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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】食肉製品用添加剤および食肉製品
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/244 20160101AFI20240708BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20240708BHJP
   A23L 13/60 20160101ALI20240708BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20240708BHJP
   A23L 13/40 20230101ALI20240708BHJP
【FI】
A23L29/244
A23L29/256
A23L13/60 Z
A23L29/00
A23L13/40
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020059997
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021153553
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】506009453
【氏名又は名称】オルガノフードテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】広住 亜季
【審査官】田名部 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-126401(JP,A)
【文献】特開2007-312751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/00 - 5/30
A23L 13/00 - 17/50
A23L 21/00 - 21/25
A23L 29/00 - 29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコマンナン、アルギン酸、および寒天を含有し、
前記グルコマンナンの含有量が食肉製品全体の質量に対して0.02~0.5質量%の範囲となり、
前記アルギン酸の含有量が食肉製品全体の質量に対して0.02~0.5質量%の範囲となり、
前記寒天の含有量が食肉製品全体の質量に対して0.02~0.5質量%の範囲となるように食肉製品に添加されることを特徴とする食肉製品用添加剤。
【請求項2】
グルコマンナン、アルギン酸、および寒天を含有し、
前記グルコマンナンの含有量は、食肉製品全体の質量に対して0.02~0.5質量%の範囲であり、
前記アルギン酸の含有量は、食肉製品全体の質量に対して0.02~0.5質量%の範囲であり、
前記寒天の含有量は、食肉製品全体の質量に対して0.02~0.5質量%の範囲であることを特徴とする食肉製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品添加剤、およびその食品添加剤を含む食品に関する。
【背景技術】
【0002】
ハム、ソーセージ、ベーコンのような食肉製品は、例えば、水、リン酸塩類、増粘多糖類、および酸化防止剤等を溶解した塩漬液に豚肉、牛肉、鶏肉等の畜肉または家禽を漬け込んで製造する。従来、食感の改善や歩留向上等を目的として、リン酸塩類、増粘多糖類等の品質改良剤の開発が行われている。
【0003】
食肉製品用のゲル化剤として用いられる増粘多糖類としては、カラギナン、カードラン等が知られている。
【0004】
特許文献1には、カラギナンの一種であるカッパーカラギナンを使用したレトルトソーセージの製造方法が記載されている。
【0005】
近年、コンビニエンスストアを中心にカラギナンを避ける動きがある。そのため、カラギナンの代替品が求められている。カラギナンを使用したハムの場合、肉と合わせて中心温度70~75℃で加熱し、冷却後、食べ応えのある食感になるのが特徴である。
【0006】
カラギナン代替としては寒天が考えられるが、カラギナンの溶解温度が60℃以上であるのに対して、寒天が完全に溶解する温度が90℃以上と高いため、ハムの加熱温度では寒天が完全溶解しない。そのため、カラギナンのように硬さと弾力があって食べ応えのある食感にならない。
【0007】
また、以前からコンビニエンスストアを中心にリン酸塩類を避ける動きがある。しかし、リン酸塩類を使用しないと、肉の結着が悪くなり、弾力がなく、やわらかい食感になる。リン酸塩、および前記のカラギナンの2種類を使用しないと、非常にやわらかい食感のハムとなり、食べ応えがなくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第6564185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、リン酸塩およびカラギナンを使用しなくても、硬さ、弾力があって食べ応えのある食感の食品を得ることができる食品添加剤、その食品添加剤を含む食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、グルコマンナン、アルギン酸、および寒天を含有し、前記グルコマンナンの含有量が食肉製品全体の質量に対して0.02~0.5質量%の範囲となり、前記アルギン酸の含有量が食肉製品全体の質量に対して0.02~0.5質量%の範囲となり、前記寒天の含有量が食肉製品全体の質量に対して0.02~0.5質量%の範囲となるように食肉製品に添加され食肉製品用添加剤である。
