(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】充放電システム、および、充放電方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20240708BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
H02J7/04 A
H02J7/34 C
(21)【出願番号】P 2022204394
(22)【出願日】2022-12-21
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145816
【氏名又は名称】鹿股 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】大塚 貴夫
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-014038(JP,A)
【文献】特開2000-060024(JP,A)
【文献】特開2018-125941(JP,A)
【文献】特開2018-157729(JP,A)
【文献】実開昭49-139519(JP,U)
【文献】実開昭50-032527(JP,U)
【文献】実開昭51-072729(JP,U)
【文献】実開昭55-029907(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力を直流電力に変換する交直変換装置と、
前記交直変換装置から負荷に向けて電流を供給する第1電流路と、
前記第1電流路に配置され、電圧を降圧させるシリコンドロッパと、
前記交直変換装置から前記負荷に向けて、前記シリコンドロッパをバイパスして、電流を供給するバイパス電流路と、
前記バイパス電流路に配置される開閉器と、
前記交直変換装置から供給される電流を受け取ることにより充電され、放電によって前記負荷に電力を供給するリチウムイオン電池と、
前記リチウムイオン電池の充電時に前記交直変換装置から前記リチウムイオン電池に過電流が流れるのが防止されるよう、前記リチウムイオン電池の充電状態に応じて、充電方式を切り替える切替手段と
を具備する
充放電システム。
【請求項2】
船内交流母線を更に具備し、
前記交直変換装置は、前記船内交流母線から前記交流電力を受け取り、前記第1電流路に前記直流電力を供給する
請求項1に記載の充放電システム。
【請求項3】
前記切替手段は、前記シリコンドロッパを介して前記リチウムイオン電池を充電する第1充電方式と、前記シリコンドロッパをバイパスして前記リチウムイオン電池を充電する第2充電方式との間で、充電方式を切り替える
請求項1または2に記載の充放電システム。
【請求項4】
前記第1電流路のうちの前記シリコンドロッパと前記負荷との間の部分と、前記リチウムイオン電池とを接続する第2電流路と、
前記第2電流路に配置される第2開閉器と
を備える
請求項3に記載の充放電システム。
【請求項5】
前記切替手段は、定電流方式で前記リチウムイオン電池を充電する第3充電方式と、定電圧方式で前記リチウムイオン電池を充電する第4充電方式との間で、充電方式を切り替える
請求項1または2に記載の充放電システム。
【請求項6】
前記交直変換装置を制御する制御装置を更に具備し、
前記切替手段は、前記制御装置によって制御される前記交直変換装置を含み、
前記制御装置が、前記リチウムイオン電池を充電する充電電流が実質的に一定となるように前記交直変換装置を制御することにより、前記第3充電方式で前記リチウムイオン電池が充電されるように構成され、
前記制御装置が、前記リチウムイオン電池を充電する充電電圧が実質的に一定となるように前記交直変換装置を制御することにより、前記第4充電方式で前記リチウムイオン電池が充電されるように構成される
請求項5に記載の充放電システム。
【請求項7】
前記定電流方式で前記リチウムイオン電池が充電される際に、前記リチウムイオン電池を充電する充電電圧が相対的に低い場合には、前記開閉器は閉状態にされ、前記リチウムイオン電池を充電する充電電圧が相対的に高い場合には、前記開閉器は開状態にされる
請求項5に記載の充放電システム。
【請求項8】
充放電システムを用いて実行される充放電方法であって、
前記充放電システムは、
交流電力を直流電力に変換する交直変換装置と、
前記交直変換装置から負荷に向けて電流を供給する第1電流路と、
前記第1電流路に配置され、電圧を降圧させるシリコンドロッパと、
前記交直変換装置から前記負荷に向けて、前記シリコンドロッパをバイパスして、電流を供給するバイパス電流路と、
前記バイパス電流路に配置される開閉器と、
前記交直変換装置から供給される電流を受け取ることにより充電され、放電によって前記負荷に電力を供給するリチウムイオン電池と
を具備し、
前記充放電方法は、
前記リチウムイオン電池の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であるとき、前記シリコンドロッパを介して前記リチウムイオン電池を充電する第1充電方式、および、定電流方式で前記リチウムイオン電池を充電する第3充電方式の少なくとも一方の方式により前記リチウムイオン電池を充電することと、
前記リチウムイオン電池の充電状態が、前記第1状態と比較して充電量が相対的に多い第2状態であるとき、前記シリコンドロッパをバイパスして前記リチウムイオン電池を充電する第2充電方式、および、定電圧方式で前記リチウムイオン電池を充電する第4充電方式の少なくとも一方の方式により前記リチウムイオン電池を充電することと、
前記リチウムイオン電池の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であるとき、前記リチウムイオン電池が、前記シリコンドロッパを介して前記負荷に電力を供給することと、
前記リチウムイオン電池の充電状態が、前記第3状態と比較して充電量が相対的に少ない第4状態であるとき、前記リチウムイオン電池が、前記シリコンドロッパをバイパスして前記負荷に電力を供給することと
を具備する
充放電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、充放電システム、および、充放電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池から、シリコンドロッパを介して、負荷に電力を供給するシステムが知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1の
図13には、交流電源用配電盤(1)と、変圧器(4)と、整流回路部(5)と、鉛蓄電池等の蓄電池(7)と、シリコンドロッパ回路(8)と、負荷側配電回路部(9)と、を備えるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ベント形二次電池である鉛蓄電池を用いて充放電システムを構成する場合、蓄電池室の確保等に伴い、スペース上の制約が大きくなることがあった。
【0006】
そこで、本発明は、鉛蓄電池の代わりにリチウムイオン電池を用いることにより、スペース上の制約を低減する充放電システム、および、充放電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態における充放電システムは、交流電力を直流電力に変換する交直変換装置と、前記交直変換装置から負荷に向けて電流を供給する第1電流路と、前記第1電流路に配置され、電圧を降圧させるシリコンドロッパと、前記交直変換装置から前記負荷に向けて、前記シリコンドロッパをバイパスして、電流を供給するバイパス電流路と、前記バイパス電流路に配置される開閉器と、前記交直変換装置から供給される電流を受け取ることにより充電され、放電によって前記負荷に電力を供給するリチウムイオン電池と、前記リチウムイオン電池の充電時に前記交直変換装置から前記リチウムイオン電池に過電流が流れるのが防止されるよう、前記リチウムイオン電池の充電状態に応じて、充電方式を切り替える切替手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の実施形態における充放電方法は、充放電システムを用いて実行される充放電方法であって、前記充放電システムは、交流電力を直流電力に変換する交直変換装置と、前記交直変換装置から負荷に向けて電流を供給する第1電流路と、前記第1電流路に配置され、電圧を降圧させるシリコンドロッパと、前記交直変換装置から前記負荷に向けて、前記シリコンドロッパをバイパスして、電流を供給するバイパス電流路と、前記バイパス電流路に配置される開閉器と、前記交直変換装置から供給される電流を受け取ることにより充電され、放電によって前記負荷に電力を供給するリチウムイオン電池とを具備し、前記充放電方法は、前記リチウムイオン電池の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であるとき、前記シリコンドロッパを介して前記リチウムイオン電池を充電する第1充電方式、および、定電流方式で前記リチウムイオン電池を充電する第3充電方式の少なくとも一方の方式により前記リチウムイオン電池を充電することと、前記リチウムイオン電池の充電状態が、前記第1状態と比較して充電量が相対的に多い第2状態であるとき、前記シリコンドロッパをバイパスして前記リチウムイオン電池を充電する第2充電方式、および、定電圧方式で前記リチウムイオン電池を充電する第4充電方式の少なくとも一方の方式により前記リチウムイオン電池を充電することと、前記リチウムイオン電池の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であるとき、前記リチウムイオン電池が、前記シリコンドロッパを介して前記負荷に電力を供給することと、前記リチウムイオン電池の