IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オルガノ株式会社の特許一覧

特許7516167濃縮方法、濃縮装置、水処理方法、および水処理装置
<>
  • 特許-濃縮方法、濃縮装置、水処理方法、および水処理装置 図1
  • 特許-濃縮方法、濃縮装置、水処理方法、および水処理装置 図2
  • 特許-濃縮方法、濃縮装置、水処理方法、および水処理装置 図3
  • 特許-濃縮方法、濃縮装置、水処理方法、および水処理装置 図4
  • 特許-濃縮方法、濃縮装置、水処理方法、および水処理装置 図5
  • 特許-濃縮方法、濃縮装置、水処理方法、および水処理装置 図6
  • 特許-濃縮方法、濃縮装置、水処理方法、および水処理装置 図7
  • 特許-濃縮方法、濃縮装置、水処理方法、および水処理装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】濃縮方法、濃縮装置、水処理方法、および水処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/02 20060101AFI20240708BHJP
   B01D 61/10 20060101ALI20240708BHJP
   B01D 61/12 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
B01D61/02 500
B01D61/10
B01D61/12
B01D61/02 510
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020145883
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022040928
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若山 聖
(72)【発明者】
【氏名】高田 明広
【審査官】本間 友孝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/158547(WO,A1)
【文献】特開2018-001110(JP,A)
【文献】特開2018-065114(JP,A)
【文献】特開2018-069198(JP,A)
【文献】国際公開第2020/158456(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0349465(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00-71/82
B01D 53/22
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する半透膜モジュールを用いて、被処理水を前記第一空間に通水し、前記第一空間を加圧して前記被処理水に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって濃縮水を得るとともに、前記第二空間に、前記被処理水の一部または前記濃縮水の少なくとも一部を通水して希釈水を得る半透膜処理工程を含み、
前記被処理水は、硫酸イオン濃度が20000mg/L以上であり、ナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つの濃度が10000mg/L以上であり、
前記半透膜モジュールの透過流束を、0.005m/d~0.05m/dの範囲とすることを特徴とする濃縮方法。
【請求項2】
半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、被処理水を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、前記第一空間を加圧して前記被処理水に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって濃縮水を得て、その濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、前記被処理水の一部または前記濃縮水の少なくとも一部または他の半透膜モジュールから得られる希釈水の少なくとも一部を通水して希釈水を得る半透膜処理工程を含み、
前記被処理水は、硫酸イオン濃度が20000mg/L以上であり、ナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つの濃度が10000mg/L以上であり、
前記半透膜モジュールの透過流束を、0.005m/d~0.05m/dの範囲とすることを特徴とする濃縮方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の濃縮方法であって、
前記第一空間の流量を前記第二空間の流量よりも大きくすることを特徴とする濃縮方法。
【請求項4】
半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する半透膜モジュールを用いて、被処理水を前記第一空間に通水し、前記第一空間を加圧して前記被処理水に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって濃縮水を得るとともに、前記第二空間に、前記被処理水の一部または前記濃縮水の少なくとも一部を通水して希釈水を得る半透膜処理手段と、
前記半透膜モジュールの透過流束を0.005m/d~0.05m/dの範囲とする透過流束調節手段と、
を備え、
前記被処理水は、硫酸イオン濃度が20000mg/L以上であり、ナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つの濃度が10000mg/L以上であることを特徴とする濃縮装置。
【請求項5】
半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、被処理水を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、前記第一空間を加圧して前記被処理水に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって濃縮水を得て、その濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、前記被処理水の一部または前記濃縮水の少なくとも一部または他の半透膜モジュールから得られる希釈水の少なくとも一部を通水して希釈水を得る半透膜処理手段と、
前記半透膜モジュールの透過流束を0.005m/d~0.05m/dの範囲とする透過流束調節手段と、
を備え、
前記被処理水は、硫酸イオン濃度が20000mg/L以上であり、ナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つの濃度が10000mg/L以上であることを特徴とする濃縮装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の濃縮装置であって、
前記第一空間の流量を前記第二空間の流量よりも大きくなるようにする流量調節手段をさらに備えることを特徴とする濃縮装置。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の濃縮方法を含み、
前記半透膜処理工程の前段に、逆浸透膜処理工程を含むことを特徴とする水処理方法。
【請求項8】
請求項に記載の水処理方法であって、
前記半透膜処理工程の後段に、前記半透膜処理工程で得られる濃縮水から、硫酸イオンとアンモニウムイオンを硫酸アンモニウムの結晶体として回収する回収工程、および、硫酸イオンとナトリウムイオンを硫酸ナトリウムの結晶体として回収する回収工程のうち少なくとも1つの後処理工程を含むことを特徴とする水処理方法。
【請求項9】
請求項のいずれか1項に記載の濃縮装置と、
前記半透膜処理手段の前段に設けられた逆浸透膜処理手段と、
を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項10】
請求項に記載の水処理装置であって、
前記半透膜処理手段の後段に、前記半透膜処理手段で得られる濃縮水から、硫酸イオンとアンモニウムイオンを硫酸アンモニウムの結晶体として回収する回収手段、および、硫酸イオンとナトリウムイオンを硫酸ナトリウムの結晶体として回収する回収手段のうち少なくとも1つの後処理手段を備えることを特徴とする水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水の濃縮処理を行う濃縮方法、濃縮装置、その濃縮方法を含む水処理方法、およびその濃縮装置を有する水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体工場等から排出される排水のうち硫酸イオンやアンモニウムイオン、ナトリウムイオン等を含有する排水から、エバポレータや膜蒸留等の蒸発法を用いて有価物を回収する手法が用いられている。しかし、蒸発法は膨大なエネルギーが必要となるため、特許文献1のように、蒸発法の前段において逆浸透膜法で排水を減容化する方法が一般的に用いられている。また、蒸発法により生じた排出液は不純物が多く含まれており、系外に排出した場合、環境汚染が懸念されるため、特許文献2のように、蒸発法の排出液をさらに処理する方法が用いられている。
【0003】
排水中に含有されるイオンを高濃度に濃縮する方法として、上記の通り特許文献1のように逆浸透膜法と蒸発法とを組み合わせた方法が普及しているが、半導体工場の排水等、被処理水の硫酸イオンやアンモニウムイオン等のイオン濃度が高い場合、逆浸透膜法では過剰な浸透圧が掛かり、動力コストの増大や、十分な減容化ができない場合がある。蒸発法としてエバポレータ等の高濃縮可能な蒸発装置を使用する場合は、逆浸透膜法による減容化が不十分であるとエネルギーコストの低減が不十分になる可能性があり、また、蒸発装置で発生する高濃度の廃液の処理が必要になるため廃液の処理費用がかかる場合がある。
【0004】
また、特許文献2のように蒸発法により生じた排出液をさらに処理するシステムを備える場合、イニシャルコスト、ランニングコストの増大に繋がる。
【0005】
そのため、コストを低減し、高濃度の硫酸イオンやアンモニウムイオン等を含む被処理水を濃縮可能であり、高イオン濃度の廃液量を低減することができる新たな技術が必要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3477526号公報
【文献】特開2012-125745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高濃度で硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を低コストで濃縮可能であり、高イオン濃度の廃液量を低減することができる濃縮方法、濃縮装置、その濃縮方法を含む水処理方法、およびその濃縮装置を有する水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する半透膜モジュールを用いて、被処理水を前記第一空間に通水し、前記第一空間を加圧して前記被処理水に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって濃縮水を得るとともに、前記第二空間に、前記被処理水の一部または前記濃縮水の少なくとも一部を通水して希釈水を得る半透膜処理工程を含み、前記被処理水は、硫酸イオン濃度が20000mg/L以上であり、ナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つの濃度が10000mg/L以上であり、前記半透膜モジュールの透過流束を、0.005m/d~0.05m/dの範囲とする、濃縮方法である。
【0009】
