IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーバーシュペッヒャー・エグゾースト・テクノロジー・ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許-排ガス加熱装置 図1
  • 特許-排ガス加熱装置 図2
  • 特許-排ガス加熱装置 図3
  • 特許-排ガス加熱装置 図4
  • 特許-排ガス加熱装置 図5
  • 特許-排ガス加熱装置 図6
  • 特許-排ガス加熱装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】排ガス加熱装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20240708BHJP
   F01N 3/027 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
F01N3/20 K ZAB
F01N3/027 C
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021131942
(22)【出願日】2021-08-13
(65)【公開番号】P2022033052
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2021-08-13
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】10 2020 121 414.6
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520050956
【氏名又は名称】プーレム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Purem GmbH
【住所又は居所原語表記】Homburger Strasse 95, 66539 Neunkirchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゲアト ガイザー
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】八木 誠
【審判官】青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-65331(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0240305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N3/20, 3/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス加熱装置であって、周壁(30)と、該周壁内に延在しかつ絶縁材料により取り囲まれた少なくとも1つの加熱導体(32)とを含む周壁加熱要素(28)を有する加熱ユニット(12)を備え、該加熱ユニット(12)は、長手方向中心軸線(L)を螺旋状に取り囲むように巻成されており、前記加熱ユニット(12)の半径方向内側の巻成端領域(46)が、前記加熱ユニット(12)の半径方向外側の巻成端領域(48)に対して前記長手方向中心軸線(L)の方向でずらされている、排ガス加熱装置において、
前記加熱ユニット(12)は、前記周壁(30)に支持された伝熱面形成部(38)を備えており、
少なくとも1つの周方向領域において、前記加熱ユニット(12)の少なくとも2つの互いにすぐ隣の巻成部分(56,58,60)は、互いに半径方向で部分的にオーバラップしており、かついに軸方向で部分的にオーバラップしていることを特徴とする、排ガス加熱装置。
【請求項2】
前記加熱ユニット(12)は、前記周壁(30)の領域にかつ/または前記伝熱面形成部(38)の領域に、触媒として有効な材料(70)を含んで構成された表面を有することを特徴とする、請求項記載の排ガス加熱装置。
【請求項3】
前記伝熱面形成部(38)は、前記周壁加熱要素(28)をスクリュー状に取り囲む少なくとも1つの伝熱要素(40)を備え、かつ/または、前記伝熱面形成部(38)は、前記周壁加熱要素の長手方向で互いに連続するように配置されたディスク状の複数の伝熱要素を備え、かつ/または、前記伝熱面形成部(38)は、前記周壁加熱要素(28)に沿ってメアンダ状に延在する、各々の伝熱要素部分で前記周壁加熱要素により貫通された少なくとも1つの伝熱要素を備え、かつ/または、前記伝熱面形成部(38)は、円形の外周輪郭を有することを特徴とする、請求項または記載の排ガス加熱装置。
【請求項4】
前記加熱ユニット(12)は、前記長手方向中心軸線(L)の方向に長く延在した排ガス案内ハウジング(16)内に配置されており、前記加熱ユニット(12)の前記半径方向内側の巻成端領域(46)は、前記加熱ユニット(12)の前記半径方向外側の巻成端領域(48)に対して、排ガス主流れ方向(A)で見て、前記排ガス案内ハウジング(16)内で上流側に配置されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の排ガス加熱装置。
【請求項5】
前記排ガス案内ハウジング(16)は、前記排ガス主流れ方向(A)で半径方向に拡幅されたハウジング領域(20)を有し、前記加熱ユニット(12)は、前記半径方向に拡幅されたハウジング領域(20)内に少なくとも部分的に配置されており、かつ/または、
