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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】気化器電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240708BHJP
   A24F 40/57 20200101ALI20240708BHJP
【FI】
H02M3/155 P
A24F40/57
【請求項の数】 38
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021150231
(22)【出願日】2021-09-15
(62)【分割の表示】P 2019566808の分割
【原出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021192637
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】62/748,203
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/915,294
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523071097
【氏名又は名称】ジュール・ラブズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】JUUL Labs, Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 F Street NW, Washington DC, 20004, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ジェイ・ハットン
(72)【発明者】
【氏名】バル・バレンタイン
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/122411(WO,A1)
【文献】特表2014-530632(JP,A)
【文献】特表2018-505696(JP,A)
【文献】国際公開第2018/055761(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0294804(US,A1)
【文献】中国特許第105011375(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
A24F 40/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化器噴霧器の発熱体を流れる電流を測定するステップであって、前記電流は、電源および前記発熱体に電気的に結合するように構成されたコンバータにより供給され、前記コンバータは、前記電源から第1の電圧を受け取って前記発熱体に第2の電圧を提供するようにさらに構成され、前記コンバータは、直流-直流(DC-DC)コンバータであるステップと、
前記発熱体の電圧を測定するステップと、
電力および/または抵抗を計算するステップと、
前記第2の電圧を変化させて、前記発熱体の目標電力または目標温度を維持するステップと、
前記電源からの前記第1の電圧を測定するステップと、
前記発熱体に電力供給するための操作回路を選択するステップと、
を含み、
前記電源の出力電圧が選択電圧以上であるとき、前記操作回路は、パルス幅変調制御回路であり、
前記電源の出力電圧が前記選択電圧未満であるとき、前記操作回路は、前記DC-DCコンバータを含むDC-DCコンバータ制御回路である、
方法。
【請求項2】
前記選択電圧は、4.0Vである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択電圧は、3.8Vである、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記選択電圧は、3.6Vである、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記選択電圧は、3.4Vである、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記発熱体の前記電圧を測定するステップは、4線式接続を用いるステップを含む、
請求項1から5のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記発熱体の前記電圧を測定するステップは、3線式接続を用いるステップを含む、
請求項1から5のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記DC-DCコンバータは、昇圧および/または降圧コンバータおよびエネルギー貯蔵装置を含む、
請求項1から7のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記エネルギー貯蔵装置は、スイッチドキャパシタトポロジーまたはチャージポンプトポロジーのキャパシタを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記エネルギー貯蔵装置は、インダクタを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記発熱体の前記電圧を測定するステップは、前記発熱体への電力供給を中断することなく発生する、
請求項1から10のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記DC-DCコンバータは、加熱サイクルの間、前記発熱体に中断されない電力を提供するように構成されている、
請求項1から11のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記電源は、バッテリである、
請求項1から12のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、前記測定された電流の変化に基づいて、前記DC-DCコンバータと前記発熱体との間の接点の接触抵抗の変化を決定するステップをさらに含む、
請求項1から13のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
気化器噴霧器の発熱体を流れる電流を測定するステップであって、前記電流は、電源および前記発熱体に電気的に結合するように構成されたコンバータにより供給され、前記コンバータは、前記電源から第1の電圧を受け取って前記発熱体に第2の電圧を提供するようにさらに構成され、前記コンバータは、直流-直流(DC-DC)コンバータであるステップと、
前記発熱体の電圧を測定するステップと、
電力および/または抵抗を計算するステップと、
前記第2の電圧を変化させて、前記発熱体の目標電力または目標温度を維持するステップと、
パルス幅変調制御回路のデューティサイクルを測定するステップと、
前記デューティサイクルが選択デューティサイクルより大きいとき、前記DC-DCコンバータを含むDC-DCコンバータ制御回路を選択するステップと、
を含む方法。
【請求項16】
前記選択デューティサイクルは、85%より大きい、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記選択デューティサイクルは、90%より大きい、
請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記選択デューティサイクルは、95%より大きい、
請求項15から17のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
前記選択デューティサイクルは、98%より大きい、
請求項15から18のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
前記選択デューティサイクルは、約100%である、
請求項15から19のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
前記発熱体の前記電圧を測定するステップは、4線式接続を用いるステップを含む、
請求項15から20のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
前記発熱体の前記電圧を測定するステップは、3線式接続を用いるステップを含む、
請求項15から20のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
前記DC-DCコンバータは、昇圧および/または降圧コンバータおよびエネルギー貯蔵装置を含む、
請求項15から22のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
前記エネルギー貯蔵装置は、スイッチドキャパシタトポロジーまたはチャージポンプトポロジーのキャパシタを含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記エネルギー貯蔵装置は、インダクタを含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記発熱体の前記電圧を測定するステップは、前記発熱体への電力供給を中断することなく発生する、
請求項15から25のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
前記DC-DCコンバータは、加熱サイクルの間、前記発熱体に中断されない電力を提供するように構成されている、
請求項15から26のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
前記電源は、バッテリである、
請求項15から27のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
前記方法は、
前記発熱体を流れる電流を測定するステップと、
前記測定された電流の変化に基づいて、前記DC-DCコンバータと前記発熱体との間の接点の接触抵抗の変化を決定するステップと、
をさらに含む、
請求項15から28のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項30】
回路およびマイクロコントローラを備える装置であって、
前記回路は、気化器噴霧器の発熱体を流れる電流および前記発熱体の電圧を測定するように構成され、前記電流は、電源および前記発熱体に電気的に結合するように構成されたコンバータにより供給され、前記コンバータは、前記電源から第1の電圧を受け取って前記発熱体に第2の電圧を提供するようにさらに構成され、前記コンバータは、直流-直流(DC-DC)コンバータであり、前記回路は、電力および/または抵抗を計算し、前記第2の電圧を変化させて、前記発熱体の目標電力または目標温度を維持し、前記電源からの前記第1の電圧を測定するように構成され、
