IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エドワーズ リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-真空ポンプ 図1
  • 特許-真空ポンプ 図2
  • 特許-真空ポンプ 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 19/04 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
F04D19/04 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021526324
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 GB2019053136
(87)【国際公開番号】W WO2020099830
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】1818459.8
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】コー エング キーン
(72)【発明者】
【氏名】ミルザ イクラム ムルタザ
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-206361(JP,A)
【文献】特表2003-532838(JP,A)
【文献】特表2011-529542(JP,A)
【文献】国際公開第2017/138154(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステーターと、
前記ステーターに対して回転可能な少なくとも1つのローター要素を有するローターと、
を備える真空ポンプであって、
前記ローターは、前記ステーターに連結された第1の磁気素子と、前記ローターに連結された第2の磁気素子とを有する少なくとも1つの永久磁気軸受によって支持され、
前記第2の磁気素子は、前記第2の磁気素子と直接接触する半径方向内側及び前記ローターに向かう半径方向外側を有するスリーブによって前記ローターに連結され、
前記半径方向外側は、少なくとも1つの溝及び/又は少なくとも1つのウェブを備えている、
ことを特徴とする真空ポンプ。
【請求項2】
前記スリーブは、運転時に、前記第2の磁気素子を固定して保持するために、運転温度の間に周囲のローター要素よりも小さな半径方向膨張をもたらすように構成されており、運転時よりも低い温度の非運転時に、前記第2の磁気素子の限界点以下の圧縮応力を、前記第2の磁気素子にもたらす、
請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項3】
少なくとも1つの溝及び/又は少なくとも1つのウェブが、前記スリーブの円周方向に沿う、
請求項1または2に記載の真空ポンプ。
【請求項4】
前記第2の磁気素子は、前記スリーブに締まり嵌めによって固定され、及び/又は、前記スリーブは、前記ローターに締まり嵌めによって固定される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
【請求項5】
前記スリーブは、低熱膨張率の材料で作られている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
【請求項6】
複数の溝及び/又は複数のウェブを特徴とする、
請求項1から5のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
【請求項7】
前記複数の溝の幅又は深さのうちの少なくとも1つが同一であり、及び/又は前記複数のウェブの幅又は深さのうちの少なくとも1つが同一である、
請求項に記載の真空ポンプ。
【請求項8】
前記溝の幅又は深さのうちの少なくとも1つが互いに異なり、及び/又は前記ウェブの幅又は深さのうちの少なくとも1つが互いに異なる、
請求項1から6のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
【請求項9】
前記第2の磁気素子は、前記スリーブによって取り囲まれた2以上の磁気リングを備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
【請求項10】
前記スリーブは、前記スリーブの内側で前記ローターの端部の近くにリムを備え、前記第2の磁気素子は、前記リムに対して直接当接する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
【請求項11】
前記スリーブの第1の軸端には、ウェブが配置されており、前記スリーブの反対側の第2の端部には、溝が配置されるか又はウェブが配置されていない、
請求項1から10のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
【請求項12】
