(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】超音波診断のための遡及的画像保存
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
A61B8/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020006162
(22)【出願日】2020-01-17
【審査請求日】2023-01-11
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517356184
【氏名又は名称】キャプション ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】カドゥー,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ハ
(72)【発明者】
【氏名】シェイ,チン
(72)【発明者】
【氏名】ケプセル,キリアン
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0190600(US,A1)
【文献】特開平10-262965(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0086790(US,A1)
【文献】特開2006-014779(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0061045(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像のための遡及的
ビデオクリップ保存の方法であって、
超音波撮像システムの超音波撮像用プローブを介して、診断対象の一つのビューの異なる
ビデオクリップを繰り返し取得する工程と、
前記取得した異なる
ビデオクリップのそれぞれを前記超音波撮像システムのバッファに格納する工程と、
前記
ビデオクリップのそれぞれに、それぞれの
ビデオクリップの測定された特性に応じて値を割り当てる工程と、
前記超音波撮像システムの最適クリップ保存モードを起動する工程と、を含み、
前記最適クリップ保存モードの起動に応答して、
前記バッファに格納された前記取得した異なる
ビデオクリップのそれぞれを、それぞれの測定された特性に基づいて比較する工程と、
前記取得した異なる
ビデオクリップのうち、前記測定された特性が最適値を示す少なくとも一つのクリップを特定する工程と、
前記特定した少なくとも一つの
ビデオクリップを、前記一つのビューに対応づけて前記超音波撮像システムのメモリーに保存する工程を含む
ことを特徴とする遡及的
ビデオクリップ保存の方法。
【請求項2】
前記取得した異なる
ビデオクリップを取得する期間の閾値を設定する工程と、
前記取得した異なる
ビデオクリップの最初のクリップを取得するときにタイマーを開始する工程と、
前記タイマーの経過時間が前記期間の閾値を超えた後、前記最適クリップ保存モードの起動を実行する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の遡及的
ビデオクリップ保存の方法。
【請求項3】
前記取得した異なる
ビデオクリップのうち、前記少なくとも一つのクリップを特定する工程は、前記取得した異なる
ビデオクリップのうちの前記一つのビューの最低品質以上の品質を持つ異なるクリップの中から、最も長いクリップ継続時間を持つ一つのクリップを特定することを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の遡及的
ビデオクリップ保存の方法。
【請求項4】
前記取得した異なる
ビデオクリップのそれぞれを前記バッファに格納する際、前記取得した異なる
ビデオクリップのそれぞれにおいて、
対応する画像品質を評価し、
前記対応する画像品質が前記一つのビューの前記最低品質を上回る場合、
前記取得した異なる
ビデオクリップの対応する一つのクリップのクリップ継続時間を計算し、
前記計算したクリップ継続時間を、前記取得した異なる
ビデオクリップのうち、前記最低品質を上回る画像品質を持つ異なる一つのクリップの以前に記憶されたクリップ継続時間と比較し、
前記計算したクリップ継続時間が前記以前に記憶されたクリップ継続時間を上回る場合、前記取得した異なる
ビデオクリップの対応する一つのクリップを前記取得した異なる
ビデオクリップの最高品質を持つ一つのクリップであるというラベルを前記バッファ内で付与する、
ことを特徴とする請求項3に記載の遡及的
ビデオクリップ保存の方法。
【請求項5】
前記取得した異なる
ビデオクリップのうちの前記特定した少なくとも一つのクリップを前記一つのビューに対応させて前記超音波撮像システムのメモリー内に保存することに応答して、
前記バッファ内の前記取得した異なる
ビデオクリップを全て消去する工程と、
前記超音波撮像システムの前記超音波撮像用プローブを介して前記診断対象の前記一つのビューの新たな
ビデオクリップを繰り返し取得する工程と、
前記取得した新たな
ビデオクリップのそれぞれを前記超音波撮像システムの前記バッファに格納する工程と、
前記バッファ内の前記取得した新たな
ビデオクリップに対して最適クリップ保存モードを起動する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の遡及的
ビデオクリップ保存の方法。
【請求項6】
前記測定された特性は、個々の
ビデオクリップが有する、前記超音波撮像システムにおいて診断のために指定された特定の疾患に関する最高測定品質である
ことを特徴とする請求項1に記載の遡及的
ビデオクリップ保存の方法。
【請求項7】
前記測定された特性とは、前記診断対象に存在することが知られている可視できる解剖学的構造の数であること
を特徴とする請求項1に記載の遡及的
ビデオクリップ保存の方法。
【請求項8】
超音波画像のための遡及的
ビデオクリップ保存のために構成されたデータ処理システムであり、
メモリーと少なくとも一つのプロセッサを有する計算機と、
