IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

特許7516309コンテンツ配信装置及びコンテンツ配信方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】コンテンツ配信装置及びコンテンツ配信方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/262 20110101AFI20240708BHJP
【FI】
H04N21/262
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021074126
(22)【出願日】2021-04-26
(62)【分割の表示】P 2019222165の分割
【原出願日】2019-12-09
(65)【公開番号】P2021114795
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2018230690
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】岩見 敬太
【審査官】富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-333568(JP,A)
【文献】国際公開第2010/109860(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPネットワークを経由してマルチキャスト伝送されたコンテンツを、受信装置に配信するコンテンツ配信システムに適用されるコンテンツ配信装置であって、
前記コンテンツの制御情報を解析して、前記コンテンツの開始点又は終了点を検出する解析部と、
前記開始点又は終了点に基づいて、前記コンテンツの受信開始又は受信終了を制御する管理部とを含み、
前記制御情報は、前記コンテンツの映像信号の切り替えタイミングを示すカウントアップ、カウントダウン、トリガのうちの少なくとも1つを含み、
前記制御情報は、IPデカプセルによるデカプセル後のメディア情報に含まれ、
前記解析部は、前記カウントアップ、カウントダウン、トリガのうちの何れかに基づいて、前記コンテンツの開始点又は終了点を検出することを特徴とする、コンテンツ配信装置。
【請求項2】
IPネットワークを経由してマルチキャスト伝送されたコンテンツを、受信装置に配信するコンテンツ配信システムに適用されるコンテンツ配信装置であって、
前記コンテンツの制御情報を解析して、前記コンテンツの開始点又は終了点を検出する解析部と、
前記開始点又は終了点に基づいて、前記コンテンツの受信開始又は受信終了を制御する管理部とを含み、
前記管理部による受信開始処理と、受信終了処理とを、前記コンテンツ毎に並列に実行することによって、コンテンツ配信における有効なデータの欠落または無効なデータの混入を回避し、シームレスなコンテンツ配信の切り替えを実行することを特徴とする、コンテンツ配信装置。
【請求項3】
IPネットワークを経由してマルチキャスト伝送されたコンテンツを、受信装置に配信するコンテンツ配信システムに適用されるコンテンツ配信方法であって、
前記コンテンツの制御情報を解析して、前記コンテンツの開始点又は終了点を検出するステップと、
前記開始点又は終了点に基づいて、前記コンテンツの受信開始又は受信終了を制御するステップとを含み、
前記制御情報は、前記コンテンツの映像信号の切り替えタイミングを示すカウントアップ、カウントダウン、トリガのうちの少なくとも1つを含み、
前記制御情報は、IPデカプセルによるデカプセル後のメディア情報に含まれ、
前記検出するステップでは、前記カウントアップ、カウントダウン、トリガのうちの何れかに基づいて、前記コンテンツの開始点又は終了点を検出することを特徴とする、コンテンツ配信方法。
【請求項4】
IPネットワークを経由してマルチキャスト伝送されたコンテンツを、受信装置に配信するコンテンツ配信システムに適用されるコンテンツ配信方法であって、
前記コンテンツの制御情報を解析して、前記コンテンツの開始点又は終了点を検出するステップと、
前記開始点又は終了点に基づいて、前記コンテンツの受信開始又は受信終了を制御するステップとを含み、
受信開始処理と、受信終了処理とを、前記コンテンツ毎に並列に実行することによって、コンテンツ配信における有効なデータの欠落または無効なデータの混入を回避し、シームレスなコンテンツ配信の切り替えを実行することを特徴とする、コンテンツ配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コンテンツ配信装置コンテンツ配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像や音声等のデジタルコンテンツ(以下、単にコンテンツと表記する)を、IP(Internet Protocol)ネットワークを使用して配信するコンテンツ配信システムが実現されている。コンテンツ配信システムは、映像や音声等を含むコンテンツ本体(以下、メディア情報と表記する場合がある)を、マルチキャスト方式により複数の受信側に配信する放送又は通信システムである。
【0003】
ここで、マルチキャスト方式では、例えば、IGMP(Internet Group Management Protocol)やMLD(Multicast Listener Discovery)と呼ばれる規約が定められている。IGMPやMLDによるマルチキャスト伝送を制御するため、ネットワーク管理コントローラが、IPネットワークに接続されたIPゲートウェイやルータ等のネットワーク機器を一元管理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-48430号公報
【文献】特開2009-165058号公報
【文献】国際公開WO2018/003540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IPネットワークを使用してコンテンツを配信するコンテンツ配信システムでは、ネットワーク管理コントローラは、コンテンツ配信スケジュールに基づいた時間指定により、コンテンツの配信終了や配信開始等を管理、制御する。このため、コンテンツの配信終了や配信開始時において、IPネットワーク上の伝送における遅延やジッタにより、当該コントローラの指定時間に対して実際上の伝送タイミングが遅れる、又は早まるような事態が発生する可能性がある。これにより、コンテンツの配信において、有効なデータの欠落または無効なデータの混入を引き起こすことがある。
