(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/00 20060101AFI20240708BHJP
A41D 27/20 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
A41D13/00 112
A41D13/00 102
A41D27/20 B
(21)【出願番号】P 2020156346
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】594158460
【氏名又は名称】ナガイレーベン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】渡井 哲夫
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06763527(US,B1)
【文献】特開2001-131815(JP,A)
【文献】米国特許第06286147(US,B1)
【文献】特開2019-105016(JP,A)
【文献】特開2018-040080(JP,A)
【文献】中国実用新案第210056063(CN,U)
【文献】登録実用新案第3159326(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0091464(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00
A41D13/12
A41D27/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃と後身頃とを有する上衣を備えた衣服であって、
前記前身頃における左側部分又は右側部分のいずれか一方において、聴診器のチェストピースの少なくとも一部を収納可能な第1ポケット部を備え、
前記第1ポケット部は、前記チェストピースの少なくとも一部を当該第1ポケット部に出し入れするための収納口を備え、
前記収納口に、前記チェストピースを係止可能な係止部を
設け、
前記チェストピースは、
チェストピース本体と、
前記チェストピース本体に接続された把持部であって、前記チェストピースを把持するための把持部と、を備え、
前記チェストピースを前記係止部によって係止した際に、前記チェストピース本体が前記第1ポケット部に収納されると共に、前記把持部が外部に露出するように、前記第1ポケット部及び前記係止部を構成した、
衣服。
【請求項2】
前記第1ポケット部は、前記チェストピースを前記係止部によって係止しながら前記第1ポケット部に収納した状態において、前記チェストピースと前記第1ポケット部との間のすべりを防止するすべり防止部を備える、
請求項1に記載の衣服。
【請求項3】
前記前身頃における左側部分又は右側部分のいずれか他方において、前記聴診器のイヤーピースを保持可能な保持部を備え、
前記保持部は、
前記前身頃に対して両端が固定された第1ループ材と、
前記第1ループ材に対して一端が固定され、且つ他端が着脱自在に接続可能な第2ループ材と、を備える、
請求項1又は2に記載の衣服。
【請求項4】
前記前身頃における左側部分又は右側部分において、前記聴診器の少なくとも一部を収納可能な第2ポケット部を備え、
前記第2ポケット部を、袋布材で形成した、
請求項1から3のいずれか一項に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、聴診器のチェストピースを保持することが可能な衣服が提案されている。このような衣服としては、例えば、衣服の前身頃と一体に縫製されている帯形状の聴診器保持部材を備えることにより、聴診器のイヤーピースを聴診器保持部材に挿通してからチェストピースを聴診器保持部材に保持できる衣服が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記従来の衣服においては、上述したように、イヤーピースを聴診器保持部材に挿通してからチェストピースを聴診器保持部材に保持するので、チェストピースを聴診器保持部材から着脱する手間を比較的要することから、着用者の聴診器の使用性を高める観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、着用者の聴診器の使用性を高めることが可能になる、衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の衣服は、前身頃と後身頃とを有する上衣を備えた衣服であって、前記前身頃における左側部分又は右側部分のいずれか一方において、聴診器のチェストピースの少なくとも一部を収納可能な第1ポケット部を備え、前記第1ポケット部は、前記チェストピースの少なくとも一部を当該第1ポケット部に出し入れするための収納口を備え、前記収納口に、前記チェストピースを係止可能な係止部を設け、前記チェストピースは、チェストピース本体と、前記チェストピース本体に接続された把持部であって、前記チェストピースを把持するための把持部と、を備え、前記チェストピースを前記係止部によって係止した際に、前記チェストピース本体が前記第1ポケット部に収納されると共に、前記把持部が外部に露出するように、前記第1ポケット部及び前記係止部を構成した。
【0007】
請求項2に記載の衣服は、請求項1に記載の衣服において、前記第1ポケット部は、前記チェストピースを前記係止部によって係止しながら前記第1ポケット部に収納した状態において、前記チェストピースと前記第1ポケット部との間のすべりを防止するすべり防止部を備える。
【0008】
請求項3に記載の衣服は、請求項1又は2に記載の衣服において、前記前身頃における左側部分又は右側部分のいずれか他方において、前記聴診器のイヤーピースを保持可能な保持部を備え、前記保持部は、前記前身頃に対して両端が固定された第1ループ材と、前記第1ループ材に対して一端が固定され、且つ他端が着脱自在に接続可能な第2ループ材と、を備える。
【0009】
請求項4に記載の衣服は、請求項1から3に記載の衣服において、前記前身頃における左側部分又は右側部分において、前記聴診器の少なくとも一部を収納可能な第2ポケット部を備え、前記第2ポケット部を、袋布材で形成した。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の衣服によれば、前身頃における左側部分又は右側部分のいずれか一方において、聴診器のチェストピースの少なくとも一部を収納可能な第1ポケット部を備え、第1ポケット部は、チェストピースの少なくとも一部を当該第1ポケット部に出し入れするための収納口を備え、収納口に、チェストピースを係止可能な係止部を設けたので、従来技術(チェストピースを聴診器保持部材に保持する技術)に比べて、チェストピースを係止部から着脱する手間を低減でき、着用者の聴診器の使用性を高めることができる。また、チェストピースを係止部によって係止した際にチェストピースの少なくとも一部を第1ポケット部に収納でき、従来技術に比べてチェストピースを保護できる。
