(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/533 20210101AFI20240708BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20240708BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20240708BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M50/536
H01M50/50 101
(21)【出願番号】P 2020026264
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 謙次
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/105141(WO,A1)
【文献】特開2009-026490(JP,A)
【文献】国際公開第2014/042005(WO,A1)
【文献】特開2005-142026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の板部と、前記第1の板部の板厚方向について前記第1の板部から離れて配置され、前記第1の板部と対向する第2の板部と、前記第1の板部と前記第2の板部とを中継し、前記第1の板部及び前記第2の板部の板幅方向について、互いに対して離れて配置される一対の中継部と、を備える
バックアップリードと、
前記バックアップリードが配置される内部空洞を規定する外装部材と、
正極及び負極を備える電極群であって、前記電極群において突出する集電タブを備えるとともに、前記バックアップリードの前記第1の板部と前記第2の板部との間に前記集電タブが挟まれた状態で前記集電タブが前記第1の板部と接合される電極群と、
を具備し、
前記バックアップリードの一対の前記中継部の一方である第1の中継部は、前記第1の板部を前記第2の板部に対して折り返す第1の折返し部を備え、
前記バックアップリードの一対の前記中継部の他方である第2の中継部は、前記第1の板部を前記第2の板部に対して折り返し、前記第1の折返し部との間に開口が形成される第2の折返し部を備
え、
前記電極群では、前記集電タブの突出方向についての寸法が、前記突出方向と交わる幅方向についての寸法に比べて、大きい、
電池。
【請求項2】
前記開口は、前記第1の板部と前記第2の板部との間に形成される、
請求項1に記載の
電池。
【請求項3】
前記バックアップリードの面積と前記開口の面積との総面積に対する、前記開口の面積の比率が、
0.027以上0.57以下である、
請求項1又は2に記載の
電池。
【請求項4】
前記開口は下記式(1)及び(2)を満たす、請求項1~3のいずれか1項に記載の
電池。
0.36≦(a/b)≦0.9 (1)
0.07≦(c/d)≦0.63 (2)
ここで、aは、前記開口において、前記板幅方向についての寸法を表す。bは、前記バックアップリードにおいて、前記板幅方向についての寸法を表す。cは、前記開口において、前記板幅方向に沿う第1の開口縁から前記第1の開口縁とは反対側の前記板幅方向に沿う第2の開口縁までの前記一対の中継部に沿った寸法を表す。dは、前記バックアップリードにおいて、前記板幅方向に沿う第1の縁から前記第1の縁とは反対側の前記板幅方向に沿う第2の縁まで延設長を表す。
【請求項5】
前記バックアップリードは、前記集電タブと前記バックアップリードとの接合時に形成される接合痕を備え、
前記接合痕は2谷以上であり、かつ、下記式(3)を満たす、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電池。
1.2≦(a/e) (3)
ここで、aは、前記開口において、前記板幅方向についての寸法を表す。eは、前記接合痕のそれぞれにおいて、前記板幅方向についての寸法を表す。
【請求項6】
前記外装部材に取付けられる電極端子と、
前記電極端子と前記バックアップリードとの間を接続するリードと、
をさらに具備する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の電池。
【請求項7】
前記集電タブは、前記電極群から突出する正極集電タブと、前記正極集電タブが突出する側とは反対側へ前記電極群において突出する負極集電タブと、備え、
前記バックアップリードは、前記正極集電タブに前記第1の板部が接合されるか、及び、前記負極集電タブに前記第1の板部が接合されるかの少なくとも一方である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電池では、例えば、外装体に形成される注液口から電解液を注入する。注入された電解液は、集電タブから電極群内部に含浸する。この際、集電タブの一部が、例えばリード(バックアップリード)等で覆われている場合でも、電解液が電極群へ含浸するのに要する時間(電解液の含浸時間)が長くならないことが、求められている。そして、電解液の含浸時間を短くすることにより、電池の生産タクトを短くすることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6159719号公報
【文献】特許第6273204号公報
【文献】特開2016-195015号公報