本発明は、半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、被処理水を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、前記第一空間を加圧して前記被処理水に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって濃縮水を得て、その濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、前記被処理水の一部または前記濃縮水の少なくとも一部または他の半透膜モジュールから得られる希釈水の少なくとも一部を通水して希釈水を得る半透膜処理工程を含み、前記被処理水は、硫酸イオン濃度が20000mg/L以上であり、ナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つの濃度が10000mg/L以上であり、前記半透膜モジュールの透過流束を、0.005m/d~0.05m/dの範囲とする、濃縮方法である。
【0011】
前記濃縮方法において、前記第一空間の流量を前記第二空間の流量よりも大きくすることが好ましい。
【0012】
前記濃縮方法において、前記半透膜モジュールが、中空糸膜モジュールであることが好ましい。
【0013】
本発明は、半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する半透膜モジュールを用いて、被処理水を前記第一空間に通水し、前記第一空間を加圧して前記被処理水に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって濃縮水を得るとともに、前記第二空間に、前記被処理水の一部または前記濃縮水の少なくとも一部を通水して希釈水を得る半透膜処理手段と、前記半透膜モジュールの透過流束を0.005m/d~0.05m/dの範囲とする透過流束調節手段と、を備え、前記被処理水は、硫酸イオン濃度が20000mg/L以上であり、ナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つの濃度が10000mg/L以上である、濃縮装置である。
【0014】
本発明は、半透膜で仕切られた第一空間と第二空間とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、被処理水を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、前記第一空間を加圧して前記被処理水に含まれる水を前記半透膜を透過させることによって濃縮水を得て、その濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、前記被処理水の一部または前記濃縮水の少なくとも一部または他の半透膜モジュールから得られる希釈水の少なくとも一部を通水して希釈水を得る半透膜処理手段と、前記半透膜モジュールの透過流束を0.005m/d~0.05m/dの範囲とする透過流束調節手段と、を備え、前記被処理水は、硫酸イオン濃度が20000mg/L以上であり、ナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つの濃度が10000mg/L以上である、濃縮装置である。
【0016】
前記濃縮装置において、前記第一空間の流量を前記第二空間の流量よりも大きくなるようにする流量調節手段をさらに備えることが好ましい。
【0017】
前記濃縮装置において、前記半透膜モジュールが、中空糸膜モジュールであることが好ましい。
【0018】
本発明は、前記濃縮方法を含み、前記半透膜処理工程の前段に、逆浸透膜処理工程を含む、水処理方法である。
【0019】
前記水処理方法において、前記半透膜処理工程の後段に、前記半透膜処理工程で得られる濃縮水から、硫酸イオンとアンモニウムイオンを硫酸アンモニウムの結晶体として回収する回収工程、および、硫酸イオンとナトリウムイオンを硫酸ナトリウムの結晶体として回収する回収工程のうち少なくとも1つの後処理工程を含むことが好ましい。
【0020】
前記水処理方法において、半導体工場の排水について前記逆浸透膜処理工程を行うことが好ましい。
【0021】
本発明は、前記濃縮装置と、前記半透膜処理手段の前段に設けられた逆浸透膜処理手段と、を備える、水処理装置である。
【0022】
前記水処理装置において、前記半透膜処理手段の後段に、前記半透膜処理手段で得られる濃縮水から、硫酸イオンとアンモニウムイオンを硫酸アンモニウムの結晶体として回収する回収手段、および、硫酸イオンとナトリウムイオンを硫酸ナトリウムの結晶体として回収する回収手段のうち少なくとも1つの後処理手段を備えることが好ましい。
【0023】
前記水処理装置において、前記逆浸透膜処理手段は、半導体工場の排水について逆浸透膜処理を行う手段であることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、高濃度で硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を低コストで濃縮可能であり、高イオン濃度の廃液量を低減することができる濃縮方法、濃縮装置、その濃縮方法を含む水処理方法、およびその濃縮装置を有する水処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る濃縮装置の一例を示す概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る濃縮装置の他の例を示す概略構成図である。
図3】本発明の実施形態に係る濃縮装置の他の例を示す概略構成図である。
図4】本発明の実施形態に係る濃縮装置の他の例を示す概略構成図である。
図5】本発明の実施形態に係る濃縮装置の他の例を示す概略構成図である。
図6】本発明の実施形態に係る濃縮装置の他の例を示す概略構成図である。
図7】本発明の実施形態に係る濃縮装置の他の例を示す概略構成図である。
図8】本発明の実施形態に係る水処理装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0027】
<濃縮方法および濃縮装置>
本発明の実施形態に係る濃縮装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。
【0028】
図1に示す濃縮装置1は、半透膜で仕切られた第一空間(濃縮側)と第二空間(透過側)とを有する半透膜モジュールを用いて、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を第一空間に通水し、第一空間を加圧して被処理水に含まれる水を半透膜を透過させることによって濃縮水を得るとともに、第二空間に、被処理水の一部を通水して希釈水を得る半透膜処理手段として、例えば、膜モジュール10を備える。膜モジュール10は、半透膜12で仕切られた第一空間14および第二空間16を有する。濃縮装置1は、被処理水を貯留する被処理水槽を備えてもよい。
【0029】
図1の濃縮装置1において、膜モジュール10の第一空間入口には、ポンプ18を介して配管24が接続され、ポンプ18の下流側で配管24から分岐した配管26がバルブ22を介して膜モジュール10の第二空間入口に接続されている。膜モジュール10の第一空間出口にはバルブ23を介して配管28が接続され、膜モジュール10の第二空間出口には配管30が接続されている。
【0030】
ポンプ18は、例えば、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動され、被処理水を吸入して膜モジュール10に加圧吐出する加圧ポンプである。ポンプ18には、例えば、入力された指令信号に対応する駆動周波数をポンプ18に出力するインバーター20が設置されている。バルブ22、バルブ23は、例えば、手動または自動で開閉度を調節可能なバルブである。
【0031】
図1の濃縮装置1は、半透膜12で仕切られた第一空間14および第二空間16を有する膜モジュール10を用い、被処理水を膜モジュール10の第一空間入口から第一空間14と第二空間入口から第二空間16とに通水し、第一空間14を加圧することによって、その第一空間14の被処理水に含まれる水を半透膜12を介して第二空間16に透過させて水を濃縮する装置である。すなわち、濃縮装置1において、半透膜12を用いて被処理水が濃縮される。濃縮装置1は、膜モジュール10の第一空間14と第二空間16の両方に被処理水を供給して濃縮処理を行う装置である。
【0032】
濃縮装置1において、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水は、バルブ23が開状態で、ポンプ18により配管24を通して、膜モジュール10の第一空間入口から第一空間14へ加圧送液され、通水される。また、被処理水は、バルブ22が開状態で、配管24から分岐した配管26を通して、膜モジュール10の第二空間入口から第二空間16へ送液され、通水される。加圧された被処理水に含まれる水の一部は半透膜12を介して第一空間14から第二空間16に向かって透過する。このとき、硫酸イオン等のイオンの大部分は半透膜12を透過することができないので、半透膜12を透過しなかった第一空間14内の水が濃縮される。一方、第二空間16では、配管26を通して通水された被処理水の一部と、半透膜12を透過したイオン濃度の低い透過水とが合流するため、希釈効果が働く。第一空間14で得られた濃縮水は、第一空間出口から配管28を通して排出され、第二空間16で得られた希釈水は、第二空間出口から配管30を通して排出される。ここで、膜モジュール10において、第一空間14が加圧されてその第一空間14の被処理水に含まれる水が半透膜12を介して第二空間16に透過され、第一空間14で濃縮水が得られる(濃縮工程)とともに、第二空間16で希釈水が得られる(希釈工程)。第一空間14で得られた濃縮水の一部は、配管28を通して系外へ排出される。
【0033】
ここで、配管24,26、ポンプ18等が、膜モジュール10の第一空間14と第二空間16の両方に被処理水を供給する供給手段として機能する。
【0034】
第二空間16で得られた希釈水は、配管30を通して系外へ排出されてもよいし、必要に応じて希釈水槽へ送液されて貯留された後、系外へ排出されてもよい。希釈水の少なくとも一部は、被処理水槽に送液され、被処理水槽において被処理水と混合されてもよい。希釈水の少なくとも一部について、さらに他の処理が行われてもよい。
【0035】
以上のようにして、処理対象である、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水から、硫酸イオン等のイオンが濃縮された処理水(濃縮水)と、希釈水とが得られ、被処理水の減容化が行われる。
【0036】
膜モジュール10の第一空間14と第二空間16に硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を通水することによって、半透膜12の第一空間14側と第二空間16側の浸透圧差を小さくし、より少ない消費エネルギーで被処理水中の高イオン濃度の硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを濃縮することができる。すなわち、高濃度で硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を低コストで濃縮可能であり、高イオン濃度の廃液量を低減することができる。
【0037】
膜モジュール10への被処理水の供給流量と透過水流量と濃縮水流量とを調節する調節方法として、例えば、以下の方法を行えばよい。
【0038】
ポンプ18に駆動周波数を制御するインバーター20を設け、膜モジュール10への被処理水の供給流量を調節する。ポンプ18にインバーター20を設置することが好ましいが、設置しなくてもよい。被処理水の供給を第一空間14側と第二空間16側の両方に行い、第二空間16の入口前にバルブ22を設け、第一空間14の出口にバルブ23を設け、バルブ22とバルブ23の開度を手動または自動で調節することにより第一空間14側への供給水流量と第二空間16側への供給水流量との比を調節すればよい。
【0039】
透過水流量、濃縮水流量が不足する場合は、ポンプ18のインバーター20の周波数を上げて被処理水の供給量を増やせばよい。
【0040】
配管28の第一空間14の出口に開閉度を調節できるバルブ23を設け、バルブ23の開度によって濃縮水流量や第一空間14の入口および第一空間14の出口の圧力調整を行うことができる。
