(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】アナログ時計、時間表示方法、および、時間表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G04B 19/00 20060101AFI20240708BHJP
G04G 9/00 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
G04B19/00 B
G04G9/00 304A
(21)【出願番号】P 2024090387
(22)【出願日】2024-06-04
【審査請求日】2024-06-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】396006860
【氏名又は名称】柿見 富雄
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【氏名又は名称】浅野 哲平
(72)【発明者】
【氏名】柿見 富雄
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-259889(JP,A)
【文献】特開平2-170086(JP,A)
【文献】特開平11-211847(JP,A)
【文献】特開2013-072861(JP,A)
【文献】特開2020-109401(JP,A)
【文献】米国特許第8994827(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/00,19/06
G04G 9/00
G04B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字盤が連続的に拡大と縮小を繰り返す動きにより秒の経過を表すことを特徴とする、アナログ時計。
【請求項2】
前記文字盤が、秒の経過に連動しながら徐々に拡大し、その後、徐々に縮小する、請求項1に記載のアナログ時計。
【請求項3】
前記文字盤の動きに応じて当該文字盤の周囲に画像が定期的に現れる、請求項1に記載のアナログ時計。
【請求項4】
文字盤が連続的に拡大と縮小を繰り返す動きにより秒の経過を表すことを特徴とする、時間表示方法。
【請求項5】
コンピュータのディスプレイに時間の経過を表示する時間表示プログラムであって、
前記コンピュータに、請求項4に記載の時間表示方法を実行させる、時間表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ時計、時間表示方法、および、時間表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
時計で時刻を表示する方式は、「デジタル式」と「アナログ式」に大別される。時、分、秒といった時刻要素を数字で表示するデジタル式は、現在の時刻が一意に表示される。一方、それぞれの時刻要素に対応した指針(時針、分針および秒針)が時間の経過に応じて回転するアナログ式は、現在の時刻のみならず、時間(時の流れの2点間)を表示するのにも適している。
【0003】
一般的なアナログ時計は、時針、分針および秒針がすべて右回り(時計回り)方向へ回転するようになっている。また、特許文献1には、秒針が時針、分針とは逆向きの左回り(反時計回り)方向へ回転する時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アナログ時計において新たな感覚の時間表示方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るアナログ時計および時間表示方法は、文字盤が連続的に拡大と縮小を繰り返す動きにより秒の経過を表すことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、コンピュータのディスプレイに時間の経過を表示する時間表示プログラムであって、前記コンピュータに、上記した構成を有する時間表示方法を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アナログ時計において、文字盤自体の全体形状が連続的に拡大・縮小する動きを秒の経過に連動させることにより、文字盤全体の動きを時間(秒)の経過を表す標識として機能させるという、従来の表示方式とは全く異なる新たな感覚の時間表示方式を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るアナログ時計の概略構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係るアナログ時計の動きを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る、アナログ時計、時間表示方法、および、時間表示プログラムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
実施形態に係るアナログ時計10(以下、単に「時計10」という。)は、コンピュータの一種であるスマートフォンが備えるディスプレイに表示されるものである。
【0012】
