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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】乗員判定装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/015 20060101AFI20240708BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
B60R21/015 311
B60R21/015 330
A47C7/62 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020078674
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021172257
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ベルガカベヨ ジョアン マーク
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-162196(JP,A)
【文献】特開2011-068299(JP,A)
【文献】特開2005-081967(JP,A)
【文献】特開2017-007563(JP,A)
【文献】特開2003-240628(JP,A)
【文献】特開2017-061268(JP,A)
【文献】特開2014-193704(JP,A)
【文献】特開2005-271629(JP,A)
【文献】特開2004-224203(JP,A)
【文献】特開2002-029365(JP,A)
【文献】特開2014-193705(JP,A)
【文献】特開2019-189101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/90
B60R 21/015
A47C 7/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の座席(11)に設けられ前記座席(11)にかかる荷重を検出する複数の荷重センサ(13)のセンサ値に基づいて設定される判定値を所定の荷重閾値と比較して前記座席(11)に座る乗員の体格を分類する仮判定処理部(33)と、
前記仮判定処理部(33)による仮判定結果を用いて前記乗員の体格を確定する確定処理部(35)と、を備え、
前記確定処理部(35)は、
所定のサンプル数の前記仮判定結果のうち、所定のクラスに分類された前記仮判定結果の数が所定の閾値以上となったときに、前記乗員の体格を前記所定のクラスで確定するとともに、
前記所定のサンプル数を第1のサンプル数(N1)に設定するとともに前記所定の閾値を第1の閾値(M1)に設定して一次判定処理を行い、
前記一次判定処理により前記乗員の体格を所定のクラスで確定した後には、前記所定のサンプル数を前記第1のサンプル数(N1)よりも大きい第2のサンプル数(N2)に設定するとともに、前記所定の閾値を前記第1の閾値(M1)よりも大きい第2の閾値(M2)に設定して二次判定処理を行い、
また、前記二次判定処理において、前記座席が空席である、又は、前記乗員の体格を判定不能であると確定した場合、前記一次判定処理から再開する、
ことを特徴とする、乗員判定装置。
【請求項2】
前記一次判定処理により前記乗員の体格を所定のクラスで確定した後、前記二次判定処理へ移行するまでの時間が、前記座席用のシートベルトのバックルが締結されているか否かによって異なることを特徴とする、
請求項に記載の乗員判定装置。
【請求項3】
前記確定処理部(35)は、
前記仮判定処理部(33)により前記座席が空席であると分類された前記仮判定結果が前記第1の閾値(M1)よりも小さい空席判定用閾値(M0)以上継続したときに、前記座席が空席であるとの分類を確定することを特徴とする、
請求項又はに記載の乗員判定装置。
【請求項4】
前記判定値が、前記複数の荷重センサ(13)により検出される荷重の合計値又は当該合計値に相関する値であることを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載の乗員判定装置。
【請求項5】
前記仮判定処理部(33)は、
前記確定処理部(35)による確定結果に応じて前記荷重閾値を変更することを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載の乗員判定装置。
【請求項6】
前記仮判定処理部(33)は、
前記確定処理部(35)による確定結果が、前記座席が空席であるとの判定結果ではなく、かつ、判定不能であるとの判定結果ではない場合、現在の前記仮判定結果が属するクラスの範囲が拡大するように前記荷重閾値を変更することを特徴とする、
請求項に記載の乗員判定装置。
【請求項7】
前記仮判定処理部(33)は、
前記確定処理部(35)による確定結果が、前記座席が空席であるとの判定結果ではなく、かつ、判定不能であるとの判定結果ではない場合であって、さらに、前記座席用のシートベルトのバックルが締結されている場合に、現在の前記仮判定結果が属するクラスの範囲がさらに拡大するように前記荷重閾値を変更することを特徴とする、
請求項に記載の乗員判定装置。
【請求項8】
前記仮判定処理部(33)又は前記確定処理部(35)の少なくとも一方は、前記座席用のシートベルトのバックルが締結されている場合、前記座席が空席であるとの判定をしないように設定されることを特徴とする、
請求項1~のいずれか1項に記載の乗員判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたエアバッグ装置を作動するにあたり、座席に座っている乗員の体格に合わせてエアバッグを展開することが望ましい。このため、座席に荷重センサを設け、荷重センサからの出力値を用いて空席状態、子供の着座状態、又は大人の着座状態等の判別が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、荷重が閾値を跨いで変動するときであっても確実にクラス遷移を実行し、乗員を最低限に保護すべくエアバッグ制御させる乗員判定装置が提案されている。具体的に、特許文献1には、車両の座席に着座する乗員の荷重を検出する荷重センサと、信号としての荷重を所定の荷重閾値に基づいて分別し複数のクラスとして格納したものの一つとすることにより乗員の有無及び体格を判定する判定手段とを備える乗員判定装置であって、判定手段は、現状のクラスとその荷重大側に隣接するクラスとの間の荷重閾値以上の荷重が閾値時間持続して入力するときに、現状のクラスをそれに隣接するクラスにクラス遷移させる乗員判定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-193705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の乗員判定装置は、乗員乗車時に初期判定されたクラスを基準として、遷移する先のクラスが基準のクラスから離れるにつれて、クラス遷移する際の閾値時間が長くなるように設定される。しかしながら、特許文献1に記載の乗員判定装置では、閾値時間内に検出される荷重の値のうちの一つが異なるクラスに属する値となった場合には閾値時間がリセットされる。このため、クラス遷移が過度に遅れ、乗員の属するクラスの判定精度が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、乗員の体格の判定結果の信頼性を向上可能な乗員判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、車両の座席(11)に設けられ前記座席(11)にかかる荷重を検出する複数の荷重センサ(13)のセンサ値に基づいて設定される判定値を所定の荷重閾値と比較して前記座席(11)に座る乗員の体格を分類する仮判定処理部(33)と、前記仮判定処理部(33)による仮判定結果を用いて前記乗員の体格を確定する確定処理部(35)と、を備え、前記確定処理部(35)は、所定のサンプル数の前記仮判定結果のうち、所定のクラスに分類された前記仮判定結果の数が所定の閾値以上となったときに、前記乗員の体格を前記所定のクラスで確定するとともに、前記所定のサンプル数を第1のサンプル数(N1)に設定するとともに前記所定の閾値を第1の閾値(M1)に設定して一次判定処理を行い、前記一次判定処理により前記乗員の体格を所定のクラスで確定した後には、前記所定のサンプル数を前記第1のサンプル数(N1)よりも大きい第2のサンプル数(N2)に設定するとともに、前記所定の閾値を前記第1の閾値(M1)よりも大きい第2の閾値(M2)に設定して二次判定処理を行い、また、前記二次判定処理において、前記座席が空席である、又は、前記乗員の体格を判定不能であると確定した場合、前記一次判定処理から再開するとを特徴とする乗員判定装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、乗員の体格の判定結果の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る乗員判定装置の構成例を示す模式図である。
