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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】超音波診断装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020150258
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2022044887
(43)【公開日】2022-03-18
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】生田目 富夫
(72)【発明者】
【氏名】杉尾 武
(72)【発明者】
【氏名】小澤 明日香
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/150715(WO,A1)
【文献】特開2010-253031(JP,A)
【文献】国際公開第2019/201726(WO,A1)
【文献】特開2015-116331(JP,A)
【文献】特開2003-250766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブの出力信号に基づく被検体の超音波画像を取得する画像取得部と、
つ以上の検査手順のそれぞれに対応付けられて登録された設定画像と、前記被検体の超音波画像との一致度に基づいて、前記1つ以上の検査手順の中から奨手順を決定する決定部と、
定された前記推奨手順と当該推奨手順に対応付けられて登録された参照画像とを識別するための情報を表示し、当該推奨手順を実行する制御部と、
を備える超音波診断装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記超音波画像との一致度が閾値以上の設定画像が複数ある場合に、当該複数の設定画像に対応する複数の検査手順の中から前記推奨手順を決定する操作の入力を受け付ける、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記1つ以上の検査手順のうち、実施が完了した検査手順を除外したものの中から前記推奨手順を決定する、
請求項に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
コンピュータに、
超音波プローブの出力信号に基づく被検体の超音波画像を取得させ、
つ以上の検査手順のそれぞれに対応付けられて登録された設定画像と、前記被検体の超音波画像との一致度に基づいて、前記1つ以上の検査手順の中から推奨手順を決定させ、
定された前記推奨手順と当該推奨手順に対応付けられて登録された参照画像とを識別するための情報を表示させ、当該推奨手順を実行させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波診断装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波診断装置等の医療用検査機器において、予め登録された手順に従って検査を進める検査支援機能を有するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-116331号公報
【文献】特開2017-153818号公報
【文献】特許第3842730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、予め登録された手順に従って検査を進める検査支援機能の利便性を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の超音波診断装置は、画像取得部と、制御部と、決定部とを持つ。画像取得部は、超音波プローブの出力信号に基づく被検体の超音波画像を取得する。制御部は、予め登録されている1つ以上の検査手順であって、前記超音波画像の取得処理を含む1つ以上のステップであって設定画像が対応付けられて登録されている1つ以上のステップを含む前記検査手順ごとに、前記ステップごとの処理を実行する。決定部は、前記ステップごとに登録されている設定画像と、実行中の現在ステップにおいて取得される超音波画像との一致度に基づいて、前記現在ステップに続けて、又は前記現在ステップに代えて実行されることが推奨される推奨ステップを決定する。前記制御部は、前記現在ステップの実行中に前記推奨ステップが決定された場合、前記現在ステップに続けて、又は前記現在ステップに代えて前記推奨ステップを実行する。
【0006】
実施形態の超音波診断装置は、画像取得部と、制御部と、決定部とを持つ。画像取得部は、超音波プローブの出力信号に基づく被検体の超音波画像を取得する。制御部は、予め登録されている1つ以上の検査手順であって、前記超音波画像の取得処理を含む1つ以上のステップであって設定画像が対応付けられて登録されている1つ以上のステップを含む前記検査手順ごとに、前記ステップごとの処理を実行する。決定部は、実行中の現在ステップに登録されている設定画像と、前記現在ステップ以外のステップに設定されている設定画像とに基づいて、前記現在ステップに続けて、又は前記現在ステップに代えて実行されることが推奨される推奨ステップを決定する。前記制御部は、現在ステップの実行中に推奨ステップが決定された場合、前記現在ステップに続けて、又は前記現在ステップに代えて前記推奨ステップを実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の超音波診断システムの機能構成の一例を示すブロック図。
図2】実施形態の超音波診断システムが被検体の診断に使用されている状況を示す図。
図3】実施形態の表示装置に表示される診断画面の一例を示す図。
図4】実施形態の超音波診断装置がプロトコルの実行を制御する処理の一例を示すフローチャート。
図5】実施形態におけるプロシージャ情報の一例を示す図。
図6】実施形態におけるプロトコル情報の一例を示す図。
図7】実施形態における候補プロシージャの表示例を示す図。
図8】実施形態における推奨プロシージャ決定処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態の超音波診断装置およびプログラムについて説明する。
【0009】
図1は、実施形態の超音波診断システム1の機能構成の一例を示すブロック図である。また、図2は、実施形態の超音波診断システム1が被検体Hの診断に使用されている状況を示す図である。図1に示すように、超音波診断システム1は、例えば、超音波プローブ10と、状態センサ20と、入力インターフェース30と、出力インターフェース40と、超音波診断装置100と、を備える。図2に示すように、超音波診断装置100には、出力インターフェース40の一つとして表示装置42が設けられる。
