(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】コンタクトレンズパッケージおよびそのセット
(51)【国際特許分類】
B65D 75/36 20060101AFI20240708BHJP
A45C 11/04 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
B65D75/36
A45C11/04 B
(21)【出願番号】P 2020035638
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100161034
【氏名又は名称】奥山 知洋
(74)【代理人】
【識別番号】100187632
【氏名又は名称】橘高 英郎
(72)【発明者】
【氏名】澤田 洋平
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/098870(WO,A1)
【文献】特開平07-322911(JP,A)
【文献】特開2014-221667(JP,A)
【文献】特表2015-515650(JP,A)
【文献】特表2008-513076(JP,A)
【文献】特表平11-508172(JP,A)
【文献】米国特許第09655423(US,B1)
【文献】欧州特許出願公開第00530055(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/36
A45C 11/04
B65D 85/38
G02C 7/04
G02C 11/00
G02C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズを収める収容部と、
前記収容部を支持する支持部と、
を備えるコンタクトレンズパッケージであって、
前記収容部は前記支持部から見て窪んでおり、
窪み方向を下方、その方向に反対の方向を上方としたとき、
前記支持部は、
下方に向けて形成された突出部と、
前記支持部に対する切り欠きおよび貫通孔の少なくともいずれかからなる貫通部と、
を備え、
前記コンタクトレンズパッケージと同一形状の仮想コンタクトレンズパッケージを上から下に180度回転させて水平台に静置したときの仮想貫通部内に収まるように嵌合させた前記突出部を水平台に静置したとき、仮想突出部の先端は前記貫通部内に収まるように嵌合する構成を有
し、
コンタクトレンズパッケージを上面視したとき、前記突出部と前記貫通部は前記支持部において同じ側に形成されている、コンタクトレンズパッケージ。
【請求項2】
前記仮想コンタクトレンズパッケージを上から下に180度回転させて水平台に静置したときの仮想貫通部内に収まるように嵌合させた前記突出部を水平台に静置したときの姿勢と、前記コンタクトレンズパッケージ単体を水平台に静置したときの姿勢とが一致する、請求項1に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項3】
コンタクトレンズパッケージを上面視したとき、
前記仮想貫通部に前記突出部を嵌合したとき、仮想収容部の窪みの下面底部が収まるように嵌合可能な位置且つ形状にて開口部が形成されている、請求項1または2に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項4】
前記突出部の上下幅と、前記収容部の上下幅とは等しい、請求項1~3のいずれかに記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項5】
コンタクトレンズパッケージを上面視したとき、
前記支持部において、前記収容部から離れた側であり且つ前記突出部と前記貫通部が形成されたのと同じ側の隅が切り欠かれた、請求項
1~4のいずれかに記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項6】
前記支持部において、前記収容部から離れた側であり且つ前記隅と対向する隅は、下方に向けて屈曲する屈曲部であり、前記屈曲部の上下幅は、少なくとも前記突出部の上下幅と等しい、請求項
5に記載のコンタクトレンズパッケージ。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれかに記載のコンタクトレンズパッケージAと同一形状のコンタクトレンズパッケージBを上から下に180度回転させた状態で、コンタクトレンズパッケージA,Bを組み合わせたコンタクトレンズパッケージセットであって、