また、チェストピースを係止部によって係止した際に、チェストピース本体が第1ポケット部に収納されると共に、把持部が外部に露出するように、第1ポケット部及び係止部を構成したので、チェストピースを係止部によって係止した際に、チェストピース本体を第1ポケット部に収納しながら、把持部を把持しやすくなるため、チェストピースを第1ポケット部から容易に取り出すことが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の衣服によれば、第1ポケット部が、チェストピースを係止部によって係止しながら第1ポケット部に収納した状態において、チェストピースと第1ポケット部との間のすべりを防止するすべり防止部を備えるので、チェストピースと第1ポケット部との間のすべりを防止でき、上記収納した状態においてチェストピースが第1ポケット部から脱落することを回避できる。
【0013】
請求項3に記載の衣服によれば、保持部が、前身頃に対して両端が固定された第1ループ材と、第1ループ材に対して一端が固定され、且つ他端が着脱自在に接続可能な第2ループ材と、を備えるので、保持部を1つのループ材のみで構成する場合に比べて、第1ループ材又は第2ループ材の一方でイヤーピースを保持しながら、第1ループ材又は第2ループ材の他方でイヤーピース以外の医療器具等を保持でき、保持部の使用性を高めることができる。
【0014】
請求項4に記載の衣服によれば、前身頃における左側部分又は右側部分において、聴診器の少なくとも一部を収納可能な第2ポケット部を備え、第2ポケット部を、袋布材で形成したので、聴診器を第2ポケット部に収納していることが外部から比較的目立ちづらいことから、衣服の意匠性を維持しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係る衣服の構成を示す正面図である。
【
図3】
図1の第1右側ポケット部の周辺領域の拡大図であり(一部図示省略)、(a)は聴診器のチェストピースを収納していない状態を示す図、(b)はチェストピースを収納している状態を示す図である。
【
図4】
図1の保持部の周辺領域の拡大図であり(一部図示省略)、(a)は聴診器のイヤーピースを保持していない状態を示す図、(b)はイヤーピースを保持している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る衣服の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
〔I〕実施の形態の基本的概念
最初に、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、前身頃と後身頃とを有する上衣を備えた衣服に関するものである。
【0019】
ここで、「着用者」とは、医療業務に従事する従業者を意味し、例えば、医師、看護師等を含む概念である。また、「医療業務」とは、医療に関する業務を意味し、例えば、診療業務、救急業務等を含む概念である。
【0020】
また、「衣服」とは、着用者が着用する衣類であり、医療用(一例として、診療用、手術用等)の上衣(一例として、外衣(ドクターコート、ジャケット等)、シャツ等)や上下繋ぎ式の衣服等(一例として、ワンピース等)を含む概念である。
【0021】
以下、実施の形態では、衣服を、医師が診察又は治療を行う際に着用するドクターコートに適用した場合について説明する。
【0022】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0023】
(構成)
最初に、実施の形態に係る衣服の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る衣服の構成を示す正面図である。
図2は、
図1の衣服の背面図である。以下の説明では、
図1のX方向を左右方向(着用者(具体的には、医師)から見た方向を基準とするものとし、-X方向を右方向、+X方向を左方向)、
図1のY方向を上下方向(+Y方向を上方向、-Y方向を下方向)、X方向及びY方向に直交する方向を前後方向(
図1の紙面の手前側に至る方向を前方向、
図1の紙面の奥側に至る方向を後方向)と称する。
【0024】
衣服1は、少なくとも聴診器100を保持可能なものであって、
図1、
図2に示すように、衣服本体10、第1右側ポケット部20、第1左側ポケット部30、第2右側ポケット部40、第2左側ポケット部50、保持部60、及び前側接続部70を備えている。
【0025】
ここで、「聴診器100」は、人の皮膚に当てて体内の音を聴き取るための医療器具であり、実施の形態では、後述する
図3、
図4に示すように、人の皮膚に当てるチェストピース110と、体内の音を聴き取るためのイヤーピース120と、チェストピース110に接続されたゴム管130と、イヤーピース120とゴム管130とに接続された耳管140とを備えている。また、チェストピース110は、チェストピース110の基本構造体であるチェストピース本体111と、チェストピース本体111に接続された把持部112であって、チェストピース110を把持するための把持部112と、を備えている。
【0026】
(構成-衣服本体)
図1に戻り、衣服本体10は、衣服1の基本構造体である。この衣服本体10は、着用者の上半身及び下半身を覆うことが可能な略中空状体にて形成されている。具体的には、以下では、説明の都合上、衣服本体10を5つの領域に区分して説明する。
【0027】
すなわち、
図1、
図2に示すように、この衣服本体10は、着用者の肩部から股部に至る範囲を覆う前身頃11であって、相互に分離されて構成された左側部分11a及び右側部分11bを有する前身頃11と、着用者の肩部から臀部に至る範囲を覆う後身頃12と、着用者の右上腕を覆う右袖部13と、着用者の左上腕を覆う左袖部14と、襟口部16(開口)から立ち上げられた襟部15とを備えている。
【0028】
