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特許7516317回転機器の診断プログラム及び回転機器の周波数情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】回転機器の診断プログラム及び回転機器の周波数情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/024 20160101AFI20240708BHJP
   G01M 13/021 20190101ALI20240708BHJP
   G01M 13/04 20190101ALI20240708BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20240708BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
H02P29/024
G01M13/021
G01M13/04
G01M99/00 A
G05B23/02 302S
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021103116
(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公開番号】P2023002096
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 文章
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 達也
(72)【発明者】
【氏名】平手 利昌
(72)【発明者】
【氏名】上地 純平
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-4566(JP,A)
【文献】特開2021-15103(JP,A)
【文献】特開2019-100975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/024
G01M 13/021
G01M 13/04
G01M 99/00
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサによって実行される回転機器の診断プログラムであって、
前記プロセッサに、
回転機器の同期回転周波数及び定格回転周波数に関する諸元情報を取得する機能と、
前記回転機器の振動又は音を測定する機能と、
振動又は音の測定結果に対して高速フーリエ変換を行って一次周波数系列データを生成する機能と、
前記諸元情報に基づいて、前記回転機器の現実の回転周波数である一次回転周波数が存在し得る一次回転周波数推定区間を設定する機能と、
前記一次回転周波数推定区間における前記一次周波数系列データに基づいて前記一次回転周波数を推定する機能と、
を実現させる回転機器の診断プログラム。
【請求項2】
前記プロセッサに、
前記諸元情報に基づいて、前記一次回転周波数の2倍の周波数である二次回転周波数が存在し得る二次回転周波数推定区間と、前記一次回転周波数の3倍の周波数である三次回転周波数が存在し得る三次回転周波数推定区間と、を推定する機能を実現させ、
前記一次回転周波数を推定することは、前記二次回転周波数推定区間と前記三次回転周波数推定区間とにおける前記一次周波数系列データに基づいて前記一次回転周波数を推定することである、
請求項1に記載の回転機器の診断プログラム。
【請求項3】
前記一次回転周波数を推定することは、前記一次回転周波数推定区間と前記二次回転周波数推定区間と前記三次回転周波数推定区間とにおいて前記一次周波数系列データからスペクトルがピークとなる周波数を取得し、前記周波数に基づいて前記一次回転周波数を推定することである、
請求項2に記載の回転機器の診断プログラム。
【請求項4】
前記一次回転周波数推定区間を設定することは、前記諸元情報に基づいてすべりを算出し、前記回転機器の運転電源周波数における同期回転周波数を算出し、前記すべりに基づいて前記運転電源周波数における定格回転周波数を算出し、前記運転電源周波数における同期回転周波数と前記運転電源周波数における定格回転周波数との間の区間を前記一次回転周波数推定区間として設定することである、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の回転機器の診断プログラム。
【請求項5】
前記プロセッサに、
前記運転電源周波数における同期回転周波数と前記運転電源周波数における定格回転周波数とに基づいて、前記前記回転機器を構成する要素の異常を診断するための指標値が存在し得る推定区間を設定する機能を実現させる、
請求項4に記載の回転機器の診断プログラム。
【請求項6】
前記推定区間を設定することは、前記一次回転周波数と要素の動作に関連する動作周波数との関係を示す関係式に前記運転電源周波数における同期回転周波数と前記運転電源周波数における定格回転周波数とを代入して、前記推定区間を設定することである、
請求項5に記載の回転機器の診断プログラム。
【請求項7】
前記プロセッサに、
前記一次周波数系列データに対してエンベロープ処理を行い、高速フーリエ変換を行って、二次周波数系列データを生成する機能と、
前記推定区間において前記一次周波数系列データ又は前記二次周波数系列データからスペクトルがピークとなる周波数を取得し、前記周波数に基づいて前記指標値を取得する機能と、