前記ローターは、前記ステーターに連結された第1の磁気素子と、前記ローターに連結された第2の磁気素子とを有する第2の永久磁気軸受によって支持されており、前記第2の磁気素子は、前記第2の磁気素子に直接接触する半径方向内側と、前記ローターに向かう半径方向外側とを有する第2のスリーブによって前記ローターに連結されており、前記半径方向外側は、少なくとも1つの溝及び/又は少なくとも1つのウェブを備えている、
請求項1から11のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプに関し、詳細にはターボ分子真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
既知の真空ポンプは、入口と出口を有するハウジングを備え、ステーターは、ハウジングに連結されている。ハウジング内部には、ローターが配置され、軸受によって回転可能に支持される。ローターは、少なくとも1つのローター要素を備え、ガス状媒体を入口から出口まで運ぶためにステーターと相互作用する。ターボ分子真空ポンプの場合、ステーターは複数のベーンで作られ、同様にベーンとして作られたローター要素と相互作用する。
【0003】
ローターを支持するために、永久磁気軸受を使用することが知られている。永久磁気軸受は、ステーターに連結された第1の磁気素子及びローターに連結された第2の磁気素子を備え、これらは互いにごく接近して配置されかつ相互反発するように構成される。従って、ローターは、非接触で支持され、注油又はグリースを必要としない。
【0004】
第2の磁気素子をローターに装着するために、熱収縮させるために第2の磁気素子が、例えば液体窒素によって冷却されている間に、ローターはさらに膨張させるために加熱される。次に、ローター及び第2の磁気素子は、締まり嵌めを確立するために組み立てることができる。しかしながら、運転時、温度が上昇して、ローター及び第2の磁気素子が膨張する。ローター及び第2の磁気素子の異素材が原因で、熱膨張が異なり、締まり嵌めの低下につながる可能性がある。最新のターボ分子真空ポンプの高い回転速度に起因して、第2の磁気素子のフープ応力が増大する。永久磁気軸受の第2の磁気素子の損傷を防ぐために、締まり嵌めを強化する必要がある。従って、第2の磁気素子とローターとの間の組み立て温度の差を大きくすることが望ましい。このことは問題を引き起こす可能性がある。その理由は、通常、ローターは、アルミニウムのような軽金属で作られており、安定性が低下しないように約180°Cまでしか加熱することができないからである。アルミニウムローターをより高い温度に加熱すると、ローターの望ましくない急速な経年劣化がもたらされる。締まり嵌めを達成できる範囲は、その最大の利益を得るためにすでに使用されている液体窒素冷却によって制限される。
【0005】
欧州特許第3088746号A1には、第2の磁気素子の周りに配置されるスリーブが記載されており、スリーブは、ローターの材料よりも小さい熱膨張係数及び弾性ヤング率を有する。従って、運転時の温度上昇による、熱膨張が減少し、結果的に、第2の磁気素子の運転時のフープ応力も減少する。
【0006】
しかしながら、真空ポンプは、低温を含む厳しい環境にもさらされる。低温にさらされると、非運転状態の真空ポンプのスリーブ及び/又はローターのかなりの熱収縮につながる。第2の磁気素子とスリーブ又はローターとの間の締まり嵌めに起因して、これらの低温は第2の磁気素子に高圧縮応力を導入し、これは、通常、第2の磁気素子が脆弱な永久磁気材で作られているので、第2の磁気素子を損傷するか又は破壊する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許第3088746号A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、厳しい環境に支障なく耐えることができる真空ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の真空ポンプによって解決される。
【0010】
本発明によれば、真空ポンプ、詳細にはターボ分子真空ポンプは、ステーターと、ステーターに対して回転可能な少なくとも1つのローター要素を有するローターと、を備える。ローターは、ステーターに連結された第1の磁気素子と、ローターに連結された第2の磁気素子とを有する少なくとも1つの永久磁気軸受によって支持される。第1の磁気素子及び第2の磁気素子は、ごく接近して配置され、互いに相互反発する。従って、ローターの非接触支持が実現される。好ましくは、少なくとも1つの永久磁気軸受は、低圧を目的として、真空ポンプの入口側に位置する。第2の磁気素子は、第2の磁気素子に直接接触する半径方向内側と、ローターに向いた半径方向外側とを有するスリーブを介して、ローターに連結される。従って、好ましくは、スリーブは、第2の磁気素子を完全に取り囲む。
【0011】