また、実施の形態では、前身頃11及び後身頃12の各々の下端部には、裾口部17(開口)が設けられていると共に、右袖部13及び左袖部14の各々の先端部には、袖口部18(開口)が設けられている。また、後身頃12の下端部及びその近傍には、下側開き部19が設けられている。
【0029】
また、衣服本体10の材質については任意であるが、例えば、着用者が動きやすい材質で形成されることが望ましく、一例として、軽量且つ伸縮性を有する公知の織物素材や、表地をポリエステル材とし、裏地を綿材(又はキュプラ材)とした公知の多層ニット素材、又はこれらを組み合わせたもの等にて形成されてもよい。
【0030】
なお、以下では、衣服本体10の面のうち、着用者の肌面に対向する側の面を「衣服内面」と称し、着用者の肌面に対向する側とは反対側の側面を「衣服外面」と称する。
【0031】
(構成-第1右側ポケット部)
図1に戻り、第1右側ポケット部20は、聴診器100のチェストピース110の少なくとも一部を収納可能な第1ポケット部であり(実施の形態では、チェストピース110以外の物も収納可能である)、
図1に示すように、右側部分11bのうち着用者の胸部と対応する部分に設けられている。なお、第1右側ポケット部20の構成の詳細については、後述する。
【0032】
(構成-第1左側ポケット部)
第1左側ポケット部30は、収納物(図示省略)を収納可能なポケット部であり、
図1に示すように、左側部分11aの着用者の胸部と対応する部分に設けられ、具体的には、第1右側ポケット部20よりも下方に設けられている。なお、第1左側ポケット部30の構成の詳細については、後述する。
【0033】
ここで、「収納物」とは、第1左側ポケット部30(あるいは、第2右側ポケット部40、第2左側ポケット部50)に収納されるものであり、例えば、医療用PHS、携帯電話、医療器具、文具等を含む概念である。
【0034】
(構成-第2右側ポケット部)
第2右側ポケット部40は、聴診器100の少なくとも一部を収納可能な第2ポケット部であり(実施の形態では、聴診器100以外の物も収納可能である)、
図1に示すように、右側部分11bにおいて着用者の腰部と対応する部分に設けられている。なお、第2右側ポケット部40の構成の詳細については、後述する。
【0035】
(構成-第2左側ポケット部)
第2左側ポケット部50は、聴診器100の少なくとも一部を収納可能な第2ポケット部であり(実施の形態では、聴診器100以外の物も収納可能である)、
図1に示すように、左側部分11aにおいて着用者の腰部と対応する部分に設けられており、具体的には、第1右側ポケット部20と略同一の高さ位置に設けられている。なお、第2左側ポケット部50の構成の詳細については、後述する。
【0036】
(構成-保持部)
保持部60は、聴診器100のイヤーピース120を保持可能なものであり(実施の形態では、イヤーピース120以外の物も保持可能である)、
図1に示すように、左側部分11aにおいて着用者の胸部と対応する部分に設けられており、具体的には、第1右側ポケット部20と略同一の高さ位置に設けられている。なお、保持部60の構成の詳細については、後述する。
【0037】
(構成-前側接続部)
前側接続部70は、右側部分11bと左側部分11aとを着脱自在に接続するものである。この前側接続部70は、例えば公知の接続構造を用いて構成されており、具体的には、
図1に示すように、右側部分11bにおいて上下方向に沿って複数に設けられた前側被係止部71(例えば、ボタン、雄ボタン等)と、左側部分11aにおいて各前側被係止部71と対応する位置に設けられた前側係止部72であって、前側被係止部71を係止する前側係止部72(例えば、ボタン孔、雌ボタン等)とを備えている。
【0038】
(構成-第1右側ポケット部の構成の詳細)
次に、第1右側ポケット部20の構成の詳細について説明する。
図3は、
図1の第1右側ポケット部20の周辺領域の拡大図であり(一部図示省略)、(a)は聴診器100のチェストピース110を収納していない状態を示す図、(b)はチェストピース110を収納している状態を示す図である。
【0039】
第1右側ポケット部20は、
図1、
図3に示すように、第1右側ポケット部本体21、第1右側収納口22、及びすべり防止部23を備えている。なお、第1右側ポケット部20は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0040】
(構成-第1右側ポケット部の構成の詳細-第1右側ポケット部本体)
第1右側ポケット部本体21は、第1右側ポケット部20の基本構造体であり、
図3に示すように、右側部分11bの衣服内面に設けられ、右側部分11bに対して縫着等にて固定されている。
【0041】
また、第1右側ポケット部本体21の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態では以下の通りに設定している。
【0042】
すなわち、第1右側ポケット部本体21の形状については、切りポケット構造に基づいた中空状体にて設定している。ただし、これに限らず、例えば、切りポケット構造以外の構造(一例として、パッチポケット構造等)に基づいた中空状体にて設定してもよい。
【0043】
また、第1右側ポケット部本体21の左右方向の長さについては、チェストピース110の左右方向の長さよりも長く設定している。ただし、これに限らず、例えば、チェストピース110の左右方向の長さと略同一に設定してもよい。
【0044】
また、第1右側ポケット部本体21の上下方向の長さについては、チェストピース110の上下方向の長さよりも長く設定している。ただし、これに限らず、例えば、チェストピース110の上下方向の長さと略同一又は短い長さに設定してもよい。
【0045】
また、第1右側ポケット部本体21の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、第1右側ポケット部本体21の強度を向上する観点から、複数の生地を積層することにより構成されている。具体的には、
図3に示すように、表地材21aと、裏地材(図示省略)と、表地材21aと裏地材との相互間に設けられる芯材(図示省略)とを積層して構成されてもよい。ただし、これに限らず、例えば、3つ未満の生地を積層して構成されてもよく、あるいは、4つ以上の生地を積層して構成されてもよい。
【0046】
また、第1右側ポケット部本体21の材質については任意であるが、実施の形態では、衣服本体10の材質と略同一に形成されることにより、衣服1の意匠性及び製造性を高めている(なお、他のポケット部本体の材質についても同様とする)。ただし、これに限らず、例えば、衣服本体10の材質とは異なる材質で形成されてもよい。