前記加熱ユニット(12)の下流側に排ガス処理ユニット(10)が配置されている
ことを特徴とする、請求項記載の排ガス加熱装置。
【請求項6】
少なくとも1つの周方向領域において、前記長手方向中心軸線(L)に対する、前記半径方向に拡幅されたハウジング領域(20)の開き角(a)が、前記長手方向中心軸線(L)に対する、前記少なくとも1つの周方向領域において前記周壁加熱要素(28)の中心(Z)の領域で前記長手方向中心軸線(L)と前記加熱ユニット(12)の少なくとも2つの巻成部分(56,58,60)とに交差する加熱ユニット迎え線(H)の加熱ユニット迎え角(b)よりも小さいことを特徴とする、請求項記載の排ガス加熱装置。
【請求項7】
各々の周方向領域において、前記長手方向中心軸線(L)に対する、前記半径方向に拡幅されたハウジング領域(20)の開き角(a)が、前記長手方向中心軸線(L)に対する、前記周壁加熱要素(28)の中心(Z)の領域で前記長手方向中心軸線(L)と前記加熱ユニット(12)の少なくとも2つの巻成部分(56,58,60)とに交差する加熱ユニット迎え線(H)の加熱ユニット迎え角(b)よりも小さいことを特徴とする、請求項記載の排ガス加熱装置。
【請求項8】
前記排ガス処理ユニット(10)は、上流側の方向に向けられた、前記長手方向中心軸線(L)に対して排ガス処理ユニット迎え角(c)を成して傾けられた流入側(26)を有し、少なくとも1つの周方向領域において、前記加熱ユニット迎え角(b)は、前記排ガス処理ユニット迎え角(c)よりも小さいことを特徴とする、請求項または記載の排ガス加熱装置。
【請求項9】
前記排ガス処理ユニット(10)は、上流側の方向に向けられた、前記長手方向中心軸線(L)に対して排ガス処理ユニット迎え角(c)を成して傾けられた流入側(26)を有し、各々の周方向領域において、前記加熱ユニット迎え角(b)は、前記排ガス処理ユニット迎え角(c)よりも小さいことを特徴とする、請求項記載の排ガス加熱装置。
【請求項10】
前記加熱ユニット迎え角(b)は、前記開き角(a)と前記排ガス処理ユニット迎え角との和の半分以下であることを特徴とする、請求項または記載の排ガス加熱装置。
【請求項11】
少なくとも1つの周方向領域において、前記加熱ユニット(12)の互いにすぐ隣の全ての巻成部分(56,58,60)は、互いに半径方向でオーバラップしており、かつ/または、少なくとも1つの周方向領域において、前記加熱ユニット(12)の互いにすぐ隣の全ての巻成部分(56,58,60)は、互いに軸線方向でオーバラップしていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の排ガス加熱装置。
【請求項12】
各々の周方向領域において、前記加熱ユニット(12)の互いにすぐ隣の全ての巻成部分(56,58,60)は、互いに半径方向でオーバラップしており、かつ/または、各々の周方向領域において、前記加熱ユニット(12)の互いにすぐ隣の全ての巻成部分(56,58,60)は、互いに軸線方向でオーバラップしていることを特徴とする、請求項11記載の排ガス加熱装置。
【請求項13】
少なくとも1つの周方向領域において、前記加熱ユニット(12)の少なくとも2つの互いにすぐ隣の巻成部分(56,58,60)は、前記少なくとも1つの周方向領域において前記周壁加熱要素(28)の中心(Z)の領域で前記長手方向中心軸線(L)と前記加熱ユニット(12)の少なくとも2つの巻成部分(56,58,60)とに交差する直線状に延在している加熱ユニット迎え線(H)の方向で互いにオーバラップしていないことを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の排ガス加熱装置。
【請求項14】
各々の周方向領域において、前記加熱ユニット(12)の少なくとも2つの互いにすぐ隣の巻成部分(56,58,60)は、前記周壁加熱要素(28)の中心(Z)の領域で前記長手方向中心軸線(L)と前記加熱ユニット(12)の少なくとも2つの巻成部分(56,58,60)とに交差する直線状に延在している加熱ユニット迎え線(H)の方向で互いにオーバラップしていないことを特徴とする、請求項13記載の排ガス加熱装置。
【請求項15】
前記半径方向内側の巻成端領域(46)は、前記長手方向中心軸線(L)に交差していることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の排ガス加熱装置。
【請求項16】
少なくとも1つの周方向領域において、前記加熱ユニット(12)の前記巻成部分(56,58,60)の少なくとも一部の巻成部分(56,58,60)は、前記周壁加熱要素(28)の中心(Z)でもって、前記長手方向中心軸線(L)に交差する直線状に延在している加熱ユニット迎え線(H)上に位置していることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の排ガス加熱装置。
【請求項17】
少なくとも1つの周方向領域において、前記加熱ユニット(12)の前記巻成部分(56,58)の少なくとも一部の巻成部分(56,58)は、前記周壁加熱要素(28)の中心(Z)でもって、前記長手方向中心軸線(L)に交差する湾曲した加熱ユニット迎え線(H’)上に位置していることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の排ガス加熱装置。