【0011】
本発明は、グルコマンナン、アルギン酸、および寒天を含有し、前記グルコマンナンの含有量は、食肉製品全体の質量に対して0.02~0.5質量%の範囲であり、前記アルギン酸の含有量は、食肉製品全体の質量に対して0.02~0.5質量%の範囲であり、前記寒天の含有量は、食肉製品全体の質量に対して0.02~0.5質量%の範囲であ食肉製品である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、リン酸塩およびカラギナンを使用しなくても、硬さ、弾力があって食べ応えのある食感の食品を得ることができる食品添加剤、その食品添加剤を含む食品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】参考例2~4の食品添加剤を用いたゲルの破断強度を示すグラフである。
図2】比較例5~16の食品添加剤を用いたゲルの破断強度を示すグラフである。
図3】実施例2~8の食品添加剤を用いたゲルの破断強度を示すグラフである。
図4】参考例2~4の食品添加剤を用いたゲルの破断距離を示すグラフである。
図5】比較例5~16の食品添加剤を用いたゲルの破断距離を示すグラフである。
図6】実施例2~8の食品添加剤を用いたゲルの破断距離を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0017】
<食品添加剤>
本実施形態に係る食品添加剤は、グルコマンナン、アルギン酸、および寒天を含有する。グルコマンナン、アルギン酸、および寒天を含有する食品添加剤により、食品に硬さや弾力性を付与することができる。グルコマンナンのみを用いると、硬さが出ない。アルギン酸のみを用いると、硬さが出ない。寒天のみを用いると、ハムの中心温度である70~75℃の加熱では硬さが出にくく、弾力がない。本発明者は、食肉製品等の食品で使用される増粘多糖類として、グルコマンナン、アルギン酸、および寒天の混合系を用いることにより、それぞれの単品を使用した場合に比べて硬さ、弾力があって食べ応えのある食感の食品が得られることを見出した。
【0018】
グルコマンナンは、コンニャクイモの塊茎に存在する多糖類である。例えば、コンニャクイモを水洗後、スライスして乾燥して粉砕し、さらに澱粉質等の不純物を分離したものがコンニャク精粉と呼ばれる。このコンニャク精粉にはグルコマンナンが約75~85質量%程度含まれている。グルコマンナンは、グルコース(単糖の一種)とマンノース(単糖の一種)が、およそ2:3の割合で多数結合した食物繊維である。グルコマンナンとしては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
【0019】
アルギン酸は、海藻に含有されるアルギン酸塩から抽出した多糖類で、水溶性食物繊維の1種である。マンヌロン酸(M)とグルロン酸(G)という2種類のウロン酸が直鎖重合した構造を持つ多糖類である。アルギン酸としては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
【0020】
寒天は、紅藻類、特にテングサ、オゴノリから抽出される。ガラクトースを基本骨格とする構造を有しており、中性のアガロースとイオン性のアガロペクチンからなっている。寒天としては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
【0021】
本実施形態に係る食品添加剤において、アルギン酸および寒天の含有量は、例えば、グルコマンナン100質量%に対して、アルギン酸20質量%~300質量%の範囲、寒天20質量%~300質量%の範囲、好ましくはグルコマンナン100質量%に対して、アルギン酸30質量%~150質量%、寒天30質量%~150質量%の範囲である。グルコマンナン100質量%に対して、アルギン酸20質量%未満では、硬さや弾力性が不足する場合があり、アルギン酸300質量%を超えても、硬さや弾力性が不足する場合がある。グルコマンナン100質量%に対して、寒天20質量%未満では、硬さや弾力性が不足する場合があり、寒天300質量%を超えても、硬さや弾力性が不足する場合がある。
【0022】
本実施形態に係る食品添加剤は、グルコマンナン、アルギン酸、および寒天の他に、他の増粘多糖類または食品、食物繊維等を含んでもよい。
【0023】
他の増粘多糖類または食品としては、例えば、カードラン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、ペクチン、アラビアガム、加工澱粉等が挙げられる。
【0024】
食物繊維としては、例えば、水溶性繊維、不溶性繊維、難消化デキストリン、ポリデキストロース等が挙げられる。
【0025】
