(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/511 20060101AFI20240708BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
A61F13/511 200
A61F13/511 100
A61F13/15 144
(21)【出願番号】P 2020164780
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(72)【発明者】
【氏名】竹村 政典
(72)【発明者】
【氏名】幸田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】富田 美奈
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-170534(JP,A)
【文献】特開2018-051232(JP,A)
【文献】米国特許第06756520(US,B1)
【文献】特開2012-143543(JP,A)
【文献】特開2011-131044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の肌側に配される表面シートと、前記表面シートの非肌側に配される吸収体を備える吸収性物品であって、
前記表面シートは、前記着用者の肌側に位置する第1のシートと、前記着用者の非肌側に位置する第2のシートを有し、
前記表面シートは、前記第1のシートと前記第2のシートとが部分的に固定された部分により形成される複数の凹部と、前記第1のシートが前記第2のシートに固定されない部分により形成される、着用者の肌側に向かって突出した複数の凸部を有し、
前記第1のシートは疎水性成分のスキンケア剤を含まず、
前記第2のシートは疎水性成分のスキンケア剤を含み、
前記第2のシートは前記第1のシートよりも疎水性である
吸収性物品。
【請求項2】
前記第2のシートは、前記疎水性成分のスキンケア剤、親水性成分のスキンケア剤及び多価アルコールを含む処理剤によって処理されている
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記疎水性成分のスキンケア剤は不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸化合物を含む
請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記多価アルコールの炭素数は2~4である
請求項2又は3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1のシートは親水性成分のスキンケア剤を含む
請求項2から4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記第1のシートでは、非肌側面よりも肌側面に前記親水性成分のスキンケア剤が多く存在する
請求項5記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記親水性成分のスキンケア剤は、前記表面シートの肌側面において、前記凹部よりも前記凸部に多く存在する
請求項5又は6に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等の吸収性物品を着用すると、蒸れ等によって皮膚にかぶれが生じることがある。そのため、スキンケア効果を付与してかぶれの発生を抑制するべく、吸収性物品にスキンケア剤を含有させた吸収性物品が提案されている。
例えば特許文献1には、吸収体と、疎水性スキンケア剤と親水性スキンケア剤を含む凹凸を有する表面シートを備える吸収性物品が記載されている。当該吸収性物品では、表面シートの凹部及び凸部における疎水性及び親水性スキンケア剤の質量の比率の関係を規定し、疎水性及び親水性のスキンケア剤の肌への移行性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、親水性スキンケア剤を吸収性物品の表面シートに用いる場合、表面シートで吸収された着用者の排泄物の液にスキンケア剤が溶出し、排泄物の液とともにスキンケア剤が吸収体へ移行しやすく、スキンケア成分が肌に移行しにくい傾向にある。また、疎水性スキンケア剤を表面シートに用いる場合、排泄物の液が表面シートに吸収されにくい傾向にある。
【0005】
このようなスキンケア剤が用いられる表面シートにおいては、吸収性物品使用時にスキンケア効果が持続することが望まれている。
本発明は、使用時のスキンケア効果を持続させることができる吸収性物品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る吸収性物品は、表面シートと、吸収体を備える。