【請求項18】
前記加熱ユニット(12)の少なくとも一方の軸線方向側に、前記加熱ユニット(12)を軸線方向で支持する支持構造体(62,64)が配置されていることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の排ガス加熱装置。
【請求項19】
請求項1から18までのいずれか1項記載の少なくとも1つの排ガス加熱装置(14)を備える、内燃機関用の排ガスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排ガスシステム用の排ガス加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両における内燃機関の可能な限り僅かな有害物質放出に課せられる益々重要になっている要求は、特に内燃機関の始動段階において有害物質放出を僅かにすることができる特殊な手段を必要とする。このような手段としては、特に、排ガスシステムに配置された排ガス処理ユニット、例えば触媒またはパティキュレートフィルタを可能な限り迅速に運転温度に到達させる働きをする手段が挙げられる。これによって、排ガス処理ユニットは、始動段階でまだ比較的低い排ガス温度でも、既に触媒反応を実施することができる。
【0003】
独国特許出願公開第102019101679号明細書に基づいて、排ガス流内で排ガス処理ユニットの上流側に配置することができる排ガス加熱ユニットが公知である。この排ガス加熱ユニットは、例えば金属材料から形成された周壁と、周壁の内部で絶縁材料内に埋め込まれて収容された加熱導体とを備えた周壁加熱要素を含んでいる。加熱導体の接続端部に電圧を印加することによって、加熱導体は励起され、周壁を介して熱を外方に向かって放出する。周壁の外側には、周壁をスクリュー状(schraubenartig)に巻回して取り囲む伝熱要素の形態の伝熱面形成部が設けられている。この伝熱要素は、加熱導体の励起時にこのような排ガス加熱ユニットの周囲を流れる排ガスに熱を放出することができる表面を増大させている。
【0004】
独国特許出願公開第102019107384号明細書に開示された排ガス加熱要素では、熱放出のために利用することができる表面を増大させるために、メアンダ状に巻回された伝熱要素を備えた伝熱面形成部が設けられている。伝熱要素は、互いに連続して実質的に互いに平行に配置され、メアンダ状の構造のそれぞれの湾曲区分によって互いに結合された複数の伝熱要素部分を有している。これらの伝熱要素部分は、周壁加熱要素によって貫通されていて、周壁加熱要素の周壁に伝熱接触している。このような排ガス加熱要素を備えて構成された加熱ユニットは、排ガス加熱要素が、長手方向中心軸線を中心として螺旋状(spiralartig)に巻成され、軸線方向でその両側に配置された支持構造体の間に支持されているように構成されていてよく、これによって、実質的に、このような加熱ユニットを含む排ガス案内ハウジングの全横断面にわたって、排ガス案内ハウジング内を流れる排ガスと加熱ユニットとの熱的な相互作用を生じさせることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、排ガス加熱装置の周りを流れる排ガスへの熱の効率の良い伝達をコンパクトな構造で達成する排ガス加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明によれば、排ガス加熱装置であって、周壁(30)と、この周壁内に延在しかつ絶縁材料により取り囲まれた少なくとも1つの加熱導体(32)と、を含む周壁加熱要素を有する加熱ユニットを備え、この加熱ユニットが、長手方向中心軸線を螺旋状に取り囲むように巻成されており、加熱ユニットの半径方向内側の巻成端領域が、加熱ユニットの半径方向外側の巻成端領域に対して長手方向中心軸線の方向でずらされている、排ガス加熱装置によって解決される。
【0007】
本発明により構成された排ガス加熱装置の加熱ユニットが、実質的に長手方向中心軸線に対して直交する平面内に位置するように配置されているのではなく、螺旋状に巻成されて軸線方向に延ばされていることによって、伝熱のために利用することができる周壁加熱要素の長さが、排ガスによって通流される横断面積に関して増大し、これによって、このような加熱ユニットの周囲を流れる排ガスへの入熱が改善される。
【0008】
伝熱のために利用することができる表面積をさらに増大させることができるようにするために、加熱ユニットが、周壁に支持された伝熱面形成部を備えることが提案される。
【0009】
本発明に係る排ガス加熱装置の運転時には、熱が周壁の表面または伝熱面形成部の領域において極めて迅速に提供されるので、加熱ユニットの周囲を流れる排ガスの温度がまだ比較的低い場合でも、内燃機関または対応配置された排ガスシステムの始動時の既に極めて早い時点で、加熱ユニットが、周壁の領域にかつ/または伝熱面形成部の領域に、触媒として有効な材料を含んで構成された外側表面を有していると、排ガス中に含まれた有害物質配分を効果的に低減することができる。
【0010】
利用することができる容積を利用し尽くす最大に可能な伝熱面のためには、例えば、伝熱面形成部が、周壁加熱要素をスクリュー状(schraubenwindugsartig)に取り囲む少なくとも1つの伝熱要素を備え、かつ/または、伝熱面形成部が、周壁加熱要素の長手方向で互いに連続するように配置されたディスク状の複数の伝熱要素を備え、かつ/または、伝熱面形成部が、周壁加熱要素に沿ってメアンダ状に延在する、各々の伝熱要素部分で周壁加熱要素により貫通された少なくとも1つの伝熱要素を備え、かつ/または、伝熱面形成部が、実質的に円形の、好ましくは真円形の外周輪郭を有する構成が役立ち得る。
