(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】スライド式固定装置を備えた自動レーシングフットウェア
(51)【国際特許分類】
A43B 23/02 20060101AFI20240708BHJP
A43C 11/00 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
A43B23/02 105Z
A43C11/00
A43B23/02 106
(21)【出願番号】P 2021531052
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 US2019063352
(87)【国際公開番号】W WO2020112841
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-25
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】エリック ピー アバール
(72)【発明者】
【氏名】サマー エル シュナイダー
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/170116(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0289594(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0289596(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0265579(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0807105(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 23/02
A43C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フットウェア製品(300,600,700)であって、
ミッドソールと、
前記ミッドソールに対して固定されたアッパー(306,604,704)であって、着用者の足(500)を受け入れるための開口部を形成し、前記開口部は、フットウェア製品を着用者の足に固定するために、アッパーの第1のセグメントとアッパーの第2のセグメントとの間で調整可能である、アッパーと、
前記アッパーの第1のセグメントと第2のセグメントとの間に結合され、ある長さのトラック(308)に沿ってスライドし、前記第1および第2のセグメントを一緒に固定するように構成されたスライド式固定装置(302)と、
前記ミッドソール内に配置され、レースと係合してレース(314)の張力を増減するように構成された電動レーシングシステム(100)と、
を備え、
前記電動レーシングシステムが、
モータ(216)と、
前記モータに動作可能に結合され、前記レースの張力をそれぞれ増加および減少させるために前記レースを巻き取りおよび巻き戻すように構成されたレーススプール(220)と、
を備え、
前記レースが前記スライド式固定装置に固定され、前記レースに張力がかかると、前記レースが前記スライド式固定装置を前記トラックに沿ってスライドさせ、前記第1および第2のセグメントを一緒に固定し、
前記アッパーに固定された複数のレースガイドをさらに含み、前記レースが前記複数のレースガイドを通って延在し、前記レースに張力を加えると、前記アッパーの一部がさらに収縮
し、
前記スライド式固定装置(302)は、前記トラック(308)に沿ってスライドしながら、前記第1および第2のセグメントどうしの間を閉じることによって前記第1および第2のセグメントどうしを固定したり、前記第1および第2のセグメントどうしの間を開いたりするように、構成されている、
フットウェア製品。
【請求項2】
前記スライド式固定装置(302)がジッパーを含む、請求項1に記載のフットウェア製品(300,600,700)。
【請求項3】
前記アッパー(306,604,704)がスロート部(304)を含み、前記第1および第2のセグメントがスロート部
における互いに対向する一対の縁部に結合されている、請求項1に記載のフットウェア製品(300,600,700)。
【請求項4】
前記第1および第2のセグメントが、前記フットウェア製品の内側部または外側部の開口部
における互いに対向する一対の縁部にある、請求項1に記載のフットウェア製品(300,600)。
【請求項5】
前記第1および第2のセグメントが、前記フットウェア製品のヒールカウンタ部の開口部
における互いに対向する一対の縁部にある、請求項1に記載のフットウェア製品(700)。
【請求項6】
前記アッパー(306,604,704)の一部分を収縮させることにより、隣接するレースガイド(312)間の垂直距離(408)が減少する、請求項1に記載のフットウェア製品(300,600,700)。
【請求項7】
前記レース(314)に張力を加えると、前記スライド式固定装置(302)が前記トラック(308)に沿ってスライドした後、前記アッパー(306,604,704)の一部が収縮し、
任意選択で、
前記レースに張力を加えると、前記スライド式固定装置が前記トラックに沿ってスライドするのを停止した後、前記アッパーの一部が収縮し、および/または、
前記アッパーは、前記モータ(216)がレースを巻き戻したときに前記開口部から足(500)を取り出すことにより、スライド式固定装置がトラックに沿って反対方向にスライドするように構成されている、請求項1~6のいずれかに記載のフットウェア製品(300,600,700)。
【請求項8】
ミッドソールに対してアッパー(306,604,704)を固定し、着用者の足(500)を受け入れるための開口部であって、フットウェア製品(300,600,700)を着用者の足に固定するためにアッパーの第1のセグメントとアッパーの第2のセグメントとの間で調整可能である開口部を形成するステップと、
