(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】駐車場システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/02 20120101AFI20240708BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240708BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20240708BHJP
E04H 6/00 20060101ALI20240708BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240708BHJP
【FI】
G06Q10/02
G06Q50/10
E04H6/42 G
E04H6/42 F
E04H6/00 A
G16Y10/40
(21)【出願番号】P 2020099050
(22)【出願日】2020-06-08
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】菅原 佑允
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特許第6501964(JP,B1)
【文献】韓国公開実用新案第2015-0000879(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
E04H 6/42
E04H 6/00
G16Y 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の予約を管理する管理サーバと、
複数の車室にそれぞれ設置される複数のエアー看板装置と、
前記管理サーバと通信可能であり、前記複数のエアー看板装置の動作を制御して、膨張して予約に関する情報を表示する表示状態と収縮した非表示状態とを切り替える表示制御装置とを備え
、
前記複数のエアー看板装置は、前記表示状態において、膨張して予約済みであることを示す、
駐車場システム。
【請求項2】
前記エアー看板装置は、バルーンと、前記バルーン中に対して空気の吐出及び吸引が可能なポンプと、前記ポンプを動作させるポンプ駆動装置とを有する、請求項
1に記載の駐車場システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、通信端末と通信可能であり、前記通信端末からの要求に応じて、前記駐車場に関する予約の受付処理及び登録処理を行う、請求項1~
2のいずれか一項に記載の駐車場システム。
【請求項4】
前記表示制御装置は、前記複数の車室について入庫及び出庫のいずれかを検出するとともに、前記複数の車室のうち予約に対応する入庫及び出庫のいずれかがあった車室に設置されているエアー看板装置を動作させて予約済みを示す状態を終了させる、請求項1~
3のいずれか一項に記載の駐車場システム。
【請求項5】
前記表示制御装置は、前記通信端末から予約車両の到着に関する情報を受け付けた場合、前記複数の車室のうち前記予約車両の到着に対応する車室に設置されているエアー看板装置を動作させて予約済みを示す状態を終了させる、請求項
3に記載の駐車場システム。
【請求項6】
前記表示制御装置は、前記駐車場の精算装置に付随して設けられている、請求項1~
5のいずれか一項に記載の駐車場システム。
【請求項7】
前記複数の車室にそれぞれ設置される複数のロック装置をさらに備え、
前記精算装置は、前記複数のロック装置の動作状態を制御する、請求項
6に記載の駐車場システム。
【請求項8】
前記駐車場は、カーシェア用の車両を駐車するカーシェア用の車室を有し、
前記複数のエアー看板装置のうち前記カーシェア用の車室に設置されるエアー看板装置は、カーシェア用に確保されている状態を予約済みとして、前記表示状態としてカーシェア用であることを表示する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の駐車場システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場の円滑な管理を可能にする駐車場システムに関し、特に予約状況を明確にできる駐車場システムに関する。
【背景技術】
【0002】
