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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】電気掃除装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/00 20060101AFI20240708BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20240708BHJP
   A47L 11/24 20060101ALI20240708BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
A47L9/00 104
A47L9/28 E
A47L11/24
B08B3/08 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018165299
(22)【出願日】2018-09-04
(65)【公開番号】P2020036748
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-04-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹木 宏格
(72)【発明者】
【氏名】室崎 貴大
【合議体】
【審判長】北村 英隆
【審判官】西 秀隆
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-513659(JP,A)
【文献】国際公開第2018/137407(WO,A1)
【文献】特開2016-87547(JP,A)
【文献】特開平10-174971(JP,A)
【文献】特開2002-38195(JP,A)
【文献】特開2007-69983(JP,A)
【文献】特開2018-27797(JP,A)
【文献】特開2018-82732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L9/00
A47L9/28
A47L11/24
B08B3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気掃除機と、前記電気掃除機を連結、および切り離し可能なステーションと、を備え、
前記電気掃除機は、
掃除機本体と、
前記掃除機本体の底面に設けられた吸込口と、
前記掃除機本体に収容された電動送風機と、
集塵容器と、を備え、前記電動送風機により生じさせた負圧を前記吸込口に作用させて、被掃除面上の塵埃を前記吸込口を介して空気とともに吸い込み、前記集塵容器に蓄積するものであって、
電解水を貯可能な第一貯留部と、
前記吸込口よりも前記電気掃除機の後側に配置され、前記第一貯留部から供給される前記電解水を利用して前記被掃除面を掃除する第一掃除部と、をさらに備え、
前記ステーションは、
を電気分解して前記電解水を生成する電解水生成装置と、
前記電解水生成装置を内部に含み、前記水の供給を受けるとともに、前記電解水生成装置により生成された前記電解水を貯留する第二貯留部と、
前記電気掃除機が前記ステーションに連結された状態で、前記電解水生成装置により生成された前記電解水を前記第一貯留部へ供給する供給部と、を備え、
前記第一貯留部の前記電解水の残量を検知する残量検知部をさらに備え、
前記残量検知部により検知された残量をもとに、前記電気掃除機の一回の掃除運転当たりの前記電解水の消費量を、一運転当たりの消費量として算定し、
前記第一貯留部の前記電解水の残量が前記一運転当たりの消費量に満たない場合に、前記電解水の残量が前記一運転当たりの消費量以上となるように、前記供給部により前記第二貯留部から前記第一貯留部へ前記電解水を供給する電気掃除装置。
【請求項2】
前記供給部は、前記電解水生成装置により生成された前記電解水を、重力を利用して前記第一貯留部へ供給する請求項1に記載の電気掃除装置。
【請求項3】
前記供給部は、前記電解水生成装置により生成された前記電解水を昇圧して前記第一貯留部へ供給する請求項1に記載の電気掃除装置。
【請求項4】
前記供給部は、前記電解水生成装置により生成された前記電解水を毛細管現象で吸い上げて前記第一貯留部へ供給する請求項1に記載の電気掃除装置。
【請求項5】
前記供給部は、前記電気掃除機が前記ステーションに連結された状態で、前記電気掃除機より下方に配置され、前記電解水を溜める凹部を有し、
前記第一貯留部は、吸水性を有し、前記電気掃除機が前記ステーションに連結された状態で前記凹部に浸される請求項1に記載の電気掃除装置。
【請求項6】
前記電気掃除機は、前記第一掃除部の後方に設けられて、前記被掃除面を乾拭きする第二掃除部を備える請求項1からのいずれか1項に記載の電気掃除装置。
【請求項7】
前記ステーションは、前記電解水生成装置により生成された電解水を前記第一貯留部以外へ供給する第二供給部を備える請求項1から6のいずれか1項に記載の電気掃除装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、電気掃除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
拭き掃除具を備える掃除機本体と、掃除機本体が帰還するステーションと、を備える自走式掃除機が知られている。ステーションは、洗浄液としての殺菌性金属イオン水が注入される洗浄槽を備えている。ステーションに帰還した掃除機本体は、拭き掃除具を洗浄槽の洗浄液に浸して洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-211426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、人為的な処理によって有用な機能を獲得した水溶液の中で、処理と機能に関して科学的根拠が明かにされたもの、および明らかにされようとしているものとして、機能水が知られている。機能水の一例として、電解水が知られている。電解水は、水道水や塩化ナトリウム(NaCl)などの塩化物イオン(Cl-)を含む水溶液を、直流電圧で電解処理することで得られる。電解水は、例えば、衛生管理に使われる殺菌性電解水(酸性電解水、次亜塩素酸ナトリウム希釈液とみなされている電解次亜水、電解製オゾン水)である。