上記表面シートは、着用者の肌側に配される。
上記吸収体は、上記表面シートの非肌側に配される。
上記表面シートは、上記着用者の肌側に位置する第1のシートと、上記着用者の非肌側に位置する第2のシートを有する。
上記表面シートは、上記第1のシートと上記第2のシートとが部分的に固定された部分により形成される複数の凹部と、上記第1のシートが前記第2のシートに固定されない部分により形成される、着用者の肌側に向かって突出した複数の凸部を有する。
上記第2のシートは疎水性成分のスキンケア剤を含む。
上記第2のシートは上記第1のシートよりも疎水性である。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明の吸収性物品によれば、使用時のスキンケア効果を持続させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の吸収性物品の一実施形態としての使い捨ておむつの一例を示す図であり、各部の弾性部材を伸張させて平面状に広げた状態を示す肌側(表面シート側)の模式平面図である。
【
図2】
図1のII-II線で切断した模式断面図である。
【
図3】上記使い捨ておむつにおける表面シートの一部を拡大して示す模式斜視図である。
【
図4】表面シートの凸部の構成を説明するための表面シートの模式部分拡大断面図である。
【
図5】スキンケア効果のメカニズムを説明する表面シートの模式部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の吸収性物品について、一実施形態である使い捨ておむつを例にあげ、図面を参照しながら説明する。
<使い捨ておむつの全体構成>
本実施形態の使い捨ておむつ1は、
図1に示すように、いわゆる展開型の使い捨ておむつである。使い捨ておむつ1は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと、着用者の左右方向に対応し縦方向Xに直交する横方向Yとを有する。さらに、使い捨ておむつ1は、縦方向X及び横方向Yの双方に直交する厚み方向Zを有する。なお、本明細書では、各構成における肌側とは、使い捨ておむつ着用時の着用者の肌側に位置する側を示す。各構成における非肌側とは、使い捨ておむつ着用時の着用者の肌側とは反対側に位置する側を示す。また、厚み方向Zに関しては、着用時に着用者の肌に近い側を上、着衣に近い側を下ということがある。使い捨ておむつ1は、以下、おむつ1と称する。
【0010】
おむつ1は、縦方向X腹側に位置する腹側領域Aと、縦方向X背側に位置する背側領域Bと、腹側領域Aと背側領域Bとの間に位置する股下領域Cと、に区分される。
背側領域Bは、股下領域Cから左右の横方向Y外方に突出した側部を含む。当該側部の横方向Yにおける側縁部には、ファスニングテープ6が設けられている。同様に、腹側領域Aは、股下領域Cから左右の横方向Y外方に突出した側部を含む。腹側領域Aの非肌側面には、ファスニングテープ6を接着させるためのランディングテープ(図示せず)が設けられている。背側領域B及び腹側領域Aは、着用時に、ファスニングテープ6によって相互に接着され、一体となって着用者の腰周り及びウエスト周りに配置される。
股下領域Cは、腹側領域A及び背側領域Bよりも幅狭となるように、横方向Y内方に括れた脚繰りが形成され、着用時に着用者の排尿部及び肛門等を含む股間部に配置される。
なお、ここでいう「着用時」は、通常想定される適正な着用位置が維持された状態をいう。
【0011】
図1及び2に示すように、おむつ1は、表面シート2と、裏面シート3と、吸収体4と、サイドシート5と、一対のファスニングテープ6と、中間シート7と、防漏シート8と、を有する。おむつ1は、裏面シート3、防漏シート8、吸収体4、中間シート7及び表面シート2が厚み方向Zに積層された構成を有する。これらの構成は、例えば、ホットメルト接着剤等の公知の接合手段により互いに接合されている。
【0012】
吸収体4は、縦方向Xに沿って延び、表面シート2と裏面シート3との間に配置される。すなわち、吸収体4は、表面シート2の非肌側に配される。吸収体4は、着用者の尿等の液状排泄物(以下、単に「液」ということがある。)を表面シート2側の面から吸収し、内部で拡散させて当該液を保持する。
吸収体4は、吸収性コア40と、コアラップシート41と、を有する。
吸収性コア40は、液を保持することが可能な吸収性材料を主体として構成される。具体的に、吸収性コア40は、親水性繊維の積繊体、当該積繊体に吸収性ポリマーを担持させた構成、又は吸水性ポリマーのみからなる構成等を有する。
コアラップシート41は、吸収性コア40を被覆し、例えば吸収性コア40の形状を保持する機能等を有する。コアラップシート41は、例えばティッシュペーパー状の薄く柔らかい紙や液透過性の不織布等で形成される。
【0013】