駐車予約を管理する駐車場システムとして、駐車スペースへの進入の可否を制御する進入制限装置と、駐車スペースに接近する車両の識別を行う車両識別装置と、予約利用者からの駐車予約の処理を行う予約管理装置とを備えるものが公知となっている(特許文献1)。このシステムでは、進入制限装置が、制限側に保持された状態で駐車可能又は駐車不可を表示する駐車可能表示部と、駐車可能表示部が駐車可能を表示しているときに進入制限装置の制限側に保持された状態を非予約利用者が解除可能にする制限解除部とを有する。
【0003】
上記システムにおいて、侵入制限装置に組み付けることが前提である駐車の可否に関する表示部は、侵入制限装置以上に大きくすることができず、空き車室を探して巡回している車両からの視認性が悪い。また、侵入制限装置は、駐車スペースの床から突起したロック装置であり、侵入制限装置による車室確保は、車両接触リスクがあり、侵入制限装置が大きくなるほど接触可能性が高まる。さらに、既存の駐車設備に対して、侵入制限装置等を含めた専用の新たなハードウェアに置き換える必要がある上記システムを採用することは、導入の負担が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、予約状況を簡易に目立つ状態で提示することができる駐車場システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するための駐車場システムは、駐車場の予約を管理する管理サーバと、複数の車室にそれぞれ設置される複数のエアー看板装置と、管理サーバと通信可能であり、複数のエアー看板装置の動作を制御して、膨張して予約に関する情報を表示する表示状態と収縮した非表示状態とを切り替える表示制御装置とを備える。
【0007】
上記駐車場システムによれば、エアー看板装置によって表示を大きくして巡回している車両からの視認性を高めることができる。また、エアー看板装置は、車両の進入を阻止するロック装置を前提とせず、車両接触リスクを少なくすることができる。さらに、エアー看板装置については、既存の設備に付加する設置が可能になるので、導入の負担を少なくすることができる。
【0008】
本発明の具体的な側面によれば、上記駐車場システムにおいて、複数のエアー看板装置は、表示状態において、膨張して予約済みであることを示す。この場合、予約済みであることが大きく表示され、車室外からの観察が容易になる。
【0009】
本発明の別の側面によれば、エアー看板装置は、バルーンと、バルーン中に対して空気の吐出及び吸引が可能なポンプと、ポンプを動作させるポンプ駆動装置とを有する。
【0010】
本発明のさらに別の側面によれば、管理サーバは、通信端末と通信可能であり、通信端末からの要求に応じて、駐車場に関する予約の受付処理及び登録処理を行う。通信端末は、例えばスマートフォンその他の移動端末であり、管理サーバは、通信端末から駐車場を予約することを可能にする。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、表示制御装置は、複数の車室について入庫及び出庫のいずれかを検出するとともに、複数の車室のうち予約に対応する入庫及び出庫のいずれかがあった車室に設置されているエアー看板装置を動作させて予約済みを示す状態を終了させる。この場合、予約車両の入庫又は出庫があった状態であり、エアー看板装置による予約済みの表示は不要となっている。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、表示制御装置は、通信端末から予約車両の到着に関する情報を受け付けた場合、複数の車室のうち予約車両の到着に対応する車室に設置されているエアー看板装置を動作させて予約済みを示す状態を終了させる。この場合、通信端末からの制御で予約済みを示す状態を終了させて非表示状態にするので、予約者が自己の予約を確認しやすくなる。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、表示制御装置は、駐車場の精算装置に付随して設けられている。駐車場に精算装置がある場合に、表示制御装置を精算装置に組み込むといったかたちで付随させてエアー看板の動作を制御することができる。
【0014】
本発明のさらに別の側面によれば、複数の車室にそれぞれ設置される複数のロック装置をさらに備え、精算装置は、複数のロック装置の動作状態を制御する。
【0015】
