(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】ボード用ドライバ
(51)【国際特許分類】
B25B 21/00 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
B25B21/00 530Z
(21)【出願番号】P 2020200489
(22)【出願日】2020-12-02
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】冨永 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】杉本 学
(72)【発明者】
【氏名】榊原 勇治
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-193476(JP,A)
【文献】特開2020-131357(JP,A)
【文献】特開2014-176920(JP,A)
【文献】特開昭49-060085(JP,A)
【文献】特開平11-019879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、前記ステータに対して回転可能で、少なくとも上下方向にロータ軸が延びるロータとを有するモータと、
前記ロータを回転させるためのスイッチと、
前記ロータ軸により回転するピニオンと、
前記ピニオンにより回転が伝達されるクラッチと
前記クラッチの前方側に配置されて前後移動可能なビット保持部と、
前記ピニオン及び前記クラッチを収容し、少なくとも一部が金属製のギヤハウジングと、
前記ギヤハウジングに繋がり、前記モータを収容する樹脂製のモータハウジングと、
前記モータハウジングに繋がり、前記スイッチを収容する樹脂製のグリップ部と、を含み、
前記ギヤハウジングは、前記ピニオンを支持する軸受を保持し、少なくとも前記軸受の保持部分が金属製である一方、
前記ビット保持部が後側にあると、前記クラッチがON状態となって前記ロータの回転が前記ビット保持部に伝達され、
前記ビット保持部が前側にあると、前記クラッチがOFF状態となって前記ロータの回転が前記ビット保持部に伝達されない、ボード用ドライバ。
【請求項2】
前記ギヤハウジングは、前後方向に2分割されている請求項
1に記載のボード用ドライバ。
【請求項3】
2分割された前記ギヤハウジングの前側部分と後側部分との間には、シール部材が介在されている請求項
2に記載のボード用ドライバ。
【請求項4】
2分割された前記ギヤハウジングの前側部分は金属製で、後側部分は樹脂製である請求項
2又は3に記載のボード用ドライバ。
【請求項5】
2分割された前記ギヤハウジングの前側部分と後側部分とはネジ止めされる請求項
2乃至4の何れかに記載のボード用ドライバ。
【請求項6】
前記モータハウジングは、左右に2分割される一対の半割ハウジングからなり、前記ギヤハウジングの少なくとも一部は、前記半割ハウジングに挟持されている請求項1乃至
5の何れかに記載のボード用ドライバ。
【請求項7】
前記モータは、前記ロータ軸が前方上向きに延びる傾斜姿勢で前記モータハウジング内に収容されている請求項1乃至
6の何れかに記載のボード用ドライバ。
【請求項8】
前記ギヤハウジングは、前記モータハウジングの上側に配置されて、前記ロータ軸の上端に設けた前記ピニオンが前記ギヤハウジング内に突出している請求項
7に記載のボード用ドライバ。
【請求項9】
前記ピニオンにより、前後方向に延びる中間軸へ回転が伝達され、
前記中間軸により、前記クラッチへ回転が伝達され、
前記中間軸は、前記ギヤハウジングにより保持される請求項1乃至
8の何れかに記載のボード用ドライバ。
【請求項10】
ステータと、前記ステータに対して回転可能で、少なくとも上下方向にロータ軸が延びるロータとを有するモータと、
前記ロータを回転させるためのスイッチと、
前記ロータ軸により回転するピニオンと、
前記ピニオンにより回転が伝達されるクラッチと
前記クラッチの前方側に配置されて前後移動可能なビット保持部と、
前記ピニオン及び前記クラッチを収容し、少なくとも一部が金属製のギヤハウジングと、
前記ギヤハウジングに繋がり、前記モータを収容する樹脂製のモータハウジングと、
前記モータハウジングに繋がり、前記スイッチを収容する樹脂製のグリップ部と、を含み、
前記ロータ軸は、上下方向に延び、
前記ロータ軸により、上下方向に延びる中間軸へ回転が伝達され、
前記ロータ軸及び前記中間軸は、前記ギヤハウジングにより保持される
一方、
前記ビット保持部が後側にあると、前記クラッチがON状態となって前記ロータの回転が前記ビット保持部に伝達され、
前記ビット保持部が前側にあると、前記クラッチがOFF状態となって前記ロータの回転が前記ビット保持部に伝達されない、ボード用ドライバ。
【請求項11】
ステータと、前記ステータに対して回転可能で、少なくとも上下方向にロータ軸が延びるロータとを有するモータと、
前記ロータを回転させるためのスイッチと、
前記ロータ軸により回転するピニオンと、
前記ピニオンにより回転が伝達されるクラッチと
前記クラッチの前方側に配置されて前後移動可能なビット保持部と、
前記ピニオン及び前記クラッチを収容し、前後方向に2分割されたギヤハウジングと、
前記ギヤハウジングに繋がり、前記モータを収容するモータハウジングと、
前記モータハウジングに繋がり、前記スイッチを収容する樹脂製のグリップ部と、を含み、
2分割された前記ギヤハウジングの前側部分は金属製で、後側部分は樹脂製であり、前記前側部分は、前記ピニオンを支持する軸受を保持する一方、
