(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】建設機械の重量計測装置及び建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 3/47 20060101AFI20240708BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20240708BHJP
B66C 3/02 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
E02F3/47 F
E02F9/26 B
B66C3/02 A
(21)【出願番号】P 2020122120
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】沢井 秋司
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-064993(JP,A)
【文献】特開2002-241083(JP,A)
【文献】特開昭58-095096(JP,A)
【文献】特開昭50-095951(JP,A)
【文献】実開昭57-135578(JP,U)
【文献】特開2002-173947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/47
E02F 9/26
B66C 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウィンチから繰出されるロープを介して伝達される操作力によって駆動されるクラムシェルバケットが起伏可能なブームの前端部から吊下げられる建設機械に設けられる重量計測装置であって、
前記ウィンチと前記ブームの前記前端部との間において前記ロープが掛けられるシーブと、
中心軸に沿って延設され、前記中心軸を中心として回転可能に前記シーブを支持するシャフトと、
前記中心軸に沿う方向について前記シャフトの一端に取付けられる第1の油圧シリンダと、
前記中心軸に沿う前記方向について前記第1の油圧シリンダとは反対側の端で前記シャフトに取付けられる第2の油圧シリンダと、
前記第1の油圧シリンダ及び前記第2の油圧シリンダのそれぞれに作用する圧力を検知するセンサと、
前記センサでの前記圧力の検知結果を取得するコントローラと、
を具備
し、
前記コントローラは、
計測指令の入力に対応させて、前記センサでの前記圧力の前記検知結果に基づいて、前記シーブに作用している荷重を算出するとともに、前記シーブに作用している前記荷重に基づいて、前記ロープに作用している前記荷重を算出し、
算出した前記ロープの前記荷重から前記クラムシェルバケットの自重を減算した減算値を、前記クラムシェルバケットに堆積されている積載物の重量として計測し、
計測した前記クラムシェルバケットにおける前記積載物の前記重量、及び、前記建設機械とは別の運搬車両に前記クラムシェルバケットから積載された前記積載物の重量の総和を告知させる
、
重量計測装置。
【請求項2】
前記コントローラは、総和更新指令の入力に基づいて、直近の計測での前記クラムシェルバケットにおける前記積載物の前記重量を前記運搬車両における前記積載物の前記重量の前記総和に加算することにより、前記運搬車両における前記積載物の前記重量の前記総和を更新し、更新した前記総和を告知させる、請求項1の重量計測装置。
【請求項3】
計測した前記クラムシェルバケットにおける前記積載物の前記重量、及び、前記運搬車両における前記積載物の前記重量の前記総和が、前記コントローラによって、互いに対して並べて表示される表示部をさらに具備する、請求項1
又は2の重量計測装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至
3のいずれか1項の重量計測装置と、
前記ウィンチが設けられる上部旋回体と、
前記上部旋回体が鉛直上側から旋回可能に連結される下部走行体と、
前記上部旋回体に起伏可能に連結され、前記上部旋回体と一緒に前記下部走行体に対して旋回可能な前記ブームと、
前記ウィンチから繰出される前記ロープと、
前記ブームの前記前端部から吊下げられ、前記ロープを介して伝達される前記操作力によって駆動される前記クラムシェルバケットと、
を具備する、建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に設けられる重量計測装置、及び、その重力計測装置を備える建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、起伏可能なブームの前端部からクラムシェルバケットが吊下げられる建設機械が開示されている。この建設機械では、クラムシェルバケットによって土砂等の積載物を掘削し、クラムシェルバケットの内部に積載物を堆積させる。そして、クラムシェルバケットからトラック等の運搬車両に、積載物を積載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のような建設機械では、作業効率の向上、及び、運搬車両への積載物の過積載の防止等の観点から、クラムシェルバケットに堆積されている積載物の重量、及び、運搬車両に積載された積載物の重量の総和を、作業者等が適切に把握することが求められている。
