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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】紙容器成型機
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/59 20170101AFI20240708BHJP
   B31B 50/62 20170101ALI20240708BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240708BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240708BHJP
   B31B 100/00 20170101ALN20240708BHJP
【FI】
B31B50/59
B31B50/62
B05C11/10
B05C5/00 101
B31B100:00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020090858
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021186978
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】武口 史郎
(72)【発明者】
【氏名】武井 将
(72)【発明者】
【氏名】河野 諒太
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-231739(JP,A)
【文献】特開昭61-145836(JP,A)
【文献】実開昭61-111579(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/59
B31B 50/62
B05C 11/10
B05C 5/00
B31B 100/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を主材料とするブランクシートを、フランジ部と収容部とを有した組立式紙容器に成型する紙容器成型機であって、
前記紙容器成型機は、
接着剤を、前記ブランクシートの前記フランジ部に対応した箇所にある接着剤塗布位置に塗布する接着剤塗布ユニットと、
前記接着剤が塗布されたブランクシートを、前記組立式紙容器に成型する成型ユニットと、を備え、
前記接着剤塗布ユニットは、接着剤射出機構を有し、
前記接着剤射出機構は、
前記接着剤を射出する射出機と、
前記射出機からの接着剤が射出される射出孔及び前記射出孔の内径よりも大きな内径を有する射出空間を有した射出空間付ノズルと、
前記射出空間付ノズルを、前記ブランクシートに対して高さ方向に上昇駆動及び下降駆動する駆動機構と、を含み、
前記駆動機構により前記射出空間付ノズルを下降駆動し、前記射出空間付ノズルを前記ブランクシートと接触させ、前記射出孔から前記射出空間に向けて前記接着剤を射出し、前記射出された接着剤を前記射出空間によって堰止しつつ前記接着剤塗布位置に塗布し、
前記駆動機構により前記射出空間付ノズルを上昇駆動し、前記射出空間付ノズルを前記ブランクシートから離脱させ、前記接着剤の塗布を、前記射出空間付ノズルと前記ブランクシートとの1回の接触で終了させると共に、
前記成型ユニットは、成型機構を有し、
前記成型機構は、
下型と、
前記接着剤が塗布されたブランクシートを前記下型と挟みつつ、前記ブランクシートを前記フランジ部と前記収容部とを有した前記組立式紙容器に成型する上型と、を含み、
前記上型は、第1押圧ヘッドと、第2押圧ヘッドと、を有し、
前記第1押圧ヘッド及び前記第2押圧ヘッドのそれぞれは、前記フランジ部の、前記接着剤塗布位置を含む接着剤塗布部分を掴みつつ、前記ブランクシートの、前記接着剤の上下に位置した部分どうしを圧着保持する圧着保持機構を備え、
前記第1押圧ヘッドの前記圧着保持機構による前記ブランクシートの圧着保持を、前記第2押圧ヘッド及び前記下型による前記ブランクシートとは異なる第2ブランクシートの成型と並行して行い、
前記第2押圧ヘッドの圧着保持機構による前記第2ブランクシートの圧着保持を、前記第1押圧ヘッド及び前記下型による前記第2ブランクシートとは異なる第3ブランクシートの成型と並行して行うこと
を特徴とする紙容器成型機。
【請求項2】
前記接着剤塗布位置には、接着剤の塗布ポイントが複数あり、
前記射出空間は、前記塗布ポイントそれぞれに対応して複数あり、
前記塗布ポイントそれぞれへの前記接着剤の塗布を、前記射出空間付ノズルと前記ブランクシートとの1回の接触で終了すること
を特徴とする請求項1記載の紙容器成型機。
【請求項3】
紙を主材料とするブランクシートを、フランジ部と収容部とを有した組立式紙容器に成型する紙容器成型機であって、
前記紙容器成型機は、
接着剤を、前記ブランクシートの前記フランジ部に対応した箇所にある接着剤塗布位置に塗布する接着剤塗布ユニットと、
前記接着剤が塗布されたブランクシートを、前記組立式紙容器に成型する成型ユニットと、を備え、
前記成型ユニットは、成型機構を有し、
前記成型機構は、
下型と、
前記接着剤が塗布されたブランクシートを前記下型と挟みつつ、前記ブランクシートを前記フランジ部と前記収容部とを有した前記組立式紙容器に成型する上型と、を含み、
前記上型は、第1押圧ヘッドと、第2押圧ヘッドと、を有し、
前記第1押圧ヘッド及び前記第2押圧ヘッドのそれぞれは、前記フランジ部の、前記接着剤塗布位置を含む接着剤塗布部分を掴みつつ、前記ブランクシートの、前記接着剤の上下に位置した部分どうしを圧着保持する圧着保持機構を備え、
