(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】血糖機能障害の評価および可視化
(51)【国際特許分類】
A61B 5/145 20060101AFI20240708BHJP
G16H 20/10 20180101ALI20240708BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20240708BHJP
【FI】
A61B5/145
G16H20/10
G16H10/00
(21)【出願番号】P 2021537863
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 US2019067479
(87)【国際公開番号】W WO2020139699
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-19
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504016422
【氏名又は名称】デックスコム・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ディー・パテク
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ジェイ・ヴァンスライク
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-534483(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0338630(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06- 5/22
A61M 3/00- 9/00
31/00
39/00-39/28
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血糖機能障害の量を、
コンピューティングデバイスが判定する方法であって、
前記コンピューティングデバイスのデータプロセッサが、対象に関する持続的グルコースモニタリング(CGM)およびインスリンデータを受信することであって、前記CGMおよびインスリンデータが、インスリンボーラス量および前記インスリンボーラス量のタイミングを含む、受信することと、
前記コンピューティングデバイスのリプレイアナライザが、前記CGMおよびインスリンデータのリプレイ解析を実行することであって、リプレイ解析を実行することは、不正確な炭水化物の計数および不適切な炭水化物の比率を除去することによって、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラスの影響を査定することを含む、ことと、
前記コンピューティングデバイスの定量化器が、前記リプレイ解析を使用して、血糖機能障害の量を定量化することと、
前記コンピューティングデバイスの出力デバイスが、前記血糖機能障害の量を表す出力を提供することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記CGMおよびインスリンデータの第1の部分が推定され、前記CGMおよびインスリンデータの第2の部分が報告される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CGMおよびインスリンデータが、推定された代謝状態、調整された推定された代謝入力、および既知の代謝入力を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記CGMおよびインスリンデータに対して前記リプレイ解析を実行することが、食事に関して推定されたボーラス投与のタイミング、炭水化物の計数、および炭水化物の比率の影響を分離することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記CGMおよびインスリンデータに対して前記リプレイ解析を実行することが、リプレイシミュレーション解析を使用して、不正確な炭水化物の計数および不適切な炭水化物の比率を除去することによって、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラスの影響を査定することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記CGMおよびインスリンデータに対して前記リプレイ解析を実行することが、推定された過去の食事時間における数値的に最適なボーラスの影響を査定することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記CGMおよびインスリンデータに対して前記リプレイ解析を実行することが、過去のボーラス時間において、または推定された食事の前の時間においてリプレイシミュレーションを実行することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記CGMおよびインスリンデータに対して前記リプレイ解析を実行することが、過去のCGMおよびインスリンデータ、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラス、または推定された食事時間における数値的に最適なボーラスのうちの少なくとも1つを用いてリプレイシミュレーションを実行することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記CGMおよびインスリンデータに対して前記リプレイ解析を実行することが、
候補ボーラスのセットを生成することと、
各候補ボーラスに関連する将来の血中グルコース(BG)値をシミュレーションすることと、
リスク解析を使用して、各候補ボーラスのシミュレーションされたBG軌道をスコアリングすることと、
各候補ボーラスのスコアに基づいて、最良のボーラスを選んで実装することと、
次のボーラス時間までシミュレーションをリプレイし続けることと、を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記血糖機能障害の量を定量化することが、最適なタイミングのボーラス投与と比較して、推定されたボーラス投与の機能障害の量を定量化することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記血糖機能障害の量を定量化することが、最適なタイミングのボーラス投与と比較して、過去のボーラス投与の機能障害の量を定量化することを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
血糖機能障害の量を判定するためのシステムであって、
対象に関する持続的グルコースモニタリング(CGM)およびインスリンデータを受信するデータプロセッサであって、前記CGMおよびインスリンデータが、インスリンボーラス量および前記インスリンボーラス量のタイミングを含む、データプロセッサと、
前記CGMおよびインスリンデータを使用して、リプレイ解析を実行する、リプレイアナライザであって、前記リプレイ解析を実行することは、不正確な炭水化物の計数および不適切な炭水化物の比率を除去することによって、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラスの影響を査定することを含む、リプレイアナライザと、
前記リプレイ解析を使用して、血糖機能障害の量を定量化する定量化器と、
前記血糖機能障害の量を表す出力を提供する出力デバイスと、を備える、システム。
【請求項13】
前記CGMおよびインスリンデータの第1の部分が推定され、前記CGMおよびインスリンデータの第2の部分が報告される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記CGMおよびインスリンデータが、推定された代謝状態、調整された推定された代謝入力、および既知の代謝入力を含む、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
前記リプレイアナライザが、食事に関して推定されたボーラス投与のタイミング、炭水化物の計数、および炭水化物の比率の影響を分離する、請求項12~14のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への参照による組み込み
本出願は、2018年12月28日に出願された、「EVALUATION AND VISUALIZATION OF GLYCEMIC DYSFUNCTION」という名称の米国仮特許出願第62/786,149号の優先権を主張するものである。前述の出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、明示的に本明細書の一部をなす。
【背景技術】
【0002】
CGM(持続的グルコースモニタリング)および接続されたデバイスの普及に伴い、近年、グルコースの時系列データの可用性および信頼性が高まっている。しかしながら、信頼できるグルコースデータの可用性にもかかわらず、インスリンおよび食事のデータを正確に追跡し、食事時のインスリンのボーラスを最適かつ効果的なタイミングで行うことは、糖尿病を患う多くの人々にとって引き続き問題であり、不良なグルコースのコントロールをもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
リプレイ解析に基づいて、食事ボーラスのタイミングのずれ(例えば、遅延)に関連する血糖機能障害の量が判定される。リプレイ解析に基づいて最適なタイミングのボーラスと比較した、過去のまたは推定されたボーラスの機能障害の量が定量化され、視覚化される。患者からの入力に関する糖尿病の食事管理について推論することができる。
【0004】
一態様によれば、推定時間、ユーザが発表した時間、調整された推定時間、または調整されたユーザが食事について発表した時間は、対象がインスリンを投与したときと比較される。最適な用量に対するインスリン、および最適な食前のタイミングの変更の利点(例えば、リスク低減)が、評価される。
【0005】
実装態様では、血糖機能障害の量を判定する方法が提供される。この方法は、対象に関する持続的グルコースモニタリング(CGM)およびインスリンデータを受信することであって、CGMおよびインスリンデータが、インスリンボーラス量およびインスリンボーラス量のタイミングを含む、受信することと、CGMおよびインスリンデータのリプレイ解析を実行することと、リプレイ解析を使用して、血糖機能障害の量を定量化することと、血糖機能障害の量を表す出力を提供することと、を含む。
【0006】
実装態様では、血糖機能障害の量を判定するためのシステムが提供される。このシステムは、対象に関する持続的グルコースモニタリング(CGM)およびインスリンデータを受信するプロセッサであって、CGMおよびインスリンデータが、インスリンボーラス量およびインスリンボーラス量のタイミングを含む、プロセッサと、CGMおよびインスリンデータを使用してリプレイ解析を生成するリプレイアナライザと、リプレイ解析を使用して、血糖機能障害の量を定量化する定量化器と、血糖機能障害の量を表す出力を提供する出力デバイスと、を含む。
【0007】
実装態様では、血糖機能障害の量を判定する方法が提供される。この方法は、リプレイアナライザで過去の血中グルコース(BG)データおよび過去のインスリンデータを受信することと、過去のBGデータおよび過去のインスリンデータを使用して、過去のボーラスおよび推定された食事について複数のリプレイ解析を実行することと、複数のリプレイ解析のうちの少なくとも1つを使用して、少なくとも1つの残存インスリン(IOB)データ解析を実行することと、複数のレプレイ解析のうちの少なくとも1つを使用して、少なくとも1つのBGデータ解析を実行することと、少なくとも1つのIOBデータ解析および少なくとも1つのBGデータ解析を使用して、少なくとも1つの不一致解析および少なくとも1つの比較を実行することと、少なくとも1つの不一致解析および少なくとも1つの比較に基づいて、出力を提供することと、を含む。
【0008】
実装態様では、血糖機能障害の量を判定するためのシステム。このシステムは、血中グルコース(BG)データ、インスリンデータ、および複数の関数を受信するように構成されている入力デバイスと、BGデータ、インスリンデータ、および複数の関数を受信するように、かつBGデータ、インスリンデータ、および複数の関数を使用して、過去のボーラスに対して、および推定された食事に対して、複数のリプレイ解析を実行するように構成されているリプレイアナライザと、インスリンデータまたは複数のリプレイ解析のうちの少なくとも1つを使用して、複数のIOBの査定を実行するように構成されている残存インスリン(IOB)アセッサと、BGデータまたは複数のリプレイ解析のうちの少なくとも1つを使用して、複数のBGリスクプロファイルを実行するように構成されているBGリスクプロファイラと、複数のIOB査定のうちの少なくとも1つを使用して、複数のIOBプロファイルを実行するように構成されているIOBプロファイラと、BGリスクプロファイラの出力を使用して、リスクプロファイルプロットまたはBGリスクスコアのうちの少なくとも1つを判定するように構成されているBGリスクコンパレータと、IOBプロファイルおよびIOB査定を使用して、複数の不一致解析を実行して、IOBプロファイルプロット、IOB不一致プロット、またはIOBトレース類似性スコアのうちの少なくとも1つを判定するように構成されている不一致アナライザと、リスクプロファイルプロット、BGリスクスコア、IOBプロファイルプロット、IOB不一致プロット、またはIOBトレース類似性スコアの少なくとも1つを出力するように構成されている出力デバイスと、を含む。
【0009】
実装態様では、血糖リスクに基づいて、推奨を提供する方法が提供される。この方法は、対象の過去の血中グルコース(BG)データまたは過去のインスリンデータのうちの少なくとも1つを受信することであって、BGデータおよびインスリンデータは、インスリンボーラス量、およびインスリンボーラス量のタイミングを含む、受信することと、過去のBGデータまたは過去のインスリンデータのうちの少なくとも1つに基づいて、対象の血糖機能障害の第1のリスクスコアを判定することと、対象に最適なBGデータまたは最適なインスリンデータのうちの少なくとも1つを受信することと、過去のBGデータまたは過去のインスリンデータのうちの少なくとも1つに基づいて、対象の血糖機能障害の第2のリスクスコアを判定することと、第1のリスクスコアを第2のリスクスコアと比較することと、第1のリスクスコアと第2のリスクスコアとの比較に基づいて、推奨を出力することと、を含む。
【0010】
実装態様では、血糖リスクを評価する方法が提供される。この方法は、過去の血中グルコース(BG)データまたは過去のインスリンデータのうちの少なくとも1つに基づいて、血糖機能障害の過去のリスクスコアを判定することであって、過去のBGデータおよび過去のインスリンデータが、インスリンボーラス量、およびインスリンボーラス量のタイミングを含む、判定することと、最適なBGデータまたは最適なインスリンデータのうちの少なくとも1つに基づいて、血糖機能障害の最適なリスクスコアを判定することと、過去のリスクスコアと最適なリスクスコアとの間の差を判定することと、差に基づいて、かつ閾値に基づいて推奨を提供することと、を含む。
【0011】
実装態様では、方法は、実際のボーラスの記録に基づいて、第1のIOBトレースを計算することと、最適な治療の第2のIOBトレースを計算することと、第1のIOBトレースを第2のIOBトレースと比較して、IOB類似性スコアを判定することと、IOB類似性スコアを使用して、スマートアラート行動、ユーザ推奨、レポート機能、および視覚化の少なくとも1つを変更することと、を含む。
【0012】
実装態様では、システムは、実際のボーラスの記録に基づく第1のIOBトレースと最適な治療の第2のIOBトレースの比較を使用して、IOB類似性スコアを判定するように構成されている不一致アナライザと、IOB類似性スコアを出力するように構成されている出力デバイスと、を含む。
【0013】
本概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される概念の一部を簡略化して紹介するために提供される。本概要は、請求項された主題の主要な特徴または必須の特徴を識別することを意図したものではなく、また請求された主題の範囲を限定するために使用することを意図したものでもない。
【0014】
前述の概要、ならびに例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、より良好に理解される。実施形態を説明する目的で、実施形態の例示的な構成が図面に示されているが、実施形態は、開示された特定の方法および手段に限定されない。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の高レベル機能ブロック図である。
【
図2】血糖機能障害を評価および視覚化するための例示的な環境の図解である。
【
図3A】は、血糖機能障害を評価および視覚化するための関連する方法での例示的なシステムの実装態様の概略ブロック図を示す。
【
図3B】は、血糖機能障害を評価および視覚化するための関連する方法での例示的なシステムの実装態様の概略ブロック図を示す。
【
図4】実施例に従う、様々なリスクプロファイルプロットの図である。
【
図6】実施例に従う、ボーラス投薬量またはボーラスタイミングを変更することにより、著しく改善する可能性のあるゾーンの図である。