【0041】
これらの操作によって所定の第一空間14側の圧力、各種流量に調節することができる。
【0042】
また、被処理水の第一空間14側、第二空間16側への供給を別々のポンプにより行ってもよい。別々のポンプによって被処理水の供給を行う場合には、個々のポンプに駆動周波数を制御するインバーターを設けてもよい。
【0043】
第一空間14側と第二空間16側の両方に対して同一または近い濃度の被処理水を通水することによって、半透膜12により生じる浸透圧を低減し、必要圧力を低減することができる。その結果、従来の逆浸透膜法では濃縮することができなかった濃度の被処理水を濃縮することができる。
【0044】
本発明の実施形態に係る濃縮装置の他の例の概略を図2に示し、その構成について説明する。
【0045】
図2に示す濃縮装置2は、半透膜で仕切られた第一空間(濃縮側)と第二空間(透過側)とを有する半透膜モジュールを用いて、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を第一空間に通水し、第一空間を加圧して被処理水に含まれる水を半透膜を透過させることによって濃縮水を得るとともに、第二空間に、濃縮水の少なくとも一部を通水して希釈水を得る半透膜処理手段として、例えば、膜モジュール10を備える。膜モジュール10は、半透膜12で仕切られた第一空間14および第二空間16を有する。濃縮装置2は、被処理水を貯留する被処理水槽を備えてもよい。
【0046】
図2の濃縮装置2において、膜モジュール10の第一空間入口には、ポンプ18を介して配管24が接続されている。膜モジュール10の第一空間出口にはバルブ23を介して配管28が接続されている。バルブ23の上流側で配管28から分岐した配管34がバルブ32を介して膜モジュール10の第二空間入口に接続されている。膜モジュール10の第二空間出口には配管36が接続されている。
【0047】
ポンプ18は、例えば、入力された駆動周波数に応じた回転速度で駆動され、被処理水を吸入して膜モジュール10に加圧吐出する加圧ポンプである。ポンプ18には、例えば、入力された指令信号に対応する駆動周波数をポンプ18に出力するインバーター20が設置されている。バルブ23、バルブ32は、例えば、手動または自動で開閉度を調節可能なバルブである。
【0048】
図2の濃縮装置2は、半透膜12で仕切られた第一空間14および第二空間16を有する膜モジュール10を用い、被処理水を膜モジュール10の第一空間入口から第一空間14に通水するとともに、膜モジュール10の第一空間14の第一空間出口から排出された濃縮水の少なくとも一部を膜モジュール10の第二空間入口から第二空間16に通水し、第一空間14を加圧することによって、その第一空間14の被処理水に含まれる水を半透膜12を介して第二空間16に透過させて水を濃縮する装置である。すなわち、濃縮装置2において、半透膜12を用いて被処理水が濃縮される。濃縮装置2は、膜モジュール10の第一空間14に被処理水を供給し、第一空間14の出口から得られた濃縮水の少なくとも一部を膜モジュール10の第二空間16に供給して濃縮処理を行う装置である。
【0049】
本実施形態に係る水処理方法および濃縮装置2の動作について説明する。
【0050】
濃縮装置2において、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水は、バルブ23が開状態で、ポンプ18により配管24を通して、膜モジュール10の第一空間入口から第一空間14へ加圧送液され、通水される。加圧された被処理水に含まれる水の一部は半透膜12を介して第一空間14から第二空間16に向かって透過する。このとき、硫酸イオン等のイオンの大部分は半透膜12を透過することができないので、半透膜12を透過しなかった第一空間14内の水が濃縮される。一方、第二空間16では、配管34を通して通水された濃縮水の一部と、半透膜12を透過したイオン濃度の低い透過水とが合流するため、希釈効果が働く。第一空間14で得られた濃縮水は、第一空間出口から配管28を通して排出され、濃縮水の少なくとも一部は、バルブ32が開状態で、配管28から分岐した配管34を通して、膜モジュール10の第二空間入口から第二空間16へ送液され、通水される。第二空間16で得られた希釈水は、第二空間出口から配管36を通して排出される。ここで、膜モジュール10において、第一空間14が加圧されてその第一空間14の被処理水に含まれる水が半透膜12を介して第二空間16に透過され、第一空間14で濃縮水が得られる(濃縮工程)とともに、第二空間16で希釈水が得られる(希釈工程)。第一空間14で得られた濃縮水の一部は、配管28を通して系外へ排出されてもよい。濃縮水の少なくとも一部は、上記の通り膜モジュール10の第二空間16へ配管28,34を通して送液、通水される。
【0051】
ここで、配管24,28,34、ポンプ18等が、膜モジュール10の第一空間14に被処理水を供給し、第一空間14の出口から得られた濃縮水の少なくとも一部を膜モジュール10の第二空間16に供給する供給手段として機能する。
【0052】
第二空間16で得られた希釈水は、配管36を通して系外へ排出されてもよいし、必要に応じて希釈水槽へ送液されて貯留された後、系外へ排出されてもよい。希釈水の少なくとも一部は、被処理水槽に送液され、被処理水槽において被処理水と混合されてもよい。希釈水の少なくとも一部について、さらに他の処理が行われてもよい。
【0053】
以上のようにして、処理対象である、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水から、硫酸イオン等のイオンが濃縮された処理水(濃縮水)と、希釈水とが得られ、被処理水の減容化が行われる。
【0054】
膜モジュール10の第一空間14に硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を通水し、第二空間16に第一空間14で得られた濃縮水の少なくとも一部を通水することによって、半透膜12の第一空間14側と第二空間16側の浸透圧差を小さくし、より少ない消費エネルギーで被処理水中の高イオン濃度の硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを濃縮することができる。すなわち、高濃度で硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を低コストで濃縮可能であり、高イオン濃度の廃液量を低減することができる。
【0055】
膜モジュール10への被処理水の供給流量と透過水流量と濃縮水流量とを調節する調節方法として、例えば、以下の方法を行えばよい。
【0056】
ポンプ18に駆動周波数を制御するインバーター20を設け、膜モジュール10への被処理水の供給流量を調節する。ポンプ18にインバーター20を設置することが好ましいが、設置しなくてもよい。被処理水の供給を第一空間14側に行い、第一空間14の出口にバルブ23を設け、第二空間16の入口前にバルブ32を設け、バルブ23、バルブ32の開度を手動または自動で調節することにより第一空間14側への供給水流量と第二空間16側への供給水流量との比を調節すればよい。
【0057】
透過水流量、濃縮水流量が不足する場合は、ポンプ18のインバーター20の周波数を上げて被処理水の供給量を増やせばよい。
【0058】
配管28の第一空間14の出口に開閉度を調節できるバルブ23を設け、バルブ23の開度によって濃縮水流量や第一空間14の入口および第一空間14の出口の圧力調整を行うことができる。
【0059】
これらの操作によって所定の第一空間14側の圧力、各種流量に調節することができる。
【0060】
また、配管34の途中に濃縮水を貯留する濃縮水槽を設け、被処理水の第一空間14側、第二空間16側への供給を別々のポンプにより行ってもよい。別々のポンプによって被処理水および濃縮水の供給を行う場合には、個々のポンプに駆動周波数を制御するインバーターを設けてもよい。
【0061】
第一空間14側に対して被処理水を通水し、第二空間16側に対して近い濃度の濃縮水を通水することによって、半透膜12により生じる浸透圧を低減し、必要圧力を低減することができる。その結果、従来の逆浸透膜法では濃縮することができなかった濃度の被処理水を濃縮することができる。
【0062】
本発明の実施形態に係る濃縮方法および濃縮装置において、通水する被処理水は、硫酸イオン濃度が20000mg/L以上であり、ナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つの濃度が10000mg/L以上である。被処理水の硫酸イオン濃度は、40000mg/L以上であることが好ましく、40000~250000mg/Lの範囲であることがより好ましい。被処理水のナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つの濃度は、20000mg/L以上であることが好ましく、20000~100000mg/Lの範囲であることがより好ましい。
【0063】
第一空間14の入口圧力は、7MPa以下の範囲とすることが好ましく、第二空間16の入口圧力は第一空間14の入口圧力よりも小さい圧力とすることが好ましく、第二空間16の入口圧力は第一空間14の入口圧力の50%以下にすることがより好ましい。これによって、圧力による半透膜の破損リスクを低減することができる。
【0064】
第一空間14側の流量を第二空間16側の流量よりも大きくすることが好ましい。第一空間14側の流量が第二空間16側の流量以下であると、透過流束が高くなりすぎる場合がある。例えば、ポンプ18、インバーター20、バルブ22、バルブ23、バルブ32等が、第一空間の流量を第二空間の流量よりも大きくなるようにする流量調節手段として機能する。
【0065】
透過流束が大きすぎると濃度差が大きくなり、ファウリングリスクが高くなる、圧力が高くなりすぎるといった問題が生じる場合がある。また、透過流束が小さすぎると、濃縮効率が悪くなる場合がある。これらの点から、膜モジュール10の透過流束を、0.005m/d~0.05m/dの範囲とすることが好ましく、0.015m/d~0.04m/dの範囲とすることがより好ましい。なお、透過流束は、単位時間、単位膜面積当たりの透過流量として定義される。例えば、ポンプ18、インバーター20、バルブ22、バルブ23、バルブ32等が、透過流束を上記範囲に制御する透過流束調節手段として機能する。
【0066】
なお、バルブの設置位置や設置数は一例にすぎず、図1図2に示している数よりも多くてもよく、他の配管のうち少なくとも1つに設置してもよい。また、流量を測定する流量測定手段として流量計や、圧力を測定する圧力測定手段として圧力計を、各配管のうち少なくとも1つに設置してもよい。
【0067】
本実施形態に係る濃縮方法および濃縮装置において、多段式の半透膜モジュールを用いてもよい。このような構成の濃縮装置の例を図3図4図5に示す。図3図4図5に示す濃縮装置は、半透膜モジュールが直列で3段に組み合わせた構造を有している。
【0068】
図3に示す濃縮装置3は、半透膜で仕切られた第一空間(濃縮側)と第二空間(透過側)とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、第一空間を加圧して被処理水に含まれる水を半透膜を透過させることによって濃縮水を得て、その濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、被処理水の一部または濃縮水の一部を通水して希釈水を得る半透膜処理手段として、例えば、1段目膜モジュール10a、2段目膜モジュール10b、3段目膜モジュール10cを備える。それぞれの膜モジュールは、半透膜12で仕切られた第一空間14および第二空間16を有する。濃縮装置3は、1段目膜モジュール10aからの希釈水を貯留する希釈水槽60a、2段目膜モジュール10bからの希釈水を貯留する希釈水槽60b、3段目膜モジュール10cからの希釈水を貯留する希釈水槽60cを備えてもよい。濃縮装置3は、第1段の膜モジュールの第一空間および第二空間に被処理水を供給し、その濃縮水を順次次段の膜モジュールの第一空間および第二空間に供給して濃縮処理を行う装置である。