図2】同実施形態に係る乗員判定装置の構成例を示す模式図である。
図3】同実施形態に係る乗員判定装置の仮判定処理部による荷重閾値の設定例を示す説明である。
図4】同実施形態に係る乗員判定装置の確定処理部による一次判定処理の例を示す説明図である。
図5】同実施形態に係る乗員判定装置の確定処理部による二次判定処理の例を示す説明図である。
図6】同実施形態に係る乗員判定装置の仮判定処理部によるクラス1~クラス3の分類を行う動作例を示すフローチャートである。
図7】同実施形態に係る乗員判定装置の仮判定処理部によるクラス0の分類を行う動作例を示すフローチャートである。
図8】同実施形態に係る乗員判定装置の確定処理部の動作例を示すフローチャートである。
図9】同実施形態に係る乗員判定装置の確定処理部の動作例を示すフローチャートである。
図10】同実施形態に係る乗員判定装置の確定処理部の動作例を示すフローチャートである。
図11】同実施形態に係る乗員判定装置の確定処理部の動作例を示すフローチャートである。
図12】同実施形態に係る乗員判定装置の確定処理部の動作例を示すフローチャートである。
図13】同実施形態に係る乗員判定装置の確定処理部の動作例を示すフローチャートである。
図14】同実施形態に係る乗員判定装置の確定処理部の動作例を示すフローチャートである。
図15】同実施形態に係る乗員判定装置の確定処理部の動作例を示すフローチャートである。
図16】同実施形態に係る乗員判定装置の確定処理部の動作例を示すフローチャートである。
図17】同実施形態に係る乗員判定装置の確定処理部の動作例を示すフローチャートである。
図18】同実施形態に係る乗員判定装置の確定処理部の動作例を示すフローチャートである。
図19】同実施形態に係る乗員判定装置の確定処理部の動作例にしたがって乗員の体格の確定処理を行う場合の遷移を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
<<1.乗員判定装置の構成例>>
まず、本発明の一実施形態に係る乗員判定装置の構成例を説明する。
図1及び図2は、本実施形態に係る乗員判定装置10の構成例を示す模式図である。図1及び図2に示す構成例は、車両の運転席(座席)11に着座する乗員の体格を判別するための構成例である。図1は、上方から見た座席11を含む模式図であり、図2は、側方から見た座席11を含む模式図である。なお、体格を判別する乗員が着座する座席は運転席に限られるものではなく、乗員判定装置10は助手席や、後部座席等、他の座席に着座する乗員の体格についても判別することができるように構成される。
【0012】
乗員判定装置10は、座席11に設けられた複数の荷重センサ13a~13d(以下、特に区別を要しない場合には荷重センサ13と総称する)と、乗員の体格を判別する演算処理を行う電子制御装置20とを備えている。また、本実施形態に係る乗員判定装置10は、座席用のシートベルトのバックルの締結を検出するバックルセンサ19を備えている。電子制御装置20は、例えば、乗員の体格の判別結果を示す信号をエアバッグ制御装置に送信するように構成されている。あるいは、電子制御装置20は、エアバッグ制御装置の機能の一部として設けられていてもよい。エアバッグ制御装置は、電子制御装置20により判別された乗員の体格に応じて、エアバッグを展開する際の強度(圧力等)を適切に制御する。
【0013】
<荷重センサ>
荷重センサ13は、それぞれ座席11にかかる荷重を検出する。例えば、荷重センサ13は、検出する荷重に応じた電圧信号を出力する。荷重センサ13のセンサ信号は、電子制御装置20へ出力される。図1に示した乗員判定装置10の例では、4つの荷重センサ13a~13dが、それぞれ座席11の座面11aの4つの角部分に対応する位置に設けられている。また、4つの荷重センサ13a~13dは、それぞれシートレール15a,15bの上方に対応する位置に設けられている。これにより、乗員の着座位置にかかわらず、それぞれの荷重センサ13a~13dが、乗員の体格に応じた荷重を受けることができる。
【0014】
なお、荷重センサ13の数は4つに限られるものではなく、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。ただし、乗員の着座位置にかかわらず座面11aにかかる荷重を受けることができるように、複数の荷重センサ13は、座面11a内で一部に偏ることなく設けられることが好ましい。
【0015】
<バックルセンサ>
バックルセンサ19は、座席11に設けられたバックルコネクタ17に備えられ、図示しないシートベルトのバックルがバックルコネクタ17に締結されたことを示すセンサ信号を出力する。バックルセンサ19のセンサ信号は、電子制御装置20へ出力される。例えば、バックルセンサ19は、シートベルトのバックルがバックルコネクタ17に締結されることにより通電状態と非通電状態とが切り替わるスイッチ式のセンサであってもよい。
【0016】
<電子制御装置>
電子制御装置20は、複数の荷重センサ13のセンサ値に基づいて乗員の体格を判別する演算処理を実行する。電子制御装置20の一部又は全部は、例えばマイクロコンピュータ又はマイクロプロセッサユニット等で構成されている。あるいは、電子制御装置20の一部又は全部は、ファームウェア等の更新可能なもので構成されていてもよく、CPU(Central Processing Unit)等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0017】
本実施形態において、電子制御装置20は、判定処理部30と、記憶部21とを備える。記憶部21は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶素子を含み、ソフトウェアプログラムや、演算処理に用いられる種々のパラメータ、各種センサによる検出結果、演算処理の結果等のデータを記憶する。記憶部21は、HDD(Hard Disk Drive)やCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、SSD(Solid State Drive)、USB(Universal Serial Bus)フラッシュ、ストレージ装置等の記憶媒体の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0018】
判定処理部30は、判定値算出部31、仮判定処理部33及び確定処理部35を備える。本実施形態において、判定処理部30を構成する判定値算出部31、仮判定処理部33及び確定処理部35は、CPU等のプロセッサによるソフトウェアプログラムの実行により実現される機能であってもよい。
【0019】
(判定値算出部)
判定値算出部31は、複数の荷重センサ13のセンサ値に基づいて、乗員の体格を分類するための判定値Wを算出する。本実施形態において、判定値算出部31は、それぞれの荷重センサ13から出力される電圧信号が示す荷重(以下、「検出荷重」という)を合算した合計値を判定値Wとする。複数の荷重センサ13により検出される検出荷重を合算することにより、乗員の着座位置のばらつきによる判定値Wのずれを低減することができる。判定値算出部31は、荷重センサ13から出力される電圧値を検出荷重として用いてもよく、電圧値を荷重(N又はkgf)等に換算した値を検出荷重としてもよい。判定値算出部31は、それぞれの荷重センサ13から出力されるセンサ値をフィルタリング処理する機能や、ゼロ点を適合する機能等を備えていてもよい。
