(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】磁気ディスク装置及びリード処理方法
(51)【国際特許分類】
G11B 5/09 20060101AFI20240708BHJP
G11B 5/012 20060101ALI20240708BHJP
G11B 20/18 20060101ALI20240708BHJP
G11B 20/10 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
G11B5/09 361F
G11B5/09 321Z
G11B5/012
G11B20/18 572F
G11B20/18 572B
G11B20/18 552F
G11B20/18 520E
G11B20/18 512A
G11B20/10 321Z
(21)【出願番号】P 2020107839
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前東 信宏
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-216325(JP,A)
【文献】特開2010-267346(JP,A)
【文献】特開2019-160377(JP,A)
【文献】特開2019-117672(JP,A)
【文献】特表2012-504299(JP,A)
【文献】米国特許第10014026(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/09
G11B 5/00 - 5/024
G11B 20/10 - 20/16
G11B 20/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクと、
前記ディスクに対してデータをライトするライトヘッドと、前記ディスクからデータをリードする第1リードヘッド及び第2リードヘッドとを有するヘッドと、
前記ディスクの第1トラックの半径方向の第1半径位置に前記第1リードヘッドを配置して前記第1トラックをリードし、前記第1トラックをリードリトライする場合にリード処理時の位置決めの基準となるメインリードヘッドを前記第1リードヘッドから前記第2リードヘッドに変更し、前記第1トラックの半径方向の前記第1半径位置と異なる第2半径位置に前記第2リードヘッドを前記メインリードヘッドとして配置して前記第1トラックをリードし、前記メインリードヘッドに対応する内部設定を変更して前記第1トラックをリードする、コントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記第1トラックの第1セクタに対応する第1区
間に前記第1リードヘッドもしくは前記第2リードヘッドがリードした第1信
号と前記第1区間に前記第1リードヘッドもしくは前記第2リードヘッドがリードリトライ時にリードした第2信号とを取得し、前記第1区間毎の第1信号と前記第1区間毎の第2信号とを比較して、前記第1区間毎の前記第1信号と前記第1区間毎の前記第2信号とから前記第1区間毎に最適な第3信号を選択し、
前記コントローラは、前記第1区間毎の前記第3信号に基づい
て前記第1区間を分割した区間である第2区間毎の第1メトリックを算出し、前記第2区間毎の前記第1メトリックと前記第2区間毎の第2メトリックとを比較して、前記第2区間毎の前記第1メトリックと前記第2区間毎の前記第2メトリックとから前記第2区間毎に最適な第3メトリックを選択し、前記第3メトリックを繋ぎ合わせる磁気ディスク装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記メインリードヘッドとして前記第2リードヘッドを前記第2半径位置に配置した状態で前記内部設定を変更して前記メインリードヘッドを前記第2リードヘッドから前記第1リードヘッドに変更し、前記第1リードヘッドを前記メインリードヘッドとして前記第1トラックをリードする、請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第1トラックを前記メインリードヘッドとしてリードリトライする場合に前記第1トラックの半径方向の前記第1半径位置と異なる第3半径位置に前記第1リードヘッドを配置して前記第1トラックをリードする、請求項2に記載の磁気ディスク装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記第1トラックを前記メインリードヘッドとしてリードリトライする場合に前記第1トラックの半径方向の前記第2半径位置と異なる第4半径位置に前記第2リードヘッドを配置して前記第1トラックをリードする、請求項3に記載の磁気ディスク装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記第1区間毎の第3信号を繋ぎ合わせた第4信号を復号する、請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項6】
前記第1メトリック、前記第2メトリック、及び第3メトリックは、それぞれ、信号雑音比に相当する、請求項1に記載の磁気ディスク装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記第2区間毎の前記第1メトリックと前記第2区間毎の第2メトリックとの内の小さい方を前記第3メトリックとして選択する、請求項6に記載の磁気ディスク装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記第1メトリックとして第5信号と前記第3信号との2乗誤差を算出する、請求項7に記載の磁気ディスク装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第1信号に基づいて硬判定した第6信号を再構成して前記第5信号を生成する、請求項8に記載の磁気ディスク装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記第2区間毎の前記第1メトリックと前記第2区間毎の第2メトリックとの内の大きい方を前記第3メトリックとして選択する、請求項6に記載の磁気ディスク装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記第1メトリックとして対数尤度比の絶対値を算出する、請求項10に記載の磁気ディスク装置。
【請求項12】
ディスクと、前記ディスクに対してデータをライトするライトヘッドと、前記ディスクからデータをリードする第1リードヘッド及び第2リードヘッドとを有するヘッドと、を備える磁気ディスク装置に適用されるリード処理方法であって、
前記ディスクの第1トラックの半径方向の第1半径位置に前記第1リードヘッドを配置して前記第1トラックをリードし、
前記第1トラックをリードリトライする場合にリード処理時の位置決めの基準となるメインリードヘッドを前記第1リードヘッドから前記第2リードヘッドに変更し、
前記第1トラックの半径方向の前記第1半径位置と異なる第2半径位置に前記第2リードヘッドを前記メインリードヘッドとして配置して前記第1トラックをリードし、
前記メインリードヘッドに対応する内部設定を変更して前記第1トラックをリードし、
前記第1トラックの第1セクタに対応する第1区
間に前記第1リードヘッドもしくは前記第2リードヘッドがリードした第1信
号と前記第1区間に前記第1リードヘッドもしくは前記第2リードヘッドがリードリトライ時にリードした第2信号とを取得し、前記第1区間毎の第1信号と前記第1区間毎の第2信号とを比較して、前記第1区間毎の前記第1信号と前記第1区間毎の前記第2信号とから前記第1区間毎に最適な第3信号を選択し、
前記第1区間毎の前記第3信号に基づい
て前記第1区間を分割した区間である第2区間毎の第1メトリックを算出し、前記第2区間毎の前記第1メトリックと前記第2区間毎の第2メトリックとを比較して、前記第2区間毎の前記第1メトリックと前記第2区間毎の前記第2メトリックとから前記第2区間毎に最適な第3メトリックを選択し、前記第3メトリックを繋ぎ合わせるリード処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気ディスク装置及びリード処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスク装置では、所定のトラックの半径方向に隣接するトラック(以下、隣接トラックと称する)が所定のトラックに近接、又は重なることにより、所定のトラックのTPI(Track Per Inch)が低減し得る。近年、複数のリードヘッドを有する2次元記録(Two-Dimensional Magnetic Recording : TDMR)方式の磁気ディスク装置が開発されている。