前記コンタクトレンズパッケージAの前記突出部と、前記コンタクトレンズパッケージBの前記貫通部とを嵌合させ、且つ、
前記コンタクトレンズパッケージAの前記貫通部と、前記コンタクトレンズパッケージBの前記突出部とを嵌合させた際、
前記コンタクトレンズパッケージセットの上下幅は、前記コンタクトレンズパッケージA,Bの上下幅と等しい、コンタクトレンズパッケージセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズパッケージおよびそのセットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、使い捨て可能なコンタクトレンズパッケージであって、
a)上面および該上面上に位置するレンズ設置表面を有する剛直なサポート、
および
b)該パッケージの2つを、互いに他に対して積み重ねた関係に、取り外し可能に、摩擦によって取り付けるための手段
を備える、パッケージが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者の調べにより、以下の課題が明らかになった。
【0005】
近年、コンタクトレンズパッケージはコンタクトレンズ専門店や眼鏡店で受け渡されるだけではなく郵送される。郵送の際、多量の(例えば数10個の)コンタクトレンズパッケージが箱詰めされる。そしてこの箱が、購入者の自宅の郵便受けに投函される。
【0006】
特許文献1に記載のコンタクトレンズパッケージのように、同じ形状の2つのコンタクトレンズパッケージを組み合わせ可能なものを採用すれば、省スペース化を図れる。ところが、本発明者の調べにより、郵便受けの大きさによっては、コンタクトレンズパッケージが詰められた箱を通過できないことが明らかとなった。該箱を郵便受けに投函できない場合、大抵、再配達の対象となる。
【0007】
近年のEC等の拡大により宅配便の取扱件数は増加している。取扱件数のうち再配達の割合は約2割である。再配達によるコストの増加、人手不足、CO2排出といった問題は、大きな社会的課題となっている。
【0008】
再配達の可能性を減らすべく箱の高さを小さくするためには、2つのコンタクトレンズパッケージを上下方向に組み合わせたときの上下方向の高さを、1つのコンタクトレンズパッケージの上下方向の高さ並みに抑えることが挙げられる。その一方、特許文献1に記載のコンタクトレンズパッケージだと、特許文献1の第6図に示すように、2つのコンタクトレンズパッケージを上下方向に組み合わせたときの高さは、剛直なサポート(本明細書でいうところの支持部)の厚さに近い分だけ、1つのコンタクトレンズパッケージの上下方向の高さよりも大きくなる。
【0009】
本発明の目的は、2つのコンタクトレンズパッケージ同士を上下方向に組み合わせた状態の上下方向の高さを、1つのコンタクトレンズパッケージの上下方向の高さと等しくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、
コンタクトレンズを収める収容部と、
前記収容部を支持する支持部と、
を備えるコンタクトレンズパッケージであって、
前記収容部は前記支持部から見て窪んでおり、
窪み方向を下方、その方向に反対の方向を上方としたとき、
前記支持部は、
下方に向けて形成された突出部と、
前記支持部に対する切り欠きおよび貫通孔の少なくともいずれかからなる貫通部と、
を備え、
前記コンタクトレンズパッケージと同一形状の仮想コンタクトレンズパッケージを上から下に180度回転させて水平台に静置したときの仮想貫通部内に収まるように嵌合させた前記突出部を水平台に静置したとき、仮想突出部の先端は前記貫通部内に収まるように嵌合する構成を有する、コンタクトレンズパッケージである。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の態様であって、
前記仮想コンタクトレンズパッケージを上から下に180度回転させて水平台に静置したときの仮想貫通部内に収まるように嵌合させた前記突出部を水平台に静置したときの姿勢と、前記コンタクトレンズパッケージ単体を水平台に静置したときの姿勢とが一致する。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の態様であって、
コンタクトレンズパッケージを上面視したとき、
