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特許7516268生産物情報管理装置、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】生産物情報管理装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240708BHJP
   G06Q 30/02 20230101ALI20240708BHJP
【FI】
G06Q50/02
G06Q30/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021000548
(22)【出願日】2021-01-05
(65)【公開番号】P2022105915
(43)【公開日】2022-07-15
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】小倉 真人
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-177475(JP,A)
【文献】特開2009-042839(JP,A)
【文献】国際公開第2018/158821(WO,A1)
【文献】特開2002-056214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、消費者が使用する消費者端末および生産者が使用する生産者端末との間で、ネットワークを介して情報通信が可能な生産物情報管理装置であって、
前記消費者の購買履歴情報を、当該消費者の居住地を表す消費者位置情報および消費者識別情報と共に取得する第1の取得処理部と、
前記生産者が生産する生産物に関する生産物属性情報を、当該生産者の生産地を表す生産者位置情報および生産者識別情報と共に取得する第2の取得処理部と、
取得された前記消費者位置情報および前記生産者位置情報に基づいて、前記居住地および前記生産地が共通のエリア内に存在する前記消費者および前記生産者を抽出し、抽出された前記消費者と前記生産者との対応関係を表す対応付け情報を生成し保存する対応付け処理部と、
前記消費者毎に、取得された前記購買履歴情報をもとに購入推奨生産物を推定すると共に、当該消費者と前記対応付け情報により対応付けられた前記生産者のうち前記購入推奨生産物を生産する生産者を選択し、前記購入推奨生産物および選択された前記生産者に係る情報を含む購買推奨情報を生成して、対応する前記消費者端末へ送信する第1の生成処理部と、
前記生産者毎に、当該生産者と前記対応付け情報により対応付けられた前記消費者の前記購買履歴情報および前記購買推奨情報の少なくとも一方に基づいて、生産を推奨する生産物に関する生産推奨情報を生成し、生成された生産推奨情報を対応する前記生産者端末へ送信する第2の生成処理部と
を具備する生産物情報管理装置。
【請求項2】
前記対応付け処理部は、前記エリアの範囲を、前記生産物毎にその消費期限に基づいて設定する、請求項1に記載の生産物情報管理装置。
【請求項3】
前記対応付け処理部は、前記エリアの範囲を、前記生産物毎に前記エリアに係る気象予報情報に基づいて設定する、請求項1に記載の生産物情報管理装置。
【請求項4】
前記対応付け処理部は、前記エリアの範囲を、前記生産物または前記生産者毎にその物流情報に基づいて設定する、請求項1に記載の生産物情報管理装置。
【請求項5】
前記第1の取得処理部は、前記消費者の前記生産者および当該生産者が生産する前記生産物に対する評価および要求の少なくとも一方を含む意見情報を、さらに取得し、
前記第1の生成処理部は、前記消費者と前記対応付け情報により対応付けられた前記生産者の中から、前記意見情報を加味して前記生産者を選択する、請求項1に記載の生産物情報管理装置。
【請求項6】
前記生産物の今後の生産状況を、前記エリア毎にその気象情報をもとに予測する生産状況予測部を、さらに具備し、
前記第1の生成処理部は、前記エリア毎に、当該エリアに存在する前記消費者の前記購買履歴情報および前記生産状況の予測結果に基づいて、前記購入推奨生産物を推定する、請求項1に記載の生産物情報管理装置。
【請求項7】
前記生産物の今後の生産状況を、前記エリア毎にその気象情報をもとに予測する生産状況予測部を、さらに具備し、
前記第2の生成処理部は、前記エリア毎に、当該エリアに存在する前記消費者の前記購買履歴情報および前記購買推奨情報の少なくとも一方と、前記エリアにおける前記生産状況の予測結果とに基づいて、生産を推奨する生産物に関する生産推奨情報を生成する、請求項1に記載の生産物情報管理装置。
【請求項8】
少なくとも、消費者が使用する消費者端末および生産者が使用する生産者端末との間で、ネットワークを介して情報通信が可能な情報処理装置が実行する生産物情報管理方法であって、
前記消費者の購買履歴情報を、当該消費者の居住地を表す消費者位置情報および消費者識別情報と共に取得する過程と、
前記生産者が生産する生産物に関する生産物属性情報を、当該生産者の生産地を表す生産者位置情報および生産者識別情報と共に取得する過程と、
取得された前記消費者位置情報および前記生産者位置情報に基づいて、前記居住地および前記生産地が共通のエリア内に存在する前記消費者および前記生産者を抽出し、抽出された前記消費者と前記生産者との対応関係を表す対応付け情報を保存する過程と、
前記消費者毎に、取得された前記購買履歴情報をもとに購入推奨生産物を推定すると共に、当該消費者と前記対応付け情報により対応付けられた前記生産者のうち前記購入推奨生産物を生産する生産者を選択し、前記購入推奨生産物および選択された前記生産者に係る情報を含む購買推奨情報を生成して、対応する前記消費者端末へ送信する過程と、
前記生産者毎に、当該生産者と前記対応付け情報により対応付けられた前記消費者の前記購買履歴情報および前記購買推奨情報の少なくとも一方に基づいて、生産を推奨する生産物に関する生産推奨情報を生成し、生成された生産推奨情報を対応する前記生産者端末へ送信する過程と