【文献】特開2019-61880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、電極群の集電タブにバックアップリードが取付けられた場合に電解液の含浸時間を短くできる電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、電池は、バックアップリード、外装部材及び電極群を備える。バックアップリードは、第1の板部と、第2の板部と、一対の中継部と、を具備する。第2の板部は、第1の板部の板厚方向について第1の板部から離れて配置され、第1の板部と対向する。一対の中継部は、第1の板部と第2の板部とを中継し、第1の板部及び第2の板部の板幅方向について、互いに対して離れて配置される。外装部材は、バックアップリードが配置される内部空洞を規定する。電極群は、正極及び負極を備えるとともに、突出する集電タブを備える。集電タブは、バックアップリードの第1の板部と第2の板部との間に挟まれた状態で第1の板部と接合される。バックアップリードの一対の中継部の一方である第1の中継部は、第1の板部を第2の板部に対して折り返す第1の折返し部を備える。バックアップリードの一対の中継部の他方である第2の中継部は、第1の板部を第2の板部に対して折り返し、第1の折返し部との間に開口が形成される第2の折返し部を備える。電極群では、集電タブの突出方向についての寸法が、突出方向と交わる幅方向についての寸法に比べて、大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電池の一例を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るバックアップリードを概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2のバックアップリードを
図2とは異なる方向から視た状態を概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2のバックアップリードを板幅方向の一方側から視た状態で示す概略図である。
【
図5】
図5は、電池において、実施形態に係るバックアップリードが集電タブを挟む状態を概略的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図2のバックアップリードを展開された状態で示す概略図である。
【
図7】
図7は、変形例に係るバックアップリードを概略的に示す斜視図である。
【
図8】
図8は、電池において、実施形態に係るバックアップリードが、電極群の幅方向において異なる位置で挟む概略図である。
【
図9】
図9は、実施例の試験における概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
まず、電池(単電池)について、説明する。
図1は、電池1単体の一例を示す。電池1は、電極群2と、電極群2が収納される外装容器3と、を備える。外装容器3は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄又はステンレス等の金属から形成される。外装容器3は、容器本体5と、蓋6と、を備える。ここで、電池1及び外装容器3では、縦方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、縦方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)横方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)、及び、縦方向及び横方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)高さ方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)が、規定される。電池1及び外装容器3のそれぞれでは、縦方向についての寸法が、横方向についての寸法、及び、高さ方向についての寸法のそれぞれに比べて、遥かに小さい。
【0010】
容器本体5は、底壁7及び周壁8を備える。電極群2が収納される内部空洞10は、底壁7及び周壁8によって規定される。電池1では、内部空洞10は、高さ方向について、底壁7が位置する側とは反対側へ向かって開口する。周壁8は、二対の側壁11,12を備える。一対の側壁11は、横方向について内部空洞10を挟んで対向する。一対の側壁12は、縦方向について内部空洞10を挟んで対向する。側壁11のそれぞれは、側壁12の間に、縦方向に沿って連続して延設される。側壁12のそれぞれは、側壁11の間に、横方向に沿って連続して延設される。蓋6は、内部空洞10の開口において、容器本体5に取付けられる。したがって、蓋6は、底壁7とは反対側の端部で、周壁8に取付けられる。蓋6及び底壁7は、高さ方向について内部空洞10を挟んで対向する。
【0011】
電極群2は、例えば扁平形状に形成され、正極15及び負極16を備える。また、電極群2では、正極15と負極16との間にセパレータ(図示しない)が介在する。セパレータは、電気的絶縁性を有する材料から形成され、正極15を負極16に対して電気的に絶縁する。
【0012】
正極15は、正極集電箔等の正極集電体15Aと、正極集電体15Aの表面に担持される正極活物質含有層(図示しない)と、を備える。正極集電体15Aは、これらに限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔等であり、厚さが10μm~20μm程度である。正極活物質含有層は、正極活物質を備え、結着剤及び導電剤を任意に含んでもよい。正極活物質としては、これらに限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる酸化物、硫化物及びポリマー等が挙げられる。正極集電体15Aは、正極活物質含有層が未担持の部分として、正極集電タブ15Bを備える。
【0013】
負極16は、負極集電箔等の負極集電体16Aと、負極集電体16Aの表面に担持される負極活物質含有層(図示しない)と、を備える。負極集電体16Aは、これらに限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔又は銅箔等であり、厚さが10μm~20μm程度である。負極活物質含有層は、負極活物質を備え、結着剤及び導電剤を任意に含んでもよい。負極活物質としては、特に限定されるものではないが、リチウムイオンを吸蔵放出できる金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物及び炭素材料等が挙げられる。負極集電体16Aは、負極活物質含有層が未担持の部分として、負極集電タブ16Bを備える。
