(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】フラットパネルメタマテリアルアンテナのための複合積層体
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/40 20060101AFI20240708BHJP
H01Q 1/42 20060101ALI20240708BHJP
H01Q 1/50 20060101ALI20240708BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
H01Q1/40
H01Q1/42
H01Q1/50
H01Q1/38
(21)【出願番号】P 2021505864
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(86)【国際出願番号】 US2019044972
(87)【国際公開番号】W WO2020028851
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-02-18
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516247177
【氏名又は名称】カイメタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】オルファート スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】レヴェスク デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】レアード ブラッド
(72)【発明者】
【氏名】リン スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】アッシュ ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴンソン ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ハープ ケン
(72)【発明者】
【氏名】トラビ ハミド
(72)【発明者】
【氏名】サゼガー モフセン
(72)【発明者】
【氏名】アイランダー クリス
(72)【発明者】
【氏名】スロタ マイク
(72)【発明者】
【氏名】モーリー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ターナー アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ハワー ロバート トーマス
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/052994(WO,A1)
【文献】特開2017-152848(JP,A)
【文献】特開2010-028458(JP,A)
【文献】特開平07-015233(JP,A)
【文献】特開平02-164108(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104577324(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/40
H01Q 1/42
H01Q 1/50
H01Q 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ組立体であって、前記アンテナ組立体は、
上面及び下面を有するアンテナ素子層と、
前記アンテナ素子層の上面に接合され、無線周波数(RF)放射に対して少なくとも部分的に透過的である上側スタックを形成する1又は2以上の層の第1のセットであって、
前記上側スタックは、
1又は2以上のインピーダンス整合層と、
前記1又は2以上のインピーダンス整合層に接合された誘電体と、
前記誘電体がレドームと前記1又は2以上のインピーダンス整合層との間に存在するように、前記誘電体に接合された前記レドームと、を備える、
1又は2以上の層の第1のセットと、
前記アンテナ素子層の下面に接合された下側スタックを形成する1又は2以上の層の第2のセットと、
を備え、前記アンテナ素子層、前記上側スタック及び前記下側スタックは、共に接合されて複合スタックを形成する、
アンテナ組立体。
【請求項2】
前記レドーム
は、誘電体スキン及び低誘電層からなる多層複合材を備える、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項3】
前記上側スタック及び前記下側スタックは、接着剤を用いて前記アンテナ素子層に接合される、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項4】
前記上側スタックの層間、前記下側スタックの層間、又は前記アンテナ素子層と前記上側スタック及び前記下側スタックのうちの一方又は両方との間で、1又は2以上の孔を含む少なくとも1つの接着層を更に備える、請求項3に記載のアンテナ組立体。
【請求項5】
前記上側スタック及び前記下側スタックは、熱接合、熱溶接、分配エポキシ、音波溶接、又は化学結合を使用して前記アンテナ素子層に接合される、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項6】
前記アンテナ素子層は、可撓性材料を含む、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項7】
前記上側スタック内の前記1又は2以上の層の寸法及び材料特性、並びに前記下側スタック内の前記1又は2以上の層の寸法及び材料特性は、前記アンテナ素子層への応力を低減する、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項8】
前記下側スタックは、
RF放射に対して少なくとも部分的に透過的な材料から作られた下側誘電体と、
RF放射に対して少なくとも部分的に透過的な材料から作られた上側誘電体と、
前記下側誘電体と前記上側誘電体との間に挟まれた導電層と、
導電層であって、前記下側誘電体が前記導電層と接触している前記下側誘電体の側面と反対側にある側面に形成された導電層と、
を備える、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項9】
前記下側スタックの外周部に沿って配置された、前記下側誘電体から前記上側誘電体にRF放射を向けるための構造体を更に備える、請求項
8に記載のアンテナ組立体。
【請求項10】
前記アンテナ組立体の中立軸は、前記アンテナ素子層と実質的に一致する、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項11】
アンテナであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたアンテナ組立体と、
を備え、
前記アンテナ組立体は、
上面及び下面を有するアンテナ素子層と、
前記アンテナ素子層の上面に接合され、無線周波数(RF)放射に対して少なくとも部分的に透過的である上側スタックを形成する1又は2以上の層の第1のセットであって、前記上側スタック
は、1又は2以上のインピーダンス整合層と
、前記1又は2以上のインピーダンス整合層に接合された誘電体と
、前記誘電体がレドームと前記1又は2以上のインピーダンス整合層との間に存在するように前記誘電体に接合された前記レドームと
、を含む、1又は2以上の層の第1のセットと、
前記アンテナ素子層の下面に接合された下側スタックを形成する1又は2以上の層の第2のセットと、
を備え、前記アンテナ素子層、前記上側スタック及び前記下側スタックは、共に接合されて複合スタックを形成する、
アンテナ。
【請求項12】
前記上側スタック及び前記下側スタックは、接着剤を用いて前記アンテナ素子層に接合される、請求項
11に記載のアンテナ。
【請求項13】
前記上側スタックの層間、前記下側スタックの層間、又は前記アンテナ素子層と前記上側スタック及び前記下側スタックのうちの一方又は両方との間で、1又は2以上の孔を含む少なくとも1つの接着層を更に備える、請求項
12に記載のアンテナ。
【請求項14】
前記上側スタック及び前記下側スタックは、熱接合、熱溶接、分配エポキシ、音波溶接、又は化学結合を使用して前記アンテナ素子層に接合される、請求項
11に記載のアンテナ。
【請求項15】
前記アンテナ素子層は、可撓性材料を含む、請求項
11に記載のアンテナ。
【請求項16】
前記レドーム
は、誘電体スキン及び低誘電層からなる多層複合材を備える、請求項
11に記載のアンテナ。
【請求項17】
前記上側スタック内の前記1又は2以上の層の寸法及び材料特性、並びに前記下側スタック内の前記1又は2以上の層の寸法及び材料特性は、前記アンテナ素子層への応力を低減する、請求項
11に記載のアンテナ。
【請求項18】
前記下側スタックは、
RF放射に対して少なくとも部分的に透過的な材料から作られた下側誘電体と、
RF放射に対して少なくとも部分的に透過的な材料から作られた上側誘電体と、
前記下側誘電体と前記上側誘電体との間に挟まれた導電層と、
導電層であって、前記下側誘電体が前記導電層と接触している前記下側誘電体の側面と反対側にある側面に形成された導電層と、
を備える、請求項
11に記載のアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本特許出願は、「COMPOSITE STACK-UP FOR FLAT PANEL METAMATERIAL ANTENNA(フラットパネルメタマテリアルアンテナのための複合積層体)」と題する、2018年8月3日出願の対応の仮特許出願第62/714,654号、及び「COMPOSITE STACK-UP FOR FLAT PANEL METAMATERIAL ANTENNA(フラットパネルメタマテリアルアンテナのための複合積層体)」と題する2019年8月1日出願の仮特許出願第16/529,560号に対する優先権を主張し、これらは、引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示される実施形態は、一般に、アンテナに関し、具体的には、限定ではないが、複合積層体を含むフラットパネルメタマテリアルアンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
積層体は、プリント回路基板(PCB)の製造においてしばらくの間使用されてきた用語である。このような積層体は、多くの場合、基板レイアウトの前にPCBを構成する金属層及び絶縁層の配置を有する。金属層は、典型的には銅である。PCB積層体の背後にある目的は、複数のPCB基板層を使用することにより、より多くの回路を単一の回路基板に取り付けることを可能にすることである。積層体は、PCB製造においてこのような特定の目的を有しているので、積層体は、衛星アンテナの製造など、他のタイプの製品の製造には使用されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願第14/550,178号明細書
【文献】米国特許出願第14/610,502号明細書
【文献】米国特許公開第2015/0236412号明細書
【発明の概要】
【0005】