前記仮想貫通部に前記突出部を嵌合したとき、仮想収容部の窪みの下面底部が収まるように嵌合可能な位置且つ形状にて開口部が形成されている。
【0013】
本発明の第4の態様は、第1~第3のいずれかの態様に記載の態様であって、
前記突出部の上下幅と、前記収容部の上下幅とは等しい。
【0014】
本発明の第5の態様は、第1~第4のいずれかの態様に記載の態様であって、
コンタクトレンズパッケージを上面視したとき、
前記突出部と前記貫通部は前記支持部において同じ側に形成されている。
【0015】
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載の態様であって、
コンタクトレンズパッケージを上面視したとき、
前記支持部において、前記収容部から離れた側であり且つ前記突出部と前記貫通部が形成されたのと同じ側の隅が切り欠かれている。
【0016】
本発明の第7の態様は、第6の態様に記載の態様であって、
前記支持部において、前記収容部から離れた側であり且つ前記隅と対向する隅は、下方に向けて屈曲する屈曲部であり、前記屈曲部の上下幅は、少なくとも前記突出部の上下幅と等しい。
【0017】
本発明の第8の態様は、
第1~第7のいずれかの態様に記載のコンタクトレンズパッケージAと同一形状のコンタクトレンズパッケージBを上から下に180度回転させた状態で、コンタクトレンズパッケージA,Bを組み合わせたコンタクトレンズパッケージセットであって、
前記コンタクトレンズパッケージAの前記突出部と、前記コンタクトレンズパッケージBの前記貫通部とを嵌合させ、且つ、
前記コンタクトレンズパッケージAの前記貫通部と、前記コンタクトレンズパッケージBの前記突出部とを嵌合させた際、
前記コンタクトレンズパッケージセットの上下幅は、前記コンタクトレンズパッケージA,Bの上下幅と等しい、コンタクトレンズパッケージセットである。
【0018】
本発明の第9の態様は、
コンタクトレンズを収める収容部と、
前記収容部を支持する支持部と、
を備えるコンタクトレンズパッケージであって、
前記収容部は前記支持部から見て窪んでおり、
窪み方向を下方、その方向に反対の方向を上方としたとき、
前記支持部は、
下方に向けて形成された突出部と、
前記支持部に対する切り欠きおよび貫通孔の少なくともいずれかからなる貫通部と、
を備え、以下のi)およびii)の少なくともいずれかの構成を有する、コンタクトレンズパッケージである。
i)前記コンタクトレンズパッケージと同一形状の仮想コンタクトレンズパッケージを上から下に180度回転させて水平台に静置したときの仮想貫通部内に収まるように嵌合させた前記収容部を水平台に静置したとき、仮想収容部の下面底部は前記貫通部内に収まるように嵌合する構成を有する。
ii)前記コンタクトレンズパッケージと同一形状の仮想コンタクトレンズパッケージを上から下に180度回転させて水平台に静置したときの仮想貫通部内に収まるように嵌合させた前記突出部を水平台に静置したとき、仮想突出部の先端は前記貫通部内に収まるように嵌合する構成を有する。
【0019】
本発明の第10の態様は、
第9の態様に記載のコンタクトレンズパッケージAと同一形状のコンタクトレンズパッケージBを上から下に180度回転させた状態で、コンタクトレンズパッケージA,Bを組み合わせたコンタクトレンズパッケージセットであって、
前記コンタクトレンズパッケージAの前記収容部と、前記コンタクトレンズパッケージBの前記貫通部とを嵌合させ、且つ、
前記コンタクトレンズパッケージAの前記貫通部と、前記コンタクトレンズパッケージBの前記収容部とを嵌合させた際、
前記コンタクトレンズパッケージセットの上下幅は、前記コンタクトレンズパッケージA,Bの上下幅と等しい、コンタクトレンズパッケージセットである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、2つのコンタクトレンズパッケージ同士を上下方向に組み合わせた状態の上下方向の高さを、1つのコンタクトレンズパッケージの上下方向の高さと等しくできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本実施形態のコンタクトレンズパッケージを示す上面図(+Z方向から-Z方向を見たときの図)である。
【
図2】
図2は、本実施形態のコンタクトレンズパッケージを示す下面斜視図(-X方向、+Y方向、-Z方向の領域から、+X方向、-Y方向、+Z方向の領域を見たときの図)である。