表面シート2は着用者の肌側に配される。表面シート2は、吸収体4の肌側(厚み方向Z上方)に配置され、例えば、おむつ1の肌側面の横方向Y中央部を構成する。表面シート2は、液透過性のシート材として構成され、合成繊維又は天然繊維からなる不織布等で形成される。表面シート2の詳細については後述する。
【0014】
中間シート7は、表面シート2と吸収体4との間に配置される。中間シート7には、各種製法によって得られる不織布を用いることができる。中間シート7は、表面シート2から吸収体4への液の透過性の向上、吸収体4に吸収された液の表面シート2への液戻りの防止等の観点から配置される。
【0015】
裏面シート3は、吸収体4の非肌側(厚み方向Z下方)に配置され、例えば、おむつ1の非肌側面のほぼ全体を構成し、着用時のおむつ1の外装を構成する。裏面シート3は、防漏性を有していることが好ましく、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。
【0016】
一対のサイドシート5は、表面シート2の横方向Y側部に配置され、例えば、おむつ1の肌側面の横方向Y側部を構成する。サイドシート5は、防漏性を備えていることが望ましく、例えば、液難透過性、水蒸気透過性及び撥水性等の機能を有するシート材で形成される。一対のサイドシート5では、横方向Y中央部側が表面シート2に重なって配置され、横方向Y側部が表面シート2の外側まで延出し、裏面シート3と接合される。
おむつ1では、サイドシート5は、立体ギャザー形成用シートを構成している。サイドシート5の横方向Y中央部側の側端部は、少なくとも股下領域Cにおいて、表面シート2等に接合されない自由端部となっており、弾性部材51が配されている。弾性部材51は、股下領域Cにおいて縦方向Xに延び、例えば腹側領域A及び背側領域Bの一部まで延びていてもよい。弾性部材51を設けることにより、立体ギャザーが構成される。
サイドシート5の横方向Y外方側の側端部近傍に、例えば縦方向Xに伸縮する弾性部材52が配置されることで、着用時に着用者の脚周りにフィットするレッグギャザーが構成される。
弾性部材51及び52は、縦方向Xに伸縮可能な糸状又は帯状の弾性部材である。
【0017】
一対のファスニングテープ6は、機械的面ファスナーの雄部材からなる止着部61を有する。おむつ1の腹側領域Aの非肌側面には、機械的面ファスナーの雌部材からなるランディングテープが設けられている。当該ランディングテープには、ファスニングテープ6の止着部61が着脱自在に止着可能である。
【0018】
防漏シート8は、液不透過性又は液難透過性の樹脂フィルムからなり、裏面シート3の肌側面を被覆する。
【0019】
<表面シート>
(表面シートの構造)
本実施形態のおむつ1では、
図2~4に示すように、表面シート2は、着用者の肌側に位置する第1のシート21と、着用者の非肌側に位置する第2のシート22とが積層されて構成される。表面シート2は、肌側面2aと非肌側面2bを有する。肌側面2aは第1のシート21により構成され、凹凸形状を有する。非肌側面2bは第2のシート22により構成され、ほぼ平坦形状を有する。
表面シート2は、複数の凸部23と複数の凹部24を有する。
凹部24は、第1のシート21と第2のシート22とが部分的にエンボス加工により一体的に加圧され、熱融着により接合固定された接合部である。第1のシート21及び第2のシート22それぞれにおいて、接合部である凹部24は、他の部分に比して高密度化している。凹部24は、凸部23間に位置する。
凸部23は、第1のシート21が第2のシート22に固定されない部分により形成される。凸部23は、着用者の肌側に向かってドーム状に突出する。凸部23の内部は空洞となっている。
凸部23及び凹部24は、交互に且つ一方向(
図3中、縦方向X)に列をなすように配置されており、そのような列が、上記一方向に直交する方向(
図3中、横方向Y)に、多列に形成されている。
図4に示すように、第1のシート21は、肌側面21aと、肌側面21aと反対側の非肌側面21bを有する。
【0020】
第1のシート21及び第2のシート22はそれぞれ繊維材料のシート状物からなる。このシート状物は実質的に非伸縮性である。シート状物としては、例えばカード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布を用いることができる。
第1のシート21及び第2のシート22は、それぞれ、複数の繊維を不織布化したものであり、繊維同士が熱融着した熱融着部25を有する。
図4において、円形状の黒点は熱融着部25を表す。
第1のシート21及び第2のシート22の原料繊維として、芯鞘繊維、サイド・バイ・サイド繊維等が好ましく使用でき、特に芯鞘繊維が好ましい。繊維として代表的なものは、芯成分がPET(ポリエチレンテレフタレート)、鞘成分がPE(ポリエチレン)からなり、芯鞘比が質量比で20/80~80/20のものが好ましい。繊維の繊度は、1.5dtex以上5.0dtex以下のものが好ましい。なお、芯鞘比は芯と鞘各々を構成する樹脂の質量比(芯/鞘)を示す。