【0014】
電極群2では、正極集電タブ15Bは、負極16に対して突出する。そして、負極集電タブ16Bは、正極15に対して、正極集電タブ15Bの突出方向とは反対側へ突出する。電池1の内部空洞10では、電極群2は、正極集電タブ15Bが負極16に対して横方向の一方側へ突出する状態で、配置される。そして、電極群2では、負極集電タブ16Bが、電池1の横方向について、正極集電タブ15Bが突出する側とは反対側へ、正極15に対して突出する。
【0015】
また、内部空洞10では、電極群2に、電解液(図示しない)が保持(含浸)される。電解液は、電解質を有機溶媒に溶解させた非水電解液であってもよく、水溶液等の水系電解液であってもよい。電解液の代わりに、ゲル状電解質が用いられてもよい。非水電解液としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)等が挙げられる。また、電解液に加えて、固体電解質が設けられてもよい。固体電解質が電解質として用いられる場合、電極群2において、固体電解質が、セパレータの代わりに、正極15と負極16との間に介在する。この場合、固体電解質により、正極15が負極16に対して電気的に絶縁される。
【0016】
電極群2は、集電タブ15B,16Bの突出方向(矢印Y3及びY4で示す方向)に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(矢印Z3及び矢印Z4で示す方向)、及び、集電タブ15B,16Bの突出方向及び幅方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)厚さ方向(矢印X3及び矢印X4で示す方向)が、規定される。内部空洞10では、電極群2は、幅方向が電池1の高さ方向と一致又は略一致し、かつ、厚さ方向が電池1の縦方向と一致又は略一致する状態で、配置される。
【0017】
電極群2では、集電タブ15B,16Bの突出方向(横方向)の寸法が、幅方向(高さ方向)の寸法よりも大きいことが好ましい。すなわち、幅方向(高さ方向)の寸法が、集電タブ15B,16Bの突出方向(横方向)の寸法よりも小さいことが好ましい。また、電極群2では、幅方向の寸法に対する横方向の寸法の比率が1.1以上であることがより好ましく、1.4以上であることがさらに好ましい。そして、電極群2では、幅方向の寸法に対する横方向の寸法の比率が1.6以上であることがさらに好ましい。特に、電極群2がこのような形状である場合、電極群2への電解液の含浸時間を短縮することができる。
【0018】
電池1では、外装容器3の蓋6の外表面(上面)に、一対の電極端子17が取付けられる。電極端子17は、金属等の導電材料から形成される。電極端子17の一方が電池1の正極端子であり、電極端子17の他方が電池1の負極端子である。電極端子17のそれぞれと蓋6との間には、絶縁部材18が設けられる。電極端子17のそれぞれは、絶縁部材18によって、蓋6を含む外装容器3に対して電気的に絶縁される。
【0019】
電極群2の正極集電タブ15Bは、正極側バックアップリード21A、及び、リード22Aを含む正極リードを介して、電極端子17の対応する一方である正極端子に、電気的に接続される。また、電極群2の負極集電タブ16Bは、負極側バックアップリード21B及びリード22Bを含む負極リードを介して、電極端子17の対応する一方である負極端子に、電気的に接続される。正極リード及び負極リードのそれぞれは、金属等の導電材料から形成される。
【0020】
ある一例では、正極側バックアップリード21Aが、正極集電タブ15Bに2つ取り付けられる。また、負極側バックアップリード21Bが、負極集電タブ16Bに2つ取り付けられる。すなわち、電極群2には、4つのバックアップリード21(21A,21B)が取り付けられる。また、外装容器3の内部空洞10では、正極集電タブ15B及び正極リードのそれぞれは、1つ以上の絶縁部材(図示しない)によって、外装容器3(容器本体5及び蓋6)に対して電気的に絶縁される。そして、外装容器3の内部空洞10では、負極集電タブ16B及び負極リードのそれぞれは、1つ以上の絶縁部材(図示しない)によって、外装容器3に対して電気的に絶縁される。
【0021】
また、
図1の一例では、蓋6に、ガス開放弁23及び注液口(図示しない)が、形成される。そして、蓋6の外表面に、注液口を塞ぐ封止板25が、溶接される。なお、ガス開放弁23及び注液口等は、電池1に設けられなくてもよい。また、実施形態等の電池の構成は、前述の構成に限るものではない。すなわち、電池は、電極群に電解液(ゲル状電解質も含む)が含浸され、後述するバックアップリードが、集電タブに取り付けられるものであればよい。
【0022】
[バックアップリード]
以下、実施形態に係るバックアップリードについて説明する。バックアップリードは、前述のように、集電タブに取り付けられる。これにより、集電タブは、バックアップリードを少なくとも間に介して、電極端子に電気的に接続される。バックアップリードは、金属等の導電材料から形成される。ある一例では、バックアップリードは、アルミ板から形成される。アルミ板の厚さは、その加工の容易さと強度との兼ね合いから、1mm以下である。アルミ板の厚さは、例えば、0.3mmである。
【0023】
(第1の実施形態)
図2~
図4は、第1の実施形態に係るバックアップリードを示し、
図5は、バックアップリード21が集電タブ(15B及び16Bの対応する一方)に接合されている状態を示す。
図2及び
図3は、バックアップリード21を異なる方向から視た斜視図である。
図4では、バックアップリード21を板幅方向の一方側(矢印X5側)から視た状態で示す。
【0024】