【0069】
図3の濃縮装置3において、1段目膜モジュール10aの第一空間入口にはポンプ18を介して配管40が接続されている。配管40のポンプ18の下流側から分岐した配管42がバルブ22aを介して膜モジュール10aの第二空間入口に接続されている。1段目膜モジュール10aの第二空間出口と希釈水槽60aの入口とは、配管46により接続されている。1段目膜モジュール10aの第一空間出口と2段目膜モジュール10bの第一空間入口とは、配管44により接続されている。配管44から分岐した配管48がバルブ22bを介して2段目膜モジュール10bの第二空間入口に接続されている。2段目膜モジュール10bの第二空間出口と希釈水槽60bの入口とは、配管52により接続されている。2段目膜モジュール10bの第一空間出口と3段目膜モジュール10cの第一空間入口とは、配管50により接続されている。配管50から分岐した配管54がバルブ22cを介して3段目膜モジュール10cの第二空間入口に接続されている。3段目膜モジュール10cの第二空間出口と希釈水槽60cの入口とは、配管58により接続されている。3段目膜モジュール10cの第一空間出口には、バルブ23を介して配管56が接続されている。
【0070】
濃縮装置3は、半透膜12で仕切られた第一空間14および第二空間16を有する多段式の膜モジュールを用い、第1段の膜モジュールの第一空間および第二空間に被処理水を供給し、その濃縮水を順次次段の膜モジュールの第一空間および第二空間に供給し、各段の第一空間14を加圧することによってその第一空間14に含まれる水を半透膜12を介して第二空間16に透過させて水を濃縮する装置である。すなわち、濃縮装置3において、半透膜12を用いて被処理水が濃縮され、その濃縮水がさらに次の段の半透膜12を用いて濃縮される。
【0071】
具体的には、濃縮装置3において、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水は、バルブ23が開状態で、ポンプ18により配管40を通して、1段目膜モジュール10aの第一空間14aへ送液され、配管40から分岐された被処理水は、バルブ22aが開状態で、配管42を通して、1段目膜モジュール10aの第二空間16aへ送液される。1段目膜モジュール10aにおいて、第一空間14aが加圧されてその第一空間14aに含まれる水が半透膜12aを介して第二空間16aに透過される(濃縮工程(1段目))とともに、第二空間16aで希釈水が得られる(希釈工程(1段目))。1段目膜モジュール10aの第二空間16aで得られた希釈水は、配管46を通して必要に応じて希釈水槽60aに貯留された後、系外へ排出される。
【0072】
1段目膜モジュール10aの第一空間14aで得られた濃縮水は、配管44を通して、2段目膜モジュール10bの第一空間14bへ送液され、配管44から分岐された濃縮水は、バルブ22bが開状態で、配管48を通して、2段目膜モジュール10bの第二空間16bへ送液される。2段目膜モジュール10bにおいて、第一空間14bが加圧されてその第一空間14bに含まれる水が半透膜12bを介して第二空間16bに透過される(濃縮工程(2段目))とともに、第二空間16bで希釈水が得られる(希釈工程(2段目))。2段目膜モジュール10bの第二空間16bで得られた希釈水は、配管52を通して必要に応じて希釈水槽60bに貯留された後、系外へ排出される。
【0073】
2段目膜モジュール10bの第一空間14bで得られた濃縮水は、配管50を通して、3段目膜モジュール10cの第一空間14cへ送液され、配管50から分岐された濃縮水は、バルブ22cが開状態で、配管54を通して、3段目膜モジュール10cの第二空間16cへ送液される。3段目膜モジュール10cにおいて、第一空間14cが加圧されてその第一空間14cに含まれる水が半透膜12cを介して第二空間16cに透過される(濃縮工程(3段目))とともに、第二空間16cで希釈水が得られる(希釈工程(3段目))。3段目膜モジュール10cの第二空間16cで得られた希釈水は、配管58を通して必要に応じて希釈水槽60cに貯留された後、系外へ排出される。3段目膜モジュール10cの第一空間14cで得られた濃縮水は、配管56を通して系外へ排出される。
【0074】
ここで、ポンプ18、配管40,42,44,48,50,54等が、各段の膜モジュール10a,10b,10cの第一空間14a,14b,14c、第二空間16a,16b,16cに被処理水または濃縮水を供給する供給手段として機能する。
【0075】
各段の膜モジュール10a,10b,10cの第二空間16a,16b,16cで得られた希釈水は、系外へ排出されてもよいし、必要に応じて希釈水槽60a,60b,60cへ送液されて貯留された後、系外へ排出されてもよい。希釈水の少なくとも一部は、1段目膜モジュール10aの被処理水と混合されてもよい。希釈水の少なくとも一部について、さらに他の処理が行われてもよい。
【0076】
以上のようにして、処理対象である、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水から、硫酸イオン等のイオンが濃縮された処理水(最終段の濃縮水)と、希釈水(各段の希釈水)とが得られ、被処理水の減容化が行われる。
【0077】
図4に示す濃縮装置4は、半透膜で仕切られた第一空間(濃縮側)と第二空間(透過側)とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、第一空間を加圧して被処理水に含まれる水を半透膜を透過させることによって濃縮水を得て、その濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、濃縮水の少なくとも一部を通水して希釈水を得る半透膜処理手段として、例えば、1段目膜モジュール10a、2段目膜モジュール10b、3段目膜モジュール10cを備える。それぞれの膜モジュールは、半透膜12で仕切られた第一空間14および第二空間16を有する。濃縮装置4は、1段目膜モジュール10aからの希釈水を貯留する希釈水槽62a、2段目膜モジュール10bからの希釈水を貯留する希釈水槽62b、3段目膜モジュール10cからの希釈水を貯留する希釈水槽62cを備えてもよい。濃縮装置4は、第1段の膜モジュールの第一空間に被処理水を供給し、その濃縮水を順次次段の膜モジュールの第一空間および自身の第二空間に供給して濃縮処理を行う装置である。
【0078】
図4の濃縮装置4において、1段目膜モジュール10aの第一空間入口にはポンプ18を介して配管40が接続されている。1段目膜モジュール10aの第一空間出口と2段目膜モジュール10bの第一空間入口とは、配管44により接続されている。配管44から分岐した配管64がバルブ32aを介して膜モジュール10aの第二空間入口に接続されている。1段目膜モジュール10aの第二空間出口と希釈水槽62aの入口とは、配管66により接続されている。2段目膜モジュール10bの第一空間出口と3段目膜モジュール10cの第一空間入口とは、配管50により接続されている。配管50から分岐した配管68がバルブ32bを介して膜モジュール10bの第二空間入口に接続されている。2段目膜モジュール10bの第二空間出口と希釈水槽62bの入口とは、配管70により接続されている。3段目膜モジュール10cの第一空間出口には、バルブ23を介して配管56が接続されている。バルブ23の上流側で配管56から分岐した配管72がバルブ32cを介して膜モジュール10cの第二空間入口に接続されている。3段目膜モジュール10cの第二空間出口と希釈水槽62cの入口とは、配管74により接続されている。
【0079】
濃縮装置4は、半透膜12で仕切られた第一空間14および第二空間16を有する多段式の膜モジュールを用い、第1段の膜モジュールの第一空間に被処理水を供給し、その濃縮水を順次次段の膜モジュールの第一空間および自身の第二空間に供給し、各段の第一空間14を加圧することによってその第一空間14に含まれる水を半透膜12を介して第二空間16に透過させて水を濃縮する装置である。すなわち、濃縮装置4において、半透膜12を用いて被処理水が濃縮され、その濃縮水がさらに次の段の半透膜12を用いて濃縮される。
【0080】
具体的には、濃縮装置4において、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水は、バルブ23が開状態で、ポンプ18により配管40を通して、1段目膜モジュール10aの第一空間14aへ送液される。1段目膜モジュール10aにおいて、第一空間14aが加圧されてその第一空間14aに含まれる水が半透膜12aを介して第二空間16aに透過される(濃縮工程(1段目))とともに、第二空間16aで希釈水が得られる(希釈工程(1段目))。1段目膜モジュール10aの第一空間14aで得られた濃縮水は、配管44を通して、2段目膜モジュール10bの第一空間14bへ送液され、配管44から分岐された濃縮水は、バルブ32aが開状態で、配管64を通して、1段目膜モジュール10aの第二空間16aへ送液される。1段目膜モジュール10aの第二空間16aで得られた希釈水は、配管66を通して必要に応じて希釈水槽62aに貯留された後、系外へ排出される。
【0081】
2段目膜モジュール10bにおいて、第一空間14bが加圧されてその第一空間14bに含まれる水が半透膜12bを介して第二空間16bに透過される(濃縮工程(2段目))とともに、第二空間16bで希釈水が得られる(希釈工程(2段目))。2段目膜モジュール10bの第一空間14bで得られた濃縮水は、配管50を通して、3段目膜モジュール10cの第一空間14cへ送液され、配管50から分岐された濃縮水は、バルブ32bが開状態で、配管68を通して、2段目膜モジュール10bの第二空間16bへ送液される。2段目膜モジュール10bの第二空間16bで得られた希釈水は、配管70を通して必要に応じて希釈水槽62bに貯留された後、系外へ排出される。
【0082】
3段目膜モジュール10cにおいて、第一空間14cが加圧されてその第一空間14cに含まれる水が半透膜12cを介して第二空間16cに透過される(濃縮工程(3段目))とともに、第二空間16cで希釈水が得られる(希釈工程(3段目))。3段目膜モジュール10cの第一空間14cで得られた濃縮水は、配管56を通して排出され、配管56から分岐された濃縮水は、バルブ32cが開状態で、配管72を通して、3段目膜モジュール10cの第二空間16cへ送液される。3段目膜モジュール10cの第二空間16cで得られた希釈水は、配管74を通して必要に応じて希釈水槽62cに貯留された後、系外へ排出される。
【0083】
ここで、ポンプ18、配管40,44,64,50,68,56,72等が、各段の膜モジュール10a,10b,10cの第一空間14a,14b,14c、第二空間16a,16b,16cに被処理水または濃縮水を供給する供給手段として機能する。
【0084】
各段の膜モジュール10a,10b,10cの第二空間16a,16b,16cで得られた希釈水は、系外へ排出されてもよいし、必要に応じて希釈水槽62a,62b,62cへ送液されて貯留された後、系外へ排出されてもよい。希釈水の少なくとも一部は、1段目膜モジュール10aの被処理水と混合されてもよい。希釈水の少なくとも一部について、さらに他の処理が行われてもよい。
【0085】
以上のようにして、処理対象である、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水から、硫酸イオン等のイオンが濃縮された処理水(最終段の濃縮水)と、希釈水(各段の希釈水)とが得られ、被処理水の減容化が行われる。
【0086】
多段式の膜モジュールを用いる場合、第二空間側の通水を直列的に行ってもよい。このような構成の濃縮装置の一例を図5に示す。図5に示す濃縮装置5は、半透膜で仕切られた第一空間(濃縮側)と第二空間(透過側)とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、第一空間を加圧して被処理水に含まれる水を半透膜を透過させることによって濃縮水を得て、その濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、濃縮水の少なくとも一部または他の半透膜モジュールから得られる希釈水の少なくとも一部を通水して希釈水を得る半透膜処理手段として、例えば、1段目膜モジュール10a、2段目膜モジュール10b、3段目膜モジュール10cを備える。それぞれの膜モジュールは、半透膜12で仕切られた第一空間14および第二空間16を有する。濃縮装置5は、第1段の膜モジュールの第一空間に被処理水を供給し、その濃縮水を順次次段の膜モジュールの第一空間に供給して濃縮処理を行う装置である。