アンテナのための複合積層体が記載される。1つの実施形態において、アンテナは、フラットパネルメタマテリアルアンテナである。1つの実施形態において、アンテナ組立体(antenna assembly)は、上面(upper side)及び下面(lower side)を有するアンテナ素子層(antenna element layer)と、該アンテナ素子層の上面に接合され(bonded)、無線周波数(RF)放射に対して少なくとも部分的に透過的である上側スタックを形成する1又は2以上の層の第1のセットと、アンテナ素子層の下面に接合された下側スタックを形成する1又は2以上の層の第2のセットとを備え、アンテナ素子層、上側スタック及び下側スタックは、共に接合されて複合スタック(composite stack)を形成する。
【0006】
本発明の非限定的で非網羅的な実施形態について、以下の図を参照しながら説明するが、特に明記しない限り、様々な図全体を通して同様の参照符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】フラットパネルメタマテリアルアンテナの1つの実施形態の平面図である。
【
図1B】実質的に
図1Aにおける切断線B-Bから見たフラットパネルメタマテリアルアンテナの1つの実施形態の断面図である。
【
図2A】フラットパネルメタマテリアルアンテナの1つの実施形態の分解断面図である。
【
図2B】フラットパネルメタマテリアルアンテナの1つの実施形態の組み立てられた断面図である。
【
図3A】フラットパネルメタマテリアルアンテナ内のアンテナ素子層の1つの実施形態の平面図である。
【
図3B】フラットパネルメタマテリアルアンテナ内のアンテナ素子層の1つの実施形態の平面図である。
【
図3C】フラットパネルメタマテリアルアンテナ内のアンテナ素子層の1つの実施形態の平面図である。
【
図4】フラットパネルメタマテリアルアンテナの上側スタックの1つの実施形態の分解断面図である。
【
図5A】フラットパネルメタマテリアルアンテナの下側スタックの1つの実施形態の分解図断面図である。
【
図5B】フラットパネルメタマテリアルアンテナの下側スタックの1つの実施形態の組み立てられた断面図である。
【
図6A】フラットパネルメタマテリアルアンテナの下側スタックの1つの実施形態の分解図断面図である。
【
図6B】フラットパネルメタマテリアルアンテナの下側スタックの1つの実施形態の組み立てられた断面図である。
【
図7A】円筒状給電ホログラフィック放射状アパーチャアンテナ(cylindrically fed holographic radial aperture antenna)の1つの実施形態の概略図を示す。
【
図7B】グランドプレーンと再構成可能共振器層とを含む1列のアンテナ素子の斜視図を示す。
【
図8A】同調可能共振器/スロットの1つの実施形態を示す図である。
【
図8B】物理的アンテナアパーチャ(physical antenna aperture)の1つの実施形態の断面図を示す。
【
図9A】スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施形態を示す図である。
【
図9B】スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施形態を示す図である。
【
図9C】スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施形態を示す図である。
【
図9D】スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施形態を示す図である。
【
図10】円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態の側面図を示す。
【
図11】アンテナシステムの別の実施形態を外向き波と共に示す図である。
【
図12】アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示す図である。
【
図13】TFTパッケージの1つの実施形態を示す図である。
【
図14】同時送信及び受信経路を有する通信システムの1つの実施形態のブロック図である。
【
図15】平面上部下部負荷統合誘電体の1つの実施形態を示す図である。
【
図16】吸収体の周りの平面ラップの1つの実施形態を示す図である。
【
図17】AMC表面によって実現される薄い抵抗シートの1つの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1A及び1Bは共に、フラットパネルメタマテリアルアンテナ100の1つの実施形態を示している。フラットパネルアンテナ100は、ハウジング102内に配置された(positioned)アンテナ組立体104を含む。例示の実施形態では、ハウジング102及びひいてはフラットパネルアンテナ100は八角形であるが、他の実施形態では、ハウジング102及びアンテナ100は、図示のものとは異なる形状を有することができる。1つの実施形態では、アンテナ組立体104は、ハウジング102内に配置され、アンテナ組立体104の周囲縁部に係合することができるベゼル106によってハウジング102内部に固定される。フラットパネルアンテナ100用の送信機ハードウェア、受信機ハードウェア、又は制御電子ハードウェアなどの追加のハードウェア108は、ハウジング102の後部に配置することができる。
【0009】
図2A及び2Bは共に、アンテナ組立体104の実施形態を示しており、
図2Aは、分解図であり、
図2Bは、組み立て図である。以下の説明では、「上側」及び「下側」という用語は、図に示されているように、上側スタック、アンテナ素子層、及び下側スタックの相対的位置を説明するのに使用されており、アンテナ100の何れかの特定の向きを限定又は規定するものではない。アンテナ組立体104は、アンテナ素子層202を含み、個々のアンテナ素子のアレイがアンテナ素子層上又はその中に形成されている(例えば、補遺Aを参照)。1又は2以上の材料層を有する上側スタック206は、アンテナ素子層202の一方の側に結合される。同様に1又は2以上の材料層を有する下側スタック204は、アンテナ素子層202の他方の側に結合される。
【0010】
本明細書で使用される「結合される」という用語は、介在する層又はスタックの有無にかかわらず、互いに取り付けられることを意味する(例えば、「層Xが層Yに結合される」という表現は、層Xと層Yとの間の追加の層の有無にかかわらず、層Xが層Yに取り付けられることを意味する)。取り付けは、接着剤(例えば、感圧接着剤(PSA)など)、ファスナ、クランプ、又は、限定ではないが、接合(bonding)(例えば、熱接合、熱溶接、分配エポキシ(dispense epoxies)、音波溶接(sonic welding)、化学結合、接着など)などの何らかの他の方法によって行うことができる。例示の実施形態では、上側スタック206及び下側スタック204は、エポキシ、感圧接着剤、接着シート、又は別の既知の接着剤などの接着剤を使用してアンテナ素子層202に結合することができる。
【0011】
図2Bは、組み立てられたアンテナ組立体104の1つの実施形態を示している。1つの実施形態では、結果として得られるアンテナ組立体は、幅b及び高さhの実質的に矩形の断面を有し、以下の関係、すなわち、
【数1】
によって規定される断面慣性モーメントIを有する断面がもたらされ、ここで、図に示されるように、bは組立体の幅、hは組立体の高さである。これは、他の実施形態では必須ではなく、その一部でもない。上側スタック206、下側スタック204、又はその両方がアンテナ素子層202に接着されている場合、上側スタック及び下側スタック内部の個々の材料層の材料特性及び厚さは、組み立てが完了したときに、組立体の中立軸(NA)が実質的にアンテナ素子層202内に位置するように選択することができる。実質的にアンテナ素子層202内に中立軸を位置付けることにより、アンテナ素子層202(典型的には、組立体内で最も脆く且つ高価な層)への応力は、アンテナが負荷を受けたときに最小になる。他の実施形態では、組立体の中立軸は、アンテナ素子層に位置する必要はないが、代わりに、下側スタック204又は上側スタック206に位置することができる。様々な実施形態では、上側スタック206及び下側スタック204内の材料層の他の材料特性はまた、アンテナ素子層202への負荷を低減し、場合によっては、この負荷を最小にするように選択することもできる。例えば、上側スタック及び下側スタック内部の材料の熱膨張係(CTE)は、組立体104の熱膨張がアンテナを歪ませることもなく、アンテナ素子層202に負荷を加えることもないように、調整することができる。
【0012】
給電ピン208は、組立体104の下側誘電体に挿入することができる。給電ピン208は、無線周波数(RF)放射を下側誘電体に注入し、及び/又は下側誘電体からRF放射を受け取る。RF放射は、限定ではないが、Ka及びKu波長帯域を含む任意の周波数又は波長のものとすることができる。
【0013】
図3Aから
図3Cは、アンテナ素子層202の実施形態を示している。例示の実施形態では、アンテナ素子層202は、八角形の平面図形状を有するが、他の実施形態では、このアンテナ素子層は、他の形状を有することができる。アンテナ素子層202は、個々のアンテナ素子のアレイ302を含む。例示の実施形態では、アレイ302は、実質的に円形であるが、他の実施形態では、アレイは、円形である必要はなく、他の形状をとることができる。アンテナ素子層202及びアレイ302の構造の実施形態は、補遺A及びBにおいて以下に示されている(例えば、
図13及び補遺Aにおける関連する説明を参照)。
【0014】
図3Aでは、アンテナ素子層202は、単一要素として形成されている。しかしながら、他の実施形態では、アンテナ素子層202は、複数のセグメントから形成することができる。
図3Bに示されるように、1つの実施形態では、アンテナ素子層202は、アンテナ素子層を実質的に二等分する継ぎ目に沿って結合された2つの要素から構成することができる。
図3Cに示されるように、更に別の実施形態では、アンテナ素子層202は、一対の継ぎ目に沿って結合された4つの要素から構成することができる。他の実施形態では、アンテナ素子層202は、図示のものと異なる数のセグメントから作製することができる。アンテナ素子層202の実施形態は、薄く(LDC製造で使用される標準的な厚さを使用してミリメートルのオーダー、例えば、0.1mmから5mmの間)、ある程度脆いが、複数のセグメントを用いた実施形態では、継ぎ目は、アンテナ素子層の中央に壊れやすい領域を形成する。結果として、アンテナ素子層202の全ての実施形態は、
図2A及び
図2Bに示されている構造によって提供される構造的支持から利益を受けるが、複数のセグメントを用いた実施形態は、この構造から追加の恩恵を得る。
【0015】
1つの実施形態では、アンテナ素子層は、バラクタダイオードが取り付けられた(例えば、フリップチップ、表面実装など)可撓性基板材料である。1つの実施形態では、材料は、ポリイミド、PETフィルム、又はPENフィルムを含む。このような場合には、素子層は可撓性である。1つの実施形態では、可撓性アンテナ素子層は、誘電体スタックの残りの部分と共に積層される。
【0016】
