(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240708BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240708BHJP
H01L 29/872 20060101ALI20240708BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20240708BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240708BHJP
H01L 29/423 20060101ALI20240708BHJP
H01L 29/49 20060101ALI20240708BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240708BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240708BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20240708BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240708BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H01L29/86 301D
H01L29/78 652D
H01L29/78 652M
H01L29/78 652S
H01L29/78 657D
H01L29/78 655A
H01L21/28 301B
H01L29/58 G
H01L21/88 Z
H01L27/06 102A
(21)【出願番号】P 2020207693
(22)【出願日】2020-12-15
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】朝羽 俊介
(72)【発明者】
【氏名】河野 洋志
【審査官】戸川 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-050412(JP,A)
【文献】特開2020-074426(JP,A)
【文献】特開2011-134984(JP,A)
【文献】特開2009-141149(JP,A)
【文献】特開2018-082202(JP,A)
【文献】特開2019-192693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/28
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 21/8234
H01L 23/522
H01L 27/06
H01L 29/12
H01L 29/423
H01L 29/49
H01L 29/739
H01L 29/78
H01L 29/872
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた炭化珪素層であって、
第1導電型の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の電極と前記第1の炭化珪素領域との間に設けられた第2導電型の第2の炭化珪素領域と、
前記第1の電極と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられた第1導電型の第3の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、第1の方向に延びる第1のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に延びる第2のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に延びる第3のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に交差する第2の方向に延び、前記第1のゲート電極、前記第2のゲート電極、及び前記第3のゲート電極が接続されたゲート配線と、
前記第1のゲート電極と前記炭化珪素層との間、前記第2のゲート電極と前記炭化珪素層との間、及び前記第3のゲート電極と前記炭化珪素層との間に設けられたゲート絶縁層と、を備え、
前記第2のゲート電極は、前記第1のゲート電極と前記第3のゲート電極との間に設けられ、
第1の領域における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS1、前記第1の領域よりも前記ゲート配線に近い第2の領域における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS2、前記第1の領域における前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS3、前記第2の領域における前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS4、とした場合に、下記式1、下記式2
、下記式3
、及び下記式4を充足する半導体装置。
S1<S3・・・(式1)
S1<S2・・・(式2)
S3>S4・・・(式3)
S1<S4・・・(式4)
【請求項2】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた炭化珪素層であって、
第1導電型の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の電極と前記第1の炭化珪素領域との間に設けられた第2導電型の第2の炭化珪素領域と、
前記第1の電極と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられた第1導電型の第3の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、第1の方向に延びる第1のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に延びる第2のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に延びる第3のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に交差する第2の方向に延び、前記第1のゲート電極、前記第2のゲート電極、及び前記第3のゲート電極が接続されたゲート配線と、
前記第1のゲート電極と前記炭化珪素層との間、前記第2のゲート電極と前記炭化珪素層との間、及び前記第3のゲート電極と前記炭化珪素層との間に設けられたゲート絶縁層と、を備え、
前記第2のゲート電極は、前記第1のゲート電極と前記第3のゲート電極との間に設けられ、
第1の領域における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS1、前記第1の領域よりも前記ゲート配線に近い第2の領域における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS2、前記第1の領域における前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS3、前記第2の領域における前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS4、とした場合に、下記式1、下記式2、下記式3、及び下記式5を充足する半導体装置。
S1<S3・・・(式1)
S1<S2・・・(式2)
S3>S4・・・(式3)
S2<S3・・・(式5)
【請求項3】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた炭化珪素層であって、
第1導電型の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の電極と前記第1の炭化珪素領域との間に設けられた第2導電型の第2の炭化珪素領域と、
前記第1の電極と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられた第1導電型の第3の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、第1の方向に延びる第1のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に延びる第2のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に延びる第3のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に交差する第2の方向に延び、前記第1のゲート電極、前記第2のゲート電極、及び前記第3のゲート電極が接続されたゲート配線と、
前記第1のゲート電極と前記炭化珪素層との間、前記第2のゲート電極と前記炭化珪素層との間、及び前記第3のゲート電極と前記炭化珪素層との間に設けられたゲート絶縁層と、を備え、
前記第2のゲート電極は、前記第1のゲート電極と前記第3のゲート電極との間に設けられ、