前記ビット保持部が後側にあると、前記クラッチがON状態となって前記ロータの回転が前記ビット保持部に伝達され、
前記ビット保持部が前側にあると、前記クラッチがOFF状態となって前記ロータの回転が前記ビット保持部に伝達されない、ボード用ドライバ。
【請求項12】
2分割された前記ギヤハウジングの前側部分と後側部分との間には、シール部材が介在されている請求項
11に記載のボード用ドライバ。
【請求項13】
2分割された前記ギヤハウジングの前側部分と後側部分とはネジ止めされる請求項
11又は12に記載のボード用ドライバ。
【請求項14】
前記モータハウジングは、左右に2分割される一対の半割ハウジングからなり、前記ギヤハウジングの少なくとも一部は、前記半割ハウジングに挟持されている請求項
11乃至13の何れかに記載のボード用ドライバ。
【請求項15】
前記モータは、前記ロータ軸が前方上向きに延びる傾斜姿勢で前記モータハウジング内に収容されている請求項
11乃至14の何れかに記載のボード用ドライバ。
【請求項16】
前記ギヤハウジングは、前記モータハウジングの上側に配置されて、前記ロータ軸の上端に設けた前記ピニオンが前記ギヤハウジング内に突出している請求項
15に記載のボード用ドライバ。
【請求項17】
前記ピニオンにより、前後方向に延びる中間軸へ回転が伝達され、
前記中間軸により、前記クラッチへ回転が伝達され、
前記中間軸は、2分割された前記ギヤハウジングの前側部分と後側部分とにより保持される請求項
11乃至16の何れかに記載のボード用ドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石膏ボードへのネジ締め作業に用いられるボード用ドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
ボード用ドライバは、特許文献1に開示されるように、モータと、モータの前方に配置されるクラッチと、クラッチの前方で前後移動可能に配置されるビット保持部(スピンドル)とを有する。ビット保持部は、クラッチが作動(ON)しない前進位置に付勢されている。ビット保持部が後退すると、クラッチを介してスピンドルにモータの回転が伝達され、ビットによる石膏ボードへのネジ締め作業が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明では、モータを、回転軸に設けたピニオンが前向きとなる姿勢で配置しているので、前後方向での全長が長くなり、コンパクト化を阻害している。そこで、コンパクト化を阻害せず、さらに改善されたボード用ドライバが求められていた。
【0005】
本発明は、前後方向にコンパクトとなり、ギヤが所定の精度で配置されるボード用ドライバを提供することを目的としたものである。
また、本発明は、前後方向にコンパクトとなり、ギヤハウジングのシール性を向上させたボード用ドライバを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち、第1の発明は、ボード用ドライバであって、
ステータと、前記ステータに対して回転可能で、少なくとも上下方向にロータ軸が延びるロータとを有するモータと、
前記ロータを回転させるためのスイッチと、
前記ロータ軸により回転するピニオンと、
前記ピニオンにより回転が伝達されるクラッチと
前記クラッチの前方側に配置されて前後移動可能なビット保持部と、
前記ピニオン及び前記クラッチを収容し、少なくとも一部が金属製のギヤハウジングと、
前記ギヤハウジングに繋がり、前記モータを収容する樹脂製のモータハウジングと、
前記モータハウジングに繋がり、前記スイッチを収容する樹脂製のグリップ部と、を含み、
前記ギヤハウジングは、前記ピニオンを支持する軸受を保持し、少なくとも前記軸受の保持部分が金属製である一方、
前記ビット保持部が後側にあると、前記クラッチがON状態となって前記ロータの回転が前記ビット保持部に伝達され、
前記ビット保持部が前側にあると、前記クラッチがOFF状態となって前記ロータの回転が前記ビット保持部に伝達されないことを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記ギヤハウジングは、前後方向に2分割されていることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、2分割された前記ギヤハウジングの前側部分と後側部分との間には、シール部材が介在されていることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、2分割された前記ギヤハウジングの前側部分は金属製で、後側部分は樹脂製であることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、2分割された前記ギヤハウジングの前側部分と後側部分とはネジ止めされることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記モータハウジングは、左右に2分割される一対の半割ハウジングからなり、前記ギヤハウジングの少なくとも一部は、前記半割ハウジングに挟持されていることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記モータは、前記ロータ軸が前方上向きに延びる傾斜姿勢で前記モータハウジング内に収容されていることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記ギヤハウジングは、前記モータハウジングの上側に配置されて、前記ロータ軸の上端に設けた前記ピニオンが前記ギヤハウジング内に突出していることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記ピニオンにより、前後方向に延びる中間軸へ回転が伝達され、前記中間軸により、前記クラッチへ回転が伝達され、前記中間軸は、前記ギヤハウジングにより保持されることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明のうち、第2の発明は、ボード用ドライバであって、