【0005】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、クラムシェルバケットにおける積載物の重量、及び、運搬車両における積載物の重量の総和を適切に把握可能な建設機械の重量計測装置を提供することにある。また、その重量計測装置を備える建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のある態様は、ウィンチから繰出されるロープを介して伝達される操作力によって駆動されるクラムシェルバケットが起伏可能なブームの前端部から吊下げられる建設機械に設けられる重量計測装置であって、前記ウィンチと前記ブームの前記前端部との間において前記ロープが掛けられるシーブと、中心軸に沿って延設され、前記中心軸を中心として回転可能に前記シーブを支持するシャフトと、前記中心軸に沿う方向について前記シャフトの一端に取付けられる第1の油圧シリンダと、前記中心軸に沿う前記方向について前記第1の油圧シリンダとは反対側の端で前記シャフトに取付けられる第2の油圧シリンダと、前記第1の油圧シリンダ及び前記第2の油圧シリンダのそれぞれに作用する圧力を検知するセンサと、前記センサでの前記圧力の検知結果を取得するコントローラと、を備え、前記コントローラは、計測指令の入力に対応させて、前記センサでの前記圧力の前記検知結果に基づいて、前記シーブに作用している荷重を算出するとともに、前記シーブに作用している前記荷重に基づいて、前記ロープに作用している前記荷重を算出し、算出した前記ロープの前記荷重から前記クラムシェルバケットの自重を減算した減算値を、前記クラムシェルバケットに堆積されている積載物の重量として計測し、計測した前記クラムシェルバケットにおける前記積載物の前記重量、及び、前記建設機械とは別の運搬車両に前記クラムシェルバケットから積載された前記積載物の重量の総和を告知させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、クラムシェルバケットにおける積載物の重量、及び、運搬車両における積載物の重量の総和を適切に把握可能な建設機械の重量計測装置を提供することができる。また、その重量計測装置を備える建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るクレーンの一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のクレーンのブームの前端部を矢印Hの方向から視た状態で示す概略図である。
【
図3】
図3は、
図1のクレーンにおいて、ブームの後端部に取付けられるシーブ(ガイドシーブ)及びその近傍の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1のクレーンにおいて、ブームの後端部に取付けられるシーブ(ガイドシーブ)及びその近傍の構成を、旋回体の幅方向の一方側から視た状態で示す概略図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る重量計測装置の制御系を概略的に示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る重量計測装置のユーザインタフェースの表示部における表示の一例を示す概略図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る重量計測装置のコントローラによって行われる、積載物の重量の計測処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図7におけるロープに作用する荷重の計測処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、建設機械として、クレーンを例に挙げて説明する。
図1は、本実施形態に係るクレーン1の一例を示す。
図1に示すように、クレーン1は、下部走行体2と、下部走行体2に鉛直上側から連結される上部旋回体3と、を備える。上部旋回体3には、運転室5が設けられる。上部旋回体3は、鉛直方向に沿う旋回軸を中心として、下部走行体2に対して旋回可能である。また、上部旋回体3には、ブーム6が連結される。ブーム6は、上部旋回体3と一体に下部走行体2に対して旋回可能である。
【0011】
また、ブーム6では、長手方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)が規定される。そして、ブーム6では、長手方向の一方側が前方側(矢印X1側)となり、前方側とは反対側が後方側(矢印X2側)となる。ブーム6は、後端部で上部旋回体3に取付けられる。また、ブーム6は、上部旋回体3に対して起伏可能である。このため、ブーム6では、長手方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)起伏方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)が、規定される。ブーム6が上部旋回体3に対して起きる又は伏せることにより、ブーム6の水平面に対する起伏角度θが変化する。また、ブーム6では、長手方向及び起伏方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(
