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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】自動改札機、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20240708BHJP
【FI】
G07B15/00 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020153983
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2022047931
(43)【公開日】2022-03-25
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞部 一寿
(72)【発明者】
【氏名】堀内 隆佑
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-276619(JP,A)
【文献】特開2020-008895(JP,A)
【文献】特開2013-164876(JP,A)
【文献】特開2018-045552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00-17/04
G07C 9/00- 9/38
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1媒体に記録された第1情報を読み取る第1読取部と、
前記第1媒体とは異なる第2媒体に記録された第2情報を読み取る第2読取部と、を備え、
前記第1読取部で読み取られた前記第1情報に係員であることを認証する情報が含まれ、かつ前記第2情報に含まれる前記係員であることを認証する情報が前記第2読取部で読み取られた場合、動作するモードが改札業務を行うモードから保守作業が可能なモードに切り替わる
自動改札機。
【請求項2】
前記第1読取部で前記第1情報が読み取られた場合、前記第1読取部は、前記第1情報を読み取り可能な状態から前記第1情報の読み取りを停止する状態に遷移し、前記第2読取部は、前記第2情報を読み取り可能な状態から前記第2情報を読み取り不可能な状態に遷移し、
前記第1読取部で読み取られた前記第1情報に前記係員であることを認証する情報が含まれている場合、前記第2読取部は、前記第2情報を読み取り不可能な状態から前記第2情報を読み取り可能な状態に遷移する
請求項1に記載の自動改札機。
【請求項3】
前記第1読取部で読み取られた前記第1情報に前記係員であることを認証する情報が含まれ、前記第2読取部が前記第2情報を読み取り不可能な状態から前記第2情報を読み取り可能な状態に遷移した後、前記第2読取部において前記第2情報に含まれる前記係員であることを認証する情報が所定時間内に読み取られない場合、前記第1読取部は、前記第1情報の読み取りを停止した状態から前記第1情報を読み取り可能な状態に遷移する
請求項2に記載の自動改札機。
【請求項4】
前記第1読取部は、前記第1媒体に記録されたコード画像から光学的に情報を読み取り、
前記第2読取部は、前記第2媒体と通信して前記第2媒体に記録された情報を読み取る
請求項1からのいずれか一項に記載の自動改札機。
【請求項5】
第1媒体に記録された第1情報を読み取る第1読取部と、前記第1媒体とは異なる第2媒体に記録された第2情報を読み取る第2読取部と、を備えた自動改札機を制御するプログラムであって、
前記第1読取部で読み取られた前記第1情報に係員であることを認証する情報が含まれるか否かを判定する手順と、
前記係員であることを認証する情報が前記第1情報に含まれる場合、前記第2読取部で読み取られた前記第2情報に前記係員であることを認証する情報が含まれるか否かを判定する手順と、
前記第1読取部で読み取られた前記第1情報に前記係員であることを認証する情報が含まれ、かつ前記第2情報に含まれる前記係員であることを認証する情報が前記第2読取部で読み取られた場合、前記自動改札機が動作するモードを改札業務を行うモードから保守作業が可能なモードに切り替える手順と、
