(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】多電極カテーテル用の配線
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
A61B18/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020160664
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-07-26
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・トーマス・キース
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ジャスティン・ヘレラ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・デビッド・スクワイアーズ
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-537131(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0070845(US,A1)
【文献】特開2018-094407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生存被験者の身体部分に挿入されるように構成されたカテーテルであって、
近位端及び遠位端を有するシャフト組立体であって、内部を長手方向に延びる管腔を含む偏向可能部分を備える、シャフト組立体と、
前記シャフト組立体の前記遠位端に配設された複数の電極と、
処理回路に連結するために、前記シャフト組立体の前記近位端に配設されたコネクタと、
前記管腔のうちの第1管腔の各々に配設された複数のケーブルであって、各ケーブルが前記コネクタ及び前記電極の各々の群に電気的に結合され、各ケーブルが、
個々に絶縁された電線の束であって、各電線が、前記各々の群における前記電極のうちの各々1つに接続された、束と、
前記束を取り囲む
静電遮蔽体と、
前記
静電遮蔽体を取り囲み、前記各々の管腔内における前記各々のケーブルの長手方向の移動を可能にするように寸法決めされた電気絶縁ジャケットと、を含む、複数のケーブルと、
前記管腔のうちの第2管腔の各々に配置され、前記遠位端に接続された各々の細長部材と、
前記細長部材に接続され、前記細長部材を介して前記遠位端を作動させるように構成されたマニピュレータと、を備
え、
各々のケーブルが、前記静電遮蔽体の下で前記絶縁された電線の束の周りに巻かれたテープを含む、カテーテル。
【請求項2】
前記マニピュレータが、前記細長部材のうちの少なくとも1つを介して前記偏向可能部分の向きを変更するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記遠位端は、前記複数の電極が配置される組立体を備え、前記細長部材のうちの少なくとも1つが前記組立体に連結され、前記マニピュレータが、前記少なくとも1つの細長部材を介して前記組立体を展開するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記カテーテルが、前記管腔のうちの第3管腔の各々の中に配置された2つの各々の弾性細長部材を備え、前記2つの弾性細長部材が、前記偏向可能部分
の屈曲の平面を画定する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記偏向可能部分が、3mm未満の外径を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記ケーブルの各々が、0.5mm未満の外径を有し、少なくとも20本の絶縁された電線を含む、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記カテーテルが少なくとも3本の前記ケーブルを含む、請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記ケーブルの各々が、0.5mm未満の外径を有し、少なくとも30本の絶縁された電線を含む、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記カテーテルが少なくとも3本の前記ケーブルを含む、請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記電気絶縁ジャケットが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)のうちのいずれか1つ又はそれ以上を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記偏向可能部分が熱可塑性エラストマーを含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記
静電遮蔽体が、重なり合わない電線スパイラルを含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記
静電遮蔽体が、スズめっき銅合金を含む、請求項