ステータと、前記ステータに対して回転可能で、少なくとも上下方向にロータ軸が延びるロータとを有するモータと、
前記ロータを回転させるためのスイッチと、
前記ロータ軸により回転するピニオンと、
前記ピニオンにより回転が伝達されるクラッチと
前記クラッチの前方側に配置されて前後移動可能なビット保持部と、
前記ピニオン及び前記クラッチを収容し、少なくとも一部が金属製のギヤハウジングと、
前記ギヤハウジングに繋がり、前記モータを収容する樹脂製のモータハウジングと、
前記モータハウジングに繋がり、前記スイッチを収容する樹脂製のグリップ部と、を含み、
前記ロータ軸は、上下方向に延び、
前記ロータ軸により、上下方向に延びる中間軸へ回転が伝達され、
前記ロータ軸及び前記中間軸は、前記ギヤハウジングにより保持される一方、
前記ビット保持部が後側にあると、前記クラッチがON状態となって前記ロータの回転が前記ビット保持部に伝達され、
前記ビット保持部が前側にあると、前記クラッチがOFF状態となって前記ロータの回転が前記ビット保持部に伝達されないことを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明のうち、第3の発明は、ボード用ドライバであって、
ステータと、前記ステータに対して回転可能で、少なくとも上下方向にロータ軸が延びるロータとを有するモータと、
前記ロータを回転させるためのスイッチと、
前記ロータ軸により回転するピニオンと、
前記ピニオンにより回転が伝達されるクラッチと
前記クラッチの前方側に配置されて前後移動可能なビット保持部と、
前記ピニオン及び前記クラッチを収容し、前後方向に2分割されたギヤハウジングと、
前記ギヤハウジングに繋がり、前記モータを収容するモータハウジングと、
前記モータハウジングに繋がり、前記スイッチを収容する樹脂製のグリップ部と、を含み、
2分割された前記ギヤハウジングの前側部分は金属製で、後側部分は樹脂製であり、前記前側部分は、前記ピニオンを支持する軸受を保持する一方、
前記ビット保持部が後側にあると、前記クラッチがON状態となって前記ロータの回転が前記ビット保持部に伝達され、
前記ビット保持部が前側にあると、前記クラッチがOFF状態となって前記ロータの回転が前記ビット保持部に伝達されないことを特徴とする。
第3の発明の別の態様は、上記構成において、2分割された前記ギヤハウジングの前側部分と後側部分との間には、シール部材が介在されていることを特徴とする。
第2の発明の別の態様は、上記構成において、2分割された前記ギヤハウジングの前側部分と後側部分とはネジ止めされることを特徴とする。
第3の発明の別の態様は、上記構成において、前記モータハウジングは、左右に2分割される一対の半割ハウジングからなり、前記ギヤハウジングの少なくとも一部は、前記半割ハウジングに挟持されていることを特徴とする。
第3の発明の別の態様は、上記構成において、前記モータは、前記ロータ軸が前方上向きに延びる傾斜姿勢で前記モータハウジング内に収容されていることを特徴とする。
第3の発明の別の態様は、上記構成において、前記ギヤハウジングは、前記モータハウジングの上側に配置されて、前記ロータ軸の上端に設けた前記ピニオンが前記ギヤハウジング内に突出していることを特徴とする。
第3の発明の別の態様は、上記構成において、前記ピニオンにより、前後方向に延びる中間軸へ回転が伝達され、前記中間軸により、前記クラッチへ回転が伝達され、前記中間軸は、2分割された前記ギヤハウジングの前側部分と後側部分とにより保持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1及び第2の発明によれば、前後方向での全長が短くなり、コンパクトとなる。また、ギヤを所定の精度で配置することが可能となる。
第3の発明によれば、前後方向での全長が短くなり、コンパクトとなる。また、ギヤハウジングが前後に分割されるため、シール性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】オートパックスクリュードライバの斜視図である。
【
図2】オートパックスクリュードライバの側面図である。
【
図3】オートパックスクリュードライバの平面図である。
【
図5】ギヤハウジング及びクラッチの分解斜視図である。
【
図6】左側の半割ハウジング及びモータを省略した本体ハウジングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、ボード用ドライバの一例であるオートパックスクリュードライバの斜視図、
図2はその側面図、
図3はその平面図をそれぞれ示している。
オートパックスクリュードライバ(以下単に「スクリュードライバ」という。)1は、本体ハウジング2を備える。本体ハウジング2の前側には、筒状のギヤハウジング3が組み付けられる。ギヤハウジング3の前側には、前方へ延びる筒状のケーシング4が取り付けられる。ギヤハウジング3とケーシング4との内部にクラッチ5が設けられる。ケーシング4の前側には、フィーダボックス6が設けられている。フィーダボックス6の前端には、ストッパベース7が設けられている。ケーシング4の下方で本体ハウジング2の前側には、連結ネジを収容するマガジン8が設けられている。