図2~4に示すように、バックアップリード21は、縁(第1の縁)E1、及び、縁E1とは反対側の縁(第2の縁)E2を有する。また、バックアップリード21は、縁(第3の縁)E3、及び、縁E3とは反対側の縁(第4の縁)E4を有する。縁E3,E4のそれぞれは、縁E1から縁E2まで延設される。ある一例では、縁E1及び縁E2は、互いに対して平行又は略平行に設けられる。また、縁E3,E4は、互いに対して平行又は略平行に設けられる。
【0025】
バックアップリード21は、開口縁(第1の開口縁)E5、及び、開口縁E5と対向する開口縁(第2の開口縁)E6を有する。また、バックアップリード21は、開口縁(第3の開口縁)E7、及び、開口縁E7と対向する開口縁(第4の開口縁)E8を有する。開口縁E5,E6のそれぞれは、開口縁E7から開口縁E8まで延設される。開口縁E5~E8のそれぞれは、縁E1~E4のそれぞれよりも内側に配置される。ある一例では、開口縁E5は、縁E1に対して平行又は略平行に設けられ、開口縁E6は、縁E2に対して平行又は略平行に設けられる。また、開口縁E7は、縁E3に対して平行又は略平行に設けられ、開口縁E8は、縁E4に対して平行又は略平行に設けられる。後述するように、開口縁E5~E8は、開口29の開口縁を形成する。
【0026】
ここで、
図2~
図4に示すように、バックアップリード21では、板幅方向(矢印X5及び矢印X6で示す方向)、後述する板部31、中継部27、板部26をこの順に通り、縁E3,E4が延設される方向に沿う延設方向(第1の延設方向)(矢印Y5で示す方向)、後述する板部26、中継部27、板部31をこの順に通り、縁E3,E4が延設される方向に沿う延設方向(第2の延設方向)(矢印Y6で示す方向)が既定される。前述の2つの延設方向は、いずれも、後述する一対の中継部27に沿う。前述の2つの延設方向は、板幅方向に対して垂直又は略垂直な状態で交差する。また、バックアップリード21では、前述の2つ延設方向及び板幅方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)板厚方向が既定される。
【0027】
バックアップリード21は、集電タブ(15B及び16Bの対応する一方)に接合される板部(第1の板部)26、及び、板部26と対向する板部(第2の板部)31を備える。板部26,31のそれぞれの板幅方向は、バックアップリード21の板幅方向と一致又は略一致する。また、板厚方向がバックアップリード21の板厚方向と一致又は略一致する状態で、配置される。板部31は、板部26の板厚方向について一方側へ、板部26から離れて配置する。そして、板部31は、板部26の板厚方向の一方側から、板部26に対して対向する。また、バックアップリード21では、板部26,31の間に、一対の中継部27が延設される。一対の中継部27のそれぞれには、折返し部28が形成される。したがって、バックアップリード21には、一対の折返し部28が設けられる。一対の折返し部28によって、板部26は、板部31に対して折り返される。
【0028】
一対の中継部27は、板幅方向について、互いに対して離れて配置される。すなわち、一対の折返し部の一方が設けられる第1の中継部(27のうち矢印X5側に位置する一方)と、一対の折返し部の他方が設けられる第2の中継部(27のうち矢印X6側に位置する一方)とは、板幅方向について、互いに対して離れて配置される。第1の中継部、及び、第2の中継部も、板部26,31の間に延設される。
【0029】
一対の折返し部28は、板幅方向について、互いに対して離れて配置される。すなわち、一対の折返し部の一方である第1の折返し部(28のうち矢印X5側の一方)と、一対の折返し部の他方である第2の折返し部(28のうち矢印X6側の一方)とは、板幅方向について、互いに対して離れて配置される。第1の折返し部は、第1の中継部に形成され、第2の折返し部は、第2の中継部に形成される。第1の折返し部では、板部26に対する板部31の折返し線B1が形成される。折返し線B1は、縁E3から開口縁E7まで、板幅方向に沿って形成される。また、第2の折返し部では、板部26に対する板部31の折返し線B2が形成される。折返し線B2は、縁E4から開口縁E8まで、板幅方向に沿って形成される。
【0030】
バックアップリード21では、縁E1の全体が板部26から形成される。板部26において、縁E1は、板幅方向に沿って延設され、一対の中継部27(一対の折返し部28)とは反対側の端を形成する。また、縁E1は、板部26において、開口縁E5とは反対側の端を形成する。板部26は、一対の中継部27から縁E1まで延設方向(第1の延設方向)に沿って延設され、開口縁E5から縁E1まで延設方向(第1の延設方向)に沿って延設される。ある一例では、バックアップリード21において、板部26における縁E1側の角(角部)が斜めに削られている。すなわち、板部26における縁E1側の角(角部)が、面取りされている。
【0031】
また、バックアップリード21では、縁E2の全体が板部31から形成される。板部31において、縁E2は、板幅方向に沿って延設され、一対の中継部27(一対の折返し部28)とは反対側の端を形成する。また、縁E2は、板部31において、開口縁E6とは反対側の端を形成する。板部31は、一対の中継部27から縁E2まで、延設方向(第2の延設方向)に沿って延設され、開口縁E6から縁E2まで延設方向(第2の延設方向)に沿って延設される。ある一例では、バックアップリード21において、板部31における縁E2側の角(角部)が斜めに削られている。すなわち、板部31における縁E2側の角(角部)が、面取りされている。
【0032】
バックアップリード21では、縁E3が、板部26、第1の中継部、板部31から形成される。そして、縁E3は、第1の中継部において、開口縁E7とは反対側の端を形成する。第1の中継部は、開口縁E7から縁E3まで、板幅方向に沿って延設される。
【0033】