前記計算機に接続された表示部と、
前記計算機と前記表示部に接続されたビーム形成回路と、
前記ビーム形成回路に接続されたトランスデューサを有する超音波撮像用プローブと、
計算機のメモリーにおいて実行される最適クリップ保存モードモジュールと、
を有し、前記最適クリップ保存モードモジュールはプログラムコードを有し、
前記プログラムコードは前記計算機の前記プロセッサによって実行されることにより、
超音波撮像用プローブを介して繰り返し、診断対象の一つのビューの異なる
ビデオクリップを取得し、
前記取得した異なる
ビデオクリップのそれぞれを前記計算機のバッファに格納し、
前記
ビデオクリップのそれぞれに、それぞれの
ビデオクリップの測定された特性に応じて値を割り当て、
最適クリップ保存モードを起動し、
前記最適クリップ保存モードの起動により、
前記バッファに格納した前記取得した異なる
ビデオクリップのそれぞれを、それぞれの測定された特性に基づいて比較し、
前記取得した異なる
ビデオクリップのうち、前記測定された特性が最適値を示す少なくとも一つのクリップを特定し、
前記特定した少なくとも一つのクリップを、前記一つのビューに対応づけて超音波撮像システムのメモリーに保存し、
前記取得した異なる
ビデオクリップのうちの最高品質を持つ一つのクリップを特定し、
前記最高品質を持つ一つの
ビデオクリップを前記一つのビューと対応づけて前記メモリーに保存する
ことができるようになることを特徴とするデータ処理システム。
【請求項9】
前記最適クリップ保存モードモジュールの前記プログラムコードはさらに、
前記取得した異なる
ビデオクリップを取得する期間の閾値を設定し、
前記取得した異なる
ビデオクリップの最初のクリップを取得するときにタイマーを開始し、
前記タイマーの経過時間が前記期間の閾値を超えた後、前記最適クリップ保存モードの起動を実行する、
ことができるようになることを特徴とする請求項8に記載のデータ処理システム。
【請求項10】
前記取得した異なる
ビデオクリップのうち、前記少なくとも一つのクリップを特定する工程は、前記取得した異なる
ビデオクリップのうちの前記一つのビューの最低品質以上の品質を持つ異なるクリップの中から、最も長いクリップ継続時間を持つ一つのクリップを特定することを含む
ことを特徴とする請求項8に記載のデータ処理システム。
【請求項11】
前記取得した異なる
ビデオクリップのそれぞれを前記バッファに格納する際、前記取得した異なる
ビデオクリップのそれぞれにおいて、前記最適クリップ保存モードモジュールの前記プログラムコードは
対応する画像品質を評価し、
前記対応する画像品質が前記一つのビューの前記最低品質を上回る場合、
前記取得した異なる
ビデオクリップの対応する一つのクリップのクリップ継続時間を計算し、
前記計算したクリップ継続時間を、前記取得した異なる
ビデオクリップのうち、前記最低品質を上回る画像品質を持つ異なる一つのクリップの以前に記憶されたクリップ継続時間と比較し、
前記計算したクリップ継続時間が前記以前に記憶されたクリップ継続時間を上回る場合、前記取得した異なる
ビデオクリップの対応する一つのクリップを前記取得した異なる
ビデオクリップの最高品質を持つ一つのクリップであるというラベルをバッファ内で付与する、
ことを行うことを特徴とする請求項10に記載のデータ処理システム。
【請求項12】
前記最適クリップ保存モードモジュールの前記プログラムコードがさらに
前記取得した異なる
ビデオクリップの前記少なくとも一つのクリップを前記一つのビューに対応させてメモリー内に保存することに応答して、
前記バッファ内の前記取得した異なる
ビデオクリップを全て消去し、
前記超音波撮像用プローブを介して前記診断対象の前記一つのビューの新たな
ビデオクリップを繰り返し取得し、
前記取得した新たな
ビデオクリップのそれぞれを前記バッファに格納し、
前記バッファ内の前記取得した新たな
ビデオクリップに対して最適クリップ保存モードを起動する、
ことを特徴とする請求項8に記載のデータ処理システム。
【請求項13】
前記測定された特性は、前記診断対象に存在することが知られている可視できる解剖学的構造の数である
ことを特徴とする請求項8に記載のデータ処理システム。
【請求項14】
超音波画像のための遡及的
ビデオクリップ保存のためのコンピュータプログラム製品であり、前記コンピュータプログラム製品はプログラム命令が組み込まれたコンピュータの読み取り可能な記憶媒体を含み、前記プログラム命令は装置によって実行可能であり、前記プログラム命令の実行によって前記装置は
超音波撮像システムの超音波撮像用プローブを介して、診断対象の一つのビューの異なる
ビデオクリップを繰り返し取得する工程と、
前記取得した異なる
ビデオクリップのそれぞれを前記超音波撮像システムのバッファに格納する工程と、
前記
ビデオクリップのそれぞれに、それぞれの
ビデオクリップの測定された特性に応じて値を割り当てる工程と、
前記超音波撮像システムの最適クリップ保存モードを起動する工程と、を含み、
前記最適クリップ保存モードの起動に応答して、
前記バッファに格納された前記取得した異なる
ビデオクリップのそれぞれを、それぞれの測定された特性に基づいて比較する工程と、
前記取得した異なる
ビデオクリップのうち、前記測定された特性が最適値を示す少なくとも一つのクリップを特定する工程と、
前記特定した少なくとも一つの
ビデオクリップを、前記一つのビューに対応づけて前記超音波撮像システムのメモリーに保存する工程と、
前記取得した異なる
ビデオクリップのうちの最高品質を持つ一つのクリップを特定する工程と、
前記最高品質を持つ一つの
ビデオクリップを前記一つのビューと対応づけて前記超音波撮像システムのメモリーに保存する工程と、
を含む方法を実行することを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラム製品であって、前記方法は、
前記取得した異なる
ビデオクリップを取得する期間の閾値を設定する工程と、
前記取得した異なる
ビデオクリップの最初のクリップを取得するときにタイマーを開始する工程と、
