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特許7516043湿潤堅牢性の高い分散染料及びその混合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】湿潤堅牢性の高い分散染料及びその混合物
(51)【国際特許分類】
   C09B 29/085 20060101AFI20240708BHJP
   C09B 67/38 20060101ALI20240708BHJP
   D06P 1/18 20060101ALI20240708BHJP
   D06P 3/54 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
C09B29/085 A
C09B29/085 C
C09B29/085 F
C09B67/38
D06P1/18
D06P3/54
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019238410
(22)【出願日】2019-12-27
(62)【分割の表示】P 2017508085の分割
【原出願日】2015-09-10
(65)【公開番号】P2020073679
(43)【公開日】2020-05-14
【審査請求日】2020-01-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】14184750.9
(32)【優先日】2014-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514321633
【氏名又は名称】ダイスター・カラーズ・ディストリビューション・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000095
【氏名又は名称】弁理士法人T.S.パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【弁理士】
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【弁理士】
【氏名又は名称】比企野 健
(74)【代理人】
【識別番号】100161997
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 大一郎
(72)【発明者】
【氏名】ムーガトロイド、アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ホッペ、マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】グルント、クレメンス
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】冨永 保
【審判官】小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-41449(JP,A)
【文献】特表2013-502474(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第1187087(GB,A)
【文献】工業化学雑誌、(1964)、第67巻、第1号、pp.97-102
【文献】工業化学雑誌、(1967)、第70巻、第9号、pp.1530-1532
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B1/00-69/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
Xは、水素であり、
Kは、式(2)
【化2】

(式中、互いに独立に、
が、水素、無置換若しくは置換C~Cアルキル、無置換若しくは置換C~Cアルコキシ、クロロ、ブロモ、ベンジルオキシ又はO-(CH-A-C~Cアルキルであり、
は、水素、ヒドロキシル、無置換若しくは置換C~Cアルキル、無置換C~Cアルコキシ、クロロ、ブロモ、アシルオキシ、アシルアミノ又はアルキルスルホニルアミノであり(式中、nは1~4であり、Aは、O、O-CO、O-CO-O又はCO-Oである)、
及びRは、無置換又は置換C~Cアルキル、無置換又は置換フェニル、無置換又は置換ベンジルであり、あるいはR 及びR は、及びR と、R が結合する炭素原子、R 及びR が結合する窒素原子、並びに前記窒素原子が結合する炭素原子が一緒になって5又は6員環の複素脂肪族、又は複素芳香族環を形成する)で表される基である)で表される分散染料であって、
染料:
【化3】

で表される染料を除外した、分散染料。
【請求項2】
下記式(II)で表され、
【化4】

式中、互いに独立に、
Xは、水素であり、
は、水素、メチル又はメトキシであり、
は、水素、ヒドロキシ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、クロロ、ブロモ、-NHCO-C~Cアルキル、-NHCO-アリール、-NHCO-ベンジル、又は-NHSO-C~Cアルキルであり、
及びRは、C~Cアルキル、(CH)-フェニル、CH-CH=CH、(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-O-フェニル、(CH-O-ベンジル、(CH-O-(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-O-(CH-O-フェニル、(CH-O-(CH-O-ベンジル、(CH-COO-(C~C)アルキル、(CH-COO-フェニル、(CH-COO-ベンジル、(CH-CN、(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、(CH-COO(CH-CO-フェニル、(CH-COO(CH-CO-ベンジル、(CH-O-CO-(C~C)アルキル、(CH-O-CO-フェニル、(CH-O-CO-ベンジル、(CH-O-(CH-2-フルフリル、CHR-CH=CH、CHR-(CH-O-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-フェニル、CHR-(CH-O-ベンジル、CHR-(CH-O-(CH-O-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-(CH-O-フェニル、CHR-(CH-O-(CH-O-ベンジル、CHR-(CH-COO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO-フェニル、CHR-(CH-COO-ベンジル、CHR-(CH-CN、CHR-(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO(CH-CO-フェニル、CHR-(CH-COO(CH-CO-ベンジル、CHR-(CH-O-CO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-CO-フェニル又はCHR-(CH-O-CO-ベンジルであり、