充電状態が、前記第3状態と比較して充電量が相対的に少ない第4状態であるとき、前記リチウムイオン電池が、前記シリコンドロッパをバイパスして前記負荷に電力を供給することとを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、スペース上の制約を低減する充放電システム、および、充放電方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態における充放電システムの回路構成の一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態における充放電システムの回路構成の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態における充放電システムの回路構成の一例を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態における充放電システムの回路構成の一例を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態における充放電システムの回路構成の一例を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態における充放電システムの回路構成の一例を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態における充放電システムの回路構成の一例を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態における充放電システムの回路構成の一例を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態における充放電システムの回路構成の一例を模式的に示す図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態における充放電システムの回路構成の一例を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、充電工程における充電電圧の変化および充電電流の変化の一例を示すグラフである。
【
図12】
図12は、実施形態の第1変形例における充放電システムの回路構成の一例を模式的に示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態の第2変形例における充放電システムの回路構成の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態における充放電システム1、および、充放電方法に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しの説明は省略される。また、以下の実施形態における説明において、数値の記載が例示であることは言うまでもない(換言すれば、実施形態における数値の記載によって、特許請求の範囲が限定解釈されないことは言うまでもない。)。
【0012】
(第1の実施形態)
図1乃至
図5を参照して、第1の実施形態における充放電システム1Aについて説明する。
図1乃至
図5は、第1の実施形態における充放電システム1Aの回路構成の一例を模式的に示す図である。なお、
図2および
図3には、リチウムイオン電池5が充電されている様子が示され、
図4および
図5には、リチウムイオン電池5から負荷92に向けて電力が供給されている様子が示されている。
【0013】
(構成・作用)
図1に記載の例では、充放電システム1Aは、交直変換装置2と、第1電流路11と、シリコンドロッパ3と、バイパス電流路13と、開閉器33と、リチウムイオン電池5と、切替手段6と、を具備する。
【0014】
交直変換装置2は、交流電力を直流電力に変換する。第1電流路11は、交直変換装置2から負荷92に向けて電力を供給する。
【0015】
シリコンドロッパ3は、第1電流路11に配置され、電圧を降圧させる。
図1に記載の例では、シリコンドロッパ3は、少なくとも1つのシリコンダイオード31を含む。
図1に記載の例では、シリコンドロッパ3は、直列的に接続された複数のシリコンダイオード31を含む。
図1に記載の例では、シリコンドロッパ3に含まれるシリコンダイオード31の数が3個であるが、シリコンドロッパ3に含まれるシリコンダイオード31の数は、1個、2個、あるいは、4個以上であってもよい。
【0016】
各シリコンダイオード31は、電流の流れ方向における当該シリコンダイオード31の下流側の電圧が、電流の流れ方向における当該シリコンダイオード31の上流側の電圧よりも所定電圧だけ低くなるように、電圧を降下させる。各シリコンダイオードによる電圧降下量は、例えば、0.6V以上1V以下である。
【0017】
バイパス電流路13は、交直変換装置2から負荷92に向けて、シリコンドロッパ3をバイパスして、電流を供給する。
【0018】
開閉器33は、バイパス電流路13に配置される。開閉器33が閉状態であるとき、交直変換装置2から負荷92に、バイパス電流路13を介して電力を供給可能である。他方、開閉器33が開状態であるとき、交直変換装置2から負荷92に、バイパス電流路13を介さずに、シリコンドロッパ3を介して電力を供給可能である。
【0019】
リチウムイオン電池5は、交直変換装置2から供給される電流を受け取ることにより充電される。また、リチウムイオン電池5は、放電によって負荷92に電力を供給する。
【0020】
切替手段6は、リチウムイオン電池5の充電時に交直変換装置2からリチウムイオン電池5に過電流が流れるのが防止されるよう、リチウムイオン電池5の充電状態(より具体的には、リチウムイオン電池5の端子電圧、または、リチウムイオン電池5の充電率(換言すれば、充電容量に対する充電量))に応じて、充電方式を切り替える。
【0021】
図2および
図3に記載の例では、切替手段6は、シリコンドロッパ3を介してリチウムイオン電池5を充電する第1充電方式M1(
図2を参照。)と、シリコンドロッパ3をバイパスしてリチウムイオン電池5を充電する第2充電方式M2(
図3を参照。)との間で、充電方式を切り替える。
【0022】
図2に記載の例において、交直変換装置2の出力電圧とリチウムイオン電池5の端子電圧との間の電位差が大きい場合を想定する。この場合、切替手段6を用いて、シリコンドロッパ3を介してリチウムイオン電池5を充電する第1充電方式M1が実行されることにより、交直変換装置2からリチウムイオン電池5に過電流が流れるのが防止される。より具体的には、電流の流れ方向における当該シリコンドロッパ3の下流側の電圧とリチウムイオン電池5の端子電圧との間の電位差は相対的に小さいため、リチウムイオン電池5に過電流は流れない。
【0023】
図3に記載の例において、交直変換装置2の出力電圧とリチウムイオン電池5の端子電圧との間の電位差が小さい場合を想定する。この場合、切替手段6を用いて、シリコンドロッパ3をバイパスしてリチウムイオン電池5を充電する第2充電方式M2(より具体的には、シリコンドロッパ3を介さずにリチウムイオン電池5を充電する第2充電方式M2)が実行される。こうして、リチウムイオン電池5の端子電圧が十分な電圧となるよう(換言すれば、十分な充電量が確保されるよう)、リチウムイオン電池5を充電することができる。
【0024】
(効果)
第1の実施形態では、鉛蓄電池の代わりに、リチウムイオン電池5が採用されることにより、鉛蓄電池の採用に付随するスペース確保の制約が低減される。また、第1の実施形態における充放電システム1Aは、リチウムイオン電池5の充電状態(より具体的には、リチウムイオン電池5の端子電圧、または、リチウムイオン電池5の充電率)に応じて、充電方式を切り替える切替手段6を備える。当該切替手段6を用いることにより、リチウムイオン電池5の充電時に、リチウムイオン電池5の端子電圧が低い場合でも(あるいは、リチウムイオン電池5の充電率が小さい場合でも)、交直変換装置2からリチウムイオン電池5に過電流が流れるのが防止される。
【0025】
また、第1の実施形態では、交直変換装置2の出力電圧を、負荷92に適合するように降圧させるシリコンドロッパ3の特性を利用して、リチウムイオン電池5の充電方式が切り替えられる。より具体的には、切替手段6は、シリコンドロッパ3を介する充電方式と、シリコンドロッパ3をバイパスする充電方式との間で充電方式を切り替える。よって、シンプルな構成で、充電方式の切り替えが実現される。
【0026】
(任意付加的な構成)
図1乃至
図5を参照して、第1の実施形態における充放電システム1Aにおいて採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0027】
(船舶における充放電システム)
第1の実施形態における充放電システム1Aは、船舶における充放電システムであってもよい。より具体的には、充放電システム1Aは、船内交流母線10を有していてもよい。船内交流母線10には、高圧交流電流(例えば、440Vの交流電流)が流れる。船内交流母線10は、配電線を介して、船内の各所に電力を供給する。船内交流母線10は、船舶の推進器(例えば、スクリューを駆動するモータ)に電力を供給してもよい。
【0028】
図2に記載の例では、交直変換装置2は、船内交流母線10から交流電力を受け取り、第1電流路11に直流電力を供給する。交直変換装置2は、変圧器81を介して、船内交流母線10から交流電力を受け取ってもよい。変圧器81は、船内交流母線10の電圧を降圧させ、降圧された電圧が交直変換装置2に供給される。変圧器81は、例えば、440Vの船内交流母線10の電圧を、220Vに降圧させる。船内交流母線10と、変圧器81との間には、遮断器82が配置されていてもよい。
【0029】