【0010】
本体ハウジング2は、樹脂製で、モータハウジング9とグリップハウジング10とを一体に備えている。モータハウジング9は、ギヤハウジング3に繋がる上端から下方へ向かうに従って後方へ移動する傾斜直線状となっている。グリップハウジング10は、モータハウジング9の後側で上下端が繋がるループ状となっている。グリップハウジング10は、上下方向に延びるグリップ部11を有している。
本体ハウジング2は、左右一対の半割ハウジング2a,2bを左側からねじ込まれる複数のネジ12,12・・によって組み付けることで形成される。ギヤハウジング3は、本体ハウジング2の前部上側に前方から4本のネジ13,13・・によって組み付けられる。
【0011】
図4に示すように、モータハウジング9内には、モータ15が収容される。モータ15は、筒状のステータ16と、ステータ16の内側に配置されるロータ17とを有するインナロータ型のブラシレスモータである。モータ15は、ロータ17に設けた回転軸18がモータハウジング9の傾斜方向に沿って上向きに延びる姿勢でモータハウジング9内に支持される。
但し、モータ15は、モータハウジング9の前側の内面寄りに配置される。モータハウジング9の内面には、
図6にも示すように、当該前寄り位置でステータ16を支持する支持リブ19,19が立設されている。ステータ16の後上側でモータハウジング9の内面には、支持リブ19,19と繋がり、回転軸18と平行に延びる横壁20が立設されている。
ステータ16は、ステータコア21と、上下のインシュレータ22A,22Bと、複数のコイル23,23・・とを有する。下側のインシュレータ22Bには、センサ回路基板24が下方からネジ止めされている。センサ回路基板24は、その上面に図示しない回転検出素子を備える。回転検出素子は、ロータ17に設けた永久磁石27の磁界を検出する。各コイル23のワイヤは三相結線を形成する。三相結線の電源線は、インシュレータ22Bの後側からコネクタ25を介して後述するコントローラ53側へ引き出される。回転検出素子の信号線もセンサ回路基板24の後側からコントローラ53側へ引き出される。
【0012】
ロータ17は、回転軸18と、その周囲のロータコア26とを備える。ロータコア26の内部に複数の永久磁石27,27・・が固定されている。
回転軸18の下端は、モータハウジング9の内面に立設した下壁28に、軸受29を介して回転可能に支持される。下壁28は、横壁20の下端と間隔をおいて配置されて、両壁28,20間からコネクタ25がモータハウジング9内に突出している。
回転軸18の上部は、モータハウジング9の内面に立設した上壁30より上方に突出している。回転軸18の上部は、ギヤハウジング3に保持される軸受31を介して回転可能に支持される。回転軸18の上端は、ピニオン32を備えてギヤハウジング3内に突出している。
ステータ16と軸受31との間で回転軸18には、ファン33が設けられる。ファン33は、遠心ファンで、上側の支持リブ19と、横壁20と、上壁30とに囲まれるファン収容室34内に収容される。
ファン33の外側でモータハウジング9の左右両側面には、複数の下排気口35,35・・が形成されている。下排気口35,35・・は、回転軸18と直交する前下がり傾斜方向に並べて形成されている。ファン33の下方でモータハウジング9の左右両側面には、複数の吸気口36,36・・が、回転軸18の軸方向に並べて形成されている。吸気口36の開口面積の合計は、下排気口35の開口面積の合計よりも小さくなっている。
【0013】
また、上壁30より上方でモータハウジング9の左右両側面には、2つの中排気口37、37が形成されている。上壁30には、軸受29の左右で上壁30の上方をファン収容室34と連通させるスリット38(
図6)が形成されている。
さらに、ギヤハウジング3の後方で本体ハウジング2の左右両側面には、上排気口39が形成されている。横壁20と上壁30との間には、ギヤハウジング3の後方をファン収容室34と連通させる間隙40が形成されている。
よって、
図6に示すように、本体ハウジング2には、ファン33が回転すると、吸気口36から吸い込まれた外気がモータハウジング9内を上昇してファン収容室34に至り、下排気口35から排出される第1冷却路41が形成される。また、本体ハウジング2には、下排気口35から排出されなかった空気の一部がスリット38を通って上昇し、中排気口37から排出される第2冷却路42が形成される。そして、本体ハウジング2には、下排気口35から排出されなかった空気の他の一部が間隙40を通って上昇し、上排気口39から排出される第3冷却路43が形成される。
【0014】
グリップ部11内の上部には、トリガ46を前方へ突出させたスイッチ45が設けられている。スイッチ45の上側には、正逆切替レバー47が設けられている。スイッチ45と正逆切替レバー47との間には、正逆切替レバー47の操作に伴って切替動作する図示しない正逆レバースイッチが設けられている。正逆切替レバー47の下方には、トリガ46の押し込みを維持するためのロックボタン48が設けられている。
グリップハウジング10の下部には、バッテリ装着部50が形成されている。バッテリ装着部50には、バッテリパック51が後方からスライド装着される。バッテリ装着部50内には、バッテリパック51と電気的に接続される端子台52が設けられる。端子台52の上側には、コントローラ53が収容される。コントローラ53は、制御回路基板54を備えている。制御回路基板54は、マイコンやスイッチング素子の他、