nは1又は2であり、
mは1又は2であり、
pは0又は1である、請求項1に記載の分散染料。
【請求項3】
下記式(II)で表され、
【化5】

式中、互いに独立に、
Xは、水素であり、
は、水素、メチル又はメトキシであり、
は、水素、ヒドロキシ、(C~C)アルキル、クロロ、ブロモ、NHCO-(C~C)アルキル、NHSO-(C~C)アルキルであり、
及びRは、C~Cアルキル、(CH)-フェニル、CH-CH=CH、(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-O-フェニル、(CH-O-ベンジル、(CH-O-(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-COO-(C~C)アルキル、(CH-COO-フェニル、(CH-COO-ベンジル、(CH-CN、(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、(CH-COO(CH-CO-フェニル、(CH-O-CO-(C~C)アルキル、(CH-O-CO-フェニル、(CH-O-(CH-2-フルフリル、CHR-(CH-COO-(C~C)アルキル、CHR-(CH)-O-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO(CH-CO-フェニル、CHR-(CH-O-CO-(C~C)アルキル又はCHR-(CH-O-CO-フェニルであり、
nは1又は2であり、
mは1又は2であり、
pは0又は1である、請求項1又は2に記載の分散染料。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の1種又は2種以上の分散染料を含む化学的組成物。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の2種以上の分散染料からなる化学的組成物。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載の1種又は2種以上の分散染料を含む染色用水性分散体。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一項に記載の分散染料を含むデジタル捺染用インク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アゾ系分散染料及びその混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
堅牢性、特に洗濯堅牢性が改良された分散染料への関心が高まりつつある。
【0003】
2,4,6-ジニトロハロゲンジアゾ成分(a)を構造要素として有する分散染料は周知であり、これはほとんどの赤色分散染料に加えて、特に紫色及び青色分散染料並びにこれらの染料を用いた混合物の主成分である。
【化1】
【0004】
(a)に従う染料及びこれらの調製は周知であり、様々な特許、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5又は特許文献6に記載されているが、これらは光堅牢性及び湿潤堅牢性が十分でない。式(a)のハロゲンがフルオロである染料の例は非常に少ない。
【0005】
(b)に従う2,4,5-ジニトロハロゲンの置換パターンも、例えば、特許文献5又は特許文献7から知られている。特殊なカップリング成分と組み合わせることにより堅牢性が改善された染料を得ることが可能である。
【化2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】英国特許出願公開第2030169号明細書
【文献】独国特許出願公開第4335261号明細書
【文献】独国特許出願公開第3112427号明細書
【文献】独国特許出願公開第2818653号明細書
【文献】国際公開第2005/056690号パンフレット
【文献】欧州特許出願公開第0240902号明細書
【文献】国際公開第2005/040283号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ポリエステル又はポリエステルと他の繊維(セルロース、ナイロン、エラスタン、ウール等)との混用品(blend)の染色物の堅牢性を改善する分散染料が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、ジアゾ成分としての2,4,5-ジニトロフルオロアニリンから得られるアゾ系分散染料及びその混合物は、ポリエステル又はポリエステルと他の繊維との混用品の染色物の堅牢性、特に湿潤堅牢性及び光堅牢性を改善することを可能にするのみならず、良好なビルドアップ性に反映されるように繊維を高い親和性で染色することが見出された。約35年前、Monatshefte fuer Chemie 111,(1980),p.529~533に、この群に属する次式:
【化3】
で表される化合物が、フェノール類のTLC測定に使用することができる化合物を製造するための中間体として開示された。
【0009】
本発明は、式(I)
【化4】
(式中、
Xは、水素又はハロゲンであり、
Kは、芳香族又は複素芳香族カップリング成分である)で表される染料及びこれらの混合物を対象とし、但し、染料:
【化5】
を除外する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましくは、Kは、アミノベンゼン、ナフト-1-イル、ナフト-2-イル、キノリン又は他の任意のN-複素環式縮合環系(それぞれ無置換であっても置換されていてもよい)及びフェノール基若しくはナフトール基(それぞれ無置換であっても置換されていてもよい)からなる群から選択される。
【0011】
一般に、Xが水素ではない染料が好ましい。しかしながら、Xが水素であっても好ましい構造は数多く存在する。つまり、以下に好ましい実施形態を詳述する際に、例えば、「Xは、水素又はハロゲン」又は「Xは、水素、ブロモ又はクロロ」と記載した場合、このような記述は全ての異なる下位群、すなわち、Xが水素である下位群、Xが水素以外のものである下位群及びXが指定されたいずれかのもの、例えば、ハロゲンである下位群を指す。