【0047】
(構成-第1右側ポケット部の構成の詳細-第1右側収納口)
第1右側収納口22は、チェストピース110の少なくとも一部を第1右側ポケット部20に出し入れするための収納口である。この第1右側収納口22は、
図3に示すように、第1右側ポケット部本体21の上端部に形成されており、具体的には、第1右側ポケット部20の上端部の略全体にわたって形成されている。
【0048】
また、
図3に示すように、第1右側収納口22には、係止部24が設けられている。
【0049】
(構成-第1右側ポケット部の構成の詳細-係止部)
係止部24は、チェストピース110を係止可能なものであり、
図1、
図3(a)に示すように、第1右側収納口22に設けられており、具体的には、第1右側収納口22の左右方向の略中央部及びその近傍部分にわたって設けられている。
【0050】
また、係止部24の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、
図3(a)に示すように、第1右側ポケット部本体21の上端部の一部を切り欠くことにより形成されている。具体的には、正面方向から見て略U字状の係止孔として形成されている。
【0051】
このような係止部24により、従来技術(チェストピース110を聴診器保持部材に保持する技術)に比べて、チェストピース110を係止部24から着脱する手間を低減でき、着用者の聴診器100の使用性を高めることができる。また、チェストピース110を係止部24によって係止した際にチェストピース110の少なくとも一部を第1右側ポケット部20に収納でき、従来技術に比べてチェストピース110を保護できる。
【0052】
(構成-第1右側ポケット部の構成の詳細-すべり防止部)
すべり防止部23は、チェストピース110を係止部24によって係止しながら第1右側ポケット部20に収納した状態(以下、「収納状態」と称する)において、チェストピース110と第1右側ポケット部20との間のすべりを防止するものである。このすべり防止部23は、略膜状体にて形成されており、第1右側ポケット部本体21の内部に設けられている。具体的には、
図3に示すように、第1右側ポケット部本体21の前面及び後面において、すべり防止部23が外部に露出しないように設けられている(ただし、これに限らず、例えば、第1右側ポケット部本体21の前面又は後面のいずれか一方のみに設けられてもよい)。
【0053】
また、すべり防止部23の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では以下の通りに設定している。
【0054】
すなわち、すべり防止部23の左右方向の長さについては、チェストピース110の左右方向の長さよりも長く設定しており、例えば、3cmから5cm程度の長さに設定している。ただし、これに限らず、例えば、チェストピース110の左右方向の長さよりも短く又は略同一に設定してもよい。
【0055】
また、すべり防止部23の上下方向の長さについては、チェストピース110の上下方向の長さよりも長く設定しており、例えば、3cmから5cm程度の長さに設定している。ただし、これに限らず、例えば、チェストピース110の左右方向の長さよりも短く又は略同一に設定してもよい。
【0056】
また、すべり防止部23の設置方法については、チェストピース110を係止部24によって係止した際にチェストピース110と当接可能な位置に設けている。具体的には、
図3に示すように、第1右側ポケット部本体21の前面及び後面の各々における係止部24の近傍部分に設けている。
【0057】
また、すべり防止部23の材質については、少なくともチェストピース110と第1右側ポケット部20との間のすべりを防止できる材質である限り任意であるが、実施の形態では、第1右側ポケット部本体21を補強しながら、比較的高い摩擦係数を有する樹脂材(例えば、ポリエステルとシリコンとを組み合わせたもの等)で形成されてもよい。ただし、これに限らず、例えば、単に比較的高い摩擦係数を有する樹脂材(一例として、ゴム材)、起毛(一例として、ベルベット、スウェード)等で形成されてもよい。
【0058】
このようなすべり防止部23により、チェストピース110と第1右側ポケット部20との間のすべりを防止でき、後述する収納状態においてチェストピース110が第1右側ポケット部20から脱落することを回避できる。
【0059】
(構成-第1右側ポケット部の構成の詳細-その他の構成)
また、第1右側ポケット部20(具体的には、第1右側ポケット部本体21)及び係止部24の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、
図3(b)に示すように、チェストピース110を係止部24によって係止した際に、チェストピース本体111が第1右側ポケット部20に収納されると共に、把持部112が外部に露出するように構成されている。
【0060】
具体的には、まず、第1右側ポケット部本体21については、チェストピース110を係止部24によって係止した際に、チェストピース本体111全体が外部に露出せず、且つチェストピース本体111が第1右側ポケット部本体21の下端部と当接しないように構成されている。より具体的には、第1右側ポケット部本体21の左右方向の長さについては、チェストピース本体111の左右方向の長さよりも長く設定していると共に、第1右側ポケット部本体21の上下方向の長さについては、チェストピース本体111の上下方向の長さよりも長く設定している。
【0061】
ただし、これに限らず、例えば、チェストピース110を第1右側ポケット部20に安定して収納可能となるように、チェストピース110を係止部24によって係止した際に、チェストピース本体111が第1右側ポケット部本体21の下端部と当接するように構成されてもよい。
【0062】
また、係止部24については、チェストピース本体111と把持部112との境界部を係止するように構成されている。より具体的には、係止部24の左右方向の長さについては、上記境界部の左右方向の長さと略同一に設定していると共に、係止部24の上下方向の長さについては、上記境界部の上下方向の長さと略同一に設定している。
【0063】
このような構成により、チェストピース110を係止部24によって係止した際に、チェストピース本体111を第1右側ポケット部20に収納しながら、把持部112を把持しやすくなるため、チェストピース110を第1右側ポケット部20から容易に取り出すことが可能となる。
【0064】
(構成-第1左側ポケット部の構成の詳細)