12に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用装置に関し、排他的ではないが具体的には、多電極カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは心臓内の電気活動を刺激及びマッピングし、異常な電気活動が見られる部位をアブレーションするために用いられる。使用時、電極カテーテルは、心室内に挿入される。カテーテルが位置付けられた後、心臓内の異常な電気的活動の場所が特定される。
【0003】
位置特定の1つの技術は電気生理学的マッピング手順を含み、この手順によって導電性の心臓内組織から生じる電気信号が組織的に監視され、それらの信号のマップが形成される。医師は、そのマップを解析することによって、干渉する電気経路を特定することができる。導電性心組織からの電気信号をマッピングするための従来の方法は、その遠位先端上にマッピング電極が搭載された電気生理学カテーテル(電極カテーテル)を、経皮的に導入することである。カテーテルは、これらの電極を心内膜に接触させて又は心内膜の直近に設置するように操作される。心内膜における電気信号を監視することによって、不整脈の原因である異常な導電性組織部位を正確に示すことができる。
【0004】
マッピングのためには、比較的小さいマッピング電極を有することが望ましい。より小さい電極は、より正確かつ分離した電位図を記録することが見出されている。加えて、双極マッピング配置が用いられる場合、このマッピング配置の2つの電極が互いに直近し、また、より正確かつ有用な電位図を生成するように同様のサイズを有することが望ましい。
【0005】
いったん不整脈の起点が組織内で特定されると、医師は、アブレーション処置を用いて、不整脈を生じる組織を破壊し、電気信号の不規則性を取り除き、かつ正常の心拍又は少なくとも改善された心拍に戻すように試みる。不整脈開始部位における導電性組織のアブレーションの成功によって、通常、不整脈が終結し、又は少なくとも心臓リズムが許容できるレベルに緩和される。
【0006】
多電極カテーテルは、一例として、フラワーカテーテル、バルーンカテーテル、及びバスケットカテーテルを含む様々な形態で提供される。カテーテルのうちのいくつかは、数十個の電極を有してもよく、いくつかは百個を超える電極を有していてもよい。これらの多電極カテーテルは、マッピング又はアブレーション処置の合理化及び高速化を助ける。しかしながら、電極の数が増加するにつれて、カテーテルが通過しなければならない血管の固有の制限されたサイズのために限られた寸法を有するカテーテルシャフトを介して、カテーテルの制御ユニットと電極とを連結する複雑性をもたらす。
【0007】
Zdeblickらの米国特許公開第2004/0193021号は、1つ又はそれ以上の患者パラメータを検知する及び/又は別個に識別可能なエフェクタを介してエネルギーを送るための多重化された医療用キャリアについて記載している。キャリアは、本体と、少なくとも2つのエフェクタと結合された少なくとも2つの導体とを含む。エフェクタは、センサ、アクチュエータ、又はその両方の任意の組み合わせであってもよい。センサは、圧力、酸素含有量、体積、伝導率、流体流量、又は任意の他の化学的パラメータ若しくは物理的パラメータとして、そのようなパラメータを測定することができる。アクチュエータは、例えば、心臓をペースし、筋肉又は神経組織を刺激し、超音波エネルギーを一斉送信し、光、熱若しくは他の形態の放射線を放出するか、又は任意の形態のエネルギー若しくは物質を送るために使用され得る。
【0008】
Edwards Lifesciences Corporationの国際公開第1998/014114号は、遠位端と近位端とを有する本体部分を含むカテーテルを記載している。遠位端と近位端との間の本体部分に複数の管腔が形成される。加熱要素及び温度センサは、カテーテル上に配置され、温度センサは、加熱要素と本体部分の遠位端との間に配置される。加熱要素電線は、加熱要素に接続され、加熱要素からカテーテルの管腔のうちの1つの体内部分の近位端まで延在し、温度センサ電線は温度センサに接続され、温度センサからカテーテルの管腔のうちの1つの体内部分の近位端に、温度センサから本体部分の近位端までねじれた構成で延在する。加熱要素電線は、制御ユニットに接続可能であり、制御ユニットから加熱要素に起動信号を伝達して加熱要素を起動する。温度センサ電線は、処理ユニットに接続可能であり、処理のために温度センサから処理ユニットに温度センサ信号を搬送する。
【0009】
Marshallらの米国特許公開第2009/0275838号は、カテーテル、撮像コア、及び遮蔽体結合コンデンサを含む血管内超音波システムのためのカテーテル組立体が記載されている。カテーテルは、カテーテルの長手方向長さに沿って延在する管腔を画定する。撮像コアは、管腔内に挿入するように構成され、配置される。撮像コアは、回転可能な駆動シャフトと、1つ又はそれ以上のトランスデューサと、1つ又はそれ以上の導体と、導電性遮蔽体とを含む。1つ又はそれ以上のトランスデューサは、回転可能な駆動シャフトに取り付けられる。1つ又はそれ以上の導体は、1つ又はそれ以上のトランスデューサに連結され、駆動シャフトに沿って延在する。導電性遮蔽体は、1つ又はそれ以上の導体の周囲に配設される。遮蔽体結合コンデンサは、導電性遮蔽体に電気的に結合され、1つ又はそれ以上の回転コンデンサを含む。1つ又はそれ以上の回転コンデンサは、1つ又はそれ以上の回転プレート及び1つ又はそれ以上の静止プレートを含む。遮蔽体結合コンデンサは、システム接地に結合するように構成及び配置される。