【0012】
好ましい染料は、式(I)中、
Xが、水素又はハロゲンであり、
Kが、式(2)
【化6】
(式中、互いに独立に、
は、水素、無置換若しくは置換C~Cアルキル、無置換若しくは置換C~Cアルコキシ、クロロ、ブロモ、ベンジルオキシ又は-O-(CH-A-C~Cアルキルであり、
は、水素、ヒドロキシル、無置換若しくは置換C~Cアルキル、無置換C~Cアルコキシ、クロロ、ブロモ、アシルオキシ、アシルアミノ(例えば、NHCO-(CH-A-C~Cアルキル)又はアルキルスルホニルアミノ(例えば、NHSO-(CH-A-C~Cアルキル)(式中、nは、1~4であり、Aは、O、O-CO、O-CO-O又はCO-O)であり、
及びRは、無置換又は置換C~Cアルキル、無置換又は置換フェニル、無置換又は置換ベンジルであるか、
あるいはR及びRが一緒になって5又は6員環の脂肪族環、複素脂肪族環、芳香族環又は複素芳香族環を形成し、
この5又は6員環は無置換であるか又は置換されている)で表される基である。
【0013】
Xが水素である染料は好ましい染料の一群を形成する。Xが水素ではない染料は他の好ましい染料の一群を形成する。さらなる他の好ましい染料の群は、Xがハロゲン、特にBr又はClである群である。
【0014】
より好ましい染料は、式(II)
【化7】
(式中、互いに独立に、
Xは、水素、クロロ又はブロモであり、
は、水素、ヒドロキシル、C~Cアルキル、ブロモ、クロロ又はC~Cアルコキシであり、
は、水素、ヒドロキシル、カルボキシ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、ハロゲン、アシルオキシ、アシルアミノ(例えば、NHCO-C~Cアルキル、NHCO-アリール、NHCO-ベンジル)又はスルホニルアミノ(例えば、NHSO-C~Cアルキル)であり、
及びRは、水素、C~Cアルキル、(CH-フェニル、CH-CH=CH、(CH-OH、(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-O-フェニル、(CH-O-ベンジル、(CH-O-(CH-OH、(CH-O-(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-O-(CH-O-フェニル、(CH-O-(CH-O-ベンジル、(CH-COOH、(CH-COO-(C~C)アルキル、(CH-COO-フェニル、(CH-COO-ベンジル、(CH-CN、(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、(CH-COO(CH-CO-フェニル、(CH-COO(CH-CO-ベンジル、(CH-O-CO-(C~C)アルキル、(CH-O-CO-フェニル、(CH-O-CO-ベンジル、COO-(CH-2-フルフリル、COO-(CH-2-デヒドロピラニル、(CH-O-(CH-2-フルフリル、(CH-O-(CH-2-デヒドロピラニル、CHR-(CH-(C~C)アルキル、CHR-(CHフェニル、CHR-CH=CH、CHR-(CH-OH、CHR-(CH-O-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-フェニル、CHR-(CH-O-ベンジル、CHR-(CH-O-(CH-OH、CHR-(CH-O-(CH-O-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-(CH-O-フェニル、CHR-(CH-O-(CH-O-ベンジル、(CH-O-(CH-(CHR-O-(C~C)アルキル、(CH-O-(CH-(CHR-O-フェニル、(CH-O-(CH-(CHR-O-ベンジル、CHR-(CH-COOH、CHR-(CH-COO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO-フェニル、CHR-(CH-COO-ベンジル、CHR-(CH-CN、CHR-(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO(CH-CO-フェニル、CHR-(CH-COO(CH-CO-ベンジル、(CH-COO(CH-(CHR-CO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-CO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-CO-フェニル、CHR-(CH-O-CO-ベンジル、CHR-(CH-2-フルフリル、COO-CHR-(CH-2-デヒドロピラニル、CHR-(CH-O-(CH-2-フルフリル、CHR-(CH-O-(CH-2-デヒドロピラニルであり(式中、ベンジル及びフェニル環はいずれもC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ又はCOORで置換されていてもよい)、
nは1~4であり、
mは1~4であり、
pは0~3である)染料である。
【0015】
さらに好ましい染料は、式(II)で表され、
式中、互いに独立に、
Xは、水素、クロロ又はブロモであり、
は、水素、メチル又はメトキシであり、
は、水素、ヒドロキシ、COOH、COO-C~Cアルキル、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、クロロ、ブロモ、-NHCO-C~Cアルキル、-NHCO-アリール、-NHCO-ベンジル、-NHSO-C~Cアルキル又は-NHSO-アリールであり、
及びRは、水素、C~Cアルキル、(CH)-フェニル、CH-CH=CH、(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-O-フェニル、(CH-O-ベンジル、(CH-O-(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-O-(CH-O-フェニル、(CH-O-(CH-O-ベンジル、(CH-COO-(C~C)アルキル、(CH-COO-フェニル、(CH-COO-ベンジル、(CH-CN、(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、(CH-COO(CH-CO-フェニル、(CH-COO(CH-CO-ベンジル、(CH-O-CO-(C~C)アルキル、(CH-O-CO-フェニル、(CH-O-CO-ベンジル、COO-(CH-2-フルフリル、COO-(CH-2-デヒドロピラニル、(CH-O-(CH-2-フルフリル、(CH-O-(CH-2-デヒドロピラニル、CHR-CH=CH、CHR-(CH-O-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-フェニル、CHR-(CH-O-ベンジル、CHR-(CH-O-(CH-O-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-(CH-O-フェニル、CHR-(CH-O-(CH-O-ベンジル、CHR-(CH-COO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO-フェニル、CHR-(CH-COO-ベンジル、CHR-(CH-CN、CHR-(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO(CH-CO-フェニル、CHR-(CH-COO(CH-CO-ベンジル、CHR-(CH-O-CO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-CO-フェニル又はCHR-(CH-O-CO-ベンジルであり、
nは1又は2であり、
mは1又は2であり、
pは0又は1である、染料である。
【0016】
最も好ましい染料は、式(II)で表され、
式中、互いに独立に、
Xは、水素、クロロ又はブロモであり、
は、水素、メチル又はメトキシであり、
は、水素、ヒドロキシ、COOH、COO-(C~C)アルキル、(C~C)アルキル、クロロ、ブロモ、-NHCO-(C~C)アルキル、-NHSO-(C~C)アルキルであり、
及びRは、水素、C~Cアルキル、(CH)-フェニル、CH-CH=CH、(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-O-フェニル、(CH-O-ベンジル、(CH-O-(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-COO-(C~C)アルキル、(CH-COO-フェニル、(CH-COO-ベンジル、(CH-CN、(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、(CH-COO(CH-CO-フェニル、(CH-O-CO-(C~C)アルキル、(CH-O-CO-フェニル、COO-(CH-2-フルフリル、(CH-O-(CH-2-フルフリル、CHR-(CH-COO-(C~C)アルキル、CHR-(CH)-O-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO(CH-CO-フェニル、CHR-(CH-O-CO-(C~C)アルキル又はCHR-(CH-O-CO-フェニルであり、
nは1又は2であり、
mは1又は2であり、
pは0又は1である、染料である。
【0017】
本発明の他の好ましい実施形態は、式(III)
【化8】
(式中、互いに独立に、
Xは水素、クロロ又はブロモであり、
は、水素、C~Cアルキル、ブロモ、クロロ又はC~Cアルコキシであり、
は、水素又はC~Cアルキルであり、
及びRは、水素、C~Cアルキル、(CH-フェニル、CH-CH=CH、(CH-OH、(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-O-フェニル、(CH-O-ベンジル、(CH-O-(CH-OH、(CH-O-(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-O-(CH-O-フェニル、(CH-O-(CH-O-ベンジル、(CH-COOH、(CH-COO-(C~C)アルキル、(CH-COO-フェニル、(CH-COO-ベンジル、(CH-CN、(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、(CH-COO(CH-CO-フェニル、(CH-COO(CH-CO-ベンジル、(CH-O-CO-(C~C)アルキル、(CH-O-CO-フェニル、(CH-O-CO-ベンジル、COO-(CH-2-フルフリル、COO-(CH-2-デヒドロピラニル、(CH-O-(CH-2-フルフリル、(CH-O-(CH-2-デヒドロピラニル、CHR-(CH-(C~C)アルキル、CHR-(CH-フェニル、CHR-CH=CH、CHR-(CH-OH、CHR-(CH-O-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-フェニル、CHR-(CH-O-ベンジル、CHR-(CH-O-(CH-OH、CHR-(CH-O-(CH-OH、CHR-(CH-O-(CH-O-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-(CH-O-フェニル、CHR-(CH-O-(CH-O-ベンジル、CHR-(CH-COOH、CHR-(CH-COO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO-フェニル、CHR-(CH-COO-ベンジル、CHR-(CH-CN、CHR-(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO(CH-CO-フェニル、CHR-(CH-COO(CH-CO-ベンジル、(CH-COO(CH-(CHR-CO-(C~C)アルキル、(CH-O-(CH-(CHR-O-(C~C)アルキル、(CH-O-(CH-(CHR-O-フェニル、(CH-O-(CH-(CHR-O-ベンジル、CHR-(CH-O-CO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-CO-フェニル、CHR-(CH-O-CO-ベンジル、COO-CHR-(CH-2-フルフリル、COO-CHR-(CH-2-デヒドロピラニル、CHR-(CH-O-(CH-2-フルフリル又はCHR-(CH-O-(CH-2-デヒドロピラニルであり(式中、ベンジル及びフェニル環はいずれも、(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ又はCOORで置換されていてもよい)、
nは1~4であり、
mは1~4であり、
pは0~3である)で表される染料である。
【0018】
より好ましい染料は、式(III)で表され、
式中、互いに独立に、
Xは、水素、クロロ又はブロモであり、
は、水素、メチル又はメトキシであり、
は、メチル又はエチルであり、