図1の紙面に対して垂直又は略垂直な方向)が、規定される。ブーム6の幅方向は、上部旋回体3の幅方向と、一致又は略一致する。また、ブーム6は、長手方向に伸縮可能である。ブーム6が伸長又は収縮することにより、ブームの長手方向についてのブーム長が変化する。
【0012】
図2は、ブーム6の前端部を
図1の矢印Hの方向から、すなわち、ブーム6の前方側から視た状態で示す。
図2では、矢印W1及び矢印W2で示す方向が、ブーム6の幅方向となる。上部旋回体3には、ウィンチ11,21が設けられる。ウィンチ11からは、ロープ12が繰出される。ロープ12は、ブーム6の後端部(基端部)から前端部(先端部)に向かってブーム6の長手方向に沿って延設される。ブーム6では、ブーム6が起きる側(矢印Y1側)の端面であるブーム上面に沿って、ロープ12が延設される。
図1及び
図2等に示すように、上部旋回体3には、シーブ13が取付けられ、ブーム6の前端部には、シーブ24,25が取付けられる。ウィンチ11から繰出されたロープ12は、シーブ13に掛けられた後、シーブ24,25の順に掛けられる。また、ロープ12は、シーブ13によって、ウィンチ11へガイドされる。
【0013】
ウィンチ21からは、ロープ22が繰出される。ロープ22は、ブーム6の後端部から前端部に向かってブーム6の長手方向に沿って延設される。ブーム6では、ブーム上面に沿って、ロープ22が延設される。また、ブーム6の後端部には、シーブ(ガイドシーブ)23が取付けられ、ブーム6の前端部に、シーブ14,15が取付けられる。ウィンチ21から繰出されたロープ22は、シーブ23に掛けられた後、シーブ14,15の順に掛けられる。また、ロープ22は、シーブ23によって、ウィンチ21へガイドされる。
【0014】
また、ロープ12,22は、クラムシェルバケット60に接続される。クラムシェルバケット60は、天板フレーム61、下部フレーム62及び一対のクラムシェル65,66を備える。下部フレーム62は、天板フレーム61に対して鉛直下側に配置される。また、天板フレーム61に鉛直上側に突出するブラケット63が設けられるとともに、シーブ67が取付けらえる。また、下部フレーム62には、シーブ68が取付けられる。一対のクラムシェル65,66は、互いに対して開閉可能な状態で、天板フレーム61及び下部フレーム62に連結される。
【0015】
ロープ12は、クラムシェルバケット60の天板フレーム61のブラケット63に接続される。このため、クラムシェルバケット60は、ブーム6の前端部のシーブ25から、ロープ12を介して吊下げられる。クレーン1では、ウィンチ11にロープ12を巻取ることにより、クラムシェルバケット60が鉛直上側へ移動する。一方、クレーン1では、ウィンチ11からロープ12を繰出すことにより、クラムシェルバケット60が鉛直下側へ移動する。
【0016】
ロープ22は、ブーム6の前端部のシーブ15からクラムシェルバケット60のシーブ67,68のそれぞれに複数回掛けられた後、天板フレーム61のブラケット63に鉛直下側から接続される。クレーン1では、ウィンチ21にロープ22を巻取ることにより、クラムシェルバケット60において一対のクラムシェル65,66が互いに対して閉じる。一方、クレーン1では、ウィンチ21からロープ22を繰出すことにより、クラムシェルバケット60において一対のクラムシェル65,66が互いに対して開く。したがって、クラムシェルバケット60を駆動する操作力は、ロープ22を介して伝達される。
【0017】
クレーン1を用いた作業では、クラムシェルバケット60を地面の近傍まで下側へ移動させた状態で、クラムシェル65,66を開閉させることにより、土砂等の積載物が掘削される。これにより、クラムシェルバケット60の内部に積載物が堆積される。また、クレーン1を用いた作業では、クラムシェルバケット60の内部に積載物が堆積された状態で、トラック等のクレーン1とは別の運搬車両の荷台の近傍まで、クラムシェルを移動させる。そして、クラムシェルバケット60を運搬車両の荷台の近傍に位置させた状態でクラムシェル65,66を開くことにより、クラムシェルバケット60から運搬車両の荷台に積載物が積載される。
【0018】
また、クレーン1の上部旋回体3では、運転室5の前方側にウィンチ71が設置され、ウィンチ71からは、ロープ72が繰出される。また、ブーム6では、ブーム6が伏せる側(矢印Y2側)の端面であるブーム下面に、シーブ73が取付けられる。ロープ72は、シーブ73に掛けられ、クラムシェルバケット60に接続される。ロープ72によって、クラムシェルバケット60の回転及び振動等が防止される。
【0019】
図3及び
図4は、ブーム6の後端部に取付けられるシーブ23及びその近傍の構成を示す。
図3は、斜視図を示し、ロープ22を省略して示す。また、
図4は、上部旋回体3の幅方向の一方側から視た状態を示し、ブーム6の幅方向の一方側から視た状態を示す。なお、
図3では、矢印W1及び矢印W2で示す方向が、ブーム6の幅方向となり、