TDMR方式の磁気ディスク装置は、例えば、隣接トラックが近接、又は重なっているトラックをリードする場合、複数のリードヘッドの内のリード処理時の位置決めの基準となるリードヘッド(以下、メインリードヘッドと称する)の配置と複数のリードヘッドの内のメインリードヘッド以外のリードヘッド(以下、サブリードヘッドと称する)の配置とを調整することで、データの復号性能を改善することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9318137号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0290151号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、リード処理の品質を向上可能な磁気ディスク装置及びリード処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る磁気ディスク装置は、ディスクと、前記ディスクに対してデータをライトするライトヘッドと、前記ディスクからデータをリードする第1リードヘッド及び第2リードヘッドとを有するヘッドと、前記ディスクの第1トラックの半径方向の第1半径位置に前記第1リードヘッドを配置して前記第1トラックをリードし、前記第1トラックをリードリトライする場合にリード処理時の位置決めの基準となるメインリードヘッドを前記第1リードヘッドから前記第2リードヘッドに変更し、前記第1トラックの半径方向の前記第1半径位置と異なる第2半径位置に前記第2リードヘッドを前記メインリードヘッドとして配置して前記第1トラックをリードし、前記メインリードヘッドに対応する内部設定を変更して前記第1トラックをリードする、コントローラと、を備え、前記コントローラは、前記第1トラックの第1セクタに対応する第1区間に前記第1リードヘッドもしくは前記第2リードヘッドがリードした第1信号と前記第1区間に前記第1リードヘッドもしくは前記第2リードヘッドがリードリトライ時にリードした第2信号とを取得し、前記第1区間毎の第1信号と前記第1区間毎の第2信号とを比較して、前記第1区間毎の前記第1信号と前記第1区間毎の前記第2信号とから前記第1区間毎に最適な第3信号を選択し、前記コントローラは、前記第1区間毎の前記第3信号に基づいて前記第1区間を分割した区間である第2区間毎の第1メトリックを算出し、前記第2区間毎の前記第1メトリックと前記第2区間毎の第2メトリックとを比較して、前記第2区間毎の前記第1メトリックと前記第2区間毎の前記第2メトリックとから前記第2区間毎に最適な第3メトリックを選択し、前記第3メトリックを繋ぎ合わせる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る磁気ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るディスクに対するヘッドの配置の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、リードヘッドを基準位置に配置した場合のライトヘッドと2つのリードヘッドとの幾何学的配置の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、リードヘッドを半径位置に位置決めした場合のライトヘッドと2つのリードヘッドとの幾何学的配置の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るR/Wチャネルのリード系の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、リードヘッドのBER特性の一例を示す概要図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るリードリトライ処理の一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、メトリックメモリにおける処理の一例を示す概要図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るメトリック繋ぎ合わせ処理の一例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るリード処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態に係る繋ぎ合わせ処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図面は、一例であって、発明の範囲を限定するものではない。
(実施形態)
図1は、実施形態に係る磁気ディスク装置1の構成を示すブロック図である。
磁気ディスク装置1は、後述するヘッドディスクアセンブリ(HDA)と、ドライバIC20と、ヘッドアンプ集積回路(以下、ヘッドアンプIC、又はプリアンプ)30と、揮発性メモリ70と、バッファメモリ(バッファ)80と、不揮発性メモリ90と、1チップの集積回路であるシステムコントローラ130とを備える。また、磁気ディスク装置1は、ホストシステム(ホスト)100と接続される。磁気ディスク装置1は、例えば、2次元記録(Two-Dimensional Magnetic Recording : TDMR)方式の磁気ディスク装置である。
【0008】
HDAは、磁気ディスク(以下、ディスク)10と、スピンドルモータ(SPM)12と、ヘッド15を搭載しているアーム13と、ボイスコイルモータ(VCM)14とを有する。ディスク10は、スピンドルモータ12に取り付けられ、スピンドルモータ12の駆動により回転する。アーム13及びVCM14は、アクチュエータを構成している。アクチュエータは、VCM14の駆動により、アーム13に搭載されているヘッド15をディスク10の所定の位置まで移動制御する。ディスク10およびヘッド15は、2つ以上の数が設けられてもよい。
【0009】
ディスク10は、そのデータをライト可能な領域に、ユーザから利用可能なユーザデータ領域10aと、システム管理に必要な情報をライトするシステムエリア10bとが割り当てられている。以下、ディスク10の円周に沿う方向を円周方向と称し、円周方向に交差する方向を半径方向と称する。ディスク10の所定の円周方向の位置を円周位置と称し、ディスク10の所定の半径方向の位置を半径位置と称する場合もある。また、半径位置及び円周位置をまとめて単に位置と称する場合もある。ディスク10(のユーザデータ領域10a)は、半径方向の所定の範囲毎に複数の領域(以下、ゾーンと称する場合もある)に区分されている。ゾーンは、複数のトラック(シリンダ)を含む。また、トラックは、複数のセクタを含む。“トラック”は、ディスク10の半径方向に区分した複数の領域の内の1つの領域、ディスク10の所定の半径位置におけるヘッド15の経路、ディスク10の所定の半径位置にライトされたディスク10の1周分のデータ、ディスク10の所定の半径位置で円周方向に延長するデータ、トラックにライトされたデータや、その他の種々の意味で用いる。“セクタ”は、トラックを円周方向に区分した複数の領域の内の1つの領域、ディスク10の所定の位置にライトされたデータ、セクタにライトされたデータや、その他の種々の意味で用いる。“所定のトラックの半径方向の幅”を“トラック幅”と称する。“所定のセクタの半径方向の幅”を“セクタ幅”と称する。“所定のトラックの所定の円周位置におけるトラック幅の中心位置”を“トラックセンタ”と称する場合もあるし、“所定のトラックの各円周位置における各トラック幅の中心を繋ぐ線”を“トラックセンタ”と称する場合もある。例えば、“トラックセンタ”は、所定のセクタのセクタ幅の中心位置に相当する。
【0010】
ヘッド15は、スライダを本体として、当該スライダに実装されているライトヘッド15Wとリードヘッド15Rとを備える。ライトヘッド15Wは、ディスク10にデータをライトする。リードヘッド15Rは、ディスク10に記録されているデータをリードする。リードヘッド15Rは、複数のリードヘッド15R、例えば、2つのリードヘッド15R1、15R2を有している。リードヘッド15R1は、例えば、ライトヘッド15Wから最も離れた位置に設けられている。リードヘッド15R2は、例えば、ライトヘッド15Wからリードヘッド15R1の次に離れた位置に設けられている。言い換えると、リードヘッド15R2は、ライトヘッド15W及びリードヘッド15R1の間に位置している。なお、リードヘッド15Rは、3つ以上のリードヘッドを有していてもよい。複数のリードヘッド15R、例えば、2つのリードヘッド15R1、15R2をまとめてリードヘッド15Rと称する場合もあるし、複数のリードヘッド15R、例えば、リードヘッド15R1及び15R2のいずれか1つを単にリードヘッド15Rと称する場合もある。以下、複数のリードヘッド15Rの内のリード処理時に位置決めの基準となるリードヘッド15Rをメインリードヘッド15Rと称する場合もある。また、複数のリードヘッド15Rの内のメインリードヘッド15R以外のリードヘッド15Rをサブリードヘッド15Rと称する場合もある。
【0011】
図2は、本実施形態に係るディスク10に対するヘッド15の配置の一例を示す模式図である。
図2に示すように、半径方向においてディスク10の外周に向かう方向を外方向(外側)と称し、外方向と反対方向を内方向(内側)と称する。また、
図2に示すように、円周方向において、ディスク10の回転する方向を回転方向と称する。なお、
図2に示した例では、回転方向は、反時計回りで示しているが、逆向き(時計回り)であってもよい。
図2において、ユーザデータ領域10aは、内方向に位置する内周領域IRと、外方向に位置する外周領域ORと、内周領域IRと外周領域ORとの間に位置する中周領域MRとに区分されている。
図2に示した例では、半径位置IRP、半径位置RP0、及び半径位置ORPを示している。半径位置IRPは、半径位置RP0よりも内方向の位置であり、半径位置ORPは、半径位置RP0よりも外方向の位置である。