【0021】
(第1及び第2のシート)
第2のシート22は少なくとも疎水性成分のスキンケア剤(以下、疎水性成分のスキンケア剤を疎水性スキンケア剤という。)を含む。より好ましくは、第2のシート22は、疎水性スキンケア剤の他、親水性スキンケア剤及び炭素数が2~4の多価アルコールを含む。
第2のシート22は、疎水性スキンケア剤を含む処理剤によって処理されている。本実施形態においては、処理剤には、疎水性スキンケア剤の他に、親水性スキンケア剤及び多価アルコールを含む例をあげる。「処理剤によって処理されている」には、処理剤が塗工された繊維を不織布化する形態、及び、繊維を不織布化した後、当該不織布に処理剤を塗工する形態の双方が含まれる。
「スキンケア剤」は、スキンケア効果を着用者に対して付与するものである。「スキンケア効果」とは、皮膚のかぶれ防止、消炎、傷つき防止、抗菌等の皮膚の状態を正常にする効能全般を意味する。スキンケア剤及び多価アルコールについては後述する。
【0022】
第2のシート22は、第1のシート21よりも疎水性が高くなっている。言い換えると、第1のシート21は第2のシート22よりも親水性が高くなっており、液透過性が高くなっている。
第2のシート22が、第1のシート21よりも疎水性が高く、かつ、疎水性スキンケア剤を含むことにより、スキンケア効果の持続性が向上する表面シート2を得ることができる。
図5を用いてその機序について説明する。
【0023】
図5(A)に示すように、排尿前の着用初期の表面シート2では、第2のシート22には疎水性スキンケア剤11が含まれる。
次に、表面シート2に尿等の排泄物の液が供給されると、
図5(B)に示すように、第1のシート21よりも疎水性が高い第2のシート22によって、第1のシート21を通過した液12は、吸収体4に移行する前に、中空の凸部23内に一時蓄えられる。そして、凸部23内に蓄えられた液12に、第2のシート22に含まれる疎水性スキンケア剤11を含むスキンケア剤が分散されやすい状態となる。
次に、
図5(C)に示すように、凸部23内の液12が吸収体4へと吸収されるとともに、液内に分散された、撥水性の疎水性スキンケア剤11は第1のシート21側へ移行する。このように、着用初期に第2のシート22に存在していた疎水性スキンケア剤11は、第1のシート21側へ移行し、着用者の肌へと移行しやすい状態となり、効率的に着用者の肌に対してスキンケア効果が付与される。
また、座位等の体勢による着用者からの加圧によって、第1のシート21の凸部23を形成する部分と第2のシート22が接し、第2のシート22に含まれる疎水性スキンケア剤11が第1のシート21へと移行する。
このように、おむつ1の着用の間、着用者の排泄や姿勢変化によって、第2のシート22に含まれる疎水性スキンケア剤11の肌への移行が生じ続けることにより、スキンケア効果を持続させることができる。
【0024】
第1及び第2のシート21、22の親疎水性の程度は後述する測定方法により測定される接触角により示される。
上述した効果を一層奏する観点から、第1のシート21の接触角は60°以上、好ましくは65°以上、そして、90°以下、好ましくは85°以下、より具体的には、60°以上90°以下であることが好ましく、65°以上85°以下であることが更に好ましい。第2のシート22の接触角は75°以上、好ましくは80°以上、そして、130°以下、好ましくは125°以下、より具体的には、75°以上130°以下であることが好ましく、80°以上125°以下であることが更に好ましい。
【0025】
また、第2のシート22には、疎水性スキンケア剤に加えて、親水性成分のスキンケア剤(以下、親水性成分のスキンケア剤を親水性スキンケア剤という。)及び多価アルコールが含まれることが好ましい。疎水性スキンケア剤と親水性スキンケア剤を用いることにより、第2のシート22における液拡がりやすさと液切れ速度のバランスをとることができ、吸液性が良好で、かつシート上の液残りが少ない第2のシート22を得ることができる。これにより、吸収体4へ液が速やかに移行しやすい。
【0026】
第2のシート22は、親水性スキンケア剤、疎水性スキンケア剤及び多価アルコールを含む処理液によって処理されている。より詳細には、第2のシート22を構成する繊維には親水性油剤(繊維処理剤)が塗工されており、第2のシート22は、親水性油剤、親水性スキンケア剤、疎水性スキンケア剤及び多価アルコールを含む。親水性油剤とは、繊維表面を親水化させる繊維処理剤である。親水性油剤は、典型的には親水性界面活性剤である。