【
図7A】実施例に従う、様々な残存インスリン(IOB)プロファイルプロットの図である。
【
図7B】実施例に従う、様々な残存インスリン(IOB)プロファイルプロットの図である。
【
図8】実施例に従う、過去の時点でのボーラス投与のIOB不一致プロットの図である。
【
図9】実施例に従う、IOB不一致ゾーンプロットの図である。
【
図10】実施例に従う、推定食事時間での最適なボーラス投与のためのIOB不一致プロットの図である。
【
図11】実施例に従う、推定食事時間での最適なボーラス投与に対するIOB不一致エラーゾーンプロットの図である。
【
図13】別の実施例に従う、様々なリスクプロファイルプロットの図である。
【
図14A】別の実施例に従う、様々なIOBプロファイルプロットの図である。
【
図14B】別の実施例に従う、様々なIOBプロファイルプロットの図である。
【
図15A】は、別の実施例に従う、様々なIOB不一致プロットの図である。
【
図15B】は、別の実施例に従う、様々なIOB不一致プロットの図である。
【
図16】血糖機能障害の量を判定するための方法の実装態様の操作フローである。
【
図17】血糖機能障害の量を判定するための方法の別の実装態様の操作フローである。
【
図18】血糖機能障害の量を判定するための方法の別の実装態様の操作フローである。
【
図19】血糖機能障害の量を判定するための方法の別の実装態様の操作フローである。
【
図20】血糖機能障害の量を判定するための方法の別の実装態様の操作フローである。
【
図21】例示的な実施形態および態様を実装することができる例示的なコンピューティング環境を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特許請求された主題は、図面を参照して説明され、同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指すために使用される。以下の説明では、説明のために、請求された主題の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、これらの具体的な詳細がなくても、特許請求された主題を実践することができることは明らかであり得る。他の例では、特許請求された主題の説明を容易にするために、構造およびデバイスをブロック図の形で示している。
【0017】
本発明は、リプレイ使用を意図しており、これは、対象自身の履歴データにおける非効率的または次善のボーラスの影響を、同じデータセットにおける最適なボーラス投与に対する血糖リスクまたはインスリン送達プロファイルの観点から説明できることを意味する。リプレイボーラスタイミング効果が判定される。食前ボーラスコンプライアンスが判定される。本発明の実装態様は、(タイミングと構成との両方の観点から)食事に関する誤情報の影響を具体的な方法で定量化することを目的としている。インスリンの利点(例えば、リスク低減)は、最適な用量に関して、かつ最適な食事前のタイミングの変更に関して評価される。食事は、実装態様に応じて、任意の長さであり得る。食事は、ある時間の長さを有する事象または時間帯にまたがる事象であり得る。時間帯は、実装態様に応じて、任意の期間または時間の長さであり得る。いくつかの実装態様では、時間の長さまたは時間帯は、食事ごとに変化し得るか、または一定の期間であり得る。当業者であれば、食事は、時間帯であり、その時間帯は、様々な方法で定義することができることを理解されるはずである。
【0018】
本明細書でさらに説明するように、対象の食事ボーラスのタイミングの誤り(例えば、遅延)に関連する血糖機能障害の量が再生解析に基づいて判定され、その後、再生解析に基づく最適なタイミングのボーラスと比較して、過去または推定されたボーラス投与の機能障害の量が定量化され、対象またはユーザのために視覚的な形で出力されてもよい。糖尿病の食事管理についての推論は、対象またはユーザによって提供された入力を使用して行うことができる。過去およびリプレイ食事ボーラスの調整を使用して、糖尿病管理を改善するための2つのカテゴリー、すなわちタイミングのずれたボーラスと欠食ボーラスとを区別することができる。
【0019】
本明細書に記載の態様は、糖尿病患者の非効率なボーラス用量およびタイミングのずれたボーラスのパターンおよび血糖値への影響を識別するという問題に取り組んでいる。この問題を複雑にしているのは、ボーラス効率および/またはタイミングの適切さに対する患者の認識が、処方されたインスリン自己治療ガイドラインを一貫して実行しているかどうかによって判定されるという事実である。例えば、食事の時、または食事の直前にボーラス投与を行うという医師の指導の下で、患者は一般に、1日3回の食事のうち2回だけこの戦略を実行すれば、すでにインスリン療法から最大の効果が得られていると考えることができるが、実際には3回目の食事に対してボーラス投与を遅らせることで、低血糖または高血糖への曝露という形態、血糖機能障害に不相応に寄与している可能性がある。「コンプライアンスに則った行動」という漠然とした記憶は、過去に遡ってのデータを徹底的に解析しても、正確な査定とは程遠いことが多い。その結果、主観的な想起または部分的に完全なデータ記録を伴う従来の方法では、非効率的なインスリン治療の存在、または非効率的な治療の影響について、患者および患者の介護者も明確に理解することはできない。
【0020】
本明細書に記載の実装態様は、(i)血中グルコース記録、インスリンデータの関連記録、およびおそらく他の代謝関連情報の徹底的な解析によって、(ii)血中グルコースおよびインスリンの記録に合わせて発表または推定された食事からの(炭水化物、脂肪、およびタンパク質含有量を含む)一連の食事事象と、(iii)代替投与の血糖への影響を過去の記録で推定することができるメカニズムの導出と、(iv)このメカニズムを系統的に適用して、過去のボーラス時、または推定された食事の前にリプレイシミュレーションを行うことを含む、過去のボーラス時間において、かつ検証された食事事象時間において数値的に最適な投薬を行った場合の血糖値への影響を判定することと、(v)低血糖および高血糖への曝露のリスクの観点からの影響を含む、非効率的なインスリン送達に関連する血糖機能障害を総合的に定量化することと、(vi)最適なボーラス投与と過去のインスリン投与パターンとの間の全体的な類似性スコア、および平均的に過去のインスリン投与が数値的に最適なインスリン投与から逸脱している1日の時間の識別を含む、過去のボーラス投与と数値的に最適なボーラス投与との間のインスリン送達における系統的な不一致を考慮することと、に対して技術的に非自明なソリューションを提供する。
【0021】
既存の自己査定または臨床ツールに対する利点が提供される。本明細書に記載されているシステムおよび方法は体系的であり、利用可能なすべての血中グルコースおよびインスリンのデータを考慮しており、「鉛筆および紙」による解析、ならびに標準的な統計査定を用いた「スプレッドシート」による解析をも優に圧倒している。このシステムおよび方法は、患者別の数学的モデルのレンズを通して、血中グルコース、インスリン、および食事の記録の間の複雑な関係の相関関係を識別するという点で包括的である。このように、非効率的なボーリングのパターンと血糖値異常のパターンは、これらの患者固有の相互作用を統計的に解析することで明らかになる。本明細書に記載のシステムおよび方法は、(i)インスリン送達および/または食事事象を想起する際に患者によって、または(ii)医師が、患者の治療ルーチンの誤解を招いてしまう患者の経験について質問をまとめる際に医師によってもたらされる認知バイアスの影響を受けない。
【0022】
実装態様に応じて、例えば、必要とされる過去の血糖機能障害の最小レベルであるhg_min(BGリスク、範囲内時間、平均などとして測定することができ、時間、分、または他の有用な増分で時刻ごとに分類され得る)は、過去とシミュレーションされたグルコース派生測定基準の差として測定される血糖結果の改善の最小レベルであるgdiff_min、および改善された結果に対する必要なインスリン治療の正規化された変更の最小レベルであるidiff_min(頻度ベースおよび/または大きさベースであり得る)を含むが、これらに限定されない様々な計算測定基準を使用することができる。
【0023】
図1は、本発明の実施形態の高レベル機能ブロック
図100である。プロセッサ130は、インスリンデバイス110およびグルコースモニタ120と通信する。インスリンデバイス110およびグルコースモニタ120は、対象140と通信して、インスリンを対象140に送達し、対象140のグルコースレベルをそれぞれ監視する。プロセッサ130は、本明細書でさらに説明される計算を実行するように構成されている。インスリンデバイス110およびグルコースモニタ120は、別個のデバイスとして、または単一のデバイスとして、単一のデバイス内で、または複数のデバイスにわたって実装され得る。プロセッサ130は、インスリンデバイス110、グルコースモニタ120に局所的に、またはスタンドアロンデバイス132として破線で示されるスタンドアロンデバイスとして(またはインスリンデバイス110、グルコースモニタ120の2つ以上の任意の組み合わせで、またはスタンドアロンデバイス)実装され得る。プロセッサ130またはシステムの一部分は、サーバまたはクラウドベースのシステム内などの遠隔地に位置させることができる。
【0024】
インスリンデバイス110などのインスリンデバイスの例には、インスリン注射器、外部ポンプ、およびインスリンを対象に、典型的には皮下組織に送達するパッチポンプが含まれる。インスリンデバイス110はまた、インスリン吸入器、インスリンジェット式注射器、静脈内注入ポンプ、および埋め込み型インスリンポンプなどの異なる手段によってインスリンを送達するデバイスを含む。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、長時間作用型のインスリンを注射器で注入し、食事の前に吸入型のインスリンを使用するなど、2つ以上のインスリン送達デバイスを組み合わせて使用するであろう。他の実施形態では、これらのデバイスは、グルカゴン、プラムリンチド、またはグルコース様ペプチド-1(GLP1)などのグルコースレベルを制御するのを助ける他の薬物を送達することができる。
【0025】
グルコースモニタ120などのグルコースモニタの例には、一定の間隔、例えば、1、5、または10分などでグルコース値を記録する持続的グルコースモニタが含まれる。これらの持続的グルコースモニタは、例えば、経皮的に挿入される、完全に埋め込まれる、または非侵襲的に組織を測定する電気化学的または光学的センサを使用することができる。グルコースモニタ120などのグルコースモニタの例には、静脈内血中グルコースモニタ、微小灌流サンプリング、または定期的なフィンガスティックなど、グルコースを測定するために定期的に血液または他の流体を吸引するデバイスも含まれる。いくつかの実施形態では、グルコース測定値は、ほぼリアルタイムで提供される。他の実施形態では、グルコースモニタによって判定されたグルコース測定値は、その後の取得のためにグルコースモニタ自体に保存することができる。
【0026】
インスリンデバイス110、グルコースモニタ120、およびスタンドアロンデバイス132は、スマートフォン、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、およびタブレットなどの様々なコンピューティングデバイスを使用して実装することができる。他のタイプのコンピューティングデバイスがサポートされる場合がある。好適なコンピューティングデバイスは、コンピューティングデバイス2100およびクラウドベースのアプリケーションとして、
図21に示されている。
【0027】
インスリンデバイス110、グルコースモニタ120、およびスタンドアロンデバイス132は、ネットワークを通して通信することができる。ネットワークは、公衆交換電話網(PSTN)、携帯電話ネットワーク、およびパケット交換ネットワーク(例えば、インターネット)を含む様々なネットワークタイプであり得る。
図1には、1つのインスリンデバイス110、1つのグルコースモニタ120、および1つのプロセッサ130(1つのスタンドアロンデバイス132内)のみが示されているが、サポートすることができるインスリンデバイス、グルコースモニタ、プロセッサ、およびスタンドアロンデバイスの数に制限はない。活動モニタ150および/またはスマートフォン160を使用して、対象140から、またはそれに関連する食事および/または活動データを収集し、食事および/または活動データをプロセッサ130に提供することもできる。
【0028】
プロセッサ130は、オペレーティングシステムおよび1つ以上のアプリケーションを実行することができる。オペレーティングシステムは、どのアプリケーションがインスリンデバイス110、グルコースモニタ120、およびスタンドアロンデバイス132によって実行されるかを制御し、アプリケーションがインスリンデバイス110、グルコースモニタ120、およびスタンドアロンデバイス132の1つ以上のセンサ、サービス、または他のリソースとどのように相互作用するかを制御することができる。
【0029】
プロセッサ130は、インスリンデバイス110およびグルコースモニタ120から、ならびにいくつかの実装態様では対象140からデータを受信し、患者の現在の食事のボーラス投与戦略を評価し、それを代替のボーラス投与時間およびインスリン量と比較するリプレイ解析を実行する。
【0030】
より具体的には、
図2は、血糖機能障害を評価および視覚化するための例示的な環境200の図である。コンピューティングデバイス201は、リプレイアナライザ220、残存インスリン(IOB)アセッサ225、血中グルコース(BG)プロファイラ230、IOBプロファイラ235、BGリスクコンパレータ240、不一致アナライザ245、および出力デバイス250を実装することができるプロセッサ130などの1つ以上のプロセッサを含む。コンピューティングデバイス201は、コンピューティングデバイス2100として
図21に示されるコンピューティングデバイスに実装することができ、マイクロコントローラ上に、またはインスリンデバイス110、グルコースモニタ120、または他のインスリン送達デバイス内に位置するプロセッサを使用して、またはスタンドアロンコンポーネント(またはインスリンデバイス110、グルコースモニタ120、または他のインスリン送達デバイス、またはスタンドアロンコンポーネントの2つ以上の組み合わせ)として実装することもできる。
【0031】
コンピューティングデバイス201は、対象コンピューティングデバイス205と、例えばネットワークおよび/または通信インターフェースを介して通信しており、インスリンデバイス110およびグルコースモニタ120、ならびに医師、介護者、医療提供者、病院、診療所、大学などによって維持されているか、またはそれらに関連する1つ以上のデバイスまたはプロセッサから、ネットワークおよび/または通信インターフェースを介してデータ210および関数215を受信するように構成されている。
【0032】
対象コンピューティングデバイス205(活動モニタ150、スマートフォン160、または
図21に関して説明したコンピューティングデバイス2100のような他のタイプのコンピューティングデバイスなど)は、対象140が対象の食事およびボーラス投与(例えば、タイミング、量など)に関するデータ(対象提供データ207)を入力するために使用され得る。いくつかの実装態様では、このデータは、人為的エラー、バイアス、および/または行動の不一致または異常の影響を受けるため、信頼できないデータと見なされる場合がある。データ210は、過去の血中グルコースの量、過去のインスリン投与量、食事情報、対象の初期(例えば、食前)の状態、インスリン投薬戦略など、対象提供データ207ではないデータを含んでもよい。いくつかの実装態様では、このデータは、機械によって提供され、機械によって検証され、所定の閾値を超える信頼値を有すると判定され、および/または人為的エラー、バイアス、または行動の不一致または異常の恐れがなく、耐性があり、および/または影響を受けないため、信頼できるデータであると考えられる。関数215は、食事コンパイラ(例えば、食事コンパイラ303)およびリプレイ予測関数(例えば、リプレイ予測関数305)を生成するリプレイコンパイラ(例えば、リプレイコンパイラ304)などの1つ以上の代謝モデリング関数、ならびに本明細書でさらに説明されるような1つ以上のリスク、プロファイリング、および査定関数を含んでもよい。
【0033】
リプレイアナライザ220は、対象提供データ207、データ210、および機能215を使用して、本明細書でさらに説明するように、過去のボーラス時に最適なボーラスを伴うリプレイ、および査定された食事時に最適なボーラスを伴うリプレイなど、1つ以上のリプレイ解析を実行する。実装態様に応じて、リプレイアナライザ220からの出力のうちの1つ以上は、IOBアセッサ225、BGリスクプロファイラ230、およびIOBプロファイラ235のうちの1つ以上に提供され得る。このように、実装態様では、リプレイアナライザ220は、対象に関連するCGMおよびインスリンデータを受信するデータプロセッサとして機能することができる。いくつかの実装態様では、代替的または追加的に、リプレイアナライザ220は、対象に関連するCGMおよびインスリンデータを生成するデータジェネレータとして機能し得る。
【0034】
IOB評価者225は、過去データのIOB査定、過去の時間における最適なボーラスのIOB査定、および推定された食事時間における最適なボーラスのIOB査定などの1つ以上のIOB査定を実行することができる。実装態様に応じて、IOBアセッサ225からの出力のうちの1つ以上は、IOBプロファイラ235および不一致アナライザ245のうちの1つ以上に提供され得る。
