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  • 特許-紙葉類処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】紙葉類処理方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/50 20190101AFI20240708BHJP
   G07D 11/60 20190101ALI20240708BHJP
   B65H 31/24 20060101ALI20240708BHJP
   B65H 43/04 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
G07D11/50
G07D11/60
B65H31/24
B65H43/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020129089
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022025911
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 浩一
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-063331(JP,A)
【文献】特開平09-114937(JP,A)
【文献】特開2002-197505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16,
7/00-13/00
G07F 19/00
B65H 7/00- 7/20,
31/00-31/40,
43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙装置と、取出し搬送装置と、判定装置と、正券集積装置と、損券裁断装置と、排除券集積装置と、情報処理装置と、表示装置と、入力装置とを備える紙葉類処理装置の紙葉類処理方法であって、


前記給紙装置に投入された紙葉類束から前記取出し搬送装置により1枚ずつ紙葉類を取り出して搬送し、
搬送される紙葉類を前記判定装置により鑑査して正券、損券、排除券を判定し、
前記正券集積装置、前記損券裁断装置および前記排除券集積装置により、前記正券、損券、排除券をそれぞれ振り分けて集積し、
前記集積された損券を前記損券裁断装置により裁断し、
オペレータによりカウントされ前記入力装置により前記情報処理装置に入力された排除券の枚数と前記判定装置により検知された前記正券の枚数と損券の枚数との合計と前記投入された紙葉類束の紙葉類枚数とを前記情報処理装置により照合し、
一致する場合に、前記情報処理装置により排除券の再投入指示を前記表示装置に表示し
オペレータにより一括して前記給紙装置に再投入された排除券を前記取出し搬送装置により前記判定装置を通して前記損券裁断装置に送り、前記損券裁断装置により裁断し、前記判定装置により裁断枚数をカウントし、
前記投入された排除券の枚数と前記判定装置によりカウントされた前記裁断枚数とを前記情報処理装置により照合する
紙葉類処理方法。
【請求項2】
前記排除券、正券、損券の合計枚数と前記投入された紙葉類の枚数とが一致しない場合、前記情報処理装置は、枚数の不一致を警告し、オペレータにより排除券のカウント枚数が修正あるいは確定された後に前記警告を解除する請求項1に記載の紙葉類処理方法。
【請求項3】
前記排除券の枚数と裁断枚数との照合が一致しない場合、前記情報処理装置は前記表示装置に不一致を表示し、オペレータにより再度、排除券を前記給紙装置に投入し、投入された排除券を前記取出し搬送装置により前記判定装置を通して前記損券裁断装置に送り、前記損券裁断装置により裁断し、前記判定装置により裁断枚数をカウントし、前記再投入された排除券の枚数と前記判定装置によりカウントされた前記裁断枚数とを前記情報処理装置により照合し、前記排除券の枚数と前記裁断枚数とが一致するまで、前記再投入、排除券カウント、排除券裁断、枚数照合を繰り返し実行する、請求項1に記載の紙葉類処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紙幣、有価証券等の紙葉類を処理する紙葉類処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、銀行や大規模小売業等では日常的に大量の紙幣が扱われ、これら紙幣を金種や、正損(紙幣の汚損度合い)に応じて分類して整理する業務が存在している。
紙葉類(例えば、銀行券(紙幣)や有価証券)の整理業務を自動化する装置として紙葉類処理装置が用いられている。紙葉類処理装置は、例えば、紙幣の券種や正損の度合いを鑑別する鑑査部と、紙幣を金種別などに分類して集積する複数の集積部と、所定の経路を通して紙幣を搬送する搬送機構などを備えている。
このような紙葉類処理装置では、紙幣の真偽および汚損具合などを検査し、再利用可能なものは正券として集積施封し、再利用不可なものは損券として裁断している。どちらとも判定できなかった紙幣、例えば、2枚取りされた紙幣は、排除券として区分され、その枚数がデータ管理されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4093538号公報
