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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】電子レンジ用調理器具及び電子レンジ
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/02 20060101AFI20240708BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
F24C7/02 551N
F24C7/02 551M
F24C7/02 551E
A47J27/00 107
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021038307
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138427
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】石井 琢也
(72)【発明者】
【氏名】金井 孝博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義治
(72)【発明者】
【氏名】稗田 雅則
(72)【発明者】
【氏名】椋田 朋訓
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-078302(JP,A)
【文献】特開2004-239465(JP,A)
【文献】特開2007-139226(JP,A)
【文献】米国特許第4906806(US,A)
【文献】特開2006-052932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C7/02
A47J27/00,36/02
H05B6/64-6/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジの加熱室内に着脱可能に支持されるプレートと、
前記プレートの下面に設けられた支持機構と、
前記加熱室の底面と間隔をあけて位置するように、前記支持機構に着脱可能に支持される容器と
を備え、
前記容器は、
マイクロ波透過体からなる有底筒状の容器本体と、
前記容器本体よりも比重が軽い材料からなり、前記容器本体に取り付けられて前記支持機構に装着される装着部材と
を有する、電子レンジ用調理器具。
【請求項2】
前記容器本体はガラス製又はセラミック製である、請求項1に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項3】
前記加熱室の前記底面は、第1方向、及び前記第1方向と交差する第2方向に延びており、
前記支持機構は、前記底面と対向して前記第1方向へ延びるとともに、前記第2方向に間隔をあけて設けられた一対の支持部を有し、
前記容器本体は、前記第1方向から見て、前記一対の支持部の対向した内端間よりも小さい外形のフランジ部を有し、
前記装着部材は、
前記一対の支持部上に載置されるとともに、前記フランジ部の下側に配置されて前記フランジ部を保持する樹脂製の保持部材と、
前記フランジ部の上側に配置されて前記保持部材に連結された樹脂製のカバーと
を有する、請求項1又は2に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項4】
前記保持部材と前記カバーは、連結部材によって連結されている、請求項3に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項5】
前記保持部材と前記カバーは、前記保持部材及び前記カバーのうち一方に設けられた係止孔と、前記保持部材及び前記カバーのうち他方に設けられて前記係止孔の孔縁に係止する係止片とによって、分離可能に連結されている、請求項3に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項6】
前記加熱室の前記底面は、第1方向、及び前記第1方向と交差する第2方向に延びており、
前記支持機構は、前記底面と対向して前記第1方向へ延びるとともに、前記第2方向に間隔をあけて設けられた一対の支持部を有し、
前記容器本体は、前記容器本体の外周部から一様な寸法で突出し、前記第1方向から見て、前記一対の支持部の対向した内端間よりも大きい外形のフランジ部を有し、
前記装着部材は、前記フランジ部の下面から上面まで覆うゴム製のカバーからなる、請求項1又は2に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項7】
前記プレートはマイクロ波反射体からなる、請求項1から6のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項8】