制御部に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動改札機、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道やバスなどの交通機関では、IC(Integrated Circuit)カードにより改札を行う自動改札機(以下、単に改札機という)が利用されている。さらに、近年ではコード画像から光学的に情報を読み取る機能を備えた改札機も登場している。改札機の保守、点検などを行う場合、例えば通常の旅客改札業務を行うための動作モード(以下、通常モードという)から、内部機器の操作などが可能な動作モード(以下、保守モードという)に改札機が切り替えられる。
【0003】
通常モードから保守モードに切り替える場合、従来においては、例えば改札機に設置されたスイッチの切り替えや鍵の開錠などを要しており、作業性の低下を招いていた。加えて、これらのスイッチや鍵は、不正操作を防ぐため、通常時は操作され難い箇所などに配置される場合が多く、この点も作業性を低下させる要因となっていた。この他にも、例えば改札機を一旦、無札者の検知状態にした上で、保守モードに切り替えるなどの手間を要する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5931665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態が解決しようとする課題は、動作モードの不正切り替えなどの防止を図りながら、簡易な方法で運用モードの切り替えが可能な改札機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の自動改札機は、第1媒体に記録された第1情報を読み取る第1読取部と、第1媒体とは異なる第2媒体に記録された第2情報を読み取る第2読取部と、を備える。第1読取部で読み取られた第1情報に係員であることを認証する情報が含まれ、かつ第2情報に含まれる係員であることを認証する情報が第2読取部で読み取られた場合、動作するモードが改札業務を行うモードから保守作業が可能なモードに切り替わる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る自動改札機の上流側の一例を示す図。
図2】同実施形態に係る複数並設された自動改札機の一例を示す平面図。
図3】同実施形態に係る自動改札機の制御ブロックの一例を示す図。
図4】同実施形態に係る読取処理部が実行するモード切替処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0009】
図1は、本実施形態に係る自動改札機(以下、単に改札機という)10の上流側の一例を示す図である。改札機は、利用者が出入りする出入口や入退館ゲート、一例として鉄道駅の改札口などに設置され、利用者の通行(入出場)を許可または禁止する改札業務を行う装置である。利用者は、鉄道を利用する旅客(乗降客)、駅構内への入出場者、駅務員、保守作業員などである。
【0010】
ここで、図示の矢印A1に示すように、上流側とは、改札機10を介してユーザが駅構内に進入する側である。図1に示す第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zは、互いに直交している。第1方向Xは、改札機10によって規定される通路における矢印(通行方向)A1に相当する。第2方向Yは、改札機10の幅方向(あるいは改札機10によって規定される通路の幅方向)に相当する。第3方向Zは、改札機10の高さ方向に相当する。
【0011】
改札機10は、第1読取部11、第2読取部12、制御部13、表示部14、ドア15、センサ16、及び筐体17などを有している。ここで、図2は、複数台の改札機10が並べて配置された場合の一例を示す平面図である。図2に示す例では、二台の改札機10が逆向きに並んで配置され、これらの改札機10の筐体17によって利用者の通路PWが規定される。通路PWは、矢印A1,A2で図示するように、両側からユーザが進入できるようになっている。なお、図2に示す例では、改札機10は、逆向きに並んで配置されているが、同じ向きに並んで配置されてもよい。この場合、利用者が進入、通行する方向は、矢印A1,A2の一方が示す方向のみとなる。
【0012】