船舶において、鉛蓄電池は、専用の区画に設置する必要がある。換言すれば、船舶では、鉛蓄電池を設置する蓄電池室が必要である。鉛蓄電池の少なくとも一部(好ましくは、鉛蓄電池の全部)を、リチウムイオン電池5に代えることにより、蓄電池室を省略するか、あるいは、蓄電池室を小型化することができる。こうして、船内スペースの配置の制約を解消、または、低減できる。例えば、リチウムイオン電池5を、充放電盤と同じ盤内に配置することも可能である。また、鉛蓄電池の一般的な交換周期は3~5年程度であるが、リチウムイオン電池5が採用される場合には、当該交換周期をより長くすることができる。
【0030】
(交直変換装置2)
図2に記載の例では、交直変換装置2は、ダイオード整流器等の整流器21である。代替的に、
図6に例示されるように、交直変換装置2は、制御装置7によって制御可能な少なくとも1つのAC/DC変換器23を含んでいてもよい。
【0031】
交直変換装置2の直流出力電圧は、例えば、26.8V程度(例えば、25V以上30V以下)である。
【0032】
(第1電流路11)
図2に記載の例では、第1電流路11は、交直変換装置2とシリコンドロッパ3の上流端とを接続する第1部分111と、シリコンドロッパ3の下流端と負荷92あるいは負荷側配電回路91とを接続する第2部分112とを含む。第1部分111は、第1電流路11のうち、電流の流れ方向におけるシリコンドロッパ3よりも上流側部分であり、第2部分112は、第1電流路11のうち、電流の流れ方向におけるシリコンドロッパ3よりも下流側部分である。
【0033】
(バイパス電流路13)
図2に記載の例では、バイパス電流路13の一端13aは、第1電流路11の第1部分111に接続され、バイパス電流路13の他端13bは、第1電流路11の第2部分112に接続されている。
【0034】
図2に記載の例では、開閉器33は、バイパス電流路13に配置される第1開閉器33aを含む。第1開閉器33aは、例えば、第1コンタクタ(換言すれば、第1接触器)である。
【0035】
(第2電流路15)
図2に記載の例では、充放電システム1Aは、第2電流路15を有する。第2電流路15は、第1電流路11のうちのシリコンドロッパ3と負荷92との間の部分(換言すれば、第1電流路11の第2部分112)と、リチウムイオン電池5とを接続する。
図2に記載の例では、第2電流路15の一部と、バイパス電流路13の一部とが共用されている。換言すれば、第2電流路15の一部がバイパス電流路13の一部として機能する。本明細書において、第2電流路15のうち、バイパス電流路13の一部を構成する部分のことを共用電流路15bと呼ぶ。
【0036】
図2に記載の例では、第2電流路15に、第2開閉器35が配置されている。より具体的には、第2開閉器35は、共用電流路15bに配置されている。換言すれば、第2開閉器35は、第2電流路15に配置され、且つ、バイパス電流路13に配置されている。第2開閉器35は、例えば、第2コンタクタ(換言すれば、第2接触器)である。
【0037】
第2電流路15には、遮断器88が配置されていてもよい。また、充放電システム1Aは、制御装置7またはバッテリマネジメントユニット(以下、「BMU14」という。)から受け取る指令に基づいて、リチウムイオン電池5を第2電流路15から電気的に切り離す第3開閉器89を備えていてもよい。
【0038】
(切替手段6)
図2および
図3に記載の例では、切替手段6は、バイパス電流路13に配置された開閉器33(より具体的には、第1開閉器33a)と、第2電流路15に配置された第2開閉器35とを含む。
【0039】
図2に例示されるように(矢印AR1を参照。)、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されている状態で(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されている状態で)、第1開閉器33aが開状態に維持され、第2開閉器35が閉状態に維持されることにより、交直変換装置2は、シリコンドロッパ3を介して、リチウムイオン電池5を充電することができる(矢印AR2を参照。)。当該充電の方式は、シリコンドロッパ3を介して行われる充電であるため、上述の第1充電方式M1に該当する。
【0040】
図3に例示されるように(矢印AR3を参照。)、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されている状態で(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されている状態で)、第1開閉器33aが閉状態に維持され、第2開閉器35が開状態に維持されることにより、交直変換装置2は、シリコンドロッパ3をバイパスして、リチウムイオン電池5を充電することができる(矢印AR4を参照。)。当該充電の方式は、シリコンドロッパ3をバイパスして行われる充電であるため、上述の第2充電方式M2に該当する。
【0041】
図4に例示されるように、交直変換装置2から負荷92への電力の供給が途絶されている状態で(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されていない状態で)、第1開閉器33aが閉状態に維持され、第2開閉器35が開状態に維持されることにより、リチウムイオン電池5は、シリコンドロッパ3を介して、負荷92に電力を供給することができる(矢印AR5を参照。)。こうして、リチウムイオン電池5は、バックアップ電源(より具体的には、船内交流母線10の停電時のバックアップ電源)として機能する。
【0042】
図5に例示されるように、交直変換装置2から負荷92への電力の供給が途絶されている状態で(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されていない状態で)、第1開閉器33aが開状態に維持され、第2開閉器35が閉状態に維持されることにより、リチウムイオン電池5は、シリコンドロッパ3をバイパスして、負荷92に電力を供給することができる(矢印AR6を参照。)。こうして、リチウムイオン電池5は、バックアップ電源(より具体的には、船内交流母線10の停電時のバックアップ電源)として機能する。
【0043】
(制御装置7)
図2に記載の例では、充放電システム1Aは、制御装置7を備える。制御装置7は、開閉器33(より具体的には、第1開閉器33a)と、第2電流路15に配置された第2開閉器35とを制御する。制御装置7は、1つのコンピュータを含んでいてもよいし、複数のコンピュータを含んでいてもよい。
【0044】
制御装置7が、開閉器33(より具体的には、第1開閉器33a)に、第1閉指令を送信することにより、開閉器33(より具体的には、第1開閉器33a)の状態が、開状態から閉状態に切り替えられるように構成されてもよい。また、制御装置7が、開閉器33(より具体的には、第1開閉器33a)に、第1開指令を送信することにより、開閉器33(より具体的には、第1開閉器33a)の状態が、閉状態から開状態に切り替えられるように構成されてもよい。
【0045】
制御装置7が、第2開閉器35に、第2閉指令を送信することにより、第2開閉器35の状態が、開状態から閉状態に切り替えられるように構成されてもよい。また、制御装置7が、第2開閉器35に、第2開指令を送信することにより、第2開閉器35の状態が、閉状態から開状態に切り替えられるように構成されてもよい。
【0046】
(充電状態検出器83)
充放電システム1Aは、リチウムイオン電池5の充電状態を検出する充電状態検出器83を備えていてもよい。制御装置7は、充電状態検出器83からリチウムイオン電池5の充電状態を示す信号を受け取り、当該信号に基づいて、開閉器33(より具体的には、第1開閉器33a)、および、第2開閉器35を制御する。
【0047】
(判定器85)
充放電システム1Aは、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されている状態(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されている状態)であるか否かを判定する判定器85を備えていてもよい。判定器85は、制御装置7によって構成されていてもよいし、制御装置7とは別の装置によって構成されていてもよい。判定器85は、船内交流母線10の電圧、および/または、電流に基づいて、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されている状態であるか否かを判定してもよいし、
図7に例示されるように、AC/DC変換器23を監視することにより、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されている状態であるか否かを判定してもよい。
【0048】
(リチウムイオン電池5の充電)
図2あるいは
図3に例示されるように、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されている状態(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されている状態)を想定する。より具体的には、判定器85によって、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されていると判定される場合を想定する。
【0049】
図2および
図3に記載の例において、制御装置7は、充電状態検出器83から受け取るリチウムイオン電池5の充電状態を示す信号に基づいて、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であるか、充電量が相対的に多い第2状態であるかを判定する。リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であると判定されるとき、制御装置7は、第1開閉器33aの状態が開状態とされ、第2開閉器35の状態が閉状態とされるように、第1開閉器33aおよび第2開閉器35を制御する(