図2に示した例では、半径位置RP0は、中周領域MRにあり、半径位置ORPは、外周領域ORにあり、半径位置IRPは、内周領域IRにある。なお、半径位置RP0は、外周領域ORにあってもよいし、内周領域IRにあってもよい。半径位置IRPは、それぞれ、中周領域MRに位置していてもよい。
図2には、半径位置IRPを通る経路IILと、半径位置RP0を通る経路IL0と、半径位置ORPを通る経路OILとを示している。経路IIL、OIL、及びIL0は、ディスク10に対して同心円状に配置されている。例えば、経路IIL、OIL、及びIL0は、それぞれ、真円である。以下、ディスク10に対して同心円状に配置された経路を目標経路と称する場合もある。
【0012】
ディスク10は、複数のサーボパターンSVを有している。以下、サーボパターンSVをサーボセクタやサーボ領域と称する場合もある。複数のサーボパターンSVは、ディスク10の半径方向に放射状に延出して円周方向に所定の間隔を空けて離散的に配置されている。サーボパターンSVは、ヘッド15をディスク10の所定の半径位置に位置決めするためのサーボデータなどを含んでいる。以下、サーボセクタSV以外のユーザデータ領域にライトされているサーボデータ以外のデータをユーザデータと称する場合もある。
サーボデータは、例えば、サーボマーク(Servo Mark)、アドレスデータ、及びバーストデータ等を含んでいる。アドレスデータは、所定のトラックのアドレス(シリンダアドレス)と、所定のトラックのサーボセクタのアドレスとから構成される。バーストデータは、所定のトラックのトラックセンタに対するヘッド15の半径方向の位置ずれ(位置誤差)を検出するために使用されるデータ(相対位置データ)であり、所定の周期の繰り返しパターンから構成される。バーストデータは、対外に隣接するトラックに跨って千鳥状にライトされている。ここで、“隣接“とは、データ、物体、領域、及び空間等が接して、若しくは接するように並んでいることはもちろん、所定の間隔を置いて連続的に並んでいることも含む。
【0013】
ヘッド15が半径位置RP0に位置する場合、スキュー角は、例えば、0°となる。以下、半径位置RP0を基準位置RP0と称する場合もある。ヘッド15が半径位置ORPに位置する場合、スキュー角は、例えば、正の値となる。ヘッド15が半径位置IRPに位置する場合、スキュー角は、例えば、負の値となる。なお、ヘッド15が半径位置ORPに位置する場合、スキュー角が負の値であってもよい。また、ヘッド15が半径位置IRPに位置する場合、スキュー角が正の値であってもよい。
【0014】
図3は、リードヘッド15R1を基準位置RP0に配置した場合のライトヘッド15Wと2つのリードヘッド15R1、15R2との幾何学的配置の一例を示す模式図である。
図3では、リードヘッド15R1がメインリードヘッド15R1に相当し、リードヘッド15R2がサブリードヘッド15R2に相当する。
図3には、ライトヘッド15Wの中心部WCと、リードヘッド(メインリードヘッド)15R1の中心部RC1と、リードヘッド(サブリードヘッド)15R2の中心部RC2とを示している。以下、リードヘッド15R1の中心部RC1とリードヘッド15R2の中心部RC2との間の円周方向の間隔をダウントラック間隔(Down Track Separation:DTS)と称する場合もある。また、リードヘッド15R1の中心部RC1とリードヘッド15R2の中心部RC2との間の半径方向の間隔をクロストラック間隔(Cross Track Separation:CTS)と称する場合もある。
図3において、メインリードヘッド15R1を所定の半径位置に配置した場合のダウントラック間隔をDTSyで示し、メインリードヘッド15R1を所定の半径位置に配置した場合のクロストラック間隔をCTSxで示している。また、
図3において、メインリードヘッド15R1を所定の半径位置に配置した場合のヘッド15(ライトヘッド15W及びリードヘッド15R)のスキュー角をθswで示している。以下、説明の便宜上、「ライトヘッドの中心部」を単に「ライトヘッド」と称し、「リードヘッドの中心部」を単に「リードヘッド」と称する場合もある。
【0015】
図3に示した例では、メインリードヘッド15R1を基準位置RP0に配置した場合、ヘッド15は、スキュー角θsw=θ0(=0)で円周方向に傾いている。言い換えると、メインリードヘッド15R1を基準位置RP0に配置した場合、ヘッド15は、円周方向に傾いていない。
図3では、メインリードヘッド15R1を基準位置RP0に配置した場合、ライトヘッド15W、メインリードヘッド15R1、及びサブリードヘッド15R2は、円周方向に沿って並んでいる。この場合、メインリードヘッド15R1とサブリードヘッド15R2とは、半径方向にずれていない。
図3に示した例では、メインリードヘッド15R1を基準位置RP0に配置した場合、メインリードヘッド15R1とサブリードヘッド15R2とは、クロストラック間隔CTSx=CTS0(=0)で半径方向にずれている。なお、メインリードヘッド15R1を基準位置RP0に配置した場合、ライトヘッド15Wとリードヘッド15R(メインリードヘッド15R1及びサブリードヘッド15R2)とは、半径方向にずれていてもよい。また、メインリードヘッド15R1を基準位置RP0に配置した場合、メインリードヘッド15R1とサブリードヘッド15R2とは、半径方向にずれていてもよい。
【0016】
図3に示した例では、メインリードヘッド15R1を基準位置RP0に配置した場合、ライトヘッド15Wとメインリードヘッド15R1とは、間隔GP0で円周方向に離間している。メインリードヘッド15R1を基準位置RP0に配置した場合、メインリードヘッド15R1とサブリードヘッド15R2とは、ダウントラック間隔DTSy=DTS0で円周方向に離間している。
【0017】
図4は、リードヘッド15R1を半径位置ORPに配置した場合のライトヘッド15Wと2つのリードヘッド15R1、15R2との幾何学的配置の一例を示す図である。
図4に示した例では、メインリードヘッド15R1を半径位置ORPに配置した場合、ヘッド15は、スキュー角θsw=θ1で円周方向の外方向に傾いている。
図4では、メインリードヘッド15R1を半径位置ORPに配置した場合、ライトヘッド15W、メインリードヘッド15R1、及びサブリードヘッド15R2は、円周方向の外方向にずれている。この場合、メインリードヘッド15R1とサブリードヘッド15R2とは、半径方向にずれている。
図4に示した例では、メインリードヘッド15R1を半径位置ORPに配置した場合、メインリードヘッド15R1とサブリードヘッド15R2とは、クロストラック間隔CTSx=CTS1で半径方向の外方向にずれている。
【0018】
図4に示した例では、メインリードヘッド15R1を半径位置ORPに配置した場合、ライトヘッド15Wとメインリードヘッド15R1とは、ダウントラック間隔DTSy=DTS1(=DTS0×cоsθ1)で円周方向に離間している。
【0019】
なお、メインリードヘッド15R1を半径位置IRPに配置した場合にもメインリードヘッド15R1を半径位置ORPに配置した場合と同様に、ライトヘッド15Wと2つのリードヘッド15R1、15R2とは、所定のスキュー角θswで内方向に傾き得る。メインリードヘッド15R1を半径位置IRPに配置した場合、メインリードヘッド15R1とサブリードヘッド15R2とは、所定のクロストラック間隔CTSxで半径方向にずれ得る。また、メインリードヘッド15R1を半径位置IRPに配置した場合、メインリードヘッド15R1とサブリードヘッド15R2とは、所定のダウントラック間隔DTSxで円周方向に離間し得る。
【0020】
ドライバIC20は、システムコントローラ130(詳細には、後述するMPU40)の制御に従って、SPM12およびVCM14の駆動を制御する。
ヘッドアンプIC(プリアンプ)30は、リードアンプ及びライトドライバを備えている。リードアンプは、ディスク10からリードしたリード信号を増幅して、システムコントローラ130(詳細には、後述するリード/ライト(R/W)チャネル60)に出力する。ライトドライバは、R/Wチャネル60から出力されるライトデータに応じたライト電流をヘッド15に出力する。
【0021】
揮発性メモリ70は、電力供給が断たれると保存しているデータが失われる半導体メモリである。揮発性メモリ70は、磁気ディスク装置1の各部での処理に必要なデータ等を格納する。揮発性メモリ70は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、又はSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)である。
【0022】
バッファメモリ80は、磁気ディスク装置1とホスト100との間で送受信されるデータ等を一時的に記録する半導体メモリである。なお、バッファメモリ80は、揮発性メモリ70と一体に構成されていてもよい。バッファメモリ80は、例えば、DRAM、SRAM(Static Random Access Memory)、SDRAM、FeRAM(Ferroelectric Random Access memory)、又はMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)等である。
【0023】
不揮発性メモリ90は、電力供給が断たれても保存しているデータを記録する半導体メモリである。不揮発性メモリ90は、例えば、NOR型またはNAND型のフラッシュROM(Flash Read Only Memory :FROM)である。