図4では、紙面に対して垂直又は略垂直な方向が、ブーム6の幅方向となる。
【0020】
シーブ(ガイドシーブ)23には、前述のように、ウィンチ21とブーム6の前端部との間において、ウィンチ21から繰出されるロープ22が掛けられる。
図3及び
図4に示すように、シーブ23は、シャフト31及びブラケット32を介して、ブーム6の後端部に取付けられる。ブラケット32は、ブーム6に直接的に取付けられる。ブラケット32は、ブーム6への取付け位置(接続位置)に形成される回動軸P1を中心として、ブーム6に対して回動可能である。ブラケット32のブーム6に対する回動軸P1は、ブーム6の幅方向に沿う。
【0021】
また、ブラケット32は、一対の板状部35A,35Bを備える。板状部35A,35Bは、ブーム6の幅方向について互いに対して離れて配置される。ブラケット32は、ブーム6の幅方向について板状部35A,35Bの間でブーム6を挟む状態で、ブーム6に取付けられる。シーブ23は、シャフト31を介して、ブラケット32に取付けられる。また、シャフト31及びシーブ23は、ブラケット32と一緒に、ブーム6に対して回動軸P1を中心として回動可能である。
【0022】
シャフト31は、中心軸P2を有し、中心軸P2に沿って延設される。シャフト31は、中心軸P2がブーム6の幅方向に沿う状態で、ブラケット32に取付けられる。中心軸P2に沿う方向についてシャフト31の一端は、ブラケット32の板状部35Aに接続され、中心軸P2に沿う方向についてシャフト31の他端は、ブラケット32の板状部35Bに接続される。また、シーブ23は、シャフト31の中心軸P2を中心として回転可能に、シャフト31によって支持される。そして、シーブ23は、シャフト31に対してシャフト31の中心軸P2に沿って、移動可能である。すなわち、シーブ23は、シャフト31及びブラケット32に対して、ブーム6の幅方向に沿って移動可能である。
【0023】
本実施形態のクレーン1は、重量計測装置40を備える。重量計測装置40は、ロープ22に作用する荷重T、すなわち、ロープ22に作用する張力を計測する。前述のクレーン1では、ロープ22に作用する荷重Tの大きさは、クラムシェルバケット60の自重Taとクラムシェルバケット60に堆積された積載物の重量Tbとの合計値と、一致又は略一致する。したがって、本実施形態のクレーン1では、重量計測装置40によって、クラムシェルバケット60の自重Taとクラムシェルバケット60における積載物の重量Tbとの合計値が、計測される。重量計測装置40は、前述したシーブ(ガイドシーブ)23、シャフト31及びブラケット32を備える。
【0024】
また、重量計測装置40は、一対の油圧シリンダ37A,37Bを備える。油圧シリンダ37A,37Bのそれぞれは、中心軸としてシリンダ軸(Qa,Qbの対応する一方)を有し、油圧シリンダ37A,37Bのそれぞれは、シリンダ軸(Qa,Qbの対応する一方)に沿って伸縮可能である。油圧シリンダ37A,37Bのそれぞれの一端は、上部旋回体3に接続される。油圧シリンダ(第1の油圧シリンダ)37Aの他端は、ブラケット32の板状部35Aを介して、シャフト31に接続される。このため、油圧シリンダ37Aは、中心軸P2に沿う方向(ブーム6の幅方向)についてシャフト31の一端に、取付けられる。また、油圧シリンダ(第2の油圧シリンダ)37Bの他端は、ブラケット32の板状部35Bを介して、シャフト31に接続される。このため、油圧シリンダ37Bは、中心軸P2に沿う方向(ブーム6の幅方向)について油圧シリンダ37Aの取付け位置とは反対側の端で、シャフト31に取付けられる。
【0025】
クレーン1では、クラムシェルバケット60における積載物の重量が変化し、ロープ22に作用する荷重Tが変化することにより、ロープ22からシーブ23に作用する荷重Fが変化する。そして、荷重Fが変化することにより、油圧シリンダ37Aに作用する荷重Ra及び油圧シリンダ37Bに作用する荷重Rbのそれぞれが変化し、油圧シリンダ37A,37Bのそれぞれの油圧が変化する。
【0026】
ここで、ブラケット32の回動軸P1からシャフト31の中心軸P2(シーブ23の回転軸)までの距離La、及び、ブラケット32の回動軸P1から油圧シリンダ37Aのシリンダ軸Qa及び油圧シリンダ37Bのシリンダ軸Qbのそれぞれまでの距離Lbを、規定する。本実施形態では、回動軸P1から油圧シリンダ37Aのシリンダ軸Qaまでの距離、及び、回動軸P1から油圧シリンダ37Bのシリンダ軸Qbまでの距離は、距離Lbで同一であるとする。距離La,Lbは、ブーム6の起伏状態が変化しても、変化しない値である。また、シーブ23への接点におけるロープ22の開き角度αを規定する。開き角度αは、ブーム6の前端部からシーブ23までのロープ22の延設方向に沿う仮想線M1とウィンチ21からシーブ23までのロープの延設方向に沿う仮想線M2とによって形成される角度である。開き角度αは、ブーム6の起伏状態の変化に対応して、すなわち、前述したブーム6の起伏角度θの変化に対応して、変化する。
【0027】
