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特許7516034ガラス基板またはガラスセラミックス基板ならびにコーティングを含むプレートならびにその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】ガラス基板またはガラスセラミックス基板ならびにコーティングを含むプレートならびにその使用
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/23 20060101AFI20240708BHJP
   C03C 10/12 20060101ALI20240708BHJP
   F24C 15/04 20060101ALI20240708BHJP
   F24C 15/10 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
C03C17/23
C03C10/12
F24C15/04 A
F24C15/04 Z
F24C15/10 B
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019219496
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2020090435
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】10 2018 131 459.0
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ザシャ バッケス
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン クランツ
(72)【発明者】
【氏名】フランツィスカ バック
(72)【発明者】
【氏名】ズィルケ クノヘ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ランガー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ミュラー
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-21111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C17/00-17/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側(101)および下側(102)を有するガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)ならびにコーティング(20)を含むプレート(10)であって、
前記ガラスまたはガラスセラミックスが、透明無着色に形成されており、
前記コーティング(20)が、前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)の少なくとも1つの領域(30)の、前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)の少なくとも1つの側(101、102)に配置されており、
前記コーティング(20)が、顔料粒子を含む顔料を含み、
前記プレート(10)が、前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)のその少なくとも1つの、前記コーティング(20)が配置されている前記領域(30)において、
それぞれ、前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)の4mmの厚さに対して、
前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)を通して白タイルに対して測定して、少なくとも70、好ましくは少なくとも75のL*値、
少なくとも0.1%~8%の間の光線透過率、および
1600nmの波長において少なくとも55%という、電磁放射線に対する分光透過率PvKを有し、前記顔料粒子が、少なくとも5μm~最大25μmの間の最大横方向寸法を有し、1重量%未満のFeを含み、かつ、1重量%未満のSnO を含む、プレート(10)。
【請求項2】
前記顔料粒子が、顔料基板および顔料コーティングを含み、
前記顔料基板が、酸化物材料を含み、かつ好ましくは板状に形成されており、
好ましくは前記顔料基板が、SiOおよび/またはAlを含み、
特に好ましくは、ケイ酸塩ガラスおよび/または層状ケイ酸塩を含む、請求項1記載のプレート(10)。
【請求項3】
前記顔料粒子が、不可避の微量以外はFeを含まない、請求項1または2に記載のプレート(10)。
【請求項4】
前記コーティング(20)が最大1重量%のグラファイトを含む、請求項1からまでのいずれか1項記載のプレート(10)。
【請求項5】
前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)の、前記コーティング(20)が配置されている前記領域(30)での前記プレート(10)の光線透過率が、少なくとも0.5%、好ましくは少なくとも1%でかつ好ましくは5%未満、特に好ましくは4%未満である、請求項1からまでのいずれか1項記載のプレート(10)。
【請求項6】
前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)の、前記コーティング(20)が配置されている前記領域(30)での前記プレート(10)の分光透過率PvKが、1μm~2μmの間の波長域の各波長において、少なくとも30%、好ましくは少なくとも45%、特に好ましくは少なくとも50%であり、
特に好ましくは、1600nmの波長において少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%である、請求項1からまでのいずれか1項記載のプレート(10)。
【請求項7】
前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)の、前記コーティング(20)が配置されている前記領域(30)での、前記電磁放射線に対するプレート(10)の分光透過率PvKが、850nm~1000nmの間の波長域での少なくとも1つの波長において、好ましくは940nmの波長において、少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、特に好ましくは少なくとも40%である、請求項1からまでのいずれか1項記載のプレート(10)。
【請求項8】
前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)の、前記コーティング(30)が配置されている前記領域(30)でのプレート(10)の光散乱が、400nmでは15%未満であり、かつ/または電磁放射線に対するプレート(10)の散乱が、800nmでは35%未満である、請求項1からまでのいずれか1項記載のプレート(10)。
【請求項9】
前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)の、前記コーティング(20)が配置されている前記領域(30)での、前記電磁放射線に対するプレート(10)の分光透過率PvKが、3.25μm~4.25μmの間の波長域での少なくとも1つの波長において、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%、最大50%である、請求項1からまでのいずれか1項記載のプレート(10)。
【請求項10】
前記プレート(10)が、さらなるコーティング(21)を含み、
前記さらなるコーティング(21)が、前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)の少なくとも1つの領域(31)において、前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)の少なくとも1つの側(101、102)、好ましくは前記コーティング(20)と同じ側に配置されており、
前記さらなるコーティング(21)が、顔料粒子を含む顔料を含み、
前記プレート(10)が、前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)の、前記さらなるコーティング(21)が配置されている前記少なくとも1つの領域(31)において、少なくとも0.001%~最大2%の間、好ましくは少なくとも0.01%~最大1%の間の光線透過率を有し、
前記さらなるコーティング(21)が、好ましくは窓を形成する空所(41)を有し、
前記コーティング(20)が、少なくとも、前記さらなるコーティング(21)の空所(41)の領域に少なくとも部分的または全面的に配置されており、
CIELAB色空間における、前記コーティング(20)の色度座標と前記さらなるコーティング(21)の色度座標との色距離ΔEが、前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)を通して測定して、0超5までの範囲、好ましくは0超4までの範囲、特に好ましくは0超2までの範囲、特に0超1までの範囲にある、請求項1からまでのいずれか1項記載のプレート(10)。
【請求項11】
前記コーティング(20)が、前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)の少なくとも1つの領域(300)において、前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)の前記下側(102)に配置されており、
前記プレート(10)が、前記ガラス基板またはガラスセラミックス基板(100)の主要面(101、102)と直接には接触していない機能性コーティング(22)を含み、
前記機能性コーティング(22)が、好ましくは、顔料粒子を含む顔料を含み、
前記機能性コーティング(22)が、少なくとも一部分領域において、前記コーティング(20)および/または前記さらなるコーティング(21)上に塗布されており、
前記機能性コーティング(22)が配置されている領域(32)での前記プレート(10)の光線透過率が、最小10-5%~最大0.5%の間、好ましくは最大0.1%であり、
前記機能性コーティング(22)が、窓を形成する空所(42)を有し、
好ましくは前記コーティング(20)が、少なくとも部分的または全面的に前記空所(42)の領域に配置されており、
さらに、好ましくは、前記機能性コーティング(22)内の前記空所(42)と前記さらなるコーティング(21)内の前記空所(41)とが、互いに少なくとも部分的に重複しており、