【0024】
システムコントローラ(コントローラ)130は、例えば、複数の素子が単一チップに集積されたSystem-on-a-Chip(SoC)と称される大規模集積回路(LSI)を用いて実現される。システムコントローラ130は、マイクロプロセッサ(MPU)40と、ハードディスクコントローラ(HDC)50と、リード/ライト(R/W)チャネル60と、を含む。MPU40、HDC50、及びR/Wチャネル60は、それぞれ、互いに電気的に接続されている。システムコントローラ130は、例えば、ドライバIC20、ヘッドアンプIC30、揮発性メモリ70、バッファメモリ80、不揮発性メモリ90、及びホストシステム100等に電気的に接続されている。
【0025】
MPU40は、磁気ディスク装置1の各部を制御するメインコントローラである。MPU40は、ドライバIC20を介してVCM14を制御し、ヘッド15の位置決めを実行する。MPU40は、ディスク10へのデータのライト動作を制御すると共に、ホスト100から転送されるデータ(以下、ライトデータと称する場合もある)の保存先を選択する。また、MPU40は、ディスク10からのデータのリード動作を制御すると共に、ディスク10からホスト100に転送されるデータ(以下、リードデータと称する場合もある)の処理を制御する。MPU40は、ファームウェアに基づいて処理を実行する。MPU40は、磁気ディスク装置1の各部に接続されている。例えば、MPU40は、HDC50、及びR/Wチャネル60に電気的に接続され、これらの処理を制御する。
【0026】
HDC50は、後述するMPU40からの指示に応じて、ホスト100とR/Wチャネル60との間のデータ転送を制御する。HDC50は、例えば、揮発性メモリ70、バッファメモリ80、及び不揮発性メモリ90等に電気的に接続されている。
R/Wチャネル60は、MPU40からの指示に応じて、リードデータ及びライトデータの信号処理を実行する。R/Wチャネル60は、リードデータの信号品質を測定する回路、又は機能を有している。R/Wチャネル60は、メインリードヘッド及びサブリードヘッドのR/Wチャネル60内の設定(以下、リードヘッド内部設定と称する場合もある)を変更できる。リードヘッド内部設定は、例えば、複数のリードヘッド15Rの内のいずれかのリードヘッド15Rをメインリードヘッド及びサブリードヘッドとしてR/Wチャネル60内で処理することを示す設定に相当する。例えば、R/Wチャネル60は、複数のリードヘッド15Rの内の所定のリードヘッド15Rをメインリードヘッドとして処理するように設定し、複数のリードヘッド15Rの内のメインリードヘッド以外の少なくとも1つのリードヘッド15Rをサブリードヘッドとして処理するように設定する。R/Wチャネル60は、メインリードヘッドを所定の半径位置に位置決めした場合に、メインリードヘッドとして処理するように設定したリードヘッド15Rを複数のリードヘッド15Rの内の他のリードヘッド15Rをメインリードヘッドとして処理するように設定を変更することができる。R/Wチャネル60は、例えば、ヘッドアンプIC30等に電気的に接続されている。
【0027】
以下で、ヘッド15、ヘッドアンプIC30、及びコントローラ130において、ディスク10からリードしたリードデータをホスト100に転送する系をリード系と称する場合もある。
図5は、実施形態に係るR/Wチャネル60のリード系RSYの構成例を示すブロック図である。
R/Wチャネル60は、リード系RSYを含む。リード系RSYは、FIR(Finite impulse response)フィルタA0と、FIR(Finite impulse response)メモリA1と、デコーダA2と、再構成又は再構築(Re-construction)器A3と、比較器及びメトリックメモリA4と、LDPC(Low Density Parity Check)器A5とを有している。なお、リード系RSYは、FIRフィルタA0、FIRメモリA1、デコーダA2、再構成器A3、比較器及びメトリックメモリA4、及びLDPC器A5以外の構成を有していてもよい。
【0028】
FIRフィルタA0は、例えば、ヘッドアンプIC30等から入力されたリードしたデータに対応する信号の所定の区間(以下、セグメントと称する場合もある)毎に信号の波形を最適化(例えば、平均化又は等化)し、セグメント毎の最適化(例えば、平均化又は等化)したサンプルの信号(以下、FIRサンプル信号又はFIR波形と称する場合もある)をFIRメモリA1に出力する。
【0029】
FIRメモリA1は、FIRフィルタA0から出力されたセグメント毎のFIRサンプル信号を一時的に記録する。FIRメモリA1は、セグメント毎の最適なFIRサンプル信号(以下、最適FIRサンプル信号と称する場合もある)とリードしたデータに対応するセグメント毎のFIRサンプル信号とを一時的に記録する。例えば、FIRメモリA1は、セグメント毎の現在の最適FIRサンプル信号(以下、現最適FIRサンプル信号と称する場合もある)と新たにリードしたデータに対応するセグメント毎のFIRサンプル信号(以下、新FIRサンプル信号と称する場合もある)とを記録する。FIRメモリA1は、現最適FIRサンプル信号と新FIRサンプル信号とをセグメント毎に比較して、セグメント毎の現最適FIRサンプル信号とセグメント毎の新FIRサンプル信号とからセグメント毎に新たに最適FIRサンプル信号(以下、新最適FIRサンプル信号と称する場合もある)を選択する。FIRメモリA1は、選択したセグメント毎の最適FIRサンプル信号を繋ぎ合わせた(又は合成した)最適FIRサンプル(以下、合成FIRサンプル信号と称する場合もある)を生成(又は取得する)処理(以下、FIR信号繋ぎ合わせ処理、FIR信号合成処理、繋ぎ合わせ処理、又は合成処理と称する場合もある)を実行する。例えば、FIRメモリA1は、後述する比較器及びメトリックメモリA4からの出力に応じてセグメント毎の最適FIRサンプル信号を選択し、FIR信号繋ぎ合わせ処理により選択した各セグメントの最適FIRサンプル信号を繋ぎ合わせた合成FIRサンプル信号を生成する。FIRメモリA1は、合成FIRサンプル信号をデコーダA2に出力する。また、FIRメモリA1は、セグメント毎の現最適FIRサンプル信号とセグメント毎の新FIRサンプル信号とを比較器及びメトリックメモリA4に出力する。なお、FIRメモリA1は、合成FIRサンプル信号を比較器及びメトリックメモリA4に出力してもよい。また、FIRメモリA1は、セグメント毎の現最適FIRサンプル信号とセグメント毎の新FIRサンプル信号とをデコーダA2に出力してもよい。以下、最適FIRサンプル信号、現最適FIRサンプル信号、新最適FIRサンプル信号、及び新FIRサンプル信号等をそれぞれFIRサンプル信号と称する場合もあるし、最適FIRサンプル信号、現最適FIRサンプル信号、新最適FIRサンプル信号、及び新FIRサンプル信号等をまとめてFIRサンプル信号と称する場合もある。
【0030】
デコーダA2は、FIRメモリA1から入力された合成FIRサンプル信号に復号化処理を実行する。デコーダA2は、復号化処理を実行した合成FIRサンプル信号(以下、復号化信号と称する場合もある)をLDPC器A5に出力する。デコーダA2は、復号化信号に硬判定処理を実行し、復号化信号に硬判定処理を実行することにより得られた信号(以下、硬判定信号と称する場合もある)を再構成器A3に出力する。デコーダA2は、復号化信号に対数尤度比(Log likelihood ratio:LLR)処理を実行し、復号化信号にLLR処理を実行することにより得られた信号(以下、LLR信号と称する場合もある)を比較器及びメトリックメモリA4に出力する。
再構成器A3は、硬判定信号に再構成(Re-construct)処理を実行し、再構成処理を実行した硬判定信号(以下、再構成信号と称する場合もある)を比較器及びメトリックメモリA4に出力する。
【0031】
比較器及びメトリックメモリA4は、セグメント毎の現最適FIRサンプル信号とセグメント毎の新FIRサンプル信号とを記録する。比較器及びメトリックメモリA4は、LLR信号、再構成信号、及びFIRサンプル信号(例えば、新FIRサンプル信号)に基づいて、SNR(Signal to Noise Ratio:信号雑音比)に対応するメトリック(Metric)又は測定値をセグメント毎に算出し、算出したセグメント毎のメトリックを記録する。比較器及びメトリックメモリA4は、メトリックをウィンドウ(window)毎に比較して最適なメトリック(以下、最適メトリックと称する場合もある)を選択する。ウィンドウは、例えば、1つのセグメントに対応していてもよいし、複数のセグメントに対応していてもよい。例えば、比較器及びメトリックメモリA4は、再構成信号及びFIRサンプル信号の2乗誤差に相当するメトリック(以下、新メトリックと称する場合もある)をセグメント毎に算出し、算出したセグメント毎の新メトリックを記録する。ここで、再構成信号及びFIRサンプル信号の2乗誤差に相当するメトリックは、理想値と観測値との差分に相当する。なお、メトリックは、LLR信号の絶対値に相当してもよい。LLR(LLR信号)は、-∞から+∞の範囲である。比較器及びメトリックメモリA4は、例えば、セグメント毎のメトリックに基づいてウィンドウ毎の新メトリックの平均値(以下、単に、新メトリックと称する場合もある)を算出し、算出したウィンドウ毎の新メトリックを記録する。比較器及びメトリックメモリA4は、ウィンドウ毎の新メトリックとウィンドウ毎の現在の最適なメトリック(以下、現最適メトリックと称する場合もある)の平均値(以下、単に、現最適メトリックと称する場合もある)とをウィンドウ毎に比較して、ウィンドウ毎の新メトリックとウィンドウ毎の現最適メトリックとからウィンドウ毎に新たに最適メトリック(以下、新最適メトリックと称する場合もある)の平均値(以下、単に、新最適メトリックと称する場合もある)を選択する。比較器及びメトリックメモリ4は、選択したウィンドウ毎の最適メトリック(新最適メトリック)を繋ぎ合わせた(又は合成した)最適メトリック(以下、合成メトリックと称する場合もある)を生成(又は取得)する処理(以下、メトリック繋ぎ合わせ処理、メトリック合成処理、繋ぎ合わせ処理、又は合成処理と称する場合もある)を実行する。以下、新メトリック、最適メトリック、現最適メトリック、及び新最適メトリック等をそれぞれメトリックと称する場合もあるし、新メトリック、最適メトリック、現最適メトリック、及び新最適メトリック等をまとめてメトリックと称する場合もある。また、ウィンドウ(又はセグメント)毎のメトリックの平均値を単にメトリックと称することもある。比較器及びメトリックメモリA4は、合成メトリックをFIRメモリA1に出力する。