第1読取部11は、媒体(以下、第1媒体という)に記録された情報(第1情報)を読み取る。本実施形態において、第1媒体にはコード画像として情報が記録されている。したがって、第1読取部11は、第1媒体に記録されたコード画像から光学的に情報を読み取る。ここでの情報とは、例えばバーコード、二次元コードなどの乗車情報である。乗車情報としては、第1媒体に固有の識別情報、利用者の識別情報、有効区間、有効期間、入場記録、出場記録などに関する各種情報が含まれる。第1媒体の形式は、特に限定されない。第1媒体は、乗車情報に対応するコード画像が印刷された紙券であってもよいし、該コード画像が表示可能なスマートフォンなどの電子機器であってもよい。第1読取部11は、第1読取面11Aを有している。第1読取面11Aは、第1読取部11において、乗車情報を有する第1媒体、端的にはコード画像が翳される面に相当する。
【0013】
第1読取面11Aは、例えばガラスや樹脂などの透明な材料によって形成されたカバー114の表面に相当する。カバー114は、第1読取部11が備えるカメラなどを覆っている。カバー114は、筐体17に設けられた開口を塞ぐように設けられている。なお、カバー114や開口の形状は、図示したような長方形状に限定されず、楕円形状などの他の形状であってもよい。
【0014】
第2読取部12は、第1媒体とは異なる媒体(以下、第2媒体という)に記録された情報(第2情報)を読み取る。本実施形態において、第2読取部12は、第2媒体との無線通信により乗車情報を読み取る。第2媒体は、例えばIC(Integrated Circuit)チップが埋め込まれたICカードであってもよいし、スマートフォンなどの電子機器であってもよい。乗車情報は、第1読取部11が読み取る第1媒体に記録されたコード画像に対応する乗車情報と同等である。ただし、乗車情報には、コード画像に対応する乗車情報にさらに別の情報が付加されていてもよい。第2読取部12は、第2読取面12Aを有している。第2読取面12Aは、第2読取部12において、乗車情報を有する第2媒体が翳される面に相当する。また、第2読取部12には、楕円形状の発光部123が設けられている。
【0015】
第2読取面12Aは、例えば樹脂などの材料によって形成されたカバー124の表面に相当する。カバー124は、第2読取部12が備えるアンテナなどを覆っている。なお、カバー124の形状は、図示した例に限定されず、例えば長方形状や楕円形状などの他の形状であってもよい。
【0016】
図2において二点鎖線で示すように、第2読取部12は、第2媒体と通信可能な有効範囲(通信エリア)EAを有している。本実施形態では一例として、有効範囲EAは、第2読取面12Aの上方に半球状に広がっている。
【0017】
本実施形態では、第3方向(高さ方向)Zに沿った位置に関して、第1読取部11は、第2読取部12よりも下方に位置している。第1読取面11Aと第2読取面12Aとは、第1読取面11Aに翳された第1媒体が有効範囲EAと重ならないように配置されている。また、第1読取面11A及び第2読取面12Aは、いずれも通路PWの上流側の高さが通行方向A1の下流側の高さよりも低くなるように水平面に対して傾いている。第1読取面11Aの水平面に対する角度は、第2読取面12Aの水平面に対する角度とは異なる。
【0018】
表示部14は、通路PWへの進入の可否など含む通路情報を表示する。表示部14は、例えば複数の点光源を備える表示パネルと、表示パネルを制御する制御回路とを備えている。表示部14は、改札機10において、通行方向A1の最も上流側に位置している。より具体的には、表示部14は、通路PWの上流側において、筐体17の端面に設けられている。
【0019】
ドア15は、通路PWに面して、筐体17に回動可能に支持されている。ドア15は、通路の上流側に設けられている。なお、図示は省略するが、通路PWの下流側にもドアが設けられている。
【0020】
センサ(検知部)16は、通路PWに接近する利用者の有無や、通路内の利用者の有無などを検知する。本実施形態では、複数のセンサ16が通行方向A1に沿って配置されている。センサ16は、例えば、発光部及び受光部を内蔵した反射型センサや、発光部と受光部とが通路を挟んで対向配置された透過型センサなどである。
【0021】
筐体17は、第1読取部11、第2読取部12、表示部14、ドア15、及びセンサ16を備え、制御部13を収容しており、改札機10の外形を規定する。
制御部13は、上述した第1読取部11、第2読取部12、表示部14、ドア15などの各機構を制御する(詳細は後述)。
【0022】
図3は、改札機10の制御ブロックの一例を示す図である。改札機10は、第1読取部11、第2読取部12、制御部13、表示部14、ドア15、及びセンサ16を備えている。また、制御部13は、第1読取部11、第2読取部12、表示部14、ドア15、及びセンサ16とそれぞれ制御線を介して接続される。
【0023】