図1に戻り、次に、第1左側ポケット部30の構成の詳細について説明する。
【0065】
第1左側ポケット部30は、
図1に示すように、第1左側ポケット部本体31及び第1左側収納口32を備えている。なお、第1左側ポケット部30は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0066】
(構成-第1左側ポケット部の構成の詳細-第1左側ポケット部本体)
第1左側ポケット部本体31は、第1左側ポケット部30の基本構造体であり、
図1に示すように、左側部分11aの衣服内面に設けられ、左側部分11aに対して縫着等にて固定されている。
【0067】
また、第1左側ポケット部本体31の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態では以下の通りに設定している。
【0068】
すなわち、第1左側ポケット部本体31の形状については、箱ポケット構造に基づいた中空状体にて設定している。ただし、これに限らず、例えば、箱ポケット構造以外の構造(一例として、パッチポケット構造等)に基づいた中空状体にて設定してもよい。
【0069】
また、第1左側ポケット部本体31の左右方向の長さについては、収納物の左右方向の長さよりも長く設定している。ただし、これに限らず、例えば、収納物の左右方向の長さと略同一に設定してもよい。
【0070】
また、第1左側ポケット部本体31の上下方向の長さについては、収納物の上下方向の長さよりも長く設定している。ただし、これに限らず、例えば、収納物の上下方向の長さと略同一又は短い長さに設定してもよい。
【0071】
(構成-第1左側ポケット部の構成の詳細-第1左側収納口)
第1左側収納口32は、収納物を第1左側ポケット部30に出し入れするためのものである。この第1左側収納口32は、
図1に示すように、第1左側ポケット部本体31の上端部に形成されており、具体的には、第1左側ポケット部30の上端部の略全体にわたって形成されている。
【0072】
(構成-第2右側ポケット部の構成の詳細)
次に、第2右側ポケット部40の構成の詳細について説明する。
【0073】
第2右側ポケット部40は、
図1に示すように、第2右側ポケット部本体41及び第2右側収納口42を備えている。なお、第2右側ポケット部40は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0074】
(構成-第2右側ポケット部の構成の詳細-第2右側ポケット部本体)
第2右側ポケット部本体41は、第2右側ポケット部40の基本構造体であり、
図1に示すように、右側部分11bの衣服内面に設けられ、右側部分11bに対して縫着等にて固定されている。
【0075】
また、第2右側ポケット部本体41の具体的な構成については、聴診器100のゴム管130等を折り曲げた状態で、第2右側ポケット部本体41に聴診器100全体が収納できる限り任意であるが、実施の形態では以下の通りに構成されている。
【0076】
すなわち、第2右側ポケット部本体41は、袋布材で形成されている。具体的には、袋ポケット構造に基づいた袋布材であり、且つマチ付きの袋布材で形成されており、第2右側ポケット部本体41の上端部又はその近傍部分のみが右側部分11bに対して固定されている。
【0077】
この場合において、第2右側ポケット部本体41の左右方向の長さについては、聴診器100の耳管140の左右方向の長さよりも長く(又は略同一に)設定している。また、第2右側ポケット部本体41の前後方向の長さについては、聴診器100のチェストピース110の前後方向の長さよりも長く(又は略同一に)設定している。また、第2右側ポケット部本体41の上下方向の長さについては、耳管140の上下方向の長さよりも長く(又は略同一)設定している。
【0078】
これにより、聴診器100を第2右側ポケット部40に収納していることが外部から比較的目立ちづらいことから、衣服1の意匠性を維持しやすくなる。また、マチなしの袋布材に比べて、第2右側ポケット部40に収納されている聴診器100が外部へ飛び出すことを抑制でき、聴診器100の収納性を高めることができる。
【0079】
ただし、これに限らず、例えば、切りポケット構造以外の構造(一例として、パッチポケット構造等)に基づいた中空状体で形成されてもよい。あるいは、マチなしの袋布材にて形成されてもよい。
【0080】
(構成-第2右側ポケット部の構成の詳細-第2右側収納口)
第2右側収納口42は、聴診器100の少なくとも一部を第2右側ポケット部40に出し入れするためのものであり、
図1に示すように、第2右側ポケット部本体41の上端部に形成されている。
【0081】
また、第2右側収納口42の幅については任意であるが、実施の形態では、第2右側ポケット部本体41の幅よりも短く設定している。この場合には、例えば、袋布材が略タコ壺状に形成されてもよい。これにより、第2右側ポケット部本体41の幅と同一である場合に比べて、第2右側ポケット部40に収納されている聴診器100が外部へ飛び出すことを抑制でき、聴診器100の収納性を高めることができる。ただし、これに限らず、例えば、第2右側ポケット部本体41の幅と同一に設定してもよい。
【0082】
(構成-第2左側ポケット部の構成の詳細)
次に、第2左側ポケット部50の構成の詳細について説明する。
【0083】
第2左側ポケット部50は、第2右側ポケット部40と略同一に構成されており、
図1に示すように、第2左側ポケット部本体51及び第2左側収納口52を備えている。
【0084】
(構成-保持部の構成の詳細)
次に、保持部60の構成の詳細について説明する。
図4は、
図1の保持部60の周辺領域の拡大図であり(一部図示省略)、(a)は聴診器100のイヤーピース120を保持していない状態を示す図、(b)はイヤーピース120を保持している状態を示す図である。
【0085】
この保持部60は、
図1、
図4に示すように、第1ループ材61及び第2ループ材62を備えている。なお、保持部60は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0086】
(構成-保持部の構成の詳細-第1ループ材)
第1ループ材61は、保持部60の基本構造体の一部である。この第1ループ材61は、例えば公知のループ材(一例として、布製のループ材)を用いて構成されており、
図4に示すように、左側部分11aの衣服外面に設けられ、第1ループ材61の両端が左側部分11aに対して縫着等にて固定されている(つまり、前身頃11に対して両端が固定されている)。
