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特許7516400円形外科用ステープラのための二段階閉鎖システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】円形外科用ステープラのための二段階閉鎖システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
A61B17/115
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021544963
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 IB2019058690
(87)【国際公開番号】W WO2020079547
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】16/159,851
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ストークス・マイケル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブズ・マイケル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ラバセトウォー・ディーシャ・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】スコット・グレゴリー・ジー
(72)【発明者】
【氏名】グエン・アンソニー
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05443198(US,A)
【文献】特表2016-509890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)本体を含むハンドルアセンブリと、
(b)前記本体から遠位に延在する外側管状部材を含むシャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記外側管状部材に対して固定されたステープルデッキと、
(ii)ステープルドライバであって、前記ステープルドライバは、未発射位置と発射済位置との間で前記ステープルデッキに対して作動するように動作可能である、ステープルドライバと、
(iii)前記ステープルデッキ及び前記ステープルドライバに対して作動するように構成されたトロカールと、を含む、エンドエフェクタと、
(d)前記トロカールと選択的に連結するように構成されたアンビルであって、前記アンビルが前記トロカールと選択的に連結されると、前記トロカールは、前記ステープルデッキに対して前記アンビルを作動させるように動作可能である、アンビルと、
(e)前記トロカールを遠位位置と第1の閉鎖位置との間で駆動するために、前記本体に対して第1の動きで作動するように構成された第1の作動体を含む、第1のトロカール閉鎖アセンブリと、
(f)前記トロカールを前記第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間で駆動するために、前記本体に対して第2の動きで作動するように構成された第2の作動体を含む、第2のトロカール閉鎖アセンブリであって、前記第2の閉鎖位置は、前記第1の閉鎖位置及び前記遠位位置の両方に対して近位であり、前記第2の作動体は、少なくとも前記第1のトロカール閉鎖アセンブリが前記トロカールを前記第1の閉鎖位置まで作動させるまで、前記トロカールを駆動しないように構成されている、第2のトロカール閉鎖アセンブリと、を備えており、
前記第1の作動体は、前記本体に対して枢動することにより前記トロカールを駆動するように構成されており、
前記第2の作動体は、前記本体に対して回転することにより前記トロカールを駆動するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記第2のトロカール閉鎖アセンブリは、前記トロカールが前記第1の閉鎖位置に到達するまで、前記トロカール内で係合解除されたままであるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2のトロカール閉鎖アセンブリは、前記第1の閉鎖位置と前記第2の閉鎖位置との間に位置する複数の位置の間で前記トロカールを作動させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のトロカール閉鎖アセンブリは、前記トロカールを第1の移動速度で作動させるように構成され、前記第2のトロカール閉鎖アセンブリは、前記トロカールを第2の移動速度で作動させるように構成され、前記第1の移動速度は、前記第2の移動速度よりも大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記トロカールは、前記本体内に摺動可能に収容された近位フレームを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記近位フレームは、ピンとスロットとの関係によって前記本体内に摺動可能に収容されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のトロカール閉鎖アセンブリの前記第1の作動体は、前記本体と枢動可能に連結されたハンドルを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記ハンドルはまた前記近位フレームと連結されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