本実施形態で使用されるスマートフォンには、広く一般に普及している種々の既製品デバイスを採用することができる。このスマートフォンは、CPU、メモリやストレージなどの記憶部、外部機器と通信を行う通信モジュール、バッテリーのほか、ディスプレイおよびタッチパネルといった基本的な構成要素を備えている。
【0013】
スマートフォンには、通常、時計機能が標準装備されている。この時計機能は、携帯電話の通信回線を利用できる場合には、NITZ(Network Identity and Time Zone)と呼ばれる規格に基づいて正確な時刻情報に自動補正される。また、携帯電話の通信回線が利用できない環境であっても、インターネット回線などの通信環境下では、NTP(Network Time Protocol)を使用して時刻情報を正確に自動補正できるように構成されている。そこで、本実施形態では、この時計機能に基づく時刻情報の表示態様に工夫を凝らしている。
【0014】
図1に示すように、時計10は、時刻を表示する時刻表示面12を備える。本実施形態では、時計10が表示されるスマートフォンのディスプレイが時刻表示面12を構成している。なお、本例では、
図1の紙面をスマートフォンのディスプレイに見立てて時刻表示面12を表示しているが、ディスプレイには、時刻要素以外の他の要素(例えば、カレンダーのような日付要素やアプリのアイコンなど)が時刻表示面12に表示されていても構わない。
【0015】
時計10の時刻表示面12は、公知のアナログ時計と同じ基本構成を有する。すなわち、円形をした文字盤14の周縁に沿って1から12までの数字が等ピッチで順に配置され、時間の経過に応じて回転する時針16、分針18によって時刻が表示される。時針16、分針18は、それぞれ、時、分に対応する時刻要素に対応する指針である。
【0016】
円形をした文字盤14の内側には、その円の中心点から放射状に30°間隔の等ピッチで延出する仮想放射線上に、一般的な時計における5分間隔を示す目印線が表示されている。さらに、上記した円の中心点から放射状に6°間隔の等ピッチで延出する仮想放射線上に、一般的な時計における1分間隔を示す目印線が、文字盤14の周縁から中心点に向かって短く表示されている。
【0017】
時針16は、一般的な時計と同様、右回り(時計回り)方向へ12時間で1回転する。分針18も、一般的な時計と同様、右回り(時計回り)方向へ60分で1回転する。
【0018】
上記構成を有する時計10では、時刻要素の「秒」に関する時間経過の表示態様が一般的な時計とは全く異なる構成となっている。以下、時計10における「秒」の経過の表示態様について、
図1及び
図2を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
本実施形態の時計10では、時刻要素の「秒」に対応する指針である秒針に替えて、時針16、分針18と共に文字盤14全体の大きさ(面積)を規則的に変化させる動きにより秒の経過を視覚的に表すように構成されている。本例において、文字盤14は、その半径を少しずつ均等に変化させながら、その全体形状が時間(秒)の経過に応じて拡大する動きと縮小する動きを連続的に繰り返す。具体的には、文字盤14は、予め設定された最大半径の状態(
図1に示す状態)から最小半径の状態(
図2に示す状態)まで徐々に縮小する。その後、文字盤14は、最小半径の状態から最大半径の状態まで徐々に拡大する。これら一連の拡大・縮小の動きを1周期として時間(秒)の経過に連動させて表示することにより、文字盤14全体の動きが秒の経過を表す標識としての機能を果たすのである。
【0020】
また、時計10では、上記した文字盤14の動きに応じて文字盤14の周囲に画像が定期的に現れるように構成されている。本例では、文字盤14が最大半径のときと最小半径のときの差分に相当する領域(
図2にハッチングで示すドーナツ状の領域)が画像表示領域20となっている。文字盤14が最大半径の状態から徐々に縮小すると、それに伴い、この画像表示領域20に画像が少しずつ現れる。そして、文字盤14が最小半径の状態になったとき、画像表示領域20の面積が最大となる。その後、文字盤14が徐々に拡大すると、それに伴い、画像表示領域20から画像が少しずつ見えなくなる。最終的に、文字盤14が最大半径の状態に戻ると、それまで画像表示領域20に表れていた画像は消失する。画像表示領域20に表示する画像としては、例えば、風景などの写真や絵画、日付を表示するカレンダーなどが挙げられる。また、画像表示領域20に表示する画像は、静止画像に限らず、動画(映像)であってもよい。
【0021】
上記したとおり、本実施形態では、時針16、分針18が時刻を表示する表示部として機能する。より詳しくは、時、分、秒の時刻要素のうち、時針16が時刻の「時」を表示する時表示部を、分針18が時刻の「分」を表示する分表示部を構成している。また、上記した文字盤14の動きにより、時刻要素の「秒」の経過が表されることとなっている。
【0022】