【0011】
加熱ユニットは、長手方向中心軸線の方向に長く延在しれた排ガス案内ハウジング内に配置されていてよく、排ガス流との特に効果的な相互作用のためには、加熱ユニットの半径方向内側の巻成端領域が、加熱ユニットの半径方向外側の巻成端領域に対して、排ガス主流れ方向で見て、排ガス案内ハウジング内で上流側に配置されていることが提案される。
【0012】
上流側の方向に配置された半径方向内側の巻成端領域を備えたこのような構造は、排ガス案内ハウジングが、排ガス主流れ方向で半径方向に拡幅されたハウジング領域を有し、加熱ユニットが、半径方向に拡幅されたハウジング領域内に少なくとも部分的に配置されていると、コンパクトな構成のために特に有利である。
【0013】
この場合、加熱ユニットの下流側に、始動段階で加熱ユニットにより加熱される排ガス流によって加熱される排ガス処理ユニット、好ましくは触媒ユニットおよび/またはパティキュレートフィルタユニットが配置されていてもよい。
【0014】
排ガス案内ハウジングの内部に発生する、排ガス流と加熱ユニットとの効果的な相互作用のための流れ状況を利用することができるようにするためには、少なくとも1つ、好ましくは各々の周方向領域において、長手方向中心軸線に対する、半径方向に拡幅されたハウジング領域の開き角が、長手方向中心軸線に対する、少なくとも1つの周方向領域において周壁加熱要素の中心の領域で長手方向中心軸線と加熱ユニットの少なくとも2つ、好ましくは全ての巻成部分とに交差する加熱ユニット迎え線の加熱ユニット迎え角よりも小さいことが提案される。
【0015】
好ましくは、さらに、排ガス処理ユニットが、上流側の方向に向けられた、長手方向中心軸線に対して排ガス処理ユニット迎え角を成して傾けられた流入側を有し、少なくとも1つ、好ましくは各々の周方向領域において、加熱ユニット迎え角が、排ガス処理ユニット迎え角よりも小さいことが特定されていてよい。
【0016】
排ガス流と、排ガス案内ハウジング内に配置された加熱ユニットとの熱的な相互作用と、コンパクトな構造形態とに関して、加熱ユニット迎え角が、開き角と排ガス処理ユニット迎え角との和の半分以下であることが特に有利である。
【0017】
排ガス流への熱の極めて効果的な伝達は、少なくとも1つ、好ましくは各々の周方向領域において、加熱ユニットの少なくとも2つ、好ましくは互いにすぐ隣の全ての巻成部分が、互いに半径方向でオーバラップしており、かつ/または、少なくとも1つ、好ましくは各々の周方向領域において、加熱ユニットの少なくとも2つ、好ましくは互いにすぐ隣の全ての巻成部分が、互いに軸線方向でオーバラップしていることによって得ることができる。これによって、排ガス流が実質的に加熱ユニットとの熱的な相互作用を有していない横断面領域を十分に回避することができる。
【0018】
それにもかかわらず、排ガス流が極めて強く絞られることを回避するために、少なくとも1つ、好ましくは各々の周方向領域において、加熱ユニットの少なくとも2つ、好ましくは互いにすぐ隣の全ての巻成部分が、少なくとも1つの周方向領域において周壁加熱要素の中心の領域で長手方向中心軸線と加熱ユニットの少なくとも2つ、好ましくは全ての巻成部分とに交差する加熱ユニット迎え線の方向で互いにオーバラップしておらず、好ましくは互いに間隔を有することが提案される。
【0019】
中央領域、つまり、長手方向中心軸線の領域においても、加熱ユニットと排ガス流との相互作用を得ることは、半径方向内側の巻成端領域が、長手方向中心軸線に交差していることによって達成することができる。
【0020】
特に、排ガス流れ方向で半径方向に拡幅されたハウジング区分を備えた排ガス案内ハウジング内への組込みに関して、特に簡単に実現することができる構造では、少なくとも1つ、好ましくは各々の周方向領域において、加熱ユニットの巻成部分の少なくとも一部、好ましくは全ての巻成部分が、周壁加熱要素の中心でもって、長手方向中心軸線に交差する直線状に延在している加熱ユニット迎え線上に位置していることが提案される。これによって、加熱ユニットの実質的に円錐状の構造が得られる。
【0021】
代替的な構成形態では、少なくとも1つ、好ましくは各々の周方向領域において、加熱ユニットの巻成部分の少なくとも一部、好ましくは全ての巻成部分が、周壁加熱要素の中心でもって、長手方向中心軸線に交差する、例えば円弧状に湾曲した加熱ユニット迎え線上に位置していてよい。
【0022】
加熱ユニットを安定的に排ガスシステム内にまたは排ガスシステムの排ガス案内ハウジング内に収容することができるようにするために、さらに、加熱ユニットの少なくとも一方、好ましくは両方の軸線方向側に、加熱ユニットを軸線方向で支持する支持構造体が配置されていることが提案される。
【0023】
本発明は、さらに、前述した請求項のうちのいずれか1項記載の少なくとも1つの排ガス加熱装置を備える、内燃機関用の排ガスシステムに関する。
【0024】
以下に、本発明を添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】排ガス処理ユニットに対して上流側の排ガス加熱装置の加熱ユニットを示す斜視図である。
図2図1の加熱ユニットと、排ガス処理ユニットを含む排ガス処理装置とを示す縦断面図である。