【0020】
(仮判定処理部)
仮判定処理部33は、判定値算出部31により設定された判定値Wを所定の荷重閾値と比較して乗員の体格を分類する。仮判定処理部33は、乗員の体格を最終確定する前の仮判定を行う機能を有する。例えば、仮判定処理部33は、空席状態(クラス0)と子供の着座状態(クラス1)とを切り分ける第1の荷重閾値W_thre_1、子供の着座状態(クラス1)と比較的小柄な大人の着座状態(クラス2)とを切り分ける第2の荷重閾値W_thre_2、及び、比較的小柄な大人の着座状態(クラス2)と比較的大柄な大人の着座状態(クラス3)とを切り分ける第3の荷重閾値W_thre_3を用いて、乗員の体格を分類する。これらの荷重閾値W_threは、事前の測定結果又はシミュレーション結果に基づいて適合される。
【0021】
仮判定処理部33は、確定処理部35による乗員の体格の分類の確定結果に応じて荷重閾値を変更してもよい。具体的に、仮判定処理部33は、確定処理部35により、乗員の体格が空席状態(クラス0)以外のクラスに分類されて確定された状態では、仮判定処理部33による現在の仮判定結果が属するクラスの範囲が拡大するように荷重閾値を変更してもよい。これにより、乗員の体格が空席状態(クラス0)以外のクラスに分類されて確定された状態で、検出荷重の振動等によって他のクラスへの遷移が容易に行われることを抑制することができる。ただし、仮判定処理部33は、確定処理部35により、乗員の体格の判別が不可であるとの判定結果が出ている場合、現在の乗員の体格の分類が不明であることから、荷重閾値を変更しないように構成されている。
【0022】
図3は、仮判定処理部33による荷重閾値W_threの設定例を示す説明図である。第1の荷重閾値W_thre_1、第2の荷重閾値W_thre_2及び第3の荷重閾値W_thre_3は、それぞれの初期値を示す。時刻ti_0以前では判定値Wが第1の荷重閾値W_thre_1よりも小さいことから、乗員の体格の分類はクラス0Cl_0に仮判定される、時刻ti_0において、判定値Wが第1の荷重閾値W_thre_1以上になると、乗員の体格の分類がクラス1Cl_1に仮判定される。時刻ti_0以降も乗員の体格の分類がクラス1Cl_1に仮判定され、後述する確定処理部35において乗員の体格の分類がクラス1Cl_1に確定された時刻ti_1において、クラス1Cl_1の範囲に隣接する第1の荷重閾値W_thre_1及び第2の荷重閾値W_thre_2がそれぞれ第1の荷重閾値(補正後)W_thre_1d及び第2の荷重閾値(補正後)W_thre_2uに変更される。乗員の体格の分類がクラス1Cl_1に確定されている間、クラス1Cl_1の範囲が拡大するように、第1の荷重閾値(補正後)W_thre_1dは第1の荷重閾値W_thre_1よりも小さい値に変更され、第2の荷重閾値(補正後)W_thre_2uは第2の荷重閾値W_thre_2よりも大きい値に変更される。
【0023】
これにより、荷重センサ13の検出荷重の振動によって他のクラス0又はクラス2への遷移が容易に行われることを抑制することができる。図3の例では、第1の荷重閾値W_thre_1及び第2の荷重閾値W_thre_2を変更しない場合、時刻ti_2~時刻ti_3の期間に乗員の体格の分類がクラス2に仮判定され、時刻ti_4以降の期間に乗員の体格の分類がクラス0に仮判定される。一方、第1の荷重閾値W_thre_1及び第2の荷重閾値W_thre_2を変更することにより、時刻ti_2~時刻ti_3の期間及び時刻ti_4以降の期間についても、乗員の体格の分類が継続的にクラス1に仮判定されることとなる。
【0024】
確定処理部35による現在の確定結果がクラス2又はクラス3の場合においても、第2の荷重閾値W_thre_2及び第3の荷重閾値W_thre_3が同様に変更される。つまり、確定処理部35による現在の確定結果がクラス2である場合、仮判定処理部33による仮判定結果がクラス2である限り、第2の荷重閾値W_thre_2は第2の荷重閾値(補正後)W_thre_2dに設定され、第3の荷重閾値(補正後)W_thre_3uに設定される。また、確定処理部35による現在の確定結果がクラス3である場合、仮判定処理部33による仮判定結果がクラス3である限り、第3の荷重閾値W_thre_3は第3の荷重閾値(補正後)W_thre_3dに設定される。
【0025】
また、仮判定処理部33は、確定処理部35による確定結果が、座席11が空席であるとの判定結果ではなく、かつ、判別不可であるとの判定結果ではない場合であって、さらに、座席用のシートベルトのバックルが締結されている場合に、仮判定処理部33による現在の仮判定結果が属するクラスの範囲がさらに拡大するように荷重閾値を変更してもよい。シートベルトのバックルが締結されているということは、乗員が座席11に着座していることを示しているため、仮判定処理部33は、現在の仮判定結果の信頼性が比較的高いものとして、他のクラスへの遷移が容易に行われることを抑制する。
【0026】
例えば、図3には、シートベルトのバックルが締結されている場合に、第2の荷重閾値W_thre_2がさらに増大側の第2の荷重閾値(補正後)W_thre_2uBに変更される例が示されている。なお、仮判定処理部33は、座席用のシートベルトのバックルが締結されている場合、座席11が空席状態(クラス0)であるとの判定をしないように設定されていてもよい。
【0027】
(確定処理部)
確定処理部35は、仮判定処理部33により分類された乗員の体格の仮判定結果を用いて乗員の体格を確定する。本実施形態において、確定処理部35は、所定のサンプル数の仮判定結果のうち、所定のクラスに分類された仮判定結果の数が所定の閾値以上となったときに、乗員の体格を所定のクラスで確定する。確定処理部35は、このような確定処理を、仮判定処理部33による分類が行われて新たな仮判定結果が生成されるごとに繰り返し実行する。これにより、計算周期ごとに、所定のサンプル数の仮判定結果の中に占める比率により乗員の体格の分類が確定される。したがって、荷重センサ13による検出荷重の振動等によっていくつかの仮判定結果が誤ったクラスに分類された場合であっても、確定される乗員の体格の分類を正しいクラスに維持することができる。この場合の閾値は、例えば、サンプル数の2分の1より大きい最小の正数であってもよい。
【0028】
また、本実施形態において、確定処理部35は、所定の第1のサンプル数及び所定の第1の閾値を用いて一次判定処理を行い、一次判定処理により乗員の体格を所定のクラスで確定した後には、第1のサンプル数よりも多い第2のサンプル数及び第2の閾値を用いて二次判定処理を行うように設定されている。これにより、一旦、乗員の体格が空席状態(クラス0)以外のクラスに分類されて確定された後には、荷重センサ13による検出荷重の振動等によって他のクラスへの遷移が容易に行われることを抑制することができる。したがって、乗員の体格の分類の判定結果の信頼性を高めることができる。
【0029】
図4は、確定処理部35による一次判定処理の例を示し、図5は、確定処理部35による二次判定処理の例を示す。一次判定処理においては、所定の時間間隔で仮判定処理部33から出力される仮判定結果Cl_0~Cl_3における直近の第1のサンプル数N1の仮判定結果Cl_0~Cl_3を用いて、特定のクラスに分類された仮判定結果が第1の閾値M1以上である場合に、乗員の体格の分類を当該クラスに確定する。確定処理部35は、これを所定の時間間隔で繰り返す。また、二次判定処理においては、仮判定処理部33から出力される仮判定結果Cl_0~Cl_3における直近の第2のサンプル数N2の仮判定結果Cl_0~Cl_3を用いて、特定のクラスに分類された仮判定結果が第2の閾値M2以上である場合に、乗員の体格の分類を当該クラスに確定する。
【0030】
確定処理部35は、これを所定の時間間隔で繰り返す。第2のサンプル数N2は第1のサンプル数N1よりも大きい値であり、また、第2の閾値M2は第1の閾値M1よりも大きい値である。例えば、第1のサンプル数N1を49、第1の閾値M1を25とし、第2のサンプル数N2を1,000、第2の閾値M2を501とする。それぞれの値は適宜設定されてよいが、第1の閾値M1及び第2の閾値M2は、それぞれ第1のサンプル数N1及び第2のサンプル数N2の過半数を超える正の値とされる。また、第2のサンプル数N2の値が大きいほど乗員の体格の分類の確定結果の安定性が高められるが、第2のサンプル数N2の値が大きすぎると乗員の体格の分類の確定に時間を要すことになるため、これらの観点を踏まえて適切な値に設定することが好ましい。