【0006】
そこで、目的は、IPネットワーク上でのコンテンツ配信において、有効なデータの欠落または無効なデータの混入を回避し、メディア情報をシームレスに伝送できるコンテンツ配信装置及びコンテンツ配信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態のコンテンツ配信装置は、IPネットワークを経由してマルチキャスト伝送されたコンテンツを、受信装置に配信するコンテンツ配信システムに適用されるコンテンツ配信装置であって、コンテンツの制御情報を解析して、コンテンツの開始点又は終了点を検出する解析部と、開始点又は終了点に基づいて、コンテンツの受信開始又は受信終了を制御する管理部とを含み、制御情報は、コンテンツの映像信号の切り替えタイミングを示すカウントアップ、カウントダウン、トリガのうちの少なくとも1つを含み、制御情報は、IPデカプセルによるデカプセル後のメディア情報に含まれ、解析部は、カウントアップ、カウントダウン、トリガのうちの何れかに基づいて、コンテンツの開始点又は終了点を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に関するシステムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に関する送信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に関する受信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
図4図4は、第1の実施形態に関するIPパケットの一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に関するIP送信装置の構成例を示すブロック図である。
図6図6は、第1の実施形態に関するIP受信装置の構成例を示すブロック図である。
図7A図7Aは、第1の実施形態に関するコンテンツ配信開始時の送信側における処理を説明するためのフローチャートである。
図7B図7Bは、第1の実施形態に関するコンテンツ配信開始時の受信側における処理を説明するためのフローチャートである。
図8A図8Aは、第1の実施形態に関するコンテンツ配信終了時の送信側における処理を説明するためのフローチャートである。
図8B図8Bは、第1の実施形態に関するコンテンツ配信終了時の受信側における処理を説明するためのフローチャートである。
図9A図9Aは、第1の実施形態に関するコンテンツ配信の送信側における切り替え時の処理を説明するためのフローチャートである。
図9B図9Bは、第1の実施形態に関するコンテンツ配信の受信側における切り替え時の処理を説明するためのフローチャートである。
図10図10は、第1の実施形態の変形例を説明するためのブロック図である。
図11図11は、第1の実施形態の効果を説明するための図である。
図12図12は、第1の実施形態の効果を説明するための図である。
図13A図13Aは、第2の実施形態に関する送信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
図13B図13Bは、第2の実施形態に関する受信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
図14A図14Aは、第2の実施形態に関する送信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
図14B図14Bは、第2の実施形態に関する受信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
図15A図15Aは、第2の実施形態の変形例1に関するIP送信装置の構成例を示すブロック図である。
図15B図15Bは、第2の実施形態の変形例1に関するIP受信装置の構成例を示すブロック図である。
図16A図16Aは、第2の実施形態の変形例2に関する送信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
図16B図16Bは、第2の実施形態の変形例2に関する受信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
図17図17は、第3の実施形態における送信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
図18図18は、第3の実施形態における受信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
図19図19は、第3の実施形態におけるIP送信装置の構成例を示すブロック図である。
図20図20は、第3の実施形態におけるIP受信装置の構成例を示すブロック図である。
図21A図21Aは、第3の実施形態に関するコンテンツ配信の開始時の処理を説明するためのフローチャートである。
図21B図21Bは、第3の実施形態に関するコンテンツ受信の開始時の処理を説明するためのフローチャートである。
図22A図22Aは、第3の実施形態に関するコンテンツ配信の終了時の処理を説明するためのフローチャートである。
図22B図22Bは、第3の実施形態に関するコンテンツ受信の終了時の処理を説明するためのフローチャートである。
図23図23は、第4の実施形態における送信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
図24図24は、第4の実施形態における送信側のIPゲートウェイの別の構成例を示すブロック図である。
図25図25は、第4の実施形態の変形例1におけるIP送信装置の構成例を示す図である。
図26図26は、第4の実施形態の変形例2におけるIPゲートウェイの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して、実施形態を説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態のコンテンツ配信システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、当該システムは、IPネットワーク1を使用して、複数の送信装置2またはIP送信装置12から送出されるコンテンツを、マルチキャスト方式により複数の受信装置3またはIP受信装置14に配信する。各送信装置2またはIP送信装置12は、例えば映像配信サーバであり、デジタルの映像データ、音声データ、及び補助データ(これらを総称してメディア情報とする)をIPネットワーク1に送出する。
