(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】押出法ベースの付加製造システムのためのマーキング添加剤を含むフィラメント材料
(51)【国際特許分類】
B29C 64/118 20170101AFI20240708BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20240708BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240708BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20240708BHJP
C08L 61/28 20060101ALI20240708BHJP
C08L 1/00 20060101ALI20240708BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240708BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
B29C64/118
B33Y70/00
B33Y10/00
C08K3/22
C08L61/28
C08L1/00
C08K3/013
C08L101/00
(21)【出願番号】P 2020197535
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-11-20
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ナンシン・フー
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/224071(WO,A1)
【文献】特表2018-529008(JP,A)
【文献】国際公開第2019/215041(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0188003(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
C08L 101/00
C08K 3/22
C08L 61/28
C08L 1/00
C08K 3/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメント材料であって、
押出法ベースの印刷プロセスと適合するポリマー樹脂と、
前記フィラメント材料の選択的部分が光に曝露されたときに色を変化させることを可能にするマーキング添加剤であって、前記マーキング添加剤が
、前記フィラメント材料の総重量に対して0.01~25.00重量パーセント(重量%)まで添加される、マーキング添加剤と、
ポリフェノール、メラミン樹脂、又は多糖類のうちの少なくとも1つを含む顕色剤成分と、を含む、フィラメント材料。
【請求項2】
前記ポリマー樹脂が、アクリロニトリルから生成されたポリマー若しくはコポリマーを含む、請求項1に記載のフィラメント材料。
【請求項3】
前記マーキング添加剤が、
780ナノメートル(nm)~11000nmの波長で前記光を吸収する赤外線吸収成分を含む、請求項1に記載のフィラメント材料。
【請求項4】
前記マーキング添加剤が、グラフェン酸化物を含む、請求項1に記載のフィラメント材料。
【請求項5】
シリカ、アルミナ、酸化チタン、雲母、カオリン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、タルク、又はセラミックのうちの少なくとも1つを含む担体材料を更に含む、請求項1に記載のフィラメント材料。
【請求項6】
顔料又は着色剤を更に含む、請求項1に記載のフィラメント材料。
【請求項7】
前記フィラメント材料が、熱溶解積層法プリンタ用のフィラメントに形成されている、請求項1に記載のフィラメント材料。
【請求項8】
フィラメント材料であって、
押出法ベースの印刷プロセスと適合するポリマー樹脂と、
前記フィラメント材料の選択的部分が光に曝露されたときに色を変化させることを可能にするマーキング添加剤であって、前記マーキング添加剤が
、前記フィラメント材料の総重量に対して0.01~25.00重量パーセント(重量%)まで添加される、マーキング添加剤と、
シリカ、アルミナ、酸化チタン、雲母、カオリン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、タルク、又はセラミックのうちの少なくとも1つを含む担体材料と、を含むフィラメント材料。
【請求項9】
フィラメント材料であって、
押出法ベースの印刷プロセスと適合するポリマー樹脂と、
前記フィラメント材料の選択的部分が光に曝露されたときに色を変化させることを可能にするマーキング添加剤であって、前記マーキング添加剤が
、前記フィラメント材料の総重量に対して0.01~25.00重量パーセント(重量%)まで添加される、マーキング添加剤と、
顔料又は着色剤と、を含むフィラメント材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してフィラメント材料に関し、より具体的には、押出法ベースの付加製造システムのためのマーキング添加剤を含むフィラメント材料に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元(3D)印刷は、3D物体が、コンピュータ支援設計(CAD)ファイルを使用して層ごとに制御された内部及び外部ジオメトリで印刷されることを可能にする技術である。例えば、出発材料が使用され、選択的に溶融及び結合されて、3D物体を形成し得る。現在、様々なタイプの3Dプリンタが利用可能である。異なるタイプの3Dプリンタは、異なるタイプの付加印刷を行い得る。3D印刷技術の例としては、熱溶解積層法(FDM)とも呼ばれる、熱溶解フィラメント製造(FFF)などの押出法ベースの印刷、選択的レーザ焼結法(SLS)、選択的レーザ溶融法(SLM)、電子ビーム溶解法(EBM)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、ステレオリソグラフィ(SLA)、薄膜積層法(LOM)、結合剤噴射法などを挙げることができる。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に示される態様によれば、押出法ベースのプリンタで使用するためのフィラメント材料が提供される。実施形態の開示される特徴の1つは、押出法ベースの印刷プロセスと適合するポリマー樹脂と、フィラメント材料の選択的部分が光に曝露されたときに色を変化させることを可能にするマーキング添加剤とを含み、マーキング添加剤が、約0.01~25.00重量パーセント(重量%)まで添加されている、フィラメント材料である。