【0031】
確定処理部35は、一次判定処理により乗員の体格を所定のクラスで確定した後であって、さらに座席用のシートベルトのバックルが締結されている場合に二次判定処理を行ってもよい。これにより、座席11に乗員が着座していることが推察された状態で、一次判定処理により乗員の体格の分類が確定している場合に二次判定処理に移行されるため、乗員の体格の分類の判定結果の信頼性をより高めることができる。
【0032】
また、確定処理部35は、一次判定処理により乗員の体格の分類を確定して二次判定処理に移行した後、二次判定処理中に空席状態(クラス0)又は判別不可と判定した場合、二次判定処理を終了させ、一次判定処理から再開することが好ましい。つまり、着座していた乗員が座席11から離れた場合や、乗員の体格の分類ができなくなった場合には、現在確定している乗員の体格の分類をリセットし、一次判定処理から再開することが好ましい。これにより、座席の空席状態から乗員が着座した場合、あるいは、乗員の分類の確定が不安定になった場合、次に乗員の体格の分類が確定されるまでの時間を短くすることができる。
【0033】
また、確定処理部35は、仮判定処理部33により空席状態(クラス0)と分類された仮判定結果が第1の閾値M1よりも小さい空席判定用閾値M0以上継続したときに、座席11が空席状態であるとの分類を確定してもよい。つまり、座席11に乗員が着座していない場合には、荷重センサ13による検出荷重の変動は少ないはずであることから、確定処理部35は、一次判定処理において、仮判定処理部33により空席状態(クラス0)に分類された仮判定結果が第1の閾値M1よりも小さい空席判定用閾値M0以上継続したときに、空席状態(クラス0)であることを確定してもよい。これにより、座席11に乗員が着座していない場合には速やかに空席状態(クラス0)を確定することができる。空席判定用閾値M0は、第1の閾値M1よりも小さい適宜の値に設定することができる。
【0034】
なお、確定処理部35は、座席用のシートベルトのバックルが締結されている場合、座席11が空席状態(クラス0)であると確定しないように設定されていてもよい。
【0035】
<<2.乗員判定装置の動作例>>
次に、フローチャートに沿って、本実施形態に係る乗員判定装置10の動作例を説明する。以下に説明する動作例において、仮判定処理部33及び確定処理部35は、乗員の体格を、空席状態(クラス0)、子供の着座状態(クラス1)、比較的小柄な大人の着座状態(クラス2)又は比較的大柄な大人の着座状態(クラス3)に分類する。
【0036】
<仮判定処理部の動作例>
(クラス1~クラス3の分類)
図6は、電子制御装置20の仮判定処理部33の動作例を示すフローチャートであって、乗員の体格をクラス1~クラス3のいずれかに分類する動作例を示す。仮判定処理部33は、第1の荷重閾値W_thre_1、第1の荷重閾値(補正後)W_thre_1u,W_thre_1d、第2の荷重閾値W_thre_2、第2の荷重閾値(補正後)W_thre_2u,W_thre_2d、第3の荷重閾値W_thre_3、第3荷重閾値(補正後)W_thre_3u,W_thre_3dを用いて乗員の体格の分類を仮判定する。仮判定処理部33は、図6のフローチャートに示すルーチンを所定の時間間隔(1処理サイクルごと)で実行する。
【0037】
まず、仮判定処理部33は、確定処理部35による現在の確定結果が、判定不能又はクラス0であるか否かを判別する(ステップS13)。ステップS13が肯定判定の場合(S13/Yes)、仮判定処理部33は、判定値算出部31により算出される判定値Wが第2の荷重閾値W_thre_2よりも小さいか否かを判別する(ステップS15)。ステップS15が肯定判定の場合(S15/Yes)、仮判定処理部33は、乗員の体格の分類をクラス1に仮判定して本ルーチンを終了する(ステップS17)。
【0038】
一方、ステップS15が否定判定の場合(S15/No)、仮判定処理部33は、判定値Wが第3の荷重閾値W_thre_3よりも小さいか否かを判別する(ステップS19)。ステップS19が肯定判定の場合(S19/Yes)、仮判定処理部33は、乗員の体格の分類をクラス2に仮判定して本ルーチンを終了する(ステップS21)。一方、ステップS19が否定判定の場合(S19/No)、仮判定処理部33は、乗員の体格の分類をクラス3に仮判定して本ルーチンを終了する(ステップS23)。
【0039】
上記のステップS13が否定判定の場合(S13/No)、仮判定処理部33は、確定処理部35による現在の確定結果がクラス1であるか否かを判別する(ステップS25)。ステップS25が肯定判定の場合(S25/Yes)、仮判定処理部33は、シートベルトのバックルが締結されているか否かを判別する(ステップS27)。ステップS27が肯定判定の場合(S27/Yes)、仮判定処理部33は、クラス1の範囲が拡大するように第2の荷重閾値W_thre_2を増大側の第2の荷重閾値(補正後)W_thre_2uBに変更する(ステップS29)。一方、ステップS27が否定判定の場合(S27/No)、仮判定処理部33は、第2の荷重閾値W_thre_2を保持する(ステップS31)。
【0040】
第2の荷重閾値W_thre_2を設定した後、仮判定処理部33は、判定値Wが設定した第2の荷重閾値W_thre_2よりも小さいか否かを判別する(ステップS33)。ステップS33が肯定判定の場合(S33/Yes)、仮判定処理部33は、乗員の体格の分類をクラス1に仮判定して本ルーチンを終了する(ステップS35)。一方、ステップS33が否定判定の場合(S33/No)、仮判定処理部33は、判定値Wが第3の荷重閾値W_thre_3よりも小さいか否かを判別する(ステップS37)。ステップS37が肯定判定の場合(S37/Yes)、仮判定処理部33は、乗員の体格の分類をクラス2に仮判定して本ルーチンを終了する(ステップS39)。一方、ステップS37が否定判定の場合(S37/No)、仮判定処理部33は、乗員の体格の分類をクラス3に仮判定して本ルーチンを終了する(ステップS41)。
【0041】
上記のステップS25が否定判定の場合(S25/No)、仮判定処理部33は、確定処理部35による前回の確定結果がクラス2であるか否かを判別する(ステップS43)。ステップS43が肯定判定の場合(S43/Yes)、仮判定処理部33は、判定値Wが第2の荷重閾値(補正後)W_thre_2d以下であるか否かを判別する(ステップS45)。ステップS45が肯定判定の場合(S45/Yes)、仮判定処理部33は、乗員の体格の分類をクラス1に仮判定して本ルーチンを終了する(ステップS47)。
【0042】
一方、ステップS45が否定判定の場合(S45/No)、仮判定処理部33は、判定値Wが第3の荷重閾値(補正後)W_thre_3uよりも小さいか否かを判別する(ステップS49)。ステップS49が肯定判定の場合(S49/Yes)、仮判定処理部33は、乗員の体格の分類をクラス2で仮判定して本ルーチンを終了する(ステップS51)。一方、ステップS49が否定判定の場合(S49/No)、仮判定処理部33は、乗員の体格の分類をクラス3で仮判定して本ルーチンを終了する(ステップS53)。
【0043】
上記のステップS43が否定判定の場合(S43/No)、仮判定処理部33は、判定値Wが第2の荷重閾値W_thre_2d以下であるか否かを判別する(ステップS55)。ステップS55が肯定判定の場合(S55/Yes)、仮判定処理部33は、乗員の体格の分類をクラス1に仮判定して本ルーチンを終了する(ステップS57)。一方、ステップS55が否定判定の場合(S55/No)、仮判定処理部33は、判定値Wが第3の荷重閾値(補正後)W_thre_3dよりも小さいか否かを判別する(ステップS59)。ステップS59が肯定判定の場合(S59/Yes)、仮判定処理部33は、乗員の体格の分類をクラス2で仮判定して本ルーチンを終了する(ステップS61)。一方、ステップS59が否定判定の場合(S59/No)、仮判定処理部33は、乗員の体格の分類をクラス3で仮判定して本ルーチンを終了する(ステップS63)。
【0044】
