(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】バーナの補修方法、バーナ、ボイラ及び発電プラント
(51)【国際特許分類】
F23D 1/00 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
F23D1/00 Z
(21)【出願番号】P 2020171128
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松尾 啓介
(72)【発明者】
【氏名】天野 五輪麿
(72)【発明者】
【氏名】下之門 智史
(72)【発明者】
【氏名】三村 匠
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-295802(JP,A)
【文献】特開平08-175498(JP,A)
【文献】特開2010-285098(JP,A)
【文献】特開2001-165411(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0044040(US,A1)
【文献】特開2017-020421(JP,A)
【文献】特開2013-107186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 1/00-99/00
F23C 1/00-99/00
F23L 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を含む混合ガスが流通する筒状のバーナ本体を備えているバーナの補修方法であって、
前記バーナ本体の壁部に生じた損傷箇所を含んだ所定部分を前記バーナ本体の前記壁部から取り除く取除工程と、
前記所定部分によって前記壁部に形成された欠損部分に対応した形状の補修材を前記壁部の内周面に沿った形状の板材に設ける製作工程と、
前記補修材が前記欠損部分に位置した状態で前記板材を前記壁部の内周面に接続する接続工程と、
を具備しているバーナの補修方法。
【請求項2】
前記接続工程の後、前記バーナ本体と前記板材との境界、及び/又は、前記バーナ本体と前記補修材との境界に充填材を設ける工程を具備している請求項1に記載のバーナの補修方法。
【請求項3】
前記バーナ本体は、混合ガスの流通方向の下流側に位置する開口端側の前記壁部が4面からなる角筒状であり、
前記板材は、前記壁部の内周面の少なくとも3面に接するように形成されている請求項1又は2に記載のバーナの補修方法。
【請求項4】
バーナは、前記バーナ本体から流出した混合ガスと燃焼用空気とを炉内に導くバーナノズルを備え、
前記バーナノズルは、前記バーナ本体の前記開口端側の外周面を包囲する筒状とされ、
前記バーナ本体と前記バーナノズルとは、対向する位置において2つのピン部材を支点にして回動可能に連結され、
前記板材は、前記ピン部材によって前記壁部の内周面に接続されている請求項3に記載のバーナの補修方法。
【請求項5】
一の前記ピン部材が設けられた前記壁部が前記ピン部材の挿入方向において前記バーナノズルと最接近したときに、他の前記ピン部材が挿入された前記壁部の内周面から突出する前記ピン部材の突出量が前記板材の板厚以上となるように前記ピン部材の寸法が設定されている請求項4に記載のバーナの補修方法。
【請求項6】
壁部で囲われた筒状とされ、前記壁部の所定部分が取り除かれたバーナ本体と、
前記壁部の内周面に沿うように該壁部の内周面に接続された板材と、
前記所定部分によって前記壁部に形成された欠損部分に対応した形状とされ、前記欠損部分に位置した状態で前記板材に設けられた補修材と、
を備えているバーナ。
【請求項7】
請求項6に記載のバーナを備えているボイラ。
【請求項8】
請求項7に記載のボイラと、
前記ボイラによって生成された蒸気を用いて発電する発電部と、
を備えている発電プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バーナの補修方法、バーナ、ボイラ及び発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラントに使用される大型のボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、この火炉壁に複数のバーナが火炉の周方向に沿って配設されている。また、ボイラは、火炉の鉛直方向上方に煙道が連結されており、この煙道に蒸気を生成するための熱交換器が配置されている。そして、バーナが火炉内に燃料と空気(酸化性ガス)との混合気を噴射することで火炎が形成され、燃焼ガスが生成されて煙道に流れる。燃焼ガスが流れる領域に熱交換器が設置され、熱交換器を構成する伝熱管内を流れる水や蒸気を加熱して過熱蒸気が生成される。
【0003】
例えば特許文献1に開示されているように、石炭焚ボイラで使用されるバーナには、バーナ本体とバーナノズルとを有し、バーナノズルがバーナ本体に対して角度調整可能に連結されたものがある。このようなバーナにおいては、バーナ本体の内側には燃料(例えば微粉炭)と一次空気とからなる可燃混合気が流通して、バーナ本体の外側には高温の二次空気が流通しているものがある。この場合において、バーナ本体の先端部(バーナノズルとの連結部近傍のバーナ本体)に損傷が発生すると、バーナ本体の内側と外側との圧力差やバーナノズルの角度によっては、可燃混合気が損傷箇所からバーナ本体の外側に漏出する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の通り、バーナ本体の外側には高温の二次空気が流通しているので、可燃混合気がバーナ本体の外側に漏出した場合、その可燃混合気がバーナ本体の外側で高温酸化反応する可能性がある。このため、可燃混合気の漏出を回避するために損傷箇所を補修する必要がある。
