(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】バッチ処理装置
(51)【国際特許分類】
B01J 19/18 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
B01J19/18
(21)【出願番号】P 2021519005
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(86)【国際出願番号】 GB2019051631
(87)【国際公開番号】W WO2019239131
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-06
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520490026
【氏名又は名称】プロセス テクノロジー ストラテジック コンサルタンシー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PROCESS TECHNOLOGY STRATEGIC CONSULTANCY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】ビル フライヤーズ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ウィルス
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-151621(JP,A)
【文献】特開平10-279678(JP,A)
【文献】米国特許第03445342(US,A)
【文献】特開昭52-021383(JP,A)
【文献】特開昭50-069188(JP,A)
【文献】中国実用新案第204395961(CN,U)
【文献】特開2006-275501(JP,A)
【文献】特開2010-089147(JP,A)
【文献】国際公開第01/078890(WO,A2)
【文献】国際公開第98/057741(WO,A2)
【文献】特開平01-193590(JP,A)
【文献】特開昭62-186783(JP,A)
【文献】実開昭58-032282(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0059523(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 27/00-96、35/00-95
B01J 19/00-32
C07C 68/00-69/96
C08F 2/00-60
C08G 64/00-42
C12M 1/00-42
F28D 7/00-16
F28F 3/00-14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケージ要素と、
前記ケージ要素に装着された少なくとも1つのバッフルと、
を備える回分式反応器用バッフル構成要素であり、
前記少なくとも1つのバッフルは、
前記バッフルの外面を形成するように適合され又は形成される板状構成要素と、
管状要素と、
を含み、
前記板状構成要素及び前記管状要素は一緒になって前記バッフルの封止内部容積を形成し、
前記バッフルの前記封止内部容積は、熱交換材料で全体的に又は部分的に充填されており、
前記熱交換材料は、前記管状要素内部の熱伝達媒体と前記板状構成要素との間の熱エネルギー伝達を容易にし、
前記熱交換材料は、1つ以上の固体材料を含み、
前記バッフル構成要素は、前記回分式反応器の取り外し可能な上蓋に接着可能又はクランプ可能であり、
前記ケージ要素は、相互に取り付けられて少なくとも1つの前記バッフルが装着される構造を形成する、多数の個々の要素から構成され、
前記個々の要素の各々は、前記管状要素として形成され、前記熱伝達媒体が少なくとも1つの前記バッフルの各々との間で案内されることを可能にするように配置される、バッフル構成要素。
【請求項2】
前記板状構成要素は、窪みを含む、請求項1に記載のバッフル構成要素。
【請求項3】
前記板状構成要素は、波形を含む、請求項1に記載のバッフル構成要素。
【請求項4】
前記板状構成要素は、1つ以上のブレードを含む、請求項1に記載のバッフル構成要素。
【請求項5】
前記バッフルは、回分式反応器内で使用される、請求項1に記載のバッフル構成要素。
【請求項6】
前記管状要素は、熱伝導性材料で構成される、請求項1に記載のバッフル構成要素。
【請求項7】
前記管状要素は、銅又は銅基合金で構成される、請求項6に記載のバッフル構成要素。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のバッフル構成要素を含む回分式反応器を備える、バッチ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバッチ処理装置に関し、特に、限定するものではないが、バッチ処理装置の生産性、エネルギー効率及び/又は品質出力の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の化学的バッチ処理技術は回分式反応器に基づいており、回分式反応器は典型的には実質的に標準化された幾何学的形状を有し、2つの主要な材料のうちの1つで作られた容器から成る。そのうちの1つは高合金であり、もう1つは「ガラスライニング」鋼である。全体として、回分式反応容器は、容器の壁を通って容器内の反応物との間で熱エネルギー伝達を行う単純な構造幾何学的形状を有する。
【0003】
回分式反応器の全体的な熱伝達速度は、熱伝達流体の熱伝導率及び表面流体速度、反応容器材料の熱伝導率及び寸法、並びにプロセス流体の熱伝導率及び表面流体速度を含む多くの要因によって決定される。流体の特性は変化するが、回分式反応器の全体的な熱流束能力に対する重要因子は、プロセス流体と接触している回分式反応器の熱伝達面の大きさ又は面積に比例する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、既知の装置の欠点を認識した。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、
少なくとも1つの第1の熱伝達要素を有する反応容器と、
反応容器を封止する取り外し可能な上蓋と、
少なくとも1つの第2の熱伝達要素を有するバッフル構成要素と、
攪拌構成要素と、を備える回分式反応器であり、
少なくとも1つの第1の熱伝達要素及び少なくとも1つの第2の熱伝達要素の各々が独立して制御可能であり、
回分式反応器が少なくとも6:1の熱伝達面積対容積比を含む、回分式反応器を提供する。
【0006】
バッフル構成要素は、
ケージ要素と、
ケージ要素に装着され、少なくとも1つの第2の熱伝達要素のうちの少なくとも1つを有する、少なくとも1つのバッフルと、
を備えることができる。
【0007】
バッフル構成要素は、少なくとも1つのバッフルが反応容器の中心軸線から半径方向に第1の距離だけ離間し、第1の距離が反応容器の半径の少なくとも80%に等しいように適合することができる。
【0008】
第2の熱伝達要素は、
少なくとも1つの管状要素と、