前記第1押圧ヘッドの前記圧着保持機構による前記ブランクシートの圧着保持を、前記第2押圧ヘッド及び前記下型による前記ブランクシートとは異なる第2ブランクシートの成型と並行して行い、
前記第2押圧ヘッドの圧着保持機構による前記第2ブランクシートの圧着保持を、前記第1押圧ヘッド及び前記下型による前記第2ブランクシートとは異なる第3ブランクシートの成型と並行して行うこと
を特徴とする紙容器成型機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、紙容器成型機に関する。
【背景技術】
【0002】
上端にフランジ部を有するトレー状の容器本体を、紙を主原料とする紙製のブランクシートから組み立てた組立式紙容器が知られている。組立式紙容器には、容器本体の内面及びフランジ部の上面に、耐水性を有する熱可塑性の樹脂フィルムを貼り付けたものがある(特許文献1及び特許文献2)。樹脂フィルム付きの組立式紙容器は、耐水性を有することから、主に食品等を収容するトレー又はボールとして利用される。
【0003】
また、組立式紙容器は、プラスチック容器と比較して、例えば、環境中で生じる二次マイクロプラスチックの発生等を抑制でき、環境に配慮できる製品である。さらに、樹脂フィルムは、容器本体から剥がすことも可能であり、樹脂フィルムと容器本体、即ち紙との分別も可能であり、樹脂フィルム及び容器本体のそれぞれのリサイクルも可能である。これらの利点から、組立式紙容器に、例えばMAP(Modified Atmosphere Packaging)を適用し、食品等の包装容器及び食品等の保存容器としての利用も期待されている。
【0004】
組立式紙容器は、1枚のブランクシートから成型される。成型には、凹部及び凸部を有する製函用金型が用いられ、ブランクシートを製函用金型の凹部と凸部との間に挟んで押圧する。これにより、ブランクシートから組立式紙容器が成型される(特許文献3)。
【0005】
また、成型の際、糊付けが必要な場合もある。特許文献4には、段ボールシートの糊付け方法が記載されている。特許文献4では、段ボールシートに糊車を接触させ、糊車を段ボールシートの平面方向に沿って転動させることによって糊付けを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-293334号公報
【文献】特開2019-172339号公報
【文献】特開2019-206116号公報
【文献】特開2006-110724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
組立式の紙容器の成型において、生産性の向上のために、紙容器生産ラインの処理の高速化が求められている。紙容器生産ラインにおいて、工程時間の短縮が要求される典型的な工程は、例えば、接着剤塗布(糊付け)工程及び成型工程である。
【0008】
接着剤塗布工程では、ブランクシート上に最適な接着剤塗布形状を得るために、ブランクシートの平面方向に沿ってグルーガンを移動させる。このため、グルーガンの、平面方向に沿った移動時間が必要である。また、グルーガンを、ブランクシートに近づけたり、遠ざけたりするために、ブランクシートに対して略垂直方向に移動する時間も必要である。
【0009】
成型工程は、接着剤塗布工程の後に行われる。成型工程では、接着剤を圧着させる圧着時間及び接着剤を乾燥させる乾燥時間が必要である。このため、圧着時間及び乾燥時間が経過するまでは、次のブランクシートを成型工程に投入できず、生産ラインに投入されたブランクシートを、成型工程前で待機させなければならない。生産ライン中におけるブランクシートの待機は、生産ラインの高速化を妨げる。
【0010】
この発明の実施形態は、組立式の紙容器の生産ラインの高速化を図ることが可能な紙容器成型機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の第1態様に係る紙容器成型機は、紙を主材料とするブランクシートを、フランジ部と収容部とを有した組立式紙容器に成型する紙容器成型機であって、前記紙容器成型機は、接着剤を、前記ブランクシートの前記フランジ部に対応した箇所にある接着剤塗布位置に塗布する接着剤塗布ユニットと、前記接着剤が塗布されたブランクシートを、前記組立式紙容器に成型する成型ユニットと、を備え、前記接着剤塗布ユニットは、接着剤射出機構を有し、前記接着剤射出機構は、前記接着剤を射出する射出機と、前記射出機からの接着剤が射出される射出孔及び前記射出孔の内径よりも大きな内径を有する射出空間を有した射出空間付ノズルと、前記射出空間付ノズルを、前記ブランクシートに対して高さ方向に上昇駆動及び下降駆動する駆動機構と、を含み、前記駆動機構により前記射出空間付ノズルを下降駆動し、前記射出空間付ノズルを前記ブランクシートと接触させ、前記射出孔から前記射出空間に向けて前記接着剤を射出し、前記射出された接着剤を前記射出空間によって堰止しつつ前記接着剤塗布位置に塗布し、前記駆動機構により前記射出空間付ノズルを上昇駆動し、前記射出空間付ノズルを前記ブランクシートから離脱させ、前記接着剤の塗布を、前記射出空間付ノズルと前記ブランクシートとの1回の接触で終了させると共に、前記成型ユニットは、成型機構を有し、前記成型機構は、下型と、前記接着剤が塗布されたブランクシートを前記下型と挟みつつ、前記ブランクシートを前記フランジ部と前記収容部とを有した前記組立式紙容器に成型する上型と、を含み、前記上型は、第1押圧ヘッドと、第2押圧ヘッドと、を有し、前記第1押圧ヘッド及び前記第2押圧ヘッドのそれぞれは、前記フランジ部の、前記接着剤塗布位置を含む接着剤塗布部分を掴みつつ、前記ブランクシートの、前記接着剤の上下に位置した部分どうしを圧着保持する圧着保持機構を備え、前記第1押圧ヘッドの前記圧着保持機構による前記ブランクシートの圧着保持を、前記第2押圧ヘッド及び前記下型による前記ブランクシートとは異なる第2ブランクシートの成型と並行して行い、前記第2押圧ヘッドの圧着保持機構による前記第2ブランクシートの圧着保持を、前記第1押圧ヘッド及び前記下型による前記第2ブランクシートとは異なる第3ブランクシートの成型と並行して行うことを特徴とする。