【0004】
実施形態の別の開示の特徴は、熱溶解積層法(FDM)プリンタのためのマーキング添加剤を含むフィラメント材料を製造する方法である。方法は、FDMプリンタと適合するポリマー樹脂を提供することと、ポリマー樹脂にマーキング添加剤を約0.01~25.00重量パーセント(重量%)の量で混合して、マーキング添加剤を含むフィラメント材料を形成することと、フィラメント材料の選択部分を光に曝露して、フィラメント材料の表面上にマークを形成することであって、選択部分におけるポリマー樹脂に混合されたマーキング添加剤が、光を吸収して色を変化させ、マークを形成する、ことと、を含む。
【0005】
実施形態の別の開示される特徴は、マーキング添加剤を含むフィラメント材料で印刷された3次元(3D)印刷物体をマーキングする方法である。方法は、プロセッサによって、3D印刷物体を印刷する命令を受信することと、プロセッサによって、3D印刷物体を命令に従って印刷するように押出法ベースのプリンタを制御することであって、3D印刷物体が、マーキング添加剤を含むフィラメント材料で印刷され、マーキング添加剤を含むフィラメント材料が、ポリマー樹脂と、0.01~25.00重量パーセント(重量)のマーキング添加剤とを含む、ことと、プロセッサによって、3D印刷物体のためのマーキングに関連したマーキング命令を受信することと、プロセッサによって、マーキング命令に従って3D印刷物体の表面の部分を曝露させるようにレーザを制御して、3D印刷物体の表面の部分の色を変化させ、3D印刷物体の表面上にマーキングを書き込むことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の教示は、添付図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することによって容易に理解することができる。
【0007】
【
図1】本開示のマーキング添加剤を含むフィラメント材料を使用する熱溶解積層法(FDM)プリンタの例を示す。
【0008】
【
図2】マーキングされている、本開示のマーキング添加剤を含むフィラメント材料の例を示す。
【0009】
【
図3】マーキングされている、本開示のマーキング添加剤を含むフィラメント材料で印刷された物体の例を示す。
【0010】
【
図4】本開示のマーキング添加剤を含むフィラメント材料をマーキングする例示的なプロセスフロー図を示す。
【0011】
【
図5】FDMプリンタのためのマーキング添加剤を含むフィラメント材料を製造するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【0012】
【
図6】マーキング添加剤を含むフィラメント材料で印刷された3D印刷物体をマーキングするための例示的な方法のフローチャートを示す。
【0013】
理解を容易にするために、可能なかぎり、同一の参照番号が、図面に共通する同一の要素を示すのに使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、マーキング添加剤を含むフィラメント材料及びその製造方法に関する。加えて、マーキング添加剤を含むフィラメント材料は、3D物体を印刷し、3D物体の表面の選択された部分の色を変化させることによって3D物体をマーキングするために使用することができる。上述のように、現在、様々な3D印刷技術が使用されている。しかしながら、3D物体が印刷された後、物体の識別、標識情報、セキュリティ情報などを提供するために、マーキング材料が付加され得る。
【0015】
3D印刷物体をマーキングする現在利用可能な方法は、多くの欠点を有する。例えば、別個に印刷されたラベルが物体に貼付され得る。しかしながら、ラベルは容易に除去され、又は損傷し得る。別の例は、印刷プロセスの一部としてラベルを物体に物理的に印刷することであり得る。換言すれば、所望のマークは、3D印刷物体に物理的に印刷され得る(例えば、所望の文字は、3D物体の表面上の隆起部分である)。別の例は、例えば、レーザ彫刻を使用して、3D印刷物体の部分をエッチング又は溶融除去することであり得る。しかしながら、ほとんどの3D印刷物体は粗い表面性状を有するので、これらの解決策は、多くの適用領域に対して高コントラストのマーキングを達成するのに適していない場合がある。更に、これらの解決策には、追加の複雑性、材料の物理的特性に起因する印刷可能なマーキングの最小サイズに関する制限などの問題があり得る。
【0016】
本開示は、FFF又はFDMの3Dプリンタなど、押出法ベースの3Dプリンタで使用することができるマーキング添加剤を含むフィラメント材料を提供する。マーキング添加剤は、光を吸収して、フィラメント材料の光学特性を変化させることができる。例えば、特定のマーキング添加剤は、赤外光に曝露されると、フィラメント材料の光学的変化又は色変化をもたらし得る。
【0017】
したがって、マーキングは、表面上の所望の場所を光源に曝露させることによって、フィラメント又は3D印刷物体の表面に直接書き込むことができる。光源に曝露している部分は色を変化させることができ、マーキングは、フィラメント又は3D印刷物体の表面上に書き込まれ得る。マーキングは、任意の所望のサイズに書き込まれてよい。加えて、マーキング添加剤は、最大8メートル毎秒の速度で光に曝露されたときに色を変化させることができるので、マーキングは、比較的迅速に付加され得る。したがって、マーキング添加剤を含むフィラメント材料によって作成されたマーキングは、現在利用可能なマーキング方法よりも永続的かつ堅固であり得る。
【0018】
図1は、本開示のマーキング添加剤を含むフィラメント材料110(本明細書ではフィラメント材料110とも呼ばれる)を使用する熱溶解積層法(FDM)プリンタ100の例を示す。