板状構成要素がバッフルの外面を形成するように適合される、少なくとも1つの板状構成要素と、
を備えることができる。
【0009】
板状構成要素は窪みを含むことができる。板状構成要素は波形を含むことができる。板状構成要素は1つ以上のブレードを含むことができる。
【0010】
板状構成要素は第2の熱伝達要素の封止面を形成するように適合することができ、
板状構成要素の内部に設けられる熱伝達材料を更に備え、管状要素と板状構成要素との間でエネルギーを交換することができる。
【0011】
管状要素は、少なくとも12W/m°K、任意に少なくとも50W/m°K、任意に少なくとも100W/m°K、任意に少なくとも150W/m°K、任意に少なくとも200W/m°K、任意に少なくとも250W/m°Kの熱伝達係数を有する材料で構成することができる。熱伝達材料は、少なくとも12W/m°K、任意に少なくとも15W/m°K、任意に少なくとも50W/m°K、任意に少なくとも100W/m°K、任意に少なくとも150W/m°K、任意に少なくとも200W/m°K、任意に少なくとも250W/m°Kの熱伝達係数を有する材料を含むことができる。
【0012】
バッフル構成要素は、バッフル構成要素を反応容器内に取り外し可能に装着するように動作可能な支持構成要素を更に含むことができる。これは、反応容器と上蓋とを接続するように適合することができる。支持構成要素は、取り外し可能な上蓋に接続されるように適合することができる。
【0013】
反応容器は、少なくとも1.8対1の長さ対直径比を有する略円筒形の幾何学的形状を有することができる。
【0014】
回分式反応器は、同時に、
少なくとも1つの第1の熱伝達要素又は少なくとも1つの第2の熱伝達要素のうちの少なくとも1つに負の熱流束を提供するとともに、
少なくとも1つの第1の熱伝達要素又は少なくとも1つの第2の熱伝達要素のうちの少なくとも他方の1つに正の熱流束を提供する、ように動作可能であり得る。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、
熱伝達要素の封止面を形成するように適合される板状構成要素と、
管状要素と、
熱伝達要素の内部に設けられ、管状要素と板状構成要素との間でエネルギーを交換する熱伝達材料と、
を備える、回分式反応器用熱伝達要素を提供する。
【0016】
管状要素は、少なくとも12W/m°K、任意に少なくとも15W/m°K、任意に少なくとも50W/m°K、任意に少なくとも100W/m°K、任意に少なくとも150W/m°K、任意に少なくとも200W/m°K、任意に少なくとも250W/m°Kの熱伝達係数を有する材料で構成することができる。熱伝達材料は、少なくとも12W/m°K、任意に少なくとも15W/m°K、任意に少なくとも50W/m°K、任意に少なくとも100W/m°K、任意に少なくとも150W/m°K、任意に少なくとも200W/m°K、任意に少なくとも250W/m°Kの熱伝達係数を有する材料を含むことができる。
【0017】
板状構成要素は窪みを含むことができる。板状構成要素は波形を含むことができる。
【0018】
熱伝達要素はバッフルに含まれ、回分式反応器内で使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】本発明の一態様による回分式反応器を例示する。
【
図3】回分式反応器で使用する、本発明の一態様によるバッフル構成要素を示す。
【
図4】本発明の一態様による第1の例示的なバッフルを示す。
【
図5】本発明の一態様による第2の例示的なバッフルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで、図面を参照して、本発明の実施形態を例として説明する。
【0021】
バッチ処理は一般に、1つ以上の回分式反応器を備える適切に構成されるバッチ処理システムを使用して行われる。本発明の例示的な実施形態を説明する前に、既知の例示的なバッチ処理システムを説明することが例示的であろう。
【0022】
ここで
図1を参照して例示的な既知のバッチ処理システム100を説明する。当然のことながら、この例示的なバッチ処理システムに対する代替的又は付加的構成要素を備える代替的な処理システムが容易に想定され得ることが理解されよう。
【0023】
既知のバッチ処理システムは、反応容器104と、熱伝達要素106と、回転攪拌機又は攪拌構成要素108と、を備える少なくとも第1の回分式反応器102を備える。反応容器は、任意の適切な又は関連する寸法を有することができる。いくつかの例では、反応容器並びに任意の関連する構成要素は、一連の規格化寸法(例えばDIN規格DIN28136、DIN28157又はDIN28151)の1つに適合するように寸法決めされる。回分式反応器は、いくつかの例では、反応容器内に1つ以上のバッフル又はバッフル構成要素110を備えることができる。バッフルは例えば反応容器の壁又は反応容器の頂部若しくは頭部に、任意の適切な方法で固定又は装着することができる。このようなバッフルは、回転攪拌機と共に、全ての反応物の適切な混合を確実にするのに役立ち得る。
【0024】
説明を簡単にし、簡潔にするために、本例では単一の回分式反応器のみを示すことを理解されたい。しかしながら、バッチ処理システムは原則として任意の適切な又は有利な数の回分式反応器を備えることができる。実際、バッチ処理システムは、典型的には生産性及び/又は処理目的の複数の回分式反応器を備える。
【0025】
回分式反応器102は、バッチ処理システム100の一部を形成する多数の構成要素又はサブシステムに接続されている。本例では、1つ以上の反応物送達構成要素120が回分式反応器の投入部122に接続されている。投入部は適切な位置に置くことができる。いくつかの例では、投入部は実質的に回分式反応器の頂部に位置している。更に、反応物除去構成要素124が回分式反応器の産出部126に接続されている。産出部は適切な位置に置くことができる。いくつかの例では、産出部は実質的に回分式反応器の底部に位置している。これにより、処理中に使用する任意の反応物を、関連時間にバッチ処理システムに添加すること及びバッチ処理システムから除去することを可能にする。
【0026】
回分式反応器の熱伝達要素106は、熱伝達構成要素128、例えば熱交換器に接続されている。熱伝達構成要素は、任意の適切なタイプ、例えば熱交換器であり得る。これにより、実行する処理の要件に応じて、熱伝達媒体107を介して、熱エネルギーを回分式反応器内の反応物に伝達すること又は回分式反応器内の反応物から除去することが可能になる。任意の適切な熱伝達媒体を使用することができる。いくつかの例では、熱伝達媒体は流体であり、流体を使用して反応容器及びその内容物に熱流速(正の熱流束)を、又は反応容器及びその内容物から熱流束(負の熱流束)を付与する。いくつかの例では、複数の熱伝達媒体を使用して、例えば異なる温度要件を満たし又は特定の温度分布を達成する。しかしながら、これは様々な熱伝達媒体の混合をもたらし、バッチ処理システム内の媒体の相互汚染及び/又は腐食をもたらすことがある。典型的には、伝達媒体は複数の状態相を有してもよく、及び/又は複数の溶液のうちの1つであってもよい。
【0027】