図2を参照。)。また、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第2状態であると判定されるとき、制御装置7は、第1開閉器33aの状態が閉状態とされ、第2開閉器35の状態が開状態とされるように、第1開閉器33aおよび第2開閉器35を制御する(
図3を参照。)。
【0050】
充電状態検出器83は、リチウムイオン電池5の端子電圧を検出する電圧検出器84aを含んでいてもよい。この場合、電圧検出器84aによって検出されるリチウムイオン電池5の端子電圧が第1閾値TH1以下であるとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であると判定してもよい。また、電圧検出器84aによって検出されるリチウムイオン電池5の端子電圧が第1閾値TH1より大きいとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第2状態であると判定してもよい。電圧検出器84aは、BMU14に含まれていてもよい。
【0051】
代替的に、あるいは、付加的に、充電状態検出器83は、リチウムイオン電池5の充電率(State Of Charge)を検出する充電率検出装置84bを含んでいてもよい。この場合、充電率検出装置84bによって検出されるリチウムイオン電池5の充電率が第2閾値TH2以下であるとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であると判定してもよい。また、充電率検出装置84bによって検出されるリチウムイオン電池5の充電率が第2閾値TH2より大きいとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第2状態であると判定してもよい。充電率検出装置84bは、BMU14に含まれていてもよい。
【0052】
(リチウムイオン電池5の放電)
図4あるいは
図5に例示されるように、交直変換装置2から負荷92への電力の供給が途絶されている状態(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されていない状態)を想定する。より具体的には、判定器85によって、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されていないと判定される場合を想定する。
【0053】
図4および
図5に記載の例において、制御装置7は、充電状態検出器83から受け取るリチウムイオン電池5の充電状態を示す信号に基づいて、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であるか、充電量が相対的に少ない第4状態であるかを判定する。リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であると判定されるとき、制御装置7は、第1開閉器33aの状態が閉状態とされ、第2開閉器35の状態が開状態とされるように、第1開閉器33aおよび第2開閉器35を制御する(
図4を参照。)。また、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第4状態であると判定されるとき、制御装置7は、第1開閉器33aの状態が開状態とされ、第2開閉器35の状態が閉状態とされるように、第1開閉器33aおよび第2開閉器35を制御する(
図5を参照。)。
【0054】
充電状態検出器83は、リチウムイオン電池5の端子電圧を検出する電圧検出器84aを含んでいてもよい。この場合、電圧検出器84aによって検出されるリチウムイオン電池5の端子電圧が第3閾値TH3より大きいとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であると判定してもよい。また、電圧検出器84aによって検出されるリチウムイオン電池5の端子電圧が第3閾値TH3以下であるとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第4状態であると判定してもよい。なお、第3閾値TH3の値は、上述の第1閾値TH1の値と同じであってもよいし、上述の第1閾値TH1の値と異なっていてもよい。
【0055】
代替的に、あるいは、付加的に、充電状態検出器83は、リチウムイオン電池5の充電率(State Of Charge)を検出する充電率検出装置84bを含んでいてもよい。この場合、充電率検出装置84bによって検出されるリチウムイオン電池5の充電率が第4閾値TH4より大きいとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であると判定してもよい。また、充電率検出装置84bによって検出されるリチウムイオン電池5の充電率が第4閾値TH4以下であるとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第4状態であると判定してもよい。なお、第4閾値TH4の値は、上述の第2閾値TH2の値と同じであってもよいし、上述の第2閾値TH2の値と異なっていてもよい。
【0056】
(リチウムイオン電池5)
リチウムイオン電池5は、1つの電池ユニットUによって構成されていてもよいし、複数の電池ユニットUによって構成されていてもよい。リチウムイオン電池5が複数の電池ユニットUによって構成される場合、複数の電池ユニットUのいくつかは、電気的に並列的に接続されていてもよい。代替的に、あるいは、付加的に、リチウムイオン電池5が複数の電池ユニットUによって構成される場合、複数の電池ユニットUのいくつかは、電気的に直列的に接続されていてもよい。
【0057】
(BMU14)
充放電システム1Aは、BMU14を備えていてもよい。BMU14は、リチウムイオン電池5を監視し、リチウムイオン電池5を保護する。BMU14は、例えば、リチウムイオン電池5の過放電を防止する機能を有する。BMU14は、リチウムイオン電池5の温度、電圧、電流等を監視し、温度、電圧、電流等が異常値を示す場合に、リチウムイオン電池5の充電を停止させてもよい。各BMU14が、対応する電池ユニットUを監視、保護してもよいし、1つのBMU14が、複数の電池ユニットUを監視、保護してもよい。
【0058】
(負荷側配電回路91、負荷92)
充放電システム1Aは、負荷92と、第1電流路11とを接続する負荷側配電回路91を備えていてもよい。負荷側配電回路91は、複数の接続スイッチ912を有していてもよい。接続スイッチ912がONであるとき、第1電流路11から、接続スイッチ912を介して、負荷92に電力が供給される。
【0059】
(第2の実施形態)
図6乃至
図10を参照して第2の実施形態における充放電システム1Bについて説明する。
図6乃至
図10は、第2の実施形態における充放電システム1Bの回路構成の一例を模式的に示す図である。なお、
図7および
図8には、リチウムイオン電池5が充電されている様子が示され、
図9および
図10には、リチウムイオン電池5から負荷92に向けて電力が供給されている様子が示されている。
【0060】
(構成・作用)
第2の実施形態では、切替手段6が、定電流方式でリチウムイオン電池5を充電する第3充電方式M3と、定電圧方式でリチウムイオン電池5を充電する第4充電方式M4との間で、充電方式を切り替え可能なように構成される。
【0061】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。他方、第2の実施形態では、第1の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。したがって、第2の実施形態において、明示的に説明をしなかったとしても、第1の実施形態において説明済みの事項を第2の実施形態に適用できることは言うまでもない。
【0062】
第2の実施形態における充放電システム1Bは、
図6に例示されるように、(1)交流電力を直流電力に変換する交直変換装置2と、(2)交直変換装置2から負荷92に向けて電流を供給する第1電流路11と、(3)第1電流路11に配置され、電圧を降圧させるシリコンドロッパ3と、(4)交直変換装置2から負荷92に向けて、シリコンドロッパ3をバイパスして、電流を供給するバイパス電流路13と、(5)バイパス電流路13に配置される開閉器33と、(6)交直変換装置2から供給される電流を受け取ることにより充電され、放電によって負荷92に電力を供給するリチウムイオン電池5と、(7)リチウムイオン電池5の充電時に交直変換装置2からリチウムイオン電池5に過電流が流れるのが防止されるよう、リチウムイオン電池5の充電状態に応じて、充電方式を切り替える切替手段6と、を具備する。第1電流路11、シリコンドロッパ3、バイパス電流路13、開閉器33、リチウムイオン電池5については、第1の実施形態において説明済みであるため、第2の実施形態において、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0063】
切替手段6は、リチウムイオン電池5の充電時に交直変換装置2からリチウムイオン電池5に過電流が流れるのが防止されるよう、リチウムイオン電池5の充電状態(より具体的には、リチウムイオン電池5の端子電圧、または、リチウムイオン電池5の充電率(換言すれば、充電容量に対する充電量))に応じて、充電方式を切り替える。
【0064】
図7および
図8に記載の例では、切替手段6は、定電流方式でリチウムイオン電池5を充電する第3充電方式M3(
図7を参照。)と、定電圧方式でリチウムイオン電池5を充電する第4充電方式M4(
図8を参照。)との間で、充電方式を切り替える。