【0010】
超音波プローブ10は、例えば、図示しないユーザーによる手動操作に基づいて、被検体Hの検査対象部位に押し付けられる。超音波プローブ10は、例えば、被検体Hの体内の画像を取得するために被検体Hに対して超音波を送信する。超音波プローブ10は、送信した超音波の反射波を受信する。超音波プローブ10は、送受信面が受信することで生じる超音波の反射波の信号(エコー信号)である反射波情報を生成して超音波診断装置100に出力する。図1および図2では簡単のため超音波診断装置100が1つの超音波プローブ10を備える構成を示しているが、超音波診断装置100は複数の超音波プローブ10を備えてもよい。
【0011】
図1に示すように、状態センサ20は、例えば、6軸センサ22と、圧力センサ24と、を備える。6軸センサ22及び圧力センサ24は、例えば、超音波プローブ10に設けられる。状態センサ20は、超音波プローブ10の被検体に対する状態として、被検体に対する相対位置、走査方向、回転方向、傾き、及び超音波プローブ10を被検体に押し付ける際の圧力(以下「押付圧力」という)を検出する。超音波プローブ10の被検体に対する状態は、状態センサ20以外のセンサで検出されてもよい。
【0012】
6軸センサ22は、例えば、3軸加速度及び3軸角速度を検出するセンサである。6軸センサ22は、検出した3軸加速度及び3軸角速度に基づいて、超音波プローブ10の被検体に対する相対位置、走査方向、走査速度、回転方向(回転速度)、及び傾き(向き)を検出する。例えば、6軸センサ22は、3次元の各方向に対する加速度を検出し、既知の位置(例えばデフォルト位置)と現在位置との差分を算出する。6軸センサ22は、算出した位置の差分に基づいて、超音波プローブ10の被検体に対する相対位置及び走査方向を検出する。相対位置及び走査方向を検出するためには、6軸センサ22に代えて、3軸センサを備えてもよい。
【0013】
超音波プローブ10の被検体に対する相対位置は、他の方法により検出されてもよい。例えば、相対位置センサは、被検体を撮影するカメラを備えてもよい。この場合、相対位置センサは、例えば、カメラで撮影した画像を用いた光学的な差分同定により、被検体に対する超音波プローブ10の相対位置を検出する。相対位置センサは、電磁的な方式を用いたセンサであってもよい。
【0014】
6軸センサ22は、例えば、3軸加速度に基づいて、超音波プローブ10の現在位置を検出する。6軸センサ22は、例えば、超音波プローブ10の現在位置と既知の位置(例えばデフォルト位置)との差分を計算することにより、超音波プローブ10の走査方向を算出する。6軸センサ22は、例えば、超音波プローブ10の走査方向の変化率に基づいて、超音波プローブ10の走査速度を算出する。なお、超音波プローブ10の走査方向及び操作速度は、3軸加速度を検出する3軸センサにより求められてもよい。
【0015】
6軸センサ22は、例えば、3軸角速度に基づいて、超音波プローブ10の回転方向を検出する。6軸センサ22は、例えば、超音波プローブ10の現在角度と既知の角度(例えばデフォルト角度)との差分を計算することにより、超音波プローブ10の回転方向を算出する。6軸センサ22は、例えば、超音波プローブ10の回転方向の変化率に基づいて、超音波プローブ10の回転速度を算出する。6軸センサ22は、検出した超音波プローブ10の被検体に対する状態の相対位置、走査方向、走査速度、回転方向(回転速度)、及び傾き(向き)の各情報を超音波診断装置100に出力する。
【0016】
圧力センサ24は、例えば、内側に圧電層を備える導電フィルムにより構成される。圧力センサ24は、例えば、外側の2つの外部電極と、2つの外部電極に挟まれた内部電極を備える。圧力センサ24は、外側の2つの電極の間に圧力がかかった場合に、電極間に流れる電流の電流値を計測する。圧力センサ24は、計測した電流値に基づいて、圧力センサ24にかかった圧力、言い換えると、被検体と超音波プローブ10の間にかかった圧力を検出する。圧力センサ24は、検出した圧力の情報を超音波診断装置100に出力する。以下の説明において、超音波プローブ10の被検体に対する状態の情報を「プローブ状態情報」という。
【0017】
6軸センサ22は、超音波プローブ10の3軸加速度及び3軸角速度を検出するものであってもよい。圧力センサ24は、計測した電流値を検出するものであってもよい。この場合、状態センサ20は、6軸センサ22が検出した超音波プローブ10の3軸加速度及び3軸角速度及び圧力センサ24が計測した電流値の検出情報を超音波診断装置100に出力する。超音波診断装置100は、出力された検出情報に基づいて、プローブ状態情報を算出する。
【0018】
入力インターフェース30は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネルなどの物理的な操作部品を備える。入力インターフェース30は、例えば、ユーザーの操作等により、病院システム(HIS, Hospital Information System)に記憶された事項や問診票に記載の事項などの被検体情報を超音波診断装置100に出力する。病院情報システムは、例えば、超音波診断装置100が設置される病院全体の診療、会計業務の効率化を図るためのシステムであり被検体情報を記憶する。問診票は、被検体が受診する際には、検査に関連する情報収集のために被検体情報を記憶する。問診票は紙に記載されたものであってもよいし、電子媒体に記憶されたものであってもよい。問診票が紙である場合を考慮し、入力インターフェース30は、OCR(Optical Character Recognition、光学文字認識)システムであってもよい。
【0019】
被検体情報は、病院情報システムに代えて、病院情報システムに相当する検査情報を持つオーダリングシステム、放射線科情報システム(RIS, Radiology Information System)、電子カルテシステムなどから取得されてもよい。被検体情報は、例えば、超音波プローブ10の操作候補を求めるために用いられる。被検体情報が病院システムに基づく情報である場合、被検体情報に、病院システムにより提供される検査目的、検査部位、実施プロトコルなどの情報が含まれていてもよい。
【0020】
病院システムに記憶された被検体情報には、例えば、「検査目的」「検査部位」「実施プロトコル」などの被検体特性を示す項目が含まれる。問診票に記載の被検体情報には、例えば、「身長」「体重」「BMI」「血圧」「体脂肪」「性別」「年齢」「病歴」「民族(人種)」「職業」「食生活」「飲酒例」「喫煙歴」「運動習慣」「家族歴」被検体が女性の場合の「出産歴」「初経年齢」「閉経年齢」「月経状況」「授乳期」などの項目が含まれる。
【0021】