第1の領域における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS1、前記第1の領域よりも前記ゲート配線に近い第2の領域における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS2、前記第1の領域における前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS3、前記第2の領域における前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS4、とした場合に、下記式1、下記式2、下記式3、及び下記式6を充足する半導体装置。
S1<S3・・・(式1)
S1<S2・・・(式2)
S3>S4・・・(式3)
0.8×S2<S4<1.2×S2・・・(式6)
【請求項4】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた炭化珪素層であって、
第1導電型の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の電極と前記第1の炭化珪素領域との間に設けられた第2導電型の第2の炭化珪素領域と、
前記第1の電極と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられた第1導電型の第3の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、第1の方向に延びる第1のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に延びる第2のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に延びる第3のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に交差する第2の方向に延び、前記第1のゲート電極、前記第2のゲート電極、及び前記第3のゲート電極が接続されたゲート配線と、
前記第1のゲート電極と前記炭化珪素層との間、前記第2のゲート電極と前記炭化珪素層との間、及び前記第3のゲート電極と前記炭化珪素層との間に設けられたゲート絶縁層と、を備え、
前記第2のゲート電極は、前記第1のゲート電極と前記第3のゲート電極との間に設けられ、
第1の領域における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS1、前記第1の領域よりも前記ゲート配線に近い第2の領域における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS2、前記第1の領域における前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS3、前記第2の領域における前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS4、とした場合に、下記式1、下記式2、下記式3、及び下記式7を充足する半導体装置。
S1<S3・・・(式1)
S1<S2・・・(式2)
S3>S4・・・(式3)
2×S1<S3・・・(式7)
【請求項5】
下記式8を充足する請求項1ないし請求項
4いずれか一項記載の半導体装置。
S1+S3=S2+S4・・・(式8)
【請求項6】
前記第1のゲート電極と前記第1の電極との間、前記第2のゲート電極と前記第1の電極との間、及び、前記ゲート配線と前記第1の電極との間に設けられた絶縁層を、更に備える請求項1ないし請求項
5いずれか一項記載の半導体装置。
【請求項7】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた炭化珪素層であって、
第1導電型の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の電極と前記第1の炭化珪素領域との間に設けられた第2導電型の第2の炭化珪素領域と、
前記第1の電極と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられた第1導電型の第3の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、第1の方向に延びる第1のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に延びる第2のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に延びる第3のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に交差する第2の方向に延び、前記第1のゲート電極、前記第2のゲート電極、及び前記第3のゲート電極が接続されたゲート配線と、
前記第1のゲート電極と前記炭化珪素層との間、前記第2のゲート電極と前記炭化珪素層との間、及び前記第3のゲート電極と前記炭化珪素層との間に設けられたゲート絶縁層と、を備え、
前記第2のゲート電極は、前記第1のゲート電極と前記第3のゲート電極との間に設けられ、
第1の領域における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS1、前記第1の領域よりも前記ゲート配線に近い第2の領域における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS2、前記第1の領域における前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS3、前記第2の領域における前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS4、とした場合に、下記式1、下記式2、及び下記式3を充足し、
前記第1の電極は、第1の部分と第2の部分とを有し、
前記第1の部分は、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に位置し、
前記第2の部分は、前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極との間に位置し、前記第1の炭化珪素領域に接す
る半導体装置。
S1<S3・・・(式1)
S1<S2・・・(式2)
S3>S4・・・(式3)
【請求項8】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた炭化珪素層であって、
第1導電型の第1の炭化珪素領域と、
前記第1の電極と前記第1の炭化珪素領域との間に設けられた第2導電型の第2の炭化珪素領域と、
前記第1の電極と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられた第1導電型の第3の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、第1の方向に延びる第1のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に延びる第2のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に延びる第3のゲート電極と、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に交差する第2の方向に延び、前記第1のゲート電極、前記第2のゲート電極、及び前記第3のゲート電極が接続されたゲート配線と、
前記第1のゲート電極と前記炭化珪素層との間、前記第2のゲート電極と前記炭化珪素層との間、及び前記第3のゲート電極と前記炭化珪素層との間に設けられたゲート絶縁層と、を備え、
前記第2のゲート電極は、前記第1のゲート電極と前記第3のゲート電極との間に設けられ、
第1の領域における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS1、前記第1の領域よりも前記ゲート配線に近い第2の領域における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS2、前記第1の領域における前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS3、前記第2の領域における前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS4、とした場合に、下記式1、下記式2、及び下記式3を充足し、
前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第2のゲート電極との間に前記第1のゲート電極を挟み、前記第1の方向に延びる第4のゲート電極を、更に備え、
前記第1の領域における前記第4のゲート電極と前記第1のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS5、前記第2の領域における前記第4のゲート電極と前記第1のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS6、とした場合に、下記式9及び下記式10を充足す