及びRは、水素、C~Cアルキル、(CH)-フェニル、CH-CH=CH、(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-O-フェニル、(CH-O-ベンジル、(CH-O-(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-O-(CH-O-フェニル、(CH-O-(CH-O-ベンジル、(CH-COO-(C~C)アルキル、(CH-COO-フェニル、(CH-COO-ベンジル、-(CH-CN、(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、(CH-COO(CH-CO-フェニル、(CH-COO(CH-CO-ベンジル、(CH-O-CO-(C~C)アルキル、(CH-O-CO-フェニル、(CH-O-CO-ベンジル、COO-(CH-2-フルフリル、COO-(CH-2-デヒドロピラニル、(CH-O-(CH-2-フルフリル、(CH-O-(CH-2-デヒドロピラニル、CHR-CH=CH、CHR-(CH-O-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-フェニル、CHR-(CH-O-ベンジル、CHR-(CH-O-(CH-O-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-(CH-O-フェニル、CHR-(CH-O-(CH-O-ベンジル、CHR-(CH-COO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO-フェニル、CHR-(CH-COO-ベンジル、CHR-(CH-CN、CHR-(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO(CH-CO-フェニル、CHR-(CH-COO(CH-CO-ベンジル、CHR-(CH-O-CO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-O-CO-フェニル又はCHR-(CH-O-CO-ベンジルであり、
nは1又は2であり、
mは1又は2であり、
pは0又は1である、染料である。
【0019】
さらに好ましい染料は、式(III)で表され、
式中、互いに独立に、
Xは、水素、クロロ又はブロモであり、
は、水素、メチル又はメトキシであり、
は、メチルであり、
及びRは、水素、C~Cアルキル、(CH)-フェニル、CH-CH=CH、(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-O-フェニル、(CH-O-ベンジル、(CH-O-(CH-O-(C~C)アルキル、(CH-COO-(C~C)アルキル、(CH-COO-フェニル、(CH-COO-ベンジル、(CH-CN、(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、(CH-COO(CH-CO-フェニル、(CH-O-CO-(C~C)アルキル、(CH-O-CO-フェニル、COO-(CH-2-フルフリル、(CH-O-(CH-2-フルフリル、CHR-(CH-COO-(C~C)アルキル、CHR-(CH)-O-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO(CH-CO-(C~C)アルキル、CHR-(CH-COO(CH-CO-フェニル、CHR-(CH-O-CO-(C~C)アルキル又はCHR-(CH-O-CO-フェニルであり、
nは1又は2であり、
mは1又は2であり、
pは0又は1である、染料である。
【0020】
本発明はまた、式(I)で表される染料及びその混合物を製造するためのプロセスであって、
a)
【化9】
(式中、Xは上記と同義である)をジアゾ化するステップと、
b)ステップa)で得られたジアゾニウム塩を式(2)で表される化合物とカップリングするステップと
を含むプロセスも提供する。
【0021】
式(IV)及び(V)で表されるそれぞれの化合物のジアゾ化は、当業者に知られているジアゾ化法、好ましくは無機酸(塩酸、硫酸若しくはリン酸又はこれらの混合物等)又は有機酸(酢酸若しくはプロピオン酸又はこれらの混合物等)を使用し、酸性媒体中で亜硝酸ナトリウム又はニトロシル硫酸を用いることによって実施することができる。無機酸及び有機酸の混合物も有利に使用することができる。
【0022】
式(IV)又は(V)で表される化合物のジアゾ化により得られるジアゾニウム塩の、式(2)で表される化合物へのカップリング反応は、周知の方法により行うことができる。
【0023】
式(2)で表される化合物は周知であり、市販されているか又は当業者に知られている一般的な化学反応、例えば、Ullmann’s Encylobedia of Industrial Chemistry,Houben-Weyl等の化学百科事典、他の化学文献及び多くの特許に開示されている方法により合成することができる。
【0024】
このことから類推して、本発明に用いられる物質は全て上述した方法で合成することができる。
【0025】
本発明の染料は単独で使用することもできるし、あるいは本発明による他の染料及び/又は他の物質との混合物として使用することもできる。
【0026】
したがって、上に述べた1種又は2種以上の染料を含む化学的組成物も本発明の一態様である。
【0027】
上述の2種以上の染料からなる化学的組成物も本発明の他の好ましい一態様を構成する。
【0028】
本発明の染料又は染料混合物を染色に使用する場合、この染料/染料混合物は、染色用染浴又は捺染用捺染糊を調製するための通常の方法で、分散剤及び湿潤剤を使用して水性媒体に分散される。
【0029】
したがって、上述の染料又は染料混合物を含む染色用水性分散体も本発明の一態様を構成する。
【0030】
分散剤の典型的な例として、リグノスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物、及びフェノール/クレゾール/スルファニル酸/ホルムアルデヒド縮合物が挙げられ、湿潤剤の典型的な例として、スルホン化又はリン酸化されていてもよいアルキルアリールエトキシレートが挙げられ、存在し得る他の成分の典型的な例として、無機塩、粉立防止剤(鉱油やノナノール等)、有機液体及び緩衝剤が挙げられる。分散剤は、染料/染料混合物の重量を基準として30~500%存在させることができる。粉立防止剤は、染料/染料混合物の重量を基準として0~5%使用することができる。
【0031】
本発明の染料及び染料混合物は疎水性材料の染色及び捺染に非常に適しており、得られる染色物及び捺染物は色相及び堅牢性(service fastness)に優れている。顕著な特徴としては、良好な洗濯堅牢性及び接触堅牢性(contact fastness)に加えて、特に、ポリエステル材料及びポリエステル-エラスタン材料に対する非常に優れたビルドアップ性が挙げられる。