図1は、一例として特定のタイプの押出法ベースのプリンタを示しているが、フィラメント材料110は、任意のタイプの押出法ベースのプリンタ又は印刷プロセスと共に使用され得ることに留意されたい。一実施形態では、FDMプリンタ100は、印刷ヘッド112を通って供給されるフィラメント材料110の連続ロールを有し得る。印刷ヘッド112は、フィラメント材料110を溶融させ、フィラメント材料110を押出成形する、加熱器を有し得る。
【0019】
フィラメント材料110は、層ごとに押出成形されて、3D印刷物体114を形成し得る。例えば、フィラメント材料110は、可動台116上で印刷され得る。3D印刷物体114の各層が印刷された後、台116は下げられ得、3D印刷物体114が完全に印刷されるまで、3D印刷物体114の次の層が印刷され得る。一実施形態では、印刷ヘッド112は、2次元座標系(例えば、ページに沿った左及び右方向並びにページの奥及び手前方向)で移動可能であり得る。
【0020】
一実施形態では、FDMプリンタ100は、印刷ヘッド112及びフィラメント材料110のローラー118に通信可能に連結されているプロセッサ102によって制御され得る。FDMプリンタ100はまた、プロセッサ102に通信可能に連結されているメモリ104も含み得る。メモリ104は、任意のタイプの非一時的コンピュータ可読媒体であり得る。例えば、メモリ104は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリなどであり得る。
【0021】
一実施形態では、メモリ104は、プロセッサ102によって実行される命令を含み得る。例えば、メモリ104は、印刷命令106及びマーキング命令108を含み得る。一実施形態では、プロセッサ102は、印刷命令106に従って、フィラメント材料110の供給を制御し、印刷ヘッド112の移動を介してフィラメント材料110の分配を制御して、3D物体114を印刷し得る。
【0022】
一実施形態では、プロセッサ102はまた、光源120を制御して、3D印刷物体114又はフィラメント材料110自体をマーキングしてもよい。
図1では光源120がFDMプリンタ100の一部として示されているが、光源120は、別のコントローラ又はプロセッサによって独立して制御される別個のデバイス又は構成要素であってもよいことに留意されたい。換言すれば、3D印刷物体114又はフィラメント材料110は、完成し、次いで、光源を有する装置に移送されて、マーキングするための光を受けてもよい。
【0023】
一実施形態では、プロセッサ102は、マーキング命令108に従って、3D印刷物体114又はフィラメント材料110をマーキングし得る。光源120は、約700ナノメートル(nm)~10.6マイクロメートル(μm)の範囲の赤外領域の波長で動作させられ得るレーザであってもよい。レーザの例としては、固体レーザ、ダイオード又はダイオードアレイレーザ、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)レーザ、ファイバレーザ、二酸化炭素(CO2)レーザなどが挙げられ得る。光源120は、パルスモード又は連続モードで動作させられ得る。
【0024】
上述したように、フィラメント材料110は、マーキング添加剤を含み得る。マーキング添加剤を含むフィラメント材料110が、光源120からの特定の波長の光に曝露させられると、光に曝露したフィラメント材料110又は3D印刷物体114の表面は、色を変化させ得る。したがって、マーキングは、光源120によってフィラメント材料110又は3D印刷物体114上に直接「書き込まれる」ことができる。とりわけ、マーキングは、エッチングされることも、フィラメント材料110の追加の印刷によって物理的に形成されることもない。むしろ、マーキングを作成するために、マーキング添加剤を含むフィラメント材料110の物理的特性が変化させられる。結果として、マーキングは、3D印刷物体にマーキングを付加する現在の方法を使用して製造することができるものよりも堅固かつ永続的であり得る。
【0025】
一実施形態では、フィラメント材料110は、ポリマー樹脂をマーキング添加剤と混合することによって配合又は作製され得る。ポリマー樹脂は、FDMプリンタ100と適合する任意のタイプのポリマー樹脂であり得る。例えば、ポリマー樹脂は、ポリマー樹脂がどのように分配されるかをFDMプリンタ100が制御することを可能にする溶融温度又は軟化温度及び粘度を有し得る。ポリマー樹脂は、結晶性、半結晶性、又は非結晶性ポリマー樹脂を含む、熱可塑性樹脂であり得る。使用することができるポリマー樹脂の例としては、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから生成されたポリマー若しくはコポリマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリ(アリールエーテル)、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、ポリ(エーテルイミド)、ポリアリーレンスルフィド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリフッ化ビニリデン、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。ポリマー樹脂の具体的な例は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ナイロン-6、ナイロン-12、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリ乳酸(PLA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)など、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0026】
一実施形態では、本開示のフィラメント材料110中に使用されるマーキング添加剤は、良好な耐光性及び耐候性を有するべきである。加えて、マーキング添加剤は、本明細書に記載されるフィラメント材料110の製造プロセス及び3D印刷プロセスと適合するべきである。例えば、マーキング添加剤は、フィラメント材料110の少なくとも融点又は軟化温度において良好な熱安定性を有し得る。更に、マーキング添加剤は、フィラメント材料110に使用されるポリマー樹脂と適合し、環境に優しく、容易に利用可能であり、かつ非毒性であり得る。
【0027】