第2のシート22は、親水性油剤、親水性スキンケア剤、疎水性スキンケア剤及び多価アルコールを含む処理液を塗工した繊維を不織布化して製造してもよいし、親水性油剤が塗工された繊維を不織布化した不織布に、親水性スキンケア剤、疎水性スキンケア剤及び多価アルコールを含む処理液を塗工して製造してもよい。
疎水性スキンケア剤及び多価アルコールは36℃において液体等の流動性の高いものが好ましい。特に、親水性スキンケア剤及び疎水性スキンケア剤は流動性が高いことが肌への移行性の観点から好ましい。その場合、36℃で固体又は半固体状の親水性油剤を用いることにより、36℃で液体の疎水性スキンケア剤や多価アルコールを溶剤として用いた親水性スキンケア剤(例えば後述する植物抽出エキス)を繊維に対して安定的に付着させることができるので、使用場面において上述した成分が表面シート2から、吸収性物品を構成する他の部材へ移行し過ぎることを抑制可能となる点で好ましい。特に、上述した液体のスキンケア剤又は液体のスキンケア剤含有混合物である場合には、使用場面において、該スキンケア剤が表面シート2から、吸収性物品を構成する他の部材への移動が抑制されると、着用者の肌への移行する量が維持され易くなる点で好ましい。
【0027】
第1のシート21は親水性スキンケア剤を含むことが好ましく、第1のシート21は、表面シート2の着用者の肌に接する側に位置しているので、親水性スキンケア剤が肌に移行しやすい。これにより着用初期からスキンケア効果が発現される。上述したように、着用の間、着用者の排泄や姿勢変化によって、第2のシート22に含まれる疎水性スキンケア剤11の肌への移行が生じ続けるのに加え、第1のシート21に親水性スキンケア剤が含まれることにより、おむつ1の着用初期から長時間、スキンケア効果を持続させることができる。
また、表面シート2に親水性スキンケア剤と疎水性スキンケア剤の双方が含まれることにより、排尿前の乾燥状態、排尿や発汗等による湿状態の度合いの変化や着用者の姿勢の変化等に応じてスキンケア効果が発揮されるタイミングをずらすことができ、おむつ1の着用の間、スキンケア効果を効率よく持続させることができる。
【0028】
なお、第2のシート22に含まれるスキンケア剤の好ましい単位面積当たりの含有量は、以下の通りである。
疎水性スキンケア剤は、繊維質量に対して、1×10-4質量%以上0.5質量%以下が、本発明の効果を得る観点から好ましく、特に2×10-4質量%以上0.1質量%以下であると、本発明の効果と使用感とのバランスがとり易くより好ましい。
親水性スキンケア剤は、繊維質量に対して、0.1質量%以上150質量%以下が、シートの液透過性の向上及び液残り抑制の観点から好ましく、使用感とのバランスからは0.2質量%以上50質量%以下が好ましい。
多価アルコールは、繊維質量に対して、3×10-4質量%以上1.0質量%以下が、シートの液透過性の向上及び液残り抑制の観点から好ましく、使用感とのバランスからは8×10-4質量%以上0.5質量%以下が好ましい。
【0029】
また、第1のシート21に含まれる親水性スキンケア剤の好ましい単位面積当たりの含有量は、以下の通りである。
親水性スキンケア剤は、繊維質量に対して、0.1質量%以上150質量%以下が、良好な液透過性とスキンケア効果の発現とのバランスの観点から好ましく、使用感とのバランスからは0.2質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0030】
以下、スキンケア剤及び多価アルコールについて説明する。
(疎水性スキンケア剤)
疎水性スキンケア剤とは、水溶性及び水分散性を有さないか、また極めて溶解性が低い疎水性成分のスキンケア剤のことであり、且つ着用者の肌に対して保護、治癒等の効能を有する組成物又は化合物のことである。より具体的には、疎水性成分とは、成分の剤10gをイオン交換水1L中で混合した後に24時間静置したときの溶解量が1g未満のものを言い、好ましくは、0.1g以下の溶解量のものであり、特に好ましくは完全に溶解しないものである。
疎水性スキンケア剤としては、炭素鎖長12~28の脂肪酸又は該脂肪酸とグリセリンのエステル化合物や、ワックス、ワセリン等が挙げられ、特に、炭素鎖長12~28の不飽和脂肪酸又は該不飽和脂肪酸のグリセリンエステル化合物を含むことが好ましい。当該グリセリンエステルは、グリセリンと前述の不飽和脂肪酸のモノエステル、ジエステル又はトリエステルであるが、特に、トリエステルであることが好ましい。脂肪酸又は脂肪酸化合物を含む剤としては、アルガンオイル、シアバター等の天然物抽出成分が好ましく使用できる。
特に、不飽和脂肪酸を含む疎水性の植物油であるアルガンオイルは、肌の水分と油分のバランスを保ち乾燥を防ぎ、スキンケア剤として機能する。また、アルガンオイルは、オレイン酸、リノール酸といった不飽和脂肪酸を多くふくみ、活性酸素除去力が強く、例えば日焼けによる肌のダメージを軽減させることができる。
【0031】
(親水性スキンケア剤)