本発明のさらに別の側面によれば、駐車場は、カーシェア用の車両を駐車するカーシェア用の車室を有し、複数のエアー看板装置のうちカーシェア用の車室に設置されるエアー看板装置は、カーシェア用に確保されている状態を予約済みとして、表示状態としてカーシェア用であることを表示する。この場合、エアー看板装置をカーシェア用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る駐車場システムを示す図である。
【
図2】(A)は、個々の車室に設置される駐車場装置を説明する斜視図であり、(B)は、駐車場装置の構造を説明する概念図である。
【
図3】(A)及び(B)は、
図1の駐車場装置に組み込まれるエアー看板装置の動作状態を説明する図である。
【
図5】(A)は、管理サーバの概略構成を説明する図であり、(B)は、通信端末の概略構成を説明する図である。
【
図6】精算装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】通信端末、管理サーバ等の間で行われる一連の動作を説明する図である。
【
図8】精算装置で実行される処理の変形例を示すフローチャートである。
【
図9】第2実施形態に係る駐車場システムのうち駐車場装置の構造を説明する概念図である。
【
図10】第3実施形態に係る駐車場システムを構成するエアー看板装置の変形例を説明する図である。
【
図11】エアー看板装置の設置方法の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る駐車場システムについて説明する。
【0018】
図1に示す第1実施形態の駐車場システム100は、駐車場PAについて、利用の予約、利用料金の支払等に関する運用管理を行う。説明の便宜上、
図1では単一の駐車場PAを示しているが、本実施形態の駐車場システム100は、図示の駐車場PAを含む複数の駐車場について並列的に運用管理を行うものである。
【0019】
駐車場システム100は、駐車場PAにおいて車室単位で設置される複数の車室装置10と、複数の車室装置10を一括管理する精算装置20と、駐車場PAから離れた場所に設置される管理サーバ80とを備える。複数の車室装置10は、駐車場PAを構成する複数の駐車スペースすなわち車室SP1,SP2,SP3,…にそれぞれ設置される。精算装置20は、車室の利用及び利用料金の支払を管理する際に、表示制御装置120として、複数の車室SP1,SP2,SP3,…にそれぞれ設置されている車室装置10を構成するエアー看板装置60の動作を制御する。管理サーバ80は、図示の駐車場PAを含む複数の駐車場について、車室単位で予約を管理する。
【0020】
精算装置20と管理サーバ80とは、公衆回線その他である通信ネットワークNTを介して、通信可能に接続されている。この通信ネットワークNTは、具体的にはインターネットであり、スマートフォン、タブレットPC等の移動端末である複数の通信端末UT1,UT2,…からの接続を受け付ける。これら通信端末UT1,UT2,…は、利用予定者の操作に応じて動作し、通信ネットワークNTを介して管理サーバ80に駐車予約の登録要求を送信することにより、オンラインで駐車場PAの利用予約を行う。
【0021】
以下、駐車場システム100を構成する、車室装置10、精算装置20、及び管理サーバ80について順に説明する。
【0022】
図2(A)及び2(B)に示すように、各車室SPには、ロック装置40と、車両検知装置50と、エアー看板装置60とを一組とする車室装置10が設けられている。車室装置10のうちロック装置40や車両検知装置50は、輪留めブロック11よりも車室SPの入口側に配置されている。エアー看板装置60は、車室SPの奥に配置されている。
【0023】
ロック装置40は、
図1に示す精算装置20の制御下で動作し、これを設置した車室SPからの車両の出庫を許可し又は制限する。ロック装置40は、ロック板41と、駆動機構42と、駆動回路43とを備える。駆動機構42や駆動回路43は、ケース48に収納されている。ロック板41は、基軸41aの周りに回動可能に支持され、駆動機構42によって回転姿勢が変化する。ロック板41は、駆動回路43の制御下で駆動機構42に駆動されて、車室SPの床面から起立したロック位置と、車室SPの床面に近い基本位置とに切り替えて配置される。ロック板41が起立したロック位置にあるとき、ロック装置40は出庫を阻止するロック状態になり、ロック板41が基本位置にあるとき、ロック装置40は出庫を許容する解除状態になる。
【0024】
車両検知装置50は、