【0005】
そして、電気掃除機で電解水を掃除に利用するためには、殺菌性電解水を生成し、かつ電気掃除機とともに運搬しなければならない。
【0006】
しかしながら、電気掃除機に電解水を生成する電解水生成装置を搭載することは、電気掃除機の重量を増加させたり、電気掃除機の消費電力を増加させたりする。つまり、電気掃除機の軽量化が阻害されたり、電気掃除機のコードレス化(内蔵電池による運転)が阻害されたり、内蔵電池による運転時間が短縮されたりして、電気掃除機の利便性が低下させる。
【0007】
また、電気掃除機に電解水や、電解水を生成するための水を必要以上に貯留しておくことは、電気掃除機の重量をさらに増加させたり、水漏れが発生した際の不都合を拡大したりする。
【0008】
そこで、本発明は、適量の電解水を利用可能であり、かつ消費電力や、軽快性の観点において利便性を損なうことのない電気掃除装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る電気掃除装置は、電気掃除機と、前記電気掃除機を連結、および切り離し可能なステーションと、を備え、前記電気掃除機は、掃除機本体と、前記掃除機本体の底面に設けられた吸込口と、前記掃除機本体に収容された電動送風機と、集塵容器と、を備え、前記電動送風機により生じさせた負圧を前記吸込口に作用させて、被掃除面上の塵埃を前記吸込口を介して空気とともに吸い込み、前記集塵容器に蓄積するものであって、電解水を貯可能な第一貯留部と、前記吸込口よりも前記電気掃除機の後側に配置され、前記第一貯留部から供給される前記電解水を利用して前記被掃除面を掃除する第一掃除部と、をさらに備え、前記ステーションは、水を電気分解して前記電解水を生成する電解水生成装置と、前記電解水生成装置を内部に含み、前記水の供給を受けるとともに、前記電解水生成装置により生成された前記電解水を貯留する第二貯留部と、前記電気掃除機が前記ステーションに連結された状態で、前記電解水生成装置により生成された前記電解水を前記第一貯留部へ供給する供給部と、を備え、前記第一貯留部の前記電解水の残量を検知する残量検知部をさらに備え、前記残量検知部により検知された残量をもとに、前記電気掃除機の一回の掃除運転当たりの前記電解水の消費量を、一運転当たりの消費量として算定し、前記第一貯留部の前記電解水の残量が前記一運転当たりの消費量に満たない場合に、前記電解水の残量が前記一運転当たりの消費量以上となるように、前記供給部により前記第二貯留部から前記第一貯留部へ前記電解水を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る電気掃除装置の斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る電気掃除機の右側面図。
図3】本発明の実施形態に係る電気掃除機の底面図。
図4】本発明の実施形態に係る電気掃除機のブロック図。
図5】本発明の実施形態に係り、第一例のステーションを備える電気掃除装置の概略的な側面図。
図6】本発明の実施形態に係り、第二例のステーションを備える電気掃除装置の概略的な側面図。
図7】本発明の実施形態に係り、第三例のステーションを備える電気掃除装置の概略的な側面図。
図8】本発明の実施形態に係り、図7の電気掃除装置の変形例の概略的な側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る電気掃除装置の実施形態について図1から図8を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当する構成には同一の符号が付されている。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除装置の斜視図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除装置1は、電気掃除機2と、電気掃除機2を連結、および切り離し可能なステーション3と、を備えている。
【0014】
電気掃除機2は、いわゆるロボットクリーナ(自律型掃除機)である。電気掃除機2は、本体5に搭載される二次電池6の電力を消費して自律で移動(走行)する。電気掃除機2は、居室内の被掃除領域A(掃除場所)の被掃除面(床面)を動き回って(被掃除領域を網羅的に移動して)拭き掃除を行う。電気掃除機2は、掃除運転の後、ステーション3へ帰巣して次の掃除運転を待機する。
【0015】
なお、電気掃除機2は、ステーション3に連結して収納しておくことが可能な非自律型、例えばキャニスター型、アップライト型、スティック型、またはハンディ型であってもよい。
【0016】
ステーション3は、居室内の被掃除面に設置可能である。ステーション3は、電気掃除機2を円滑に接続または離脱可能である。ステーション3は、いわゆる充電台の機能を有している。ステーション3は、電気掃除機2が接続された状態で、商用交流電源から二次電池6へ電力を導く電源コード7を備えている。電源コード7は、二次電池6へ送電する電路である。
【0017】
ステーション3に帰巣した電気掃除機2は、次の掃除運転を待機している最中、二次電池6を充電する。そのため、電気掃除機2は、使用者による充電の手間を省き、かつ使用者の求めによる突発的な掃除運転に対応できる。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の右側面図である。
【0019】
図3は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の底面図である。
【0020】
図1に加えて、図2および図3に示すように、本実施形態に係る電気掃除装置1の電気掃除機2は、本体5と、本体5を移動させる移動部11と、本体5の下方の被掃除面を掃除する掃除部12と、本体5の周囲の被検知物Oを検知する検知部13と、検知部13、移動部11、および掃除部12を制御して電気掃除機2の運転を制御する制御部15と、移動部11、掃除部12、検知部13、および制御部15を含む電気掃除機2の各部へ電力を供給する二次電池6と、を備えている。