また、開き角度αの二等分線Mαを規定するとともに、ブラケット32の回動軸P1から二等分線Mαまでの距離Lαを規定する。ここで、仮想線M1と二等分線Mαとの間の角度、及び、仮想線M2と二等分線Mαとの間の角度は、α/2となる。また、油圧シリンダ37Aの荷重Raと油圧シリンダ37Bの荷重Rbとの和である荷重合計値Rを、規定する。前述のようにパラメータを規定した場合、距離Laと距離Lαとの関係は、開き角度αを用いて、式(1)のようになる。また、ブラケット32の回動軸P1の軸回りのモーメントの釣合いから、荷重合計値Rとシーブ23に作用する荷重Fとの関係は、距離Lb,Lαを用いて、式(2)のようになる。そして、シーブ23に作用する荷重Fとロープ22に作用する荷重T(吊荷の荷重)との関係は、開き角度αを用いて、式(3)のようになる。なお、
図4には、シリンダ軸Qa,Qb、距離La,Lb,Lα、仮想線M1,M2、開き角度α及び二等分線Mαが示されるとともに、荷重Ra(Rb),F,Tが示される。
【0028】
Lα=La×sin(α/2) (1)
R×Lb=F×La (2)
F=T×cos(α/2) (3)
【0029】
したがって、油圧シリンダ37Aの荷重Ra及び油圧シリンダ37Bの荷重Rbが検出されることにより、荷重合計値Rが算出され、算出された荷重合計値R及び式(2)等を用いて、シーブ23に作用する荷重Fを算出可能となる。そして、算出した荷重F及び式(3)を用いて、ロープ22に作用する荷重Tを算出可能となる。したがって、クレーン1では、油圧シリンダ37Aの荷重Ra及び油圧シリンダ37Bの荷重Rbに基づいて、ロープ22に作用する荷重Tを計測可能となる。
【0030】
図5は、重量計測装置40の制御系の一例を示す。重量計測装置40は、コントローラ41を備える。コントローラ41は、例えば、コンピュータを構成し、コントローラ41は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を含むプロセッサ又は集積回路(制御回路)、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。コントローラ41に設けられるプロセッサ又は集積回路は、1つであってもよく、複数であってもよい。コントローラ41は、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を行う。
【0031】
また、重量計測装置40は、圧力センサ(センサ)42A,42Bを備える。圧力センサ42Aは、油圧シリンダ(第1の油圧シリンダ)37Aに作用する圧力(油圧)を検知する。圧力センサ42Bは、油圧シリンダ(第2の油圧シリンダ)37Bに作用する圧力(油圧)を検知する。コントローラ41は、圧力センサ42Aでの圧力の検知結果から、油圧シリンダ37Aに作用する荷重Raを取得し、圧力センサ42Bでの圧力の検知結果から、油圧シリンダ37Bに作用する荷重Rbを取得する。
【0032】
また、重量計測装置40は、ユーザインタフェース43を備える。ユーザインタフェース43は、操作部材を備え、操作部材では、作業者等によって操作指令が入力される。操作部材としては、ボタン、ダイヤル、タッチパネル及びリモコン等が挙げられ、ある一例では、操作部材は、運転室5の内部に設けられる。
図5の一例では、操作部材としてボタン45,46が設けられる。コントローラ41は、操作部材で入力された指令に基づいて、処理を行う。また、ユーザインタフェース43は、作業者等に情報を告知する告知部を備える。告知部は、画面表示、音の発信、及び、ライトの点灯等のいずれかによって、告知を行う。
図5の一例では、告知部は、運転室5の内部に設けられる表示部47を備える。また、本実施形態では、クレーン1は、角度センサ48を備える。角度センサ48は、ブーム6の起伏角度θを検知する。コントローラ41は、角度センサ48での検知結果から、ブーム6の起伏角度θを含むブーム6の起伏状態に関する情報を取得する。
【0033】
図6は、重量計測装置40のユーザインタフェース43の表示部47における表示の一例を示す。
図6の一例では、表示部47にボタン51が表示される。表示部47には、情報表示領域52,53が設けられる。情報表示領域52には、クラムシェルバケット60の内部に堆積されている積載物の重量Tbが示される。情報表示領域53には、クラムシェルバケット60から運搬車両に積載された積載物の重量の総和(積算値)Nが示される。表示部47では、情報表示領域52,53は、互いに対して並んだ位置に配置される。このため、表示部47では、クラムシェルバケット60における積載物の重量Tb、及び、運搬車両における積載物の重量の総和Nが、互いに対して並んで表示される。また、表示部47では、表示指標55が表示される。表示部47では、表示指標55が点灯することにより、運搬車両における積載物の重量の総和Nが許容重量Nth以上になったことが、警告される。
【0034】
図7は、重量計測装置40のコントローラ41によって行われる、積載物の重量の計測処理を示す。
図7に示す処理は、クラムシェルバケット60を用いて土砂等の積載物をトラック等の運搬車両に積載する作業において、コントローラ41によって、所定の間隔で定期的に行われる。
【0035】