第1読取部11は、カメラ111と、照明装置112と、画像処理部113とを備えている。照明装置112は、図1に示す第1読取面11Aに翳された第1媒体を照明する。照明装置112は、第1媒体の利用が可能である場合(後述する読取許可状態)には第1媒体を照明し、第1媒体の利用が可能でない場合(後述する読取停止状態)には第1媒体を照明しない。これにより、第1読取部11が利用可能であるか否かが利用者に報知される。カメラ111は、照明された第1媒体(特に第1媒体が有する情報)を撮像し、その画像を画像処理部113に出力する。画像処理部113は、カメラ111により撮像された画像から必要な情報を抽出し、抽出した情報を数値や文字などの情報に復号する。
【0024】
第2読取部12は、アンテナ121と、通信制御部122と、発光部123とを備えている。通信制御部122は、アンテナ121を介した電波の発信、及び図1に示す第2読取面12Aに翳された第2媒体からアンテナ121を介して取得した電波に含まれる情報の復調などを行う。発光部123は、第2媒体の利用が可能である場合(後述する第1読取可能状態および第2読取可能状態)に発光し、第2媒体の利用が可能でない場合(後述する読取不可状態)に消灯する。これにより、第2読取部12が利用可能であるか否かが利用者に報知される。
【0025】
制御部13は、読取処理部131、ドア制御部132、表示制御部133などを備えている。
【0026】
読取処理部131は、例えばセンサ16の検出結果に基づいて利用者の通路PWへの接近または通路PW内への進入を検知した場合、第1読取部11及び第2読取部12を駆動して、第1媒体及び第2媒体を受け付ける。これらの媒体から情報を読み取る際の読取処理部131の処理の詳細については、後述する。ドア制御部132は、ドア15の開閉を制御する。表示制御部133は、表示部14の表示を制御する。
【0027】
次に、第1媒体または第2媒体から情報を読み取る際に、制御部13が実行する処理について説明する。具体的には、改札機10の保守、点検などを行う場合に改札機10を通常モードから保守モードに切り替える処理(以下、モード切替処理という)について説明する。通常モードは、改札機10が通常の旅客改札業務を行うための動作モードである。これに対し、保守モードは、保守や点検などを行うために必要な作業(以下、保守作業という)を行う際、改札機10の内部機器に対する操作などが可能な動作モードである。本実施形態では一例として、改札機10は、保守作業時、通常モードから保守モードにモードが切り替えられ、保守作業後、保守モードから通常モードに切り替えられる。
【0028】
図4は、制御部13が実行するモード切替処理の一例を示すフローチャートである。モード切替処理は、制御部13内の記憶部に記憶されるプログラム(またはファームウェア)をCPUが実行することにより実現される。なお、以下のフローチャートの説明において、改札機10の利用者のうち、係員が所定の利用者に相当する。係員は、駅務員や保守作業員など、改札機10を通常モードから保守モードへ切り替えることが許容された者である。したがって、所定の利用者である係員以外の利用者は、鉄道を利用する旅客(乗降客)や駅構内への入出場者などの一般利用者(以下、総称して旅客という)である。
【0029】
図4に示すように、モード切替処理にあたって、制御部13は、改札機10を通常モードで動作させる。このため、読取処理部131は、第1読取部11及び第2読取部12を通常運用状態にする(S101)。通常運用状態において、第1読取部11は、第1媒体に記録された情報(第1情報)を読み取り可能な状態(以下、読取許可状態という)である。また、通常運用状態において、第2読取部12は、第2媒体に記録された情報(第2情報)に含まれる旅客であることを認証する情報を読み取り可能な状態(第2読取可能状態)である。旅客であることを認証する情報は、例えば第2媒体に含まれる利用者の識別情報が旅客であることを示す情報である。これらの状態は、例えば改札機10に電源が投入された後、利用者(係員および旅客)の利用を待機する待機状態である。
【0030】
読取許可状態において、第1読取部11は、カメラ111で第1媒体を撮像可能な状態となっている。また、第2読取可能状態において、第2読取部12は、第2媒体からの応答を要求する信号(捕捉コマンド)を所定周期で連続的に発信(ポーリング)する。具体的には、第2媒体が旅客用媒体であることを示す券種コード、例えば旅客用の券種コードを指定した捕捉コマンドが第2読取部12から発信される。読取許可状態において、第1読取部11の照明装置112は照明状態にあり、第2読取可能状態において、第2読取部12の発光部123は発光状態にある。これにより、利用者は、第1読取部11及び第2読取部12が利用可能であることを視認できる。