【0032】
LDPC器A5は、デコーダA2から入力された復号化信号にLDPC処理を実行し、LDPC処理を実行した復号化信号(以下、LDPC信号と称する場合もある)をHDC50に出力する。
【0033】
システムコントローラ130は、複数のリードヘッド15Rからメインリードヘッド15Rを選択する。例えば、システムコントローラ130は、リードヘッド15R1及び15R2の内のリードヘッド15R1をメインリードヘッドに選択し、リードヘッド15R1及び15R2の内のリードヘッド15R2をサブリードヘッドに選択する。また、例えば、システムコントローラ130は、リードヘッド15R1及び15R2の内のリードヘッド15R2をメインリードヘッドに選択し、リードヘッド15R1及び15R2の内のリードヘッド15R1をサブリードヘッドに選択する。
【0034】
例えば、システムコントローラ130は、リードヘッド15R1及び15R2の内の特性、例えば、リード処理時のBER(Bit Error Rate)に対応する特性(以下、BER特性と称する場合もある)が最良なリードヘッド15R1をサブリードヘッドとして選択し、リードヘッド15R1及び15R2の内のBER特性が最良ではないリードヘッド15R2をメインリードヘッドとして選択する。また、例えば、システムコントローラ130は、リードヘッド15R1及び15R2の内のBER特性が最良なリードヘッド15R2をサブリードヘッドとして選択し、リードヘッド15R1及び15R2の内のBER特性が最良ではないリードヘッド15R1をメインリードヘッドとして選択する。なお、システムコントローラ130は、複数のリードヘッドの内のBER特性が最良なリードヘッドをメインリードヘッドとして選択してもよいし、複数のリードヘッドの内のBER特性が最良ではないリードヘッドをサブリードヘッドとして選択してもよい。
【0035】
例えば、複数のリードヘッド15Rの内のBER特性が最良ではないリードヘッド15Rをメインリードヘッド15Rとして選択し、複数のリードヘッド15Rの内に特性BER特性が最良なリードヘッド15Rをサブリードヘッドとして選択した場合、システムコントローラ130は、所定のトラックの所定の半径位置にメインリードヘッドを配置して、このトラックにリードする場合にメインリードヘッドを配置する半径位置に配置してリードした場合のSNRよりも小さいSNRとなる半径位置にサブリードヘッドを配置する。一例では、複数のリードヘッド15Rの内のBER特性が最良ではないリードヘッド15Rをメインリードヘッド15Rとして選択し、複数のリードヘッド15Rの内に特性BER特性が最良なリードヘッド15Rをサブリードヘッドとして選択した場合、システムコントローラ130は、半径方向に隣接するトラック(以下、隣接トラックと称する場合もある)がsqueeze、ずれ、近接、又は重なっているトラックにおいて、メインリードヘッドをこのトラックのトラックセンタに配置し、サブリードヘッドを隣接トラック側の半径位置に配置する。
【0036】
システムコントローラ130は、データをリードできない、又は正常にリードできないと判定した場合に同じデータを再度リードするリードリトライ(又は、リードリトライ処理と称する場合もある)を実行する。所定のトラックにリードリトライを実行する場合、システムコントローラ130は、複数のリードヘッド15Rのメインリードヘッド及びサブリードヘッドを変更する。また、所定のトラックにリードリトライを実行する場合、システムコントローラ130は、リードヘッド内部設定を変更する。
【0037】
例えば、システムコントローラ130は、所定のトラックの所定のセクタをリードできない、又は正常にリードできないと判定した場合、リードできない、又は正常にリードできないと判定したセクタ(以下、リードリトライセクタと称する場合もある)を含むトラックにリードリトライを実行する。システムコントローラ130は、複数のリードヘッド15Rの内のメインリードヘッドとサブリードヘッドとを変更しながら、このトラックのトラック幅の範囲内の複数の半径位置にリードヘッド15R(メインリードヘッド)を配置してこのトラックにリードリトライを繰り返す。言い換えると、システムコントローラ130は、複数のリードヘッド15Rの内のメインリードヘッドとサブリードヘッドとを変更しながら、このトラックのトラックセンタから半径方向に複数のずれ量(又はオフセット量)にリードヘッド15R(メインリードヘッド)をずらして(又はオフセットさせて)配置してこのトラックにリードリトライを繰り返す。所定のトラックのトラック幅の範囲内の複数の半径位置にメインリードヘッドを配置してリードリトライを実行する際に、システムコントローラ130は、リードヘッド内部設定を変更してR/Wチャネル60内のメインリードヘッドとサブリードヘッドとの設定を切り替えながらこのトラックのリードリトライを実行する。一例では、システムコントローラ130は、R/Wチャネル60内で、メインリードヘッドに対応するFIRフィルタにおけるTap係数に保存されたパラメータを使用し、サブリードヘッドに対応するFIRフィルタにおけるTap係数を全て0にすることによって、リードヘッド内部設定を変更してR/Wチャネル60内のメインリードヘッドとサブリードヘッドとの設定を切り替える。また、一例では、システムコントローラ130は、メインリードヘッドに対応する円周方向におけるDelay量とサブリードヘッドに対応する円周方向におけるDelay量とを入れ替えることによって、リードヘッド内部設定を変更してR/Wチャネル60内のメインリードヘッドとサブリードヘッドとの設定を切り替える。このように、TDMR方式のディスク装置1において、R/Wチャネル60のリードヘッド内部設定を変更してR/Wチャネル60内のメインリードヘッドとサブリードヘッドとの設定を切り替えて所定のトラックをリードリトライすることで、ITIC(Inter track Interference Cancellation)効果によりデータをリードした際に良好なBERが得られる可能性がある。
【0038】
システムコントローラ130は、所定のトラックにリードリトライを実行する際に複数のリードヘッド15Rのメインリードヘッド及びサブリードヘッドを変更しながら複数の半径位置にヘッド15を配置し、且つリードヘッドの内部設定を変更しながらリードしたデータに対応するセグメント毎の複数のFIRサンプル信号からセグメント毎に最適FIRサンプル信号を選択して、選択したセグメント毎の最適FIRサンプル信号を繋ぎ合わせた合成FIRサンプル信号を生成する。システムコントローラ130は、生成した合成FIRサンプル信号を復号化(又は復号)した復号化信号にLDPC処理を実行し、HDC50を介してLDPC処理を実行したLDPC信号をホスト100等にリードデータとして出力する。
【0039】
図6は、リードヘッド15R1及び15R2のBER特性の一例を示す概要図である。
図6において、縦軸は、エラーレート、例えば、BERを示し、横軸は、半径位置を示している。
図6において、BERは、大の矢印の先端側に進むに従って大きくなり、小の矢印の先端側に進むに従って小さくなる。
図6の縦軸には、BER BR1、及びBR2を示している。BER BR2は、BER BR1よりも大きい。
図6において、半径位置は、外方向の矢印の先端側に進むに従って外方向に進み、内方向の矢印の先端側に進むに従って内方向に進む。
図6の横軸には、半径位置RP01、及びRP02を示している。半径位置RP01は、半径位置RP02よりも内方向に位置している。言い換えると、半径位置RP02は、半径位置RP01よりも外方向に位置している。
図6には、リードヘッド15R1を半径位置RP01に位置決めしてこのトラックをリードした場合のBERの変化BRL1と、リードヘッド15R2を半径位置RP02に位置決めしてこのトラックをリードした場合のBERの変化BRL2と、BERの変化BRL1とBERの変化BRL2とを合成したBERの変化BRL12とを示している。BERの変化BRL1は、半径位置RP01で頂点となる下に凸の放物線状に変化している。BERの変化BRL2は、半径位置RP02で頂点となる下に凸の放物線状に変化している。BERの変化BRL12は、半径位置RP01よりも内方向から半径位置RP01に向かって放物線状に小さくなり、半径位置RP01から半径位置RP02に向かって徐々に大きくなり、半径位置RP02から外方向に向かって放物線状に大きくなっている。