【0087】
図5の濃縮装置5において、1段目膜モジュール10aの第一空間入口にはポンプ18を介して配管40が接続されている。1段目膜モジュール10aの第一空間出口と2段目膜モジュール10bの第一空間入口とは、配管44により接続されている。2段目膜モジュール10bの第一空間出口と3段目膜モジュール10cの第一空間入口とは、配管50により接続されている。3段目膜モジュール10cの第一空間出口には、バルブ23を介して配管56が接続されている。バルブ23の上流側で配管56から分岐した配管76がバルブ32を介して膜モジュール10cの第二空間入口に接続されている。3段目膜モジュール10cの第二空間出口と2段目膜モジュール10bの第二空間入口とは、配管78により接続されている。2段目膜モジュール10bの第二空間出口と1段目膜モジュール10aの第二空間入口とは、配管80により接続されている。1段目膜モジュール10aの第二空間出口には、配管82が接続されている。
【0088】
濃縮装置5は、半透膜12で仕切られた第一空間14および第二空間16を有する多段式の膜モジュールを用い、第1段の膜モジュールの第一空間に被処理水を供給し、その濃縮水を順次次段の膜モジュールの第一空間に直列的に通水し、最終段の膜モジュールの濃縮水の少なくとも一部を自身の第二空間に供給し、得られる希釈水をその前段の膜モジュールの第二空間に直列的に通水し、各段の第一空間14を加圧することによってその第一空間14に含まれる水を半透膜12を介して第二空間16に透過させて水を濃縮する装置である。すなわち、濃縮装置5において、半透膜12を用いて被処理水が濃縮され、その濃縮水がさらに次の段の半透膜12を用いて濃縮される。
【0089】
具体的には、濃縮装置5において、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水は、バルブ23が開状態で、ポンプ18により配管40を通して、1段目膜モジュール10aの第一空間14aへ送液される。一方、後述する3段目膜モジュール10cの第二空間16c、2段目膜モジュール10bの第二空間16bを経由して送液された希釈水が配管80を通して、1段目膜モジュール10aの第二空間16aへ送液される。1段目膜モジュール10aにおいて、第一空間14aが加圧されてその第一空間14aに含まれる水が半透膜12aを介して第二空間16aに透過される(濃縮工程(1段目))とともに、第二空間16aで希釈水が得られる(希釈工程(1段目))。1段目膜モジュール10aの第一空間14aで得られた濃縮水は、配管44を通して、2段目膜モジュール10bの第一空間14bへ送液される。1段目膜モジュール10aの第二空間16aで得られた希釈水は、配管82を通して系外へ排出される。
【0090】
2段目膜モジュール10bにおいて、後述する3段目膜モジュール10cの第二空間16cを経由して送液された希釈水が配管78を通して、2段目膜モジュール10bの第二空間16bへ送液される。第一空間14bが加圧されてその第一空間14bに含まれる水が半透膜12bを介して第二空間16bに透過される(濃縮工程(2段目))とともに、第二空間16bで希釈水が得られる(希釈工程(2段目))。2段目膜モジュール10bの第一空間14bで得られた濃縮水は、配管50を通して、3段目膜モジュール10cの第一空間14cへ送液される。2段目膜モジュール10bの第二空間16bで得られた希釈水は、配管80を通して1段目膜モジュール10aの第二空間16aへ送液される。
【0091】
3段目膜モジュール10cにおいて、下記の通り3段目膜モジュール10cの第一空間14cで得られた濃縮水が、配管56,76を通して第二空間16cへ送液される。第一空間14cが加圧されてその第一空間14cに含まれる水が半透膜12cを介して第二空間16cに透過される(濃縮工程(3段目))とともに、第二空間16cで希釈水が得られる(希釈工程(3段目))。3段目膜モジュール10cの第一空間14cで得られた濃縮水は、配管56を通して排出され、配管56から分岐された濃縮水は、バルブ32が開状態で、配管76を通して、3段目膜モジュール10cの第二空間16cへ送液される。3段目膜モジュール10cの第二空間16cで得られた希釈水は、配管78を通して2段目膜モジュール10bの第二空間16bへ送液される。
【0092】
ここで、ポンプ18、配管40,44,50、56,76,78,80等が、各段の膜モジュール10a,10b,10cの第一空間14a,14b,14c、第二空間16a,16b,16cに被処理水または濃縮水または希釈水を供給する供給手段として機能する。
【0093】
膜モジュール10aの第二空間16aで得られた希釈水は、系外へ排出されてもよいし、必要に応じて希釈水槽へ送液されて貯留された後、系外へ排出されてもよい。希釈水の少なくとも一部は、1段目膜モジュール10aの被処理水と混合されてもよい。希釈水の少なくとも一部について、さらに他の処理が行われてもよい。
【0094】
以上のようにして、処理対象である、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水から、硫酸イオン等のイオンが濃縮された処理水(最終段の濃縮水)と、希釈水(最終段の希釈水)とが得られ、被処理水の減容化が行われる。
【0095】
図3に示す濃縮装置3、図4に示す濃縮装置4、図5に示す濃縮装置5では、1段目から後段の膜モジュールに行くにつれて各膜モジュールに供給される被処理水は濃縮されていくため、高濃度となっていく。最終的に高濃度に濃縮されるため、浸透圧を低減することが可能な本方法によって、従来の逆浸透膜法では浸透圧の影響により濃縮が困難であった濃度にまで濃縮することが可能となる。
【0096】
1段目膜モジュール10aに被処理水が供給される際に例えば7MPa以下の圧力を加え、後段の膜モジュールへの被処理水の供給は1段目膜モジュール10aに加えられた圧力により行われればよい。各膜モジュールにおける第一空間14の入口圧力は、7MPa以下の範囲とすることが好ましく、第二空間16の入口圧力は第一空間14の入口圧力よりも小さい圧力とすることが好ましく、第二空間16の入口圧力は第一空間14の入口圧力の50%以下にすることがより好ましい。これによって、圧力による半透膜の破損リスクを低減することができる。
【0097】
各膜モジュール10における第一空間14側の流量を第二空間16側の流量よりも大きくすることが好ましい。第一空間14側の流量が第二空間16側の流量以下であると、後段の膜モジュールの第一空間14側の流量が不足する場合がある。例えば、ポンプ18、インバーター20、バルブ22a,22b,22c、バルブ23、バルブ32a,32b,32c、バルブ32等が、第一空間の流量を第二空間の流量よりも大きくなるようにする流量調節手段として機能する。
【0098】
透過流束が大きすぎると膜面の濃度分極が大きくなり、ファウリングリスクが高くなる、圧力が高くなりすぎるといった問題が生じる場合がある。また、透過流束が小さすぎると、濃縮効率が悪くなる場合がある。これらの点から、各膜モジュール10の透過流束を、0.005m/d~0.05m/dの範囲とすることが好ましく、0.015m/d~0.04m/dの範囲とすることがより好ましい。例えば、ポンプ18、インバーター20、バルブ22a,22b,22c、バルブ23、バルブ32a,32b,32c、バルブ32等が、透過流束を上記範囲に制御する透過流束調節手段として機能する。
【0099】
1段目の膜モジュール10aに通水される被処理水が、硫酸イオン濃度が20000mg/L以上であり、ナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つの濃度が10000mg/L以上である場合、最終段の膜モジュール10の第一空間14側から排出される濃縮水が硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムとして25重量%以上の濃度であることが好ましく、30重量%以上の濃度であることがより好ましい。
【0100】
なお、バルブの設置位置や設置数は一例にすぎず、図3図4図5に示している数よりも多くてもよく、他の配管のうち少なくとも1つに設置してもよい。また、流量を測定する流量測定手段として流量計や、圧力を測定する圧力測定手段として圧力計を、各配管のうち少なくとも1つに設置してもよい。
【0101】
また、図3図4図5は装置構成の一例であり、半透膜モジュールの配列や供給水の供給方法等は、適宜変更してもよい。
【0102】
図5の濃縮装置は、各段の膜モジュールの第一空間および第二空間のそれぞれに直列的に通水していくため、図3図4の濃縮装置に比べて、全体の水量を抑制することができ、ポンプの動力を低減することができるため、好ましい。
【0103】
本実施形態に係る濃縮方法および濃縮装置において、多段式の膜モジュールを用いて、各段の膜モジュールとして、並列的に接続された複数本の膜モジュールを備える膜モジュールユニットを用いてもよい。このような構成の濃縮装置の例を図6図7に示す。図6図7に示す濃縮装置は、1段目では半透膜モジュールを4列の並列に組み合わせ、2段目では半透膜モジュールを4列の並列に組み合わせ、3段目では半透膜モジュールを2列の並列に組み合わせ、4段目には半透膜モジュールを2列の並列に組み合わせて、直列で4段に接続した構造を有している。
【0104】
図6に示す濃縮装置6は、半透膜で仕切られた第一空間(濃縮側)と第二空間(透過側)とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、第一空間を加圧して被処理水に含まれる水を半透膜を透過させることによって濃縮水を得て、その濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、被処理水の一部または濃縮水の一部を通水して希釈水を得る半透膜処理手段として、例えば、1段目膜モジュールユニット100a、2段目膜モジュールユニット100b、3段目膜モジュールユニット100c、4段目膜モジュールユニット100dを備える。1段目膜モジュールユニット100aは、例えば、並列的に接続された4本の膜モジュールを備え、2段目膜モジュールユニット100bは、例えば、並列的に接続された4本の膜モジュールを備え、3段目膜モジュールユニット100cは、例えば、並列的に接続された2本の膜モジュールを備え、4段目膜モジュールユニット100dは、例えば、並列的に接続された2本の膜モジュールを備える。それぞれの膜モジュール10は、半透膜12で仕切られた第一空間14および第二空間16を有する。濃縮装置6は、被処理水を貯留する被処理水槽84と、4段目膜モジュールユニット100dからの濃縮水を貯留する濃縮水槽86と、を備えてもよい。濃縮装置6は、第1段の膜モジュールユニットの各膜モジュールの第一空間および第二空間に被処理水を供給し、その濃縮水を順次次段の膜モジュールユニットの各膜モジュールの第一空間および第二空間に供給して濃縮処理を行う装置である。
【0105】