ハンドルはスロットを画定し、前記近位フレームは突出部を含み、前記突出部は、前記スロット内に摺動可能に収容されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のトロカール閉鎖アセンブリは連結リンクを更に含み、前記連結リンクは、前記ハンドル及び前記近位フレームの両方に連結されている、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記ハンドルはスロットを画定し、前記連結リンクはピンを含み、前記ピンは、前記スロット内に摺動可能に収容されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第2のトロカール閉鎖アセンブリの前記第2の作動体は、前記本体に回転可能に配設された調節ノブを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項13】
前記第2のトロカール閉鎖アセンブリは、前記調節ノブから前記本体内に延在するねじ付きシャフトを含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記近位フレームは連結チャネルを画定し、前記ねじ付きシャフトは、前記トロカールが前記第1の閉鎖位置と前記第2の閉鎖位置との間にあるときに、前記連結チャネルと係合するように構成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記トロカールは前記第1の閉鎖位置に向かって付勢されている、請求項5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一部の外科手術(例えば、大腸外科手術、肥満外科手術、胸部外科手術など)において、患者の消化管の一部分(例えば、胃腸管及び/又は食道など)は、望ましくない組織を除去するために又はその他の理由によって、切除される場合がある。組織を取り除いた後、端々吻合により、消化管の残りの部位を相互に連結することができる。端々吻合により、吻合部位から、いかなる種類の漏れを生じることもなく、消化管の1つの部位から消化管の他の部位へと実質的に遮るもののない流路を与えることができる。
【0002】
端々吻合を提供するために用いられ得る器具の1つの例として、円形ステープラがある。いくつかのそのようなステープラは、組織の層をクランプし、クランプした組織の層を切断し、かつクランプした組織の層を貫通させてステープルを駆動し、それらの組織の層の切断した端部の近傍で、組織の層同士を実質的に封止して、解剖学的管腔の切断された2つの端部を接合するように動作可能である。円形ステープラは、組織を切断し、かつ実質的に同時にその組織を封止するように構成することができる。例えば、円形ステープラは、吻合においてステープルの環状配列に対して内側である余分な組織を切断して、吻合で接合される解剖学的管腔部間の実質的に滑らかな移行を提供し得る。円形ステープラは、観血手術において、又は内視鏡手術において用いられ得る。いくつかの例では、円形ステープラの一部を、患者の身体に元々ある開口部を通して挿入する。
【0003】
円形ステープラの例は、1993年4月27日に発行された米国特許第5,205,459号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1993年12月21日に発行された米国特許第5,271,544号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年1月4日に発行された米国特許第5,275,322号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年2月15日に発行された米国特許第5,285,945号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年3月8日に発行された米国特許第5,292,053号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年8月2日に発行された米国特許第5,333,773号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;1994年9月27日に発行された米国特許第5,350,104号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;及び1996年7月9日に発行された米国特許第5,533,661号、発明の名称「Surgical Anastomosis Stapling Instrument」;及び2014年12月16日に発行された米国特許第8,910,847号、発明の名称「Low Cost Anvil Assembly for a Circular Stapler」に記載されている。上に引用した米国特許の各々の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書は、本技術を具体的に指摘し、かつ明確にこの技術を特許請求する、特許請求の範囲により完結するが、本技術は、以下の特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことでよりよく理解されるものと考えられ、図面において同様の参照符号は同じ要素を特定する。
図1】例示的な円形ステープル留め外科用器具の側立面図である。
図2図1の外科用器具の例示的なアンビルの斜視図である。
図3図2のアンビルの分解側立面図である。
図4図1の外科用器具のステープル留めヘッドアセンブリの斜視図である。