【
図3】
図3は、本実施形態のコンタクトレンズパッケージの上下を逆にしたとき(Y方向を回転軸にしてコンタクトレンズパッケージを180度回転させたとき)の側面図(-X方向から+X方向を見たときの図)であって、支持部において突出部が配置された側とは逆側から見た側面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態のコンタクトレンズパッケージセットを示す上面図(+Z方向から-Z方向を見たときの図)である。
【
図5】
図5は、本実施形態のコンタクトレンズパッケージセットを示す上面左方向斜視図(+X方向、+Y方向、+Z方向の領域から、-X方向、-Y方向、-Z方向の領域を見たときの図)である。
【
図6】
図6は、本実施形態のコンタクトレンズパッケージセットの右側面図(+X方向から-X方向を見たときの図)であって、支持部において突出部が配置された側から見た側面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態のコンタクトレンズパッケージセットを示す上面右方向斜視図(-X方向、+Y方向、+Z方向の領域から、+X方向、-Y方向、-Z方向の領域を見たときの図)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本明細書に記載の無い内容は公知のコンタクトレンズパッケージの構成を採用してもよい。
【0023】
本実施形態に係るコンタクトレンズパッケージは以下の構成を有する。
「コンタクトレンズを収める収容部と、
収容部を支持する支持部と、
を備えるコンタクトレンズパッケージであって、
収容部は支持部から見て窪んでおり、
窪み方向を下方、その方向に反対の方向を上方としたとき、
支持部は、
下方に向けて形成された突出部と、
支持部に対する切り欠きおよび貫通孔の少なくともいずれかからなる貫通部と、
を備え、
コンタクトレンズパッケージと同一形状の仮想コンタクトレンズパッケージを上から下に180度回転させて水平台に静置したときの仮想貫通部内に収まるように嵌合させた突出部を水平台に静置したとき、仮想突出部の先端は貫通部内に収まるように嵌合する構成を有する、コンタクトレンズパッケージ。」
【0024】
上記のとおり、本実施形態では収容部の窪み方向(側面視したときの収容部の突出方向)を下方(天地の地の方向)、その方向に反対の方向を上方(天地の天の方向)とする。言い方を変えると、収容部の近傍の支持部(穴の縁)により形成される面を水平面とし、それに垂直方向を上下方向とし、窪み方向を下方とする。下方からコンタクトレンズパッケージを見た場合を下面視とし、上方からコンタクトレンズパッケージを見た場合を上面視とする。上下方向をZ方向とし、上方向を+Z方向、下方向を-Z方向とする。
【0025】
収容部と後掲の開口部が並ぶ方向であってコンタクトレンズパッケージの支持部を上面視したときの長尺方向をY方向とし、開口部から収容部に向かう方向を+Y方向、その反対方向を-Y方向とする。Z方向、Y方向と垂直な方向であってコンタクトレンズパッケージの支持部を上面視したときの短尺方向をX方向とし、突出部および貫通部が設けられている側を+X方向、その反対方向を-X方向とする。
【0026】
本明細書における「コンタクトレンズパッケージを上から下に180度回転」とは、X軸方向を回転軸にしたときの回転とする。
【0027】
本明細書での「外縁」は、その名の通り、例えば支持部での上面視での端部を指す。外縁に対し「内側」は外縁に向かう側とは逆側であり、例えば支持部の外縁から離れる方向を指す。
【0028】
図1は、本実施形態のコンタクトレンズパッケージを示す上面図(+Z方向から-Z方向を見たときの図)である。
図2は、本実施形態のコンタクトレンズパッケージを示す下面斜視図(-X方向、+Y方向、-Z方向の領域から、+X方向、-Y方向、+Z方向の領域を見たときの図)である。
図3は、本実施形態のコンタクトレンズパッケージの上下を逆にしたとき(Y方向を回転軸にしてコンタクトレンズパッケージを180度回転させたとき)の側面図(-X方向から+X方向を見たときの図)であって、支持部において突出部が配置された側とは逆側から見た側面図である。
【0029】
本実施形態に係るコンタクトレンズパッケージセットは以下の構成を有する。
「コンタクトレンズパッケージAと同一形状のコンタクトレンズパッケージBを上から下に180度回転させた状態で、コンタクトレンズパッケージA,Bを組み合わせたコンタクトレンズパッケージセットであって、