図1に示す精算装置20の制御下で動作し、これを設置した車室SPに車両が存在するか否かを検出する。車両検知装置50は、詳細な説明を省略するが、例えば複数のループコイルからなるセンサ51、検出回路52等を有し、ロック装置40の駆動回路43から給電され、駆動回路43と連携して動作する。車両検知装置50は、例えばループコイルのインダンクタンス変化を検出し、検出結果に基づいて駐車場PAに車両が入庫された状態か否かを判定し、判定結果を入庫検出情報としてロック装置40を介して精算装置20に送信する。
【0025】
エアー看板装置60は、
図1に示す精算装置20の制御下で動作し、これを設置した車室SPが予約された状態か否かを、特に車室SPに入庫しようとする運転手に提示する。エアー看板装置60は、ロック装置40の駆動回路43から給電され、駆動回路43と連携して動作する。エアー看板装置60は、精算装置20に付随する表示制御装置120からの指令で動作し、膨張して予約に関する情報、具体的には予約済みであることを表示する表示状態と、収縮した非表示状態とに切り替えられる。
【0026】
エアー看板装置60は、バルーン61と、基部62とを備える。バルーン61は、柔軟性を有する樹脂材料で形成された薄い袋状の封入体であり、内部に空気を注入することによって柱状に膨張し、内部から空気を排出することで収縮する。バルーン61の側面の表示領域61aには、この車室SPが予約済みであることを意味する「予約中」の文字が印刷されている。基部62には、バルーン61中に空気を供給し又はバルーン61中から空気を排出するポンプ65と、ポンプ65を動作させるポンプ駆動装置66とが組み込まれている。バルーン61は、ポンプ65からの吸気を受けて膨張すると鉛直方向に円柱状に延びて表示状態となり、ポンプ65によって排気されると収縮して円筒状の容器枠68内に収納されて非表示状態となる。ここで、ポンプ65は、空気を適度の陽圧で送り込むものであればよく、送風機のようなものであってもよい。
【0027】
なお、バルーン61は、提灯の火袋に相当する筒部に沿って複数の環状の補強構造を設けて蛇腹状に伸縮可能にしたものであってもよい。バルーン61は、半透過性の材料で形成することができ、バルーン61内には、LED等を可撓性の部材で支持した照明装置を配置することができる。表示領域61aに印刷される文字は、「予約中」に限らず、予約済みであること示す様々な文字とすることができ、さらに文字に限らず、記号、或いは文字及び記号を組み合わせたものに置き換えることができる。ポンプ65は、ポンプ駆動装置66に駆動されて吸気及び排気を切り替える構造となっているが、吸気装置と排気装置とを個別に有するものであってもよい。エアー看板装置60は、収納時に床面からの突出量が小さい場合、輪留めブロック11よりも車室SPの入口側に配置することができる。この際、エアー看板装置60を埋め込み型として、基部62又は容器枠68の開口をシャッターで覆う構造をとすることもできる。
【0028】
図3(A)は、表示状態のエアー看板装置60を示し、
図3(B)は、非表示状態すなわち収納状態のエアー看板装置60を示す。
【0029】
図4は、精算装置20を説明する概念的なブロック図である。精算装置20は、管理下にある車室装置10(
図1参照)を構成するロック装置40等の要素について動作制御を行い、各車室装置10に関して車両の入出庫を個別に管理することで、料金の支払に関する精算処理を可能にする。精算装置20は、主制御装置21と、記憶装置22と、通信装置24と、対人処理部26とを有する。主制御装置21は、記憶装置22に格納されたプログラムに基づいて動作する。このプログラムには、精算装置20自体の動作を可能にする機能だけでなく、車室装置10の管理を可能にする機能、管理サーバ80と連携して動作する機能が含まれている。精算装置20のうち、主制御装置21と、記憶装置22と、通信装置24とは、表示制御装置120として機能し、エアー看板装置60の動作を制御して、バルーン61が膨張した表示状態とバルーン61が収縮した非表示状態とを切り替える。
【0030】
精算装置20のうち対人処理部26は、表示装置26a、操作キー26b、金銭処理装置26c等を有する。対人処理部26は、表示装置26aを介して駐車場PAの利用者に対して精算に関連する情報を提供するとともに、操作キー26bを介して利用者の応答を操作信号として受け取る。また、対人処理部26は、金銭処理装置26cを介して利用者から硬貨や紙幣を受け取って種類や枚数を識別し、適切な種類及び枚数の硬貨や紙幣を返却する。
【0031】