前記タイマーの経過時間が前記期間の閾値を超えた後、前記最適クリップ保存モードの起動を実行する工程と、
をさらに含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
前記取得した異なる
ビデオクリップのうち、前記少なくとも一つのクリップを特定する工程は、前記取得した異なる
ビデオクリップのうちの前記一つのビューの最低品質以上の品質を持つ異なるクリップの中から、最も長いクリップ継続時間を持つ一つのクリップを特定する
ことを含む請求項14に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
請求項16に記載のコンピュータプログラム製品であって、前記方法は、前記取得した異なる
ビデオクリップのそれぞれを前記バッファに格納する際、前記取得した異なる
ビデオクリップのそれぞれにおいて、
対応する画像品質を評価する工程と、
前記対応する画像品質が前記一つのビューの前記最低品質を上回る場合、
前記取得した異なる
ビデオクリップの対応する一つのクリップのクリップ継続時間を計算する工程と、
前記計算したクリップ継続時間を、前記取得した異なる
ビデオクリップのうち、前記最低品質を上回る画像品質を持つ異なる一つのクリップの以前に記憶されたクリップ継続時間と比較する工程と、
前記計算したクリップ継続時間が前記以前に記憶されたクリップ継続時間を上回る場合、前記取得した異なる
ビデオクリップの対応する一つのクリップを前記取得した異なる
ビデオクリップの最高品質を持つ一つのクリップであるというラベルを前記バッファ内で付与する工程と、
をさらに含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
請求項14に記載のコンピュータプログラム製品であって、前記方法は、
前記取得した異なる
ビデオクリップのうちの前記少なくとも一つのクリップを前記一つのビューに対応させて前記超音波撮像システムのメモリー内に保存することに応答して、
前記バッファ内の前記取得した異なる
ビデオクリップを全て消去する工程と、
前記超音波撮像システムの前記超音波撮像用プローブを介して前記診断対象の前記一つのビューの新たな
ビデオクリップを繰り返し取得する工程と、
前記取得した新たな
ビデオクリップのそれぞれを前記超音波撮像システムの前記バッファに格納する工程と、
前記バッファ内の前記取得した新たな
ビデオクリップに対して最適クリップ保存モードを起動する工程と、
をさらに含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
前記測定された特性は、個々の
ビデオクリップが有する、前記超音波撮像システムにおいて診断のために指定された特定の疾患に関する最高測定品質である
ことを特徴とする請求項14に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記測定された特性とは、前記診断対象に存在することが知られている可視できる解剖学的構造の数であること
を特徴とする請求項14に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項21】
超音波画像のための遡及的
ビデオクリップ保存の方法であって、
超音波撮像システムの最適クリップ保存モードを起動する工程と、
前記超音波撮像システムの超音波撮像用プローブを介して、診断対象の一つのビューの第1の
ビデオクリップを取得する工程と、
取得した第1の
ビデオクリップを前記超音波撮像システムのバッファに格納する工程と、
前記第1の
ビデオクリップに対応する測定された特性に応じて前記第1の
ビデオクリップに値を割り当て、前記第1の
ビデオクリップに対応する計算されたクリップ継続時間を前記第1の
ビデオクリップに割り当てる工程と、
前記診断対象の一つのビューの第2の
ビデオクリップを取得する工程と、
前記第2の
ビデオクリップに対応する測定された特性に応じて前記第2の
ビデオクリップに値を割り当て、前記第2の
ビデオクリップに対応する計算されたクリップ継続時間を前記第2の
ビデオクリップに割り当てる工程と、
前記第2の
ビデオクリップの割り当てられた値を、前記バッファに格納された前記第1の
ビデオクリップの値と比較する工程と、
前記第1の
ビデオクリップおよび前記第2の
ビデオクリップのうちの一方の
ビデオクリップを選択する工程であって、前記一方の
ビデオクリップの割り当てられた値は、前記測定された特性の品質の閾値を超え、且つ他方の
ビデオクリップの値を超える、工程と、
選択されなかった
ビデオクリップを削除し、前記超音波撮像システムの起動された前記最適クリップ保存モードに従って、選択された
ビデオクリップを前記バッファに格納する工程と
を含む、方法。
【請求項22】
超音波画像のための遡及的
ビデオクリップ保存のために構成されたデータ処理システムであり、
メモリーと少なくとも一つのプロセッサを有する計算機と、
前記計算機に接続された表示部と、
前記計算機と前記表示部に接続されたビーム形成回路と、
前記ビーム形成回路に接続されたトランスデューサを有する超音波撮像用プローブと、
計算機のメモリーにおいて実行される最適クリップ保存モードモジュールと、
を有し、前記最適クリップ保存モードモジュールはプログラムコードを有し、
前記プログラムコードは前記計算機の前記プロセッサによって実行されることにより、
超音波撮像用プローブを介して、診断対象の一つのビューの第1の
ビデオクリップを取得すること、
取得した前記第1の
ビデオクリップを前記計算機のバッファに格納すること、
前記第1の
ビデオクリップに対応する測定された特性に応じて前記第1の
ビデオクリップに値を割り当て、前記第1の
ビデオクリップに対応する計算されたクリップ継続時間を前記第1の
ビデオクリップに割り当てること、
診断対象の一つのビューの第2の
ビデオクリップを取得すること、
前記第2の
ビデオクリップに対応する測定された特性に応じて前記第2の
ビデオクリップに値を割り当て、前記第2の
ビデオクリップに対応する計算されたクリップ継続時間を前記第2の
ビデオクリップに割り当てること、