一実施形態では、マーキング添加剤は、光吸収性マーキング添加剤であり得る。一実施形態では、マーキング添加剤は、赤外光吸収性マーキング添加剤であり得る。マーキング添加剤は、FDMプリンタ100の波長領域内の光放射の効率的な吸収を有し得る。マーキング添加剤は、FDMプリンタ100の波長領域内の光放射の効率的な吸収を有し得る。マーキング添加剤は、約0.01重量パーセント(重量%)~25.00重量%で、添加されるか、又はポリマー樹脂と混合され得る。一実施形態では、マーキング添加剤は、約0.10重量%~10.00重量%で添加され得る。一実施形態では、マーキング添加剤は、約0.50重量%~5.00重量%で添加され得る。重量パーセントは、フィラメント材料の総重量に対するマーキング添加剤の比率であり得る。
【0028】
一実施形態では、本明細書に記載のマーキング添加剤の量は、ポリマー樹脂がFDMプリンタ100内で良好な印刷適性を維持することを可能にし得る。加えて、マーキング添加剤の量は、ポリマー樹脂が、マーキング添加剤を含まないポリマー樹脂と比較して同じ機械的強度の3D印刷物体114を維持することを可能にし得る。
【0029】
一実施形態では、マーキング添加剤は、光源120によって放出された光に曝露したときに色を変化させるか、又は反応する、添加剤であり得る。一実施形態では、マーキング添加剤は、約700ナノメートル(nm)~11,000nmの波長を吸収する赤外線吸収成分を含み得る。一実施形態では、マーキング添加剤は、約780nm~約2500nmの波長を吸収し得る。例えば、光は、上述したように、連続的に放出された又はパルス化された半導体レーザビームによって放出され得る。一実施形態では、赤外線吸収成分の例としては、金属酸化物、非化学量論的金属酸化物、金属水酸化物、水酸化リン酸銅、ピロリン酸銅、塩基性炭酸銅、オクタモリブデン酸アンモニウム(ammonium octamolebdate)、ハロゲン化銀、フタロシアニン、ナフタロシアニン、黒鉛酸化物、グラフェン酸化物、カーボンブラック、又はこれらの混合物が挙げられ得る。
【0030】
金属酸化物又は非化学量論的金属酸化物のための金属の例としては、スズ、アンチモン、ビスマス、ホウ素、チタン、インジウム、鉄、銅、モリブデン、タングステン、バナジウム、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。金属酸化物又は非化学量論的金属酸化物の例としては、酸化チタン、無水ホウ素、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化銅、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化バナジウム、アンチモンドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化インジウムスズ、還元されたインジウムスズ酸化物、酸素欠損酸化ビスマス、金属水酸化物、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。金属水酸化物の例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化銅、及びこれらの混合物が挙げられ得る。フタロシアニンの例としては、無金属フタロシアニン、及び銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニンが挙げられる。同様に、ナフタロシアニンの例としては、無金属又は金属ナフタロシアニンが挙げられ得る。
【0031】
一実施形態では、フィラメント材料110は、近赤外レーザによって放出された約780nm~2500nmの波長での光を吸収するマーキング添加剤を含み得る。例えば、近赤外レーザは、約1064nmの波長で動作するYAGレーザであり得る。一実施形態では、フィラメント材料110は、約10.6μmで動作するCO2レーザを使用して2500nmを超える波長での光を吸収するマーキング添加剤を含み得る。
【0032】
一実施形態では、本明細書に開示されるフィラメント材料110に使用されるマーキング添加剤は、顕色剤成分を更に含み得る。顕色剤成分自体は、光源120によって放出される放射線に敏感でなくてもよい。しかしながら、上述のマーキング添加剤(例えば、金属酸化物、金属塩、及び/若しくは金属化合物、カーボンブラック、グラフェン酸化物、又はこれらの任意の組み合わせ)と組み合わせて使用されるとき、顕色剤成分は、フィラメント材料110の色変化を補助するように反応性であり得る。好適な顕色剤成分としては、ポリフェノール、メラミン樹脂、多糖類、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。
【0033】
一実施形態では、マーキング添加剤は、微粒子形態で提供され得る。マーキング添加剤は、約10nm~5000nmの平均直径を有する粒子であり得る。一実施形態では、粒子は、約10nm~1000nmの平均直径を有し得る。
【0034】
一実施形態では、マーキング添加剤はまた、不活性担体材料を含んでもよい。不活性担体材料の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、雲母、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、セラミックなどが挙げられ得る。
【0035】
一実施形態では、フィラメント材料110はまた、顔料又は着色剤を含んでもよい。顔料又は着色剤は、マーキングプロセス中に受ける放射線に対して不活性であり得る。しかしながら、顔料又は着色剤は、マーキングのコントラスト又は視認性を向上させる背景を提供し得る。使用することができる顔料又は着色剤の例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック、有機顔料などが挙げられる。
【0036】
一実施形態では、ポリマー樹脂及びマーキング添加剤が一緒に混合されて混合物を形成した後、混合物は、マーキング添加剤を含むフィラメント材料110のリボン又はコードに形成され得る。マーキング添加剤を含むフィラメント材料110の連続コードは、上述のように、押出用の印刷ヘッド112を通って供給されるようにローラー118上に貯蔵され得る。
【0037】