精算装置20の基本的な動作例について説明する。入庫に際して、主制御装置21は、特定の車室SPに設けた車室装置10のロック装置40を介して車両検知装置50から入庫検出情報を受け取ると、所定時間後にロック装置40を動作させてロック板41を起立させてロック状態にする。主制御装置21は、ロック装置40を動作させた入庫時刻を車室SPの番号とともに入庫情報として記憶装置22に記憶させる。出庫に際して、主制御装置21は、利用者による操作キー26bの操作によって、車室SPの番号を受け付け、記憶装置22に記録された入庫情報を参照し、入庫時刻から出庫時刻(つまり現在)までの時間差である駐車時間から所定の料金テーブルに基づいて駐車料金を算出する。主制御装置21は、駐車料金の算出結果を表示装置26aに出力することによって利用者に駐車料金を提示する。その後、主制御装置21は、金銭処理装置26cを利用して入金を確認し、利用者が適正な駐車料金を支払った場合、ロック装置40を動作させてロック板41を解除状態にし、精算完了及びロック解除を記憶装置22に登録するとともに、表示装置26aに出庫可能であることを表示する。
【0032】
図5(A)は、管理サーバ80を説明する概念図であり、
図5(B)は、通信端末UTを説明する概念図である。
図5(A)に示す管理サーバ80は、システム管理者の管理下で動作するコンピュータであり、駐車場の予約を管理する。管理サーバ80は、主制御装置81と、記憶装置82と、通信装置84とを有する。管理サーバ80は、通信装置84により、
図1に示す通信ネットワークNTを経由して精算装置20や通信端末UTと通信する。記憶装置82には、管理サーバ80を動作させるプログラムが格納されている。
図5(B)に示す通信端末UTは、駐車場の利用予定者が所持する。通信端末UTは、主制御装置71と、記憶装置72と、インターフェース装置73と、通信装置74とを有する。通信端末UTは、通信装置74により、
図1に示す通信ネットワークNTを経由して管理サーバ80と通信する。記憶装置72には、通信端末UTを動作させる基本的なプログラム上で動作するアプリケーションソフトとして、例えば駐車場予約アプリケーションを含む複数のアプリケーションが格納されている。駐車場予約アプリケーションは、管理サーバ80に接続して遠隔的な複数の駐車場から利用予定者の提示する条件に適合する駐車場を選択することを可能にし、利用予定者が選択した駐車場の予約の要求を送信することを可能にする。管理サーバ80は、通信端末UTからの予約の要求に応じて、駐車場に関する予約の受付処理及び登録処理を行う。
【0033】
図6を参照して、駐車場PAの管理装置である精算装置20の動作について説明する。精算装置20の主制御装置21は、管理対象である駐車場PAにおいて着目する特定の車室SPについて予約の登録があるか否かを確認する(ステップS11)。予約の登録は、管理サーバ80との通信によって設定され、記憶装置22に記録されている。予約登録がある場合(ステップS11でYes)、車室装置10のエアー看板装置60を動作させて表示状態にし、バルーン61に印刷された「予約中」の文字が車室SPに進入しようとする車両の運転者つまり第三者に明示されるようにする(ステップS12)。
【0034】
その後、主制御装置21は、着目する車室SPについて予約登録が取り消されたか否かを確認する(ステップS13)。予約登録が取り消された場合(ステップS13でYes)、主制御装置21は、車室装置10のエアー看板装置60を動作させて非表示状態にし(ステップS14)、ステップS11に戻って、予約登録の有無を確認する。一方、予約登録が取り消されていない場合(ステップS13でNo)、主制御装置21は、着目する車室SPについて、車両検知装置50の出力に基づいて入庫があったか否かを確認する(ステップS15)。入庫が確認されない場合(ステップS15でNo)、ステップS13に戻って、主制御装置21は、予約登録が取り消されたか否かを確認し、入庫が確認された場合(ステップS15でYes)、車室装置10のエアー看板装置60を動作させて非表示状態にする(ステップS16)。つまり、主制御装置21は、エアー看板装置60を動作させてバルーン61を基部62に収納させる。これより、予約済みを示す状態を終了させることになる。
【0035】