典型的な処理サイクルは、反応物を第1の温度に加熱する少なくとも1つの過程と、温度を実質的に安定なレベルに維持する少なくとも1つの過程と、反応物を第1の温度から第2のより低い温度に冷却する少なくとも1つの過程と、を含む。
【0028】
既知のバッチ処理システム100は、例としてのみ記載している。付加的又は代替的な構成要素が既知のバッチ処理システムに含まれ得ることが理解されよう。限定ではないが、既知のバッチ処理システムは、クリーンインプレース(CIP)構成要素132、ポンプ若しくは圧力構成要素134又は濾過構成要素136のような補助又は二次システム130を備えることができる。加えて、いくつかの例では、既知のバッチ処理システムは、回分式反応器のタイプ及び/又は大きさに基づく付加的構成要素を備えることができる。例えばいくつかの回分式反応器は、その大きさ又は形状により、2つ以上の動力攪拌機を備えることができる。他の例では、いくつかの回分式反応器は、処理される反応物のタイプに応じて要素又は構成要素を備えることができる。
【0029】
本発明者らは、既知のバッチ処理システムが多数の欠点及び不利な点を有することを認識しており、ここでそのいくつかを以下に詳細に論じる。
【0030】
第1に、既知のバッチ処理システムの大部分は、一連の規格化反応容器寸法及び/又は構成の1つを有する回分式反応器を利用している。反応容器の寸法及び構成の規格化は、反応容器のサプライチェーン及び製造並びに一般的な工程設計に関して有利である。しかしながら、規格化容器寸法が典型的には反応容器の表面積対容積比を最大化しないか、又はそうでなければシステムの熱伝導率を向上させないことがあることを考えると、規格化寸法及び/又は構成に適合する容器は通常、最適化された熱伝達ポテンシャルを有さない。したがって既知のシステムでは、この最適化の欠如によって全体的な処理能力が制限され、これは処理システムの動作収益性に悪影響を与え得る。
【0031】
更に、既知のバッチ処理システムで使用する回分式反応器の典型的な動作サイクルは、反応物が第1の温度から第2の温度に遷移する少なくとも1つの冷却及び/又は加熱期間を有する。例えば、反応物を処理温度から、回分式反応器から安全に除去できる温度まで冷却することができる。熱エネルギー伝達効率は、反応物の熱力学的特性、反応容器の特性、反応器内の熱交換要素の数及び大きさ、冷却媒体及び/又は加熱媒体の特性並びに外部熱交換システムの特性を含むがこれらに限定されない様々な要因に左右される。これらの理由から、冷却期間及び/又は加熱期間は典型的には全体の処理時間の大部分を占め、場合によっては生産速度又はスループットに関して制限要因となり得る。
【0032】
更に、生産量を増加させるために、既知の処理システムでは典型的には反応容器の大きさを増大させ、より高い生産量を可能にする。しかしながら、特に上述のような規格化寸法及び/又は構成を有する回分式反応器を使用するとき、反応容器の容積の増加がシステムの熱エネルギー伝達効率を低下させることがある。次に、これによりほとんどの処理システムが反応化学の理論的及び実用的な動作限界を十分に下回って動作することになり、これは生産システムの生産性及び収益性を低下させる。加えて、反応容器の大きさが増大すると、事故又は故障の場合に危険な及び/又は壊滅的な状況となる可能性を増大させ得る。これは、回分式反応器内に存在する反応物の体積、又はより長い処理時間によるバッチ処理システムの貯蔵要件のいずれか又は両方に起因し得る。加えて、より小型の反応容器は、より大型の反応容器よりも本質的に高い安全係数を有する。
【0033】
更に、バッチ処理システムは、任意の他の機械システムと同様に、定期的に保守、修理又は改良を行う必要がある。システムの構成及び/又はシステム内の個々の回分式反応器に応じて、このような手順は、システムを生産に使用しないかなりの休止時間を必要とすることがある。したがって、長い修理又は保守期間は、全体の生産性に悪影響を及ぼす。
【0034】
更に、規格化回分式反応器システムは、典型的には特定の体積出力要件に対して構成される。これは、このようなシステムをその特定の体積出力未満で使用するときに非効率性をもたらすことがあり、これはバッチ処理システムを使用して複数の処理及び材料構成を実行するときに不利である。次に、これは、予想される要件を満たすために、処理中により高いレベルの重複及び/又は変動を確立することにつながり、これは例えば製品品質の考慮につながり得る。
【0035】
更に、既知のバッチ処理システムにおける熱エネルギーの再利用は、典型的には限定的である。既知のシステムでは、加熱段階中に反応容器の内容物に加えられる熱エネルギーの大部分、並びに反応容器自体に加えられる熱エネルギーの大部分は、再使用又は貯蔵されることなく冷却段階中に除去される。したがって従来のバッチ処理システムでは、熱伝達媒体又は反応物に加えられる熱エネルギーの大部分が最終的に浪費され、非効率的である。
【0036】
更に、バッチ処理システムでは、混合流体システムを通して熱流体を送ることが一般的である。これは、システム性能を維持するために流体の継続的な監視及び化学的処理を必要とし、並びに/又はこのような流体及び/若しくは任意の汚染物質の廃棄を必要とする。このような手法が起こす潜在的な環境廃棄物問題に加えて、これはまた高価である。
【0037】
更に、性質上発熱性及び吸熱性の両方であり得る多くの化学反応が、利用可能な熱伝達速度によって制御されることが知られている。既知の規格化反応器では、この制御は1つの反応物の添加速度によって達成される。これにより反応器の熱伝達能力の範囲内である安定したエネルギー伝達バランスを維持することが可能になり、例えば暴走反応を回避することができる。反応物添加速度の制限は、時間の経過とともに反応物成分の不均一性を生じさせることによって特定の化学に有害な影響を及ぼすことが知られており、望ましくない過渡的な反応を引き起こし得る。これは特に結晶構造の均一性が望ましい結晶化反応の場合に当てはまる。
【0038】
本開示の目的のために、熱エネルギー伝達という用語は、「加熱」及び「冷却」処理の両方、すなわち物体への熱エネルギーの伝達又は物体からの熱エネルギーの伝達をそれぞれ示すために使用することを理解されたい。同様に、「熱エネルギー」という用語は、通常所与の実体内の熱エネルギーの量を指すために使用し、前記熱エネルギーの量は、第2の実体の熱エネルギーの量より大きいか、又は小さいかのいずれかであることを理解されたい。
【0039】
ここで
図2を参照して、本発明の第1の実施形態による例示的な回分式反応器について論じる。
図1との比較を容易にするために、
図1の該当する要素と同様の
図2の要素には、
図1で使用されるものと同様の参照符号が付されているが、接頭辞「1」の代わりに「2」が付されている。更に、簡潔さ及び明確さを目的として、回分式反応器の
図1に記載された要素又は構成とは異なるもののみを以下で詳細に説明する。
【0040】