【0035】
BGリスクプロファイラ230は、過去の時間における最適なボーラスのためのBGリスクプロファイリング、および推定された食事時間における最適なボーラスのためのBGリスクプロファイリングなど、1つ以上のBGリスクプロファイルを生成してもよい。実装態様に応じて、BGリスクプロファイラ230からの出力のうちの1つ以上は、BGリスクコンパレータ240および不一致アナライザ245のうちの1つ以上に提供され得る。このように、実装態様では、BGリスクプロファイラ230は、リプレイ解析を使用して血糖機能障害の量を定量化する定量化器として機能する。
【0036】
IOBプロファイラ235は、過去の時間における最適なボーラスのためのIOBプロファイリング、および推定された食事時間における最適なボーラスのためのIOBプロファイリングなど、1つ以上のIOBプロファイルを生成してもよい。実装態様に応じて、IOBプロファイラ235からの出力のうちの1つ以上は、不一致アナライザ245に提供され得る。
【0037】
BGリスクコンパレータ240は、BGリスクプロファイル比較関数を実行して、リスクプロファイルプロットおよび総BGリスクスコアを生成し、これらは、出力デバイス250によって記憶、表示、および/または送信され得る。
【0038】
不一致アナライザ245は、1つ以上のIOB不一致解析を実行し、1つ以上のプロットおよびスコアを、記憶、表示、および/または送信のために出力デバイス250に提供され得る。
【0039】
図3Aおよび
図3Bは、血糖機能障害を評価および視覚化するための関連する方法での例示的なシステム300の実装態様の概略ブロック図を示す。このシステムは、対象の現在の食事のボーラス投与戦略を評価し、それを代替のボーラス投与時間およびインスリン量と比較するリプレイ解析ツールに向けられている。
【0040】
システム300の出力は、例えば、対象の食事に関するボーラスのタイミング、炭水化物の計数、および炭水化物の比率の影響を分離することによって、行動の問題を識別するために使用することができる。リプレイシミュレーション解析を使用して、過去のボーラス時間における数値的に最適な(不正確な炭水化物の計数または不適切な炭水化物の比率を除去する)ボーラスの影響を査定し、推定された過去の食事時間における数値的に最適なボーラスの影響を査定することができる。
【0041】
実装態様では、リプレイシミュレータが、数値的に最適なボーラスを計算する時間であると判定すると、候補ボーラスのセットを生成し、各候補ボーラスに関連する将来のBG値をシミュレートし、速度依存リスク解析などのリスク解析を使用して、各候補ボーラスのシミュレーションされたBG軌道を「スコアリング」し、最良のボーラスを選択して実装し、次のボーラスの時間までシミュレーションをリプレイし続ける。リプレイを介した候補ボーラスは、それらの正確な時間でのリプレイに加えて、またはその代わりに、調整された食事時間または過去の投薬時間の近辺の目標時間帯内の時間にリプレイすることができる。
【0042】
システム300は、過去のデータにおける食事のタイミングおよび量の両方の正確な査定を使用する。(例えば、記憶装置から受信した)データ210および/または対象コンピューティングデバイス205からの対象提供データ207を含む入力は、インスリンボーラス量およびタイミングを含む、CGM(持続的グルコースモニタリング)データおよびインスリンデータに向けられる。実装態様では、過去のBGデータ301({bg(t)}t=0、1、…で表される)と過去のインスリン302({i(t)}t=0、1、…で表される)は時系列であり、入力として使用される。これが元のデータであることに留意されたい。
【0043】
文書化されていない食事時間は、すべての炭水化物事象の時間および量を推定するために、CGMデータ(例えば、過去のBGデータ301)およびインスリンデータ(例えば、過去のインスリンデータ302)、ならびに場合によっては食事のユーザ承認を使用して推定される。他の実装態様で使用することができる他の入力には、(例えば、運動に合わせて治療をどのように最適化するかを判定するための)運動、(例えば、必要な量を判定するための)レスキュー炭水化物、他の食事ボーラス投与戦略(例えば、分割、遅延、延長ボーラス投与)、および経口薬などを含むタイプ2の治療が含まれる。このデータは信頼できるもの、または信頼できないものであり得る。
【0044】
実装態様では、CGMデータとインスリンデータは時間的に「離散化」され(例えば、最も近い5分のサンプルにスナップされ)、適切に集計される。例えば、5分間隔で2つ以上のボーラスがあった場合、対応するサンプルのインスリン値は、ボーラスの合計(および基礎の影響)になる。このCGMデータおよびインスリンデータは、リプレイ状態推定のための基本的な入力を形成し、これは次に、そのデータセットのリプレイシミュレータを構築するためのステップとなる。
【0045】
過去のBGデータ301および過去のインスリンデータ302は、食事コンパイラ303およびリプレイコンパイラ304に提供され、これらは次に、リプレイ予測関数305および推定された食事の査定されたシーケンス306を出力する。リプレイ予測関数305は、過去の記録の任意の点から、代替のインスリン送達に関連する(すなわち、過去のインスリン送達から逸脱する)であろう血中グルコース結果を予測する能力を提供する。具体的には、代替インスリン時系列302({ialt(t)}t=0,1,…で表すことができる)を、予測された血中グルコースデータの時系列({bgalt(t)}t=0,1,…で表すことができる)にマッピングする。
【0046】
食事コンパイラ303は、過去のBGデータおよびインスリン送達データ、ならびに場合によっては患者から直接記録された、および/または想起した食事事象を含む過去のデータの他のソースを解析する。推定された食事の出力されたシーケンス306は、(i)過去の血中グルコースおよびインスリン送達データ間の相関から検出/推定され得る食事事象と、(ii)データの他のソースから推測または直接想起した食事事象との間の調整を表す。過去の血中グルコースおよびインスリンデータから検出/推定された食事は、デコンボリューションまたは正規化されたデコンボリューションを含む様々なメカニズムから導き出すことができる(例えば、Patek S.D.et al.,“Empirical Representation of Blood Glucose Variability in a Compartmental Model”Kirchsteiger H.et al.(eds)Prediction Methods for Blood Glucose Concentration(Lecture Notes in Bioengineering)、2016を参照)
【0047】
食事時間はまた、代謝モデルの当業者に知られている他のアプローチを使用して、同じデータセットから推定することができる。代謝モデルは、全身および局所的なグルコース代謝を説明する(例えば、Cobelli C. et al.,“Modeling Glucose Metabolism in Man:Theory and Practice”、Hormone and Metabolic Research、Supplemental Series、1990、24:1-10、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2272612を参照)。これらのモデルは、体の異なる区分におけるグルコースおよび他の代謝物のレベルおよび分布、体の異なる区分におけるインスリン、および他のホルモン、および薬物のレベルおよび分布、消費と生成とを表す区分間のグルコース輸送動態を説明する。これらのモデルは、サンプル(例えば、静脈血または間質液)を採取し、臨床解析装置を使用して区分の入力および出力を追跡する臨床現場で使用することができる。代謝物の分布を追跡するトレーサ研究もまた、存在する。これらの研究では、入力(食事、インスリン、運動など)と出力が注意深く制御され、測定されている。結果として得られる代謝モデルは、食事からのグルコースエクスカーションの患者別モデルを提供することができ、これを患者のグルコースモニタと比較して食事の特性を推定することができる。
【0048】
グルコースモニタのトレースのパターンおよび特徴から、食事のエクスカーションのタイミングおよび大きさを検出する方法もある。例としては、CGMデータの加速度もしくは上方への変化を検出すること、または食事のエクスカーションモデル(例えば、最小モデル)を時系列に適合することが含まれる。食事情報は、臨床研究または患者の記録から直接取得することもできる。検出/推定された食事と不確実または信頼できない食事データのソースとの間の調整は、例えば、検出および報告された食事をクラスタ化し、食事の内容を平均化することによって達成することができる。推定された食事の査定されたシーケンス306が判定され、コンパイラ303、304から出力される。
【0049】
実装態様では、食事コンパイラ303は、過去の血中グルコース測定値(例えば、CGM)、インスリン投薬量(例えば、ポンプまたはペン)、ならびに任意選択的に食事の発表から食事時間および/または有効サイズを推定する。
【0050】
リプレイコンパイラ304はまた、過去のBGデータおよびインスリン送達データ、ならびに場合によっては患者から直接記録された、および/または想起した食事事象を含む過去のデータの他のソースを解析する。これは、様々な方法(コンピュータアルゴリズムを含む)で表現することができる数学的関数であるリプレイ予測関数305を生成し、過去の記録の任意の点から、代替のインスリン送達に関連する(すなわち、過去のインスリン送達から逸脱する)であろう血中グルコース結果を予測する能力を提供する。リプレイ予測関数305は、同じ食事に対する他のインスリン投薬戦略がより良好な結果(例えば、より低い血糖リスク)をもたらすかどうかを評価する。再生予測関数305は、患者の初期状態(食前)、1つ以上の食事事象、およびインスリン投薬戦略を入力とし、それをその食事/日の結果としてのグルコースエクスカーションにマッピングする。リプレイ予測関数の機能は、推定された食事の検証された流れを、それらが導き出される数学的モデルに挿入することで、血中グルコースデータから導き出すことができる(例えば、Patek S.D.et al.,“Empirical Representation of Blood Glucose Variability in a Compartmental Model”Kirchsteiger H.ら(eds)Prediction Methods for Blood Glucose Concentration(Lecture Notes in Bioengineering)、2016を参照)。代替的に、他の血中グルコースシミュレーション方法論を、区分モデルまたはデータ駆動型方法から導き出されるシミュレータを含む、推定される食事の検証されたシーケンスに適用することができる。
【0051】
過去のBG301はまた、過去の時間322における最適なボーラスのためのBGリスクプロファイリングの判定に使用するために、BGリスクプロファイラ(BGリスクプロファイラ230など)に提供され得る。過去のインスリン302はまた、過去のデータ316のIOB査定の判定に使用するためにIOBアセッサ(IOBアセッサ225など)に提供され得、また、過去のボーラス312の時点での最適なボーラスでのリプレイにおいて使用されるためにリプレイアナライザ(リプレイアナライザ220など)に提供され得る。
【0052】
システム300が使用することができる他の関数には、過去のボーラス時間において、または検証された食事事象時間においてリプレイ予測関数305に挿入される数値的に最適なボーラスを識別するために使用されるBGリスク関数307、過去の血中グルコース記録またはリプレイ予測関数からのリプレイされた血中グルコース記録のいずれかにおける低血糖および高血糖への曝露のリスクの集計査定を導き出すために使用されるBGリスクプロファイリング関数308、およびIOB査定関数310が含まれる。
【0053】
IOB査定関数310は、インスリンが体内でどのように吸収され、グルコースレベルに作用し始め、体内をクリアしていくかなどを含む、注射されたインスリンが体内で作用する時間経過を含む、前の投薬からインスリンがどれだけ体内に残っているかを追跡する計算である。例えば、即効性インスリンは1時間でピーク作用に達し、総作用時間は4時間になり得る。IOB関数は、インスリンがピーク値に達するまでにかかる時間とそれに続く減衰曲線を表すために、様々な数学的形態を採ることができる。これらのIOB関数は、糖尿病の対象がボーラスインスリン投薬量を推定するのに役立つボーラス計算機(インスリンポンプおよび電話アプリ)で使用される(例えば、Zisser H.et al.,“Bolus Calculator: A Review of Four ‘Smart’ Insulin Pumps”、Diabetes Technology&Therapeutics、2008年12月、10(6):441-4、doi:10.1089/dia.2007.0284、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19049372を参照。いくつかの実施形態では、IOB関数は、患者、その医療提供者、またはインスリン製造業者によって提供されるパラメータを使用する。他の実施形態では、IOB査定関数を最適化して、患者別のインスリン作用曲線を作成することができる。
【0054】
実装態様では、再生予測関数305は、元のデータ(例えば、食事およびインスリン)を観測値(例えば、CGM)に十分な精度でマッピングし、患者の生理機能(例えば、インスリン活性および炭水化物感受性)をモデル化するように、結果として生じるグルコースエクスカーションに代替投薬戦略をマッピングし、安定した滑らかな関数であるIOBの推定値など、問題に対する信頼性の高い解釈可能なソリューションを提供する。
【0055】
実装態様では、既知の入力およびユーザが発表した食事を使用して、同じ入力状態で代替のインスリン戦略をリプレイできる関数を生成する。これは、関数が入力データを取り、知識を抽出し、新しい関数を作成する構造である。
【0056】
リプレイ予測関数305はまた、代謝モデルの当業者に知られている他のアプローチを使用して、同じデータセットから構築することができる。1つの例示的なアプローチは、代謝モデルのパラメータを対象のデータまたは臨床研究に適合させることである。別の可能なアプローチは、グルコースエクスカーションを予測するために同様のデータでニューラルネットワークをトレーニングすることである。
【0057】
要素312~342に関するシステム300について、例えば、食事の見逃しまたは誤ったユーザ入力などの行動の問題を考慮して、システムは、CGMおよびインスリンデータに基づいて、食事に関連するボーラスの不適切なタイミングに関連する血糖機能障害を判定および定量化する。これは、行動上の問題を識別するため、また、本明細書でさらに説明するように、例えば、
図4~
図15Bに関して、食事に関するボーラスのタイミング、ならびに炭水化物の計数および炭水化物の比率の影響を分離するために使用することができる。
【0058】
312では、過去のボーラスの時点において最適なボーラスでのリプレイが、リプレイ予測関数305および過去のインスリン302を入力として使用して(例えば、リプレイアナライザ220によって)実行される。312の出力には、過去の時間での最適なボーラスのためのリプレイされたCGM、および過去の時間での最適なボーラスのためのリプレイされたインスリンが含まれる。
【0059】
314では、推定された食事の時間における最適なボーラスでの再生が、リプレイ予測関数305および推定された食事データ306を入力として使用して(例えば、リプレイアナライザ220によって)実行される。314の出力は、推定された食事時間における最適なボーラスのためのリプレイされたCGM、および推定された食事時間における最適なボーラスのためのリプレイされたインスリンを含む。312および314の出力は、リプレイを使用してシミュレーションされたデータであることに留意されたい。これは、対象がこれらの時間にボーラス投与された場合に、リスク、IOB、BG、および関連するデータと結果がどのように異なるかをシミュレーションする。
【0060】
316では、過去のデータのIOB査定が、入力として過去のインスリン302を使用して(例えば、IOBアセッサ225によって)実行される。IOB査定を実行するための任意の既知の手法を使用することができる。316の出力は、以下にさらに説明する324での、かつ338および342での過去の時間における最適なボーラスのIOBプロファイリングで使用される。
【0061】
318では、過去の時間における最適なボーラスのIOB査定が、312からの過去の時間における最適なボーラスのリプレイされたインスリンを入力として使用して(例えば、IOBアセッサ225によって)実行される。318の出力は、以下にさらに説明する328での、かつ338での過去の時間における最適なボーラスのIOBプロファイリングで使用される。
【0062】
320では、推定された食事時間における最適なボーラスのIOB査定が、推定された食事時間における最適なボーラスのリプレイされたインスリンを入力として使用して(例えば、IOBアセッサ225によって)実行される。320の出力は、以下でさらに説明する332での、かつ342での推定された食事時間における最適なボーラスのIOBプロファイリングで使用される。