図3図2の排ガス処理装置の構造を原理的な図で示す部分縦断面図である。
図4図2の排ガス加熱装置の加熱ユニットの、周方向領域において互いにすぐ隣に位置決めされた3つの巻成部分を示す詳細図である。
図5】代替的な構成を示す、図4に相当する図である。
図6】周壁加熱要素と、周壁加熱要素の周壁を取り囲む伝熱面形成部とを備えた、直線状に延在するように配置された加熱ユニットを示す側面図である。
図7図2の排ガス加熱装置を含む、内燃機関用の排ガスシステムを示す原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1には、図2に示した排ガス加熱装置14の、排ガス処理ユニット10と加熱ユニット12とを含むアセンブリが斜視図で示してある。排ガス加熱装置14は、さらに、排ガス案内ハウジング16を含んでおり、この排ガス案内ハウジング16は、排ガス処理ユニット10を収容する実質的に円筒形のハウジング領域18と、排ガス主流れ方向Aで下流に実質的に円筒形のハウジング領域18に続く、排ガス主流れ方向Aで長手方向中心軸線Lに対して半径方向に拡幅されたハウジング領域20と、を備えている。例えば触媒ユニットとして形成されていてよい排ガス処理ユニット10は、触媒として有効な材料によって被覆された触媒ブロック22を有していてよい。この触媒ブロック22は、繊維マット24またはこれに類するものを介在させて、排ガス案内ハウジング16の実質的に円筒形のハウジング領域18内に支持されている。
【0027】
加熱ユニット12は、排ガス処理ユニット10の流入側26に位置するように排ガス処理ユニット10に対して上流側に配置されていて、基本的に縦長に延在する周壁加熱要素28を含んでいる。周壁加熱要素28は、一般的に金属材料によって形成された周壁30と、この周壁30内に延在する少なくとも1つの加熱導体32とを備えて構成されている。加熱導体32と周壁30との間の電気絶縁を実現するために、加熱導体32は、周壁30内で、例えば粉末状の電気的な絶縁材料内に埋め込まれている。周壁加熱要素28は、排ガス案内ハウジング16の外側に位置している両接続領域34,36で電圧源37(図7参照)に接続することができ、これによって、両接続領域34,36への電圧の印加により、加熱導体32が加熱され、ひいては、この加熱導体32を介して周壁30が加熱される。
【0028】
周壁加熱要素28の、通電に組み込まれていない周壁30の外周面には、全体を符号38で示した伝熱面形成部が結合されている。伝熱面形成部38は、加熱ユニット12の周囲を流れる排ガスに熱を放出するために利用することができる表面積を増大させる働きをする。このような伝熱面形成部38によって取り囲まれる周壁加熱要素28の一例が、図6に示してある。伝熱面形成部は、図示の実施例では、スクリュー状に巻回されて周壁加熱要素28の周壁30に沿って周壁加熱要素28の長手方向に延在している伝熱要素40を有している。例えば、同様に金属材料から形成された伝熱要素40は、そのスクリュー状に巻回された構造によって、周壁加熱要素28の長手方向に弦巻線状に延びている2つの伝熱面42,44を提供する。伝熱要素40は、加熱導体32に関して輪郭線Kによって半径方向外側に向かって画定された、好ましくは真円形の外周輪郭を形成している。
【0029】
ここで付言しておくと、伝熱面形成部38は、他の構造で形成されていてもよい。この構造は、例えば周壁加熱要素28の長手方向で互いに連続するように配置され、例えば真円形の外周輪郭を備えたディスク状の複数の伝熱面形成部を含んでいてよく、これらの伝熱面形成部は、例えば中央の領域で周壁加熱要素によって貫通されている。別の代替的な構成では、伝熱面形成部38は、メアンダ状に巻回された伝熱要素を含んでいてよく、この伝熱要素は、周壁加熱要素が直線状に延在している場合には、実質的に互いに平行に配置された複数の伝熱要素部分を含んでいる。これらの伝熱要素部分は、例えば隣り合った伝熱要素部分を互いに結合する各湾曲区分の間で、中央領域において周壁加熱要素28によって貫通されていてよい。
【0030】
周壁加熱要素28と伝熱面形成部38との結合は、例えば伝熱面形成部38を形状記憶材料により製造することによって形成することができる。例えば、伝熱面形成部の中央領域で周壁加熱要素28によって貫通される開口は、冷間変形によって、開口が周壁加熱要素28よりも僅かに大きな直径を有するように準備することができる。このような開口内への周壁加熱要素28の押込み後に、形状記憶材料によって形成された伝熱面形成部38の加熱によって、形状記憶材料が再び収縮し、これによって、周壁加熱要素に関して高いクランプ力が得られ、ひいては、例えば材料接続的な結合部を形成する必要なしに、堅固でかつ耐久性のある結合部が得られる。
【0031】
図1および図2から明らかに分かるように、周壁加熱要素28と、この周壁加熱要素28を取り囲む伝熱面形成部38とを備えた加熱ユニットは、長手方向中心軸線Lを螺旋状に巻回して取り囲むように配置されており、これによって、伝熱面形成部38により取り囲まれた周壁加熱要素28の巻回された構造に沿って、長手方向中心軸線Lに対する半径方向間隔が増大するようになっている。さらに、加熱ユニット12は、螺旋状に巻成された構造において、半径方向内側の巻成端領域46が、長手方向中心軸線Lの方向で、半径方向外側の巻成端領域48に対して軸線方向にずらされて位置するように形成されている。図2に認めることができるように、軸線方向のずれは、半径方向内側の巻成端領域46が、半径方向外側の巻成端領域48に対して上流側の方向に、つまり、排ガス主流れ方向Aとは逆向きにずらされており、したがって、排ガス処理ユニット10の流入側26に対して、より大きな間隔を置いて位置するように選択されている。