回分式反応器202は、反応容器を封止する取り外し可能な上蓋205を有し、少なくとも1つの第1の熱伝達要素206を備える反応容器204と、反応容器内部に装着される攪拌構成要素208と、少なくとも1つの第2の熱伝達要素214を有するバッフル構成要素210と、を備え、少なくとも1つの第1の熱伝達要素及び少なくとも1つの第2の熱伝達要素の各々は独立して制御可能であり、回分式反応器は少なくとも6:1の熱伝達面積対容積比を含む。以下でより詳細に説明するように、いくつかの例では、取り外し可能な上蓋205は、バッフル構成要素を反応容器内に接着又はクランプするように追加的に動作可能である。熱伝達要素の各々は、熱伝達媒体207を介して、反応容器内の1つ以上の反応物と熱エネルギー貯蔵部又は熱伝達点との間で熱エネルギーを伝達するように動作可能である。一例では、回分式反応器は同時に、少なくとも1つの第1の熱
伝達要素又は少なくとも1つの第2の熱伝達要素の少なくとも1つに負の熱流束を、及び少なくとも1つの第1の熱伝達要素又は少なくとも1つの第2の熱伝達要素の少なくとも他方の1つに正の熱流束を提供するように動作可能である。これにより、反応物内の温度の正確な制御及び維持を可能にする。
【0041】
任意の適切な熱伝達媒体207を使用することができる。いくつかの例では、熱伝達媒体は実質的に均一であり、単一の熱力学的相で動作する。特定の例では、熱伝達媒体は単一の液相に保たれる。一例では、熱伝達媒体は水溶液を含む。別の例では、熱伝達媒体は油性溶液(例えば鉱油)を含む。いくつかの例では、熱伝達媒体は、回分式反応器又は実行されるべき処理によって要求される処理温度包絡線に基づいて選択される。
【0042】
例えば、回分式反応器が動作すると期待される最低温度及び最高温度は、場合によっては最も適切な熱伝達媒体のタイプの決定に使用することができる。熱伝達媒体の任意の代替的な又は付加的な、関連し又は適切な、パラメータ又は特性を考慮することができ、これには温度範囲における粘度、温度範囲における媒体の熱伝達係数、動作圧力又は熱伝達媒体のコストが含まれる(ただしこれらに限定されない)。典型的な熱伝達媒体には、-25℃~+160℃の範囲の用途に対する水とエチレングリコールの混合物若しくは水とプロピレングリコールとの混合物、又は100℃~+200℃の範囲の温度に対するシリコーン系流体が含まれる。
【0043】
反応容器は、任意の適切な形状を有することができる。いくつかの例では、反応容器は略円筒形状を有する。しかし、反応容器は原則として任意の適切な幾何学的形状を有することができる。いくつかの例では、反応容器の正確な形状は、空間的要件若しくは制約、又は構造的若しくは製造上の制約を含むがこれらに限定されない1つ以上の外的要因に依存する。以下では、簡単にするために、反応容器が略円筒形状を有すると仮定する。これは限定を意図するものではなく、本開示の様々な概念及び構成の議論及び説明を単に容易にするためのものであることに留意されたい。
【0044】
反応容器は適切な方法で寸法決めされる。いくつかの例では、反応容器は反応容器の2つの一次寸法(例えば略円筒形の反応容器に関する直径及び長さ)の間で所定の比を有する。一例では、反応容器は所定の長さ対直径比を有する。特定の例では、反応容器は少なくとも1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1又は2:1の長さ対直径比を有する。長さ対直径比を大きくすることにより、単位体積当たりの熱伝達面の量が増加する。これにより、熱伝達面が大きくなることで反応容器内部の一定量の材料を加熱又は冷却するのに要する時間が短縮される。
【0045】
反応容器204は、任意の適切な数の第1の熱伝達要素206を有することができる。一例では、反応容器は1つの第1の熱伝達要素を有する。別の例では、反応容器は複数の第1の熱伝達要素を有する。第1の熱伝達要素は適切な方法で(例えば、少なくとも1つの熱伝達要素の各々との間の熱伝達媒体207の流れを変調するように動作可能な適切な熱制御装置(図示せず)を使用することによって)制御することができる。いくつかの例では、各第1の熱伝達要素は個別に制御可能である。これにより、反応器内の反応物と熱伝達要素との間の熱エネルギー伝達を制御して維持することができる。例えば、少なくとも1つの第1の熱伝達要素のうちの1つ以上への又はそこからの熱伝達媒体の流れを減少又は停止させることによって、有効な熱伝達面積を減少させることができる。典型的にはこのような手順は、例えば反応器が反応物で完全には満たされていない場合に、最上部の第1の熱伝達要素への又は最上部の第1の熱伝達要素からの流れを停止することによって開始することができる。
【0046】
別の例では、回分式反応器を使用して感熱処理の加熱及び冷却を行う。規格化回分式反応器と比較したとき、回分式反応器の表面積をより大きくして熱伝達を改良することにより、規格化回分式反応器への同一のエネルギー伝達を維持しながら、熱伝達媒体をより低い温度で使用することを可能にする。このタイプの操作は、結晶化反応中、例えば結晶形成中に準安定曲線に従うときに特に有利である。曲線包絡線に近い処理を維持することは、結晶の均一性及び収率の向上を促進する。
【0047】
少なくとも1つの第1の熱伝達要素は、反応容器に関連して任意の適切な位置又は構成に位置決め又は配置することができる。いくつかの例では、少なくとも1つの第1の熱伝達要素は、反応容器の壁及び/又は底面に一体化されている。他の例では、少なくとも1つの第1の熱伝達要素は、反応容器とは分離しているが、反応容器との間でエネルギーを伝達するように適合又は配置されている。特定の例では、第1の熱伝達要素は、反応容器の円周周りに少なくとも部分的に巻き付く管構成要素を備える。第2の特定の例では、第1の熱伝達要素は、反応容器の円周周りに螺旋状又はコイル状に配置される管状構成要素を備える。一例では、第1の熱伝達要素は、回分式反応器の内径の1.5%未満の熱伝達媒体深さを維持するように適合される。一例では、熱伝達媒体は、各第1の熱伝達要素の周囲に実質的に乱流半径方向流を生じさせるように動作可能な半径方向流処理によって、第1の熱伝達要素の各々に注入される。乱流は、熱伝達媒体と熱伝達要素(ひいては拡張によって、回分式反応器内の反応物)との間の熱エネルギー伝達を増加させる。
【0048】
いくつかの例では、第1の熱伝達要素206を配置し、反応容器204の内部表面の所定の部分を覆う熱伝達面を提供する。一例では、第1の熱伝達要素は、反応容器の内部表面の25%超を覆う熱伝達面を提供する。別の例では、第1の熱伝達要素は、反応容器の内部表面の50%超を覆う熱伝達面を提供する。一例では、第1の熱伝達要素は、反応容器の内部表面の75%超を覆う熱伝達面を提供する。
【0049】
回分式反応器が複数の第1の熱伝達要素を備える例では、要素を任意の適切なパターン又は構成で配置することができる。一例では、複数の第1の熱伝達要素は、反応容器の円周周りに少なくとも部分的に巻き付く円周要素として配置される。前記複数の第1の熱伝達要素の各々は、反応容器の全長の所定の部分を占めるように寸法決めされる。特定の例では、回分式反応器は5つの第1の熱伝達要素を備え、各第1の熱要素は反応容器の全長の10%を占めるように長さ方向に寸法決めされる。別の例では、回分式反応器は少なくとも1つの第1の熱伝達要素を備え、各第1の熱要素は反応容器の全長の10%超35%未満を占めるように長さ方向に寸法決めされる。別の特定の例では、第1の熱伝達要素の各々が反応容器の周囲に円周方向に分布し、各第1の熱要素は反応容器の全周の所定の割合を占める。
【0050】