製造され得るフィラメント材料110の実施例を以下に示す。
実施例1:
【0038】
レーザマーキング添加剤組成物を含むフィラメント材料の調製にFilabot EX6押出機(Filbot Companyから購入)を使用する。100部のABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂ペレットを3部のグラフェン酸化物とブレンドし、Filabot EX6押出機に供給する。ベンダー推奨の押出設定の下で、樹脂ブレンドを、淡褐色を有する2.85mmのフィラメントに押出成形した。
【0039】
得られたフィラメントは、FDMプリンタを使用して3D印刷に使用することができる。印刷した部品は、露出面上に暗いマークを印刷するために、10.6μmで動作するCO2レーザを有するマーキング装置を使用してマーキングされ得る。
実施例2:
【0040】
ポリマー樹脂としてポリブチレンテレフタレート(PBT)を選択し、マーキング添加剤組成物として水酸化リン酸銅(copper hydroxyphosphase)を選択することを除いて、実施例1と同様の方法でフィラメント材料を作製する。
【0041】
得られたフィラメントは、FDMプリンタを使用して3D印刷に使用することができる。印刷した部品は、露出面上に暗いマークを印刷するために、1064nmで動作するYAGレーザを有するマーキング装置を使用してマーキングされ得る。
実施例3:
【0042】
マーキング添加剤組成物として水酸化リン酸銅とオクタモリブデン酸アンモニウムとの混合物を使用することを除いて、実施例1と同様の方法でフィラメント材料を作製する。
【0043】
得られたフィラメントは、FDMプリンタを使用して3D印刷に使用することができる。印刷した部品は、露出面上に暗いマークを印刷するために、1064nmで動作するYAGレーザ又はCO2レーザを有するマーキング装置を使用してマーキングされ得る。
【0044】
図2は、マーキングされた、マーキング添加剤を含むフィラメント材料110の例を示す。例えば、光源120は、フィラメント材料110の表面の部分をマーキング202で曝露させるために使用され得る。マーキング202は、フィラメント材料110の表面の選択された部分の色を光源120で変化させることによって作成され得る。
【0045】
一実施形態では、マーキング202は英数字テキストであり得る。一実施形態では、マーキング202は記号又は図形であり得る。例えば、マーキング202は、スキャナによって読み取ることができるバーコード又はクイックレスポンス(QR)コードであり得る。フィラメント材料110上のマーキング202は、FDMプリンタ100で使用されるときのフィラメント材料110用の処理パラメータを示し得る。例えば、マーキング202は、押出用にフィラメント材料110を溶融する適切な温度に加熱器を自動的に構成するなどのために読み取られるか、又はスキャンされ得る。
【0046】
図3は、マーキングされている3D印刷物体114の例を示す。例えば、光源120は、3D印刷物体114の表面の部分をマーキング302で曝露させるために使用され得る。マーキング302は、3D印刷物体の表面の選択された部分の色を光源120で変化させることによって作成され得る。
【0047】
一実施形態では、マーキング302は英数字テキストであり得る。一実施形態では、マーキング302は記号又は図形であり得る。例えば、マーキング302は、スキャナによって読み取ることができるバーコード又はクイックレスポンス(QR)コードであり得る。3D印刷物体114上のマーキング302は、3D印刷物体114に関連した識別情報、セキュリティ情報、製品情報などを提供し得る。
【0048】
図4は、本開示のマーキング添加剤を含むフィラメント材料110で印刷された3D印刷物体114をマーキングする例示的なプロセスフロー
図400を示す。プロセスフロー
図400はまた、フィラメント材料110自体をマーキングすることにも適用され得ることに留意されたい。
【0049】
ブロック402において、完成した3D印刷物体114が提供され得る。ブロック404において、光源410は、3D印刷物体114の表面上に光412を放出し得る。光源410及び光源120は同じものであり得る。例えば、光源410は、パルスレーザ光又は連続レーザ光を提供するレーザ光源であり得る。光412は、マーキング添加剤を含むフィラメント材料110の曝露した部分に、反応させ、色を変化させる波長で放出され得る。一実施形態では、光412は、約1060nm~1070nmの波長で放出され得る。
【0050】
ブロック406において、光源410は、マーキング302が完了するまで移動させられ得る。例えば、光源410が、マーキング命令108に従って移動させられ得るか、又は3D印刷物体114が、光源410の下でマーキング命令108に従って移動させられ得る。
【0051】
一実施形態では、マーキング添加剤を含むフィラメント材料110は、光源410で効率的にマーキングされ得る。例えば、マーキング302は、最大8メートル毎秒(8m/s)の速度で書き込まれ得る。したがって、光源410は、毎秒1,000個を超える英数字を「書き込む」ことが可能であり得る。したがって、マーキング添加剤を含むフィラメント材料110は、3D印刷物体114及び/又はフィラメント材料自体が、効率的に、又は他の現在使用されているマーキング方法(例えば、エッチング、追加の3D印刷など)よりも迅速にマーキングされることを可能にする。
【0052】
加えて、マーキング添加剤を含むフィラメント材料110は、マーキング302を書き込む際により微細な精度を可能にする。これは、マーキング302が、現在の方法を使用して可能なものよりもはるかに小さいサイズのフォントで書き込まれることを可能にし得る。例えば、エッチングした場合、書き込みが小さすぎると、材料は溶融する可能性があり、文字は読み取るのが困難であり得る。あるいは、プリンタは小さすぎるマーキングを印刷することができない場合もある(例えば、マーキングは、プリンタのボクセル印刷サイズよりも小さい場合がある)。したがって、マーキング添加剤を含むフィラメント材料110は、マーキング302が印刷されることができるサイズ及び場所についてより高い柔軟性を提供する。
【0053】
図5は、本開示の押出法ベースのプリンタ(例えば、