前記支持機構と前記装着部材はいずれもマイクロ波透過体からなる、請求項1から7のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理器具。
【請求項9】
電子レンジ本体と、
請求項1から8のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理器具と
を備える、電子レンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ用調理器具及び電子レンジに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、調理物を収容した容器を電子レンジの加熱室内において加熱室の底面から浮かせて配置することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-139226号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示の技術は、電子レンジによる調理物の加熱を、調理物に応じて適切に制御することに関して改善の余地がある。
【0005】
本発明は、電子レンジによる調理物の加熱を、調理物に応じて適切に制御することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において、電子レンジという用語は、特に言及する場合を除き、オーブンとしての機能を有するもの(オーブンレンジ)、及びグリルとしての機能を有するものを含む。
【0007】
本発明の一態様は、電子レンジの加熱室内に着脱可能に支持されるプレートと、前記プレートの下面に設けられた支持機構と、前記加熱室の底面と間隔をあけて位置するように、前記支持機構に着脱可能に支持される容器とを備え、前記容器は、マイクロ波透過体からなる有底筒状の容器本体と、前記容器本体よりも比重が軽い材料からなり、前記容器本体に取り付けられて前記支持機構に装着される装着部材とを有する、電子レンジ用調理器具を提供する。
【0008】
プレート、支持機構、容器の設計により、加熱室の底面と容器の底面との間の間隔を設定できるため、電子レンジによる調理物の加熱を、調理物に応じて適切に制御できる。容器は容器本体よりも比重が軽い材料からなる装着部材を備えるため、支持機構に取り付けるための構成(装着部材)を具備させることによる容器の重量化を抑制できる。
【0009】
前記容器本体はガラス製又はセラミック製である。
【0010】
ガラス製又はセラミック製の容器本体は、樹脂製の容器と比較して、傷つき、臭い残り、及び耐久性の点で優位である。よって、ユーザの利便性を向上できる。
【0011】
前記加熱室の前記底面は、第1方向、及び前記第1方向と交差する第2方向に延びており、前記支持機構は、前記底面と対向して前記第1方向へ延びるとともに、前記第2方向に間隔をあけて設けられた一対の支持部を有し、前記容器本体は、前記第1方向から見て、前記一対の支持部の対向した内端間よりも小さい外形のフランジ部を有し、前記装着部材は、前記一対の支持部上に載置されるとともに、前記フランジ部の下側に配置されて前記フランジ部を保持する樹脂製の保持部材と、前記フランジ部の上側に配置されて前記保持部材に連結された樹脂製のカバーとを有する。
【0012】
容器本体は一対の支持部の内端間よりも小さく、装着部材はそれぞれ樹脂製の保持部材とカバーを有するため、容器全体をガラス製又はセラミック製とする場合と比較して、容器の重量を軽量化できる。樹脂製の装着部材は金型によって成形できるため、容器本体及び支持機構に対する寸法精度を確保できる。
【0013】
前記保持部材と前記カバーは、連結部材によって連結されている。
【0014】
連結部材によって保持部材とカバーが連結されるため、容器本体に装着部材を強固に取り付けることができる。そのため、容器の取扱性を向上できる。
【0015】
前記保持部材と前記カバーは、前記保持部材及び前記カバーのうち一方に設けられた係止孔と、前記保持部材及び前記カバーのうち他方に設けられて前記係止孔の孔縁に係止する係止片とによって、分離可能に連結されている。
【0016】
係止孔の孔縁への係止片の係止によって保持部材とカバーが連結されるため、別部品からなる連結部材は不要である。そのため、部品点数を削減できるとともに、容器本体に対する装着部材の取付作業を簡素化できる。また、係止片を操作して保持部材への係止を解除することで、保持部材及びカバーを容器本体から取り外すこともできる。よって、容器本体及び装着部材の清掃性を向上できる。
【0017】