回分式反応器が複数の第1の熱伝達要素を備える例では、要素を任意の適切なパターン又は構成で配置することができる。一例では、複数の第1の熱伝達要素は、反応容器の円周周りに少なくとも部分的に巻き付く円周要素として配置される。前記複数の第1の熱伝達要素の各々は、反応容器の全長の所定の部分を占めるように寸法決めされる。特定の例では、回分式反応器は5つの第1の熱伝達要素を備え、各第1の熱要素は反応容器の全長の10%を占めるように長さ方向に寸法決めされる。別の例では、回分式反応器は少なくとも1つの第1の熱伝達要素を備え、各第1の熱要素は反応容器の全長の10%超35%未満を占めるように長さ方向に寸法決めされる。別の特定の例では、第1の熱伝達要素の各々が反応容器の周囲に円周方向に分布し、各第1の熱要素は反応容器の全周の所定の割合を占める。
【0051】
取り外し可能な上蓋205は、任意の適切な方法で形成することができ、任意の適切な構成を備えることができる。いくつかの例では、上蓋は固体材料で形成される。他の例では、上蓋はいわゆる「サンドイッチ」構造の複数の個々の層で形成される。一例では、「サンドイッチ」構造は、断熱材料の少なくとも1つの層を備える。これにより、回分式反応器内のより低温帯の存在を減少させ、これによって上蓋205の内側表面に形成される結露の量を減少させる。結露は、回分式反応器内の腐食に関して悪影響を及ぼすとともに、蒸気が反応器の冷却表面上で液体及び固体に凝縮することで固体生成物が堆積することが知られている。加えて、断熱は、上蓋を通して環境へのエネルギー損失を低減し、回分式反応器の全体的な熱伝達性能を向上させる。内部が断熱であることは、例えば漏洩又は洗浄作業による断熱材料への水及び製品の流入という既知の問題を回避するので、外部上蓋が断熱であることよりも有利である。加えて、これは上蓋205と任意の外部断熱材料との間で生じる結露を減少させるのに役立つ。結露は上蓋の外部腐食及び容器の早期破損を生じさせることが知られている。
【0052】
一例では、取り外し可能な上蓋205は、反応容器の上に装着されるときに反応容器を実質的に封止するように形成される。上蓋は、適切な方法で、例えば1つ以上のOリング219を介して、反応容器に封止部を形成することができる。複数のOリングを使用する例では、Oリングは同じ直径を有することができ、又は各Oリングは固有の直径を有することができる。上蓋が2つのOリングを備える例では、上蓋は内側Oリングと外側Oリングとの間の圧力を制御する手段を備え、例えばOリング間の圧力を反応容器204内の圧力に均衡させる。Oリング間の圧力を制御することによって、漏洩(反応物の流出又は外気若しくは液体の反応容器内への流入のいずれか)のリスクを低減することができる。一例では、Oリング間の圧力は、反応容器内部の圧力よりも高く、かつ反応容器外部の周囲圧力よりも高くなるように制御される。
【0053】
バッフル構成要素210は任意の適切な構成又は形状を有することができ、任意の適切な数又は構成の個々のバッフル212を備えることができる。バッフル構成要素は、任意の適切な数のバッフルを備え得ることが理解されよう。一例では、バッフル構成要素は偶数個のバッフルを備える。別の例では、バッフル構成要素は奇数個のバッフルを備える。特定の例では、バッフル構成要素は4つのバッフルを備える。
【0054】
バッフル構成要素に含まれる個々のバッフルの各々は、任意の適切な数及び構成の特徴及び/又は構成要素を備え得る。いくつかの例では、バッフル212の少なくとも1つは第2の熱伝達要素214を備える。いくつかの例では、バッフルの少なくとも1つは複数の第2の熱伝達要素を備える。いくつかの例では、バッフル構成要素に含まれるバッフルの各々は、第2の熱伝達要素を備える。特定の例では、バッフル構成要素は4つのバッフルを備え、前記バッフルの各々は第2の熱伝達要素を備える。単なる例として、多数の例示的なバッフル構成を以下でより詳細に説明する。
【0055】
バッフル構成要素210は、回分式反応器202内部の適切な位置に、適切な方法で位置決めすることができる。いくつかの例では、バッフル構成要素は1つ以上のバッフル212を備え、各バッフルは上蓋205に永久的に又は取り外し可能に取り付けられる。一例では、バッフルの各々は上蓋205に溶接される。
【0056】
現在示されている例のようないくつかの例では、バッフル構成要素210は、1つ以上のバッフルが装着されるケージ要素216を備える。ケージ要素は、1つ以上のバッフルを支持し、バッフルを反応容器204内部の所望の又は有利な位置又は構成に位置決めするように形成され又は適合される。特に、ケージ要素は個々のバッフルが攪拌構成要素に対して有利に位置決めされ得ることを確実にするが、これらが反応容器204の外壁に取り付け又は装着されている必要はない。
【0057】
ケージ要素は、バッフルを支持する任意の適切な構造及び任意の適切な構造要素を有することができる。いくつかの例では、ケージ要素は溶接構造を含む。ケージ要素は、任意の適切な材料で作られる要素又は複数の材料で作られる要素に含まれ得る。いくつかの例では、ケージ要素216は実質的に管状及び/又は中空の要素で作られる。これにより、以下でより詳細に説明するように、材料(例えば熱伝達媒体)の入出力流を第2の熱伝達要素に提供するために、パイプ又は管はケージ要素を通して配線され得る。特定の例では、ケージ要素は、耐食性材料で全体的に又は部分的に覆われている。いくつかの例では、ケージ要素は、例えば固体断熱材料の使用によって又は真空断熱の使用によって、全体的に又は部分的に断熱にすることができる。ケージ要素216に関して論じたが、上述の入出力流制御は、バッフル212が回分式反応器202の上蓋205に直接接続されている例においても、原理的には同様に良好に実施できることが理解されよう。
【0058】
バッフル212は、任意の適切な方法で、適切な取付手段又は取付方法を使用して装着することができる。いくつかの例では、バッフルはケージ要素に取り外し可能に取り付けられる。他の例では、バッフルはケージ要素に永久的に取り付けられる。特定の例では、バッフルはケージ要素に溶接される。
【0059】
攪拌構成要素208は、反応容器204内部に位置決めされ、処理中に反応容器内部の反応物を攪拌又はかき混ぜるように動作可能である。ここで、攪拌構成要素の例示的な実施形態を説明する。しかしながら、以下に記載される攪拌機の多数の実施形態又は様々な実施形態が、本開示の範囲内で想定され得ることが理解されよう。一例では、攪拌機は、回分式反応器202内に付加的熱伝達面を提供する少なくとも1つの第3の熱伝達要素218を備える。第3の伝達要素は、任意の適切な方法で形成することできる。一例では、攪拌構成要素は、中空軸と、多数の実質的に中空の攪拌ブレードと、を備える。これにより熱伝達媒体の供給及び除去が可能となり、攪拌構成要素を介して熱伝達媒体と反応容器内の反応物との間の熱伝達を可能にする。
【0060】
上述のように、回分式反応器202は、多数の個々の熱伝達要素(例えば上記で論じた1つ以上の第1の熱伝達要素、1つ以上の第2の熱伝達要素又は1つ以上の第3の熱伝達要素)を備えることができる。いくつかの例では、回分式反応器及び/又は1つ以上の個々の熱伝達要素は、所定の熱伝達面積対容積比を提供するように寸法決め又は適合することができる。典型的には、規格化反応器の構成は、4.5:1未満、及び場合によっては1.6:1程度の低い熱伝達面積対容積比を含む。上述のように、回分式反応器202は、少なくとも6:1の熱伝達面積対容積比を有する。いくつかの例では、回分式反応器は、少なくとも7:1、8:1又は9:1の熱伝達面積対容積比を有する。