図7及び
図8に示すように、モード切替用のボタンスイッチ55と、モード切替表示用のLED56とを備えている。ボタンスイッチ55とLED56とは、制御回路基板54の左側縁に沿って配置されている。
【0015】
制御回路基板54の左側上方で半割ハウジング2aには、スイッチプレート60が設けられている。スイッチプレート60は、バッテリ装着部50の左側上面に形成された平面視矩形状の穴61に嵌合した状態で固定される平面視矩形状を有している。スイッチプレート60には、上方からの押し操作によって下降動作する動作棒62が一体形成されている。動作棒62は、
図7に示すように、ボタンスイッチ55の真上に位置している。
動作棒62の前方でスイッチプレート60には、角筒部63が下向きに一体形成されている。角筒部63は、LED56の真上に位置している。角筒部63の貫通穴は、スイッチプレート60の上面に開口63aを形成している。
スイッチプレート60の上面には、表示シート64が貼着されている。表示シート64には、動作棒62の上面を覆うボタン表示部65と、角筒部63の開口63aを覆う透明な発光部66とが表示されている。
【0016】
図4に示すように、クラッチ5は、ギヤハウジング3内で、中間軸70と、第1スピンドル71と、クラッチカム72と、コイルバネ73と、第2スピンドル74とを備えている。
まず、ギヤハウジング3は、
図5に示すように、前ギヤハウジング301と、後ギヤハウジング302とからなる。前ギヤハウジング301は、アルミ合金等の金属製で、後面が開口する正面視四角形状となっている。前ギヤハウジング301の前側上部には、上貫通孔303が前後方向に形成されている。前ギヤハウジング301の前側下部には、前軸受保持部304が凹設されている。前ギヤハウジング301の下部には、下貫通孔305が、後下側への傾斜方向に形成されている。前ギヤハウジング301の下部は、モータハウジング9内に突出して上壁30によって保持されている。前ギヤハウジング301の後面で開口の周囲には、4つのネジ孔306,306・・が形成されている。前ギヤハウジング301の4つの角部には、ネジ13,13・・を貫通させる前孔307,307・・が形成されている。
【0017】
後ギヤハウジング302は、樹脂製で、前ギヤハウジング301の後面を閉塞する板状である。後ギヤハウジング302の前面には、前ギヤハウジング301の開口に後方から嵌合する周壁部308が形成されている。周壁部308の外側には、前ギヤハウジング301の後面に当接するフランジ部309が設けられている。前ギヤハウジング301の後面とフランジ部309との間には、周壁部308を囲むシールリング310が設けられている。シールリング310は、周壁部308の周囲でフランジ部309の前面に形成された溝に嵌合して位置決めされている。シールリング310の外側でフランジ部309には、前ギヤハウジング301の各ネジ孔306に対応する4つの透孔311,311・・が形成されている。フランジ部309の4つの角部には、各前孔307に対応する4つの後孔312,312・・が形成されている。
後ギヤハウジング302の前面で周壁部308の内側には、上下に後軸受保持部313,314が形成されている。
【0018】
後ギヤハウジング302は、クラッチ5を収容し、前ギヤハウジング301の開口に周壁部308を嵌合させてシールリング310を挟んだ状態で組み付けられる。フランジ部309の溝内に位置決めされるシールリング310は、前ギヤハウジング301の後面が当接することで圧縮される。この状態で、後方から4本のネジ315,315・・を各透孔311に貫通させて各ネジ孔306にねじ込む。すると、後ギヤハウジング302は、前ギヤハウジング301に固定される。組み付けられたギヤハウジング3は、各前孔307と各後孔312を貫通させたネジ13によって本体ハウジング2に組み付けられる。
このようにネジ315によって前ギヤハウジング301と後ギヤハウジング302とを先に固定しておけば、本体ハウジング2への組み付けがしやすくなる。但し、ネジ315による固定は省略可能である。
【0019】
中間軸70は、ギヤハウジング3の前ギヤハウジング301内で軸線を前後方向に向けて配置される。中間軸70の前端は、前ギヤハウジング301の前軸受保持部304に保持される軸受76を介して回転可能に支持される。中間軸70の後端は、後ギヤハウジング302の後軸受保持部314に保持される軸受77を介して回転可能に支持される。中間軸70の中間部には、ベベルギヤ78が一体回転可能に設けられている。回転軸18の上部を支持する軸受31は、前ギヤハウジング301の下貫通孔305に保持されている。軸受31は、外輪と内輪との間で軸方向の上下にシールを介在させたものが使用されている。前ギヤハウジング301の下部は、モータハウジング9内に突出している。ピニオン32は、前ギヤハウジング301内に突出してベベルギヤ78と噛合している。中間軸70の後部には、第1ギヤ79が一体に設けられている。ピニオン32を支持する軸受31と、中間軸70の前端を支持する軸受76とには、それぞれOリングが外装されている。これにより、ピニオン32と中間軸70の前端とが前ギヤハウジング301内で弾性的に保持され、ピニオン32とベベルギヤ78との適正な噛み合いが維持される。
第1スピンドル71は、中間軸70の上方で軸線を前後方向に向けて配置される。第1スピンドル71の後端は、後ギヤハウジング302の後軸受保持部313に保持される軸受80を介して回転可能に支持される。第1スピンドル71の後部には、第2ギヤ81が一体回転可能に設けられている。第2ギヤ81は、第1ギヤ79と噛合している。