を実現させる、
請求項5又は6に記載の回転機器の診断プログラム。
【請求項8】
前記プロセッサに、
前記指標値と閾値とが整合しない場合に、前記要素に異常があると判定する機能を実現させる、
請求項7に記載の回転機器の診断プログラム。
【請求項9】
前記要素は、ファン、ポンプ、ギア又は軸受である、
請求項5乃至8の何れか1項に記載の回転機器の診断プログラム。
【請求項10】
前記プロセッサに、
前記諸元情報を取得することは、コードをデコードして前記諸元情報を特定する特定情報を取得し、前記特定情報を含むリクエストを外部装置に送信し、前記諸元情報を含むレスポンスを前記外部装置から受信することである、
請求項1乃至9の何れか1項に記載の回転機器の診断プログラム。
【請求項11】
プロセッサによって実行される回転機器の周波数情報処理方法であって、
回転機器の同期回転周波数及び定格回転周波数に関する諸元情報を取得し、
前記回転機器の振動又は音を測定し、
振動又は音の測定結果に対して高速フーリエ変換を行って一次周波数系列データを生成し、
前記諸元情報に基づいて、前記回転機器の現実の回転周波数である一次回転周波数が存在し得る一次回転周波数推定区間を設定し、
前記一次回転周波数推定区間における前記一次周波数系列データに基づいて前記一次回転周波数を推定する、
回転機器の周波数情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転機器の診断プログラム及び回転機器の周波数情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機などの駆動機器を備える回転機器のメンテナンスにおいて運転時の振動又は音を測定する手法が提供されている。そのような手法には、駆動機器の回転周波数を参照周波数として測定された振動又は音を周波数分析するものがある。
【0003】
回転機器の駆動機器では電動機が用いられており、同期回転周波数を有する交流電圧によって駆動する電動機のうち、誘導電動機の回転周波数は、すべりによって同期回転周波数よりも低下する。
【0004】
従って従来、同期回転周波数を用いて振動又は音を周波数分析すると適切な指標値が得られない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-96152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を解決するため、効果的に回転機器の回転周波数を推定することができる回転機器の診断プログラム及び回転機器の周波数情報処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、プロセッサによって実行される回転機器の診断プログラムは、前記プロセッサに、回転機器の同期回転周波数及び定格回転周波数に関する諸元情報を取得する機能と、前記回転機器の振動又は音を測定する機能と、振動又は音の測定結果に対して高速フーリエ変換を行って一次周波数系列データを生成する機能と、前記諸元情報に基づいて、前記回転機器の現実の回転周波数である一次回転周波数が存在し得る一次回転周波数推定区間を設定する機能と、前記一次回転周波数推定区間における前記一次周波数系列データに基づいて前記一次回転周波数を推定する機能と、を実現させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る診断システムの構成例を概略的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係るユーザ端末の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係るサーバの構成例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係るユーザ端末の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
実施形態に係る診断システムは、交流電圧によって駆動する電動機などの駆動機器を有する回転機器を診断する。診断システムは、回転機器を駆動させた状態で回転機器の振動又は音を測定する。診断システムは、測定結果の周波数分析を行う。診断システムは、周波数分析の結果から得られた指標値に基づいて回転機器を診断する。
【0010】
図1は、本実施の形態の構成を示す構成図である。診断システム1は、回転機器4、振動センサ5、トランスデューサ6、ユーザ端末10及びサーバ20などを備える。トランスデューサ6は、振動センサ5及びユーザ端末10に接続する。ユーザ端末10は、無線または有線を通じてサーバ20に接続する。
【0011】
なお、診断システム1は、図1が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、診断システム1から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0012】
回転機器4は、駆動機器が代表的であるが、それに接続される軸受け、減速機などの伝達機器、さらに接続されるポンプなどのいわゆる負荷機器も含む。ここでは、回転機器4は、一例として誘導電動機として説明を進める。
【0013】