図7に示すように、積載物の重量の計測処理では、コントローラ41は、クラムシェルバケット60の自重Taを更新させる指令である自重更新指令が入力された否かを判定する(S101)。ある一例では、自重更新指令は、ユーザインタフェース43の表示部47のボタン51を押圧することにより、入力される。自重更新指令が入力されていない場合は(S101-No)、処理はS103に進む。
【0036】
一方、自重更新指令が入力された場合は(S101-Yes)、コントローラ41は、クラムシェルバケットの自重Taを更新する(S102)。この際、ある一例では、クラムシェルバケット60に積載物が堆積されていない状態、すなわち、クラムシェルバケット60に堆積されている積載物の重量Tbが0になる状態において、後述するS105の処理と同様にして、ロープ22に作用する荷重Tを計測する。そして、計測した荷重Tをクラムシェルバケット60の自重Taとして取得する。また、別のある一例では、ユーザインタフェース43において、クラムシェルバケット60の自重Taが、作業者等によって入力される。そして、ユーザインタフェース43での入力値を、クラムシェルバケット60の自重Taとして取得する。また、コントローラ41は、更新された自重Taを記憶媒体等に記憶する。そして、コントローラ41は、自重更新指令が入力されたことに基づいて、クラムシェルバケット60における積載物の重量Tbを0にリセットする。S102の処理を行った後、処理はS103に進む。
【0037】
S103において、コントローラ41は、クラムシェルバケット60に堆積されている積載物の重量Tbを計測する指令である計測指令が入力されたか否かを判定する。ある一例では、計測指令は、ユーザインタフェース43のボタン45を押圧することにより、入力される。計測指令が入力されていない場合は(S103-No)、処理はS107に進む。一方、計測指令が入力された場合は(S103-Yes)、コントローラ41は、ロープ22に作用する荷重Tの計測処理を行う(S104)。
【0038】
図8は、
図7におけるロープ22に作用する荷重Tの計測処理を示す。
図8に示すように、荷重Tの計測処理では、コントローラ41は、角度センサ48の検知結果から、ブーム6の起伏角度θを取得する(S121)。そして、コントローラ41は、前述したロープ22の開き角度αを算出するとともに、ブラケット32の回動軸P1から二等分線Mαまでの距離Lαを算出する(S122)。ここで、開き角度αは、ブーム6の起伏角度θの変化に対応して、変化する。コントローラ41の記憶媒体等には、起伏角度θと開き角度αとの関係を示す情報(テーブル又は関数等)が記憶されている。コントローラ41は、取得した起伏角度θ、及び、起伏角度θと開き角度αとの関係を示す情報に基づいて、開き角度αを算出する。そして、コントローラ41は、算出した開き角度α及び前述の式(1)等を用いて、距離Lαを算出する。なお、ブラケット32の回動軸P1からシャフト31の中心軸P2までの距離Laは、記憶媒体等に記憶されている。
【0039】
そして、コントローラ41は、圧力センサ42Aでの油圧シリンダ37Aの圧力の検知結果から、油圧シリンダ37Aに作用する荷重Raを取得し、圧力センサ42Bでの油圧シリンダ37Bの圧力の検知結果から、油圧シリンダ37Bに作用する荷重Rbを取得する(S123)。そして、コントローラ41は、油圧シリンダ37Aの荷重Raと油圧シリンダ37Bの荷重Rbとの和である荷重合計値Rを算出する(S124)。そして、コントローラ41は、算出した荷重合計値R、及び、前述した式(2)を用いて、ロープ22からシーブ23に作用する荷重Fを算出する(S125)。これにより、圧力センサ42A,42Bでの検知結果に基づいて、荷重Fが算出される。なお、ブラケット32の回動軸P1から油圧シリンダ37Aのシリンダ軸Qa及び油圧シリンダ37Bのシリンダ軸Qbのそれぞれまでの距離Lbは、記憶媒体等に記憶されている。
【0040】
そして、コントローラ41は、算出したシーブ23に作用する荷重Fに基づいて、ロープ22に作用する荷重(張力)Tを算出する(S126)。これにより、本実施形態では、クラムシェルバケット60の自重Taとクラムシェルバケット60に堆積された積載物の重量Tbとの合計値が、算出される。荷重Tは、前述した式(3)を用いて、算出される。以上のようにして、ロープ22に作用する荷重Tが、クラムシェルバケット60の自重Taとクラムシェルバケット60に堆積された積載物の重量Tbとの合計値として、計測される。
【0041】
そして、荷重Tの計測処理(S104)を終了すると、コントローラ41は、記憶媒体等に記憶されているクラムシェルバケット60の自重Taを取得する。そして、コントローラ41は、計測したロープ22の荷重Tからクラムシェルバケット60の自重Taを減算した減算値を、クラムシェルバケット60に堆積されている積載物の重量Tbとして算出及び計測する(S105)。この際、コントローラ41は、計測した重量Tbを記憶媒体等に記憶する。そして、コントローラ41は、計測したクラムシェルバケット60における積載物の重量Tb、及び、積載物の積載対象となる運搬車両にクラムシェルバケット60から積載された積載物の重量の総和Nを告知させる(S106)。この際、コントローラ41は、例えば、表示部47の情報表示領域52に重量Tbを表示させ、表示部47の情報表示領域53に総和Nを表示させる。運搬車両にクラムシェルバケット60から積載された積載物の重量の総和Nは、記憶媒体等に記憶されている。S106の処理を行った後、処理はS107へ進む。