図6の濃縮装置6において、被処理水槽84の出口と1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第一空間入口および第二空間入口とは、ポンプ18を介して配管88により接続されている。1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第一空間出口と2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第一空間入口および第二空間入口とは、配管90により接続されている。2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第一空間出口と3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第一空間入口および第二空間入口とは、配管94により接続されている。3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第一空間出口と4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第一空間入口および第二空間入口とは、配管98により接続されている。4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第一空間出口と濃縮水槽86の入口とは、配管104により接続されている。1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第二空間出口には、配管92が接続され、2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第二空間出口には、配管96が接続され、3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第二空間出口には、配管102が接続され、4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第二空間出口には、配管106が接続され、配管96、102,106は、配管92に合流してもよい。
【0106】
濃縮装置6は、半透膜12で仕切られた第一空間14および第二空間16を有する膜モジュール10を備える多段式の膜モジュールユニットを用い、第1段の膜モジュールユニットの各膜モジュールの第一空間および第二空間に被処理水を供給し、その濃縮水を順次次段の膜モジュールユニットの各膜モジュールの第一空間および第二空間に供給し、各段の膜モジュールの第一空間14を加圧することによってその第一空間14に含まれる水を半透膜12を介して第二空間16に透過させて水を濃縮する装置である。すなわち、濃縮装置3において、半透膜12を用いて被処理水が濃縮され、その濃縮水がさらに次の段の半透膜12を用いて濃縮される。
【0107】
具体的には、濃縮装置6において、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水は、被処理水槽84からポンプ18により配管88を通して、1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第一空間14および第二空間16へ送液される。1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールにおいて、第一空間14aが加圧されてその第一空間14に含まれる水が半透膜12を介して第二空間16に透過される(濃縮工程(1段目))とともに、第二空間16で希釈水が得られる(希釈工程(1段目))。1段目膜モジュール10の第二空間16で得られた希釈水は、配管92を通して必要に応じて希釈水槽に貯留された後、系外へ排出される。
【0108】
1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第一空間14で得られた濃縮水は、配管90を通して、2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第一空間14および第二空間16へ送液される。2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールにおいて、第一空間14が加圧されてその第一空間14に含まれる水が半透膜12を介して第二空間16に透過される(濃縮工程(2段目))とともに、第二空間16で希釈水が得られる(希釈工程(2段目))。2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第二空間16で得られた希釈水は、配管96を通して必要に応じて希釈水槽に貯留された後、系外へ排出される。
【0109】
2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第一空間14で得られた濃縮水は、配管94を通して、3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第一空間14および第二空間16へ送液される。3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールにおいて、第一空間14が加圧されてその第一空間14に含まれる水が半透膜12を介して第二空間16に透過される(濃縮工程(3段目))とともに、第二空間16で希釈水が得られる(希釈工程(3段目))。3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第二空間16で得られた希釈水は、配管102を通して必要に応じて希釈水槽に貯留された後、系外へ排出される。
【0110】
3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第一空間14で得られた濃縮水は、配管98を通して、4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第一空間14および第二空間16へ送液される。4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールにおいて、第一空間14が加圧されてその第一空間14に含まれる水が半透膜12を介して第二空間16に透過される(濃縮工程(4段目))とともに、第二空間16で希釈水が得られる(希釈工程(4段目))。4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第一空間14で得られた濃縮水は、配管104を通して、必要に応じて濃縮水槽86に貯留された後、系外へ排出される。4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第二空間16で得られた希釈水は、配管106を通して必要に応じて希釈水槽に貯留された後、系外へ排出される。
【0111】
ここで、ポンプ18、配管88,90,94,98等が、各段の膜モジュールユニット100a,100b,100c,100dの各膜モジュールの第一空間14、第二空間16に被処理水または濃縮水を供給する供給手段として機能する。
【0112】
各段の膜モジュールユニット100a,100b,100c,100dの各膜モジュールの第二空間16で得られた希釈水は、系外へ排出されてもよいし、必要に応じて希釈水槽へ送液されて貯留された後、系外へ排出されてもよい。希釈水の少なくとも一部は、被処理水槽84へ返送されて、1段目膜モジュールユニット100aの被処理水と混合されてもよい。希釈水の少なくとも一部について、さらに他の処理が行われてもよい。
【0113】
以上のようにして、処理対象である、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水から、硫酸イオン等のイオンが濃縮された処理水(最終段の濃縮水)と、希釈水(各段の希釈水)とが得られ、被処理水の減容化が行われる。
【0114】
図7に示す濃縮装置7は、半透膜で仕切られた第一空間(濃縮側)と第二空間(透過側)とを有する、複数段に接続された半透膜モジュールを用いて、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を第1段の半透膜モジュールの第一空間に通水し、第一空間を加圧して被処理水に含まれる水を半透膜を透過させることによって濃縮水を得て、その濃縮水をさらに次段以降の半透膜モジュールを用いて濃縮水を得るとともに、各段の半透膜モジュールの第二空間に、濃縮水の少なくとも一部または他の半透膜モジュールから得られる希釈水の少なくとも一部を通水して希釈水を得る半透膜処理手段として、例えば、1段目膜モジュールユニット100a、2段目膜モジュールユニット100b、3段目膜モジュールユニット100c、4段目膜モジュールユニット100dを備える。1段目膜モジュールユニット100aは、例えば、並列的に接続された4本の膜モジュールを備え、2段目膜モジュールユニット100bは、例えば、並列的に接続された4本の膜モジュールを備え、3段目膜モジュールユニット100cは、例えば、並列的に接続された2本の膜モジュールを備え、4段目膜モジュールユニット100dは、例えば、並列的に接続された2本の膜モジュールを備える。それぞれの膜モジュール10は、半透膜12で仕切られた第一空間14および第二空間16を有する。濃縮装置7は、被処理水を貯留する被処理水槽84と、4段目膜モジュールユニット100dからの濃縮水を貯留する濃縮水槽86と、を備えてもよい。濃縮装置7は、第1段の膜モジュールの第一空間に被処理水を供給し、その濃縮水を順次次段の膜モジュールの第一空間に供給して濃縮処理を行う装置である。
【0115】
図7の濃縮装置7において、被処理水槽84の出口と1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第一空間入口とは、ポンプ18を介して配管108により接続されている。1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第一空間出口と2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第一空間入口とは、配管110により接続されている。2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第一空間出口と3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第一空間入口とは、配管112により接続されている。3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第一空間出口と4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第一空間入口とは、配管114により接続されている。4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第一空間出口と濃縮水槽86の入口とは、配管116により接続されている。配管116から分岐した配管118が、4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第二空間入口に接続されている。4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第二空間出口と、3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第二空間入口とは、配管120により接続されている。3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第二空間出口と、2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第二空間入口とは、配管122により接続されている。2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第二空間出口と、1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第二空間入口とは、配管124により接続されている。1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第二空間出口には、配管126が接続されている。
【0116】
濃縮装置7は、半透膜12で仕切られた第一空間14および第二空間16を有する膜モジュール10を備える多段式の膜モジュールユニットを用い、第1段の膜モジュールユニットの各膜モジュールの第一空間に被処理水を供給し、その濃縮水を順次次段の膜モジュールユニットの各膜モジュールの第一空間に直列的に通水し、最終段の膜モジュールユニットの各膜モジュールの濃縮水の少なくとも一部を自身の第二空間に供給し、得られる希釈水をその前段の膜モジュールユニットの各膜モジュールの第二空間16に直列的に通水し、各段の第一空間14を加圧することによってその第一空間14に含まれる水を半透膜12を介して第二空間16に透過させて水を濃縮する装置である。すなわち、濃縮装置7において、半透膜12を用いて被処理水が濃縮され、その濃縮水がさらに次の段の半透膜12を用いて濃縮される。