バックアップリード21では、縁E4が、板部26、第2の中継部、板部31から形成される。そして、縁E4は、第2の中継部において、開口縁E8とは反対側の端を形成する。第2の中継部は、開口縁E8から縁E4まで、板幅方向に沿って延設される。
【0034】
バックアップリード21では、前述のように、板部31は、板部26の板厚方向について一方側へ、板部26から離れて位置する。このため、板厚方向について、縁E1は、縁E2との間に隙間を有し、縁E2と接触しない。そして、縁E1から縁E2まで、バックアップリード21は、板部26、一対の中継部27、板部31を順に通って連続する。すなわち、縁E1,E2の間は、板部26、一対の中継部27、板部31によって、連続する。
【0035】
バックアップリード21には、開口29が形成される。開口29は、板部26と板部31との間に形成される。また、開口29は、板幅方向について、一対の中継部27の間に形成される。すなわち、開口29は、開口縁E5,E6の間、かつ、板幅方向について開口縁E7,E8の間で開口している。したがって、開口縁E5~E8は、開口29の開口縁を形成する。ある一例では、板幅方向についてのバックアップリード21の中央面(図示しない)を対称面として、バックアップリード21は面対称又は略面対称に形成される。そして、開口29は、板幅方向についてのバックアップリード21の中央面を対称面として、面対称又は略面対称に形成される。また、一対の折返し部28において板部26,31が成す鋭角θを規定する(
図4参照)。そして、鋭角θを二等分する仮想面Nを規定する。バックアップリード21は、仮想面Nを対称面として、面対称又は略面対称に形成される。そして、開口29は、仮想面Nを対称面として、面対称又は略面対称に形成される。
【0036】
前述のように、バックアップリード21は、縁E1,E2の間において、一対の折返し部28(折返し線B1,B2)で折り返される。また、縁E3,E4も、縁E1,E2の間において、一対の折返し部28で折り返される。このため、バックアップリード21,縁E3,E4は、縁E1,E2の間において1回折り返される。また、前述のように一対の折返し部28が形成されるため、バックアップリード21は、板幅方向の両側のそれぞれから視た状態において、縁E1,E2の間に隙間が形成される形状になる。すなわち、バックアップリード21では、板部26と板部31とが、一対の折返し部28により互いに対して対向するとともに、板部26と板部31との間に隙間が形成される。
【0037】
図5に示すように、バックアップリード21は、板幅方向が電極群2の幅方向に沿う状態で、集電タブ(15B及び16Bの対応する一方)に取り付けられる。また、バックアップリード21は、板部26と板部31との間に集電タブを挟んだ状態で、集電タブに取り付けられる。この場合、板部26は、電極群2の厚さ方向の一方側から、集電タブに隣接する。板部31は、電極群2の厚さ方向について、板部26とは反対側から集電タブに隣接する。すなわち、板部26は、集電タブを間に挟んで、板部31と対向する。
【0038】
前述したように一対の中継部27は、板部26と板部31を中継する。また、一対の折返し部28において、板部26は、板部31に対して折り返されている。そのため、一対の折返し部28は、集電タブ(15B及び16Bの対応する一方)が突出する側から集電タブの突出端部に隣接する。すなわち、バックアップリード21は、集電タブ15B,16Bの突出方向について、電極群2の端部に配置される。開口29には、集電タブが配置される。
【0039】
バックアップリード21は、例えば、超音波ホーンを用いた超音波接合により、集電タブ(15B及び16Bの対応する一方)へ、接合される。バックアップリード21を集電タブへ接合する作業では、まず、集電タブを、板部26と板部31との間に配置する。そして、集電タブが板部26と板部31との間に挟まれた状態で、板部26に超音波ホーンを当接させる。そして、超音波ホーンによって伝達される超音波振動を用いて、集電タブを板部26でバックアップリード21に接合し、板部26に集電タブとの接合痕(接合部)Mを形成する。なお、接合痕Mは、板部26には形成されるが、板部31には形成されない。すなわち、バックアップリード21は、板部26側からのみ、集電タブに接合される。
【0040】
これにより、板部26には、接合痕Mが形成される。ある一例では、接合痕Mは、バックアップリード21の板幅方向に沿って、1つ以上形成される。例えば、複数の接合痕Mが、電極群2の幅方向(高さ方向)に並ぶ状態で、形成される。接合痕Mは、特に限定されるものではないが、板部26に2谷以上形成されることが好ましく、3谷以上形成されることがより好ましい。ある一例では、複数の接合痕Mは、同時に形成される。すなわち、例えば、上述した超音波接合の操作を一度行うことにより、複数の接合痕Mが形成される。
【0041】
図6は、一対の折返し部28で折り返されていない状態、すなわち、展開された状態で、バックアップリード21を示す。
図6においても、
図2~
図4と同様に、板幅方向(矢印X5及び矢印X6で示す方向)、第1の延設方向(矢印Y5で示す方向)、第2の延設方向(矢印Y6で示す方向)、板厚方向が規定される。
【0042】
バックアップリード21を形成する際には、折返し線B1,B2において、部分32を部分33に対して折り返す。これにより、第1の延設方向において、開口縁E5の位置から縁E1までの部分32によって、板部26が形成される。また、第2の延設方向において、開口縁E6の位置から縁E2までの部分33によって、板部31が形成される。そして、バックアップリード21には、板部26と板部31との間に一対の中継部27が形成され、折返し線B1,B2を含む一対の折返し部28が形成される。
【0043】
前述のように、ある一例では、バックアップリード21及び開口29は、板幅方向について、中央面を対称面として面対称又は略面対称に形成され、仮想面Nを面対称として面対称又は略面対称に形成される。この場合、折返し線B1,B2での折返しにより、縁E1と縁E2とは、仮想面Nを中央面として互いに対して面対称又は略面対称になる。また、開口縁E5と、開口縁E6とは、仮想面Nを中央面として互いに対して面対称又は略面対称になる。