【0020】
クラッチカム72は、複数のボール82,82・・を介して第2ギヤ81と一体回転可能に結合される。クラッチカム72の前面には、後カム部83が形成される。
第2スピンドル74は、第1スピンドル71の前方へ同軸に配置される。第2スピンドル74は、前ギヤハウジング301の上貫通孔303及びケーシング4に保持されるスリーブ84によって回転可能且つ前後移動可能に保持される。
第1スピンドル71の前部は、第2スピンドル74の後部に設けた有底孔85に挿入している。有底孔85内には、軸受86が固定されている。第1スピンドル71の前端は、軸受86を遊挿して有底孔85内で第2スピンドル74と同軸で回転可能に支持されている。
コイルバネ73は、第1スピンドル71に外装されている。コイルバネ73の後端は、クラッチカム72の前面に当接している。コイルバネ73の前端は、軸受86の後面に当接している。
【0021】
第2スピンドル74の後端には、フランジ87が形成されている。フランジ87の後面には、前カム部88が形成されている。前カム部88は、クラッチカム72の後カム部83と対向している。前カム部88と後カム部83とは、互いの当接状態では正逆回転方向で係合する。
第2スピンドル74は、コイルバネ73によって前方へ付勢される。スリーブ84の後端には、ストッパ89が支持されている。第2スピンドル74のフランジ87は、ストッパ89に当接して第2スピンドル74の前進を規制する。
第2スピンドル74の前端には、ビット保持部75が形成されている。ビット保持部75には、先端工具であるドライバビット等のビットが前方から着脱可能となっている。
【0022】
本体ハウジング2内には、プッシュドライブモードの機構部分を形成するプッシュドライブ機構部90が設けられている。プッシュドライブ機構部90は、ロッド91と、レバー92と、センサ基板93とを備えている。
ロッド91は、第1スピンドル71の軸心で第1スピンドル71と別体で前後移動可能に設けられている。ロッド91の後端は、後ギヤハウジング302を貫通して本体ハウジング2内に突出している。
レバー92は、後ギヤハウジング302の後方に配置されている。レバー92は、本体ハウジング2の内面に突設された左右方向のボス94,94によって回転可能に保持されている。レバー92は、ロッド91の後方で下向きに突出する押圧片95と、押圧片95の後側で上向きに突出する検出片96とを備える。検出片96には、磁石97が設けられている。
【0023】
センサ基板93は、検出片96の後方に配置されている。センサ基板93は、ホール素子等の磁気センサを備えて、検出片96の回転による磁石97の磁界の変化を検出可能となっている。レバー92は、トーションバネ98の付勢により、常態では検出片96がセンサ基板93の前面に当接する第1の回転位置(
図4に実線で示す位置)にある。
ロッド91は、第1の回転位置のレバー92の押圧片95によって押圧される前進位置にある。前進位置のロッド91は、前進位置の第2スピンドル74の有底孔85の内底面に前端を当接させている。
【0024】
プッシュドライブ機構部90では、ロッド91が後退すると、ロッド91の後端がレバー92の押圧片95を後方へ押圧してレバー92を、二点鎖線で示す第2の回転位置に回転させる。すると、検出片96が前方へ回転してセンサ基板93から前方へ離間する。よって、磁石97の移動による磁界の変化を検出したセンサ基板93は、ON信号を出力することになる。
制御回路基板54のマイコンには、スイッチ45、正逆切替レバー47の正逆レバースイッチ、センサ基板93、ボタンスイッチ55の動作信号がそれぞれ入力される。マイコンは、正逆レバースイッチからの信号に基づいてモータ15の回転方向を設定し、モータ15を駆動させる。マイコンは、ボタンスイッチ55の操作信号に基づいて動作モードを設定する。
【0025】
フィーダボックス6は、コイルバネ100によってケーシング4から突出する前進位置に付勢されている。フィーダボックス6には、マガジン8から引き出された図示しない連結ネジが下方から差し込まれてセットされる。フィーダボックス6には、コイルバネ100の付勢に抗した後退によって連結ネジを1本ずつビットによるネジ締め位置に送り出す送り機構101が設けられている。
ストッパベース7は、フィーダボックス6に対する前後方向の取り付け位置を調整可能となっている。取り付け位置は、ネジの長さに合わせて調整される。ネジの締め付け深さは、深さ調整ダイヤル102の操作により、ストッパベース7から突出するビットの突出量を調整することで設定できる。
【0026】
以上の如く構成されたスクリュードライバ1において、スイッチプレート60のボタン表示部65を押し操作すると、動作棒62が下降してボタンスイッチ55をON動作させる。すると、マイコンは、動作モードをプッシュドライブモードへ切り替えると共に、LED56をON動作させる。LED56がONするとその光が角筒部63を通して開口63aに照射され、発光部66が発光する。再びボタン表示部65を押し操作すると、動作棒62が下降してボタンスイッチ55をOFF動作させる。すると、マイコンは、動作モードを通常モードへ切り替えると共に、LED56をOFF動作させる。よって、発光部66が消灯する。
このとき、作業者は、グリップ部11を右手で把持していれば、左手でスイッチプレート60のボタン表示部65を押し操作することになる。スイッチプレート60はバッテリ装着部50の左側上面に配置されているので、操作は容易に行える。