【0032】
加熱ユニット12の実質的に円錐状のこの構造によって、加熱ユニット12の運転時に、またはこの加熱ユニット12を備えて構成され図7に原理的に示される、内燃機関52用の排ガスシステム50の運転時に、様々な利点が得られる。一方では、軸線方向に延ばされた螺旋状の構造を備えた加熱ユニット12は、この加熱ユニット12が少なくとも部分的に、半径方向に拡幅されかつ例えば同様に円錐状のまたはコーン状の構造を備えて構成されたハウジング領域20内に位置するように位置決めされていることを認識することができる。このような構成によって、コンパクトな構造形態が保証され、このような構造形態では、例えば排ガス主流れ方向Aで排ガス案内管54を通って流入する排ガスが、排ガス処理ユニット10の、半径方向にさらに広げられた流入側26に向かって規定されて加熱ユニット12の周囲を流れながら導かれる。これによって、加熱ユニット12と、排ガス処理ユニット10に導かれる排ガス流との熱的な相互作用も保証される。この熱的な相互作用については、以下においてさらに詳しく説明する。利用することができる構造空間を効果的に利用し尽くすために、例えば、加熱ユニット12の螺旋状の構造の、半径方向外側の巻成端領域48をも取り囲む最後の巻成部分が、実質的に完全に排ガス案内ハウジング16の実質的に円筒形のハウジング領域18内に位置決めされていることが特定されていてよい。これによって、排ガス処理ユニット10の半径方向で最も外側の領域においても、排ガス処理ユニット10に対して上流側での加熱ユニット12と排ガス流との熱的な相互作用を保証することができる。
【0033】
さらに、加熱ユニット12の、螺旋状に巻回された軸線方向に延ばされた構造によって、伝熱面形成部38によって取り囲まれた周壁加熱要素28の利用可能な全長さを、実質的に一平面上の渦巻き状の構造、つまり、軸線方向に延ばされていない渦巻き状の構造に比べて、大幅に増大させることができる。これによって、周壁30および伝熱面形成部38の、排ガスへの伝熱のために利用することができる表面積が増大し、これは、排ガス処理ユニット10へと流れる排ガス流の効果的な加熱に貢献する。
【0034】
次に、図3図5を参照しながら、本発明のように構成された排ガス加熱装置14の構造的な構成態様について説明する。
【0035】
図3には、排ガス加熱装置14または加熱ユニット12の周方向領域である、長手方向中心軸線Lを含む平面で、加熱ユニット12の互いに隣り合った3つの巻成部分56,58,60が示してある。図3において上側でかつ長手方向中心軸線Lに対して最も大きな間隔を置いて位置決めされた巻成部分60は、半径方向外側の巻成端領域48を提供し、下側でかつ長手方向中心軸線Lに対して最も近くに示された巻成部分56は、半径方向内側の巻成端領域46を提供している。巻成部分56,58,60のそれぞれの巻成部分では、例えば周壁加熱要素28の、加熱導体32または加熱導体32の中心点によって定義された中心Zが、加熱ユニット迎え線Hに位置している。この加熱ユニット迎え線Hは、長手方向中心軸線Lひいては排ガス主流れ方向Aを基準として加熱ユニット迎え角bを成して、半径方向内側から半径方向外側に向かって直線状に延在している。加熱ユニット12の、このように配置された巻成部分56,58,60は、これらの巻成部分56,58,60の両側で軸線方向に配置された2つの支持構造体62,64の間で支持されているかまたは軸線方向で支持されている。排ガスの通流を可能にするために、これらの支持構造体62,64は、格子状にまたはクロス状に形成され、その半径方向外側の領域で排ガス案内ハウジング16に固定されていてよい。
【0036】
加熱ユニット迎え線Hの、加熱ユニット迎え角bによって表された傾斜であって、実質的に加熱ユニット12の円錐状の構造の円錐角をも表す傾斜は、加熱ユニット12の巻成ピッチ高さをも考慮して、長手方向中心軸線Lを中心とした1つまたは各々の周方向領域において互いに隣り合った巻成部分56,58,60が、半径方向および軸線方向で互いにオーバラップするように選択されている。このオーバラップは、それぞれ加熱ユニット12の巻成部分の、輪郭線Kによって表された外周輪郭に関して考察される。この外周輪郭は、図示の実施例では、伝熱面形成部38の外周輪郭によって規定されており、したがって、図示の実施例では、実質的にそれぞれ真円形の外周輪郭を有している。これによって、互いにすぐ隣の巻成部分56,58,60の間における半径方向のオーバラップUが生じ、かつ互いにすぐ隣の巻成部分56,58,60の軸線方向のオーバラップUが生じる。さらに、巻成部分56,58,60は、1つまたは各々の周方向領域において、加熱ユニット迎え線Hに位置している中心Zが、加熱ユニット迎え線Hの方向で互いに一定の間隔を有するように位置決めされている。この一定の間隔は、個々の巻成部分56,58,60が互いにオーバラップしないような間隔であり、有利には互いに間隔dを有するような間隔である。
【0037】