駆動機器は、商用電源などからの交流電圧によって回転する電動機から構成される。また、駆動機器は、可変速駆動を行うものであってもよい。たとえば、駆動機器は、電動機に入力する運転電源周波数を変更するインバータなどを備えるものであってもよい。
【0014】
回転機器の回転周波数は、負荷機器の負荷トルクで発生するすべりによって、電動機の同期回転周波数よりも低下する。
【0015】
軸受は、駆動機器、伝達機器及び負荷機器などの軸を支持する。軸受は、内輪、内輪の外側に回転可能に隣接する転動体、転動体の外側に隣接する外輪及び転動体を保持する保持器などから構成される。
【0016】
伝達機器は、必要に応じて駆動機器と負荷機器の間に接続する。伝達機器は、駆動機器の回転及び駆動トルクを変換して負荷機器に伝達する。伝達機器の例としてギアがある。ギアは、所定の歯数を有する。
【0017】
負荷機器は、駆動機器の駆動トルクによって回転する。負荷機器の例としてファンがある。ファンは、所定の枚数の羽根から構成される。ファンは、駆動機器を冷却するものであってもよいし、他の装置を冷却するものであってもよい。また、負荷機器の別の例としてポンプがある。ポンプは、所定の枚数の羽根から構成される。
【0018】
回転機器4は、銘板41を備える。
銘板41は、商用電源周波数(たとえば、50又は60Hz)における同期回転周波数及び定格回転周波数に関する諸元情報を記載する。たとえば、銘板41は、諸元情報として、商用電源周波数における同期回転周波数及び定格回転周波数を記載する。
【0019】
同期回転周波数は、商用電源周波数において駆動機器に入力される交流電圧の回転周波数である。定格回転周波数は、同期回転周波数を有する交流電圧が入力された回転機器4が定格出力で運転するときの回転周波数である。また、銘板41は、同期回転周波数及び定格回転周波数を算出可能な情報(電動機の極数など)を備えるものであってもよい。
【0020】
たとえば、銘板41は、諸元情報として、回転機器4の型番又は駆動機器の型番などをさらに記載するものであってもよい。諸元情報の構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0021】
また、銘板41は、コード42を記載する。
コード42は、回転機器4の諸元情報を特定することができる情報(特定情報)をエンコードして得られる。ここでは、コード42は、特定情報として回転機器4の型番をエンコードして得られる。たとえば、コード42は、二次元コード(QRコード(登録商標)など)である。
【0022】
振動センサ5は、回転機器4の振動を検知する。振動センサ5は、回転機器4の所定の位置に設置されている。振動センサ5は、回転機器4の振動を示すセンサ信号を生成する。振動センサは、生成されたセンサ信号をトランスデューサ6に供給する。
【0023】
トランスデューサ6は、振動センサ5からのセンサ信号を入力するインターフェースである。トランスデューサ6は、センサ信号をユーザ端末10に供給する。トランスデューサ6は、センサ信号を増幅してユーザ端末10に供給してもよい。また、トランスデューサ6は、センサ信号をデジタル信号に変換してユーザ端末10に供給してもよい。
【0024】
ユーザ端末10は、諸元情報をサーバ20から受信する。ユーザ端末10は、諸元情報、及び、回転機器4の振動又は音などに基づいて回転機器4の状態を診断する。ユーザ端末10については、後に詳述する。
【0025】
サーバ20(外部装置)は、ユーザ端末10からのリクエストに従って、諸元情報をユーザ端末10に供給する。サーバ20については、後に詳述する。
【0026】
次に、ユーザ端末10について説明する。
図2は、ユーザ端末10の構成例を示す。図2が示すように、ユーザ端末10は、プロセッサ11、ROM12、RAM13、NVM14、通信部15、操作部16、表示部17、カメラ18、マイク19及び変換機インターフェース61などを備える。
【0027】
プロセッサ11と、ROM12、RAM13、NVM14、通信部15、操作部16、表示部17、カメラ18、マイク19及び変換機インターフェース61と、は、データバス又はインターフェースなどを介して互いに接続する。
なお、ユーザ端末10は、図2が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、ユーザ端末10から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0028】
プロセッサ11は、ユーザ端末10全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ11は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ11は、内部メモリ、ROM12又はNVM14が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0029】
なお、プロセッサ11がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ11は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0030】
ROM12は、制御プログラム及び制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM12に記憶される制御プログラム及び制御データは、ユーザ端末10の仕様に応じて予め組み込まれる。