前記マイクロコントローラは、前記電源の出力電圧またはパルス幅変調制御回路のデューティサイクルに応じて、前記発熱体に電力供給するための操作回路を選択し、前記操作回路は、前記DC-DCコンバータを含むDC-DCコンバータ制御回路または前記パルス幅変調制御回路である、
装置。
【請求項31】
前記発熱体に電力供給するための前記操作回路は、前記電源の出力電圧に基づいて選択され、
前記電源の出力電圧が3.4Vから4.0Vの選択電圧以上であるとき、前記操作回路は、前記パルス幅変調制御回路であり、
前記電源の出力電圧が3.4Vから4.0Vの前記選択電圧未満であるとき、前記操作回路は、前記DC-DCコンバータを含むDC-DCコンバータ制御回路である、
請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記発熱体に電力供給するための前記操作回路は、前記パルス幅変調制御回路の前記デューティサイクルに基づいて選択され、
前記デューティサイクルが85%より大きいとき、前記DC-DCコンバータを含むDC-DCコンバータ制御回路が選択される、
請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記発熱体の前記電圧を測定することは、3線式接続または4線式接続を用いることを含む、
請求項30から32のうちいずれか1つに記載の装置。
【請求項34】
前記DC-DCコンバータは、昇圧および/または降圧コンバータおよびエネルギー貯蔵装置を含む、
請求項30から33のうちいずれか1つに記載の装置。
【請求項35】
前記エネルギー貯蔵装置は、スイッチドキャパシタトポロジーまたはチャージポンプトポロジーのキャパシタを含む、
請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記エネルギー貯蔵装置は、インダクタを含む、
請求項34に記載の装置。
【請求項37】
前記発熱体の前記電圧を測定することは、前記発熱体への電力供給を中断することなく発生する、
請求項30から36のうちいずれか1つに記載の装置。
【請求項38】
前記DC-DCコンバータは、加熱サイクルの間、前記発熱体に中断されない電力を提供するように構成されている、
請求項30から37のうちいずれか1つに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[相互参照]
本出願は、2018年10月19日出願、発明の名称「気化噴霧器の電力供給」の米国仮特許出願第62/748203号に基づく優先権を主張し、2019年10月15日出願、発明の名称「気化噴霧器の電力供給」の米国仮特許出願第62/915294号に基づく優先権を主張する。これらの両方は、許される最大限で、全体を通して参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の要旨は、直流-直流コンバータを利用する気化噴霧器の電力供給に関する。
【背景技術】
【0003】
気化器装置は、気化器、電子気化器装置、又はe-気化器装置とも呼ばれ、気化器装置のユーザによるエアロゾルの吸入による、1つ以上の有効成分を含むエアロゾル(例えば、静止又は移動する空気又は他の気体媒体の塊に浮遊する、気相材料及び/又は凝縮相材料)の送達のために用いられ得る。例えば、電子ニコチン送達システム(ENDS)は、バッテリ駆動かつタバコ又は他の物質を燃焼させることなく喫煙体験のシミュレートに用いられる気化器装置のクラスを含む。気化器は、処方薬の使用における医薬品の送達と、タバコ、ニコチン及び他の植物ベース材料の消費との両方のために、ますます人気を獲得している。気化器装置は、持ち運び可能であり、自己充足であり、及び/又は使用に便利であり得る。
【0004】
気化器装置の使用において、ユーザは口語的に「蒸気」と呼ばれるエアロゾルを吸引する。エアロゾルは、液体、溶液、固体、ペースト、ワックス及び/又は特定の気化器装置での使用に適した他の形態であり得る気化可能材料を気化させる(例えば、液体又は固体を少なくとも部分的に気相に移行させる)発熱体により生成され得る。気化器とともに用いられる気化可能材料は、ユーザがエアロゾルを吸入するための出口(例えばマウスピース)を含むカートリッジ(例えば、気化可能材料を封入する気化器装置の分割可能部分)内に提供され得る。
【0005】
特定の例において、気化器装置により生成される吸入可能なエアロゾルを受け取るために、ユーザは、パフを行い、ボタンを押し、及び/又は他のアプローチにより気化器装置を起動できる。本明細書に用いられる「パフ」とは、空気塊が気化器装置に引き込まれて、気化された気化可能材料と空気塊との組み合わせにより吸引可能エアロゾルを生成するようなやり方の、ユーザによる吸引を指し得る。
【0006】
気化器装置が気化可能材料から吸引可能エアロゾルを生成するアプローチには、気化可能材料を気化噴霧器又は気化室(例えば加熱室)で加熱し、気化可能材料を気相(又は蒸気相)へと変換させることを含む。気化噴霧器又は気化室は、熱源(例えば伝導熱源、対流熱源、及び/又は放射熱源)が気化可能材料を加熱して空気と気化材料との混合物を生成し、気化装置のユーザによる気化可能材料の吸入のための蒸気を形成する領域又は容積を指す。
【0007】
気化噴霧器は液体をエアロゾルに蒸発させるために用いられ、継続的に蒸気を生成して高温に晒すことによる液体劣化を防ぐために、抵抗線コイル等の発熱体の電力制御及び温度制御を必要とし得る。典型的には、制御可能な加熱に関係する2つのパラメータは、発熱体への電力と及び発熱体の温度が含まれ得る。
【0008】
典型的な気化噴霧器において、ヒーラコイルは、バルク温度が高くなると抵抗が増加する、正の抵抗温度係数(TCR)を有する導体で構成され得る。制御ループは,周辺温度から高温まで抵抗の増加を測定し、ヒータへの電力を調整して、継続的な蒸気のための目標動作温度を維持する。ヒータの電力制御は、パルス幅変調(PWM)を用いて実装され得る。ここでは発熱体への電流はオンオフを高速で切り替えられ、発熱体で熱として消費される電力を制御する。
【0009】
このPWMアプローチは発熱体を制御可能である一方で、実装は、ヒータ及びポッドの接触抵抗の大きな変動に耐えられず、ヒータ抵抗を測定するために電力を遮断する必要があり、バッテリの実行時間が短くなり、低温での実行時間が短くなり、バッテリの老化を早め、システム統合を制約し、TCRを制約し、並びに、ヒータ抵抗の測定のための複数のコンポーネント及びコストが追加される場合がある。
【0010】
発明の概要
本発明の要旨の特定の態様において、気化器装置への電力供給に関する課題は、本明細書に記載の特徴又は当業者が理解する同等/等価なアプローチのうちの1つ以上を含めることにより対処され得る。本主題の態様は、気化器装置の発熱体に電力を供給するための方法及びシステムに関する。
【0011】
本明細書に記載の要旨の1つ以上の変形の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。本明細書に記載の要旨の他の特徴及び利点は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになる。本開示に続く特許請求の範囲は、保護される要旨の範囲を画定することを意図するものである。いくつかの変形例において、以下の特徴の1つ以上は、任意の実行可能な組み合わせでオプション的に含まれ得る。
【0012】
ある態様において、システムは、電源及び気化噴霧器の発熱体に電気的に結合するように構成されたコンバータを含む。コンバータは、電源から第1の電圧を受け取り、発熱体に第2の電圧を提供するようにさらに構成され得る。コンバータは、直流-直流コンバータであり得る。電力モニタは、発熱体に電気的に結合し、発熱体に流れる電流を測定し、発熱体に加わる電圧を測定し、電力及び/又は抵抗を計算し、及びコンバータに制御信号を出力するように構成される。コンバータは、制御信号により制御されて第2の電圧を変化させ、発熱体の目標電力又は目標温度を維持するように構成され得る。
【0013】
以下の特徴のうちの1つ以上が実行可能な組み合わせで含まれ得る。例えば、コンバータは昇圧コンバータ又は降圧コンバータを含み得る。コンバータはエネルギー貯蔵装置を含み得る。エネルギー貯蔵装置は、スイッチドキャパシタトポロジー又はチャージポンプトポロジーのキャパシタを含み得る。エネルギー貯蔵装置はインダクタを含み得る。電力モニタは閉ループ制御を形成するアナログ回路を含み得る。電力モニタは、発熱体を流れる電流及び発熱体に加わる電圧を測定するように構成されたアナログフロントエンド回路と、発熱体を通る測定電流及び発熱体に加わる測定電圧に基づいて制御信号を提供するように構成された回路を含むデジタイザとを含み得る。デジタイザは、パルス幅変調信号、デジタル-アナログ変換信号、又は集積回路間でフォーマットされた信号としての、制御信号を提供するように構成され得る。電力モニタは、発熱体に加わる電圧を測定するための4線式接続を含み得る。代替的に、電力モニタは、発熱体に係る電圧を測定するために、3線式接続を含み得る。電力モニタは、発熱体への電力供給を中断することなく、電流及び電圧を連続的に測定することができる。コンバータ及び発熱体の間には、マイクロコントローラ及びスイッチが含まれ得る。スイッチは、マイクロコントローラに電気的に結合され得る。マイクロコントローラは、パルス幅変調信号をスイッチのゲートに印加するように構成され得る。コンバータは、第1の電力レベルで動作するように構成され、マイクロコントローラは、発熱体の測定電流及び発熱体に加わる測定電圧に基づいて、第2の電力レベルを決定し、パルス幅変調信号を変更してスイッチを制御し、第2の電圧を変更するように構成され得る。
【0014】
コンバータは、加熱サイクル中に途切れない電力を発熱体に供給するように構成され得る。電力モニタは、測定電流の変化に基づいて、コンバータ及び発熱体の間の接点の接触抵抗の変化を判断するように構成され得る。システムは、発熱体に結合するように構成された電流源をさらに含み、電流源は、電流源抵抗器及び電流源スイッチを含み得る。
【0015】
システムは、ユニバーサルシリアルバスパワーレールを含むユニバーサルシリアルバスポートをさらに含み得る。コンバータは、ユニバーサルシリアルバスパワーレールに第3の電力を出力するように構成される。コンバータを含むシステムは、電源及び気化噴霧器の発熱体に電気的に結合するように構成されたパルス幅変調(PWM)制御回路も含み得る。パルス幅変調制御回路は、発熱体にPWM電力を供給するようにさらに構成される。電源はバッテリであり得る。
【0016】