なお、上記の実施プロトコルとは、被検体の診断を行うために各種の検査装置や診断装置を用いて行う検査の実施手順(検査手順)のことである。実施プロトコルは、検査目的や検査部位等に応じて作成され、1つ以上のステップの組み合わせによって表される。実施形態の超音波診断装置100には、このような実施プロトコルに関する情報が予め登録されている。超音波診断装置100は、実施プロトコルに基づく動作を行うことで、ユーザー(例えば医師や検査技師など)の診断作業を支援するものである。
【0022】
なお、以下では簡単のため、超音波診断装置100が実施プロトコルに基づいて実行する処理のことを単に「プロトコル」ということにする。また、実施プロトコルに含まれる各ステップの作業に対応する処理を「プロシージャ」ということにする。
【0023】
また、本明細書において入力インターフェース30はマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース30の例に含まれる。出力インターフェース40は、超音波診断装置100に設けられていてもよいし、超音波診断装置100とは別個に設けられていてもよい。
【0024】
出力インターフェース40は、例えば、表示装置42、スピーカ44、バイブレータ46等を備える。表示装置42は、例えば、ユーザーが視認可能な画像を表示する位置に配置される。表示装置42は、超音波診断装置100により出力される情報に基づく画像を表示する。表示装置42は、ユーザー等の視覚を通じて超音波プローブ10の操作候補を提示する。表示装置42は、例えば、ディスプレイであってもよいし、画像を投影するプロジェクタであってもよい。
【0025】
スピーカ44は、例えば、ユーザーが音声を聞き取り可能な位置に配置される。スピーカ44は、超音波診断装置100により出力される情報に基づく音声を出力する。スピーカ44は、ユーザー等の聴覚を通じて超音波プローブ10の操作候補を提示する。スピーカ44は、例えば、音声の強弱、間隔の長短、音程の高低などにより超音波プローブ10の操作候補を提示する。スピーカ44は、例えば、ユーザーが装着するヘッドホンやイヤホンに設けられてもよい。バイブレータ46は、例えば、ユーザーが振動を感知できる位置に設けられる。例えば、バイブレータ46は、ユーザーが身に着けたり、ユーザーの衣服に入れられたりして使用される。バイブレータ46は、超音波診断装置100により出力される情報に応じて振動する。バイブレータ46は、ユーザー等の触覚を通じて超音波プローブ10の操作候補を提示する。触覚を通じた超音波プローブ10の操作候補の提示を行う際には、例えば、超音波プローブ10を通じた被検体との圧力抵抗の差分を調整する手法などを用いてもよい。
【0026】
続いて、超音波診断装置100の構成について説明する。超音波診断装置100は、例えば、通信インターフェース110と、処理回路120と、メモリ130と、を備える。処理回路120は、例えば、画像取得機能121と、制御機能123と、抽出機能124と、決定機能125とを備える。処理回路120は、例えば、ハードウェアプロセッサがメモリ130に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0027】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA))などの回路(circuitry)を意味する。メモリ130にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するように構成されてもよい。また、各機能は、複数の構成要素を統合した1つのハードウェアプロセッサによって実現されてもよい。メモリ130は、非一時的(ハードウェアの)記憶媒体であってもよい。メモリ130は、超音波診断装置100の種別、型番、スペック、設置年月日、生産年月日などの自装置の装置特性を示す装置情報を既存データの一部として記憶する。
【0028】
通信インターフェース110は、例えば、NIC(Network Interface Card)などの通信インターフェースを含む。通信インターフェースは、有線により、またはネットワークを介して超音波プローブ10、状態センサ20、入力インターフェース30、及び出力インターフェース40との間で情報の通信を行う。通信インターフェース110は、受信した情報を処理回路120に出力する。また、通信インターフェース110は、処理回路120による制御を受けて、有線またはネットワークを介して接続された他の装置に情報を送信してもよい。
【0029】
通信インターフェース110は、超音波プローブ10により送信される反射波情報を受信する。通信インターフェース110は、状態センサ20により出力されるプローブ状態情報を受信する。通信インターフェース110は、処理回路120により生成されたガイド情報を出力インターフェース40に送信する。
【0030】
画像取得機能121は、超音波プローブ10により出力される反射波情報を画像情報に変換して、被検体の体内の様子を示す画像である超音波画像を生成する。画像取得機能121は、生成した超音波画像をメモリ130に保存する。画像取得機能121は、「画像取得部」の一例である。
【0031】
制御機能123は、各種の制御処理を実行することにより、通信インターフェース110、処理回路120、メモリ130を備える装置を、超音波プローブ10、状態センサ20、入力インターフェース30および出力インターフェース40と連動して動作する超音波診断装置として機能させる。
【0032】
例えば、制御機能123は、超音波診断装置100に登録されている1つ以上のプロトコルのうち、ユーザーによって選択されたプロトコルを実行する。例えば、制御機能123は、入力インターフェース30および出力インターフェース40との間で、適時、必要な情報の入出力を行いながら、選択されたプロトコルに含まれるプロシージャを所定の順序で実行していく。
【0033】
例えば、制御機能123は、プロシージャの実行中に取得された超音波画像をメモリ130から取得し、取得した超音波画像を生成された順に再生して表示装置42に表示させる。制御機能123は、超音波画像の再生を一時停止したり、再生速度を変更したりしてもよい。このような超音波画像の再生表示により、ユーザーは、被検体の健康状態を診断したり病変を探索したりすることができる。なお、制御機能123は、画像取得機能121が出力した超音波画像を直接的に入力して、表示装置42に表示させてもよい。また、この場合、制御機能123は、入力した超音波画像を必要に応じてメモリ130等に記録することにより、超音波画像の録画を行ってもよい。
【0034】
図3は、プロトコルの実行中において表示装置42に表示される画面(以下「診断画面」という。)の一例を示す図である。例えば、診断画面は、図3に示す診断画面Hのように、プロトコルの実行中に取得される超音波画像を表示する表示領域H10と、実行中のプロトコルに関する操作入力を受け付ける操作領域H20とを含む。