排ガス案内ハウジング16内における流れ案内を考慮して、加熱ユニット迎え角bは、長手方向中心軸線Lに対する、加熱ユニット迎え角bが排ガス案内ハウジング16の半径方向に拡幅されたハウジング領域20の開き角aよりも大きいように選択されている。さらに、加熱ユニット迎え角bは、加熱ユニット迎え角bが排ガス処理ユニット10の流入側26の排ガス処理ユニット迎え角cよりも小さいように選択されている。流入側26が実質的に平らな場合には、排ガス処理ユニット迎え角cは90°である。
【0038】
有利であることが判明している形態では、加熱ユニット迎え角bは、排ガス処理ユニット迎え角cと、半径方向に拡幅されたハウジング領域20の開き角aとの間のほぼ真ん中に位置しているか、またはそれよりも小さく、これによって、加熱ユニット迎え角bは、排ガス処理ユニット迎え角cと、半径方向に拡幅されたハウジング領域20の開き角aとの和の半分以下である。ここで付言しておくと、この角度に関して、実質的に回転対称の構成とは異なる構造では、それぞれ周方向に関して平均の角度を考察することができるか、または特定された領域において長手方向中心軸線Lの方向と周方向とで互いに同等の角度を考察することができる。
【0039】
このような円錐状の構造によって、長手方向中心軸線Lに対する間隔の増大と共に、排ガス主流れ方向Aから益々逸れるようにかつ益々半径方向外側に向かって方向付けられた流れ方向を有している排ガス流が、排ガスと加熱ユニット12との間の可能な限り効果的な熱的な相互作用が得られるように、加熱ユニット12に接して流れることが保証される。このときに重要なことは、半径方向外側に向かって益々排ガス主流れ方向Aから逸れる排ガス流または排ガス流の流れ方向Sによって、互いにオーバラップしている巻成部分56,58,60の位置決めに関して、有効オーバラップUeffが生じ、この有効オーバラップUeffが、半径方向のオーバラップUまたは軸線方向のオーバラップUよりも明らかに大きいということである。これによって、排ガスが周囲を流れる巻成部分の各々の巻成部分において、排ガス流と、周壁加熱要素28および伝熱面形成部38の各々の巻成部分または各々の周方向領域に位置決めされた表面領域との効果的な熱的な相互作用が保証される。それにもかかわらず、個々の巻成部分の間に存在している間隔dによって、加熱ユニット12を通って流れる排ガス流に対して、過度の流れ堰き止めまたは過度に大きな流れ抵抗は発生しないことが保証される。また、この間隔dによって、互いにすぐ隣の巻成部分56,58,60の相互の接触が回避されていることに基づいて、このように構成された加熱ユニット12の良好な耐久性が得られる。しかしながら、排ガス流が実質的に巻成部分のいずれとも熱的な相互作用なしに生じない領域は十分に回避されている。
【0040】
ここで付言しておくと、有効オーバラップUeffは、実質的に、加熱ユニット迎え角bによって規定されている。この角度が小さければ小さいほど、加熱ユニット12の円錐状の構造はより鋭角的になり、かつ長手方向中心軸線Lからさらに半径方向で離れた領域において加熱ユニット迎え線Hと排ガス流の流れ方向Sとの間の角度は小さくなる。可能な限り小さな間隔dもまた大きな有効オーバラップUeffに貢献する。
【0041】
加熱ユニット12の異なる変化形態は、図5の図示において認識することができる。図5において分かるように、半径方向内側のかつ半径方向内側の巻成端領域46をも提供する巻成部分56は、さらに半径方向内側に位置決めされており、これによって、この巻成部分56は、例えば周壁加熱要素28の中心Zの領域で長手方向中心軸線Lに交差している。このことは、排ガスが加熱ユニット12との熱的な相互作用なしに通流する恐れがある横断面が中心領域にも存在していないということを保証する。
【0042】
さらに図5が示すように、同様に周方向領域に関しても、それぞれの巻成部分56,58における周壁加熱要素28の中心Zは、必ずしも直線状に延在している加熱ユニット迎え線H上に位置していなくてよく、例えば湾曲した、有利には円弧状に湾曲した加熱ユニット迎え線H’上に位置していてよく、この加熱ユニット迎え線H’は、図5に示すように排ガス流に関して凸面状に湾曲していてもよいし、凹面状に湾曲していてもよい。ここで強調しておくと、もちろん、このように湾曲した加熱ユニット迎え線H’上への中心Zの位置決めは、2つよりも多くの巻成部分が考察される場合に、加熱ユニット12の構造全体において描写される。それというのは、もちろん、2つの巻成部分を通すのであれば、直線状に延在している線を常に引くことができるからである。
【0043】
このように個々の巻成部分56,58の中心を、湾曲した加熱ユニット迎え線H’上に位置決めすることによって、伝熱面形成部38の外周輪郭または輪郭線Kによってそれぞれ定義された、全加熱ユニット12の包絡面もまた、それぞれ再び周方向領域に関して、相応に凸面状にまたは凹面状に延びる線上に位置している。図3および図4を参照しながら前述したこのような線H’の迎え角は、例えば半径方向内側の領域において、つまり、このような加熱ユニット迎え線H’が長手方向中心軸線Lに交差している領域において考察することができるが、しかしながら、このような湾曲した加熱ユニット迎え線H’の平均的な迎え角に基づいて考察することもできる。
【0044】
さらに付言すると、対称性の理由から、長手方向中心軸線Lにおける全周にわたって、それぞれ実質的に等しい構造が、つまり、加熱ユニット迎え線H;H’のほぼ等しい経過が設けられてよい。
【0045】