る半導体装置。
S1<S3・・・(式1)
S1<S2・・・(式2)
S3>S4・・・(式3)
S5<S3・・・(式9)
S5<S6・・・(式10)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の半導体デバイス用の材料として炭化珪素が期待されている。炭化珪素はシリコンと比較して、バンドギャップが3倍、破壊電界強度が約10倍、熱伝導率が約3倍と優れた物性を有する。この特性を活用すれば、例えば、高耐圧、低損失かつ高温動作可能なMetal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(MOSFET)を実現することができる。
【0003】
MOSFETには、例えば、ストライプ状に配置された複数のゲート電極が設けられる。複数のゲート電極は、例えば1本のゲート配線に接続され、ゲート配線にゲート電圧が印加されることでMOSFETが駆動する。
【0004】
MOSFETの微細化が進むと、例えば、複数のゲート電極がゲート配線に接続される接続部で、層間絶縁層が薄くなり、層間絶縁層のリーク電流が大きくなるという問題が生じる。このため、MOSFETの微細化が困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、微細化が可能な半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の半導体装置は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた炭化珪素層であって、第1導電型の第1の炭化珪素領域と、前記第1の電極と前記第1の炭化珪素領域との間に設けられた第2導電型の第2の炭化珪素領域と、前記第1の電極と前記第2の炭化珪素領域との間に設けられた第1導電型の第3の炭化珪素領域と、を含む炭化珪素層と、前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、第1の方向に延びる第1のゲート電極と、前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に延びる第2のゲート電極と、前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に延びる第3のゲート電極と、前記第1の電極と前記炭化珪素層との間に設けられ、前記第1の方向に交差する第2の方向に延び、前記第1のゲート電極、前記第2のゲート電極、及び前記第3のゲート電極が接続されたゲート配線と、前記第1のゲート電極と前記炭化珪素層との間、前記第2のゲート電極と前記炭化珪素層との間、及び前記第3のゲート電極と前記炭化珪素層との間に設けられたゲート絶縁層と、を備え、前記第2のゲート電極は、前記第1のゲート電極と前記第3のゲート電極との間に設けられ、第1の領域における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS1、前記第1の領域よりも前記ゲート配線に近い第2の領域における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS2、前記第1の領域における前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS3、前記第2の領域における前記第2のゲート電極と前記第3のゲート電極の前記第2の方向の間隔をS4、とした場合に、下記式1、下記式2、下記式3、及び下記式4を充足する。
S1<S3・・・(式1)
S1<S2・・・(式2)
S3>S4・・・(式3)
S1<S4・・・(式4)
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】第1の実施形態の半導体装置の拡大模式上面図。
【
図3】第1の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
【
図4】第1の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
【
図5】第1の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
【
図7】第1の実施形態の半導体装置の比較例の拡大模式上面図。
【
図8】第1の実施形態の半導体装置の比較例の拡大模式断面図。
【
図9】第1の実施形態の半導体装置の比較例の拡大模式断面図。
【
図10】第1の実施形態の半導体装置の比較例の拡大模式断面図。
【
図11】第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
【
図12】第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
【
図13】第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
【
図14】第2の実施形態の半導体装置の拡大模式上面図。
【
図15】第2の実施形態の半導体装置の比較例の拡大模式断面図。
【
図16】第3の実施形態の半導体装置の拡大模式上面図。
【
図17】第3の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
【
図18】第3の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
【
図19】第3の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する場合がある。
【0010】
また、以下の説明において、n+、n、n-及び、p+、p、p-の表記がある場合は、各導電型における不純物濃度の相対的な高低を表すものとする。すなわちn+はnよりもn型不純物濃度が相対的に高く、n-はnよりもn型不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、p+はpよりもp型不純物濃度が相対的に高く、p-はpよりもp型不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n+型、n-型を単にn型、p+型、p-型を単にp型と記載する場合もある。
【0011】
不純物濃度は、例えば、Secondary Ion Mass Spectrometry(SIMS)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、Scanning Capacitance Microscopy(SCM)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、不純物領域の深さ、厚さなどの距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。また。不純物領域の深さ、厚さ、幅、間隔などの距離は、例えば、SCM像とSIMSの測定結果を用いて求めることが可能である。また、導電層の幅及び間隔、絶縁層の厚さなどは、例えば、Scanning Electron Microscope(SEM)、又は、Transmisson Electron Microscope(TEM)の画像上で測定することが可能である。
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられた炭化珪素層であって、第1導電型の第1の炭化珪素領域と、第1の電極と第1の炭化珪素領域との間に設けられた第2導電型の第2の炭化珪素領域と、第1の電極と第2の炭化珪素領域との間に設けられた第1導電型の第3の炭化珪素領域と、を有する炭化珪素層と、第1の電極と炭化珪素層との間に設けられ、第1の方向に延びる第1のゲート電極と、第1の電極と炭化珪素層との間に設けられ、第1の方向に延びる第2のゲート電極と、第1の電極と炭化珪素層との間に設けられ、第1の方向に延びる第3のゲート電極と、第1の電極と炭化珪素層との間に設けられ、第1の方向に交差する第2の方向に延び、第1のゲート電極、第2のゲート電極、及び第3のゲート電極が接続されたゲート配線と、第1のゲート電極と炭化珪素層との間、第2のゲート電極と炭化珪素層との間、及び第3のゲート電極と炭化珪素層との間に設けられたゲート絶縁層と、を備え、第1の領域における第1のゲート電極と第2のゲート電極の第2の方向の間隔をS1、第1の領域よりもゲート配線に近い第2の領域における第1のゲート電極と第2のゲート電極の第2の方向の間隔をS2、第1の領域における第2のゲート電極と第3のゲート電極の第2の方向の間隔をS3、第2の領域における第2のゲート電極と第3のゲート電極の第2の方向の間隔をS4、とした場合に、下記式1、下記式2、及び下記式3を充足する。
S1<S3・・・(式1)
S1<S2・・・(式2)
S3>S4・・・(式3)
【0013】
図1は、第1の実施形態の半導体装置の模式上面図である。
図2は、第1の実施形態の半導体装置の拡大模式上面図である。
図2は、
図1中に点線で囲まれた領域Xの拡大図である。
図2は、ゲート電極及びゲート配線のパターンレイアウトを示す。
【0014】
【0015】
