…プラント設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8