このように、仮判定処理部33は、所定の時間間隔で上記ルーチンを実行し、乗員の体格の分類をクラス1~クラス3に仮判定する。上述したように、確定処理部35による現在の確定結果に応じて、確定されているクラスの範囲が拡大するように荷重閾値W_threが変更される。したがって、荷重センサ13による検出荷重の振動によって他のクラスへの遷移が容易に行われることを抑制することができる。また、図6に示すフローチャートの例では、クラス1に仮判定されている場合に、クラス1とクラス2とを区別する第2の荷重閾値W_thre_2が、シートベルトのバックルが締結されているか否かによっても変更される。これにより、シートベルトの締結力による荷重センサ13に加えられる荷重の増加に対応することができ、主として大人と子供とを区別するクラス1とクラス2の判別精度の低下を抑制することができる。したがって、検出される乗員が子供である場合における、エアバッグ装置のオフへの切り替えの確実性を高めることができる。
【0045】
(クラス0の分類)
図7は、電子制御装置20の仮判定処理部33の動作例を示すフローチャートであって、乗員の体格をクラス0(空席状態)に分類する動作例を示す。仮判定処理部33は、第1の荷重閾値W_thre_1を用いてクラス0(空席状態)を仮判定する。仮判定処理部33は、図7のフローチャートに示すルーチンを所定の時間間隔(1処理サイクルごと)で実行する。
【0046】
まず、仮判定処理部33は、シートベルトのバックルが締結されているか否かを判別する(ステップS63)。ステップS63が肯定判定の場合(S63/Yes)、仮判定処理部33は、空席状態(クラス0)の仮判定を禁止して本ルーチンを終了する(ステップS65)。一方、ステップS63が否定判定の場合(S63/No)、仮判定処理部33は、確定処理部35による現在の確定結果が、判定不能又はクラス0であるか否かを判別する(ステップS67)。
【0047】
ステップS67が肯定判定の場合(S67/Yes)、仮判定処理部33は、判定値Wが第1の荷重閾値W_thre_1よりも小さいか否かを判別する(ステップS69)。ステップS69が肯定判定の場合(S69/Yes)、仮判定処理部33は、乗員の体格の分類をクラス0に仮判定して本ルーチンを終了する(ステップS71)。一方、ステップS69が否定判定の場合(S69/No)、仮判定処理部33は、空席状態(クラス0)の仮判定を禁止して本ルーチンを終了する(ステップS73)。
【0048】
上記のステップS67が否定判定の場合(S67/No)、仮判定処理部33は、判定値Wが第1の荷重閾値(補正後)W_thre_1d以下であるか否かを判別する(ステップS75)。ステップS75が肯定判定の場合(S75/Yes)、仮判定処理部33は、乗員の体格の分類をクラス0に仮判定して本ルーチンを終了する(ステップS77)。一方、ステップS75が否定判定の場合(S75/No)、仮判定処理部33は、空席状態(クラス0)の仮判定を禁止して本ルーチンを終了する(ステップS79)。このように、仮判定処理部33は、所定の時間間隔で上記ルーチンを実行し、座席11が空席状態(クラス0)であるか否かを仮判定する。
【0049】
本実施形態において、仮判定処理部33は、クラス1~クラス3の分類とは別に、クラス0であるか否かの分類を実行する。確定処理部35は、仮判定処理部33によるクラス1~クラス3の分類の仮判定結果と、クラス0であるか否かの分類の仮判定結果とを用いて、乗員の体格の分類を確定する。
【0050】
<確定処理部の動作例>
図8図18は、電子制御装置20の確定処理部35の動作例を示すフローチャートである。確定処理部35は、以下に説明するルーチンを所定の時間間隔(1処理サイクルごと)で実行する。
【0051】
まず、確定処理部35は、シートベルトのバックルの締結又は非締結を示すバックル締結フラグを参照して、現在バックルが締結されている、あるいは、前回バックルが締結されていた、のいずれかに該当するか否かを判別する(ステップS101)。ステップS101が肯定判定の場合(S101/Yes)、確定処理部35は、バックル締結フラグを締結を示す状態にするとともに、判定処理モードを一次判定処理から二次判定処理へ遷移させる切換時間を第1の切換時間BTZに設定する(ステップS105)。一方、ステップS101が否定判定の場合(S101/No)、確定処理部35は、判定処理モードを一次判定処理から二次判定処理へ遷移させる切換時間を第1の切換時間BTZよりも短い第2の切換時間TZに設定する(ステップS103)。
【0052】
これにより、シートベルトのバックルが締結されている場合、シートベルトのバックルが締結されていない場合に比べて、判定処理モードを一次判定処理から二次判定処理に遷移させる切換時間が長くなる。例えば、第1の切換時間BTZを、204回の処理サイクルとし、第2の切換時間TZを、61回の処理サイクルとしてもよい。
【0053】
次いで、確定処理部35は、現在の確定結果が判定不能となっているか否かを判別する(ステップS107)。ステップS107が肯定判定の場合(S107/Yes)、確定処理部35は、判定処理モードを一次判定処理に設定するとともに、乗員の体格の分類が初回であることを示すイニシャルモードをオンにし(ステップS109)、ステップS131に進む。
【0054】
一方、ステップS107が否定判定の場合(S107/No)、確定処理部35は、現在の確定結果がクラス0(空席状態)であるか否かを判別する(ステップS111)。ステップS111が肯定判定の場合(S111/Yes)、確定処理部35は、判定処理モードを一次判定処理に設定するとともにイニシャルモードをオフにし、さらにバックル締結フラグを非締結を示す状態にするとともに、判定処理モードを二次判定処理から一次判定処理へ戻す切換時間をゼロに設定し(ステップS113)、ステップS131に進む。
【0055】
一方、ステップS111が否定判定の場合(S111/No)、確定処理部35は、現在の判定処理モードが一次判定処理であるか否かを判別する(ステップS115)。ステップS115が否定判定の場合(S115/No)、確定処理部35は、判定処理モードを二次判定処理から一次判定処理へ戻すための切換時間のカウンタ(以下、「オフカウンタ」ともいう)をゼロにし(ステップS119)、ステップS131に進む。
【0056】
一方、ステップS115が肯定判定の場合(S115/Yes)、確定処理部35は、オフカウンタをカウントアップし(ステップS117)、ステップS121に進む。次いで、確定処理部35は、オフカウンタのカウンタ値が、ステップS103又はステップS105で設定された切換時間(TZ又はBTZ)以上であり、かつ、イニシャルモードがオフになっているか否かを判別する(ステップS121)。ステップS121が肯定判定の場合(S121/Yes)、確定処理部35は、判定処理モードを二次判定処理に設定するとともに、オフカウンタをゼロにし(ステップS123)、ステップS131に進む。
【0057】
一方、ステップS121が否定判定の場合(S121/No)、オフカウンタのカウンタ値が、車両のイグニッションスイッチをオンにしてから乗員の体格を初期判定する判定処理モードへ遷移させる切換時間の閾値ITZ以上であり、かつ、イニシャルモードがオンになっているか否かを判別する(ステップS125)。ステップS125が肯定判定の場合(S125/Yes)、確定処理部35は、判定処理モードを二次判定処理に設定するとともに、オフカウンタをゼロにし、さらに、イニシャルモードをオフにして(ステップS129)、ステップS131に進む。一方、ステップS125が否定判定の場合、確定処理部35は、判定処理モードを一次判定処理に設定して(ステップS127)、ステップS131に進む。
【0058】
ステップS131において、確定処理部35は、仮判定処理部33によるクラス0か否かの分類の仮判定結果がクラス0となっているか否かを判別する(ステップS131)。ステップS131が肯定判定の場合(ステップS131/Yes)、確定処理部35は、乗員の体格の分類の確定に用いる仮判定結果CDDをクラス0に設定し(ステップS135)、ステップS137に進む。一方、ステップS131が否定判定の場合(ステップS131/No)、確定処理部35は、乗員の体格の分類の確定に用いる仮判定結果CDDを、仮判定処理部33によりクラス1~クラス3のいずれかに分類されたクラスに設定し(ステップS133)、ステップS137に進む。