【0006】
バーナノズルの角度調整機能がないバーナ、或いは損傷箇所を補修した後にバーナノズルの角度調整機能を使用しない場合、バーナ本体の外側からボルト等の締結具によって補修部品をバーナ本体に取り付けることで損傷箇所の補修が可能である。なぜなら、バーナノズルの位置や角度が一定なので、バーナ本体の外形状が補修部品によって変化してもバーナノズルに干渉しないからである。
【0007】
一方で、バーナノズルの角度調整機能を使用する場合、軽微な損傷であれば、バーナ本体の内側からセラミックパテ等の充填材で補修できる。また、例えば、損傷部位が大きいなど、充填材では対応できない損傷が生じたときは、溶接によりバーナ本体に補修部品を取り付ける方法がある。
しかしながら、バーナ本体の材質によっては、バーナ本体に対して溶接施工ができない場合があり、このような場合は、バーナ本体の交換等の大掛かりな補修作業が発生し、費用や納期の点で問題がある。
【0008】
本開示はこのような事情に鑑みてなされたものであって、バーナ本体に損傷箇所が生じた場合であっても、迅速に、かつ、簡便な方法で損傷箇所を補修することができるバーナの補修方法、バーナ、ボイラ及び発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示のバーナの補修方法、バーナ、ボイラ及び発電プラントは以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一態様に係るバーナの補修方法は、燃料を含む混合ガスが流通する筒状のバーナ本体を備えているバーナの補修方法であって、前記バーナ本体の壁部に生じた損傷箇所を含んだ所定部分を前記バーナ本体の前記壁部から取り除く取除工程と、前記所定部分によって前記壁部に形成された欠損部分に対応した形状の補修材を前記壁部の内周面に沿った形状の板材に設ける製作工程と、前記補修材が前記欠損部分に位置した状態で前記板材を前記壁部の内周面に接続する接続工程と、を具備している。
【0010】
また、本開示の一態様に係るバーナは、壁部で囲われた筒状とされ、前記壁部の所定部分が取り除かれたバーナ本体と、前記壁部の内周面に沿うように該壁部の内周面に接続された板材と、前記所定部分によって前記壁部に形成された欠損部分に対応した形状とされ、前記欠損部分に位置した状態で前記板材に取り付けられた補修材と、を備えている。
【0011】
また、本開示の一態様に係るボイラは、上記のバーナを備えている。
【0012】
また、本開示の一態様に係る発電プラントは、上記のボイラと、前記ボイラによって生成された蒸気を用いて発電する発電部と、を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、バーナ本体に損傷箇所が生じた場合であっても、迅速に、かつ、簡便な方法で損傷箇所を補修することができるバーナの補修方法、バーナ、ボイラ及び発電プラントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る石炭焚きボイラの概略構成図である。
【
図2】第1実施形態に係るバーナの開口端近傍の部分拡大図(縦断面図)である。
【
図3】
図2に示す切断線III-IIIにおける横断面図である。
【
図4】第1実施形態に係るバーナを開口端側から見た正面図である。
【
図5】第1実施形態において損傷箇所が生じたバーナ本体の部分斜視図である。
【
図6】第1実施形態において所定部分が決定されたバーナ本体の部分斜視図である。
【
図7】第1実施形態において欠損部分が形成されたバーナ本体の部分斜視図である。
【
図10】第1実施形態において補修材及び板材が配置されたバーナ本体の部分斜視図である。
【
図11】第1実施形態において補修材及び板材の斜視図である。
【
図12】第1実施形態において補修材が接続された板材が配置されたバーナ本体の部分斜視図である。
【
図13】第1実施形態において接続板材が接続された板材が配置されたバーナ本体の部分斜視図である。
【
図14】第1実施形態において補修材と壁部との隙間が充填材で埋められたバーナ本体の部分斜視図である。
【
図15】第1実施形態において板材と壁部との段差が充填材で埋められたバーナ本体の縦断面図である。
【
図16】
図3において板材が接続された場合のバーナの縦断面図である。
【
図17】第1実施形態に係るバーナノズルが片寄りした際の
図16に示すX部の部分拡大図である。
【
図18】第1実施形態に係るバーナノズルが片寄りした際の
図16に示すY部の部分拡大図である。
【
図19】第2実施形態において損傷箇所が生じたバーナ本体の部分斜視図である。
【
図20】第2実施形態において板材が配置されたバーナ本体の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[ボイラについて]
まず、ボイラの構成について説明する。
図1は、本実施形態のボイラを表す概略構成図である。
ボイラ10は、例えば、石炭(炭素含有固体燃料)を粉砕した微粉炭を微粉燃料として用い、この微粉燃料をバーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を給水や蒸気と熱交換して過熱蒸気を生成することが可能な石炭焚き(微粉炭焚き)ボイラである。
【0016】
ボイラ10は、発電部を備えた発電プラントに設けられている。発電部は、例えば、蒸気タービンと、蒸気タービンによって回転駆動される発電機と、を備えている。ボイラ10で生成された蒸気は、発電プラントが備えている蒸気タービンに供給されて蒸気タービンを回転させる。そして、蒸気タービンが発電機を回転駆動することで発電が行われる。
【0017】