【0044】
本実施形態において、次のように寸法を既定する。開口29において、板幅方向についての寸法をa、バックアップリード21において、板幅方向についての寸法をbとする。開口29において、開口縁E5から開口縁E6までの一対の中継部27に沿った寸法をcとする。バックアップリード21において、板幅方向に沿う縁E1から縁E2までの延設長をdとする。また、バックアップリード21において、延設方向(第1の延設方向)に沿う開口縁E5から縁E1までの延設長をgとする。
【0045】
ある一例では、バックアップリード21を展開した状態において、バックアップリード21及び開口29は長方形に形成される。また、バックアップリード21は、板幅方向について、中央面を対称面として面対称又は略面対称に形成され、仮想面Nを対称面として、面対称又は略面対称に形成される。この場合、開口縁E5,E6の寸法がa、縁E1,E2の寸法がb、開口縁E7,E8の寸法がc、縁E3,E4の寸法がdである。また、仮想面Nを対称面として面対称又は略面対称であるため、第1の延設方向に沿う開口縁E5から縁E1までの延設長と、第2の延設方向に沿う開口縁E6から縁E2までの延設長とは、一致又は略一致する。したがって、gは、(d-c)/2と表すことができる。なお、ある一例において、板部26及び板部31が、上述のように面取りされている場合であっても、寸法では面取りを考慮しない。すなわち、例えば、縁E1の寸法bは、板幅方向に沿う縁E3から縁E4までの寸法として規定される。
【0046】
バックアップリード21は、次式を満たすことが好ましい。
【0047】
0.36≦(a/b)≦0.9 (1)
0.07≦(c/d)≦0.63 (2)
ここで、(a/b)は、バックアップリード21の寸法bに対する開口29の寸法aの比率を表す。(c/d)は、バックアップリード21Aの寸法dに対する開口29の寸法cの比率を表す。
【0048】
(a/b)が0.9以下であることで、例えば、バックアップリード21に開口29が形成されても、バックアップリード21の強度を維持することができる。(a/b)が0.36以上であることで、例えば、バックアップリード21に複数の接合痕Mが形成された場合でも、複数の接合痕M同士を互いに対して離れて形成して隙間を形成し、当該隙間を開口29の板幅方向の大きさの範囲内に形成できるため、電極群への電解液の含浸時間を短くできる。また、(c/d)が0.63以下であることで、例えば、バックアップリード21を集電タブに超音波溶接する際に、超音波溶接に必要な板部26の大きさを確保することができる。(c/d)が0.07以上であることで、例えば、集電タブをバックアップリード21で挟む際に、板部26,31の間の隙間を十分に確保することができ、バックアップリード21を集電タブに適切に取り付けることができる。
【0049】
図6に示すように、部分32、すなわち、板部26には、集電タブ(15B及び16Bの対応する一方)にバックアップリード21を接合した際に、複数の接合痕Mが形成される。それぞれの接合痕Mの寸法について、次のように寸法を規定する。すなわち、接合痕Mにおいて、バックアップリード21の板幅方向についての寸法をe、バックアップリード21の延設方向(板幅方向及び板厚方向に対して交差する方向)についての寸法をfとする。
【0050】
バックアップリード21に形成される接合痕Mは、次式を満たすことが好ましい。
【0051】
1.2≦(a/e) (3)
3.3≦(d/f) (4)
1<(g/f) (5)
ここで、(a/e)は、接合痕Mの寸法eに対するバックアップリード21の寸法aの比率を表す。(d/f)は、バックアップリード21の寸法dに対する接合痕Mの寸法fの比率を表す。(g/f)は、接合痕Mの寸法fに対するバックアップリード21の寸法gの比率を表す。
【0052】
(a/e)が1.2以上であることで、例えば、2谷以上の接合痕Mを形成した場合に、接合痕M同士を互いに対して離れて形成して隙間を形成し、当該隙間を開口29の板幅方向の大きさの範囲内に形成することができるため、電極群への電解液の含浸時間をより短縮することができる。また。(d/f)が3.3以上であることで、例えば、バックアップリード21を集電タブに超音波溶接する際に、超音波溶接に必要な板部26の大きさを適切に確保することができる。そして、(g/f)が1より大きいことで、例えば、バックアップリード21を集電タブ(15B及び16Bの対応する一方)に超音波溶接する際に、バックアップリード21の振動による変形を抑制することができる。
【0053】
また、バックアップリード21に形成される接合痕Mは、次式を満たすことがより好ましい。
【0054】
(a/e)≦5.0 (6)
(d/f)≦6.7 (7)
(g/f)≦3.1 (8)
【0055】
本実施形態において、次のように面積を規定する。バックアップリード21の総面積(バックアップリード21の面積と開口29の面積との和)をS0、開口29の面積をS1とする。なお、板部26,31が面取りされている場合であっても、寸法と同様に、面積でも面取りを考慮しない。バックアップリード21の総面積S0に対する開口29の面積S1の比率、すなわち、S1/S0は、0.027以上0.57以下の範囲内にあることが好ましい。この範囲内に比率S1/S0があることで、バックアップリードの強度を十分に維持しながら、電極群への電解液の含浸時間を短縮することができる。
【0056】
ある一例において、バックアップリード21が長方形に形成され、かつ、開口29が長方形に形成される場合、それぞれの面積は次のようになる。
【0057】
S0=b×d (9)
S1=a×c (10)
【0058】