前記機能性コーティング(22)が、前記機能性コーティングの表面で測定して、好ましくは40を超える、好ましくは50を超える、特に好ましくは60を超えるL*値を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載のプレート(10)。
【請求項12】
前記機能性コーティング(22)が、マスキングおよび/または封止層である、請求項11記載のプレート(10)。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載のプレート(10)を含む、調理機器。
【請求項14】
カバープレートまたは分離プレートとして、例えば、オーブンの覗き窓として、または調理機器のクッキングプレートとして、または暖炉覗き窓として、またはラジエータカバーとして、または電子機器、特に携帯電話のケーシングコンポーネントとしての、請求項1から12までのいずれか1項記載のプレート(10)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は全体として、上側および下側ならびにコーティングを有するガラス基板またはガラスセラミックス基板を含むプレート、特にカバープレート、ならびにそのようなプレートの使用に関する。
【0002】
発明の背景
ガラス基板またはガラスセラミックス基板を含むプレート、特にカバープレートには頻繁にコーティングが施される。その際、カバープレートとは、2つの領域を互いに分離する板状体と理解される。例えば、カバープレートは、電子部品の一部(第1の領域)として、その部品の電子コンポーネントをカバーし、かつ周辺(つまり第2の領域)からの機械的影響および環境が及ぼす影響から守る。
【0003】
そのようなプレート、例えば、カバープレート上のコーティングは、純粋に機能目的に役立ってもよく、つまり例えば、導電性コーティングとして仕上げられていてもよく、またはむしろ美的な理由から、例えば、ある特定の色彩印象を生み出すために塗布されていてもよい。しかしながら通常は、機能的な利益とむしろ美的な利益との間で妥協する必要がある。
【0004】
特に、ガラス基板またはガラスセラミックス基板が透明無着色に形成されている場合にはそれが当てはまる。その場合、プレートは、通常、プレートの背後に位置する領域への眺めを少なくとも妨げる少なくとも1つのコーティングを含む。しかしながら、この、むしろ美的な利益に寄与する課題に加えて、コーティングには、通常、プレートの適用範囲に応じて、一連のさらなる要件が課される。
【0005】
例えば、プレートが、部品の電子コンポーネントをカバーするために利用される場合、そのコンポーネントへの眺めを少なくとも妨げることになるコーティングが、その電子コンポーネントとある特定の相互作用をすべきであるか、またはコーティングがそのコンポーネントの機能を乱す影響を及ぼさないように仕上げられていることが必要な場合がある。
【0006】
例えば、静電容量式タッチセンサの使用が公知である。つまり、そのようなタッチセンサをカバーするプレート上に塗布されているコーティングは、透視を下げる機能を満たし、かつ場合によってはある特定の色度座標を有する必要があるのみならず、少なくとも、タッチセンサが取り付けられた領域では、低い導電性しか有してはならない。
【0007】
そのようなコーティングに課されるあり得るさらなる要件は、例えば、部品の貼付けに使用される材料に対する安定性、またはコーティングの緊密性に関する。
【0008】
プレートの表示領域に塗布されるコーティングに関しては、特別な要件が存在する。例えば、欧州特許出願公開第1867613号明細書は、焼き付けた貴金属調製品から形成されており、かつ1MΩ/m超のシート電気抵抗を有するコーティングを記載する。このコーティングは、覗き窓(つまり表示領域内)の下側に配置された光源のカラー表示を可能にすると同時に静電容量式タッチセンサの使用を可能にする。もっとも、そのようなコーティングは、貴金属を含有するためきわめて高価である。
【0009】
欧州特許出願公開第2223900号明細書は、ガラス板またはガラスセラミックス板の表示領域用のもう1つのコーティングを提案する。提案されるコーティングは、ゾル-ゲルカラーから得られ、好ましくは、アルキルシリケートに加えて顔料および充填剤を含む。欧州特許出願公開第2223900号明細書において提案されるコーティングは、貴金属を含まないため、製造の点で明らかにより好都合である。
【0010】
欧州特許出願公開第2223900号明細書に記載されるコーティングは、一連の利点を有し、かつ例えば、タッチセンサの使用を可能にするとはいえ、一連の欠点を有する。特に、記載の層は、調理器具の温度を検知するための光学センサと合わせた使用には適切でないことが分かった。同じく、従来技術のコーティングを用いた多色表示要素の使用もきわめて困難である。特に、従来技術の層は、むしろ低い明度を示す。
【0011】
さらに、欧州特許出願公開第2223900号明細書によるコーティング中での顔料の含有量が、コーティングを著しく散乱させることになる。その際、層の散乱は、顕著に異なる。
【0012】
したがって、コーティングが配置されているプレート領域に配置された、調理器具の温度を検知するための赤外線センサの使用を可能にする、ガラス基板またはガラスセラミックス基板ならびにコーティングを含む、均質な明るい色彩印象を有するプレート、例えばカバープレートの需要が存在する。
【0013】
したがって、本発明の課題は、従来技術の前記の弱点を克服するか、または少なくとも軽減する、ガラス基板またはガラスセラミックス基板ならびにコーティングを含むプレート、特にカバープレートの提供である。本発明のさらなる一態様は、そのようなプレートの使用に関する。
【0014】
その課題は、独立請求項の主題によって解決される。好ましいかつ特殊な実施形態は、従属請求項に見出される。
【0015】
したがって、本開示は、上側および下側を有するガラス基板またはガラスセラミックス基板ならびにコーティングを含むプレート、特にカバープレートに関し、
ただし、ガラスまたはガラスセラミックスが透明無着色に形成されており、
ただし、コーティングが、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の少なくとも1つの領域の、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の少なくとも1つの側に配置されており、
ただし、コーティングが、顔料粒子を含む顔料を含み、
ただし、プレートが、ガラス基板またはガラスセラミックス基板のその少なくとも1つの、コーティングが配置されている領域において、
それぞれ、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の4mmの厚さに対して、
ガラス基板またはガラスセラミックス基板を通して白タイルに対して測定して少なくとも70、好ましくは少なくとも75のL*値、
少なくとも0.1%~8%の間の光線透過率、および
1600nmの波長において少なくとも55%という、電磁放射線に対する分光透過率PvKを有する。
【0016】
プレート、特にカバープレートの一形態は、一連の利点を有する。
【0017】
透明無着色材料としてのガラスまたはガラスセラミックスの構成は、一方では、表示要素が変色なく知覚され得ることをもたらし、かつそのやり方で操作者安全性を高める。さらに、単にわずかなエネルギー供給でもすでに十分な照明が確保される。
【0018】
顔料を含むという形でのコーティングの形態が、一方では、コーティングの光学特性の柔軟な調整を可能にする。貴金属を含む非常に高価な調製品の使用は必要不可欠でない。さらに、それは、プレートのリサイクリング時に、手間のかかる貴金属の回収が必要不可欠でないという利点を提供する。
【0019】
本開示に記載するプレートの実施形態によるコーティングが顔料を含むことから、光拡散コーティングが問題となる。それは、顔料を含むコーティングがガラス基板またはガラスセラミックス基板の表面の一領域に配置されているプレートの光学特性を測定する際には、散乱も考慮する必要があるということを意味する。特に、本開示の実施形態によるプレートのその領域での透過に関しては、全透過が、正透過および拡散透過からもたらされることに注目すべきである。例えば、欧州特許出願公開第1867613号明細書に記載されているような、可視光領域での電磁放射線の透過が、特にコーティングの吸収によって調整され、層の散乱は非常にわずかであるため考慮する必要のない、従来技術によるプレートの場合とは異なり、本開示では、コーティングの吸収はあまり重要でなく、特に、指向性光画分と拡散光画分との比率が重要である。
【0020】
言い換えると、顔料の使用は、顔料の含有に起因し拡散性であり、それゆえプレートを通した眺めを妨げるコーティングの製造を可能にする。しかしながら、それは、必ずしも、コーティング中での電磁放射線の吸収の上昇は伴わない。
【0021】
それは、特に、プレートが、その少なくとも1つの、コーティングが配置されている領域において、ガラス基板またはガラスセラミックス基板を通して白タイルに対して測定して少なくとも70、好ましくは少なくとも75のL*値を有することでも分かる。輝度とも呼ばれるL*値は、CIELAB色空間での色の明度を、0~100の値で記載する。言い換えると、つまり、コーティングは明るいコーティングである。その値は、白タイルに対するレミッション(Remission)での測定において得られる。好ましくは、Konica-Minoltaの分光測色計CM-700d(SCI10°、D65)またはDatacolor CHECK II Plusを使用する。
【0022】
特に、プレートは、その少なくとも1つの、コーティングが配置されている領域において、最大10、好ましくは最大8、特に好ましくは最大6という値|a*|ないしは|b*|であるa*値およびb*を有する。a*およびb*の値は、CIELAB色空間における色の彩度を記載する。値a*=0=b*に近い色は、無彩、つまりグレースケールと知覚される。
【0023】
明るいコーティング、つまり、たとえそうだとしても可視光領域、つまり380nm~780nmの電磁放射線のほんのわずかな吸収しか示さないコーティングは、特に、透明無着色ガラスまたは透明無着色ガラスセラミックスを含む基板と組み合わせると有利である。特に、そのような、好ましくは低い彩度を有する明るいコーティングによって、ガラスないしはガラスセラミックスおよびコーティングを通した、表示要素のできる限り変色しない表示が可能になる。そのやり方で操作者安全性が改善され得るが、なぜなら、多色表示要素を使用できるからである。したがって、そのやり方で、例えば、調理機器の危険状態を、表示要素の特殊な警告カラー(例えば、赤色)を使用して正常状態から区切ること、かつ相応に視覚的に表示するすることが可能である。