【0061】
上述の例示的な回分式反応器は、既知の回分式反応器よりも多くの利点又は利益を有する。多数のこれらの利点を以下で強調する。
【0062】
回分式反応器の有効性及び生産性に対する重大な制限は、例えば保守又は修理による停止時間である。例えば、反応容器内部に装着されるバッフル構成要素又は他の構成要素は、容器内部にあるので、保守又は修理が困難又は不便であり得る。しかし、外部支持構造体に装着又は取り付ける装着要素209を上蓋205に設けることによって、保守に要する時間を短縮することができる。
【0063】
更に、バッチ処理で使用する反応溶液が強酸性又はアルカリ性であり得るので、既知の回分式反応器は典型的には耐食性材料(例えばガラス、エナメル鋼又は合金)から構築される。回分式反応器202は、以下の理由の少なくともいくつかにより腐食の影響を低減する。
【0064】
(1)回分式反応器の熱エネルギー伝達面積対容積比の増加は、腐食が生じる時間を減少させる。例えば処理中の腐食は、反応溶液が回分式反応器の内部表面と接触している時間に直接関係する。相対的熱伝達面をより大きくすることによって、処理時間が短縮され、これによって腐食の発生に利用される時間を少なくとも65%短縮する。
【0065】
(2)腐食性溶液の濃度が高いほど、容器の表面に生じ得る腐食が大きくなる。典型的には、反応溶液の濃度は、反応変換中に時間の経過とともに希釈される。したがって、反応変換速度を増加させることは、反応溶液中の濃度低下の速度を増加させ、次に回分式反応器の内部表面上の腐食速度を減少させる。
【0066】
(3)腐食性溶液の温度が高いほど、容器の表面に生じ得る腐食が大きくなる。反応溶液の加熱及び冷却に要する時間を短縮すること、例えば加熱及び冷却段階の間の温度勾配を増加させること並びに反応速度を増加させることによって、回分式反応器が高温の腐食性反応溶液に曝される時間を短縮させ、これによって腐食のレベルを低下させる。
【0067】
ここで
図3を参照して、本開示による例示的なバッフル構成要素310について論じる。先行する図との比較を容易にするために、先行する図の該当する要素と同様の
図3の要素には、これらの図で使用されるものと同様の参照符号が付されているが、接頭辞「2」が付されている。更に、簡潔さ及び明確さを目的として、回分式反応器の先の図に記載された要素又は構成とは異なるもののみを以下で詳細に説明する。
【0068】
典型的には、上述の例示的な回分式反応器の一部として使用するが、バッフル構成要素は規格化回分式反応器と組み合わせても同様に良好に使用し得ることを理解されたい。例えば、規格化回分式反応器に例示的なバッフル構成要素を後付けすることができる。これは、反応容器又は任意の支持構成要素若しくは要素を取り外し及び/又は交換することが不可能又は実用的でない状況において有利であり得る。
【0069】
バッフル構成要素310は、複数のバッフル312(ただし原理的にはバッフル構成要素は単一のバッフルのみでも同様に良好に備えることができる)であって、各バッフルが第2の熱伝達要素314を有する複数のバッフル312と、ケージ要素316と、を備える。ケージ要素は、相互に取り付けられて複数のバッフルが装着される構造を形成する、多数の個々の要素から構成される。ケージ要素は、処理中に利用可能な熱伝達面を増加させるために、装着されるときに反応容器304内に位置決めされるように配置される。いくつかの例では、ケージ要素は、バッフルを有益な又は有利な位置に位置決めするように適合される。一例では、ケージ要素は、少なくとも1つのバッフルが反応容器の中心軸線から第1の距離だけ半径方向に離間するように適合される。これにより、反応容器の中央部分を、反応容器内の反応物の流れを潜在的に阻害する障害物又は他の物体がない状態に保つことを確実にする。更に、これは反応物の流れの制限により高温帯又は低温帯が形成されるリスクを低減する。加えて、回分式反応器の内部の洗浄をより容易にすることができる。任意の適切な半径方向分離を使用することができ、任意の有利な方法で画定することができる。一例では、少なくとも1つのバッフルは、反応容器の中心軸線から反応容器半径の少なくとも50%に等しい距離だけ半径方向に離間している。別の例では、第1の距離は、反応容器半径の少なくとも60%に等しい。別の例では、第1の距離は、反応容器半径の少なくとも70%に等しい。別の例では、第1の距離は、反応容器半径の少なくとも80%に等しい。別の例では、第1の距離は、反応容器半径の少なくとも90%に等しい。
【0070】
ケージ要素は、任意の適切な材料で構成することができる。いくつかの例では、材料は、回分式反応器内で実行される潜在的な処理に基づいて選択される。材料の選択肢には合金又は複合材料が含まれるが、これらに限定されない。ケージ要素は個々の要素の任意の適切な又は有利な配置を含むことができ、前記個々の要素は各々適切な配置を有するか又は有利な方法で形成される。いくつかの例では、上述のように、個々の要素は中空又は管状要素として形成される。いくつかの例では、中空又は管状要素は断熱性(例えば固体断熱材料を介して又は真空を介して)を含む。
【0071】
一例では、個々の要素の各々は、管状要素として形成され、熱伝達媒体307がバッフル312の各々との間で案内されることを可能にするように配置される。特定の例では、バッフル構成要素310は多数の熱伝達パイプ311を備え、各パイプは1つのバッフルへの熱伝達媒体の入力流又は1つのバッフルからの熱伝達媒体の出力流を提供するように配置される。例えば、バッフル構成要素が4つの個々のバッフルを備える場合、バッフル構成要素は8つの熱伝達パイプを備えることになる。パイプは、熱伝達媒体を提供又は受け取る熱伝達構成要素(図示せず)に任意の適切な方法で接続することができる。いくつかの例では、熱伝達パイプは熱伝達構成要素に個々に接続される。いくつかの例では、パイプはケージ要素の一部(例えば以下に説明するような装着枠)を通って配線される。いくつかの例では、1つ以上の熱伝達パイプは、静的混合要素を適切な表面(例えば熱伝達パイプの内面)に装着する構成を含む。このような静的混合要素の各々は、いくつかの例では、破壊的な流れを誘発する輪郭及び/又は構成を含み得る。それぞれの熱伝達パイプ内部に位置決めされると、前記静的混合要素の各々は、熱伝達パイプ内部に乱流を生じさせるように動作可能である。
【0072】