1つの実施形態では、外型/内型が形成され、ここで外型は、炭素が充填されて吸収材料として作用する。1つの実施形態では、複合構造は、1つの平面構造として共に成形される。これは、下部誘電体及び上部誘電体の両方に対して行うことができる。1つの実施例が
図15に示される。
図15を参照すると、平面上部及び下部負荷統合誘電体1900が示されており、内型1903が、例えば、プラスチックから作製され、外型1902が、例えば、炭素とプラスチックとの混合物から作製される。
【0017】
1つの実施形態では、放射線吸収材料が、給電スタックの周りに巻き付けられて、これに接着される。この材料は、例えば、限定ではないが、発泡体、ゴム、シリコーンなどの幾つかの異なるタイプの材料とすることができる。1つの実施形態では、吸収体を含む給電スタックは、ほぼ平面である。吸収体の周りの平面ラップ(2000)の一例が、
図16に示されている。
【0018】
1つの実施形態では、薄い導電性シートが、方向性結合器プリント回路基板(PCB)の近くの誘電体の縁部に配置される。1つの実施形態では、PCBは、高インピーダンス表面(AMC)を実装し、薄い損失性シートを通って強制的に電流を流すようにする。1つの実施形態では、この手法の帯域幅は、PCBの厚さに依存する。1つの実施形態では、このスタックは、抵抗シートとして作用する薄い炭素充填ファブリックに対してほぼ平面である。
【0019】
図17は、AMC構造2100によって実現される薄い抵抗シートの1つの実施形態を示している。薄い抵抗シート2101などの例示的な薄い抵抗シートが、誘電体2106とAMC2105との間に示されているが、誘電体2106と回路基板2104との間には示されていない。
【0020】
図4は、上側スタック206の1つの実施形態を示している。幾つかの実施形態では、上側スタック206の平面図形状は、アンテナ素子層202の形状と一致し、すなわち、アンテナ素子層202が八角形である場合に、上側スタックも八角形である。しかしながら、他の実施形態では、上側スタック206は、アンテナ素子層202と同じ平面図形状を有する必要はない。アンテナ素子層202が複数のセグメントを含む場合の幾つかの実施形態(
図3B及び3Cを参照)では、上側スタック206は、それに対応してセグメント化されないが、他の実施形態では、上側スタック206は、セグメント化することができ、セグメント化は、アンテナ素子層のセグメント化と一致する場合がり、又は一致しない場合もある。
【0021】
例示の実施形態では、上側スタック206は、レドーム402を含むが、上側スタック206の他の実施形態は、レドーム402を完全に省略すること、又はこのレドームを誘電体層に置き換えることができ、このような実施形態では、アンテナは、レドームに接合されるのではなく、環境エンクロージャ内部に取り付けられることになる。とりわけ、レドーム402は、存在する場合、天候面環境保護を他のスタックに提供すること、又はガラス層に支持体を提供することができる。1つの実施形態では、レドームは単層スキン(single-layer skin)である。1つの実施形態では、レドームの輪郭は平坦である。他の実施形態では、レドームは、水分の放出を支援するように湾曲又はドーム形にすることができる。
【0022】
レドーム402は一般に、存在する場合、アパーチャから自由空間に移動するときに波動インピーダンスに一致するように設計された誘電材料のスタックを含む。1つの実施形態では、レドーム402は、誘電体スキン(dielectric skins)及び低誘電層(low-dielectric layers)の多層スタックを含む。例示の実施形態では、レドーム402は、複数の層、すなわち、3つの層406a、406b、406cを含み、これらの層の間に2つの誘電体層404が挟まれて、合計5つの層になる。
【0023】
他の実施形態では、レドームは代替構成を有する。他のレドーム構成は、限定ではないが、1)単一の固体誘電体層からなる固体半波壁と、2)低誘電層が2つの高誘電率層により取り囲まれた3層サンドイッチ構造(一般に、Aサンドイッチ設計と呼ばれる)と、3)高誘電層が低誘電率層により取り囲まれた3層サンドイッチ構造(一般に、Bサンドイッチ設計と呼ばれる)と、4)5又は6以上の誘電体層からなる多層設計と、を含む。全ての場合において、レドームの設計は、所望のRF応答を得るように層の誘電率及び厚さの選択を具現化する。
【0024】
1つの実施形態では、層406a、406b、及び406cは、水の侵入に対してレドーム及びアンテナをシールし、レドーム及びアンテナに耐衝撃性を与えるように不浸透性材料から作製されているが、他の実施形態では、層406のうちの1又は2以上は、不浸透性材料である必要はない。誘電材料の層406の間には、別の誘電体層404が挟まれており、すなわち、誘電体層404aは、層406aと406bの間に挟まれ、一方、誘電体層404bは、層406bと406cの間に挟まれている。誘電体層404は、均一な厚さ又は可変の厚さを有するが、必ずしも共通のタイプのものである必要はない。1つの実施形態では、レドーム402で使用される全ての材料は、アンテナが動作するRF周波数及び波長に対して実質的に透過的である。
【0025】
レドーム誘電体層で使用される材料は、限定ではないが、発泡体、熱可塑性プラスチック、及び熱硬化性プラスチックを含む。発泡体の種類は、例えば、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルイミド、及び1立方フィートあたり1ポンドから20ポンドの範囲の密度のシンタクチックフォームを含む。熱可塑性材料は、例えば、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリエーテルイミド、ポリ塩化ビニル、及びポリカーボネートを含む。熱硬化性材料は、例えば、エポキシ、ポリエステル、ポリブタジエン、シアン酸エステル、ポリイミド、及びビスマレイミドを含む。材料は、機械的特性を改善するように、例えば、ガラス繊維又は石英繊維などの繊維強化材と組み合わせることができる。
【0026】
1つの実施形態では、スペーサ誘電体408は、実質的に均一な厚さの誘電体層であり、広角インピーダンス整合(WAIM)層として知られることもあるインピーダンス整合層410からレドーム402を切り離すのに使用される。レドーム402は、スペーサ誘電体408の一方の側に接着することができ、次に、レドーム402及びスペーサ誘電体408を含む組立体は、インピーダンス整合層410に接着することができる。1つの実施形態では、レドーム402は、接着剤を使用してスペーサ誘電体408に接合され、スペーサ誘電体408はまた、RF放射に対して実質的に透過的である接着剤を使用してインピーダンス整合層410に接合される。1つの実施形態では、接着剤は、エポキシとすることができるが、他の実施形態では、接着剤は、例えば、感圧接着剤、熱可塑性接着剤、又は接着シートなどの代替の他の形態の接着剤などの代替の接着剤タイプとすることができる。1つの実施形態では、接着層又は接着シートは、接着剤からのRF損失を低減し、場合によっては、このRF損失を最小にするための孔を有する。1つの実施形態では、接着剤のパターンは、オフセット印刷、スクリーン印刷、ディスペンシング、又は幾つかの同等の方法などによる接着剤堆積プロセスで形成される。追加的に、1つの実施形態では、PSAなどの接着剤のパターンは、剥離ライナー上に形成されて、この剥離ライナーから給電構造に移される。代替的に、パターンは、マスクによって形成され、接着剤は、このマスクを通して塗布することができる。1つの実施形態では、パターンは、接着剤の同心リングを含む。別の実施形態では、パターンは、接着剤の点を含む。別の実施形態では、接着剤は、均一なパターンではないが、より多くの接着が必要とされる場合のより大きい領域と、可能性のあるRF損失が最小である場合のより大きい領域と、可能性のあるRF損失がより大きい場合のより小さい領域とをカバーする。
【0027】
図5A及び5Bは、共に、組立体104において下側スタック204として使用できる下側スタック500の1つの実施形態を示している。
図5Aは分解図であり、
図5Bは組み立て図である。幾つかの実施形態では、下側スタック500の平面図形状は、アンテナ素子層202の形状と一致し、すなわち、アンテナ素子層202が八角形である場合に、下側スタックも八角形である。しかしながら、他の実施形態では、下側スタック500は、アンテナ素子層202と同じ平面図形状を有する必要はない。アンテナ素子層202が複数のセグメントを含む場合の幾つかの実施形態(
図3B及び3Cを参照)では、下側スタック500は、それに対応してセグメント化されないが、他の実施形態では、下側スタック500は、セグメント化でき、セグメント化は、アンテナ素子層のセグメント化と一致する場合があり、又は一致しない場合もある。
【0028】
下側スタック204は、上側誘電体502と下側誘電体506との間に挟まれた導電層504を含む。様々な実施形態において、上側誘電体502及び下側誘電体506は、空気、低密度発泡体、高密度発泡体、固体誘電材料、又はこれらの組み合わせとすることができる。上側誘電体502及び下側誘電体506は、例えば、前述の又は他の公知の接着剤の何れかを使用して、導電層504に接合することができる。導電層508は、導電層504に接合されている側面と反対側の下側誘電体506の側面に追加される。給電ピン510が、メタライゼーション層508を通って下側誘電体506に挿入される。給電ピン510は、RF放射を下側誘電体506に注入するのに使用される。導波路510(
図5Aには図示せず)は、アンテナ組立体の外周部の周りに配置される。給電ピン510は、RF放射を下側誘電体に注入し、導波路510は、この放射を下側誘電体から上側誘電体502に配向する。幾つかの実施形態では、結合器510は、下側スタック500の一部分であるが、他の実施形態では、結合器510は、例えば、この結合器をハウジング102(
図1Bを参照)内に置くことによって、下側スタックから切り離して設けることができる。
【0029】
1つの実施形態では、下側誘電体506は、RF放射に対して実質的に透過的なより低い誘電率材料とすることができ、上側誘電体502は、結合器510から上側誘電体502に入るRF放射の伝播を制御するのに使用されるより高い誘電率材料から作製することができる。1つの実施形態では、導電層504は、金属とすることができるが、他の実施形態では、この導電層は、何らかの非金属導体とすることができ、何れにしても、1つの実施形態では、導電層504は、RF放射に対して透過的でなく、これを反射する必要がある。導電層508は、同様にRF放射を反射するので、導電層504及び導電層508は、共に、放射が下側誘電体506の上部又は下部を通って出ることを許可するのではなく、RF放射が下側誘電体を通って伝播するのを保つ。
【0030】
図6A及び6Bは共に、アンテナ組立体104において下側スタック204として使用できる下側スタック600の代替の実施形態を示しており、
図6Aは分解図であり、
図6Bは組み立て図である。幾つかの実施形態では、下側スタック600の平面図形状は、アンテナ素子層202の形状と一致し、すなわち、アンテナ素子層202が八角形である場合に、下側スタックも八角形である。しかしながら、他の実施形態では、下側スタック600は、アンテナ素子層202と同じ平面図形状を有する必要はない。アンテナ素子層202が複数のセグメントを含む場合の幾つかの実施形態(