を具備する生産物情報管理方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載の生産物情報管理装置が具備する前記各処理部の処理を、前記生産物情報管理装置が備えるプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、生産物に関する情報を管理する装置に係わり、特に鮮度に応じて消費期限が設定される生産物に関する情報を管理する生産物情報管理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消費者に対するサービスの一環として、消費者の購買情報を収集し分析することで消費者の好みに適合する商品情報を消費者に提供するサービスが実施されている。例えば特許文献1には、POS端末により得られる購買情報と購買者の識別情報をそれぞれ収集して互いに関連付けて蓄積し、これらの情報をもとに消費者毎に消費者にとって有益な商品情報または広告情報を提供する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-295326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載されたサービスのように、従来知られている一般的な情報提供サービスでは、消費者向けの商品情報サービスとして有効であるが、生産者に対するサービスまでは考慮されていない。また従来知られているこの種のサービスは、商品全般ついて情報提供を行うものとなっているため、必ずしも最近の消費者の関心や要求に対応できているとは言えない。特に、近年消費者の健康や環境等に対する関心の高まりに応じ、例えば農畜産物や水産物、およびこれらを原料とする加工食品のように、鮮度が要求される生産物に対する消費者の要求が厳しくなっており、この種の生産物に対する情報管理が課題となっている。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、特に鮮度に応じて消費期限が設定される生産物について消費者および生産者に対しそれぞれ有益な情報を提供可能とする技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためにこの発明に係る装置又は方法の一態様は、消費者の購買履歴情報を、当該消費者の居住地を表す消費者位置情報および消費者識別情報と共に取得すると共に、生産者が生産する生産物に関する生産物属性情報を、当該生産者の生産地を表す生産者位置情報および生産者識別情報と共に取得し、取得された前記消費者位置情報および前記生産者位置情報に基づいて、前記居住地および前記生産地が共通のエリア内に存在する前記消費者および前記生産者を抽出し、抽出された前記消費者と前記生産者との対応関係を表す対応付け情報を生成し保存する。そして、前記消費者毎に、取得された前記購買履歴情報をもとに推奨生産物を推定すると共に、当該消費者と前記対応付け情報により対応付けられた前記生産者のうち前記推奨生産物を生産する生産者を選択し、前記推奨生産物および選択された前記生産者を表す購買推奨情報を生成して、当該購買推奨情報を対応する前記消費者端末へ送信する。また、前記生産者毎に、当該生産者と前記対応付け情報により対応付けられた前記消費者の前記購買履歴情報および前記購買推奨情報の少なくとも一方に基づいて、生産を推奨する生産物に関する生産推奨情報を生成し、生成された生産推奨情報を対応する前記生産者端末へ送信するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の一態様によれば、居住地および生産地が共通のエリアに位置する消費者と生産者同士が互いに対応付けられた状態で管理され、上記共通のエリア毎に、上記消費者向けの推奨生産物に関する情報がその生産者に係る情報と共に購買推奨情報として上記消費者に提供される。このため、提供された上記購買推奨情報を参考にして、消費者は自身の居住地と共通のエリア内の生産者により生産された生産物を選択的に購入することが可能となる。すなわち、ユーザにとっては、自身が居住するエリア内で生産される鮮度の高い生産物の購入機会が増えることになり、きわめて有益である。
【0008】
またこの発明の一態様によれば、居住地および生産地が共通のエリア毎に、その生産者に対し、同一エリアに居住する消費者の購買履歴情報および購買推奨情報の少なくとも一方をもとに生成される生産推奨情報が提供される。このため、提供された上記生産推奨情報を参考に、生産者は自身の生産地と共通のエリア内に居住する消費者の購入頻度が高い生産物を積極的に生産し提供することが可能となる。すなわち、生産者にとっては、自身が生産するエリアに居住する消費者を主たる供給先として生産物を生産し出荷することが可能となるので、生産物の鮮度保持や物流に係るコストの抑制に繋がり、きわめて有益である。
【0009】
すなわちこの発明の一態様によれば、鮮度に応じて消費期限が設定される生産物について消費者および生産者に対しそれぞれ有益な情報を提供可能とする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る生産物情報管理装置として用いられるサーバ装置を備える生産物情報提供システムの全体構成を示す図である。
図2図2は、図1に示したサーバ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図3は、図1に示したサーバ装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
図4図4は、図3に示したサーバ装置が備える消費者情報記憶部に記憶される消費者情報の一例を示す図である。
図5図5は、図3に示したサーバ装置が備える生産者情報記憶部に記憶される生産者情報の一例を示す図である。
図6図6は、図3に示したサーバ装置が備える対応付け情報記憶部に記憶される対応付け情報の一例を示す図である。
図7図7は、図3に示したサーバ装置が備える予測結果記憶部に記憶される生産状況予測結果の一例を示す図である。