【0117】
具体的には、濃縮装置7において、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水は、被処理水槽84からポンプ18により配管108を通して、1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第一空間14へ送液される。一方、後述する4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第二空間16、3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第二空間16、2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第二空間16を経由して送液された希釈水が配管124を通して、1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第二空間16へ送液される。1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールにおいて、第一空間14が加圧されてその第一空間14に含まれる水が半透膜12を介して第二空間16に透過される(濃縮工程(1段目))とともに、第二空間16で希釈水が得られる(希釈工程(1段目))。1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第一空間14で得られた濃縮水は、配管110を通して、2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第一空間14へ送液される。1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第二空間16で得られた希釈水は、配管126を通して系外へ排出される。
【0118】
2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールにおいて、後述する4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第二空間16、3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第二空間16を経由して送液された希釈水が配管122を通して、2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第二空間16へ送液される。第一空間14が加圧されてその第一空間14に含まれる水が半透膜12を介して第二空間16に透過される(濃縮工程(2段目))とともに、第二空間16で希釈水が得られる(希釈工程(2段目))。2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第一空間14で得られた濃縮水は、配管112を通して、3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第一空間14へ送液される。2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第二空間16で得られた希釈水は、配管124を通して1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第二空間16へ送液される。
【0119】
3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールにおいて、後述する4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第二空間16を経由して送液された希釈水が配管120を通して、3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第二空間16へ送液される。第一空間14が加圧されてその第一空間14に含まれる水が半透膜12を介して第二空間16に透過される(濃縮工程(3段目))とともに、第二空間16で希釈水が得られる(希釈工程(3段目))。3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第一空間14で得られた濃縮水は、配管114を通して、4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第一空間14へ送液される。3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第二空間16で得られた希釈水は、配管122を通して2段目膜モジュールユニット100bの各膜モジュールの第二空間16へ送液される。
【0120】
4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールにおいて、下記の通り4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第一空間14で得られた濃縮水が、配管116,118を通して第二空間16へ送液される。第一空間14が加圧されてその第一空間14に含まれる水が半透膜12を介して第二空間16に透過される(濃縮工程(4段目))とともに、第二空間16で希釈水が得られる(希釈工程(4段目))。4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第一空間14で得られた濃縮水は、配管116を通して、必要に応じて濃縮水槽86に貯留された後、系外へ排出され、配管116から分岐された濃縮水は、配管118を通して、4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第二空間16へ送液される。4段目膜モジュールユニット100dの各膜モジュールの第二空間16で得られた希釈水は、配管120を通して3段目膜モジュールユニット100cの各膜モジュールの第二空間16へ送液される。
【0121】
ここで、ポンプ18、配管108,110,112、114,116,118,120,122,124等が、各段の膜モジュールユニット100a,100b,100c,100dの各膜モジュールの第一空間14、第二空間16に被処理水または濃縮水または希釈水を供給する供給手段として機能する。
【0122】
膜モジュールユニット100aの各膜モジュールの第二空間16で得られた希釈水は、系外へ排出されてもよいし、必要に応じて希釈水槽へ送液されて貯留された後、系外へ排出されてもよい。希釈水の少なくとも一部は、被処理水槽84へ返送されて、1段目膜モジュールユニット100aの被処理水と混合されてもよい。希釈水の少なくとも一部について、さらに他の処理が行われてもよい。
【0123】
以上のようにして、処理対象である、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水から、硫酸イオン等のイオンが濃縮された処理水(最終段の濃縮水)と、希釈水(最終段の希釈水)とが得られ、被処理水の減容化が行われる。
【0124】
1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールに被処理水が供給される際に例えば7MPa以下の圧力を加え、後段の膜モジュールユニットへの被処理水の供給は1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールに加えられた圧力により行われればよい。各膜モジュールにおける第一空間14の入口圧力は、7MPa以下の範囲とすることが好ましく、第二空間16の入口圧力は第一空間14の入口圧力よりも小さい圧力とすることが好ましく、第二空間16の入口圧力は第一空間14の入口圧力の50%以下にすることがより好ましい。これによって、圧力による半透膜の破損リスクを低減することができる。
【0125】
各膜モジュール10における第一空間14側の流量を第二空間16側の流量よりも大きくすることが好ましい。第一空間14側の流量が第二空間16側の流量以下であると、後段の膜モジュールの第一空間14側の流量が不足する場合がある。例えば、ポンプ18等が、第一空間の流量を第二空間の流量よりも大きくなるようにする流量調節手段として機能する。
【0126】
透過流束が大きすぎると濃度差が大きくなり、ファウリングリスクが高くなる、圧力が高くなりすぎるといった問題が生じる場合がある。また、透過流束が小さすぎると、濃縮効率が悪くなる場合がある。これらの点から、各膜モジュール10の透過流束を、0.005m/d~0.05m/dの範囲とすることが好ましく、0.015m/d~0.04m/dの範囲とすることがより好ましい。例えば、ポンプ18等が、透過流束を上記範囲に制御する透過流束調節手段として機能する。
【0127】
1段目膜モジュールユニット100aの各膜モジュールに通水される被処理水が、硫酸イオン濃度が20000mg/L以上であり、ナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つの濃度が10000mg/L以上である場合、最終段の膜モジュールユニットの各膜モジュールの第一空間14側から排出される濃縮水が硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムとして25重量%以上の濃度であることが好ましく、30重量%以上の濃度であることがより好ましい。
【0128】
なお、各配管のうち少なくとも1つにバルブを設置してもよく、バルブの設置位置や設置数は特に制限はない。また、流量を測定する流量測定手段として流量計や、圧力を測定する圧力測定手段として圧力計を、各配管のうち少なくとも1つに設置してもよい。
【0129】
また、図6図7は装置構成の一例であり、半透膜モジュールの段数、並列数、配列や供給水の供給方法等は、適宜変更してもよい。
【0130】
濃縮装置3,4,5,6,7のように多段式の膜モジュールを用いる場合、膜モジュールの段数は、目的の処理水の濃度等によって決めればよい。例えば、より薄い濃度の被処理水からより濃い濃度の処理水を得たい場合には、膜モジュールユニットの段数を増やせばよい。
【0131】
濃縮装置6,7のように各段の膜モジュールとして、並列的に接続された複数本の膜モジュールを備える膜モジュールユニットを用いる場合、各膜モジュールユニットにおける膜モジュールの本数は、被処理水の流量等によって決めればよい。
【0132】
1つ以上の段の膜モジュールに、濃縮水槽や希釈水槽を設けてもよいし、各段の膜モジュールに、濃縮水槽や希釈水槽を設けてもよい。
【0133】
膜モジュールが備える半透膜12としては、例えば、逆浸透膜(RO膜)、正浸透膜(FO膜)、ナノろ過膜(NF膜)等の半透膜が挙げられる。半透膜は、逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜が好ましい。
【0134】
半透膜12を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、酢酸セルロース系樹脂等のセルロース系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂等のポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。
【0135】
半透膜12の形状としては、平膜、中空糸膜、スパイラル膜等が挙げられる。半透膜の表面積を大きくすることができる等の点から中空糸膜が好ましい。
【0136】
被処理水は、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む水であればよく、特に制限はないが、例えば、半導体工場から排出される排水、化学工場から排出される排水等が挙げられる。
【0137】
<水処理方法および水処理装置>
上記濃縮方法を含む水処理方法、および上記濃縮装置を有する水処理装置について、説明する。
【0138】