図3B及び3Cを参照)では、下側スタック600は、それに対応してセグメント化されないが、他の実施形態では、下側スタック600は、セグメント化でき、セグメント化は、アンテナ素子層のセグメント化と一致する場合があり、又は一致しない場合もある。
【0031】
下側スタック600では、パターン形成された導電層602が、誘電体604の一方の側に形成され、下側スタックから上側スタックへのエネルギー伝達の速度を制御する。1つの実施形態では、パターン形成された導電層602は、誘電体604の一方の側に形成された同心導電性リング602のセットを含む層である。導電層606は、層602の反対側の誘電体604の側面に形成される。終端部610は、導波路604の外周部の周りに配置されて、RF放射を吸収し、RF放射が下側誘電体604の外周部から出るのを防止し、1つの実施形態では、終端部610は、誘電体604の外周部の周りに配置された終端リングを含むことができる。給電ピン608は、導電層606を通って下側誘電体604に挿入され、RF放射をこの誘電体に注入する。ピン608から誘電体に注入された場合に、RF放射は、給電ピン608から離れて終端部610に向かって半径方向に伝播する。RF放射が伝播するときに、RF放射の大部分は、パターン形成された導電層層602内の空間を通って出射し、すなわち、RF放射の大部分は、結合特徴部を通って上側スタックに伝わる。リング構造602内のリングを通って出射しないRF放射は、いかなるものも、外周部の周りの終端部610によって吸収される。1つの実施形態では、下側誘電体604は、給電ピン608によって注入されたRF放射のRF周波数又は波長に対して実質的に透過的である誘電体から作製され、言い換えると、この下側誘電体は、アンテナが動作するRF周波数に対して透過的である。
【0032】
1つの実施形態では、パターン形成された導電層410、504、及び602は、上述したように、様々な方法を使用して実現される。1つの実施形態では、パターン形成された導電層は、複合基板に積層された固体銅層からなり、パターンは、サブトラクティブ(例えば、エッチングなど)方法を使用して実現される。別の実施形態では、導電性パターンは、付加的方法(例えば、シルクスクリーン、インクジェット印刷など)を使用して、複合基板又は熱可塑性フィルム(例えば、ポリエステル、カプトンなど)に施される。
【0033】
同様に、導電層508及び606は、様々な製造手法を使用して実装することができる。手法には、無電解めっき、シルクスクリーン、又は誘電体層(例えば、506又は610)への導電性シートの接合が挙げられる。1つの実施形態では、導電層508及び606は、固体金属層(例えば、アルミニウム、スチール、銅など)である。
【0034】
上側スタック構成要素と下側スタック構成要素との接合は、様々な方法を用いて行うことができる。可能性のある接合方法は、1)感圧接着剤及び熱活性化フィルム接着剤、2)熱硬化性接着剤、及び3)熱可塑性材料の熱融着を含む。熱融着は、追加の接着層を必要としないという利点を有する。可能性のある製造方法は、真空成形、室温及び高温での真空バッグ硬化、オートクレーブ硬化、樹脂射出成形、及び圧縮成形を含む。
【0035】
アンテナ実施形態の実施例
上述した技法は、フラットパネルアンテナと共に使用することができる。このようなフラットパネルアンテナの実施形態が開示される。フラットパネルアンテナは、アンテナアパーチャ(antenna aperture)上にアンテナ素子の1又は2以上のアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ素子は、液晶セルを備える。1つの実施形態において、フラットパネルアンテナは、行及び列状に配置されていないアンテナ素子の各々を一意的にアドレス指定してこれらのアンテナ素子を駆動するマトリクス駆動回路を含む円筒状給電アンテナである。1つの実施形態において、素子は、リング状に配置される。
【0036】
1つの実施形態において、アンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアンテナアパーチャは、共に結合された複数のセグメントから構成される。セグメントの組み合わせは、共に結合された場合に、アンテナ素子の閉じた同心リングを形成する。1つの実施形態において、同心リングは、アンテナ給電部に対して同心である。
【0037】
アンテナシステムの実施例
1つの実施形態において、フラットパネルアンテナは、メタマテリアルアンテナシステムの一部である。通信衛星地上局用のメタマテリアルアンテナシステムの実施形態について説明する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、民間商用衛星通信用のKa帯域周波数又はKu帯域周波数の何れかを使用して動作するモバイルプラットフォーム(例えば、航空、海上、陸上、その他)上で動作する衛星地上局(ES)のコンポーネント又はサブシステムである。アンテナシステムの実施形態はまた、モバイルプラットフォーム上ではない地上局(例えば、固定地上局又は可搬地上局)で使用することもできる点に留意されたい。
【0038】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、表面散乱メタマテリアル技術を使用して、別個のアンテナを介して送受信ビームを形成して誘導する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、ビームを電気的に形成して誘導するのにデジタル信号処理を使用するアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。
【0039】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、3つの機能的サブシステム、すなわち、(1)円筒波給電アーキテクチャからなる導波構造、(2)アンテナ素子の一部である波散乱メタマテリアル単位セルのアレイ、及び(3)ホログラフィ原理を使用してメタマテリアル散乱素子からの調整可能な放射場(ビーム)の形成を命令する制御構造から構成される。
【0040】
アンテナ素子
図7Aは、円筒状給電ホログラフィック放射状アパーチャアンテナの1つの実施形態の概略図を示している。
図7Bを参照すると、アンテナアパーチャは、円筒状給電アンテナの入力給電部602の周りに同心リング状に配置されたアンテナ素子603の1又は2以上のアレイ601を有する。1つの実施形態において、アンテナ素子603は、RFエネルギーを放射する無線周波数(RF)共振器である。1つの実施形態において、アンテナ素子603は、アンテナアパーチャの全表面上に交互配置され分散されるRxアイリス及びTxアイリスの両方を備える。このようなRxアイリス及びTxアイリス、又はスロットは、各セットが別々に且つ同時に制御される帯域のためのものである場合の3又は4以上のセットからなるグループ内にあるとすることができる。このようなアンテナ素子の実施例は、以下に更に詳細に説明される。本明細書で説明するRF共振器は、円筒状給電部を含まないアンテナで使用できる点に留意されたい。
【0041】
1つの実施形態において、アンテナは、入力給電部602を介して円筒波給電を供給するのに使用される同軸給電部を含む。1つの実施形態において、円筒波給電アーキテクチャが、給電点から円筒状に外向きに広がる励起を中心点からアンテナに供給する。すなわち、円筒状給電アンテナは、外向きに進む同心状給電波を生成する。それでも、円筒状給電部の周りの円筒状給電アンテナの形状は、円形、正方形、又は何らかの形状とすることができる。別の実施形態では、円筒状給電アンテナは、内向きに進む給電波を生成する。このような場合には、円形構造から生じる給電波が、最も自然である。
【0042】
1つの実施形態において、アンテナ素子603は、アイリスを備え、
図7Bのアパーチャアンテナは、同調可能液晶(LC)材料を通ってアイリスを放射させるための円筒状給電波からの励起を使用することによって形成される主ビームを生成するのに使用される。1つの実施形態において、アンテナは、所望の走査角で水平又は垂直に偏極した電界を放射するように励起することができる。
【0043】
1つの実施形態において、アンテナ素子は、パッチアンテナのグループを備える。このパッチアンテナのグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを備える。1つの実施形態において、アンテナシステムにおける各散乱素子は、下部導体、誘電体基板、及び上部導体からなる単位セルの一部であり、上部導体は、この上部導体にエッチング又は堆積された相補的電気誘導型容量性共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を組み込んでいる。当業者には理解されるように、液晶とは対照的に、CELCの関連でのLCは、インダクタンス・キャパシタンスを指す。
【0044】
1つの実施形態において、液晶(LC)が、散乱素子の周りのギャップに配置される。このLCは、上述の直接駆動実施形態によって駆動される。1つの実施形態において、液晶は、各単位セル内に封入され、スロットに関連する下部導体をそのパッチに関連する上部導体から分離する。液晶は、この液晶を含む分子の配向の関数である誘電率を有し、分子の配向(及びひいては誘電率)は、液晶両端間のバイアス電圧を調節することによって制御することができる。1つの実施形態において、この特性を使用して、液晶は、誘導波からCELCへのエネルギー伝達のためのオン/オフスイッチを統合する。スイッチオンになると、CELCは、電気的に小さいダイポールアンテナのような電磁波を放射する。本明細書での教示は、エネルギー伝達に関して2値的に動作する液晶を有することに限定されない点に留意されたい。
【0045】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの給電幾何形状は、アンテナ素子を波動給電の波動ベクトルに対して45度(45°)の角度で位置決めすることを可能にする。他の位置(例えば、40°の角度)が使用できる点に留意されたい。素子のこの位置は、素子によって受信されるか又は素子から送信/放射される自由空間波の制御を可能にする。1つの実施形態において、アンテナ素子は、アンテナの作動周波数の自由空間波長より短い素子間隔で配列される。例えば、1波長につき4つの散乱素子が存在する場合には、30GHz送信アンテナ内の素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の4分の1)となる。
【0046】
1つの実施形態において、2組の素子は、互いに垂直であり、同じ同調状態に制御される場合に、等しい振幅の励起を同時に有する。給電波の励起に対してこれらの素子をプラスマイナス45度回転させることにより、両方の所望の機能が同時に達成される。一方の組を0度回転させ、他方を90度回転させることによって、垂直目標は達成されるが、等振幅励起目標は達成されない。0度と90度を使用して、2つの側部から単一構造のアンテナ素子アレイを給電する場合に、分離が達成できる点に留意されたい。
【0047】