【0032】
したがって、本発明はまた、本発明の染料及び染料混合物の、疎水性材料を染色及び捺染するための使用と、この種の材料を従来の手順で染色又は捺染する方法であって、本発明の染料混合物を着色剤として用いる方法とを提供する。
【0033】
上述の疎水性材料は合成又は半合成材料とすることができる。好適な材料としては、例えば、第2次酢酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリアミド、ポリ乳酸、特に、高分子量ポリエステルが挙げられる。より詳細には、高分子量ポリエステルから製造された材料は、ポリエチレンテレフタレート又はポリトリメチレンテレフタレートをベースとする材料である。例えば、混用布(blend fabric)及び混紡糸(blend fiber)(ポリエステル-綿やポリエステル-エラスタン等)も想定される。疎水性合成材料は、フィルム形態又はシート様構造若しくは糸様構造の形態をとることができ、例えば、糸、織物又は編物に加工されたものであってもよい。例えば、超極細繊維の形態で存在することができる繊維材料(fibrous textile material)も好ましい。
【0034】
本発明による使用に従う染色は従来法で、好ましくは、水性分散体を用いて、場合によりキャリアの存在下に、80~約110℃で、吸尽法によるか、又は110~140℃の染色オートクレーブ内における高温(HT)法によるか、又は染液を布帛にパッディングした後、約180~230℃で固着させる、いわゆるサーモフィックス法によっても実施することができる。
【0035】
上述の材料の捺染は、それ自体知られている方法で、本発明の染料混合物を捺染糊に添加し、この捺染糊を用いて被捺染布帛を、場合によりキャリアの存在下に、180~230℃の温度で、高温スチーム、加圧スチーム又は乾熱で処理することによって染料を固着させることにより実施することができる。
【0036】
好適なプロセス条件は次に示すものから選択することができる:
(i)pH4~8.5、温度125~140℃で10~120分間、1~2barの圧力で、金属イオン封鎖剤を場合により添加して行う吸尽染色;
(ii)pH4~8.5、温度190~225℃で15秒間~5分間、マイグレーション防止剤を場合により添加して行う連続染色;
(iii)pH4~6.5で、HTスチーミングによる場合は温度160~185℃で4~15分間、又は乾熱によるベーキング固着の場合は温度190~225℃で15秒間~5分間、又は高圧スチーミングの場合は温度120~140℃及び1~2barで10~45分間、染料の5~100重量%の湿潤剤及び増粘剤(アルギン酸塩等)を場合により添加して行う、直接捺染;
(iv)pH4~6.5で、マイグレーション防止剤及び増粘剤を場合により添加して行う抜染(染料を繊維製品にパッディングし、乾燥及びオーバープリントすることによる);
(v)pH4~7.5、温度95~100℃で、メチルナフタレン、ジフェニルアミン、2-フェニルフェノール等のキャリアを用いて、場合により金属封鎖剤を添加して行うキャリア染色;及び
(vi)アセテート、トリアセテート及びナイロンを、pH4~7.5で、アセテートの場合は温度約85℃、トリアセテート及びナイロンの場合は温度約90℃で、15~90分間、場合により金属封鎖剤を添加して行う常圧染色。
【0037】
本発明の染料混合物は、染液、パディング液又は捺染糊に使用するために、細分化された非常に微細な状態とすべきである。微細な染料への細分化はそれ自体周知の方法で、液体媒体、好ましくは水中で分散剤と一緒にスラリー化し、この混合物に剪断力を作用させ、最初に存在していた染料粒子を、最適な比表面積が達成されると共に沈殿する染料が極めて少量になる程度まで機械的に細砕することにより達成される。これはボールミルやサンドミル等の適切なミルで行われる。染料の粒度は一般に0.1~5μm、好ましくは約1μmである。
【0038】
粉砕操作に使用される分散剤は、非イオン性又はアニオン性分散剤とすることができる。非イオン性分散剤は、例えば、アルキレンオキシド(エチレンオキシドやプロピレンオキシド等)と、アルキル化可能な化合物(例えば、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、脂肪酸、フェノール、アルコールフェノール、カルボキサミド等)との反応生成物である。アニオン性分散剤は、例えば、リグノスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩又はアルキルアリールスルホン酸塩、又はアルキルアリールポリグリコールエーテルサルフェートである。
【0039】
このようにして得られる染料調製物は、大部分の用途に使用できるように、注ぎ可能にすべきである。したがって、このような場合は染料含有量及び分散剤含有量に制限がある。一般には、分散体は、染料含有率が50重量パーセントまで、分散剤含有率が約25重量パーセントまでになるように調整される。経済的な理由から、染料含有率は通常15重量パーセント以上とする。
【0040】
分散体は他の助剤も含むことができる。その例として、酸化剤(例えば、m-ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム等)又は抗菌剤(例えば、ナトリウムo-フェニルフェノキシド、ナトリウムペンタクロロフェノキシド等)、より詳細には、「酸供与体」として知られるもの、例えば、ブチロラクトン、モノクロロアセトアミド、クロロ酢酸ナトリウム、ジクロロ酢酸ナトリウム、3-クロロプロピオン酸Na塩、硫酸のモノエステル(例えば、硫酸ラウリル等)、加えて、エトキシ化及びプロポキシ化アルコールの硫酸エステル(例えば、ブチルグリコール硫酸エステル等)である。
【0041】
こうして得られる染料分散体は、染液及び捺染糊を構成するのに非常に有利に使用することができる。
【0042】
特定の分野においては粉末配合物を使用することが好ましい。この粉末は、染料、分散剤、他の助剤(例えば、湿潤剤、酸化剤、防腐剤、粉立防止剤)及び上述の「酸供与体」を含む。
【0043】
粉末形態の染料調製物の製造に好ましい一方法は、上述の染料分散液から、例えば、真空乾燥、凍結乾燥により液体を除去するか、又は回転ドラム式乾燥機により乾燥させることを含むが、好ましくは噴霧乾燥による。
【0044】