第1の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型のMOSFET100である。MOSFET100は、例えば、ボディ領域とソース領域をイオン注入で形成する、Double Implantation MOSFET(DIMOSFET)である。また、MOSFET100は、内蔵ダイオードとしてShottky Barrier Diode(SBD)を備える。
【0016】
以下、第1導電型がn型、第2導電型がp型である場合を例に説明する。MOSFET100は、電子をキャリアとする縦型のnチャネル型のMOSFETである。
【0017】
MOSFET100は、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート電極パッド16、金属配線18、第1のゲート電極20a、第2のゲート電極20b、第3のゲート電極20c、第4のゲート電極20d、第5のゲート電極20e、第6のゲート電極20f、ゲート配線22、ゲート絶縁層24、層間絶縁層26、フィールド絶縁層27、及びシリサイド層28を備える。ソース電極12は、第1の部分12aと第2の部分12bとを有する。層間絶縁層26は、コンタクトホール26aを有する。
【0018】
以下、第1のゲート電極20a、第2のゲート電極20b、第3のゲート電極20c、第4のゲート電極20d、第5のゲート電極20e、及び第6のゲート電極20fを総称して、単にゲート電極20と記載する場合がある。
【0019】
炭化珪素層10は、n+型のドレイン領域30、n-型のドリフト領域32(第1の炭化珪素領域)、p型のボディ領域34(第2の炭化珪素領域)、n+型のソース領域36(第3の炭化珪素領域)、p+型のボディコンタクト領域40を含む。
【0020】
炭化珪素層10は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。炭化珪素層10は、単結晶のSiCである。炭化珪素層10は、例えば、4H-SiCである。
【0021】
炭化珪素層10は、第1の面(
図1中“P1”)と第2の面(
図1中“P2”)とを備える。なお、以下、「深さ」とは、第1の面P1を基準とする深さを意味する。第1の面P1は炭化珪素層10の表面、第2の面P2は炭化珪素層10の裏面である。
【0022】
第1の面P1は、例えば、(0001)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。また、第2の面P2は、例えば、(000-1)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。(0001)面はシリコン面と称される。(000-1)面はカーボン面と称される。
【0023】
n+型のドレイン領域30は、炭化珪素層10の中の第2の面P2の側に設けられる。ドレイン領域30は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。ドレイン領域30のn型不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0024】
ドレイン領域30は、ドレイン電極14に電気的に接続される。
【0025】
n-型のドリフト領域32は、ドリフト領域32は、ソース電極12とドレイン領域30との間に設けられる。ドリフト領域32は、ドレイン領域30と第1の面P1との間に設けられる。ドリフト領域32は、ドレイン領域30上に設けられる。
【0026】
ドリフト領域32は、例えば、窒素(N)をn型不純物として含む。ドリフト領域32のn型不純物濃度は、ドレイン領域30のn型不純物濃度よりも低い。ドリフト領域32のn型不純物濃度は、例えば、4×1014cm-3以上1×1017cm-3以下である。ドリフト領域32の厚さは、例えば、4μm以上150μm以下である。
【0027】
p型のボディ領域34は、ソース電極12とドリフト領域32との間に設けられる。ボディ領域34は、ドリフト領域32と第1の面P1との間に設けられる。ボディ領域34は、MOSFET100のチャネル領域として機能する。
【0028】
ボディ領域34は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。ボディ領域34のp型不純物濃度は、例えば、1×1017cm-3以上5×1018cm-3以下である。
【0029】
ボディ領域34の深さは、例えば、0.3μm以上0.8μm以下である。
【0030】
ボディ領域34の電位は、ソース電極12に電気的に接続される。ボディ領域34の電位は、ソース電極12の電位に固定される。
【0031】
n+型のソース領域36は、ソース電極12とボディ領域34との間に設けられる。ソース領域36は、ボディ領域34と第1の面P1との間に設けられる。
【0032】
ソース領域36は、例えば、リン(P)をn型不純物として含む。ソース領域36のn型不純物濃度は、ドリフト領域32のn型不純物濃度よりも高い。
【0033】
ソース領域36のn型不純物濃度は、例えば、5×1018cm-3以上1×1021cm-3以下である。ソース領域36の深さは、ボディ領域34の深さよりも浅い。ソース領域36の深さは、例えば、0.1μm以上0.3μm以下である。
【0034】
ソース領域36は、ソース電極12に電気的に接続される。ソース領域36は、ソース電極12の電位に固定される。
【0035】
p+型のボディコンタクト領域40は、ソース電極12とボディ領域34との間に設けられる。ボディコンタクト領域40は、ボディ領域34と第1の面P1との間に設けられる。ボディコンタクト領域40は、例えば、ソース領域36の第2の方向に、ソース領域36に隣接して設けられる。ボディコンタクト領域40とソース領域36は、例えば、第2の方向に交互に配置される。
【0036】
ボディコンタクト領域40のp型不純物の不純物濃度は、ボディ領域34のp型不純物の不純物濃度よりも高い。
【0037】
ボディコンタクト領域40は、例えば、アルミニウム(Al)をp型不純物として含む。ボディコンタクト領域40のp型不純物濃度は、例えば、5×1018cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0038】
ボディコンタクト領域40の深さは、例えば、0.3μm以上0.6μm以下である。
【0039】
ボディコンタクト領域40は、ソース電極12に電気的に接続される。ボディコンタクト領域40は、ソース電極12の電位に固定される。
【0040】
ソース領域36の上にはシリサイド層28が設けられる。ボディコンタクト領域40上にはシリサイド層28が設けられる。
【0041】
シリサイド層28は、ソース電極12とソース領域36との間に設けられる。シリサイド層21は、ソース電極12とボディコンタクト領域40との間に設けられる。
【0042】
シリサイド層28は、例えば、ニッケルサイド、チタンシリサイド、モリブデンシリサイド、又は、タングステンシリサイドである。
【0043】
第1のゲート電極20aは、ソース電極12と炭化珪素層10との間に設けられる。第1のゲート電極20aは、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。第1のゲート電極20aは、第1の方向に延びる。
【0044】
第2のゲート電極20bは、ソース電極12と炭化珪素層10との間に設けられる。第2のゲート電極20bは、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。第2のゲート電極20bは、第1の方向に延びる。第2のゲート電極20bは、第1のゲート電極20aと隣り合う。
【0045】
第3のゲート電極20cは、ソース電極12と炭化珪素層10との間に設けられる。第3のゲート電極20cは、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。第3のゲート電極20cは、第1の方向に延びる。第3のゲート電極20cは、第2のゲート電極20bと隣り合う。
【0046】
第4のゲート電極20dは、ソース電極12と炭化珪素層10との間に設けられる。第4のゲート電極20dは、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。第4のゲート電極20dは、第1の方向に延びる。第4のゲート電極20dは、第1のゲート電極20aと隣り合う。
【0047】
第5のゲート電極20eは、ソース電極12と炭化珪素層10との間に設けられる。第5のゲート電極20eは、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。第5のゲート電極20eは、第1の方向に延びる。第5のゲート電極20eは、第3のゲート電極20cと隣り合う。
【0048】
第6のゲート電極20fは、ソース電極12と炭化珪素層10との間に設けられる。第6のゲート電極20fは、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。第6のゲート電極20fは、第1の方向に延びる。第6のゲート電極20fは、第4のゲート電極20dと隣り合う。
【0049】
ゲート電極20は、導電層である。ゲート電極20は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶質シリコンである。