各単位セルから放射されるパワーの量は、コントローラを使用してパッチに電圧(液晶チャネルの両端の電位)を印加することによって制御される。各パッチに対するトレースは、パッチアンテナに電圧を供給するのに使用される。この電圧は、キャパシタンス及び従って個々の素子の共振周波数を同調又は離調させて、ビーム形成を達成するのに使用される。必要とされる電圧は、使用される液晶混合物に依存する。液晶混合物の電圧同調特性は、液晶が電圧の影響を受け始める閾値電圧と、これを超える電圧の増加が液晶での大きな同調をもたらさない飽和電圧とによって主として説明される。これら2つの特性パラメータは、液晶混合物が異なると変化する場合がある。
【0048】
1つの実施形態において、上述のように、マトリクス駆動を使用してパッチに電圧を印加して、各セルが、各セルに対して別個の接続を有することなく他の全てのセルから切り離して駆動されるようになる(直接駆動)。素子が高密度であるために、マトリクス駆動は、各セルを個別にアドレス指定するのに効率的な方法である。
【0049】
1つの実施形態において、アンテナシステム用の制御構造は、2つの主要な構成要素を有し、すなわち、アンテナシステム用の駆動電子機器を含むアンテナアレイコントローラは、波散乱構造(本明細書で説明するものなどの表面散乱アンテナ素子)の下方にあり、その一方、マトリクス駆動スイッチングアレイは、放射を妨害しないように放射RFアレイ全体にわたって散在している。1つの実施形態において、アンテナシステム用の駆動電子機器は、各散乱素子へのACバイアス信号の振幅又はデューティサイクルを調節することによって、この散乱素子に対するバイアス電圧を調節する市販のテレビジョン装置で使用される市販の既製LCD制御装置を備える。
【0050】
1つの実施形態において、アンテナアレイコントローラはまた、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサを包含する。制御構造はまた、プロセッサに位置及び方位情報を提供するセンサ(例えば、GPS受信機、3軸コンパス、3軸加速度計、3軸ジャイロ、3軸磁力計など)を組み込むこともできる。位置及び方位情報は、地上局内の他のシステムによってプロセッサに提供することができ、及び/又はアンテナシステムの一部でない場合がある。
【0051】
より具体的には、アンテナアレイコントローラは、作動周波数でどの素子がオフにされてどの素子がオンにされるか、及びどの位相及び振幅のレベルにするかを制御する。素子は、電圧印加によって周波数作動に対して選択的に離調される。
【0052】
送信に関して、コントローラは、RFパッチに一連の電圧信号を供給して変調パターン又は制御パターンを生成する。制御パターンは、素子を異なる状態に変化させる。1つの実施形態において、多状態制御が使用され、そこでは、方形波(すなわち、正弦波グレイシェード変調パターン)とは対照的に、様々な素子が様々なレベルにオン及びオフにされ、更に正弦波制御パターンが近似される。1つの実施形態において、放射する素子もあれば放射しない素子もあるのではなく、一部の素子が他の素子よりも強く放射する。可変放射は、特定の電圧レベルを印加することによって達成され、それによって、液晶の誘電率が様々な量に調節され、それによって、素子を可変的に離調させて一部の素子を他の素子よりも多く放射させる。
【0053】
素子のメタマテリアルアレイによる集束ビームの生成は、建設的干渉及び相殺的干渉の現象によって説明することができる。個々の電磁波は、自由空間で遭遇するときに同じ位相を有する場合に加え合わされ(建設的干渉)、自由空間で遭遇するときに逆位相である場合に互いに打ち消し合う(相殺的干渉)。各連続するスロットが誘導波の励起点から異なる距離に配置されるように、スロット付きアンテナ内のスロットが配置された場合に、その素子からの散乱波は、前のスロットの散乱波と異なる位相を有することになる。スロットが、誘導波長の4分の1離間している場合に、各スロットは、前のスロットから4分の1の位相遅延で波を散乱させることになる。
【0054】
このアレイを使用すると、生成できる建設的干渉及び相殺的干渉のパターン数が増加することができるので、ビームは、ホログラフィの原理を使用して、理論的にはアンテナアレイのボアサイトからプラスマイナス90度(90°)の任意の方向に指向させることができる。従って、どのメタマテリアル単位セルがオン又はオフにされるかを制御することにより(すなわち、どのセルがオンにされてどのセルがオフにされるかについてのパターンを変更することにより)、建設的干渉及び相殺的干渉の異なるパターンが生成でき、アンテナは、主ビームの方向を変化させることができる。単位セルをオン及びオフにするのに必要な時間は、1つの位置から別の位置にビームを切り換えることができる速度によって定まる。
【0055】
1つの実施形態において、アンテナシステムは、アップリンクアンテナ用の1つの誘導可能ビームと、ダウンリンクアンテナ用の1つの誘導可能ビームとを生成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、メタマテリアル技術を使用してビームを受信し、衛星からの信号を復号し、衛星に向けられる送信ビームを形成する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、ビームを電気的に形成して誘導するのにデジタル信号処理を使用するアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。1つの実施形態において、アンテナシステムは、特に従来型衛星ディッシュベースの受信機と比較した場合に、平面的で比較的薄型である「面」アンテナとみなされる。
【0056】
図7Bは、グランドプレーンと再構成可能共振器層とを含む1列のアンテナ素子の斜視図を示している。再構成可能共振器層1230は、同調可能スロット1210のアレイを含む。同調可能スロット1210のアレイは、アンテナを所望の方向に指向させるように構成することができる。同調可能スロットの各々は、液晶両端間の電圧を変化させることによって同調/調節することができる。
【0057】
制御モジュール又はコントローラ1280は、再構成可能共振器層1230に結合されて、
図8Aでの液晶両端間の電圧を変化させることにより同調可能スロット1210のアレイを変調する。制御モジュール1280は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、マイクロプロセッサ、コントローラ、システム・オン・チップ(SoC)、又は他の処理論理回路を含むことができる。1つの実施形態において、制御モジュール1280は、同調可能スロット1210のアレイを駆動するために論理回路(例えば、マルチプレクサ)を含む。1つの実施形態において、制御モジュール1280は、同調可能スロット1210のアレイ上に駆動されるホログラフィック回折パターンに関する仕様を含むデータを受信する。ホログラフィック回折パターンは、この回折パターンがダウンリンクビーム(及び、アンテナシステムが送信を実行する場合には、アップリンクビーム)を通信に適した方向に誘導するように、アンテナと衛星との間の空間的関係に応じて生成することができる。各図には描かれていないが、制御モジュール1280に類似する制御モジュールが、本開示の図にて記載される同調可能スロットの各アレイを駆動することができる。
【0058】
更に、RF基準ビームがRFホログラフィック回折パターンに遭遇するときに所望のRFビームを生成することができる類似の技術を使用して、無線周波数(「RF」)ホログラフィが可能である。衛星通信の場合に、基準ビームは、給電波1205(幾つかの実施形態では、約20GHz)などの給電波の形態である。給電波を放射ビームに変換するために(送信目的又は受信目的の何れかで)、所望のRFビーム(目標ビーム)と給電波(基準ビーム)との間での干渉パターンが計算される。干渉パターンは、給電波が所望のRFビーム(所望の形状及び方向を有する)に「誘導される」ように、回折パターンとして同調可能スロット1210のアレイ上に駆動される。言い換えると、ホログラフィック回折パターンに遭遇する給電波は、目標ビームを「再構成」し、このビームは、通信システムの設計要件に従って形成される。ホログラフィック回折パターンは、各素子の励起を包含し、導波路内の波動方程式としてのwinと、外向き波に関する波動方程式としてのwoutとを用いて、whologram=win*woutによって計算される。
【0059】
図8Aは、同調可能共振器/スロット1210の1つの実施形態を示している。同調可能スロット1210は、アイリス/スロット1212と、放射パッチ1211と、アイリス1212とパッチ1211との間に配置された液晶1213とを含む。1つの実施形態において、放射パッチ1211は、アイリス1212と同じ場所に配置される。
【0060】
図8Bは、物理的アンテナアパーチャの1つの実施形態の断面図を示している。アンテナアパーチャは、グランドプレーン1245と、再構成可能共振器層1230に含まれるアイリス層1233内の金属層1236とを含む。1つの実施形態において、
図8Bのアンテナアパーチャは、
図8Aの複数の同調可能共振器/スロット1210を含む。アイリス/スロット1212は、金属層1236内の開口部(openings)によって規定される。
図8Aの給電波1205などの給電波は、衛星通信チャネルと適合性のあるマイクロ波周波数を有することができる。給電波は、グランドプレーン1245と共振器層1230との間を伝播する。
【0061】
再構成可能共振器層1230はまた、ガスケット層1232及びパッチ層1231を含む。ガスケット層1232は、パッチ層1231とアイリス層1233との間に配置される。1つの実施形態において、スペーサは、ガスケット層1232に置き換えることができる点に留意されたい。1つの実施形態において、アイリス層1233は、金属層1236として銅層を含むプリント回路基板(PCB)である。1つの実施形態において、アイリス層1233はガラスである。アイリス層1233は、他のタイプの基板であってもよい。
【0062】
銅層において開口部をエッチングして、スロット1212を形成することができる。1つの実施形態において、アイリス層1233は、導電性接合層によって
図8Bの別の構造(例えば、導波路)に導電的に結合される。1つの実施形態において、アイリス層は、導電性接合層によって導電的に結合されず、代わりに非導電性接合層と接合される点に留意されたい。
【0063】
パッチ層1231はまた、放射パッチ1211として金属を含むPCBとすることもできる。1つの実施形態において、ガスケット層1232は、金属層1236とパッチ1211との間の寸法を規定する機械的離隔部(スタンドオフ)を提供するスペーサ1239を含む。1つの実施形態において、スペーサは75ミクロンであるが、他のサイズ(例えば、3mmから200mm)を使用することができる。上述のように、1つの実施形態において、
図8Bのアンテナアパーチャは、
図8Aのパッチ1211、液晶1213、及びアイリス1212を含む、同調可能共振器/スロット1210などの複数の同調可能共振器/スロットを備える。液晶1213のためのチャンバは、スペーサ1239、アイリス層1233、及び金属層1236によって規定される。チャンバが液晶で満たされた場合に、パッチ層1231は、共振器層1230内に液晶をシールするようにスペーサ1239上に積層することができる。