図8図8は、図3に示したサーバ装置が備える購買推奨情報記憶部に記憶される購買推奨情報の一例を示す図である。
図9図9は、図3に示したサーバ装置が備える生産推奨情報記憶部に記憶される生産推奨情報の一例を示す図である。
図10図10は、図3に示したサーバ装置による生産物情報管理処理の全体の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
図11図11は、図10に示した対応付け処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
図12図12は、図10に示した購買推奨情報生成処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
図13図13は、図10に示した生産推奨情報生成処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0012】
[一実施形態]
(構成例)
(1)システム
図1は、この発明の一実施形態に係る生産物情報管理装置を備える生産物情報提供システムの全体構成を示す図である。
【0013】
一実施形態に係るシステムは、生産物情報管理装置として機能するサーバ装置SVを備える。そして、サーバ装置SVに対し、複数のPOS(Point of Sale System)端末PT1~PTkと、複数の消費者端末UT1~UTnと、複数の生産者端末FT1~FTmを、ネットワークNWを介して接続可能としている。
【0014】
POS端末PT1~PTkは、それぞれ例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア、一般商店、販売所等に設置されるもので、消費者の購買情報を消費者の許諾のもとでサーバ装置SVへ送信する機能を有する。
【0015】
消費者端末UT1~UTnは、それぞれ消費者が使用する例えばスマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等からなり、例えばGPS(Global Positioning System)を利用して自端末の位置を計測する位置センサと、サーバ装置SVにアクセスして消費者情報等を送信するためのブラウザと、サーバ装置SVから購買推奨情報を受信するためのメーラを備えている。
【0016】
生産者端末FT1~FTmは、上記消費者端末UT1~UTnと同様に、それぞれ例えばスマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータからなり、例えばGPSを利用して自端末の位置を計測する位置センサと、サーバ装置SVに対しアクセスして生産者情報を送信するためのブラウザと、サーバ装置SVから生産推奨情報を受信するためのメーラを備えている。
【0017】
また、サーバ装置SVはネットワークNWを介して気象データベース(DB)WSにもアクセス可能となっている。気象データベースWSは、例えば気象庁や、気象情報を提供する民間気象サービス会社が運用するもので、時間、日、月および季節毎にそれぞれの気象予報情報を更新しながら記憶する。
【0018】
なお、ネットワークNWは、例えばインターネットを基盤とし、これに上記各端末UT1~UTn,FT1~FTmを接続するためのアクセスネットワークを備える。アクセスネットワークとしては、例えば有線または無線LAN(Local Area Network)、有線データ通信ネットワーク、移動通信ネットワーク等が使用されるが、ほかにどのようなネットワークが使用されてもよい。
【0019】
(2)サーバ装置SV
サーバ装置SVは、生産物情報を管理して消費者および生産者に対し種々のサービスを提供するためのプラットフォームを構成するものである。
【0020】
図2および図3は、サーバ装置SVのハードウェア構成およびソフトウェア構成を示すブロック図である。
サーバ装置SVは、例えばクラウドコンピュータまたはサーバコンピュータにより構成され、例えば中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のハードウェアプロセッサを有する制御部1を備え、この制御部1に対しバス5を介して、プログラム記憶部2、データ記憶部3および通信インタフェース部(通信I/F)4を接続したものである。
【0021】
通信I/F4は、ネットワークNWを介して、上記POS端末PT1~PTk、消費者端末UT1~UTn、生産者端末FT1~FTmおよび気象データベースWSとの間で、各種情報の送信または受信を行う。
【0022】
プログラム記憶部2は、例えば、記憶媒体としてHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS(Operating System)等のミドルウェアに加えて、この発明の一実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要な制御プログラムを格納する。またプログラム記憶部2には、生産物情報を管理して消費者および生産者に対し種々のサービスを提供するための各種アプリケーション・プログラム等が格納されてもよい。
【0023】
データ記憶部3は、例えば、記憶媒体として、HDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと組み合わせたもので、この発明の一実施形態に係る生産物情報管理処理に使用される、消費者情報記憶部31と、生産者情報記憶部32と、対応付け情報記憶部33と、予測情報記憶部34と、購買推奨情報記憶部35と、生産推奨情報記憶部36とを備えている。
【0024】
消費者情報記憶部31は、上記POS端末PT1~PTkおよび消費者端末UT1~UTnから送信される消費者情報を消費者毎に記憶するために使用される。消費者情報には、例えば、消費者識別情報(消費者ID)と、消費者端末UT1~UTnのアドレス情報と、消費者端末UT1~UTnの位置情報と、購買履歴情報と、消費者の生産物に対するコメントやリクエスト等を含む意見情報が含まれる。図4はその一例を概略的に示したものでこの例では消費者IDをU1,U2,U3,…、アドレス情報をaU1,aU2,aU3,…、生産地位置情報をbU1,bU2,bU3,…としてそれぞれ示している。