上記構成を有する時計10の動作、すなわち、実施形態に係る時間表示方法は、スマートフォンのCPUがメモリに記憶されている時間表示プログラムを実行することにより実現される。具体的には、上記した構成のうち、時針16と分針18を除く、文字盤14を主とする要素を基本画面として、スマートフォンのディスプレイに表示する。また、スマートフォンに組み込まれている時計機能を利用して時刻情報を取得する。そして、取得した時刻情報に基づいて、時針16、分針18をそれぞれ時間経過に対応する回転角度で表示する。また、文字盤14については、取得した時刻情報に基づいて、その全体形状が時間(秒)の経過に応じて拡大する動きと縮小する動きをユーザが設定した周期で連続的に繰り返すように表示する。この文字盤14の動きに応じて、画像表示領域20に所定の画像が現れるように表示する。なお、画像表示領域20に表示する画像に関するデータは、例えば、スマートフォンの通信回線を経由して外部機器である管理サーバ(不図示)から取得するようにしてもよいし、時間表示プログラムをアップデートする際にスマートフォンのメモリに記憶させるような構成を採用しても構わない。あるいは、ユーザのスマートフォンのメモリに予め記憶されている画像を任意に表示できるようにしてもよい。こうして、スマートフォンを、時計10の時刻表示面12を表示する時刻表示手段として機能させることにより、本実施形態に係る時間表示方法を実行させるのである。
【0023】
このように、本実施形態のような時間表示方式によれば、アナログ時計10において、時針16、分針18も含めた文字盤14自体の全体形状が連続的に拡大・縮小する動きを時間(秒)の経過に連動させることにより、文字盤14全体の動きを秒の経過を表す標識として機能させるという、従来の表示方式とは全く異なる新たな感覚の時間表示方式を提供することが可能となっている。また、時針16と分針18は従来の時計と同じ動きをするため、時刻を正確に表示するという点においても特に不具合はない。さらに、上記した文字盤14の一定周期の動きにより、時計10が止まっていないことを即座に認識できるだけでなく、心地よいリズムの動きでユーザにある種の安心感を与えることも可能となっている。
【0024】
以上、本発明に係るアナログ時計、時間表示方法、および、時間表示プログラムを実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のように変形した形態で実施しても構わない。
【0025】
<変形例>
(1)上記実施形態では、時計10の構成要素である文字盤14、時針16および分針18は、ごく一般的でシンプルなデザインのものを例示しているが、既製品の時計で採用されている文字盤の写真を用いることとしても構わない。また、文字盤に合わせて時針や分針も既製品の時計を模したデザインのものを表示するようにしてもよい。これにより、既製品の時計の画像がユーザの目に触れる機会を増やすことができるので、時計自体を既製品の時計の広告媒体として利用することが可能となる。
【0026】
(2)上記実施形態では、文字盤14の形状は円形であったが、これに限らず、四角形その他の多角形や楕円形といった他の形状であっても構わない。
【0027】
(3)上記実施形態において、文字盤14の最大半径および最小半径は、適宜変更することが可能である。例えば、文字盤の最小半径を0に設定すれば、縮小した文字盤が一度消えることとなり、その後、文字盤が再び拡大しながら現れることとなる。このとき、別のデザインの文字盤を表示するようにしてもよい。
【0028】
(4)上記実施形態では、画像表示領域20にのみ特定の画像が定期的に現れる形態を採用しているが、文字盤の周囲に画像が定期的に現れる限り、他の領域にも画像が表示されていても構わない。例えば、
図2に示す画像表示領域20の周囲の領域にも画像が表示されるような形態であってもよい。
【0029】
(5)上記実施形態では、画像表示領域20に風景などの写真や絵画、日付を表示するカレンダーなどを表示する形態を例示しているが、例えば、画像表示領域20に広告を表示するようにしてもよい。また、画像表示領域をメッセージ画像やメッセージ動画を表示する掲示板として利用してもよい。
【0030】
(6)上記した各実施形態および変形例では、スマートフォンのディスプレイに表示される時計を例示したが、これに限らず、スマートウォッチ、タブレット、ノートパソコンなどの携帯情報端末、あるいは、デスクトップ型のパソコンやテレビ、デジタルサイネージなどの電子機器に表示される時計にも適用することができる。また、当然ながら、腕時計、掛け時計、置き時計などの各種時計への適用も可能である。
【0031】
(7)上記した各実施形態および変形例は、携帯情報端末、各種電子機器、時計などに時刻表示プログラムが標準的に組み込まれた態様のものを前提として説明してきたが、インターネット経由でユーザに提供されるアプリケーションプログラムとしての実施であっても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0032】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0033】
10: 時計
14: 文字盤
16: 時針
18: 分針
20: 画像表示領域
【要約】
【課題】アナログ時計において新たな感覚の時間表示方式を提供すること。
【解決手段】文字盤14が連続的に拡大と縮小を繰り返す動きにより秒の経過を表すようにする。文字盤14自体の動きを秒の経過に連動させることにより、文字盤14全体の動きを時間の経過を表す標識として機能させる。
【選択図】
図1