【0031】
RAM13は、揮発性のメモリである。RAM13は、プロセッサ11の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM13は、プロセッサ11からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM13は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0032】
NVM14は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。NVM14は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM14は、ユーザ端末10の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション及び種々のデータなどを格納する。
【0033】
通信部15は、サーバ20と通信するためのインターフェースである。たとえば、通信部15は、インターネットなどのネットワークを通じてサーバ20に接続する。たとえば、通信部15は、有線又は無線のLAN(Local Area Network)接続をサポートするインターフェースである。
【0034】
操作部16は、オペレータから種々の操作の入力を受け付ける。操作部16は、入力された操作を示す信号をプロセッサ11へ送信する。ここでは、操作部16は、タッチパネルから構成される。
【0035】
表示部17は、プロセッサ11からの画像データを表示する。たとえば、表示部17は、液晶モニタから構成される。ここでは、表示部17は、操作部16としてのタッチパネルと一体的に形成される。
【0036】
カメラ18は、コード42を撮影するカメラである。カメラ18は、撮影した画像をプロセッサ11に供給する。
たとえば、カメラ18は、CCD(Charge Coupled Device)カメラである。また、カメラ18は、対象物を照らす光源を備えるものであってもよい。
【0037】
マイク19は、回転機器4から発生する音を測定する。マイク19は、音を電気的なセンサ信号に変換する。マイク19は、センサ信号をプロセッサ11に供給する。マイク19は、センサ信号をデジタル信号に変換してプロセッサ11に供給してもよい。
【0038】
変換機インターフェース61は、トランスデューサ6に接続するためのインターフェースである。変換機インターフェース61は、トランスデューサ6からのセンサ信号をプロセッサ11に供給する。
【0039】
次に、サーバ20について説明する。
図3は、サーバ20の構成例を示す。図3が示すように、サーバ20は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、NVM24、通信部25、操作部26及び表示部27などを備える。
【0040】
プロセッサ21と、ROM22、RAM23、NVM24、通信部25、操作部26及び表示部27と、は、データバスなどを介して互いに接続する。
なお、サーバ20は、図3が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、サーバ20から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0041】
プロセッサ21は、サーバ20全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ21は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ21は、内部メモリ、ROM22又はNVM24が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0042】
なお、プロセッサ21がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ21は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0043】
ROM22は、制御プログラム及び制御データなどが予め記憶された不揮発性のメモリである。ROM22に記憶される制御プログラム及び制御データは、サーバ20の仕様に応じて予め組み込まれる。
【0044】
RAM23は、揮発性のメモリである。RAM23は、プロセッサ21の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM23は、プロセッサ21からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM23は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0045】
NVM24は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。NVM24は、たとえば、HDD、SSD又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM24は、サーバ20の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション及び種々のデータなどを格納する。
【0046】