取得された第2の
ビデオクリップの割り当てられた値を、前記バッファに格納された前記第1の
ビデオクリップの値と比較すること、
前記第1の
ビデオクリップおよび前記第2の
ビデオクリップのうちの一方の
ビデオクリップを選択することであって、前記一方の
ビデオクリップの割り当てられた値は、前記測定された特性の品質の閾値を超え、且つ他方の
ビデオクリップの値を超える、一方の
ビデオクリップを選択すること、
選択されなかった
ビデオクリップを削除すること、および
超音波撮像システムの起動された前記最適クリップ保存モードに従って、選択された
ビデオクリップを前記バッファに格納すること
を含む、データ処理システム。
【請求項23】
超音波画像のための遡及的
ビデオクリップ保存のためのコンピュータプログラム製品であり、前記コンピュータプログラム製品はプログラム命令が組み込まれた非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含み、前記プログラム命令は装置によって実行可能であり、前記装置は
超音波撮像システムの最適クリップ保存モードを起動すること、
前記超音波撮像システムの超音波撮像用プローブを介して、診断対象の一つのビューの第1の
ビデオクリップを取得すること、
取得した第1の
ビデオクリップを前記超音波撮像システムのバッファに格納すること、
前記第1の
ビデオクリップに対応する測定された特性に応じて前記第1の
ビデオクリップに値を割り当て、前記第1の
ビデオクリップに対応する計算されたクリップ継続時間を前記第1の
ビデオクリップに割り当てること、
前記診断対象の一つのビューの第2の
ビデオクリップを取得すること、
前記第2の
ビデオクリップに対応する測定された特性に応じて前記第2の
ビデオクリップに値を割り当て、前記第2の
ビデオクリップに対応する計算されたクリップ継続時間を前記第2の
ビデオクリップに割り当てること、
前記第2の
ビデオクリップの割り当てられた値を、前記バッファに格納された前記第1の
ビデオクリップの値と比較すること、
前記第1の
ビデオクリップおよび前記第2の
ビデオクリップのうちの一方の
ビデオクリップを選択することであって、前記一方の
ビデオクリップの割り当てられた値は、前記測定された特性の品質の閾値を超え、且つ他方の
ビデオクリップの値を超える、一方の
ビデオクリップを選択すること、
選択されなかった
ビデオクリップを削除こと、および前記超音波撮像システムの起動された前記最適クリップ保存モードに従って、選択された
ビデオクリップを前記バッファに格納すること
を含む方法を実行する、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、超音波撮像、特に超音波画像の取得に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波撮像(ソノグラフィと呼ばれることもある)は高周波の音波を用いて生体内の三次元的構造を観測するための医療画像技術である。超音波画像をリアルタイムに取得するため、体内の臓器の動きや人体の血管を通る血流、組織の硬さなどを映す。又、X線画像診断のように電離放射線が用いられないため、長期的なX線被ばくによる組織や臓器の損傷というリスクを伴うことなく、長時間使用できる。
【0003】
超音波画像を得るためには、超音波検査の際に、一般にプローブと呼ばれるトランスデューサを直接肌に当てるか、もしくは身体の開口部から挿入する。肌の上にジェルを薄く塗り、トランスデューサから発せられる超音波をジェルという媒体を介して体内に発信させる。そして、体内の構造から戻ってくる反射波を計測することにより、超音波画像が構成される。超音波信号の強度(検知される反射波の振幅)および音波が体内を伝播するのに要する時間に基づき画像を計算するための情報を生成する。
【0004】
超音波撮像は、他の代表的な医療画像方法と比較して、医療従事者と患者にとっていくつかの利点を有する。まず、第一に、リアルタイムで画像を得ることができる。また、超音波撮像に必要な装置は持ち運び可能な為、患者の傍まで持って行くことができる。さらに、実用面において、他の医用画像撮影装置と比べて大幅に低コストであり、前述したように、有害な電離放射線を使用しないという点が挙げられる。しかしながら、高品質な画像の生成は検査者の熟練に大きく依存するという問題がある。
【0005】
特筆すべきは、超音波撮像の際には、画像はリアルタイムに、そして非常に高い速度で画像を取得されるという点である。撮像用プローブをしばらく操作した後、適切な画像のセット(画像クリップ)が得られる。しかし、目的の画像クリップが存在する時間は限られており、プローブの動作次第では、目的の画像クリップが残されない可能性がある。そのため、検査者は目的の画像クリップが取得できたことに素早く気づき、この画像クリップを撮像システムに保存するよう素早く指示しなければならない。しかし、検査者が目的の画像クリップが取得されたことに気づいてから、目的の画像クリップを保存するよう撮像システムに指示するまでの時間がかかりすぎてしまい、目的の画像クリップを保存する指示を出す時点ではすでに目的の画像クリップが残っていないことが起こりうる。さらには、目的の画像クリップの保存のために、検査者が撮像システムのコントロールに手を伸ばす動作自体が、撮像用プローブを意図せずに動かしてしまい、取得画像が診断の使用に適さないほどまでに劣化してしまうことも起きる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、超音波画像の画像クリップ取得に関する技術の欠点に対処し、超音波画像の遡及的な画像クリップ保存のための新規かつ非自明な方法、システム、およびコンピュータプログラム製品を提供する。本発明の一実施形態では、遡及的画像クリップ保存の方法は、最初に超音波撮像システムの超音波撮像用プローブを介して、診断対象の一つのビューの異なる超音波画像クリップを繰り返し取得する工程を含む。その後に、前記取得した異なる超音波画像クリップのそれぞれを前記超音波撮像システムのバッファに格納する工程と、前記画像クリップのそれぞれに、それぞれの画像クリップの測定された特性に応じて値を割り当てる工程とを含む。それぞれの画像クリップの測定された特性とは、例えば、個々の画像クリップの測定された品質、または個々の画像クリップの、前記超音波撮像システムにおいて診断のために指定された特定の疾患に関する測定された品質、またはそれぞれの画像クリップで見ることのできる、診断対象の解剖学的構造の数などである。