前記加熱室の前記底面は、第1方向、及び前記第1方向と交差する第2方向に延びており、前記支持機構は、前記底面と対向して前記第1方向へ延びるとともに、前記第2方向に間隔をあけて設けられた一対の支持部を有し、前記容器本体は、前記容器本体の外周部から一様な寸法で突出し、前記第1方向から見て、前記一対の支持部の対向した内端間よりも大きい外形のフランジ部を有し、前記装着部材は、前記フランジ部の下面から上面まで覆うゴム製のカバーからなる。
【0018】
容器本体のフランジ部が外周部から一様の寸法で突出するため、支持機構に容器を装着するために容器本体に必要な部分を最小限に抑えることができる。言い換えれば、支持部に沿うように四角形状のフランジ部を容器本体に形成する場合と比較して、容器の重量を軽量化できる。フランジ部はゴム製のカバーで覆われるため、支持機構への着脱に伴う容器本体の傷つきを防止できる。しかも、ゴム製のカバーはフランジ部への着脱が容易なため、フランジ部及びカバーの清掃性を向上できる。
【0019】
前記プレートはマイクロ波反射体からなる。
【0020】
マイクロ波反射体からなるプレートよって、電子レンジの加熱室内は2つの空間に仕切られる。これらの空間のうち、電子レンジのマイクロ波発生源が位置している方がマイクロ波による加熱対象の空間(加熱空間)となり、マイクロ波発生源が位置していない方がマイクロ波による加熱対象とならない空間(非加熱空間)となる。加熱空間でのみマイクロ波が加熱に供されるので、調理物を効率よく加熱できる。
【0021】
前記支持機構と前記装着部材はいずれもマイクロ波透過体からなる。
【0022】
いずれもマイクロ波透過体からなる支持機構と装着部材をマイクロ波が透過して容器の上側に回り込むため、調理物を全体から加熱できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の電子レンジ用調理器具では、電子レンジによる調理物の加熱を、調理物に応じて適切に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係る電子レンジ用調理器具と電子レンジの斜視図。
図2】本発明の第1実施形態に係る電子レンジ用調理器具と電子レンジの正面図。
図3】本発明の第1実施形態に係る電子レンジ用調理器具と電子レンジの分解斜視図。
図4図1のIV-IV線での模式的な断面図。
図5A】プレートの上方から見た斜視図。
図5B】プレートの下方から見た斜視図。
図6図4の容器の分解斜視図。
図7図4のVII部分の拡大断面図。
図8】本発明の第2実施形態に係る電子レンジ用調理器具の図7と同様の部分での拡大断面図。
図9】本発明の第3実施形態に係る電子レンジ用調理器具と電子レンジの図4と同様の部分での模式的な断面図。
図10図9のX部分の拡大断面図。
図11図9の容器の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1から図4は、本発明の第1実施形態に係る電子レンジ用調理器具10(以下、単に調理器具10という)と、調理器具10が使用される電子レンジ1を示す。
【0027】
図1から図4を参照すると、電子レンジ1は、図1において手前側が開口となっている直方体状の空間である加熱室3を備える電子レンジ本体2と、加熱室3の開口を開放可能に塞ぐ扉4とを備える。加熱室3の左右の側壁には、前後方向へ水平に延びる一対の概ね直線状のガイドレール(第1支持機構)5が設けられている。電子レンジ本体2には、加熱室3の底壁にマグネトロン6が備えられている。
【0028】
調理器具10は、加熱室3内に着脱可能に支持されるプレート11と、プレート11に着脱可能に支持される容器21とを備える。
【0029】
図5A及び図5Bを参照すると、プレート11は、平面視で長方形状のプレート本体12と、プレート本体12の中央から図5Aにおいて上向きに膨出するドーム状部13とを備える。また、プレート11は、プレート本体12の図5Aにおいて下面に幅方向へ間隔をあけて設けられた概ね直線状で一対の吊り下げレール(第2支持機構)14を備える。
【0030】
個々の吊り下げレール14は、プレート11に接合された台座部14aと、台座部14aから図5Aにおいて下方に延びる垂下部14bと、垂下部14bの下端から加熱室3の幅方向内側へ突出する支持部14cとを備える。本実施形態では、吊り下げレール14はマイクロ波透過体(例えば樹脂)からなる。
【0031】
図3及び図4を参照すると、容器21は、調理物が収容される有底筒状の容器本体22と、容器本体22の上端から広がる装着部材23を備える。
【0032】
容器本体22に調理物が収容された容器21は、装着部材23の両側がプレート11の吊り下げレール14に差し込まれることで、吊り下げレール14に着脱可能に支持される。具体的には、容器21の装着部材23は、吊り下げレール14の支持部14c上に載置されることで、吊り下げレール14に支持される。プレート11に容器21が支持されている状態では、容器本体22の上部とプレート11のドーム状部13が対向している。プレート11とそれに支持された容器21は、加熱室3の開口から加熱室3内に収容される。プレート本体12の両側がガイドレール5上に載置されることで、プレート11が加熱室3内に支持される。