【0063】
322では、過去のBG301を入力として使用して、過去の時間における最適なボーラスのBGリスクプロファイリングが(例えば、BGリスクプロファイラ230によって)実行される。出力は、以下でさらに説明するBGリスクプロファイル比較関数334によって使用される。
【0064】
上記のように、324では、過去の時間での最適なボーラスのIOBプロファイリングが、(例えば、IOBプロファイラ235によって)実行される。324の出力は、以下でさらに説明する336および340で使用される。
【0065】
326では、312で生成された過去の時間における最適なボーラスのリプレイされたCGMを使用して、(例えば、BGリスクプロファイラ230によって)過去の時間における最適なボーラスのBGリスクプロファイリングが実行される。326の出力は、以下でさらに説明する334で使用される。
【0066】
328では、過去の時間での最適なボーラスのIOBプロファイリングが、過去の時間318での最適なボーラスのIOB査定の出力を入力として使用して(例えば、IOBプロファイラ235によって)実行される。328の出力は、以下でさらに説明する336で使用される。
【0067】
330では、314で生成された推定された食事時間における最適なボーラスのリプレイされたCGMを使用して、(例えば、BGリスクプロファイラ230によって)推定された食事時間における最適なボーラスのためのBGリスクプロファイリングが実行される。330の出力は、以下でさらに説明する334で使用される。
【0068】
332では、推定された食事時間における最適なボーラスのためのIOBプロファイリングが、推定された食事時間320における最適なボーラスのためのIOB査定の出力を入力として使用して(例えば、IOBプロファイラ235によって)実行される。332の出力は、以下でさらに説明する340で使用される。
【0069】
出力に関しては、患者が行動上の問題を抱えていなければ、対象にとってより良好な結果が達成されたであろうことを示すために、チャートおよび/またはレポートを生成、送信、および/または表示することができる。いくつかの実装形態では、本明細書に企図される方法およびシステムは、本明細書でさらに説明されている閾値に基づいて、特定の推奨事項を表示するかどうか、特定のグラフィック推論を行うかどうか、または他のアクションを実行するかどうかを判定する。
【0070】
BGリスクプロファイルの比較は、322および326の過去の時間における最適なボーラスのためのBGリスクプロファイルおよび330の推定食事時間における最適なボーラスのためのBGリスクプロファイルの出力を入力として受信するBGリスクプロファイル比較関数334を使用して例えば、BGリスクコンパレータ240によって)実行される。BGリスクプロファイル比較関数334の出力は、例えば
図4~
図15Bに関して本明細書でさらに説明したような、過去の情報、過去のボーラス時間情報における最適ボーラス、および推定された食事時間情報における最適ボーラスに向けられたデータおよび/または指標を各々有する、リスクプロファイルプロットおよび総BGリスクスコアを含み得る。
【0071】
比較BGリスクプロファイルの差分を定量化して、過去のCGM、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラスでリプレイシミュレーションしたCGM、および推定された食事時間における数値的に最適なボーラスを挿入したリプレイシミュレーションしたCGMを含む、様々な用途および/またはフィードバックループのための数値出力を生成することができる。
【0072】
比較BGリスクプロファイルの差異は、例えば、プロットおよび視覚化を使用すること、高血中グルコースリスク、低グルコースリスク、総血糖リスクを示すリスク指標を使用すること、ならびに例えば、
図4に関して説明したような、範囲外のBGレベルへのエクスカーションの数および程度を示すことなど、様々な方法で定量化することができる。
【0073】
336では、IOBプロファイル不一致解析が(例えば、不一致アナライザ245によって)実行され、過去のインスリンを過去の時間における最適なボーラスと比較する。336への入力は、324および328の過去の時間における最適なボーラスのIOBプロファイリングの出力を含み、336の出力は、過去の情報に向けられたデータおよび/または指標、ならびに過去のボーラス時間情報における最適なボーラスを伴うIOBプロファイルプロットを含む。
【0074】
338では、IOBトレース不一致解析が(例えば、不一致アナライザ245によって)実行され、過去のインスリンを過去の時間における最適なボーラスと比較する。338への入力は、316の過去のデータのIOB査定の出力、および318の過去の時間における最適なボーラスのIOB査定の出力を含む。338の出力は、過去のボーラス情報に対する過去のボーラス時間における最適なボーラスに向けられたデータおよび/または指標を有するIOB不一致プロットおよびIOBトレース類似性スコアを含む。
【0075】
340では、IOBプロファイル不一致解析が(例えば、不一致アナライザ245によって)実行され、過去のインスリンを推定された食事時間における最適なボーラスと比較する。340への入力は、324の過去の時間における最適ボーラスのためのIOBプロファイリングの出力、および332の推定された食事時間における最適なボーラスのためのIOBプロファイリングの出力を含む。340の出力は、過去の情報および推定された食事時間情報における最適なボーラスに向けられたデータおよび/または指標を有するIOBプロファイルプロットを含む。
【0076】
342では、IOBトレース不一致解析が(例えば、不一致アナライザ245によって)実行され、過去のインスリンを推定された食事時間における最適なボーラスと比較する。342への入力は、316の過去のデータのIOB査定の出力、および320の推定された食事時間における最適なボーラスのIOB査定の出力を含む。342の出力は、過去のボーラス情報に対する推定された食事時間における最適なボーラスに向けられたデータおよび/または指標を有するIOB不一致プロットおよびIOBトレース類似性スコアを含む。
【0077】
したがって、リプレイシミュレーションの出力は、過去の時間における血糖機能障害を示している。例えば、グラフ上の過去の/推定されたリスクプロファイルは、血糖曝露の差を示すことができる。過去のCGMは、過去のボーラス時間における最適なボーラスを伴うリプレイシミュレーションCGMに対して、および推定された食事時間および過去のボーラス時間における最適なボーラスを伴うリプレイシミュレーションCGMに対して表示され得る。
【0078】
高血中グルコースリスク、低血中グルコースリスク、および総血糖リスクなどのリスク指標が表示され得る。これらのリスクは、数値、色、定量化された値などを含むチャート上の表現として表示され得る。範囲外BGレベルへのエクスカーションの数および範囲も識別され、示され得る。数値表現を使用して、2つの数値の可否の比較など、血糖関数/良し悪しを示すことができると考えられる。
【0079】
別の出力は、食前のボーラス投与の要件へのコンプライアンスを示すものであり得る。対象の理想的な食前ボーラスが判定され、次に、この理想的な食前ボーラスからの対象の逸脱が判定される。スコアは、例えば、数値的に、チャートにおいて、生成および出力され得る。本実施形態では、血糖機能障害を定量化するステップは、理想的な食前ボーラスタイミングへのコンプライアンス(または逸脱)を定量化すると見なすことができる。実装態様では、視覚化(コンプライアンスの効果を示す)または推奨(例えば、「将来このタイプの食事の20分前のボーラス」)を生成して出力することができる。
【0080】
本明細書に記載されている様々な出力は、医療専門家が食前ボーラス投与のコンプライアンスと治療調整の潜在的な利益によって対象を識別するためのリスク層別化ツールとして使用することができる。出力は、明瞭さレポートで最も影響力のある潜在的な変化を強調するために使用することができる(例えば、ボーラス量に対するインスリンのタイミングの変更、または最高の食事の強調)。出力は、コーチングコールまたはチャットボットプロンプトを介して、コーチングコメントおよびディスカッションポイントをトリガするために使用することができる。
【0081】
図4は、実施例に従う、様々なリスクプロファイルプロット400の図である。この例では、対象に対して、総リスクCGMは0.99、過去のボーラス時間における最適なボーラス投与による総リスクは0.46、推定される食事時間における最適なボーラス投与による総リスクは0.39、過去のボーラス時間における最適なボーラスに対するIOBトレース類似性スコアは0.69であり、推定される食事時間における最適なボーラスに対するIOBトレース類似性スコアは0.59である。サンプルの日数は、13日間であった。
【0082】
総リスクCGMは、時間セグメントにわたる高血糖と低血糖との両方のリスクを単一の値として捕捉する値である。値を判定するための任意の既知の技術を使用することができる。実装態様では、低い値を有する正の値は、良好な血糖コントロールを示す。1以下の総リスクは、良好な結果である。2以上のスコアは、範囲外のより大きな、または持続的なエクスカーションを示す。これらの実施例のCGMリスクは、95~195mg/dLの目標範囲に基づいているため、対象が常にこれらの制限のいずれかにある場合、1のスコアが発生する。この解析は、他の目標範囲またはリスク関数(例えば、70~180mg/dL)に基づく可能性があるが、これらの目標は、臨床研究で観察された医学的懸念と一致している。目標ゾーンには、任意の閾値を選択することができる。CGMリスク測定基準は、特に低血糖側で、スコアを押し上げるこれらの制限外のグルコースエクスカーション(例えば、放物線関数)に対してペナルティが課せられる。
【0083】
過去の時間における最適なボーラス投与を伴う総リスクに関して、リプレイボーラス投与は、記録されたデータと同じボーラス時間(例えば、ポンプまたはペンのボーラス時間)でのインスリンの最適量を識別する。最適なボーラス量は、CGMリスクを半減させる。0.99から0.46への減少は、治療法の変更/ボーラス計算機の変更による改善の機会があることを示している。リプレイ解析により、最適な戦略で総リスクを大幅に低減できることが示された場合(例えば、25%、50%など)、対象またはユーザは、インスリン投薬を変更することで血糖値リスクへの曝露を低減することができるという治療提案(例えば、視覚化またはメッセージ)を促され得る。これらの潜在的なリスク低減を後続のレポート、解析、および計算に統合することができる方法は多数あるため、範囲は結果をこのように表示することに限定されない。
【0084】
推定される食事時間における最適なボーラス投与による総リスクに関しては、ボーラスのタイミングを調整することにより、総リスクをさらに低減および改善することができる。この例では、この対象のリスクの減少は、上記の最適量のリプレイと比較して0.46~0.39である。タイミング変更からのこの増分リスクの低減は、前のステップほど大きくないため、過去のデータに食事時間に近いインスリンボーラスが含まれていることを示している可能性がある。言い換えれば、この対象のリスクは、タイミングの問題ではなく、量の問題である。いくつかの実施形態では、(食事時間のボーラス投与に対して過去ものものを比較する)リプレイ解析は、過去の値よりも早く、または遅く投薬することによって改善され得る対象の行動を識別することができる。これは、記録されたインスリンボーラス時間と推定/調整された食事時間の比較である。ポンプに加えて、接続されたペンはボーラスがいつ送達されたかを記録するが、プライミングについて、および他のペンまたはシリンジからの臨時の/追加の投薬があるかどうかについては疑問がある場合がある。
【0085】
過去のボーラス時間における最適なボーラスに対するIOBトレースの類似性スコアに関して、IOBトレースは実際のボーラスの記録に基づいて計算され、最適な治療のIOBトレースが計算される。これらのトレースは、単位マグニチュードトレース間の内積として比較され、0~1の範囲の値を与えることができ、ここで1は、実際の、および最適な投薬の形状が最も類似していることを示す。1の値は、全体的なマグニチュードが異なっていても、トレース内の同じパターンを示す。この例では、0.69の値は、過去のボーラス時間における最適なボーラス量が、現在の結果とは異なるIOBプロファイル形状であることを示している。この類似性スコアは、閾値処理するか、現在の行動と比較することができ、この比較の出力により、スマートアラートの行動、ユーザの推奨、レポート機能、および視覚化を変更することができる。実装態様に応じて、情報は、例えば、量およびタイミングの定性的なスコア、視覚化または解釈(例えば、「不良」、「良好」、「素晴らしい」など)として伝えることができる。高いレベルでは、インスリン投薬の量またはタイミングは、現在の行動と最適な行動を比較するのに役立ち、これらは推奨または視覚化(例えば、スコアランキング、または必要性もしくは利益の優先順位)に変換することができる。トレースの類似性は、対象が理想的なインスリンレベルにどれだけ近づいているかを調べ、その結果を解釈して推奨を行うこともできる(リプレイレポートおよび/またはリアルタイム)。
【0086】
スコアを閾値と比較して、リスクがあるかどうかを判定することができる。リスクがある場合、例えば、対象または医師に提供されるような、警告または他のインジケータが生成され、出力され得る。スコアが上がると、血糖機能障害のリスクが高まる。
【0087】
過去のスコアと推定されたスコアとの比較(および同様にリスクの比較)は、最適な、または少なくともより良好なボーラス投与によってどれだけの改善(リスクの低減)することができるかを示している。
【0088】
領域410は、対象の過去の高血糖リスクプロファイル(x軸の上)および低血糖リスクプロファイル(x軸の下)を示し、対象が一貫して血糖機能障害を経験している時刻を識別する。410として識別される高血糖リスクプロファイルのピークは、対象が1500~1600時間の間に一貫して範囲を超えるBGを経験していることを示している。
【0089】
領域420は、過去のインスリンボーラス量が数値的に最適なボーラス量に置き換えられた、対象のデータのリプレイから計算された高血糖症および高血糖症のリスクプロファイルを示している。1500~1600(エリア410)における過去の高血糖リスクプロファイルのピークが、領域420にもはや存在しないという事実は、対象が、異なるボーラス時間を選択するという追加のステップを踏まずに、インスリンの異なる量の注射/注入によって、午後の高血糖への曝露を大幅に低減することができることを示している。同様に、高血糖リスクの低減は、(i)2200時前に異なる量を注射/注入することによって(夕食の食事においてより正確ボーラス投与することによって)、(ii)2300時~0200時の間に異なる量を注射/注入することによって(就寝前に間食をボーラス投与することによって)可能である。
【0090】
領域430は、過去のインスリンボーラス量が推定された食事の時間における数値的に最適なボーラス量に置き換えられた、患者のデータのリプレイから計算された高血糖症および高血糖症のリスクプロファイルを示している。1500~1600の時間枠(領域420と比較して)で高血糖リスクがさらに低減するという事実は、対象が食事に近い時間にインスリンを注射/注入することにより、午後の高血糖への曝露を減らすことができることを示しているが、この対象のこのデータに基づくと、その改善はわずかである。2300時から0600時間の間に、食事/間食の近くで最適なボーラス投与をより一貫して行うことで、高血糖リスクをより大幅に改善することができる。
【0091】
図5は、実施例に従う、リスクゾーン510、520、530、540の
図500である。図示されているように、リスクプロファイルプロット400は、1日のゾーンに変換され得、これは、この例では、昼食時および夕食時に投薬が不足していることを示している。リスクゾーン510、520、530、540は、異なる時間において、または異なる量でボーラス投与を行うことによって、完全に排除することができる重要な過去の高血糖リスクの間隔を示している。この図は、複数の日にわたる時刻の影響を示し得る。実装態様では、
図500は、BGリスクプロファイル比較関数334の結果に基づいて、BGリスクコンパレータ240によって生成され、出力デバイス250によって出力され得る。過去の高血糖(x軸より上)および低血糖(x軸より下)ゾーンは、322のプロファイリング関数によって生成された過去のBGリスクプロファイルに適用される閾値の適用を通して識別され得る。
【0092】
図6は、実施例に従う、ボーラス投薬量またはボーラスタイミングを変更することによる(例えば、リスクプロファイルプロット400に関して)潜在的な著しい改善のゾーンの
図600である。間隔610は、(過去の時間における)ボーラス量の変化を通して、BGの結果を改善することができる間隔を示す。間隔620は、食事時間の近く(例えば、一日の早い時間)にボーラス投与を通して、BGの結果を改善することができる間隔を示す。
図500の生成および出力と同様に、実装態様では、
図600は、BGリスクプロファイル比較関数334の結果に基づいて、BGリスクコンパレータ240によって生成され、出力デバイス250によって出力され得る。過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラス、および検証された推定された食事時間における数値的に最適なボーラスについて、過去の高血糖(x軸より上)および低血糖(x軸より下)ゾーンはそれぞれ、326および330のプロファイリング関数によって生成された過去のBGリスクプロファイルに適用される閾値の適用によって識別され得る。