【0059】
次いで、確定処理部35は、乗員判定ステータスが、現在の確定結果を維持するモード(確定結果維持モード)になっているか否かを判別する(ステップS137)。乗員判定ステータスとは、今回の処理サイクルでの乗員の体格の分類の確定を更新可能とするか(通常モード)、前回の確定結果を維持するか(確定結果維持モード)、あるいは、判定不能とするか(異常モード)を示すステータスである。
【0060】
ステップS137が否定判定の場合(S137/No)、そのままステップS141に進む一方、ステップS137が肯定判定の場合(S137/Yes)、確定処理部35は、現在の確定結果を維持して、判定不能の仮判定結果CDDをカウントするカウンタ(判定不能カウンタ)Cnt_IDをカウントアップし(ステップS139)、ステップS141に進む。
【0061】
ステップS141において、確定処理部35は、蓄積されている一次判定処理あるいは二次判定処理に用いられる仮判定結果CDDのサンプル数Nを算出する(ステップS141)。具体的に、確定処理部35は、クラス0の仮判定結果CDDをカウントするカウンタ(クラス0カウンタ)Cnt_0、クラス1の仮判定結果CDDをカウントするカウンタ(クラス1カウンタ)Cnt_1、クラス2の仮判定結果CDDをカウントするカウンタ(クラス2カウンタ)Cnt_2、クラス3の仮判定結果CDDをカウントするカウンタ(クラス3カウンタ)Cnt_3、及び、判定不能カウンタCnt_IDのカウンタ値を足すことによりカウンタ値の総数を算出する。
【0062】
また、ステップS141において、確定処理部35は、空席状態(クラス0)を確定するために用いられる仮判定結果CDDのサンプル数Nを併せて算出する。具体的に、確定処理部35は、クラス0カウンタCnt_0のカウンタ値と、クラス0以外の仮判定結果CDDをカウントするカウンタ(Nonクラス0カウンタ)Cnt_N0のカウンタ値とを足すことによりカウンタ値の総数を算出する。
【0063】
次いで、確定処理部35は、今回の処理サイクルでの仮判定結果CDDがクラス0であるか否かを判別する(ステップS143)。ステップS143が否定判定の場合(S143/No)、後述するステップS159に進む。一方、ステップS143が肯定判定の場合(S143/Yes)、確定処理部35は、クラス0カウンタCnt_0のカウンタ値が一次判定処理用の第1のサンプル数N1未満であるか否かを判別する(ステップS145)。ステップS145が否定判定の場合(S145/No)、そのままステップS149に進む一方、ステップS145が肯定判定の場合(S145/Yes)、確定処理部35は、クラス0カウンタCnt_0をカウントアップし(ステップS147)、ステップS149に進む。
【0064】
ステップS149において、確定処理部35は、クラス0カウンタCnt_0のカウンタ値がクラス0を確定するために設定された空席判定用閾値M0以上であるか否かを判別する(ステップS149)。ステップS149が肯定判定の場合(S149/Yes)、確定処理部35は、乗員の体格の分類をクラス0に確定するとともにそれぞれのカウンタのカウンタ値をリセットさせるリセットフラグをオンにし(ステップS153)、ステップS155に進む。一方、ステップS149が否定判定の場合(S149/No)、確定処理部35は、乗員の体格の分類を前回の確定結果のままで維持するとともに、それぞれのカウンタ値をリセットさせるリセットフラグをオフにし(ステップS151)、ステップS155に進む。
【0065】
ステップS155において、確定処理部35は、クラス0カウンタCnt_0のカウンタ値が二次判定処理用の第2のサンプル数N2未満でありかつ判定処理モードが二次判定処理に設定されているか、あるいは、クラス0カウンタCnt_0のカウンタ値が一次判定処理用の第1のサンプル数N1未満でありかつ判定処理モードが一次判定処理に設定されているか、のいずれかを充足しているか否かを判別する(ステップS155)。ステップS155が否定判定の場合(S155/No)、そのまま後述するステップS195に進む。一方、ステップS155が肯定判定の場合(S155/Yes)、確定処理部35は、クラス0カウンタCnt_0をカウントアップし(ステップS157)、後述するステップS195に進む。
【0066】
上述のステップS143において、ステップS143が肯定判定の場合(S143/Yes)、確定処理部35は、今回の処理サイクルでの仮判定結果CDDがクラス1であるか否かを判別する(ステップS159)。ステップS159が否定判定の場合(S159/No)、後述するステップS217に進む。一方、ステップS159が肯定判定の場合(S159/Yes)、確定処理部35は、クラス1カウンタCnt_1のカウンタ値が二次判定処理用の第2のサンプル数N2未満でありかつ判定処理モードが二次判定処理に設定されているか、あるいは、クラス1カウンタCnt_1のカウンタ値が一次判定処理用の第1のサンプル数N1未満でありかつ判定処理モードが一次判定処理に設定されているか、のいずれかを充足しているか否かを判別する(ステップS161)。
【0067】
ステップS161が否定判定の場合(S161/No)、そのままステップS165に進む一方、ステップS161が肯定判定の場合(S161/Yes)、確定処理部35は、クラス1カウンタCnt_1をカウントアップし(ステップS163)、ステップS165に進む。ステップS165において、確定処理部35は、クラス1カウンタCnt_1のカウンタ値が二次判定処理用の第2の閾値M2以上でありかつ判定処理モードが二次判定処理に設定されているか、あるいは、クラス1カウンタCnt_1のカウンタ値が一次判定処理用の第1の閾値M1未満でありかつ判定処理モードが一次判定処理に設定されているか、のいずれかを充足しているか否かを判別する(ステップS165)。
【0068】
ステップS165が否定判定の場合(S165/No)、確定処理部35は、乗員の体格の分類を前回の確定結果のままで維持するとともに、それぞれのカウンタ値をリセットさせるリセットフラグをオフにし(ステップS167)、ステップS177に進む。一方、ステップS165が肯定判定の場合(S165/Yes)、確定処理部35は、乗員の体格の分類をクラス1に確定する(ステップS169)。次いで、確定処理部35は、前回の確定結果がクラス0であったか否かを判別する(ステップS171)。ステップS171が肯定判定の場合(S171/Yes)、確定処理部35は、それぞれのカウンタ値をリセットさせるリセットフラグをオンにし(ステップS175)、ステップS177に進む。一方、ステップS171が否定判定の場合(S171/No)、確定処理部35は、それぞれのカウンタ値をリセットさせるリセットフラグをオフにし(ステップS173)、ステップS177に進む。
【0069】
ステップS177において、確定処理部35は、ステップS141で算出した総サンプル数Nが二次判定処理用の第2のサンプル数N2以上でありかつ判定処理モードが二次判定処理に設定されているか、あるいは、総サンプル数Nが一次判定処理用の第1のサンプル数N1以上でありかつ判定処理モードが一次判定処理に設定されているか、のいずれかを充足しているか否かを判別する(ステップS177)。ステップS177が否定判定の場合(S177/No)、そのまま後述するステップS313に進む。一方、ステップS177が肯定判定の場合(S177/Yes)、確定処理部35は、クラス0カウンタCnt_0のカウンタ値がゼロを超えているか否かを判別する(ステップS179)。
【0070】
ステップS179が否定判定の場合(S179/No)、そのままステップS183に進む一方、ステップS179が肯定判定の場合(S179/Yes)、確定処理部35は、クラス0カウンタCnt_0のカウンタ値をカウントダウンし(ステップS181)、ステップS183に進む。
【0071】
ステップS183において、確定処理部35は、クラス2カウンタCnt_2のカウンタ値がゼロを超えているか否かを判別する(ステップS183)。ステップS183が否定判定の場合(S183/No)、そのままステップS187に進む一方、ステップS183が肯定判定の場合(S183/Yes)、確定処理部35は、クラス2カウンタCnt_2のカウンタ値をカウントダウンし(ステップS185)、ステップS187に進む。