図1に示すように、ボイラ10は、火炉11と燃焼装置12と燃焼ガス通路13を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置されている。火炉11を構成する火炉壁101は、複数の伝熱管とこれらを接続するフィンとで構成され、微粉燃料の燃焼により発生した熱を伝熱管の内部を流通する水や蒸気と熱交換して、火炉壁101の温度上昇を抑制している。
【0018】
燃焼装置12は、火炉11を構成する火炉壁101の下部側に設けられている。本実施形態では、燃焼装置12は、火炉壁101に装着された複数のバーナ(例えば21,22,23,24,25)を有している。バーナ21,22,23,24,25は、火炉11の周方向に沿って均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って複数段(例えば、
図1では5段)配置されている。ただし、火炉11の形状や一つの段におけるバーナの数、段数、配置等はこの実施形態に限定されるものではない。
【0019】
バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管26,27,28,29,30を介して複数の粉砕機(ミル)31,32,33,34,35に連結されている。この粉砕機31,32,33,34,35は、例えば、粉砕機のハウジング内に粉砕テーブル(図示省略)が駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に複数の粉砕ローラ(図示省略)が粉砕テーブルの回転に連動回転可能に支持されて構成されている。石炭が、複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、粉砕され、搬送用ガス(一次空気、酸化性ガス)により粉砕機のハウジング内の分級機(図示省略)に搬送されて、所定の粒径範囲内に分級された微粉燃料を、微粉炭供給管26,27,28,29,30からバーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
【0020】
また、火炉11は、バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト(風道)37の一端部が連結されている。空気ダクト37は、他端部に押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)38が設けられている。
【0021】
燃焼ガス通路13は、
図1に示すように、火炉11の鉛直方向上部に連結されている。燃焼ガス通路13は、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器102,103,104、再熱器105,106、節炭器107が設けられており、火炉11で発生した燃焼ガスと各熱交換器の内部を流通する給水や蒸気との間で熱交換が行われる。
【0022】
燃焼ガス通路13は、
図1に示すように、その下流側に熱交換を行った燃焼ガスが排出される煙道14が連結されている。煙道14は、空気ダクト37との間にエアヒータ(空気予熱器)42が設けられ、空気ダクト37を流れる空気と、煙道14を流れる燃焼ガスとの間で熱交換を行い、バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
【0023】
また、煙道14は、エアヒータ42より上流側の位置に脱硝装置43が設けられている。脱硝装置43は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を煙道14内に供給し、還元剤が供給された燃焼ガス中の窒素酸化物と還元剤との反応を、脱硝装置43内に設置された脱硝触媒の触媒作用により促進させることで、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。煙道14に連結されるガスダクト41は、エアヒータ42より下流側の位置に、電気集塵機等の集塵装置44、誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)45、脱硫装置46等が設けられ、下流端部に煙突50が設けられている。
【0024】
一方、複数の粉砕機31,32,33,34,35が駆動すると、生成された微粉燃料が搬送用ガス(一次空気、酸化性ガス)と共に微粉炭供給管26,27,28,29,30を通してバーナ21,22,23,24,25に供給される。また、煙道14から排出された排ガスとエアヒータ42で熱交換することで、加熱された燃焼用空気(二次空気、酸化性ガス)が、空気ダクト37から風箱36を介してバーナ21,22,23,24,25に供給される。バーナ21,22,23,24,25は、微粉燃料と搬送用ガスとが混合した微粉燃料混合気(混合ガス)を火炉11に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉11に吹き込み、このときに微粉燃料混合気が着火することで火炎を形成することができる。火炉11内の下部で火炎が生じ、高温の燃焼ガスがこの火炉11内を上昇し、燃焼ガス通路13に排出される。なお、酸化性ガスとして、本実施形態では空気を用いる。空気よりも酸素割合が多いものや逆に少ないものであってもよく、燃料流量との適正化を図ることで使用可能になる。
【0025】
その後、燃焼ガスは、
図1に示すように、燃焼ガス通路13に配置される第2過熱器103、第3過熱器104、第1過熱器102、(以下、単に「過熱器」と記載する場合もある)、第2再熱器106、第1再熱器105(以下、単に「再熱器」と記載する場合もある)、節炭器107で熱交換した後、脱硝装置43により窒素酸化物が還元除去され、集塵装置44で粒子状物質が除去され、脱硫装置46にて硫黄酸化物が除去された後、煙突50から大気中に排出される。なお、各熱交換器は燃焼ガス流れに対して、必ずしも前記記載順に配置されなくともよい。