【0024】
そのことは、さらに、プレートが、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の、コーティングが配置されている領域において、少なくとも0.1%~8%の間の光線透過率を有することによっても支援される。
【0025】
本開示の枠内では、透過および/または散乱に関して記載される測定値は常に、単に本開示によるコーティングならびにガラス基板またはガラスセラミックス基板が配置されているプレート領域の観察に関する。ただし、本開示によるプレートが、さらなるコーティング、例えば(機能領域のマーキングのような)装飾的コーティングまたは機能的コーティングを有することが可能である。そのようなさらなるコーティングは、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の、本開示によるコーティングと同じ側に配置されていてもよく、例えば、本開示によるコーティングと完全にまたは部分的に重複する、例えば、そのコーティングの上に重なるまたは下に重なることも可能である。しかしながら、そのようなさらなるコーティングは、プレートの、結果として生じる、例えば光学特性にさらに影響を及ぼし得るため、本開示の枠内では、明らかに異なって記載しない限り、透過率の測定の際には考慮されていない。
【0026】
本開示によるコーティングの明るい色度座標は、とりわけ、そのやり方で、例えば、調理面のいわゆる下側コーティングとして使用されるような明るい不透明コーティングとの組み合わせが、結果として生じるプレートの特に均質な色彩印象を確保することからも有利である。特に、そのようなプレートをIRクッキングセンサおよび/または多色表示要素と組み合わせると、操作快適性が高まるのみならず、さらに操作者安全性も再度改善されるが、なぜなら、例えば、調理機器の状態を表す多色表示が、そのやり方で特に著しく目立つからである。
【0027】
本開示の枠内では、人間にとって可視の電磁スペクトル部分(可視光)と理解されるのは、DIN 5031-7に準拠する定義に応じて、380nm~780nmの間の波長域である。780nm~1mmの波長を有する電磁放射線の領域は、赤外線と呼ばれる。さらに、780nm~1400nmのIR-A領域、1400nm~3000nmのIR-B領域、および3000nm~1mmのIR-C領域を区別する。
【0028】
ここでは、DIN EN 410に準拠して光線透過率を測定する。被測定試料、この場合はつまり、ガラス基板またはガラスセラミックス基板を含むプレートの、本開示の実施形態によるコーティングが配置されている領域が、試料室中に配置されている測定構成を使用する。被測定試料は、光線路中において、光源とウルブリヒト球との間の、球入口に対してある特定の間隔で存在する。その間隔は、球入口が2°の開口角を定義するように選択する。そのやり方で得られる値は、つまり、正透過の分率に相当する。記載の測定構成は、本開示の枠内では、光線透過率用にも分光透過率PiP用にも使用する。その構成を、本開示の枠内では、「PiP」または「試料室内の試料(robe robenraum)」とも呼ぶ。
【0029】
PiP構成で測定された光線透過率は、プレートの不透明性の尺度である。光線透過率が低ければ低いほど、プレートはますます不透明になる。十分に不透明であることがプレートの実質的な特徴であるため、PiP構成での光線透過率を測定する必要があり、かつ光線透過率は最大8%でなければならない。
【0030】
つまり、本開示によると、ガラス基板またはガラスセラミックス基板上にコーティングが配置されている領域では、プレートの背後に配置された要素への、プレートを通した透視が、散乱によって少なくとも妨げられるようにプレートが形成されている。しかしながら同時に、その領域ではプレートが半透明であるようにプレートが形成されている。それは、その領域において、プレートを通して、例えば、オン状態の照明要素を知覚することが可能であるということを意味する。例えば、その照明要素または表示要素は、LED、特にLED7セグメントディスプレイであってもよい。
【0031】
さらに、プレートは、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の、コーティングで覆われた領域では、プレートが、1600nmの波長において少なくとも55%の分光透過率PvKを有するように仕上げられている。
【0032】
言い換えると、本開示によるプレートは、近赤外領域において、比較的高い透過率を有する。それは、つまり正透過と同様に拡散透過も含む全透過であって、その全透過は、被測定試料が、ウルブリヒト球の入口に直接に配置されている測定構成での測定により算定されている。その構成は、本開示の枠内では、「PvK」または「球前方の試料(robe or ugel)」とも呼ぶ。光線路に対して90°の角度で側面に配置された、ウルブリヒト球の出口には、透過光画分を検出するためのセンサが取り付けられている。つまり、この測定構成により、光の正透過画分と同様に拡散透過画分も検出される。そのように測定した値を、分光透過率PvKと呼ぶ。
【0033】
分光透過率は、プレートの遮光性の尺度である。原則的に、プレートは、例えば、低い光線透過率(PiP)、および可視光領域での高い分光透過率PvKを有してもよい。そのようなプレートは、確かに不透明ではあるものの、遮光性ではなく、したがって、半透明または光を通すように形成されているであろう。しかしながら、全透過率であるPvK値は、常に、透過のPiP画分を含有するため、プレートは、低いPvKと高いPiP値とを同時には有せない。あるプレートが遮光性である、つまり、非光透過性である場合、その結果、つまり不透明でもある。非拡散性試料の場合、分光透過率PvKおよび分光透過率PiPは同一である。
【0034】
一実施形態によると、380nm~780nmの波長域では、分光透過率PvKが、ある特定波長において、同じ波長での分光透過率PiPよりも常に高い、好ましくは少なくとも1%高い、特に好ましくは少なくとも2%高い、特に好ましくは少なくとも4%高いようにプレートが形成されている。その際、少なくとも1%高いとは、ある特定波長における分光透過率PvKと分光透過率PiPとの差が少なくとも1%であることを意味する。言い換えると、その波長での散乱が、後記する図6および7の趣旨で少なくとも1%である。
【0035】
それは、本開示の実施形態によるコーティングが配置されている、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の領域において、プレートを通したその眺めが悪くなるか、さらには眺めが完全に妨げられさえすることになる要素が、観察者から見てそのプレートの背後にあるのみならず、しかもそのプレートから隔たって配置されている場合にのみプレートが真に不透明に形成されているということを意味する。それに対して、プレートのそのような一形態の場合に、要素をプレートに押し付けると、その要素は表側から見えるであろう。
【0036】
400nm未満の波長では、例えば、ガラスセラミックスは著しく光を吸収するため、その領域では散乱がより低いことになるが、なぜなら、本開示の枠内では、散乱を、透過の拡散画分と定義しているからである。
【0037】
IRセンサとして形成されている要素に関しては、プレートに対する典型的な間隔が1mm~数センチメートルの間にある。
【0038】
光学式温度センサは、結像光学系を含有しないため、その動作原理にとっては、全透過、つまりPvK値のみが決定的である。それに関しては、全透過が赤外領域において高いPiP画分を有するか有さないかは、PvK値が十分に高い限り、まったく重要でない。
【0039】
その際、分光透過率とは、DIN 5036-1に準拠する定義に応じて、個々の波長での透過の値を表す。
【0040】
本開示により存在するような、近赤外領域での高透過率は有利であるが、なぜなら、そのやり方で、例えば、調理台において調理器具の底面の温度を測定するために使用されるような、様々なオプトエレクトロニクスIRセンサの使用が可能であるからである。
【0041】
本開示の枠内では、次の専門用語および定義が当てはまる。
【0042】
ガラスとは、溶融体から得られ、かつ非晶質、特にX線非晶質(roentgenamorph)に形成されている材料と理解される。
【0043】
ガラスセラミックスとは、制御可能な、特に制御された結晶化により前駆体ガラスから得られた材料と理解される。特に、セラミックス化とも呼ばれる、ガラスセラミックスへの、ガラスの結晶化は、結晶核生成および結晶成長のステップを含み得る。
【0044】
そのようなガラスセラミックスは、例えば、酸化物ベースの次の成分(重量%)を含有してもよい:
LiO 2.5~5.5
Σ(NaO+KO) 0.1以上4未満
MgO 0~3
Σ(CaO+SrO+BaO) 0~5
ZnO 0~4
0~3
Al 16~26
SiO 58~72
TiO 1.5~5.5
ZrO 0~2.5
SnO 0.1以上0.7未満
Σ(TiO+ZrO+SnO) 3~6.5
0~5
Fe 0~0.025。
【0045】
透明無着色に形成されているガラスまたはガラスセラミックスとは、本開示の枠内では、電磁スペクトルの可視光領域では着色を有さず、むしろ中性色度座標を有し、ならびにさらに、380nm~780nmの、電磁スペクトルの可視光領域では、電磁放射線のわずかな吸収のみを有する、つまり少なくとも80%の光線透過率を有し、かつさらにはきわめて低い散乱しか有さないガラスまたはガラスセラミックスと理解される。
【0046】
したがって、透明無着色材料とは異なり、本開示の枠内では、透明に形成されているものの、電磁スペクトルの可視光領域において電磁放射線の高い吸収を有する材料と同様に、電磁スペクトルの可視光領域において電磁放射線の著しい散乱を有する材料とも理解される。
【0047】
したがって、透明材料は、例えば、不透明または半透明な材料と対照的である。無着色材料は、可視光領域において著しい吸収を示す材料と対照的である。当然のことながら、ある材料が、同時に著しく拡散性および著しく吸収性に形成されていてもよい。その際、散乱、吸収、および/または不透明性ないしは半透明性に関して、4mmの材料厚さを顧慮する。
【0048】
透明無着色ガラスセラミックスは、好ましくは、不可避の微量以外は、着色化合物V、CoO、MoO、MnO、Cr、CeO、およびNdのいずれも含有しない。その際、不可避の微量とは、一成分の最大500ppmという含有量を意味する。
【0049】
本開示の枠内で材料および/または製品の光学特性を顧慮する限り、それは、明らかに異なって記載しない限り、4mmという材料厚さに関する。
【0050】