【0021】
本体5は、例えば合成樹脂製の本体ケース21と、本体ケース21の側面に設けられるバンパー22と、を備えている。
【0022】
本体ケース21は、本体5の外殻である。本体ケース21は、扁平な円柱形状(円盤形状)を有している。平面視で実質的に円形の本体5は、他の形状に比べて旋回時の旋回半径を小さく抑制できる。
【0023】
バンパー22は、本体ケース21の側面に設けられている。
【0024】
移動部11は、複数の駆動輪26と、それぞれの駆動輪26を個別に駆動させる複数の電動機27と、駆動輪26とともに被掃除面上の本体5を支える従動輪28と、を備えている。
【0025】
それぞれの駆動輪26は、本体5を移動させる力を被掃除面へ伝える。それぞれの駆動輪26は、本体5の幅方向(左右幅方向)に延びる車軸(図示省略)のまわりに転がる。複数の駆動輪26は、少なくとも一対の駆動輪26を含んでいる。一対の駆動輪26の車軸は、実質的に同一線上に配置されている。そのため、電気掃除機2は、容易に直進および旋回することができる。駆動輪26は、懸架装置(いわゆるサスペンション、図示省略)によって被掃除面に押さえつけられている。電気掃除機2は、駆動輪26に代えて、無限軌道(図示省略)を備えていても良い。
【0026】
それぞれの電動機27は、それぞれの駆動輪26を独立して駆動させる。電気掃除機2は、左右の駆動輪26を同じ方向へ回転させることによって直進(前進、または後退)し、左右の駆動輪26を異なる方向へ回転させることによって旋回(右旋回、または左旋回)する。また、電気掃除機2は、左右の駆動輪26の出力を上下させて前進、または後退の速度を調整したり、左右の駆動輪26の出力を相違させて旋回半径の大小を調整したりすることができる。
【0027】
従動輪28は、本体5の下部の幅方向の略中央部、かつ前部に配置されている。従動輪28は、円形の回転体であり、例えばキャスターである。従動輪28は、電気掃除機2の前進、後退、および旋回に容易に追従して向きを変え、電気掃除機2の走行(移動)を安定させる。なお、駆動輪26および従動輪28に支えられる電気掃除機2の重心は、一対の駆動輪26と従動輪28とがなす三角形の内側に配置されていることが好ましい。その場合、電気掃除機2が転倒する危険性は低下する。換言すると、電気掃除機2は、より安定して移動(走行)することができる。従動輪28はなくても良い。
【0028】
掃除部12は、本体5の真下の被掃除面の塵埃を掃除する。掃除部12は、電解水を貯溜可能な第一貯留部31と、第一貯留部31から供給される電解水を利用して被掃除面を掃除する第一掃除部32と、を備えている。
【0029】
第一掃除部32は、例えば、本体5の下方の床面を拭き掃除もしくは磨き掃除する。第一掃除部32は、本体5の底面に着脱可能な不織布等の繊維材料製の拭き掃除シート33を備えている。拭き掃除シート33は、第一貯留部31から供給される電解水で湿った状態で、被掃除面を水拭きする。拭き掃除シート33は、本体5の底部の後端部に配置されている。拭き掃除シート33は、電気掃除機2を被掃除面上に走行可能な状態で置いたとき、被掃除面に接触する。拭き掃除シート33は、駆動輪26が被掃除面で空転しない程度の圧力で、被掃除面に押し当てられていることが好ましい。拭き掃除シート33と本体5の底面との間には、発泡樹脂などの弾性部材(図示省略)が設けられている。この弾性部材は、拭き掃除シート33を被掃除面に均一の圧力で押し当てる。
【0030】
第一貯留部31は、本体5に設けられて電解水を貯溜する容器である。なお、第一貯留部31は、吸水性を有する第一掃除部32そのものであっても良い(図中に二点鎖線で示す第一貯留部31)。例えば、第一貯留部31は、拭き掃除シート33に一体化された高吸水性高分子(Superabsorbent polymer、SAP、いわゆる吸収性ポリマー、高吸水性樹脂、高分子吸収体)製の部材であっても良い。
【0031】
第一掃除部32は、第一貯留部31から拭き掃除シート33へ供給される電解水の供給量を調整する調整機構35、例えば電磁調整弁と、第一貯留部31と拭き掃除シート33とを繋いで電解水を導く供給管36と、を備えていても良い。調整機構35は、供給管36の途中に設けられている。
【0032】
また、第一掃除部32は、第一貯留部31内の電解水の残量を検知する残量検知部37を備えていても良い。残量検知部37は、例えば第一貯留部31の水位を検知する水位計である。
【0033】
さらに、掃除部12は、第一掃除部32に代えて、または加えて第一貯留部31から供給される電解水を被掃除面へ噴霧する(または撒布する)ノズル部38を備えていても良い。ノズル部38から噴霧される(撒布される)電解水は、常温であっても良いし、加熱装置(図示省略)で気化された蒸気であっても良い。
【0034】
また、掃除部12は、第一掃除部32の後方に設けられて、被掃除面を乾拭きする第二掃除部39を備えていても良い。第二掃除部39は、本体5の底面に着脱可能な不織布等の繊維材料製の拭き掃除シート33を備えている。拭き掃除シート33は、電気掃除機2を被掃除面上に走行可能な状態で置いたとき、被掃除面に接触する。拭き掃除シート33は、駆動輪26が被掃除面で空転しない程度の圧力で、被掃除面に押し当てられていることが好ましい。拭き掃除シート33と本体5の底面との間には、発泡樹脂などの弾性部材(図示省略)が設けられている。この弾性部材は、拭き掃除シート33を被掃除面に均一の圧力で押し当てる。
【0035】
さらに、掃除部12は、負圧を生じさせて塵埃を吸引する吸込掃除部(図示省略)を備えていても良い。吸込掃除部は、本体5の底面に設けられる吸込口(図示省略)と、吸込口に配置される回転ブラシ(図示省略)と、回転ブラシを回転駆動させるブラシ用電動機(図示省略)と、本体5の後部に設けられる塵埃容器(図示省略)と、本体5内に収容されて塵埃容器に流体的に接続される電動送風機(図示省略)と、を備えている。
【0036】