ケージ要素は装着枠317を更に備える。装着枠は、回分式反応器の反応容器304又は取り外し可能な上蓋305の一方又は両方に、取り外し可能に装着可能又は取り付け可能なように形成される。このようにして、装着枠は、ケージ要素を(ひいてはバッフル構成要素の延在によって)適切な及び/又は有利な位置で反応容器内に装着することを可能にする。いくつかの例では、装着枠はフランジを備える。図示の例では、装着枠は、複数のOリング319を介して、反応容器の上端部と取り外し可能な上蓋の下面の両方に接続されるように配置されるフランジを備える。Oリングは、回分式反応器が処理中に封止されたままであることを確実にする。Oリングは、適切な方法で提供又は配置することができる。本例では、装着枠は4つのOリングを備え、そのうちの2つは上蓋と装着枠との間に封止部を形成するように配置され、他の2個は装着枠と反応容器との間に封止部を形成するように配置されている。圧縮されると、Oリングのそれぞれの対は一次及び二次封止部を形成し、封止部の各々は反応器内部の圧力を維持するのに十分である。いくつかの例では、それぞれの各対のOリング間の空間に不活性ガスが導入される。他の例では、それぞれの各対のOリング間の空間に真空が導入される。いくつかの例では、取り外し可能な上蓋、装着枠又は反応容器のうちの1つ以上は、これらの要素のうちの1つ以上を一緒に選択的にロックすることを可能にするロック機構を追加的に備える。
【0073】
バッフル構成要素の保守又は修理が必要な場合は、取り外し可能な上蓋を取り外し、その後、バッフル構成要素を反応容器から持ち上げることができる。代替的に、場合によっては上蓋を固定したままにして、上蓋又は上蓋への任意の接続部を分解することなく反応容器及びバッフル構成要素を取り外すことができる。これにより現場でこのような保守又は修理を行う必要がなくなり、コストを削減し、このような保守の速度を向上させることができる。更に、技術者又はオペレータは、人間にとって潜在的に危険であり得る回分式反応器内部での修理又は保守を行う必要がないので、技術者が負傷するリスクが低減される。
【0074】
例示的な取り外し可能なバッフル構成要素の特定の実施形態を上述したが、取り外し可能なバッフル構成要素の多数の特定の実施形態を本開示の範囲内で想定し得ることが理解されよう。
【0075】
更に、典型的には(上記の
図2を参照して説明したような)例示的な回分式反応器の一部として使用又は利用するが、上述のバッフル構成要素は(上記の
図1を参照して説明したような)規格化回分式反応器又は処理システムに関連して同様に良好に使用又は利用し得ることが理解されよう。
【0076】
図2又は
図3を参照して上述した回分式反応器又はバッフル構成要素に使用し得るような例示的なバッフル412を、ここで
図4A~
図4Cを参照して説明する。これは、単に例示的な目的のためであり、以下に説明する実施形態の変形を本開示の範囲内で想定し得ることが理解されよう。
図2との比較を容易にするために、
図2の該当する要素と同様の
図4の要素には、
図2で使用されるものと同様の参照符号が付されているが、接頭辞「2」の代わりに「4」が付されている。
【0077】
本例では、バッフル412は第2の熱伝達要素414を備える。第2の熱伝達要素は、任意の適切な方法で配置又は形成することができる。本例では、第2の熱伝達要素がバッフルの全体を実質的に形成し、これによりバッフル上の熱伝達面を最大化し、バッフルの表面上の不要な温度差を回避する。しかし原理的には、第2の熱伝達要素はバッフルの表面の特定の部分のみを同様に良好に形成することができ、又はバッフルに取り付けることができる。以下では、明確さ及び簡潔さのみを目的として、第2の熱伝達要素がバッフルの全体を実質的に含むと仮定する。その結果、バッフル及び第2の熱伝達要素という用語は、本例の目的のために交換可能に使用することができる。
【0078】
第2の熱伝達要素414は、バッフルの外面を形成するように適合又は成形される板状構成要素440を備える。板状構成要素は、任意の適切な材料(又は複数の材料)で作ることができ、任意の適切な方法で形成することができる。いくつかの例では、板状構成要素は、熱伝達要素の表面を形成するように成形される単一の材料(又は複数の材料)シートから形成される。一例では、板状構成要素は単一の複合材料シートから形成される。いくつかの例では、板状構成要素は相互に結合される複数の材料シートから形成され、熱伝達要素の表面を形成する。
【0079】
一例では、板状構成要素は、バッフル412内に封止内部容積を生成するように適合される。封止内部容積は、特定の例では、熱交換材料442で全体的に又は部分的に充填される。このような例を以下により詳細に説明する。
【0080】
板状構成要素は、1つ以上の付加的表面構成444、輪郭又は表面形状又は変形(以下では単に簡潔さを目的として「付加的構成」と総称する)を含むことができる。例えばいくつかの例では、板状構成要素は製造又は形成工程の一部として輪郭形成することができる。付加的構成は、任意の数の幾何学的形状、構成又は配置を含み得ることが理解されよう。いくつかの例では、付加的構成は、(限定されないが)円形、楕円形、正方形、三角形又は「V」字形を含む断面幾何学的形状を有する。例えば、板状構成要素は、窪み(dimpling)を含むことができる。別の例では、板状構成要素は波形を含む。更に別の例では、板状構成要素は窪み及び波形を含む。更なる例では、板状構成要素はベーンを含む。
【0081】
付加的構成444は、板状構成要素が設置されるときに、バッフル412の外面及び/又は内面上に位置するように位置決めすることができる。付加的構成は、特定の実施形態によってはいくつかの利益又は利点をもたらし得る。例えば、バッフルの外面上に位置する構成(例えば、窪み、波形又は1つ以上のブレード)は、バッフルの表面積を増加させ、これによってバッフルの有効熱伝達面を増加させ得る。これにより熱伝達の効率を向上させることができる。更に、このような構成はバッフルの外面上に乱流流体流を生じさせることができ、乱流流体流は熱伝達の効率を更に向上させる。また更に、付加的構成(例えば波形)は板状構成要素の構造的剛性及び/又は強度を増大させることができ、これはバッフルの全体的な剛性及び/又は強度を増大させることができる。これによりバッフルをより高い圧力で使用すること又は板状構成要素の材料厚を低減することが可能になり、熱伝達の効率を向上させることができる。
【0082】
熱伝達要素414は、第2の熱伝達要素との間で熱伝達媒体407を導くように動作可能な管状要素(例えば、パイプ又は管)446を備える。管状要素は任意の適切な材料で構成することができ、任意の適切な断面を有することができる。一例では、管状要素は、略円形断面を有し、熱伝導性材料(例えば、銅又は銅基合金)で作られる管である。管状要素は、バッフル412内に又はバッフルなしに、任意の適切な又は有利な方法で配置することができる。本例では、管状要素は、バッフルの内部容積内で実質的に「U」字形に配置されている。
【0083】
いくつかの例では、バッフルは、上述したものに加えて、付加的構成又は構成要素を含むことができる。いくつかの例では、これらの付加的構成のうちの1つ以上を、上述の構成のうちのいくつかと組み合わせて又はその一部として配置する。
【0084】
一例では、バッフル412は、1つ以上の構造構成要素448を備える。このような構造構成要素又は「補強材」は、バッフルの剛性及び/又はねじり強度を向上させることができ、これは状況によっては有利であり得る。例えば、回分式反応器を使用して高密度又は高粘度の物質を処理することが想定される場合、バッフルを強化して処理中にバッフルが損傷しないことを確実にする必要があり得る。一例では、1つ以上の強化構成要素を板状構成要素上に又は板状構成要素と共に装着する。別の例では、1つ以上の強化構成要素を、管状構成要素446の一部を形成するように配置する。