【0026】
[バーナの構造について]
次に、バーナ21,22,23,24,25の構造について説明する。なお、以下で説明する構造については、バーナ21,22,23,24,25で共通している。このため、以下の説明では、バーナ21,22,23,24,25のうちバーナ21を例に説明する。
【0027】
図2及び
図3に示すように、バーナ21は、バーナ本体210と、バーナ本体210の開口端側に設けられたバーナノズル220と、を備えている。なお、
図2及び
図3で示すバーナ21の左側が火炉11の内部(炉内)となる。
【0028】
図2から
図4に示すように、バーナ本体210は、本体壁部211によって閉じられた筒状に構成されている。特に、バーナ本体210の先端に相当する開口端側は、4つの本体壁部211A,211B,211C,211Dから構成された角筒状とされている。バーナ本体210は、例えば、鋳鉄(FC200等)を材料とする。
以下の説明では、本体壁部の位置を区別して示す場合は、符号211A,211B,211C,211Dを用いて説明する。また、総括的に本体壁部を示す場合は、単に符号211を用いて説明する。
【0029】
本体壁部211の内側は、本体側一次流路MP1とされている。この本体側一次流路MP1には、供給された混合ガスがバーナノズル220側(火炉11側)に向かって流れている。
【0030】
本体壁部211の外側は、本体側二次流路MP2とされている。この本体側二次流路MP2は風箱36の内部に位置しており、空気ダクト37から供給された燃焼用空気がバーナノズル220側(火炉11側)に向かって流れている。
【0031】
バーナノズル220は、ノズル外壁221によって閉じられた筒状部の内部にノズル内壁222によって閉じられた角筒状部が収容された二重の筒状に構成されている。
バーナノズル220は、バーナ本体210の開口端側(火炉11側)に設けられるとともに、バーナ本体210の開口端側の外周面を包囲している。
【0032】
図3に示すように、バーナノズル220のノズル外壁221及びノズル内壁222とバーナ本体210の本体壁部211(詳細には、本体壁部211B,211D)とが重なる位置において、バーナノズル220の対向する壁面(
図3で示す上下の壁面)の外側からピン部材230が挿入されている。バーナノズル220は、挿入されたピン部材230によってバーナ本体210に連結されるとともに、ピン部材230を回動支点としてバーナ本体210に対して回動可能に構成されている。
【0033】
図2から
図4に示すように、ノズル内壁222の内側は、ノズル側一次流路NP1とされている。このノズル側一次流路NP1には、バーナ本体210の本体側一次流路MP1から供給された混合ガスが火炉11側に向かって流れている。
【0034】
ノズル外壁221とノズル内壁222との間は、ノズル側二次流路NP2とされている。このノズル側二次流路NP2には、バーナ本体210の本体側二次流路MP2から供給された燃焼用空気が火炉11側に向かって流れている。
【0035】
[バーナの補修方法について]
以上のように構成されたバーナ21を使用した場合、
図5に示すように、バーナ本体210の開口端側に位置する本体壁部211(例えば本体壁部211A)の内壁に損傷箇所223が生じる場合がある。損傷箇所223は、例えば、摩耗による減肉、クラック、焼損等によって発生する。
【0036】
上記のような損傷箇所223が生じたバーナ21を引き続き使用したい場合、損傷箇所223を補修しなければならない。以下では、本体壁部211に生じた損傷箇所223を補修する方法について説明する。なお、補修開始時、バーナノズル220はバーナ本体210から取り外されているものとする。
【0037】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態について説明する。
図6に示すように、本体壁部211Aにおいて、バーナ21の使用によって生じた損傷箇所223が含まれるような所定部分224の範囲を決定する。所定部分224を決定したら、
図7に示すように、所定部分224を本体壁部211Aから切断して取り除く(取除工程)。これによって、本体壁部211Aには欠損部分225が形成される。
【0038】
次に、
図8に示すように、欠損部分225の形状に対応した別部材(補修材240)を用意する。補修材240は、欠損部分225の形状と略同一とされる。補修材240は、バーナ本体210の使用条件を考慮して、例えば、ステンレス鋼を材料とする。
また、
図9に示すように、本体壁部211の内周面に沿った形状の板材250(板材250A)を用意する。
図9の場合、板材250Aの形状は、本体壁部211Aの内周面に沿った平板状とされている。仮に本体壁部211Aの内周面が湾曲している場合、板材250Aも湾曲した形状とする。板材250は、バーナ本体210の使用条件を考慮して、例えば、ステンレス鋼を材料とする。
【0039】
次に、
図10に示すように、板材250Aを本体壁部211Aにあてがうとともに補修材240を欠損部分225に配置して、板材250Aに対する補修材240の位置を決定する。このとき、板材250Aに補修材240の位置をマーキングしてもよい。
【0040】
板材250Aに対して補修材240を位置決めしたら、
図11に示すように、板材250Aに補修材240を取り付ける。これによって、板材250Aと補修材240とが一体となる。取付けは、例えば、溶接によって行われる。