【0035】
例えば、表示領域H10には、操作中の超音波プローブ10によって取得された超音波画像H11と、実行中のプロシージャに関連づけて登録されている参照画像H12とが表示される。例えば、図3に示す参照画像H12は、実行中のプロシージャにおいて取得が期待される超音波画像の例を示す画像である。このような参照画像が、実際に取得されている超音波画像と同時に表示されることにより、ユーザーは参照画像を手本として超音波プローブ10を操作することができ、効率良く診断を行うことができる。なお、このような画像のほか、参照画像は実行中のプロシージャに関してユーザーの作業を支援することを目的とした画像であればどのような画像であってもよい。例えば、検査対象部位のイラストや診断時の注意等を記したメモなどが参照画像として表示されてもよい。
【0036】
また、例えば、操作領域H20には、実行中のプロトコルに含まれるプロシージャに関するユーザーインターフェースであるH21のほか、プロトコルの実行に関する所定の機能を呼び出すためのユーザーインターフェースとしてH22~H27が配置される。例えば、ユーザーはH21を操作することによりプロシージャの選択および選択したプロシージャの実行指示を行うことができる。なお、H21は、その表示態様によって、各プロシージャの実行状態や属性を表すように構成されてもよい。例えば、図3に示すH21は、チェックマークM1の有無によりプロシージャの完了ステータスを表し、三角マークM2により実行中のプロシージャを示すように構成されたユーザーインターフェースの例である。
【0037】
また、例えば、ユーザーは、H22及びH23を操作することにより、プロシージャの実行に関する超音波診断装置100の動作モードを変更することができる。本実施形態において、超音波診断装置100は「自動モード」又は「手動モード」での動作が可能であるものとする。自動モードは、実行対象のプロシージャを超音波診断装置100が複数のプロシージャの中から自動的に選択して実行していく動作モードである。手動モードは、超音波診断装置100がユーザーの選択および実行指示に応じて実行対象のプロシージャを実行していく動作モードである。例えば、H22は、「自動モード」(“Auto”)を選択させるためのユーザーインターフェースであり、H23は、「手動モード」(“Manual”)を選択させるためのユーザーインターフェースである。
【0038】
また、例えば、ユーザーはH24を操作することにより、取得中の超音波画像の表示の更新の一時停止及び一時停止の解除をすることができる。また、例えば、ユーザーはH25を操作することにより、実行中のプロシージャに関する操作が終了したことを入力することができる。また、例えば、ユーザーは、H26を操作することにより、参照画像に関する設定(表示対象の画像や、表示位置、表示の大きさ等)を変更することができる。また、例えば、ユーザーはH27を操作することにより、参照画像と超音波画像の比較を行うことができる。
【0039】
また、例えば、制御機能123は、実行中のプロシージャ(以下「現在プロシージャ」という。)に続けて実行することが推奨されるプロシージャ(以下「推奨プロシージャ」という。)が決定された場合、実行対象のプロシージャを現在プロシージャから推奨プロシージャに変更する。ここで、「実行中のプロシージャに続けて」とは、現在プロシージャの完了をもって実行対象のプロシージャを変更する場合だけでなく、現在プロシージャの完了前に実行対象のプロシージャを変更する場合も含む。例えば、自動モードの場合には、制御機能123は、推奨プロシージャの実行開始条件が満たされれば、現在プロシージャが完了する前であっても実行対象のプロシージャを推奨プロシージャに変更することができる。また、例えば、手動モードの場合には、制御機能123は、ユーザーが現在プロシージャの完了を入力し、推奨プロシージャの実行を指示した場合に、実行対象のプロシージャを推奨プロシージャに変更することができる。
【0040】
抽出機能124は、現在プロシージャにおいて取得されている超音波画像に基づいて、超音波診断装置1に登録されているプロシージャのうちから推奨プロシージャの候補となるプロシージャ(以下「候補プロシージャ」という。)を抽出する。例えば、抽出機能124は、各プロシージャに予め設定されている比較用の画像(以下「設定画像」という。)と、超音波画像との一致度を算出し、一致度が閾値以上であるプロシージャを候補プロシージャとして抽出する。抽出機能124は、抽出した候補プロシージャを決定機能125に通知する。
【0041】
決定機能125は、抽出機能124から通知された候補プロシージャのうちから推奨プロシージャを決定する。決定機能125は、抽出機能124から通知された候補プロシージャが1つである場合には、その候補プロシージャを推奨プロシージャとして決定する。また、決定機能125は、抽出機能124から複数の候補プロシージャが通知された場合には、複数の候補プロシージャのうちのいずれか1つのプロシージャを推奨プロシージャとして決定する。なお、候補プロシージャのうちから推奨プロシージャを決定する方法については後述する。
【0042】
メモリ130は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクによって実現される。これらの非一過性の記憶媒体は、NAS(Network Attached Storage)や外部ストレージサーバ装置といった通信ネットワークNWを介して接続される他の記憶装置によって実現されてもよい。また、メモリ130には、ROM(Read Only Memory)やレジスタ等の非一過性の記憶媒体が含まれてもよい。メモリ130は、例えば、プロトコルの設定情報(以下「プロトコル情報」という。)、プロシージャの設定情報(以下「プロシージャ情報」という。)、
各プロシージャで取得される超音波画像、各プロシージャに設定されている参照画像および設定画像等の情報を記憶する。その他、メモリ130は、処理回路120が利用するプログラムやパラメータデータやその他のデータを記憶する。匿名化推奨度参照データ201、閾値参照データ203、および標準データ205の詳細については後述する。
【0043】
図4は、実施形態の超音波診断装置100がプロトコルの実行を制御する処理の一例を示すフローチャートである。まず、制御機能123が、実行対象のプロトコル(以下「対象プロトコル」という。)のプロトコル情報をメモリ130から取得し、取得したプロトコル情報に基づいて対象プロトコルの実行を開始する(ステップS101)。ここで対象プロトコルは、予めユーザーによって指定されているものとする。続いて、制御機能123は、対象プロトコルにおける最初のプロシージャを実行する(ステップS102)。例えば、最初のプロシージャは、予めプロトコル情報に設定されているか、又は対象プロトコルの実行開始時にユーザーによって指定されるものとする。