別の態様において、統合コンバータは、コンバータ、電力モニタ、及び充電器を1つのユニット内に含む。コンバータは、気化噴霧器の電源及び発熱体と電気的に結合するように構成され得る。コンバータは、電源から第1の電圧を受け取り、発熱体に第2の電圧を提供するように構成され得る。コンバータは、直流-直流コンバータである。電力モニタは、発熱体に電気的に結合し、発熱体を流れる電流を測定し、発熱体に加わる電圧を測定し、電力及び/又は抵抗を計算し、コンバータに制御信号を出力するように構成される。充電器は、電源に電気的に接続して電源を充電するように構成され得る。コンバータは、制御信号によって制御され、第2の電圧を変化させて、発熱体の目標電力又は目標温度を維持するように構成される。コンバータ及び充電器は、発熱体に電力を供給し、電源を充電するための共通のインダクタを含み得る。
【0017】
別の態様において、方法は、気化噴霧器の発熱体を流れる電流を測定するステップと、発熱体に加わる電圧を測定し、電力及び/又は抵抗を計算するステップと、コンバータの動作を制御して第2の電圧を変化させ、発熱体の目標電力又は目標温度を維持するステップとを含む。電流は、電源と発熱体に電気的に結合するように構成されたコンバータにより供給され得る。コンバータは、電源から第1の電圧を受け取り、発熱体に第2の電圧を提供するようにさらに構成され得る。コンバータは、直流-直流コンバータである。
【0018】
次の機能の1つ以上は実行可能な任意の組み合わせで含まれ得る。例えば、コンバータは、昇圧コンバータ及び/又は降圧コンバータを含み得る。コンバータはエネルギー貯蔵装置を含み得る。エネルギー貯蔵装置は、スイッチドキャパシタトポロジー又はチャージポンプトポロジーのコンデンサを含み得る。エネルギー貯蔵装置は、インダクタを含み得る。制御信号は、パルス幅変調信号、デジタル-アナログ変換信号、又は集積回路間でフォーマットされた信号としてコンバータに提供され得る。パルス幅変調信号は、マイクロコントローラ、コンバータ、及び発熱体の間に接続されたスイッチのゲートに印加され得る。コンバータは第1の電力レベルで動作するように構成され、マイクロコントローラは、発熱体を流れる測定電流及び発熱体に加わる測定電圧に基づいて、第2の電力レベルを決定し、パルス幅変調信号を変更してスイッチを制御して第2の電圧を変更するように構成され得る。コンバータは、加熱サイクル中に発熱体に途切れない電力を供給するように構成され得る。コンバータ及び発熱体の間の接点の接触抵抗の変化は、測定された電流の変化に基づいて決定され得る。
【0019】
発熱体の電圧は、4線式接続を用いて測定され得る。代替的に、3線式接続を用いて発熱体の電圧を測定できる。発熱体を流れる電流は、発熱体への電力供給を中断することなく連続的に測定され得る。発熱体に加わる電圧は、発熱体への電力供給を中断することなく連続的に測定され得る。電源はバッテリであり得る。
【0020】
本明細書に記載の要旨の1つ以上の変形の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。本明細書に記載の用紙の他の特徴及び利点は、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになる。
【0021】
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、本明細書に開示される要旨の特定の態様を示し、説明とともに、開示される実施形態に関連する原理の一部を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】気化器装置を示すブロック図
図1B】気化器装置及び気化器カートリッジを示す模式図
図1C】気化器装置及び気化器カートリッジのある実装を示す正面図
図1D】気化器装置に結合された気化器カートリッジを示す正面図
図1E】気化器カートリッジを示す斜視図
図1F】気化器装置に結合された気化器カートリッジの別の実装を示す斜視図
図1G】PWMヒータ制御の例を示すシステムブロック図
図2】本主題のいくつかの態様に係るヒータ電力制御の例を示すシステムブロック図
図3図2に示すヒータ制御200の例の動作のモードを示す図
図4】コンバータが電流源として動作するヒータ制御の例を示すシステムブロック図
図5】本主題のいくつかの態様に係るヒータ制御の動作プロセスの例を示すプロセスフロー図
図6】電子パワーパスの例における抵抗及び関連するパラメータを示し、電力制御スイッチを含む回路図の例
【発明を実施するための形態】
【0023】
実用において、類似の参照番号は類似の構造、特徴又は要素を示す。様々な図面の同様の参照記号は同様の要素を示す。
【0024】
本主題の実装は、ユーザによる吸引のための1つ以上の材料の気化に関する方法、装置、製品、及びシステムを含む。実施例は、気化器装置に電力供給する方法及び気化器装置を含むシステムを含む。以下の説明及び請求項で用いられるに際し、「気化器装置」の語は、自己充足な装置、2つ以上の分割可能な部分(バッテリ及び他のハードウェアを含む気化器ボディ及び気化可能材料を含むカートリッジ等)を含む装置、及び/又はそれらに類似のもののうちの任意のものを示す。気化器装置は、気化器、電子気化器装置、又はe-気化器装置とも呼ばれ、気化器装置のユーザによるエアロゾル(例えば、静止又は移動する空気又は他の気体媒体の塊に浮遊する気相材料及び/又は凝縮相材料)の吸引による1つ以上の有効成分を含むエアロゾルの送達に用いられる。本明細書に用いられる「気化器システム」は、気化器装置等の1つ以上の構成要素を含み得る。本主題の実施形態と一致する気化器装置の例には、電子気化器、電子ニコチン送達システム(ENDS)等が含まれる。一般に、そのような気化器装置は、気化可能材料を(対流、伝導、放射、及び/又はそれらの何らかの組み合わせにより)加熱し、吸入可能な量の材料を提供する手持ち式の装置である。気化器装置で用いられる気化可能材料は、空になると補充できるカートリッジか、又は、同じ若しくは異なる種類の追加の気化可能材料を含む新しいカートリッジが用いられ得る使い捨てのカートリッジ(例えば、気化器のリザーバ又は他の筐体に気化可能材料を含む部分)内で提供され得る。気化器装置は、カートリッジ使用の気化器装置、カートリッジ不使用の気化器装置、又はカートリッジの有無に拘わらず使用可能な多目的気化器装置であり得る。例えば、気化器装置は、気化可能材料を加熱室に直接受け入れるように構成された加熱室(例えば、材料が発熱体により加熱されるオーブン又は他の領域)、及び/又は気化可能材料を収容するためのリザーバ等を含み得る。いくつかの実施形態において、気化器装置は、液体気化可能材料(例えば、有効成分及び/又は不活性成分が溶液中に懸濁又は保持されている担体溶液、又は、気化可能材料自体の液体形態)、ペースト、ワックス、及び/又は固体気化可能材料に用いるために構成され得る。固体の気化可能材料には、気化可能材料として植物材料の一部を放出する植物材料(例えば、ユーザが吸入のために材料を蒸発された後、植物材料の一部が残留物として残る)、又は、オプションで、固体材料の全てが最終的に吸入のために気化できるように気化可能な材料自体の固体形態を含み得る。同様に、液体の気化可能材料は、完全に気化されるか、又は吸入に適した材料の全てが気化した後に残る液体材料の一部を含み得る。
【0025】
図1Aのブロック図を参照して、気化器装置100は、電源112(例えば充電池等のバッテリ)と、気化可能材料102を凝縮形態(固体、液体、溶液、懸濁液、少なくとも部分的に未処理の植物材料の一部等)から気相に変換するように噴霧器141への熱の送達を制御するためのコントローラ104(例えば論理を実行可能なプロセッサ、回路等)とを含み得る。コントローラ104は、本主題の特定の実装と一致するプリント回路基板(PCB)の一部であり得る。気化可能材料102の気相への変換の後、気相の気化可能材料102の少なくとも一部が、エアロゾルの一部として気相と少なくとも部分局所均衡にある粒子状物質を形成する。この粒子状物質は、ユーザのパフ又は電子装置100上の引き込み中に気化器装置100により提供される吸入可能量の一部又は全部を形成する。周辺温度、相対湿度、化学、気流経路のフロー状態(気化器内部と人間若しくは他の動物の気道との両方)、及び/又は、気相若しくはエアロゾル相の気化可能材料102の他の気流との混合といったエアロゾルの1つ以上の物理的パラメータに影響を与えうるファクタに起因して、気化器装置100により生成されたエアロゾル中の気相及び凝縮相の間の相互作用は、複雑かつ動的であり得ることは理解されたい。一部の気化器装置、特に揮発性の気化可能材料の送達のために構成された気化器装置では、吸入可能量がほぼ全て気相で存在し得る(例えば、凝縮相の粒子の形成が大きく制限され得る)。
【0026】
気化器装置100の噴霧器141は、気化可能材料102を気化するように構成され得る。気化可能材料102は液体であり得る。気化可能材料102の例には、現役、懸濁液、溶液、混合物等が含まれる。噴霧器141は、発熱体(図1Aには図示せず)を含む噴霧器141の一部に、ある量の気化可能材料102を送達するように構成されたウィッキングエレメント(即ちウィック)を含み得る。
【0027】
例えば、ウィッキングエレメントは、気化可能材料102を収容するように構成されたリザーバ140から気化可能材料102を引き出すように構成され得る。その結果、気化可能材料102は、発熱体から送達される熱により気化され得る。また、ウィッキングエレメントは、空気がリザーバ140に入ることをオプションで許可し、除去された気化可能材料102の体積を置換し得る。本主題のいくつかの実施形態において、毛細管現象は、発熱体による気化のために気化可能材料102をウィックに引き込むことができ、空気はウィックを通じてリザーバ140に戻り、リザーバ140内の圧力を少なくとも部分的に均等化することができる。空気をリザーバ140に戻して圧力を均等化する他の方法も、本主題の範囲内である。
【0028】
本明細書で用いられるに際し、「ウィック」又は「ウィッキングエレメント」は、毛細管圧を介して流体運動を引き起こすことができる任意の材料を含む。
【0029】
発熱体は、導電性ヒータ、放射ヒータ、及び/又は対流ヒータのうちの1つ以上を含み得る。発熱体の一種に抵抗発熱体があり、電流が発熱体の1つ以上の抵抗部を通過する時に、熱の形で電力を放散するように構成された材料(例えば、金属、ニッケル-クロム合金等の合金、又は非金属抵抗器)を含み得る。本主題のいくつかの実施形態において、噴霧器141は、周囲を包み、内部に配置され、バルク形状に統合され、熱接触するように押しつけられ、又は、熱をウィッキングエレメントに伝達するように配置された抵抗コイル又は他の発熱体を含む発熱体を含み得る。これにより、ウィッキングエレメントによりリザーバ140から引き込まれた、気相及び/又は凝縮相(例えばエアロゾル粒子又は液滴)の気化可能材料102が、ユーザによる以降の吸入のために気化される。他のウィッキングエレメント、発熱体、及び/又は噴霧器のアセンブリ構成も可能である。
【0030】