【0093】
図7Aおよび
図7Bは、実施例に従う、様々な残存インスリン(IOB)プロファイルプロット700、750の図である。
図7Aは、(i)過去のボーラス投与の平均IOB(線740)+/-1標準偏差(領域720)、(ii)過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラス投与の平均IOB(線730)+/-1標準偏差(領域710)を示している。本明細書の例では平均および標準偏差が使用されているが、実装態様に応じて、中央値、信頼区間、標準誤差、変動係数などの他の統計を使用することができる。
【0094】
同様に、
図7Bは、(i)過去のボーラス投与の平均IOB(線790)+/-1標準偏差(領域770)、(ii)推定されたボーラス時間における数値的に最適なボーラス投与の平均IOB(線780)+/-1標準偏差(領域760)を示している。
【0095】
図7Aおよび
図7Bの両方において、線730、780と線740、790との間の差異は、最近注入/注射されたインスリンの異なる量に対応することに留意されたい。例えば、
図7Aの1200時~1600時の間の線730と線740と間のギャップは、(過去のボーラス時間における)数値的に最適なボーラス投与により、患者が投与した過去のボーラスと比較して、より多くのインスリンが送達される(かつ「残存」)という事実に対応する。同様のギャップは、過去にゼロまたは非常に低いIOBがある時刻であっても、
図7Bの線780と線790との間に見られることがあり、これは、推定された食事時間における最適なボーラス投与と、過去のボーラス時間における最適なボーラス投与との間の差に対応する。
【0096】
領域710は、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラス投与に関連する平均(線730)についてのIOBの変動性(+/-1標準偏差)を示す。
【0097】
領域720は、推定されたボーラス時間における数値的に最適なボーラス投与に関連する平均(線740)についてのIOBの変動性(+/-1標準偏差)を示す。
【0098】
線730は、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラス投与に関連する平均IOBを示している。線740は、推定された食事時間における数値的に最適なボーラス投与に関連する平均IOBを示している。
【0099】
図8は、IOB不一致プロット800の図であり、(i)過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラスに関連するIOBと、(ii)過去のボーラスに関連するIOBとの間の平均差を示している。線810は、IOB差の平均値に対応し、820と830はそれぞれ+/-1標準偏差に対応している。平均値が正である時刻は、数値的に最適なボーラス投与が、過去のボーラス投与と比較して(平均で)高いIOBをもたらす時間に対応する。標準偏差の値が小さいほど、IOBに関連した数値的に最適なボーリングと過去のボーリングとの間の不一致がより一貫していることに対応する。プロット800の正の値は、典型的に、過去の投薬よりも最適な投薬の方が、インスリンが多いことを示している。したがって、過去の時間におけるボーラス投与のエラープロファイルが提供される。
【0100】
線810は、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラス投与に関連するIOBと過去のボーラス自体との間の平均差を示している。
【0101】
線820は、上記の平均差に1標準偏差を加えたものを示し、平均間の差についての不確実性の程度の視覚的指示を提供している。いくつかの実装態様では、信頼区間が使用され得ることに留意されたい。
【0102】
線830は、上記の平均差から1標準偏差を引いたものを示し、平均間の差についての不確実性の程度の視覚的指示を提供している。いくつかの実装態様では、信頼区間が使用され得ることに留意されたい。
【0103】
図9は、数値的に最適なボーラス投与に関連するIOBが、過去のボーラスに関連するIOBよりも実質的に高い時刻を示すためのIOB不一致ゾーンプロット900の図である。x軸の上のバーは、対象が過去のボーラス時間に、より大きなボーラスを取ることを検討すべき時刻に対応する。この例では表示されていないが、x軸の下のバーは、対象が過去のボーラス時間において、より小さなボーラスを取ることを検討すべき時刻に対応している。
【0104】
図10は、実施例に従う、推定された食事時間における最適なボーラス投与のためのIOB不一致プロット1000の図である。
図8と同様に、このプロットは、数値的に最適なボーラスと過去のボーラスとに関連するIOBの間の差の平均値を、ここでは推定された食事時間における数値的に最適なボーラスと過去のボーラスとの間の差について、+/-標準偏差の包絡線とともに示している。平均値が正(負)の時刻は、推定される食事時間における数値的に最適なボーラス投与により、過去のボーラス投与に比べて平均的に残存インスリンが多く(それぞれ少なく)なる時刻に対応する。ここで、0900時に発生する負の不一致は、対象が推定された食事とは異なる時間にボーラス投与をしているという事実に対応している。したがって、推定された食事時間における最適なボーラス投与に対するエラープロファイルが提供される。
【0105】
図11は、実施例に従う、推定された食事時間における最適なボーラス投与に対するIOB不一致ゾーン1100の図である。x軸の上のゾーンは、過去の量よりも大きなボーラスを与えることによって、または過去に与えられなかったボーラスを与えることによって、対象がより多くのインスリンから利益を得る可能性がある時間である。ここで、0900のx軸の下のゾーンは、対象がボーラス投与してはならない時刻に対応し、代わりに実際の食事時間に近いボーラスが望ましい。
【0106】
図12は、判定された血糖関数に基づく血糖リスクを示す、例示的な要約レポート1200の図である。要約レポート1200は、対象または介護者のために生成および提供されるレポートの一例に過ぎず、
図5、
図6、
図9、
図11のプロットおよび図を重ねることで生成することができる。パネル1210は、血糖リスクを伴うプロファイルの時間セグメントを示している。パネル1220は、ボーラス戦略の変更によりリプレイにおいて著しく低いリスクを有していたであろう時間セグメントを識別する。パネル1230は、新しいボーラス量(この例ではより多くのインスリン)がIOBを著しく変化させるように作用するであろう時間セグメント(例えば、食事)を識別する。パネル1240は、異なるボーラスタイミングがIOBを著しく変化させるように作用するであろう時間セグメント(例えば、食事)を識別する。これにより、アクションおよび治療の変更に優先順位をつけることができ、より大きなボーラスでリスクを低減することができる一日の期間を識別する。パネル1240では、ボーラスまでの最適でない時間もまた、識別され得、より良好な代替案が提唱され得る。
【0107】
図13は、別の実施例に従う、様々なリスクプロファイルプロット1300の図である。この例では、対象に対して、総リスクCGMは1.75、過去のボーラス時間における最適なボーラス投与による総リスクは1.21、推定される食事時間における最適なボーラス投与による総リスクは0.55、過去のボーラス時間における最適なボーラスに対するIOBトレース類似性スコアは0.60であり、推定される食事時間における最適なボーラスに対するIOBトレース類似性スコアは0.47である。サンプルの日数は、79日間であった。
【0108】
領域1310は、過去の記録の1200時において低血糖を経験する強い傾向を示し、低血糖のリスクは、より一般的には1000時~1600時まで著しく、2000時においては低血糖のリスクは中程度である。
【0109】
領域1320は、2000時頃における中程度の低血糖のリスクが、過去のボーラス時間において異なるボーラス投与を行うことで対処できることを示しているが、ボーラスの時間を変えなければ、夕方の低血糖の低減は、2200時頃における高血糖の新たな実質的なリスクという代償でもたらされる。
【0110】
領域1330は、1200時頃における強い低血糖のリスクが、過去のボーラス時間において異なるボーラス投与を行うことで対処できることを示しているが、ボーラスの時間を変えなければ、日中の低血糖の低減は、1000~1800時における高血糖の新たな実質的なリスクという代償でもたらされる。
【0111】
領域1340は、推定された食事の時間に数値的に最適なボーラス投与を行うことで、対象が、低血糖と高血糖との両方に曝露されることを効果的に回避できることを示している。
【0112】
図14Aおよび
図14Bは、別の実施例に従う、それぞれ、様々なIOBプロファイルプロット1400、1450の図である。線1410は、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラスから生じる(変動が少ない)より小さな平均IOBと比較して、過去のボーラス投与により得られた2100時における(大きな変動を伴う)大きな値の平均IOBを示している。
【0113】
線1420は、0730時頃の過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラス投与から生じる平均IOBについての高い変動性を示している。ここで、数値的に最適なボーラス投与による平均IOBは、その時刻における過去のボーラスがあまりないため、それ自体が非常に小さい。
図14Bでは、同じ時刻に、推定された食事時間におけるボーラスに関連する平均IOBが、過去のボーラスに関連する平均IOBよりも大きいことから、対象が1日の最初の食事のボーラスを一貫して遅らせている可能性があることを示すことに留意されたい。
【0114】
線1430は、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラスから生じる(変動が少ない)より小さな平均IOBと比較して、過去のボーラス投与により得られた1700時における(大きな変動を伴う)大きな値の平均IOBを示している。
【0115】
線1440は、数値的に最適なボーラス投与による0830におけるIOBが、過去のボーラス記録に関連する平均IOBよりも低いことを示している。これは、同じ時刻における
図14Bにも当てはまる。したがって、朝のボーラスのタイミングに関係なく、対象はインスリンを過剰に摂取しており、これは朝に低血糖を経験する強い傾向に関連している。
【0116】
図15Aおよび
図15Bは、別の実施例に従う、それぞれ、様々なIOB不一致プロット1500、1550の図である。
図15Aにおいて不一致(実線1510によって示される)が1日を通して(例えば、0730時頃~2300時頃まで)負であるという事実は、過去のボーラス時間におけるボーラス投与に制約された場合、対象はボーラス投与を減らすべきであることを示す。
図15Bにおいて平均不一致(実線1560によって示される)が正の値と負の値との間で変動するという事実は、対象が、1日を通して実質的に異なるIOBを有する(そしてそれが有益である)ことを示している。
【0117】
実線1510は、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラス投与に関連するIOBと、過去のボーラス自体との間の平均差を示している。
【0118】
破線1520は、上記の平均差に1標準偏差を加えたものを示し、平均間の差についての不確実性の程度の視覚的指示を提供している。
【0119】
破線1530は、上記の平均差に1標準偏差を加えたものを示し、平均間の差についての不確実性の程度の視覚的指示を提供している。
【0120】
図16は、血糖機能障害の量を判定するための方法1600の実装態様の操作フローである。1610では、対象(対象140など)に関連するCGMデータおよびインスリンデータは、例えば、リプレイアナライザ220などのリプレイアナライザにおいて受信される。CGMデータおよびインスリンデータは、対象提供データ207、データ210、および/または関数215を含み得る。CGMデータおよびインスリンデータは、対象140のCGM記録およびインスリン記録を含むデータベースなどの記憶デバイスから受信することができる。代替的または追加的に、データは、(例えば、対象コンピューティングデバイス205を介して)対象140から、CGMおよび/またはインスリンデバイスまたはモニタ(例えば、インスリンデバイス110、グルコースモニタ120、活動モニタ150、および/またはスマートフォン160)、または他の機器またはエンティティから受信することができる。リプレイ解析のために使用される実装態様では、過去のデータを使用することができる。過去のデータにおける食事のタイミングと量との両方を正確に推定することは、有用である。
【0121】
1620では、例えば、リプレイアナライザ220によって、CGMデータおよびインスリンデータに対してリプレイ解析が実行される。この解析のステップには、(i)CGMデータおよびインスリンデータの時系列データの傾向およびパターンの解析に基づいて、過去の記録における食事事象(特に炭水化物の摂取量)の推定値(推定された食事データ306など)を生成する食事推定関数(食事コンパイラ303など)の使用、および(ii)推定された食事時系列を使用して、任意の特定の代謝初期状態からの過去の時系列の任意の点から始まる過去のデータをシミュレーションし、過去または最適化されたインスリンボーラスのいずれかの指定を許容するリプレイ予測関数305(リプレイコンパイラ304の出力など)の使用が含まれる。
【0122】
1630では、血糖機能障害の量は、本明細書でさらに説明されるように、例えば、IOBアセッサ225、BGリスクプロファイラ230、IOBプロファイラ235、BGリスクコンパレータ、および不一致アナライザ245のうちの1つ以上を使用して、リプレイ解析に基づいて定量化される。解析には、(i)過去のCGMデータの全体に基づいて、高血糖および低血糖のリスクプロファイル(322で実行されたプロファイリングなど)を計算することであって、1日24時間のうちの任意の点におけるプロファイル値は、1日のうちのその時点での高血糖(または低血糖)に対する過去の曝露の臨床的な重要性を説明しており、高血糖(それぞれ、低血糖)リスク閾値の指定が1日のうちの重大な血糖リスクの間隔をマークするように正規化されている、計算することと、(ii)(要素312に関して説明したように)リプレイ予測関数を使用して、過去のボーラスを、リプレイ関数からの予測応答に基づいて数値的に最適なボーラスに置き換えて、記録全体をシミュレーション(リプレイ)することと、(iii)(要素314に関して説明したように)リプレイ予測関数を使用して、過去のボーラスをキャンセルし、推定された食事の時間に数値的に最適なボーラスを挿入する記録全体をシミュレーション(リプレイ)することと、(iv)(要素326に関して説明したように)過去のボーラスの時間において数値的に最適なボーラスを用いて、リプレイされた時系列に対して高血糖および低血糖のリスクプロファイルを計算することと、(v)(要素330に関して説明したように)推定された食事の時間において数値的に最適なボーラスを使用して、リプレイされた時系列に対して高血糖および低血糖のリスクプロファイルを計算することと、が含まれ得る。
【0123】
BGリスクプロファイラ230は、1つ以上の血中グルコース値を、糖尿病合併症のリスクまたは血糖コントロールの程度と一致する相対リスクスコアに変換するための計算を含む。リスクスコアは、単一の値に割り当てることも、1日の平均リスクスコアなどの時間セグメントにわたって要約することもできる。一例では、測定基準は正の値であり、低い値は、目標ゾーン内に留まる、または目標値に近いなど、良好な血糖コントロールを示す。目標血中グルコース範囲が95~195mg/dLの場合、例示的なリスク関数では、95mg/dLでの読み取り値を1.0のリスクに、120mg/dLでの読み取り値を0.2のリスクに、195mg/dLでの読み取り値を1.0のリスクにマッピングする。その結果、目標範囲内に留まった対象の総リスクは1未満になり、厳密に管理された対象のリスクはゼロに近くなる。
【0124】
この例を続けると、高血糖および低血糖領域の血中グルコース値には、グルコースが目標値から離れるにつれて、ますます高いリスクスコアが与えられる。リスク関数は、65mg/dLでの読み取り値を2.5のリスクに、および225mg/dLでの読み取り値を2.0のリスクにマッピングする。したがって、2以上のスコアは、目標範囲外のより大きな、または持続的なエクスカーションを示す。この場合、低血糖値に大きなペナルティがかかるため、ペナルティ関数は対称的ではない。リスク関数の形状は、二次または対数正規曲線、または一次関数のセットなどの数学関数に基づき得る。1つの既知の測定基準は、1日の平均リスク範囲である(例えば、Kovatchev B.P.et al.,“Evaluation of a New Measure of Blood Glucose Variability in Diabetes”、Diabetes Care、2006年11月、29(11):2433-8、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17065680を参照)。他の場合には、それは対象の過去のデータから経験的に導き出すか、または治療目標のためにさらに調整することが可能である。