プレートとは、デカルト座標系の第1の空間方向における横方向寸法が、第1の空間方向に対して垂直な、別の両方の空間方向における横方向寸法よりも少なくとも1桁だけ小さい製品と理解される。その第1の横方向寸法は、本開示の枠内では厚さと呼び、別の両方の空間方向での横方向寸法は、長さおよび幅と呼ぶ。長さおよび幅は、同じ規模で形成されていてもよい。
【0051】
プレートの長さおよび幅により、プレートの主要表面または主要面を特定する。それは、プレートの上側および下側である。その際、プレートの操作上の使用において、使用者に面したプレート主要面をプレートの上側と呼ぶ。下側は、そのようなプレートの操作上の使用において、使用者に面していないプレート主要面である。プレートは、操作上の使用において、実質的には横たわって、例えば、土台上に水平に載った状態で配置されていてもよい。しかしながら、プレートがむしろ立った状態で、例えば、つまり垂直に配置されている限り、プレートの「上側」とは、使用者に面したプレート表側と理解され、かつ下側とは、相応に、使用者に面していないプレート裏側と理解される。プレートの上側および下側は、互いに実質的に平行に形成されている。
【0052】
顔料とは、本開示の枠内では、粒子、いわゆる「顔料粒子」を含む着色剤と理解され、ただし、その粒子は、周囲媒体中には不溶性であり、かつその媒体に対して、視覚的に知覚可能な印象、例えば、色彩印象および/または効果を与える。顔料粒子は、例えば、最高100μm、さらには200μmの横方向寸法、例えば直径を有し、ただし、正確な横方向寸法は、使用目的に応じて異なってもよい。粒子の幾何形状もきわめて様々に際立っていてかまわない。
【0053】
基板とは、本開示の枠内では、その表面を、例えば、コーティングの塗布によって処理すべき製品、例えばプレートと理解される。したがって、特に、基板とは、その上に塗布されたコーティングのための土台と理解される。その際、コーティングは、基板を完全に覆うことも可能である。しかしながら、コーティングが、表面の一領域にのみ、例えば、基板の主要面の一方にのみ、さらには主要面の一方の一領域にのみ塗布されていることも可能である。
【0054】
コーティングとは、本開示の枠内では、コーティング法を利用して表面上に塗布された材料層と理解される。
【0055】
本開示の枠内で、その顔料粒子が基板およびコーティングを含む顔料を記載する限り、顔料粒子が含む基板を「顔料基板」と呼び、顔料粒子が含むコーティングを「顔料コーティング」と呼ぶ。それと対照的であるのは、プレートが含むガラス基板またはガラスセラミックス基板、ならびにガラス基板またはガラスセラミックス基板の少なくとも1つの領域の、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の少なくとも1つの側に配置されているコーティングである。そのコーティングは、一般的にも「コーティング」と呼ばれる。
【0056】
顔料基板およびガラス基板またはガラスセラミックス基板は、その組成に加えて、特に、その空間的な広がりに関して異なる。特に、顔料粒子は、したがって、相応に顔料基板および顔料コーティングも、ガラス基板またはガラスセラミックス基板よりも明らかに小さい寸法(例えば、明らかに小さい厚さ、幅、および長さ)を有する。それは、相応に、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の少なくとも1つの領域の、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の少なくとも1つの側に配置されたコーティングにも当てはまり、つまり、そのコーティングは、顔料コーティングよりも明らかに大きい寸法を有する。
【0057】
本開示の枠内で、顔料粒子の空間的・立体的な広がりを記載するために用語「最大横方向寸法」を使用する限り、それは、例えば、板状顔料粒子から形成されている顔料の場合には、その顔料粒子がほぼ長方形の底面を有する板状結晶として形成されている限り、単に顔料粒子の長さを指している場合がある。その場合に、例えば、最大横方向寸法を「10μm~60μm」と指定する限り、それは、その顔料が、つまり、例えば、長さ10μmを有する顔料粒子から形成されることを意味することになる。その場合、幅は単に5μmであってもよいが、10μmを超えてはならない。しかしながら、最大横方向寸法が、(きわめて薄い)シリンダの直径を描くという形で、板状結晶がシリンダ状またはほぼシリンダ状に形成されていることも可能である。板状顔料粒子を含む市販入手可能なエフェクト顔料は、通常、そのサイズに関して、板状結晶の直径のデータ、つまり主要面の面直径のデータによって定義される。本出願の枠内では、その、粒径に関するメーカのデータは、本出願の枠内で指定する、粒子の最大横方向寸法、例えば、粒子の主要面の直径と同じであると理解される。明らかに異なって記載しない限り、本開示の枠内での粒子の直径とは、着色顔料に関して通常は記載される、粒子のいわゆる相当径とは理解されないものの、その相当径は、球状粒子の場合には、ここで記載する、最大横方向寸法の直径と一致する。
【0058】
本開示の一実施形態によると、顔料が含む顔料粒子は、顔料基板および顔料コーティングを含み、ただし、その顔料基板は、酸化物材料を含み、かつ好ましくは板状に形成されている。好ましくは、顔料基板が、SiOおよび/またはAlを含む。顔料基板が、ケイ酸塩ガラスおよび/または層状ケイ酸塩を含む一実施形態が特に好ましい。
【0059】
ケイ酸塩ガラスは、SiOを含むガラスである。層状ケイ酸塩は、SiOを含む結晶質固体である。
【0060】
板状構成とは、本開示の枠内では、各主要面の法線ベクトルによって形成される直線が互いに10°を超えない、好ましくは5°を超えない角度をなすという形で、互いに実質的には平行に整列している2つの主要面を有する粒子構成と理解される。その主要面は、第3の空間方向、粒子の厚さに対して垂直に形成されている、デカルト座標系の両方の空間方向での横方向寸法によって特定されている。その、厚さに対して垂直な横方向寸法は、頻繁には、長さおよび幅とも呼ばれ、ただし、長さは、一般的には最大横方向寸法であり、幅は、長さよりも小さくてもよいが、少なくとも厚さと同じ大きさである。粒子の板状構成の特殊ケースでは、主要面が正方形、さらには円形をなすという形で、長さおよび幅が同じ大きさに形成されていてもよい。後者の場合、最大横方向寸法は、粒子の直径とも呼ばれることになる。
【0061】
厚さに対して垂直である、デカルト座標系の両方の空間方向での粒子の最大横方向寸法は、厚さの、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、特に好ましくは少なくとも10倍である。
【0062】
最大横方向寸法の、厚さに対する比率は、粒子のアスペクト比とも呼ばれる。したがって、互いに実質的には平行な2つの主要面を有する、粒子の板状構成とは、アスペクト比が、少なくとも2、好ましくは少なくとも5、特に好ましくは少なくとも10であると理解される。そのような、コーティング用に特に適切である顔料粒子のアスペクト比は、通常は200を超えない。
【0063】
言い換えると、その実施形態によると、顔料粒子は、コート製品として形成されている。
【0064】
そのような一実施形態は、そのやり方で、コーティングの特性を特に簡単に調整できるため有利である。例えば、顔料コーティングにより、コーティングのその他の成分、例えば、マトリクスまたはバインダまたは充填剤との間で特に良好な相容性が保証されているか、または保証されるように顔料粒子が仕上げられていることが可能である。しかしながら、代案的または追加的に、例えば、意図的に顔料コーティングの色度座標および/または組成を調整するというやり方で、顔料コーティングにより、顔料の、ないしは顔料が含む顔料粒子の光学特性に影響を及ぼすことも可能である。当然のことながら、同じ措置、例えば、顔料コーティングの組成の意図的な調整により、顔料とコーティングのその他の成分との間の相容性と同様に、光学特性にも影響を及ぼすことが同じく可能である。
【0065】
例えば、Feを含む顔料コーティングによって、顔料の黒色の色彩印象を達成することが可能であり、それは、同時に、コーティングのマトリクスとの相互作用に影響を及ぼすこともでき、例えば、バインダのより迅速な凝結硬化をもたらす場合がある。
【0066】
顔料基板の可能な板状構成(したがって、相応に、顔料粒子自体も板状に形成されている)は、特に、良好に付着する、耐擦傷性の層を形成するために有利であるかもしれないことが分かった。つまり、好ましくは、板状結晶が、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の表面に対して平行に生じる。
【0067】
さらに、顔料基板は、好ましくは酸化物材料を含む。それは、一方では、ガラス基板またはガラスセラミックス基板のコーティングの十分な温度安定性の保証に役立ち、相応に、本開示のプレートの十分な温度安定性の保証にも役立つ。
【0068】
有利には、顔料基板が、SiOおよび/またはAlを含む。特に、顔料基板が、完全または部分的にSiOまたはAlからなってもよい。しかしながら、顔料基板が、SiOおよび/またはAlを、ある程度の分率でのみ、例えば、10重量%、または50重量%、または90重量%だけ含むことも可能である。SiOおよびAlは、熱的および化学的にきわめて安定した材料であるため、高い温度安定性を有する製品の製造に適切である。さらに、それらの材料は、電磁放射線の可視光領域では透明であり、かつ赤外領域、特に近赤外領域での電磁放射線に対して十分な透過率を有する。
【0069】
顔料基板がケイ酸塩ガラスおよび/または層状ケイ酸塩を含む、プレートの一実施形態が特に好ましい。プレートは、ガラス基板またはガラスセラミックス基板を含むため、ケイ酸塩ガラスおよび/または層状ケイ酸塩を含む顔料基板の形態により、コーティングの、ガラス基板またはガラスセラミックス基板との適合性が、特に、ガラス基板またはガラスセラミックス基板上でのコーティングの付着および耐擦傷性に関してさらに改善され得る。
【0070】
特に、層状ケイ酸塩は、雲母、例えば白雲母として、特に、明るい無着色雲母として形成されていてもよい。
【0071】
さらなる一実施形態によると、顔料粒子が、少なくとも5μm~最大25μmの間の最大横方向寸法、例えば、主要面の直径を有する。
【0072】
それは、例えば、顔料粒子の長さおよび幅が、少なくとも5μm~最大25μmの間であることを意味する。板状結晶がほぼ円形に形成されている場合、最大横方向寸法は、その場合はつまり少なくとも5μm~最大25μmの間である、顔料粒子の主要面の直径とも理解できる。顔料粒子の厚さは、通常、1μm以下である。それゆえ、顔料粒子の特に好ましいアスペクト比は、プレートの一実施形態によると、少なくとも5~最大50の間である。