染液は、所要量の上述の染料配合物を、染色媒体、好ましくは水で、染色用の浴比が例えば5:1~50:1となる程度に希釈することにより製造される。さらに、染液には一般に、分散剤、湿潤剤、固着助剤等のさらなる染色助剤を混合する。酢酸、コハク酸、ホウ酸、リン酸等の有機酸及び無機酸を、pHを4~5、好ましくは4.5に設定するために添加する。設定したpHを緩衝作用により調節し、十分な量の緩衝系を添加すると有利である。有利な緩衝系の1種として、例えば酢酸/酢酸ナトリウム系が挙げられる。
【0045】
本発明の染料混合物を捺染に使用する場合、所要量の上述の染料配合物を、増粘剤(例えば、アルカリ金属アルギン酸塩等)及び場合によりさらなる助剤(例えば、固着促進剤、湿潤剤、酸化剤等)と一緒に従来法で混練することにより捺染糊を生成する。
【0046】
本発明はまた、インクジェット法によるデジタル捺染に使用するための、本発明の染料混合物を含むインクを提供する。
【0047】
本発明のインクは好ましくは水性であり、本発明の染料混合物を、インクの総重量を基準として、例えば、0.1重量%~50重量%の量、好ましくは1重量%~30重量%の量、より好ましくは1重量%~15重量%の量で含む。加えて、分散剤を特に0.1重量%~20重量%含む。好適な分散剤は当業者に知られており、市販されており、例えば、スルホン化又はスルホメチル化リグニン、芳香族スルホン酸及びホルムアルデヒドの縮合物、置換又は無置換のフェノール及びホルムアルデヒドの縮合物、ポリアクリル酸エステル及び対応する共重合体、変性ポリウレタン、並びにアルキレンオキシドとアルキル化可能な化合物(例えば、脂肪族アルコール、脂肪族アミン、脂肪酸、カルボキサミド、無置換又は置換フェノール等)との反応生成物が挙げられる。
【0048】
本発明のインクはさらに通常の添加剤を含むことができる。その例として、20~50℃の温度範囲で粘度を1.5~40.0mPasに合わせる粘度調整剤が挙げられる。好ましいインクの粘度は1.5~20mPasであり、特に好ましいインクの粘度は1.5~15mPasである。
【0049】
好適な粘度調整剤としては、レオロジー添加剤、例えば、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピロリドン及びこれらの共重合体、ポリエーテルポリオール、会合型増粘剤、ポリウレア、アルギン酸ナトリウム、変性ガラクトマンナン、ポリエーテルウレア、ポリウレタン並びに非イオン性セルロースエーテルが挙げられる。
【0050】
本発明のインクは、さらに慣用の助剤(adjuvant)、例えば、真菌及び細菌の増殖を抑制する物質を、例えば、インクの総重量を基準として0.01重量%~1重量%の量で含むことができる。
【0051】
この種の好適な捺染助剤又は配合助剤の概要は、例えば、欧州特許第1735385号明細書に詳述されている。
【0052】
捺染インクが既に必要な化学物質を全て含んでいる従来の捺染と異なり、デジタル捺染又はインクジェット捺染においては、助剤を別の前処理ステップにおいて基材となる繊維製品に適用しなければならない。
【0053】
染料を超臨界二酸化炭素を用いて繊維材料に適用することもでき、その場合、染料配合剤を場合により省略することができる。
【0054】
合成繊維材料は、好ましくは、芳香族ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド(特にポリヘキサメチレンアジパミド)から選択することができる。2次酢酸セルロース、三酢酸セルロース及び天然の繊維材料(特にセルロース系材料及びウール)から選択することもできる。特に好ましい繊維材料は、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルと上述の繊維材料のいずれかの繊維との混紡品である。特に好ましい混紡品として、ポリエステル-セルロース(ポリエステル-綿やポリエステル-ウール等)の混紡品が挙げられる。繊維材料又はその混用品は、フィラメント、ばら毛、糸又は織布若しくは編布の形態とすることができる。
【0055】
特に、ポリエステル繊維の中では、通常のポリエステル繊維(通常のデニール数の繊維)のみならず、極細繊維(0.6デニール未満の極細のデニール数を有する繊維)も、本発明の染料混合物で上首尾に染色することができる繊維として使用することができる。
【0056】
一般に、あらゆる種類の繊維を染色することができ、したがって、繊維及びこの種の繊維を含む混用品は:合成繊維材料、ナイロン材料、ナイロン-6、ナイロン-6,6及びアラミド繊維、植物繊維、種子繊維(綿、有機綿、カポック、ヤシ殻由来コイア);靱皮繊維(亜麻、麻、黄麻、ケナフ、カラムシ、籐);葉繊維(サイザル麻、ヘネッケン、バナナ);茎繊維(竹);動物繊維(ウール、オーガニックウール、絹、カシミヤ、アルパカ、モヘヤ、アンゴラ)に加えて、毛皮及び皮革素材;人造繊維、再生(regenerated)繊維及び再利用(recycled)繊維、セルロース系繊維;紙繊維、セルロース系再生繊維、ビスコースレーヨン繊維、アセテート及びトリアセテート繊維並びにリヨセル繊維からなる群から選択され、化学的及び/又は物理的に結合した上述の染料混合物を含む形態は、本発明の他の態様を構成する。
【0057】
以下に示す実施例により本発明を例示する。特段の指定がない限り、部及び百分率は重量による。重量部及び体積部の関係はキログラムとリットルの関係である。
【実施例
【0058】
中間体1:
m 3-フルオロアニリン(192ml、2mol)をトルイジン(200ml)に加えて撹拌する。この混合物を50℃に加熱し、無水酢酸(203ml、2.1mol)を加える。この間、温度を50~60℃に維持する。2時間後、混合物を真空下に蒸発させる。残留した生成物を冷水(1000ml)と混合し、濾過して真空条件下で乾燥させることにより、中間体1(292g)を得る。
【化10】
【0059】
中間体2:
中間体1(137.9g、0.9mol)をHNO(259g)及びHSO(630g)の混合物に-5~0℃でゆっくりと加える。混合物を0~5℃で1時間撹拌した後、氷/水(4L)混合物に撹拌しながら加え、濾過して単離し、真空条件下に乾燥させることにより中間体2(140g)を得る。
【化11】
【0060】
中間体3:
中間体2(140g)を50%HSO(545ml)に加え、100℃で3時間撹拌しながら加熱する。この混合物を氷/水(5L)に加え、濾過により単離し、真空条件下で乾燥させることにより中間体3(107g)を得る。
【化12】
【0061】
中間体3の他の合成を次に示す:(Organic Letters,14(10),2504-2507;2012/Journal of Organic Chemistry,27,1910-11;1962/Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,21(14),4189-4192;2011)。