【文献】特開2007-66059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、排除券は、紙葉類処理装置に再投入され再検査される。しかし、再検査において、排除券が発生する都度の再投入するのでは操作時間を要し、かつ、再度、排除券となる可能性が高い。そのため、現行の排除券処理では、オペレータが人手で排除券の検査と枚数入力とを行った後、処理装置の外に引き渡し、他のオペレータが人手で排除券を消却している。この場合、紙幣および排除券の処理効率が悪く、コストもかかる。また、時間差や物理位置が離れているため、排除券消却の責任の所在が曖昧となることがある。
この発明の実施形態の課題は、紙葉類の処理効率を高めつつ、セキュリティを確保することが可能な紙葉類処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、給紙装置と、取出し搬送装置と、判定装置と、正券集積装置と、損券裁断装置と、排除券集積装置と、情報処理装置と、表示装置と、入力装置とを備える紙葉類処理装置の紙葉類処理方法は、前記給紙装置に投入された紙葉類束から前記取出し搬送装置により1枚ずつ紙葉類を取り出して搬送し、搬送される紙葉類を前記判定装置により鑑査して正券、損券、排除券を判定し、前記正券集積装置、前記損券裁断装置および前記排除券集積装置により、前記正券、損券、排除券をそれぞれ振り分けて集積し、前記集積された損券を前記損券裁断装置により裁断し、オペレータによりカウントされ前記入力装置により前記情報処理装置に入力された排除券の枚数と前記判定装置により検知された前記正券の枚数と損券の枚数との合計と前記投入された紙葉類束の紙葉類枚数とを前記情報処理装置により照合し、一致する場合に、前記情報処理装置により排除券の再投入指示を前記表示装置に表示し、オペレータにより一括して前記給紙装置に再投入された排除券を前記取出し搬送装置により前記判定装置を通して前記損券裁断装置に送り、前記損券裁断装置により裁断し、前記判定装置により裁断枚数をカウントし、前記投入された排除券の枚数と前記判定装置によりカウントされた前記裁断枚数とを前記情報処理装置により照合する、ことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、紙葉類処理装置の一例を概略的に示す図。
図2A図2Aは、実施形態に係る紙葉類処理方法を示すフローチャート。
図2B図2Bは、実施形態に係る紙葉類処理方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら実施形態について、詳細に説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
(実施形態)
初めに、紙葉類処理装置の一例について説明する。図1は、紙葉類処理装置(紙葉類処理システム)の一例を模式的に示す図である。図示のように、紙葉類処理装置10は、所定枚数、例えば、1000枚の紙幣を一照合単位(1バッチ)として複数バッチの紙幣を投入可能な給紙装置12と、給紙装置12に投入された紙幣を1枚ずつ取り出して搬送する取出し搬送装置14と、搬送される紙幣を鑑査(検査)する判定装置(鑑査装置)16と、判定装置16により正券と判定された紙幣を集積し、所定枚数ずつ施封する正券集積装置18と、損券と判定された紙幣を集積および裁断する損券裁断装置20と、排除券と判定された紙幣を回収、集積する排除券集積装置22と、を備えている。
【0009】
判定装置16は、送られて来た紙幣の金種、形状、厚さ、表裏、真偽、正損、2枚取り、通過枚数等を検出し、紙幣を鑑査するもので、これらを検出する種々のセンサ、撮像装置等を有している。判定装置16は、上記種々のセンサ、撮像装置等の検知情報に基づいて、紙幣を鑑査し、かつ、再利用可能な紙幣を正券と判定し、再利用不可な紙幣を損券と判定し、更に、どちらとも判定できなかった紙幣を排除券と判定し、これらを区分して正券集積装置18、損券裁断装置20、排除券集積装置22に振り分ける。
【0010】
紙葉類処理装置10は、判定装置16、その他の装置に接続された情報処理装置(制御部)24と、種々のデータを格納しているデータベース26と、種々のデータを表示するモニタ28と、情報処理装置24にデータを入力するための入力装置(例えば、キーボード)30と、を更に備えている。情報処理装置24は、判定装置16により得られた検知情報を処理するとともに、各装置の動作を制御する制御装置として機能する。
【0011】
次に、上述した紙葉類処理装置10の処理動作について、すなわち、紙葉類処理方法について説明する。図2A図2Bは、実施形態に係る紙葉類処理方法を示すフローチャートである。
図示のように、紙葉類処理装置10において、オペレータにより紙幣、例えば、照合単位:1000枚の紙幣、が給紙装置12に投入されると(ST1)、取出し搬送装置14は、給紙装置12から紙幣を1枚ずつ取り出し、判定装置16に向けて搬送する(ST2)。
【0012】