【0125】
リスク関数には、糖尿病リスクに関連する他の要因を含めて強調することができる。一例としては、グルコースの変化率を患者の脅威要因として明示的に考慮する(例えば、低血糖症および高血糖症のリスクレベルは、それぞれグルコースの傾向が減少および増加している場合に増幅される)リスク測定基準というものがある(例えば、「‘Alert System for Hypo and Hyperglycemia Prevention Based on Clinical Risk’と題する米国特許第9,439,602号を参照)。
【0126】
3つのセットのリスクプロファイルは、BGリスクプロファイル比較関数(BGリスクプロファイル比較関数334など)で評価され、これは、過去のデータ、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラスを伴うリプレイされたデータ、推定された食事時間における数値的に最適なボーラスを伴うリプレイされたデータについて、それぞれ総血中グルコーススコアを計算する。これらのそれぞれのスコア間の差は、過去のボーラスの時間での次善のボーラスおよび/または(リプレイボーラスタイミング効果に対応)推定された食事の時間において発生しないボーラスに関連する機能障害を示している。
【0127】
加えて、食前ボーラスコンプライアンスの測定値を計算するために、IOBの時系列が、(i)(要素316に関して説明したような)インスリン送達の過去の時系列、(ii)(要素318に関して説明したような)過去のボーラスの時間における数値的に最適なボーラスのリプレイされた時系列、および(iii)(要素320に関して説明したような)推定された食事の時間での数値的に最適なボーラスのリプレイされた時系列について計算される。これらのIOB時系列から、IOBの24時間プロファイルを計算することができ、ここで、任意の時間におけるプロファイルの値は、過去に、または過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラスで、または推定された食事時間における数値的に最適なボーラスで、その時刻に残存している患者のインスリンの量(例えば、平均インスリン)に関する一次統計に対応している。これらのそれぞれのIOBプロファイルにより、(i)(要素336に関して説明したような)過去のボーラス時間における過去のボーラス投与と数値的に最適なボーラスと、(ii)(要素340に関して説明したような)推定された食事時間における過去のボーラス投与と数値的に最適なボーラスとの間のIOBの不一致を査定することが許容される。加えて、3つのセットのIOB時系列は、(i)(要素338に関して説明したような)過去のボーラス時間における過去のボーラス投与と数値的に最適なボーラスと、(ii)(要素342に関して説明したような)推定された食事時間における過去のボーラス投与と数値的に最適なボーラス投与との間の数値的な類似性尺度の計算を認める。
【0128】
1640では、血糖機能障害の量を表す出力は、出力デバイス250などの出力デバイスを介して、例えば、対象、医師、または別のエンティティに関連するコンピューティングデバイスに提供される。出力は、本明細書でさらに説明されるような、プロットまたは他の情報および推奨を含み得る(例えば、
図12のレポート1200などの要約レポート)。このような出力は、リプレイボーラスタイミング効果および食前ボーラスコンプライアンスの指標を提供し得る。1つ以上の実装態様では、食事に関する誤情報の影響を(タイミングと構成との両方の観点から)定量化する。したがって、インスリンの利点(例えば、リスク低減)は、最適な用量に関して、かつ最適な食事前のタイミングの変更に関して評価される。
【0129】
図17は、血糖機能障害の量を判定するための方法1700の別の実装態様の操作フローである。1710では、入力は、コンピューティングデバイス201などのコンピューティングデバイスにおいて受信される。実装態様では、入力は、対象が提供するデータ207、データ210、および/または関数215を含み得、リプレイアナライザ220において受信され得る。入力は、1610に関して説明されたものと同様のCGMデータおよびインスリンデータを含み得る(例えば、過去のBG301および過去のインスリン302)。
【0130】
1720では、例えば312および314に関して説明された態様を使用して、過去のボーラスおよび推定された食事について(例えば、リプレイアナライザ220によって)リプレイ解析が実行される。このようにして、対象が過去のボーラス時間においてボーラス投与した場合に何が起こっていたか、および推定された食事時間において対象がボーラス投与した場合に何が起こっていたかを判定することができる。
【0131】
1730では、
図3Aおよび
図3Bに関して説明したような、IOBデータ解析が実行される。実装態様では、IOBデータ解析は、IOBアセッサ225および/またはIOBプロファイラ235によって実行され得る。1740では、
図3Aおよび
図3Bに関して説明したような、BGデータ解析が実行される。実装態様では、BGデータ解析は、BGリスクプロファイラ230および/またはBGリスクコンパレータ240によって実行され得る。このような解析には、上記でさらに説明したように、様々な査定とプロファイリングが含まれ得る。
【0132】
1750では、
図3Aおよび
図3Bに関して上で詳述したように、不一致が比較とともに判定される。実装態様では、不一致は、不一致アナライザ245によって判定され得る。1760では、例えば、出力デバイス250を介して、本明細書でさらに説明されるようなプロットおよびスコアが生成され、出力され得る。
【0133】
図18は、血糖機能障害の量を判定するための方法1800の別の実装態様の操作フローである。この方法は、いくつかの実装態様では、コンピューティングデバイス201によって実行され得る。
【0134】
1810では、過去のBGデータおよび過去のインスリンデータは、リプレイアナライザ220などのリプレイアナライザにおいて受信される。複数のリプレイ解析は、過去のボーラスについて、および過去のBGデータおよび過去のインスリンデータを使用して推定された食事について、リプレイアナライザ220によって1820において実行される。
【0135】
1830では、少なくとも1つのIOBデータ解析が、複数のリプレイ解析のうちの少なくとも1つを使用して実行される。IOBデータ解析は、例えば、IOBアセッサ225またはIOBプロファイラ235のうちの1つ以上を使用して実行することができる。1840では、少なくとも1つのBGデータ解析が、複数のリプレイ解析のうちの少なくとも1つを使用して実行される。BGデータ解析は、例えば、BGリスクプロファイラ230またはBGリスクコンパレータ240のうちの1つ以上を使用して実行することができる。
【0136】
1850では、少なくとも1つの不一致解析が実行され、少なくとも1つの比較が、少なくとも1つのIOBデータ解析および少なくとも1つのBGデータ解析を使用して実行される。不一致解析および/または比較は、例えば、不一致アナライザ245によって実行され得る。
【0137】
1860では、本明細書でさらに説明されるような出力が提供される。出力は、出力デバイス250によって提供され得、少なくとも1つの不一致解析および少なくとも1つの比較に基づき得る。
【0138】
図19は、血糖機能障害の量を判定するための方法1900の別の実装態様の操作フローである。この方法は、いくつかの実装態様では、コンピューティングデバイス201によって実行され得る。
【0139】
1910では、対象の過去のBGデータまたは過去のインスリンデータのうちの少なくとも1つは、リプレイアナライザ220などのリプレイアナライザにおいて受信される。1920では、第1のリスクスコアは、過去のBGデータまたは過去のインスリンデータのうちの少なくとも1つに基づいて、対象の血糖機能障害に対して判定される。リスクスコアは、例えば、リプレイアナライザ220によって判定され得る。一例では、リスクスコアは、BGリスクプロファイラ230からの値であり得る。別の例では、BGリスクプロファイラ230からの出力は、1未満のリスクは低リスクスコアとして割り当てられ、1~2のリスクには中程度のリスクとして割り当てられ、2より大きいリスクは高リスクとして割り当てられるというように、一連の閾値またはゾーンを有するリスクスコアに変換される。これらの閾値およびゾーンは、過去の値または現在の目標に基づいて、患者ごとに事前設定またはカスタマイズすることができる。リスクスコアを使用して、異なる時刻、食事、および/または他の関連事象に関連するBGリスクプロファイルを要約することもできる。
【0140】
1930では、対象の最適なBGデータまたは最適なインスリンデータのうちの少なくとも1つは、リプレイアナライザ220などのリプレイアナライザにおいて受信される。1940では、第2のリスクスコアは、最適なBGデータまたは最適なインスリンデータのうちの少なくとも1つに基づいて、対象の血糖機能障害に対して判定される。リスクスコアは、例えば、リプレイアナライザ220によって判定され得る。このリスクスコアは、1910で計算されたリスクスコアと同じ属性を使用することができるため、潜在的な改善を評価することができる。例えば、朝食のリスクスコアは、過去のデータと最適なデータとの間で比較される。
【0141】
1950では、例えば、リプレイアナライザ220によって、第1のリスクスコアが第2のリスクスコアと比較される。推奨は、1940における比較に基づいて、例えば、いくつかの実装態様では、リプレイアナライザ220および/または出力デバイス250によって、1960において生成および出力され得る。推奨は、血糖値情報を改善または維持するための(例えば、
図12に示すようないくつかの実装態様では、血糖機能障害を低減するための)指示または他の提案に関する、対象または他のユーザのための最適なBGデータまたは最適なインスリンデータであってもよい。第1のリスクスコアが第2のリスクスコアに近い場合(例えば、所定のパーセンテージ差未満、スコアの範囲または差内、閾値差未満など)、インスリンの量およびタイミングが理想に近いとして、対象の行動が識別および奨励される。第1のリスクスコアが第2のリスクスコアよりも著しく大きい場合(例えば、所定のパーセンテージ差以上、スコアの範囲または差外、閾値の差以上など)、今後の同様の食事に対してインスリンボーラスの量またはタイミングを調整することで、治療を最適化する機会がある。
【0142】
1960における出力推奨は、対象のニーズに合わせて様々なフォーマットで生成することができる。一実施形態では、推奨は定性的であり得、例えば、朝食前の早い時間に投薬することで、その後の時間における高いグルコース値を回避するのに役立つことを識別することができる。例えば、いくつかの実装態様では、推奨を画面上のプロンプトにし、またはグルコースエクスカーションを示すプロットに重ねることができる。代替的または追加的に、推奨は、1週間または1か月などの期間にわたる要約レポートであり得る。要約レポートでは、1日の中で血糖値の高い期間を識別し、考えられる原因を割り当てることができる。例えば、このレポートでは、午後のグルコース値が低いのは、昼食にインスリンを過剰に投薬した結果と、食事を食べた後の投薬が組み合わされた結果であると識別されている可能性がある。
【0143】
図20は、血糖機能障害の量を判定するための方法2000の別の実装態様の操作フローである。この方法は、いくつかの実装態様では、コンピューティングデバイス201によって実行され得る。操作2010は、過去の血中グルコースデータまたは過去のインスリンデータのうちの少なくとも1つに基づいて、過去のリスクスコアを判定することを伴い、これは、
図3Aおよび
図3Bの実装態様の観点では、(リスクプロファイルの計算のための)要素322および(リスクスコアの計算のための)334を伴う。操作2020は、少なくとも1つの最適なBGデータまたは最適なインスリンに基づいて、血糖機能障害の最適なリスクスコアを計算することを伴い、これは、
図3Aおよび
図3Bの実装態様の観点では、(過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラス投与のための)要素312または(推定された食事時間における数値的に最適なボーラス投与のための)314、(それぞれ最適なリスクプロファイルのための)326または330、および(それぞれリスクスコアを計算するための)334を伴う。操作2030は、過去のリスクスコアと最適なリスクスコアとの間の差を判定することを伴い、これは、
図3Aおよび
図3Bの実装態様に関して、要素334を伴う。操作2040は、差に基づく、かつ閾値に基づく推奨を提供する。
【0144】
2010では、血糖機能障害の過去のリスクスコアは、例えばリプレイアナライザ220において受信された可能性のある、対象の過去のBGデータまたは過去のインスリンデータのうちの少なくとも1つに基づいて判定される。
【0145】
2020では、血糖機能障害の最適なリスクスコアは、例えばリプレイアナライザ220において受信された可能性のある、対象の最適なBGデータまたは最適なインスリンデータのうちの少なくとも1つに基づいて判定される。
【0146】
2030では、過去のリスクスコアと最適なリスクスコアとの間の差は、例えば、リプレイアナライザ220によって判定される。
【0147】
2040では、推奨は、例えば、いくつかの実装態様では、リプレイアナライザ220および/または出力デバイス250によって、判定された差に基づいて、生成および出力され得る。
【0148】
図21は、例示的な実施形態および態様を実装することができる例示的なコンピューティング環境を示す。コンピューティングデバイス環境は、好適なコンピューティング環境の一例に過ぎず、使用範囲または機能に関する制限を提唱することを意図したものではない。
【0149】
他の多くの汎用または特殊目的のコンピューティングデバイスの環境または構成を、使用することができる。使用に好適な可能性のある周知のコンピューティングデバイス、環境、および/または構成の例としては、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドまたはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、ネットワークパーソナルコンピュータ(PC)、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、組み込みシステム、上記システムまたはデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
コンピュータによって実行されるプログラムモジュールなどの、コンピュータ実行可能命令を使用することができる。一般に、プログラムモジュールには、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などが含まれる。通信ネットワークまたは他のデータ伝送媒体を通してリンクされた、リモート処理デバイスでタスクを実行する、分散コンピューティング環境を使用することができる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールおよび他のデータは、メモリ記憶デバイスを含むローカルおよびリモートの両方のコンピュータ記憶媒体に位置させることができる。
【0151】
図21を参照すると、本明細書に記載の態様を実装するための例示的なシステムは、コンピューティングデバイス2100などのコンピューティングデバイスを含む。その最も基本的な構成では、コンピューティングデバイス2100は、典型的に、少なくとも1つの処理ユニット2102およびメモリ2104を含む。コンピューティングデバイスの正確な構成およびタイプに応じて、メモリ2104は、揮発性(ランダムアクセスメモリ(RAM)など)、不揮発性(リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリなど)、またはこの2つの何らかの組み合わせであってもよい。この最も基本的な構成は、
図21に破線2106によって示されている。
【0152】
コンピューティングデバイス2100は、追加の特徴/機能を有し得る。例えば、コンピューティングデバイス2100は、磁気または光ディスクまたはテープを含むがこれらに限定されない追加の記憶装置(取り外し可能および/または取り外し不可能)を含み得る。そのような追加の記憶装置は、取り外し可能な記憶装置2108および取り外し不可能な記憶装置2110によって
図21に示されている。
【0153】
コンピューティングデバイス2100は、典型的に、様々なコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、デバイス2100によってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体であり得、揮発性および不揮発性媒体の両方、取り外し可能および取り外し不可能な媒体を含む。
【0154】
コンピュータ記憶媒体には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術で実装された、揮発性および不揮発性、ならびに取り外し可能および取り外し不可能な媒体が含まれる。メモリ2104、取り外し可能な記憶装置2108、および取り外し不可能な記憶装置2110はすべて、コンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体には、RAM、ROM、電気的消去可能プログラム読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、または所望の情報を記憶するために使用することができ、コンピューティングデバイス2100によってアクセスすることができる任意の他の媒体が含まれるが、これらに限定されない。そのようなコンピュータ記憶媒体は、コンピューティングデバイス2100の一部であり得る。