【0025】
生産者情報記憶部32は、生産者端末FT1~FTmから送信される生産者情報を生産者別に記憶するために使用される。生産者情報には、例えば、生産者識別情報(生産者ID)と、生産者端末FT1~FTmのアドレス情報と、生産者端末FT1~FTmの位置情報と、生産者が生産する生産物の属性情報とが含まれる。生産物属性情報は、生産物の種類や生産期間、生産数量、物流手段等を含む。
【0026】
図5は生産者情報の一例を概略的に示したもので、この例では生産者IDをF1,F2,F3,…、アドレス情報をaF1,aF2,aF3,…、生産地位置情報をbF1,bF2,bF3,…としてそれぞれ示している。
【0027】
対応付け情報記憶部33は、居住地および生産地が共通のエリア(以後共通エリアと称する)毎に、当該共通エリア内に存在する消費者と生産者との間の対応関係を表す対応付け情報を記憶するために用いられる。対応付け情報は、例えば、上記共通エリアの識別情報(共通エリアID)と、上記共通エリアの地理的範囲を表すエリア情報と、上記共通エリア内に存在する消費者および生産者の各IDとを含む。
【0028】
図6はその一例を概略的に示したもので、この例では上記共通エリアIDをE1,E2,E3,…、上記エリア情報をe1,e2,e3,…としてそれぞれ示している。
【0029】
予測情報記憶部34は、上記共通エリア毎に当該エリアにおいて生産される生産物の、気象予報情報等をもとに予測される今後の生産状況を表す情報を記憶するために用いられる。生産状況の予測情報は、例えば図7に例示するように共通エリアIDを示すE1,E2,E3,…に対し生産状況の予測結果を表す情報を対応付けたものからなる。
【0030】
購買推奨情報記憶部35は、消費者毎に当該消費者向けに配信する購買推奨情報を記憶するために使用される。購買推奨情報は、例えば消費者に対し購入を奨める生産物とその生産者を表す情報を含むもので、図8に例示するように消費者IDを示すU1,U2,U3,…に紐付けた状態で記憶される。
【0031】
生産推奨情報記憶部36は、生産者毎に当該生産者向けに配信する生産推奨情報を記憶するために使用される。生産推奨情報は、例えば生産地および居住地が共通する共通エリア内に存在する各消費者の過去から現在までの購買履歴と、評価または購買要求の高い生産物を表す情報を含む。
【0032】
図9は、生産推奨情報の記憶例を示すもので、生産物推奨情報は生産者IDF1,F2,F3,…に紐付けられた状態で記憶される。なお、生産推奨情報には、上記消費者の購買履歴や要求などに基づく生産物に加え、或いは代わりに、今後の生産状況予測情報に基づいて生産が推奨される生産物を表す情報が含まれてもよい。
【0033】
制御部1は、この発明の一実施形態に係る生産物情報管理処理に必要な機能を実現するために、消費者情報取得処理部11と、生産者情報取得処理部12と、対応付け処理部13と、生産状況予測処理部14と、購買推奨情報生成処理部15と、生産推奨情報生成処理部16と、配信処理部17とを備えている。これらの処理部11~17は、何れもプログラム記憶部2等に格納されたアプリケーション・プログラムを、制御部1のプロセッサに実行させることにより実現される。
【0034】
消費者情報取得処理部11は、消費者端末UT1~UTnおよびPOS端末PT1~PTkからの登録要求に応じて、これらの各端末から送信される消費者情報を通信I/F4を介して受信し、消費者情報記憶部31に記憶させる処理を行う。この場合、消費者情報に含まれる各情報のうち、消費者IDおよび購買履歴情報は消費者端末UT1~UTnおよびPOS端末PT1~PTkの両方から取得し、また消費者の居住地を表す位置情報および配信先を表すアドレス情報と、意見情報は消費者端末UT1~UTnから取得する。
【0035】
生産者情報取得処理部12は、生産者端末FT1~FTmからの登録要求に応じて、当該生産者端末FT1~FTmから送信される生産者情報を通信I/F4を介して受信し、生産者情報記憶部32に記憶させる処理を行う。
【0036】
対応付け処理部13は、生産地および居住地が共通する共通エリアの範囲を設定する処理と、対応付け情報を生成する処理とを行う機能を有する。上記共通エリアの範囲を設定する処理は、例えば、生産物毎に、その消費期限、生産者が出荷に利用する物流手段および気象予報情報の少なくとも1つに基づいて、生産物を所定の鮮度を維持した状態で販売することが可能な地理的範囲となるように、上記共通エリアのサイズを設定する。そして、上記共通エリアの範囲を設定する処理は、サイズが設定された上記共通エリアを、本実施形態がサービス対象とする地域に分散配置する。例えば、サーバ装置SVのサービス対象地域が県内全域であれば、この県内の複数の箇所に、上記サイズが設定された共通エリアをそれぞれ分散配置する。
【0037】
対応付け情報を生成する処理は、分散配置された上記共通エリア毎に、当該共通エリア内に居住地および生産地が存在する消費者および生産者を、上記消費者情報記憶部31および上記生産者情報記憶部32に記憶された各位置情報をもとに選択し、選択された上記消費者と生産者との対応関係を表す対応付け情報を生成して対応付け情報記憶部33に記憶させる。
【0038】
生産状況予測処理部14は、気象データベースWSから気象予報情報を取得し、上記共通エリア毎に生産物の生産状況を予測する。そして、生産状況の予測結果を上記共通エリアの識別情報(共通エリアID)と関連付けて予測情報記憶部34に記憶させる処理を行う。
【0039】
購買推奨情報生成処理部15は、消費者毎に、その購買履歴情報を消費者情報記憶部31から読み込むと共に、当該消費者が存在するエリアにおける生産状況予測結果を予測情報記憶部34から読み込み、これらの情報をもとに上記消費者に購入を奨める推奨生産物を選択する処理を行う。