判定装置16は、搬送されて来た紙幣を鑑査し、正券、損券、排除券のいずれであるか判定する(ST3)。判定装置16は、金種、処理枚数、判定結果、正券枚数(例えば、900枚)、損券枚数(例えば、80枚)等を含む検知情報を情報処理装置24に送信する。
情報処理装置24の制御の下、取出し搬送装置14は、判定結果に応じて、正券、損券、排除券をそれぞれ正券集積装置18、損券裁断装置20、排除券集積装置22に振り分けて搬送する(ST4)。正券集積装置18は、正券を金種毎に集積し、所定枚数、例えば、100枚、毎に施封する(ST5)。損券裁断装置20は、送られて来た損券を集積した後、裁断する(ST6)。
【0013】
排除券は、排除券集積装置22に送られて集積される(ST7)。次いで、オペレータは、排除券集積装置22から排除券を取出し、人手で排除券枚数をカウントした後(ST8)、カウント枚数(例えば、20枚)を情報処理装置24に入力する(ST9)。情報処理装置24は、正券枚数+損券枚数+排除券枚数の合計が投入された1照合単位の紙幣枚数(例えば、1000枚)とを照合し(ST10)、一致するか否か確認する(ST11)。
不一致の場合、情報処理装置24は、モニタ28に不一致を表示するとともに、警告を発信する(ST12)。この場合、オペレータは、情報処理装置24に排除券枚数の修正あるいは確定を入力し、不一致警告を解除する(ST13)。
照合が一致している場合、情報処理装置24は、給紙装置12に投入された紙幣が残っているか、すなわち、紙幣投入が終了しているか否かを検出する(ST14)。紙幣投入が終了していない場合、情報処理装置24は前述した処理動作ST2~ST11を繰り返し実行する。なお、給紙装置12は、1バッチ、1000枚の紙幣束を例えば、10束~40束、連続して投入可能に構成されている。
【0014】
紙幣投入(例えば、1000枚×10束)および処理が終了している場合、情報処理装置24は、排除券の投入指示をモニタ28に表示する(ST15)。これに応じて、オペレータは、回収した排除券を給紙装置12に一括して再投入する(ST16)。情報処理装置24の制御の下、取出し搬送装置14は、排除券を1枚ずつ取り出し、判定装置16を通して損券裁断装置20に搬送し、損券裁断装置20は送られてきた排除券を裁断する(ST17)。この間、判定装置16は、搬送される排除券の枚数、すなわち、排除券の裁断枚数をカウントし、情報処理装置24の裁断枚数を送信する。
情報処理装置24は、オペレータにより入力された排除券枚数と裁断枚数とを照合し(ST18)、一致している場合、処理動作を終了する。
また、一致していない場合、情報処理装置24は、不一致を表示し、これに応じて、オペレータは再度排除券を投入し(ST16)、損券裁断装置20により排除券を裁断する。排除券枚数と裁断枚数とが一致するまで、処理ST16、ST17を繰り返す。
【0015】
なお、紙幣の投入(例えば、1000枚×10束)および処理した後の排除券の投入は、オペレータによる任意のタイミング(例えば、休憩などに合わせて)で実施可能であるが、情報処理装置24は、オペレータの交代、業務終了、設定された最大連続投入単位(例えば、1000枚×40束)の投入などに応じて、排除券の投入を強制的に指示することもできる。
【0016】
以上のように、本実施形態に係る紙葉類処理方法によれば、
1)排除券は、人手による判定後に枚数登録することで紙幣処理を続行することができるため、効率よく投入紙幣の連続処理が可能となる。更に、排除券の後処理は、紙葉類処理装置(システム)10内に排除券を一括投入することにより、一括して処理することができ、後処理の連携効率も良い。
2)排除券として登録した枚数と、排除券の投入で裁断した枚数との一致、不一致を厳密に照合することができ、裁断された排除券の枚数は、損券としてデータ処理されるため、計数に矛盾は発生しない。
3)排除券の投入指示により、人手判定済みの排除券が再投入により裁断されるように、判定装置の一部判定項目を緩和するが(枚数は最低保証)、管理者パスワード入力などにより開始可能となる。
4)排除券をシステム外で消却する手間が省け、システム内で一括消却(裁断)できるため効率化が図れる。
5)登録した排除券枚数と同じ数量を裁断しないと処理終了できないため、セキュリティの向上が図れる。
以上のことから、本実施形態によれば、排除券の処理効率を高め、かつ、セキュリティを確保することが可能な紙葉類処理方法を得ることができる。
【0017】
本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素、処理工程の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素、処理工程を適宜組み合わせてもよい。
1照合単位(処理単位)は、1000枚に限らず、任意の枚数に設定可能である。処理対象となる紙葉類は、紙幣に限らず、有価証券等の他の紙葉類にも適用可能である。
【符号の説明】
【0018】
10…紙葉類処理装置、12…給紙装置、14…取出し搬送装置、
16…判定装置(鑑査装置)、18…正券集積装置、20…損券裁断装置、
22…排除券集積装置、24…情報処理装置(制御部)
図1
図2A
図2B