【0073】
より大きい横方向寸法を有する顔料粒子は、あいにく赤外領域において、電磁放射線の著しい散乱をもたらすため不都合である。
【0074】
スクリーン印刷法を利用してコーティングの塗布を行う限り、さらに、顔料粒子が最大25μmの最大横方向寸法、例えば、主要面の直径を有する顔料の使用が有利であるが、なぜなら、そのやり方で、さらに微細なメッシュ面(Maschenseite)を用いたスクリーンの使用、ひいては、より薄い層の製造およびより微細な構造の製造が可能であるからである。
【0075】
プレートのさらなる好ましい一実施形態によると、顔料ないしは顔料粒子が、1重量%未満のFeおよび/または1重量%未満のSnOを含む。特に好ましくは、プレートのさらなる一実施形態によると、顔料ないしは顔料粒子が、不可避の微量以外はFeを含まない。その際、不可避の微量とは、常に存在する不純物に起因するFe含有量を意味し、最大500ppm付近である。
【0076】
Feは、通常、電磁放射線の可視光領域における材料の着色をもたらす。つまり、1重量%超のFe含有量は、一方では顔料粒子の色かぶり、したがって、コーティングの色かぶりももたらし、それは、プレートの、コーティングが配置されている領域の下側にある表示要素のできるだけ色忠実な表示に関して不利である。さらに、Feは、電磁スペクトルのIR領域で吸収する。それは、その領域での透過に対して相応に不利に作用し、したがって、ある種のセンサの使用に対して不利に作用する。
【0077】
それゆえ、好ましくは、顔料ないしは顔料粒子は、不可避の微量以外はFeを含まない。つまり、好ましくは、顔料ないしは顔料粒子は、最大500ppmのFeを含む。
【0078】
SnOも、500nm~2500nmの全波長域で電磁放射線を吸収する。この理由から、顔料ないしは顔料粒子のSnO含有量は、有利には最大1重量%未満に限定されている。
【0079】
プレートのさらなる一実施形態によると、コーティングが最大1重量%のグラファイトを含む。
【0080】
グラファイトは、例えば、色度座標を調整するため、さらにはコーティングの十分な耐擦傷性および耐摩耗強度を獲得するため、および/またはコーティングの導電性を調整するためにも使用されるコーティング成分である。さらに、グラファイトは、潤滑剤としても作用し、コーティング中の積み重なった板状顔料粒子間で生じる間隙へときわめて良好に分散する。それゆえ、グラファイトは、層の緊密性も高める。もっとも、前記のように、表示要素をできるだけ本来のまま表示するためには、コーティングの明るい色度座標が有利である。さらに、そのような一形態は、コーティングを、もう1つのコーティング、例えば、明るい不透明のコーティングと組み合わせた場合に、全体としてプレートの均質な全体的印象を達成できることにもなる。それは美的に好ましく、さらに、そのような一形態は、装置の故障状態のカラー表示が、そのような均質な面においてはより目立つということを背景にしても、そのように仕上げられたプレートを含む装置の操作者安全性もさらに高める。グラファイトは強力に吸収するので、明るいコーティングを製造するため、かつプレートの均質な明るい色彩印象を実現するためにすでに、グラファイトの含有量を制限する必要がある。静電容量式タッチセンサの使用を可能にするためには、コーティングの導電性もできるだけ低いことが望ましい。
【0081】
本開示のさらなる一実施形態によると、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の、コーティングが配置されている領域でのプレートの光線透過率が、少なくとも0.5%、好ましくは少なくとも1%である。それは、操作者安全性をさらに改善するために有利であるが、なぜなら、そのやり方で十分に明るいユーザインタフェースを実現できるからである。好ましくは、光線透過率が5%未満、特に好ましくは4%未満である。そうでない場合は、プレートの下側に配置された要素がなおも煩わしく目につくかもしれない。
【0082】
本開示の改めてさらなる一実施形態によると、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の、コーティングが配置されている領域でのプレートの分光透過率PvKが、1μm~2μmの間の波長域の各波長において、少なくとも30%、好ましくは少なくとも45%、特に好ましくは少なくとも50%であり、特に好ましくは、1600nmの波長において少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%である。それは、ある種の赤外線センサ、特に、InGaAsベースのオプトエレクトロニクス赤外線センサの使用にとって有利である。それらの赤外線センサは、特に、1μm~2μmの間の、電磁放射線の波長域において高感度である。
【0083】
1μm~2μmの間の領域で高感度を有する赤外線センサは、例えば、IRクッキングセンサとして使用できる。さらに、その赤外線センサは、光データ通信用のインタフェースにおいて使用できる。そのようなインタフェースは、例えば、家庭用機器間、例えば、調理機器とレンジフードとの間での通信に使用する。代案的または追加的に、現場の技術者が、例えば、欠陥機器からエラーデータを読み取るか、または補正した設定を機器に伝達できるように、サービスインタフェースが、そのような赤外線センサを装備していることも可能である。
【0084】
その際、クッキングセンサとは、調理機器の運転状態を検知するため、または調理工程を監視するためのセンサと理解される。クッキングセンサとは、特に、調理器具の底面の温度を測定するためのセンサと理解される。
【0085】
プレートの一実施形態によると、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の、コーティングが配置されている領域での、電磁放射線に対するプレートの分光透過率PvKが、850nm~1000nmの間の波長域での少なくとも1つの波長において、好ましくは940nmの波長において、少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、特に好ましくは少なくとも40%である。
【0086】
プレートのそのような一形態は、ケイ素ベースの赤外線センサを使用する場合に特に好ましい。その赤外線センサは、例えば、ジェスチャ制御または近接制御(Annaeherungssteuerung)に適した非接触型入力デバイス用のいわゆるタイムオブフライトセンサ、例えば、ST MicroelectronicsのVL6180Xにおいて使用する。この場合、詳しく言うと、850nm~1000nmの間のスペクトル領域が特に重要である。特にジェスチャ制御には、その波長域での高透過率が有利であるが、なぜなら、その場合、分離要素、つまりこの場合はプレートの外側からかなり大きな距離をおいてジェスチャを検出できるからである。ケイ素ベースの赤外線センサの別の用途は、例えば、遠隔操作信号に対する受信器、またはここでも再び、家庭用機器間の通信向けもしくはサービスインタフェース向けの光データ伝送用の通信インタフェースである。
【0087】
プレートのさらなる一実施形態によると、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の、コーティングが配置されている領域でのプレートの光散乱が、400nmでは15%未満である、および/または電磁放射線に対するプレートの散乱が、800nmでは35%未満である。つまり、その実施形態によると、可視スペクトル領域での光散乱ができるだけ低く、800nm付近、つまり可視スペクトル領域のすぐ上方でもそうである。
【0088】
そのような一形態は、例えば、いわゆる7セグメントディスプレイを鮮明に表示可能にさせ、つまり、観察者にプレートを通して好適に知覚できるようにさせる。
【0089】
プレートのさらなる好ましい一実施形態によると、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の、コーティングが配置されている領域での、電磁放射線に対するプレートの分光透過率PvKが、3.25μm~4.25μmの間の波長域での少なくとも1つの波長において、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%、最大50%である。
【0090】
そのような一形態は、プレートを、例えば、カバープレート、または操作上、高い熱負荷にさらされる分離要素として使用する場合に特に有利である。それは、例えば、プレートを調理機器でのカバープレート、つまりいわゆるクッキングプレートとして使用する場合に当てはまるかもしれない。特に、そのような一形態は、ボロメータを、調理容器の底面の温度を検知するための温度センサとして使用する場合に好都合である。高温の調理容器は、近似的に黒体同様に振る舞う。適切に使用すると、調理容器の底面では、およそ50℃~およそ200℃の範囲の温度が生じる。不適切に使用すると、つまり、例えば、空の調理容器の加熱時、または調理容器中の液体が完全に蒸発した場合は、さらに明らかに高い温度が生じ得る。その結果、高まった火災リスクも生じかねない。適切な使用の温度範囲、とりわけ不適切な使用の温度範囲においても、調理容器の底面は、とりわけ3.25μm~4.25μmのスペクトル領域において、著しい量で熱放射する。したがって、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の、コーティングが配置されている領域での、電磁放射線に対するプレートの分光透過率PvKが、3.25μm~4.25μmの間の波長域での少なくとも1つの波長において、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%、最大50%である、プレートの一形態は、そのようなセンサの高まった検出効率をもたらす。つまり、そのような温度センサを利用して、プレートの過剰な加熱と同様にプレート周辺の過剰な加熱も阻止できる。したがって、例えば、より素早い調理が可能であるかもしれず、調理機器のエネルギー消費が低下し得る。さらに、そのような一形態は、改善された調理も可能にするかもしれないが、なぜなら、調理容器へのエネルギー伝達が、調理容器の詳細な形態に応じてより直接的にもなり、つまり、調理機器の出力制御に対する調理物(Kochgut)のより直接的な反応が可能であるかもしれないからである。いずれにせよ、それによって調理機器の操作安全性が高まる。
【0091】
さらに、IRクッキングセンサを使用すると、調理プロセスを少なくとも部分的に自動化することが可能である。そのような目的で、IRセンサを、家庭用機器の制御系の一部として形成してもよく、その制御系を利用して、例えば、事前設定した時間にわたって調理器具のある特定温度を保つか、または意図的に変化させることができる。同じく、そのような一部自動化も操作安全性の上昇に役立ち得るが、なぜなら、適切な使用からの逸脱が素早く認識され、対策を講じることができるからである。