【0012】
この発明の第2態様に係る紙容器成型機は、第1態様において、前記接着剤塗布位置には、接着剤の塗布ポイントが複数あり、前記射出空間は、前記塗布ポイントそれぞれに対応して複数あり、前記塗布ポイントそれぞれへの前記接着剤の塗布を、前記射出空間付ノズルと前記ブランクシートとの1回の接触で終了することを特徴とする。
【0014】
この発明の第態様に係る紙容器成型機は、紙を主材料とするブランクシートを、フランジ部と収容部とを有した組立式紙容器に成型する紙容器成型機であって、前記紙容器成型機は、接着剤を、前記ブランクシートの前記フランジ部に対応した箇所にある接着剤塗布位置に塗布する接着剤塗布ユニットと、前記接着剤が塗布されたブランクシートを、前記組立式紙容器に成型する成型ユニットと、を備え、前記成型ユニットは、成型機構を有し、前記成型機構は、下型と、前記接着剤が塗布されたブランクシートを前記下型と挟みつつ、前記ブランクシートを前記フランジ部と前記収容部とを有した前記組立式紙容器に成型する上型と、を含み、前記上型は、第1押圧ヘッドと、第2押圧ヘッドと、を有し、前記第1押圧ヘッド及び前記第2押圧ヘッドのそれぞれは、前記フランジ部の、前記接着剤塗布位置を含む接着剤塗布部分を掴みつつ、前記ブランクシートの、前記接着剤の上下に位置した部分どうしを圧着保持する圧着保持機構を備え、前記第1押圧ヘッドの前記圧着保持機構による前記ブランクシートの圧着保持を、前記第2押圧ヘッド及び前記下型による前記ブランクシートとは異なる第2ブランクシートの成型と並行して行い、前記第2押圧ヘッドの圧着保持機構による前記第2ブランクシートの圧着保持を、前記第1押圧ヘッド及び前記下型による前記第2ブランクシートとは異なる第3ブランクシートの成型と並行して行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1態様~第態様に係る紙容器成型機によれば、接着剤の塗布パターンが射出孔の内径よりも大きな場合であっても、射出機の平面方向への移動を伴うことなく、接着剤の塗布を、射出空間付ノズルとブランクシートとの1回の接触で終了させることができる。したがって、接着剤の塗布に要する時間を短縮でき、組立式の紙容器の生産ラインの高速化を図ることが可能な紙容器成型機を提供できる。
【0016】
態様に係る紙容器成型機によれば、例えば、“成型”及び“圧着”をパラレルに行う。したがって、成型に要する時間を短縮でき、組立式の紙容器の生産ラインの高速化を図ることが可能な紙容器成型機を提供できる。また、接着剤塗布ユニット及び成型ユニットを、生産ラインに2つ並べた場合と比較して、第態様に係る紙容器成型機によれば、接着剤塗布ユニットが1台、成型ユニットにおいては、下型が1台で済む。このため、生産ラインを構築する上でのコストを低く抑ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、一実施形態に係る紙容器成型機を概略的に示したブロック図である。
図2図2(a)は、組立式紙容器の一例を示す斜視図である。図2(b)は、組立式紙容器の一例を示す側面図である。図2(c)は、組立式紙容器の一例を示す平面図である。
図3図3は、ブランクシートの一例を示す平面図である。
図4図4は、収容部をトップシールで被覆した一例を示す平面図である。
図5図5は、一実施形態に係る紙容器成型機の一例を示す模式平面図である。
図6図6は、一実施形態に係る紙容器成型機の一例を示す模式側面図である。
図7図7は、フィード動作の一例を示す模式側面図である。
図8図8は、フィード動作の一例を示す模式側面図である。
図9図9は、フィード動作の一例を示す模式側面図である。
図10図10は、フィード動作の一例を示す模式側面図である。
図11図11は、フィード動作の一例を示す模式側面図である。
図12図12は、フィード動作の一例を示す模式側面図である。
図13図13は、接着剤射出機構の一例を示す模式側面図である。
図14図14(a)は、射出空間付ノズルの一例を示す模式水平断面図である。図14(b)は、射出空間付ノズルの一例を示す模式垂直断面図である。
図15図15は、接着剤塗布位置の一例を示す平面図である。
図16図16(a)~図16(e)は、接着剤射出機構の動作の一例を示す模式側面図である。
図17図17は、成形機構の一例を示す模式側面図である。
図18図18は、成形機構の一例を示す模式正面図である。
図19図19(a)~図19(d)は、成型機構の動作の一例を示す模式側面図である。
図20図20(a)及び図20(b)は、圧着保持機構の動作の一例を示す模式垂直断面図である。
図21図21は、成型機構の動作の一例を示す模式正面図である。
図22図22は、成型機構の動作の一例を示す模式正面図である。
図23図23は、成型機構の動作の一例を示す模式正面図である。
図24図24は、成型機構の動作の一例を示す模式正面図である。
図25図25は、成型機構の動作の一例を示す模式正面図である。
図26図26は、成型機構の動作の一例を示す模式正面図である。
図27図27(a)は、参考例に係る成型機構の成形シーケンスを示すシーケンスチャートである。図27(b)は、一実施形態に係る成型機構の成形シーケンスの一例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。各図において、共通する部分については共通する参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
(紙容器成型機)