【0010】
Selkeeの米国特許公開第2010/0063478号は、本体又は本体空間内に見出される容器を診断又は治療するための力感知カテーテルが記載されており、この中心支柱は、その長手方向軸線に沿って、その内部に収容されている熱可塑性管状部材と結合される。管状部材は、内層、編組層、及び外層の3つの層を有することが好ましい。1つ又はそれ以上の半導体又は金属箔歪ゲージは、カテーテルの遠位先端上の曲げ力及びねじり力の測定値を提供するために、中心支柱に固着される。歪ゲージ付近に温度センサを有し、ある範囲の温度にわたってカテーテルを較正することによって温度補償が達成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の実施形態によれば、生存被験者の身体部分に挿入されるように構成されたカテーテルであって、近位端及び遠位端を有するシャフト組立体であって、内部を長手方向に延びる管腔を含む偏向可能部分を備える、シャフト組立体と、シャフト組立体の遠位端に配設された複数の電極と、処理回路に連結するために、シャフト組立体の近位端に配設されたコネクタと、管腔のうちの第1管腔の各々に配設された複数のケーブルであって、各ケーブルがコネクタ及び電極の各々の群に電気的に結合され、各ケーブルが、個々に絶縁された電線の束であって、各電線が、各々の群における電極のうちの各々1つに接続された、束と、束を取り囲む電気遮蔽体と、電気遮蔽体を取り囲み、各々の管腔内における各々のケーブルの長手方向の移動を可能にするように寸法決めされた電気絶縁ジャケットと、を含む、複数のケーブルと、管腔のうちの第2管腔の各々に配置され、遠位端に接続された各々の細長部材と、細長部材に接続され、細長部材を介して遠位端を作動させるように構成されたマニピュレータと、を備える、カテーテルが提供される。
【0012】
更に、本開示の実施形態によれば、マニピュレータが、細長部材のうちの少なくとも1つを介して偏向可能部分の向きを変更するように構成されている。
【0013】
更にまた、本開示の一実施形態によれば、遠位端は、複数の電極が配置される組立体を含み、細長部材のうちの少なくとも1つが組立体に連結され、マニピュレータが、少なくとも1つの細長部材を介して組立体を展開するように構成されている。
【0014】
加えて、本開示の実施形態によれば、カテーテルが、管腔のうちの第3管腔の各々の中に配置された2つの各々の弾性細長部材を備え、2つの弾性細長部材が、偏向可能部分の優先的な屈曲の平面を画定する。
【0015】
更に、本開示の実施形態によれば、偏向可能部分が、3mm未満の外径を有する。
【0016】
更に、本開示の実施形態によれば、ケーブルの各々が、0.5mm未満の外径を有し、少なくとも20本の絶縁された電線を含む。
【0017】
更にまた、本開示の実施形態によれば、カテーテルが少なくとも3本のケーブルを含む。
【0018】
加えて、本開示の実施形態によれば、ケーブルの各々が、0.5mm未満の外径を有し、少なくとも30本の絶縁された電線を含む。
【0019】
更に、本開示の一実施形態によれば、カテーテルが少なくとも3本のケーブルを含む。
【0020】
更に、本開示の実施形態によれば、各々のケーブルが、遮蔽体の下での絶縁された電線の束の周りに巻かれたテープを含む。
【0021】
更にまた、本開示の実施形態によれば、電気絶縁ジャケットが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)のいずれか1つ又はそれ以上を含む。
【0022】
加えて、本開示の一実施形態によれば、偏向可能部分が熱可塑性エラストマーを含む。
【0023】
更に、本開示の実施形態によれば、電気遮蔽体が、重なり合わない電線スパイラルを含む。
【0024】
更に、本開示の実施形態によれば、電気遮蔽体が、スズめっき銅合金を含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から理解されよう。
【
図1】本発明の一実施形態による、カテーテルを含む電気解剖学的マッピング用システムの概略図である。
【
図2】
図1のカテーテルの偏向可能部分の横断面図である。
【
図3】管腔が装填された
図1の偏向可能部分の横断面図である。
【
図4】
図1のカテーテルの偏向可能部分の断面図である。
【
図5】
図3の偏向可能部分に含まれるケーブルのうちの1つの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
概論
前述したように、多電極カテーテルは、一例として、フラワーカテーテル、バルーンカテーテル、及びバスケットカテーテルを含む様々な形態で提供される。カテーテルのうちのいくつかは、数十個の電極を有してもよく、いくつかは百個を超える電極を有していてもよい。これらの多電極カテーテルは、マッピング又はアブレーション処置の合理化及び高速化を助ける。しかしながら、電極の数が増加するにつれて、カテーテルが横断しなければならない血管の固有の制限されたサイズのために限られた寸法を有するカテーテルシャフト組立体を介して、カテーテルの制御ユニットと電極とを連結する複雑性をもたらす。加えて、カテーテルシャフト組立体の内部構成要素が厚すぎる場合、シャフト組立体自体が血管よりも狭い場合であっても、シャフト組立体は、必要とされる可撓性を有しなくてもよい。
【0027】