【0092】
ガラス基板またはガラスセラミックス基板およびコーティングを含むプレートのさらなる一実施形態によると、プレートがもう1つのコーティングを含み、ただし、さらなるコーティングは、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の少なくとも1つの領域の、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の少なくとも1つの側、好ましくはコーティングと同じ側に配置されている。さらなるコーティングは、顔料粒子を含む顔料を含む。プレートは、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の、さらなるコーティングが配置されているその少なくとも1つの領域において、少なくとも0.001%~最大2%の間、好ましくは少なくとも0.01%~最大1%の間の光線透過率を有する。さらなるコーティングは、好ましくは窓を形成する空所を有し、ただし、コーティングが、少なくとも、さらなるコーティングの空所の領域に少なくとも部分的または全面的に配置されている。CIELAB色空間における、コーティングの色度座標とさらなるコーティングの色度座標との色距離ΔEは、ガラス基板またはガラスセラミックス基板を通して測定して、0超5までの範囲、好ましくは0超4までの範囲、特に好ましくは0超2までの範囲、特に0超1までの範囲にある。本開示の枠内では、窓が、少なくとも0.1cm、好ましくは少なくとも0.5cm、特に好ましくは少なくとも1cmの大きさの面を有する空所であり、通常は最大100cmの大きさを有する。
【0093】
つまり、この実施形態では、明確に、ガラス基板またはガラスセラミックス基板および第1のコーティングのみならずもう1つのコーティングも塗布されている領域に対してもプレートの光学特性および透過率を特定する。
【0094】
その実施形態によると、コーティングとさらなるコーティングとが、少なくとも部分領域において、例えば、空所の、例えば窓の周縁領域において、少なくとも部分的に重複する、つまり互いに上下に重なることが可能である。
【0095】
色距離ΔEは、次の式によって与えられている:
【化1】
【0096】
プレートのそのような一実施形態は有利であるが、なぜなら、そのやり方で、例えば、調理機器のような機器の故障状態を示す表示の知覚性を改善する、特に均質な色彩印象が生じるからであり、均質に着色されたプレートでは色差がさらに容易に知覚されるからである。
【0097】
一般的には、色距離ΔEは、色彩印象の相違に関する尺度と理解され得る。この値が大きければ大きいほど、色度座標がますます明らかに異なる。2つの色度座標間の5を超えるΔEでは、それらの色度座標は異なる色と評価される。4.0~5.0の間の値では、すでに実質的な色差が存在し、その色差はめったに許容されない。2.0~4.0の間の値では、色差は知覚されるが、通常はなおも許容される。1.0~2.0の間の値は、わずかな色差を意味する。0.5~1.0の間の値では、色差は、熟練した目でしか感じ取れない。0.0~0.5の間の値では、色差はほとんど知覚できない。
【0098】
さらなるコーティングは、特により厚い、したがってあまり光透過性でないコーティング変種として振る舞うコーティングであり得る。特に、さらなるコーティングは、コーティングと同じ顔料を含んでもよく、ただし、さらなるコーティングは、例えば、より低いバインダ分率を含んでもよい。
【0099】
さらなるコーティングを、塗布剤(Auftragsstoff)から、例えば、コーティングを得るための、かつ同じく匹敵するバインダ分率も含む塗布剤と同じ顔料を、場合によっては、同じく相応する互いの混合比で含む印刷インクから得ることも可能であるが、両方の塗布剤は、例えば、印刷インクまたは印刷ペーストである。しかしながら、その場合、さらなるコーティングを生み出す塗布剤、例えば、印刷インクまたは印刷ペースト中にはより少ない溶媒が含有されている。
【0100】
例1と同じ顔料を含むもう1つのコーティング(ただし、その塗布剤、ここでは印刷インクはより少ない溶媒を含有し、かつ塗布の際、ここではスクリーン印刷法の際にはより厚いスクリーンを使用した)は、相応に低い透過率を有するより厚い層を生み出す。
【0101】
そのような層に関しては、次の色価が得られる:L*=70.8、a*=-1.1、b*=3.9。光線透過率は、およそ1%である。
【0102】
プレートの改めてさらなる一実施形態によると、コーティングが、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の下側の少なくとも1つの領域に配置されている。その際、プレートは、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の主要面(つまり、上側または下側)と直接には接触していない機能性コーティングを含む。機能性コーティングは、好ましくは、顔料粒子を含む顔料を含む。機能性コーティングは、少なくとも一部分領域において、コーティングおよび/またはさらなるコーティング上に塗布されている。機能性コーティングが配置されている領域でのプレートの光線透過率は、最小10-5%でかつ最大0.5%、好ましくは最大0.1%である。その際、機能性コーティングは、窓を形成する空所を有し、ただし、好ましくはコーティングが少なくとも部分的または全面的にその空所の領域に配置されており、さらに、好ましくは、機能性コーティング内の空所とさらなるコーティング内の空所とが互いに少なくとも部分的には重複し、ただし、機能性コーティングの表面で測定して、機能性コーティングが、好ましくは40を超える、好ましくは50を超える、特に好ましくは60を超えるL*値を有する。
【0103】
つまり、この実施形態の場合も、明確に、ガラス基板またはガラスセラミックス基板および第1のコーティングのみならずもう1つのコーティングも塗布されている領域に対してもプレートの光学特性および透過率を特定する。
【0104】
さらなる一実施形態によると、機能性コーティングが、マスキングおよび/または封止層である。その場合、例1に対応する着色を有するものの、より少ない溶媒を含む塗布剤から得られたもう1つのコーティングにより、およそ0.1%の光線透過率を達成できる。
【0105】
機能性コーティングを、もう1つのコーティング(色価L*=70.8、a*=-1.1、b*=3.9およびそのさらなるコーティングに対して生じるおよそ1%の光線透過率を有する)上に塗布すると、コーティングが塗布されている領域と、さらなるコーティングならびに機能性コーティング、例えば封止が塗布されている領域との間で、1.55というΔEが結果として生じる。
【0106】
封止層とは、流体、例えば、水、油、および/または水蒸気、さらには別の水性液の侵入および漏出に対するバリアとして形成されているという趣旨で緊密な層である。マスキング層とは、可視光の透過をきわめて著しく低下させる層と理解される。
【0107】
本開示は、さらに、本開示の実施形態によるプレートを含む調理機器、ならびに本開示の実施形態によるプレートの、カバープレートまたは分離プレートとして、または分離要素として、例えば、オーブンの覗き窓として、または調理機器のクッキングプレートとして、暖炉覗き窓として、ラジエータカバーとして、または電子機器、例えば携帯電話のケーシングコンポーネントとしての使用に関する。
【0108】

以下では、図面および例を手がかりに本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
図1】一比較例、および本開示によるプレートの一例に対する、ならびにガラスないしはガラスセラミックスを含む2つの非コート基板に対する、異なる波長域での透過スペクトルを示す。
図2】一比較例、および本開示によるプレートの一例に対する、ならびにガラスないしはガラスセラミックスを含む2つの非コート基板に対する、異なる波長域での透過スペクトルを示す。
図3】一比較例、および本開示によるプレートの一例に対する、ならびにガラスないしはガラスセラミックスを含む2つの非コート基板に対する、異なる波長域での透過スペクトルを示す。
図4】一比較例、および本開示によるプレートの一例に対する、ならびにガラスないしはガラスセラミックスを含む2つの非コート基板に対する、異なる波長域での透過スペクトルを示す。
図5】一比較例、および本開示によるプレートの一例に対する、ならびにガラスないしはガラスセラミックスを含む2つの非コート基板に対する、異なる波長域での透過スペクトルを示す。
図6】一比較例、および本開示によるプレートの一例に対する、異なる波長域での散乱スペクトルを示す。
図7】一比較例、および本開示によるプレートの一例に対する、異なる波長域での散乱スペクトルを示す。
図8】一実施形態によるプレートの概略図である。
【0110】
図中、同じまたは互いに相応するガラス板またはガラスセラミックス板の透過スペクトルには、それぞれ同じ参照符号が付されている。
【0111】
従来技術、例えば、欧州特許出願公開第1867613号明細書および欧州特許出願公開第2223900号明細書の各文書から、エフェクト顔料を含む半透明コーティングが公知である。そのような半透明コーティングは、バインダ、様々なエフェクト顔料、グラファイト、および熱分解法シリカからなる混合物を含む。その際、バインダとしては、特にアルキルシリケートを使用してもよい。熱分解法シリカは、充填剤ならびにレオロジー添加剤として使用してもよい。
【0112】
エフェクト顔料とは、粒子を含み、かつ媒体、例えば、コーティング材ないしは結果として生じるコーティングに効果を与える、例えば、いわゆる「メタリック効果」(例えば、車用塗料から公知である)を与える顔料、つまり着色剤である。その「メタリック効果」は、顔料粒子の板状構成によって支援され得るか、またはさらに強化され得る。エフェクト顔料は、さらに、媒体、例えば、コーティング材ないしはコーティング材から生じるコーティングに、付加的に色彩印象を与えることもできる。最も簡単な形では、そのようなエフェクト顔料が、例えば、金属粒子として、例えば、金属板状結晶として、例えば、アルミニウム板状結晶として形成されていてもよい。
【0113】
もっとも、従来技術の文書中ではエフェクト顔料として、特に、顔料基板が層状ケイ酸塩として、つまり、特に雲母として、できる限り無着色雲母として形成されているようなエフェクト顔料が公知である。あいにく半透明層には、金属顔料基板または金属エフェクト顔料は適切ではないが、なぜなら、それらはつまり不透明であるからである。
【0114】