【0087】
また、第1ループ材61の具体的な大きさについては、聴診器100の耳管140を第1ループ材61に挿通しながらイヤーピース120を保持できる限り任意であり、実施の形態では以下の通りに設定している。
【0088】
すなわち、
図4に示すように、第1ループ材61の左右方向の長さについては、イヤーピース120の外径よりも長く設定しており、第1ループ材61の上下方向の長さについては、イヤーピース120の外径よりも短く(又は略同一に)設定している。
【0089】
(構成-保持部の構成の詳細-第2ループ材)
第2ループ材62は、保持部60の基本構造体の他の一部である。この第2ループ材62は、例えば公知のループ材(一例として、布製のループ材)を用いて構成されており、
図4に示すように、第1ループ材61の近傍に設けられ、第1ループ材61に対して第2ループ材62の左端部が縫着等にて固定され、第2ループ材62の右端部が接続部材63(例えば、係合部材)によって着脱自在にて接続されている(つまり、第1ループ材61に対して一端が固定され、且つ他端が着脱自在に接続されている)。
【0090】
また、第2ループ材62の具体的な大きさについては、イヤーピース120を保持できる限り任意であり、実施の形態では以下の通りに設定している。
【0091】
すなわち、第2ループ材62の左右方向の長さについては、イヤーピース120の幅よりも長く設定しており(具体的には、第2ループ材62の左右方向の長さよりも短く設定しており)、第1ループ材61の上下方向の長さについては、イヤーピース120の幅よりも短く(又は略同一に)設定している(具体的には、第2ループ材62の上下方向の長さと略同一に設定している)。
【0092】
このような保持部60の構成により、保持部60を1つのループ材のみで構成する場合に比べて、第1ループ材61又は第2ループ材62の一方でイヤーピース120を保持しながら、第1ループ材61又は第2ループ材62の他方でイヤーピース120以外の医療器具等を保持でき、保持部60の使用性を高めることができる。
【0093】
(衣服の作用)
続いて、このように構成された衣服1の作用について説明する。
【0094】
この衣服1の作用は、着用者が患者を診療している際の作用(以下、「第1作用」と称する)と、着用者が患者を診療していない際の作用(以下、「第2作用」と称する)とに大別される。なお、上記各種の作用の前提については、着用者が衣服1を着用しているものとして説明する。
【0095】
(衣服の作用-第1作用)
最初に、第1作用について説明する。
【0096】
まず、着用者が聴診器100を用いない診療を行う場合には、着用者によって、聴診器100のゴム管130は着用者の首に掛けられ、
図3(b)に示すように、聴診器100のチェストピース110は係止部24によって係止されながら第1右側ポケット部20に収納され、及び、
図4(b)に示すように、聴診器100の耳管140が第1ループ材61又は第2ループ材62のいずれか一方に挿通されながら、聴診器100のイヤーピース120は保持部60の第1ループ材61又は第2ループ材62のいずれか一方によって保持される。
【0097】
これにより、聴診器100によって上記診療が妨げられることを回避しながら、聴診器100を衣服1に対して保持できる。特に、チェストピース110を第1右側ポケット部20に収納する際に、チェストピース110を係止部24によって係止しながら収納でき、従来技術(チェストピース110を聴診器保持部材に保持する技術)に比べて、当該収納の手間を低減できる。また、チェストピース110を係止部24によって係止した際にチェストピース110の少なくとも一部(具体的には、チェストピース本体111)を第1右側ポケット部20に収納でき、従来技術に比べてチェストピース110を保護できる。さらに、チェストピース110を係止部24に係止しながら、イヤーピース120は保持部60の第1ループ材61又は第2ループ材62のいずれか一方によって保持できるので、ゴム管130を着用者の首に掛けた状態で、チェストピース110を係止部24に係止するだけに比べて、聴診器100を衣服1に対して強固に保持できる。
【0098】
また、着用者が聴診器100を用いる診療を行う場合には、着用者によって、ゴム管130は着用者の首から外され、チェストピース110は第1右側ポケット部20から取り出されて着用者の手に把持され、イヤーピース120は保持部60の第1ループ材61又は第2ループ材62のいずれか一方から外されて着用者の耳に掛けられる。
【0099】
このように、チェストピース110を第1右側ポケット部20から取り出す際には、チェストピース110を係止部24による係止を解除しながら取り出すことができ、従来技術(チェストピース110を聴診器保持部材に保持する技術)に比べて、当該取り出しの手間を低減できる。また、把持部112が外部に露出しているので、把持部112を把持しやすくなるため、上記取り出しの手間を一層低減できる。
【0100】
(衣服の作用-第2作用)
次に、第2作用について説明する。
【0101】
例えば、第1作用の着用者が聴診器100を用いない診療を行う場合と同様に、着用者によって、ゴム管130は着用者の首に掛けられ、チェストピース110は係止部24によって係止されながら第1右側ポケット部20に収納され、及び耳管140が第1ループ材61又は第2ループ材62のいずれか一方に挿通されながら、イヤーピース120は保持部60の第1ループ材61又は第2ループ材62のいずれか一方によって保持される。この場合において、例えば、聴診器100以外の医療器具等が保持部60の第1ループ材61又は第2ループ材62のいずれか他方に保持されてもよい。
【0102】
これにより、聴診器100によって診療作業以外の作業(例えば、事務作業等)が妨げられることを回避しながら、聴診器100を衣服1に対して保持できる。
【0103】
あるいは、着用者によって、聴診器100全体が第2右側ポケット部40又は第2左側ポケット部50のいずれかに収納されてもよい。
【0104】
これにより、聴診器100を外部に露出しないように収納できる。特に、第2右側ポケット部40及び第2左側ポケット部50が袋布材で形成されているので、聴診器100を第2右側ポケット部40又は第2左側ポケット部50に収納していることが外部から比較的目立ちづらいことから、衣服1の意匠性を維持できる。