カテーテルシャフト組立体を介して電極を制御ユニットに結合する複雑性を複合することは、シャフト組立体の遠位端の偏向可能部分の偏向を制御し、電極が配置されるバスケット又はバルーンなどの遠位端組立体を展開及び制御するための機械的要素などの、シャフト組立体内の他の項目が存在することである。灌注管などの他の要素もまた、シャフト組立体内に配置されてもよい。
【0028】
電極を制御ユニットに結合することに関連する別の問題は、カテーテルが偏向すると、電線の絶縁からの静電放電による電気ノイズが、電極を制御ユニットに連結する電線上に生成されることである。電極によって感知された電気活動は、マイクロボルト分解能を有するミリボルトのオーダーであるため、電線内で発生するノイズは、感知された電気活動の精度に著しく影響を及ぼし得る。
【0029】
電極を制御ユニットに結合することに関連する更なる問題は、偏向可能部分が偏向されたときに電線が破断し得るため、電線が偏向可能部分内で特定の自由度を必要とすることである。したがって、電線は、この運動自由度を提供するために、偏向可能部分内に空間を必要とする。
【0030】
上述のように、偏向可能部分内の利用可能な空間は、多くの項目に使用され、シャフト組立体の最大外径もまた制限される。加えて、偏向可能要素自体は、それが収容する要素の支持、並びに血管を通ってカテーテルを押すために十分な量の構造を有する必要があるので、偏向可能要素自体は、全ての必要な物品を収容するための中空シェルではない。
【0031】
本発明の実施形態は、偏向可能部分内に長手方向に配設された複数の管腔を有する偏向可能部分を有するシャフト組立体を備えるカテーテルを提供することによって、上記の問題を解決する。偏向可能部分は、横断するように設計された血管に偏向可能部分が適合することを可能にし、偏向可能部分に、それらの血管を横断する必要がある可撓性を与える最大直径(例えば、3mm)を有する。いくつかの実施形態では、偏向可能部分の直径は、2.67mm以下である。
【0032】
管腔のサイズ及び数は、偏向可能部分が、それが含む要素(例えば、偏向可能部分の偏向を制御するための、及び/又は電極が配置されているバスケット又はバルーンなどの遠位端組立体を展開及び制御するための機械的要素)を支持し、血管を通してうまく案内されるのに十分な強さを保証するように制限されている。
【0033】
遠位端に配設された電極は、複数の電気遮蔽ケーブルを介してコンソールに連結され、各ケーブルは電極群を提供し、各ケーブルは、管腔のうちの対応する1つに配置され、一方、機械的要素及び他の要素は、他の管腔内に配置される。各ケーブルは、コネクタ(コンソールに可逆的に接続する)及び電極の各々の群に電気的に結合される。各ケーブルは、個々に絶縁された電線の束を含み、各電線は、各々の群の電極のうちの対応する電極に接続されている。ケーブル及び機械的要素を別個の管腔内に配設することにより、機械的要素が自由に動作することを可能にし、機械的要素の移動によって引き起こされる問題のある静的なケーブルからケーブルを隔離するのに役立つ。
【0034】
複数のケーブルの中で電極電線を分割することは、一見、単一のケーブルが、別個のケーブルの組み合わされた断面積よりも小さい断面積を概ね有するため、直感的であるように見える。しかしながら、電極をコンソールと接続する電線を複数のケーブルに分割することは、単一のより大きなケーブルよりも大きな機械的可撓性を提供し、機械的要素及び電線の空間が上述の偏向可能部分の構造的限界にさらされることを可能にする全体的なパッキング効率を提供する。
【0035】
偏向可能部分は、任意の好適なサイズの任意の好適な数の管腔を含み得る。いくつかの実施形態では、偏向可能部分は、8つの周辺管腔によって囲まれた中央管腔を含む。中央管腔は、任意の好適な直径を有してもよく、例示的実施形態では、直径が約1mmである。周辺管腔は、任意の好適な直径を有してもよく、周辺管腔の各々は、約0.56mmの直径を有する。中央管腔は、バスケット又はバルーンなどの遠位端組立体を展開及び制御するための機械的要素を含んでもよい。他の実施形態では、中央管腔は、例えば、灌注管、他の配線、及び/又は光ケーブルなどであるが、これらに限定されない、別の1つの要素又は複数の要素のために備蓄されてもよい。周辺管腔のうちの2つは各々、弾性細長部材、例えば弾性管を含んでもよい。2つの弾性細長部材は、偏向可能部分の優先的な屈曲の平面を画定する。他の2つの周辺管腔は、シャフトの遠位端における偏向可能部分の偏向を制御するための機械的要素(ロッド又は電線など)を含んでもよい。
【0036】
残りの周辺管腔は、4つの電気的に遮蔽されたケーブルを経路決定するために使用されてもよい。ケーブルの各々は、プラスチックテープで一体に束ねられた絶縁された電線を含んでもよく、この絶縁電線は、電気遮蔽体で囲まれ、そして絶縁ジャケットで囲まれている。ケーブルの各々は、任意の好適な数の絶縁された電線を含んでもよい。いくつかの実施形態では、各ケーブルは、4本のケーブルが、遠位端に配置された120個の電極を、シャフト組立体を介してコンソールと接続するように、30本の絶縁された電線を含む。各ケーブルは、偏向可能部分が偏向されたときに絶縁された電線が破断しないように、ケーブルがその管腔内での移動の十分な自由度を可能にする任意の好適な外径を有してもよい。例示的な実施形態では、ケーブルの外径は、0.4~0.5mmであってもよい。
【0037】
システムの説明