コンタクトレンズパッケージAの突出部と、コンタクトレンズパッケージBの貫通部とを嵌合させ、且つ、
コンタクトレンズパッケージAの貫通部と、コンタクトレンズパッケージBの突出部とを嵌合させた際、
コンタクトレンズパッケージセットの上下幅は、コンタクトレンズパッケージA,Bの上下幅と等しい、コンタクトレンズパッケージセット。」
【0030】
図4は、本実施形態のコンタクトレンズパッケージセットを示す上面図(+Z方向から-Z方向を見たときの図)である。
図5は、本実施形態のコンタクトレンズパッケージセットを示す上面左方向斜視図(+X方向、+Y方向、+Z方向の領域から、-X方向、-Y方向、-Z方向の領域を見たときの図)である。
図6は、本実施形態のコンタクトレンズパッケージセットの右側面図(+X方向から-X方向を見たときの図)であって、支持部において突出部が配置された側から見た側面図である。
図7は、本実施形態のコンタクトレンズパッケージセットを示す上面右方向斜視図(-X方向、+Y方向、+Z方向の領域から、+X方向、-Y方向、-Z方向の領域を見たときの図)である。
【0031】
本実施形態に係るコンタクトレンズパッケージを2つ用意し、各々をA,Bとしたとき、Aは正位置(窪み方向は下方、突出部3aの突出方向も下方)、BをX軸方向を回転軸にして上から下に向けて180度回転させ(つまり窪み方向は上方、突出部3bの突出方向は上方)、その状態のBをAに近接させることにより、
図5に示すように、Aの突出部3aと、Bの貫通部4bとが嵌合する。それと共に、Aの貫通部4aと、Bの突出部3bとが嵌合する。両嵌合のことを単に「組み合わせ」とも言う。Aの構成を示す符号の末尾にはaを付し(または無印)、Bの構成を示す符号の末尾にはbを付す。
【0032】
本発明の技術的思想は、コンタクトレンズパッケージA,Bを上下に組み合わせたときのセットのみならず、コンタクトレンズパッケージ単体にも反映されている。コンタクトレンズパッケージ単体(コンタクトレンズパッケージAを例示)の構成を説明するために、コンタクトレンズパッケージBを挙げる。その際、コンタクトレンズパッケージBのことを仮想コンタクトレンズパッケージとも称し、本明細書においては、仮想コンタクトレンズパッケージを構成する各部(例えば突出部3)の単語の先頭に「仮想」を付与する(例えば仮想突出部3)。
【0033】
本実施形態に係るコンタクトレンズパッケージAは、コンタクトレンズを収める収容部1と、収容部1と接して収容部1を支持する支持部2と、を備える。
【0034】
収容部1と支持部2とは樹脂により一体成型されてもよく、そのうえでコンタクトレンズパッケージAは使い捨て用であってもよい。
【0035】
収容部1は、支持部2から見て窪んでおり、その窪みの内部にコンタクトレンズ(不図示)を収められれば、収容部1の形状には限定は無い。本実施形態では収容部1が略球状または略楕円球状のボウルを例示する。つまり、該ボウルの上面底部11にコンタクトレンズを載置可能とする。
【0036】
なお、実際にコンタクトレンズをボウル内に収容する際には、ボウル内を密閉すべくボウルの縁に(場合によっては支持部2のボウル近傍部分21も含め)密閉部材(シール)(不図示)を貼り付けてもよい。
【0037】
このとき、支持部2のボウル近傍部分21にて熱融着を利用した密閉を行ってもよい。支持部2のボウル近傍部分21と収容部1であるボウルとの間は段差22で連結される。該段差22は支持部2の一部である。段差の代わりにテーパを採用してもよい。
【0038】
支持部2は、収容部1と接して収容部1を支持できれば、支持部2に設けられた後掲の各構成(突出部3、貫通部4、開口部5、切り欠き部6、屈曲部7)を除き、形状には限定は無い。支持部2は、後掲の各構成を除けば、上面視略矩形の板状であってもよい。本実施形態では、該板状の支持部2に対し、収容部1が下方に窪んでいる場合を例示する。
【0039】
支持部2は、支持部2下面から下方に向けて形成された突出部3と、支持部2に対する切り欠きおよび貫通孔の少なくともいずれかからなる貫通部4と、を備える。本実施形態においては、支持部2の周縁を切り欠いた場合を例示するが、支持部2の周縁以外の部分をくり貫いた貫通孔でもよい。
【0040】
なお、本実施形態では、支持部2の隅の切り欠きである切り欠き部6(後掲)や、支持部2において収容部1と並んで形成された開口部5(後掲)と区別すべく、突出部3と嵌合対応する切り欠きおよび貫通孔のいずれかを貫通部4と呼称する。