図5図5のステープル留めヘッドアセンブリの分解斜視図である。
図6図1の外科用器具の例示的な閉鎖システムの斜視図を示す。
図7図1の閉鎖システムの分解斜視図である。
図8】表示窓及び表示レバーを示す、図1の外科用器具の例示的なインジケータアセンブリの拡大部分斜視図を示す。
図9】例示的な表示バー及び例示的な対応するステープルを描いた図を示す、図10の表示窓の線図である。
図10A】アンビルが組織の第1の管状部分内にあり、ステープル留めヘッドアセンブリが組織の第2の管状部分内にある、第1の開放位置にある図2のアンビルを示す、図5のステープル留めヘッドアセンブリの拡大長手方向断面図である。
図10B】アンビルが組織の第1の管状部分内にあり、ステープル留めヘッドアセンブリが組織の第2の管状部分内にある、閉鎖位置にある図2のアンビルを示す、図5のステープル留めヘッドアセンブリの拡大長手方向断面図である。
図10C】余分な組織が切断されて、組織の第1の管状部分及び組織の第2の管状部分が一緒にステープル留めされるように、例示的なステープルドライバ及びブレードが発射済位置にある、閉鎖位置にある図2のアンビルを示す、図5のステープル留めヘッドアセンブリの拡大長手方向断面図である。
図10D】組織の第1の管状部分及び組織の第2の管状部分が結合されている、第2の開放位置にある図2のアンビルを示す、図5のステープル留めヘッドアセンブリの拡大長手方向断面図である。
図10E図5のステープル留めヘッドアセンブリ及び図2のアンビルを取り除いた後の、完了した端々吻合を残している、第1の管状部分及び第2の管状部分の拡大長手方向断面図である。
図11図2のアンビルに対して形成された例示的なステープルの拡大部分断面図である。
図12A】本体の一部を取り除いた、図1の外科用器具の例示的なアクチュエータハンドルアセンブリの拡大側立面図であり、未発射位置にあるトリガ、及びロック位置にあるロックアウト機構が示されている。
図12B】発射済位置にあるトリガ、及びロック解除位置にあるロックアウト機構を示す、図12Aのアクチュエータハンドルアセンブリの拡大側立面図を示す。
図13A】代替的な円形ステープル留め外科用器具の断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、開放位置にあるアンビルと関連する第1の構成にある。
図13B図13Aの円形ステープル留め外科用器具の断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、第1の閉鎖位置にあるアンビルと関連する第2の構成にある。
図13C図13Aの円形ステープル留め外科用器具の断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、第2の閉鎖位置にあるアンビルと関連する第3の構成にある。
図14A図1又は図13Aの円形ステープル留め外科用器具に容易に組み込まれ得る、代替的なアクチュエータハンドルアセンブリの断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、開放位置にあるアンビルと関連する第1の構成にある。
図14B図14Aのアクチュエータハンドルアセンブリの断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、第1の閉鎖位置にあるアンビルと関連する第2の構成にある。
図14C図14Aのアクチュエータハンドルアセンブリの断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、第2の閉鎖位置にあるアンビルと関連する第3の構成にある。
図15図14Aのトロカール作動アセンブリのトロカール及び近位フレームの斜視図である。
図16A】代替的な円形ステープル留め外科用器具の一部分の断面上面図であり、トロカール作動アセンブリは、展開前位置にあるトロカールと関連する第1の構成にある。
図16B図16Aの円形ステープル留め外科用器具の一部分の断面上面図であり、トロカール作動アセンブリは、開放位置にあるトロカール及びアンビルと関連する第2の構成にある。
図16C図16Aの円形ステープル留め外科用器具の一部分の断面上面図であり、トロカール作動アセンブリは、第1の閉鎖位置にあるトロカール及びアンビルと関連する第3の構成にある。
図16D図16Aの円形ステープル留め外科用器具の一部分の断面上面図であり、トロカール作動アセンブリは、第2の閉鎖位置にあるトロカール及びアンビルと関連する第4の構成にある。
図17A図16Aの円形ステープル留め外科用器具の断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、展開前位置にあるトロカールと関連する第1の構成にある。
図17B図16Aの円形ステープル留め外科用器具の一部分の断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、開放位置にあるトロカール及びアンビルと関連する第2の構成にある。
図17C図16Aの円形ステープル留め外科用器具の一部分の断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、第1の閉鎖位置にあるトロカール及びアンビルと関連する第3の構成にある。
図17D図16Aの円形ステープル留め外科用器具の一部分の断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、第2の閉鎖位置にあるトロカール及びアンビルと関連する第4の構成にある。
図18A】代替的な円形ステープル留め外科用器具の断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、開放位置にあるアンビルと関連する第1の構成にある。