参照により本明細書に組み込まれる文書は本出願の一体部とみなされるべきであり、いかなる用語も、それらの組み込まれた文書内で、本明細書で明示的又は暗示的になされた定義と相反するように定義される場合を除き、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0038】
ここで、本発明の一実施形態による電気解剖学的医療マッピングシステム20の概略図である
図1を参照する。システム20は、生存被験者(例えば、患者28)の身体部分に挿入されるように構成されたカテーテル40を含む。医師30は、患者28の心臓26内の標的位置への挿入
図45で詳細に見られるカテーテル40(例えば、Biosense Webster,Inc.of Irvine,CA,USA製のバスケットカテーテル)をナビゲートする。カテーテル40は、近位端部29と遠位端部33とを有するシャフト組立体21を含んでいる。遠位端33は、偏向可能部分22を含む。医師30は、シャフト組立体21の近位端29付近のマニピュレータ32を使用してカテーテル40の偏向可能部分22を操作し、及び/又はシース23からの偏向を使用してカテーテル40をナビゲートする。挿入
図25に見られる実施形態では、医師30が、カテーテル40を使用して、心臓腔の電気解剖学的マッピングを実行する。
【0039】
カテーテル40は、遠位端33に配置された複数の電極48を含む。いくつかの実施形態では、シャフト組立体21の遠位端33は、電極48が配置される組立体35(例えば、バスケット組立体)を含む。カテーテル40は、以下により詳細に記載されるセンサ50Bに近接して組立体に連結された細長部材37を含む。細長部材37は、典型的には、偏向可能部分の管腔内に配置される管である。細長部材37は、一般に、マニピュレータ32を介して制御されて、組立体35を展開し、偏向可能部分に対する細長部材37の長手方向の変位に従って組立体35の楕円率を変更する。細長部材37について、
図3~
図5を参照してより詳細に説明する。
【0040】
本明細書に記載された実施形態は、単に例として、主にバスケット遠位端組立体35を指す。代替的な実施形態では、開示された技術は、例えば、Biosense Webster,Inc.により製造されるPentaray(登録商標)又はOctaray(登録商標)カテーテルに基づいて、バルーン系遠位端組立体、又は任意の他の好適な種類の遠位端組立体を有するカテーテルと共に使用することができる。
【0041】
カテーテル40は、折り畳まれた構成でシース23を通って挿入され、カテーテル40がシース23を出た後にのみ、カテーテル40はその意図された機能形状を取り戻す。カテーテル40を折り畳まれた構成で収容することにより、シース23はまた、標的位置へ向かう途中での血管外傷を最小限に抑える働きをする。
【0042】
カテーテル40は、偏向可能部分22の遠位縁(すなわち、バスケット組立体35の近位縁)に、挿入
図45に見られる磁気センサ50Aを組み込んでもよい。典型的には、必ずしもそうではないが、センサ50Aは、三軸センサ(Triple-Axis Sensor:TAS)である。第2の磁気センサ50Bは、バスケット組立体35の遠位縁に含まれる。センサ50Bは、単なる例として、単一軸センサ(Single-Axis Sensor:SAS)、二軸センサ(Double-Axis Sensor:DAS)、又は三軸センサ(Triple-Axis Sensor:TAS)であってもよい。
【0043】
組立体35は、更に、機械的に柔軟であり得る複数の拡張可能なスパイン55を有し、その各々に装置48が連結される。組立体35は、任意の好適な数の電極48を含んでもよい。一部の実施形態では、組立体35は、10個のスパイン55及び120個の電極を含み得、12個の電極が各スパイン55上に配設される。スパイン55の第1の端部は、シャフト組立体21の遠位端に接続され、スパイン55の第2の端部は、細長部材37の遠位端に接続される。
【0044】
実際のバスケット組立体35の構造は、異なっていてもよい。例えば、拡張可能なスパイン55は、プリント回路基板(PCB)、又は形状記憶合金で作製されてもよい。磁気センサ50A及び50B、並びに電極48は、シャフト組立体21内を通る電線によって、コンソール24内の様々な駆動回路に接続される。
図3~
図5を参照して配線をより詳細に記載する。
【0045】
一部の実施形態では、システム20は、センサ50Aと50Bとの間の距離からバスケット組立体35の伸長を推定することによって、心臓26の心臓腔内において、カテーテル40のバスケット組立体35の楕円率、更にその伸長/収縮状態を推定する磁気検知サブシステムを備える。患者28は、ユニット43によって駆動される磁場発生器コイル42を含むパッドによって生成された磁場内に置かれる。コイル42によって生成された磁場は、センサ50A及び50B内で、位置及び/又は方向を示す信号を生成する。生成された信号は、コンソール24に送信され、処理回路41に対応する電気的入力となる。処理回路41は、信号を使用して、バスケット組立体35の伸長を計算し、センサ50Aと50Bの間の計算された距離から、バスケット楕円率、及び、伸長/収縮状態を推定する。
【0046】