動作モードが切り替わると、発光部66が点灯又は消灯するため、動作モードの切り替わりを視認することができる。このとき、発光部66は、バッテリ装着部50の左側上面で且つグリップ部11より前方に位置しているので、グリップ部11を把持する右手で発光部66が隠されることがない。よって、作業者は発光部66の点灯及び消灯を容易に確認することができる。
【0027】
次に、具体的な動作モードでの使用態様を説明する。まず通常モードを説明する。
第2スピンドル74のビット保持部75にビットを装着して正逆切替レバー47を正転位置にする。次に、作業者は、グリップ部11を把持してストッパベース7を石膏ボード等の被加工材の表面に当接させる。次に、作業者は、トリガ46を押し操作する。すると、スイッチ45がONして、バッテリパック51から電源が制御回路基板54を介してモータ15に供給される。よって、ロータ17が正回転して回転軸18の回転がピニオン32から中間軸70に伝わる。中間軸70が減速回転すると、第1スピンドル71及びクラッチカム72も一体に正回転する。しかし、第2スピンドル74は前進位置にあって前カム部88はクラッチカム72の後カム部83と係合しない。よって、第2スピンドル74は回転しない。
【0028】
次に、作業者がグリップ部11を押し込んでスクリュードライバ1を前進させる。すると、フィーダボックス6がコイルバネ100の付勢に抗して後退する。同時に送り機構101が連結ネジを1本分送り動作し、最初のネジをビットの前方に位置させる。最初のネジが被加工材に当接すると、ビットと共に第2スピンドル74が、コイルバネ73の付勢に抗して後退する。よって、第2スピンドル74の前カム部88が後カム部83と係合し、クラッチカム72の回転が第2スピンドル74に伝達される。すると、第2スピンドル74と共にビットが正回転し、ネジが被加工材へねじ込まれる。
ネジ締めが進むにつれてスクリュードライバ1が前進し、ストッパベース7がケーシング4に当接する。すると、その後はねじ込みに従って第2スピンドル74のみが前進する。前カム部88が後カム部83から離間すると、第2スピンドル74への回転伝達が遮断されてネジ締めが終了する。作業者がトリガ46の押し操作を解除するとスイッチ45がOFFしてロータ17の回転が停止する。ビットをネジから離すと、フィーダボックス6がコイルバネ100の付勢によって前進位置へ復帰する。第2スピンドル74も、コイルバネ73の付勢によって前進位置へ復帰する。よって、作業者がグリップ部11を押し込んでスクリュードライバ1を前進させると、次のネジが送り出されてねじ込まれる。この繰り返しによって連続したネジ締め作業が可能となる。
なお、このように、自動的にネジが送り出されるようなスクリュードライバを、オートパック(自動装填)可能なことから、オートパックスクリュードライバと呼んでいる。但し、出願人以外の企業では、連結ねじドライバと呼んだり、Collate screw gunと呼んだり、Auto feed screw gunと呼んだりすることもある。
【0029】
一方、プッシュドライブモードでは、トリガ46を押し込んでもモータ15は駆動しない。ストッパベース7を被加工材に押し当ててスクリュードライバ1を前進させ、フィーダボックス6及び第2スピンドル74が後退すると、有底孔85の内底面に当接したロッド91が後退する。
すると、ロッド91の後端がレバー92の押圧片95に当接して、前述のようにレバー92を第2の回転位置に回転させる。よって、センサ基板93からON信号が出力され、このON信号に応じてマイコンがモータ15を駆動させる。その後、前カム部88と後カム部83とが係合し、クラッチカム72の回転が第2スピンドル74に伝達される。こうして第2スピンドル74と共にビットが正回転してネジ締めが可能となる。
【0030】
何れの動作モードの場合も、回転軸18の回転と共にファン33が回転すると、本体ハウジング2の側面の吸気口36から外気が吸い込まれる。吸気口36からの外気は、第1冷却路41を通り、ステータ16とロータ17との間を通過して下排気口35から外部に排出される。よって、モータ15が冷却される。また、下排気口35から排出されない外気の一部は、第2冷却路42を通り、スリット38を通過して中排気口37から外部に排出される。よって、軸受31が冷却される。さらに、下排気口35から排出されない外気の他の一部は、第3冷却路43を通り、間隙40を通過して上排気口39から排出される。よって、ギヤハウジング3が冷却される。
【0031】
上記形態のスクリュードライバ1は、ステータ16と、ステータ16に対して回転可能で、前方上向きに回転軸18(ロータ軸)が延びるロータ17とを有するモータ15を含む。また、スクリュードライバ1は、ロータ17を回転させるためのスイッチ45と、回転軸18により回転するピニオン32と、ピニオン32により回転が伝達されるクラッチ5と、クラッチ5の前方側に配置されて前後移動可能なビット保持部75とを含む。また、スクリュードライバ1は、ピニオン32及びクラッチ5を収容し、前ギヤハウジング301(一部)が金属製のギヤハウジング3と、ギヤハウジング3に繋がり、モータ15を収容する樹脂製のモータハウジング9と、モータハウジング9に繋がり、スイッチ45を収容する樹脂製のグリップ部11とを含む。そして、スクリュードライバ1は、ビット保持部75が後側にあると、クラッチ5がON状態となってロータ17の回転がビット保持部75に伝達され、ビット保持部75が前側にあると、クラッチ5がOFF状態となってロータ17の回転がビット保持部75に伝達されない構成となっている。