【0033】
本実施形態では、プレート11は、プレート本体12とドーム状部13を含む全体がマイクロ波反射体からなる。例えば、プレート本体12とドーム状部13を金属製とすることで、これらをマイクロ波反射体とすることができる。また、本実施形態では、容器21の全体がマイクロ波透過体からなる。例えば、容器本体22をガラス製又はセラミック製とし、装着部材23を樹脂製とすることで、容器21全体をマイクロ波透過体とすることができる。
【0034】
ガイドレール5の加熱室3での高さ位置、プレート11の形状、吊り下げレール14の垂下部14bの長さ、及び容器21の高さは、加熱室3の底面と容器本体22の底面との間に間隔が設けられるように設定されている。
【0035】
マグネトロン6からのマイクロ照射により調理物の加熱の際、マグネトロン6が配置されている加熱室3の底面と容器本体22の底面との間に間隔が設けられるので、容器本体22の底部において調理物が局部加熱されるのを回避できる。また、同じ容器21を使用する場合でも、吊り下げレール14の設計、より具体的には吊り下げレール14の垂下部14bの長さを変更することで、加熱室3の底面と容器本体22の底面との間の間隔を調節できるので、電子レンジ1による調理物の加熱を、調理物に応じて適切に制御できる。加熱室3の底面と容器本体22の底面との間の間隔は、ガイドレール5の設計(例えば、加熱室3におけるガイドレール5の設置高さ)や、プレート11の設計(例えば、ガイドレール5からプレート11の下面までの距離)によっても調節できる。
【0036】
電子レンジ1の加熱室3は、全体がマイクロ波反射体であるプレート11より上下方向に2つの空間に仕切られる。これらの空間のうち、マグネトロン6が位置している下方の空間がマイクロ波による加熱対象の空間(加熱空間A)となり、マグネトロン6が位置していない上方の空間がマイクロ波による加熱対象とならない空間(非加熱空間B)となる。加熱空間Aでのみマイクロ波が加熱に供されるので、調理物を効率より加熱できる。
【0037】
形状、寸法等の異なる複数のプレート11を準備し、それらの内のいずれかを選択して使用することで、調理物に応じた適切な加熱を行うことができる。
【0038】
吊り下げレール14と装着部材23はいずれもマイクロ波透過体からなるので、加熱室3の底面に配置されたマグネトロン6から照射されたマイクロ波が、吊り下げレール14と装着部材23を透過して容器21の上側に回り込むことができる。そのため、マイクロ波を効率良く調理物の上面に入射させ、容器本体22内に収容された調理物の上面を効果的に加熱できる。言い換えれば、吊り下げレール14と装着部材23をマイクロ波透過体とすることで、調理物を全体から加熱できる。
【0039】
次に、容器本体22と装着部材23について、より具体的に説明する。
【0040】
まず、図1から図4を参照すると、加熱室3の底面3aは、前後方向(第1方向)X及び幅方向(第2方向)Yに延びている。
【0041】
図4図5A及び図5Bを参照すると、前述のように、吊り下げレール14は、プレート11に対して幅方向Yに間隔をあけて一対設けられており、それぞれ台座部14a、垂下部14b及び支持部14cを備える。そのうち、支持部14cは、加熱室3の底面3aと対向するようにXY平面に沿って延びており、幅方向Yを短辺とし、前後方向Xを長辺とする帯状である。幅方向Yに対向する一対の支持部14cの内端14dは、互いに間隔D1をあけて位置する。
【0042】
図4及び図6を参照すると、容器21が備える容器本体22は、ガラス製又はセラミック製で、上端が開口し、平面視が概ね円形の有底筒状である。容器本体22は、一対の支持部14cの内端14d間の間隔D1よりも外径Rが小さいフランジ部22bを有する。
【0043】
但し、容器本体22は、例えば平面視で四角形状であってもよい。この場合、フランジ部22bは、容器本体22の外周部22aからXY平面に沿って一様に突出する構成とし、フランジ部22bの外形は、前後方向Xから見て、一対の支持部14cの内端14d間の間隔D1よりも小さくすればよい。言い換えれば、フランジ部22bの外形は、吊り下げレール14への装着状態で、一対の支持部14cの内端14d間と対応する部分が間隔D1よりも小さければ、例えば対角方向の寸法は内端14d間の間隔D1よりも大きてもよい。
【0044】
図3及び図4を参照すると、容器21が備える装着部材23は、容器本体22とは別体で、容器本体22よりも比重が軽い材料からなり、容器本体22のフランジ部22bに取り付けられて、吊り下げレール14に装着される。図6及び図7を参照すると、装着部材23は、フランジ部22bの下側に配置される樹脂製の保持部材24と、フランジ部22bの上側に配置される樹脂製のカバー25とを備える。