【0011】
当該システムは、IPネットワーク1に接続された複数のネットワーク機器として、送信側のIPゲートウェイ(IP-GW)11、IP送信装置12、受信側のIPゲートウェイ(IP-GW)13、IP受信装置14及びルータ15を有する。
【0012】
さらに、当該システムは、IPネットワーク1に接続された複数のネットワーク機器を管理、制御するネットワーク管理コントローラ10を有する。具体的には、ネットワーク管理コントローラ10は、IP-GW11、IP送信装置12、IP-GW13、IP受信装置14及びルータ15の情報を収集し、マルチキャストグループへの参加や脱退、及びコンテンツ配信スケジュールを管理、制御する。
【0013】
ルータ15は、IPネットワーク1を経由する、マルチキャスト方式によるデータ伝送を中継する装置である。ルータ15は、IP-GW11、IP送信装置12、IP-GW13、及びIP受信装置14のそれぞれとの間で、例えば、IGMP(Internet Group Management Protocol)や、MLD(Multicast Listener Discovery)のようなプロトコルを使用して通信し、マルチキャストにおける伝送経路のトラフィックを適切に管理する。
【0014】
図2は、送信側のIP-GW11の構成例を示すブロック図である。IP-GW11は、送信装置2から送出されるコンテンツをマルチキャスト方式により受信装置3及びIP受信装置14に配信するコンテンツ配信装置として機能し、図2に示すように、IP-GW11は、メディア情報受信部20、IPカプセル化部21、IPパケット出力部22、外部制御受信部23、メタ情報解析部24、マルチキャスト管理部25を含む。
【0015】
メディア情報受信部20は、送信装置2から送出されるメディア情報を受信して、IPカプセル化部21に転送する。IPカプセル化部21は、送信装置2からのメディア情報をIPカプセル化して、後述するヘッダ部を付加したIPパケット210を生成する。
【0016】
図4は、IPパケット210の一例を示す図である。図4に示すように、IPパケット210は大別して、ヘッダ部40~43とメディアペイロード44を有する。ヘッダ部は、IPヘッダ40、UDP(User Datagram Protocol)ヘッダ41、RTP(Real time Transport Protocol)ヘッダ42、及びメディアペイロードヘッダ43を含む。RTPヘッダ42及びメディアペイロードヘッダ43には、例えば、SMPTE(Society of Motion Picture and television Engineers)の規格(SMPTE ST2022-6)で規定されている制御情報が格納される。
【0017】
メディアペイロード44は、映像データ(ビデオストリーム)、音声データ(オーディオ)及びアンシラリ(ancillary)データを含むメディア情報の格納領域である。アンシラリデータとは、後述する補助データに相当する。補助データは、字幕データや、後述するように、例えばARIB(Association of Radio Industries and Business:電波産業会)の規格(ARIB STD-B39)で規定されている制御情報である。
【0018】
図2に戻って、IPパケット出力部22は、マルチキャスト管理部25の制御に応じて、IPパケットをIPネットワーク1に送出する。これにより、ルータ15は、IP-GW11から送出されるIPパケットを受信して、マルチキャストにより配信する。
【0019】
外部制御受信部23は、コンテンツの配信スケジュールに基づいて、ネットワーク管理コントローラ10から出力される送出開始指示又は送出終了指示を受信する。メタ情報解析部24は、外部制御受信部23により受信した送出開始指示又は送出終了指示に応じて、IPカプセル化部21から出力されるIPパケットに含まれるメタ情報を解析する。メタ情報とは、図4に示すように、RTPヘッダ42及びメディアペイロードヘッダ43に格納されている制御情報である。
【0020】
メタ情報解析部24は、当該メタ情報を解析し、メディア情報に含まれる映像データ等の境界情報、あるいは、そのタイミング情報を取得する。具体的には、RTPヘッダ42には、例えば、マーカビット(M)及びタイムスタンプ(timestamp)と呼ぶ制御情報が格納されている。マーカビット(M)は、例えば映像ストリームの開始、再開、終了等を示す情報であり、ある映像フレームの最後のIPパケットでは“1”がセットされる。タイムスタンプは時刻情報であり、メディア情報の先頭のサンプリング開始時間である。
【0021】
メタ情報解析部24は、当該マーカビット(M)及びタイムスタンプの組み合わせに基づいて、特定の映像フレームの境界を検出することが可能である。さらに、メディアペイロードヘッダ43には、例えば、フレームカウント(FR Count)と呼ぶ制御情報が格納されている。この制御情報は、映像フレームのカウント値を示し、ストリームに含まれる複数のフレーム中の順位を示す。メタ情報解析部24は、マーカビット(M)及び当該カウント値に基づいて、映像データ等の開始点又は終了点を検出することが可能である。
【0022】
マルチキャスト管理部25は、メタ情報解析部24により検出されたメディア情報の開始点に基づいて、IPパケット出力部22を制御する。IPパケット出力部22は、当該マルチキャスト管理部25の制御に応じて、IPパケットをIPネットワーク1に送出する。一方、マルチキャスト管理部25は、メタ情報解析部24により検出されたメディア情報の終了点に基づいて、IPパケット出力部22を制御する。即ち、IPパケット出力部22は、当該マルチキャスト管理部25の制御に応じて、IPパケットの送出を終了する。
【0023】
ルータ15は、IPネットワーク1を経由して、IP-GW11から送出されるIPパケットを受信し、マルチキャスト伝送の中継を実行管理する。
【0024】
図3は、受信側のIP-GW13の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、IP-GW13は、IPパケット入力部30、IPデカプセル部31、メディア情報送信部32、外部制御受信部33、メタ情報解析部34、マルチキャスト管理部35を含む。
【0025】
IPパケット入力部30は、IPネットワーク1を経由して、ルータ15からマルチキャスト伝送されたIPパケット210を受信して、IPデカプセル部31に転送する。IPデカプセル部31は、IPカプセル化されたIPパケット210を元のメディア情報に変換する。メディア情報送信部32は、当該メディア情報を受信装置3に送信する。受信装置3は、例えば、デジタルTV機器、セットトップボックス(set-top box)、スマートフォン及び放送関連機器等である。