この構成により、前後方向での全長が短くなり、コンパクトとなる。また、前ギヤハウジング301が金属製であるため、ピニオン32及びベベルギヤ78を所定の精度で配置できる。よって、寸法精度が出やすくなり、ギヤ音の発生を防止可能となる。
【0032】
ギヤハウジング3は、ピニオン32を支持する軸受31を保持し、軸受31を保持する下貫通孔305を含む前ギヤハウジング301が金属製である。よって、ピニオン32とベベルギヤ78との歯当たりが安定し、ギヤ音の発生を効果的に防止可能となる。
ギヤハウジング3は、前後方向に2分割されている。よって、グリス漏れを効果的に防止可能となる。
2分割されたギヤハウジング3の前ギヤハウジング301(前側部分)と後ギヤハウジング302(後側部分)との間には、シールリング310(シール部材)が介在されている。よって、前ギヤハウジング301と後ギヤハウジング302との間からグリス漏れが生じにくくなる。
2分割されたギヤハウジング3の前ギヤハウジング301は金属製で、後ギヤハウジング302は樹脂製である。よって、ギヤハウジング3を軽量化できる。
2分割された前ギヤハウジング301と後ギヤハウジング302とはネジ止めされる。よって、本体ハウジング2へのギヤハウジング3の組み付けが容易に行える。
【0033】
モータハウジング9は、左右に2分割される一対の半割ハウジング2a,2bからなり、ギヤハウジング3の下部は、半割ハウジング2a,2bに挟持されている。よって、ギヤハウジング3とモータハウジング9との一体性が高まる。
モータ15は、回転軸18が前方上向きに延びる傾斜姿勢でモータハウジング9内に収容されている。よって、モータ15を上向きにしてもマガジン8の設置スペースを確保でいる。
ギヤハウジング3は、モータハウジング9の上側に配置されて、回転軸18の上端に設けたピニオン32がギヤハウジング3内に突出している。よって、ギヤハウジング3とモータハウジング9とが上下方向にオーバーラップし、前後方向のコンパクト化に有効となる。
【0034】
また、上記形態のスクリュードライバ1は、ステータ16と、ステータ16に対して回転可能で、前方上向きに回転軸18が延びるロータ17とを有するモータ15を含む。また、スクリュードライバ1は、ロータ17を回転させるためのスイッチ45と、回転軸18により回転するピニオン32と、ピニオン32により回転が伝達されるクラッチ5と、クラッチ5の前方側に配置されて前後移動可能なビット保持部75とを含む。また、スクリュードライバ1は、ピニオン32及びクラッチ5を収容し、前後方向に2分割されたギヤハウジング3と、ギヤハウジング3に繋がり、モータ15を収容するモータハウジング9と、モータハウジング9に繋がり、スイッチ45を収容する樹脂製のグリップ部11とを含む。そして、スクリュードライバ1は、ビット保持部75が後側にあると、クラッチ5がON状態となってロータ17の回転がビット保持部75に伝達され、ビット保持部75が前側にあると、クラッチ5がOFF状態となってロータ17の回転がビット保持部75に伝達されない構成となっている。
この構成により、前後方向での全長が短くなり、コンパクトとなる。また、ギヤハウジング3が前後に分割されるため、シール性を向上させることができる。よって、グリス漏れを効果的に防止可能となる。
【0035】
以下、変更例を説明する。
ギヤハウジングにおいて、前ギヤハウジングを樹脂製とし、後ギヤハウジングを金属製としてもよい。両者を金属製としてもよい。前ギヤハウジングは、ピニオンを支持する軸受の保持部分(上記形態では下貫通孔部分)のみを金属製としてもよい。例えば軸受を保持するリングを金属製として他の部分にインサート成形すれば可能である。上貫通孔や他の部分も含めて前ギヤハウジングの一部を金属製としてもよい。後ギヤハウジングも同様に、後軸受保持部等の一部を金属製としてもよい。
ギヤハウジングの一部を金属製とする発明においては、ギヤハウジングを前後に分割せず、左右や上下に分割してもよい。この場合も金属の採用によるギヤ音の低減効果は期待できる。
ギヤハウジングを前後に2分割する発明においては、前側部分と後側部分とを共に樹脂製としてもよい。この場合もグリス漏れの防止効果は期待できる。
シール部材は、複数設けてもよい。
【0036】
モータは、回転軸が前方上向きとなる傾斜姿勢に限らない。回転軸が上下方向にまっすぐ延びる姿勢であってもよい。この場合、中間軸も上下方向にまっすぐ延びるようにして、例えばベベルギヤを用いてクラッチ側へ回転伝達させればよい。
モータハウジングは、左右の半割ハウジングからなる構造に限らず、一体筒形とすることもできる。
グリップ部はループ状に限らない。クラッチから突出する直線状やL字状であってもよい。
モータはブラシレスに限らない。
なお、スクリュードライバは連結ネジを用いないものであってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1・・オートパックスクリュードライバ、2・・本体ハウジング、3・・ギヤハウジング、4・・ケーシング、5・・クラッチ、9・・モータハウジング、10・・グリップハウジング、11・・グリップ部、15・・モータ、18・・回転軸、32・・ピニオン、45・・スイッチ、50・・バッテリ装着部、53・・コントローラ、54・・制御回路基板、70・・中間軸、71・・第1スピンドル、72・・クラッチカム、73・・コイルバネ、74・・第2スピンドル、75・・ビット保持部、90・・プッシュドライブ機構部、91・・ロッド、92・・レバー、93・・センサ基板、301・・前ギヤハウジング、302・・後ギヤハウジング、310・・シールリング。