外部磁場並びに50A及び50Bのような磁気センサを使用する位置及び/又は方向の検知方法は、様々な医療用途において、例えば、Biosense-Webster製のCARTO(商標)システムに実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び、同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/068178(A1)号に詳述されており、これらの開示は、全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
典型的には汎用コンピュータの一部である処理回路41は、好適なフロントエンド及びインターフェース回路44を介して更に接続されて、表面電極49から信号を受信する。処理回路41は、ケーブル39を通って患者28の胸部まで延びる電線によって表面電極49に接続される。
【0048】
カテーテル40は、処理回路41に連結するためにマニピュレータ32の近位端29に配設されたコネクタ47を含む。
【0049】
一実施形態では、処理回路41は、インターフェース回路44を介して電極48から様々な空間的及び電気生理学的信号を受信し、これらの信号に含まれる情報に応答して空洞の電気解剖学的マップ31を生成する。処置中、及び/又は処置後に、処理回路41は、ディスプレイ27上に、電気解剖学的マップ31を表示してもよい。
【0050】
処理回路41は、本明細書に記載される機能を実行するために、典型的にはソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができるか、又は代替的に若しくは追加的に、磁気メモリ、光学メモリ若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体上に提供及び/若しくは記憶されてもよい。
【0051】
図1に示す例示的な図は、純粋に、概念を分かりやすくするために選択されたものである。
図1は、簡潔性かつ明瞭性のため、開示される技術に関連する要素のみを示す。システム20は、典型的に、開示される技術には直接関連せず、したがって
図1及び対応する説明から意図的に省略されている、追加のモジュール及び要素を備える。システム20の要素、及び本明細書に記載の方法は、例えば、心臓26の組織のアブレーションを制御するために、更に適用されてもよい。
【0052】
ここで
図1のカテーテル40の偏向可能部分22の1つの概略図である
図2を参照する。
【0053】
偏向可能部分22は、内部に長手方向に延びる管腔60を含む。いくつかの実施形態では、偏向可能部分22は、編組層66によって分離された外側部分62及び内側部分64から作製される。内側部分64は、内部に配置された管腔60を含む。編組層66は、カテーテル40の近位端29と遠位端33との間にトルク伝達を提供する役割を果たす。他の実施形態では、偏向可能部分22は、編組層66なしに単一部分として形成される。
【0054】
外側部分62及び内側部分64は、任意の好適な生体適合性材料、例えば可撓性生体適合性プラスチックなどから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、外側部分62及び内側部分64は、80%ポリエーテルブロックアミド(PEBA)及び20% BaSO4(硫酸バリウム)から形成され得る。編組層66は、任意の好適な電線であってもよく、例えば、限定するものではないが、平坦な電線編組でもよい。編組層66は、任意の好適な長さを有してもよい。例示的実施形態では、編組層66は、2.34mmの内径及び0.076mmの厚さを有する。偏向可能部分22は、一般に、3mm未満の外径を有する。実施形態例では、偏向可能部分22は、2.67mmの外径を有する。
【0055】
偏向可能部分22は、任意の好適な数の管腔60を含んでもよい。加えて、管腔60は、任意の好適なサイズを有してもよく、任意の好適な構成により、偏向可能部分22内に配置されてもよい。
図2に示される管腔60は、8つの小さい管腔60によって囲まれた中央管腔60を含む。この特定の構成は、1つ又はそれ以上の要素のためにより大きな管腔60が必要とされる場合に有用であり得る。例示的な実施形態では、中央管腔60は約1mmの直径を有し、他の管腔60は約0.56mmの直径を有する。
【0056】
ここで
図3を参照すると、
図3は、その管腔が様々な要素で装填された、
図2の偏向可能部分22の横断面図である。カテーテル40は、複数のケーブル68を含み、各々のケーブル68は、管腔60-3、60-5、60-7、60-9の各々の中に配設されている。各ケーブル68は、コネクタ47(
図1)及び電極48の各々の群(
図1)に電気的に結合される。いくつかの実施形態では、ケーブル68の外径は0.5mm未満である。ケーブル68は、
図5を参照してより詳細に説明される。
図3は、管腔60内に配置された4つのケーブルを示す。いくつかの実施形態では、カテーテル40は、管腔60内に配設された2つ、3つ、又は更に4つを超えるケーブル68を含んでもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、カテーテル40は、管腔60-1内に配設された細長部材37と、管腔60-2、60-6のうちの対応するものに配設された各々の細長部材70とを含む。細長部材37、70は、シャフト組立体21の遠位端33及びマニピュレータ32(
図1)に接続され、これは、以下により詳細に記載されるように、細長部材37、70、を介して遠位端33を作動させるように構成されている。