吸込口は、電動送風機が発生させる負圧によって空気とともに塵埃を吸い込む。吸込口は、第一掃除部32よりも前側であって、本体5の底部の中央部に配置されている。吸込口は、本体5の幅方向に延びている。換言すると、吸込口の左右方向の開口幅は、吸込口の前後方向の開口幅よりも大きい。本体5の底面が自律走行時に被掃除面に対向(対面)しているため、吸込口は、被掃除面上の塵埃、または回転ブラシが被掃除面から掻き上げた塵埃を容易に吸い込むことができる。
【0037】
回転ブラシの回転中心線は、電気掃除機2の幅方向に向けられている。回転ブラシは、電気掃除機2を被掃除面上に走行可能な状態で置いたとき、被掃除面に接触する。そのため、回転駆動する回転ブラシは、被掃除面上の塵埃を掻き上げる。掻き上げられた塵埃は、吸込口へ効率的に吸い込まれる。
【0038】
ブラシ用電動機は、回転ブラシを正転(前進時に電気掃除機2の推進力を補助する方向)または逆転(後退時に電気掃除機2の推進力を補助する方向)させる。
【0039】
塵埃容器は、電動送風機が発生させる吸込負圧によって吸込口から吸い込まれる塵埃を蓄積する。塵埃容器は、塵埃を濾過捕集するフィルタや、遠心分離(サイクロン分離)や直進分離(直進する空気と塵埃との慣性力の差で塵埃と空気とを分離する分離方式)などの慣性分離によって塵埃を蓄積する分離装置である。塵埃容器は、本体5へ着脱可能であり、また開閉可能である。使用者は、塵埃容器を本体5から一時的に取り外して、塵埃容器を開いて塵埃容器に蓄積された塵埃を容易に廃棄したり、塵埃容器を清掃したり、洗浄したりすることができる。
【0040】
電動送風機は、二次電池6の電力を消費して駆動する。電動送風機は、塵埃容器から空気を吸い込んで吸込負圧を生じさせる。塵埃容器に発生した負圧は、吸込口に作用する。本体5は、電動送風機の排気(清浄な空気)を、本体5の外側へ流出させる排気口(図示省略)を有している。
【0041】
検知部13は、本体5の移動にともなって本体5に近づく被検知物O、または本体5に接触する被検知物Oを検知する。検知部13は、本体5に設けられて電気掃除機2の周囲の画像を撮影するカメラ部51と、本体5に設けられて本体5が電気掃除機2以外の物体、つまり被検知物Oに接近したことを検知する近接検知部52と、本体5に設けられて本体5が電気掃除機2以外の物体、つまり被検知物Oに接触したことを検知する接触検知部53と、を含んでいる。
【0042】
カメラ部51は、本体5の正面に設けられて、電気掃除機2の前方、つまり前進時の走行方向を撮影する。
【0043】
電気掃除機2は、カメラ部51に代えて、または加えて、ステレオカメラとは異なる原理によって撮影範囲における奥行きの情報を得る距離測定装置55を備えていても良い。
【0044】
近接検知部52は、例えば赤外線センサーや、超音波センサーである。赤外線センサーを利用する近接検知部52は、赤外線を発する発光素子(図示省略)と、光を受けとって電気信号に変換する受光素子(図示省略)と、を備えている。近接検知部52は、発光素子から赤外線を放ち、被検知物Oで反射される赤外線を受光素子で受光して電力に変換し、変換された電力が一定以上になると、被検知物Oが一定距離内に近づいたことを、本体5が被検知物Oに接触する以前に検知する。超音波センサーを利用する近接検知部52は、赤外線に代えて超音波を利用して被検知物Oを検知する。
【0045】
接触検知部53は、いわゆるバンパーセンサーである。接触検知部53は、移動する本体5が被検知物Oに接触した際に、本体5への衝撃を緩和するバンパー22に連動している。バンパー22は、被検知物Oに接触した際に、本体5の内側へ向かって押し込まれるように変位する。接触検知部53は、このバンパー22の変位を検知して本体5が被検知物Oに接触したことを検知する。接触検知部53は、例えばバンパー22の変位によって入り、切りされるマイクロスイッチ、またはバンパー22の変位量を非接触で測定する赤外線センサーや、超音波センサーを含んでいる。
【0046】
二次電池6は、移動部11、掃除部12、検知部13、および制御部15を含む電気掃除機2の各部で消費される電力を蓄えている。二次電池6は、例えばリチウムイオン電池であり、充放電を制御する制御回路(図示省略)を有している。この制御回路は、二次電池6の充放電に関する情報を制御部15へ出力している。
【0047】
図4は、本発明の実施形態に係る電気掃除機のブロック図である。
【0048】
図2から図3に加えて図4に示すように、本実施形態に係る電気掃除装置1の電気掃除機2は、移動部11の電動機27、第一掃除部32の調整機構35、吸込掃除部のブラシ用電動機および電動送風機、検知部13、制御部15、および二次電池6に加えて通信部57を備えている。
【0049】
通信部57は、ステーション3に赤外線信号を送信する、例えば赤外線発光素子を含む送信部57aと、ステーション3やリモートコントローラー(図示省略)からの赤外線信号を受信する、例えばフォトトランジスタを含む受信部57bと、を備えている。
【0050】
検知部13のカメラ部51は、例えばデジタルカメラである。つまり、カメラ部51は、撮影した画像を電気信号に変換する撮像素子51a(イメージセンサー、図示省略)と、撮像素子51aに像を結ぶ(生じさせる)光学系51bと、を備えている。撮像素子51aは、例えば、CCDイメージセンサー(Charge-Coupled Device image sensor)や、CMOSイメージセンサー(Complementary metal-oxide-semiconductor image sensor)である。そのため、電気掃除機2は、カメラ部51で撮影した画像のデジタルデータを即座に取り扱うことができる。つまり、カメラ部51で撮影される画像は、例えば画像処理回路(図示省略)を利用することで所定のデータ形式に圧縮したり、二値画像に変換したり、グレースケールに変換したりすることができる。カメラ部51は、例えば可視光領域の画像を撮影する。可視光領域の画像は、例えば赤外領域の画像に比べて画質が良好であり、複雑な画像処理を施すことなく使用者に視認可能な情報を容易に提供できる。
【0051】