図1に示すFDMプリンタ100)のためのマーキング添加剤を含むフィラメント材料を製造するための例示的な方法500のフローチャートを示す。方法500は、プロセッサの制御下にあるツールによって実行され得る。
【0054】
ブロック502において、方法500は開始する。ブロック504において、方法500は、押出法ベースのプリンタと適合するポリマー樹脂を提供する。ポリマー樹脂は、押出法ベースのプリンタと適合する任意のタイプのポリマー樹脂であり得る。例えば、ポリマー樹脂は、ポリマー樹脂がどのように分配されるかを押出法ベースのプリンタが制御することを可能にする溶融温度及び粘度を有し得る。使用することができるポリマー樹脂の例としては、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから生成されたポリマー若しくはコポリマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリ(アリールエーテル)、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、ポリ(エーテルイミド)、ポリアリーレンスルフィド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリフッ化ビニリデン、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。ポリマー樹脂の具体的な例は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ナイロン-6、ナイロン-12、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリ乳酸(PLA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)など、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0055】
ブロック506において、方法500は、ポリマー樹脂にマーキング添加剤を約0.01~25.00重量パーセント(重量%)の量で混合して、マーキング添加剤を含むフィラメント材料を形成する。一実施形態では、マーキング添加剤は、光吸収性マーキング添加剤であり得る。一実施形態では、マーキング添加剤は、赤外光吸収性マーキング添加剤であり得る。
【0056】
一実施形態では、本明細書に記載のマーキング添加剤の量は、ポリマー樹脂がFDMプリンタ内で良好な印刷適性を維持することを可能にし得る。加えて、マーキング添加剤の量は、ポリマー樹脂が、マーキング添加剤を含まないポリマー樹脂と比較して同じ機械的強度の3D印刷物体を維持することを可能にし得る。
【0057】
一実施形態では、マーキング添加剤は、約780ナノメートル(nm)~11,000nmの波長で放出された光により色を変化させるか、又はそれと反応する、添加剤であり得る。例えば、光は、連続的に放出された又はパルス化された半導体レーザビームによって放出され得る。好適なマーキング添加剤の例としては、金属酸化物、非化学量論的金属酸化物、金属水酸化物、水酸化リン酸銅、ピロリン酸銅、塩基性炭酸銅、オクタモリブデン酸アンモニウム、ハロゲン化銀、フタロシアニン、ナフタロシアニン、黒鉛酸化物、グラフェン酸化物、カーボンブラック、又はこれらの混合物が挙げられ得る。
【0058】
一実施形態では、ポリマー樹脂及びマーキング添加剤が一緒に混合されて混合物を形成した後、混合物は、マーキング添加剤を含むフィラメント材料のリボン又はコードに形成され得る。マーキング添加剤を含むフィラメント材料の連続コードは、上述のように、押出用の印刷ヘッドを通って供給されるようにローラー上に貯蔵され得る。
【0059】
ブロック508において、方法500は、フィラメント材料の選択部分を光に曝露して、フィラメント材料の表面上にマークを形成し、選択部分におけるポリマー樹脂に混合されたマーキング添加剤が、光を吸収して色を変化させ、マークを形成する。例えば、パルスレーザ光又は連続レーザ光を提供するレーザ光源が、フィラメント材料の選択部分に適用され得る。光は、約780nm~11,000nmの波長で放出され得る。光源を移動させるか、フィラメント材料を移動させるか、又は光源とフィラメント材料との両方を移動させて、フィラメント材料の表面上にマークを「書き込み」得る。マークは、光に対するフィラメント材料中のマーキング添加剤の反応によって形成され得る。この反応により、マーキング添加剤は、フィラメント材料内の色を変化させ得る。ブロック510において、方法500は終了する。
【0060】
図6は、マーキング添加剤を含むフィラメント材料で印刷された3D印刷物体をマーキングするための例示的な方法600のフローチャートを示す。方法600は、上述のFDMプリンタ100又はプロセッサ102によって実行され得る。
【0061】
ブロック602において、方法600は開始する。ブロック604において、方法600は、3D印刷物体を印刷する命令を受信する。例えば、3D印刷物体の設計は、コンピューティングデバイス(例えば、コンピューティングデバイス上で実行されるコンピュータ支援製図(CAD)プログラム)上で作成され得る。設計は、各層上でX-Y座標系に沿ってどの程度のフィラメント材料が分配されるかに関するパラメータを含み得る。設計は、FDMプリンタに提供され、FDMプリンタ内のメモリに記憶される、印刷命令として記憶され得る。
【0062】
ブロック606において、方法600は、3D印刷物体を命令に従って印刷するように押出法ベースのプリンタを制御し、3D印刷物体が、マーキング添加剤を含むフィラメント材料で印刷され、マーキング添加剤を含むフィラメント材料は、ポリマー樹脂と、0.01~25.00重量パーセント(重量)のマーキング添加剤とを含む。フィラメント材料は、マーキング添加剤と混合されたポリマー樹脂を含み得る。ポリマー樹脂は、押出法ベースのプリンタと適合する任意のタイプのポリマー樹脂であり得る。例えば、ポリマー樹脂は、ポリマー樹脂がどのように分配されるかを押出法ベースのプリンタが制御することを可能にする溶融温度及び粘度を有し得る。