【0105】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、前身頃11の右側部分11bにおいて、聴診器100のチェストピース110の少なくとも一部を収納可能な第1右側ポケット部20を備え、第1右側ポケット部20は、チェストピース110の少なくとも一部を当該第1右側ポケット部20に出し入れするための第1右側収納口22を備え、第1右側収納口22に、チェストピース110を係止可能な係止部24を設けたので、従来技術(チェストピース110を聴診器保持部材に保持する技術)に比べて、チェストピース110を係止部24から着脱する手間を低減でき、着用者の聴診器100の使用性を高めることができる。また、チェストピース110を係止部24によって係止した際にチェストピース110の少なくとも一部を第1右側ポケット部20に収納でき、従来技術に比べてチェストピース110を保護できる。
【0106】
また、チェストピース110を係止部24によって係止した際に、チェストピース本体111が第1右側ポケット部20に収納されると共に、把持部112が外部に露出するように、第1右側ポケット部20及び係止部24を構成したので、チェストピース110を係止部24によって係止した際に、チェストピース本体111を第1右側ポケット部20に収納しながら、把持部112を把持しやすくなるため、チェストピース110を第1右側ポケット部20から容易に取り出すことが可能となる。
【0107】
また、第1右側ポケット部20が、チェストピース110を係止部24によって係止しながら第1右側ポケット部20に収納した状態において、チェストピース110と第1右側ポケット部20との間のすべりを防止するすべり防止部23を備えるので、チェストピース110と第1右側ポケット部20との間のすべりを防止でき、上記収納した状態においてチェストピース110が第1右側ポケット部20から脱落することを回避できる。
【0108】
また、保持部60が、前身頃11に対して両端が固定された第1ループ材61と、第1ループ材61に対して一端が固定され、且つ他端が着脱自在に接続可能な第2ループ材62と、を備えるので、保持部60を1つのループ材のみで構成する場合に比べて、第1ループ材61又は第2ループ材62の一方でイヤーピース120を保持しながら、第1ループ材61又は第2ループ材62の他方でイヤーピース120以外の医療器具等を保持でき、保持部60の使用性を高めることができる。
【0109】
また、前身頃11における左側部分11a及び右側部分11bにおいて、聴診器100の少なくとも一部を収納可能な第2右側ポケット部40及び第2左側ポケット部50を備え、第2右側ポケット部40及び第2左側ポケット部50を、袋布材でそれぞれ形成したので、聴診器100を第2右側ポケット部40又は第2左側ポケット部50に収納していることが外部から比較的目立ちづらいことから、衣服1の意匠性を維持しやすくなる。
【0110】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0111】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0112】
(形状、数値、構造、時系列について)
上記実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。例えば、衣服本体10における各部は、特記する場合を除いて、上記説明とは異なる形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0113】
(衣服について)
上記実施の形態では、衣服1が、第1左側ポケット部30、第2右側ポケット部40、第2左側ポケット部50、保持部60、前側接続部70、及びすべり防止部23を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、第1左側ポケット部30、第2右側ポケット部40、第2左側ポケット部50、保持部60、前側接続部70、又はすべり防止部23の少なくともいずれか1つを省略してもよい。
【0114】
(各種のポケット部について)
上記実施の形態では、第1右側ポケット部20が、チェストピース110及びそれ以外の物も収納可能なポケット部であると説明したが、これに限らず、例えば、チェストピース110専用のポケット部であってもよい。
【0115】
(第1右側ポケット部について)
上記実施の形態では、第1右側ポケット部20が、右側部分11bのうち着用者の胸部と対応する部分に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、着用者の胸部以外の部位(例えば、腰部、又は腰部と胸部との間)に対応する部分に設けられてもよい。
【0116】
また、上記実施の形態では、第1右側ポケット部20が、右側部分11bに設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、左側部分11aに設けられてもよい。
【0117】
また、上記実施の形態では、チェストピース110を係止部24によって係止した際に、チェストピース本体111が第1右側ポケット部20に収納されると共に、把持部112が外部に露出するように、第1右側ポケット部20及び係止部24が構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、チェストピース110を係止部24によって係止した際に、チェストピース本体111及び把持部112が第1右側ポケット部20に収納されると共に、チェストピース本体111及び把持部112が外部に露出しないように、構成されてもよい(すなわち、チェストピース110全体が外部に露出しないように構成されてもよい)。この場合には、例えば、係止部24は、第1右側収納口22から突出したフック状又は嵌合状の突出体にて形成されてもよい。
【0118】
(係止部について)
上記実施の形態では、係止部24が、チェストピース本体111と把持部112との境界部を係止するように構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、上記境界部以外の部分(一例として、チェストピース本体111又は把持部112)を係止するように構成されてもよい。
【0119】
(第2右側ポケット部、第2左側ポケット部について)
上記実施の形態では、第2右側ポケット部40及び第2左側ポケット部50が、聴診器100及びそれ以外の物も収納可能なポケット部であると説明したが、これに限らず、例えば、聴診器100専用のポケット部であってもよい。
【0120】