【0044】
続いて、抽出機能124が、現在プロシージャに設定されている設定画像をメモリ130から取得し、取得した設定画像と、現在プロシージャにおいて取得されている超音波画像との一致度を算出する(ステップS103)。ここで一致度の算出には、局所特徴量に基づく方法や、各画素値のヒストグラムに基づく方法、画素値の平均に基づく方法、ニューラルネットワークやディープラーニング等の機械学習によって生成された学習済みモデルを用いる方法などの既存技術が用いられてよい。
【0045】
抽出機能124は、算出した一致度に基づいて、超音波診断装置100に登録済みのプロシージャの中から候補プロシージャの抽出を試みる(ステップS104)。抽出機能124は、ステップS104において候補プロシージャが抽出されたか否かを判定する(ステップS105)。例えば、抽出機能124は、超音波診断装置100に登録されているプロシージャであり、かつ現在プロトコルにおいて完了しているプロシージャ以外のプロシージャのうちから閾値以上の一致度を有するプロシージャを候補プロシージャとして抽出する。
【0046】
なお、図4に図示されていないが、制御機能123は、プロシージャの完了ステータスを適宜管理しているものとする。例えば、手動モードでは、制御機能123は、プロシージャの実行中において、当該プロシージャが完了したことを示す操作の入力を受け付け、当該操作が入力されたことをもって実行中のプロシージャが完了したことを検知することができる。また、例えば、自動モードでは、制御機能123は、プロシージャの実行中において、当該プロシージャについて期待される超音波画像が取得されたと判定された場合に当該プロシージャが完了したと判定してもよい。また、例えば、制御機能123は、プロシージャの完了を取り消す操作が入力されたことに応じて、プロシージャの完了ステータスを変更することができる。
【0047】
ステップS105において、候補プロシージャが抽出されなかったと判定した場合(ステップS105-NO)、制御機能123は、実行中のプロトコルのすべてのプロシージャが完了したか否かを判定する(ステップS106)。ここで、実行中のプロトコルのすべてのプロシージャが完了したと判定した場合(ステップS106-YES)、制御機能123は、一連の処理を終了する。一方で、実行中のプロトコルに含まれるプロシージャのいずれかが完了していないと判定した場合(ステップS106-NO)、制御機能123は、完了していないプロシージャのうちから次に実行すべきプロシージャを選択して実行した上で(ステップS107)ステップS103に処理を戻し、すべてのプロシージャが完了するまでステップS103以降の処理を繰り返し実行する。
【0048】
図5は、本実施形態におけるプロシージャ情報の一例を示す図である。また、図6は、本実施形態におけるプロトコル情報の一例を示す図である。例えば、プロシージャ情報は、プロシージャの識別情報と、プロシージャの種別と、プロシージャのスキャンモードと、参照画像と、設定画像と、設定画像間の優先度とを対応づけたテーブルとしてメモリ130に保持される。ここでスキャンモードは、プロシージャの実行条件であり、例えば、画像表示、アノテーション、ボディーマーク等の条件によって表される。図5において、“[参照画像]”と記載されているのは、設定画像として参照画像が設定されていることを表している。
【0049】
また、例えば、プロトコル情報は、プロトコルの識別情報と、プロトコルを構成するプロシージャの識別情報と、各プロシージャの実行順序と、各プロシージャの設定画像と、設定画像の優先度とを対応づけたテーブルとしてメモリ130に保持される。なお、図6に示すプロシージャ、設定画像、優先度は、図5に示すプロシージャ、設定画像、優先度と対応している。
【0050】
例えば、プロトコル情報及びプロシージャ情報が図5及び図6のように設定されている場合において、対象プロトコルがprotocol_01であり、現在プロシージャがproc_01であるとき、抽出機能124は、proc_01の実行中に取得されている超音波画像と、実行中のproc_01以外のプロシージャの設定画像との一致度を算出し、閾値以上の一致度を有するプロシージャを候補プロシージャとして抽出する。
【0051】
ここで、候補プロシージャの抽出を試みる対象のプロシージャ(以下「抽出対象プロシージャ」という。)は、超音波診断装置100に登録されているプロシージャのうち、少なくとも、現在プロシージャでなく、且つ対象プロトコルにおいて完了しているプロシージャでなければよいが、必要に応じてさらなる条件を満たすプロシージャに限定されてもよい。例えば、抽出対象プロシージャは、対象プロトコルに含まれるプロシージャに限定されてもよいし、実行中でないプロトコルに含まれるプロシージャに限定されてもよい。また、例えば、抽出対象プロシージャは、いずれのプロトコルにも含まれないプロシージャに限定されてもよいし、プロトコルとは別の分類(例えば図5における“種別”など)によって管理されているプロシージャに限定されてもよい。
【0052】
なお、抽出機能124は、完了したプロシージャを抽出対象プロシージャから除外することで、すでに完了しているプロシージャが候補プロシージャに含まれることを抑制する。また、抽出機能124は、プロシージャの完了を取り消す操作が入力された場合には、当該プロシージャを再度抽出対象プロシージャに追加することで、ユーザーが必要に応じてプロシージャをやり直すことを可能にする。
【0053】
図4の説明に戻る。ステップS105において、候補プロシージャが抽出されたと判定した場合(ステップS105-YES)、抽出機能124は、抽出された候補プロシージャを決定機能125に通知する。この通知を受けた決定機能125は、現在の動作モードが自動モードまたは手動モードのいずれであるかを判定する(ステップS108)。なお、超音波診断装置100は、動作モードを変更する操作の入力を適宜受け付けており、ユーザーは必要に応じて動作モードを変更することができるものとする。ここで、現在の動作モードが手動モードであると判定した場合(ステップS108:手動モード)、決定機能125は、通知された候補プロシージャをユーザーに通知する(ステップS109)。例えば、決定機能125は、候補プロシージャを表示装置42に表示させる。
【0054】
図7は、本実施形態における候補プロシージャの表示例を示す図である。例えば、図7は、現在プロシージャであるProcedure02の実行中に4つの候補プロシージャが抽出され、それらの候補プロシージャを通知するポップアップH30が超音波画像H11の前面に表示された例を示している。この例において、ポップアップH30には、4つの候補プロシージャが一致度の高いものから順に上から一覧表示され、各プロシージャにはその一致度が[]内に示されている。