【0085】
上記では別個の構成として説明したが、いくつかの例では、付加的構成444及び構造構成要素448が同じ構成であってもよいことを理解されたい。このような状況の1つの例示的な実施形態について、ここで特に
図4Cを参照して説明する。図示は単に説明の目的のためであり、当業者は本開示の範囲内で追加的又は代替的な実施形態を想定し得ることが理解されよう。この例では、板状構成要素440は、バッフル412の対向する側面上に波形を含んでいる。波形は、板状構成要素の対向する表面の波形が多数の点445で接触するように寸法決めされる。特定の例では、波形は例えば溶接、ろう付け又は接着剤によって、点445で相互に取り付けることができる。波形は、バッフルの強度と剛性を向上させる内部構造として効果的に機能する。波形は単に例示的な目的のために開示されており、付加的構成(例えば、窪み又は1つ以上のブレード)が追加的又は代替的に存在してもよいことが理解されよう。
【0086】
回分式反応器内で、特に
図2又は
図3を参照して上述したバッフル構成要素に関連して使用し得るような第2の例示的なバッフル512を、ここで
図5を参照して以下に説明する。これは単に例示的な目的のためであり、本開示の範囲内で以下に説明する実施形態の変形を想定し得ることが理解されよう。以前の図との比較を容易にするために、以前の図の該当する要素と同様の
図5の要素には、以前の図で使用されるものと同様の参照符号が付されているが、接頭辞「5」が付されている。
【0087】
上記の
図4を参照して説明した例と同様に、バッフル512は、バッフルの外面を形成するように適合される板状構成要素540を備える。本例では、板状構成要素は、封止面を形成するように適合される。表面は任意の適切な方法で、例えば溶接、はんだ付け、結合剤の使用によって、又は適切な材料(例えばゴムシール)で作られる付加的な封止要素を使用することによって封止することができる。封止面の多数の実施形態を想定することができ、そのうちのいくつかは回分式反応器内で処理されるべき反応物の1つ以上に依存することが理解されよう。
【0088】
管状要素546は、上述の例と同様に適切な材料で構成される。一例では、管状要素546は、特定の材料又は合金(例えば、銅又は銅基合金)で構成される。別の例では、管状要素は、所定の値を有する1つ以上の特性を有する1つ以上の材料で構成される。特定の例では、管状要素は、特定の熱伝達係数を有する少なくとも1つの材料で構成される。いくつかの例では、熱伝達係数は、少なくとも8W/m°K、任意に少なくとも12W/m°K、任意に少なくとも15W/m°K(例えば管状要素がステンレス鋼で構成される場合)、任意に少なくとも50W/m°K、任意に少なくとも100W/m°K、任意に少なくとも150W/m°K、任意に少なくとも200W/m°K、任意に少なくとも250W/m°K、任意に少なくとも300W/m°K、任意に少なくとも390W/m°K(例えば管状要素が銅で構成される場合)、任意に少なくとも500W/m°K、任意に少なくとも1000W/m°K、任意に少なくとも1500W/m°K、任意に少なくとも2000W/m°K(例えば管状要素が黒鉛で構成される場合)である。
【0089】
典型的には、管状要素は、少なくとも250W/m°Kの熱伝達係数を有する少なくとも1つの材料で構成される。
【0090】
板状構成要素540及び管状要素546は一緒になって、バッフル512の封止内部容積を形成する。本例では、バッフルの内部容積は、熱交換材料542で全体的に又は部分的に充填されている。熱交換材料はバッフルの熱伝導率を向上させ、これによって管状要素546内部の熱伝達媒体507と板状構成要素540との間の熱エネルギー伝達を容易にする。熱交換材料542は、任意の適切な数の材料、金属、非金属、合金又は組成物を含むことができる。いくつかの例では、熱交換材料は、(例えば上述のように)特定の値を有する熱伝達係数を有する1つ以上の材料を含む。いくつかの例では、熱交換材料は、1つ以上の固体材料を含む。他の例では、熱交換材料は、流体状態の1つ以上の材料を含む。更に他の例では、熱交換材料は、固体材料と流体材料との組み合わせを含む。一例では、熱交換材料は、銅基合材料又は合金を含む。別の例では、熱交換材料は、所定の値を有する1つ以上の特性を有する。特定の例では、熱交換材料は、特定の熱伝達係数を有する少なくとも1つの材料で構成される。いくつかの例では、熱伝達係数は、少なくとも8W/m°K、任意に少なくとも12W/m°K、任意に少なくとも15W/m°K(例えば熱交換材料がステンレス鋼で構成される場合)、任意に少なくとも50W/m°K、任意に少なくとも100W/m°K、任意に少なくとも150W/m°K、任意に少なくとも200W/m°K、任意に少なくとも250W/m°K、任意に少なくとも300W/m°K、任意に少なくとも390W/m°K(例えば熱交換材料が銅で構成される場合)、任意に少なくとも500W/m°K、任意に少なくとも1000W/m°K、任意に少なくとも1500W/m°K、任意に少なくとも2000W/m°K(例えば熱交換材料が黒鉛で構成される場合)である。
【0091】
典型的には、熱交換材料は、少なくとも250W/m°Kの熱伝達係数を有する少なくとも1つの材料で構成される。
【0092】
熱交換材料の使用は、以下に記載されるものを含むがこれらに限定されない多くの理由により、有利であり得る。特定の熱交換材料の選択は、上述の熱伝達特性以外の要因に起因し得ることが理解されよう。これらには材料のコスト、安全上の考慮事項(例えば、反応物又は外部環境の爆発又は汚染のリスク)、材料の寿命又は他の物理的若しくは化学的特性が含まれるが、これらに限定されない。
【0093】
有効熱交換面を増加させることにより、熱伝達材料と反応容器内の反応物との間の熱エネルギー交換効率を向上させる。加えて、この向上により、バッフルの内部構造を単純化する一方で、熱伝達材料を含まないバッフルと実質的に同等の性能を維持することが可能となる。通常は熱伝達媒体の導管として機能する管状要素の表面積を増加させることによって、熱伝達構成要素(例えばバッフル又は熱交換器)の有効熱伝達面積を増加させることはよく知られている。典型的には、これは管状要素の長さを増大させて、管状要素を複雑なパターン又は構造に配置することによって行われる。
【0094】
加えて、熱交換材料542は、板状構成要素540と共に作用するときにバッフルの耐圧性を増加させ、板状構成要素の材料厚を減少させることを可能にし、その結果、バッフルの熱伝達効率及び/又は速度を増加させる。
【0095】
更に、熱エネルギー交換効率の向上により、バッフルの(ひいては回分式反応器の延在によって)熱応答が増加する。
【0096】
更に、熱交換材料を使用することによって容器圧力と熱流体圧力とを付加的障壁で互いに隔離することができ、したがってシステム内の安全性を高め、単一の障壁故障事象においてどちらの圧力システムの故障かを検出する機会を提供する。
【0097】
上記の説明は例示を意図したものであり、限定を意図したものではない。それゆえ、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されるように本発明に修正を加えることができることは当業者には明らかであろう。