図1は、一実施形態に係る紙容器成型機を概略的に示したブロック図である。図1に示す状態は、紙容器成型機を、ブランクシートの平面に対して略垂直な高さ方向Zから見た状態に対応する。X及びYは、ブランクシートの平面方向X及び平面方向Yに対応する。平面方向Xは、平面方向Yと略直交する。
【0020】
図1に示すように、紙容器成型機100は、ホッパー1と、接着剤塗布ユニット2と、成型ユニット3と、搬送コンベア4と、を含む。ホッパー1には、複数のブランクシート200が高さ方向Zに積み重ねられて収納される。ホッパー1は、積み重ねられたブランクシート200を、高さ方向Zに1枚ずつ落下させる。落下されたブランクシート200は、1枚ずつ接着剤塗布ユニット2に搬入される。なお、図中の矢印Aは、紙容器成型機100内におけるブランクシート200又は組立式紙容器300の動きを示している。
【0021】
接着剤塗布ユニット2は、接着剤を、ブランクシート200の接着剤塗布位置に塗布する。接着剤塗布位置は、ブランクシート200のフランジ部となる箇所にある。接着剤が塗布されたブランクシート200は、成型ユニット3に搬入される。
【0022】
成型ユニット3は、接着剤が塗布されたブランクシート200を、組立式紙容器300に成型する。成型された組立式紙容器300は、例えば、傾斜路を有した搬出路5を介して、搬送コンベア4に搬出される。紙容器成型機100では、搬出路5が、第1搬出路5a及び第2搬出路5bを含む。成型された組立式紙容器300は、2列の第1搬出路5a及び第2搬出路5bから交互に搬出される。第1搬出路5a及び第2搬出路5bのそれぞれは、平面方向Xから平面方向Yへ向けてカーブする。第1搬出路5a及び第2搬出路5bそれぞれの出口は、例えば、搬送コンベア4の上方にある。第1搬出路5a及び第2搬出路5bのそれぞれは、組立式紙容器300を搬送コンベア4に1列に落下させる。これにより、成型ユニット2から2列で搬出された組立式紙容器300は、その向きを平面方向Xから平面方向Yへと転換した上で搬送コンベア4上で1列に戻る。
【0023】
搬送コンベア4は、搬出された組立式紙容器300を搬送方向TDに搬送し、組立式紙容器300を、後段の工程(図示せず)、例えば、樹脂性フィルムの貼着工程等へ向けて搬送する。搬送コンベア4は、搬送方向TDに沿って組立式紙容器300を搬送する。搬送方向TDは、一実施形態では、平面方向Yに沿う。
【0024】
(組立式紙容器)
図2(a)は、組立式紙容器の一例を示す斜視図である。図2(b)は、組立式紙容器の一例を示す側面図である。図2(c)は、組立式紙容器の一例を示す平面図である。
【0025】
組立式紙容器300は、容器本体301と、樹脂性フィルム400とを含む。容器本体301は、収容部302と、フランジ部303とを含む。紙容器成型機100は、例えば、容器本体301の成型までを行う。容器本体301は、底面304と、底面304から立ち上がる複数の側面305とを持つ。
【0026】
収容部302は、底面304と複数の側面305とで構成される。側面305は、この実施形態では、8つある。側面305は、3つ以上あれば収容部302を構成できる。側面305は3つ以上あれば良い。
【0027】
フランジ部303は、それぞれの側面305の上端に収容部302から外向きに接続される。フランジ部303は、上面306を有する。フランジ部303の上面306は、組立て後、フラットとなる。フランジ部303の上面306には、隙間307がある。隙間307は、組立後、ブランクシート200の端面201(図3参照)どうしが近接することにより、上面306に生じる。隙間307は、収容部302から容器本体301の外側へ向けて延びる。この実施形態では、隙間307がフランジ部303の四隅に生じている。
【0028】
樹脂性フィルム400は、底面304の内面、側面305の内面、フランジ部303の上面306及びフランジ部303の端面のそれぞれを被覆する。樹脂性フィルム400には、例えば、水密性及びガスバリア性を有するものが選ばれる。樹脂性フィルム400の一例は、例えば熱可塑性樹脂のフィルムである。熱可塑性樹脂のフィルムの例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリブテン、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。また、樹脂性フィルム400は石油由来でも植物由来でも良い。樹脂性フィルム3は、上記材料いずれかの単一フィルムであっても良く、上記材料を複数混合したフィルムであっても良い。また、樹脂性フィルム3は、単層のフィルムであっても良く、複数の層を積層した積層フィルムであっても良い。
【0029】
(ブランクシート)
図3は、ブランクシートの一例を示す平面図である。
【0030】
組立式紙容器300は、図3に示すブランクシート200から組み立てられる。ブランクシート200は、紙を主材料とする。図3において、点線は「谷折り」を示し、一点鎖線は「山折り」を示す。谷折り線及び山折り線は、例えば、ミシン目、ハーフカット、罫線等からなっている。また、太い実線は「切込み」を示す。紙容器成型機100は、ブランクシート200に「谷折り」、「山折り」及び「接着」を施す。これにより、組立式紙容器300が得られる。
【0031】
(トップシール被覆)
図4は、収容部をトップシールで被覆した一例を示す平面図である。
【0032】
図4に示すように、組立式紙容器300の収容部302は、トップシール500で被覆される。これにより、組立式紙容器300は、食品等を包装して収容部302内に収容することができる。トップシール500は、フランジ部303の上面306上の樹脂性フィルム400に貼着される。トップシール500は、押圧機(例えばシールヘッド)により、貼着部分501を押圧することで樹脂性フィルム400に貼着される。貼着部分501は、フランジ部303の上面306の上方に位置する。