【0050】
ゲート電極20と対向するボディ領域34は、MOSFET100のチャネル領域として機能する。
【0051】
ゲート配線22は、ソース電極12と炭化珪素層10との間に設けられる。ゲート配線22は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。ゲート配線22の一部は、ソース電極12とフィールド絶縁層27との間に設けられる。
【0052】
ゲート配線22は、第1の方向に交差する第2の方向に延びる。ゲート配線22は、例えば、第1の方向に垂直な第2の方向に延びる。
【0053】
ゲート電極20は、ゲート配線22に接続される。ゲート配線22には、例えば、第1のゲート電極20a、第2のゲート電極20b、及び第3のゲート電極20cが接続される。
【0054】
ゲート配線22は、導電層である。ゲート配線22は、例えば、p型不純物又はn型不純物を含む多結晶質シリコンである。
【0055】
ゲート配線22は、例えば、ゲート電極20と同一の材料で形成される。
【0056】
ゲート配線22は、例えば、ゲート電極20と連続した多結晶層である。ゲート配線22は、例えば、ゲート電極20と連続した多結晶シリコン層である。
【0057】
ゲート配線22及びゲート電極20は、例えば、形成された導電膜をパターニングすることによって、同時に形成される。
【0058】
ゲート電極20とゲート配線22との接続部は、ソース電極12と炭化珪素層10との間に設けられる。例えば、第1のゲート電極20aとゲート配線22との接続部、及び、第2のゲート電極20bとゲート配線22との接続部は、ソース電極12と炭化珪素層10との間に設けられる。
【0059】
図2に示すように、第1の領域R1における第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bの第2の方向の間隔をS1と定義する。また、第1の領域R1よりもゲート配線22に近い第2の領域R2における第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bの第2の方向の間隔をS2と定義する。
【0060】
また、
図2に示すように、第1の領域R1における第2のゲート電極20bと第3のゲート電極20cの第2の方向の間隔をS3と定義する。また、第2の領域R2における第2のゲート電極20bと第3のゲート電極20cの第2の方向の間隔をS4と定義する。
【0061】
MOSFET100は、下記式1、下記式2、及び下記式3を充足する。
S1<S3・・・(式1)
S1<S2・・・(式2)
S3>S4・・・(式3)
【0062】
また、MOSFET100は、例えば、下記式4を充足する。
S1<S4・・・(式4)
【0063】
また、MOSFET100は、例えば、下記式5を充足する。
S2<S3・・・(式5)
【0064】
また、MOSFET100は、例えば、下記式6を充足する。
0.8×S2<S4<1.2×S2・・・(式6)
【0065】
また、MOSFET100は、例えば、下記式7を充足する。
2×S1<S3・・・(式7)
【0066】
また、MOSFET100は、例えば、下記式8を充足する。
S1+S3=S2+S4・・・(式8)
【0067】
ゲート電極20の第2の方向の幅は、例えば、1μm以上3μm以下である。
【0068】
間隔S1は、例えば、1μm以上3μm以下である。間隔S2は、例えば、1.5μm以上5μm以下である。間隔S3は、例えば、2μm以上8μm以下である。間隔S4は、例えば、1.5μm以上5μm以下である。
【0069】
ゲート絶縁層24は、ゲート電極20と炭化珪素層10との間に設けられる。ゲート絶縁層24は、例えば、第1のゲート電極20aと、炭化珪素層10との間に設けられる。ゲート絶縁層24は、例えば、第2のゲート電極20bと、炭化珪素層10との間に設けられる。
【0070】
ゲート絶縁層24は、ゲート電極20とボディ領域34との間に設けられる。ゲート絶縁層24は、例えば、第1のゲート電極20aと、ボディ領域34との間に設けられる。ゲート絶縁層24は、例えば、第2のゲート電極20bと、ボディ領域34との間に設けられる。
【0071】
ゲート絶縁層24は、例えば、酸化シリコンである。ゲート絶縁層24には、例えば、High-k絶縁材料(高誘電率絶縁材料)が適用可能である。ゲート絶縁層24には、例えば、窒化処理を施した酸化シリコンが適用可能である。
【0072】
ゲート絶縁層24の厚さは、例えば、20nm以上100nm以下である。
【0073】
層間絶縁層26は、例えば、ゲート電極20とソース電極12との間に設けられる。層間絶縁層26は、例えば、ゲート配線22とソース電極12との間に設けられる。層間絶縁層26は、例えば、炭化珪素層10とソース電極12との間に設けられる。
【0074】
層間絶縁層26は、例えば、第1のゲート電極20aとゲート配線22との接続部とソース電極12との間に設けられる。また、層間絶縁層26は、例えば、第2のゲート電極20bとゲート配線22との接続部とソース電極12との間に設けられる。
【0075】
層間絶縁層26は、例えば、第1のゲート電極20a、第2のゲート電極20b、第3のゲート電極20c、第4のゲート電極20d、第5のゲート電極20e、第6のゲート電極20f、及びゲート配線22と、ソース電極12との間を電気的に分離する機能を有する。層間絶縁層26は、例えば、炭化珪素層10とソース電極12との間を電気的に分離する機能を有する。
【0076】
層間絶縁層26は、例えば、酸化シリコンを含む。層間絶縁層26は、例えば、酸化シリコンである。層間絶縁層26は、例えば、気相成長法によって形成された堆積膜である。
【0077】
層間絶縁層26の厚さは、例えば、50nm以上900nm以下である。
【0078】
層間絶縁層26は、コンタクトホール26aを有する。コンタクトホール26aは、層間絶縁層26に設けられた開口部である。
【0079】
フィールド絶縁層27は、ゲート配線22の一部と炭化珪素層10との間に設けられる。フィールド絶縁層27は、例えば、ゲート配線22と炭化珪素層10との間を電気的に分離する機能を有する。
【0080】
フィールド絶縁層27は、例えば、酸化シリコンを含む。フィールド絶縁層27は、例えば、酸化シリコンである。フィールド絶縁層27は、例えば、気相成長法によって形成された堆積膜である。
【0081】
シリサイド層28は、ソース電極12と炭化珪素層10との間に設けられる。シリサイド層28は、例えば、ソース電極12とソース領域36との間に設けられる。シリサイド層28は、例えば、ソース電極12とボディコンタクト領域40との間に設けられる。シリサイド層28は、例えば、ニッケルシリサイドである。
【0082】
シリサイド層28は、ソース電極12とソース領域36との間の電気抵抗を低減する機能を有する。シリサイド層28は、ソース電極12とボディコンタクト領域40との間の電気抵抗を低減する機能を有する。
【0083】
ソース電極12は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。ソース電極12は、金属を含む。
【0084】
ソース電極12は、例えば、バリアメタル層とメインメタル層との積層構造を有する。例えば、バリアメタル層が炭化珪素層10に接する。
【0085】
バリアメタル層は、例えば、チタン(Ti)を含む。バリアメタル層は、例えば、チタン又は窒化チタンである。
【0086】
メインメタル層は、例えば、アルミニウム(Al)を含む。メインメタル層は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金である。
【0087】
ソース電極12には、例えば、ソース電圧が印加される。ソース電圧は、例えば、0Vである。
【0088】
ソース電極12は、第1の部分12aと第2の部分12bとを有する。
【0089】
第1の部分12aは、例えば、第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bとの間に位置する。第1の部分12aは、例えば、第3のゲート電極20cと第5のゲート電極20eとの間に位置する。第1の部分12aは、シリサイド層28に接する。
【0090】
第2の部分12bは、例えば、第2のゲート電極20bと第3のゲート電極20cとの間に位置する。第2の部分12bは、ドリフト領域32に接する。第2の部分12bは、例えば、第1の面P1でドリフト領域32に接する。第2の部分12bとドリフト領域32との間の接合は、ショットキー接合である。
【0091】
MOSFET100において、ソース電極12の第2の部分12b、ドリフト領域32、ドレイン領域30、及びドレイン電極14がSBDを形成する。第2の部分12bがSBDのアノード電極、ドレイン電極14がSBDのカソード電極となる。
【0092】
金属配線18は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。金属配線18は、金属を含む。
【0093】
金属配線18は、
図1に示すように、例えば、第2の方向に延びる。金属配線18は、ゲート電極パッド16に電気的に接続される。
【0094】