例えば、いわゆる「半透明」コーティングでの使用に適切な雲母ベースの層状ケイ酸塩は、例えば、Merck KGaA社の商標「Iriodin」のもと入手可能である。Iriodin(登録商標)103、111および123ならびに323の使用が記載されている。
【0115】
100番台シリーズのIriodin(登録商標)は、顔料コーティングが、好ましくは、電磁スペクトルの可視光領域において無着色で存在するような顔料である。したがって、単独ではコーティングの白色または銀色の印象を引き起こす顔料である。例えば、Iriodin(登録商標)103は、「Rutil Sterling Silber」とも呼ばれる。コーティングのその光学印象は、特に、可視スペクトル領域では非吸収性に形成されており、ならびに高い屈折率を有する材料を含む顔料コーティングによって引き起こされる。そのような顔料コーティングを含み得るか、またはそのような顔料コーティングがそれらからなり得る例示的な材料は、特に、TiOおよびSnOであり、ただし、通常は、TiOを、そのような顔料コーティングの主要成分として、しかもさらには唯一の成分として選択する。
【0116】
それに対して、300番台シリーズのIriodin(登録商標)、例えば、Iriodin(登録商標)323は、通常、ある種の固有色を有する顔料コーティングを有する。それに応じて、透明コーティング用に記載されるIriodin(登録商標)323は、「Royal Gold Satin」という名称も持ち、つまり、黄色がかった金色の色彩印象を有する。この色彩印象は、できるだけ本来のままの色彩知覚を可能にする、できるだけ明るい、ならびに好ましくはその上、無彩色(farbneutral)半透明のコーティングを製造するためには不都合であり、それゆえ避けるべきである。この場合、その色彩印象は、特に、Iriodin(登録商標)323の顔料コーティングが著しい含有量のFeを含むことに起因する。すでに前記したように、この顔料の高いFe含有量ゆえすでに、本開示によるプレートのコーティング中でのその使用は不都合である。著しい含有量と呼ぶのは、本開示の枠内では、10重量%を超える含有量である。
【0117】
しかしながら、半透明コーティング用に公知のそれらの顔料、特に、Iriodin(登録商標)103、111および123ならびに323の使用は、特に、そのような半透明コーティングを含むコーティングが施されたプレートの透過に対して、例えば、操作者安全性および/または操作者快適性を改善するために高い要件が課される用途が対象である場合には不利であると分かった。例えば、従来技術で記載されるコーティングは、近赤外領域、特に、1000nm~2000nmの間の領域において比較的低い全透過率を有するため、例えば、IRクッキングセンサの使用には不適切であるという欠点を有する。
【0118】
例えば、欧州特許出願公開第1867613号明細書は、その図4において、エフェクト顔料を含む2つの層の、300nm~900nmという波長域での散乱を示す。それらの層の850nmでの散乱は40%未満である。
【0119】
従来技術から公知の、最も明るくかつ最も無彩の層は、欧州特許出願公開第2223900号明細書による層Dに相当する。その層は、67.2という色価L*を有し、バインダおよび充填剤のケイ酸ならびにグラファイトの他に、顔料としてエフェクト顔料Iriodin(登録商標)111および103を含む。欧州特許出願公開第2223900号明細書の図4には、そこで記載される層B、C、DおよびEの、全透過率を測定するための一構成における透過スペクトル、つまり分光透過率PvKが300nm~1000nmの領域で示されている。850nm~1000nmの領域では、コーティングB、DおよびEの透過率が、それぞれ40%未満である。試料Cに関しては、その領域での透過率はそれより高いものの、欧州特許出願公開第2223900号明細書の図6は、コーティングB、CおよびDの対応する散乱スペクトルの描写において、Cが、400nmではおよそ16%であり全体的にはおよそ10%~およそ30%の間にある、可視光領域での高い散乱を有することを示す。各線BおよびDは、そのようにコーティングされた対応するプレートが、コート領域において、400nmではおよそ6%ないしは可視光の全波長域ではおよそ5%~15%というより低い散乱を有することを示す。そのことから、コーティングCは、5%超により、プレートを通した眺めを効果的に阻止するためには、高すぎる光線透過率(PiP)を有することが分かる。それに対して、別のコーティングは、1,000nmを超えた赤外領域において低すぎる透過率を有し、したがって、適切なセンサにより調理容器の底面の温度を検知するためには不適切である。すべての層は、70未満のL*値を有する。
【0120】
記載されたそのコーティングを用いると、一方では940nmでのIR接触センサの使用が可能であるものの、それらのコーティングは十分には明るくないため、特に操作者安全性を確保するために表示要素の十分な視認性が望ましいまたは必要である場合に、比較的高いエネルギー消費をもたらす。
【0121】
以下の表では、欧州特許出願公開第2223900号明細書による例D、電磁スペクトルの可視光領域において例Dと類似する光学特性を有する比較例、ならびに本開示の特に好ましい一実施形態によるコーティングの例を互いに対比させている。その際、比較例による層は、同じバインダを有するものの、着色が互いに異なる。ここでは、基板としてそれぞれ、4mmの厚さを有するガラスセラミックス基板を使用した。
【0122】
本開示の例によるプレートならびに比較例および例Dによるプレートの特性の比較から、コーティングの組成を、つまりここでは着色を変えることにより、ガラス基板またはガラスセラミックス基板を含むプレートの、コーティングが配置されている領域での光学特性を、可視スペクトル領域では実質的にそのままであるものの、同時に近IR領域での透過を高めることが可能であることが読み取れる。
【0123】
【表1】
【0124】
それは、さらに添付の図1からも読み取れる。図1は、波長域0nm~2500nmにおける比較例の透過スペクトルと本開示による例の透過スペクトルとの比較を示し、ただし、それぞれ分光透過率PiP(つまり、構成PiPで測定)および分光透過率PvK(つまり、測定構成PvKで測定)を互いに比較する。その際、本開示による透過曲線は実線で表し、比較例による透過曲線は破線で表している。その際、全透過(分光透過率PvKに相当)の曲線には、参照番号1(本開示による透過)および2(比較例)を付け、正透過(分光透過率PiP)の曲線には参照符号3(本開示によるプレート)および4(比較例)を付けている。
【0125】
驚くべきことに、着色の変化により、特に、本開示によるプレートの、コーティングが配置されている領域における正透過が、可視スペクトル領域(電磁放射線の380nm~780nmの波長)ではほぼ不変であるものの、赤外領域では高まり、特に1000nm~2000nmの波長域においても高まることが分かった。両方の試料とも、およそ3%の光線透過率を有し、この光線透過率は、例えば、コーティングの層厚により調整可能である。
【0126】
それにより、図4による透過スペクトルも明らかにする。ここでは、電磁放射線の380nm~780nmの波長域に対する透過率PvKならびに分光透過率PiPを、波長に対してプロットしている。分光透過率PiPは、本開示による例および比較例に関してほぼ同一であり、スペクトル3および4は、ほぼ重なり合っている。
【0127】
したがって、このやり方で上側および下側を有するガラス基板またはガラスセラミックス基板ならびにコーティングを含むプレートが得られ、ただし、そのガラスまたはガラスセラミックスは透明無着色に形成されており、ただし、コーティングは、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の少なくとも1つの領域の、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の少なくとも1つの側に配置されており、ただし、コーティングは顔料を含み、ただし、プレートは、ガラス基板またはガラスセラミックス基板のその少なくとも1つの、コーティングが配置されている領域において、それぞれ、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の4mmの厚さに対して、白タイルに対して測定して少なくとも70、好ましくは少なくとも75のL*値、少なくとも0.1%~8%の間の光線透過率、および1600nmの波長において少なくとも55%という、電磁放射線に対する分光透過率を有する。
【0128】
ここでは、特に好ましい一実施形態によると、顔料が、顔料基板および顔料コーティングを含み、ただし、その顔料基板は、好ましくは板状に形成されており、かつ酸化物材料、つまりここではSiOおよびAlを含む。顔料基板は、この場合、詳しく言うと層状ケイ酸塩として形成されている。しかしながら、一般的には、顔料基板がSiO板状結晶もしくはAl板状結晶であるか、またはケイ酸塩ガラスを含むか、またはケイ酸塩ガラスからなる板状結晶として形成されていることも可能である。例えば、プレートのコーティングとガラス基板またはガラスセラミックス基板との間の熱膨張率の特に好適な調整を達成するために、例えば、ケイ酸塩ガラスからなるある特定の顔料基板を含む顔料を選択することが有利であるかもしれない。結果として生じるコーティングの光学特性も、顔料基板の選択によって影響を及ぼすことができる。例えば、顔料基板として、例えば、雲母板状結晶といった雲母粒子、つまり層状ケイ酸塩からなる板状結晶を含む顔料を有するコーティングは、通常、いわゆる「シルクつや消し」印象を有し、それに対して、ケイ酸塩ガラスからなる顔料基板は、コーティング内でむしろ強い反射効果が、例えば、強いきらめきの形で達成される。しかしながら、同じくそれに伴うのは、エフェクト顔料のカバー効果が顔料基板に応じて様々に仕上げ可能であることだ。それゆえ、当業者は、望みの光線透過率が得られ、かつ場合によっては、例えば、充填剤およびその他の成分の巧みな調整によりコーティングの組成が調整されるように顔料を選択するであろう。
【0129】
本開示の例は、ここでは、従来技術による半透明コーティング用に記載されるエフェクト顔料のどれも含まないコーティングを含む。むしろ、
- 少なくとも5μm~最大25μmの間の最大横方向寸法を有する顔料粒子、ならびに
- 1重量%未満のFeおよび/または
- 1重量%未満のSnOを含む
顔料を使用した。
【0130】
本開示の例によるプレートのコーティングにも含まれている特に適切な顔料は、Iriodin(登録商標)119である。それは、56重量%の雲母、43重量%のTiO、および1重量%未満のSnOを含むエフェクト顔料である。最大横方向寸法は、少なくとも5μm~最大25μmの間である。つまり、この場合、顔料基板は、雲母粒子として、より正確に言うと雲母板状結晶として形成されている。したがって、Iriodin(登録商標)119は、板状顔料基板を含む顔料粒子を含む。