特定の気化器装置は、追加又は代替で、気化可能材料102の加熱を介して、気相又はエアロゾル相の吸引可能な量の気化可能材料102を生成するように構成されてもよい。気化可能材料102は、固体相材料(ワックス等)又は植物材料(例えば、タバコの葉及び/又はタバコの葉の一部)であり得る。そのような気化器装置において、抵抗発熱体は、気化可能材料102が内部に配置されるオーブン又は他の加熱室の壁の一部であるか、そうでなければ、それに組み込まれるか、若しくはそれと熱接触するものであり得る。代替的に、抵抗発熱体を用いて、気化可能材料102を通過する又は通過した空気を加熱し、気化可能材料102の対流加熱を発生させることができる。さらに他の例では、植物材料の直接伝導加熱がオーブンの壁から内部への伝導のみによるものとは対照的に、植物材料の塊の内側から発生するように、抵抗発熱体が植物材料と密に接触して配置され得る。
【0031】
発熱体は、気化器装置100のマウスピース130におけるユーザのパフ(即ち吸引、吸入等)に関連して、噴霧器141(即ちウィッキングエレメント及び発熱体)を通過する気流経路に沿って、吸気口から空気を流すように起動され得る。オプションで、空気は、吸気口から1つ以上の凝縮領域又は凝縮室を通って、マウスピース130の排気口に流れることができる。気流経路に沿って移動する流入空気は、噴霧器141上又は噴霧器141内を通って移動し、そこで気相の気化可能材料102が空気に乗せられる。発熱体は、コントローラ104(本明細書で説明するように、オプションで気化器ボディ110の一部とされ得る)を介して起動され、電源112から抵抗発熱体(本明細書で説明するように、オプションで気化器カートリッジ120の一部とされる)を含む回路に電流を流すことができる。本明細書に記載のように、乗せられた気相の気化可能材料102は、気流経路の残りの部分を通過するに際して凝縮し得る。これにより、吸入可能な量の気化可能材料102は、ユーザによる吸入のための排気口(例えばマウスピース130)から、エアロゾルの形態で送達され得る。
【0032】
発熱体の起動は、センサ113のうちの1つ以上により生成された1つ以上の信号に基づくパフの自動検出によるものであり得る。センサ113及びセンサ113により生成された信号は、以下のうちの1つ以上を含み得る。
(1)環境圧力に対する気流経路に沿った圧力を検出(又はオプションで絶対圧力の変化を測定)するために配置された1つ以上の圧力センサ、
(2)気化器装置100の1つ以上の運動センサ(例えば加速度計)、
(3)気化器装置100の1つ以上の気流センサ、
(4)気化器装置100の静電容量リップセンサ、
(5)1つ以上の入力装置116(例えば、気化器装置100のボタン又は他の触覚制御装置)を介した気化器装置100とユーザとの相互作用の検出、
(6)気化器装置100と通信し、及び/又は、パフが発生若しくは差し迫っていることを判断するための他のアプローチを介する、計算装置からの信号の受信。
【0033】
本明細書で説明するように、本主題の実施形態と一致する気化器装置100は、気化器装置100と通信する1つの計算装置(又はオプションで2つ以上の装置)と(例えば無線で、又は優先接続を介して)接続するように構成され得る。この目的のため、コントローラ104は通信ハードウェア105を含み得る。コントローラ104は、メモリ108も含み得る。通信ハードウェア105は、ファームウェアを含み、及び/又は、通信用の1つ以上の暗号プロトコルを実行するためのソフトウェアにより制御され得る。
【0034】
計算装置は、気化器装置100も含む気化器システムのコンポーネントであり、気化器装置100の通信ハードウェア105と無線通信チャネルを確立可能な通信用の独自ハードウェアを含み得る。例えば、気化器システムの一部として用いられる計算装置は、ソフトウェアを実行してユーザが気化器装置100と対話できるようにするためのユーザインタフェースを生成する汎用計算デバイス(スマートフォン、タブレット、パソコン、スマートウォッチ等の他のポータブルデバイス等)を含み得る。本主題の他の実施形態において、気化器システムの一部として用いられるそういった装置は、例えばリモートコントロール装置、又は、1つ以上の物理インタフェース制御若しくはソフト(即ち、画面又は他の表示装置で構成され、触覚感知画面、マウス、ポインタ、トラックボール、カーソルボタン等の他の入力装置とのユーザインタラクションを介して選択が可能な)インタフェース制御を有する他の無線装置若しくは有線装置といった、専用のハードウェアであり得る。気化器装置100は、1つ以上の出力117又はユーザに情報を提供するための装置も含み得る。例えば、出力117は、気化器装置100の動作状態及び/又はモードに基づいて、ユーザにフィードバックを提供するように構成された1つ以上の発光ダイオード(LED)を含み得る。
【0035】
計算装置が抵抗発熱体の起動に関連する信号を提供する例において、又は、様々な制御若しくは他の機能の実装のための計算装置及び気化器装置100の結合の他の例において、計算デバイスは、1つ以上のコンピュータ命令セットを実行して、ユーザインタフェース及び基本的なデータ処理を提供する。ある例において、1つ以上のユーザインタフェースエレメントとのユーザインタラクションの計算装置による検出により、計算装置は、気化器装置100に信号を送り、発熱体を起動させて吸入可能な蒸気/エアロゾルを生成する動作温度に到達させることができる。気化器装置100の他の機能は、気化器装置100と通信する計算装置上のユーザインタフェースとユーザとのインタラクションにより制御され得る。
【0036】
気化器装置100の抵抗発熱体の温度は、以下を含む複数の要因に依存し得る。
(1)抵抗発熱体に供給される電力量、
(2)電子気化器装置100の他の部分及び/又は環境への熱伝導、
(3)ウィッキングエレメント及び/又は噴霧器141全体からの気化可能材料102の気化による潜熱損失、
(4)気流(即ち、ユーザが気化器装置100を吸引した時に発熱体又は噴霧器141全体を移動する空気)による対流熱損失。
本明細書に記載の通り、本主題のいくつかの実施形態において、発熱体を確実に起動させるか、又は発熱体を所望の温度まで加熱させるために、気化器装置100は、センサ113(例えば圧力センサ)からの信号を利用して、ユーザがいつ吸引しているかを判断し得る。センサ113は、空気が気化器装置100に入るための吸気口と、結果物として生じる蒸気及び/又はエアロゾルをユーザが吸入する排気口とを含む気流経路内に配置され、及び/又は、当該気流経路に(例えば、通路又は他の経路により)接続されて、気化器装置100を通過する空気とともにセンサ113が変化(例えば圧力変化)を検出するようにできる。本主題のいくつかの実施形態において、発熱体は、例えばパフの自動検出により、又は気流経路の変化(例えば圧力変化)を検出するセンサ113により、ユーザのパフに関連して起動され得る。
【0037】
センサ113は、コントローラ104(例えば、プリント回路基板アセンブリ又は他の種類の回路基板)上に配置されるか、又は当該コントローラ104に結合(即ち、物理的に無線接続を介して、電気的又は電子的に接続)され得る。測定を正確に行い、気化器装置100の耐久性を維持するために、気流経路を気化器装置100の他の部分から分離するのに十分な弾性を有するシール127を提供することが有益であり得る。ガスケットであり得るシール127は、センサ113を少なくとも部分的に囲むように構成され得る。これによりセンサ113から気化器装置100への内部回路への接続は、気流経路に露出されたセンサ113の一部から分離される。カートリッジベースの気化器の例において、シール127は、気化器ボディ110と気化器カートリッジ120との間の1つ以上の電気接続の部品をも分離し得る。気化器装置100内のシール127のこのような配置は、気相若しくは液相の水、又は気化可能材料102等の他の流体といった環境要因との相互作用により生じる、気化器コンポーネントへの潜在的な破壊的影響を緩和し、及び/又は、気化器装置100の想定された気流経路からの空気の漏れを低減するのに有用であり得る。気化器装置100の回路を通過し、及び/若しくは接触する不要な空気、液体又は他の流体は、圧力測定値のずれ等の様々な望まぬ影響を引き起こし、並びに/又は、気化器装置100の一部において水分や過剰な気化可能材料102等の不要な材料の蓄積を引き起こし得る。これらは、不十分な圧力信号、センサ113又は他のコンポーネントの劣化、及び/又は気化器装置100の寿命の短縮をもたらし得る。シール127における漏れは、気化器装置100の一部を通過した、吸入が望ましくない可能性がある材料を含むか又はその材料で構成される空気を、ユーザが吸入することをも引き起こし得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、気化器ボディ110は、コントローラ104と、電源112(例えばバッテリ)と、1つ以上のセンサ113と、充電端子(例えば電源112を充電するためのもの)と、シール127と、1つ以上の様々な取り付け構造を介して気化器ボディ110と結合するための気化器カートリッジ120を受容するように構成されたカートリッジ容器118とを備える。いくつかの例において、気化器カートリッジ120は、気化可能材料102を収容するためのリザーバ140を含み、マウスピース130は、吸入可能な量をユーザに送達するためのエアロゾル出口を有する。気化器カートリッジ120は、ウィッキングエレメント及び発熱体を有する噴霧器141を含み得る。代替的に、ウィッキングエレメント及び発熱体の一方又は両方は、気化器ボディ110の一部であってもよい。噴霧器141のいずれかの部分(即ち、発熱体及び/又はウィッキングエレメント)が気化器ボディ110の一部である実装において、気化器装置100は、気化可能材料102を気化器カートリッジ120のリザーバ140から気化器ボディ110に含まれる噴霧器141の部分に供給するように構成され得る。
【0039】
非液体材料の加熱を介して液体でない気化可能材料102の吸入可能な量を生成する気化器装置100のカートリッジベースの構成も、本主題の保護範囲に含まれる。例えば、気化器カートリッジ120は、1つ以上の抵抗発熱体の部分と直接接触するように処理及び形成される植物素材の塊を含み得る。また、気化器カートリッジ120は、コントローラ104と、電源112と、1つ以上の容器接点125a,125bを含む気化器ボディ110と機械的及び/又は電気的に結合されて構成され得る。容器接点125a,125bは、1つ以上の対応するカートリッジ接点124a,124bに接続して1つ以上の抵抗発熱体とともに回路を完成させる。
【0040】