【0045】
引き続いて図6及び図7を参照すると、保持部材24は、高さ方向Zの上側から見て概ね四角形状の板体であり、フランジ部22bを保持し、一対の支持部14c上に載置される。幅方向Yにおいて、保持部材24の横幅Wは、一対の支持部14c間の間隔D1よりも大きく、一対の支持部14cの最大寸法である一対の垂下部14b間の間隔D2よりも小さい。
【0046】
保持部材24には、容器本体22の外周部22aの外径よりも大きく、フランジ部22bの外径Rよりも小さい直径の取付孔24aが設けられている。保持部材24の外周には、下向きに突出するリブ24bが設けられている。断面半円形状をなすリブ24bの先端が支持部14c上に載置される。保持部材24のうち、差込方向の先端である後側隅部には、所定曲率の面取り部24cが設けられている。保持部材24のうち、差込方向の後端である前部には、高さ方向Zに突出する取っ手24dが設けられている。
【0047】
引き続いて図6及び図7を参照すると、カバー25は、フランジ部22bの上面を覆う円環状の上面部25aと、上面部25aの外端から下向きに突出する外筒部25bと、上面部25aの内端から下向きに突出する内筒部25cとを備える。上面部25aの内径はフランジ部22bの内径よりも小さく、上面部25aの外径はフランジ部22bの外径よりも大きい。外筒部25bはフランジ部22bの径方向外側に間隔をあけて位置し、下端が保持部材24の上面に当接している。内筒部25cは、容器本体22の内周面に圧接されている。
【0048】
保持部材24とカバー25は、連結部材を構成するネジ26とナット27によって連結されている。ネジ26とナット27は、保持部材24とカバー25に対して周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では4箇所)に配置されている。ネジ26とナット27は、金属製であってもよいが、マイクロ波透過体である樹脂製であることが好ましい。
【0049】
上方から容器本体22を取付孔24aに差し込み、フランジ部22bを保持部材24上に配置した後、フランジ部22bの上側にカバー25を配置する。その後、保持部材24とカバー25の貫通孔に上方からネジ26を貫通させて、保持部材24の下側に配置したナット27にネジ26を締め付ける。これにより、容器本体22に対して保持部材24とカバー25が一体に取り付けられる。
【0050】
このように構成した調理器具10は、以下の特徴を有する。
【0051】
容器21は、容器本体22よりも比重が軽い材料からなる装着部材23を備えるため、吊り下げレール14に取り付けるための構成(装着部材23)を具備させることによる容器21の重量化を抑制できる。
【0052】
ガラス製又はセラミック製の容器本体22は、樹脂製の容器21と比較して、傷つき、臭い残り、及び耐久性の点で優位である。よって、ユーザの利便性を向上できる。
【0053】
容器本体22は一対の支持部14cの内端14d間よりも小さく、装着部材23はそれぞれ樹脂製の保持部材24とカバー25を有するため、容器21全体をガラス製又はセラミック製とする場合と比較して、容器21の重量を軽量化できる。樹脂製の装着部材23は金型によって成形できるため、容器本体22及び吊り下げレール14に対する寸法精度を確保できる。
【0054】
連結部材であるネジ26とナット27によって保持部材24とカバー25が連結されるため、容器本体22に装着部材23を強固に取り付けることができる。そのため、容器21の取扱性を向上できる。
【0055】
以下、他の実施形態を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は第1実施形態と同様である。以下で言及する図面において、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0056】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の調理器具10の一部を示す。第2実施形態の調理器具10は、容器本体22と装着部材23とを備える。そのうち、装着部材23は保持部材24とカバー25を有し、これらが係止孔30の孔縁への係止片31の係止によって連結されている点で、第1実施形態と相違する。
【0057】
図8を参照すると、係止孔30は、平面視で矩形状であり、保持部材24に間隔をあけて複数設けられている。係止片31は、弾性的に変形可能な腕部31aと、係止孔30の孔縁に係止する爪部31bとを備え、係止孔30と対応するように、カバー25の上面部25aから下向きに突出している。但し、係止孔30をカバー25に設け、係止片31を保持部材24に設けてもよい。