【0026】
外部制御受信部33は、コンテンツの配信スケジュールに基づいて、ネットワーク管理コントローラ10から出力されるIPパケットの入力(受信)を開始/終了するための指示を受信する。メタ情報解析部34は、外部制御受信部33により受信したこの指示に応じて、IPパケット210に含まれるメタ情報を解析する。
【0027】
メタ情報解析部34は、前述と同様に、当該メタ情報を解析し、メディア情報に含まれる映像データ等の境界情報、あるいは、そのタイミング情報を取得する。即ち、メタ情報解析部34は、映像データ等の開始点又は終了点を検出する。
【0028】
マルチキャスト管理部35は、メタ情報解析部34により検出された開始点又は終了点に基づいて、IPパケット入力部30を制御する。マルチキャスト管理部35は、メタ情報解析部34により検出された開始点又は終了点に基づいて、IPパケット入力部30を制御する。即ち、IPパケット入力部30は、当該マルチキャスト管理部35の制御に応じて、IPパケットの入力(受信)を開始又は終了する。
【0029】
図5は、IP送信装置12の構成例を示すブロック図である。IP送信装置12は、送信側のIP-GW11と同様の機能を含む送信装置である。図5に示すように、IP送信装置12は、前述の送信装置(映像配信サーバ)2に相当し、メディア情報を生成するメディア情報生成部50を含む。
【0030】
さらに、IP送信装置12は、IP-GW11と同様に、IPカプセル化部21、IPパケット出力部22、外部制御受信部23、メタ情報解析部24、マルチキャスト管理部25を含む。IPカプセル化部21は、メディア情報生成部50から出力されるメディア情報をIPカプセル化してIPパケット210を生成する。
【0031】
図6は、IP受信装置14の構成例を示すブロック図である。IP受信装置14は、受信側のIP-GW13と同様の機能を含む受信装置である。図6に示すように、IP受信装置14は、メディア情報処理部60の他、IP-GW13と同様に、IPパケット入力部30、IPデカプセル部31、外部制御受信部33、メタ情報解析部34、マルチキャスト管理部35を含む。メディア情報処理部60には、IPデカプセル部31によりIPパケット210から変換された元のメディア情報が入力され、例えば、ディスプレイの画面上に表示するための処理が実行される。
【0032】
(システムの動作)
本実施形態のコンテンツ配信処理の動作について説明する。図7Aは、コンテンツ配信開始時の送信側における処理を説明するためのフローチャートである。図7Bは、コンテンツ配信開始時の受信側における処理を説明するためのフローチャートである。図8Aは、コンテンツ配信終了時の送信側における処理を説明するためのフローチャートである。図8Bは、コンテンツ配信終了時の受信側における処理を説明するためのフローチャートである。図9Aは、コンテンツ配信の送信側における切り替え処理を説明するためのフローチャートである。図9Bは、コンテンツ配信の受信側における切り替え処理を説明するためのフローチャートである。
【0033】
図7Aに示すように、コンテンツ配信開始時に送信側では、ネットワーク管理コントローラ10が、コンテンツの配信スケジュールに基づいて、所定のIP-GW11に対して送出開始の指示を実行する(S1)。
【0034】
メタ情報解析部24は、外部制御受信部23により受信された送出開始指示に応じて、IPカプセル化部21によりIPカプセル化されたIPパケット210に含まれるメタ情報を解析する(S2)。
【0035】
メタ情報解析部24は、メタ情報に含まれる、例えばマーカビット(M)及びタイムスタンプ(timestamp)の組み合わせからなる制御情報に基づいて、メディア情報(映像ストリーム等)の開始点を検出する(S3)。
【0036】
マルチキャスト管理部25は、メタ情報解析部24により検出された開始点に基づいて、IPパケット出力部22を制御する(S4)。
【0037】
IPパケット出力部22は、当該マルチキャスト管理部25による制御に応じて、IPパケットをIPネットワーク1に送出する(S5)。ルータ15は、IP-GW11から送出されるIPパケットを受信し、IPネットワーク1を経由するマルチキャスト伝送の中継を実行する。
【0038】
一方、図7Bに示すように、コンテンツ配信開始時に受信側では、ネットワーク管理コントローラ10が、コンテンツの配信スケジュールに基づいて、所定のIP-GW13に対してIPパケットの受信開始の指示を実行する(S6)。
【0039】
メタ情報解析部34は、外部制御受信部33により受信した受信開始指示に応じて、IPパケット入力部30から出力されたIPパケット210に含まれるメタ情報を解析し(S7)、映像データ等の開始点を検出する(S8)。
【0040】
マルチキャスト管理部35は、メタ情報解析部34により検出された開始点に基づいて、IPパケット入力部30を制御する(S9)。
【0041】
IPパケット入力部30は、当該マルチキャスト管理部35による制御に応じて、ルータ15からマルチキャスト伝送されたIPパケット210を受信して、IPデカプセル部31に転送する。IPデカプセル部31は、IPパケット入力部30から転送されたIPパケット210から、元のメディア情報への変換を行い、メディア情報送信部32へ出力する。メディア情報送信部32は、この変換されたメディア情報を受信装置3に送出する(S10)。
【0042】
次に、図8Aに示すように、コンテンツ配信終了時に送信側では、ネットワーク管理コントローラ10はコンテンツの配信スケジュールに基づいて、所定のIP-GW11に対して送出終了の指示を実行する(S11)。
【0043】
メタ情報解析部24は、外部制御受信部23により受信した送出終了指示に応じて、IPカプセル化部21からのIPパケット210に含まれるメタ情報を解析する(S12)。メタ情報解析部24は、前述と同様に、当該メタ情報に含まれる制御情報に基づいて、メディア情報の終了点を検出する(S13)。
【0044】
マルチキャスト管理部25は、メタ情報解析部24により検出された終了点に基づいて、IPパケット出力部22を制御する(S14)。IPパケット出力部22は、当該マルチキャスト管理部25による制御に応じて、IPパケットの送出を終了する(S15)。即ち、ルータ15は、送出終了指示がなされたIP-GW11に対して、マルチキャスト伝送によるIPパケットの受信を終了する。
【0045】