電源112が気化器ボディ110の一部であり、発熱体が気化器カートリッジ120内に配置されかつ気化器ボディ110と結合されるように構成された気化器装置100の実施形態において、気化器装置100は、コントローラ104(例えばプリント回路基板、マイクロコントローラ等)を含む回路を完成させるための電気接続機能(例えば、回路を完成させるための手段)と、電源112と、発熱体(例えば噴霧器141内の発熱体)とを含み得る。これらの特徴は、気化器カートリッジ120の底面の1つ以上の接点(本明細書ではカートリッジ接点124a,124bと呼ぶ)と、気化器装置100のカートリッジ容器118の基底部の近傍に露出した少なくとも2つの接点(本明細書では容器接点125a,125bと呼ぶ)とを含み得る。カートリッジ接点124a,124b及び容器接点125a,125bは、気化器カートリッジ120がカートリッジ容器118に挿入されて結合されると電気接続を行うようになっている。これらの電気接続により完成した回路は、発熱体への電流供給を可能とし、さらに追加の機能のために用いられ得る。追加の機能は例えば、判定に用いるために発熱体の抵抗を測定すること、及び/又は発熱体の抵抗率の熱係数に基づいて発熱体の温度を制御すること等である。
【0041】
本主題のいくつかの実施形態において、カートリッジ接点124a,124b及び容器接点125a,125bは、少なくとも2つの向きのうちのいずれかで電気的に接続するように構成され得る。言い換えると、気化器装置100の動作に必要な1つ以上の回路は、気化器カートリッジ120を第1の回転方向(気化器カートリッジ120が気化器ボディ110のカートリッジ容器118に挿入される軸に沿った方向)でカートリッジ容器118に挿入することにより完成され得る。第1の方向は、カートリッジ接点124aは容器接点125aに電気的に接続され、カートリッジ接点124bは容器接点125bに電気的に接続されるような方向である。さらに、気化器装置100の動作に必要な1つ以上の回路は、気化器カートリッジ120をカートリッジ容器118に第2の回転方向で挿入することにより完成され得る。第2の回転方向は、カートリッジ接点124aは容器接点125bに電気的に接続され、カートリッジ接点124bは容器接点125aに電気的に接続されるような方向である。
【0042】
気化器カートリッジ120を気化器ボディ110に結合するための取付構造の一例において、気化器ボディ110は、カートリッジ容器118の内面から内側に突出する1つ以上の戻り止め(例えばくぼみ、突起等)と、カートリッジ容器118等に突出する部分を含むように形成された追加の材料(金属、プラスチック等)と、及び/又はそれらに類似のものとを含み得る。気化器カートリッジ120の1つ以上の外面は、対応する凹部(図1Aには図示しない)を含み得る。この凹部は、気化器カートリッジ120が気化器ボディ110のカートリッジ容器118に挿入された時に、そのような戻り止め又は突出部にフィッドし、及び/又はそうでなければ他の方法でそれにスナップし得る。気化器カートリッジ120及び気化器ボディ110が(気化器カートリッジ120を気化器ボディ110のカートリッジ容器118に挿入することにより)結合されると、気化器ボディ110の戻り止め又は突起が気化器カートリッジ120の凹部内に収まり、及び/又はそうでなければそれに保持され、気化器カートリッジ120を所定の位置に保持する。このような組み立ては、気化器カートリッジ120を適切な位置に保持する十分な支持を提供し、カートリッジ接点124a,124b及び容器接点125a,125bの間の良好な接触を確保することができる。一方で、ユーザが気化器カートリッジ120を適切な力で引いて気化器カートリッジ120をカートリッジ容器118から外すと、気化器ボディ110から気化器カートリッジ120を解放することができる。
【0043】
いくつかの実装において、気化器カートリッジ120,又は少なくとも、カートリッジ容器118への挿入のために構成された気化器カートリッジ120の挿入可能端122は、気化器カートリッジ120がカートリッジ容器118に挿入される軸に沿って横断する非円形断面を有し得る。例えば、非円形断面は、概長方形、概楕円形(即ち、ほぼ楕円形の形状を有する)、長方形ではなくとも互いに平行若しくは概平行な2組の辺を有する形状(即ち、平行四辺形に近い形状)、又は、少なくとも2次回転対称性を有する他の形状であり得る。この文脈において、概形は、記載された形状に明確に類似していることを示すが、問題の形状の辺が完全に直線である必要はなく、頂点が完全に角となっている必要もない。断面形状の辺又は頂点の一方又は両方における丸みは、本明細書で触れる任意の非円形断面の記載で考慮される。
【0044】
カートリッジ接点124a,124b及び容器接点125a,125bは、様々な形態を取り得る。例えば、接点の一方又は両方の組には、導電性のピン、タブ、ポスト、又は、ピン若しくはポストの受け穴等を含めることができる。いくつかの種類の接点は、バネ又は気化器カートリッジ120の接点と気化器ボディ110との間のより良い物理的接触及び電気的接触を促進するための他の特徴を含み得る。電気接点は、オプションで金メッキであり、及び/又は他の材料を含み得る。
【0045】
図1Bは、気化器ボディ110並びに気化器カートリッジ120を解放可能に挿入することのできるカートリッジ容器118の実施形態を示す。図1Bは、気化器ボディ110への挿入のために配置された気化器カートリッジ120を示す気化器装置100の上面図を示す。
【0046】
ユーザが気化器装置100をパフすると、空気が気化器カートリッジ120の外面と気化器ボディ110のカートリッジ容器118の内面との間を通過し得る。次に、発熱体及びウィックを含むか包含する気化室を通じて空気をカートリッジの挿入可能端122に引き込み、吸入可能エアロゾルをユーザに送達するためにマウスピース130の出口から外に出すことができる。気化器カートリッジ120のリザーバ140は、気化可能材料102のレベルが気化器カートリッジ120内で見えるように、全体的又は部分的に半透明材料で形成され得る。マウスピース130は、気化器カートリッジ120の分離可能な構成要素であるか、又は、気化器カートリッジ120の他の構成要素と一体に形成され得る(例えば、リザーバ140等との単一構造として形成される)。
【0047】
図1C図1Dは、本主題の実装と一致する気化器装置100の実施形態に含まれ得る特徴の例を示す。図1C及び図1Dは、気化器カートリッジ120を気化器ボディ110に接続する前(図1C)及び後(図1D)の気化器装置100の例の上面図を示す。
【0048】
図1Eは、気化可能材料102を保持する気化器カートリッジ120のある変形例の斜視図を示す。ニコチン又は他の有機材料の溶液を含む任意の適切な気化可能材料102が気化器カートリッジ120(例えばリザーバ140)内に含まれ得る。
【0049】
図1Fは、分離可能な気化器カートリッジ120に結合された気化器ボディ110を含む気化器装置100の別の例の斜視図を示す。図示されるように、気化器装置100は、気化器装置100の状態又は動作モード等に基づいてユーザに情報を提供するように構成された1つ以上の出力117(例えばLED)を含み得る。いくつかの態様において、1つ以上の出力117は、複数のLED(即ち、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つのLED)を含み得る。1つ以上の出力117(即ち、個々のLED)は、1つ以上の色(例えば、白、赤、青、緑、黄等)で光を表示するように構成され得る。1つ以上の出力117は、異なる光パターン(例えば、特定のLEDを点灯させる、1つ以上のLEDの光強度を経時的に変化させる、1つ以上のLEDを異なる色で点灯させる、等)を表示して、気化器装置100の異なる状態、動作モード等を示すように構成され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の出力117は、気化器装置100の下端領域160の近傍及び/又は少なくとも部分的にその中に配置され得る。気化器装置100は、追加又は代替で、外部からアクセス可能な充電接点128を含み得る。充電接点128は、気化器装置100の下端領域160の近傍及び/又は少なくとも部分的にその中に配置され得る。
【0050】
図1Gは、従来のPWMヒータ制御160の例を示すシステムブロック図である。ヒータ制御は、バッテリ充電器162と、マイクロコントローラ164と、PWM金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(PWM MOSFET)165と、電圧測定点アナログフロントエンド(VMEAS AFE)185と、低ドロップアウトレギュレータ(LDO)174と、及び電流源182とを備える。PWMヒータ制御160は、発熱体185及び気化可能材料を含むポッド180に結合するための接点181を含み得る。PWMヒータ制御160はまた、バッテリ172に結合し得る。マイクロコントローラ164は、PWM MOSFET165を制御して、発熱体185に併せて電流源182又はバッテリ172を切り替え、加熱のために発熱体185に電力を供給することができる。
【0051】
従来のPWM制御において、電力はバッテリ172から直接供給され、PWM MOSFET165等のソリッドステートスイッチによりオンオフされる。ヒータに既知の定電流を流し、発熱体185上の電圧降下を測定することにより、PWMパルス間でヒータ抵抗を測定できる。いくつかの既存の気化器噴霧器では、ヒータ制御は、発熱体に供給される電源(例えばバッテリ)のパルス幅変調により達成される。以下でさらに説明するように、従来のPWMアプローチでは発熱体の制御は行えるものの、
PWM制御がヒータとポッドの接触抵抗の大きな変動に耐えられず、
ヒータ抵抗を測定するための電源を遮断する必要があり、
バッテリの駆動時間を縮め、
バッテリの老朽化を早め、
システム統合を制限し、
TCRを制限し、並びに/又は、
ヒータ抵抗を測定するためにコンポーネントの数及びコストが増加する可能性がある。
【0052】
一部のPWMの実装は、ヒータとポッドの接触抵抗の大きな変動に耐えられない場合がある。PWM制御は、最大デューティサイクルに制限され得る。低バッテリ電圧では、PWM制御はポッドの接触抵抗の増加を補償して目標電力を維持できない場合がある。PWM制御は、低電圧でヒータの目標電力に確実に到達するために、生産時のヒータ抵抗の許容値が厳しく要求される場合がある。PWM制御は使いやすさを低下させる可能性がある。即ち、ユーザはポッドの接点を頻繁に掃除する必要がある。
【0053】
PWM制御は発熱体の温度を測定するために電力供給を中断する。PWMスイッチングが原因で、ヒータの電力を直接測定することは困難である。同様の理由で、PWMパルス間のヒータ抵抗を測定する場合があるため、通常、測定のためにヒータへの電力供給が中断される。PWM制御には、安定した定電流源、抵抗測定用のホイートストンブリッジ等の、より複雑な回路が必要となる場合がある。
【0054】