【0040】
図6に示した例では、BERの変化BRL1は、BERの変化BRL2より性よりもBERが小さい。言い換えると、リードヘッド15R1のBER特性は、リードヘッド15R2のBER特性よりも良い。なお、リードヘッド15R2のBER特性は、リードヘッド15R1のBER特性よりも良くてもよい。
【0041】
図7は、本実施形態に係るリードリトライ処理の一例を示す模式図である。
図7に示すように、円周位置(円周方向)において、ディスク10に対してヘッド15が進む方向、つまり、リード/ライトする方向を進行方向と称する場合もある。
図7には、円周位置CPS及びCPEを示している。
図7には、トラックTR0と、トラックTR0の外方向にライトされたトラックTR1とを示している。トラックTR0とトラックTR1とは、互いに隣接している。トラックTR0は、目標経路(半径位置)TRR0に沿ってライトヘッド15Wによりライトされている。
図7には、トラックTR0のセクタSC0を示している。
図7において、セクタSC0は、リードリトライセクタであってもよい。
図7において、トラックTR0のセクタSC0は、円周位置CPSから円周位置CPEまで円周方向に沿って帯状に延出している。
図7では、セクタSC0は、説明の便宜上、円周方向に直線状に延出しているように示しているが、実際にはディスク10の形状に沿って湾曲している。セクタSC0は、ディスク10に沿って円状に配置されている。なお、セクタSC0は、半径方向に変動しながら円周方向に延出する波状であってもよい。
【0042】
図7には、トラックTR1のセクタSC1を示している。
図7において、セクタSC1は、目標経路(半径位置)TRR1に沿ってライトヘッド15Wでライトされ、進行方向に進むに従って内方向にsqueeze又はずれてライトされている。言い換えると、セクタSC1は、進行方向に進むに従って目標経路(半径位置)TRR1からトラックTR0側にずれてライトされている。セクタSC1は、円周位置CPSで目標経路(半径位置)TRR1に対してほぼずれていないが、円周位置CPEで目標経路(半径位置)TRR1からトラックTR0の一部に重ねる程度にずれている。セクタSC1は、円周位置CPSから円周位置CPEまで帯状に延出している。
図7では、セクタSC1は、説明の便宜上、直線状に延出しているように示しているが、実際にはディスク10の形状に沿って湾曲している。なお、セクタSC1は、半径方向に変動しながら延出する波状であってもよい。
【0043】
図7において、セクタSC0は、目標経路(半径位置)TRR0からオフセット量ROS11で内方向にオフセットした半径位置RP11と、目標経路(半径位置)TRR0からオフセット量ROS12で外方向にオフセットした半径位置RP12と、目標経路(半径位置)TRR0からオフセット量ROS21で内方向にオフセットした半径位置RP21とを含む。半径位置RP11を円周方向に沿って延出する経路(以下、半径経路と称する場合もある)RP11と称する場合もあるし、半径位置RP12を円周方向に沿って延出する半径経路RP12と称する場合もあるし、半径位置RP21を円周方向に沿って延出する半径位置RP21と称する場合もある。半径位置RP11は、半径位置RP21よりも内方向に位置している。言い換えると、オフセット量ROS11は、オフセット量ROS21よりも大きい。半径位置RP11及び半径位置RP21は、それぞれ、進行方向に延出したとしても、セクタSC0とセクタSC1とが重ならない半径方向の領域に位置している。言い換えると、半径位置RP11及びRP21は、それぞれ、進行方向に延出したとしても、セクタSC0とセクタSC1とが重なる半径方向の領域よりも内方向に位置している。半径位置RP12は、進行方向の円周位置、例えば、円周位置CPEにおいて、トラックTR0及びTR1が重なる半径方向の領域に位置している。
図7には、半径位置TRR0に配置したリードヘッド15R1と、半径位置TRR0にリードヘッド15R1を配置した場合のリードヘッド15R2とを示している。
図7には、半径位置RP11に配置したリードヘッド15R1と、半径位置RP11にリードヘッド15R1を配置した場合のリードヘッド15R2とを示している。
図7には、半径位置RP12に配置したリードヘッド15R1と、半径位置RP12にリードヘッド15R1を配置した場合のリードヘッド15R2とを示している。
図7には、半径位置RP21に配置したリードヘッド15R2と、半径位置RP21にリードヘッド15R2を配置した場合のリードヘッド15R1とを示している。
図7では、メインリードヘッドを斜線で塗りつぶした矩形形状で示し、サブリードヘッドを白抜きの(塗りつぶしていない)矩形形状で示している。
【0044】
システムコントローラ130は、例えば、リードヘッド15R1をメインリードヘッドに設定し、リードヘッド15R2をサブリードヘッドに設定する。この場合、システムコントローラ130は、例えば、半径位置TRR0にリードヘッド15R1を配置してセクタSC0をリードする。
【0045】
なお、半径位置TRR0にリードヘッド15R1を配置してセクタSC0をリードできない、又は正常にリードできないと判定した際にトラックTR0にリードリトライを実行する場合、システムコントローラ130は、リードヘッド内部設定を変更し、R/Wチャネル60内でサブリードヘッドとして処理するようにリードヘッド15R1を設定してメインリードヘッドとして処理するようにリードヘッド15R2を設定してセクタSC0をリードしてもよい。言い換えると、半径位置TRR0にリードヘッド15R1を配置してセクタSC0をリードできない、又は正常にリードできないと判定した際にトラックTR0にリードリトライを実行する場合、システムコントローラ130は、リードヘッド15R1及びリードヘッド15R2のリードヘッド内部設定を切り替えて、R/Wチャネル60でリードヘッド15R1をサブリードヘッドとして処理するように設定し、R/Wチャネル60でリードヘッド15R2をメインリードヘッドとして処理するように設定してセクタSC0をリードしてもよい。
【0046】
システムコントローラ130は、半径位置TRR0にリードヘッド15R1を配置してセクタSC0をリードできない、又は正常にリードできないと判定した際にトラックTR0にリードリトライを実行する場合、リードヘッド15R1をメインリードヘッドに設定し、リードヘッド15R2をサブリードヘッドに設定する。この場合、システムコントローラ130は、例えば、半径位置RP11にリードヘッド15R1を配置してセクタSC0をリードする。
【0047】
なお、半径位置RP11にリードヘッド15R1を配置してセクタSC0をリードできない、又は正常にリードできないと判定した際にトラックTR0にリードリトライを実行する場合、システムコントローラ130は、リードヘッド内部設定を変更し、R/Wチャネル60内でサブリードヘッドとして処理するようにリードヘッド15R1を設定してメインリードヘッドとして処理するようにリードヘッド15R2を設定してセクタSC0をリードしてもよい。言い換えると、半径位置RP11にリードヘッド15R1を配置してセクタSC0をリードできない、又は正常にリードできないと判定した際にトラックTR0にリードリトライを実行する場合、システムコントローラ130は、リードヘッド15R1及びリードヘッド15R2のリードヘッド内部設定を切り替えて、R/Wチャネル60でリードヘッド15R1をサブリードヘッドとして処理するように設定し、R/Wチャネル60でリードヘッド15R2をメインリードヘッドとして処理するように設定してセクタSC0をリードしてもよい。
【0048】
システムコントローラ130は、半径位置TRR0にリードヘッド15R1を配置してセクタSC0をリードできない、又は正常にリードできないと判定した際にトラックTR0にリードリトライを実行する場合、リードヘッド15R1をメインリードヘッドに設定し、リードヘッド15R2をサブリードヘッドに設定する。この場合、システムコントローラ130は、例えば、半径位置RP12にリードヘッド15R1を配置して半径位置RP21にリードヘッド15R2が位置する状態でセクタSC0をリードする。
【0049】
システムコントローラ130は、半径位置RP11にリードヘッド15R1を配置してセクタSC0をリードできない、又は正常にリードできないと判定した際にトラックTR0にリードリトライを実行する場合、リードヘッド内部設定を変更し、R/Wチャネル60内でサブリードヘッドとして処理するようにリードヘッド15R1を設定して、半径位置RP12にリードヘッド15R1が位置し、R/Wチャネル60内でメインリードヘッドとして処理するようにリードヘッド15R2を設定して、半径位置RP21にリードヘッド15R2を配置した状態でセクタSC0をリードする。
【0050】
図8は、メトリックメモリA4における処理の一例を示す概要図である。