【0041】
本実施形態においては、コンタクトレンズパッケージAと同一形状の仮想コンタクトレンズパッケージ(すなわちB)を上から下に180度回転させて水平台Sに静置したときの仮想貫通部4b内に収まるように嵌合させた突出部3aを水平台Sに静置したとき、仮想突出部3bの先端は貫通部4a内に収まるように嵌合する構成を有する。
【0042】
本明細書における「貫通部4(または後掲の開口部5)内に収まる」とは、貫通孔や切り欠きを形成する閉じた領域内すなわち貫通孔や切り欠きを設ける前の支持部2からくり貫かれた領域内に対象を位置させることを意味し、言い方を変えると該領域から対象をはみ出させないことを意味する。該「領域内」とは、対象が該領域の境界と接する場合も含む。一例を挙げると、「収容部1aの下面底部12aが開口部5b内に収まる」とは、下面底部12aの頂点が開口部5bからはみ出ないことを意味する。
【0043】
コンタクトレンズパッケージAを上から下に180度回転させて水平台Sに仮想コンタクトレンズパッケージBを静置したときの仮想貫通部4b内に収まるように嵌合させた突出部3aを水平台Sに静置したときの姿勢と、コンタクトレンズパッケージA単体を水平台Sに静置したときの姿勢とが一致するのが好ましい。つまり、本実施形態に係るコンタクトレンズパッケージセットにおけるコンタクトレンズパッケージAは、セットの状態でも、単体の状態と同じように水平台S上に自立するのが、静置状態の姿勢安定性という点でも好ましい。
【0044】
その一方、単体の状態だと水平台Sでの静置状態で接地していた別の突出部(不図示)が、セットの状態にてBの支持部2の下面に載る状態となっても構わない。但し、その場合、セットの状態は単体の状態に比べて上下方向の高さが大きくならない構成を採用する。
【0045】
なお、単体にて水平台S上に自立する際の接地箇所は、突出部3aが好適である。該突出部3a以外にも別の突出部(不図示)を設けてこれを接地箇所としても構わない。その場合、Aの該別の突出部に対応する別の貫通部(不図示)をBに別途設けるのがよい。また、収容部1の下面底部12を接地箇所としてもよい。また、後掲の支持部2の隅(-X方向、-Y方向)を下方に屈曲させた屈曲部7を接地箇所としてもよい。なお、少なくとも、突出部3、収容部1の下面、後掲の屈曲部7を接地箇所とする場合、三箇所での支持となり、水平台Sへの静置状態が安定するため好ましい。
【0046】
コンタクトレンズパッケージBの貫通部4bにコンタクトレンズパッケージAの突出部3aを嵌合したとき、仮想収容部1bの窪みの下面底部12bの頂点が収まるように嵌合可能な位置且つ形状にて開口部5aが形成されているのが好ましい。
【0047】
この構成を採用する場合、本実施形態のコンタクトレンズパッケージ同士を組み合わせたとき、
図6に示すように、Aの支持部2aの開口部5aにBの収容部1bの下面底部12bを収容でき、更なる省スペース化が図れる。
【0048】
なお、開口部5の位置および形状は、該嵌合が実現できれば限定は無い。例えば、開口部5の形状は上面視にて楕円形でもよいし、円形でもよいし、矩形でもよいし、多角形でもよいし、それ以外の形状でもよい。
【0049】
突出部3の上下幅と、収容部1の上下幅とは等しいのが好ましい。この場合、突出部3と収容部1とが接地箇所となる。ひいては、これらの上下幅が、セットの状態の上下幅と等しくなる。
【0050】
本明細書における「上下幅」とは、コンタクトレンズパッケージA,B単体を水平台Sに接地したとき、またはAを上に配置且つBを下に配置して組み合わせたセットを水平台Sに接地したときの最大上下幅のことである。
【0051】
本明細書における「等しい」とは、完全一致の場合も含むし、実質的に等しい場合も含む。「実質的に等しい」とは、例えば両者が0.50mm未満(好適には0.30mm未満、更に好適には0.10mm未満)の差がある場合も含む。
【0052】
本実施形態では突出部3が支持部2の下面の外縁から突出する場合を例示するが、本発明はこの場合に限定されない。但し、コンタクトレンズパッケージA,Bを組み合わせたときの省スペース化を鑑みると、突出部3は支持部2の最外縁またはその近傍(例えば0mmを超え且つ2mm以下の程度内側)から下方に突出するのがよい。
【0053】