本実施形態に係る水処理方法は、上記濃縮方法を含み、例えば、半透膜処理工程の前段に、逆浸透膜処理工程、凝集沈殿処理工程、有機物除去処理工程、pH調整工程のうち少なくとも1つの前処理工程を含んでもよい。
【0139】
また、本実施形態に係る水処理方法は、上記濃縮方法を含み、例えば、半透膜処理工程の後段に、半透膜処理工程で得られる濃縮水から硫酸イオンとアンモニウムイオンを硫酸アンモニウムの結晶体として回収する回収工程、および、半透膜処理工程で得られる濃縮水から硫酸イオンとナトリウムイオンを硫酸ナトリウムの結晶体として回収する回収工程のうち少なくとも1つの後処理工程を含んでもよい。
【0140】
本実施形態に係る水処理装置は、上記濃縮装置と、例えば、半透膜処理手段の前段に設けられた、逆浸透膜処理手段、凝集沈殿処理手段、有機物除去処理手段、pH調整手段のうち少なくとも1つの前処理手段と、を備えてもよい。
【0141】
また、本実施形態に係る水処理装置は、半透膜処理手段の後段に、例えば、半透膜処理手段で得られる濃縮水から硫酸イオンとアンモニウムイオンを硫酸アンモニウムの結晶体として回収する回収手段、および、半透膜処理手段で得られる濃縮水から硫酸イオンとナトリウムイオンを硫酸ナトリウムの結晶体として回収する回収手段のうち少なくとも1つの後処理手段を備えてもよい。
【0142】
本発明の実施形態に係る上記濃縮装置を有する水処理装置の一例の概略を図8に示し、その構成について説明する。
【0143】
図8に示す水処理装置8は、例えば、半導体工場等から排出される硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む排水を処理する装置であり、上記濃縮装置1~7のうちのいずれかの前段に、排水を逆浸透膜処理してRO濃縮水とRO透過水を得る逆浸透膜処理手段として、逆浸透膜処理装置200と、RO濃縮水を貯留する貯留槽202と、を備える。また、上記濃縮装置1~7のうちのいずれかの後段に、濃縮装置1~7で得られる希釈水から水を回収する水回収手段として、水回収装置204と、濃縮装置1~7で得られる濃縮水から硫酸イオンとアンモニウムイオンを硫酸アンモニウムの結晶体として回収する、または、硫酸イオンとナトリウムイオンから硫酸ナトリウムの結晶体として回収する回収手段として、回収装置206と、を備える。
【0144】
水処理装置8において、逆浸透膜処理装置200のRO濃縮水出口と貯留槽202、貯留槽202と濃縮装置1~7、濃縮装置1~7の希釈水出口と水回収装置204、濃縮装置1~7の濃縮水出口と回収装置206は、それぞれ配管等により接続されている。
【0145】
例えば、半導体工場等から排出される硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む排水について、逆浸透膜処理装置200において逆浸透膜を用いて逆浸透膜処理が行われてRO濃縮水とRO透過水が得られる(逆浸透膜処理工程)。逆浸透膜処理で得られたRO濃縮水は、必要に応じて貯留槽202に貯留された後、半透膜モジュールを備える上記濃縮装置1~7の被処理水となる。被処理水の性状によっては、濃縮装置1~7の前段において、有機物除去処理手段を設けて有機物を除去したり、pH調整装置を設けてpH調整を行ったり、固液分離装置や粒子状物質除去手段としてフィルタ等を設けてもよい。
【0146】
濃縮装置1~7のいずれかにおいて、上記の通り、濃縮処理が行われ、処理対象である、硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水から、硫酸イオン等のイオンが濃縮された処理水(濃縮水)と、希釈水とが得られ、被処理水の減容化が行われる。
【0147】
濃縮装置1~7から排出される希釈水は、濃縮装置1~7の後段に水回収装置204を設置して、水回収してもよい(水回収工程)。濃縮装置1~7から排出される濃縮水は、濃縮装置1~7の後段に蒸発装置等の回収装置206を設置して、濃縮水をさらに濃縮して、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム等を回収してもよい(回収工程)。その場合、回収装置で得られる回収水(蒸発水)は濃縮装置1~7の前段に返送してもよく、浸透圧差を低減可能な半透膜モジュールを用いる濃縮装置1~7の前段に蒸発水を返送してもデメリットにはならない。
【0148】
有機物除去処理手段としては、活性炭処理装置の他に、酸化剤の添加による酸化装置等が挙げられる。活性炭処理装置としては、例えば、活性炭が充填された活性炭塔等が挙げられる。
【0149】
pH調整装置は、例えば、pH調整槽を備え、pH調整剤を添加してpHを調整するものである。pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の酸や、水酸化ナトリウム等のアルカリ等が挙げられる。
【0150】
逆浸透膜処理装置200は、逆浸透膜を用いて逆浸透膜処理を行いRO濃縮水とRO透過水を得るものである。
【0151】
粒子状物質除去手段としては、フィルターの他に、沈殿法による沈澱装置、加圧浮上法による加圧浮上装置等が挙げられる。フィルターとしては、例えば、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)等が挙げられる。
【0152】
凝集沈殿処理手段を濃縮装置1~7の前段に設けてもよい。凝集沈殿処理手段としては、例えば、無機凝集剤、高分子凝集剤等の凝集剤を用いて懸濁物質等を凝集させてフロックを形成し、固液分離するものである。凝集沈殿処理装置は、例えば凝集槽、フロック形成槽、沈殿槽等を備える。
【0153】
濃縮装置の構成は、例えば、濃縮装置1~7の構成であり、通水する被処理水の水質、回収する硫酸アンモニウム等の純度に応じて半透膜モジュールの構成、方式を決定すればよい。
【0154】
濃縮装置1~7に通水される被処理水は、硫酸イオン濃度が20000mg/L以上であり、ナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つの濃度が10000mg/L以上の濃度とする。
【0155】
水回収手段は、希釈水から水を回収するものである。水回収装置204としては、逆浸透膜処理装置、電気透析装置等が挙げられる。
【0156】
回収手段は、濃縮水から硫酸イオンとアンモニウムイオンを硫酸アンモニウムの結晶体として回収する、または、濃縮水から硫酸イオンとナトリウムイオンを硫酸ナトリウムの結晶体として回収するものである。回収装置206としては、エバポレータ等の蒸発装置、膜蒸留装置、晶析装置、固液分離装置等が挙げられる。
【0157】
本実施形態に係る水処理方法および水処理装置によって、半導体工場等から排出される高濃度で硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を低コストで濃縮可能であり、高イオン濃度の廃液量を低減することができる。
【実施例
【0158】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0159】
<実施例1>
純水に硫酸アンモニウムを添加して作製した試験液を被処理水とし、図1に示す濃縮装置1を用いて濃縮処理を行った。被処理水中の硫酸アンモニウムの添加量(重量%)を変化させ、ポンプにより被処理水を膜モジュールの第一空間入口、第二空間入口にそれぞれ供給し、濃縮水と希釈水を被処理水に返送する循環運転を行った。その際の第二空間入口の流量を30L/h、第一空間出口の流量を120L/hとなるように運転した。被処理水、濃縮水、希釈水の硫酸アンモニウム濃度はイオンクロマトグラフ(Thermo Fisher Scientific製)を用いて測定した。半透膜モジュールとして、東洋紡社製膜モジュール:東洋紡株式会社製5インチ膜(使用圧力範囲≦7MPa)を用いた。結果を表1に示す。
【0160】
<比較例1>
純水に硫酸アンモニウムを添加して作製した試験液を被処理水とし、図1に示す濃縮装置1を用いて濃縮処理を行った。被処理水中の硫酸アンモニウムの添加量を変化させ、ポンプにより被処理水を膜モジュールの第一空間入口に供給し、第二空間入口には供給せずに、濃縮水と希釈水を被処理水に返送する循環運転を行った。その際の第一空間出口の流量を120L/hとなるように運転した。被処理水、濃縮水、希釈水の硫酸アンモニウム濃度はイオンクロマトグラフを用いて測定した。半透膜モジュールとして、東洋紡社製膜モジュール:東洋紡株式会社製5インチ膜(使用圧力範囲≦7MPa)を用いた。結果を表1に示す。
【0161】
【表1】
【0162】
表1に示すように、比較例1では被処理水の硫酸アンモニウムの濃度が高くなるに従い、操作圧が増加し、20重量%以上の硫酸アンモニウムの濃度の被処理水では膜の使用圧力範囲内で運転することができなかった。実施例1では被処理水の硫酸アンモニウムの濃度が27重量%でも膜の使用圧力範囲内で運転することができた。
【0163】
<実施例2,3>
純水に硫酸アンモニウムを添加して作製した試験液を被処理水とし、図1に示す濃縮装置1を用いて濃縮処理を行った。ポンプにより被処理水を膜モジュールの第一空間入口、第二空間入口にそれぞれ供給し、濃縮水と希釈水を被処理水に返送する循環運転を行った。その際の第二空間入口の流量を30L/hとし、第一空間出口の流量は用いた半透膜モジュールの最低濃縮水流量である120L/hに設定した。被処理水、濃縮水、希釈水の硫酸アンモニウム濃度はイオンクロマトグラフを用いて測定した。被処理水の硫酸アンモニウムの濃度は2つの濃度で試験を実施しており、3重量%硫酸アンモニウム溶液を被処理水とした実施例2の結果を表2に示し、6重量%硫酸アンモニウム溶液を被処理水とした実施例3の結果を表3に示す。結果には、透過流束(=透過水流量/膜面積)[m/d]と単位モジュール当たりの濃縮倍率(濃縮水濃度/被処理水濃度)[倍/本]を示した。透過流束の算出に必要な透過水流量は、第二空間出口の流量と第二空間入口の流量の差から求めた。半透膜モジュールとして、東洋紡社製膜モジュール:東洋紡株式会社製5インチ膜(使用圧力範囲≦7MPa)を用いた。
【0164】
【表2】
【0165】
【表3】
【0166】
表2に示すように、透過流束が0.005m/d以下ではわずかしか濃縮することができないことがわかる。また、透過流束が0.05m/d以上となると半透膜モジュール1段だけで2.0倍以上濃縮がかかり、ファウリングリスクが高くなることが懸念される。また、実験のときの操作圧の結果では、透過流束が0.07m/dのときに5.8MPaが必要となっている。
【0167】
表3に示すように、表2の結果と同様に透過流束が0.005m/d以下ではわずかしか濃縮することができないことがわかる。透過流束が0.07m/d以上になると被処理水の硫酸アンモニウムの濃度6重量%では膜の耐圧限界となってしまう。
【0168】
上記の結果より、透過流束は0.005~0.05m/dの範囲とすることが好ましいことがわかる。
【0169】
このように、実施例の方法によって、高濃度で硫酸イオンとナトリウムイオンおよびアンモニウムイオンのうち少なくとも1つとを含む被処理水を低コストで濃縮が可能となり、高イオン濃度の廃液量を低減することができることがわかった。
【符号の説明】
【0170】
1,2,3,4,5,6,7 濃縮装置、8 水処理装置、10,10a,10b,10c 膜モジュール、12,12a,12b,12c 半透膜、14,14a,14b,14c 第一空間、16,16a,16b,16c 第二空間、18 ポンプ、20 インバーター、22,22a,22b,22c,23,32,32a,32b,32c バルブ、24,26,28,30,34,36,40,42,44,46,48,50,52,54,56,58,64,66,68,70,72,74,76,78,80,82,88,90,92,94,96,98,102,104,106,108,110,112,114,116,118,120,122,124,126 配管、60a,60b,60c,62a,62b,62c 希釈水槽、84 被処理水槽、86 濃縮水槽、100a,100b,100c,100d 膜モジュールユニット、200 逆浸透膜処理装置、202 貯留槽、204 水回収装置、206 回収装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8