PWM制御により、気化器のバッテリ駆動時間が短縮されてしまう場合がある。目標電力に到達するためには、最低バッテリ電圧の制限がある。上記の例では、8.0Wの目標電力には、負荷がかかった状態で最低約3.4Vが必要となる。負荷電圧が約3.4V未満の場合、PWMデューティサイクルが100%であったとしても、システムは目標電力を供給できない。これは、低充電状態でのユーザ体験に悪影響を及ぼす。古くなったバッテリでは、さらに高い充電状態であっても最小電圧制限に達してしまうため、駆動時間が短くなってしまう。
【0055】
PWM制御では、低温における気化器の稼働時間が短くなり得る。バッテリインピーダンス(DCIR)は、たとえ約15℃程度の低温でも増加する。これにより、バッテリ電圧が負荷のもとで低下し、ユーザ体験が悪化し、駆動時間が短くなる。10℃未満の低温ではこの効果はさらに大きくなり、駆動時間は大幅に短くなってしまう。
【0056】
PWM制御は、バッテリの老朽化を早める場合がある。ヒータ抵抗が比較的短いため、平均~高バッテリ電圧において、PWMパルスにおける電流は高くなる。これによりセルの分極が大きくなり、負荷が大きくなり、劣化が早くなり、サイクル寿命が短くなる。
【0057】
PWM制御により、システム統合が制限される場合がある。PWM制御の充電及びヒータの電力制御は個別の回路であり、より大きな基板面積を必要とする。PWM制御では、発熱体の抵抗を比較的低くする必要があるため、設計の選択肢が制限される。
【0058】
PWM制御は、ヒータTCR選択の選択肢を制限する場合がある。TCRが高いほど、温度による抵抗変化が大きくなり、信号が大きくなり、温度測定の精度が向上する。しかしながら、PWM制御では、ヒータ電力を低いバッテリ電圧に維持するために、低いTCRを必要とし得る。
【0059】
PWM制御は、ヒータ抵抗を測定するためのコンポーネントの数及びコストを増加させる可能性がある。例えば、追加の電流源及びホイートストンブリッジ回路のために、コンポーネント数が増加し得る。
【0060】
本明細書に記載の主題は、従来のPWM制御及び他の発熱体制御技術に比して多くの技術的利点を提供する。例えば、本主題により、システム統合を改善することができる。いくつかの実装では、充電器とヒータの電力制御を1つのDC-DCコンバータに組み込むことができる。充電とヒータの駆動に単一のインダクタが用いられ得る。充電器とヒータの制御回路を組み合わせることにより、コスト削減及び/又はスペース削減を実現できる。
【0061】
いくつかの実装において、本主題は基板面積の削減を可能とし、これにより、より大きなバッテリ容量、又は全体的により小さい気化器装置が実現可能となる。ヒータとポッドの接触抵抗等の大幅な変動に耐え、かつ全体的なコストの削減も実現できる。出力電圧は、電力供給を維持するための負荷抵抗の増加にともなってスケーリングする。これにより、ポッドの接触抵抗の大きな変動を補正することができ、より製造個体差の大きい発熱体が許容され得る。
【0062】
いくつかの実装において、本主題は、接触抵抗の変化を自動的に補償することにより、使いやすさを改善することができ、従って、接点の掃除をそれほど頻繁に必要しない。
【0063】
いくつかの実装において、本主題により、加熱中のヒータ要素の測定が可能となる。例えば、加熱中にヒータの電力を直接測定しながら、連続した電力をヒータに供給することができる。コンバータのDC出力により、よりシンプルな測定回路が実現され得る。
【0064】
いくつかの実装において、本主題は、より長いバッテリ駆動時間を可能にし、バッテリセルが負荷のもとで3.0V又はさらに低電圧までより深く放電することを可能として目標性能の範疇でより長い駆動時間を実現し、並びに/又は、低温環境(例えば寒い気候)における性能を向上させることができる。例えば、バッテリ電圧は低温で低下する場合があるが、コンバータはヒータへの安定した電力供給を維持し、低温でもより長い駆動時間を提供し得る。
【0065】
いくつかの実装において、本主題は、バッテリのサイクル寿命を改善し、低ピーク放電電流に起因するバッテリへの負荷を軽減し、例えば充電器やヒータ電力制御等が1つの統合DC-DCコンバータに組み込まれ得る等のより高いシステム統合を可能とし、充電と発熱体への電力供給を行うために同じ単一のインダクタ(即ち、充電器及びヒータの電力制御に共通のインダクタ)を利用し、並びに/又は、ヒータ制御に必要な基盤面積を削減することで、バッテリ容量を大きくし、装置を小さくし、及び/若しくは全体的なコストを削減することができる。
【0066】
いくつかの実装では、線形充電器と比較して充電中の熱放散が小さくなり、充電器温度センサ(通常はバッテリセルに搭載された負の温度係数(NTC))への熱伝導が小さくなり、正確なバッテリ温度の測定が可能となり、バッテリ駆動の充電アクセサリからの高い充電効率が実現され、及び/又は、エネルギーが節約される。
【0067】
いくつかの実装は、励起電流が少なく自己発熱のないヒータ抵抗測定を提供できる。これは少なくとも、ヒータ及び電力供給FETに直列に抵抗を追加することで実装され得る。
【0068】
本主題は、ヒータを流れる電流及び発熱体の電圧を測定して電力と抵抗を計算可能な、直流-直流(DC-DC)コンバータと電力モニタを用いる気化器噴霧器の加熱制御に関する。発熱体の目標電力及び/又は目標温度を維持するために、コンバータの出力電圧が制御され得る。DC-DCコンバータ制御を利用することにより、本主題は、
電力が変化している間のヒータ抵抗と温度のモニタリング、
低バッテリ電圧及び低温におけるより速い予熱と、一貫した電力プロファイルの提供、
充電器とヒータの制御回路の結合によるコストとスペースの削減、
ポッドの接触抵抗の増加の補償とユーザ体験の改善、
発熱体が周辺温度に近いときの、バッテリを過負荷にすることのないより高いヒータTCRの実現、
低バッテリ電圧における効率の改善、
バッテリ稼働時間の改善、
より低い温度における一貫した性能の提供、
バッテリ寿命の延長、
等のうちの1つ以上を可能とする。
【0069】
図2は、本主題のいくつかの態様に係るヒータ電力制御200の例を示すシステムブロック図である。ヒータ電力制御200は、バックブーストDC-DCコンバータ205及び電力モニタ210を含み得る。いくつかの実装において、ヒータ電力制御200は、上述のコントローラ104の回路の一部である。
【0070】
コンバータ205は、電源(例えば、バッテリ215及び/又はユニバーサルシリアルバス(USB)電源220)及びポッド230にある発熱体225に電気的に結合し得る。コンバータ205は、接点235を介して発熱体225に結合し得る。コンバータは、電源(例えば215又は220)から第1の電圧(例えばVBAT又はVUSB)を受け取り、発熱体225に第2の電圧(例えばVHEAT+)を供給することができる。
【0071】
電力モニタ210は、発熱体225に電気的に結合され、マイクロプロセッサ211、アナログデジタルコンバータ212、及びアナログフロントエンド213を含み得る。電力モニタ210は、発熱体225を流れる電流を測定し、発熱体124の電圧を測定することができる(例えば、電圧がVHEAT+からVHEAT-まで降下し、電力及び/又は電圧を測定し、コンバータ205に制御信号(例えばDC EN)を出力する)。
【0072】
コンバータ205は、制御信号(例えばDC EN)によって制御され、第2の電圧(例えばVHEAT+)を変化させて、発熱体225における目標電力又は目標温度を維持することができる。コンバータ205及び電力モニタ210を利用して、発熱体225における目標電力又は目標温度を維持することにより、気化器噴霧器の改善が達成できる。
【0073】
いくつかの実装において、コンバータ205は、エネルギー貯蔵コンポーネント240を含み得る。例えば、コンバータ205は、スイッチドキャパシタ又はチャージポンプトポロジーのエネルギー貯蔵コンポーネント240としてキャパシタを利用することができる。しかしながら、図2に示すように、バッテリ215からのピーク電流引き込みを制限するために、コンバータ205は、エネルギー貯蔵コンポーネント240としてインダクタを含み得る。電圧を降圧(例えばバック)したり、電圧を昇圧(例えばブースト)したり、バッテリ電圧の範囲内で調整(昇降圧)したりするために、インダクタベースのコンバータが利用され得る。
【0074】
いくつかの実装において、コンバータ205の閉ループ制御は、電圧及び電流を測定し、アナログ信号を出力してコンバータを制御するアナログ回路を含む電力モニタ210で実現され得る。いくつかの実装において、閉ループ制御は、アナログフロントエンド(AFE)回路を用いて実現され、電圧と電流の情報を取得することができる。電力モニタ210は、PWMといったデジタル制御出力信号、デジタルアナログ変換(DAC)信号、又は集積回路間フォーマット信号(I2C)を備えるデジタルコンバータ212を含み得る。電力モニタ210は、発熱体225の電圧及び発熱体225を流れる電流を測定し、発熱体225で消費される電力及び発熱体225の抵抗を計算することができる。従来のPWMのアプローチとは異なり、これは発熱体への電力を中断することなく、継続的に実行され得る。
【0075】
いくつかの実装において、本主題は、発熱体225上の正確な電圧測定のために、4線(ケルビン)接続(例えば4つの接点235)を利用できる。いくつかの実装において、本主題は、2線式ポッド接続(例えば2個の接点235)又は3線式接続を利用できる。
【0076】
いくつかの実装において、DC-DCコンバータ205が他の電子デバイスを充電することが可能となるように、内部バッテリ215から5Vの電力が供給され得る。この場合、コンバータはUSB電源として5Vを出力する。この実装では、コンバータは3つのモード、即ち、充電器として、ヒータ制御のため、又はUSB電源として、のうちのいずれかで動作できる。
【0077】
いくつかの実装において、より高いヒータTCRが利用可能である。TCRが高いほど、より大きなΔR/ΔT信号(抵抗の変化/温度の変化)と、より正確な温度測定を提供できる。いくつかの実装は、出力電流の変動を分析して接触抵抗の増加を検知できるポッド接触抵抗診断を可能にする。
【0078】
図3は、図2のヒータ電力制御200の例の動作モードを示す図である。時間に対する電圧は、充電器が接続されているとき(充電モード)、パフ中、充電器が切断されているとき(放電モード)、休止、充電モード、休止中のオフ「輸送」モードの装置について示されている。
【0079】
いくつかの実装において、DC-DCコンバータは定電流源として利用され得る。いくつかの実装において、DC-DCコンバータはパフ間のヒータ抵抗を測定するために定電流を提供できる。これにより、定電圧出力を電流源に変換することができる。図4は、コンバータ205が電流源として動作するヒータ制御400の例を示すシステムブロック図である。ヒータ制御400の例は、発熱体225と直列に配置された抵抗器405及びスイッチ410(MOSFET)を含む。スイッチ410は、電力モニタ210により制御される。
【0080】