【0065】
図7および
図8に記載の例において、切替手段6は、制御装置7によって制御可能な交直変換装置2(より具体的には、制御装置7によって制御可能な少なくとも1つのAC/DC変換器23)を含む。
【0066】
図7に記載の例において、制御装置7が、リチウムイオン電池5を充電する充電電流が実質的に一定となるように交直変換装置2を制御することにより、第3充電方式M3でリチウムイオン電池5が充電されるように構成される。また、
図8に記載の例において、制御装置7が、リチウムイオン電池5を充電する充電電圧が実質的に一定となるように交直変換装置2を制御することにより、第4充電方式M4でリチウムイオン電池5が充電されるように構成される。
【0067】
(効果)
第2の実施形態では、鉛蓄電池の代わりに、リチウムイオン電池5が採用されることにより、鉛蓄電池の採用に付随するスペース確保の制約が低減される。また、第2の実施形態における充放電システム1Bは、リチウムイオン電池5の充電状態(より具体的には、リチウムイオン電池5の端子電圧、または、リチウムイオン電池5の充電率)に応じて、充電方式を切り替える切替手段6を備える。当該切替手段6を用いることにより、リチウムイオン電池5の充電時に、リチウムイオン電池5の端子電圧が低い場合でも(あるいは、リチウムイオン電池5の充電率が小さい場合でも)、交直変換装置2からリチウムイオン電池5に過電流が流れるのが防止される。
【0068】
より具体的には、定電流方式でリチウムイオン電池5が充電されることにより、リチウムイオン電池5の端子電圧が低い場合でも(あるいは、リチウムイオン電池5の充電率が小さい場合でも)、交直変換装置2からリチウムイオン電池5に過電流が流れるのが防止される。
【0069】
また、
図7および
図8に記載の例では、制御装置7によって交直変換装置2が制御されることにより、リチウムイオン電池5の充電方式が、定電流方式と定電圧方式との間で切り替えられる。よって、シンプルな構成で、充電方式の切り替えが実現される。
【0070】
(任意付加的な構成)
図6乃至
図10を参照して、第2の実施形態における充放電システム1Bにおいて採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0071】
(船舶における充放電システム)
第2の実施形態における充放電システム1Bは、船舶における充放電システムであってもよい。より具体的には、充放電システム1Bは、船内交流母線10を有していてもよい。船内交流母線10には、高圧交流電流(例えば、440Vの交流電流)が流れる。船内交流母線10は、配電線を介して、船内の各所に電力を供給する。船内交流母線10は、船舶の推進器(例えば、スクリューを駆動するモータ)に電力を供給してもよい。
【0072】
図7に記載の例では、交直変換装置2は、船内交流母線10から交流電力を受け取り、第1電流路11に直流電力を供給する。交直変換装置2は、変圧器81を介して、船内交流母線10から交流電力を受け取ってもよい。変圧器81は、船内交流母線10の電圧を降圧させ、降圧された電圧が交直変換装置2に供給される。変圧器81は、例えば、440Vの船内交流母線10の電圧を、220Vに降圧させる。船内交流母線10と、変圧器81との間には、遮断器82が配置されていてもよい。
【0073】
船舶において、鉛蓄電池は、専用の区画に設置する必要がある。換言すれば、船舶では、鉛蓄電池を設置する蓄電池室が必要である。鉛蓄電池の少なくとも一部(好ましくは、鉛蓄電池の全部)を、リチウムイオン電池5に代えることにより、蓄電池室を省略するか、あるいは、蓄電池室を小型化することができる。こうして、船内スペースの配置の制約を解消、または、低減できる。例えば、リチウムイオン電池5を、充放電盤と同じ盤内に配置することも可能である。また、鉛蓄電池の一般的な交換周期は3~5年程度であるが、リチウムイオン電池5が採用される場合には、当該交換周期をより長くすることができる。
【0074】
(交直変換装置2)
図7に記載の例では、交直変換装置2は、制御装置7によって制御可能な少なくとも1つのAC/DC変換器23を含む。AC/DC変換器23は、交流電力を直流電力に変換する。
【0075】
図7に記載の例では、交直変換装置2は、複数のAC/DC変換器23を含み、複数のAC/DC変換器23が、電気的に並列に接続されている。複数のAC/DC変換器23が設けられる場合、1台のAC/DC変換器23の容量が小さい場合でも、複数のAC/DC変換器23の全体で、大きな交流電力を、直流電力に変換することができる。なお、1台のAC/DC変換器23で十分な容量が確保される場合には、交直変換装置2は、1台のAC/DC変換器23のみを有していてもよい。
【0076】
充放電システム1Bは、リチウムイオン電池5の充電電圧を検出する電圧検出器86a、および/または、リチウムイオン電池5の充電電流を検出する電流検出器86bを備えていてもよい。
【0077】
定電流方式(換言すれば、第3充電方式M3)でリチウムイオン電池5が充電される際に、制御装置7は、リチウムイオン電池5を充電する充電電流を示す信号を電流検出器86bから受け取り、当該信号に基づいて、当該充電電流が実質的に一定になるように、交直変換装置2(より具体的には、各AC/DC変換器23)を制御してもよい。例えば、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電電流が60A程度(例えば、55A以上65A以下)で一定となるように、交直変換装置2(より具体的には、各AC/DC変換器23)を制御してもよい。
【0078】
また、定電圧方式(換言すれば、第4充電方式M4)でリチウムイオン電池5が充電される際に、制御装置7は、リチウムイオン電池5を充電する充電電圧を示す信号を電圧検出器86aから受け取り、当該信号に基づいて、当該充電電圧が実質的に一定になるように、交直変換装置2(より具体的には、各AC/DC変換器23)を制御してもよい。例えば、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電電圧が29.6V程度(例えば、27V以上33V以下)で一定となるように、交直変換装置2(より具体的には、各AC/DC変換器23)を制御してもよい。なお、
図8に記載の例では、リチウムイオン電池5を充電する充電電圧は、交直変換装置2の出力電圧と実質的に等しい。
【0079】
複数のAC/DC変換器23の出力電圧間にバラつきがあると、複数のAC/DC変換器23間で横流が発生する。そこで、定電圧方式(換言すれば、第4充電方式M4)でリチウムイオン電池5が充電される際に、制御装置7は、複数のAC/DC変換器23の出力電圧のバラつきが防止され、複数のAC/DC変換器23の出力電圧の各々が、予め設定された設定電圧になるように、複数のAC/DC変換器23を制御することが好ましい。
【0080】
図7および
図8に記載の例において、交直変換装置2への交流入力電圧は、例えば、220V程度(200V以上240V以下)である。また、
図8に記載の例において、交直変換装置2の直流出力電圧は、例えば、29.6V程度(例えば、27V以上33V以下)で一定である。
【0081】
(第1電流路11、バイパス電流路13)
第1電流路11、バイパス電流路13については、第1の実施形態において説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0082】
(開閉器33)
開閉器33は、バイパス電流路13に配置される。また、開閉器33は、制御装置7によって制御される。
図7に例示されるように、定電流方式(換言すれば、第3充電方式M3)でリチウムイオン電池5が充電される際に、リチウムイオン電池5を充電する充電電圧が相対的に低い場合には(例えば、充電電圧が第5閾値TH5以下である場合には)、開閉器33は、閉状態にされることが好ましい。この場合、リチウムイオン電池5が定電流方式で充電されるとともに、交直変換装置2から、シリコンドロッパ3をバイパスして、負荷92に電力が供給されることとなる。他方、定電流方式(換言すれば、第3充電方式M3)でリチウムイオン電池5が充電される際に、リチウムイオン電池5を充電する充電電圧が相対的に高い場合には(例えば、充電電圧が第5閾値TH5より高い場合には)、開閉器33は、開状態にされることが好ましい。この場合、リチウムイオン電池5が定電流方式で充電されるとともに、交直変換装置2から、シリコンドロッパ3を介して、負荷92に電力が供給されることとなる。
【0083】
(第2電流路15)
図7に記載の例では、充放電システム1Bは、第2電流路15を有する。第2電流路15は、第1電流路11のうちの交直変換装置2とシリコンドロッパ3との間の部分(換言すれば、第1電流路11の第1部分111)と、リチウムイオン電池5とを接続する。
【0084】
(切替手段6)
図7および
図8に記載の例では、切替手段6は、交直変換装置2を含む。
図7に記載の例では、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されている状態で(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されている状態で)、制御装置7が、リチウムイオン電池5を充電する充電電流が実質的に一定になるように交直変換装置2を制御することにより、切替手段6(より具体的には、交直変換装置2)は、定電流方式でリチウムイオン電池5を充電する(矢印AR7、および、矢印AR8を参照。)。
【0085】