図18B図18Aの円形ステープル留め外科用器具の断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、第1の閉鎖位置にあるアンビルと関連する第2の構成にある。
図18C図18Aの円形ステープル留め外科用器具の断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、第2の閉鎖位置にあるアンビルと関連する第3の構成にある。
図19図18Bの線19-19に沿った、図18Aの円形ステープル留め外科用器具の断面図である。
図20図13A図14A図16A、及び図18Aのトロカール作動アセンブリに容易に組み込まれ得る代替的なねじ付きロッドの斜視図を示す。
図21図13A図14A図16A、及び図18Aのトロカール作動アセンブリに容易に組み込まれ得る代替的なねじ付きロッドの立面側面図を示す。
図22図21のねじ付きロッドの立面正面図を示す。
図23図13A図14A図16A、及び図18Aのトロカール作動アセンブリに容易に組み込まれ得る代替的な近位フレームと噛み合わされている、図21のねじ付きロッドの断面正面図である。
図24A】代替的なアクチュエータハンドルアセンブリの断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、展開前位置にあるトロカールと関連する第1の構成にあり、長方形ワッシャは、阻害位置にある。
図24B図24Aのアクチュエータハンドルアセンブリの断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、展開前位置にあるトロカールと関連する第1の構成にあり、長方形ワッシャは、非阻害位置にある。
図24C図24Aのアクチュエータハンドルアセンブリの断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、開放位置にあるトロカールと関連する第2の構成にあり、長方形ワッシャは、非阻害位置にある。
図24D図24Aのアクチュエータハンドルアセンブリの断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、展開前位置にあるトロカールと関連する第1の構成に戻されており、長方形ワッシャは、阻害位置にある。
図24E図24Aのアクチュエータハンドルアセンブリの断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、第1の閉鎖位置にあるトロカールと関連する第3の構成にあり、長方形ワッシャは、阻害位置にある。
図24F図24Aのアクチュエータハンドルアセンブリの断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、第2の閉鎖位置にあるトロカールと関連する第4の構成にあり、長方形ワッシャは、阻害位置にある。
図25A図24Aの線25A-25Aに沿った、図24Aのアクチュエータハンドルアセンブリの断面図であり、長方形ワッシャは阻害位置にある。
図25B図24Bの線25B-25Bに沿った、図24Aのアクチュエータハンドルアセンブリの断面図であり、長方形ワッシャは非阻害位置にある。
図26A】代替的なアクチュエータハンドルアセンブリの断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、開放位置にあるアンビルと関連する第1の構成にある。
図26B図26Aのアクチュエータハンドルアセンブリの断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、第1の閉鎖位置にあるアンビルと関連する第2の構成にある。
図26C図26Aのアクチュエータハンドルアセンブリの断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、第2の閉鎖位置にあるアンビルと関連する第3の構成にある。
図26D図26Aのアクチュエータハンドルアセンブリの断面側面図であり、トロカール作動アセンブリは、第2の閉鎖位置にあるアンビルと関連する第3の構成にあり、トリガは、発射済位置へと枢軸旋回されている。
図27図26Aのアクチュエータハンドルアセンブリに容易に組み込まれ得る代替的な調節ノブアセンブリを示す。
図28図27の線28-28に沿った、図27の調節ノブアセンブリの断面図である。
図29】代替的なアクチュエータハンドルアセンブリの断面側面図である。
図30図29のアクチュエータハンドルアセンブリの断面上面図を示す。
図31A】開放位置にあるトロカールと関連する第1の構成におけるトロカール作動アセンブリの斜視図を示す。
図31B】第1の閉鎖位置にあるトロカールと関連する第2の構成にあるトロカール作動アセンブリの斜視図を示す。
図31C】第2の閉鎖位置にあるトロカールと関連する第2の構成にあるトロカール作動アセンブリの斜視図を示す。
図32図31Aのトロカール作動アセンブリのラックアセンブリの斜視図である。
【0006】