ステップS11で予約登録がないとされた場合、主制御装置21は、着目する車室SPについて、車両検知装置50の出力に基づいて入庫があったか否かを確認する(ステップS17)。入庫が確認されない場合(ステップS17でNo)、ステップS11に戻って、主制御装置21は、予約登録があったか否かを確認する。一方、入庫が確認された場合(ステップS17でYes)、主制御装置21は、ロック装置40を動作させてロック板41をロック位置に配置し、ロック装置40をロック状態に切り替える(ステップS18)。主制御装置21は、予約登録に基づく入庫があり、エアー看板装置60を非表示状態にした後においても(ステップS16の次)、ロック装置40を動作させてロック状態に切り替える(ステップS18)。
【0036】
その後、主制御装置21は、利用者が対人処理部26を操作してチェックアウトの意思表示をしたか否かを確認する(ステップS19)。これは、利用者が出庫のため車室SPに戻って来るまで繰り返される。利用者がチェックアウトを希望する場合(ステップS19でYes)、主制御装置21は、この入庫が予め決済済みであるか否かを判断する(ステップS20)。決済済みでなければ(ステップS20でNo)、主制御装置21は、予約がない通常の場合と同様に駐車時間から駐車料金を計算し(ステップS21)、利用者が対人処理部26を利用して精算を完了するまで待って(ステップS22)、利用者が精算を完了した場合(ステップS22でYes)、ロック装置40を動作させてロック板41を解除位置に配置し、ロック装置40を解除状態に切り替える(ステップS23)。ステップS20で決済済みでであると判断された場合も、主制御装置21は、ロック装置40を動作させて解除状態に切り替える(ステップS23)。これにより、利用者が乗車する車両は、特定の車室SPから出庫できる状態となる。
【0037】
以上では、特定の車室SPについて管理を行う方法について説明しているが、主制御装置21は、複数の車室SPについて並行して同様の管理を行う。
【0038】
図6に示す動作では、入庫が確認された場合(ステップS15でYes)、車室装置10のエアー看板装置60を動作させて非表示状態にしているが(ステップS16)、入庫が確認されても、エアー看板装置60を表示状態に維持し、ロック装置40を解除状態に切り替える際といった出庫時にエアー看板装置60を非表示状態に切り替えて、予約済みを示す状態を終了させることができる。
【0039】
図7等を参照して、通信端末UT、管理サーバ80、及び精算装置20間で行われる駐車場の予約に関する一連の動作について説明する。利用予定者が通信端末UTのインターフェース装置73を操作し、駐車場予約アプリケーションを起動すると、通信端末UTの主制御装置71は、通信装置74を介して管理サーバ80が提供する予約サイトにアクセスすることで、インターフェース装置73を構成するディスプレイに予約画面を表示させる。この際、通信端末UTは、利用予定者にID情報やパスワードを要求し、或いは予め記憶装置72に保持されたID情報等に基づいて予約サイトにアクセスする。通信端末UTは、利用予定者がインターフェース装置73を介して入力した日付、時間帯、利用エリア又は利用施設等の予約条件情報を、管理サーバ80に送信する空き情報照会を行う。管理サーバ80の主制御装置81は、通信端末UTから送信された情報や記憶装置82の予約管理データベースを参照して予約条件情報に適合応する駐車場を決定し、リスト表示の検索結果を通信端末UTに返信する空き情報通知を行う。ここで、管理サーバ80が空き情報照会の要求を受けたり空き情報を通知したりする動作は、予約の受付処理に相当する。通信端末UTの主制御装置71は、検索結果のリスト表示をディスプレイに表示させる。利用予定者は、希望する駐車場を見つけたときは、通信端末UTのインターフェース装置73を介して、リスト表示中の駐車場から希望する駐車場を選択する。通信端末UTの主制御装置71は、管理サーバ80に利用予定者が利用を希望する駐車場について予約登録の要求を送信する。管理サーバ80の主制御装置81は、通信端末UTからの予約依頼に基づいて予約の申し込みの受付処理を行い、記憶装置82の予約管理データベースに利用条件等の登録を行うとともに、通信端末UTに登録完了通知を送信する。ここで、管理サーバ80が予約登録要求を受信したり登録完了通知を送信したりする動作は、予約の登録処理に相当する。
【0040】