【0007】
次に、超音波撮像システムの最適クリップ保存モードの起動が行われ、以前に取得した一つ以上のクリップが、診断対象および指定されたビュー、または診断対象の検出された一側面の最適な一つ以上の取得クリップとして保存される。前記起動に応答して、前記バッファに格納した前記取得した異なる超音波画像クリップのそれぞれがそれぞれの測定された特性に基づいて比較され、前記取得した異なる超音波画像クリップのうち、前記測定された特性が最適値を示す少なくとも一つのクリップが特定される。最後に、前記特定された一つ以上のクリップは、前記一つのビューに対応付けられて前記超音波撮像システムのメモリーに保存される。
【0008】
実施形態の一態様では、前記方法はさらに、前記取得した異なる超音波画像クリップを取得する期間の閾値を設定する工程と、前記取得した異なる超音波画像クリップの最初のクリップの取得によりタイマーを開始する工程と、前記タイマーの経過時間が前記期間の閾値を超えた後、前記最適クリップ保存モードの起動を実行する工程とを含む。実施形態の別の態様では、前記取得した異なる超音波画像クリップの前記一つ以上の最高品質のクリップを前記一つのビューに関係づけて前記超音波撮像システムのメモリーへ保存することに応答して、前記バッファ上の前記取得した異なる超音波画像クリップを全て消去し、前記超音波撮像システムの前記超音波撮像用プローブを介して前記診断対象の前記一つのビューの新たな超音波画像クリップを繰り返し取得し、前記取得した新たな超音波画像クリップのそれぞれを、前記超音波撮像システムの前記バッファに格納し、前記バッファ内の前記取得した新たな超音波画像クリップに対して最適クリップ保存モードを起動する。
【0009】
実施形態の別の態様では、前記取得した異なる超音波画像クリップのうち、前記一つ以上のクリップを特定する工程は、前記取得した異なる超音波画像クリップのうちの、前記一つのビューの最低品質以上の品質を持つ異なる複数のクリップの中から、最も長い継続時間を持つ一つのクリップを特定する工程を含む。そのために、前記取得した異なる超音波画像クリップのそれぞれを前記バッファに格納する際、前記取得した異なる超音波画像クリップのそれぞれに対して、対応する画像品質を評価し、そして、前記対応する画像品質が前記一つのビューの最低品質を上回る場合、前記取得した異なる複数の超音波画像クリップのうちの対応する一つのクリップのクリップ継続時間を計算し、クリップのうち、前記最低品質を上回る画像品質を持つ異なる一つのクリップの以前に保存されたクリップの継続時間と比較し、前記計算したクリップ継続時間が前記以前に保存されたクリップ継続時間を上回る場合、前記取得した異なる複数の超音波画像クリップのうちの対応する一つのクリップを最高品質を持つ前記取得した異なる超音波画像クリップのうちの一つのクリップであるというラベルを前記バッファ内で付与する。
【0010】
本発明の別の実施形態として、データ処理システムが、超音波画像の遡及的画像クリップ保存用に構成される。前記システムは、メモリーと一つ以上のプロセッサを有する計算機と、前記計算機に接続された表示部と、前記計算機と前記表示部に接続されたビーム形成回路と、前記ビーム形成回路に接続されたトランスデューサを有する超音波撮像用プローブを含む。前記システムはさらに、前記計算機の前記メモリーで実行される最適クリップ保存モードモジュールを含む。前記モジュールはプログラムコードを有し、前記プログラムコードは前記計算機の前記プロセッサによって実行されることにより、超音波撮像用プローブを介して繰り返し、診断対象の一つのビューの異なる複数の超音波画像クリップを取得し、前記取得した異なる複数の超音波画像クリップのそれぞれを前記計算機のバッファに格納し、前記複数の画像クリップのそれぞれに、それぞれの測定された特性に応じて値を割り当て、最適クリップ保存モードを起動し、前記最適クリップ保存モードの前記起動に応答して、前記バッファに格納した前記取得した異なる超音波画像クリップのそれぞれを、それぞれの測定された特性に基づいて比較し、前記取得した異なる超音波画像クリップのうち、前記測定された特性が最適値を示す少なくとも一つのクリップを特定し、前記特定した一つ以上のクリップを、前記一つのビューに対応させて前記メモリーに保存する。
【0011】
本願発明の追加の態様は、一部は本明細書の詳細な説明に述べられており、又、一部は本明細書から明白であり、さらに、本発明の実施によって習得される。本発明の態様は請求項において記載した要素および要素の組み合わせにより実現及び達成することができる。本願発明の概略的な説明と以下の詳細な説明は共に、本発明の代表的及び説明的な例であって本願を限定するものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に添付された図面は、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成するものであり、また、発明の実施形態を示し、本明細書に記載される説明と共に本発明の原理を説明する役割を担っている。図面は現在の望ましい実施例を開示しているが、本発明はこれらに示される細かな構成や手段に限定されるものではない。
【
図1】超音波画像のための遡及的画像クリップ保存のプロセスを示す。
【
図2】超音波画像のための遡及的画像クリップ保存のために構成されたデータ処理システムの概略図である。
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図3】超音波画像のための遡及的画像クリップ保存のプロセスを示すフローチャートである。
【発明の詳細な説明】
【0013】