【0131】
Iriodin(登録商標)119のような顔料、つまり、1重量%未満というSnOの低い含有量を有し、かつ少なくとも5μm~最大25μmの間にある、顔料基板ないしは顔料粒子の最大横方向寸法の顔料粒子を含む顔料は、プレート、例えばカバープレート、例えば、調理機器用のカバープレートとしてのいわゆるクッキングプレート用のコーティングを製造するため、コーティングが配置されているプレート領域において低い光線透過率を、特に780nm~2500nmの間の領域での高いIR透明性および追加的に高いL*値とを同時に生成するために特に適切である。
【0132】
さらにコーティングは、その場合、1重量%未満のグラファイトを含む。その際、通常は、そのようなコーティングのグラファイト分率を任意には低下させられないことに注目すべきである。つまり、コーティングにいかなるグラファイトも添加しないというやり方でコーティングの特に明るい色彩印象を達成することが可能であろうが、グラファイトは、そのようなコーティングの着色成分として作用するのみならず、コーティングの付着および耐擦傷性の改善ももたらす。さらに、グラファイトは、潤滑剤としても作用し、コーティング中の積み重なった板状顔料粒子間で生じる隙間へときわめて良好に分散する。それゆえ、コーティングの緊密性も高める。それゆえ、コーティングが、少なくともある程度の含有量のグラファイトを有すると有利である。しかしながら、その含有量は限定されている。
【0133】
図2および3には、例によるプレートの、850nm~1000nmの波長域(図2)、ならびに1000nm~2000nmの波長域(図3)に対する透過スペクトルを示す。表示されているのは、それぞれ、全透過の値、つまり透過率PvKである。全透過は、すでに前記したように、正透過した電磁放射線の分率と拡散透過した放射線の分率とを含む。したがって、「PvK」測定からの透過の測定値と「PiP」測定からの透過の測定値との差が、透過の拡散分率に相当する。
【0134】
全透過、つまり分光透過率PvKは、つまりここでの850nm~1000nmの間の波長域では、例に相応するプレートに関しては、図2の透過スペクトル1を手がかりに読み取れるように常に40%超であり、1000nm~2000nmの間の波長域では常に50%超である(図3の透過スペクトル1を参照)。それぞれ2が付いた比較例の分光透過率PvKの値は、それぞれ明らかに低い。
【0135】
ある波長における散乱光ないしは散乱電磁放射線の分率は、前記のように、「PvK」測定値と「PiP」測定値との差から計算される。
【0136】
プレートのさらなる好ましい一実施形態によると、ガラス基板またはガラスセラミックス基板の、コーティングが配置されている領域では、電磁放射線に対するプレートの分光透過率PvKが、3.25μm~4.25μmの間の波長域での少なくとも1つの波長において、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%、最大50%である。
【0137】
図5は、250nm~4750nmのスペクトル領域において、分光透過率PiPのスペクトルを示す。ここでは透過スペクトル3が、実施形態である例1の分光透過率PiPを示す。3750nmでは、分光透過率PiPが26%である。分光透過率PvKは、分光透過率PiPより低いことはあり得ないので、つまり26%と、ここでは透過スペクトル5と示される非コートガラスセラミックスの値との間にある。その際、値はそれぞれ、考察される基板の4mmという厚さに対する。非コートガラスセラミックスの場合、より低い散乱ゆえ、分光透過率PiPは、近似的に分光透過率PvKと等しい。
【0138】
透過スペクトル3と5との比較から、コーティングが、3.25μmでの透過率を2倍だけ低下させることが分かる。
【0139】
6により、Borofloat33ガラスに相当する組成を有する、厚さが4mmの非コートガラスの透過スペクトルを表す。3.25μmの波長では、そのガラス基板は30%という分光透過率PiPを有し、その分光透過率は、例1に対応するコーティングによりおよそ15%に低下することになる。
【0140】
上側および下側を有するガラス基板またはガラスセラミックス基板ならびに本開示によるコーティングを含むプレートの散乱と、比較例との比較を図6および7が示す。
【0141】
図6には、300nm~900nmの、したがって可視光領域を含む領域での散乱をプロットしてある。その際、曲線7は、本開示の例1に対応するプレートに関して、コーティングが配置されている、ガラスセラミックス基板の少なくとも1つの側の少なくとも1つの領域における散乱を示し、曲線8は、比較例に対応するプレートの散乱を示す。値はそれぞれ、基板の4mmという厚さに対する。
【0142】
その際、ある特定波長での散乱を、分光透過率PvKから分光透過率PiPを引いた差として算出した。したがって、図4に関連して、曲線5は、曲線1から曲線3を引いた差であり、曲線8は、曲線2から曲線4を引いた差である。その際、例によるプレートに関して400nmでの散乱は15%未満であり、800nmでは35%未満であることが読み取れる。
【0143】
図7は、再度、散乱スペクトル7および8を示すが、ここでは300~2500nmの領域で測定している。
【0144】
さらに、本発明によるプレートの色度座標は、高い温度安定性を有することが分かった。75hにわたる400℃の温度負荷において、例1の色度座標は、表1に記載される色度座標に対してΔE<1.5だけしか変化しなかった。
【0145】
図8は、一実施形態によるプレート10を、原寸に比例せずに図示する。
【0146】
プレート10は、上側101および下側102を有するガラス基板またはガラスセラミックス基板100ならびにコーティング20を含み、ただし、ガラスまたはガラスセラミックスが、透明無着色に形成されている。コーティング20は、ガラス基板またはガラスセラミックス基板100の少なくとも1つの領域30において、ガラス基板またはガラスセラミックス基板100の少なくとも1つの側に配置されており、かつ顔料粒子を含む顔料を含む。プレート10は、ガラス基板またはガラスセラミックス基板100のその少なくとも1つの領域30において、それぞれ、ガラス基板またはガラスセラミックス基板100の4mmの厚さに対して、ガラス基板またはガラスセラミックス基板100を通して白タイルに対して測定して少なくとも70、好ましくは少なくとも75のL*値、少なくとも0.1%~8%の間の光線透過率、および1600nmの波長において少なくとも55%という、電磁放射線に対する分光透過率PvKを有する。
【0147】
さらに、プレート10は、ここではもう1つのコーティング21を有する。さらなるコーティング21は、ガラス基板またはガラスセラミックス基板100の少なくとも1つの領域31において、ガラス基板またはガラスセラミックス基板100の少なくとも1つの側、好ましくはコーティング20と同じ側に配置されている。さらなるコーティング21は、顔料粒子を含む顔料を含む。プレート10は、ガラス基板またはガラスセラミックス基板100の、さらなるコーティング21が配置されているその少なくとも1つの領域31において、少なくとも0.001%~最大2%の間、好ましくは少なくとも0.01%~最大1%の間の光線透過率を有し、ただし、さらなるコーティング21は、好ましくは窓を形成する空所41を有する。コーティング20は、少なくとも、さらなるコーティング21の空所41の領域に少なくとも部分的に配置されている。ここで図示されるように、コーティング20が、領域41全体をふさぐことが可能であり、かつ好ましいかもしれない。さらに、コーティング20が、コーティング21と完全または部分的に、例えば周縁領域において重複してもよい。空所41の領域全体がコーティング20で占められているのではないことも可能である。CIELAB色空間における、コーティング20の色度座標とさらなるコーティング21の色度座標との色距離ΔEは、ガラス基板またはガラスセラミックス基板100を通して測定して、0超5までの範囲、好ましくは0超4まで範囲、特に好ましくは0超2までの範囲、特に0超1までの範囲にある。
【0148】
ここでは、コーティング20が、ガラス基板またはガラスセラミックス基板100の少なくとも1つの領域においてガラス基板またはガラスセラミックス基板100の下側102に配置されている。プレート10は、さらに、ガラス基板またはガラスセラミックス基板100の主要面101、102の一方と直接には接触していない機能性コーティング22を含む。その機能性コーティング22は、好ましくは、顔料粒子を含む顔料を含む。機能性コーティングは、少なくとも一部分領域において、コーティング20および/またはさらなるコーティング21上、ここではさらなるコーティング21上に塗布されている。機能性コーティング22が配置されている領域32でのプレート10の光線透過率は、最小10-5%~最大0.5%の間、好ましくは最大0.1%である。機能性コーティング22は、窓を形成する空所42を有し、ただし、好ましくはコーティング20が少なくとも部分的または全面的に空所42の領域に配置されている。機能性コーティング42は、機能性コーティング42の表面で測定して、好ましくは40を超える、好ましくは50を超える、特に好ましくは60を超えるL*値を有する。ここでは、機能性コーティング22内の空所42とさらなるコーティング21内の空所41とが、互いに少なくとも部分的に重複する。
【0149】
好ましくは、機能性コーティング21が、マスキングおよび/または封止層である。
【符号の説明】
【0150】
参照符号リスト
1 例1の分光透過率PvKの曲線
2 比較例の分光透過率PvKの曲線
3 例1の分光透過率PiPの曲線
4 比較例の分光透過率PiPの曲線
5 非コート透明無着色ガラスセラミックスの分光透過率PiPの曲線
6 非コート透明無着色ガラスの分光透過率PiPの曲線
7 例1の散乱の曲線
8 比較例の散乱の曲線
10 プレート
100 ガラス基板またはガラスセラミックス基板
101 ガラス基板またはガラスセラミックス基板の上側
102 ガラス基板またはガラスセラミックス基板の下側
20 コーティング
21 さらなるコーティング
22 機能性コーティング
30 コーティング20が配置されているプレート領域
31 さらなるコーティング21が配置されているプレート領域
32 機能性コーティング22が配置されているプレート領域
41 さらなるコーティング21内の空所
42 機能性コーティング22内の空所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8