親水性スキンケア剤とは、水溶性又は水分散性を有する親水性成分のスキンケア剤のことであり、かぶれや炎症の発生を抑制し、かぶれや炎症が生じた場合には、当該かぶれや炎症の進行を抑制するか、又は当該かぶれや炎症を緩和させることができるものであることが好ましい。より具体的には、親水性成分とは、成分の剤10gをイオン交換水1L中で混合した後に24時間静置したときの溶解量又は分散量が1g以上のものを言い、好ましくは、5g以上の溶解量又は分散量のものであり、より好ましくは、1g以上溶解するもの、一層好ましくは5g以上溶解するもので、最も好ましいのは、完全に溶解するものである。
親水性スキンケア剤としては、桃の葉エキス、ハマメリスエキス等の天然物抽出成分、ポリエチレングリコール、スキンケア等の機能を有する親水性化合物等を用いることができる。
これらの中でも、植物抽出エキスである桃の葉エキス(親水性エキス)は、抗菌作用、抗炎症作用を有することから好ましい。表面シート2に供給された液に親水性成分である桃の葉エキスがとけ、肌に移行することによりスキンケア効果が生じる。
また、親水性スキンケア剤として植物抽出エキスを含む場合には、スキンケア効果を有する、桃の葉エキス、ハマメリエキス、竹の葉エキス等を含むことが好ましい。表面シート2に供給された尿等の液に親水性成分である植物抽出エキスが溶解又は分散し、肌に移行することによりスキンケア効果を得られることが可能となる。特に、桃の葉エキスは、抗菌作用、抗炎症作用を有し、親水性スキンケア剤として機能することから、好ましい。
【0032】
(多価アルコール)
多価アルコールとして、炭素数が2~4のアルコールを用いることができる。典型的には、1,3-ブチレングリコールである。1,3-ブチレングリコールを用いることにより、保湿効果と潤滑性が向上する。潤滑性が向上することにより、肌と不織布との摩擦を低減することができ、肌へのダメージが抑制される。1,3-ブチレングリコールは、保湿性のある液状の水溶性基剤成分で、さらっとした使用感でべたつきが少なく、肌の潤いを保ち、親水性のスキンケア剤として機能する。また、1,3-ブチレングリコールは、保湿剤として用いられる他、溶剤としても用いられる。例えば、桃の葉エキスを親水性スキンケア剤として用いる場合、桃の葉エキスの溶剤として1,3-ブチレングリコールを用いることができる。1,3-ブチレングリコールは、各成分の相溶性を促進する。これにより、本実施形態の第2のシート22のように、疎水性スキンケア剤、親水性スキンケア剤及び多価アルコールを含む処理剤を用いて製造された不織布では、アルガンオイル等の疎水性スキンケア剤が相分離して剥離するといったことが抑制されるので、処理剤を構成する親水性スキンケア剤と、疎水性スキンケア剤と、多価アルコールを不織布へ均一に安定して付着させることができる。尚、ここでは、1,3-ブチレングリコールを例にあげたが、炭素数が2~4の多価アルコールであれば同様の効果を示し、例えばプロピレングリコールを用いてもよい。プロピレングリコールも親水性エキスの抽出溶媒として用いることができる。
【0033】
上記各種のスキンケア剤は、一種を単独で使用してもよいし、複数組み合わせて使用してもよい。本実施形態の第2のシート22においては、少なくとも疎水性スキンケア剤が含まれればよい。更に、疎水性スキンケア剤を不織布へ均一に安定して付着させる観点、シートの液透過性の向上及び液残り抑制の観点から、第2のシート22には、疎水性スキンケア剤の他、親水性スキンケア剤及び多価アルコールが含まれることがより好ましい。
【0034】
スキンケア剤には、天然物抽出成分を用いることが好ましい。例えば、おむつ1を着用する乳幼児の肌は、成人と比較して薄く、バリア機能も劣るため、天然物抽出成分を用いることによりアレルギー反応等の発生が抑制される。また、天然物抽出成分を用いることにより、おむつ内の肌が赤みを生じるといった肌トラブルが発生しにくい。
【0035】
(表面シートの製造方法)
表面シート2の製造方法の一例について説明する。
親水性油剤(繊維処理剤)、親水性スキンケア剤、疎水性スキンケア剤及び多価アルコールを含む混合物からなる処理剤を塗工した繊維をエアスルー製法により不織布化して第2のシート22が作成される。
親水性油剤(繊維処理剤)及び親水性スキンケア剤を含む混合物からなる処理剤を塗工した繊維をエアスルー製法により不織布化して第1のシート21が作成される。処理剤には、親水性スキンケア剤の溶剤として多価アルコールが含まれていてもよい。
凹凸を有する多層表面シート(本実施形態における表面シート2)は、常法に従って製造可能であるが、代表的には、特開2004-174234号公報に従って、凹凸を形成した第1のシートと平坦な第2のシートを重ね合わせ、接合することによって作成することができる。
【0036】
(他の表面シート例)