【0040】
また購買推奨情報生成処理部15は、上記消費者と同一エリアに存在する生産者を対応付け情報をもとに抽出し、抽出された生産者の中から上記推奨生産物を生産している生産者を選択する。そして、選択された上記生産者に対する上記消費者の意見情報を消費者情報記憶部31から読み込み、上記推奨生産物を表す情報と、選択された上記生産者を表す情報と、上記意見情報とを含む購買推奨情報を生成し、生成された上記購買推奨情報を消費者IDと関連付けて購買推奨情報記憶部35に記憶させる処理を行う。
【0041】
生産推奨情報生成処理部16は、生産者毎に、当該生産者と同一エリアに居住する消費者を対応付け情報をもとに抽出し、抽出された上記消費者の購買履歴情報および当該消費者に対し過去に配信された購買推奨情報を、それぞれ消費者情報記憶部31および購買推奨情報記憶部35から読み込む。そして、上記購買履歴情報および購買推奨情報をもとに生産を推奨する生産物を表す生産推奨情報を生成し、生成された生産推奨情報を生産者IDと関連付けて生産推奨情報記憶部36に記憶させる処理を行う。
【0042】
また生産推奨情報生成処理部16は、上記生産者が存在するエリアにおける生産状況予測結果を予測情報記憶部34から読み込み、当該生産状況の予測結果をもとに今後の生産に適する生産物の推奨情報を生成し、当該生産推奨情報を生産者IDと関連付けて生産推奨情報記憶部36に記憶させる処理を行う。
【0043】
配信処理部17は、消費者毎に、上記購買推奨情報記憶部35から購買推奨情報を読み出し、この情報を消費者情報記憶部31に記憶されているアドレス情報をもとに通信I/F4から対応する消費者端末UT1~UTnへ送信する処理を行う。
【0044】
また配信処理部17は、生産者毎に、上記生産推奨情報記憶部36から生産推奨情報を読み出し、この情報を生産者情報記憶部32に記憶されているアドレス情報をもとに、通信I/F4から対応する生産者端末FT1~FTmへ送信する処理を行う。
【0045】
(動作例)
次に、以上のように構成されたサーバ装置SVにおいて行われる、生産物情報の管理に係る一連の処理を説明する。
【0046】
なお、ここでは生産物として農産物を例にとり、消費者が農家から直接又は販売店を経由して農産物を購入する場合を例にとって説明する。但し、生産物としては他に畜産物や水産物、これらを原材料として製造される加工食品、パン菓子類、飲料等を対象としてもよく、それぞれ生産者である畜産農家や水産市場、加工業者、パン菓子類製造者、飲料製造者等から消費者が直接又は販売店を経由して生産物を購入する場合も、この発明に含まれる。
【0047】
図10は、サーバ装置SVの制御部1が実行する生産物情報管理処理の全体の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0048】
(1)消費者情報の登録
消費者情報は、例えば既に述べたように、消費者識別情報(消費者ID)と、消費者端末UT1~UTnのアドレス情報と、消費者端末UT1~UTnの位置情報と、購買履歴情報と、消費者の生産物に対するコメントやリクエスト等を含む意見情報を含む。
【0049】
サービスの提供を希望する各消費者は、自身の消費者端末UT1~UTnにおいて、例えば過去の購買情報を入力操作またはレシート等から読み取って端末に入力し、この状態で消費者情報の登録要求操作を行う。そうすると、消費者端末UT1~UTnから、上記購買情報が、会員登録等により事前にサーバ装置SVから発行された自身の消費者IDと、居住地を表す自端末の位置情報(例えば緯度経度情報)と、自端末のアドレス情報と共に、サーバ装置SVへ送信される。なお、会員登録時に端末のアドレス情報が登録済の場合には、アドレス情報の送信を省略することができる。
【0050】
またPOS端末PT1~PTkは、消費者による購買が行われる毎に、或いは一定期間分の購買情報が蓄積される毎に、消費者情報登録要求および上記購買情報を、消費者IDと共にサーバ装置SVへ送信する。なお、この場合に使用する消費者IDも、例えば上記会員登録時にサーバ装置SVから発行されたものが用いられる。
【0051】
これに対し、サーバ装置SVの制御部1は、上記消費者情報登録要求をステップS10で受信すると、消費者情報取得処理部11の制御の下、ステップS11において、消費者端末UT1~UTnおよびPOS端末PT1~PTkから送信される上記購買情報を通信I/F4を介して受信し、受信された各購買情報を購買履歴情報として消費者IDと関連付けて、消費者情報記憶部31に記憶させる。
【0052】
かくして、消費者情報記憶部31には、消費者毎にそれぞれその消費者IDと紐付けられた状態で購買履歴情報が登録される。また、このとき消費者情報記憶部31には、上記消費者IDと紐付けられて、消費者端末UT1~UTnの位置情報およびアドレス情報も記憶される。なお、購買情報は、消費者端末UT1~UTnおよびPOS端末PT1~PTkのうちの一方から送信されるもののみが登録されるようにしてもよい。
【0053】
(2)生産者情報の登録
各生産者は、自身の生産者端末FT1~FTmにおいて、生産する農産物の種類や生産期間、生産数量および出荷後の物流手段等を含む生産物属性情報を、例えば手操作により入力し、登録要求操作を行う。その結果、生産者端末FT1~FTmから、入力された上記生産物属性情報が、会員登録によりサーバ装置SVから事前に発行された生産者IDと、生産地を表す自端末の位置情報と、自端末のアドレス情報と共に、サーバ装置SVへ送信される。なお、この場合も、会員登録時に生産者端末のアドレス情報が登録済の場合には、アドレス情報の送信を省略することができる。
【0054】
これに対しサーバ装置SVの制御部1は、上記生産者情報の登録要求をステップS12で受信すると、生産者情報取得処理部12の制御の下、ステップS13において、生産者端末FT1~FTmから送信される上記生産物属性情報を通信I/F4を介して受信し、受信された上記各生産物属性情報を、生産者ID、位置情報およびアドレス情報と共に生産者情報記憶部32に記憶させる。かくして、生産者情報記憶部32には、生産者毎にそれぞれその生産者IDと紐付けた状態で生産者情報がそれぞれ登録される。