【0064】
パッチ層1231とアイリス層1233との間の電圧を変調して、パッチとスロット(例えば、同調可能共振器/スロット1210)と間のギャップ内の液晶を同調させることができる。液晶1213の両端間電圧を調節することにより、スロット(例えば、同調可能共振器/スロット1210)のキャパシタンスが変化する。従って、スロット(例えば、同調可能共振器/スロット1210)のリアクタンスは、このキャパシタンスを変化させることにより変化することができる。スロット1210の共振周波数はまた、次式:
【数2】
に従って変化し、ここで、fは、スロット1210の共振周波数であり、L及びCは、それぞれ、スロット1210のインダクタンス及びキャパシタンスである。スロット1210の共振周波数は、導波路を伝播する給電波1205から放射されるエネルギーに影響を与える。一例として、給電波1205が20GHzである場合に、スロット1210の共振周波数は、17GHzに調節されて(キャパシタンスを変化させることにより)、スロット1210が、給電波1205からのエネルギーを実質的に結合しないようにすることができる。或いは、スロット1210の共振周波数は、スロット1210が給電波1205からのエネルギーを結合してこのエネルギーを自由空間に放射するように、20GHzに調節することができる。所与の例は、2値的である(完全に放射するか又は全く放射しない)が、スロット1210のリアクタンス及び従ってこのスロットの共振周波数の完全グレイスケール制御は、多値範囲にわたって電圧を変化させることにより可能である。従って、各スロット1210から放射されるエネルギーが精密に制御されて、同調可能スロットのアレイが、精緻なホログラフィック回折パターンを形成できるようになる。
【0065】
1つの実施形態において、一列に並んだ同調可能スロットは、互いからλ/5だけ離間している。他の間隔を使用することもできる。1つの実施形態において、一列に並んだ各同調可能スロットは、隣接する列内の最も近い同調可能スロットからλ/2だけ離間しており、従って、異なる列にあって向きが共通の同調可能スロットは、λ/4だけ離間しているが、他の間隔が可能である(例えば、λ/5、λ/6.3)。別の実施形態では、一列に並んだ各同調可能スロットは、隣接する列内の最も近い同調可能スロットからλ/3だけ離間している。
【0066】
実施形態は、2014年11月21日出願の「Dynamic Polarization and Coupling Control from a Steerable Cylindrically Fed Holographic Antenna(誘導可能円筒給電式ホログラフィックアンテナからの動的偏波及び結合制御)」という名称の米国特許出願第14/550,178号明細書、及び2015年1月30日出願の「Ridged Waveguide Feed Structures for Reconfigurable Antenna(再構成可能アンテナのためのリッジ型導波路給電構造)」という名称の米国特許出願第14/610,502号明細書に記載されているものなどの再構成可能メタマテリアル技術を使用する。
【0067】
図9Aから9Dは、スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施形態を示している。アンテナアレイは、
図1Aに示されている例示的なリングのようにリング状に配置されたアンテナ素子を含む。この実施例において、アンテナアレイは、2つの異なるタイプの周波数帯域に使用される2つの異なるタイプのアンテナ素子を有する点に留意されたい。
【0068】
図9Aは、スロットに対応する位置を有する第1のアイリス基板層の一部分を示している。
図9Aを参照すると、円は、アイリス基板の底部側におけるメタライゼーション内の開放エリア/スロットであり、給電部(給電波)との素子の結合を制御するためのものである。この層は、任意選択の層であり、全ての設計で使用されるとは限らない点に留意されたい。
図9Bは、スロットを包含する第2のアイリス基板層の一部分を示している。
図9Cは、第2のアイリス基板層の一部分の上のパッチを示している。
図9Dは、スロット付きアレイの一部分の上面図を示している。
【0069】
図10は、円筒状給電アンテナ構造の1つの実施形態の側面図を示している。このアンテナは、二重層給電構造(すなわち、2つの給電構造層)を使用して内向き進行波を生成する。1つの実施形態において、アンテナは、円形の外形を含むが、このことは、必須ではない。すなわち、非円形内向き進行構造を使用することができる。1つの実施形態において、
図10におけるアンテナ構造は、2014年11月21日出願の「Dynamic Polarization and Coupling Control from a Steerable Cylindrically Fed Holographic Antenna(誘導可能円筒給電式ホログラフィックアンテナからの動的偏波及び結合制御)」という名称の米国特許公開第2015/0236412号明細書に記載のものなどの同軸給電部を含む。
【0070】
図10を参照すると、同軸ピン1601は、アンテナの下層の場を励起するのに使用される。1つの実施形態において、同軸ピン1601は、容易に入手できる50Ω同軸ピンである。同軸ピン1601は、導電性グランドプレーン1602であるアンテナ構造の底部に結合(例えば、ボルト締め)される。
【0071】
内部導体である浸入型導体1603は、導電性グランドプレーン1602から切り離される。1つの実施形態において、導電性グランドプレーン1602及び浸入型導体1603は、互いに平行である。1つの実施形態において、グランドプレーン1602と浸入型導体1603との間の距離は、0.1インチから0.15インチである。別の実施形態では、この距離は、λ/2とすることができ、ここで、λは、作動周波数での進行波の波長である。
【0072】
グランドプレーン1602は、スペーサ1604を介して浸入型導体1603から切り離される。1つの実施形態において、スペーサ1604は、発泡体又は空気状スペーサである。1つの実施形態において、スペーサ1604は、プラスチックスペーサを含む。
【0073】
誘電体層1605が、浸入型導体1603の上部に存在する。1つの実施形態において、誘電体層1605は、プラスチックである。誘電体層1605の目的は、自由空間速度に対して進行波を減速させることである。1つの実施形態において、誘電体層1605は、自由空間に対して30%だけ進行波を減速させる。1つの実施形態において、ビーム形成に適した屈折率の範囲は、1.2から1.8であり、ここで、自由空間は、定義により1に等しい屈折率を有する。例えばプラスチックなどの他の誘電体スペーサ材料が、この効果を達成するのに使用できる。プラスチック以外の材料は、これらの材料が所望の波減速効果を達成する限り、使用できる点に留意されたい。代替的に、例えば機械加工すること又はリソグラフィによって規定することができる周期的サブ波長金属構造などの分散構造を有する材料は、誘電体層1605として使用することができる。
【0074】
RFアレイ1006は、誘電体1605の上部に存在する。1つの実施形態において、浸入型導体1603とRFアレイ1606との間の距離は、0.1インチから0.15インチである。別の実施形態では、この距離は、λeff/2とすることができ、ここで、λeffは、設計周波数での媒体中の有効波長である。
【0075】
アンテナは、側部1607及び1608を含む。側部1607及び1608は、同軸ピン1601から供給される進行波を、反射によって浸入型導体1603の下の領域(スペーサ層)から浸入型導体1603の上の領域(誘電体層)に伝播させるように角度付けされる。1つの実施形態において、側部1607及び1608の角度は、45度の角度にある。代替の実施形態では、側部1607及び1608は、反射を達成するための連続した半径に置き換えることができる。
図10は、45度の角度を有して角度付けした側部を示しているが、その他の角度は、下層給電部から上層給電部への信号伝達を達成して使用することができる。すなわち、下側給電部内の有効波長が、一般に、上側給電部内のものと異なることを考慮すると、理想的な45度の角度からの何らかの逸脱は、下側給電層から上側給電層への伝達を補助するのに使用することができる。例えば、別の実施形態では、45度の角度は、単一の段部に置き換えられる。アンテナの一端上の段部は、誘電体層、浸入型導体、及びスペーサ層の周りに延びる。同様の2つの段部が、これらの層の他端に存在する。
【0076】
動作中、給電波が、同軸ピン1601から供給される場合には、この給電波は、グランドプレーン1602と浸入型導体1603との間の領域で同軸ピン1601から同心状外向きに進む。同心状外向き波は、側部1607及び1608で反射して、浸入型導体1603とRFアレイ1606との間の領域で内向きに進む。円形外周の縁部からの反射は、この波を同相のままにする(すなわち、この反射は、同相反射である)。進行波は、誘電体層1605によって減速する。この時点で、進行波は、RFアレイ1606内の素子との相互作用及び励起を開始して、所望の散乱が得られる。
【0077】
進行波を終了させるための終端部1609が、アンテナの幾何学的中心でアンテナに含まれる。1つの実施形態において、終端部1609は、ピン終端(例えば、50Ωピン)を備える。別の実施形態では、終端部1609は、未使用エネルギーを終端させて、この未使用エネルギーがアンテナの給電構造体を通って反射して戻ることを防止するRF吸収体を備える。この終端部は、RFアレイ1606の上部で使用することができる。
【0078】
図11は、アンテナシステムの別の実施形態を外向き波と共に示している。
図11を参照すると、2つのグランドプレーン1610及び1611は、これらのグランドプレーンの間にある誘電体層1612(例えば、プラスチック層など)と互いに実質的に平行であり得る。RF吸収体1619(例えば、抵抗器)は、2つのグランドプレーン1610及び1611を共に結合する。同軸ピン1615(例えば、50Ω)は、アンテナを給電する。RFアレイ1616は、誘電体層1612及びグランドプレーン1610の上部に存在する。
【0079】
動作中、給電波は、同軸ピン1615を介して給電され、同心円状外向きに進んでRFアレイ1616の素子と相互作用する。
【0080】
図10及び11の両アンテナにおける円筒形給電は、アンテナのサービス角度を改善する。1つの実施形態において、アンテナシステムは、プラスマイナス45度の方位角(±45°Az)及びプラスマイナス25度の仰角(±25°El)からなるサービス角度の代わりに、ボアサイトから全方向に75度(75°)のサービス角度を有する。多数の個々の放射体から構成される何らかのビーム形成アンテナの場合と同様に、全体的なアンテナ利得は、それ自体が角度に依存するものである構成素子の利得に依存する。一般的な放射素子が使用される場合には、全体的なアンテナ利得は、通常、ビームがボアサイトから離れて向けられるにつれて減少する。ボアサイトから75度外れたところでは、約6dBの有意な利得低下が予期される。
【0081】