【0072】
ステップS187において、確定処理部35は、クラス3カウンタCnt_3のカウンタ値がゼロを超えているか否かを判別する(ステップS187)。ステップS187が否定判定の場合(S187/No)、そのままステップS191に進む一方、ステップS187が肯定判定の場合(S187/Yes)、確定処理部35は、クラス3カウンタCnt_3のカウンタ値をカウントダウンし(ステップS189)、ステップS191に進む。
【0073】
ステップS191において、確定処理部35は、判定不能カウンタCnt_IDのカウンタ値がゼロを超えているか否かを判別する(ステップS191)。ステップS191が否定判定の場合(S191/No)、そのまま後述するステップS313に進む一方、ステップS191が肯定判定の場合(S191/Yes)、確定処理部35は、判定不能カウンタCnt_IDのカウンタ値をカウントダウンし(ステップS193)、後述するステップS313に進む。
【0074】
これらのステップS177~ステップS193では、一次判定処理又は二次判定処理に用いられる仮判定結果CDDのサンプル数Nが第1のサンプル数N1又は第2のサンプル数N2に到達しているために、クラス1カウンタCnt_1以外のカウンタのカウンタ値を減少させる処理が行われる。
【0075】
一方、上述のステップS155又はステップS157を経て進んだステップS195において、確定処理部35は、ステップS141で算出した空席状態(クラス0)を確定するために用いられる仮判定結果CDDのサンプル数Nが第1のサンプル数N1以上であるか否かを判別する(ステップS195)。ステップS195が否定判定の場合(S195/No)、そのままステップS199に進む一方、ステップS195が肯定判定の場合(S195/Yes)、確定処理部35は、Nonクラス0カウンタCnt_N0のカウンタ値をカウントダウンし(ステップS197)、ステップS199に進む。
【0076】
これらのステップS195~ステップS197では、クラス0を確定させる処理に用いられる仮判定結果CDDのサンプル数Nが第1のサンプル数N1に到達しているために、Nonクラス0カウンタCnt_N0のカウンタ値を減少させる処理が行われる。
【0077】
次いで、確定処理部35は、ステップS199~ステップS215において、一次判定処理又は二次判定処理に用いられる仮判定結果CDDのサンプル数Nが第1のサンプル数N1又は第2のサンプル数N2に到達しているか否かを判別し(ステップS199)、サンプル数Nが第1のサンプル数N1又は第2のサンプル数N2に到達している場合にクラス0カウンタCnt_0以外のカウンタのカウンタ値を減少させる処理を実行する。これらのステップS199~ステップS215は、上述のステップS177~ステップS193の処理におけるクラス0カウンタCnt_0をクラス1カウンタCnt_1に置き換えた処理に相当する。ステップS199~ステップS215の処理を完了後、後述するステップS321に進む。
【0078】
上述のステップS159が否定判定の場合(S159/No)、ステップS217において、確定処理部35は、今回の処理サイクルでの仮判定結果CDDがクラス2であるか否かを判別する(ステップS217)。ステップS217が肯定判定の場合(S217/Yes)、確定処理部35は、乗員の体格の分類をクラス2で確定するか否かを決定する処理を実行する(ステップS221~ステップS235)。具体的には、上述のステップS161~ステップS175の処理におけるクラス1カウンタCnt_1をクラス2カウンタCnt_2に置き換えて、同様の処理を実行する。ステップS221~ステップS235の処理を完了後、後述するステップS277に進む。
【0079】
一方、ステップS217が否定判定の場合(S217/No)、確定処理部35は、今回のサイクルでの仮判定結果CDDがクラス3であるか否かを判別する(ステップS219)。ステップS219が否定判定の場合(S219/No)、確定処理部35は、それぞれのカウンタのカウンタ値をリセットさせるリセットフラグをオフにする(ステップS237)。次いで、確定処理部35は、判定不能カウンタCnt_IDのカウンタ値が二次判定処理用の第2のサンプル数N2未満でありかつ判定処理モードが二次判定処理に設定されているか、あるいは、判定不能カウンタCnt_IDのカウンタ値が一次判定処理用の第1のサンプル数N1未満でありかつ判定処理モードが一次判定処理に設定されているか、のいずれかを充足しているか否かを判別する(ステップS239)。
【0080】
ステップS239が否定判定の場合(S239/No)、そのままステップS243に進む一方、ステップS239が肯定判定の場合(S239/Yes)、確定処理部35は、判定不能カウンタCnt_IDをカウントアップし(ステップS241)、ステップS243に進む。
【0081】
次いで、確定処理部35は、ステップS243~ステップS259において、一次判定処理又は二次判定処理に用いられる仮判定結果CDDのサンプル数Nが第1のサンプル数N1又は第2のサンプル数N2に到達しているか否かを判別し(ステップS243)、サンプル数Nが第1のサンプル数N1又は第2のサンプル数N2に到達している場合に判定不能カウンタCnt_ID以外のカウンタのカウンタ値を減少させる処理を実行する。これらのステップS243~ステップS259は、上述のステップS177~ステップS193の処理における判定不能カウンタCnt_IDをクラス1カウンタCnt_1に置き換えた処理に相当する。ステップS243~ステップS259の処理を完了後、後述するステップS313に進む。
【0082】
一方、上述のステップS219が肯定判定の場合(S219/Yes)、確定処理部35は、乗員の体格の分類をクラス3で確定するか否かを決定する処理を実行する(ステップS261~ステップS275)。具体的には、上述のステップS161~ステップS175の処理におけるクラス1カウンタCnt_1をクラス3カウンタCnt_3に置き換えて、同様の処理を実行する。ステップS261~ステップS275の処理を完了後、後述するステップS295に進む。
【0083】
上述のステップS221~ステップS235の処理を完了後に進むステップS277~ステップS293において、確定処理部35は、一次判定処理又は二次判定処理に用いられる仮判定結果CDDのサンプル数Nが第1のサンプル数N1又は第2のサンプル数N2に到達しているか否かを判別し(ステップS277)、サンプル数Nが第1のサンプル数N1又は第2のサンプル数N2に到達している場合にクラス2カウンタCnt_2以外のカウンタのカウンタ値を減少させる処理を実行する。これらのステップS277~ステップS293は、上述のステップS177~ステップS193の処理におけるクラス2カウンタCnt_2をクラス1カウンタCnt_1に置き換えた処理に相当する。ステップS277~ステップS293の処理を完了後、後述するステップS313に進む。
【0084】
上述のステップS261~ステップS275の処理を完了後に進むステップS295~ステップS311において、確定処理部35は、一次判定処理又は二次判定処理に用いられる仮判定結果CDDのサンプル数Nが第1のサンプル数N1又は第2のサンプル数N2に到達しているか否かを判別し(ステップS295)、サンプル数Nが第1のサンプル数N1又は第2のサンプル数N2に到達している場合にクラス3カウンタCnt_3以外のカウンタのカウンタ値を減少させる処理を実行する。これらのステップS295~ステップS311は、上述のステップS177~ステップS193の処理におけるクラス3カウンタCnt_3をクラス1カウンタCnt_1に置き換えた処理に相当する。ステップS295~ステップS311の処理を完了後、ステップS313に進む。
【0085】
ステップS177~ステップS193の処理、ステップS243~ステップS259の処理、ステップS277~ステップS293の処理、あるいはステップS295~ステップS311の処理を完了後に進むステップS313において、確定処理部35は、Nonクラス0カウンタCnt_N0が第1のサンプル数N1よりも小さいか否かを判別する(ステップS313)。ステップS313が否定判定の場合(S313/No)、そのままステップS317に進む一方、ステップS313が肯定判定の場合(S313/Yes)、確定処理部35は、Nonクラス0カウンタCnt_N0をカウントアップし(ステップS315)、ステップS317に進む。