【0033】
(接着剤塗布ユニット及び成型ユニット)
図5は、一実施形態に係る紙容器成型機の一例を示す模式平面図である。図6は、一実施形態に係る紙容器成型機の一例を示す模式側面図である。
【0034】
図5及び図6に示すように、接着剤塗布ユニット2は、第1搬入ステージ21と、接着剤塗布ステージ22と、接着剤射出機構23と、を含む。第1搬入ステージ21は、ホッパー1の下方に位置する。接着剤塗布ステージ22は、第1搬入ステージ21と平面方向Xに沿って隣接する。
【0035】
接着剤射出機構23は、接着剤塗布位置202に向けて接着剤を射出する。接着剤塗布位置202は、ブランクシート200のフランジ部303に対応した箇所にある。これにより、接着剤塗布ユニット2は、接着剤塗布位置202に接着剤を塗布する。ブランクシート200では、接着剤塗布位置202が、ブランクシート200の四隅のそれぞれに設定される。紙容器成型機100では、接着剤射出機構23が4つ備えられている。4つの接着剤射出機構23は、それぞれブランクシート200の四隅にある4つの接着剤塗布位置202に対応している。
【0036】
成型ユニット3は、第2搬入ステージ31と、成型部32と、搬出部33と、成形機構34と、を含む。第2搬入ステージ31は、接着剤塗布ステージ22と平面方向Xに沿って隣接する。成型部32は、第2搬入ステージ31と平面方向Xに沿って隣接する。紙容器成型機100では、搬出部33が、第1搬出部33aと第2搬出部33との2か所ある。第1搬出部33aは、成型部32と平面方向Yに沿って隣接する。第2搬出部33bは、成型部32と平面方向Yに沿って第1搬出部33aとは反対側に隣接する。第1搬出路5aは、第1搬出部33aと接続されている。第1搬出路5aは、例えば、第1搬出部33a内に延びる。第2搬出路5bは、第2搬出部33bと接続されている。第2搬出路5bは、例えば、第2搬出部33b内に延びる。
【0037】
成形機構34は、下型341と、上型342と、を含む。上型342は、接着剤が塗布されたブランクシート200を、下型341と挟みつつ、ブランクシート200を組立式紙容器300に成型する。上型342は、第1押圧ヘッド342aと、第2押圧ヘッド342bと、を有する。第1押圧ヘッド342aは、第2押圧ヘッド342bと第1締結部材343によって締結されている。これにより、第1押圧ヘッド342a及び第2押圧ヘッド342bのそれぞれは、一体的に平面方向Yに沿って左右に移動する。
【0038】
第1押圧ヘッド342a及び第2押圧ヘッド342bのそれぞれは、圧着保持機構344を備えている。圧着保持機構344は、フランジ部303の、接着剤塗布位置202を含む接着剤塗布部分を掴みつつ、ブランクシート200の、接着剤の上下に位置した部分どうしを圧着保持する。圧着保持機構344は、押圧ヘッド1つ当たり、4つの接着剤塗布位置202に対応して4つ備えられている。4つの圧着保持機構344のそれぞれは、第2締結部材345によって締結されている。これにより、4つの圧着保持機構344のそれぞれは、一体的に高さ方向Zに沿って上下に移動する。
【0039】
紙容器成型機100は、キッカー26を、さらに含む。キッカー26は、ブランクシート200を、接着剤塗布ユニット2から成型ユニット3へ押し込むことにより移動させる。キッカー26は、平面方向Xに沿って移動自在に構成されているとともに、図6に示すように弧を描くようにして平面方向Xの逆方向に向けて戻ると共に高さ方向Zに沿って戻るように構成されている平面方向Xに向けたラインが複数列で構成されている場合には、個々のラインについてキッカー26がそれぞれ設けられることになる。
【0040】
<フィード動作>
図7図12は、フィード動作の一例を示す模式側面図である。図7図12に示す模式側面は、図6に示した模式側面と対応する。なお、このフィード動作の説明は、フィード動作のみに着目する。接着剤塗布ユニット2の動作及び成型ユニット3の動作については、後述する。
【0041】
図7に示すように、イニシャル状態では、キッカー26は、例えば、第1搬入ステージ21及び接着剤塗布ステージ22等の側方に位置している。この状態で、ホッパー1より、1枚の第1ブランクシート200aを、第1搬入ステージ21上に落下させる。このとき、図示しないバキュームパットをホッパー1の下側から上昇させて第1ブランクシート200aを一枚のみ吸引し、第1搬入ステージ21上に載せるようにしてもよい。
【0042】
次に、図8(a)に示すように、キッカー26を平面方向Xに沿って移動させ、第1ブランクシート200aを、接着剤塗布ステージ22の上方に位置させる。
【0043】
次に、図8(b)に示すように、キッカー26について弧を描くようにして平面方向Xの逆方向に向けて戻ると共に高さ方向Zに沿って戻るように制御する。
【0044】
次に、図9に示すように、ホッパー1より、1枚の第2ブランクシート200bを、第1搬入ステージ21上に落下させると共に、接着剤射出機構23により、第1ブランクシート200aに対して接着剤の塗布動作を実行する。この接着剤の塗布動作については後段において詳述する。
【0045】
次に、図10に示すように、キッカー26を平面方向Xに沿って移動させ、第2ブランクシート200bを、接着剤塗布ステージ22の上方に位置させるとともに、第1ブランクシート200aを、第2搬入ステージ31の上方に位置させる。
【0046】
次に、図11に示すように、各キッカー26について弧を描くようにして平面方向Xの逆方向に向けて戻ると共に高さ方向Zに沿って戻るように制御する。また、ホッパー1より、1枚の第3ブランクシート200cを、第1搬入ステージ21上に落下させると共に、接着剤射出機構23により、第2ブランクシート200bに対して接着剤の塗布動作を実行する。