カメラ部51は、いわゆるステレオカメラである。カメラ部51は、撮影する画像が、電気掃除機2の幅方向の中心線を延長した前方の位置を含む撮影範囲で重なり合っている。カメラ部51は、撮影範囲における奥行き(電気掃除機2からみた離間距離)の情報を得ることができる。奥行きの情報を含む画像を「距離画像」と呼ぶ。
【0052】
カメラ部51には、LED(Light Emitting Diode)や電球などの照明装置(図示省略)が併設されていても良い。照明装置は、カメラ部51の撮影範囲の一部または全部を照らす。照明装置は、家具などの障害物の陰のような暗い場所や、夜間などの暗い環境下であっても、カメラ部51による適切な画像の取得を可能にする。
【0053】
撮像素子51aの受光面には、多数の画素が並べられている。受光面の各画素は、受けた光を電気信号に変換する。各画素が受けた光の情報を各画素の位置に応じて統合させることで、カメラ部51が撮影した景色を表す画像が得られる。一般的な撮像素子51aは、カラー画像を撮影する。カラー画像は、例えば赤、緑、および青の三つの色を混ぜて表現される。
【0054】
距離測定装置55は、奥行きの情報を得ようとする範囲に光を照射する発光部55aと、発光部55aから照射された光の反射光を受光する受光部55bと、を備えている。電気掃除機2は、発光部55aの発光開始から受光部55bで反射光を受光するまでの時間差に基づいて電気掃除機2から被検知物Oまでの距離情報を取得できる。発光部55aは、例えば赤外線や、可視光を照射する。
【0055】
制御部15は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit、CPU、図示省略)、中央処理装置で実行(処理)される各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する補助記憶装置(例えば、Read Only Memory、ROM、図示省略)、プログラムの作業領域が動的に確保される主記憶装置(例えば、Random access memory、RAM、図示省略)を備えている。補助記憶装置は、例えば不揮発性メモリのように書き換え可能なものであることが好ましい。
【0056】
制御部15は、移動部11の電動機27、第一掃除部32の調整機構35、吸込掃除部のブラシ用電動機および電動送風機、検知部13、二次電池6、および通信部57に電気的に接続されている。制御部15は、通信部57を介してステーション3、およびリモートコントローラーから受信する指令に応じて移動部11の電動機27、第一掃除部32の調整機構35、吸込掃除部のブラシ用電動機および電動送風機、検知部13、二次電池6を制御する。
【0057】
制御部15は、電気掃除機2の自律移動を制御する自律移動制御部61と、検知部13の動作を制御する検知制御部62と、を含んでいる。自律移動制御部61、および検知制御部62は、演算プログラムである。
【0058】
自律移動制御部61は、掃除場所の環境地図情報(Environment Map、図示省略)を記憶する地図情報記憶部63と、移動部11の電動機27の動作を制御する移動制御部65と、第一掃除部32の調整機構35、吸込掃除部のブラシ用電動機、および電動送風機の動作を制御する掃除制御部66と、を備えている。
【0059】
地図情報記憶部63は、補助記憶装置に確保される記憶領域に構築されたデータの集合であって、適宜のデータ構造を有している。地図情報記憶部63は、補助記憶装置から主記憶装置に読み込まれて利用され、適宜の更新を経て、補助記憶装置へ上書きされる。
【0060】
環境地図情報は、電気掃除機2の自律移動に用いられる情報であり、少なくとも掃除対象となる場所において、電気掃除機2が移動可能な領域の形状を含む情報である。環境地図情報は、例えば整然と配列された一辺10センチメートルの矩形の集合として構築されている。環境地図情報は、電気掃除機2の使用に際して、事前に準備されるものであっても良いし、Simultaneous Localization and Mapping(SLAM)によって自己位置推定と同時に作成されるものであっても良い。環境地図情報は、掃除運転にともなう移動の過程で作成、および更新されても良い。SLAMで環境地図情報を作成する場合には、電気掃除機2は、検知部13の他に、エンコーダなどの種々のセンサー(図示省略)を備えていることが好ましい。移動制御部65は、これら検知部13および種々のセンサーから取得する情報に基づいて環境地図情報を作成する。
【0061】
移動制御部65は、環境地図情報に基づいて移動部11を制御して電気掃除機2を自律で移動させる。移動制御部65は、電動機27に流れる電流の大きさ、および向きを制御して、電動機27を正転、または逆転させる。移動制御部65は、電動機27を正転、または逆転させることで、駆動輪26の駆動を制御している。
【0062】
掃除制御部66は、第一掃除部32の調整機構35を制御して第一貯留部31から拭き掃除シート33へ供給される電解水の供給量を制御する。
【0063】
また、掃除制御部66は、残量検知部37が検知する第一貯留部31の残量に基づいてステーション3から第一貯留部31へ供給される電解水の要求量を算定する。掃除制御部66は、残量検知部37が検知する第一貯留部31の残量に基づいて、一回の掃除で使用される電解水の量、例えば電気掃除機2がステーション3から切り離され、再度連結されるまでに消費される電解水の量を、記憶装置に記憶する。そして、掃除制御部66は、一回の掃除運転あたりの電解水の消費量の履歴を統計的な手法で解析し、ステーション3から第一貯留部31へ供給される電解水の要求量を算定する。具体的には、統計的解析によって、一回の掃除運転あたりの電解水の消費量が満水時の50パーセントに相当することが予測される場合には、掃除制御部66は、満水時の50パーセントに数パーセントの余裕を加えて第一貯留部31に継ぎ足す電解水の要求量を算定する。算定した電解水の要求量は、通信部57を介してステーション3へ送信される。
【0064】
検知制御部62は、カメラ部51の動作を制御する。検知制御部62は、所定の時間間隔毎にカメラ部51に画像を撮影させる。検知制御部62は、カメラ部51で撮影された画像を検知結果記憶部67に記憶する。カメラ部51で撮影された画像は、検知結果記憶部67は、主記憶装置に確保されている。検知結果記憶部67は、カメラ部51で撮影された画像を記憶する。検知結果記憶部67は、複数の画像を記憶可能な容量を有している。