電流は、抵抗器405の値RISETによって設定され、いくつかの実装において、約10~100mAから選択され得る。電力モニタ210は、抵抗を計算するために、発熱体225の両端の電圧及び発熱体225を通る電流を測定することができる。
【0081】
ある実装の例において、発熱体225は、周辺温度250℃において、+5%温度上昇の正の抵抗温度係数(TCR)を含み得る。ヒータの電力供給は、動作温度で8ワット(W)、発熱体225の抵抗(R)=0.5オーム(Ω)、及び寄生抵抗R=0.35Ωである。ヒータの電圧は、最初に2.00Vに設定され得る。発熱体225が加熱すると、その抵抗は0.525Ω=0.5Ω×1.05に増加し、ヒータ電圧も2.05Vに増加して、ヒータ上の8Wを維持する。DC-DCコンバータの実際の出力電圧は、加熱開始時は2.80Vで目標温度時には2.83Vとなり、寄生抵抗による電圧降下を補償することには注意されたい。
【0082】
効率93%のDC-DCコンバータを想定すると、このDC-DC回路の全体的な効率は約56%、又はPWM制御よりも約15%低くなる可能性がある。効率を上げるために、出力電圧を4.5Vに上昇させることができる。これにより、Rが2.11Ωに増加し得る。平均効率は約75%に向上する。この場合、コンバータの効率はPWMの効率よりも約4%高くなる。
【0083】
いくつかの実装において、高効率のためにより高いヒータ抵抗が利用され、電力モニタは、電圧と電流の測定精度を改善するためにフィルタリングを組み込むことができる。また、本主題は、オン抵抗RDS(on)を低くし、スイッチングを高速化して効率を高めるために、改善された内部電力電界効果トランジスタ(FET)の設計のコンバータを利用できる。
【0084】
いくつかの実装において、ハイブリッドヒータ制御は、DC-DCコンバータとPWM制御回路を組み合わせて、気化器装置の全体的な効率を向上させることで実現され得る。例えば、高バッテリ電圧ではPWMが利用でき、低バッテリ電圧又は低温ではブーストを提供したり、ポッドの接触抵抗の増加を補償したりできる。DC-DCコンバータは、(DC-DCコンバータとして)比較的高い効率で動作するように設定でき、全開未満の出力電力しか必要としないときにオンオフを切り替えることができる。このようにして、PWM制御回路は、発熱体に電力を供給するDC-DCコンバータを補完するか、又はDC-DCコンバータがオフになったときに、発熱体にPWM電力のみを提供することができる。
【0085】
いくつかの実装において、ハイブリッドヒータ制御の方法は、電源出力電圧(例えばバッテリ出力電圧)を測定するステップと、発熱体に電力を供給するための操作回路(例えば、コントローラを用いるか、自動電圧スイッチを用いるか)を選択するステップとを含む。いくつかの実装において、方法は、4.0V以上の電源出力電圧でPWM制御回路を用いて発熱体に電力を供給し、電源出力電圧が4.0V未満の場合にはDC-DCコンバータ制御回路を用いて発熱体に電力を供給することを含む。いくつかの実装では、方法は、3.8V以上の電源出力電圧でPWM制御回路を用いて発熱体に電力を供給し、電源電圧が3.8V未満の場合にDC-DCコンバータを用いて発熱体に電力を供給することを含む。いくつかの実装では、方法は、3.6V以上の電源出力電圧でPWM制御回路を用いて発熱体に電力を供給し、電源電圧が3.6V未満の場合にDC-DCコンバータを用いて発熱体に電力を供給することを含む。いくつかの実装では、方法は、3.4V以上の電源出力電圧でPWM制御回路を用いて発熱体に電力を供給し、電源電圧が3.4V未満の場合にDC-DCコンバータを用いて発熱体に電力を供給することを含む。
【0086】
いくつかの実装において、ハイブリッドヒータ制御の方法は、発熱体に(例えばコントローラを用いて)電力を供給するPWM制御回路のデューティサイクルを測定するステップと、及び、デューティサイクルが85%よりも大きいとき、発熱体に電力を供給するためにDC-DCコンバータ制御回路に切り替えるステップとを含む。いくつかの実装において、ハイブリッドヒータ制御の方法は、発熱体に(例えばコントローラを用いて)電力を供給するPWM制御回路のデューティサイクルを測定するステップと、及び、デューティサイクルが90%よりも大きいとき、発熱体に電力を供給するためにDC-DCコンバータ制御回路に切り替えるステップとを含む。いくつかの実装において、ハイブリッドヒータ制御の方法は、発熱体に(例えばコントローラを用いて)電力を供給するPWM制御回路のデューティサイクルを測定するステップと、及び、デューティサイクルが95%よりも大きいとき、発熱体に電力を供給するためにDC-DCコンバータ制御回路に切り替えるステップとを含む。いくつかの実装において、ハイブリッドヒータ制御の方法は、発熱体に(例えばコントローラを用いて)電力を供給するPWM制御回路のデューティサイクルを測定するステップと、及び、デューティサイクルが98%よりも大きいとき、発熱体に電力を供給するためにDC-DCコンバータ制御回路に切り替えるステップとを含む。いくつかの実装において、ハイブリッドヒータ制御の方法は、発熱体に(例えばコントローラを用いて)電力を供給するPWM制御回路のデューティサイクルを測定するステップと、及び、デューティサイクルがおよそ100%のとき、発熱体に電力を供給するためにDC-DCコンバータ制御回路に切り替えるステップとを含む。
【0087】
図5は、本主題のいくつかの態様に係る、ヒータ制御を動作させるプロセス500の例を示すプロセスフロー図である。ステップ510において、気化器噴霧器の発熱体を通る電流を測定できる。電流は、電源と発熱体に電気的に結合するように構成されたコンバータにより供給できる。コンバータは、電源から第1の電圧を受け取り、発熱体に第2の電圧を提供するようにさらに構成され得る。コンバータは、直流-直流コンバータであり得る。
【0088】
ステップ520において、発熱体の電圧が測定され得る。ステップ530において、電力及び/又は抵抗が計算され得る。ステップ530において、コンバータの動作を制御して、第2の電圧を変化させ、発熱体における目標電力又は目標温度を維持することができる。
【0089】
以下は、PWM制御のある実装例を含む。これは、発熱体に電力を供給するDC-DCコンバータを補助するか、又はDC-DCコンバータがオフになったときに発熱体にPWM電力のみを供給し得る。典型的なリチウムイオンバッテリセルの動作電圧範囲は、満充電から空まで放電するのに応じて、約4.2Vから3.0Vである。目標電力及び目標温度に到達するのに十分な電圧を確保するために、発熱体の抵抗(Rh)は、最大PWMデューティサイクル(D)における最小動作電圧に対して選択される。PWMパルスの電流及び電力は電圧に比例し、オームの法則Ih=Vb/Rで与えられる。ここで、Ihは電流、Vbはバッテリ電圧、Rは抵抗である。Rは、化学セルの正及び負の端子と、噴霧器との間の電力経路の全ての抵抗が含まれる。
【0090】
いくつかの実装において、抵抗Rは、以下の抵抗の総和として表される。
Rb:内部セルインピーダンス(DCIR)
Rs:バッテリ保護電子機器、FET及びPWMスイッチ
Rt:導体抵抗、配線、PCBAトレース、電気的相互接続
Rc:ポッドの接触抵抗
Rh:抵抗発熱体(噴霧器)
簡単に、寄生抵抗はRp=Rb+Rs+Rt+Rcで表される。その場合、回路の合計抵抗はR=Rh+Rpである。図6は、電力制御スイッチを含む電力経路の例における抵抗及び関連パラメータを示す回路図の例である。正と負のレールにおける抵抗は、計算では単一の抵抗として表されることには注意されたい。
【0091】
PWM制御の計算及び発熱体における目標電力が8.0Wの場合において、バッテリからの電力は、Pb=Ph+Ppで表され得る。ここで、Pbはバッテリから引き出される電力、Phは発熱体に対する電力、Ppはすべての寄生抵抗の合計に対する電力損失である。同様に、バッテリ電圧Vbは、発熱体の電圧Vhと寄生抵抗の電圧Vpの合計として、Vb=Vh+Vpと表され得る。Vh=Rh×I、及びVp=Rp×Iは、Vb=I×(Rh+Rp)を導出するために置き換えられ得る。Rhは、(小リチウムイオンセルの場合の)Rb=200mΩ、Rs=60mΩ、Rt=60mΩ、Rc=30mΩ、Rp=0.35Ωである最大デューティサイクル及び最小バッテリ電圧の場合においてPh≧8.0Wとなるように選択され得る。
【0092】
最小バッテリ電圧が3.40Vの場合、R=0.50Ωが選択され得る。この回路の合計抵抗は、R=Rp+Rh=0.35Ω+0.5Ω=0.85Ωである。加熱中のPWMパルスのピーク電流は、I=3.4V/0.85Ω=4.0Aである。異なる充電状態における電流の例は、以下のようである。
最小バッテリ電圧が3.4Vの場合4A、
最小バッテリ電圧が3.7Vの場合5.28A、
最小バッテリ電圧が4.2Vの場合6.74A。
3.70Vにおいてバッテリから引き出される平均電力は11.22Wで、電力効率は71.3%となる。発熱体への電力はPWMでのみ供給されるため、電力損失はデューティサイクルに依存しないことには注意されたい。
【0093】
本明細書に記載の主題は、所望の構成に応じて、システム、装置、方法、及び/又は物品において実施され得る。上述の記載で説明した実装は、本明細書に記載の主題と一致する全ての実装を示すものではない。代わりに、それらは記載された主題に関連する態様と一致するいくつかの例に過ぎない。いくつかの変形例が上で詳細に記載されたが、他の変更又は追加も可能である。特に、本明細書に記載のものに加えて、さらなる特徴及び/若しくは変形を提供することができる。例えば、上述の実装は、開示された特徴の様々な組み合わせ及び副組み合わせ、並びに/又は上で開示のいくつかのさらなる特徴の組み合わせ及び副組み合わせを対象とすることができる。さらに、添付の図面に示され、及び/又は本明細書に記載の論理フローは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序又は連続的な順序を必ずしも必要としない。他の実装は、以下の特許請求の範囲の保護範囲内にあり得る。
【0094】
本明細書において、特徴又は要素が別の特徴又は要素「の上に」あると呼ばれる場合、それは他の特徴又は要素の上に直接存在するか、介在する他の特徴及び/又は要素も存在し得る。対照的に、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素「の上に直接」あると呼ばれる場合、介在する特徴又は要素は存在しない。また、機能又は要素が別の機能又は要素に「接続」、「取り付け」又は「結合」されていると呼ばれる場合、それは他の機能又は要素に直接に接続、取り付け又は結合するか、介在する機能又は要素も存在し得る。対照的に、特徴又は要素が別の特徴又は要素に「直接に接続」、「直接に取り付け」、又は「直接結合」されていると呼ばれる場合、介在する特徴又は要素は存在しない。
【0095】