表面シート2を構成する第1のシート21は、非肌側面21bよりも肌側面21aに親水性スキンケア剤を多く含んでいてもよい。このように、第1のシート21は、着用者の肌側により近い方が、親水性スキンケア剤が多く含まれるように、その厚み方向で親水性スキンケア剤が分布するように構成されてもよい。
このような構成においても、着用時、親水性スキンケア剤が肌へ効率よく移行しやすく、おむつ1の着用初期からスキンケア効果が発現し得る。
このような、非肌側面21bよりも肌側面21aに親水性スキンケア剤を多く含む第1のシート21は、親水性油剤(繊維処理剤)を塗工した繊維を不織布化した後、親水性スキンケア剤を含む液を、不織布の肌側面となる側に対してスプレー塗工又はコータ塗工等によって塗工することにより製造することができる。その後、例えば、特開2004-174234号公報に従って、凹凸を形成した第1のシート21と平坦な第2のシート22を重ね合わせ、接合することによって表面シート2を製造することができる。
【0037】
更に他の例として、表面シート2の凹凸を有する肌側面2aにおいて、親水性スキンケア剤が、凹部24よりも凸部23に多く存在するように、表面シート2を構成してもよい。
おむつ1の着用時、着用者の肌には主に凸部23が接するので、肌側面2aにおいて、凸部23は凹部24よりも相対的に親水性スキンケア剤が多く存在することにより、親水性スキンケア剤が効率よく肌に移行し着用初期からスキンケア効果が発現する。また、凹部24は、凸部23と比較して、繊維密度が高く、液を引き込みやすく、液吸収性が高くなっている。このため、凹部24に位置する親水性スキンケア剤は液に溶出して液とともの吸収体4へと移行しやすい傾向にある。しかしながら、本実施形態では、肌側面2aにおいて、凹部24は凸部23よりも相対的に親水性スキンケア剤の量が少ないため、吸収体4への移行が抑制される。このように、スキンケア剤の使用効率がよい表面シート2とすることができる。
このような、表面シート2の凹凸を有する肌側面2aにおいて、親水性スキンケア剤が、凹部24よりも凸部23に多く存在する表面シート2は次のように製造することができる。
親水性油剤(繊維処理剤)を塗工した繊維を不織布化した第1のシート21を作成する。次に、例えば、特開2004-174234号公報に従って、凹凸を形成した第1のシート21と平坦な第2のシート22を重ね合わせ、接合し積層シートを製造する。次に、当該積層シートの凹凸形状を有する肌側面2aに、親水性スキンケア剤を含む液をスプレー塗工又はコータ塗工等によって塗工することにより表面シート2を製造することができる。
このように凹凸形状を有する肌側面2aに親水性スキンケア剤を含む液をスプレー塗工又はコータ塗工することにより、凹部24よりも凸部23に混合液が集中して塗工される。その結果、表面シート2の凹凸を有する肌側面2aにおいて、親水性スキンケア剤が、凹部24よりも凸部23に多く存在する肌側面2aを有する表面シート2とすることができる。また、このように製造された表面シート2の第1のシート21は、非肌側面21bよりも肌側面21aに親水性スキンケア剤を多く含んでいる。
【0038】
<補足説明>
[第1及び第2のシートにスキンケア剤等が含まれることの確認方法]
表面シートから、第1のシートと第2のシートを分離する。分離した第1のシート又は第2のシートから所定の大きさ(例えば縦方向50mm×横方向50mm)のサンプルを切り出す。
サンプルを下部に小さな開孔がある所定の容器にいれる。その後、蓋で繊維を抑え、繊維を容器の下部に押し込み、蓋を取り除く。そこへ10ccのエーテル又は10ccのエタノール/メタノール(体積比率1:1)混合の溶液を投入し、10分間静置する。エーテルは主に疎水性スキンケア剤の抽出を目的とする溶媒であり、エタノール/メタノール混合溶媒は親水性スキンケア剤及び多価アルコールの抽出を目的とする溶媒である。その後、再び蓋をのせて、溶液を含む繊維を強く押し付けることで、繊維に含まれている液(エーテル又はエタノール/メタノール成分)を絞り、絞りとった液を秤量皿にいれる。そして、秤量皿を熱することで溶媒を除去した後、この秤量皿の重量を測定し、液をいれる前の元の秤量皿の重量との差から、スキンケア剤の量を測定する。このようにスキンケア剤が測定され得ることをもって、第1のシート又は第2のシートに、疎水性スキンケア剤、親水性スキンケア剤、多価アルコールが含まれることを確認することができる。
尚、第1又は第2のシートにおける単位面積あたりのスキンケア剤の含有量を測定する場合は次のように測定することができる。3つのサンプルにおけるスキンケア剤の量を上記の通り測定し、その平均をスキンケア剤含有量とする。そして、サンプルの面積とスキンケア剤含有量とから、単位面積当たりのスキンケア剤の量を算出することができる。上記した大きさのサンプルにおいて、面積は、略平坦な第2のシートでは2500mm2である。複数の凸部を有する第1のシートの面積の算出においては、走査型電子顕微鏡(例えば日本電子(株)社製のJCM-5100(商品名))により断面を拡大観察し(例えば、倍率150~500倍)、当該断面画像から凹凸寸法を測定し、これに基づき第1のシートの凹凸面の面積を算出する。