【0055】
(3)エリア毎の消費者と生産者との対応付け
サーバ装置SVの制御部1は、例えば上記消費者情報または生産者情報が新規登録或いは更新されたことをステップS14により確認すると、対応付け処理部13の制御の下、ステップS15において、消費者と生産者とを、その居住地および生産地が共通のエリア毎に対応付ける処理を以下のように実行する。
【0056】
図11は、対応付け処理部13による処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
(3-1)共通エリアの範囲を設定する処理
対応付け処理部13は、先ずステップS150においてデータ記憶部3に別途記憶されている生産物一覧から生産物を1つ選択し、ステップS151により当該生産物の消費期限を上記生産物一覧から読み込む。なお、同一の農産物でも産地毎に消費期限が異なる場合があるので、例えば任意の生産者を選び、当該生産者の生産物属性情報から消費期限または賞味期限を読み込むようにしてもよい。なお、消費期限および賞味期限のいずれも、食材を安全に美味しく食べることができる期限を表す。
【0057】
そして対応付け処理部13は、ステップS152において、上記消費期限をもとに、生産物を所定の鮮度を維持した状態で販売することが可能な地理的範囲を算出し、これを上記共通エリアのサイズとして設定する。
【0058】
また他の設定方法として、対応付け処理部13は、上記任意の生産者を選んだ場合に、その生産物属性情報に含まれる物流手段の情報をもとに平均的な物流速度を算出し、この物流速度から生産物を所定の鮮度を維持した状態で輸送することが可能な地理的範囲を算出し、これを上記共通エリアのサイズとして設定するようにしてもよい。
【0059】
さらに別の設定方法として、対応付け処理部13は、気象データベースWSから天気予報情報を取得して、この天気予報情報から天候が出荷作業や搬送に及ぼす影響度を推定し、推定された影響度をもとに、生産物を所定の鮮度を維持した状態で輸送することが可能な地理的範囲を求め、これを上記共通エリアのサイズとして設定するようにしてもよい。
【0060】
そうして1つの生産物に対する上記共通エリアのサイズの設定が終了すると、対応付け処理部13はステップS153において、すべての生産物に対する上記共通エリアのサイズ設定が終了したか否かを判定する。そして、未設定の生産物が残っていれば、ステップS150に戻って次の生産物を選択し、ステップS151~S152により生産物毎に上記共通エリアのサイズを設定する。以後同様に、すべての生産物に対する上記共通エリアのサイズ設定が終了するまで、上記ステップS150~S153による処理を繰り返す。かくして、すべての生産物に対する上記共通エリアのサイズが設定される。
【0061】
なお、上記共通エリアのサイズは、生産物毎に設定せずに、生産物を例えば葉物野菜、根菜野菜および果物に分類してこれらの分類毎に設定するようにしてもよく、また農産物を一括りとして上記共通エリアのサイズを1つ設定するようにしてもよい。
【0062】
続いて対応付け処理部13は、生産物毎、分類毎或いは生産物全体に対しサイズが設定された上記共通エリアを、サーバ装置SVのサービス対象地域(例えばある県内の全域)に対し例えばメッシュ状、ハニカム状或いはランダムに分散配置する。そして、このときの各共通エリアの地理的範囲を表す位置情報を図示しない地図情報から求め、この位置情報をエリア情報としてエリアIDに紐付けて対応付け情報記憶部33に記憶させる。
【0063】
(3-2)対応付け情報を生成する処理
対応付け処理部13は、ステップS154において、上記対応付け情報記憶部33からエリアIDを1つ選択する。そして、ステップS155により消費者情報記憶部31から各消費者の消費者情報を読み込み、読み込まれた消費者情報に含まれる位置情報をもとに、上記共通エリア内に居住する消費者をステップS156により抽出し、抽出された消費者の消費者IDを示すU1,U2,U3,…を、ステップS159によりエリアIDを示すE1,E2,E3,…に紐付けて、対応付け情報記憶部33に記憶させる。
【0064】
また、対応付け処理部13は、ステップS157により、生産者情報記憶部32から各生産者の生産者情報を読み込み、読み込まれた生産者情報に含まれる位置情報をもとに、抽出された上記共通エリア内で農産物を生産する生産者をステップS158により選択する。そして、選択された上記生産者の生産者IDを示すF1,F2,F3,…を、ステップS159によりエリアIDを示すE1,E2,E3,…に紐付けて、対応付け情報記憶部33に記憶させる。
【0065】
対応付け処理部13は、最後にステップS160によりすべての上記共通エリアに対する対応付け処理が終了したか否かを判定する。そして、対応付けが済んでいない共通エリアが残っていれば、ステップS154に戻って次の共通エリアを選択し、ステップS155~S159により消費者および生産者の対応付け処理を実行する。以後同様に、すべての共通エリアに対する対応付け処理が終了するまで、上記ステップS154~S160による対応付け処理を繰り返す。
【0066】
(4)生産状況の予測
サーバ装置SVの制御部は、ステップS16において、例えば季節毎または月ごとに設定された生産状況予測タイミングを監視する。そして、予測タイミングになると、生産状況予測処理部14の制御の下、ステップS17において以下のような生産状況の予測処理を実行する。例えば、生産状況予測処理部14は、共有エリア毎に、短期、中期または長期の気象予報情報を気象データベースWSから取得し、取得された気象予報情報に基づいて農産物の生育状況等を予測する。そして、予測結果を共通エリアIDを示すE1,E2,E3,…に紐付けて予測情報記憶部34に記憶する。
【0067】
(5)購買推奨情報の生成と配信