図面は、いかなる方法でも限定することを意図しておらず、本技術の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、その他の様々な方法で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付図面は、本技術のいくつかの態様を例示しており、その説明と共に本技術の原理を説明するものであるが、本技術は、示される厳密な配置に限定されないことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本技術の特定の実施例の以下の説明は、その範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明により、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本明細書に記載される技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、その他の異なる、かつ明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0008】
I.例示的な円形ステープル留め外科用器具の概要
図1図12Bは、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)、シャフトアセンブリ(60)、及びアクチュエータハンドルアセンブリ(70)を有する例示的な円形外科用ステープル留め器具(10)を示し、各々については、以下により詳細に説明する。シャフトアセンブリ(60)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)から遠位に延在し、一方で、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)は、シャフトアセンブリ(60)の遠位端に連結している。端的には、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)のステープルドライバ部材(250)を作動させて、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)から複数のステープル(66)を駆動するように動作可能である。ステープル(66)は、器具(10)の遠位端に選択的に結合されるアンビル(40)によって曲げられて完成したステープルを形成する。したがって、器具(10)を利用して、図10A図10Eに示されるように、組織(2)をステープル留めすることができる。
【0009】
本実施例では、器具(10)は閉鎖システム及び発射システムを備える。以下により詳細に記載されるように、閉鎖システム及びアンビル(40)は、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)との間に組織をクランプするように動作可能である。また、以下により詳細に記載されるように、発射システム及びアンビル(40)は、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)との間にクランプされた組織を切断してステープル留めするように動作可能である。
【0010】
閉鎖システムは、トロカール(230)、トロカールアクチュエータ(231)、接続バンド部分(235)、及び調節ノブ(98)を備える。トロカールアクチュエータ(231)は、接続バンド部分(235)を介してトロカール(230)に連結されている。アンビル(40)は、トロカール(230)の遠位端に選択的に連結され得る。以下により詳細に記載されるように、調節ノブ(98)は、トロカール(230)をステープル留めヘッドアセンブリ(200)に対して長手方向に直動させ、これにより、アンビル(40)がトロカール(230)に適切に連結されたときに、アンビル(40)を直動させて、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)との間で組織を更にクランプするように動作可能である。
【0011】
発射システムは、トリガ(74)、トリガ作動アセンブリ(84)、ドライバアクチュエータ(64)、及びステープルドライバ部材(250)を備える。ステープルドライバ部材(250)は、ステープルドライバ部材(250)が長手方向に作動されたときに、組織を切断するように構成されたナイフ部材(240)を含む。加えて、ステープルドライバ部材(250)を長手方向に作動させると、ステープルドライバ部材(250)がステープル(66)も遠位に駆動するように、ステープル(66)は、ステープルドライバ部材(250)の複数のステープルドライバに対して遠位に配置されている。それ故、トリガ(74)が作動され、トリガ作動アセンブリ(84)がドライバアクチュエータ(64)を介してステープルドライバ部材(250)を作動させたとき、ナイフ部材(240)及びステープルドライバ(252)は、組織(2)をほぼ同時に切断すると共に、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)に対して遠位に組織内へとステープル(66)を駆動させる。次に、閉鎖システム及び発射システムの構成要素と機能性について、より詳細に説明する。
【0012】
A.例示的なアンビル
アンビル(40)についての以後の考察では、「遠位」及び「近位」という用語(並びにそれらのバリエーション)は、アンビル(40)がトロカール(230)に適切に連結された場合のアンビル(40)の向きに関して用いられる。したがって、アンビル(40)の近位要素は、器具(10)の操作者により近い側にある一方で、アンビル(40)の遠位要素は、器具(10)の操作者により遠い側にある。
【0013】
図2図3で最も良く分かるように、本実施例のアンビル(40)は、ヘッド(48)及び近位シャフト(44)を備える。上述したように、かつ以下でより詳細に記載されるように、本実施例のアンビル(40)はトロカール(230)と選択的に連結することができ、連結されると、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)に対するトロカール(230)の移動は、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)に対してアンビル(40)も移動させる。