【0055】
図4の説明に戻る。続いて、決定機能125は、プロシージャの選択操作の入力を受け付ける(ステップS110)。ここでの選択操作は、対象プロトコルに含まれるプロシージャのうち未完了のものからいずれか1つのプロシージャを選択する操作であってもよいし、表示された候補プロシージャのうちからいずれか1つのプロシージャを選択する操作であってもよい。決定機能125は、プロシージャの選択操作が入力されると、選択されたプロシージャを制御機能123に通知する。この通知を受けた制御機能123は、決定機能125から通知されたプロシージャを実行する(ステップS111)。このように、手動モードでは、推奨プロシージャは、ユーザーの操作によって候補プロシージャの中から選択される。
【0056】
一方、ステップS108において、現在の動作モードが自動モードであると判定した場合(ステップS108:自動モード)、決定機能125は推奨プロシージャ決定処理を実行する(ステップS112)ことにより、抽出された候補プロシージャのうちから1つの推奨プロシージャを決定し、決定した推奨プロシージャを制御機能123に通知する。この通知を受けた制御機能123は、通知された推奨プロシージャについて実行開始条件が満たされているか否かを判定する(ステップS113)。例えば、制御機能123は、以下のような条件を実行開始条件として判定する。
【0057】
[推奨プロシージャの実行開始条件]
(1-1)実行中のプロシージャにおいて取得されている超音波画像が、期待されている部位とは明らかに異なる部位を示している。例えば、この条件は、取得されている超音波画像と、実行中のプロシージャの設定画像との一致度に基づいて判定することができる。この場合の一致度は、抽出機能124によって取得されてもよいし、制御機能123が抽出機能124と同様の方法で算出してもよい。
【0058】
(1-2)実行中のプロシージャにおいて取得されている超音波画像において、被検体の動きが大きい状態が一定時間継続している(すなわち、撮影する部位を探している時間が長い)。例えば、この条件は、取得されている超音波画像のフレーム間差分の大きさに基づいて判定することができる。
【0059】
(1-3)実行中のプロシージャを終了した後、一定時間が経過した。
【0060】
ステップS113において、推奨プロシージャの実行開始条件が満たされたと判定した場合(ステップS113-YES)、制御機能123は、推奨プロシージャを実行した上で(ステップS114)、ステップS106に処理を進める。一方、推奨プロシージャの実行開始条件が満たされていないと判定した場合(ステップS113-NO)、制御機能123は、実行開示条件が満たされるまでステップS113を繰り返し実行する。ここで、ステップS113の実行を所定回数繰り返しても実行開始条件が満たされない場合には、制御機能123は、ステップS105において候補プロシージャが抽出されなかったものとして(ステップS105-NO)、ステップS106に処理を進めてもよい。
【0061】
なお、制御機能123は、自動モードで実行された推奨プロシージャが、ユーザーが期待するものでなかったと推定される場合(例えば、ユーザーがその旨を示す操作を入力した場合や、一定時間以上、超音波プローブ10の操作が無い場合など)に、以下のような動作を行うように構成されてもよい。
【0062】
(3-1)自動モードを手動モードに変更するとともに、実行中の推奨プロシージャに代えて実行するプロシージャをユーザーに選択させるユーザーインタフェースを提供する。
【0063】
(3-2)実行中の推奨プロシージャに代えて実行するプロシージャを、実行中の推奨プロシージャとともに抽出された他の候補プロシージャから選択させるユーザーインタフェースを提供する。
【0064】
(3-3)実行中の推奨プロシージャによって取得されている超音波画像との一致度に基づいて新たな推奨プロシージャを決定して実行する。
【0065】
(3-4)実行中の推奨プロシージャの前に実行していた元のプロシージャに変更する、又は当該元のプロシージャに変更するためのユーザーインターフェースを提供する。
【0066】
(3-5)実行中の推奨プロシージャとともに抽出された他の候補プロシージャのうち、実行中の推奨プロシージャの次に一致度が高かった、又は優先度が高かったプロシージャに変更する。
【0067】
図8は、実施形態における推奨プロシージャ決定処理の一例を示すフローチャートである。まず、決定機能125は、抽出機能124から複数の候補プロシージャが通知されたか否かを判定する(ステップS201)。ここで、1つの候補プロシージャが通知されたと判定した場合(ステップS201-NO)、決定機能125は、通知された1つの候補プロシージャを推奨プロシージャとして決定し(ステップS202)、推奨プロシージャ決定処理を終了する。
【0068】
一方、ステップS201において、複数の候補プロシージャが通知されたと判定した場合(ステップS201-YES)、決定機能125は、それらの複数の候補プロシージャの中に実行中のプロシージャと同じ設定画像を持つプロシージャが存在するか否かを判定する(ステップS203)。ここで複数の候補プロシージャの中に実行中のプロシージャと同じ設定画像を持つプロシージャが存在すると判定した場合(ステップS203-YES)、決定機能125は、それらの同じ設定画像を持つプロシージャが複数存在するか否かを判定する(ステップS204)。ここで同じ設定画像を持つプロシージャが複数存在すると判定した場合(ステップS204-YES)、決定機能125は、それらの設定画像の優先度に基づいて推奨プロシージャを決定した上で(ステップS205)、推奨プロシージャ決定処理を終了する。
【0069】
例えば、図5および図6に示すプロシージャ情報およびプロトコル情報の例において、実行中のプロトコルがprotocol_02であり、実行中のプロシージャがproc_02であるときに、抽出機能124により、proc_22、proc_12およびproc_03が候補プロシージャとして抽出された場合を考える。この場合、実行中のプロシージャproc_02の設定画像がA.bmpであるから、決定機能125は、設定画像がこれと同じproc_22およびproc_12のうち、優先度の高いproc_12を推奨プロシージャとして決定する。
【0070】
一方、ステップS204において、同じ設定画像を持つプロシージャが複数存在しないと判定した場合(ステップS204-NO)、すなわち実行中のプロシージャと同じ設定画像を持つプロシージャが候補プロシージャ中に1つしかない場合、決定機能125は、その同じ設定画像を持つプロシージャを推奨プロシージャに決定する(ステップS206)。
【0071】