また、板材250Aに対して欠損部分225の形状に対応した別部材である補修材240を取り付けるのではなく、板材250Aに相当する部分と補修材240に相当する部分とを有した部材を一体に形成してもよい。例えば、板材250Aの板厚と補修材240の板厚との合計よりも厚い板材を切削して、本体壁部211の内周面に沿った形状の板部分(本体壁部211の内周面に沿った板材250Aに相当する部分)と欠損部分に配置する部分(補修材240に相当する部分)とを一体に形成して本体壁部211A及び欠損部分225にあてがって配置してもよい。これは、例えば、バーナ本体210の損傷箇所223が正確に計測でき、かつ、バーナノズル220のサイズに対して欠損部分225が大きい場合に適用することができる。
上記のいずれかの工程(製作工程)によって、板材250Aと補修材240とを有した部材が用意される。
【0041】
次に、
図12に示すように、補修材240が接続された板材250Aを本体壁部211Aにあてがう。このとき、板材250Aに接続された補修材240は、本体壁部211Aに形成された欠損部分225に位置している。
また、板材250Aとは別に、本体壁部211B,211C,211Dの内周面に沿った形状の板材250B,250C,250Dを用意しておき、これらの板材250B,250C,250Dも、板材250Aと同様、本体壁部211B,211C,211Dの各々にあてがう。これによって、バーナ本体210の開口端側に位置する本体壁部211の内周面の大部分が、板材250によって覆われることになる。
以下の説明では、板材の位置を区別して示す場合は、符号250A,250B,250C,250Dを用いて説明する。また、総括的に板材を示す場合は、単に符号250を用いて説明する。
【0042】
次に、
図13に示すように、各板材250間に形成された隙間(本体壁部211の四隅にある隙間)の形状に対応した他の板材(接続板材252)を用意しておき、各板材250と溶接することで、4枚の板材250A,250B,250C,250Dが一体化した角筒状の板材250が構成される。これによって、一体化した角筒状の板材250が角筒状の本体壁部211の内周面に嵌め込まれ、板材250の全方位の変位が本体壁部211の内周面によって規制される。
なお、接続板材252の形状は、バーナノズル220の形状にあわせて現物合わせによって決定されてもよい。
【0043】
上記の説明では枚の板材250A,250B,250C,250Dを用いて角筒状の板材250を構成したが、例えば上面に位置する板材250Cを省略して3面からなる凵状(U字状)の板材250を構成してもよい。このような板材250であっても角筒状の本体壁部211の内周面に嵌め込むことができるので、板材250を本体壁部211の内周面に対して安定的に接続することができる。
【0044】
次に、
図14に示すように、本体壁部211Aと補修材240との間に形成された隙間をセラミックパテ等の充填材260で埋める。また、
図15に示すように、板材250Aの上流側(バーナ本体210の開口端とは反対側)の端部と本体壁部211Aの内周面との間に形成された段差をセラミックパテ等の充填材260で埋める。このように、充填材260によって隙間や段差等の形状変化部分を滑らかにすることで、混合ガスや燃焼用空気の流れに対する抵抗を低減できる。
【0045】
次に、
図16に示すように、バーナノズル220をバーナ本体210の開口端側の所定位置に配置するとともに、ピン部材230をバーナノズル220の外側から挿入する。
一体化した板材250のうち側面に対応する板材250B,250Cのそれぞれには1つの孔が形成されており、バーナノズル220の連結と同時にピン部材230を板材250B,250Cの各孔に挿入することで、板材250を本体壁部211に接続する(接続工程)。
【0046】
このとき、バーナ本体210とバーナノズル220との間には、バーナノズル220が滑らかに回動できるように隙間が設けられている。しかし、隙間を設けた分だけ、バーナノズル220は、ピン部材230の挿入方向に移動してしまうことがある。このため、例えば、
図17に示すように、バーナノズル220が片寄りしてバーナ本体210に最も接近した場合(バーナノズル220が本体壁部211Bと接触した場合)、
図18に示すように、反対側に位置した部分では、バーナノズル220がバーナ本体210の本体壁部211Dから最も離間する。
ピン部材230は、このようにバーナノズル220が片寄りした状態でも、本体壁部211Dの内周面からの突出量pが板材250Dの板厚t以上となるような長さ寸法のピン部材230を使用する。言い換えると、ピン部材230は、バーナノズル220が片寄りした場合でも、板材250Dの内周面と面一あるいは内周面から突出するような長さとなるようなものを使用する。このため、バーナノズル220がバーナ本体210に対して片寄りしても板材250がピン部材230から外れないように構成されている。
【0047】
本実施形態によれば以下の効果を奏する。
本実施形態に係るバーナ21の補修方法は、バーナ本体210の本体壁部211Aに生じた損傷箇所223を含んだ所定部分224をバーナ本体210の本体壁部211Aから取り除く取除工程と、所定部分224によって本体壁部211Aに形成された欠損部分225に対応した形状の補修材240を本体壁部211Aの内周面に沿った形状の板材250Aに設ける製作工程と、補修材240が欠損部分225に位置した状態で板材250Aを本体壁部211Aの内周面に接続する接続工程と、を具備しているので、バーナ本体210の本体壁部211Aに損傷箇所223が生じた場合であっても、損傷箇所223の全体を所定部分224としてバーナ本体から取り除くとともに、所定部分224を取り除くことで形成された本体壁部211Aの欠損部分225には補修材240を充てることができる。このため、例えばパテ材のみでは補修できないほど大きな損傷箇所223がバーナ本体210に生じた場合であっても、迅速に、かつ、簡便な方法で補修することができる。
【0048】