【0058】
上方から容器本体22を取付孔24aに差し込み、フランジ部22bを保持部材24上に配置した後、フランジ部22bの上側にカバー25を配置する。その後、保持部材24に向けてカバー25を押圧することで、係止片31を係止孔30に貫通させ、係止孔30の孔縁に爪部31bを係止する。これにより、容器本体22に対して保持部材24とカバー25が一体に取り付けられる。
【0059】
第2実施形態の調理器具10では、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。しかも、係止孔30の孔縁への係止片31の係止によって保持部材24とカバー25が連結されるため、別部品からなる連結部材(図7に示すネジ26とナット27)は不要である。そのため、部品点数を削減できるとともに、容器本体22に対する装着部材23の取付作業を簡素化できる。また、係止片31を操作して保持部材24への係止を解除することで、保持部材24及びカバー25を容器本体22から取り外すこともできる。よって、容器本体22及び装着部材23の清掃性を向上できる。
【0060】
(第3実施形態)
図9及び図10は第3実施形態の調理器具10を用いた電子レンジ1を示す。第3実施形態の調理器具10は、容器本体22と装着部材23とを備える。そのうち、装着部材23は、マイクロ波透過体であるシリコーンゴム製のカバー34によって構成された点で、第1実施形態と相違する。
【0061】
図9及び図10を参照すると、一対の吊り下げレール14は、第1実施形態と同様に、XY平面に沿って延びる支持部14cをそれぞれ備える。一対の支持部14c間の間隔はD1であり、一対の支持部14cの最大寸法、つまり一対の垂下部14b間の間隔はD2である。
【0062】
図10及び図11を参照すると、容器本体22は、外周部22aから一様な寸法(例えば20mm)で突出するフランジ部22bを備える。フランジ部22bの外径Rは、一対の支持部14cの内端14d間の間隔D1よりも大きく、一対の垂下部14b間の間隔D2よりも小さい。但し、容器本体22は、第1実施形態と同様に、例えば平面視で四角形状であってもよく、この場合、フランジ部22bの外形は、吊り下げレール14への装着状態で、前後方向Xから見て、一対の支持部14cの内端14d間の間隔D1よりも大きくすればよい。
【0063】
カバー34は、厚みが1.5mm~2.0mm程度のゴムシートからなり、フランジ部の下面から上面まで覆う。具体的には、カバー34は、フランジ部22bの下面を覆う下被覆部34aと、フランジ部22bの外面を覆う外被覆部34bと、フランジ部22bの上面を覆う上被覆部34cと、容器本体22の内周面を覆う内被覆部34dとを備える。カバー34は、例えば下被覆部34a、外被覆部34b、上被覆部34c及び内被覆部34dの順で、フランジ部22bに径方向外側から被せることで、フランジ部22bに取り付けられる。
【0064】
第3実施形態の調理器具10では、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。しかも、容器本体22のフランジ部22bが外周部22aから一様の寸法で突出するため、吊り下げレール14に容器21を装着するために容器本体22に必要な部分を最小限に抑えることができる。言い換えれば、支持部14cに沿うように四角形状のフランジ部を容器本体22に形成する場合と比較して、容器21の重量を軽量化できる。
【0065】
フランジ部22bはゴム製のカバー34で覆われるため、吊り下げレール14への着脱に伴う容器本体22の傷つきを防止できる。しかも、ゴム製のカバー34はフランジ部22bへの着脱が容易なため、フランジ部22b及びカバー34の清掃性を向上できる。
【0066】
なお、本発明の電子レンジ用調理器具10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 電子レンジ
2 電子レンジ本体
3 加熱室
3a 底面
4 扉
5 ガイドレール
6 マグネトロン
10 電子レンジ用調理器具
11 プレート
12 プレート本体
13 ドーム状部
14 吊り下げレール(支持機構)
14a 台座部
14b 垂下部
14c 支持部
14d 内端
21 容器
22 容器本体
22a 外周部
22b フランジ部
23 装着部材
24 保持部材
24a 取付孔
24b リブ
24c 面取り部
24d 取っ手
25 カバー
25a 上面部
25b 外筒部
25c 内筒部
26 ネジ(連結部材)
27 ナット(連結部材)
30 係止孔
31 係止片
31a 腕部
31b 爪部
34 カバー
34a 下被覆部
34b 外被覆部
34c 上被覆部
34d 内被覆部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11