サーバ装置SVの制御部1は、ステップS18において、消費者に対する購買推奨情報のレコメンドタイミングを監視する。この場合のレコメンドのタイミングは、例えば2~3日単位、または1週間単位というように一定の周期で設定される。なお、消費者に対するレコメンドタイミングは、例えば消費者毎にその購買履歴情報をもとに過去の購買タイミングから次の購買タイミングを予測し、予測された次の購買タイミングになる前の適切なタイミングに設定されるようにしてもよい。
【0068】
消費者に対するレコメンドタイミングになると、サーバ装置SVの制御部1は、購買推奨情報生成処理部の制御の下、ステップS19において以下のように購買推奨情報の生成処理を実行する。
【0069】
図12は、購買推奨情報生成処理部15による購買推奨情報生成処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0070】
購買推奨情報生成処理部15は、先ずステップS190により、会員登録された複数の消費者の消費者IDを1つ選択する。そして、ステップS191において、選択された消費者IDに紐付けられた消費者情報から購買履歴情報を読み込むと共に、ステップS192において、選択された上記消費者IDに紐付けられた購買推奨情報を読み込む。続いて購買推奨情報生成処理部15は、ステップS193において、読み込まれた上記購買履歴情報および購買推奨情報をもとに、例えば当該消費者による過去の購入頻度が高い生産物や、過去に推奨した生産物またはそれに類似または関連する生産物を、推奨生産物として選択する。なお、過去に購買履歴または推奨履歴のない生産物を推奨生産物としてあえて選択するようにしてもよい。
【0071】
次に購買推奨情報生成処理部15は、ステップS194において、上記消費者と同一エリアに存在する生産者を、対応付け情報記憶部33に記憶された対応付け情報をもとに抽出する。そして、ステップS195において、抽出された上記生産者の中から上記推奨生産物を生産している生産者を選択する。この推奨生産物の生産者の選択は、生産者情報記憶部32に記憶されている、対象となる各生産者の生産物属性情報をもとに行われる。
【0072】
続いて購買推奨情報生成処理部15は、ステップS196において、選択された上記生産者に対する上記消費者の意見情報を消費者情報記憶部31から読み込む。さらに、選択された上記生産者が複数の場合には、上記意見情報に含まれる評価をもとに上記複数の生産者を例えばランキング付けして、このランキング順にソートする。
【0073】
次に購買推奨情報生成処理部15は、ステップS197において、上記推奨生産物を表す情報と、上記生産者に対する意見情報と、上記ランキングに従いソートされた生産者の一覧を表す情報とを含む購買推奨情報を生成する。そして、生成された上記購買推奨情報を消費者IDと関連付けて購買推奨情報記憶部35に記憶させる。
【0074】
なお、上記共通エリアにおける生産状況の予測結果をもとに、近い将来生産が減少する可能性のある生産物や、生産が活発になる生産物を推定し、これらの推定結果に基づいて購入推奨生産物を選択し、この情報を購買推奨情報に含めるようにしてもよい。このようにすると、消費者は生産物を品不足により価格が高くなる前に、または出荷が増えることで価格が下がる時期まで待ってから購入することが可能となる。
【0075】
サーバ装置SVの制御部1は、上記購買推奨情報が生成されると、配信処理部17の制御の下、ステップS198において、購買推奨情報記憶部35から上記購買推奨情報を読み出し、当該購買推奨情報を、消費者情報記憶部31に記憶されているアドレス情報をもとに、対応する消費者端末に向け通信I/F4から配信する。
【0076】
そうして1人の消費者に対する購買推奨情報の配信が終了すると、購買推奨情報生成処理部15は、最後にステップ199により未選択の消費者が残っているか否かを判定する。そして、未選択の消費者が残っていればステップS190に戻って次の消費者を選択し、ステップS191~S198により購買推奨情報の生成および配信処理を行う。以後、未選択の生産者がなくなるまで、ステップS190~S199による処理が繰り返し実行される。
【0077】
(6)生産推奨情報の生成と配信
サーバ装置SVの制御部1は、ステップS18において、生産者に対する生産推奨情報のレコメンドタイミングを監視する。この場合のレコメンドのタイミングは、例えば月単位、または季節単位に設定される。なお、レコメンドタイミングは、例えば消費者からの意見情報をもとに生産物に対するリクエスト数がしきい値を超えた場合や、また例えば生産者情報の生産物属性情報に記載される生産物の植え付け時期と、天気予報情報と等を考慮して、適応的に設定されてもよい。
【0078】
レコメンドタイミングになると、サーバ装置SVの制御部1は、生産推奨情報生成処理部16の制御の下、ステップS20において以下のように生産推奨情報の生成処理を実行する。
【0079】
図13は、生産推奨情報生成処理部16による生産推奨情報生成処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0080】
生産推奨情報生成処理部16は、先ずステップS200により、会員登録された複数の生産者の生産者IDを1つ選択する。そして、ステップS201において、対応付け情報記憶部33に記憶された対応付け情報をもとに、選択された上記生産者と同一の共有エリアに存在する消費者を漏れなく選択する。
【0081】
次に生産推奨情報生成処理部16は、ステップS202により、選択された上記各消費者の消費者IDに紐付けられた消費者情報から購買履歴情報および意見情報を読み込むと共に、ステップS203により、選択された上記消費者IDに紐付けられた購買推奨情報を購買推奨情報記憶部35から読み込む。さらにステップS204により、上記生産者が存在する共有エリアに係る生産状況の予測結果を予測情報記憶部34から読み込む。
【0082】