一方、図8Bに示すように、コンテンツ配信終了時に受信側では、ネットワーク管理コントローラ10はコンテンツの配信スケジュールに基づいて、所定のIP-GW13に対してIPパケットの受信終了の指示を実行する(S16)。
【0046】
メタ情報解析部34は、外部制御受信部33により受信した受信終了指示に応じて、IPパケット入力部30から出力されたIPパケット210に含まれるメタ情報を解析し(S17)、映像データ等の終了点を検出する(S18)。
【0047】
マルチキャスト管理部35は、メタ情報解析部34により検出された終了点に基づいて、IPパケット入力部30を制御する(S19)。
【0048】
IPパケット入力部30は、当該マルチキャスト管理部35による制御に応じて、ルータ15からマルチキャスト伝送されたIPパケット210の受信を終了する(S20)。
【0049】
コンテンツ配信の送信側における切り替え処理は、図9Aに示すように、図8Aに示すコンテンツの送出終了処理(S30)と、図7Aに示すコンテンツの送出開始処理(S31)を並列に実行することで実現できる。コンテンツの送出終了処理(S30)と送出開始処理(S31)は、ネットワーク管理コントローラ10からの指示に基づいて、IP-GW11、IP送信装置12それぞれにより実行される。
【0050】
同様に、コンテンツ配信の受信側における切り替え処理は、図9Bに示すように、図8Bに示すコンテンツの受信終了処理(S32)と、図7Bに示すコンテンツの受信開始処理(S33)を並列に実行することで実現できる。コンテンツの受信終了処理(S32)と受信開始処理(S33)は、ネットワーク管理コントローラ10からの指示に基づいて、IP-GW13及びIP受信装置14それぞれにより実行される。
【0051】
図10は、本実施形態の変形例を示すブロック図である。本変形例では、送信側のルータ15は、図10(a)に示すように、前述したメタ情報解析部24と同様のメタ情報解析部150、マルチキャスト管理部25と同様のマルチキャスト管理部151、及びIPパケット出力部22と同様のIPパケット転送部152を含む構成をしている。また、受信側のルータ15は、図10(b)に示すように、前述したメタ情報解析部34と同様のメタ情報解析部150、マルチキャスト管理部35と同様のマルチキャスト管理部151、及びIPパケット入力部30と同様のIPパケット転送部152を含む構成をしている。これにより、送信側のルータ15は、メタ情報解析部150により検出された開始点又は終了点に基づいて、IPパケットのマルチキャスト送信の開始又は終了を制御できる。また、受信側のルータ15は、メタ情報解析部150により検出された開始点又は終了点に基づいて、IPパケットのマルチキャスト受信の開始又は終了を制御できる。
【0052】
以上のように第1の実施形態によるシステムであれば、ネットワーク管理コントローラ10からのコンテンツ配信の開始及び終了の指示に応じて、IPパケットの制御情報からメディア情報の境界又はタイミング情報を取得することで、実際上のメディア情報の送出の開始点及び終了点を検出できる。これにより、本実施形態のシステムでは、後述するような、IPネットワーク上の伝送における遅延やジッタにより、IPネットワーク上で伝送されるメディア情報において有効なデータが欠落したり、無効のデータが混入するような事態を回避することができる。
【0053】
以下、図11及び図12を参照して、ネットワーク管理コントローラ10からの時間指定による指示に応じて、コンテンツの配信終了や配信開始を制御した場合を説明する。ここで、IPネットワーク上において、実際の伝送経路には遅延やジッタが存在するものとする。
【0054】
図11は、ネットワーク管理コントローラ10から、指定時間Tでコンテンツ配信開始の指示が行われた場合を示す。同図(A)は、伝送路Aでのメディア情報の伝送タイミングを示す。この場合、伝送タイミングが指定時間Tに対して遅れると、有効データ300の先頭に無効データ310が混入する事態となる。同図(B)は、伝送路Bでのメディア情報の伝送タイミングを示す。この場合、伝送タイミングが指定時間Tに対して早まると、有効データ300に含まれるべき有効データ320が欠落する事態となる。
【0055】
一方、図12は、ネットワーク管理コントローラ10から、指定時間Tでコンテンツ配信終了の指示が行われた場合を示す。同図(A)は、伝送路Aでのメディア情報の伝送タイミングを示す。この場合、伝送タイミングが指定時間Tに対して遅れると、有効データ300に含まれるべき有効データ320が欠落する事態となる。同図(B)は、伝送路Bでのメディア情報の伝送タイミングを示す。この場合、伝送タイミングが指定時間Tに対して早まると、無効データ310が混入する事態となる。
【0056】
本実施形態のシステムであれば、IPネットワーク上の伝送における遅延やジッタが存在する場合でも、実際上のメディア情報の送出の開始点及び終了点を検出できるため、コンテンツ配信において、有効なデータの欠落または無効なデータの混入を回避し、メディア情報をシームレスに伝送できる。
【0057】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本実施形態においても、システムの構成は、図1に示すものと同様であるため、説明を省略する。
【0058】
図13Aは、第2の実施形態に関する送信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
【0059】
図13Aに示すように、本実施形態におけるIP-GW11は、例えば図2に示すメタ情報解析部24の代替として、補助データ解析部110を含む構成である。補助データ解析部110は、外部制御受信部23により受信した送出開始指示又は送出終了指示に応じて、IPカプセル化部21から出力されるIPパケット210に含まれる、メディア情報の補助データを解析する。補助データは、例えばSMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)の規格(SMPTE ST2110-40)で規定されている制御情報を含む。
【0060】
補助データ解析部110は、当該補助データを解析することにより、前述したように、メディア情報の開始点及び終了点を検出する。これにより、マルチキャスト管理部25は、補助データ解析部110により検出されたメディア情報の開始点又は終了点に基づいて、IPパケット出力部22を制御する。
【0061】
図13Bは、第2の実施形態に関する受信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
【0062】