通信部25は、ユーザ端末10と通信するためのインターフェースである。たとえば、通信部25は、インターネットなどのネットワークを通じてユーザ端末10に接続する。たとえば、通信部25は、有線又は無線のLAN接続をサポートするインターフェースである。
【0047】
操作部26は、オペレータから種々の操作の入力を受け付ける。操作部26は、入力された操作を示す信号をプロセッサ21へ送信する。ここでは、操作部26は、タッチパネルから構成される。
【0048】
表示部27は、プロセッサ21からの画像データを表示する。たとえば、表示部27は、液晶モニタから構成される。ここでは、表示部27は、操作部26としてのタッチパネルと一体的に形成される。
【0049】
次に、サーバ20が実現する機能について説明する。サーバ20が実現する機能は、プロセッサ21が内部メモリ、ROM22又はNVM24などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0050】
プロセッサ21は、諸元情報をユーザ端末10に送信する機能を有する。
プロセッサ21は、通信部25を通じて、諸元情報を要求するリクエストをユーザ端末10から受信する。当該リクエストは、特定情報を含む。
【0051】
当該リクエストを受信すると、プロセッサ21は、当該リクエストが含む特定情報に対応する諸元情報をNVM24から取得する。諸元情報を取得すると、プロセッサ21は、通信部25を通じて、取得された諸元情報を含むレスポンスをユーザ端末10に送信する。
【0052】
ここでは、諸元情報は、商用電源周波数における同期回転周波数及び定格回転周波数に関する。ここでは、諸元情報は、商用電源周波数における同期回転周波数及び定格回転周波数を含む。なお、諸元情報は、同期回転周波数及び定格回転周波数を算出可能な情報を含むものであってもよい。
【0053】
なお、銘板41に記載されている諸元情報と、サーバ20が送信する諸元情報とは、同一であってもよいし、異なってもよい。
【0054】
次に、ユーザ端末10が実現する機能について説明する。ユーザ端末10が実現する機能は、プロセッサ11が内部メモリ、ROM12又はNVM14などに格納されるプログラム(回転機器の診断プログラム)を実行することで実現される。
【0055】
まず、プロセッサ11は、諸元情報をサーバ20から取得する機能を有する。
プロセッサ11は、操作部16を通じて、回転機器4の診断を開始する操作の入力を受け付ける。当該操作の入力を受け付けると、プロセッサ11は、カメラ18を起動する。
【0056】
ここで、ユーザは、コード42を撮影可能な位置にカメラ18をセットする。
プロセッサ11は、カメラ18を通じてコード42を撮影した画像を取得する。当該画像を取得すると、プロセッサ11は、当該画像からコード42を読み取る。即ち、プロセッサ11は、コード42をデコードして特定情報を取得する。
【0057】
特定情報を取得すると、プロセッサ11は、通信部15を通じて、特定情報に対応する諸元情報を要求するリクエストをサーバ20に送信する。当該リクエストは、取得された特定情報を含む。
【0058】
当該リクエストをサーバ20に送信すると、プロセッサ11は、サーバ20からのレスポンスを待機する。通信部15を通じてレスポンスをサーバ20から受信すると、プロセッサ11は、レスポンスから諸元情報を取得する。
【0059】
また、プロセッサ11は、回転機器4のすべりを算出する機能を有する。
諸元情報を取得すると、プロセッサ11は、諸元情報から、商用電源周波数における同期回転周波数及び定格回転周波数を取得する。なお、プロセッサ11は、諸元情報に基づいて、商用電源周波数における同期回転周波数又は定格回転周波数を算出してもよい。
【0060】
同期回転周波数及び定格回転周波数を取得すると、プロセッサ11は、同期回転周波数及び定格回転周波数に基づいてすべりを算出する。
【0061】
たとえば、プロセッサ11は、以下の式に従ってすべりを算出する。
【0062】
s=(Ns-N)/Ns
ここで、sは、すべりを示す。Nsは、同期回転周波数に基づく同期回転速度を示し、Nは、定格回転周波数に基づく定格回転速度を示す。
【0063】
たとえば、プロセッサ11は、以下の式に従って同期回転速度を算出する。
【0064】
同期回転速度[1/min]=同期回転速度[Hz]×60
又は、
同期回転速度[1/min]=(電源周波数[Hz]×120)/極数[P]
プロセッサ11は、定格回転周波数についても同様に算出する。
【0065】
また、プロセッサ11は、運転電源周波数における同期回転周波数及び定格回転周波数を算出する機能を有する。
【0066】
運転電源周波数は、回転機器4の駆動機器に入力される交流電圧の回転周波数である。
すべりを算出すると、プロセッサ11は、操作部16を通じて運転電源周波数の入力を受け付ける。なお、回転機器4が可変速駆動でない場合、プロセッサ11は、運転電源周波数として商用電源周波数を取得する。
【0067】
運転電源周波数の入力を受け付けると、プロセッサ11は、駆動機器の極数などに基づいて運転電源周波数における同期回転周波数を算出する。運転電源周波数における同期回転周波数を算出すると、プロセッサ11は、同期回転周波数及びすべりに基づいて運転電源周波数における定格回転周波数を算出する。
【0068】
たとえば、プロセッサ11は、以下の式に従って定格回転周波数を算出する。
【0069】
N’=(1-s)Ns’