また、突出部3と貫通部4とは互いに接するよう支持部2の外縁に形成されれば、省スペース化を更に図れるうえ、組み合わせの際の位置合わせも容易になる。但し、突出部3と貫通部4とが離間して(例えば0mmを超え且つ5mm以下の程度離間して)形成されても構わない。結局のところ、Aの貫通部4の配置とBの突出部3の位置が(例えばY方向にて)対称であればAとBとを組み合わせ可能となるため、突出部3と貫通部4との間の離間の有無には限定は無い。
【0054】
なお、突出部3の形状(下面視、側面視)には限定は無い。また、突出部3は例えばプラスチック等により支持部2と一体に成型されるのが使い捨てという用途において有用であるが、そうでなくとも構わない。
【0055】
なお、突出部3から内側に別の小突出部31を設けても構わない。このとき、小突出部31は、
図2、
図3に示すように支持部2の下面と接触するように内向きに突出してもよいし、支持部2の下面とは接触しないように内向きに突出してもよい。いずれにせよ、小突出部31が突出部3の補強材(リブ)としての役割を果たすため、突出部3の破損を抑制できる。
【0056】
貫通部4の形状は、突出部3の先端の形状に合わせて決定すればよい。コンタクトレンズパッケージを上面視したとき、貫通部4が切り欠きの場合、切り欠きの最外縁(切り欠きの開口)の方が、その内側(例えば該最外縁から1mm内側の部分)よりも幅広であってもよい。切り欠きの最内側(切り欠きの底)の幅には限定は無いが、切り欠きの最外縁(切り欠きの開口)よりも幅狭であれば、突出部3を脱離させやすくなり、コンタクトレンズパッケージ同士の組み合わせ状態の解除を容易化できるため好ましい。
【0057】
例えば、貫通部4が切り欠きの場合、切り欠きの外縁側を面取りするなり丸みをつけるなりの加工を施してもよい。これにより、Aの切り欠きに対し、外縁からBの突出部3を挿入しやすくなるし脱離しやすくなる(すなわち挿脱しやすくなる)。
【0058】
コンタクトレンズパッケージを上面視したとき、突出部3と貫通部4は支持部2において同じ側(+X方向)に形成されるのが好ましい。
【0059】
この構成を採用したコンタクトレンズパッケージ同士を組み合わせ、この組み合わせを解除しようとしたとき、上側のコンタクトレンズパッケージAを持ち上げることにより容易に嵌合状態を解除できる。
【0060】
更に、支持部2において、収容部1から離れた側(-Y方向)であり且つ突出部3と貫通部4が形成されたのと同じ側(+X方向)の隅(+X方向、-Y方向)を切り欠いた切り欠き部6が形成されるのが好ましい。
【0061】
この構成を採用したコンタクトレンズパッケージ同士を組み合わせ、この組み合わせを解除しようとしたとき、切り欠き部6に指を差し込み、上側のコンタクトレンズパッケージAを持ち上げて-X方向にめくることにより容易に嵌合状態を解除できる。
【0062】
支持部2において、収容部1から離れた側(-Y方向)であり且つ上記隅(+X方向、-Y方向)と対向する隅(-X方向、-Y方向)は、該隅(-X方向、-Y方向)を下方に向けて屈曲させてなる屈曲部7であるのが好ましい。なお、本実施形態においては、該屈曲部7は上記突出部3とは別の構成である。
【0063】
そして、屈曲部7の上下幅は、突出部3の上下幅と等しくするのが好ましい。より好ましくは、屈曲部7の上下幅は、突出部3の上下幅と、収容部の上下幅とも等しい。これらの条件を満たすよう、屈曲部7の下方への屈曲角度を適宜設定してもよい。また、
図7に示すように、屈曲部7aが水平台Sに接地する際にコンタクトレンズパッケージBの支持部2bの隅(-X方向、-Y方向)と水平方向にて接触するように、屈曲部7aの寸法を設定してもよい。
【0064】
この構成を採用することにより、支持部2の隅(-X方向、-Y方向)を接地箇所に設定できる。この設定により、少なくとも突出部3と屈曲部7とを接地箇所に設定できる。突出部3の接地面積と屈曲部7の接地面積を大きくすれば二箇所での安定した支持が可能となる。その一方、少なくとも、突出部3、収容部1の下面底部12、後掲の屈曲部7を接地箇所とする場合、三箇所での支持となり、水平台Sへの静置状態がより安定するため好ましい。
【0065】
本発明の技術的範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0066】