【0031】
このような状態において、読取処理部131は、第1媒体の読み取りがなされたか否かを判定する(S102)。すなわち、第1読取部11が第1媒体、例えば二次元コードを読み取ったか否かが判定される。
【0032】
第1媒体の読み取りがなされない場合(S102:No)、読取処理部131は、第1媒体の読み取りがなされたか否かを再び判定する(S102)。この場合、第1読取部11及び第2読取部12の読取許可状態(S101)が継続されている。
【0033】
これに対し、S102において第1媒体の読み取りがなされた場合(S102:Yes)、読取処理部131は、第1読取部11及び第2読取部12を媒体読取停止状態にする(S103)。媒体読取停止状態において、第1読取部11は読取停止状態であり、第2読取部12は読取不可状態である。ここでは、第1読取部11が読取許可状態から読取停止状態に遷移され、第2読取部12が第2読取可能状態から読取不可状態に遷移される。読取停止状態は、第1読取部11が第1媒体に記録された情報(第1情報)の読み取りを停止した状態である。読取不可状態は、第2読取部12が第2媒体に記録された第2情報を読み取り不可能な状態である。読取停止状態において、第1読取部11の照明装置112は照明状態になく(消灯状態にあり)、読取不可状態において、第2読取部12の発光部123は発光状態にない(無発光状態にある)。これにより、利用者は、第1読取部11及び第2読取部12が利用不可能であることを視認できる。
【0034】
次いで、読取処理部131は、第1媒体が係員認証用であるか否かを判定する(S104)。判定にあたって、読取処理部131は、第1読取部11が読み取った第1媒体の乗車情報を取得し、乗車情報に含まれる利用者の識別情報が係員であることを示す情報(係員を認証する情報)であるか否かを判定する。
【0035】
第1媒体が係員認証用でない場合(S104:No)、読取処理部131は、改札機10の動作モードを保守モードに切り替えることなく、通常モードのまま維持する(S105)。例えば、読取処理部131は、第1媒体が係員認証用ではなく、旅客用である場合、通常モードを維持する。一例として、読み取った第1媒体の乗車情報に含まれる利用者の識別情報が係員であることを示す情報ではなく、旅客であることを示す情報である場合、読取処理部131は通常モードを維持する。これにより、制御部13は、通常モードで改札機10を動作させるべく、通常の旅客改札業務を行うための制御(処理)を行う。
【0036】
これに対し、S104において第1媒体が係員認証用である場合(S104:Yes)、読取処理部131は、第1読取部11及び第2読取部12を保守モード切替可能状態に遷移させる(S106)。保守モード切替可能状態は、改札機10を通常モードから保守モードへ切り替えることが可能な状態である。保守モード切替可能状態において、第1読取部11は読取停止状態であり、第2読取部12は第1読取可能状態である。第1読取可能状態は、第2読取部12が第2媒体に記録された情報(第2情報)に含まれる係員であることを認証する情報を読み取り可能な状態である。これにより、第1読取部11は新たな第1媒体を読み取れない状態のまま維持され、第2読取部12は係員用の第2媒体を読み取ることが可能な状態、換言すれば、旅客用の第2媒体を読み取ることが不可能な状態に遷移される。
【0037】
保守モード切替可能状態に遷移させると、読取処理部131は、一定時間内に第2媒体が係員認証用であるか否かを判定する(S107)。判定にあたって、読取処理部131は、第2読取部12が読み取った第2媒体の乗車情報を取得し、該乗車情報に含まれる利用者の識別情報が係員であることを示す情報(係員を認証する情報)であるか否かを判定する。具体的には、保守モード切替可能状態(第1読取可能状態)において、第2読取部12は、第2媒体が係員認証用の第2媒体であることを示す券種コード、例えば係員用の券種コードを指定した捕捉コマンドを所定周期で連続的に発信(ポーリング)する。
【0038】