以上において、管理サーバ80と精算装置20との間では、駐車場PAの空き状況や営業状況等に関する情報のやり取りが定期的に行われ、管理サーバ80において、駐車場PAの空き状況等に関して予約管理データベースの情報が更新される情報更新が行われる。また、管理サーバ80が通信端末UTに登録設定完了通知を送信する際には、精算装置20に対して予約登録が行われ、精算装置20の主制御装置21は、対応する車室SPに関して開放状態から予約状態に変更されたことを記憶装置22に記録し、エアー看板装置60に対して空きを意味する非表示状態から予約中を意味する表示状態に切り替える指令を出力する。
【0041】
図7では、簡潔のため、通信端末UTや精算装置20が単一のものとして表示されているが、通信端末UTは多数存在し、それぞれが個別に通信ネットワークNTを介して管理サーバ80に接続する。また、精算装置20も多数存在することが前提であり、管理サーバ80は、通信端末UTからの要求に応じ、個々の精算装置20について情報更新を行うとともに、特定された精算装置20に対して予約設定を行う。
【0042】
図7では説明を省略したが、管理サーバ80は、予約に伴う駐車費用についてオンラインでの決済処理を行うこともできる。すなわち、管理サーバ80は、通信端末UTからの要求に応じて予約が確定した駐車費用について、例えば通信端末UTからの要求に応じて、利用予定者の個人情報、金融機関情報、決済代行機関等の決済情報を受け付け、或いは予め登録された決済情報に基づいて、決済処理を行うことができる。
【0043】
図8は、
図6に示す動作の変形例を説明するフローチャートである。この変形では、予約登録が取り消されていない場合(ステップS13でNo)、主制御装置21は、着目する車室SPに関して、通信端末UTから予約車両の到着に関する情報を受け付けたか否かを確認する(ステップS115)。予約車両の到着に関する情報は、通信端末UTにインストールされた駐車場予約アプリケーションを利用して、通信端末UTから管理サーバ80経由で精算装置20に送信される。具体的には、予約車の車室SPに戻って来た利用者がインターフェース装置73のタッチパネルディスプレイを利用して駐車場予約アプリケーションに組み込まれた到着通知機能を起動させ、対応する表示のタップ等によって利用者が予約車の車室SPに戻って来たことを管理サーバ80に通知すると、管理サーバ80は、利用者の到着又は返却を知らせる情報を中継して精算装置20に送信する。予約車両の到着が確認された場合(ステップS115でYes)、車室装置10のエアー看板装置60を動作させて非表示状態にする(ステップS16)。つまり、表示制御装置120において、主制御装置21は、通信端末UTから予約車両の到着に関する情報を受け付けた場合、複数の車室SP1,SP2,SP3,…のうち予約車両の到着に対応する車室SPに設置されているエアー看板装置60を動作させて予約済みを示す状態を終了させる。このようなエアー看板装置60の表示状態から非表示状態への切り替えを合図として、利用者は、自己が予約した車室SPであることを確認することができるので、その車室SPに安心して入庫することができる。その後、主制御装置21は、車両検知装置50の出力に基づいて入庫があったか否かを確認する(ステップS116)。入庫が確認された場合(ステップS116でYes)、主制御装置21は、ロック装置40を動作させてロック板41をロック位置に配置する(ステップS18)。その後は、既述のチェックアウト処理が実行される(ステップS19~S23)。
【0044】
以上で説明した第1実施形態の駐車場システム100によれば、エアー看板装置60によって表示を大きくして巡回している車両からの視認性を高めることができる。さらに、エアー看板装置60については、既存の設備に付加する設置が可能になるので、導入の負担を少なくすることができる。なお、エアー看板装置60は、車両の進入を阻止するロック装置40を前提とせず、車両接触リスクを少なくすることができる。
【0045】
[第2実施形態]
以下、
図9(A)及び9(B)を参照して、第1実施形態を変形した第2実施形態について説明する。本実施形態の駐車場システム100の場合、車室装置10がロックレスタイプとなっており、ロック装置40に代えて車室管理装置30を備える。車室管理装置30は、ポール状であり、車室SPの奥に配置されている。車室管理装置30は、カメラ31、情報処理装置34を含む。情報処理装置34は、カメラ31によって撮影した車両のナンバープレートの画像から、車室SPに入庫した車両の車両登録番号を識別し、入出庫の状況管理を行う。
【0046】
第2実施形態の場合、精算装置20は、
図6に示す動作と同様の動作を行うが、ロック装置40に関連する動作(ステップS18,S23)が省略される。