本発明によれば、スリーブの外側は、少なくとも1つの溝を備える。追加的に又は代替的に、スリーブの外側は、少なくとも1つのウェブを備える。従って、ウェブは、半径方向外側に向かう、すなわちローターに向かう半径方向の突出部又はリブとして理解される。スリーブの外側を溝及び/又はウェブで構成することで、第2の磁気素子への圧縮力の直接の伝達が阻止される。溝及び/又はウェブは、スリーブが第2磁気素子のクッションとして効果的に機能することを可能にする柔軟性をもたらす。従って、真空ポンプに非運転時に又は低温状態に置かれる場合、このクッション効果により第2の磁気素子への圧縮応力が減少し、第2の磁気素子の脆弱な永久磁気材料の損傷が回避される。さらに、スリーブの外側の材料を減らすことで、同時に熱膨張又は収縮の作用が低減される。加えて、スリーブの外側の構造化は、スリーブの厚さが増えるという欠点なしでスリーブのより高い安定性につながる。
【0012】
好ましくは、スリーブは、運転時に、第2の磁気素子を固定して保持するために、運転温度の間に周囲のローター要素よりも小さな半径方向熱膨張をもたらすように構成される。しかしながら、より低い温度の、例えば15℃以下、好ましくは0℃以下、より好ましくは-15℃以下の非運転時に、スリーブが第2の磁気素子にもたらす圧縮応力は、第2の磁気素子の限界点以下である。従って、溝及び/又はウェブに起因して、スリーブは、第2の磁気素子上の(半径方向の)圧縮応力を低減するために熱収縮の状態で変形することができる。
【0013】
好ましくは、スリーブの外側は、複数の溝を備える。追加的に又は代替的に、スリーブの外側は、複数のウェブを備える。従って、スリーブの柔軟性はさらに強化され、第2の磁気素子の圧縮強度を超えるのを防ぐためにスリーブの安定性を調整する。
【0014】
好ましくは、少なくとも1つの、より好ましくは全ての溝は、スリーブの周方向に沿う。追加的に又は代替的に、少なくとも1つの、好ましくは全てのウェブはスリーブの周方向に沿う。従って、スリーブの周方向に沿った一様なクッション効果が達成される。
【0015】
好ましくは、第2の磁気素子は、締まり嵌めによってスリーブに固定される。追加的に又は代替的に、スリーブは、締まり嵌めによってローターに固定される。スリーブの外側が溝だけを備えている場合、スリーブの外側は、直接ローターに接触する。スリーブが少なくとも1又は2以上のウェブを備えている場合、ウェブの半径方向最外部が直接ローターに接触し、締まり嵌めに使用される。
【0016】
磁石が形成される材料に応じて、好ましくは、スリーブは、低熱膨張率の材料で作られている。詳細には、スリーブの熱膨張率は、アルミニウムに対して23×10-6-1未満、好ましくは、ステンレス鋼に対して13×10-6-1未満、より好ましくは、ネオジムに対して8×10-6-1未満、最も好ましくは、チタンに対して1×10-6-1未満である。従って、低熱膨張率の材料で作られているスリーブを使用することで、運転時に相対的な熱膨張が低減され、第2の磁気素子の圧縮応力も減少し、低温時の非運転時に第2の磁気素子のフープ応力も減少する。
【0017】
好ましくは、全ての溝の幅及び/又は深さは同一である。さらに好ましくは、全ての溝の幅は、全てのウェブの幅と同一である。追加的に又は代替的に、全ての溝の深さは、全てのウェブの深さと同一である。ウェブ又は溝の幅は、軸方向で測定されるが、ウェブ又は溝の深さは、半径方向で測定される。従って、溝の幾何学的形状及びウェブの形状は、第2の磁気素子の損傷を防ぐためのスリーブの十分な柔軟性を達成するために調整することができる。
【0018】
好ましくは、全ての溝の幅及び/又は深さは、互いに異なる。追加的に又は代替的に、全てのウェブの幅及び/又は深さは、互いに異なる。さらに好ましくは、溝の幅及び/又は深さは、ウェブの幅及び/又は深さと異なる。従って、溝の幾何学的形状とウェブの形状は、第2の磁気素子の損傷を防ぐためのスリーブの十分な柔軟性を達成するために調整することができる。
【0019】
好ましくは、第2の磁気素子は、スリーブによって取り囲まれた2以上の磁気リングを備える。詳細には、磁気リングは、スリーブによって完全に取り囲まれている。
【0020】
好ましくは、溝及び/又はウェブの軸方向位置は、磁気リングの位置に調整される。好ましくは、スリーブが2以上の溝及び/又はウェブを備える場合、溝及び/又はウェブの位置は、磁気リングの位置に調整される。
【0021】
好ましくは、溝及び/又はウェブの数は、磁気リングの数に調整される。従って、溝及び/又はウェブの数は、何らかの磁気リングが低温での非運転時に損傷するのを防止するのに充分なスリーブの柔軟性を達成するために、磁気リングの数に従って調整することができる。
【0022】
好ましくは、スリーブは、スリーブの内側にリムを備えており、リムは、装着時にローターの端部の近くに位置決めされる。第2の磁気素子は、第2の磁気素子の軸方向の位置を固定するために、直接リムに対して直接当接する。詳細には、最外部の磁気リングは、磁気リングの軸面でリムに対して当接する。
【0023】