前記アッパーの第1のセグメントと第2のセグメントとの間に、ある長さのトラック(308)に沿ってスライドし、前記第1および第2のセグメントを一緒に固定するように構成されたスライド式固定装置(302)を結合するステップと、
前記ミッドソール内に配置され、レース(314)と係合してレースの張力を増減するように構成された電動レーシングシステム(100)であり、
モータ(216)および
前記モータに動作可能に結合され、前記レースの張力をそれぞれ増加および減少させるために前記レースを巻き取りおよび巻き戻すように構成されたレーススプール(220)を備える、電動レーシングシステムを配置するステップと、
前記レースを前記スライド式固定装置に固定するステップで、前記レースに張力がかかると、前記レースが前記スライド式固定装置を前記トラックに沿ってスライドさせて前記第1および第2のセグメントを一緒に固定するステップと、
複数のレースガイド(312)を前記アッパーに固定し、前記レースを前記複数のレースガイドを通して延在させるステップであって、前記レースに張力を加えると、前記アッパーの一部をさらに収縮する、ステップと、
を含
み、
前記スライド式固定装置(302)は、前記トラック(308)に沿ってスライドしながら、前記第1および第2のセグメントどうしの間を閉じることによって前記第1および第2のセグメントどうしを固定したり、前記第1および第2のセグメントどうしの間を開いたりするように、構成されている、
方法。
【請求項9】
前記スライド式固定装置(302)がジッパーを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アッパー(306,604,704)はスロート部(304)を含み、前記スライド式固定装置(302)を結合するステップは、前記第1および第2のセグメントを前記スロート部
における互いに対向する一対の縁部に結合するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記スライド式固定装置(302)を結合するステップは、前記第1および第2のセグメントを、前記フットウェア製品(300,600)の内側部または外側部の開口部
における互いに対向する一対の縁部に結合するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記スライド式固定装置(302)を結合するステップは、前記第1および第2のセグメントを前記フットウェア製品(700)のヒールカウンタの開口部
における互いに対向する一対の縁部に結合するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記アッパー(306,604,704)の一部分を収縮させることにより、隣接するレースガイド(312)間の垂直距離(408)が減少する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記レース(314)に張力を加えると、前記スライド式固定装置が前記トラック(308)に沿ってスライドした後、前記アッパー(306,604,704)の一部を収縮し、
任意選択で、
前記レースに張力を加えると、前記スライド式固定装置が前記トラックに沿ってスライドするのを停止した後、前記アッパーの一部を収縮し、および/または、
前記アッパーは、前記モータ(216)がレースを巻き戻したときに前記開口部から足(500)を取り出すことにより、スライド式固定装置がトラック(308)に沿って反対方向にスライドするように構成されている、請求項8~13のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願
本出願は、2018年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/773,379 号に対する優先権の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示される主題は、概して、自動レーシング(紐締め)モータおよびスライド式固定装置を有するフットウェア製品に関する。
【背景技術】
【0003】
靴などのフットウェア製品は、従来の構成要素および従来にない構成要素の両方の、様々な構成要素を含み得る。従来の構成要素は、フットウェア製品内に着用者の足を包み込み、固定するためのアッパー、ソール、およびレース(紐)または他の固定機構を含み得る。従来にない、電動レーシングシステムはレースと係合してレースを締めたり緩めたりすることができる。追加または代替の電子機器は、フットウェア製品のための様々な機能、例えば、モータの動作および駆動、フットウェア製品の性質に関する情報の感知、照明式ディスプレイおよび/または他の知覚刺激等を提供することができる。
【0004】
いくつかの実施形態は、例示として示されており、添付図面の図に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態における、フットウェア製品の電動レーシングシステムの構成要素の分解図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態における、電動レーシングシステムの構成要素のブロック図を概略的に示す。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態における、電動レーシングシステムおよびスライド式固定装置を組み込んだフットウェア製品の描写である。
【
図4】
図4A~
図4Dは、例示的な実施形態における、フットウェア製品が締め付けられるプロセスを示す図である。
【
図5】
図5Aおよび
図5Bは、可撓性の細長いスプールを有するフットウェア製品の描写である。