ここでは、Ns’は、運転電源周波数における同期回転周波数を示し、N’は、運転電源周波数における定格回転周波数を示す。
【0070】
また、プロセッサ11は、回転機器4の振動又は音を測定する機能を有する。
【0071】
運転電源周波数における同期回転周波数及び定格回転周波数を算出すると、プロセッサ11は、回転機器4の振動又は音を測定する。たとえば、プロセッサ11は、操作部16を通じて、振動の測定又は音の測定の何れかを選択する操作の入力を受け付ける。
【0072】
振動を測定する場合、プロセッサ11は、トランスデューサ6を通じて振動センサ5からセンサ信号を受信する。
【0073】
また、音を測定する場合、プロセッサ11は、マイク19を起動して、マイク19からセンサ信号を受信する。
【0074】
また、プロセッサ11は、振動又は音の測定結果に基づいて、回転機器4の現実の回転周波数(一次回転周波数)を推定する機能を有する。
【0075】
所定の期間において振動又は音を測定すると、プロセッサ11は、測定結果に対して高速フーリエ変換(FFT)を行って、周波数系列データ(一次周波数系列データ)を生成する。一次周波数系列データを生成すると、プロセッサ11は、一次回転周波数が存在し得る推定区間(一次回転周波数推定区間)を設定する。即ち、プロセッサ11は、運転電源周波数における同期回転周波数と運転電源周波数における定格回転周波数との間の区間を一次回転周波数推定区間として設定する。
【0076】
また、プロセッサ11は、一次回転周波数の2倍の回転周波数(二次回転周波数)が存在し得る推定区間(二次回転周波数推定区間)を設定する。即ち、プロセッサ11は、運転電源周波数における同期回転周波数の2倍の周波数と運転電源周波数における定格回転周波数の2倍の周波数との間の区間を二次回転周波数推定区間として設定する。
【0077】
また、プロセッサ11は、一次回転周波数の3倍の回転周波数(三次回転周波数)が存在し得る推定区間(三次回転周波数推定区間)を設定する。即ち、プロセッサ11は、運転電源周波数における同期回転周波数の3倍の周波数と運転電源周波数における定格回転周波数の3倍の周波数との間の区間を三次回転周波数推定区間として設定する。
【0078】
各推定区間を設定すると、プロセッサ11は、各推定区間において一次周波数系列データからスペクトルがピークとなる周波数を仮参照値として取得する。各推定区間において仮参照値を取得すると、プロセッサ11は、仮参照値に基づいて、一次回転周波数を推定する。
【0079】
たとえば、プロセッサ11は、二次回転周波数推定区間の仮参照値が一次回転周波数推定区間の仮参照値の2倍である(たとえば、両者の差が閾値以下である)場合、一次回転周波数推定区間の仮参照値を一次回転周波数と推定する。また、プロセッサ11は、又は、三次回転周波数推定区間の仮参照値が一次回転周波数推定区間の仮参照値の3倍である場合、一次回転周波数推定区間の仮参照値を一次回転周波数と推定する。また、プロセッサ11は、推定された一次回転周波数の2倍の周波数を二次回転周波数と推定し、3倍の周波数を三次回転周波数と推定する。
【0080】
上記の推定に失敗した場合、プロセッサ11は、以下のように、一次乃至三次回転周波数を推定する。プロセッサ11は、二次回転周波数推定区間の仮参照値の2/3倍が三次回転周波数推定区間の仮参照値である場合、二次回転周波数推定区間の仮参照値を二次回転周波数と推定し、三次回転周波数推定区間の仮参照値を三次回転周波数と推定する。また、プロセッサ11は、推定された二次回転周波数の半分の周波数と一次回転周波数と推定する。
【0081】
また、プロセッサ11は、回転機器4の各要素の異常を診断するための指標値(スペクトル)を特定する機能を有する。
【0082】
まず、プロセッサ11は、一次周波数系列データに対してエンベロープ処理を行う。エンベロープ処理を行うと、プロセッサ11は、エンベロープ処理の結果に対して高速フーリエ変換を行って、周波数系列データ(二次周波数系列データ)を生成する。
【0083】
二次周波数系列データを生成すると、プロセッサ11は、各要素の指標値が存在し得る推定区間を設定する。
【0084】
ここでは、プロセッサ11は、運転電源周波数における同期回転周波数及び定格回転周波数に基づいて、負荷機器、伝達機器及び軸受の異常を診断するための指標値の推定区間を設定する。
【0085】
また、プロセッサ11は、一次回転周波数と要素の動作に関連する動作周波数との関係を示す関係式に従って推定区間を設定する、
まず、負荷機器の推定区間について説明する。
【0086】
負荷機器としてのファン又はポンプの羽根に異常が生じた場合、一次周波数系列データにおいて羽根切り周波数が卓越した状態となる。
【0087】
羽根切り周波数は、以下の関係式によって算出される。
【0088】
fw=fr×Nw
ここで、fwは、羽根切り周波数を示し、frは、一次回転周波数(又はファン、ポンプの軸の回転周波数)を示し、Nwは、羽根枚数を示す。
【0089】
プロセッサ11は、上記の関係式に運転電源周波数における同期回転周波数を代入して得られた周波数と運転電源周波数における定格回転周波数を代入して得られた周波数との間の区間を負荷機器としてのファン又はポンプの推定区間として設定する。
【0090】
次に、伝達機器の推定区間について説明する。
【0091】
伝達機器としてのギアに異常が生じた場合、一次周波数系列データにおいて噛み合い周波数が卓越した状態となる。