また、補修材240が取り付けられた板材250は本体壁部211の内周面に接続されているので、本体壁部211の外形状、すなわちバーナ本体210の外形状を変更することなく補修材240を間接的にバーナ本体210の本体壁部211(欠損部分225)に取り付けることができる。このため、バーナ本体210の周囲に他の部品(例えばバーナノズル220等)を設ける際に、当該他の部品の取付けや稼働に制約が課されない。
【0049】
また、接続工程の後、バーナ本体210と板材250との境界、及び/又は、バーナ本体210と補修材240との境界に充填材260を設ける工程を具備しているので、バーナ本体210と板材250との間に生じ得る形状変化部(段差、隙間等)、及び/又は、バーナ本体210と補修材240との間に生じ得る形状変化部(段差、隙間等)を充填材260によって滑らかな形状に成形することができる。充填材260は、例えばセラミックパテ等のパテ材である。
【0050】
また、バーナ本体210は、混合ガスの流通方向の下流側に位置する開口端側の本体壁部211が4面からなる角筒状であり、板材250は本体壁部211の内周面の少なくとも3面に接するように形成されているので、板材250を本体壁部211の内周面に対して安定的に接続することができる。また、例えば、全ての本体壁部211の内周面に接するように板材250を形成した場合、板材250の全方位の変位が本体壁部211の内周面によって規制されるので、板材250に生じ得る熱変形を抑えることができる。
【0051】
また、バーナ21は、バーナ本体210から流出した混合ガスと燃焼用空気とを炉内に導く筒状のバーナノズル220を備え、バーナノズル220は、バーナ本体210の開口端側の外周面を包囲する筒状とされ、バーナノズル220は、対向する2つの本体壁部211B,211Dのそれぞれに設けられたピン部材230を支点にしてバーナ本体210に対して回動可能に連結され、板材250はピン部材230によって本体壁部211の内周面に接続されているので、可動式のバーナノズル220をバーナ本体210に連結するためのピン部材230を利用して板材250を本体壁部211に接続することができる。これによって、バーナ本体210の材質に依らず板材250を本体壁部211に接続することができる。例えば、バーナ本体210が溶接に不適な鋳鋼製の場合であっても、溶接をすることなく板材250を本体壁部211に接続することができる。
【0052】
また、一のピン部材230が挿入された本体壁部211(例えば211B)がピン部材230の挿入方向においてバーナノズル220と最接近したときに、他のピン部材230が挿入された本体壁部211(例えば211D)の内周面から突出するピン部材230の突出量pが板材250(例えば250D)の板厚t以上となるようなピン部材230の寸法を設定することで、バーナノズル220がバーナ本体210に対して片寄りしても板材250がピン部材230から外れない。このため、バーナノズル220がバーナ本体210に対して片寄りしても板材250がバーナ本体210から脱落しない。
【0053】
[第2実施形態]
以下、本開示の第2実施形態について説明する。
本実施形態は、第1実施形態に対して補修材240を用いない点で相違している。したがって、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
図19に示すように、本体壁部211Aにおいて、バーナ21の使用によって生じた損傷箇所223を本体壁部211Aの欠損部分225とすることができる。このように、損傷箇所223自体を欠損部分225とすることで、所定部分224を本体壁部211Aから切断する取除工程を省略することができる。
【0055】
なお、第1実施形態と同様、損傷箇所223が含まれるような所定部分224を本体壁部211Aから切断して欠損部分225を形成してもよい。
【0056】
次に、
図20に示すように、欠損部分225を覆うように板材250を本体壁部211にあてがう。
このとき、欠損部分225に補修材240を設けない。これは、例えば、欠損部分225の面積が本体壁部211Aの面積に比べて小さい場合や、欠損部分225が単なる減肉やクラックである場合に有用である。
【0057】
接続工程や充填材260を用いてバーナ本体210と板材250との間に生じ得る形状変化部を滑らかにする工程は、上記の第1実施形態と同様である。
【0058】
本実施形態によれば以下の効果を奏する。
本実施形態に係るバーナ21の補修方法は、バーナ本体210の本体壁部211に形成された欠損部分225を覆うようにバーナ本体210の本体壁部211の内周面に沿った板材250を本体壁部211の内周面に接続する接続工程を具備しているので、バーナ本体210の本体壁部211Aに欠損部分225が生じた場合であっても、その欠損部分225には内周面側から板材250を充てることができる。このため、迅速に、かつ、簡便な方法で欠損部分225を補修することができる。
【0059】
また、板材250は本体壁部211の内周面に接続されているので、本体壁部211の外形状、すなわちバーナ本体210の外形状を変更することがない。このため、バーナ本体210の周囲に他の部品(例えばバーナノズル220等)を設ける際に、当該他の部品の取付けや稼働に制約が課されない。
【0060】
また、接続工程の後、バーナ本体210と板材250との境界に充填材260を設ける工程を具備しているので、バーナ本体210と板材250との間に生じ得る形状変化部(段差、隙間等)を充填材260によって滑らかな形状に成形することができる。充填材260は、例えばセラミックパテ等のパテ材である。
【0061】
また、バーナ本体210は、混合ガスの流通方向の下流側に位置する開口端側の本体壁部211が4面からなる角筒状であり、板材250は本体壁部211の内周面の少なくとも3面に接するように形成されているので、板材250を本体壁部211の内周面に対して安定的に接続することができる。また、例えば、全ての本体壁部211の内周面に接するように板材250を形成した場合、板材250の全方位の変位が本体壁部211の内周面によって規制されるので、板材250に生じ得る熱変形を抑えることができる。