続いて生産推奨情報生成処理部16は、ステップS205において、読み込まれた上記購買履歴情報、意見情報および購買推奨情報をもとに、例えば消費者による購買実績が高い、またはリクエストが多い生産物を、生産を推奨する生産物として選択する。またそれに加え、上記生産状況の予測結果をもとに、例えば今後の気候の特徴や変動等に適合する生産物を、推奨生産物として選択する。そして、選択された生産物名と、当該生産物の推奨理由とを含む生産推奨情報を生成し、生成された生産推奨情報を生産者IDと紐付けて生産推奨情報記憶部36に記憶させる。なお、生産推奨情報には、選択された上記生産物の購入頻度の高い消費者や、当該生産物に対しリクエストを行った消費者の一覧情報を、さらに含めるようにしてもよい。
【0083】
サーバ装置SVの制御部1は、上記生産推奨情報が生成されると、配信処理部17の制御の下、ステップS206において、生産推奨情報記憶部36から上記生産推奨情報を読み出し、当該生産推奨情報を、生産者情報記憶部32に記憶されているアドレス情報をもとに、対応する生産者端末に向け通信I/F4から配信する。
【0084】
そうして1人の生産者に対する生産推奨情報の配信が終了すると、生産推奨情報生成処理部16は、最後にステップ207により未選択の生産者が残っているか否かを判定する。そして、未選択の生産者が残っていればステップS200に戻って次の生産者を選択し、ステップS201~S206により生産推奨情報の生成および配信処理を行う。以後、未選択の生産者がなくなるまで、ステップS200~S207による処理が繰り返し実行される。
【0085】
(作用・効果)
以上述べたように一実施形態では、消費者毎にその消費者情報を取得すると共に、生産者毎にその生産者情報を取得し、取得された消費者情報および生産者情報にそれぞれ含まれる居住地および生産地の位置情報をもとに、同一の共有エリア内に存在する消費者および生産者をそれぞれ抽出して相互に対応付け保存する。そして、消費者毎に、その消費者情報に含まれる購買履歴情報をもとに購入を推奨する生産物を選択すると共に、当該消費者と同一の共有エリア内で上記推奨生産物を生産する生産者を選択し、選択された上記推奨生産物名および生産者名を含む購買推奨情報を生成して、生成された購買推奨情報を上記消費者に向け配信する。また、生産者毎に、当該生産者と同一の共有エリアに居住する消費者を選択して、当該消費者の購買履歴情報および意見情報をもとに生産を推奨する生産物を選択し、当該生産物名とその推奨理由を含む生産推奨情報を生成して、生成された生産推奨情報を上記生産者に向け配信するようにしている。
【0086】
従って、共有エリア毎に、当該共有エリアに在住する消費者に対し、同一の共有エリア内で生産される生産物とその生産者を表す購買推奨情報が配信されるので、消費者は配信された購買推奨情報をもとに、同一の共有エリア内で生産される地元の鮮度の高い生産物を積極的に購入することが可能となる。
【0087】
一方、生産者には、同一の共有エリアに居住する消費者の購買履歴や意見情報等に基づいて選択された生産物の生さんを推奨する情報が配信される。このため、生産者は、配信された生産推奨情報を参考に、地元の消費者の購入頻度が高くまたリクエストの多い生産物を積極的に生産し供給することが可能となる。すなわち、生産者にとっては、共有エリア内の消費者を主たる供給先として生産物を生産し出荷することが可能となるので、生産物の鮮度保持や物流に係るコストの抑制に繋がり、きわめて有益である。
【0088】
また、共有エリアのサイズを、生産物毎にその消費期限をもとに可変設定したり、また生産者が利用する物流手段の物流速度をもとに可変設定したり、さらには気象予報情報に基づく輸送時間の変動等を考慮して可変設定するようにしている。この結果、生産物の消費期限、物流速度または気象予報に応じて、共有エリアのサイズを適応的に常に最適なサイズに設定することができ、これにより生産物をその鮮度を常に高く維持した状態で流通させることが可能となる。
【0089】
さらに、気象予報情報をもとに共有エリア毎に生産状況を予測し、その予測結果に基づいて生産を推奨する生産物を選択し、生産者に配信することで、生産者は地域内の消費者からの要望だけでなく、当該地域における気候変動等も考慮して、適切な生産物を選択することが可能となる。
【0090】
[その他の実施形態]
前記一実施形態では、生産物情報管理処理をサーバ装置SVで行う場合を例にとって説明した。しかし、この発明はこれに限らず、生産物情報管理処理を、消費者端末、生産者端末または販売者のPOS端末等において行うようにしてもよく、さらには生産物情報管理処理をサーバ装置、消費者端末、生産者端末およびPOS端末で分散処理するようにしてもよい。
【0091】
また、共有エリア毎の物流手段の物流速度については、物流業者のホームページなどから取得するようにしてもよく、さらに共有エリア毎の最適な物流手段を選択し、その情報を生産推奨情報に含めて生産者に提供するようにしてもよい。
【0092】
さらに、サーバ装置SVにおいて行われる、購入推奨生産物の推定から推奨生産物を生産する生産者を選択、購買推奨情報の生成までの一連の処理、および生産推奨情報を生成する処理を、学習モデルを用いて行うようにしてもよい。
【0093】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0094】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0095】
SV…サーバ装置
UT1~UTn…消費者端末
FT1~FTm…生産者端末
PT1~PTk…POS端末
WS…気象データベース
NW…ネットワーク
1…制御部
2…プログラム記憶部
3…データ記憶部
4…通信I/F
5…バス
11…消費者情報取得処理部
12…生産者情報取得処理部
13…対応付け処理部
14…生産状況予測処理部
15…購買推奨情報生成処理部
16…生産推奨情報生成処理部
17…配信処理部
31…消費者情報記憶部
32…生産者情報記憶部
33…対応付け情報記憶部
34…予測情報記憶部
35…購買推奨情報記憶部
36…生産推奨情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13