【
図6】
図6Aおよび
図6Bは、例示的な実施形態における、フットウェア製品のスライド式固定装置の代替位置を示す。
【
図7】
図7A~
図7Cは、例示的な実施形態例における、フットウェア製品のスライド式固定装置の代替位置を示す。
【
図8】
図8A~
図8Cは、様々な例示的な実施形態における、フットウェア製品のレーシングアーキテクチャの代わりに、またはそれと組み合わせて利用することができるレーシングアーキテクチャを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
例示的な方法及びシステムは、自動レーシングモータを有するフットウェア製品を対象とする。これらの例は、取り得る形態を単に代表するものである。特に明記しない限り、構成要素及び機能は、任意のものであり、組み合わされても細分化されてもよく、動作は、順序が変わってもよく、組み合わされても細分化されてもよい。以下の説明では、説明の目的のために、例示的な実施形態の完全な理解を提供するように、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、本主題は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることは当業者に明らかであろう。
【0007】
靴などのフットウェア製品は、従来の構成要素及び従来にない構成要素の両方の、様々な構成要素を含んでいる。従来の構成要素は、アッパー、ソール、及びレース、或いはフットウェア製品内に着用者の足を囲んで固定するための他の固定機構を含み得る。従来にない、電動レーシングシステムは、レースと係合して、レースを締め付け及び/又は緩めることができる。追加又は代替の電子機器は、フットウェア製品のための様々な機能、モータの動作及び駆動、フットウェア製品の性質に関する情報の感知、照明式ディスプレイ及び/又は他の感覚刺激の提供などを含む、を提供することができる。
【0008】
概して、特に運動活動の実施のためのフットウェア製品では、フットウェア製品のサイズ、形状、頑強性及び重さなどの特徴が特に重要となり得る。1つのレース、複数のレース、または他の引締め力部材を締めることによってフットウェアを足にしっかりと固定する能力は、着用性、快適性、および性能をさらに向上させる可能性がある。フットウェアのアッパーの所望の範囲にわたって適度のタイト感を提供することは、自動レーシングフットウェアおよび一般のフットウェアに特有の課題であり得る。
【0009】
ジッパーなどのスライド式の固定装置を使用することにより、フットウェアの足への固定を促進しようとする自動レーシングフットウェアを開発した。レースは、モータとスプールの両方に加えて、スライド式固定装置とも係合する。モータを作動させ、スプールを回転させることにより、レースにかかる力がスライド式固定装置に伝達され、スライド式固定装置が自動的に閉じて、フットウェアの足への固定を促進する。レースは、フットウェア製品の足への固定をさらに促進するために、レースガイドを通して延在させることもできる。
【0010】
図1は、例示的な実施形態における、フットウェア製品用の電動レーシングシステムの構成要素の分解図である。システムはフットウェアに関して説明されているが、フットウェア製品に関して説明されている原理は、様々なウェアラブル製品のいずれにも等しくよく適用されることを認識および理解されたい。
図1に示される電動レーシングシステム100は、筐体構造103を有するレーシングエンジン102、蓋104、アクチュエータ106、ミッドソールプレート108、ミッドソール110、およびアウトソール112を含む。
図1は、自動レーシングフットウェアプラットフォームの構成要素の基本的な組み立て順序を示している。電動レーシングシステム100は、ミッドソールプレート108がミッドソール内に固定された状態から始まる。次に、アクチュエータ106が、アウトソール112に埋め込むことができるインタフェースボタンに対向するミッドソールプレートの外側部の開口部に挿入される。次に、レーシングエンジン102が、ミッドソールプレート108内に挿入される。一例では、レーシングシステム100は、レーシングケーブルの連続ループの下に挿入され、レーシングケーブルは、レーシングエンジン102(後述する)のスプールとアライメントされる。最後に、蓋104が、ミッドソールプレート108の溝に挿入され、閉位置に固定され、ミッドソールプレート108の凹部にラッチされる。蓋104は、レーシングエンジン102を保持することができ、動作中のレーシングケーブルのアライメントの維持を補助することができる。レーススプール220(
図2参照)は蓋104の下にある。
【0011】
図2は、例示的な実施形態における、電動レーシングシステム100のコンポーネントのブロック図を一般的に示す。システム100は、インタフェースボタン200、足存在センサ202、並びに、プロセッサ回路を備えたプリント回路基板アセンブリ(PCA)204と、バッテリ206と、無線送信機及び無線受信機を含む無線トランシーバの一部として動作可能な受電コイル208と、光学エンコーダ210と、モーションセンサ212と、駆動機構214とを備えるレーシングエンジン筐体102など、電動レーシングシステムのコンポーネントの少なくとも一部を、必須ではないが、含む。光学エンコーダ210は、光学センサと、光学センサによって独立して検出可能な別個の部分を有するエンコーダとを含んでもよい。駆動機構214は、主に、モータ216、トランスミッション218、レーススプール220を含む。モーションセンサ212は、主に、単軸又は多軸加速度計、磁力計、ジャイロメータ、又は筐体構造102のモーション若しくは筐体に結合又は収容された1つ又は複数のコンポーネントのモーションを感知するように構成された他のセンサ又はデバイスを含んでもよい。一実施例では、電動レーシングシステム100は、プロセッサ回路204に接続された磁力計222を含む。