【0086】
ステップS317において、確定処理部35は、クラス0カウンタCnt_0が第1のサンプル数N1以上であるか否かを判別する(ステップS317)。ステップS317が否定判定の場合(S317/No)、そのままステップS321に進む一方、ステップS317が肯定判定の場合(S317/Yes)、確定処理部35は、クラス0カウンタCnt_0をカウントダウンし(ステップS319)、ステップS321に進む。
【0087】
ステップS317又はステップS319、あるいは、上述のステップS199~ステップS215の処理を完了後に進むステップS321において、確定処理部35は、現在の乗員の体格の分類の確定結果をそのまま確定結果として維持する(ステップS321)。次いで、確定処理部35は、それぞれのカウンタのカウンタ値をリセットさせるリセットフラグがオンになっているか否かを判別する(ステップS323)。ステップS323が否定判定の場合(S323/No)、確定処理部35は、そのまま本ルーチンを終了させる一方、ステップS323が肯定判定の場合(S323/Yes)、確定処理部35は、それぞれのカウンタのカウンタ値をリセットし(ステップS325)、本ルーチンを終了させる。
【0088】
図19は、上述の確定処理部35による動作例にしたがって乗員の体格の確定処理を行う場合の遷移を示す説明図である。図19に示す例において、確定処理部35は、第1のサンプル数N1を49、第1の閾値M1を25として一次判定処理を行い、第2のサンプル数N2を1,000、第2の閾値M2を501として二次判定処理を行う。また、確定処理部35は、空席判定用閾値M0を15としてクラス0を確定する。
【0089】
したがって、電子制御装置20の演算処理サイクルが0.08秒である場合、一次判定処理では、乗員の体格の分類は、直前の3.92秒間に仮判定された49回の仮判定結果CDDのうち、クラス1~3のいずれかに分類された仮判定結果CDDが25回以上となっている当該クラスに確定される(第1のクラス遷移判定条件T1)。この場合、現在確定しているクラスとは異なるクラスに分類された仮判定結果CDDが連続して25回継続した場合に、最短の2秒で異なるクラスへ遷移する。
【0090】
また、電子制御装置20の演算処理サイクルが0.08秒である場合、二次判定処理では、乗員の体格の分類は、直前の80秒間に仮判定された1,000回の仮判定結果CDDのうち、クラス1~3のいずれかに分類された仮判定結果CDDが501回以上となっている当該クラスに確定される(第2のクラス遷移判定条件T2)。この場合、現在確定しているクラスとは異なるクラスに分類された仮判定結果CDDが連続して501回継続した場合に、最短の40.08秒で異なるクラスへ遷移する。
【0091】
また、電子制御装置20の演算処理サイクルが0.08秒である場合、クラス0に分類された仮判定結果CDDが15回継続した場合に、乗員の体格の分類は、1.2秒でクラス0に確定される(空席判定条件T0)。
【0092】
乗員判定装置10の起動時以降、乗員の体格の分類は以下のように行われる。
車両のイグニッションスイッチがオンになったとき(ステップS1)、座席11に乗員が着座していない場合には、空席判定条件T0により乗員の体格の分類がクラス0に確定される(ステップS2)。一方、車両のイグニッションスイッチがオンになったとき(ステップS1)、座席11に乗員が着座している場合には、第1のクラス遷移判定条件T1により乗員の体格の分類がクラス1~3のいずれかに確定される(ステップS3)。
【0093】
ステップS3において、乗員の体格の分類がクラス1~クラス3に確定された場合、その後クラス0の仮判定結果CDDとなっている場合、空席判定条件T0により乗員の体格の分類がクラス0に確定される(ステップS2)。一方、乗員の体格の分類がクラス1~クラス3に確定された場合、その後クラス1~3のいずれかの仮判定結果CDDとなっている場合、クラス遷移判定条件は、速やかに第2のクラス遷移判定条件T2に切り替わる(ステップS5へ)。
【0094】
ステップS2において乗員の体格の分類がクラス0に確定している場合、座席11に乗員が着座すると、第1のクラス遷移判定条件T1により乗員の体格の分類がクラス1~3のいずれかに確定される(ステップS4)。以降、乗員が着座している期間、第1のクラス遷移判定条件T1による乗員の体格の分類が継続される。一方、乗員の体格の分類がクラス1~3のいずれかに確定された後、乗員が座席から離れた場合、空席判定条件T0により乗員の体格の分類がクラス0に確定される(ステップS2)。
【0095】
さらに、ステップS4において、乗員の体格の分類がクラス1~3のいずれかに確定された場合、シートベルトのバックルが締結されていない場合には、第2の切換時間TZの経過後に、第1のクラス遷移判定条件T1を第2のクラス遷移判定条件T2に遷移させる(ステップS5)。また、シートベルトのバックルが締結されている場合には、第1の切換時間BTZの経過後に、第1のクラス遷移判定条件T1を第2のクラス遷移判定条件T2に遷移させる(ステップS5)。
【0096】
ステップS5に遷移後、乗員が着座している期間、第2のクラス遷移判定条件T2による乗員の体格の分類が継続される。一方、ステップS5に遷移後、乗員が座席から離れた場合、空席判定条件T0により乗員の体格の分類がクラス0に確定される(ステップS2)。
【0097】
以上説明したように、本実施形態に係る乗員判定装置10は、一次判定処理においては第1のサンプル数N1の仮判定結果CDDのうち、所定のクラスに分類された仮判定結果CDDの数が第1の閾値M1以上となったときに、乗員の体格を所定のクラスで確定する。また、本実施形態に係る乗員判定装置10は、二次判定処理においては第2のサンプル数N2の仮判定結果CDDのうち、所定のクラスに分類された仮判定結果CDDの数が第2の閾値M2以上となったときに、乗員の体格を所定のクラスで確定する。したがって、荷重センサ13による検出荷重の振動によって他のクラスへの遷移が容易に行われることを抑制することができる。
【0098】
また、本実施形態に係る乗員判定装置10は、一次判定処理により乗員の体格の分類がクラス1~3のいずれかに確定した後、サンプル数の母数が一次判定処理よりも大きい二次判定処理に移行し乗員の体格の分類を行う。したがって、乗員の体格の分類の確定結果の安定性が高められる。その際、乗員判定装置10は、シートベルトのバックルが締結されているか否かによって、一次判定処理から二次判定処理へ移行する時間を異ならせる。これにより、チャイルドシートの設置時等、乗員が着座していないにもかかわらず荷重センサ13にかかる荷重が増加する場合に、誤って確定されたクラスが長時間保持されることを防ぐことができる。
【0099】
また、本実施形態に係る乗員判定装置10は、空席状態(クラス0)の確定を、クラス1~クラス3のいずれかへの確定処理に用いる閾値M1,M2とは異なる空席判定用閾値M0を用いて行う。これにより、空席状態を速やかに確定することができる。
【0100】
また、本実施形態に係る乗員判定装置10は、確定処理部35による確定結果が、クラス0又は判定不能であるとの判定結果ではない場合、現在の仮判定結果が属するクラスの範囲が拡大するように荷重閾値W_threを変更する。これにより、荷重センサ13による検出荷重の振動によって他のクラスへの遷移が容易に行われることを抑制することができる。また、乗員判定装置10は、クラス0又は判定不能であるとの判定結果ではなく、かつ、シートベルトのバックルが締結されている場合に、現在の仮判定結果が属するクラスの範囲がさらに拡大するように荷重閾値W_threを変更する。これにより、乗員が着座している場合において荷重センサ13による検出荷重の振動によって他のクラスへの遷移が容易に行われることをより抑制することができる。
【0101】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0102】
10…乗員判定装置、11…座席、13…荷重センサ、20…電子制御装置、30…制御部、31…判定値算出部、33…仮判定処理部、35…確定処理部
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