本発明の実施形態は超音波画像のための遡及的画像クリップの保存を提供する。本発明の実施形態によると、超音波画像は超音波撮像システムの超音波撮像用プローブによって連続して取得される。画像が取得されると、この画像は超音波撮像システムの表示部に表示されると同時に、超音波撮像システムのバッファに置かれ、前記バッファに格納された一連の画像クリップの一つのクリップとして索引付けされる。さらに、前記画像のそれぞれには、前記画像の対応するそれぞれの測定した特性に応じた値が割り振られる。その後、所定期間の経過もしくは超音波撮像用プローブの操作者の指示によって最適クリップ保存動作の起動が行われる。前記最適クリップ保存動作の前記起動に応答して、前記バッファ上の個々の画像クリップは、それぞれの測定された特性に基づき互いに比較され、これにより最適な画像クリップが特定される。前記特定された最適な画像クリップは、あたかも最適クリップが前記超音波撮像システムの表示部に表示されている時に超音波撮像用プローブの操作者が最適クリップの保存を手動で指示したかのように保存される。
【0014】
より詳しい説明を、超音波画像のための遡及的画像クリップ保存のプロセスを示す
図1を用いて行う。
図1に示すように、超音波撮像用プローブ120を備える超音波撮像システム110は対象器官130を撮像するために超音波撮像動作を行う。超音波撮像システム110のユーザインタフェース140は超音波撮像用プローブ120により取得した対象器官130のビデオクリップの同時表示160Aを提供する。ユーザインタフェース140に配置される取得メータ150は、同時表示160A上に表示したビデオクリップの取得の成功の度合いをスライディングスケールで示す。成功の度合いは対象器官130に関して得られた既知のビューに対する度合いである。例えば、心臓の撮像に関連する場合、既知のビューは傍胸骨長軸ビュー、傍胸骨短軸ビュー、心尖部二腔ビュー、心尖部三腔ビュー、心尖部四腔ビュー、心尖部五腔ビュー、及び肋骨下ビューを含む。同時表示上のビデオクリップが該当するビューにおける品質の閾値に合致もしくは超えると判定された程度に応じて成功アイコン165が取得メータ150に関係づけて表示される。この表示を可能にするために、取得される各ビデオクリップは一つ以上の基準、例えば、品質、特定の解剖学的特徴の存在、ビデオクリップ上で特定の病変の可視可能性などに従って評価することができる。取得メータ150自体は各同時ビデオクリップに対して検出された前記基準における度合い及び前記基準の事前に設定された閾値を示す。
【0015】
超音波撮像用プローブ120によるビデオクリップの画像を取得する過程で、一連のビデオクリップ195が取得され、超音波撮像システム110のバッファ155に一時的に格納される。バッファ155に格納された各ビデオクリップ195は、それぞれの継続時間175の表示を含むことができる。また、格納された個々のビデオクリップ195の品質を決定することもできる。例えば、ビデオクリップの特性を判定するよう学習させたニューラルネットワークに個々のビデオクリップを送ることで行うことができる。判定するビデオクリップの特性は、例えば、対象器官の指定されたビューにおいて撮像されたビデオクリップの品質である。バッファに格納された個々のビデオクリップ195の品質は他にも、例えば、内容に基づく画像検索(CBIR)の動作中に、バッファに格納された個々のビデオクリップ195を、品質などの既知の特性を有する既存のビデオクリップのセットと比較することにより行うことができる。ユーザインタフェース140の一部に、バッファに格納されたビデオクリップ195から取得され、品質などの計測された特性が他の格納されたビデオクリップ195のうち、測定された特性、例えば品質など、が他のバッファに格納されたビデオクリップ195のすべてを上回る一つのビデオクリップ160Bを表示するウィンドウを含むことができる。
【0016】
オプションとして、ユーザインタフェース140に追加部分170を設け、対象器官130が存在する身体の一部の象徴的な画像(アイコニックイメージ)と、対象器官130の選択されたビューを得るための、アイコニックイメージに対する超音波撮像用プローブ120の推奨される動きをアイコン画像上で表示するようにしても良い。ユーザインタフェースの追加部分170は、対象器官130が存在する身体の一部のアイコニックイメージに重ね合わされた空間定位表示部180を含む。空間定位表示部180は等間隔な角度の十二の位置で示されたクロックアングルインジケータとして構成される。このようにして、推奨される動きと空間定位表示部180との組み合わせは、選択されたビューにおいて十分な品質のビデオクリップが取得できるよう、超音波撮像システム110の操作者に手早く使える視覚的ガイダンスを提供する。
【0017】
また、最適クリップ保存モードは、所定の基準に照らして、十分な特性を示すと考えられるビデオクリップを取得しようとする試みを開始してからの経過時間が時間閾値を超えた時に自動的に起動することができる。十分な特性を示すビデオクリップとは、例えば、対象器官130の選択されたビューにおける十分な品質のビデオクリップである。あるいは、最適クリップ保存モードはユーザインタフェース上の操作部190を用いた手動選択によっても起動することができる。最適クリップ保存モードが起動されると、バッファに格納されたビデオクリップ195を調べて、バッファ上のビデオクリップ195の中で対象器官130の選択されたビューにおいて関連する品質が最も高いビデオクリップを保存のために選択する。あるいは、任意で、バッファ上のビデオクリップ195の中で最も高い品質を持つ一ビデオクリップを保存する代わりに、バッファ上のビデオクリップ195のサブセットであり、それぞれが対象器官130の選択されたビューにおいて最低の許容品質を上回る一つ以上のビデオクリップを選択し、さらに、前記選択されたサブセットの中から、バッファ上のビデオクリップ195のうちの最も長い継続時間と紐づけられている一ビデオクリップを最適クリップとして選択し、保存することができる。以上のどちらの場合によっても、バッファ上のビデオクリップ195の選択された一つのビデオクリップは、前記バッファに格納されたビデオクリップ195の中から取得される、前記バッファに格納されたビデオクリップ195のうち最も高品質な一つのビデオクリップ160Bを表示するウィンドウで提示される。最後に、バッファ155は記憶されたバッファ上のビデオクリップ195を全て消去する。