図8に記載の例では、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されている状態で(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されている状態で)、制御装置7が、リチウムイオン電池5を充電する充電電圧が実質的に一定になるように交直変換装置2を制御することにより、切替手段6(より具体的には、交直変換装置2)は、定電圧方式でリチウムイオン電池5を充電する(矢印AR9、および、矢印AR10を参照。)。
【0086】
図9に例示されるように、交直変換装置2から負荷92への電力の供給が途絶されている状態で(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されていない状態で)、開閉器33が開状態に維持されることにより、リチウムイオン電池5は、シリコンドロッパ3を介して、負荷92に電力を供給することができる(矢印AR11を参照。)。こうして、リチウムイオン電池5は、バックアップ電源(より具体的には、船内交流母線10の停電時のバックアップ電源)として機能する。
【0087】
図10に例示されるように、交直変換装置2から負荷92への電力の供給が途絶されている状態で(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されていない状態で)、開閉器33が閉状態に維持されることにより、リチウムイオン電池5は、シリコンドロッパ3をバイパスして、負荷92に電力を供給することができる(矢印AR12を参照。)。こうして、リチウムイオン電池5は、バックアップ電源(より具体的には、船内交流母線10の停電時のバックアップ電源)として機能する。
【0088】
(制御装置7)
図7に記載の例では、充放電システム1Bは、制御装置7を備える。制御装置7は、開閉器33と、交直変換装置2(より具体的には、複数のAC/DC変換器23)とを制御する。制御装置7は、1つのコンピュータを含んでいてもよいし、複数のコンピュータを含んでいてもよい。
【0089】
制御装置7が、開閉器33に、閉指令を送信することにより、開閉器33の状態が、開状態から閉状態に切り替えられるように構成されてもよい。また、制御装置7が、開閉器33に、開指令を送信することにより、開閉器33の状態が、閉状態から開状態に切り替えられるように構成されてもよい。
【0090】
(充電状態検出器83)
充放電システム1Bは、リチウムイオン電池5の充電状態を検出する充電状態検出器83を備えていてもよい。制御装置7は、充電状態検出器83からリチウムイオン電池5の充電状態を示す信号を受け取り、当該信号に基づいて、開閉器33、および、交直変換装置2(より具体的には、複数のAC/DC変換器23)を制御する。
【0091】
(判定器85)
充放電システム1Bは、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されている状態(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されている状態)であるか否かを判定する判定器85を備えていてもよい。判定器85は、制御装置7によって構成されていてもよいし、制御装置7とは別の装置によって構成されていてもよい。判定器85は、船内交流母線10の電圧、および/または、電流に基づいて、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されている状態であるか否かを判定してもよいし、AC/DC変換器23を監視することにより、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されている状態であるか否かを判定してもよい。
【0092】
(リチウムイオン電池5の充電)
図7あるいは
図8に例示されるように、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されている状態(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されている状態)を想定する。より具体的には、判定器85によって、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されていると判定される場合を想定する。
【0093】
図7および
図8に記載の例において、制御装置7は、充電状態検出器83から受け取るリチウムイオン電池5の充電状態を示す信号に基づいて、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であるか、充電量が相対的に多い第2状態であるかを判定する。
【0094】
リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であると判定されるとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5を充電する充電電流が実質的に一定となるように交直変換装置2(より具体的には、複数のAC/DC変換器23)を制御する(
図7を参照。)。付加的に、充電量が相対的に少ない第1状態であると判定されるとき、制御装置7は、開閉器33の状態が閉状態となるように開閉器33を制御してもよい。
【0095】
リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第2状態であると判定されるとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5を充電する充電電圧が実質的に一定となるように交直変換装置2(より具体的には、複数のAC/DC変換器23)を制御する(
図8を参照。)。付加的に、充電量が相対的に多い第2状態であると判定されるとき、制御装置7は、開閉器33の状態が開状態となるように開閉器33を制御してもよい。
【0096】
充電状態検出器83は、リチウムイオン電池5の端子電圧を検出する電圧検出器84aを含んでいてもよい。この場合、電圧検出器84aによって検出されるリチウムイオン電池5の端子電圧が第1閾値TH1以下であるとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であると判定してもよい。また、電圧検出器84aによって検出されるリチウムイオン電池5の端子電圧が第1閾値TH1より大きいとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第2状態であると判定してもよい。電圧検出器84aは、BMU14に含まれていてもよい。
【0097】
代替的に、あるいは、付加的に、充電状態検出器83は、リチウムイオン電池5の充電率(State Of Charge)を検出する充電率検出装置84bを含んでいてもよい。この場合、充電率検出装置84bによって検出されるリチウムイオン電池5の充電率が第2閾値TH2以下であるとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であると判定してもよい。また、充電率検出装置84bによって検出されるリチウムイオン電池5の充電率が第2閾値TH2より大きいとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第2状態であると判定してもよい。充電率検出装置84bは、BMU14に含まれていてもよい。
【0098】
(リチウムイオン電池5の放電)
図9あるいは
図10に例示されるように、交直変換装置2から負荷92への電力の供給が途絶されている状態(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されていない状態)を想定する。より具体的には、判定器85によって、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されていないと判定される場合を想定する。
【0099】
図9および
図10に記載の例において、制御装置7は、充電状態検出器83から受け取るリチウムイオン電池5の充電状態を示す信号に基づいて、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であるか、充電量が相対的に少ない第4状態であるかを判定する。
【0100】
リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であると判定されるとき、制御装置7は、開閉器33の状態が開状態とされるように、開閉器33を制御する(
図9を参照。)。他方、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第4状態であると判定されるとき、制御装置7は、開閉器33の状態が閉状態とされるように、開閉器33を制御する(
図10を参照。)
【0101】
充電状態検出器83は、リチウムイオン電池5の端子電圧を検出する電圧検出器84aを含んでいてもよい。この場合、電圧検出器84aによって検出されるリチウムイオン電池5の端子電圧が第3閾値TH3より大きいとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であると判定してもよい。また、電圧検出器84aによって検出されるリチウムイオン電池5の端子電圧が第3閾値TH3以下であるとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第4状態であると判定してもよい。なお、第3閾値TH3の値は、上述の第1閾値TH1の値と同じであってもよいし、上述の第1閾値TH1の値と異なっていてもよい。
【0102】