【化13】
【0062】
中間体4:
中間体3(38.8g、0.193mol)を酢酸(200ml)に溶解し、37%HCl(40ml)を加える。混合物を25℃で撹拌し、35%H(21ml)をゆっくりと加える。この混合物を25~30℃で3日間撹拌した後、氷/水(1000ml)に注ぎ、濾過により単離し、真空条件下で乾燥させることにより中間体4(39.5g)を得る。
【化14】
【0063】
中間体5:
中間体3(38.8g、0.193mol)を酢酸(200ml)に溶解し、臭素(11.6ml、0.22mol)を25℃でゆっくりと加える。この混合物を3日間25~30℃で撹拌した後、氷/水(1000ml)に加え、濾過により単離し、真空条件下で乾燥させることにより中間体5(48.1g)を得る。
【化15】
【0064】
分散染料のためのカップリング成分(K)/(2)及び(2a)
【化16】
は周知であり、Ullmann’s Encylobedia of Industrial Chemistry,Houben-Weyl等の化学百科事典、他の科学文献及び多くの特許に記載されている。したがって、詳細な合成は、数種のカップリング成分に関してのみ記載する。
【0065】
カップラー1:
Zn粉末(80g)を5%水性HCl中で撹拌することにより活性化し、濾過して水洗する。3-アミノ-4-メトキシアセトアニリド(54g、0.3mol)を酢酸(250ml)及び水(25ml)及びアセト酢酸メチル(CHCOCHCOOCH)(35.2g、0.3mol)中で撹拌する。この混合物に活性化したZn粉末を25℃で加える。反応開始後、温度が上昇する。80~90℃で12時間維持する。酢酸を真空下で蒸発させ、水(300ml)及びCHCl(300ml)を加える。アンモニア溶液でpHを7に調整し、2相を激しく混合し、相分離させた後、有機相を単離する。水相をCHCl(100ml)で抽出し、両方の有機相を合一し、水洗し、MgSOで乾燥させ、真空下で蒸発させることによりカップラー1(39.2g)を得る。
【化17】
【0066】
染料実施例1:
ジアゾ化:
中間体3(8.8g)を酢酸/プロピオン酸(60/40)(85ml)と混合し0℃に冷却する。ニトロシル硫酸(8.0ml)を0℃でゆっくりと滴下する。この混合物を0℃で4時間撹拌し、過剰の亜硝酸エステルをアミドスルホン酸で分解する。
【0067】
カップリング:
3-(N,N-ジエチル)-アミノアセトアニリド(9.4g)をメタノール(140ml)及び酢酸ナトリウム(10g)及び尿素(2g)と混合し、5℃に冷却する。この混合物にジアゾ化物(diazotation)をゆっくりと加え、反応混合物を5℃で30分間撹拌する。
【0068】
水(100ml)を加え、得られた生成物を濾過して単離する。
【0069】
エタノールから再結晶させ、真空条件下で乾燥させることにより染料(10.6g)を得る。
【化18】
【0070】
この本発明の染料をさらに分散剤を使用して配合し、ガラスビーズミルにより粉砕し、噴霧乾燥により乾燥させる。分散染料に典型的な染色条件下で、例えば、ポリエステル又はポリエステル混用品上に染色又は捺染することにより、非常に堅牢性に優れた濃紫色(deep violet)を呈する。
【0071】
実施例2:
ジアゾ化:
中間体5(8.8g)を酢酸/プロピオン酸(60/40)(85ml)と混合し、0℃に冷却する。ニトロシル硫酸(8.0ml)を0℃でゆっくりと加える。この混合物を0℃で4時間撹拌し、過剰の亜硝酸エステルをアミドスルホン酸で分解する。
【0072】
カップリング:
3-(N,N-ジプロピル)メシルメタミン(mesylmetamin)(N-(3-ジプロピルアミノフェニル)メタンスルホンアミド)(11.04g)をメタノール(140ml)及び酢酸ナトリウム(10g)及び尿素(2g)と混合し、5℃に冷却する。この混合物に、ジアゾ化物(diazotation)をゆっくりと加え、反応混合物を5℃で30分間撹拌する。
【0073】
水(100ml)を加え、得られた生成物を濾過により単離する。
【0074】
アセトンから再結晶し、真空条件下で乾燥させることにより、実施例2の染料(10.6g)を得る。
【化19】
【0075】
得られた本発明の染料を分散剤を使用して配合し、ガラスビーズミルにより粉砕し、噴霧乾燥により乾燥させる。分散染料に典型的な染色条件下で、例えば、ポリエステル又はポリエステル混用品上に染色又は捺染することにより、堅牢性に非常に優れた濃紫色を呈する。
【0076】
実施例3~5:
実施例1の手順に従い、以下に示す縮環/置換カップラー(カップラー2~4)及びジアゾ成分中間体3又は中間体5からも同様に、洗濯堅牢性の高い染料を調製することができる。
【化20】
は、ポリエステルを濃赤色に染色する。
【化21】
は、ポリエステルを濃い赤味がかった青色に染色する。
【化22】
は、ポリエステルを濃い青味がかった赤色に染色する。
【0077】
実施例6~63
式(IIa)
【化23】
で表される実施例6~63は、ジアゾ成分としての中間体3及び式(2)で表されるカップリング成分を使用し、実施例1又は2の手順に従い調製することができる。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
実施例64~95
式(IIb)
【化24】
で表される実施例64~95は、ジアゾ成分としての中間体4又は中間体5及び式(2)で表されるカップリング成分を使用し、実施例1又は2の手順に従い調製することができる。
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
実施例96~202
式(IIc)
【化25】
で表される構造、すなわち一般構造(II)のRがNHCO-Rであり、Rがアルキルである構造、すなわち(II)のRがNHCO-(C~C)アルキルである構造を有する実施例96~202は、ジアゾ成分としての中間体3及び式(2a)のカップリング成分を使用し、実施例1又は2の手順に従い調製することができる。
【0085】
【表6】
【0086】
【表7】
【0087】
【表8】
【0088】
【表9】
【0089】
【表10】
【0090】
【表11】
【0091】
実施例203~312
式(III)
【化26】
で表される実施例203~312は、ジアゾ成分としての中間体4又は中間体5及び式(2a)で表されるカップリング成分を使用し、実施例1又は2の手順に従い調製することができる。
【0092】
【表12】
【0093】
【表13】
【0094】
【表14】
【0095】
【表15】
【0096】
【表16】
【0097】
【表17】