【0042】
S107において、コントローラ41は、運搬車両にクラムシェルバケット60から積載された積載物の重量の総和Nを更新する指令である総和更新指令が入力されたか否かを判定する。ある一例では、総和更新指令は、ユーザインタフェース43のボタン46を押圧することにより、入力される。総和更新指令が入力されていない場合は(S107-No)、処理はS113に進む。
【0043】
一方、総和更新指令が入力された場合は(S107-Yes)、コントローラ41は、直近の計測でのクラムシェルバケット60における積載物の重量Tbを、運搬車両における積載物の重量の総和Nに加算する(S108)。これにより、コントローラ41は、直近の計測でのクラムシェルバケット60における積載物の重量Tbを加算した加算値に、運搬車両における積載物の重量の総和(積算値)Nを更新する。そして、コントローラ41は、総和Nを更新した後に、クラムシェルバケット60における積載物の重量Tbを0にリセットする(S109)。また、コントローラ41は、更新された総和Nを、告知させる(S110)。この際、コントローラ41は、リセットされた重量Tbも、総和Nと一緒に告知させてもよい。コントローラ41は、例えば、表示部47の情報表示領域53に更新された総和Nを表示させ、表示部47の情報表示領域52にリセットされた重量Tbを表示させる。また、コントローラ41は、更新された総和Nを、記憶媒体等に記憶する。S110の処理を行った後、処理はS111へ進む。
【0044】
S111において、コントローラ41は、更新された総和Nが運搬車両における積載物の許容重量Nth以上であるか否かを判定する。許容重量Nthは、記憶媒体等にあらかじめ記憶されている、又は、ユーザインタフェース43において作業者等によって入力される。運搬車両における積載物の重量の総和Nが許容重量Nthより小さい場合は(S111-No)、処理はS113へ進む。一方、総和Nが許容重量Nth以上の場合は(S111-Yes)、コントローラ41は、運搬車両における積載物の重量の総和Nが許容重量Nth以上になったことを、警告させる(S112)。ある一例では、表示部47の表示指標55が点灯することにより、運搬車両における積載物の重量の総和Nが許容重量Nth以上になったことが警告される。S112の処理を行った後、処理はS113へ進む。
【0045】
S113において、コントローラ41は、総和Nを0にリセットさせるリセット指令が入力されたか否かを判定する。ある一例では、リセット指令は、ユーザインタフェース43のボタン45,46を同時に押圧することにより、入力される。リセット指令が入力された場合は(S113-Yes)、コントローラ41は、運搬車両における積載物の重量の総和Nを、0にリセットする(S114)。
【0046】
クラムシェルバケット60を用いて運搬車両に土砂等の積載物を積載する作業では、新しいクラムシェルバケット60がブーム6の前端部からロープ12を介して吊下げられ、かつ、ロープ22がクラムシェルバケット60に接続されると、作業者等は、表示部47のボタン51等を介して自重更新指令を入力する。この際、クラムシェルバケット60に積載物が堆積されていない状態で、自重更新指令が入力される。これにより、コントローラ41は、新たに吊下げられたクラムシェルバケット60の自重Taを取得する。また、自重更新指令の入力によって、重量Tbは、0にリセットされる。情報表示領域52に示される重量Tbが0.2t等となる状態で自重更新指令が入力されると、情報表示領域52に示される重量Tbは0tに切替わる。
【0047】
また、クラムシェルバケット60によって積載物を掘削し、クラムシェルバケット60に積載物が堆積された状態で、作業者等は、ボタン45等を介して自重更新指令を入力する。これにより、コントローラ41は、前述のようにしてクラムシェルバケット60に堆積されている積載物の重量Tbが計測する。ここで、情報表示領域52に示される重量Tbが0tとなる状態で、計測指令が入力され、重量Tbの計測値が5tであるとする。この場合、計測指令の入力に基づいて、情報表示領域52に示される重量Tbが0tから5tに切替わる。
【0048】
また、クラムシェルバケット60に堆積された積載物を運搬車両に積載した時点又はその直後に、作業者等は、ボタン46等を介して総和更新指令を入力する。これにより、コントローラ41は、直近の計測でのクラムシェルバケット60における積載物の重量Tbを、運搬車両における積載物の重量の総和Nに加算する。そして、コントローラ41は、重量Tbを0にリセットする。このため、情報表示領域52に示される重量Tbが5tで、かつ、情報表示領域53に示される総和Nが0tとなる状態で、総和更新指令が入力されると、情報表示領域52に示される重量Tbが0tに切替わり、情報表示領域53に表示される総和が5tに切替わる。また、情報表示領域52に示される重量Tbが5tで、かつ、情報表示領域53に示される総和Nが5tとなる状態で、総和更新指令が入力されると、情報表示領域52に示される重量Tbが0tに切替わり、情報表示領域53に表示される総和が10tに切替わる。
【0049】