【0065】
検知結果記憶部67は、カメラ部51で撮影された画像を表す画像情報を無加工で記憶しても良いし、画像の解析処理に必要な情報を残す限りにおいてデータサイズを減らすように加工した画像情報を記憶しても良い。検知結果記憶部67に記憶される画像情報は、例えば、カメラ部51で撮影された画像をグレースケールに変換した画像(以下、カメラ部51で撮影された元の画像と同じく画像と呼ぶ。)であっても良い。グレースケール画像の場合には、画像の画素値は輝度値と一致する。グレースケールに変換した画像を保存する場合には、制御部15は、元画像を記憶する場合に比べて、検知結果記憶部67に割り当てるメモリ領域の容量(リソース)を少量で済ませることが可能である。また、グレースケールに変換した画像を以後の解析処理に使用する場合には、制御部15は、元画像を処理する場合に比べて中央処理装置の負荷を軽減できる。画像のグレースケール化を含む画像処理は、カメラ部51で実行されても良い。カメラ部51で画像処理を実行することによって、中央処理装置の負荷が軽減される。
【0066】
また、検知制御部62は、照明装置の点灯と消灯とを制御する。照明装置は、画像を明るくして解析処理の容易化と精度向上とを容易にする。
【0067】
さらに、検知制御部62は、近接検知部52の検出結果、つまり被検知物Oが本体5に接近したこと、およびその時の被検知物Oと本体5との離間距離を検知結果記憶部67に記憶する。
【0068】
また、検知制御部62は、接触検知部53の検出結果、つまり被検知物Oが本体5に接触したことを検知結果記憶部67に記憶する。
【0069】
次に、本実施形態に係るステーション3の例を説明する。なお、各例で説明するステーション3、3A、3B、3Cにおいて、ステーション3と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0070】
図5は、本発明の実施形態に係り、第一例のステーションを備える電気掃除装置の概略的な側面図である。
【0071】
なお、図5の電気掃除機2は、第一貯留部31と第一掃除部32とを個別に備えている。
【0072】
図5に示すように、本実施形態に係る電気掃除装置1のステーション3(第一例のステーション)は、本体81と、本体81に設けられて、水を貯留可能な第二貯留部82と、第二貯留部82内の水を電気分解して電解水を生成する電解水生成装置83と、電気掃除機2がステーション3に連結された状態で、電解水生成装置83が生成した電解水を第一貯留部31へ供給する供給部85と、第二通信部86と、第二制御部87と、を備えている。
【0073】
第二貯留部82は、水や塩水を貯留する容器である。第二貯留部82は、開閉可能な蓋(図示省略)を備えている。第二貯留部82は、蓋を開いて水や塩水を容易に充填できる。第二貯留部82は、本体81に着脱自在であっても良い。第二貯留部82は、電気掃除機2の第一貯留部31で貯留される電解水よりも大量の水や塩水を貯留可能な容量を有していることが好ましい。第一貯留部31で貯留される電解水よりも大量の水を貯留可能な第二貯留部82は、使用者による給水の頻度を減じて利便性を向上させる。
【0074】
電解水生成装置83は、例えば、水を電気分解してオゾンが溶解された電解水を生成したり、食塩水を電気分解して次亜塩素酸(HClO)が溶解された電解水を生成したりする。電解水生成装置83の電極(図示省略)には、水に溶け出しにくい材料、例えばチタンや白金が用いられる。電気分解を促進するために、電極には、イリジウム、白金、ルテニウムなどの白金族の金属、またはその酸化物が担持されていても良い。電解水には、過酸化水素、活性酸素、OHラジカルなどの化学種が生成されている。
【0075】
電解水生成装置83は、第二貯留部82内に設けられている。電解水生成装置83は、第二貯留部82の外側、例えば供給部85に設けられていても良い(図5中に二点鎖線で示す電解水生成装置83)。つまり、電解水生成装置83は、第二貯留部82から第一貯留部31へ供給される水が第一貯留部31に達する前に電解水を生成すれば良い。また、電解水生成装置83は、第二貯留部82と第一貯留部31との間に設けられる第三貯留部(図示省略)に移された水を電気分解するものであっても良い。
【0076】
電解水生成装置83の電源部89は、電源コード7に接続されて電気掃除機2の二次電池6を充電する充電用電源部91から分岐している。
【0077】
供給部85は、ステーション3の第二貯留部82と電気掃除機2の第一貯留部31とを繋ぐ連結管部92のうち、ステーション3側の第二管部93を備えている。電気掃除機2は、連結管部92のうち、第一管部95を備えている。第一管部95と第二管部93との接続部分には、第一管部95と第二管部93とを容易に接続し、または切り離す継手96が設けられている。
【0078】
供給部85は、第二貯留部82に貯留された水を、重力を利用して第一貯留部31へ供給する。つまり、供給部85は、第一貯留部31に貯留される電解水の液位と第二貯留部82に貯留される水の液位との高低差を利用して、第二貯留部82から第一貯留部31へ電解水を供給する。換言すると、供給部85は、第一貯留部31と第二貯留部82との水頭差を利用して、電解水生成装置83が生成した電解水を電気掃除機2の第一貯留部31へ供給する。また、供給部85は、第一貯留部31と第二貯留部82との液位差を利用して、電解水生成装置83が生成した電解水を滴下させて電気掃除機2の第一貯留部31へ供給する。第二貯留部82から第一貯留部31への供給の態様は、第二貯留部82から第一貯留部31の水面の上へと水を落とすように供給してもよいし、第二貯留部82の水面下と第一貯留部31の水面下とを水路で繋ぎ、第二貯留部82の水中から第一貯留部31の水中へ水を供給するようにしてもよい。
【0079】
なお、第二貯留部82に貯留される水の全量を第一貯留部31へ供給できなくても良い。例えば、第二貯留部82は、第一貯留部31よりも低い位置に存在する部分を有していても良い。
【0080】