【0155】
コンピューティングデバイス2100は、デバイスが他のデバイスと通信することを許容する通信接続2112を含み得る。コンピューティングデバイス2100はまた、キーボード、マウス、ペン、音声入力デバイス、タッチ入力デバイスなどの入力デバイス2114を有し得る。ディスプレイ、スピーカ、プリンタなどの出力デバイス2116もまた、含まれ得る。これらのデバイスはすべて、当技術分野で周知であり、ここで詳細に説明する必要はない。
【0156】
実装態様では、血糖機能障害の量を判定する方法が提供される。この方法は、対象に関する持続的グルコースモニタリング(CGM)およびインスリンデータを受信することであって、CGMおよびインスリンデータが、インスリンボーラス量およびインスリンボーラス量のタイミングを含む、受信することと、CGMおよびインスリンデータのリプレイ解析を実行することと、リプレイ解析を使用して、血糖機能障害の量を定量化することと、血糖機能障害の量を表す出力を提供することと、を含む。
【0157】
実装態様は、次の機能の一部またはすべてを含み得る。CGMおよびインスリンデータの第1の部分が推定され、CGMおよびインスリンデータの第2の部分が報告される。CGMおよびインスリンデータは、対象の食事の推定されたタイミング、または対象の食事の推定された組成のうちの少なくとも1つを含む。CGMおよびインスリンデータは、対象の食事のタイミング、または対象の食事の組成のうちの少なくともの1つに関する誤情報を含む。CGMおよびインスリンデータの一部分は、対象から受信される。CGMおよびインスリンデータは、時系列形態の推定された代謝状態、調整された食事履歴、および送達されたインスリン履歴を含む。CGMおよびインスリンデータは、推定された代謝状態、調整された推定された代謝入力、および既知の代謝入力を含む。CGMおよびインスリンデータは時間的に離散化されている。
【0158】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてを含み得る。CGMおよびインスリンデータに対してリプレイ解析を実行することは、食事に関して推定されたボーラス投与のタイミング、炭水化物の計数、および炭水化物の比率の影響を分離することを含む。CGMおよびインスリンデータに対してリプレイ解析を実行することは、リプレイシミュレーション解析を使用して、不正確な炭水化物の計数および不適切な炭水化物の比率を除去することによって、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラスの影響を査定することを含む。CGMおよびインスリンデータに対してリプレイ解析を実行することは、推定された過去の食事時間における数値的に最適なボーラスの影響を査定することを含む。CGMおよびインスリンデータに対してリプレイ解析を実行することは、過去のCGMおよびインスリンデータ、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラス、または推定された食事時間における数値的に最適なボーラスのうちの少なくとも1つを用いてリプレイシミュレーションを実行することを含む。CGMおよびインスリンデータに対してリプレイ解析を実行することは、候補ボーラスのセットを生成することと、各候補ボーラスに関連する将来の血中グルコース(BG)値をシミュレーションすることと、リスク解析を使用して、各候補ボーラスのシミュレーションされたBG軌道をスコアリングすることと、各候補ボーラスのスコアに基づいて、最良のボーラスを選んで実装することと、次のボーラス時間までシミュレーションをリプレイし続けることと、を含む。リスク解析は、速度依存リスク解析である。
【0159】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてを含み得る。血糖機能障害の量を定量化することは、最適なタイミングのボーラス投与と比較して、推定されたボーラス投与の機能障害の量を定量化することを含む。血糖機能障害の量を定量化することは、最適なタイミングのボーラス投与と比較して、過去のボーラス投与の機能障害の量を定量化することを含む。血糖機能障害の量を定量化することは、理想的な食前ボーラスタイミングで患者のコンプライアンスを定量化することを含む。
【0160】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてを含み得る。出力には、プロットまたは視覚化のうちの少なくとも1つが含まれる。出力は、高血中グルコースリスク、低血中グルコースリスク、または総血糖リスクのうちの少なくとも1つを含むリスク指数を含む。出力は、範囲外の血中グルコースへのエクスカーションの数および程度を含む。出力は、過去の時間における血糖機能障害を示している。出力を提供することは、血糖機能障害の行動への影響、過去のCGMおよびインスリンデータ対過去のボーラス時間における最適なボーラスでリプレイシミュレーションされたCGM、または過去のCGMおよびインスリンデータ対推定された食事時間における最適なボーラスでリプレイシミュレーションされたCGMのうちの少なくとも1つを示す視覚化を提供することを含む。出力は、理想的な食前ボーラスタイミングで患者のコンプライアンスの視覚化を含む。食事管理情報は、血糖機能障害の量に基づいて、対象に提供される。食事管理情報は、患者のボーラス前のタイミング情報を含む。ボーラス前のタイミング情報は、将来のあるタイプの食事の前のボーラス投与に関する患者への推奨を含む。
【0161】
実装態様では、血糖機能障害の量を判定する方法が提供される。このシステムは、対象に関する持続的グルコースモニタリング(CGM)およびインスリンデータを受信するプロセッサであって、CGMおよびインスリンデータが、インスリンボーラス量およびインスリンボーラス量のタイミングを含む、プロセッサと、CGMおよびインスリンデータを使用してリプレイ解析を生成するリプレイアナライザと、リプレイ解析を使用して、血糖機能障害の量を定量化する定量化器と、血糖機能障害の量を表す出力を提供する出力デバイスと、を含む。
【0162】
実装態様は、次の機能の一部またはすべてを含み得る。CGMおよびインスリンデータの第1の部分が推定され、CGMおよびインスリンデータの第2の部分が報告される。CGMおよびインスリンデータは、対象の食事の推定されたタイミング、または対象の食事の推定された組成のうちの少なくとも1つを含む。CGMおよびインスリンデータは、対象の食事のタイミング、または対象の食事の組成のうちの少なくともの1つに関する誤情報を含む。CGMおよびインスリンデータの一部分は、対象のコンピューティングデバイスから受信される。CGMおよびインスリンデータは、時系列形態の推定された代謝状態、調整された食事履歴、および送達されたインスリン履歴を含む。CGMおよびインスリンデータは、推定された代謝状態、調整された推定された代謝入力、および既知の代謝入力を含む。CGMおよびインスリンデータは時間的に離散化されている。
【0163】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてを含み得る。リプレイアナライザは、食事に関して推定されたボーラス投与のタイミング、炭水化物の計数、および炭水化物の比率の影響を分離する。リプレイアナライザは、リプレイシミュレーション解析を使用して、不正確な炭水化物の計数および不適切な炭水化物の比率を除去することによって、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラスの影響を査定する。リプレイアナライザは、推定された過去の食事時間における数値的に最適なボーラスの影響を査定する。リプレイアナライザは、過去のCGMおよびインスリンデータ、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラス、または推定された食事時間における数値的に最適なボーラスのうちの少なくとも1つを用いてリプレイシミュレーションを実行する。リプレイアナライザは、候補ボーラスのセットを生成することと、各候補ボーラスに関連する将来の血中グルコース(BG)値をシミュレーションすることと、速度依存リスク解析などのリスク解析を使用して、各候補ボーラスのシミュレーションされたBG軌道をスコアリングすることと、各候補ボーラスのスコアに基づいて、最良のボーラスを選んで実装することと、次のボーラス時間までシミュレーションをリプレイし続けることと、を行うように構成されている。
【0164】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてを含み得る。定量化器は、最適なタイミングのボーラス投与と比較して、推定されたボーラス投与の機能障害の量を定量化する。定量化器は、最適なタイミングのボーラス投与と比較して、過去のボーラス投与の機能障害の量を定量化する。定量化器は、理想的な食前ボーラスタイミングで患者のコンプライアンスを定量化する。
【0165】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてを含み得る。出力には、プロットまたは視覚化のうちの少なくとも1つが含まれる。出力は、高血糖リスク、低血糖リスク、または総血糖リスクのうちの少なくとも1つを含むリスク指数を含む。出力は、範囲外の血中グルコースへのエクスカーションの数および程度を含む。出力は、過去の時間における血糖機能障害を示している。出力デバイスは、血糖機能障害の行動への影響、過去のCGMおよびインスリンデータ対過去のボーラス時間における最適なボーラスでリプレイシミュレーションされたCGM、または過去のCGMおよびインスリンデータ対推定された食事時間における最適なボーラスでリプレイシミュレーションされたCGMのうちの少なくとも1つを示す視覚化を提供する。理想的な食前ボーラスタイミングで患者のコンプライアンスの視覚化を提供するように構成されている、コンプライアンスエンジンが提供される。出力デバイスは、血糖機能障害の量に基づいて、対象に食事管理情報を提供する。食事管理情報は、患者のボーラス前のタイミング情報を含む。ボーラス前のタイミング情報は、将来のあるタイプの食事の前のボーラス投与に関する患者への推奨を含む。
【0166】
実装態様では、血糖機能障害の量を判定する方法が提供される。この方法は、リプレイアナライザで過去の血中グルコース(BG)データおよび過去のインスリンデータを受信することと、過去のBGデータおよび過去のインスリンデータを使用して、過去のボーラスおよび推定された食事について複数のリプレイ解析を実行することと、複数のリプレイ解析のうちの少なくとも1つを使用して、少なくとも1つの残存インスリン(IOB)データ解析を実行することと、複数のレプレイ解析のうちの少なくとも1つを使用して、少なくとも1つのBGデータ解析を実行することと、少なくとも1つのIOBデータ解析および少なくとも1つのBGデータ解析を使用して、少なくとも1つの不一致解析および少なくとも1つの比較を実行することと、少なくとも1つの不一致解析および少なくとも1つの比較に基づいて、出力を提供することと、を含む。
【0167】
実装態様は、次の機能の一部またはすべてを含み得る。BGデータおよびインスリンデータは、インスリンボーラス量およびインスリンボーラス量のタイミングを含む。BGデータおよびインスリンデータの第1の部分が推定され、BGデータおよびインスリンデータの第2の部分が報告される。BGデータおよびインスリンデータは、対象の食事の推定されたタイミング、または対象の食事の推定された組成のうちの少なくとも1つを含む。BGデータおよびインスリンデータは、対象の食事のタイミングまたは対象の食事の組成のうちの少なくとも1つに関する誤情報を含む。BGデータおよびインスリンデータの一部分は、対象から受信される。BGデータおよびインスリンデータは、時系列形態の推定された代謝状態、調整された食事履歴、および送達されたインスリン履歴を含む。BGデータおよびインスリンデータは、推定された代謝状態、調整された推定された代謝入力、および既知の代謝入力を含む。BGデータおよびインスリンデータは、時間的に離散化されている。
【0168】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてを含み得る。リプレイ解析を実行することは、食事に関して推定されたボーラス投与のタイミング、炭水化物の計数、および炭水化物の比率の影響を分離することを含む。リプレイ解析を実行することは、リプレイシミュレーション解析を使用して、不正確な炭水化物の計数および不適切な炭水化物の比率を除去することによって、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラスの影響を査定することを含む。リプレイ解析を実行することは、推定された過去の食事時間における数値的に最適なボーラスの影響を査定することを含む。リプレイ解析を実行することは、過去のボーラス時間において、または推定された食事の前の時間においてリプレイシミュレーションを実行することを含む。リプレイ解析を実行することは、BGデータおよびインスリンデータ、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラス、または推定された食事時間における数値的に最適なボーラスのうちの少なくとも1つを用いてリプレイシミュレーションを実行することを含む。リプレイ解析を実行することは、候補ボーラスのセットを生成することと、各候補ボーラスに関連する将来の血中グルコース(BG)値をシミュレーションすることと、リスク解析を使用して、各候補ボーラスのシミュレーションされたBG軌道をスコアリングすることと、各候補ボーラスのスコアに基づいて、最良のボーラスを選んで実装することと、次のボーラス時間までシミュレーションをリプレイし続けることと、を含む。リスク解析は、速度依存リスク解析である。少なくとも1つの不一致解析を実行することは、最適なタイミングのボーラス投与と比較して、推定されたボーラス投与の機能障害の量を定量化することを含む。少なくとも1つの不一致解析を実行することは、最適なタイミングのボーラス投与と比較して、過去のボーラス投与の機能障害の量を定量化することを含む。少なくとも1つの不一致解析を実行することは、理想的な食前ボーラスタイミングで患者のコンプライアンスを定量化することを含む。
【0169】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてを含み得る。出力には、プロットまたは視覚化のうちの少なくとも1つが含まれる。出力は、高血中グルコースリスク、低血中グルコースリスク、または総血糖リスクのうちの少なくとも1つを含むリスク指数を含む。出力は、範囲外の血中グルコースへのエクスカーションの数および程度を含む。出力は、過去の時間における血糖機能障害を示している。出力を提供することは、血糖機能障害の行動への影響、BGデータおよびインスリンデータ対過去のボーラス時間における最適なボーラスでリプレイシミュレーションされたBGデータ、またはBGデータおよびインスリンデータ対推定された食事時間における最適なボーラスでリプレイシミュレーションされたBGデータのうちの少なくとも1つを示す視覚化を提供する。出力は、理想的な食前ボーラスタイミングでの患者のコンプライアンスの視覚化を含む。血糖機能障害の量に基づいて、対象に食事管理情報を提供する。食事管理情報は、患者のボーラス前のタイミング情報を含む。ボーラス前のタイミング情報は、将来のあるタイプの食事の前のボーラス投与に関する患者への推奨を含む。
【0170】
実装態様では、血糖機能障害の量を判定するためのシステムが提供される。このシステムは、血中グルコース(BG)データ、インスリンデータ、および複数の関数を受信するように構成されている入力デバイスと、BGデータ、インスリンデータ、および複数の関数を受信するように、かつBGデータ、インスリンデータ、および複数の関数を使用して、過去のボーラスに対して、および推定された食事に対して、複数のリプレイ解析を実行するように構成されているリプレイアナライザと、インスリンデータまたは複数のリプレイ解析のうちの少なくとも1つを使用して、複数のIOBの査定を実行するように構成されている残存インスリン(IOB)アセッサと、BGデータまたは複数のリプレイ解析のうちの少なくとも1つを使用して、複数のBGリスクプロファイルを実行するように構成されているBGリスクプロファイラと、複数のIOB査定のうちの少なくとも1つを使用して、複数のIOBプロファイルを実行するように構成されているIOBプロファイラと、BGリスクプロファイラの出力を使用して、リスクプロファイルプロットまたはBGリスクスコアのうちの少なくとも1つを判定するように構成されているBGリスクコンパレータと、IOBプロファイルおよびIOB査定を使用して、複数の不一致解析を実行して、IOBプロファイルプロット、IOB不一致プロット、またはIOBトレース類似性スコアのうちの少なくとも1つを判定するように構成されている不一致アナライザと、リスクプロファイルプロット、BGリスクスコア、IOBプロファイルプロット、IOB不一致プロット、またはIOBトレース類似性スコアの少なくとも1つを出力するように構成されている出力デバイスと、を含む。
【0171】