【0092】
噛み合い周波数は、以下の関係式によって算出される。
【0093】
fw=fr×Ng
ここで、fwは、噛み合い周波数を示し、Ngは、歯数を示す。
【0094】
同様に、プロセッサ11は、上記の関係式に運転電源周波数における同期回転周波数及び定格回転周波数を代入して、伝達機器としてのギアの推定区間を設定する。
【0095】
次に、軸受の推定区間について説明する。
【0096】
ここでは、軸受の異常は、外輪、内輪、転動体又は保持器の異常であるものとする。軸受に異常が生じた場合、二次周波数系列データにおいて各要素のパス周波数が卓越した状態となる。
【0097】
外輪パス周波数は、以下の関係式によって算出される。
【0098】
fo=((N×fr)/2)×(1-(d/D)×cos(α))
ここで、f0は、外輪パス周波数を示し、Nは、転動体数を示す。dは、転動体の直径を示し、Dは、軸受のピッチ円直径を示す。αは、転動体の接触角を示す。
【0099】
内輪パス周波数は、以下の関係式によって算出される。
【0100】
fi=((N×fr)/2)×(1+(d/D)×cos(α))
ここで、fiは、内輪パス周波数を示す。
【0101】
転動体パス周波数は、以下の関係式によって算出される。
【0102】
fb=((fr×D)/(d×2))×(1-(d/D)^2×cos^2(α))
ここで、fbは、転動体パス周波数を示す。
【0103】
保持器パス周波数は、以下の関係式によって算出される。
【0104】
fc=(fr/2)×(1-(d/D)×cos(α))
ここで、fcは、保持器パス周波数を示す。
【0105】
同様に、プロセッサ11は、上記の関係式に運転電源周波数における同期回転周波数及び定格回転周波数を代入して、各パス周波数の推定区間を設定する。
【0106】
プロセッサ11は、各要素において上記の式を算出するためのパラメータ(羽根枚数、歯数など)を取得する。たとえば、プロセッサ11は、諸元情報から各式に代入するパラメータ(羽根枚数、歯数など)を取得してもよい。また、プロセッサ11は、他の外部装置から当該パラメータを取得するものであってもよい。
【0107】
各推定区間を設定すると、プロセッサ11は、各推定区間においてスペクトルがピークとなる周波数を仮参照値として取得する。たとえば、プロセッサ11は、負荷機器及び伝達機器については、推定区間において一次周波数系列データのスペクトルがピークとなる周波数を仮参照値として取得する。また、プロセッサ11は、軸受については、推定区間において二次周波数系列データのスペクトルがピークとなる周波数を仮参照値として取得する。
【0108】
各推定区間において仮参照値を取得すると、プロセッサ11は、各仮参照値から一次回転周波数を逆算する。各仮参照値から一次回転周波数を逆算すると、プロセッサ11は、各仮参照値から逆算された一次回転周波数同士を比較する。
【0109】
各仮参照値から逆算された一次回転周波数が一致する場合、プロセッサ11は、各推定区間におけるピークの値(仮参照値におけるスペクトル)を各推定区間に関する要素(ファン、ポンプ、ギアなど)の指標値として取得する。
【0110】
各仮参照値から逆算された一次回転周波数が一致しない場合、プロセッサ11は、多数決により一次回転周波数を決定する。プロセッサ11は、決定された一次回転周波数に基づいて指標値を取得する。即ち、プロセッサ11は、決定された一次回転周波数を上記の各関係式に代入して、一次回転周波数に対応する参照周波数(ピークが生じると推定される周波数)を算出する。参照周波数を算出すると、プロセッサ11は、各指標値として、参照周波数における一次周波数系列データ又は二次周波数系列データのスペクトルを取得する。
【0111】
また、プロセッサ11は、各指標値などに基づいて、回転機器4の異常を診断する機能を有する。
【0112】
たとえば、プロセッサ11は、諸元情報などから回転機器4の仮想的なモデルを生成する。モデルを生成すると、プロセッサ11は、モデルから、異常を判定するための閾値を取得する。ここでは、閾値は、各指標値にそれぞれ対応する閾値である。
【0113】
閾値を取得すると、プロセッサ11は、各指標値と、各閾値とを比較する。各指標値と各閾値とが整合する(たとえば、指標値が閾値以下又は以上である)場合、プロセッサ11は、回転機器4に異常がないものと判定する。
【0114】
また、閾値と整合しない指標値がある場合、プロセッサ11は、当該指標値に対応する要素に異常があると判定する。たとえば、プロセッサ11は、当該要素を表示部17に表示する。
【0115】
また、プロセッサ11は、推定された一次乃至三次回転周波数に基づいて異常を診断してもよい。たとえば、プロセッサ11は、一次乃至三次回転周波数がそれぞれ閾値と整合するかを判定する。一次乃至三次回転周波数の少なくとも1つが閾値と整合しない場合、回転機器4に異常が生じたと判定する。
【0116】
また、プロセッサ11は、各推定区間を一次周波数系列データ及び二次周波数系列データ上に表示するものであってもよい。たとえば、プロセッサ11は、一次周波数系列データ上に、一次乃至三次回転周波数推定区間、ファン、ポンプの推定区間及びギアの推定区間などを表示する。また、プロセッサ11は、二次周波数系列データ上に、軸受の推定区間を表示する。
【0117】
次に、ユーザ端末10の動作例について説明する。