金属配線18は、ソース電極12と分離される。金属配線18は、ソース電極12と電気的に分離される。
【0095】
金属配線18は、例えば、バリアメタル層とメインメタル層との積層構造を有する。バリアメタル層は、例えば、チタン(Ti)を含む。バリアメタル層は、例えば、チタン又は窒化チタンである。メインメタル層は、例えば、アルミニウム(Al)を含む。メインメタル層は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金である。
【0096】
金属配線18は、例えば、ソース電極12と同一の材料で形成される。
【0097】
金属配線18及びソース電極12は、例えば、形成された導電膜をパターニングすることによって、同時に形成される。金属配線18とソース電極12は、パターニングにより分離される。
【0098】
金属配線18は、ゲート配線22に電気的に接続される。
図5に示すように、金属配線18は、コンタクトホール26aを経由してゲート配線22に電気的に接続される。金属配線18は、例えば、ゲート配線22に接する。
【0099】
ドレイン電極14は、炭化珪素層10の第2の面P2の側に設けられる。ドレイン電極14は、ドレイン領域30に接する。
【0100】
ドレイン電極14は、例えば、金属又は金属半導体化合物である。ドレイン電極14は、例えば、ニッケルシリサイド、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、及び、金(Au)から成る群から選ばれる少なくとも一つの材料を含む。
【0101】
ドレイン電極14には、例えば、ドレイン電圧が印加される。ドレイン電圧は、例えば、500V以上6000V以下である。
【0102】
ゲート電極パッド16は、炭化珪素層10の第1の面P1側に設けられる。ゲート電極パッド16は、金属配線18に電気的に接続される。
【0103】
ゲート電極パッド16は、例えば、金属配線18及びソース電極12と同一の材料で形成される。
【0104】
ゲート電極パッド16、金属配線18及びソース電極12は、例えば、形成された導電膜をパターニングすることによって、同時に形成される。ゲート電極パッド16は、例えば、パターニングによりソース電極12と分離される。
【0105】
ゲート電極パッド16にはMOSFET100を駆動するゲート電圧が印加される。ゲート電圧は、例えば、0V以上30V以下である。
【0106】
ゲート電極パッド16から、金属配線18及びゲート配線22を経由して、ゲート電極20にゲート電圧が印加される。
【0107】
次に、第1の実施形態のMOSFET100の作用及び効果について説明する。
【0108】
図6は、第1の実施形態の半導体装置の等価回路図である。ソース電極12とドレイン電極14との間に、ゲート電極20を有するトランジスタに並列にpnダイオードとSBDとが内蔵ダイオードとして接続される。ボディ領域34がpn接合ダイオードのアノードであり、ドリフト領域32がpn接合ダイオードのカソードである。また、ソース電極12の第2の部分12bがSBDのアノードであり、ドリフト領域32がSBDのカソードである。
【0109】
以下、SBDを内蔵するMOSFETにおいて、ゲート電極を有するトランジスタが配置される領域をトランジスタ領域、SBDが配置される領域をショットキー領域と称する。
【0110】
MOSFET100は、3本のゲート電極20に1つの割合でショットキー領域が設けられる。
【0111】
例えば、MOSFET100が、誘導性負荷に接続されたスイッチング素子として用いられる場合を考える。MOSFET100のオフ時に、誘導性負荷に起因する負荷電流により、ソース電極12がドレイン電極14に対し正となる電圧が印加される場合がある。この場合、内蔵ダイオードに順方向の電流が流れる。この状態は、逆導通状態とも称される。
【0112】
SBDに順方向電流が流れ始める順方向電圧(Vf)は、pn接合ダイオードの順方向電圧(Vf)よりも低い。したがって、最初に、SBDに順方向電流が流れる。
【0113】
SBDの順方向電圧(Vf)は、例えば、1.0Vである。pn接合ダイオードの順方向電圧(Vf)は、例えば、2.5Vである。
【0114】
SBDはユニポーラ動作をする。このため、順方向電流が流れても、キャリアの再結合エネルギーにより炭化珪素層10中に積層欠陥が成長することはない。
【0115】
MOSFET100では、SBDを内蔵することにより、炭化珪素層10中の積層欠陥の成長が抑制される。よって、MOSFET100の信頼性が向上する。
【0116】
MOSFET100では、SBDを内蔵するために、ショットキー領域のゲート電極20とゲート電極20との間隔が、トランジスタ領域のゲート電極20とゲート電極20との間の間隔よりも広くなっている。具体的には、ショットー接合するソース電極12の第2の部分12bとドリフト領域32との間の接触面積を大きくするために、ショットキー領域のゲート電極20とゲート電極20との間隔を広くする。
【0117】
第1の領域R1における第2のゲート電極20bと第3のゲート電極20cの間隔S3を、第1の領域R1における第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bの間隔S1よりも広くする。すなわち、下記式1を充足する。
S1<S3・・・(式1)
【0118】
図7は、第1の実施形態の半導体装置の比較例の拡大模式上面図である。
図7は、ゲート電極及びゲート配線のパターンレイアウトを示す。
図7は、
図2に対応する図である。
【0119】
【0120】
第1の実施形態の比較例のMOSFET900は、MOSFET100と同様、内蔵ダイオードとしてSBDを備える。MOSFET900は、第1の領域R1及び第2の領域R2の、ゲート電極20とゲート電極20との間隔が等しい点で、MOSFET100と異なる。
【0121】
具体的には、
図7に示すように、第1の領域R1における第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bの第2の方向の間隔をS1’と定義する。また、第1の領域R1よりもゲート配線22に近い第2の領域R2における第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bの第2の方向の間隔をS2’と定義する。
【0122】
また、
図7に示すように、第1の領域R1における第2のゲート電極20bと第3のゲート電極20cの第2の方向の間隔をS3’と定義する。また、第2の領域R2における第2のゲート電極20bと第3のゲート電極20cの第2の方向の間隔をS4’と定義する。
【0123】
MOSFE900は、間隔S1’と間隔S2’が等しい。また、MOSFE900は、間隔S3’と間隔S4’が等しい。
【0124】
したがって、MOSFE900は、間隔S4’よりも間隔S2’が小さい。
【0125】
MOSFE900では、
図10に示すように領域Zでの層間絶縁層26の厚さが薄くなるおそれがある。領域Zは、第1のゲート電極20aとゲート配線22との接続部、及び、第2のゲート電極20bとゲート配線22との接続部の近傍である。領域Zは、第1のゲート電極20aとゲート配線22との接続部と、第2のゲート電極20bとゲート配線22との間の領域である。
【0126】
領域Zの層間絶縁層26の厚さが薄くなると、ゲート配線22とソース電極12との間のリーク電流が増加し、ゲート配線22とソース電極12がショートするおそれがある。
【0127】
領域Zの層間絶縁層26の厚さが薄くなる理由は、例えば、気相成長法により層間絶縁層26を堆積する際に、狭い間隔のゲート電極20とゲート配線22とに囲まれた領域Zの層間絶縁層26のステップカバレッジが悪くなることが考えられる。また、例えば、層間絶縁層26の形成後、ソース電極12の形成前に、層間絶縁層26の表面に対して施されるウェットエッチングの際のエッチング量が、間隔の狭いゲート電極20とゲート配線22とに囲まれた領域Zで大きくなることが考えられる。
【0128】
領域Zの層間絶縁層26の厚さは、ゲート電極20の間隔が狭くなるにつれ、更に薄くなると考えられる。したがって、ゲート配線22とソース電極12のショートは、MOSFETの微細化により更に顕在化し、MOSFETの微細化の妨げとなることが予想される。
【0129】
第1の実施形態のMOSFET100では、
図2に示すように、第2の領域R2における第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bの間隔S2を、第1の領域R1における第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bの間隔S1よりも大きくする。すなわち、下記式2を充足する。
S1<S2・・・(式2)
【0130】
したがって、第1のゲート電極20aとゲート配線22との接続部、及び、第2のゲート電極20bとゲート配線22との接続部の近傍において、第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bの間隔S2が大きくなる。
【0131】
図11は、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図である。
図11は、