前述のように、本実施形態では、バックアップリード21が集電タブ(15B及び16Bの対応する一方)に取り付けられる。バックアップリ―ド21では、板幅方向について、一対の中継部27が互いに対して離れて配置され、一対の中継部27の間に開口29が形成される。これにより、バックアップリード21を備える電池1において、電極群2へ電解液を含浸させる場合に、電解液が、バックアップリード21に形成された開口29を通じて電極群2へ含浸する。すなわち、バックアップリード21により、電解液の含浸が妨げられることが抑制される。そのため、バックアップリード21を備える電池1において、電極群2への電解液の含浸時間を短縮することができる。
【0059】
また、本実施形態では、バックアップリード21が集電タブ(15B及び16Bの対応する一方)に接合される場合、複数の接合痕Mが、互いに離れた位置に形成される。すなわち、接合痕M同士の間に隙間が形成される。これにより、電解液を電極群2へ含浸する場合に、当該隙間を通じて、電極群2に電解液が含浸される。すなわち、バックアップリード21に形成された接合痕Mにより、電解液の含浸が妨げられることがさらに抑制される。そのため、バックアップリード21を備える電池1において、電極群2への電解液の含浸時間をさらに短縮することができる。
【0060】
また、上述したバックアップリード21において、開口29及び接合痕M同士の間の隙間は電極群2の内部と外部とを接続するため、電極群2においてガスが発生した場合に、開口29及び当該隙間を通じて、電極群2からガスを排出し得る。すなわち、バックアップリード21により、ガスの排出が妨げられることが抑制される。そのため、バックアップリード21を備える電池1において、電池内部において発生したガスが効率的に排出され得る。
【0061】
(変形例)
図7に示す変形例のバックアップリード21では、板部26,31の間に延設される開口縁E7,E8の延設長が、第1の実施形態と比べて短い。この場合、板部26,31の間における一対の中継部27の延設長が小さくなる一方で、延設方向に沿う板部26,31の寸法が大きくなる。すなわち、板部26,31の延設方向についての寸法が、適切に確保される。そのため、バックアップリード21を集電タブに接合する場合に、バックアップリード21を集電タブに容易に接合することができる。
【0062】
図8に示すように、電極群2の集電タブ15B,16Bのそれぞれにおいて、2つのバックアップリード21が、幅方向について互いに対して離れた位置に取り付けられてもよい。この場合、電極群2の集電タブ(15B及び16Bの対応する一方)は、厚さ方向について、例えば、一箇所でまとめられている。この場合においても、バックアップリード21は、集電タブに取付けられ、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【実施例】
【0063】
以下に例を挙げ、実施形態をさらに詳しく説明するが、発明の主旨を超えない限り実施形態は以下に掲載される実施例に限定されるものではない。
【0064】
<試験例1>
試験例1では、以下の手順により、サンプルを作製した。
【0065】
大きさ50mm×20mmのアルミ箔(厚さ12μm)を108枚作製した。このアルミ箔108枚すべてを、一対の長辺の一方及びその近傍部位で、箔押さえ(クリップ等)により束ねた。また、大きさ(b×d)20mm×20mmのアルミ板(厚さ0.3mm)を作製し、表1に示す寸法(a×c)になるように、アルミ板の中央に開口を形成した。アルミ板の角は、すべて、1mmの面取りがされている。このアルミ板を折り曲げて、バックアップリードを作製した。すなわち、
図2~
図4に示すように、板幅方向について中央面を対称面として対称であり、かつ、仮想面Nを対称面として対称であるように、アルミ板に開口を形成し、アルミ板を折り曲げた。次に、束ねたアルミ箔において、箔押さえとは反対側の長辺及びその近傍部位を、バックアップリードにより挟んだ。この状態で、バックアップリードとアルミ箔の束とを、上述のようにして超音波接合により接合し、試験例1のサンプルを作製した。なお、超音波接合では、板幅方向に3つの接合痕を形成し、バックアップリードとアルミ箔の束とを接合した。
【0066】
<試験例2>
試験例2では、表1に示すように、開口の寸法(a×c)を7.2mm×12.5mmにしたことを除いて、試験例1に記載したのと同様の方法でサンプルを作製した。
【0067】
<試験例3>
試験例3では、表1に示すように、開口の寸法(a×c)を18mm×1.5mmにしたことを除いて、試験例1に記載したのと同様の方法でサンプルを作製した。
【0068】
<試験例4>
試験例4では、表1に示すように、開口の寸法(a×c)を18mm×12.5mmにしたことを除いて、試験例1に記載したのと同様の方法でサンプルを作製した。
【0069】
<比較例>
比較例では、表1に示すように、開口を形成しなかったことを除いて、試験例1に記載したのと同様の方法でサンプルを作製した。
【0070】
上述したそれぞれのサンプルについて、電解液を含浸する前の質量、及び、電解液を含浸した後の質量を下記の方法により測定し、含浸速度及び含浸速度比率を算出した。表1に試験結果を示す。
【0071】
(非水電解質の調製)
エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比で1:2となるように混合して混合溶媒を調製した。この混合溶媒に、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1M(mol/L)の濃度となるように溶解させて、非水電解質を調製した。
【0072】
(質量測定方法)
サンプルの質量(g)は電子天秤により測定した。サンプルを載せるための受け皿にアルミ箔を敷いて0点調整を行い、サンプルを載せて、サンプルの質量(g)を測定した。質量測定をするごとに、受け皿に敷いたアルミ箔を、新しいアルミ箔と交換した。
【0073】
(含浸測定)
非水電解質を含浸させる前に、上述の質量測定方法により、含浸前のサンプルの質量(g)を測定した。次に、