供給部85は、第二管部93の途中に遮断弁97、および流量計98を備えていても良い。遮断弁97は、例えば電磁弁である。
【0081】
遮断弁97は、電源コード7を介してステーション3へ供給される電力を利用して開閉される。ステーション3は、遮断弁97を開閉させることで、第二貯留部82から第一貯留部31へ供給する電解水の供給量を制御することができる。また、ステーション3は、流量計98によって、第二貯留部82から第一貯留部31へ供給する電解水の供給量を測定することができる。
【0082】
第二通信部86は、電気掃除機2に赤外線信号を送信する、例えば赤外線発光素子を含む送信部(図示省略)と、電気掃除機2からの赤外線信号を受信する、例えばフォトトランジスタを含む受信部(図示省略)と、を備えている。
【0083】
第二制御部87は、例えば中央処理装置(Central Processing Unit、CPU、図示省略)、中央処理装置で実行(処理)される各種演算プログラム、パラメータなどを記憶する補助記憶装置(例えば、Read Only Memory、ROM、図示省略)、プログラムの作業領域が動的に確保される主記憶装置(例えば、Random access memory、RAM、図示省略)を備えている。補助記憶装置は、例えば不揮発性メモリのように書き換え可能なものであることが好ましい。
【0084】
第二制御部87は、電気掃除機2から第二通信部86を介して第一貯留部31に継ぎ足す電解水の要求量を受信することができる。第二制御部87は、流量計98の測定値、すなわち電解水の供給量を監視しつつ、要求量を満足すると、供給部85の遮断弁97を閉じて第一貯留部31に継ぎ足す電解水の供給量を制御する。
【0085】
そして、電気掃除機2の第一貯留部31は、供給部85を通じて供給される、電解水生成装置83が生成した電解水を貯溜可能である。また、第一貯留部31は、第二貯留部82で貯留される水よりも少量の電解水を貯留可能である。
【0086】
なお、ステーション3は、第二貯留部82から第一貯留部31以外の箇所、例えばステーション3の側面近傍へ、電解水生成装置83が生成した電解水を供給する第二供給部99を備えていても良い。第二供給部99は、例えばモップのような電気掃除機2以外の掃除道具へ電解水を供給する。第二供給部99は、ステーション3に接近した掃除道具を近接センサ(図示省略)で検知し、第二遮断弁100を開いて掃除道具へ電解水を供給する自動型であっても良いし、使用者が第二遮断弁100を操作して掃除道具へ電解水を供給する手動型であっても良い。
【0087】
図6は、本発明の実施形態に係り、第二例のステーションを備える電気掃除装置の概略的な側面図である。
【0088】
図6に示すように、本実施形態に係る電気掃除装置1のステーション3A(第二例のステーション)は、電解水生成装置83が生成した電解水を第一貯留部31へ供給する供給部85Aを備えている。
【0089】
供給部85Aは、電解水生成装置83が生成した電解水を昇圧して第一貯留部31へ供給する。供給部85Aは、電解水生成装置83が生成した電解水を昇圧するポンプ101を備えている。ポンプ101は、電源コード7を介してステーション3Aへ供給される電力を利用して電解水を昇圧する。ポンプ101は、昇圧された電解水を電気掃除機2の第一貯留部31へ供給する。そのため、ステーション3Aは、第一例のステーション3のように第二貯留部82と第一貯留部31との間に高低差を設ける必要がない。換言すると、ステーション3Aの第二貯留部82は、第一貯留部31よりも高い位置に配置されていても良いし、第一貯留部31よりも低い位置に配置されていても良いし、第一貯留部31と同程度の高さに位置に配置されていても良い。
【0090】
第二制御部87Aは、流量計98の測定値、すなわち電解水の供給量を監視しつつ、要求量を満足すると、ポンプ101を停止させる。
【0091】
図7は、本発明の実施形態に係り、第三例のステーションを備える電気掃除装置の概略的な側面図である。
【0092】
なお、図7の電気掃除機2は、第一掃除部32に一体化された第一貯留部31を備えている。
【0093】
図7に示すように、本実施形態に係る電気掃除装置1のステーション3B(第三例のステーション)は、電解水生成装置83が生成した電解水を第一貯留部31へ供給する供給部85Bを備えている。
【0094】
供給部85Bは、吸水性を有している。供給部85Bは、電解水生成装置83が生成した電解水を毛細管現象で吸い上げて第一貯留部31へ供給する。供給部85Bの一方の端部は、ステーション3Bの第二貯留部82に貯留される水に接触している。供給部85Bの他方の端部は、電気掃除機2がステーション3Bに連結された状態で、第一貯留部31または第一掃除部32に接触する位置に配置されている。供給部85Bは、電気掃除機2がステーション3Bに連結された状態で、第一貯留部31に直接的に接触する、または第一掃除部32を介して間接的に接触する。
【0095】
ステーション3Bの供給部85Bは、その吸水性によって第二貯留部82に貯留された電解水を吸い上げている。そして、電気掃除機2の第一貯留部31がステーション3Bの供給部85Bに接触すると、第一貯留部31は、供給部85Bから電解水を吸水する。第三例の電気掃除装置1は、吸水性を有する部材を液体に接触させることで、ステーション3B側から電気掃除機2側へ電解水を供給する。供給部85Bは、電気掃除機2の第一貯留部31がステーション3Bの第二貯留部82よりも高い位置にあっても、毛細管現象によって液体を吸い上げて移動させることができる。供給部85Bの吸水性の程度や大きさを変えることによって、吸い上げる力と高さとを調節し、過供給を避けることが可能である。
【0096】
なお、ステーション3Bの第二貯留部82は、第一貯留部31よりも低い位置に配置されていることが好ましい。供給部85Bは、ステーション3の遮断弁97や、ステーション3Aのポンプ101のように作動させるために電力を必要としない。また、供給部85Bは、電気掃除機2の第一貯留部31内の電解水の水位が、第二貯留部82から電解水を表面張力で吸い上げることが可能な高さに達すると、自動的に電解水の供給を停止する。
【0097】
図8は、本発明の実施形態に係り、図7の電気掃除装置の変形例の概略的な側面図である。