代替的に、あるいは、付加的に、充電状態検出器83は、リチウムイオン電池5の充電率(State Of Charge)を検出する充電率検出装置84bを含んでいてもよい。この場合、充電率検出装置84bによって検出されるリチウムイオン電池5の充電率が第4閾値TH4より大きいとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であると判定してもよい。また、充電率検出装置84bによって検出されるリチウムイオン電池5の充電率が第4閾値TH4以下であるとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第4状態であると判定してもよい。なお、第4閾値TH4の値は、上述の第2閾値TH2の値と同じであってもよいし、上述の第2閾値TH2の値と異なっていてもよい。
【0103】
(リチウムイオン電池5、BMU14)
リチウムイオン電池5、BUM14については、第1の実施形態において説明済みであるため、これらの構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0104】
(充放電方法)
図1乃至
図11を参照して、実施形態における充放電方法について説明する。
図11は、充電工程における充電電圧の変化および充電電流の変化の一例を示すグラフである。
【0105】
実施形態における充放電方法は、第1の実施形態における充放電システム1Aを用いて実行されてもよいし、第2の実施形態における充放電システム1Bを用いて実行されてもよいし、他の充放電システムを用いて実行されてもよい。第1の実施形態における充放電システム1A、第2の実施形態における充放電システム1Bについては、説明済みであるため、これらのシステムについての繰り返しとなる説明は省略する。
【0106】
図1、あるいは、
図6に例示されるように、実施形態における充放電方法において用いられる充放電システム1は、(1)交流電力を直流電力に変換する交直変換装置2と、(2)交直変換装置2から負荷92に向けて電流を供給する第1電流路11と、(3)第1電流路11に配置され、電圧を降圧させるシリコンドロッパ3と、(4)交直変換装置2から負荷92に向けて、シリコンドロッパ3をバイパスして、電流を供給するバイパス電流路13と、(5)バイパス電流路13に配置される開閉器33と、(6)交直変換装置2から供給される電流を受け取ることにより充電され、放電によって負荷92に電力を供給するリチウムイオン電池5と、を具備する。
【0107】
図2、あるいは、
図7に例示されるように、実施形態における充放電方法は、上述の第1充電方式M1(換言すれば、シリコンドロッパ3を介して充電する方式)、および、上述の第3充電方式M3(換言すれば、定電流充電方式)のうちの少なくとも一方の方式によりリチウムイオン電池5を充電すること(以下、「第1充電工程」という。)を含む。
【0108】
第1充電工程は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であるときに実行される。第1充電工程は、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されている状態で実行されることが好ましい(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されている状態で実行されることが好ましい。)。
【0109】
リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であるか否かは、制御装置7によって判定される。例えば、電圧検出器84aによって検出されるリチウムイオン電池5の端子電圧が第1閾値TH1以下であるとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であると判定する。代替的に、あるいは、付加的に、充電率検出装置84bによって検出されるリチウムイオン電池5の充電率が第2閾値TH2以下であるとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であると判定してもよい。
【0110】
図2に記載の例では、第1充電工程は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であるとき、シリコンドロッパ3を介してリチウムイオン電池5を充電する第1充電方式M1によりリチウムイオン電池5を充電することを含む。
【0111】
より具体的には、
図2に記載の例では、第1充電工程は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であるとき、開閉器33を開状態に維持し、第2開閉器35を閉状態に維持することにより、シリコンドロッパ3を介してリチウムイオン電池5を充電することを含む。第1充電工程は、交直変換装置2から負荷92に、シリコンドロッパ3を介して電力が供給されている状態で実行されてもよい。
【0112】
図2に記載の例では、シリコンドロッパ3を介して充電が行われることにより、リチウムイオン電池5の端子電圧とリチウムイオン電池5の充電電圧との間の電位差が小さくなり、リチウムイオン電池5に過電流が流れることが防止される。
【0113】
図7に記載の例では、第1充電工程は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第1状態であるとき、定電流方式でリチウムイオン電池5を充電する第3充電方式M3によりリチウムイオン電池5を充電することを含む。
【0114】
より具体的には、
図7に記載の例では、第1充電工程は、リチウムイオン電池5を充電する充電電流が実質的に一定になるように、制御装置7が、交直変換装置2(より具体的には、各AC/DC変換器23)を制御することを含む(
図11における領域RG1を参照。)。
図7に例示されるように、第1充電工程は、交直変換装置2から負荷92に、シリコンドロッパ3をバイパスして電力が供給されている状態で実行されてもよい。
【0115】
図7に記載の例では、定電流方式で充電が行われることにより、リチウムイオン電池5に過電流が流れることが防止される。
【0116】
図3、あるいは、
図8に例示されるように、実施形態における充放電方法は、上述の第2充電方式M2(換言すれば、シリコンドロッパ3をバイパスして充電する方式)、および、上述の第4充電方式M4(換言すれば、定電圧充電方式)のうちの少なくとも一方の方式によりリチウムイオン電池5を充電すること(以下、「第2充電工程」という。)を含む。
【0117】
第2充電工程は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第2状態であるときに実行される。第2充電工程は、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されている状態で実行されることが好ましい(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2を介して負荷92に電力が供給されている状態で実行されることが好ましい。)。
【0118】
リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第2状態であるか否かは、制御装置7によって判定される。例えば、電圧検出器84aによって検出されるリチウムイオン電池5の端子電圧が第1閾値TH1より大きいとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第2状態であると判定する。代替的に、あるいは、付加的に、充電率検出装置84bによって検出されるリチウムイオン電池5の充電率が第2閾値TH2より大きいとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第2状態であると判定してもよい。
【0119】
図3に記載の例では、第2充電工程は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第2状態であるとき、シリコンドロッパ3をバイパスしてリチウムイオン電池5を充電する第2充電方式M2によりリチウムイオン電池5を充電することを含む。
【0120】
より具体的には、
図3に記載の例では、第2充電工程は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第2状態であるとき、開閉器33を閉状態に維持し、第2開閉器35を開状態に維持することにより、シリコンドロッパ3をバイパスしてリチウムイオン電池5を充電することを含む。第2充電工程は、交直変換装置2から負荷92に、シリコンドロッパ3を介して電力が供給されている状態で実行されてもよい。
【0121】
図3に記載の例では、シリコンドロッパ3をバイパスして充電が行われることにより、リチウムイオン電池5の端子電圧が十分な電圧となるよう(換言すれば、十分な充電量が確保されるよう)、リチウムイオン電池5を充電することができる。
【0122】
図8に記載の例では、第2充電工程は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第2状態であるとき、定電圧方式でリチウムイオン電池5を充電する第4充電方式M4によりリチウムイオン電池5を充電することを含む。
【0123】
より具体的には、
図8に記載の例では、第2充電工程は、リチウムイオン電池5を充電する充電電圧が実質的に一定になるように、制御装置7が、交直変換装置2(より具体的には、各AC/DC変換器23)を制御することを含む(
図11における領域RG2を参照。)。
図8に例示されるように、第2充電工程は、交直変換装置2から負荷92に、シリコンドロッパ3を介して電力が供給されている状態で実行されてもよい。
【0124】
図8に記載の例では、定電圧方式で充電が行われることにより、リチウムイオン電池5の端子電圧が十分な電圧となるよう(換言すれば、十分な充電量が確保されるよう)、リチウムイオン電池5を充電することができる。
【0125】
図4、あるいは、