【0058】
マニピュレータ32は、細長部材37を偏向可能部分22に対して長手方向に移動させることによって、細長部材37を介してカテーテル40の組立体35(
図1)を展開及び調節するように構成されている。いくつかの実施形態では、細長部材37は、任意の好適な材料で構成され、任意の好適な直径及び厚さを有する管又はロッドであってもよい。例示的な実施形態では、細長部材37は、約1mmの外径を有するポリイミド管から形成される。
【0059】
マニピュレータ32は、細長部材70のうちの少なくとも1つを介して遠位端33の偏向可能部分22の向きを変更するように構成されている。細長部材70は、細長部材70をマニピュレータ32が偏向可能部分22を横向きに偏向させるように、細長部材70は、概して遠位端33に(例えば、偏向可能部分22の遠位端に)接続される。カテーテル40は、偏向可能部分22の偏向のより大きな制御を提供するために、2つを超える細長部材70を含んでもよい。いくつかの実施形態では、各細長部材70は、任意の好適な材料で構成され、任意の好適な直径及び厚さを有する管、ロッド、又は電線であってもよい。いくつかの実施形態では、偏向可能部分22の近位領域において、各細長部材70は、圧縮状態で偏向可能部分22に固定される圧縮コイルで囲まれている。細長部材70が引かれると、圧縮コイルは偏向可能部分22内の圧縮に抵抗し、偏向可能部分22が波打つ又は柔らかくなることを防止する。例示的な実施形態では、各細長部材70は、ステンレス鋼又は任意の他の好適な材料から形成され、約0.18mmの外径を有する。本明細書で使用するとき、任意の数値又は範囲に関して「約」又は「およそ」という用語は、本明細書に記載されるように構成要素の一部又は集合がその意図される目的に応じて機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指し得る。カテーテル40は、管腔60-2、60-6の各々に配置された2つの各々の弾性細長部材72を備える。2つの弾性細長部材72は、偏向可能部分22の優先的な屈曲の平面を画定する。例示的な実施形態では、細長部材72は、0.3mmの内径を有するEvonik Resource Efficiency GmbH of Essen GermanyのVESTAMID(登録商標)ケア、及び外径0.56mmのポリアミドから形成される。他の実施形態では、細長部材72は、任意の他の好適な材料、例えば、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、又はポリエーテルスルホン(PESU)から形成されてもよい。マニピュレータ32として使用するためのハンドルの一例は、いずれも付録に提供されたコピーを参照することにより組み込まれる米国特許出願第9050010号、並びに2019年9月20日に出願された米国特許仮出願第62/903337(BIO6216USPSP1)号に記載及び図示されているハンドルに見出すことができる。
【0060】
他の実施形態では、管腔60-1、60-2、60-4、60-6、60-8は、例えば、灌注管及び/又は光ファイバであるが、これらに限定されない任意の好適な要素を含んでもよい。
【0061】
図4は、
図1のカテーテル40の偏向可能部分22の断面図である。
図4は、細長部材37及び細長部材72が装填された偏向可能部分22の管腔60を示す。
図4は、ケーブル68又は細長部材70を示さない。
【0062】
ここで、
図3の偏向可能部分22に含まれるケーブル68の1つの断面図である
図5を参照する。
【0063】
各ケーブル68は、個々に絶縁された電線74の束(例えば、少なくとも20又は30)を含む(簡略化のために電線74の一部のみが標識されている)。
図3を参照して上述したように、各ケーブル68は、コネクタ47(
図1)及び電極48の各々の群(
図1)に電気的に結合される。各電線74は、各々の群の電極48の各々に接続されている。電線74の導体は、例えば、限定するものではないが、銅合金電線などの任意の好適な導電性材料から形成されてもよい。例示的実施形態では、導体の外径は0.032mmである。電線74の絶縁体は、任意の好適な材料、例えば、ポリウレタン、ポリイミド、又は任意の薄いエナメル質絶縁体から形成されてもよい。例示的実施形態では、絶縁体は、0.042mmの外径を有する。カテーテル40が120個の電極48を含む場合、カテーテル40は、典型的には4本のケーブルを含み、各ケーブルは30本の電線74を含む。50個の電極を有するカテーテルの場合、カテーテル40は2つのケーブル68を含み、各ケーブルは25本の電線74を含む。センサ50を処理回路41に接続する絶縁電線はまた、ケーブル68のうちの1つ以上に含まれてもよい。
【0064】
各ケーブル68は、遮蔽体78(以下に記載される)の下で絶縁された電線74の束の周りに巻かれたテープ76(例えば、プラスチックテープ)を含む。テープ76は、電線束74を一緒に保持し、電線74と遮蔽体78との間にバリアを付加し、電線74の絶縁体を損傷させる可能性がある。
【0065】
各ケーブル68は、束及びテープ76を取り囲む電気遮蔽体78を含む。遮蔽体78は、静電荷を被覆する。電気遮蔽体78は、任意の好適な遮蔽材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遮蔽体78は、約0.025mmの厚さを有するスズめっき銅合金の重なり合わない電線スパイラルを含む。