【0018】
図1を用いて説明したプロセスは、超音波診断用データ処理システムによって実施することができる。
図2は超音波撮像のための遡及的画像クリップ保存のために構成されたデータ処理システムの概略図である。該システムはホスト・コンピューティング・システム210を含む。ホスト・コンピューティング・システム210は一つ以上のプロセッサと、メモリーと、表示部と、を有する計算機を含み、また、バッファ250も含む。ホスト・コンピューティング・システム210はさらに、超音波撮像システム220に接続されており、超音波撮像システム220は、ビーム形成回路240の動作によって、手持ち式撮像用装置230を哺乳類の被験体の診断対象である器官の近くに置くことで取得した超音波画像をバッファ250に保管するよう構成されている。
【0019】
ホスト・コンピューティング・システム210は、ニューラルネットワークとニューラルネットワークへのプログラムインタフェースを保存する、ローカル又はリモート(クラウド上の)の固定記憶装置(図示せず)に通信可能に接続されている。該ニューラルネットワークは、対象器官の一つ以上の特徴、例えば、心臓の駆出率値や大動脈弁狭窄の有無を特徴づけられるよう訓練される。そのために、超音波撮像システム220により取得された、対象器官の指定されたビューのビデオクリップ画像はニューラルネットワークに提供され、該ニューラルネットワークはビデオクリップ画像の特徴づけをその特徴づけの信頼度と共に出力するためにプログラムインタフェースにアクセスする。次に、超音波撮像システム220はビデオクリップ画像のみならず、前記特徴付け、またオプションで、前記信頼度もホスト・コンピューティング・システム210の表示部に表示する。
【0020】
本発明の実施形態によると、超音波撮像システム220には最適ビデオクリップ保存モジュール300が含まれる。モジュール300にはコンピュータプログラムの命令が含まれ、該コンピュータプログラムの命令はホスト・コンピューティング・システム210によって実行されることにより、取得に成功した対象器官の一連のビデオクリップを、それぞれに品質と継続時間の値を付けてバッファ250に格納することができる。次に、最適ビデオクリップ保存モードが起動されると、バッファ250に格納された、対象器官の指定されたビューの他のビデオクリップより相対的に品質が最も高い一つのビデオクリップが、超音波撮像システム220のユーザインタフェースの一部に表示され、指定されたビューによる対象器官の撮像中に取得された最も良い品質のビデオクリップとして固定記憶装置に記憶される。その後、バッファ250内にあるビデオクリップは削除され、プロセスは異なるビューからの前記対象器官の撮像に移行することができる。
【0021】
最適ビデオクリップ保存モジュール300の動作のさらなる説明として
図3を示す。
図3は超音波撮像のための遡及的画像クリップ保存のプロセスを示すフローチャートである。まず、ブロック310では、指定されたビューによる対象器官のビデオクリップが受信され、超音波撮像システムの動作を支援するホスト・コンピューティング・システムのメモリーに格納されるる。ブロック320では、受信したビデオクリップの継続時間が計算される。ブロック330において、受信したビデオクリップの指定されたビューに対する品質が求められる。そして、ブロック340では、受信したビデオクリップは品質の示度および継続時間と共に一時的にバッファに格納される。
【0022】
判定ブロック350では、最適ビデオクリップ保存モードが起動されたかを判定する。起動されていないと判定された場合、プロセスはブロック310に戻り、前記指定されたビューによる前記対象器官の次のビデオクリップを取得し、この取得したビデオクリップの品質示度および継続時間と共にバッファに格納する。最適ビデオクリップ保存モードが起動されているという判定である場合、ブロック360でバッファ内に格納されたビデオクリップのうち、指定されたビューの品質閾値を超える最低限の品質を持ち、継続時間が最も長い一つのビデオクリップを、最良ビデオクリップとして選択する。ブロック370では、選択されたビデオクリップが前記バッファから読み出され、バッファに一時格納されていたビデオクリップの中から以前に選択された以前の最良クリップと比較される。ブロック380において、前記選択されたビデオクリップが品質、継続時間、または品質と継続時間の両方において以前の最良クリップを上回ると判定された場合、ブロック390において前記選択されたビデオクリップを以前の最良クリップの代わりに保存する。そして、ブロック400において、バッファの内容を消去する。その後、プロセスはブロック310に戻る。
【0023】
本発明は、システム、方法、コンピュータプログラム製品、またはそれらの組合せによって実施することができる。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令を有する一つ以上のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含むことができる。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、命令実行装置が使用する命令を保持および保存することができる有形の装置とすることができる。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、またはこれらの適切な組合せでよいが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書に説明されているコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体から、それぞれの計算機または処理装置にダウンロード、あるいはネットワークを介して外部コンピュータまたは外部記憶装置にダウンロードすることができる。コンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、全てユーザのコンピュータ上で実行することもできるが、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアローンのソフトウェアパッケージとして、一部ユーザのコンピュータ上かつ一部遠隔コンピュータ上で、または全て遠隔コンピュータあるいは遠隔サーバ上で実行することもできる。本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャートおよびブロック図を参照しながら説明している。フローチャートやブロック図の各ブロックおよびブロックの組み合わせは、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令によって実施することができることが理解されよう。
【0025】
これらコンピュータ読み取り可能なプログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに与えることによって、コンピュータまたはプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサにより実行される命令がフローチャートやブロック図の一つもしくは複数のブロックによって指定される機能または動作の実行手段として機能する機械を生成することができる。これらのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、計算機、プログラム可能データ処理装置、および/または他の装置に特定の機能の仕方をするよう指示することができるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することもできる。そうすることにより、命令が記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、フローチャートやブロック図の一つ又は複数のブロックにおいて指定された機能や動作の態様を実行する命令を含む製品を含むことができる。
【0026】
コンピュータ読み取り可能なプログラム命令をコンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他の装置に読み込んで、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他の装置の上で実行させることにより、コンピュータで実施されるプロセスを生成することができる。こうすることにより、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他の装置で実行される命令が、フローチャートやブロック図の一つ又は複数のブロックにおいて指定された機能または動作を実行することができる。
【0027】
図面のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態において実装可能なシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品のアーキテクチャ、機能、および動作を示している。この点において、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、指定された論理機能を実行するための1つ以上の実行可能な命令を含む、複数の命令のモジュール、セグメント、または一部分を表している。いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに記載された機能は、図に記載された順序とは異なる順序で実行することができる。例えば、連続して図示された二つのブロックは、実質的に同時に実行されてもよく、または、関連する機能に応じて、逆の順序で実行することができる。また、ブロック図および/またはフローチャートの各ブロック、およびブロック図および/またはフローチャートのブロックの組合せは、特定の機能または動作を実行する、または特定目的のハードウェアやコンピュータの命令の組合せを実行する、専用ハードウェアベースのシステムによって実行することができる。
【0028】
最後に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するために用いられているものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「一つの」および「前記」は、文脈が単数形に限定することを明確に指示していない限り、複数の指示対象を含んでいることに留意が必要である。また、本明細書で使用される「含む」は、本明細書に記載される特徴、整数、ステップ、動作、要素又は構成部分の存在を示すものであるが、他の特徴、整数、ステップ、動作、要素又は構成部分の存在を除外するものではない。
【0029】
以下の特許請求の範囲における、すべてのミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションの構成要素から成る構造、材料、動作、及び均等物は、請求項に含まれる他の要素と組み合わせて請求項で指定されるようにそのファンクションを実行するための全ての構造、材料、動作、及び均等物を含むものとする。本発明の明細書の記載は、説明および図説のために提示したものであり、開示された形態で本発明を網羅的に説明したり限定したりすることを意図するものではない。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には多くの修正および変形が明らかであろう。開示された実施形態は、本発明の原理および実際の適用を最もよく説明し、当業者が、意図された特定の使用に適した様々な修正を伴う様々な実施形態を実施するために本発明を理解できるように選択されている。
【0030】
本発明は、本明細書に開示された実施形態に関連して開示してきたが、以下の請求項で定義される本願発明の特許請求の範囲から離れることなく変形や変更ができることを理解すべきである。