図9に例示されるように、実施形態における充放電方法は、リチウムイオン電池5が、シリコンドロッパ3を介して負荷92に電力を供給すること(以下、「第1放電工程」という。)を含む。
【0126】
第1放電工程は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であるときに実行される。第1放電工程は、例えば、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されていない状態で実行される(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2への電力の供給が途絶している状態で実行される。)。
【0127】
リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であるか否かは、制御装置7によって判定される。例えば、電圧検出器84aによって検出されるリチウムイオン電池5の端子電圧が第3閾値TH3より大きいとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であると判定する。代替的に、あるいは、付加的に、充電率検出装置84bによって検出されるリチウムイオン電池5の充電率が第4閾値TH4より大きいとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であると判定してもよい。
【0128】
図4に記載の例では、第1放電工程は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であるとき、開閉器33を閉状態に維持し、第2開閉器35を開状態に維持することにより、リチウムイオン電池5から、シリコンドロッパ3を介して、負荷92に電力を供給することを含む。
【0129】
なお、
図4に記載の例において、リチウムイオン電池5からシリコンドロッパ3を介して負荷92に給電されている状態から、船内交流母線10から交直変換装置2への電力の供給が再開されるとき、開閉器33は閉状態に維持され、第2開閉器35は開状態に維持される。他方、
図4に記載の例において、リチウムイオン電池5からの放電によって、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態から充電量が相対的に少ない第4状態になると(例えば、リチウムイオン電池5の端子電圧が第3閾値TH3以下になると)、開閉器33が閉状態から開状態に切り替えられ、第2開閉器35が開状態から閉状態に切り替えられる(
図5を参照。)。一例として、負荷側の許容電圧範囲が21V~26Vであり、シリコンドロッパ3による電圧降下量が2Vである場合を想定する。この場合、リチウムイオン電池5の端子電圧が24V~28Vであれば、
図4に例示されるように、リチウムイオン電池5からシリコンドロッパ3を介して22V~26Vの電圧が負荷92に作用する。他方、リチウムイオン電池5の端子電圧が21V~24Vであれば、
図5に例示されるように、リチウムイオン電池5からシリコンドロッパ3を介さずに21V~24Vの電圧がそのまま負荷92に作用する。
【0130】
図9に記載の例では、第1放電工程は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に多い第3状態であるとき、開閉器33を開状態に維持することにより、リチウムイオン電池5から、シリコンドロッパ3を介して、負荷92に電力を供給することを含む。
【0131】
図4、および、
図9に記載の例では、リチウムイオン電池5からシリコンドロッパ3を介して負荷92に電力が供給されることにより、充電量が相対的に多いリチウムイオン電池5の端子電圧と、負荷92の仕様電圧との間の電位差が大きい場合でも、負荷92に好適に電力を供給することができる。
【0132】
図5、あるいは、
図10に例示されるように、実施形態における充放電方法は、リチウムイオン電池5が、シリコンドロッパ3をバイパスして負荷92に電力を供給すること(以下、「第2放電工程」という。)を含む。
【0133】
第2放電工程は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第4状態であるときに実行される。第2放電工程は、例えば、交直変換装置2から負荷92に電力が供給されていない状態で実行される(より具体的には、船内交流母線10から交直変換装置2への電力の供給が途絶している状態で実行される。)。
【0134】
リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第4状態であるか否かは、制御装置7によって判定される。例えば、電圧検出器84aによって検出されるリチウムイオン電池5の端子電圧が第3閾値TH3以下であるとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第4状態であると判定する。代替的に、あるいは、付加的に、充電率検出装置84bによって検出されるリチウムイオン電池5の充電率が第4閾値TH4以下であるとき、制御装置7は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第4状態であると判定してもよい。
【0135】
図5に記載の例では、第2放電工程は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第4状態であるとき、開閉器33を開状態に維持し、第2開閉器35を閉状態に維持することにより、リチウムイオン電池5から、シリコンドロッパ3をバイパスして、負荷92に電力を供給することを含む。
【0136】
なお、
図5に記載の例において、リチウムイオン電池5からシリコンドロッパ3をバイパスして負荷92に給電されている状態から、船内交流母線10から交直変換装置2への電力の供給が再開されるとき、開閉器33は開状態に維持され、第2開閉器35は閉状態に維持される。その後、交直変換装置2からの給電によりリチウムイオン電池5の充電量が増加すると、開閉器33が開状態から閉状態に切り替えられ、第2開閉器35が閉状態から開状態に切り替えられる(
図2に示される状態から
図3に示される状態への変化を参照。)。
【0137】
図10に記載の例では、第2放電工程は、リチウムイオン電池5の充電状態が、充電量が相対的に少ない第4状態であるとき、開閉器33を閉状態に維持することにより、リチウムイオン電池5から、シリコンドロッパ3をバイパスして、負荷92に電力を供給することを含む。
【0138】
なお、
図10に記載の例において、船内交流母線10から交直変換装置2への電力の供給が再開される際に、交直変換装置2の出力電圧(換言すれば、リチウムイオン電池5を充電する充電電圧)が相対的に低い場合には、開閉器33は閉状態に維持されることが好ましい。その後、リチウムイオン電池5の充電量が増加し、交直変換装置2の出力電圧(換言すれば、リチウムイオン電池5を充電する充電電圧)が相対的に高くなると(例えば、リチウムイオン電池5の充電電圧が第5閾値TH5よりも高くなると)、開閉器33は閉状態から開状態に切り替えられることが好ましい。
【0139】
図5、および、
図10に記載の例では、リチウムイオン電池5からシリコンドロッパ3をバイパスして負荷92に電力が供給されることにより、充電量が相対的に少ないリチウムイオン電池5の端子電圧と、負荷92の仕様電圧との間の電位差が小さい場合に、負荷92に好適に電力を供給することができる。
【0140】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態又は各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態又は各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態又は他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態又は各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【0141】
例えば、
図5、および、
図10には、リチウムイオン電池5からシリコンドロッパ3の全体をバイパスして負荷92に電力が供給される例が示されている。代替的に、上述の第1の実施形態における充放電システム1A、上述の第2の実施形態における充放電システム1B、あるいは、上述の実施形態における充放電方法において、リチウムイオン電池5から複数のシリコンドロッパ(3、3’)のうちの一部(3)をバイパスして負荷92に電力が供給されてもよい(
図12を参照。)。また、上述の第1の実施形態における充放電システム1A、上述の第2の実施形態における充放電システム1B、あるいは、上述の実施形態における充放電方法において、多段階式でシリコンドロッパ(3、3’)をバイパス可能なように構成されていてもよい(
図13を参照。)。
【符号の説明】
【0142】
1、1A、1B…充放電システム、2…交直変換装置、3、3’…シリコンドロッパ、5…リチウムイオン電池、6…切替手段、7…制御装置、10…船内交流母線、11…第1電流路、13…バイパス電流路、13a…バイパス電流路の一端、13b…バイパス電流路の他端、15…第2電流路、15b…共用電流路、21…整流器、23…AC/DC変換器、31…シリコンダイオード、33…開閉器、33a…第1開閉器、35…第2開閉器、81…変圧器、82…遮断器、83…充電状態検出器、84a…電圧検出器、84b…充電率検出装置、85…判定器、86a…電圧検出器、86b…電流検出器、88…遮断器、89…第3開閉器、91…負荷側配電回路、92…負荷、111…第1電流路の第1部分、112…第1電流路の第2部分、912…接続スイッチ、M1…第1充電方式、M2…第2充電方式、M3…第3充電方式、M4…第4充電方式、U…電池ユニット