一方、ステップS203において、複数の候補プロシージャの中に実行中のプロシージャと同じ設定画像を持つプロシージャが存在しないと判定した場合(ステップS203-NO)、決定機能125は、候補プロシージャの中に一致度が最も高いプロシージャが複数存在するか否かを判定する(ステップS207)。ここで一致度が最も高いプロシージャが複数存在すると判定した場合(ステップS207-YES)、決定機能125は、最も高い一致度を持つ複数の候補プロシージャの中から優先度が最も高いプロシージャを推奨プロシージャに決定する(ステップS208)。
【0072】
一方、ステップS207において、一致度が最も高いプロシージャが複数存在しないと判定した場合(ステップS207-NO)、すなわち複数の候補プロシージャの中に一致度が最も高いプロシージャが1つしかない場合、決定機能125は、その一致度が最も高いプロシージャを推奨プロシージャに決定する(ステップS209)。
【0073】
なお、ここでは、自動モードにおいて複数の候補プロシージャが抽出された場合に、設定画像間の優先度や一致度に基づいて1つの推奨プロシージャを決定する例について説明したが、決定機能125は、自動モードにおいても、手動モードと同様に、候補プロシージャの中からユーザーに1つのプロシージャを選択させるように構成されてもよい。
【0074】
また、推奨プロシージャ決定処理は、複数の候補プロシージャのうちから1つの推奨プロシージャを決定できる処理であればよく、必ずしも図8に示す全ての判定処理を有している必要はない。例えば、推奨プロシージャ決定処理は、一致度のみに基づいて推奨プロシージャを決定する処理であってもよいし、同じ設定画像を持つか否かによって推奨プロシージャを決定する処理であってもよいし、優先度のみに基づいて推奨プロシージャを決定する処理であってもよいし、これらの条件の1つ以上を組み合わせて推奨プロシージャを決定する処理であってもよい。また、いずれかの条件で1つの推奨プロシージャに絞り込むことができない場合には、推奨プロシージャ決定処理は、推奨プロシージャを適宜ユーザに選択させるように構成されてもよい。
【0075】
このように構成された実施形態の超音波診断装置100は、1つ以上のプロシージャを含む対象プロトコルの実行中に、現在プロシージャにおいて取得される超音波画像と、各プロシージャに対応付けて登録されている設定画像との一致度に基づいて推奨プロシージャを決定する。又は、実施形態の超音波診断装置100は、現在プロシージャに登録されている設定画像と、現在プロシージャ以外のプロシージャに登録されている設定画像とに基づいて推奨ステップを決定する。このような構成を備えることにより、実施形態の超音波診断装置100は、予め登録されたプロトコルに従って検査を進める検査支援機能(いわゆるプロトコルアシスタント)の利便性を向上させることができる。
【0076】
例えば、実施形態の超音波診断装置100は、実行中の現在プロシージャにおいて取得される超音波画像と一致度が高い設定画像を有するプロシージャを推奨プロシージャとして決定する。そのため、実施形態の超音波診断装置100によれば、現在プロシージャと同様の操作で超音波画像を取得することができるプロシージャが推奨プロシージャとして決定され、ユーザーは効率良く検査を進めることができる。
【0077】
また、実施形態の超音波診断装置100は、推奨プロシージャが決定され、且つ現在プロシージャに関する推奨プロシージャの実行開始条件が満たされた場合に推奨プロシージャを実行する。そのため、実施形態の超音波診断装置100によれば、自動モードでの動作中において、適切なタイミングで推奨プロシージャを開始することができる。
【0078】
また、実施形態の超音波診断装置100は、推奨プロシージャとなり得る複数の候補プロシージャが抽出された場合、推奨プロシージャを複数の候補プロシージャの中からユーザーに選択させる。そのため、実施形態の超音波診断装置100によれば、ユーザーは、自動モードを選択した場合であっても、ある程度自由度の高い検査を行うことが可能となる。
【0079】
また、実施形態の超音波診断装置100は、現在プロシージャについて推奨プロシージャとなり得る候補プロシージャが1つ以上抽出された場合、候補プロシージャをユーザーに通知し、いずれかの候補プロシージャを推奨プロシージャとして選択する操作が入力されたことに応じて推奨プロシージャを実行する。そのため、実施形態の超音波診断装置100によれば、ユーザーは、手動モードを選択することにより、自身の都合の良いタイミングで、自由度の高い検査を行うことが可能となる。
【0080】
また、実施形態の超音波診断装置100において、設定画像は、現在プロシージャで取得される超音波画像とともに表示され得る参照画像、又は参照画像に対応づけられた画像として設定することができる。そのため、実施形態の超音波診断装置100によれば、プロシージャの参照画像として超音波画像が登録されている場合には、その参照画像を設定画像として設定しておくことで推奨プロシージャを決定することができる。また、プロシージャの参照画像として超音波画像と比較することが適切でない画像(例えばイラスト画像など)が登録されている場合には、当該プロシージャの過去の実行において取得された超音波画像などを設定画像として設定しておくことで推奨プロシージャを決定することができる。
【0081】
また、実施形態の超音波診断装置100は、推奨プロシージャの実行中において、当該推奨プロシージャに代えて他のステップを実行することを指示するためのユーザーインターフェースを提供する。そのため、実施形態の超音波診断装置100によれば、ユーザーは、実行された推奨プロシージャが自身の期待したものでなかった場合であっても、実行中のプロシージャを他のプロシージャに速やかに変更することができる。
【0082】
また、実施形態の超音波診断装置100は、実施中のプロトコルに含まれるプロシージャ、実施中でないプロトコルに含まれるプロシージャ、又はいずれのプロトコルにも含まれていないプロシージャであって、現在プロシージャと異なるプロシージャを候補プロシージャの抽出対象とする。そのため、実施形態の超音波診断装置100によれば、ユーザーは、実施中のプロトコルに含まれていないプロシージャであっても、検査時の必要性に応じて、より適切なプロシージャを選択して実行することが可能となる。
【0083】
また、実施形態の超音波診断装置100は、完了したプロシージャを候補プロシージャの抽出対象から除外し、完了が取り消されたプロシージャを抽出対象に追加する。そのため、実施形態の超音波診断装置100によれば、完了したプロシージャが誤って実行されることが抑制されるとともに、ユーザーは、一旦完了したプロシージャであっても、検査時の必要性に応じて容易にやり直すことが可能となる。
【0084】
<変形例>