図13Bに示すように、本実施形態におけるIP-GW13は、例えば図3に示すメタ情報解析部34の代替として、補助データ解析部130を含む構成である。補助データ解析部130は、外部制御受信部33により受信した受信開始指示又は受信終了指示に応じて、IPパケット入力部30から出力されるIPパケット210に含まれる、メディア情報の補助データを解析する。補助データは、例えばSMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)の規格(SMPTE ST2110-40)で規定されている制御情報を含む。
【0063】
補助データ解析部130は、当該補助データを解析することにより、前述したように、メディア情報の開始点及び終了点を検出する。これにより、マルチキャスト管理部35は、補助データ解析部130により検出されたメディア情報の開始点又は終了点に基づいて、IPパケット入力部30を制御する。
【0064】
図14Aは、第2の実施形態に関する送信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
【0065】
図14Aに示すように、本実施形態におけるIP-GW11において、補助データ解析部110は、IPカプセル化部21によるカプセル化前のメディア情報に含まれる補助データを解析してもよい。補助データは、例えばARIB(Association of Radio Industries and Business:電波産業会)の規格(ARIB STD-B39)で規定されている局間制御信号と呼ばれる制御情報を含む。局間制御信号には、例えば、映像信号の切り替えタイミングを示す情報して、カウントアップ、カウントダウン、トリガなどの制御情報が含まれる。
【0066】
図14Bは、第2の実施形態に関する受信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
【0067】
図14Bに示すように、本実施形態におけるIP-GW13において、補助データ解析部130は、IPデカプセル部31によるデカプセル後のメディア情報に含まれる補助データを解析してもよい。補助データは、例えばARIB(Association of Radio Industries and Business:電波産業会)の規格(ARIB STD-B39)で規定されている局間制御信号と呼ばれる制御情報を含む。局間制御信号には、例えば、映像信号の切り替えタイミングを示す情報として、カウントアップ、カウントダウン、トリガなどの制御情報が含まれる。
【0068】
(変形例1)
図15Aは、本実施形態の変形例1に関するIP送信装置12の構成例を示すブロック図である。
【0069】
図15Aに示すように、本変形例のIP送信装置12は、図13Aに示すIP-GW11と同様に、IPカプセル化部21から出力されるIPパケット210に含まれる、メディア情報の補助データを解析する補助データ解析部160を含む構成である。
【0070】
さらに、本変形例のIP送信装置12は、前述の送信装置2に相当するメディア情報生成部として、当該補助データの領域に、終了点・開始点の境界情報あるいはそのタイミング情報である制御情報を付加する機能を有するメディア情報生成部161を含む構成である。
【0071】
メディア情報生成部161は、ネットワーク管理コントローラ10からの指示に応じて、補助データに当該制御情報を付加したメディア情報を生成して出力する。補助データ解析部160は、前述のようにネットワーク管理コントローラ10からの指示ではなく、IPパケット210に含まれるメディア情報の補助データを常に監視する。マルチキャスト管理部25は、補助データ解析部160により検出されたメディア情報の開始点又は終了点に基づいて、IPパケット出力部22を制御する。
【0072】
図15Bは、本実施形態の変形例1に関するIP受信装置14の構成例を示すブロック図である。
【0073】
図15Bに示すように、本変形例のIP受信装置14は、図13Bに示すIP-GW13と同様に、IPパケット入力部30から出力されるIPパケット210に含まれる、メディア情報の補助データを解析する補助データ解析部130を含む構成である。
【0074】
メディア情報処理部60は、ネットワーク管理コントローラ10からの指示に応じてメディア情報を処理する。補助データ解析部130は、IPパケット210に含まれるメディア情報の補助データを常に監視する。IP受信管理部36は、ネットワーク管理コントローラ10からの指示ではなく、補助データ解析部130により検出されたメディア情報の開始点又は終了点に基づいて、IPパケット入力部30を制御する。
【0075】
(変形例2)
図16Aは、本実施形態の変形例2に関する送信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
【0076】
図16Aに示すように、本変形例のIP-GW11は、メディア情報の補助データを常に監視し、当該補助データを解析する補助データ解析部160を含む構成である。
【0077】
本変形例では、メディア情報受信部20は、送信装置2から送出されるメディア情報として、当該補助データの領域に終了点・開始点の境界情報あるいはそのタイミング情報である制御情報が含まれているメディア情報を受信する。メディア情報受信部20は、受信したメディア情報をIPカプセル化部21に転送する。
【0078】
補助データ解析部160は、当該メディア情報の補助データを常に監視して解析する。従って、補助データ解析部160は、ネットワーク管理コントローラ10からの指示を受けることなく、補助データの制御情報に基づいてメディア情報の開始点又は終了点を検出できる。これにより、マルチキャスト管理部25は、補助データ解析部160により検出されたメディア情報の開始点又は終了点に基づいて、IPパケット出力部22を制御する。
【0079】
図16Bは、本実施形態の変形例2に関する受信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
【0080】
図16Bに示すように、本変形例のIP-GW13は、メディア情報の補助データを常に監視し、当該補助データを解析する補助データ解析部130を含む構成である。
【0081】
本変形例では、IPパケット入力部30は、ルータ15から送出されるメディア情報として、当該補助データの領域に終了点・開始点の境界情報あるいはそのタイミング情報である制御情報が含まれているメディア情報を受信する。IPパケット入力部30は、受信したメディア情報を、IPデカプセル部31に転送する。IPデカプセル部31は、メディア情報をデカプセルして、メディア情報送信部32側へ出力する。