【0012】
図2の例では、プロセッサ回路204は、1つ又は複数のインタフェースボタン200、足存在センサ202、バッテリ206、受電コイル208、及び駆動機構214とデータ信号又は電力信号で通信する。トランスミッション218は、モータ216をスプールに結合して、駆動機構214を形成する。
図2の例では、ボタン200、足存在センサ202、及び環境センサ224は、レーシングエンジン102の外側又は部分的に外側に示されている。
【0013】
一実施例では、受電コイル208は、レーシングエンジン102の筐体103の上又は内部に配置される。様々な実施例では、受電コイル208は、例えば、筐体103の上面又は下面などの、外側主表面上に配置され、特定の例では、底面に配置される。様々な実施例では、受電コイル208は、qi充電コイルであるが、A4WP充電コイルなどの任意の適切なコイルが代わりに利用されてもよい。
【0014】
一実施例では、プロセッサ回路204は、駆動機構214の1つ又は複数の態様を制御する。例えば、プロセッサ回路204は、ボタン200及び/又は足存在センサ202及び/又はモーションセンサ212から情報を受信し、それに応じて、足に対してフットウェアを締めたり緩めたりするように駆動機構214を制御するように構成され得る。一実施例では、プロセッサ回路204は、上記に加えて又は代わりに、他の機能の中から、足存在センサ202又は他のセンサからセンサ情報を取得又は記録する命令を発行するように構成されている。一実施例では、プロセッサ回路204は、(1)足存在センサ202を使用して足存在を検出すること、及び(2)モーションセンサ212を使用して特定のジェスチャを検出することで、駆動機構214の動作を調整する。
【0015】
環境センサ224からの情報は、足存在センサ202のベースライン又は基準値を更新又は調整するために使用され得る。以下で更に説明するように、静電容量足存在センサによって測定された静電容量値は、時間の経過とともに変化し、例えば、センサ付近の周囲条件に応じて、変化し得る。環境センサ224からの情報を使用して、プロセッサ回路204及び/又は足存在センサ202は、測定又は感知された静電容量値を更新又は調整することができる。
【0016】
図3は、例示的な実施形態における、電動レーシングシステム100およびスライド式固定装置302を組み込んだフットウェア製品300の描写である。スライド式固定装置302は、フットウェア300のアッパー306のスロート部304に沿って配置される。スライド式固定装置302は、スロート部304に沿って延在し、アッパー306のカラー310の近くで終わるトラック308に配置されるか、それを含む。様々な例では、スライド式固定装置302はジッパーであるが、関連する様々なものまたは他の適切な装置が企図される。
【0017】
フットウェア製品は、レース314が通って延びる複数のレースガイド312を含むレーシングアーキテクチャを含む。フットウェア製品300の片側のみが描かれているが、レースガイド312は、内側部および外側部の下方に延在する。レース314は、例えば、フットウェア製品300の内側部および外側部のそれぞれで、各端が固定点316でフットウェア300に、例えば縫製または接着によって、固定される。本明細書で詳細に説明されるように、レース314によって力がレースガイド312に与えられるときにレースガイド312が互いに対して動くことできるように、レースガイド312の間および周囲部分は可撓性、弾性、または他の伸縮可能な材料で作ることができる。
【0018】
レース314の中央部は、ミッドソール領域318でアッパー306の下を通過し、スプール220を介して駆動機構210(図示せず)と係合する。レースは、ミッドソール領域318から、ヒールレースガイド312Aを通過し、カラーレースガイド312Bを通り、さらに延在して、スライド式固定装置302と係合する。レース314は、その後、カラーレースガイド312に戻り、固定点316で固定される前に、残りのレースガイドを通ってジグザグパターンを形成する。本明細書に詳細に示されるように、駆動機構210の駆動がスライド式固定装置302をトラック308に沿って引っ張る力を与え、レースガイド312を一緒に引っ張り、ヒールレースガイド312Aが取り付けられたヒールストラップ320に力を与え、これらはすべて、フットウェア製品300を着用者の足に固定するのに役立ち得る。
【0019】
図4A~4Dは、例示的な実施形態において、フットウェア製品300が締め付けられるプロセスを示す。
【0020】
図4Aでは、フットウェア製品300が完全に緩められた状態にある。モータ216(図示せず)がレース314を締めるために駆動されると、スプール220(図示せず)が回転し、レース314がスプール220の周りに巻き取られる。レース314の巻き取りがレース314に力400を与え、この力がスライド式固定装置302に力402を与え、これによりトラック308の近位端404でスライド式固定装置302がトラック308に沿って引かれ始める。力はヒールレースガイド312Aが取り付けられたヒールストラップ320にも与えられる。
【0021】
図4Bでは、スライド式固定装置302がトラック308に沿ってカラー310に近いトラック308の遠位端406まで引かれたばかりの状態である。アッパー306のスロート部304は閉じられ、足はアッパー306内に部分的に固定される。レース314にかかる力400は、レースガイド312にそれほど大きな力がまだ与えられず、レースガイド312間の垂直距離408は実質的に変化していないことに留意されたい。
【0022】
図4Cでは、遠位端406にスライド式固定装置302があり、モータ212によるレース314への継続的な力400がレースガイド312に加えられ、レースガイドへの力400がレースガイド312を一緒に引き寄せ、レースガイド312間の垂直距離408が、