そして、読取処理部131は、該捕捉コマンドに対する第2媒体からの応答信号が所定時間内に第2読取部12で受信(捕捉)されているか否かを判定する。応答信号が所定時間内に第2読取部12で受信(捕捉)されている場合、読取処理部131は、第2媒体が係員認証用であると判定する。一方、応答信号が所定時間内に第2読取部12で受信(捕捉)されていない場合、読取処理部131は、第2媒体が係員認証用でないと判定する。所定時間としては、利用者が第1媒体を第1読取部11で読み取らせた後、通路PWを通行方向にA1に支障なく通行し、第2媒体を第2読取部12に読み取らせることが可能な位置まで進行するのに要する時間が確保されていればよい。
【0039】
第2媒体が係員認証用である場合(S107:Yes)、読取処理部131は、改札機10の動作モードを通常モードから保守モードに切り替える(S108)。これにより、改札機10は、通常の旅客改札業務を行うための動作モードから、保守作業のために改札機10の内部機器に対する操作などが可能な動作モードに移行する。
【0040】
これに対し、S107において第2媒体が係員認証用でない場合(S107:No)、読取処理部131は、第1読取部11及び第2読取部12を通常運用状態にし(S101)、第1媒体の読み取りがなされたか否かを再び判定して(S102)、判定結果に応じて以降の処理(S103~S108)を順次行う。
【0041】
このように、本実施形態によれば、保守作業を行う場合、係員認証用の第1媒体を第1読取部11に読み取らせるとともに、係員認証用の第2媒体を第2読取部12に読み取らせることで、改札機10の動作モードを通常モードから保守モードに切り替えることができる。
【0042】
したがって、従来の動作モードの切り替え時のように、例えば改札機10に設置されたスイッチの切り替えや鍵の開錠などの付随作業を省略することができる。また、例えば保守モードに切り替えるために、改札機10を一旦、無札者の検知状態にするなどの手間も要しない。すなわち、係員認証用の第1媒体及び第2媒体を読み取らせるという簡易な作業のみで、改札機10の動作モードを通常モードから保守モードへ容易に切り替えることができる。
【0043】
また、保守作業にあたって通常モードから保守モードに動作モードを切り替える場合、第1読取部11及び第2読取部12を媒体読取停止状態に遷移させ、さらに保守モード切替可能状態に遷移させる必要がある。したがって、第1読取部11及び第2読取部12を保守モード切替可能状態に遷移させることで、初めて改札機10を通常モードから保守モードに切り替えることが可能となる。
【0044】
すなわち、通常モードから保守モードに直接切り替えるのではなく、第1読取部11及び第2読取部12を媒体読取停止状態に遷移させ、続けて保守モード切替可能状態に遷移させない限り、改札機10を保守モードへ切り替えることができない。このように、通常モードから保守モードに直接切り替えることができないため、改札機10が意図せずに、あるいは不正に保守モードへ切り替えられることを有効に抑止できる。
【0045】
その一方で、第1読取部11および第2読取部12を媒体読取停止状態に遷移させる際には、係員認証用の第1媒体を第1読取部11に読み取らせるだけで済む。また、第1読取部11及び第2読取部12を保守モード切替可能状態に遷移させる際には、係員認証用の第2媒体を第2読取部12に読み取らせるだけで済む。したがって、これらの状態遷移は、改札機10に対するスイッチの切り替えなどの機械的な作業を必要とせず、第1媒体及び第2媒体を読み取らせるだけの簡易な作業のみで行うことができる。
【0046】
さらに、第1読取部11に読み取らせる係員認証用の第1媒体に記録するコード画像は、適宜変更可能なため、不正使用を回避させ易く、セキュリティの向上も図りやすい。
【0047】
したがって、本実施形態に係る改札機10によれば、動作モードの不正切り替えなどの抑止を図りながら、簡易な方法で動作モードを切り替えることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0049】
上述した実施形態では、改札機10が鉄道駅の改札口に設置される場合を想定したが、改札機の用途は、交通機関の改札業務に限定されない。例えば、オフィスビル、イベントホール、美術館や博物館などの出入口に設置される入退館ゲートとして改札機を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0050】
10…改札機、11…第1読取部、12…第2読取部、13…制御部、14…表示部、15…ドア、16…センサ、131…読取処理部。
図1
図2
図3
図4