【0014】
ヘッド(48)は、複数のステープル成形ポケット(52)を画定する近位表面(50)を含む。ステープル成形ポケット(52)は、同心状の2列の環状配列に配置されている。一部の他の形態では、ステープル成形ポケット(52)は、同心状の3列以上の列の環状配列に配置される。ステープル成形ポケット(52)は、ステープルがステープル成形ポケット(52)内に駆動されるにつれてステープルを変形させるように構成されている。したがって、アンビル(40)が閉鎖位置にあり、ステープル(66)がステープル留めヘッドアセンブリ(200)からステープル成形ポケット(52)内に駆動されると、各ステープル成形ポケット(52)は、当該技術分野において既知のように、概ね「U」字のステープル(66)を「B」形状に変形させることができる。図2で最も良く分かるように、近位表面(50)は内縁部(54)で終端し、それによって近位シャフト(44)の周りを囲む環状凹部(56)の外側の境界線が画定される。
【0015】
近位シャフト(44)は孔(46)を画定し、孔(46)内に位置する一対の枢軸旋回ラッチ部材(30)を含む。図3で最も良く分かるように、各ラッチ部材(30)は、T字状の遠位端(32)と、丸みのある近位端(34)と、近位端(34)に対して遠位に位置するラッチシェルフ(36)とを含む。T字状の遠位端(32)が、ラッチ部材(30)を孔(46)内に固定する。ラッチ部材(30)は、近位端(34)が近位シャフト(44)の側壁を貫通して形成される横方向開口部(42)の近位端に配置されるように、孔(46)内に配置される。このようにして横方向開口部(42)は、近位端(34)及びラッチシェルフ(36)が近位シャフト(44)によって画定される長手方向軸線から径方向外側に反ることができるようなクリアランスを提供する。しかしながら、ラッチ部材(30)は、近位端(34)とラッチシェルフ(36)とを径方向内側に、近位シャフト(44)によって画定される長手方向軸線に向かって弾性的に付勢するように構成されている。したがって、ラッチ部材(30)は、アンビル(40)をステープル留めヘッドアセンブリ(200)のトロカール(230)に選択的に固定することを可能にする保持クリップとして機能する。しかしながら、ラッチ部材(30)は、任意で設けられるものに過ぎないということが理解されるはずである。アンビル(40)は、他の任意の好適な構成要素、機構、又は技法を用いて、トロカール(230)に取り外し可能に固定され得る。
【0016】
上記のものに加えて又はその代わりに、アンビル(40)は、下記特許文献の教示のうちの少なくとも一部に従って、更に構築され、かつ動作可能であってもよい。米国特許第5,205,459号;米国特許第5,271,544号;米国特許第5,275,322号;米国特許第5,285,945号;米国特許第5,292,053号;米国特許第5,333,773号;米国特許第5,350,104号;米国特許第5,533,661号;米国特許第8,910,847号;及び/又は米国特許出願公開第2016/0374684号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。更に他の好適な構成については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0017】
B.例示的なステープル留めヘッドアセンブリ
図4図5で最も良く分かるように、本実施例のステープル留めヘッドアセンブリ(200)は、シャフトアセンブリ(60)の遠位端に連結されており、摺動可能なステープルドライバ部材(250)を収容する管状ケーシング(210)を備える。円筒状内側芯部材(212)が、管状ケーシング(210)内において、遠位に延在している。管状ケーシング(210)は、管状ケーシング(210)がステープル留めヘッドアセンブリ(200)にとって機械的土台として機能するように、シャフトアセンブリ(60)の外側管状部材(62)にしっかりと固定されている。
【0018】
トロカール(230)は、管状ケーシング(210)の内側芯部材(212)内に同軸的に配置されている。上述したように、及び以下により詳しく記載するように、トロカール(230)は、調節ノブ(98)がハンドルアセンブリ(70)の本体(72)に対して回転するのに応じて管状ケーシング(210)に対して遠位及び近位に直動するように動作可能である。トロカール(230)は、シャフト(232)とヘッド(234)とを備える。ヘッド(234)は、尖形状の先端部(236)と、内側向きに延在する近位表面(238)とを含む。したがって、シャフト(232)は、ヘッド(234)のちょうど近位で外径が小さくなっていて、表面(238)が、シャフト(232)のその小さくなった外径部分とヘッド(234)の外径との間の移行部を提供する。本実施例では、先端部(236)が尖形状であるが、先端部(236)は鋭利ではない。したがって、先端部(236)は、組織との不注意な接触による組織への外傷を容易には引き起こさない。ヘッド(234)、及びシャフト(232)の遠位部分は、アンビル(40)の孔(46)に挿入されるように構成されている。近位表面(238)とラッチシェルフ(36)とは、アンビル(40)の近位シャフト(44)がトロカール(230)上に完全に着座した場合に、ラッチシェルフ(36)が近位表面(238)に係合するような、相補的な位置と構成とを有する。したがって、アンビル(40)は、ラッチ部材(30)とヘッド(234)との間のスナップ嵌めを介してトロカール(230)に固定することができる。それに加えて、又はその代わりに、トロカール(230)は、アンビル(40)をトロカール(230)の方へ引き付けることができる磁性部分(図示せず)を備えていてもよい。アンビル(40)及びトロカール(230)に対する更なる構成及び配置が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0019】