図4Aおよび
図4Bにおけるレースガイド312の垂直距離408と比較して減少する。そうすると、アッパー306は、着用者の足の周りにさらに包み込み、固定することができる。
【0023】
図4Dでは、スプール210を回転させるモータ212は停止される。しかしながら、力400はそのままレース314に留まり、レース314の張力を維持し、フットウェア製品300を固定された状態に維持する。力400は、モータ212がスプール214を回転させてレース314の張力を解放するまで、レース314に留まる。
【0024】
図5Aおよび5Bは、例示的な実施形態において、レース314を緩めて着用者の足500をフットウェア製品300から取り外すことができることを示す。
図5Aおよび5Bの図では、フットウェア製品300は、
図4A-
図4Dに示されるプロセスをすでに経過している。
【0025】
図5Aでは、モータ212(図示せず)が、スプール214(図示せず)を回転させ、レース314のスプールを巻き戻してレース314の張力を解放するように駆動されている。様々な例において、フットウェア製品300のレースガイド312および他の構成要素によってレース314に与えられる摩擦は、レース314に自動的に力を与えない。むしろ、着用者がフットウェア製品300から足500を引き抜くとき、力502がスライド式固定装置302に与えられ、スライド式固定装置302をトラック308に沿って押し下げ、レース314に力504を与える。その結果、レースガイド312間の垂直距離408が増加する。あるいは、レースガイド312および他の構成要素によってレース314に与えられる摩擦が十分ではないことがあり、レース314がスプール210から巻き戻されるとき、レースガイド312およびレース314に与えられる力によって、着用者がフットウェア製品300から足500を引き出し始めることなしに、レースガイド312間の垂直距離408が増加し始めることがある。
【0026】
図5Bでは、スライド式固定装置302は、トラック308の近位端404にあり、スロート部304は、完全に開いた状態にあり、フットウェア製品300は、もはや足50 0に固定されていない。着用者は、自由に足500をフットウェア製品300から出す ことができる。
【0027】
図6Aおよび6Bは、例示的な実施形態において、フットウェア製品600上のスライド式固定装置302の代替位置を示している。それ以外は、フットウェア製品600は、フットウェア製品300と同じであってよく、同じ構成要素を含んでよい。ただし、スライド式固定装置302は、スロート部304に沿って配置されるのではなく、アッパー604のミッドソール領域602に配置され、ソール606からアッパー604のカラー310まで延びている。
図6Aは、緩められた状態のフットウェア製品600を示し、スライド式固定装置302がソール606に近い近位置608にある。
図6Bは、締め付け状態のフットウェア製品600を示し、スライド式固定装置302がカラー310に近い遠位置610にある。
【0028】
図7A~7Cは、例示的な実施形態において、フットウェア製品700上のスライド式固定装置302の代替位置を示している。それ以外は、フットウェア製品700は、フットウェア製品300および600と同じであってよく、同じ構成要素を含んでよい。ただし、スライド式固定装置302は、スロート部304に沿ってまたはミッドソール領域602に配置されるのではなく、アッパー704のヒール領域702に配置され、ソール706からアッパー704のカラー310まで延びている。
図7Aは、緩められた状態のフットウェア製品700を示し、スライド式固定装置302が靴底706に近い近位置708にある。
図7Bは、締め付け状態のフットウェア製品700を示し、スライド式固定装置302がカラー310に近い遠位置710にある。
図7Bは、締め付けられた状態でのスライド式固定装置302およびヒールレースガイド312′を通るレース314の動きの詳細を示す差込み図を含む。
【0029】
フットウェア製品300、600、700は様々な特定の実施形態を示しているが、フットウェア製品300、600、700に関して開示された様々な原理のいずれも他の適切な設計に従って省略または適用することができることを認識および理解されたい。したがって、例えば、様々なレースガイド312によって生成されるレーシングアーキテクチャは、レース314がスロート部304上を往復する従来のクロスオーバー設計としてもよい。スライド式固定装置302は、様々な適切な場所に再配置してもよい。アッパー306、604、704の材料は、フットウェア製品300、600、700の足500への固定を促進するために、様々な部分に弾性または堅さを与えるよう選択してもよい。
【0030】
図8A~8Cは、様々な例示的な実施形態において、フットウェア製品300、600、700のいずれかのレーシングアーキテクチャの代わりに、またはそれらと組み合わせて利用し得るレーシングアーキテクチャを示す。フットウェア製品800は、フットウェア製品800の外側部806からフットウェア製品800の内側部808まで延びる第1の折り重ねストリップ804と、内側部808から外側部806まで延びる第2の折り重ねストリップ810とを有するアッパー802を含む。折り畳みストリップ804、810の各々はフットウェア製品800のソール812から延びる。第1の折り重ねストリップ804はレースガイド312を含む。様々な例では、第2の折り畳みストリップ810はレースガイド312(隠れている)を含んでもよいし、また第2の折り畳みストリップ810はアッパー802またはソール812のいずれかに固定してもよい。ヒールストリップ814は、追加のレースガイド312を含む。
【0031】