【0098】
図8に示すように、本実施形態に係る電気掃除装置1の電気掃除機2Aは、ステーション3Bの供給部85Bに代えて、第一貯留部31Aを直接的に第二貯留部82へ浸すものであっても良い。
【0099】
ステーション3Cの供給部85Cは、電気掃除機2がステーション3に連結された状態で、電気掃除機2Aより下方に配置される。また、供給部85Cは、電解水を溜める凹部102を有している。
【0100】
電気掃除機2Aの第一貯留部31Aは、吸水性を有し、電気掃除機2Aがステーション3Cに連結された状態で凹部102に浸される。つまり、第一貯留部31Aは、ステーション3Bの供給部85Bのように、電解水生成装置83が生成した電解水を凹部102から毛細管現象で直接的に吸い上げる。第一貯留部31Aは、拭き掃除シート33に一体化された高吸水性高分子(Superabsorbent polymer、SAP、いわゆる吸収性ポリマー、高吸水性樹脂、高分子吸収体)製の部材である。
【0101】
以上のように、本実施形態に係る電気掃除装置1は、第一貯留部31、31Aを有する電気掃除機2、2Aと、水を貯留可能な第二貯留部82、第二貯留部82内の水を電気分解して電解水を生成する電解水生成装置83、および電気掃除機2がステーション3に連結された状態で、電解水生成装置83が生成した電解水を第一貯留部31、31Aへ供給する供給部85、85A、85B、85Cを有するステーション3、3A、3B、3Cと、を備えている。そのため、電気掃除装置1は、電気掃除機2、2Aではなく、ステーション3、3A、3B、3Cで水を溜め、かつ電解水を生成し、電気掃除機2、2Aが掃除に使用される際に、適量の電解水を、適時に電気掃除機2、2Aへ供給して電解水を利用した掃除を行うことができる。また、電気掃除装置1は、電気掃除機2、2Aに電解水生成装置83を搭載する必要が無く、電気分解に必要な電力を二次電池6から供給する必要も無く、軽量化、コードレス化、二次電池6による駆動時間の長時間化に資する。さらに、電気掃除装置1は、掃除に使用する都度、使用者自ら給水する煩わしさを軽減できる。
【0102】
また、本実施形態に係る電気掃除装置1は、重力を利用して電解水生成装置83が生成した電解水を第一貯留部31へ容易に供給することができる。
【0103】
さらに、本実施形態に係る電気掃除装置1は、電解水生成装置83が生成した電解水を昇圧して第一貯留部31へ供給する供給部85Aを備えている。そのため、電気掃除装置1は、上下方向における第一貯留部31および第二貯留部82の位置関係を自由に設定できる。
【0104】
また、本実施形態に係る電気掃除装置1は、電解水生成装置83が生成した電解水を毛細管現象で吸い上げて第一貯留部31へ供給する供給部85Bを備えている。そのため、電気掃除装置1は、駆動源や電力を要することなく電解水を電気掃除機2へ供給可能であり、かつ電解水の供給量を調整したり、電解水の供給を停止させたりする機構を必要としない。
【0105】
さらに、本実施形態に係る電気掃除装置1は、電気掃除機2がステーション3Cに連結された状態で、電気掃除機2Aより下方に配置され、電解水を溜める凹部102を有する供給部85Cと、吸水性を有し、電気掃除機2Aがステーション3Cに連結された状態で凹部102に浸される第一貯留部31Aと、を備えている。そのため、電気掃除装置1は、駆動源や電力を要することなく電解水を電気掃除機2へ供給可能であり、かつ電解水の供給量を調整したり、電解水の供給を停止させたりする機構を必要としない。
【0106】
また、本実施形態に係る電気掃除装置1は、第一貯留部31内の電解水の残量に基づいて第一貯留部31へ供給する電解水の供給量を制御する。そのため、電気掃除装置1は、第一貯留部31を溢れさせることがなく、第一貯留部31に余計な電解水を供給してしまい電気掃除機2の重量を無為に増加させず、万一、第一貯留部31から電解水が漏れた場合の漏洩量を抑制する。また、電気掃除装置1は、第一貯留部31へ供給する電解水の供給量を電気掃除機2の運転履歴に応じて最適化することができる。
【0107】
さらに、本実施形態に係る電気掃除装置1は、第一掃除部32の後方に設けられて、被掃除面を乾拭きする第二掃除部39を備えている。そのため、電気掃除装置1は、電解水で湿った第一掃除部32による拭き掃除と、乾いた第二掃除部39による乾拭き掃除と、を一括して効率的に実施できる。また、電気掃除装置1は、電解水で湿った第一掃除部32と乾いた第二掃除部39との取り替え作業のような煩わしさが無く、高い利便性を有する。
【0108】
したがって、本実施形態に係る電気掃除機2によれば、適量の電解水を利用可能であり、かつ消費電力や、軽快性の観点において高い利便性を維持できる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
1…電気掃除装置、2、2A…電気掃除機、3、3A、3B、3C…ステーション、5…電気掃除機の本体、6…二次電池、7…電源コード、11…移動部、12…掃除部、13…検知部、15…制御部、21…本体ケース、22…バンパー、26…駆動輪、27…電動機、28…従動輪、31、31A…第一貯留部、32…第一掃除部、33…拭き掃除シート、35…調整機構、36…供給管、37…残量検知部、38…ノズル部、39…第二掃除部、51…カメラ部、51a…撮像素子、51b…光学系、52…近接検知部、53…接触検知部、55…距離測定装置、55a…発光部、55b…受光部、57…通信部、57a…送信部、57b…受信部、61…自律移動制御部、62…検知制御部、63…地図情報記憶部、65…移動制御部、66…掃除制御部、67…検知結果記憶部、81…ステーションの本体、82…第二貯留部、83…電解水生成装置、85、85A、85B、85C…供給部、86…第二通信部、87、87A…第二制御部、89…電源部、91…充電用電源部、92…連結管部、93…第二管部、95…第一管部、96…継手、97…遮断弁、98…流量計、99…第二供給部、100…第二遮断弁、101…ポンプ、102…凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8