本実施形態に係る食品添加剤は、粉末の形態であってもよいし、粒状に造粒した顆粒の形態であってもよい。その他、上記食品添加剤等を水等に溶解させた液体の形態であってもよい。
【0026】
<食品>
本実施形態に係る食品は、上記食品添加剤を含有する食品であり、グルコマンナン、アルギン酸、および寒天を含有する食品である。食品としては、例えば、食肉製品に好適に適用することができる。本実施形態に係る食品添加剤を食品に添加することにより、食品に硬さや弾力性等を付与することができる。
【0027】
食肉製品は、例えば、JAS法に規定されている食肉製品であり、食肉製品としては、例えば、ハム、ソーセージ、ベーコン、ハンバーグ、ミートボール等が挙げられる。
【0028】
本実施形態に係る食品添加剤の食品中の添加量は、食品全体の質量に対して、例えば、0.1質量%~2.0質量%の範囲であり、好ましくは0.3質量%~1.0質量%の範囲である。食品添加剤の食品中の添加量が、食品全体の質量に対して0.1質量%未満であると、硬さや弾力性が不足する場合があり、2.0質量%を超えると、逆に硬さや弾力性が不足する場合がある。
【0029】
本実施形態に係る食品において、例えば、グルコマンナンの含有量は、食品全体の質量に対して0.02~1.0質量%の範囲であり、アルギン酸の含有量は、食品全体の質量に対して0.02~1.0質量%の範囲であり、寒天の含有量は、食品全体の質量に対して0.02~1.0質量%の範囲である。好ましくは、グルコマンナンの含有量は、食品全体の質量に対して0.07~0.5質量%の範囲であり、アルギン酸の含有量は、食品全体の質量に対して0.07~0.5質量%の範囲であり、寒天の含有量は、食品全体の質量に対して0.07~0.5質量%の範囲である。グルコマンナンの食品中の添加量が、食品全体の質量に対して0.02質量%未満であると、硬さや弾力性が不足する場合があり、1.0質量%を超えると、逆に硬さや弾力性が不足する場合がある。アルギン酸の食品中の添加量が、食品全体の質量に対して0.02質量%未満であると、硬さや弾力性が不足する場合があり、1.0質量%を超えると、逆に硬さや弾力性が不足する場合がある。寒天の食品中の添加量が、食品全体の質量に対して0.02質量%未満であると、硬さや弾力性が不足する場合があり、1.0質量%を超えると、逆に硬さや弾力性が不足する場合がある。
【0030】
本実施形態に係る食品は、上記食品添加剤の他に、植物性たん白、動物性たん白、酵母エキス、および酸化防止剤等を含んでもよい。
【0031】
食肉製品は、豚肉、牛肉、鶏肉等の畜肉または家禽に、本実施形態に係る食品添加剤を添加することにより得られる。食肉製品は、例えば、水、上記食品添加剤、酸化防止剤等を溶解した塩漬液に豚肉、牛肉、鶏肉等の畜肉または家禽を漬け込んだ後、加熱して製造すればよい。
【0032】
本実施形態に係る食品添加剤を添加することにより、ハム等の食肉製品の硬さの指標である破断強度および弾力性の指標である破断距離を、例えばカラギナンとリン酸塩を使用した場合と同等またはそれ以上にすることができる。
【0033】
本実施形態に係る食品の破断強度を、例えば、150.0(g/cm)以上、好ましくは160.0(g/cm)以上とすることができる。本実施形態に係る食品の破断距離を、例えば、6.0mm以上、好ましくは6.5mm以上とすることができる。
【実施例
【0034】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0035】
<参考例1、比較例1~4、および実施例1,2>
リン酸塩およびカラギナン不使用の組成で、カラギナンの代替として寒天、または寒天、アルギン酸、グルコマンナンを添加することによる、ゲルの硬さおよび弾力性に対する改良効果を検証した。
【0036】
[食品添加剤の調製]
表1に示す割合(質量%)で、各成分を粉末混合の方法で混合して、参考例1、比較例1~4、実施例1,2の食品添加剤を調製した。
【0037】
【表1】
【0038】
参考例1は、リン酸塩を使用せず、カラギナンを使用した。比較例1~3は、リン酸塩を使用せず、カラギナンの替わりに寒天を使用した。比較例4は、リン酸塩を使用せず、カラギナンの替わりにアルギン酸を使用した。実施例1,2は、リン酸塩を使用せず、カラギナンの替わりに、グルコマンナン、アルギン酸、および寒天を使用した。
【0039】
[ゲル棒の作製]
表1の食品添加剤3gを200mLの水に溶解した後、食塩を2質量%上乗せ添加して溶解した。次いで、直径48mmの塩化ビニル製のケーシングに充填し、80℃で45分間、恒温水槽中で加熱した。得られたゲルを30分間流水で冷却した後、5℃で16時間冷蔵し、試験ゲルを得た。
【0040】
[破断強度、破断距離の測定]
分析装置(サン科学株式会社製、レオメーターCR-200D型)を用い、得られた試験ゲルを3cm長さにカットし、直径5mmの円柱状プランジャーで押し、5℃、速度60mm/分の条件で、サンプルが破断したときの、硬さ(ゲル強度)の指標として破断強度(g/cm)、および弾力性の指標として破断距離(mm)を測定した。結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
[結果]