使用することができるポリマー樹脂の例としては、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから生成されたポリマー若しくはコポリマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリ(アリールエーテル)、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、ポリ(エーテルイミド)、ポリアリーレンスルフィド、ポリ(ビニルアルコール)、ポリフッ化ビニリデン、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。ポリマー樹脂の具体的な例は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ナイロン-6、ナイロン-12、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリ乳酸(PLA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)など、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0063】
一実施形態では、マーキング添加剤は、光吸収性マーキング添加剤であり得る。一実施形態では、マーキング添加剤は、赤外光吸収性マーキング添加剤であり得る。
【0064】
一実施形態では、本明細書に記載のマーキング添加剤の量は、ポリマー樹脂が押出法ベースのプリンタ内で良好な印刷適性を維持することを可能にし得る。加えて、マーキング添加剤の量は、ポリマー樹脂が、マーキング添加剤を含まないポリマー樹脂と比較して同じ機械的強度の3D印刷物体を維持することを可能にし得る。
【0065】
一実施形態では、マーキング添加剤は、約780ナノメートル(nm)~11,000nmの波長で放出された光により色を変化させるか、又はそれと反応する、添加剤であり得る。例えば、光は、連続的に放出された又はパルス化された半導体レーザビームによって放出され得る。好適なマーキング添加剤の例としては、金属酸化物、非化学量論的金属酸化物、金属水酸化物、水酸化リン酸銅、ピロリン酸銅、塩基性炭酸銅、オクタモリブデン酸アンモニウム、ハロゲン化銀、フタロシアニン、ナフタロシアニン、黒鉛酸化物、グラフェン酸化物、カーボンブラック、又はこれらの混合物が挙げられ得る。
【0066】
フィラメント材料は、押出法ベースのプリンタによって溶融され、印刷ヘッドを通って押出成形され得る。フィラメント材料は、印刷命令に従って層ごとに分配されて、3D印刷物体を印刷し得る。
【0067】
ブロック608において、方法600は、3D印刷物体のためのマーキングに関連したマーキング命令を受信する。一実施形態では、マーキング命令は、押出法ベースのプリンタのユーザインターフェースを介して提供され得る。一実施形態では、マーキング命令は、別個のコンピューティングデバイス上で作成され、押出法ベースのプリンタに送信されて、メモリに記憶され得る。
【0068】
3D印刷物体のためのマーキングは、英数字テキスト、図形、画像、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。マーキングは、押出法ベースのプリンタのためのプロセスパラメータ(例えば、フィラメント材料自体の上にあるとき)、識別情報、セキュリティ情報、製品情報などを含み得る。マーキングは、リーダによってスキャンすることができるバーコード又はQRコードであり得る。マーキングは会社のロゴなどであり得る。
【0069】
ブロック610において、方法600は、マーキング命令に従って3D印刷物体の表面の部分を曝露させるようにレーザを制御して、3D印刷物体の表面の部分の色を変化させ、3D印刷物体の表面上にマーキングを書き込む。一実施形態では、押出法ベースのプリンタは、マーキング命令に従ってマーキングを作成するためのレーザを含み得る。一実施形態では、押出法ベースのプリンタを制御するプロセッサは、レーザに通信可能に連結され得る。一実施形態では、3D印刷物体は、押出法ベースのプリンタから、レーザを含むマーキング装置に移動させられ得る。
【0070】
一実施形態では、レーザは、フィラメント材料の選択部分に適用され得るパルスレーザ光又は連続レーザ光を提供し得る。光は、約780nm~11,000nmの波長で放出され得る。レーザを移動させるか、3D印刷物体を移動させるか、又はレーザと3D印刷物体との両方を移動させて、3D印刷物体の表面上にマーキングを「書き込み」得る。マーキングは、レーザによって放出された光に対するフィラメント材料中のマーキング添加剤の反応によって形成され得る。この反応により、マーキング添加剤は、フィラメント材料内の色を変化させ得る。ブロック612において、方法600は終了する。
【0071】
上記で開示されたものの変形、並びに他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることは理解されるであろう。様々な現在予期されていない、又は先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、その後に当業者によってなされてもよく、それらも以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕フィラメント材料であって、
押出法ベースの印刷プロセスと適合するポリマー樹脂と、
前記フィラメント材料の選択的部分が光に曝露されたときに色を変化させることを可能にするマーキング添加剤であって、前記マーキング添加剤が約0.01~25.00重量パーセント(重量%)まで添加される、マーキング添加剤と、を含む、フィラメント材料。
〔2〕
前記ポリマー樹脂が、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから生成されたポリマー若しくはコポリマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリ(アリールエーテル)、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、ポリ(エーテルイミド)、ポリアリーレンスルフィド、ポリ(ビニルアルコール)、又はポリフッ化ビニリデンのうちの少なくとも1つを含む、前記〔1〕に記載のフィラメント材料。
〔3〕前記マーキング添加剤が、約780ナノメートル(nm)~11000nmの波長で前記光を吸収する赤外線吸収成分を含む、前記〔1〕に記載のフィラメント材料。