図5及び
図10に対応する図である。
【0132】
図11に示すように、MOSFET100の領域Zの層間絶縁層26の厚さは、比較例のMOSFET900に比べ厚くなる。これは、例えば、第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bの間隔S2が間隔S2’よりも大きくなることにより、領域Zの層間絶縁層26のステップカバレッジが改善するためと考えられる。また、例えば、第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bの間隔S2が間隔S2’よりも大きくなることにより、層間絶縁層26の形成後、ソース電極12の形成前に、層間絶縁層26の表面に対して施されるウェットエッチングの際の領域Zのエッチング量が小さくなるからであると考えられる。
【0133】
したがって、第1の実施形態のMOSFET100によれば、ゲート配線22とソース電極12のショートが抑制される。よって、微細化が可能なMOSFET100が実現できる。
【0134】
間隔S4について一定の大きさ確保し、ゲート配線22とソース電極12のショートを抑制する観点から、MOSFET100は、下記式4及び下記式5を充足することが好ましい。
S1<S4・・・(式4)
S2<S3・・・(式5)
【0135】
ゲート配線22とソース電極12のショートを抑制する観点から、間隔S2と間隔S4は等しいことが好ましい。
【0136】
また、ゲート配線22とソース電極12のショートを抑制する観点から、間隔S2と間隔S4の差は小さい方が好ましい。したがって、MOSFET100は、下記式6を充足することが好ましい。
0.8×S2<S4<1.2×S2・・・(式6)
【0137】
十分なショットキー領域の大きさを確保し、SBDのオン電流を大きくする観点から、MOSFET100は、下記式7を充足することが好ましい。すなわち、間隔S3の大きさは間隔S1の2倍より大きいことが好ましい。
2×S1<S3・・・(式7)
【0138】
図12及び
図13は、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図である。
図12は、第1の実施形態の比較例のMOSFET900の拡大模式上面図である。
図13は、第1の実施形態のMOSFET100の拡大模式上面図である。
図12及び
図13は、ゲート電極20及びゲート配線22のパターンレイアウトを示す。
【0139】
図12及び
図13には、ゲート電極20を充放電する際の電流経路を点線で模式的に示す。
図12及び
図13に示すように、ゲート電極20を充放電する際の電流経路は、例えば、ゲート電極20とゲート配線22との接続部の角部に集中する。このため、ゲート電極20とゲート配線22との接続部の角部での発熱量が大きくなる。
【0140】
特に、
図12に示すように、比較例のMOSFET900の場合、隣接するゲート電極20のゲート配線22への接続部が近接する部分がある。具体的には、例えば、第1のゲート電極20aの接続部と第2のゲート電極20bの接続部は、第2のゲート電極20bの接続部と第3のゲート電極20cの接続部に比べ、近接している。
【0141】
このため、隣接するゲート電極20の接続部が近接する部分は、その他の部分に比べ、ゲート電極20を充放電する際の発熱量が大きくなる。言い換えれば、発熱量の分布が不均一になり、一部の発熱量が大きくなる。
【0142】
発熱量が大きくなると、例えば、MOSFET900の動作が不安定になったり、ゲート絶縁層24の信頼性が低下したりするという問題が生じ得る。
【0143】
図13に示すように、第1の実施形態のMOSFET100では、隣接するゲート電極20の接続部は、所定の間隔をあけて分布する。隣接するゲート電極20の接続部は、例えば、等しい間隔で分布する。このため、ゲート電極20を充放電する際の発熱量の分布の偏りが抑制される。例えば、ゲート電極20を充放電する際の発熱量の分布が均一になる。
【0144】
したがって、例えば、MOSFET100の動作が不安定になったり、ゲート絶縁層24の信頼性が低下したりするという問題が生じにくくなる。よって、特性が安定し、信頼性の向上したMOSFET100が実現される。
【0145】
以上、第1の実施形態によれば、微細化が可能なMOSFETが実現される。また、特性変動が抑制され、信頼性の向上したMOSFETが実現される。
【0146】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、第1の電極と炭化珪素層との間に設けられ、第2のゲート電極との間に第1のゲート電極を挟み、第1の方向に延びる第4のゲート電極を、更に備え、第1の領域における第4のゲート電極と第1のゲート電極の第2の方向の間隔をS5、第2の領域における第4のゲート電極と第1のゲート電極の第2の方向の間隔をS6、とした場合に、下記式9及び下記式10を充足する点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
S5<S3・・・(式9)
S5<S6・・・(式10)
【0147】
図14は、第2の実施形態の半導体装置の拡大模式上面図である。
図14は、ゲート電極及びゲート配線のパターンレイアウトを示す。
図14は、第1の実施形態の
図2に対応する図である。
【0148】
図15は、第2の実施形態の半導体装置の比較例の拡大模式断面図である。
図15は、
図14のGG’断面図である。
図15は、第1の実施形態の
図3に対応する断面である。
【0149】
第2の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型のMOSFET200である。MOSFET200は、例えば、DIMOSFETである。また、MOSFET200は、内蔵ダイオードとしてSBDを備える。
【0150】
MOSFET200は、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート電極パッド16、金属配線18、第1のゲート電極20a、第2のゲート電極20b、第3のゲート電極20c、第4のゲート電極20d、第5のゲート電極20e、第6のゲート電極20f、ゲート配線22、ゲート絶縁層24、層間絶縁層26、フィールド絶縁層27、及びシリサイド層28を備える。ソース電極12は、第1の部分12aと第2の部分12bとを有する。層間絶縁層26は、コンタクトホール26aを有する。以下、第1のゲート電極20a、第2のゲート電極20b、第3のゲート電極20c、第4のゲート電極20d、第5のゲート電極20e、及び第6のゲート電極20fを総称して、単にゲート電極20と記載する場合がある。
【0151】
図14に示すように、第1の領域R1における第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bの第2の方向の間隔をS1と定義する。また、第1の領域R1よりもゲート配線22に近い第2の領域R2における第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bの第2の方向の間隔をS2と定義する。
【0152】
また、
図14に示すように、第1の領域R1における第2のゲート電極20bと第3のゲート電極20cの第2の方向の間隔をS3と定義する。また、第2の領域R2における第2のゲート電極20bと第3のゲート電極20cの第2の方向の間隔をS4と定義する。
【0153】
また、
図14に示すように、第1の領域R1における第4のゲート電極20dと第1のゲート電極20aの第2の方向の間隔をS5と定義する。また、第2の領域R2における第4のゲート電極20dと第1のゲート電極20aの第2の方向の間隔をS6と定義する。
【0154】
MOSFET200は、下記式1、下記式2、下記式3、下記式9、及び下記式10を充足する。
S1<S3・・・(式1)
S1<S2・・・(式2)
S3>S4・・・(式3)
S5<S3・・・(式9)
S5<S6・・・(式10)
【0155】
MOSFET200は、例えば、下記式11を充足する。
S1+S3+S5=S2+S4+S6・・・(式11)
【0156】
第2の実施形態のMOSFET200によれば、第1の実施形態と同様、ゲート配線22とソース電極12のショートが抑制される。よって、微細化が可能なMOSFET200が実現できる。
【0157】
第2の実施形態のMOSFET200によれば、第1の実施形態と同様、動作が不安定になったり、ゲート絶縁層24の信頼性が低下したりするという問題が生じにくくなる。よって、特性が安定し、信頼性の向上したMOSFET200が実現される。
【0158】
MOSFET200は、4本のゲート電極20に1つの割合でショットキー領域が設けられる。したがって、3本のゲート電極20に1つの割合でショットキー領域が設けられる第1の実施形態のMOSFET100よりも、ショットキー領域に対するトランジスタ領域の占有割合が大きくなる。したがって、MOSFET100よりも、トランジスタのオン電流が大きくなる。
【0159】
以上、第2の実施形態によれば、微細化が可能なMOSFETが実現される。また、特性変動が抑制され、信頼性の向上したMOSFETが実現される。