【0047】
次に、図12に示すように、キッカー26を平面方向Xに沿って移動させ、第3ブランクシート200cを、接着剤塗布ステージ22の上方に位置させるとともに、第2ブランクシート200bを、第2搬入ステージ31の上方に位置させる。その前の段階において第2搬入ステージ31上に載置されていた第1ブランクシート200aは、キッカー26によって平面方向Xに押され、第2搬入ステージ23から下型341上へ押し出される。
【0048】
以後、図11図12に示したフィード動作を繰り返す。これにより、ブランクシート200は、第1搬入ステージ21、接着剤塗布ステージ22、第2搬入ステージ31及び下型341へと順次フィードされる。
【0049】
<接着剤射出機構>
図13は、接着剤射出機構の一例を示す模式側面図である。図14(a)は、射出空間付ノズルの一例を示す模式水平断面図である。図14(b)は、射出空間付ノズルの一例を示す模式垂直断面図である。図14(a)に示す断面は、図14(b)中のXIVA-XIVA線に沿う。図14(b)に示す断面は、図14(a)中のXIVB-XIVB線に沿う。図15は、接着剤塗布位置の一例を示す平面図である。
【0050】
図13図14(b)に示すように、接着剤射出機構23は、射出機231と、射出空間付ノズル232と、第1駆動機構233と、を含む。射出機231は、接着剤600を射出する。射出空間付ノズル232は、射出孔234と、射出空間235と、を有する。射出孔234は、射出機231からの接着剤を射出する。射出空間235には、射出孔234から接着剤600が射出される。
【0051】
射出空間235の平面パターンは、両端が丸まった矩形である。射出空間235の長軸方向の内径φ1は、射出孔234の内径φ2よりも大きい。内径φ1の一例は、例えば、内径φ2の10倍以上の有限値である。なお、内径φ1は、内径φ2以上内径φ2の10倍未満とすることも可能である。
【0052】
なお、射出空間235の平面パターンは、接着剤塗布位置202における接着剤の塗布パターンに対応する。したがって、射出空間235の平面パターンを変えることにより、接着剤の塗布パターンを様々な形に変更することができる。射出空間235の平面パターンは、両端が丸まった矩形である。したがって、接着剤の塗布パターンは、両端が丸まった矩形となる。
【0053】
ブランクシート200では、1つの接着剤塗布位置202に、接着剤の塗布ポイントが複数、例えば、第1塗布ポイント203a及び第2塗布ポイント203bの2つがある(図15)。射出空間付ノズル232では、射出空間235は、第1塗布ポイント203a及び第2塗布ポイント203bのそれぞれに対応して複数、例えば、第1射出空間235a及び第2射出空間235bの2つが設けられている(図14)。
【0054】
1つの接着剤塗布位置202に、接着剤の塗布ポイントが複数ある場合、1つの射出空間付ノズル232に、複数の射出空間235を、複数の塗布ポイントのそれぞれに対応して設けるようにしてもよい。この場合、1つの塗布ポイントごとに、1つの射出空間付ノズル232を設けた場合と比較して、例えば、塗布ポイント間の間隔を、より狭めることができる、という利点が得られる。したがって、複数の射出空間を有した射出空間付ノズル232は、塗布ポイントの大きさが小さい、例えば、組立式紙容器300を成型する接着剤塗布ユニット2に使用される接着剤射出機構23のノズルとして有用である。
【0055】
また、複数の射出空間を有した射出空間付ノズル232は、塗布ポイントの総数よりも射出空間付ノズル232の数を少なくすることができ、接着剤射出機構23のメンテナンス性が向上する、という利点も得ることができる。このため、例えば、接着剤射出機構23では、射出空間付ノズル232の交換を、より短時間で終えることができる。さらに、例えば、部品点数を削減できる利点もあることから、紙容器成型機100の製造コスト及びそのランニングコストを低く抑えることも可能である。
【0056】
第1駆動機構233は、射出空間付ノズル232を、ブランクシート200に対して高さ方向Zに上昇駆動及び下降駆動する。紙容器成型機100は、例えば、射出空間付ノズル232を射出機231に取り付けた例である。紙容器成型機100では、第1駆動機構233が、射出機231及び射出空間付ノズル232の双方を高さ方向Zに上昇駆動及び下降駆動する。
【0057】
第1駆動機構233は、射出空間付ノズル232を、ブランクシート200の接着剤塗布位置202に接触させる。接着剤塗布ユニット2では、接着剤の塗布を、いわば“スタンプ方式”で、射出空間付ノズル232とブランクシート200との1回の接触で終了させる。
【0058】
紙容器成型機100では、4つの接着剤射出機構23を備えている。1回の接着剤の塗布工程では、4つの接着剤射出機構23それぞれの射出空間付ノズル232が、一斉にブランクシート200の接着剤塗布位置202に接触され、接着剤の塗布後、4つの接着剤射出機構23それぞれの射出空間付ノズル232が、一斉にブランクシート200の接着剤塗布位置202から離脱する。
【0059】
<接着剤射出機構の動作>
図16(a)~図16(e)は、接着剤射出機構の動作の一例を示す模式側面図である。
【0060】
図16(a)に示すように、ブランクシート200を、接着剤塗布ステージ22上にフィードする。
【0061】
次に、図16(b)に示すように、第1駆動機構233により射出空間付ノズル232を下降駆動し、射出空間付ノズル232をブランクシート200と接触させる。
【0062】