〔4〕前記マーキング添加剤が、金属酸化物、非化学量論的金属酸化物、金属水酸化物、水酸化リン酸銅、ピロリン酸銅、塩基性炭酸銅、オクタモリブデン酸アンモニウム、ハロゲン化銀、フタロシアニン、ナフタロシアニン、黒鉛酸化物、グラフェン酸化物、又はカーボンブラックのうちの少なくとも1つを含む、前記〔1〕に記載のフィラメント材料。
〔5〕前記金属酸化物又は前記非化学量論的金属酸化物が、スズ、アンチモン、ビスマス、ホウ素、チタン、インジウム、鉄、銅、モリブデン、タングステン、又はバナジウムのうちの少なくとも1つを含む、前記〔4〕に記載のフィラメント材料。
〔6〕前記金属水酸化物が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、又は水酸化銅のうちの少なくとも1つを含む、前記〔4〕に記載のフィラメント材料。
〔7〕ポリフェノール、メラミン樹脂、又は多糖類のうちの少なくとも1つを含む顕色剤成分を更に含む、前記〔1〕に記載のフィラメント材料。
〔8〕シリカ、アルミナ、酸化チタン、雲母、カオリン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、タルク、又はセラミックのうちの少なくとも1つを含む担体材料を更に含む、前記〔1〕に記載のフィラメント材料。
〔9〕顔料又は着色剤を更に含む、前記〔1〕に記載のフィラメント材料。
〔10〕前記フィラメント材料が、熱溶解積層法プリンタ用のフィラメントに形成されている、前記〔1〕に記載のフィラメント材料。
〔11〕押出法ベースのプリンタ用のマーキング添加剤を含むフィラメント材料を製造するための方法であって、
前記押出法ベースのプリンタと適合するポリマー樹脂を提供することと、
前記ポリマー樹脂に前記マーキング添加剤を約0.01~25.00重量パーセント(重量%)の量で混合して、前記マーキング添加剤を含む前記フィラメント材料を形成す
ることと、
前記フィラメント材料の選択部分を光に曝露して、前記フィラメント材料の表面上にマークを形成することであって、前記選択部分における前記ポリマー樹脂に混合された前記マーキング添加剤が、前記光を吸収して色を変化させ、前記マークを形成する、ことと、を含む、方法。
〔12〕前記ポリマー樹脂が、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから生成されたポリマー若しくはコポリマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリ(アリールエーテル)、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、ポリ(エーテルイミド)、ポリアリーレンスルフィド、又はポリ(ビニルアルコール)、ポリフッ化ビニリデンのうちの少なくとも1つを含む、前記〔11〕に記載の方法。
〔13〕前記マーキング添加剤が、金属酸化物、非化学量論的金属酸化物、金属水酸化物、水酸化リン酸銅、ピロリン酸銅、塩基性炭酸銅、オクタモリブデン酸アンモニウム、ハロゲン化銀、フタロシアニン、ナフタロシアニン、黒鉛酸化物、グラフェン酸化物、又はカーボンブラックのうちの少なくとも1つを含む、前記〔11〕に記載の方法。
〔14〕前記光が、パルスレーザ光源又は連続レーザ光源からの光を含む、前記〔11〕に記載の方法。
〔15〕前記光が、約780ナノメートル(nm)~11,000nmの波長を含む、前記〔11〕に記載の方法。
〔16〕前記マークが、前記FDMプリンタ内での前記マーキング添加剤を含む前記フィラメント材料の処理パラメータに関する情報を含んでいて、前記FDMプリンタ内で前記処理パラメータを自動的に設定する、前記〔11〕に記載の方法。
〔17〕マーキング添加剤を含むフィラメント材料で印刷された3次元(3D)印刷物体をマーキングするための方法であって、
プロセッサによって、前記3D印刷物体を印刷する命令を受信することと、
前記プロセッサによって、前記3D印刷物体を前記命令に従って印刷するように押出法ベースのプリンタを制御することであって、前記3D印刷物体が、前記マーキング添加剤を含む前記フィラメント材料で印刷され、前記マーキング添加剤を含む前記フィラメント材料が、ポリマー樹脂と、0.01~25.00重量パーセント(重量%)の前記マーキング添加剤とを含む、ことと、
前記プロセッサによって、前記3D印刷物体のためのマーキングに関連したマーキング命令を受信することと、
前記プロセッサによって、前記マーキング命令に従って3D印刷物体の表面の部分を曝露させるようにレーザを制御して、3D印刷物体の前記表面の前記部分の色を変化させ、前記3D印刷物体の前記表面上に前記マーキングを書き込むことと、を含む、方法。
〔18〕前記レーザが、約780ナノメートル(nm)~11,000nmの光を放出するファイバレーザ、ダイオードレーザ、ダイオードアレイレーザ、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)レーザ、又は二酸化炭素レーザのうちの少なくとも1つを含む、前記〔17〕に記載の方法。
〔19〕前記ポリマー樹脂が、アクリル樹脂、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、アクリレート、メタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから生成されたポリマー若しくはコポリマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ乳酸、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリ(アリールエーテル)、ポリ(アリールエーテルケトン)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、ポリ(エーテルイミド)、ポリアリーレンスルフィド、又はポリ(ビニルアルコール)、ポリフッ化ビニリデンのうちの少なくとも1つを含む、前記〔17〕に記載の方法。
〔20〕前記マーキング添加剤が、金属酸化物、非化学量論的金属酸化物、金属水酸化物、水酸化リン酸銅、ピロリン酸銅、塩基性炭酸銅、オクタモリブデン酸アンモニウム、ハロゲン化銀、フタロシアニン、ナフタロシアニン、黒鉛酸化物、グラフェン酸化物、又はカーボンブラックのうちの少なくとも1つを含む、前記〔17〕に記載の方法。