なお、エタノール/メタノールの抽出溶媒に疎水性スキンケア剤が抽出されることがある。親水性スキンケア剤、疎水性スキンケア剤及び多価アルコールの全てがエタノール/メタノールで抽出される場合、各成分が極性を有することを意味し、着用者肌表面との親和性の観点で有利であるといえ、好ましい。
【0039】
また、第1のシートにおいて、非肌側面よりも肌側面に親水性スキンケア剤を多く存在することは、以下の方法で確認することができる。
表面シートから、第1のシートと第2のシートを分離する。分離した第1のシートの肌側面及び非肌側面それぞれの最表層に位置する繊維を所定量(例えば2g)収集し、上記方法と同様に、エタノール/メタノール混合溶液でスキンケア剤を抽出し、スキンケア剤の量を測定する。当該測定結果により、第1のシートの肌側面及び非肌側面それぞれに存在する親水性スキンケア剤の量の違いを確認することができる。
【0040】
また、表面シートの肌側面において、凹部よりも凸部に多く親水性スキンケア剤が存在することは、以下の方法で確認することができる。
表面シートの肌側面における、凸部及び凹部それぞれの最表層に位置する繊維を所定量(例えば2g)収集し、上記方法と同様に、エタノール/メタノール混合溶液でスキンケア剤を抽出し、スキンケア剤の量を測定する。当該測定結果により、凸部及び凹部それぞれに存在する親水性スキンケア剤の量の違いを確認することができる。
【0041】
[接触角の測定方法]
接触角の測定は次のように行うことができる。
キーエンス製マイクロスコープVH-8000に中倍率ズームレンズ(照明リング付)を90°に倒した状態で使用し、500倍の条件に設定して計測を行った。測定用サンプルは、表面シートを、縦方向150mm×横方向70mmの大きさにカットしたものを用いた。測定環境は、20℃/50%RHであり、測定用サンプルは、測定面を上向きにした状態として、ウエブ(不織布)のCD方向から観察できるように測定ステージにセットした。次いで、セットされた測定用サンプルに、マイクロピペットにて2μlのイオン交換水(以下、単に「水」という。)を付着させ、付着5秒以内(なるべく2~3秒)に画像を取り込む。付着後短時間で画像取り込みが必要な理由は、付着した水滴がマイクロスコープの測定部から出る光によって蒸発してしまうことと、油剤による接触角変化をおこさないようにするためである。水滴の両端もしくは片端の焦点が鮮明な観察結果10点の接触角を計測し、それらの平均値を「接触角」とした。接触角は、画像または印刷した写真に対して、水滴の繊維との接線を引き、画像解析または分度器等によって、計測を行う。
【0042】
水との接触角は、第1及び第2のシート等の構成物の親疎水性の程度を示す指標となる。接触角の値が大きいほど構成物の疎水性が高いと判断できる。従って、接触角により第2のシートが第1のシートよりも疎水性であることを確認することができる。一般に、親水性に分類される構成物の接触角θは90°以下(好ましくは85°以下であり、小さいほど親水性は高い。)、疎水性に分類される構成物の接触角θは90°超(好ましくは90°超~140°)である。
【0043】
第1のシートと第2のシートを有する積層構造の表面シートにおける第1のシートの接触角の測定では、第1のシートと第2のシートとを分離した後、第1のシートの肌側面と非肌側面をそれぞれ測定面として測定を行う。第1のシートの肌側面及び非肌側面それぞれの接触角は、第1のシートの親疎水性の程度を示すものである。
一方、第2のシートの接触角の測定では、第2のシートの肌側面を測定面として測定を行う。この測定結果を、第2のシートの接触角とする。この測定結果は、第2のシートの親疎水性の程度を示すものである。
第2のシートが第1のシートよりも疎水性であるとは、第2のシートの肌側面の接触角が、第1のシートの肌側面及び非肌側面それぞれの接触角のいずれよりも、大きいことを示す。
【0044】
<他の構成例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、以上の実施形態では、吸収性物品として使い捨ておむつの例を示したが、これに限定されない。本発明の吸収性物品は、尿取りパットやおりものシート、生理用ナプキン等であってもよい。吸収性物品は、一般に、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を有して構成される。
【符号の説明】
【0045】
1…使い捨ておむつ(吸収性物品)
2…表面シート
4…吸収体
11…疎水性スキンケア剤
21…第1のシート
22…第2のシート
23…凸部
24…凹部