好ましくは、スリーブの第1の軸端にはウェブが配置されており、スリーブの反対端には溝が配置されるか又はウェブが配置されていない。好ましくは、第1の軸端でのウェブは、リムと一致し、スリーブとローターとの間の締まり嵌めを生成するプロセス中に使用することができるスリーブの安定した端部を生成する。好ましくは、第1の軸端は、ローターの端部の近くの端部である。もしくは、スリーブの第1の軸端には溝が配置され、スリーブの反対側の第2の端部には同様に溝が配置されている。もしくは、スリーブの第1の軸端には溝が配置され、反対側の第2の端部にはウェブが配置されている。もしくは、スリーブの第1の軸端にはウェブが配置され、スリーブの反対側の第2の端部には同様にウェブが配置されている。従って、スリーブの両方の軸端での溝及びウェブの位置は、真空ポンプの組み立て及び運転のための十分な安定性を維持しながら、スリーブの十分な柔軟性をもたらす特定のニーズに調整することができる
【0024】
好ましくは、ローターは、ステーターに連結された第1の磁気素子と、ローターに連結された第2の磁気素子とを有する第2の永久磁気素子軸受によって支持される。第2の磁気素子は、第2の磁気素子に直接接触する半径方向内側と、ローターに向かう半径方向外側とを有する第2のスリーブによってローターに連結される。従って、スリーブの外側は、少なくとも1つの溝及び/又は少なくとも1つのウェブを備える。
【0025】
好ましくは、第2の永久磁気軸受は、第1の永久磁気軸受に関して前述したように作ることができる。詳細には、第1の永久磁気軸受及び第2の永久磁気軸受は、同一に作られる。
以下、本発明は、添付図面を参照して特定の実施形態に関して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明によるターボ分子ポンプの概略図である。
図2図1に示された真空ポンプの永久磁気軸受の詳細図である。
図3図2に示されたようなスリーブの詳細な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示される本発明による真空ポンプは、入口12及び出口14を有するハウジング10を備えるターボ分子真空ポンプである。ハウジング内には、ローター軸18とベーンとして作られたローター要素20とを備えるローター16が配置される。さらに、真空ポンプは、ハウジング10に連結されたベーン22によって作られ、ローター16のローター要素20と相互作用するステーターを備える。ローター軸18は、永久磁気軸受として作られた第1の軸受24と、図1の実施形態ではボール軸受として作られた第2の軸受26によって、ハウジング10内で回転可能に支持される。
【0028】
ローター16は、電気モーター28によって回転し、これによりガス状媒質を入口12から出口14へ運ぶ。
【0029】
ローター16は、凹部を定める片持ち状の端部を備え、第1の軸受24がこの凹部内に配置される。ハウジング10に連結された突起部30は、この凹部に突っ込まれている。
【0030】
永久磁気軸受24は、複数の磁気リング34で構成される第1の磁気素子32を備える。第1の磁気素子32は、ハウジング10の突起部30と直接接触する。さらに、永久磁気軸受24は、同じ数の磁気リング38で構成される第2の磁気素子36を備え、この磁気リング38は、第1の磁気要素32の磁気リング34にごく接近して配置されており、これらは、ローター16を非接触で支持するために互いに相互反発する。従って、第2の磁気素子36は、スリーブ40を介してローター16に連結する。スリーブ40は、内面42及び外面44を備え、第2の磁気素子36は、内面42に直接接触する。詳細には、第2の磁気素子36の磁気リング38は、スリーブ40に締まり嵌めで取り付けられる。図3の実施形態において、スリーブ40の外面44は、その間に凹部48を定める複数のウェブ46を備える。ウェブ46の半径方向最外面50は、取り付け状態では、ローター16に直接接触する。詳細には、スリーブは、同様に締まり嵌めによってローター16に取り付けられる。
【0031】
ウェブ46及び形成された凹部48に起因して、低温時の熱収縮状態の第2の磁気素子36上の圧縮応力は、スリーブ柔軟性によってもたらされるクッション効果が原因で減少する。凹部48の位置では、スリーブ40の材料の厚さが低減されており、第2の磁気素子36の磁気リング38に伝達される、熱収縮によって生成された力が減少する。
【0032】
さらに、ウェブ及び溝の数、並びにその位置は、第2の磁気素子36の磁気リング38の数及び形状に合わせることができる。他の自由度は、ウェブ及び溝の形状、すなわち、ウェブ及び溝の深さ及び幅によって定められる。従って、低温時の熱収縮状態の圧縮応力の分布は、第2の磁気素子36の損傷を防ぐために調整することができる。従って、第2の磁気素子36は、低温状態の厳しい環境での非運転時に第2の磁気素子36が損傷するリスクなしで、運転時に過大なフープ応力を防ぐためにスリーブに緊密に嵌合することができる。
【0033】
さらに、スリーブ40は、スリーブの軸端に、詳細にはローターの端部の近くにリム52を備える。第2の磁気素子36は、リム42に直接当接し、結果的に第2の磁気素子36の軸方向の位置が規定される。
【0034】
好ましくは、本発明によれば、真空ポンプの入口側でのより低い圧力を目的とした軸受は、永久磁気軸受として作られている。しかしながら、第2の軸受26は、磁気軸受として、好ましくは上記と同じ様式で永久磁気軸受として作ることもできる。
図1
図2
図3