螺旋状にかつ軸線方向に延ばされて巻回された構造を備えて構成された加熱ユニット12を排ガス処理ユニット10の上流側に含んでいる本発明のように構成された排ガス加熱装置14によって、特に内燃機関52の始動段階において、排ガス処理ユニット10に流れる排ガスを効果的に加熱し、次いで、この熱を排ガス処理ユニット内にまたは排ガス処理ユニットの触媒として有効な材料内にもたらすことが保証される。これによって、内燃機関52の運転の始動段階において排ガス処理ユニット10が、そこで実現したい触媒反応を実施するのに十分な温度を有していない時間を大幅に短縮することができる。
【0046】
排ガス加熱装置14または加熱ユニット12の効果は、さらに、加熱ユニット12に炭化水素を、つまり、例えば内燃機関52で使用される燃料を噴射することによってもさらに改善することができる。例えば、これは、加熱ユニット12に対して上流側に位置決めされている図3に示したインジェクタ68によって行うことができる。加熱ユニット12に、この加熱ユニット12の加熱運転時に衝突する炭化水素は、そこに存在している温度に基づいて変換され、これによって、追加的な反応熱が放出され、この反応熱は、排ガス流を介して、下流側に位置決めされた排ガス処理ユニット10内に輸送することができる。特に、内燃機関52がディーゼル内燃機関であり、排ガス処理ユニット10がSCR触媒および/またはディーゼルパティキュレートフィルタを含んでいる場合には、これによって、このシステム領域を極めて迅速に運転温度に到達させることができる。この効果は、規定された点火角調整によって燃料の一部が内燃機関52内で燃焼せず、未燃焼状態で排出され、ひいては、排ガス流によって加熱ユニット12に搬送されるように内燃機関52を運転することによっても達成することができる。
【0047】
特に、内燃機関52の運転の始動段階で有害物質放出の更なる減少を達成できるようにするために、加熱ユニット12には、周壁30の外側表面の領域にかつ/または伝熱面形成部38に、触媒として有効な材料70を備えた表面が設けられていてよい。こうして、周壁加熱要素28の励起時に、この触媒として有効な材料70を極めて迅速に加熱し、ひいては、触媒反応を実施するために必要な温度へともたらすことができるので、既に排ガス処理ユニット10の上流側で触媒変換が行われ、ひいては、排ガス中の有害物質割合が減少する。
【0048】
排ガス処理ユニット10が、ガソリン機関として形成された内燃機関52において三元触媒を含んでいる場合には、触媒として有効な材料には、例えば白金および/またはパラジウムおよび/またはロジウムを含んだ被覆層を設けることができる。内燃機関52がディーゼル機関であり、したがって、排ガス処理ユニットがディーゼル酸化触媒である場合には、触媒として有効な材料には、例えば白金および/またはパラジウムを含んだ被覆層が設けられていてよい。相応の被覆層は、ディーゼル機関として形成された内燃機関52ではNOx吸蔵触媒として設けられていてもよく、吸蔵成分としては、例えばバリウムを含有する化合物が設けられていてよい。
【0049】
排ガス処理ユニット10が、ディーゼル機関として形成された内燃機関52に対応配置してSCR触媒を含んでいる場合には、触媒として有効な材料は、SCR触媒の上流側で実施すべき尿素/水溶液の調製を実現する加水分解触媒であってよい。例えば、そのために、二酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび/または酸化アルミニウムを含んで構成された被覆層が設けられていてよい。SCR触媒を含む排ガス処理ユニット10との協働時に、触媒として有効な材料70は、例えばFe-ゼオライト、Cu-ゼオライトまたは酸化バナジウム(例えばバナジウム-五酸化二リン)を含んで構成されていてもよい。特に、このような酸化物を含んだ被覆層では、触媒として有効な材料を混合酸化物被覆層として設けることも可能である。
【0050】
このような被覆層は、例えば、周壁30および/または伝熱面形成部38の被覆すべき表面に、まず、比較的高いAl割合を有する、いわゆるウォッシュコート、例えば約5%のAl割合を有するFeCr-合金1.4767を塗布することによって被着することができ、このとき、被覆すべき表面は熱処理されてもよい。このウォッシュコートによって、多孔質の酸化セラミック被覆層が得られ、この被覆層は、その多孔質の構造に基づいて、大きな内側表面を提供し、次いで、この内側表面に、触媒として有効な材料70を含んだ被覆層を、例えば含浸によって被着することができる。
【0051】
上に詳しく記載した加熱ユニット12では、それぞれ互いに隣り合った巻成部分の構造または位置決めは、それぞれ伝熱面形成部38の外周輪郭に関して述べてある。このことは特に、互いにすぐ隣の巻成部分56,58,60の、軸線方向および半径方向で互いにオーバラップしている構造にも云える。特に伝熱面形成部38を備えたこのような構造は、排ガス流に熱を伝達するための可能な限り大きな表面積を提供するために特に有利である。それにもかかわらず付言しておくと、加熱ユニット12の、軸線方向および半径方向で互いにオーバラップしている巻成部分を備えた、螺旋状に巻回されて軸線方向に延ばされた構造は、基本的に、加熱ユニット12が単に周壁加熱要素28しか含んでおらず、周壁30に設けられた伝熱面形成部を含んでいない場合にも実現されていてよい。そして、互いにすぐ隣の巻成部分の、軸線方向および半径方向で互いにオーバラップしている関係は、それぞれ周壁30の外周輪郭に関連して調整することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7