カラギナンの替わりに寒天を添加し、寒天の添加量を増やしても、硬さの指標である破断強度は上がらなかった。弾力性の指標である破断距離は、カラギナンを添加した参考例1と寒天を添加した比較例1~3とでほぼ同等であった。カラギナンの替わりにアルギン酸を添加した比較例4では、非常にやわらかく、弾力のないゲルのため、分析することができなかった。カラギナンの替わりにグルコマンナン、アルギン酸、および寒天を併用すると、配合割合によって硬さの指標である破断強度が上がったり、弾力性の指標である破断距離が長くなったりした。グルコマンナン、アルギン酸、および寒天を何らかの割合で合わせると、硬さや弾力性が向上する可能性がみられた。
【0043】
表1に示す配合処方(質量%)のうち参考例1と実施例2で、表3に示す割合(質量%)で塩漬液を調製し、塩漬液の分析とモデルハム試験とを行った。
【0044】
【表3】
【0045】
[塩漬液のゲル棒作製]
塩漬液の原料を混合後、一晩(16時間)5℃冷蔵庫にて静置した。再撹拌後、塩漬液を直径60mmの塩化ビニル製ケーシングに充填し、80℃で60分間、恒温水槽中で加熱した。得られたゲルを30分間流水で冷却した後、5℃で一晩(16時間)冷蔵し、試験ゲルを得た。
【0046】
[塩漬液のゲル棒の破断強度、破断距離の測定]
分析装置(サン科学株式会社製、レオメーターCR-200D型)を用い、得られた試験ゲルを3cm長さにカットし、直径5mmの円柱状プランジャーで押し、5℃、速度60mm/分の条件で、サンプルが破断したときの硬さの指標として破断強度(g/cm)、および弾力性の指標として破断距離(mm)を測定した。結果を表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
[結果]
参考例1に比べて実施例2は、破断強度が高く、破断距離はほぼ同等の結果であった。
【0049】
[モデルハム調製]
豚ミンチ肉100質量部に対し、前記の塩漬液60質量部を加え、ステファンカッター(NASCO社)で混合した。次いで、ポリ袋に充填し、一晩(16時間)5℃冷蔵庫内で塩漬した。翌日、直径60mmの塩化ビニル製ケーシングに充填し、80℃で60分間、恒温水槽中で加熱した。得られた塩漬肉を30分間流水で冷却した後、5℃で一晩(16時間)冷蔵し、モデルハムを得た。なお、グルコマンナンの含有量は、ハム全体の質量に対して0.05質量%であり、アルギン酸の含有量は、ハム全体の質量に対して0.05質量%であり、寒天の含有量は、ハム全体の質量に対して0.05質量%の範囲である。
【0050】
[モデルハムの咀嚼性試験]
モデルハムをケーシングから取り出し、5mm幅にスライスし、分析装置(島津サイエンス株式会社製 テクスチャーアナライザー)を用い、モデルハムの咀嚼性(硬さ×弾力性×凝集性)を測定した。結果を表5に示す。
【0051】
【表5】
【0052】
[結果]
参考例1と実施例2は、ほぼ同等の咀嚼性であった。このように、リン酸塩およびカラギナンを使用しなくても、硬さ、弾力があって食べ応えのある食感のハムを得ることができた。
【0053】
<参考例2~4、比較例5~16、および実施例2~8>
[食品添加剤の調製]
表6~8に示す割合(質量%)で、各成分を粉末混合の方法で混合し、参考例2~4、比較例5~16、および実施例2~8の食品添加剤を調製した。表3の配合で前記の通り塩漬液を調製し、分析を行った。リン酸塩およびカラギナン不使用の配合で、カラギナンの代替としてグルコマンナン、アルギン酸、および寒天を添加することによる、ゲルの硬さおよび弾力性に対する改良効果を検証した。
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】
[結果]
参考例2~4、比較例5~16、実施例2~8の食品添加剤を用いたゲルの破断強度を図1図2図3にそれぞれ示す。参考例2~4、比較例5~16、実施例2~8の食品添加剤を用いたゲルの破断距離を図4図5図6にそれぞれ示す。
【0058】
[評価基準]
表4の塩漬液のゲル棒の破断強度および破断距離の測定結果を基に、破断強度150.0(g/cm)以上、かつ破断距離6.0(mm)以上の値を示せばカラギナンと同等であると評価した。
【0059】
比較例5~16の中では、比較例14のアルギン酸5質量%と寒天5質量%の混合系と、比較例15のグルコマンナン5質量%と寒天5質量%の混合系のみ、破断強度と破断距離がカラギナンと同等であると評価した。
【0060】
実施例2~8によって、リン酸塩およびカラギナンを使用しなくても、良好な破断強度、破断距離を得ることができることがわかった。実施例2~8は、破断強度150.0(g/cm)以上、かつ破断距離6.0(mm)以上であることから、カラギナンと同等であると評価した。特に、実施例3のグルコマンナン10質量%とアルギン酸10質量%と寒天10質量%の混合系、実施例8のグルコマンナン15質量%とアルギン酸5%と寒天5質量%の混合系は、破断強度160(g/cm)以上、かつ破断距離6.5(mm)以上であり、カラギナンよりも良好であると評価した。
【0061】
以上のように、実施例のグルコマンナン、アルギン酸、および寒天を含有する食品添加剤によって、リン酸塩およびカラギナンを使用しなくても、硬さ、弾力があって食べ応えのある食感の食品を得ることができた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6