図8に示すように、メトリックメモリA4は、現最適メトリックMCB1、MCB2、MCB3、及びMCB4と、新メトリックMN1、MN2、MN3、及びMN4と、新最適メトリックMNB1、MNB2、MNB3、及びMNB4とを保持している。現最適メトリックMCB1、新メトリックMN1、及び新最適メトリックMNB1は、セグメントSeg1に対応している。現最適メトリックMCB2、新メトリックMN2、及び新最適メトリックMNB2は、セグメントSeg2に対応している。現最適メトリックMCB3、新メトリックMN3、及び新最適メトリックMNB3は、セグメントSeg3に対応している。現最適メトリックMCB4、新メトリックMN4、及び新最適メトリックMNB4は、セグメントSeg4に対応している。
【0051】
システムコントローラ130は、リードリトライを実行する際に所定のトラックのトラック幅の範囲内の半径位置にヘッド15を配置してこのトラックをリードする場合、このトラックの各セクタを複数のウィンドウに分割し、各ウィンドウを少なくとも1つのセグメントに分割し、セグメント毎にメトリック(例えば、新メトリック)を記録する。システムコントローラ130は、各セグメントに対応する各現最適メトリックと各セグメントに対応する各新メトリックとを比較して、各現最適メトリックと各新メトリックとから各新最適メトリックを選択して記録する。
【0052】
図8に示した例では、システムコントローラ130は、セグメントSeg1に対応する新メトリックMN1を記録し、現最適メトリックMCB1と新メトリックMN1とを比較して、現最適メトリックMCB1と新メトリックMN1とか新最適メトリックMNB1を選択して記録する。
【0053】
図8に示した例では、システムコントローラ130は、セグメントSeg2に対応する新メトリックMN2を記録し、現最適メトリックMCB2と新メトリックMN2とを比較して、現最適メトリックMCB2と新メトリックMN2とか新最適メトリックMNB2を選択して記録する。
【0054】
図8に示した例では、システムコントローラ130は、セグメントSeg3に対応する新メトリックMN3を記録し、現最適メトリックMCB3と新メトリックMN3とを比較して、現最適メトリックMCB3と新メトリックMN3とか新最適メトリックMNB3を選択して記録する。
【0055】
図8に示した例では、システムコントローラ130は、セグメントSeg4に対応する新メトリックMN4を記録し、現最適メトリックMCB4と新メトリックMN4とを比較して、現最適メトリックMCB4と新メトリックMN4とか新最適メトリックMNB4を選択して記録する。
【0056】
図9は、本実施形態に係るメトリック繋ぎ合わせ処理の一例を示す模式図である。
図9に示した例は、
図7に対応している。
図9において、縦軸は、メトリックを示し、横軸は、時間を示している。
図9の縦軸において、メトリックは、大の矢印の先端側に進むに従って大きくなり、小の矢印の先端側に進むに従って小さくなる。
図9の縦軸には、メトリックM0、M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8、及びM9を示している。
図9の縦軸において、メトリックM1は、メトリックM0よりも大きく、メトリックM2は、メトリックM1よりも大きく、メトリックM3は、メトリックM2よりも大きく、メトリックM4は、メトリックM3よりも大きく、メトリックM5は、メトリックM4よりも大きい、メトリックM6は、メトリックM5よりも大きい。なお、メトリックM1及びM2は、同じであってもよい、メトリックM5及びM6は、同じであってもよい。メトリックM7は、メトリックM6よりも大きく、メトリックM8は、メトリックM7よりも大きく、メトリックM9は、メトリックM8よりも大きい。
図9の縦軸において、再構成信号及びFIRサンプル信号の2乗誤差に相当するメトリックは、例えば、より小さい方が信号の品質、例えば、SNRが良好である。なお、LLRに相当するメトリックは、例えば、より大きい方が信号の品質、例えば、SNRが良好である。
図9の横軸において、時間は、矢印の先端に進むに従って経過する。
図9の横軸には、時間t0、t1、t2、t3、t31、t32、及びt4を示している。
図9の横軸において、時間t1は、時間t0の後の時間であり、時間t2は、時間t1の後の時間であり、時間t3は、時間t2の後の時間であり、時間t31は、時間t3の後の時間であり、時間t32は、時間t31の後の時間であり、時間t4は、時間t32の後の時間である。
図9の横軸には、ウィンドウWD0は、時間t0から時間t1まで期間に相当し、ウィンドウWD1は、時間t1から時間t2までの期間に相当し、ウィンドウWD2は、時間t2から時間t3までの期間に相当し、ウィンドウWD3は、時間t3から時間t4までの期間に相当する。
図9において、時間t1から時間t4までの期間は、例えば、所定のトラックの1つのセクタの円周方向の長さに相当する。
【0057】
図9には、
図7に示すようにリードヘッド15R1を半径位置TRR0に配置してセクタSC0をリードして取得したメトリックの変化(以下、単にメトリックの変化と称する場合もある)RPL10と、
図7に示すようにリードヘッド15R1を半径位置RP11に配置してセクタSC0をリードして取得したメトリックの変化RPL11と、
図7に示すようにリードヘッド15R1を半径位置RP12に配置してセクタSC0をリードして取得したメトリックの変化RPL12と、
図7に示すようにリードヘッド15R1を半径位置RP12に配置してリードヘッド15R2が半径位置RP21に位置する状態でリードヘッド内部設定を変更し、R/Wチャネル60でリードヘッド15R1をサブリードヘッドとして処理するように設定し、且つR/Wチャネル60でリードヘッド15R2をメインリードヘッドとして処理するように設定してセクタSC0をリードして取得したメトリックの変化RPL21と、を示している。メトリックRPL10は、時間t0でメトリックM0であり、時間t31でメトリックM3であり、時間t32でメトリックM4であり、時間t4でメトリックM8である。メトリックRPL11は、時間t0でメトリックM3であり、時間t32でメトリックM4であり、時間t4でメトリックM7である。メトリックRPL12は、時間t0でメトリックM6であり、時間t4でメトリックM9である。メトリックRPL21は、時間t0でメトリックM1であり、時間t31でメトリックM2であり、時間t4でメトリックM5である。また、
図9には、各ウィンドウWD0、WD1、WD2、及びWD3にける最適メトリックを繋ぎ合わせた合成メトリックの変化(以下、単に合成メトリックと称する場合もある)CSLを示している。
【0058】
図9に示した例では、システムコントローラ130は、
図7に示したセクタSC0をリードする際にリードリトライを実行した場合、
図7に示すようにリードヘッド15R1を半径位置TRR0に配置してセクタSC0をリードしてメトリックの変化RPL10を取得し、
図7に示すようにリードヘッド15R1を半径位置RP11に配置してセクタSC0をリードしてメトリックの変化RPL11と取得し、
図7に示すようにリードヘッド15R1を半径位置RP12に配置してセクタSC0をリードしてメトリックの変化RPL12を取得し、
図7に示すようにリードヘッド15R1を半径位置RP12に配置してリードヘッド15R2が半径位置RP21に位置する状態でリードヘッド内部設定を変更し、R/Wチャネル60でリードヘッド15R1をサブリードヘッドとして処理するように設定し、且つR/Wチャネル60でリードヘッド15R2をメインリードヘッドとして処理するように設定してセクタSC0をリードしてメトリックの変化RPL21を取得する。
【0059】
図9に示した例では、システムコントローラ130は、ウィンドウWD0において、セクタSC0のセクタ幅の範囲内の複数の半径位置TRR0、RP11、RP12、及びRP21にリードヘッド15R1又は15R2を配置してそれぞれ取得した複数のメトリック内で最も小さいメトリックの変化RPL10のメトリックを最適メトリックとして選択する。システムコントローラ130は、ウィンドウWD1において、セクタSC0のセクタ幅の範囲内の複数の半径位置TRR0、RP11、RP12、及びRP21にリードヘッド15R1又は15R2を配置してそれぞれ取得した複数のメトリック内で最も小さいメトリックの変化RPL10のメトリックを最適メトリックとして選択する。システムコントローラ130は、ウィンドウWD2において、セクタSC0のセクタ幅の範囲内の複数の半径位置TRR0、RP11、RP12、及びRP21にリードヘッド15R1又は15R2を配置してそれぞれ取得した複数のメトリック内で最も小さいメトリックの変化RPL10のメトリックを最適メトリックとして選択する。システムコントローラ130は、ウィンドウWD3において、セクタSC0のセクタ幅の範囲内の複数の半径位置TRR0、RP11、RP12、及びRP21にリードヘッド15R1又は15R2を配置してそれぞれ取得した複数のメトリック内で最も小さいメトリックの変化RPL21のメトリックを最適メトリックとして選択する。システムコントローラ130は、ウィンドウWD0の最適メトリックとして選択したウィンドウWD0のメトリックの変化RPL10のメトリックと、ウィンドウWD1の最適メトリックとして選択したウィンドウWD1のメトリックの変化RPL10のメトリックと、ウィンドウWD2の最適メトリックとして選択したウィンドウWD2のメトリックの変化RPL10のメトリックと、ウィンドウWD3の最適メトリックとして選択したウィンドウWD3のメトリックの変化RPL21のメトリックとを繋ぎ合わせて合成メトリックCSLを取得(又は生成)する。
【0060】