【0062】
また、バーナ21は、バーナ本体210から流出した混合ガスと燃焼用空気とを炉内に導く筒状のバーナノズル220を備え、バーナノズル220は、バーナ本体210の開口端側の外周面を包囲する筒状とされ、バーナノズル220は、対向する2つの本体壁部211B,211Dのそれぞれに設けられたピン部材230を支点にしてバーナ本体210に対して回動可能に連結され、板材250はピン部材230によって本体壁部211の内周面に接続されているので、可動式のバーナノズル220をバーナ本体210に連結するためのピン部材230を回動支点として板材250を本体壁部211に接続することができる。これによって、バーナ本体210の材質に依らず板材250を本体壁部211に接続することができる。例えば、バーナ本体210が溶接に不適な鋳鉄製の場合であっても、溶接をすることなく板材250を本体壁部211に接続することができる。
【0063】
また、一のピン部材230が挿入された本体壁部211(例えば211B)がピン部材230の挿入方向においてバーナノズル220と最接近したときに、他のピン部材230が挿入された本体壁部211(例えば211D)の内周面から突出するピン部材230の突出量pが板材250(例えば250D)の板厚t以上となるようなピン部材230の寸法を設定することで、バーナノズル220がバーナ本体210に対して片寄りしても板材250がピン部材230から外れない。このため、バーナノズル220がバーナ本体210に対して片寄りしても板材250がバーナ本体210から脱落しない。
【0064】
また、欠損部分225をバーナ本体210の本体壁部211に生じた損傷箇所223とした場合、例えばバーナ21の使用によって生じた摩耗、焼損等の損傷箇所223を板材250で簡便に補修することができる。
【0065】
また、欠損部分225を、損傷箇所223を含んだ所定部分224を壁部から取り除くことによって形成した場合、例えばバーナ21の使用によって生じた摩耗、焼損等の損傷箇所223を本体壁部211から完全に取り除いたうえで、欠損部分225を板材250で補修することができる。
【0066】
以上の通り説明した第1実施形態は、例えば、以下のように把握される。
すなわち、本開示の一態様に係るバーナ(21,22,23,24,25)の補修方法は、燃料を含む混合ガスが流通する筒状のバーナ本体(210)を備えているバーナ(21,22,23,24,25)の補修方法であって、前記バーナ本体(210)の壁部(211)に生じた損傷箇所(223)を含んだ所定部分(224)を前記バーナ本体(210)の前記壁部(211)から取り除く取除工程と、前記所定部分(224)によって前記壁部(211)に形成された欠損部分(225)に対応した形状の補修材(240)を前記壁部(211)の内周面に沿った形状の板材(250)に設ける製作工程と、前記補修材(240)が前記欠損部分(225)に位置した状態で前記板材(250)を前記壁部(211)の内周面に接続する接続工程と、を具備している。
【0067】
本態様に係るバーナ(21,22,23,24,25)の補修方法は、バーナ本体(210)の壁部(211)に生じた損傷箇所(223)を含んだ所定部分(224)をバーナ本体(210)の壁部(211)から取り除く取除工程と、所定部分(224)によって壁部(211)に形成された欠損部分(225)に対応した形状の補修材(240)を壁部(211)の内周面に沿った形状の板材(250)に設ける製作工程と、補修材(240)が欠損部分(225)に位置した状態で板材(250)を壁部(211)の内周面に接続する接続工程と、を具備しているので、バーナ本体(210)の壁部(211)に損傷箇所(223)が生じた場合であっても、損傷箇所(223)の全体を所定部分(224)としてバーナ本体(210)から取り除くとともに、所定部分(224)を取り除くことで形成された壁部(211)の欠損部分(225)には補修材(240)を充てることができる。このため、例えばパテ材のみでは補修できないほど大きな損傷箇所(223)がバーナ本体(210)に生じた場合であっても、迅速に、かつ、簡便な方法で補修することができる。
また、補修材(240)が設けられた板材(250)は壁部(211)の内周面に接続されているので、壁部(211)の外形状、すなわちバーナ本体(210)の外形状を変更することなく補修材(240)を間接的にバーナ本体(210)の壁部(211)に取り付けることができる。このため、バーナ本体(210)の周囲に他の部品(例えばバーナノズル(220)等)を設ける際に、当該他の部品の取付けや稼働に制約が課されない。
【0068】
また、本開示の一態様に係るバーナ(21,22,23,24,25)の補修方法は、前記接続工程の後、前記バーナ本体(210)と前記板材(250)との境界、及び/又は、前記バーナ本体(210)と前記補修材(240)との境界に充填材(260)を設ける工程を具備している。
【0069】
本態様に係るバーナ(21,22,23,24,25)の補修方法は、接続工程の後、バーナ本体(210)と板材(250)との境界、及び/又は、バーナ本体(210)と補修材(240)との境界に充填材(260)を設ける工程を具備しているので、バーナ本体(210)と板材(250)との間に生じ得る形状変化部(段差、隙間等)、及び/又は、バーナ本体(210)と補修材(240)との間に生じ得る形状変化部(段差、隙間等)を充填材(260)によって滑らかな形状に成形することができる。充填材(260)は、例えばセラミックパテ等のパテ材である。
【0070】