【0047】
第2実施形態の駐車場システム100において、車室管理装置30を省略することができる。その場合、精算装置20がエアー看板装置60を直接制御することになる。車室管理装置30を省略すると、車室SPに入庫した車両の車両登録番号を特定することができなくなるが、駐車場PAの利用者は、エアー看板装置60の状態によって目前の車室に駐車できるか否かを判断することができる。
【0048】
第2実施形態の駐車場システム100において、車両検知装置50を省略することができる。ただし、車両検知装置50を残すことにより、車両検知装置50による車両検出をトリガとしてカメラ31によって撮影した画像の解析を開始するといった処理が可能になる。
【0049】
[第3実施形態]
以下、第1実施形態を変形した第3実施形態について説明する。本実施形態の駐車場システム100は、
図1に示す構造と同様の構造を有するが、カーシェア用の車両を駐車するカーシェア用の車室を一部に有する駐車場に適用される。
【0050】
図1を参照して、駐車場システム100の動作例について説明する。精算装置20は、管理サーバ80からの指令を受けて、駐車場PAを構成する複数の車室SP1,SP2,SP3,…のうち、車室SP1をカーシェア用の車室に設定する。この場合、精算装置20は、精算処理や予約管理に加えてカーシェアの管理も行う。精算装置20は、カーシェア用に設定された車室SP1に一般車両が入庫されることを防止する目的で、カーシェア用の車室SP1に設置されたエアー看板装置60を非表示状態から表示状態に切り替える。つまり、複数の車室SP1,SP2,SP3,…に設置された複数のエアー看板装置60のうちカーシェア用の車室SP1に設置されるエアー看板装置60は、カーシェア用に確保されている状態を予約済みとして、表示状態としてカーシェア用であることを間接的に意味する文字「予約中」を表示する。この際、カーシェア用以外の車室SP2,SP3,…において、エアー看板装置60は、第1実施形態で説明した通常の予約の有無を表示するものとすることができる。
【0051】
図10は、第3実施形態の駐車場システム100の変形例を説明する図であり、カーシェア用の車室SP1に設置されるエアー看板装置160を示している。エアー看板装置160は、
図3(A)に示すエアー看板装置60に代えて、或いはエアー看板装置60と併存して設置される。この場合、カーシェア用の車室であることが明示される。
【0052】
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0053】
第1実施形態において、精算装置20については、精算機能を省略して、表示制御装置120のみとすることもできる。この場合、表示制御装置120が入出庫の状態を管理することは必須でなくなり、車両検知装置50やロック装置40が不要となる。さらに、個々のエアー看板装置60に通信手段、演算処理機能等を含む表示制御装置120の機能を組み込めば、管理サーバ80から個々のエアー看板装置60の動作を直接制御する構成とすることができる。
【0054】
駐車場PAすなわち車室SPの予約は、日時を特定した予約に限らず、月極めの予約を含む概念である。
【0055】
図11に示すように、第1のエアー看板装置60と第2のエアー看板装置260とを隣接して配置することもできる。図面では、説明の便宜上、第1のエアー看板装置60と第2のエアー看板装置260とが同時に表示状態となっているが、第1のエアー看板装置60が表示状態のときは、第2のエアー看板装置260が非表示状態となって、両エアー看板装置60,260は交互に動作する。この場合、第2のエアー看板装置260によって車室SPが非予約状態であることを積極的に示すことができる。
【符号の説明】
【0056】
10…車室装置、20…精算装置、21…主制御装置、22…記憶装置、24…通信装置、26…対人処理部、30…車室管理装置、31…カメラ、34…情報処理装置、40…ロック装置、41…ロック板、43…駆動回路、50…車両検知装置、51…センサ、52…検出回路、60,160,260…エアー看板装置、61…バルーン、61a…表示領域、62…基部、65…ポンプ、66…ポンプ駆動装置、80…管理サーバ、81…主制御装置、82…記憶装置、83…インターフェース装置、84…通信装置、100…駐車場システム、120…表示制御装置、NT…通信ネットワーク、PA…駐車場、SP…車室、SP1,SP2,SP3,…車室、UT,UT1,UT2…通信端末