また、クラムシェルバケット60から積載物を積載する対象となる運搬車両を変更する場合等において、作業者等は、ボタン45,46等を介してリセット指令を入力する。これにより、コントローラ41は、運搬車両における積載物の重量の総和Nを0にリセットする。例えば、情報表示領域53に示される総和Nが10t等となる状態でリセット指令が入力されると、情報表示領域53に示される総和Nは0tに切替わる。
【0050】
本実施形態では、コントローラ41は、計測したロープ22の荷重Tからクラムシェルバケット60の自重Taを減算した減算値を、クラムシェルバケット60に堆積されている積載物の重量Tbとして計測する。このため、クラムシェルバケット60に堆積されている積載物の重量Tbが、適切に計測される。また、本実施形態では、計測指令の入力に基づいて、コントローラ41は、計測したクラムシェルバケット60における積載物の重量Tb、及び、運搬車両にクラムシェルバケット60から積載された積載物の重量の総和Nを告知させる。このため、作業者等は、重量Tb及び総和Nを適切に把握可能になる。すなわち、作業者等は、運搬車両に既に積載されている積載物の情報、及び、運搬車両に積載される予定の積載物の情報を、適切に把握可能になる。
【0051】
作業者等が重量Tb及び総和Nを適切に把握することにより、運搬車両への積載物の過積載が有効に防止されるとともに、クラムシェルバケット60を用いて積載物を運搬車両に積載する作業の作業効率が向上する。また、クラムシェルバケット60の自重Taを除いた積載物の重量Tbが作業者等に把握されることにより、クラムシェルバケット60に積載物が過度に積載されることが、有効に防止される。
【0052】
また、本実施形態では、表示部47において、クラムシェルバケット60における積載物の重量Tb、及び、運搬車両における積載物の重量の総和Nが、互いに対して並んで表示される。このため、作業者等は、運転室5で操作を行いながら、重量Tb及び総和Nを容易に把握可能となる。
【0053】
また、本実施形態では、コントローラ41は、総和更新指令の入力に基づいて、直近の計測での重量Tbを総和Nに加算することにより、運搬車両における積載物の重量の総和Nを更新する。そして、更新された総和Nが、作業者等に告知される。このため、作業者等は、更新された総和Nを適切に把握可能となる。また、クラムシェルバケット60に堆積された積載物を運搬車両に積載した時点又はその直後に総和更新指令を入力することにより、更新された総和Nは、適切な値になる。
【0054】
また、本実施形態では、総和Nが許容重量Nth以上の場合は、コントローラ41は、運搬車両における積載物の重量の総和Nが許容重量Nth以上になったことを、警告させる。これにより、作業者等は、運搬車両への積載物の過積載をさらに把握し易くなる。
【0055】
また、本実施形態では、コントローラ41は、リセット指令の入力に基づいて、運搬車両における積載物の重量の総和Nを0にリセットする。このため、クラムシェルバケット60から積載物を積載する対象となる運搬車両を変更する場合に作業者等がリセット指令を入力することにより、変更した運搬車両でも総和Nが、適切な値となる。
【0056】
また、本実施形態の重量計測装置40では、前述のように、ロープ22が掛けられるシーブ23が、シャフト31の中心軸P2を中心として回転可能に、シャフト31に支持される。そして、中心軸P2に沿う方向についてシャフト31の一端に油圧シリンダ37Aが取付けられ、中心軸P2に沿う方向について油圧シリンダ37Aとは反対側の端で、油圧シリンダ37Bがシャフト31に取付けられる。そして、重量計測装置40では、油圧シリンダ37A,37Bのそれぞれの圧力の検知結果に基づいて、前述のように、ロープ22に作用する荷重Tが算出される。このため、重量計測装置40の構成が複雑化することなく、ロープ22に作用する荷重Tが計測され、クラムシェルバケット60における積載物の重量Tbが計測される。
【0057】
また、本実施形態の重量計測装置40では、ウィンチ21の駆動が停止され、ロープ22の繰出し動作及び巻取り動作が停止されても、油圧シリンダ37Aに荷重Raが作用し、油圧シリンダ37Bに荷重Rbが作用する。したがって、ウィンチ21の駆動が停止されても、荷重Ra,Rbに基づいて、ロープ22に作用する荷重Tが適切に計測される。このため、ウィンチ21の駆動が停止されても、重量Tb及び総和Nが適切に算出される。
【0058】
(変形例)
なお、クレーン1以外の建設機械にも、前述の実施形態等と同様の重量計測装置40が設けられ、前述の実施形態等と同様にして重量Tbの計測、及び、総和Nの算出が行われてもよい。この場合も、重量Tb及び総和Nが、コントローラ41によって告知される。
【0059】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0060】
1…クレーン、2…下部走行体、3…上部旋回体、6…ブーム、21…ウィンチ、22…ロープ、23…シーブ、31…シャフト、32…ブラケット、37A,37B…油圧シリンダ、40…重量計測装置、41…コントローラ、42A,42B…圧力センサ、43…ユーザインタフェース、47…表示部、60…クラムシェルバケット。