また、本開示の一態様に係るバーナ(21,22,23,24,25)の補修方法において、前記バーナ本体(210)は、混合ガスの流通方向の下流側に位置する開口端側の前記壁部(211)が4面からなる角筒状であり、前記板材(250)は、前記壁部(211)の内周面の少なくとも3面に接するように形成されている。
【0071】
本態様に係るバーナ(21,22,23,24,25)の補修方法において、バーナ本体(210)は、混合ガスの流通方向の下流側に位置する開口端側の壁部(211)が4面からなる角筒状であり、板材(250)は壁部(211)の内周面の少なくとも3面に接するように形成されているので、板材(250)を壁部(211)の内周面に対して安定的に接続することができる。また、例えば、全ての壁部(211)の内周面に接するように板材(250)を形成した場合、板材(250)の全方位の変位が壁部(211)の内周面によって規制されるので、板材(250)に生じ得る熱変形を抑えることができる。
【0072】
また、本開示の一態様に係るバーナ(21,22,23,24,25)の補修方法において、前記バーナは、前記バーナ本体(210)から流出した混合ガスと燃焼用空気とを炉内に導くバーナノズル(220)を備え、前記バーナノズル(220)は、前記バーナ本体(210)の前記開口端側の外周面を包囲する筒状とされ、前記バーナ本体(210)と前記バーナノズル(220)とは、対向する位置において2つのピン部材(230)を支点にして回動可能に連結され、前記板材(250)は、前記ピン部材(230)によって前記壁部(211)の内周面に接続されている。
【0073】
本態様に係るバーナ(21,22,23,24,25)の補修方法において、バーナは、バーナ本体(210)から流出した混合ガスと燃焼用空気とを炉内に導くバーナノズル(220)を備え、バーナノズル(220)は、バーナ本体(210)の開口端側の外周面を包囲する筒状とされ、バーナノズル(220)は、対向する2つの壁部(211)のそれぞれに設けられたピン部材(230)を支点にしてバーナ本体(210)に対して回動可能に連結され、板材(250)はピン部材(230)によって壁部(211)の内周面に接続されているので、可動式のバーナノズル(220)をバーナ本体(210)に連結するためのピン部材(230)を回動支点として板材(250)を壁部(211)に接続することができる。これによって、バーナ本体(210)の材質に依らず板材(250)を壁部(211)に接続することができる。例えば、バーナ本体(210)が溶接に不適な鋳鉄製の場合であっても、溶接をすることなく板材(250)を壁部(211)に接続することができる。
【0074】
また、本開示の一態様に係るバーナ(21,22,23,24,25)の補修方法において、一の前記ピン部材(230)が設けられた前記壁部(211)が前記ピン部材(230)の挿入方向において前記バーナノズル(220)と最接近したときに、他の前記ピン部材(230)が挿入された前記壁部(211)の内周面から突出する前記ピン部材(230)の突出量が前記板材(250)の板厚以上となるように前記ピン部材(230)の寸法が設定されている。
【0075】
本態様に係るバーナ(21,22,23,24,25)の補修方法において、一のピン部材(230)が挿入された壁部(211)がピン部材(230)の挿入方向においてバーナノズル(220)と最接近したときに、他のピン部材(230)が挿入された壁部(211)の内周面から突出するピン部材(230)の突出量が板材(250)の板厚以上となるようなピン部材(230)の寸法を設定することで、バーナノズル(220)がバーナ本体(210)に対して片寄りしても板材(250)がピン部材(230)から外れない。このため、バーナノズル(220)がバーナ本体(210)に対して片寄りしても板材(250)がバーナ本体(210)から脱落しない。
【0076】
また、本開示の一態様に係るバーナ(21,22,23,24,25)は、壁部(211)で囲われた筒状とされ、前記壁部(211)の所定部分(224)が取り除かれたバーナ本体(210)と、前記壁部(211)の内周面に沿うように該壁部(211)の内周面に接続された板材(250)と、前記所定部分(224)によって前記壁部(211)に形成された欠損部分(225)に対応した形状とされ、前記欠損部分(225)に位置した状態で前記板材(250)に設けられた補修材(240)と、を備えている。
【0077】
また、本開示の一態様に係るボイラ(10)は、上記のバーナ(21,22,23,24,25)を備えている。
【0078】
また、本開示の一態様に係る発電プラントは、上記のボイラ(10)と、前記ボイラ(10)によって生成された蒸気を用いて発電する発電部と、を備えている。
【符号の説明】
【0079】
10 石炭焚きボイラ(ボイラ)
11 火炉
12 燃焼装置
13 燃焼ガス通路
14 煙道
21,22,23,24,25 バーナ
26,27,28,29,30 微粉炭供給管
31,32,33,34,35 粉砕機(ミル)
36 風箱
37 空気ダクト(風道)
38 押込通風機(FDF)
41 ガスダクト
42 エアヒータ(空気予熱器)
43 脱硝装置
44 集塵装置
45 誘引通風機(IDF)
46 脱硫装置
50 煙突
101 火炉壁
102 第1過熱器(熱交換器)
103 第2過熱器(熱交換器)
104 第3過熱器(熱交換器)
105 第1再熱器(熱交換器)
106 第2再熱器(熱交換器)
107 節炭器(熱交換器)
210 バーナ本体
211(211A,211B,211C,211D) 本体壁部(壁部)
220 バーナノズル
221 ノズル外壁
222 ノズル内壁
223 損傷箇所
224 所定部分
225 欠損部分
230 ピン部材
240 補修材
250(250A,250B,250C,250D) 板材
252 接続板材
260 充填材
MP1 本体側一次流路
MP2 本体側二次流路
NP1 ノズル側一次流路
NP2 ノズル側二次流路