【0066】
各ケーブル68はまた、電気遮蔽体78を取り囲む電気絶縁ジャケット80を含み、各々の管腔60内での各々のケーブル68の長手方向の移動を可能にするように寸法決めされている(
図2~
図4)。電気絶縁ジャケット80は、単なる例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又は、管腔60内のケーブル68を滑らかに摺動させるためのペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)の任意の1つ以上を含む。例示的実施形態では、電気絶縁ジャケット80は、約0.4mmの外径及び約0.03mmの厚さを有する。電気絶縁ジャケット80は遮蔽体78を一緒に保持して、ケーブル68が管腔60内で前後に摺動する際に遮蔽体78がバンチアップしないように機能する。ケーブル68は、管腔60内で摺動するが、偏向可能部分22の遠位端に固定されてもよい。
【0067】
本発明の様々に異なる特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これらが単一の実施形態中に組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0068】
上に記載される実施形態は、例として引用されており、本発明は、上記の明細書に特に図示及び記載されたものによって限定されない。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者が思い付くであろう、先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0069】
〔実施の態様〕
(1) 生存被験者の身体部分に挿入されるように構成されたカテーテルであって、
近位端及び遠位端を有するシャフト組立体であって、内部を長手方向に延びる管腔を含む偏向可能部分を備える、シャフト組立体と、
前記シャフト組立体の前記遠位端に配設された複数の電極と、
処理回路に連結するために、前記シャフト組立体の前記近位端に配設されたコネクタと、
前記管腔のうちの第1管腔の各々に配設された複数のケーブルであって、各ケーブルが前記コネクタ及び前記電極の各々の群に電気的に結合され、各ケーブルが、
個々に絶縁された電線の束であって、各電線が、前記各々の群における前記電極のうちの各々1つに接続された、束と、
前記束を取り囲む電気遮蔽体と、
前記電気遮蔽体を取り囲み、前記各々の管腔内における前記各々のケーブルの長手方向の移動を可能にするように寸法決めされた電気絶縁ジャケットと、を含む、複数のケーブルと、
前記管腔のうちの第2管腔の各々に配置され、前記遠位端に接続された各々の細長部材と、
前記細長部材に接続され、前記細長部材を介して前記遠位端を作動させるように構成されたマニピュレータと、を備える、カテーテル。
(2) 前記マニピュレータが、前記細長部材のうちの少なくとも1つを介して前記偏向可能部分の向きを変更するように構成されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記遠位端は、前記複数の電極が配置される組立体を備え、前記細長部材のうちの少なくとも1つが前記組立体に連結され、前記マニピュレータが、前記少なくとも1つの細長部材を介して前記組立体を展開するように構成されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 前記カテーテルが、前記管腔のうちの第3管腔の各々の中に配置された2つの各々の弾性細長部材を備え、前記2つの弾性細長部材が、前記偏向可能部分の優先的な屈曲の平面を画定する、実施態様1に記載のカテーテル。
(5) 前記偏向可能部分が、3mm未満の外径を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
【0070】
(6) 前記ケーブルの各々が、0.5mm未満の外径を有し、少なくとも20本の絶縁された電線を含む、実施態様5に記載のカテーテル。
(7) 前記カテーテルが少なくとも3本の前記ケーブルを含む、実施態様6に記載のカテーテル。
(8) 前記ケーブルの各々が、0.5mm未満の外径を有し、少なくとも30本の絶縁された電線を含む、実施態様5に記載のカテーテル。
(9) 前記カテーテルが少なくとも3本の前記ケーブルを含む、実施態様8に記載のカテーテル。
(10) 各々のケーブルが、前記遮蔽体の下で前記絶縁された電線の束の周りに巻かれたテープを含む、実施態様1に記載のカテーテル。
【0071】
(11) 前記電気絶縁ジャケットが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)のうちのいずれか1つ又はそれ以上を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(12) 前記偏向可能部分が熱可塑性エラストマーを含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(13) 前記電気遮蔽体が、重なり合わない電線スパイラルを含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(14) 前記電気遮蔽体が、スズめっき銅合金を含む、実施態様13に記載のカテーテル。