【0082】
補助データ解析部130は、IPデカプセル部31から出力されたメディア情報の補助データを常に監視して解析する。従って、補助データ解析部130は、ネットワーク管理コントローラ10からの指示を受けることなく、補助データの制御情報に基づいてメディア情報の開始点又は終了点を検出できる。これにより、マルチキャスト管理部35は、補助データ解析部130により検出されたメディア情報の開始点又は終了点に基づいて、IPパケット入力部30を制御する。
【0083】
このように、本実施形態及び変形例1、2を適用したシステムにおいても、前述したように第1の実施形態のシステムと同様に、IPネットワーク上の伝送における遅延やジッタが存在する場合でも、コンテンツ配信において、有効なデータの欠落または無効なデータの混入を回避し、メディア情報をシームレスに伝送できる。これによって、送信側と受信側との間で、シームレスなメディア情報の送受信が可能となる。
【0084】
[第3の実施形態]
第3の実施形態について説明する。本実施形態において、システムの構成は、図1に示すものと同様であるため、説明を省略し、以下では、第1及び第2の実施形態とは異なる点について説明する。
【0085】
図17は、第3の実施形態における送信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
【0086】
図17に示すように、本実施形態におけるIP-GW11は、図2に示すIP-GW11におけるマルチキャスト管理部25の代替として、IP送信管理部26を含む構成である。
【0087】
IP送信管理部26は、メタ情報解析部24により検出されたメディア情報の開始点に基づいて、所定のIPパケットの送信を開始するように、IPパケット出力部22を制御する。IPパケット出力部22は、IP送信管理部26のこの制御に応じて、所定のIPパケットのIPネットワーク1(ルータ15)への送出を開始する。
【0088】
一方、IP送信管理部26は、メタ情報解析部24により検出されたメディア情報の終了点に基づいて、所定のIPパケットの送信を終了するように、IPパケット出力部22を制御する。IPパケット出力部22は、IP送信管理部26のこの制御に応じて、所定のIPパケットのIPネットワーク1(ルータ15)への送出を終了する。
【0089】
図18は、第3の実施形態における受信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
【0090】
図18に示すように、本実施形態におけるIP-GW13は、図3に示すIP-GW13におけるマルチキャスト管理部35の代替として、IP受信管理部36を含む構成である。
【0091】
IP受信管理部36は、メタ情報解析部34により検出された開始点又は終了点に基づいて、所定のIPパケットの受信を開始又は終了するように、IPパケット入力部30を制御する。即ち、IPパケット入力部30は、IP受信管理部36の制御に応じて、所定のIPパケットの入力(受信)を開始又は終了する。
【0092】
図19は、第3の実施形態におけるIP送信装置の構成例を示すブロック図である。
【0093】
図19に示すように、本実施形態におけるIP送信装置12は、図5に示すIP送信装置12におけるマルチキャスト管理部25の代替として、IP送信管理部26を含む構成である。
【0094】
このように、図17を用いて説明したIP送信管理部26を、IP送信装置12にも同様に適用することができる。
【0095】
図20は、第3の実施形態におけるIP受信装置の構成例を示すブロック図である。
【0096】
図20に示すように、本実施形態におけるIP受信装置14は、図6に示すIP受信装置14におけるマルチキャスト管理部35の代替として、IP受信管理部36を含む構成である。
【0097】
このように、図18を用いて説明したIP受信管理部36を、IP受信装置14にも同様に適用することができる。
【0098】
(システムの動作)
図21Aは、第3の実施形態に関するコンテンツ配信の開始時の処理を説明するためのフローチャートである。
【0099】
図21Aのフローチャートでは、図7Aのフローチャートを用いて既に説明した処理については、図7Aのフローチャートにおけるステップ番号と同じステップ番号を付している。
【0100】
したがって、図21Aのフローチャートにおいて、既に説明した処理については、説明を省略し、以下では、異なる処理であるステップS4a、S5aについて説明する。
【0101】
ステップS4aでは、IP送信管理部26は、ステップS3においてメタ情報解析部24によって検出された開始点に基づいて、所定のIPパケットの送信を開始するように、IPパケット出力部22を制御する(S4a)。
【0102】
その後、ステップS5aにおいて、この制御に応じて、IPパケット出力部22が、所定のIPパケットをIPネットワーク1(ルータ15)へ送出する(S5a)。
【0103】
ルータ15は、IP-GW11から送出された所定のIPパケットを受信し、所定のIP-GW13へ送信することによって、IPネットワーク1を経由するマルチキャスト伝送の中継を実行する。
【0104】
図21Bは、第3の実施形態に関するコンテンツ受信の開始時の処理を説明するためのフローチャートである。
【0105】
図21Bのフローチャートでは、図7Bのフローチャートを用いて既に説明した処理については、図7Bのフローチャートにおけるステップ番号と同じステップ番号を付している。
【0106】
したがって、図21Bのフローチャートにおいて、既に説明した処理については、説明を省略し、以下では、異なる処理であるステップS9a、S10aについて説明する。
【0107】
ステップS9aでは、IP受信管理部36は、ステップS8においてメタ情報解析部34によって検出された開始点に基づいて、所定のIPパケットの受信を開始するように、IPパケット入力部30を制御する(S9a)。
【0108】
その後、IPパケット入力部30は、IP受信管理部36による制御に応じて、ルータ15からマルチキャスト伝送されたIPパケット210を受信して、IPデカプセル部31に転送する。IPデカプセル部31は、IPパケット入力部30から転送されたIPパケット210から、元のメディア情報への変換を行い、メディア情報送信部32へ出力する。メディア情報送信部32は、この変換されたメディア情報を受信装置3に送出する(S10a)。
【0109】
図22Aは、コンテンツ配信の終了時の処理を説明するためのフローチャートである。
【0110】