次に、図16(c)に示すように、射出機231から接着剤600を、射出孔234を介して第1射出空間235a及び第2射出空間235bに向けて射出する。射出された接着剤600は、第1射出空間235a及び第2射出空間235bにより、射出範囲が制限される。これにより、射出された接着剤600は、第1射出空間235a及び第2射出空間235bにより堰止しつつ、第1塗布ポイント203a(図15)及び第2塗布ポイント203b(図15)に塗布される。
【0063】
次に、図16(d)に示すように、第1駆動機構233により射出空間付ノズル232を上昇駆動し、射出空間付ノズル232をブランクシート200から離脱させる。第1塗布ポイント203a及び第2塗布ポイント203bそれぞれの上には、接着剤600が塗布されている。
【0064】
次に、図16(e)に示すように、接着剤600が塗布されたブランクシート200を、第2搬入ステージ31にフィードする。
【0065】
このように、接着剤射出機構23は、第1塗布ポイント203a及び第2塗布ポイント203bそれぞれへの接着剤600の塗布を、射出空間付ノズル232とブランクシート200との1回の接触で終了する。
【0066】
このような紙容器成型機100が備えた接着剤塗布ユニット2によれば、接着剤の塗布パターンが射出孔234の内径よりも大きな場合であっても、射出機、例えばグルーガンの平面方向への移動を伴うことなく、接着剤の塗布を、射出空間付ノズル232とブランクシート200との1回の接触で終了させることができる。したがって、接着剤の塗布に要する時間を短縮でき、組立式の紙容器の生産ラインの高速化を図ることが可能な紙容器成型機を得ることができる。
【0067】
<成型機構>
図17は、成形機構の一例を示す模式側面図である。図17に示す模式側面は、平面方向Yに見た側面である。図18は、成形機構の一例を示す模式正面図である。図18に示す模式正面は、平面方向Xに見た正面である。
【0068】
図17及び図18に示すように、成型機構34は、第2駆動機構346と、第3駆動機構347と、第4駆動機構348と、を含む。
【0069】
第2駆動機構346は、第1押圧ヘッド342a又は第2押圧ヘッド342bを、ブランクシート200に対して高さ方向Zに上昇駆動及び下降駆動する。
【0070】
第3駆動機構347は、第1締結部材343を、平面方向Yに沿って左右に移動させる。これにより、第1押圧ヘッド342a及び第2押圧ヘッド342bのそれぞれは、一体的に平面方向Yに沿って左右に移動する。
【0071】
第4駆動機構348は、第2締結部材345を、高さ方向Zに上昇駆動及び下降駆動させ、第2締結部材345と連動し圧着保持機構344を高さ方向Zに上昇駆動及び下降駆動させる。第4駆動機構348は、第1押圧ヘッド342a及び第2押圧ヘッド342bのそれぞれに設けられている。これにより、第1押圧ヘッド342a及び第2押圧ヘッド342bの各々において、4つの圧着保持機構344のそれぞれは、一体的に高さ方向Zに沿って上下に移動する。また、第2締結部材345及び第4駆動機構348は、圧着保持機構344のそれぞれを、第1押圧ヘッド342a及び第2押圧ヘッド342bから独立して上下に移動させる。
【0072】
<成型機構の動作>
図19(a)~図19(d)は、成型機構の動作の一例を示す模式側面図である。図20(a)及び図20(b)は、圧着保持機構の動作の一例を示す模式垂直断面図である。図22図26は、成型機構の動作の一例を示す模式正面図である。
【0073】
図19(a)に示すように、ブランクシート200を、下型341上にフィードする。
【0074】
次に、図19(b)に示すように、第2駆動機構346(図18及び図19)を用いて、第1押圧ヘッド342aを、高さ方向Zに下降駆動する。さらに、図19(c)に示すように、第2駆動機構346(図18及び図19)を用いて、第1押圧ヘッド342aを、高さ方向Zに、さらに下降駆動する。これらの動作により、第1押圧ヘッド342a及び下型341によってブランクシート200は加圧され、組立式紙容器300の形状に成型される。
【0075】
引き続き、図19(c)に示すように、さらに、第4駆動機構348を用いて、第2締結部材345を、高さ方向Zに下降駆動する。これにより、圧着保持機構344は高さ方向に下降し、接着剤塗布位置202を含む接着剤塗布部分を掴みつつ、ブランクシート200の、接着剤の上下に位置した部分どうしを圧着保持する。
【0076】
圧着保持機構344の一例を、その動作とともに説明する。
【0077】
図20(a)及び図20(b)に示すように、圧着保持機構344の一例は、クランプ351を有する。クランプ351から凸状に設けられた凸状片362が回転軸363に軸着されている。下型341は、接着剤塗布位置202に対応して、逃げ溝352を有する。逃げ溝352には、圧着保持機構344が下降した際、ブランクシート200側に付勢されたクランプ351が逃げ込む。
【0078】
図20(b)に示すように、圧着保持機構344が高さ方向に下降し、これに連動して凸状片362が回転軸363を中心として回転する結果、クランプ351の先端が付勢方向Uに回動し、掴持状態となる。これにより、組立式紙容器300の、接着剤塗布位置202を含む接着剤塗布部分は、クランプ351と第1押圧ヘッド342aとの間に掴持されて圧着保持される。
【0079】
次に、図19(d)及び図21に示すように、第2駆動機構346(図18及び図19)を用いて、第1押圧ヘッド342aを、圧着保持機構344による圧着保持を継続したまま、高さ方向Zに上昇駆動する。
【0080】
次に、図22に示すように、第3駆動機構347(図18)を用いて、第1押圧ヘッド342a及び第2押圧ヘッド342bを、平面方向Yに水平駆動する。第1押圧ヘッド342aにおいては、圧着保持機構344による圧着保持を継続したまま、平面方向Yに水平駆動する。これにより、第1押圧ヘッド342aは第1搬送路5aの上方に移動し、第2押圧ヘッド342bは下型341の上方に移動する。また、ブランクシート200を、下型341上にフィードする。