制御機能123は、画像取得機能121によって取得された超音波画像を保存する機能を有し、保存された超音波画像を用いて一致度を算出するように構成されてもよい。このような構成を備えることにより、実施形態の超音波診断装置100は、超音波画像の表示とは独立して一致度を算出することが可能となる。そのため、このように構成された超音波診断装置100によれば、例えば、超音波画像の再生が一時停止されている場合や、超音波画像の録画が再生されている場合等においても、表示中の超音波画像をもとに、推奨プロシージャを提案することが可能となる。
【0085】
抽出機能124は、現在プロシージャで取得されている超音波画像に代えて、現在プロシージャに設定されている設定画像と、現在プロシージャ以外のプロシージャに設定されている設定画像とに基づいて候補プロシージャを抽出するように構成されてもよい。例えば、抽出機能124は、現在プロシージャの設定画像と同じ設定画像を有するプロシージャを候補プロシージャとして抽出してもよい。このように構成された超音波診断装置100によれば、一致度の算出は必ずしも必要ではなくなるため、候補プロシージャの抽出にかかる処理時間を短縮することができる。なお、超音波診断装置100は、一致度に基づいて候補プロシージャを抽出する方法(以下「第1の抽出方法」という。)と、現在プロシージャの設定画像に基づいて候補プロシージャを抽出する方法(以下「第2の抽出方法」という。)とを設定等により変更可能なように構成されてもよい。
【0086】
また、第2の抽出方法において、現在プロシージャと同じ設定画像が設定されたプロシージャが複数存在する場合、決定機能125は、それらのプロシージャを候補プロシージャとして、その中からユーザーに推奨プロシージャを選択させるように構成されてもよい。また、この場合、決定機能125は設定画像間の優先度に基づいて推奨プロシージャを決定してもよい。また、この場合、決定機能125は、現在プロシージャと同じ設定画像を有する候補プロシージャのうち、現在プロシージャと同じスキャンモードを有するプロシージャを推奨プロシージャとして決定してもよい。また、現在プロシージャと同じスキャンモードを有するプロシージャは、候補プロシージャとして抽出されてもよい。また、この場合、制御機能123は、実行開始条件が満たされた場合に、候補プロシージャのうち最も優先度の高いものを推奨プロシージャとして自動的に実行するように構成されてもよい。
【0087】
制御機能123は、推奨プロシージャで使用される超音波プローブが現在プロシージャで使用されている超音波プローブと異なる場合、推奨プロシージャの実施において超音波プローブの変更が必要であることを通知するように構成されてもよい。また、ユーザーに推奨プロシージャを選択させる場合、この通知は、決定機能125によって行われてもよい。例えば、この場合、決定機能125は、各候補プロシージャを実行する場合において超音波プローブ10の変更が必要となるか否かを示す情報とともに、候補プロシージャを一覧表示させてもよい。さらに、超音波プローブ10の変更が必要となる場合、制御機能123又は決定機能125は、超音波プローブ10の変更要否とともに、変更先の超音波プローブ10を示す情報(例えば、超音波プローブ10の接続ポート番号等)を通知するように構成されてもよい。このように構成された超音波診断装置100によれば、ユーザーは、推奨プロシージャを使用する際に、実行中のプロシージャで使用しているプローブから他のプローブに変更しなければならないことを確実に把握することができ、検査を円滑に進めることができる。また、ユーザーは、このようなプローブの変更の要否を含めて推奨プロシージャを選択することが可能となる。
【0088】
制御機能123は、推奨プロシージャの実行中において、推奨プロシージャに関するユーザーの入力操作がない状態が一定時間以上継続している場合、実行中の推奨プロシージャに代えて実行するプロシージャを、当該推奨プロシージャを選択した候補プロシージャの中からユーザーに選択させるように構成されてもよい。このように構成された超音波診断装置100によれば、推奨プロシージャの実行中においてユーザーの作業が円滑に進捗していない場合に、ユーザーに対して他の推奨プロシージャを提案することができる。
【0089】
一般に、プロトコルは、少なくとも1つ以上のプロシージャと、その実行順序によって定義されるが、本実施形態の超音波診断装置100では、現在プロシージャに続けて、又は現在プロシージャに代えて実行することが推奨される推奨プロシージャが実行され得る。そのため、本実施形態の超音波診断装置100では、必ずしも予め設定された実行順序でプロシージャが実行されるとは限らない。そのため、本実施形態の超音波診断装置100では、プロトコルは、必ずしもプロシージャの実行順序を定義したものでなくてもよく、1つ以上のプロシージャの単なる集合として定義されてもよい。
【0090】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、超音波プローブの出力信号に基づく被検体の超音波画像を取得する画像取得部と、予め登録されている1つ以上の検査手順であって、前記超音波画像の取得処理を含む1つ以上のステップであって設定画像が対応付けられて登録されている1つ以上のステップを含む前記検査手順ごとに、前記ステップごとの処理を実行する制御部と、前記ステップごとに登録されている設定画像と、実行中の現在ステップにおいて取得される超音波画像との一致度に基づいて、前記現在ステップに続けて、又は前記現在ステップに代えて実行されることが推奨される推奨ステップを決定する、又は、実行中の現在ステップに登録されている設定画像と、前記現在ステップ以外のステップに設定されている設定画像とに基づいて、前記現在ステップに続けて、又は前記現在ステップに代えて実行されることが推奨される推奨ステップを決定する決定部と、を持ち、前記制御部が、現在ステップの実行中に推奨ステップが決定された場合、前記現在ステップに続けて、又は前記現在ステップに代えて前記推奨ステップを実行することにより、予め登録された手順に従って検査を進める検査支援機能の利便性を向上させることができる。
【0091】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
1…超音波診断システム、10…超音波プローブ、20…状態センサ、22…6軸センサ、
24…圧力センサ、30…入力インターフェース、40…出力インターフェース、42…表示装置、44…スピーカ、46…バイブレータ、100…超音波診断装置、110…通信インターフェース、120…処理回路、121…画像取得機能、123…制御機能、124…抽出機能、125…決定機能、130…メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8