フットウェア製品300と同様に、レース314の中央部は、スプール210(図示せず)と係合される。モータ212(図示せず)がスプール214を回転させると、力がレース314に加えられ、レースガイド312に伝達される。フットウェア製品800の場合、力はヒールストリップ814と、第1の折り重ねストリップ804と、様々な例では、第2の折り重ねストリップ810に加えられる。それぞれのレースガイド312にかかる力がヒールストリップ814および折り重ねストリップ804、810をアッパー802上で締め付けて、足をフットウェア製品800内に固定する。
【0032】
追加のレースガイド312は図示されていないが、レース314は入口点でアッパー802に入ること、およびアッパー802がアッパー内にポケットを形成する内層および外層を含む場合、追加のレースガイド312はポケットと一緒に配置することができることに留意されたい。従って、レーシングアーキテクチャはさらにアッパー内に含めて、外から見えないようにすることもできる。
【0033】
フットウェア製品800の図示された例は、スライド式固定装置302を具体的に例示していないが、スライド式固定装置302は、フットウェア製品300、600、700に関して開示された原理に従って、このアーキテクチャ内に実装することができることを認識および理解されたい。したがって、スライド式固定装置302は、フットウェア製品300、600、700に示されている様々な位置に従って、またはフットウェア製品800の任意の適切な位置に従って配置することができる。
【0034】
実施例:
実施例1では、フットウェア製品は、ミッドソールと、前記ミッドソールに対して固定されたアッパーであって、着用者の足を受け入れるための開口部を形成し、前記開口部は、フットウェア製品を着用者の足に固定するために、アッパーの第1のセグメントとアッパーの第2のセグメントとの間で調整可能である、アッパーと、前記アッパーの第1のセグメントと第2のセグメントとの間に結合され、ある長さのトラックに沿ってスライドし、前記第1および第2のセグメントを一緒に固定するように構成されたスライド式固定装置と、前記ミッドソール内に配置され、レースと係合してレースの張力を増減するように構成された電動レーシングシステムであって、モータと、前記モータに動作可能に結合され、前記レースの張力を増減させるために前記レースを巻き取り巻き戻すように構成されたレーススプールとを備える、電動レーシングシステムと、を備え、前記レースが前記スライド式固定装置に固定され、前記レースに張力がかかると、前記レースが前記スライド式固定装置を前記トラックに沿ってスライドさせて前記第1および第2のセグメントを一緒に固定する。
【0035】
実施例2では、実施例1のフットウェア製品は、前記スライド式固定装置がジッパーを含む、ことを任意選択でさらに含む。
【0036】
実施例3では、実施例1および2のいずれか1つ以上のフットウェア製品は、前記アッパーがスロート部を含み、前記第1および第2のセグメントがスロート部の対向縁部に結合されている、ことを任意選択でさらに含む。
【0037】
実施例4では、実施例1-3のいずれか1つまたは複数のフットウェア製品は、前記第1および第2のセグメントが、前記フットウェア製品の内側部または外側部の開口部の対向縁にある、ことを任意選択でさらに含む。
【0038】
実施例5では、実施例1-4のいずれか1つまたは複数のフットウェア製品は、前記第1および第2のセグメントが、前記フットウェア製品のヒールカウンタ部の開口部の対向縁に結合されている、ことを任意選択でさらに含む。
【0039】
実施例6では、実施例1-5のいずれか1つまたは複数のフットウェア製品は、前記アッパーに固定された複数のレースガイドをさらに含み、前記レースが前記複数のレースガイドを通って延在し、前記レースに張力をさらに加えると、前記アッパーの一部が収縮する、ことを任意選択でさらに含む。
【0040】
実施例7では、実施例1-6のいずれか1つまたは複数のフットウェア製品は、前記アッパーが、前記スライド式固定装置が前記トラックに沿ってスライドした後、前記レースに張力を加えることにより、前記アッパーの一部の収縮を生じるように構成されている、ことを任意選択でさらに含む。
【0041】
実施例8では、実施例1-7のいずれか1つまたは複数のフットウェア製品は、前記アッパーが、前記スライド式固定装置が前記トラックに沿ってスライドするのを停止した後、前記レースに張力を加えることにより、前記アッパーの一部の収縮が生じるように構成されている、ことを任意選択でさらに含む。
【0042】
実施例9では、実施例1-8のいずれか1つまたは複数のフットウェア製品は、前記アッパーが、前記モータがレースを巻き戻したときに前記開口部から足を取り出すことにより、前記スライド式固定装置がトラックに沿って反対方向にスライドするように構成されている、ことを任意選択でさらに含む。
【0043】
実施例10では、実施例1-9のいずれか1つまたは複数のフットウェア製品は、前記アッパーが、前記アッパーの一部分を収縮させることにより、隣接するレースガイド間の垂直距離が減少するように構成されている、ことを任意選択でさらに含む。
【0044】
実施例11では、方法は、ミッドソールに対してアッパーを固定し、着用者の足を受け入れる開口部であって、フットウェア製品を着用者の足に固定するために、アッパーの第1のセグメントとアッパーの第2のセグメントとの間で調整可能である開口部を形成するステップと、前記アッパーの第1のセグメントと第2のセグメントとの間に、ある長さのトラックに沿ってスライドし、前記第1および第2のセグメントを一緒に固定するように構成されたスライド式固定装置を結合するステップと、前記ミッドソール内に配置され、レースと係合してレースの張力を増減するように構成された電動レーシングシステムであって、モータおよび前記モータに動作可能に結合され、前記レースの張力をそれぞれ増加および減少させるために前記レースを巻き取りおよび巻き戻すように構成されたレーススプールを備える、電動レーシングシステムを配置するステップと、前記レースを前記スライド式固定装置に固定するステップで、前記レースに張力がかかると、前記レースが前記スライド式固定装置を前記トラックに沿ってスライドさせ、前記第1および第2のセグメントを一緒に締め付け固定するステップと、を含む。