まず、ユーザ端末10のプロセッサ11は、カメラ18を用いてコード42を撮影する(S11)。コード42を撮影すると、プロセッサ11は、撮影されたコード42をデコードして特定情報を取得する(S12)。
【0118】
特定情報を取得すると、プロセッサ11は、通信部15を通じて、特定情報を含むリクエストをサーバ20に送信する(S13)。リクエストをサーバ20に送信すると、プロセッサ11は、通信部15を通じて、諸元情報を含むレスポンスをサーバ20から受信する(S14)。
【0119】
諸元情報を受信すると、プロセッサ11は、諸元情報に基づいてすべりを算出する(S15)。すべりを算出すると、プロセッサ11は、操作部16を通じて運転電源周波数を入力する(S16)。なお、回転機器4が可変速駆動しない場合には、プロセッサ11は、S16を実行しなくともよい。
【0120】
運転電源周波数を入力すると、プロセッサ11は、運転電源周波数における同期回転周波数及び定格回転周波数を算出する(S17)。運転電源周波数における同期回転周波数及び定格回転周波数を算出すると、プロセッサ11は、振動センサ5又はマイク19を用いて回転機器4の振動又は音を測定する(S18)。
【0121】
回転機器4の振動又は音を測定すると、プロセッサ11は、測定結果に対して高速フーリエ変換を行って、一次周波数系列データを生成する(S19)。一次周波数系列データを生成すると、プロセッサ11は、一次周波数系列データに対してエンベロープ処理を行う(S20)。
【0122】
エンベロープ処理を行うと、プロセッサ11は、エンベロープ処理を行ったデータに対して高速フーリエ変換を行って、二次周波数系列データを生成する(S21)。二次周波数系列データを生成すると、プロセッサ11は、運転電源周波数における同期回転周波数及び定格回転周波数に基づいて、一次回転周波数推定区間を設定する(S22)。
【0123】
一次回転周波数推定区間を設定すると、プロセッサ11は、二次回転周波数推定区間を設定する(S23)。二次回転周波数推定区間を設定すると、プロセッサ11は、三次回転周波数推定区間を設定する(S24)。
【0124】
三次回転周波数推定区間を設定すると、プロセッサ11は、一次乃至三次回転周波数推定区間における仮参照値に基づいて一次乃至三次回転周波数を推定する(S25)。一次乃至三次回転周波数を推定すると、プロセッサ11は、運転電源周波数における同期回転周波数及び定格回転周波数に基づいて、各要素の推定区間を設定する(S26)。
【0125】
各要素の推定区間を設定すると、プロセッサ11は、各要素の推定区間において各要素の指標値を特定する(S27)。各要素の指標値を特定すると、プロセッサ11は、指標値に基づいて回転機器4の異常を診断する(S28)。
回転機器4の異常を診断すると、プロセッサ11は、動作を終了する。
【0126】
なお、プロセッサ11は、異常を診断しなくともよい。たとえば、プロセッサ11は、一次回転周波数、各指標値、一次周波数系列データ、二次周波数系列データ及び各推定区間などを表示部17に表示してもよい。
【0127】
また、プロセッサ11は、カメラ18を用いて銘板41の記載を撮影してもよい。プロセッサ11は、OCR(Optical Character Recognition)処理によって撮影画像から諸元情報を取得してもよい。
【0128】
また、プロセッサ11は、諸元情報又は各要素のパラメータを予め取得しNVM14などに格納してもよい。
【0129】
また、ユーザ端末10は、外部のマイクを用いて音を測定するものであってもよい。この場合、ユーザ端末10は、外部のマイクに接続するためのインターフェースを備える。
【0130】
また、ユーザ端末10の機能(又は、一部の機能)は、サーバ20で実現されるものであってもよい。たとえば、サーバ20のプロセッサ21は、ユーザ端末10を通じて振動又は音を測定する。プロセッサ21は、上記の通り一次乃至三次回転周波数及び各指標値を特定する。プロセッサ21は、一次乃至三次回転周波数及び各指標値をユーザ端末10に送信する。また、プロセッサ21は、一次回乃至三次回転周波数及び各指標値などに基づく診断結果をユーザ端末10に送信してもよい。
【0131】
以上のように構成された診断システムは、諸元情報をサーバから取得する。診断システムは、諸元情報に基づいて回転機器のすべりを算出する。診断システムは、すべりなどに基づいて、一次乃至三次回転周波数が存在し得る推定区間を設定する。診断システムは、各推定区間においてピークを特定して一次回転周波数を推定する。
【0132】
診断システムは、回転機器の各要素において異常を診断するための参照周波数が存在し得る推定区間を設定する。診断システムは、各推定区間においてスペクトルがピークとなる周波数を特定する。診断システムは、当該周波数に基づいて指標値を取得する。診断システムは、各指標値に基づいて各要素の異常を診断する。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0134】
1…診断システム、4…回転機器、5…振動センサ、6…トランスデューサ、10…ユーザ端末、11…プロセッサ、12…ROM、13…RAM、14…NVM、15…通信部、16…操作部、17…表示部、18…カメラ、19…マイク、20…サーバ、21…プロセッサ、22…ROM、23…RAM、24…NVM、25…通信部、26…操作部、27…表示部、41…銘板、42…コード、61…変換機インターフェース。
図1
図2
図3
図4