円筒状給電部を有するアンテナの実施形態は、1又は2以上の問題を解決する。これらは、統合分割器ネットワークを用いて給電されるアンテナと比較して給電構造体を非常に簡単なものにし、従って、全体で必要なアンテナ及びアンテナ給電量を低減することと、より粗い制御(単純なバイナリ制御にまで拡張すること)で高ビーム性能を維持することによって製造誤差及び制御誤差に対する感度を低下させることと、円筒状配向給電波が遠距離場において空間的に多様なサイドローブをもたらすので、直線的給電部と比較してより好都合なサイドローブパターンを与えることと、偏波器を必要とせずに、左旋円偏波、右旋円偏波及び直線偏波を可能にすることを含めて偏波が動的であることを可能にすることと、を含む。
【0082】
波散乱素子のアレイ
図10のRFアレイ1606及び
図11のRFアレイ1616は、放射体として作用するパッチアンテナ(すなわち、散乱体)のグループを含む波散乱サブシステムを備える。このパッチアンテナグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを備える。
【0083】
1つの実施形態において、アンテナシステムにおける各散乱素子は、下部導体、誘電体基板、及び上部導体からなる単位セルの一部であり、上部導体は、この上部導体にエッチング又は堆積された相補的電気誘導型容量性共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を組み込んでいる。
【0084】
1つの実施形態において、液晶(LC)が、散乱素子の周りのギャップに注入される。液晶は、各単位セル内に封入され、スロットに関連する下部導体をそのパッチに関連する上部導体から分離する。液晶は、この液晶を含む分子の配向の関数である誘電率を有し、分子の配向(及びひいては誘電率)は、液晶両端間のバイアス電圧を調節することによって制御することができる。この特性を使用して、液晶は、誘導波からCELCへのエネルギー伝達のためのオン/オフスイッチとして作用する。スイッチオンになると、CELCは、電気的に小さいダイポールアンテナのような電磁波を放射する。
【0085】
液晶の厚さを制御することによって、ビームスイッチング速度が増加する。下部導体と上部導体との間のギャップ(液晶の厚さ)の50パーセント(50%)の減少は、4倍の速度増加をもたらす。別の実施形態では、液晶の厚さは、約14ミリ秒(14ms)というビームスイッチング速度をもたらす。1つの実施形態において、液晶は、7ミリ秒(7ms)の要件を満たすことができるように応答性を高めるための当技術分野において公知の方法でドープされる。
【0086】
CELC素子は、CELC素子の平面に平行でCELCギャップ補完物に垂直に印加される磁場に応答する。電圧が、メタマテリアル散乱単位セル内の液晶に印加された場合に、誘導波の磁場成分は、CELCの磁気励起を誘導し、その結果、誘導波と同じ周波数の電磁波が生成される。
【0087】
単一のCELCによって生成される電磁波の位相は、誘導波ベクトル上のCELCの位置によって選択することができる。各セルは、CELCと平行な誘導波と同相の波を生成する。CELCは、波長よりも小さいので、出力波は、誘導波がCELCの下を通過するときのこの誘導波の位相と同じ位相を有する。
【0088】
1つの実施形態において、このアンテナシステムの円筒状給電幾何形状は、CELC素子を波動給電の波動ベクトルに対して45度(45°)の角度で配置することを可能にする。この素子位置は、この素子から生成される又はこの素子によって受信される自由空間波の偏波の制御を可能にする。1つの実施形態において、CELCは、アンテナの作動周波数の自由空間波長より短い素子間隔で配列される。例えば、1波長につき4つの散乱素子が存在する場合には、30GHz送信アンテナ内の素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの10mm自由空間波長の4分の1)となる。
【0089】
1つの実施形態において、CELCは、スロットの上に並置されたパッチを、それら両者の間に液晶を有して含むパッチアンテナを用いて実施される。この点において、メタマテリアルアンテナは、スロット付き(散乱)導波路のように作用する。スロット付き導波路に関して、出力波の位相は、誘導波に対するスロットの位置に依存する。
【0090】
セル配置
1つの実施形態において、アンテナ素子は、系統的マトリクス駆動回路が可能となるように、円筒状給電アンテナアパーチャ上に配置される。セルの配置は、マトリクス駆動のためのトランジスタの配置を含む。
図12は、アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施形態を示している。
図12を参照すると、行コントローラ1701は、行選択信号Row1(行1)及びRow2(行2)それぞれを介してトランジスタ1711及び1712に結合され、列コントローラ1702は、列選択信号Column1を介してトランジスタ1711及び1712に結合される。また、トランジスタ1711は、パッチへの接続1731を介してアンテナ素子1721に結合され、その一方、トランジスタ1712は、パッチへの接続1732を介してアンテナ素子1722に結合される。
【0091】
単位セルが非正規グリッド内に配置されて円筒状給電アンテナ上でマトリクス駆動回路を実現する最初の手法では、2つのステップが実行される。第1のステップにおいて、セルが同心リング上に配置され、セルの各々は、セルの傍らに配置されたトランジスタに接続され、このトランジスタが、各セルを別々に駆動するスイッチとして機能する。第2のステップにおいて、マトリクス駆動回路は、このマトリクス駆動手法が必要とするときにあらゆるトランジスタを一意のアドレスで接続するように構築される。マトリクス駆動回路は、行及び列のトレースによって構築される(LCDと同様)が、セルは、リング上に配置されるので、各トランジスタに一意のアドレスを割り当てる系統的方法は存在しない。このマッピング問題は、全てのトランジスタをカバーするために極めて複雑な回路を生じさせ、経路設定を行う物理的トレースの数を著しく増加させることになる。セルが高密度であるので、これらのトレースは、カップリング効果に起因してアンテナのRF性能を妨げる。また、トレースが複雑であり実装密度が高いことに起因して、トレースの経路設定は、商業的に入手可能なレイアウトツールによって行うことができない。
【0092】
1つの実施形態において、マトリクス駆動回路は、セル及びトランジスタが配置される前に事前に規定される。このことにより、各々が一意のアドレスを有する全てのセルを駆動するのに必要な最小数のトレースが確保される。この方式は、駆動回路の複雑性を軽減して経路設定を簡素化し、それによって、次に、アンテナのRF性能が高まる。
【0093】
より具体的には、1つの手法では、第1のステップにおいて、セルは、各セルの一意のアドレスを表す行及び列から構成された正方形グリッド上に配置される。第2のステップにおいて、セルは、第1のステップで規定さられたセルのアドレス並びに行及び列への接続性が維持されながら、グループ化されて同心円に変換される。この変換の目的は、セルをリング上に配置するだけでなく、アパーチャ全体にわたってセル間の距離及びリング間の距離を一定に保つことである。この目的を達成するために、セルをグループ化する幾つかの方法が存在する。
【0094】
1つの実施形態において、TFTパッケージは、マトリクス駆動における配置及び一意のアドレス指定を可能にするのに使用される。
図13は、TFTパッケージの1つの実施形態を示している。
図13を参照すると、TFT及びホールドキャパシタ1803が、入力ポート及び出力ポートと共に示されている。行及び列を使用してTFTを共に接続するために、トレース1801に接続された2つの入力ポート及びトレース1802に接続された2つの出力ポートが存在する。1つの実施形態において、行のトレースと列のトレースとが90°の角度で交差して、行のトレースと列のトレースとの間の結合を抑え、場合によっては最小にする。1つの実施形態では、行のトレース及び列のトレースは、異なる層上に存在する。
【0095】
全二重通信システムの例
別の実施形態では、複合アンテナアパーチャは、全二重通信システムで使用される。
図14は、同時送信及び受信経路を有する通信システムの1つの実施形態のブロック図である。1つの送信経路及び1つの受信経路のみが示されているが、通信システムは、1つより多い送信経路及び/又は1つより多い受信経路を含むことができる。
【0096】
図14を参照すると、アンテナ1401は、上述のように異なる周波数で同時に送信及び受信するように独立して動作可能な2つの空間的に交互配置されたアンテナアレイを含む。1つの実施形態において、アンテナ1401は、ダイプレクサ1445に結合される。この結合は、1又は2以上の給電ネットワークによるものとすることができる。1つの実施形態において、放射状給電アンテナの場合に、ダイプレクサ1445は、2つの信号を組み合わせるものであり、アンテナ1401とダイプレクサ1445の間の接続は、両方の周波数を搬送できる単一の広帯域給電ネットワークである。
【0097】
ダイプレクサ1445は、低ノイズブロックダウンコンバータ(LNB)1427に結合され、このLNBは、当技術分野において公知の方法でノイズフィルタリング機能、ダウンコンバート機能、及び増幅機能を実行する。1つの実施形態において、LNB1427は、室外ユニット(ODU)に存在する。別の実施形態では、LNB1427は、アンテナ装置に組み込まれる。LNB1427は、コンピューティングシステム1440(例えば、コンピュータシステム、モデムなど)に結合されたモデム1460に結合される。
【0098】
モデム1460は、アナログデジタル変換器(ADC)1422を含み、このADCは、LNB1427に結合されて、ダイプレクサ1445から出力された受信信号をデジタル形式に変換する。デジタル形式に変換されると、信号は、復調器1423によって復調されて、デコーダ1424によって復号されて、受信波上に符号化されたデータが得られる。次に、復号されたデータは、コントローラ1425に送られ、このコントローラが、このデータをコンピューティングシステム1440に送る。
【0099】
モデム1460はまた、コンピューティングシステム1440から送信されたデータを符号化するエンコーダ1430を含む。符号化されたデータは、変調器1431によって変調され、次に、デジタルアナログ変換器(DAC)1432によってアナログに変換される。次に、アナログ信号は、BUC(アップコンバート及び高域増幅器)1433によってフィルタリングされて、ダイプレクサ1445の1つのポートに供給される。1つの実施形態において、BUC1433は、室外ユニット(ODU)に存在する。
【0100】
当技術分野において公知の方法で動作するダイプレクサ1445は、送信される送信信号をアンテナ1401に供給する。
【0101】
コントローラ1450は、単一の複合物理的アパーチャ上のアンテナ素子の2つのアレイを含むアンテナ1401を制御する。
【0102】
通信システムは、上述した結合器/アービタを含むように変更される。このような場合には、結合器/アービタは、BUC及びLNBの前ではなくモデムの後に存在する。
【0103】
図14に示されている全二重通信システムは、限定ではないが、インターネット通信、車両通信(ソフトウェア更新を含む)などを含む幾つかの用途を有する。
【0104】
本明細書で説明する幾つかの例示的な実施形態が存在する。
【0105】