【0045】
実施例12では、実施例11の方法は、前記スライド式固定装置がジッパーを含む、ことを任意選択でさらに含む。
【0046】
実施例13では、実施例11および12のいずれか1つまたは複数の方法は、前記アッパーがスロート部を含み、前記第1および第2のセグメントが前記スロート部の対向縁部に結合されている、ことを任意選択でさらに含む。
【0047】
実施例14では、実施例11-13のいずれか1つまたは複数の方法は、前記第1および第2のセグメントが、前記フットウェア製品の内側部または外側部の開口部の対向縁にある、ことを任意選択でさらに含む。
【0048】
実施例15では、実施例11-14のいずれか1つまたは複数の方法は、前記第1および第2のセグメントが、前記フットウェア製品のヒールカウンタ部の開口部の対向縁に結合されている、ことを任意選択でさらに含む。
【0049】
実施例16では、実施例11-15のいずれか1つまたは複数の方法は、前記アッパーに固定された複数のレースガイドをさらに含み、前記レースが前記複数のレースガイドを通って延在し、前記レースに張力をさらに加えると、前記アッパーの一部が収縮する、ことを任意選択でさらに含む。
【0050】
実施例17では、実施例11-16のいずれか1つまたは複数の方法は、前記アッパーが、前記スライド式固定装置が前記トラックに沿ってスライドした後、前記レースに張力を加えることにより、前記アッパーの一部の収縮を生じるように構成されている、ことを任意選択でさらに含む。
【0051】
実施例18では、実施例11-17のいずれか1つまたは複数の方法は、前記アッパーが、前記スライド式固定装置が前記トラックに沿ってスライドするのを停止した後、前記レースに張力を加えることにより、前記アッパーの一部の収縮が生じるように構成されている、ことを任意選択でさらに含む。
【0052】
実施例19では、実施例11-18のいずれか1つまたは複数の方法は、前記アッパーが、前記モータがレースを巻き戻したときに前記開口部から足を取り出すことにより、前記スライド式固定装置がトラックに沿って反対方向にスライドするように構成されている、ことを任意選択でさらに含む。
【0053】
実施例20では、実施例11-19のいずれか1つまたは複数の方法は、前記アッパーが、前記アッパーの一部分を収縮させることにより、隣接するレースガイド間の垂直距離が減少するように構成されている、ことを任意選択でさらに含む。
【0054】
本明細書を通じて単一のインスタンスとして説明した、コンポーネント、動作、又は構造を複数のインスタンスによって実装することができる。1つ又は複数の方法の個々の動作は別個の動作として図示及び説明されているが、1つ又は複数個々の動作は同時に実行されてもよく、動作が図示の順序で実行される必要はない。例示的な構成において別個のコンポーネントとして提示された構造及び機能は、組み合わされた構造又はコンポーネントとして実装されてもよい。同様に、単一のコンポーネントとして提示された構造及び機能は、別個のコンポーネントとして実装されてもよい。これらの及び他の変形、修正、追加、及び改善は、本明細書の主題の範囲内にある。
【0055】
特定の実施形態は、ロジック、或いは複数のコンポーネント、モジュール、又はメカニズムを含むものとして、本明細書に記載されている。モジュールは、ソフトウェアモジュール(例えば、機械可読媒体又は伝送信号に適用されるコード)又はハードウェアモジュールのいずれかを構成してもよい。「ハードウェアモジュール」は、特定の動作を実行できる有形のユニットであり、特定の物理的な方法で構成又は配置され得る。様々な
例示的な実施形態では、1つ又は複数のコンピュータシステム(例えば、スタンドアロンコンピュータシステム、クライアントコンピュータシステム、又はサーバコンピュータシステム)又はコンピュータシステムの1つ又は複数のハードウェアモジュール(例えば、プロセッサ又はプロセッサのグループ)は、本明細書で説明されるように、特定の動作を実行するように動作するハードウェアモジュールとして、ソフトウェア(例えば、アプリケーション又はアプリケーション部分)によって構成され得る。
【0056】
ある実施形態では、ハードウェアモジュールは、電子的に、機械的に、又はこれらの任意の適切な組み合わせにより実現され得る。例えば、ハードウェアモジュールは、特定の動作を実行するように恒久的に構成された専用の回路又はロジックを含んでもよい。例えば、ハードウェアモジュールは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又はASICなどの専用プロセッサであってもよい。ハードウェアモジュールは、特定の動作を実行するためにソフトウェアによって一時的に構成される、プログラム可能なロジック又は回路を含んでもよい。例えば、ハードウェアモジュールは、汎用プロセッサ又は他のプログラム可能なプロセッサ内に含まれるソフトウェアを含んでもよい。ハードウェアモジュールを機械的に、専用の恒久的に構成された回路で実装するか、或いは一時的に構成された(例えば、ソフトウェアで構成された)回路で実装するかの判断は、コスト及び時間の考慮に基づいて行ってもよい。
【0057】