なお、メトリックがLLR信号の絶対値に相当する場合、システムコントローラ130は、各ウィンドウにおいて、所定のセクタのセクタ幅の範囲内の複数の半径位置にリードヘッド15R1又は15R2を配置してそれぞれ取得した複数のメトリック内で最も大きいメトリックを最適メトリックとして選択する。システムコントローラ130は、各ウィンドウで選択した各最適メトリックを繋ぎ合わせて合成メトリックを取得(又は生成)する。
【0061】
図10は、本実施形態に係るリード処理の一例を示すフローチャートである。
システムコントローラ130は、所定のトラックをリードリトライし(B1001)、所定のトラックをリードできるかリードできないかを判定する(B1002)。例えば、システムコントローラ130は、所定のトラックでリードリトライセクタを検出した場合、このトラックにリードリトライを実行し、このトラックのリードリトライセクタをリードできるかリードできないかを判定する。所定のトラックをリードできると判定した場合(B1002のYES)、システムコントローラ130は、処理を終了する。例えば、所定のトラックのリードリトライセクタをリードできると判定した場合、システムコントローラ130は、処理を終了する。所定のトラックをリードできないと判定した場合(B1002のNO)、システムコントローラ130は、メインリードヘッドを変更する(B1003)。言い換えると、所定のトラックをリードできないと判定した場合、システムコントローラ130は、メインリードヘッド及びサブリードヘッドを変更する。例えば、所定のトラックのリードリトライセクタをリードできないと判定した場合、システムコントローラ130は、メインリードヘッド及びサブリードヘッドを変更する。システムコントローラ130は、所定のトラックをリードリトライし(B1004)、所定のトラックをリードできるかリードできないかを判定する(B1005)。例えば、システムコントローラ130は、所定のトラックのリードリトライセクタをリードリトライし、このトラックのリードリトライセクタをリードできるかリードできないかを判定する。所定のトラックをリードできると判定した場合(B1005のYES)、システムコントローラ130は、処理を終了する。例えば、所定のトラックのリードリトライセクタをリードできると判定した場合、システムコントローラ130は、処理を終了する。所定のトラックをリードできないと判定した場合(B1005のNO)、システムコントローラ130は、繋ぎ合わせ処理を実行し(B1006)、処理を終了する。例えば、所定のトラックのリードリトライセクタをリードできないと判定した場合、システムコントローラ130は、FIR信号繋ぎ合わせ処理を実行し、処理を終了する。
【0062】
図11は、本実施形態に係る繋ぎ合わせ処理の一例を示すフローチャートである。
図11は、
図10のB1006に示した繋ぎ合わせ処理に相当する。
システムコントローラ130は、所定のオフセット量でメインリードヘッドを配置し(B1101)、メインリードヘッドで所定のトラックをリードする(B1102)。言い換えると、システムコントローラ130は、所定のトラックのトラック幅の範囲内において所定の半径位置にメインリードヘッドを配置してメインリードヘッドによりこのトラックをリードする。システムコントローラ130は、所定のトラックの所定の半径位置にメインリードヘッドを配置してリードしたデータ(又はセクタ)に対応するセグメント毎のFIRサンプル信号を比較してセグメント毎の最適FIRサンプル信号を選択する(B1103)。言い換えると、システムコントローラ130は、所定のトラックの所定の半径位置にメインリードヘッドを配置してメインリードヘッドによりリードしたデータ(又はセクタ)に対応するセグメント毎の現最適FIRサンプル信号とセグメント毎の新FIRサンプル信号とから新最適FIRサンプル信号をセグメント毎に選択して、セグメント毎の新最適FIRサンプル信号を繋ぎ合わせて合成FIRサンプル信号を生成する。
【0063】
システムコントローラ130は、リードヘッド内部設定を変更するか変更しないかを判定する(B1104)。言い換えると、システムコントローラ130は、R/Wチャネル60内のメインリードヘッド及びサブリードヘッドの設定を変更するか変更しないかを判定する。リードヘッド内部設定を変更すると判定した場合(B1104のYES)、システムコントローラ130は、R/Wチャネル60内でメインリードヘッドを変更し(B1105)、B1102の処理に進む。言い換えると、リードヘッド内部設定を変更すると判定した場合、システムコントローラ130は、R/Wチャネル60内でのメインリードヘッドとサブリードヘッドとの設定を切り替え(又は変更し)、B1102の処理に進む。例えば、リードヘッド内部設定を変更すると判定した場合、システムコントローラ130は、R/Wチャネル60内でメインリードヘッドとして処理するリードヘッド15Rをリードヘッド15R1からリードヘッド15R2に変更し、R/Wチャネル60内でサブリードヘッドとして処理するリードヘッド15Rをリードヘッド15R2からリードヘッド15R1に変更し、B1102の処理に進む。
【0064】
リードヘッド内部設定を変更しないと判定した場合(B1104のNO)、システムコントローラ130は、他のオフセット量でメインリードヘッドにより所定のトラックをリードするかリードしないかを判定する(B1103)。言い換えると、システムコントローラ130は、所定のトラックにおいて他の半径位置にメインリードヘッドを配置してこのトラックをリードするかリードしないかを判定する。他のオフセット量でメインリードヘッドにより所定のトラックをリードすると判定した場合(B1103のYES)、システムコントローラ130は、オフセット量を変更し、B1102の処理に進む。言い換えると、他の半径位置にメインリードヘッドを配置してメインリードヘッドにより所定のトラックをリードすると判定した場合、システムコントローラは、メインリードヘッドを配置する半径位置を変更し、B1102の処理に進む。他のオフセット量でメインリードヘッドにより所定のトラックをリードしないと判定した場合(B1103のNO)、システムコントローラ130は、合成FIRサンプル信号を復号化処理し(B1104)、処理を終了する。言い換えると、他の半径位置にメインリードヘッドを配置してメインリードヘッドにより所定のトラックをリードしないと判定した場合、システムコントローラ130は、合成FIRサンプル信号を復号化処理し、処理を酋長する。
【0065】
本実施形態によれば、磁気ディスク装置1は、所定のトラックをリードリトライする。磁気ディスク装置1は、所定のトラックをリードできないと判定した場合、複数のリードヘッド15R内でメインリードヘッド及びサブリードヘッドを変更して、このトラックをリードリトライする。磁気ディスク装置1は、所定のオフセット量でメインリードヘッドにより所定のトラックをリードする。言い換えると、磁気ディスク装置1は、所定のトラックのトラック幅の範囲内の所定の半径位置にメインリードヘッドを配置してメインリードヘッドによりこのトラックをリードする。磁気ディスク装置1は、所定のトラックの所定の半径位置にメインリードヘッドを配置してリードしたデータに対応するウィンドウ毎のメトリックを比較してウィンドウ毎の最適メトリックを選択して合成メトリックを生成する。磁気ディスク装置1は、合成メトリックに応じて、所定のトラックの所定の半径位置にメインリードヘッドを配置してリードしたデータに対応するセグメント毎のFIRサンプル信号を比較してセグメント毎の最適FIRサンプル信号を選択して合成FIRサンプル信号を生成する。磁気ディスク装置1は、リードヘッド内部設定を変更するか変更しないかを判定する。リードヘッド内部設定を変更すると判定した場合、磁気ディスク装置1は、R/Wチャネル60内でメインリードヘッドとサブリードヘッドとの設定を変更し、メインリードヘッドによりこのトラックをリードする。磁気ディスク装置1は、リードヘッド内部設定を変更してメインリードヘッドによりリードしたデータに対応するウィンドウ毎のメトリックを比較してウィンドウ毎の最適メトリックを選択して合成メトリックを生成する。磁気ディスク装置1は、合成メトリックに応じて、所定のトラックの所定の半径位置にメインリードヘッドを配置してリードしたデータに対応するセグメント毎のFIRサンプル信号を比較してセグメント毎の最適FIRサンプル信号を選択して合成FIRサンプル信号を生成する。磁気ディスク装置1は、合成FIRサンプル信号を復号化した復号化信号にLDCP処理を実行し、リード処理を実行する。そのため、磁気ディスク装置1は、リード処理における信号品質を向上することが可能である。従って、磁気ディスク装置1は、リード処理の品質を向上することができる。
【0066】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1…磁気ディスク装置、10…磁気ディスク、10a…ユーザデータ領域、10b…システムエリア、12…スピンドルモータ(SPM)、13…アーム、14…ボイスコイルモータ(VCM)、15…ヘッド、15W…ライトヘッド、15R1、15R2…リードヘッド、20…ドライバIC、30…ヘッドアンプIC、40…マイクロプロセッサ(MPU)、50…ハードディスクコントローラ(HDC)、60…リード/ライト(R/W)チャネル、70…揮発性メモリ、80…バッファメモリ、90…不揮発性メモリ、100…ホストシステム(ホスト)、130…システムコントローラ。