ある実施形態に関して記載又は図示されていたとしても、そのように記載又は図示された特徴及び要素は、他の実施形態に適用され得る。また、別の特徴に「隣接して」配置される構造又は特徴への参照は、隣接する特徴に重なる部分、又はその下にある部分を有し得ることも、当業者には理解される。
【0096】
本明細書において用いられる用語は、特定の実施形態及び実装のみを説明するためのものであり、限定を意図したものではない。例えば本明細書に用いられる単数形「ある」、「1つの」及び「その」は、文脈からそうでないと明確に示されない限り、複数形も含むことを意図している。
【0097】
上の記載及び特許請求の範囲において、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」等の句が出現し、その後に要素又は特徴の連続するリストが続く場合がある。「及び/又は」等の用語は、2つ以上の要素又は機能のリストにも現れ得る。それが用いられる文脈により暗黙的又は明示的に矛盾しない限り、それらの句は、列挙された要素又は機能のうちのいずれかを単体で、又は、列挙された要素又は機能のいずれかを他の列挙された要素又は機能のいずれかと組み合わせて意味することを意図している。例えば、「AとBのうち少なくとも1つ」、「A及びBのうち1つ以上」、「A及び/又はB」という句は、それぞれ「A単独、B単独、又はAとBとの組み合わせ」を意味する。同様の解釈は、3つ以上のものを含むリストにも適用される。例えば、「A、B、及びCのうち少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうち1つ以上」、「A、B、及び/又はC」という句は、それぞれ「A単独、B単独、C単独、AとBとの組み合わせ、AとCとの組み合わせ、BとCとの組み合わせ、AとBとCの組み合わせ」を意味することが意図されている。上述及び特許請求の範囲における「に基づいて」という用語の使用は、「少なくとも部分的に基づく」ことを意味することを意図しており、そのため、列挙されていない特徴又は要素も許容される。
【0098】
説明の簡単のため、本明細書では、図に示すある要素又は機能と別の要素又は機能との関係を説明するために、「前方」「後方」「上方」「下方」「上」「下」等の空間相対的な用語が用いられることがある。空間相対的な用語は、図に示される向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを包含することを意図していることは理解される。例えば、図中の装置が上下逆になっている場合、他の要素又は機能の「下方」又は「下」にある要素は、その別の要素又は機能の「上」に向けられ得る。従って、例示的な用語として「下方の」は、上方と下方の両方の向きを包含し得る。装置は、別の方法で方向付け(90℃回転又は他の方向)することができ、本明細書で用いられる空間相対的な記述はそれに応じて解釈される。同様に、本明細書において「上方向に」「下方向に」「垂直に」「水平に」等は、特に明記しない限り、説明の目的のみで用いられる。
【0099】
「第1の」及び「第2の」の用語は本明細書で様々な特徴/要素(ステップを含む)を記載するために用いられ得るが、文脈がそうでないことを示さない限り、これらの機能/要素はこれらの用語により限定されるべきではない。これらの用語は、ある機能/要素を別の機能/要素と区別するために用いられ得る。従って、本明細書で提示される教示から逸脱することなく、後述の第1の特徴/要素は第2の特徴/要素とも呼ばれ、同様に、後述の第2の特徴/要素は、第1の特徴/要素とも呼ばれ得る。
【0100】
本明細書及び特許請求の範囲で用いられるに際し、例に用いられるものも含め、特に明記されない限り、全ての数値は、用語が明示的に示されていなくとも「約」又は「およそ」という語で始まるものとして読まれ得る。「約」又は「およそ」の語は、大きさ及び/又は位置を説明するときに用いられ、記載された値及び/又は位置が妥当な期待値及び/又は位置の範囲内であることを示す。例えば数値は、指定された値(又は値の範囲)の+/-0.1%、指定された値(又は値の範囲)の+/-1%、指定された値(又は値の範囲)の+/-2%、指定された値(又は値の範囲)の+/-5%、指定された値(又は値の範囲)の+/-10%等の値を有し得る。本明細書で示される任意の数値は、文脈がそうでないことを示さない限り、概数値又は近似値を含み得ることも理解されるべきである。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示されている。本明細書に列挙された任意の数値の範囲は、そこに含まれる全ての部分範囲を含むことを意図している。当業者により適切に理解されるように、ある値が開示される場合、値「以下」、値「以上」、及び2つの値の間の可能な範囲も開示される。例えば、値「X」(例えばXは数値)が開示される場合、「X以下」及び「X以上」も開示される。また、データは本願全体を通して様々な形式で提供され、このデータは終点と始点、及びデータ点の任意の組み合わせの範囲を示し得ることも理解される。例えば、特定のデータ点「10」及び特定のデータ点「15」が開示されている場合、10と15の間に加えて、10及び15「より大きい」「以上」「より小さい」「以下」及び「と等しい」が開示されていると解釈される。また、2つの特定のユニットの間の各ユニットも開示されているものと理解される。例えば、10と15が開示されている場合、11,12,13,14も開示されている。
【0101】
様々な実施形態の例を上述してきたが、本明細書の教示から逸脱することなく、様々な実施形態に多くの変更のいずれかを行うことができる。例えば、様々な記載された方法ステップが実行される順序は、代替的実施形態ではしばしば変更され、他の代替的実施形態では、1つ以上の方法ステップが完全にスキップされ得る。様々な装置及びシステムの実施形態のオプションの特徴は、いくつかの実施形態に含まれ、他の実施形態には含まれない場合がある。従って、上述の記載は主に例示の目的で提供されており、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0102】
本明細書に記載の主題の1つ以上の態様または特徴は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実現できる。これらの様々な態様または特徴は、1つ以上のコンピュータプログラムでの実装を含む。これは、データ及び命令をストレージシステムから受け取り、データ及び命令をストレージシステムに送信するように結合された少なくとも1つの特殊用途若しくは汎用であり得るプログラマブルプロセッサと、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置とを含むプログラマブルシステム上で実行及び/又は解釈可能である。プログラマブルシステム又は計算システムは、クライアント及びサーバを含み得る。通常、クライアントとサーバは互いに遠隔であり、通常は通信ネットワークを介して対話する。それぞれのコンピュータで実行されて相互にクライアント・サーバ関係を持つコンピュータプログラムにより、クライアントとサーバの関係が生じる。
【0103】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネント、又はコードとも呼ばれるこれらのコンピュータプログラムは、高級手続き型言語、オブジェクト指向プログラミング言語、関数型プログラミング言語、論理プログラミング言語、及び/又はアセンブリ言語/機械語により実装され得る。本明細書で用いられるに際し、「機械可読媒体」の用語は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために用いられる任意のコンピュータプログラム製品、装置、及び/又はデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD)等)を指し、機械命令を機械可読信号として受け取る機械可読媒体を含む。「機械可読信号」という用語は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために用いられる任意の信号を指す。機械可読媒体は、例えば非一時的ソリッドステートメモリ、磁気ハードドライブ又は任意の同等の記憶媒体がするように、そういった機械命令を非一時的に記憶することができる。代替的に又は追加的に、機械可読媒体は、例えばプロセッサキャッシュ又は1つ以上の物理プロセッサコアに関連づけられた他のランダムアクセスメモリのように、そういった機械命令を一時的方法で格納できる。
【0104】
本明細書に含まれる例及び図は、限定ではなく例示として、主題が実施され得る特定の実施形態を示す。上述のように、そこから他の実施形態を導出して利用することで、本開示の範囲から逸脱することなく構造的及び論理的な置換及び変更を行うことができる。実際に複数の発明又は発明概念が開示されている場合にも、発明の主題のそのような実施形態は単に便宜のために「発明」の用語で個別又は集合的に呼ばれ得るが、これはこの出願の保護範囲を任意の単一の発明又は発明概念に自発的に限定することを意図するものではない。従って、本明細書では特定の実施形態を図示及び記載したが、同じ目的を達成するために計算された任意の配置を、示された特定の実施形態に置き換えることができる。本開示は、様々な実施形態のありとあらゆる適応又は変形を網羅することを意図している。上述の実施形態の組み合わせ、及び本明細書に具体的に記載されない他の実施形態は、上述の説明を検討することにより当業者に明らかとなる。本明細書及び特許請求の範囲における「に基づいて」の用語の使用は、言及されていない特徴又は要素も許容されるように、「少なくとも部分的に基づく」ことを意味するものとする。
【0105】
本明細書に記載の主題は、所望の構成に応じて、システム、装置、方法、及び/又は物品において実施され得る。上述の記載で説明した実装は、本明細書に記載の主題と一致する全ての実装を示すものではない。代わりに、それらは記載された主題に関連する態様と一致するいくつかの例に過ぎない。いくつかの変形例が上で詳細に記載されたが、他の変更又は追加も可能である。特に、本明細書に記載のものに加えて、さらなる特徴及び/若しくは変形を提供することができる。例えば、上述の実装は、開示された特徴の様々な組み合わせ及び副組み合わせ、並びに/又は上で開示のいくつかのさらなる特徴の組み合わせ及び副組み合わせを対象とすることができる。さら、添付の図面に示され、及び/又は本明細書に記載の論理フローは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序又は連続的な順序を必ずしも必要としない。他の実装は、以下の特許請求の範囲の保護範囲内にあり得る。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2
図3
図4
図5
図6