実装態様は、次の機能の一部またはすべてを含み得る。BGデータおよびインスリンデータは、インスリンボーラス量およびインスリンボーラス量のタイミングを含む。BGデータおよびインスリンデータの第1の部分が推定され、BGデータおよびインスリンデータの第2の部分が報告される。BGデータおよびインスリンデータは、対象の食事の推定されたタイミング、または対象の食事の推定された組成のうちの少なくとも1つを含む。BGデータおよびインスリンデータは、対象の食事のタイミングまたは対象の食事の組成のうちの少なくとも1つに関する誤情報を含む。BGデータおよびインスリンデータの一部分は、対象のコンピューティングデバイスから受信される。BGデータおよびインスリンデータは、時系列形態の推定された代謝状態、調整された食事履歴、および送達されたインスリン履歴を含む。BGデータおよびインスリンデータは、推定された代謝状態、調整された推定された代謝入力、および既知の代謝入力を含む。BGデータおよびインスリンデータは、時間的に離散化されている。
【0172】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてを含み得る。リプレイアナライザは、食事に関して推定されたボーラス投与のタイミング、炭水化物の計数、および炭水化物の比率の影響を分離する。リプレイアナライザは、リプレイシミュレーション解析を使用して、不正確な炭水化物の計数および不適切な炭水化物の比率を除去することによって、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラスの影響を査定する。リプレイアナライザは、推定された過去の食事時間における数値的に最適なボーラスの影響を査定する。リプレイアナライザは、過去のボーラス時間において、または推定された食事の前の時間においてリプレイシミュレーションを実行する。リプレイアナライザは、BGデータおよびインスリンデータ、過去のボーラス時間における数値的に最適なボーラス、または推定された食事時間における数値的に最適なボーラスのうちの少なくとも1つを用いてリプレイシミュレーションを実行する。リプレイアナライザは、候補ボーラスのセットを生成することと、各候補ボーラスに関連する将来の血中グルコース(BG)値をシミュレーションすることと、リスク解析を使用して、各候補ボーラスのシミュレーションされたBG軌道をスコアリングすることと、各候補ボーラスのスコアに基づいて、最良のボーラスを選んで実装することと、次のボーラス時間までシミュレーションをリプレイし続けることと、を行うように構成されている。リスク解析は、速度依存リスク解析である。不一致アナライザは、最適なタイミングのボーラス投与と比較した、推定されたボーラス投与の機能障害の量を定量化する。不一致アナライザは、最適なタイミングのボーラス投与と比較した、過去のボーラス投与の機能障害の量を定量化する。不一致アナライザは、理想的な食前ボーラスタイミングで患者のコンプライアンスを定量化する。
【0173】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてを含み得る。出力には、プロットまたは視覚化のうちの少なくとも1つが含まれる。出力は、高血中グルコースリスク、低血中グルコースリスク、または総血糖リスクのうちの少なくとも1つを含むリスク指数を含む。出力は、範囲外の血中グルコースへのエクスカーションの数および程度を含む。出力は、過去の時間における血糖機能障害を示している。出力デバイスは、血糖機能障害の行動への影響、BGデータおよびインスリンデータ対過去のボーラス時間における最適なボーラスでリプレイシミュレーションされたBGデータ、または過去のBGデータおよびインスリンデータ対推定された食事時間における最適なボーラスでリプレイシミュレーションされたCGMのうちの少なくとも1つを示す視覚化を提供する。出力デバイスは、理想的な食前ボーラスタイミングでの患者のコンプライアンスの視覚化を提供するように構成されている。出力デバイスは、血糖機能障害の量に基づいて、対象に食事管理情報を提供する。食事管理情報は、患者のボーラス前のタイミング情報を含む。ボーラス前のタイミング情報は、将来のあるタイプの食事の前のボーラス投与に関する患者への推奨を含む。
【0174】
実装態様では、血糖リスクに基づいて、推奨を提供する方法が提供される。この方法は、対象者の過去の血中グルコース(BG)データまたは過去のインスリンデータのうちの少なくとも1つを受信することであって、BGデータおよびインスリンデータは、インスリンボーラス量、およびインスリンボーラス量のタイミングを含む、受信することと、過去のBGデータまたは過去のインスリンデータのうちの少なくとも1つに基づいて、対象者の血糖機能障害の第1のリスクスコアを判定することと、対象者に最適なBGデータまたは最適なインスリンデータのうちの少なくとも1つを受信することと、過去のBGデータまたは過去のインスリンデータのうちの少なくとも1つに基づいて、対象者の血糖機能障害の第2のリスクスコアを判定することと、第1のリスクスコアを第2のリスクスコアと比較することと、第1のリスクスコアと第2のリスクスコアとの比較に基づいて、推奨を出力することと、を含む。
【0175】
実装態様は、次の機能の一部またはすべてを含み得る。BGデータおよびインスリンデータの第1の部分が推定され、BGデータおよびインスリンデータの第2の部分が報告される。BGデータおよびインスリンデータは、対象の食事の推定されたタイミング、または対象の食事の推定された組成のうちの少なくとも1つを含む。BGデータおよびインスリンデータは、対象の食事のタイミング、または対象の食事の組成のうちの少なくともの1つに関する誤情報を含む。BGデータおよびインスリンデータの一部分は、対象から受信される。BGデータおよびインスリンデータは、時系列形態の推定された代謝状態、調整された食事履歴、および送達されたインスリン履歴を含む。BGデータおよびインスリンデータは、推定された代謝状態、調整された推定された代謝入力、および既知の代謝入力を含む。BGデータおよびインスリンデータは、時間的に離散化されている。
【0176】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてを含み得る。第1のリスクスコアを第2のリスクスコアと比較することが、最適なタイミングのボーラス投与と比較して、推定されたボーラス投与の機能障害の量を定量化することを含む。第1のリスクスコアを第2のリスクスコアと比較することが、最適なタイミングのボーラス投与と比較して、過去のボーラス投与の機能障害の量を定量化することを含む。第1のリスクスコアを第2のリスクスコアと比較することが、理想的な食前ボーラスタイミングで患者のコンプライアンスを定量化することを含む。
【0177】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてを含み得る。推奨には、プロットまたは視覚化のうちの少なくとも1つが含まれる。推奨は、高血中グルコースリスク、低血中グルコースリスク、または総血糖リスクのうちの少なくとも1つを含むリスク指数を含む。推奨は、範囲外の血中グルコースへのエクスカーションの数および程度を含む。出力は、過去の時間における血糖機能障害を示している。推奨を出力することは、血糖機能障害の行動への影響、BGデータおよびインスリンデータ対過去のボーラス時間における最適なボーラスでリプレイシミュレーションされたBGデータ、またはBGデータおよびインスリンデータ対推定された食事時間における最適なボーラスでリプレイシミュレーションされたBGデータのうちの少なくとも1つを示す視覚化を提供することを含む。推奨は、理想的な食前ボーラスタイミングでの患者のコンプライアンスの視覚化を含む。
【0178】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてを含み得る。この方法は、血糖機能障害の量に基づいて、対象に食事管理情報を提供することをさらに含む。食事管理情報は、患者のボーラス前のタイミング情報を含む。ボーラス前のタイミング情報は、将来のあるタイプの食事の前のボーラス投与に関する患者への推奨を含む。この方法は、1つ以上の血中グルコース値を、糖尿病合併症のリスクまたは血糖コントロールの程度と一致する相対リスクスコアに変換することをさらに含む。第1のリスクスコアおよび第2のリスクスコアの各々は、単一の値に割り当てられるか、または1日平均リスクスコアなどの時間セグメントにわたって要約される。この方法は、第1のリスクスコアが第2のリスクスコアに近い場合、インスリンの量およびタイミングが理想に近いので、対象の行動識別し、対象の行動を奨励することをさらに含む。第1のリスクスコアと第2のリスクスコアとの比較が、所定のパーセンテージ差未満、スコア範囲もしくは差内、または閾値差未満のうちの少なくとも1つである場合、インスリンの量およびタイミングが理想に近いため、対象の行動を識別し、対象の行動を奨励することをさらに含む。この方法は、第1のリスクスコアが第2のリスクスコアよりも著しく大きい場合、将来の同様の食事に対するインスリンボーラスの量またはタイミングを調整することをさらに含む。第1のリスクスコアと第2のリスクスコアとの比較は、所定のパーセンテージ差以上、スコア範囲または差外、閾値差以上のうちの少なくとも1つである場合、将来の同様の食事に対するインスリンボーラスの量またはタイミングを調整することをさらに含む。
【0179】
実装態様では、血糖リスクを評価する方法が提供される。この方法は、過去の血中グルコース(BG)データまたは過去のインスリンデータのうちの少なくとも1つに基づいて、血糖機能障害の過去のリスクスコアを判定することであって、過去のBGデータおよび過去のインスリンデータが、インスリンボーラス量、およびインスリンボーラス量のタイミングを含む、判定することと、最適なBGデータまたは最適なインスリンデータのうちの少なくとも1つに基づいて、血糖機能障害の最適なリスクスコアを判定することと、過去のリスクスコアと最適なリスクスコアとの間の差を判定することと、差に基づいて、かつ閾値に基づいて推奨を提供することと、を含む。
【0180】
実装態様は、次の機能の一部またはすべてを含み得る。BGデータおよびインスリンデータの第1の部分が推定され、BGデータおよびインスリンデータの第2の部分が報告される。BGデータおよびインスリンデータは、対象の食事の推定されたタイミング、または対象の食事の推定された組成のうちの少なくとも1つを含む。BGデータおよびインスリンデータは、対象の食事のタイミングまたは対象の食事の組成のうちの少なくとも1つに関する誤情報を含む。BGデータおよびインスリンデータの一部分は、対象から受信される。BGデータおよびインスリンデータは、時系列形態の推定された代謝状態、調整された食事履歴、および送達されたインスリン履歴を含む。BGデータおよびインスリンデータは、推定された代謝状態、調整された推定された代謝入力、および既知の代謝入力を含む。BGデータおよびインスリンデータは、時間的に離散化されている。過去のリスクスコアと最適なリスクスコアとの間の差を判定することは、最適なタイミングのボーラス投与と比較して、推定されたボーラス投与の機能障害の量を定量化することを含む。過去のリスクスコアと最適なリスクスコアとの間の差を判定することは、最適なタイミングのボーラス投与と比較して、過去のボーラス投与の機能障害の量を定量化することを含む。過去のリスクスコアと最適なリスクスコアとの間の差を判定することが、理想的な食前ボーラスタイミングで患者のコンプライアンスを定量化することを含む。
【0181】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてを含み得る。推奨は、プロットまたは視覚化のうちの少なくとも1つを含む。推奨は、高血中グルコースリスク、低血中グルコースリスク、または総血糖リスクのうちの少なくとも1つを含むリスク指数を含む。推奨は、範囲外の血中グルコースへのエクスカーションの数および程度を含む。出力は、過去の時間における血糖機能障害を示す。推奨を提供することは、血糖機能障害の行動への影響、BGデータおよびインスリンデータ対過去のボーラス時間における最適なボーラスでリプレイシミュレーションされたBGデータ、またはBGデータおよびインスリンデータ対推定された食事時間における最適なボーラスでリプレイシミュレーションされたBGデータのうちの少なくとも1つを示す視覚化を提供することを含む。推奨は、理想的な食前ボーラスタイミングでの患者のコンプライアンスの視覚化を含む。
【0182】
実装態様はまた、次の機能の一部またはすべてをが含み得る。この方法は、血糖機能障害の量に基づいて、対象に食事管理情報を提供することをさらに含む。食事管理情報は、患者のボーラス前のタイミング情報を含む。ボーラス前のタイミング情報は、将来のあるタイプの食事の前のボーラス投与に関する患者への推奨を含む。この方法は、1つ以上の血中グルコース値を、糖尿病合併症のリスクまたは血糖コントロールの程度と一致する相対リスクスコアに変換することをさらに含む。過去のリスクスコアおよび最適なリスクスコアの各々は、単一の値に割り当てられるか、または1日平均リスクスコアなどの時間セグメントにわたって要約される。この方法は、過去のリスクスコアが最適なリスクスコアに近い場合、インスリンの量およびタイミングが理想に近いので、対象の行動を識別し、対象の行動を奨励することをさらに含む。過去のリスクスコアと最適なリスクスコアとの間の差が、所定のパーセンテージ差未満、スコア範囲もしくは差内、または閾値差未満のうちの少なくとも1つである場合、インスリンの量とおよびイミングが理想に近いため、対象の行動を識別し、対象の行動を奨励することをさらに含む。この方法は、過去のリスクスコアが最適なリスクスコアよりも著しく大きい場合、将来の同様の食事に対するインスリンボーラスの量またはタイミングを調整することをさらに含む。過去のリスクスコアと最適なリスクスコアとの間の差は、所定のパーセンテージ差以上、スコア範囲または差外、閾値差以上のうちの少なくとも1つである場合、将来の同様の食事に対するインスリンボーラスの量またはタイミングを調整することをさらに含む。
【0183】
実装態様では、方法は、実際のボーラスの記録に基づいて、第1のIOBトレースを計算することと、最適な治療の第2のIOBトレースを計算することと、第1のIOBトレースを第2のIOBトレースと比較して、IOB類似性スコアを判定することと、IOB類似性スコアを使用して、スマートアラート行動、ユーザ推奨、レポート機能、および視覚化の少なくとも1つを変更することと、を含む。
【0184】
実装態様は、次の機能の一部またはすべてを含み得る。トレースを比較することは、単位マグニチュードトレース間の内積を判定して、0~1の範囲の値を与えることを含み、1は、実際の、および最適な投薬の形状が最も類似していることを示す。この方法は、IOB類似性スコアを現在の行動に対して閾値化または比較し、閾値化または比較を使用して、スマートアラート行動、ユーザ推奨、レポート機能、および視覚化を変更することをさらに含む。
【0185】
実装態様では、システムは、実際のボーラスの記録に基づく第1のIOBトレースと最適な治療の第2のIOBトレースの比較を使用して、IOB類似性スコアを判定するように構成されている不一致アナライザと、IOB類似性スコアを出力するように構成されている出力デバイスと、を備える。
【0186】
実装態様は、次の機能の一部またはすべてを含み得る。システムは、実際のボーラスの記録に基づいて第1のIOBトレースを計算し、最適な治療の第2のIOBトレースを計算するように構成されている入力デバイスをさらに備える。
【0187】
本明細書で説明される様々な技術は、ハードウェアコンポーネントまたはソフトウェアコンポーネントに関連して、または適切な場合には、両方の組み合わせで実装され得ることが理解されるべきである。使用されることができるハードウェアコンポーネントの実例となるタイプには、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップシステム(SOC)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)などを含む。現在開示されている主題の方法および装置、またはその特定の態様もしくは部分は、フロッピーディスク、CD-ROM、ハードドライブ、またはプログラムコードがコンピュータなどの機械にロードされて実行されると、機械は現在開示されている主題を実践するための装置になる、任意の他の機械可読記憶媒体などの有形的表現媒体に具体化されたプログラムコード(すなわち、命令)の形態を採り得る。
【0188】
例示的な実装態様では、1つ以上のスタンドアロンコンピュータシステムのコンテキストで現在開示されている主題の態様を利用することに言及している場合があるが、主題はそのように限定されるものではなく、むしろ、ネットワークまたは分散コンピューティング環境などの任意のコンピューティング環境に関連して実装され得る。なおさらに、現在開示されている主題の態様は、複数の処理チップまたはデバイス内で、またはそれらにわたって実装され得、記憶装置は、同様に複数のデバイスにわたって実装され得る。このようなデバイスとしては、例えば、パーソナルコンピュータ、ネットワークサーバ、およびハンドヘルドデバイスが挙げられ得る。
【0189】
構造的特徴および/または方法論的行為に特化した言葉で主題を説明してきたが、添付の請求項で定義される主題は、必ずしも上述の特定の特徴または行為に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、上記の特定の特徴および行為は、請求項を実装する例示的な形態として開示されている。