【0081】
次に、図23に示すように、第2駆動機構346(図18及び図19)を用いて、第2押圧ヘッド342bを、高さ方向Zに下降駆動する。さらに、図24に示すように、第2駆動機構346(図18及び図19)を用いて、第2押圧ヘッド342bを、高さ方向Zに、さらに下降駆動する。これらの動作により、第2押圧ヘッド342b及び下型341によってブランクシート200は加圧され、組立式紙容器300の形状に成型される。これらの動作の間、第1押圧ヘッド342aにおいては、例えば、圧着保持機構344による圧着保持を継続したままとされる。
【0082】
次に、図24に示すように、さらに、第4駆動機構348を用いて、第2押圧ヘッド342bの第2締結部材345を、高さ方向Zに下降駆動する。これにより、第2押圧ヘッド342bの圧着保持機構344は高さ方向に下降し、接着剤塗布位置202を含む接着剤塗布部分を掴みつつ、ブランクシート200の、接着剤の上下に位置した部分どうしを圧着保持する。この動作の間、第1押圧ヘッド342aにおいては、例えば、圧着保持機構344による圧着保持を継続したままとされる。
【0083】
次に、図25に示すように、第2駆動機構346(図18及び図19)を用いて、第2押圧ヘッド342bを、圧着保持機構344による圧着保持を継続したまま、高さ方向Zに上昇駆動する。また、第4駆動機構348を用いて、第1押圧ヘッド342aの第2締結部材345を、高さ方向Zに上昇駆動する。これにより、圧着保持機構344の掴持状態が解除され、組立性紙容器300は、第1搬送路5a上に落下する。
【0084】
次に、図26に示すように、第3駆動機構347(図18)を用いて、第1押圧ヘッド342a及び第2押圧ヘッド342bを、平面方向Yに水平駆動する。第2押圧ヘッド342bにおいては、圧着保持機構344による圧着保持を継続したまま、平面方向Yに水平駆動する。これにより、第2押圧ヘッド342bは第2搬送路5bの上方に移動し、第1押圧ヘッド342aは下型341の上方に移動する。また、ブランクシート200を、下型341上にフィードする。
【0085】
以後、図23図26に示した動作と同様の動作を繰り返す。これにより、組立性紙容器300は、第1搬送路5a及び第2搬送路5bから交互に搬出される。
【0086】
<成型シーケンス>
図27(a)は、参考例に係る成型機構の成形シーケンスを示すシーケンスチャートである。図27(b)は、一実施形態に係る成型機構の成形シーケンスの一例を示すシーケンスチャートである。図27(a)及び図27(b)において、縦軸は時間tの流れを示す。
【0087】
図27(a)に示すように、参考例に成型機構の成形シーケンスでは、“搬入”、“成型”、“圧着”、“搬出”及び“搬入”のステップを、シーケンシャルに繰り返す。
【0088】
参考例に対して、図27(b)に示すように、一実施形態に係る成型機構の成形シーケンスでは、例えば、“成型”及び“圧着”をパラレルに行う。このため、それぞれのステップに要する時間を、参考例と一実施形態とで同じ、と仮定した場合、参考例では搬出が2回のところ、一実施形態では搬出を、少なくとも3回以上行うことができる。したがって、成型に要する時間を短縮でき、組立式の紙容器の生産ラインの高速化を図ることができる。
【0089】
また、接着剤塗布ユニット及び成型ユニットを、生産ラインに2つ並べた場合と比較して、一実施形態に係る紙容器成型機100によれば、接着剤塗布ユニット2が1台、成型ユニット3においては、下型341が1台で済む。このため、生産ラインを構築する上でのコストを低く抑えられる、という利点を得ることができる。
【0090】
以上、この発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この発明の実施形態及び変形例は、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記実施形態及び変形例は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
100 :紙容器成型機
1 :ホッパー
2 :接着剤塗布ユニット
21 :第1搬入ステージ
22 :接着剤塗布ステージ
23 :接着剤射出機構
231 :射出機
232 :射出空間付ノズル
233 :第1駆動機構
234 :射出孔
235 :射出空間
235a:第1射出空間
235b:第2射出空間
26 :キッカー
3 :成型ユニット
31 :第2搬入ステージ
32 :成型部
33 :搬出部
33a :第1搬出部
33b :第2搬出部
34 :成型機構
341 :下型
342 :上型
342a:第1押圧ヘッド
342b:第2押圧ヘッド
343 :第1締結部材
344 :圧着保持機構
345 :第2締結部材
346 :第2駆動機構
347 :第3駆動機構
348 :第4駆動機構
351 :クランプ
352 :逃げ溝
4 :搬送コンベア
5 :搬出路
5a :第1搬出路
5b :第2搬出路
200 :ブランクシート
200a:第1ブランクシート
200b:第2ブランクシート
200c:第3ブランクシート
201 :端面
202 :接着剤塗布位置
203a:第1塗布ポイント
203b:第2塗布ポイント
300 :組立式紙容器
301 :容器本体
302 :収容部
303 :フランジ部
304 :底面
305 :側面
306 :上面
307 :隙間
362 :凸状片
363 :回転軸
400 :樹脂性フィルム
500 :トップシール
501 :貼着部分
600 :接着剤
A :矢印
X :平面方向
Y :平面方向
Z :高さ方向
TD :搬送方向
U :付勢方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27