【0160】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置は、第1の電極が、第1の炭化珪素領域に接する第2の部分を備えない点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0161】
図16は、第3の実施形態の半導体装置の拡大模式上面図である。
図16は、ゲート電極及びゲート配線のパターンレイアウトを示す。
【0162】
【0163】
第3の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型のMOSFET300である。MOSFET300は、例えば、DIMOSFETである。
【0164】
MOSFET300は、炭化珪素層10、ソース電極12(第1の電極)、ドレイン電極14(第2の電極)、ゲート電極パッド16、金属配線18、第1のゲート電極20a、第2のゲート電極20b、第3のゲート電極20c、第4のゲート電極20d、第5のゲート電極20e、第6のゲート電極20f、ゲート配線22、ゲート絶縁層24、層間絶縁層26、フィールド絶縁層27、及びシリサイド層28を備える。ソース電極12は、第1の部分12aと第3の部分12cとを有する。層間絶縁層26は、コンタクトホール26aを有する。以下、第1のゲート電極20a、第2のゲート電極20b、第3のゲート電極20c、第4のゲート電極20d、第5のゲート電極20e、及び第6のゲート電極20fを総称して、単にゲート電極20と記載する場合がある。
【0165】
n+型のソース領域36は、ソース電極12とボディ領域34との間に設けられる。ソース領域36は、ボディ領域34と第1の面P1との間に設けられる。
【0166】
ソース領域36は、例えば、2つのゲート電極20の間の領域において、第1の方向に延びる。ソース領域36は、例えば、第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bとの間の領域で、第1の方向に延びる。ソース領域36は、例えば、第3のゲート電極20cと第5のゲート電極20eとの間の領域で、第1の方向に延びる。
【0167】
p+型のボディコンタクト領域40は、ソース電極12とボディ領域34との間に設けられる。ボディコンタクト領域40は、ボディ領域34と第1の面P1との間に設けられる。
【0168】
ボディコンタクト領域40は、例えば、2つのゲート電極20の間の領域において、第1の方向に延びる。ボディコンタクト領域40は、例えば、第2のゲート電極20bと第3のゲート電極20cとの間の領域で、第1の方向に延びる。
【0169】
図16に示すように、第1の領域R1における第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bの第2の方向の間隔をS1と定義する。また、第1の領域R1よりもゲート配線22に近い第2の領域R2における第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bの第2の方向の間隔をS2と定義する。
【0170】
また、
図16に示すように、第1の領域R1における第2のゲート電極20bと第3のゲート電極20cの第2の方向の間隔をS3と定義する。また、第2の領域R2における第2のゲート電極20bと第3のゲート電極20cの第2の方向の間隔をS4と定義する。
【0171】
MOSFET300は、下記式1、下記式2、及び下記式3を充足する。
S1<S3・・・(式1)
S1<S2・・・(式2)
S3>S4・・・(式3)
【0172】
また、MOSFET300は、例えば、下記式4を充足する。
S1<S4・・・(式4)
【0173】
また、MOSFET300は、例えば、下記式5を充足する。
S2<S3・・・(式5)
【0174】
また、MOSFET300は、例えば、下記式6を充足する。
0.8×S2<S4<1.2×S2・・・(式6)
【0175】
また、MOSFET300は、例えば、下記式7を充足する。
2×S1<S3・・・(式7)
【0176】
また、MOSFET300は、例えば、下記式8を充足する。
S1+S3=S2+S4・・・(式8)
【0177】
ソース電極12は、第1の部分12aと第3の部分12cとを有する。
【0178】
第1の部分12aは、例えば、第1のゲート電極20aと第2のゲート電極20bとの間に位置する。第1の部分12aは、例えば、第3のゲート電極20cと第5のゲート電極20eとの間に位置する。第1の部分12aは、ソース領域36の上に設けられたシリサイド層28に接する。
【0179】
第3の部分12cは、例えば、第2のゲート電極20bと第3のゲート電極20cとの間に位置する。第3の部分12cは、ボディコンタクト領域40の上に設けられたシリサイド層28に接する。
【0180】
第3の実施形態のMOSFET300によれば、第1の実施形態と同様、
図19に示すように、領域Zの層間絶縁層26の厚さは、比較例のMOSFET900に比べ厚くなる。したがって、ゲート配線22とソース電極12のショートが抑制される。よって、微細化が可能なMOSFET300が実現できる。
【0181】
第3の実施形態のMOSFET300によれば、第1の実施形態と同様、動作が不安定になったり、ゲート絶縁層24の信頼性が低下したりするという問題が生じにくくなる。よって、特性が安定し、信頼性の向上したMOSFET300が実現される。
【0182】
さらに、MOSFET300は、第1の実施形態のMOSFET100よりも、ソース電極12に電気的に接続されるソース領域36の面積が大きくなる。したがって、MOSFET100よりも、トランジスタのオン電流が大きくなる。
【0183】
また、MOSFET300は、第1の実施形態のMOSFET100よりも、ソース電極12に電気的に接続されるボディコンタクト領域40の面積が大きくなる。したがって、MOSFET100よりも、例えば、アバランシェ耐量が大きくなる。
【0184】
以上、第3の実施形態によれば、微細化が可能なMOSFETが実現される。また、特性変動が抑制され、信頼性の向上したMOSFETが実現される。
【0185】
第1ないし第3の実施形態では、ゲート電極20及びゲート絶縁層24が炭化珪素層10の第1の面P1の上に設けられたプレーナゲート型のMOSFETを例に説明した。しかし、MOSFETを、ゲート電極20及びゲート絶縁層24が炭化珪素層10に形成されたトレンチの中に埋め込まれたトレンチゲート型のMOSFETとすることも可能である。トレンチゲート型のMOSFETの場合、例えば、ゲート電極20がトレンチの端部から炭化珪素層10の第1の面P1の上に引き出された後、ゲート配線22に接続される構造となる。
【0186】
第1ないし第3の実施形態では、半導体装置がMOSFETの場合を例に説明したが、半導体装置をInsulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)とすることも可能である。例えば、第1の実施形態のMOSFET100のn+型のドレイン領域30にかえて、p+型のコレクタ領域を設けることでIGBTを形成することが可能である。
【0187】
第1の実施形態では、3本のゲート電極20に1つの割合でショットキー領域が設けられるMOSFET、第2の実施形態では、4本のゲート電極20に1つの割合でショットキー領域が設けられるMOSFETを例に説明した。しかし、5本以上のゲート電極20に1つの割合でショットキー領域が設けられるMOSFETとすることも可能である。
【0188】
第1ないし第3の実施形態では、SiCの結晶構造として4H-SiCの場合を例に説明したが、本発明は6H-SiC、3C-SiC等、その他の結晶構造のSiCを用いたデバイスに適用することも可能である。また、炭化珪素層10の表面に(0001)面以外の面を適用することも可能である。
【0189】
第1ないし第3の実施形態では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の場合を例に説明したが、第1導電型をp型、第2導電型をn型とすることも可能である。第1導電型をp型、第2導電型をn型とした場合、MOSFETは、ホールをキャリアとするpチャネル型のMOSFETとなる。
【0190】
第1ないし第3の実施形態では、p型不純物としてアルミニウム(Al)を例示したが、ボロン(B)を用いることも可能である。また、n型不純物として窒素(N)及びリン(P)を例示したが、砒素(As)、アンチモン(Sb)等を適用することも可能である。
【0191】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0192】
10 炭化珪素層
12 ソース電極(第1の電極)
12a 第1の部分
12b 第2の部分
14 ドレイン電極(第2の電極)
20a 第1のゲート電極
20b 第2のゲート電極
20c 第3のゲート電極
20d 第4のゲート電極
22 ゲート配線
24 ゲート絶縁層
26 層間絶縁層(絶縁層)
32 ドリフト領域(第1の炭化珪素領域)
34 ボディ領域(第2の炭化珪素領域)
36 ソース領域(第3の炭化珪素領域)
100 MOSFET(半導体装置)
200 MOSFET(半導体装置)
300 MOSFET(半導体装置)
R1 第1の領域
R2 第2の領域