実施例1は、上面及び下面を有するアンテナ素子層と、このアンテナ素子層の上面に接合され、無線周波数(RF)放射に対して少なくとも部分的に透過的である上側スタックを形成する1又は2以上の層の第1のセットと、アンテナ素子層の下面に接合された下側スタックを形成する1又は2以上の層の第2のセットとを備えるアンテナ組立体であり、アンテナ素子層、上側スタック及び下側スタックは、共に接合されて複合スタックを形成する。
【0106】
実施例2は、上側スタックが、1又は2以上のインピーダンス整合層と、これら1又は2以上のインピーダンス整合層に接合された誘電体とを備えることを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナ組立体である。
【0107】
実施例3は、上側スタックが更に、誘電体がレドームと1又は2以上のインピーダンス整合層との間に存在するように、誘電体に接合されたレドームを備えることを任意選択的に含むことができる実施例2のアンテナ組立体である。
【0108】
実施例4は、レドーム層(radome layer)が、誘電体スキン及び低誘電層からなる多層複合材(multi-layer composite)を備えることを任意選択的に含むことができる実施例3のアンテナ組立体である。
【0109】
実施例5は、上側スタック及び下側スタックが、接着剤を用いてアンテナ素子層に接合されることを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナ組立体である。
【0110】
実施例6は、上側スタックの層間、下側スタックの層間、又はアンテナ素子層と、上側スタック及び下側スタックのうちの一方又は両方との間で、1又は2以上の孔を含む少なくとも1つの接着層を更に備えることを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナ組立体である。
【0111】
実施例7は、上側スタック及び下側スタックが、熱接合、熱溶接、分配エポキシ、音波溶接、又は化学結合を使用してアンテナ素子層に接合されることを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナ組立体である。
【0112】
実施例8は、含まれる1又は2以上の平面上部及び下部負荷統合誘電体を更に備え、複合構造が、1つの平面構造として共に成形されることを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナ組立体である。
【0113】
実施例9は、アンテナ素子層が可撓性材料を含むことを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナ組立体である。
【0114】
実施例10は、上側スタック内の1又は2以上の層の寸法及び材料特性、並びに下側スタック内の1又は2以上の層の寸法及び材料特性が、アンテナ素子層への応力を低減することを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナ組立体である。
【0115】
実施例11は、下側スタックが、RF放射に対して少なくとも部分的に透過的な材料から作られた下側誘電体と、RF放射に対して少なくとも部分的に透過的な材料から作られた上側誘電体と、下側誘電体と上側誘電体との間に挟まれた導電層と、下側誘電体が導電層と接触している下側誘電体の側面と反対側にある側面に形成された導電層とを備えることを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナ組立体である。
【0116】
実施例12は、下側スタックの外周部に沿って配置された、下側誘電体から上側誘電体にRF放射を向ける(direct)ための構造体を備えることを任意選択的に含むことができる実施例11のアンテナ組立体である。
【0117】
実施例13は、アンテナ組立体の中立軸が、アンテナ素子層と実質的に一致することを任意選択的に含むことができる実施例1のアンテナ組立体である。
【0118】
実施例14は、ハウジングと、このハウジング内に配置されたアンテナ組立体とを備えるアンテナであり、アンテナ組立体は、上面及び下面を有するアンテナ素子層と、このアンテナ素子層の上面に接合され、無線周波数(RF)放射に対して少なくとも部分的に透過的である上側スタックを形成する1又は2以上の層の第1のセットであって、上記上側スタックが、1又は2以上のインピーダンス整合層、及びこれら1又は2以上のインピーダンス整合層に接合された誘電体とを含む、1又は2以上の層の第1のセットと、アンテナ素子層の下面に接合された下側スタックを形成する1又は2以上の層の第2のセットと、を備え、アンテナ素子層、上側スタック及び下側スタックは、共に接合されて複合スタックを形成する。
【0119】
実施例15は、上側スタック及び下側スタックが、接着剤を用いてアンテナ素子層に接合されることを任意選択的に含むことができる実施例14のアンテナである。
【0120】
実施例16は、上側スタックの層間、下側スタックの層間、又はアンテナ素子層と、上側スタック及び下側スタックのうちの一方又は両方との間で、1又は2以上の孔を含む少なくとも1つの接着層を任意選択的に含むことができる実施例15のアンテナである。
【0121】
実施例17は、上側スタック及び下側スタックが、熱接合、熱溶接、分配エポキシ、音波溶接、又は化学結合を使用してアンテナ素子層に接合されることを任意選択的に含むことができる実施例14のアンテナである。
【0122】
実施例18は、含まれる1又は2以上の平面上部及び下部負荷統合誘電体を備え、複合構造が、1つの平面構造として共に成形されることを任意選択的に含むことができる実施例14のアンテナである。
【0123】
実施例19は、アンテナ素子層が可撓性材料を含むことを任意選択的に含むことができる実施例14のアンテナである。
【0124】
実施例20は、上側スタックが更に、誘電体がレドームと1又は2以上のインピーダンス整合層との間に存在するように誘電体に接合されたレドームを備えることを任意選択的に含むことができる実施例14のアンテナである。
【0125】
実施例21は、レドーム層が、誘電体スキン及び低誘電層からなる多層複合材を備えることを任意選択的に含むことができる実施例20のアンテナである。
【0126】
実施例22は、上側スタック内の1又は2以上の層の寸法及び材料特性、並びに下側スタック内の1又は2以上の層の寸法及び材料特性が、アンテナ素子層への応力を低減することを任意選択的に含むことができる実施例14のアンテナである。
【0127】
実施例23は、下側スタックが、RF放射に対して少なくとも部分的に透過的な材料から作られた下側誘電体と、RF放射に対して少なくとも部分的に透過的な材料から作られた上側誘電体と、下側誘電体と上側誘電体との間に挟まれた導電層と、この下側誘電体がこの導電層と接触している側面と反対側の下側誘電体の側面に形成された導電層とを備えることを任意選択的に含むことができる実施例14のアンテナである。
【0128】
以上の詳細説明の幾つかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号表現の観点で提示されている。これらのアルゴリズム的記述及び表現は、データ処理技術分野の当業者により、自らの作業の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるのに使用される手段である。アルゴリズムは、本明細書では一般的に、所望の結果に至る自己矛盾のない一連のステップであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。必須ではないが、通常、これらの量は、格納、転送、結合、比較、及びそれ以外の方法での操作が可能な電気信号又は磁気信号の形式を取る。これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、又は数字などと言及することは、主として共通使用という理由で場合によっては好都合であることが判明している。
【0129】
しかしながら、これらの用語及び類似の用語は全て、適切な物理量に関連付けられるものとし、単に、これらの量に付与される好都合なラベルである点に留意されたい。以下の説明から明らかなように、特に明記しない限り、明細書全体を通して、「処理する」又は「演算する」又は「計算する」又は「決定する」又は「表示する」又は同様のもののような用語を利用した説明は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的な(電子的な)量として表されるデータを操作して、このデータを、そのコンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のこのような情報格納、送信又は表示デバイス内の物理量として同様に表される別のデータに変換するコンピュータシステム又は類似の電子コンピュータデバイスの動作及び処理を指すことが理解される。
【0130】
本発明はまた、本明細書での動作を実行するための装置に関する。この装置は、必要とされる目的のために特別に構成することができ、又はコンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータを備えることができる。このようなコンピュータプログラムは、限定ではないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、及び光磁気ディスクを含むあらゆるタイプのディスク、読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、又は電子命令の格納に適するあらゆるタイプの媒体などのコンピュータ可読ストレージ媒体に格納することができ、各々がコンピュータシステムバスに結合される。
【0131】
本明細書に提示したアルゴリズム及び表示は、何れの特定のコンピュータ又は他の装置とも本質的に関連付けられたものではない。様々な汎用システムを本明細書の教示によるプログラムと共に使用することができ、又は必要とされる方法ステップを実行するより特殊化された装置を構成することが好都合であることが判明する場合がある。様々なこれらのシステムに必要とされる構造は、以下の説明から明らかであろう。これに加えて、本発明は、何れの特定のプログラミング言語に関連しても説明されていない。様々なプログラミング言語を使用して、本明細書に説明した本発明の教示を実施することができることが認められるであろう。
【0132】
機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって可読の形式で情報を格納又は送信するための何れかの機構を含む。例えば、機械可読媒体は、読取専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスクストレージ媒体、光学ストレージ媒体、フラッシュメモリデバイスなどを含む。
【0133】
本発明の多くの改変及び修正が、前述の説明を読んだ後で疑いなく当業者には明らかになるであろうが、例証によって図示及び説明された何れの特定の実施形態も限定として捉えられるものではない点を理解されたい。従って、様々な実施形態の詳細事項への言及は、本発明にとって基本的なものとしてみなされる特徴のみを記載する請求項の範囲を限定するものではない。