図22Aのフローチャートでも同様に、図8Aのフローチャートを用いて既に説明した処理については、図8Aのフローチャートにおけるステップ番号と同じステップ番号を付している。
【0111】
したがって、図22Aのフローチャートにおいても、既に説明した処理については、説明を省略し、以下では、異なる処理であるステップS14a、S15aについて説明する。
【0112】
ステップS14aでは、IP送信管理部26は、ステップS13においてメタ情報解析部24によって検出された終了点に基づいて、所定のIPパケットの送信を終了するように、IPパケット出力部22を制御する(S14a)。
【0113】
その後、ステップS15aにおいて、この制御に応じて、IPパケット出力部22が、所定のパケットのIPネットワーク1(ルータ15)への送出を終了する(S15a)。
【0114】
図22Bは、コンテンツ受信の終了時の処理を説明するためのフローチャートである。
【0115】
図22Bのフローチャートでも同様に、図8Bのフローチャートを用いて既に説明した処理については、図8Bのフローチャートにおけるステップ番号と同じステップ番号を付している。
【0116】
したがって、図22Bのフローチャートにおいても、既に説明した処理については、説明を省略し、以下では、異なる処理であるステップS19a、S20aについて説明する。
【0117】
ステップS19aでは、IP受信管理部36は、ステップS18においてメタ情報解析部34によって検出された終了点に基づいて、所定のIPパケットの送信を終了するように、IPパケット入力部30を制御する(S19a)。
【0118】
その後、ステップS20aにおいて、IPパケット入力部30は、IP受信管理部36の制御に応じて、ルータ15からマルチキャスト伝送されたIPパケット210の受信を終了する(S20a)。
【0119】
コンテンツ配信の切り替え処理は、図9Aおよび図9Bを用いて説明した通りである。
【0120】
以上のように本実施形態によるシステムであれば、ネットワーク管理コントローラ10からのコンテンツ配信の開始及び終了の指示に応じて、IPパケットの制御情報からメディア情報の境界又はタイミング情報を取得することで、実際上のメディア情報の送出の開始点及び終了点を検出できる。これにより、本実施形態のシステムでは、IPネットワーク上の伝送における遅延やジッタにより、IPネットワーク上で伝送されるメディア情報において有効なデータが欠落したり、無効のデータが混入するような事態を回避することができる。
【0121】
[第4の実施形態]
第4の実施形態について説明する。本実施形態において、システムの構成は、図1に示すものと同様であるため、説明を省略し、以下では、第1及び第2の実施形態とは異なる点について説明する。
【0122】
図23は、第4の実施形態における送信側のIPゲートウェイの構成例を示すブロック図である。
【0123】
図23に示すように、本実施形態におけるIP-GW11は、図13Aに示すIP-GW11におけるマルチキャスト管理部25の代替として、IP送信管理部26を含む構成である。
【0124】
図24は、第4の実施形態における送信側のIPゲートウェイの別の構成例を示すブロック図である。
【0125】
図24に示すように、本実施形態における別の構成例を示すIP-GW11は、図14Aに示すIP-GW11におけるマルチキャスト管理部25の代替として、IP送信管理部26を含む構成である。
【0126】
図23に示すIP-GW11及び図24に示すIP-GW11のいずれにおいても、IP送信管理部26は、補助データ解析部110により検出されたメディア情報の開始点又は終了点に基づいて、所定のIPパケットの送信を開始又は終了するように、IPパケット出力部22を制御する。
【0127】
IPパケット出力部22は、このようなIP送信管理部26の制御に応じて、所定のIPパケットのIPネットワーク1(ルータ15)への送出を開始又は終了する。
【0128】
(変形例1)
図25は、第4の実施形態の変形例1におけるIP送信装置の構成例を示す図である。
【0129】
図25に示すように、本変形例におけるIP送信装置12は、図15Aに示すIP送信装置12におけるマルチキャスト管理部25の代替として、IP送信管理部26を含む構成である。
【0130】
IP送信管理部26は、補助データ解析部160により検出されたメディア情報の開始点又は終了点に基づいて、所定のIPパケットの送信の開始又は終了を制御するように、IPパケット出力部22を制御する。
【0131】
(変形例2)
図26は、第4の実施形態の変形例2におけるIPゲートウェイの構成例を示す図である。
【0132】
図26に示すように、本変形例におけるIP-GW11は、図16Aに示すIP-GW11におけるマルチキャスト管理部25の代替として、IP送信管理部26を含む構成である。
【0133】
IP送信管理部26は、補助データ解析部160により検出されたメディア情報の開始点又は終了点に基づいて、所定のIPパケットの送信の開始又は終了を制御するように、IPパケット出力部22を制御する。
【0134】
このように、本実施形態及び変形例1、2を適用したシステムにおいても、前述したように第3の実施形態のシステムと同様に、IPネットワーク上の伝送における遅延やジッタが存在する場合でも、コンテンツ配信において、有効なデータの欠落または無効なデータの混入を回避し、メディア情報をシームレスに伝送できる。
【0135】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0136】
1…IPネットワーク、2…送信装置、3…受信装置、10…ネットワーク管理コントローラ、11…送信側のIPゲートウェイ(IP-GW)、12…IP送信装置、13…受信側のIP-GW、14…IP受信装置、15…ルータ、20…メディア情報受信部、21…IPカプセル化部、22…IPパケット出力部、23…外部制御受信部、24…メタ情報解析部、25…マルチキャスト管理部、26…IP送信管理部、30…IPパケット入力部、31…IPデカプセル部、32…メディア情報送信部、33…外部制御受信部、34…メタ情報解析部、35…マルチキャスト管理部、36…IP受信管理部、50…メディア情報生成部、60…メディア情報処理部、110…補助データ解析部、130…補助データ解析部、150…メタ情報解析部、151…マルチキャスト管理部、152…IPパケット転送部、160…補助データ解析部、161…メディア情報生成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26