本実施形態のコンタクトレンズパッケージセットは、特許文献1に記載のように、2つのコンタクトレンズパッケージA,Bを摩擦により固定した状態ではなく、単に載置した状態にて固定する構成を採用している。つまり、同形状のコンタクトレンズパッケージを固定する手段として、両者を嵌合はさせる一方で、コンタクトレンズパッケージBの上に単にコンタクトレンズパッケージAを非摩擦で載せることにより緩く固定している。その一方、コンタクトレンズパッケージを固定する手段として、本実施形態のように単に載置した状態にて固定する構成に加え、摩擦を利用した係合を採用してもよい。例えば、Aの屈曲部7aを、Bの支持部2bにおける収容部1b側の隅(-X方向、+Y方向)と摩擦により係合可能となる。
【0067】
本実施形態により、2つのコンタクトレンズパッケージ同士を上下方向に組み合わせた状態の上下方向の高さを、1つのコンタクトレンズパッケージの上下方向の高さと等しくできる。そして、好適例を採用すれば、コンタクトレンズパッケージ同士の組み合わせ状態の解除を容易化できる。その反面、固定力は低下する。
【0068】
この固定力を補うべく、Aの屈曲部7a(-X方向、-Y方向)を利用し、Bの支持部2bの収容部1b側の隅(-X方向、+Y方向)と摩擦により係合させるのが好ましい。摩擦により係合すべく、屈曲部7(-X方向、-Y方向)の屈曲方向および寸法または支持部2の該隅(-X方向、+Y方向)の形状を設定してもよい。なお、この場合においても組み合わせ状態の解除は容易のままである。その理由は、これまで述べてきた突出部3aと貫通部4bとの間の嵌合自体は解除容易であり、更に上記切り欠き部6aに指を差し込んでAを持ち上げれば、Aの屈曲部7による摩擦係合は容易に解除されるためである。
【0069】
本実施形態では収容部1とは別体の突出部3、そして該突出部3に対応する貫通部4を設ける場合を例示した。その一方、収容部1が下方に窪んでいることを利用しても構わない。つまり、コンタクトレンズパッケージA,Bを組み合わせたときに収容部1aを水平台Sに接地させてもよい。
【0070】
その場合、A単体を水平台Sに静置させた際に自立可能とすべく、本実施形態の突出部3aではなく支持部2aの隅の屈曲部7aを利用してもよい。自立の際の安定性を向上させるべく、支持部2aの隅(+X方向、-Y方向)を切り欠かず、支持部2aの隅(-X方向、-Y方向)から隅(+X方向、-Y方向)に至るまでを屈曲部7aとしてもよい。または、支持部2aの隅(+X方向、-Y方向)を切り欠く代わりにもう一つの屈曲部としてもよい。
【0071】
また、自立の際の安定性を向上させるべく、収容部1aの下面底部12aを水平台Sに対して点接触ではなく面接触させるべく、特許文献1の第2図に示すように下面視で十字型の突出部(不図示)を収容部1aの下面底部12の一部として別途設けてもよい。
【0072】
上記変形例を包含する構成は以下の通りである。なお、以下の構成では、屈曲部7が下方に突出しているとみなせるため、突出部3の一種とみなしている。その場合、これまでに述べてきた突出部3を第1突出部、屈曲部7を第2突出部と称してもよい。同様に、開口部5も貫通部4の一種とみなしている。その場合、これまでに述べてきた貫通部4を第1貫通部、開口部5を第2貫通部と称してもよい。
「コンタクトレンズを収める収容部と、
前記収容部を支持する支持部と、
を備えるコンタクトレンズパッケージであって、
前記収容部は前記支持部から見て窪んでおり、
窪み方向を下方、その方向に反対の方向を上方としたとき、
前記支持部は、
下方に向けて形成された突出部と、
前記支持部に対する切り欠きおよび貫通孔の少なくともいずれかからなる貫通部と、
を備え、以下のi)およびii)の少なくともいずれかの構成を有する、コンタクトレンズパッケージ。
i)前記コンタクトレンズパッケージと同一形状の仮想コンタクトレンズパッケージを上から下に180度回転させて水平台に静置したときの仮想貫通部内に収まるように嵌合させた前記収容部を水平台に静置したとき、仮想収容部の下面底部は前記貫通部内に収まるように嵌合する構成を有する。
ii)前記コンタクトレンズパッケージと同一形状の仮想コンタクトレンズパッケージを上から下に180度回転させて水平台に静置したときの仮想貫通部内に収まるように嵌合させた前記突出部を水平台に静置したとき、仮想突出部の先端は前記貫通部内に収まるように嵌合する構成を有する。」
【符号の説明】
【0073】
A,B コンタクトレンズパッケージ
1 収容部
11 上面底部
12 下面底部
2 支持部
21 ボウル近傍部分
22 段差
3 突出部
31 小突出部
4 貫通部
5 開口部
6 切り欠き部
7 屈曲部
S 水平台