また、上記実施の形態では、第2右側ポケット部40及び第2左側ポケット部50が、聴診器100全体を収納可能に構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、聴診器100の一部のみを収納可能に構成されてもよい。
【0121】
(保持部について)
上記実施の形態では、保持部60が2つのループ材(具体的には、第1ループ材61、第2ループ材62)で構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、1つのループ材のみで構成されてもよい。
【0122】
また、上記実施の形態では、保持部60が、左側部分11aにおいて着用者の胸部と対応する部分に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、着用者の胸部以外の部位(例えば、腰部、又は腰部と胸部との間)に対応する部分に設けられてもよい。
【0123】
また、上記実施の形態では、保持部60が、左側部分11aに設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、右側部分11bに設けられてもよい。
【0124】
また、上記実施の形態では、保持部60が、イヤーピース120及びそれ以外の物も保持可能な保持部であると説明したが、これに限らず、例えば、イヤーピース120専用の保持部であってもよい。
【0125】
(付記)
付記1の衣服は、前身頃と後身頃とを有する上衣を備えた衣服であって、前記前身頃における左側部分又は右側部分のいずれか一方において、聴診器のチェストピースの少なくとも一部を収納可能な第1ポケット部を備え、前記第1ポケット部は、前記チェストピースの少なくとも一部を当該第1ポケット部に出し入れするための収納口を備え、前記収納口に、前記チェストピースを係止可能な係止部を設けた。
【0126】
付記2の衣服は、付記1に記載の衣服において、前記チェストピースは、チェストピース本体と、前記チェストピース本体に接続された把持部であって、前記チェストピースを把持するための把持部と、を備え、前記チェストピースを前記係止部によって係止した際に、前記チェストピース本体が前記第1ポケット部に収納されると共に、前記把持部が外部に露出するように、前記第1ポケット部及び前記係止部を構成した。
【0127】
付記3の衣服は、付記1又は2に記載の衣服において、前記第1ポケット部は、前記チェストピースを前記係止部によって係止しながら前記第1ポケット部に収納した状態において、前記チェストピースと前記第1ポケット部との間のすべりを防止するすべり防止部を備える。
【0128】
付記4の衣服は、付記1から3に記載の衣服において、前記前身頃における左側部分又は右側部分のいずれか他方において、前記聴診器のイヤーピースを保持可能な保持部を備え、前記保持部は、前記前身頃に対して両端が固定された第1ループ材と、前記第1ループ材に対して一端が固定され、且つ他端が着脱自在に接続可能な第2ループ材と、を備える。
【0129】
付記5の衣服は、付記4に記載の衣服において、前記前身頃における左側部分又は右側部分において、前記聴診器の少なくとも一部を収納可能な第2ポケット部を備え、前記第2ポケット部を、袋布材で形成した。
【0130】
(付記の効果)
付記1に記載の衣服によれば、前身頃における左側部分又は右側部分のいずれか一方において、聴診器のチェストピースの少なくとも一部を収納可能な第1ポケット部を備え、第1ポケット部は、チェストピースの少なくとも一部を当該第1ポケット部に出し入れするための収納口を備え、収納口に、チェストピースを係止可能な係止部を設けたので、従来技術(チェストピースを聴診器保持部材に保持する技術)に比べて、チェストピースを係止部から着脱する手間を低減でき、着用者の聴診器の使用性を高めることができる。また、チェストピースを係止部によって係止した際にチェストピースの少なくとも一部を第1ポケット部に収納でき、従来技術に比べてチェストピースを保護できる。
【0131】
付記2に記載の衣服によれば、チェストピースを係止部によって係止した際に、チェストピース本体が第1ポケット部に収納されると共に、把持部が外部に露出するように、第1ポケット部及び係止部を構成したので、チェストピースを係止部によって係止した際に、チェストピース本体を第1ポケット部に収納しながら、把持部を把持しやすくなるため、チェストピースを第1ポケット部から容易に取り出すことが可能となる。
【0132】
付記3に記載の衣服によれば、第1ポケット部が、チェストピースを係止部によって係止しながら第1ポケット部に収納した状態において、チェストピースと第1ポケット部との間のすべりを防止するすべり防止部を備えるので、チェストピースと第1ポケット部との間のすべりを防止でき、上記収納した状態においてチェストピースが第1ポケット部から脱落することを回避できる。
【0133】
付記4に記載の衣服によれば、保持部が、前身頃に対して両端が固定された第1ループ材と、第1ループ材に対して一端が固定され、且つ他端が着脱自在に接続可能な第2ループ材と、を備えるので、保持部を1つのループ材のみで構成する場合に比べて、第1ループ材又は第2ループ材の一方でイヤーピースを保持しながら、第1ループ材又は第2ループ材の他方でイヤーピース以外の医療器具等を保持でき、保持部の使用性を高めることができる。
【0134】
付記5に記載の衣服によれば、前身頃における左側部分又は右側部分において、聴診器の少なくとも一部を収納可能な第2ポケット部を備え、第2ポケット部を、袋布材で形成したので、聴診器を第2ポケット部に収納していることが外部から比較的目立ちづらいことから、衣服の意匠性を維持しやすくなる。
【符号の説明】
【0135】
1 衣服
10 衣服本体
11 前身頃
11a 左側部分
11b 右側部分
12 後身頃
13 右袖部
14 左袖部
15 襟部
16 襟口部
17 裾口部
18 袖口部
19 下側開き部
20 第1右側ポケット部
21 第1右側ポケット部本体
21a 表地材
22 第1右側収納口
23 すべり防止部
24 係止部
30 第1左側ポケット部
31 第1左側ポケット部本体
32 第1左側収納口
40 第2右側ポケット部
41 第2右側ポケット部本体
42 第2右側収納口
50 第2左側ポケット部
51 第2左側ポケット部本体
52 第2左側収納口
60 保持部
61 第1ループ材
62 第2ループ材
63 接続部材
70 前側接続部
71 前側被係止部
72 前側係止部
100 聴診器
110 チェストピース
111 チェストピース本体
112 把持部
120 イヤーピース
130 ゴム管
140 耳管