図9に示すようにして、バックアップリード41に形成された開口が位置する側(折返し部が位置する側)を容器46の底に向けて、サンプル43を容器に載置した。その後、容器の底から接合痕42が浸る程度の高さに液面45が位置するまで、上述した非水電解質44を注いだ。本測定では、容器46の底から液面45までの高さを5mmとした。この状態で5分間(300秒)静置し、上述した非水電解質をサンプル43に含浸させた。静置後、サンプル43を容器から取り出し、上述の質量測定方法により、含浸後のサンプルの質量(g)を測定した。
【0074】
(含浸速度及び含浸速度比率)
まず、サンプルの増加質量(g)を算出し、増加重量(g)を含浸時間(秒)で割ることで含浸速度(g/秒)を算出する。含浸速度比率は、比較例の含浸速度に対する試験例の含浸速度の比率である。
・増加質量(g)=含浸後のサンプルの質量(g)-含浸前のサンプルの質量(g)
・含浸速度(g/秒)=増加質量(g)/300(秒)
・含浸速度比率=試験例の含浸速度(g/秒)/比較例の含浸速度(g/秒)
【0075】
【0076】
表1に示すように、開口を形成した試験例1~試験例4では、開口を形成しなかった比較例と比べて、含浸速度が大きくなることがわかる。すなわち、開口を形成したバックアップリードを用いることで、所定量の電解質を含浸させるのに要する時間を短くできることが確認された。
【0077】
これらの少なくとも一つの実施形態によれば、電池において電極群の集電タブに取り付けられるバックアップリードが提供される。バックアップリードは、第1の板部と、第2の板部と、一対の中継部と、を具備する。第2の板部は、第1の板部の板厚方向について第1の板部から離れて配置され、第1の板部と対向する。一対の中継部は、第1の板部と第2の板部とを中継し、第1の板部及び第2の板部の板幅方向について、互いに対して離れて配置される。一対の中継部の一方である第1の中継部は、第1の板部を第2の板部に対して折り返す第1の折返し部を備える。一対の中継部の他方である第2の中継部は、第1の板部を第2の板部に対して折り返し、第1の折返し部との間に開口が形成される第2の折返し部を備える。これにより、バックアップリードが電極群の集電タブに取付けられた場合に、電解液の含浸時間を短くできる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、付記を記載する。
[1]電池において電極群の集電タブに取り付けられるバックアップリードであって、
第1の板部と、
前記第1の板部の板厚方向について前記第1の板部から離れて配置され、前記第1の板部と対向する第2の板部と、
前記第1の板部と前記第2の板部とを中継し、前記第1の板部及び前記第2の板部の板幅方向について、互いに対して離れて配置される一対の中継部と、
を具備し、
一対の前記中継部の一方である第1の中継部は、前記第1の板部を前記第2の板部に対して折り返す第1の折返し部を備え、
一対の前記中継部の他方である第2の中継部は、前記第1の板部を前記第2の板部に対して折り返し、前記第1の折返し部との間に開口が形成される第2の折返し部を備える、
バックアップリード。
[2]前記開口は、前記第1の板部と前記第2の板部との間に形成される、
[1]に記載のバックアップリード。
[3]前記バックアップリードの面積と前記開口の面積との総面積に対する、前記開口の面積の比率が、0.25以上0.57以下である、
[1]又は[2]に記載のバックアップリード。
[4]前記開口は下記式(1)及び(2)を満たす、[1]~[3]のいずれか1つに記載のバックアップリード。
0.36≦(a/b)≦0.9 (1)
0.07≦(c/d)≦0.63 (2)
ここで、aは、前記開口において、前記板幅方向についての寸法を表す。bは、前記バックアップリードにおいて、前記板幅方向についての寸法を表す。cは、前記開口において、前記板幅方向に沿う第1の開口縁から前記第1の開口縁とは反対側の前記板幅方向に沿う第2の開口縁までの前記一対の中継部に沿った寸法を表す。dは、前記バックアップリードにおいて、前記板幅方向に沿う第1の縁から前記第1の縁とは反対側の前記板幅方向に沿う第2の縁まで延設長を表す。
[5][1]~[4]のいずれか1つに記載のバックアップリードと、
前記バックアップリードが配置される内部空洞を規定する外装部材と、
正極及び負極を備える電極群であって、前記電極群において突出する集電タブを備えるとともに、前記バックアップリードの前記第1の板部と前記バックアップリードの前記第2の板部との間に前記集電タブが挟まれた状態で前記集電タブが前記第1の板部と接合される電極群と、
を具備する電池。
[6]前記電極群では、前記集電タブの突出方向についての寸法が、前記突出方向と交わる幅方向についての寸法に比べて、大きい、
[5]に記載の電池。
[7]前記バックアップリードは、前記集電タブと前記バックアップリードとの接合時に形成される接合痕を備え、
前記接合痕は2谷以上であり、かつ、下記式(3)を満たす、
[5]又は[6]に記載の電池。
1.2≦(a/e) (3)
ここで、aは、前記開口において、前記板幅方向についての寸法を表す。eは、前記接合痕のそれぞれにおいて、前記板幅方向についての寸法を表す。
[8]前記外装部材に取付けられる電極端子と、
前記電極端子と前記バックアップリードとの間を接続するリードと、
をさらに具備する、[5]~[7]のいずれか1つに記載の電池。
[9]前記集電タブは、前記電極群から突出する正極集電タブと、前記正極集電タブが突出する側とは反対側へ前記電極群において突出する負極集電タブと、備え、
前記バックアップリードは、前記正極集電タブに前記第1の板部が接合されるか、及び、前記負極集電タブに前記第1の板部が接合されるかの少なくとも一方である、
[5]~[8]のいずれか1つに記載の電池。
【符号の説明】
【0079】
1…電池、2…電極群、15B,16B…集電タブ、21…バックアップリード、26…板部(第1の板部)、31…板部(第2の板部)、27…中継部、28…折返し部、29…開口。