したがって、「ハードウェアモジュール」という用語は、有形エンティティを包含すると理解されるべきであり、物理的に構成され、恒久的に構成され(例えば、ハードワイヤード)、或いは一時的に構成され(例えば、プログラムされ)、本明細書に記載されるように、一定の方法で動作し、或いは、所定の動作を実行するエンティティであるべきである。本明細書において、「ハードウェア実装モジュール」は、ハードウェアモジュールを指す。ハードウェアモジュールが一時的に構成される(例えば、プログラムされる)実施形態を考慮すると、各々のハードウェアモジュールは、任意の1つのインスタンスで構成される、或いはインスタンス化される必要はない。例えば、ハードウェアモジュールが、専用プロセッサになるようにソフトウェアによって構成された汎用プロセッサを含む場合、汎用プロセッサは、様々な時点において、それぞれ異なる専用プロセッサ(例えば、異なるハードウェアモジュールを含む)として構成され得る。したがって、ソフトウェアは、プロセッサを、例えば、ある時点では特定のハードウェアモジュールを構成し、異なる時点では異なるハードウェアモジュールを構成することができる。
【0058】
ハードウェアモジュールは、他のハードウェアモジュールに対して、情報を提供し、そして、情報を受信することができる。したがって、説明されたハードウェアモジュールは、通信可能に接続されていると見なすことができる。複数のハードウェアモジュールが同時に存在する場合、2つ以上のハードウェアモジュール間又はそれらの間での(例えば、適切な回路及びバスを介した)信号送信によって通信が実現されてもよい。複数のハードウェアモジュールが異なる時間に構成又はインスタンス化される実施形態では、このようなハードウェアモジュール間の通信は、例えば、複数のハードウェアモジュールがアクセスするメモリ構造内への情報の格納及び取得を通じて達成されてもよい。例えば、あるハードウェアモジュールが、ある動作を実行し、その動作の出力を、通信可能に接続されたメモリデバイスに格納してもよい。それから、更なるハードウェアモジュールが、後で、メモリデバイスにアクセスして、格納された出力を取得し、処理してもよい。ハードウェアモジュールは、入力又は出力デバイスとの通信を開始することもでき、リソース(例えば、情報のコレクション)を操作することもできる。
【0059】
本明細書に記載された、例示的な方法の様々な動作は、(例えば、ソフトウェアによって)一時的に構成された、又は関連する動作を実行するように恒久的に構成された1つの又は複数のプロセッサによって、少なくとも部分的に、実行されてもよい。一時的に構成
されているか又は恒久的に構成されているかに関わらず、これらのプロセッサは、本明細書で説明される1つ又は複数の動作又は機能を実行するように動作するプロセッサ実装モジュールを構成することができる。本明細書では、「プロセッサ実装モジュール」は、1つ又は複数のプロセッサを使用して実装されたハードウェアモジュールを指す。
【0060】
同様に、本明細書に記載された方法は、少なくとも部分的にプロセッサ実装としてもよく、プロセッサはハードウェアの一例である。例えば、方法の動作の少なくとも一部は、1つ又は複数のプロセッサ又はプロセッサ実装モジュールによって実行され得る。さらに、1つ又は複数のプロセッサは、「クラウドコンピューティング」環境において、或いは「ソフトウェアアズアサービス」(SaaS)として、関連する動作の実行をサポートするように動作してもよい。例えば、少なくとも一部の動作は、(プロセッサを含むマシンの例として)コンピュータのグループによって実行されてもよく、これらの動作は、(インターネットなどの)ネットワーク及び(アプリケーションプログラムインタフェース(API)などの)1つ又は複数の適切なインタフェースによってアクセスされてもよい。
【0061】
特定の動作の実行は、1つ又は複数のプロセッサの間で分散されてもよく、単一のマシン内に存在するだけでなく、複数のマシンを横断して配置されてもよい。ある例示的な実施形態では、1つ又は複数のプロセッサ又はプロセッサ実装モジュールは、(家庭環境、オフィス環境、又はサーバファーム内などの)1つの地理的場所に配置されてもよい。他の例示的な実施形態では、1つ又は複数のプロセッサ又はプロセッサ実装モジュールは、複数の地理的場所にわたって分散されてもよい。
【0062】
本明細書のいくつかの部分は、(コンピュータメモリなどの)マシンメモリ内のビット又はバイナリデジタル信号として格納されたデータに対する操作のアルゴリズム又は記号表現で提示さている。これらのアルゴリズム又は記号表現は、データ処理分野において、当業者が自分たちの仕事の内容を他の当業者に伝えるために使用する技法の例である。本明細書において、「アルゴリズム」は、所望の結果をもたらす首尾一貫した一連の操作又は同様の処理である。このコンテキストでは、アルゴリズム及び操作には物理量の物理的な操作が含まれる。通常、必ずしもそうではないが、これらの量は、マシンによって記憶、アクセス、転送、結合、比較、又はその他の処理を行うことができる電気的、磁気的又は光学的信号の形をとり得る。主に一般的な使用の理由から、これらの信号を「データ」、「コンテンツ」、「ビット」、「値」、「要素」、「記号」、「文字」、「用語」、「数」、「数量」などの単語を使用して参照することが便利な場合がある。ただし、これらの単語は、便利なラベルにすぎず、適切な物理量に関連付けられている。
【0063】
特に明記しない限り、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「判定」、「提示」、「表示」などの単語を用いた本明細書の説明は、1つ又は複数の(揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又はこれらの適切な組み合わせなど)メモリ、レジスタ、又は情報を受信、保存、送信、又は表示するその他のマシンコンポーネント内の、物理(例えば、電子、磁気、又は光学)量として表されるデータを操作又は変換する(コンピュータなどの)マシンの処理を指し得る。さらに、特に明記しない限り、本明細書において、「a」又は「an」という用語は、特許文書で一般的であるように、1つ又は複数のインスタンスを含む。最後に、本明細書において、特に明記しない限り、「又は」という用語は、非排他的な「又は」を指す。