ステープルドライバ部材(250)は、以下により詳しく説明するように、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)のトリガ(74)の回転に応じて管状ケーシング(210)内で長手方向に作動するように動作可能である。ステープルドライバ部材(250)は、ステープルドライバ(252)の、遠位に提示された2列の同心環状配列を含む。ステープルドライバ(252)は、上記のステープル成形ポケット(52)の配置に対応するように配置されている。図10A図10Bで最も良く分かるように、各ステープルドライバ(252)は、対応するステープル(66)の下に位置する。ステープルドライバ(252)の配置は、上記のように、ステープル成形ポケット(52)の配置とちょうど同じように修正され得る。ステープルドライバ部材(250)はまた、管状ケーシング(210)の芯部材(212)を同軸的に受容するように構成されている孔(254)を画定する。スタッド(256)の環状配列が、孔(254)を取り囲む遠位に提示された表面から遠位に突出している。
【0020】
円筒状ナイフ部材(240)は、ステープルドライバ部材(250)内に、同軸的に位置付けられている。ナイフ部材(240)は、遠位に提示された、鋭利な円形の刃先(242)を含む。ナイフ部材(240)は、ステープルドライバ(252)の内側の環状配列により画定される直径よりも小さい外径を、ナイフ部材(240)が画定するようにサイズ決めされている。ナイフ部材(240)はまた、管状ケーシング(210)の芯部材(212)を同軸的に受容するように構成されている開口部を画定する。ナイフ部材(240)に形成された開口部(246)の環状配列は、ステープルドライバ部材(250)のスタッド(256)の環状配列に対して相補的に構成され、ナイフ部材(240)は、スタッド(256)と開口部(346)とを介してステープルドライバ部材(250)にしっかりと固定されるようになっている。したがって、ステープル留めドライバ部材(250)が管状ケーシング(210)に対して作動されると、同様にナイフ部材(240)も作動される。ナイフ部材(240)とステープルドライバ部材(250)との間の他の好適な構造的関係については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0021】
デッキ部材(220)が、管状ケーシング(210)に固定的に取り付けられている。デッキ部材(220)は、ステープル開口部(224)の同心の2列の環状配列を画定する遠位に提示されたデッキ表面(222)を含み、各ステープル開口部(224)は、ステープル(66)を収容するそれ自体のステープルポケット(226)を有する。ステープル開口部(224)及びステープルポケット(226)は、上記のステープルドライバ(252)及びステープル成形ポケット(52)の配置に対応するように配置されている。したがって、ステープルドライバ部材(250)が、トリガ(74)の回転に応じて管状ケーシング(210)に対して遠位に作動されると、各ステープルドライバ(252)は、対応するステープル(66)をそのステープルポケット(226)から、デッキ部材(220)の対応するステープル開口部(224)を介して駆動する。アンビル(40)が閉鎖位置にあるとき、ステープル(66)は、対応するステープル成形ポケット(52)の中へと駆動され、ステープル(66)の脚部(68)を曲げ、それによって、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)との間に位置する物質をステープル留めする。
【0022】
ステープル開口部(224)の配置は、上記のように、ステープル成形ポケット(52)の配置とちょうど同じように修正され得る。また、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)が作動される前に、ステープル(66)をステープル留めヘッドアセンブリ(200)内に収容するために、様々な構造及び技法が用いられ得るということも理解されたい。ステープルをステープル留めヘッドアセンブリ(200)内に収容するために用いられ得るそのような構造及び技法は、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)が作動される前に、ステープルが、ステープル開口部(224)から誤って脱落するのを防ぎ得る。このような構造及び技法が取り得る様々な好適な形態については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0023】
図5で最も良く分かるように、デッキ部材(220)は、ナイフ部材(240)が画定する外径よりも、ちょうどわずかに大きい内径を画定する。かくしてデッキ部材(220)は、ナイフ部材(240)が遠位に、刃先(242)がデッキ表面(222)の遠位に位置する点まで直動するのを可能にするように構成されている。
【0024】
上記のものに加えて又はその代わりに、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)は、下記特許文献の教示のうちの少なくとも一部に従って、更に構築され、かつ動作可能であってもよい。米国特許第5,205,459号;米国特許第5,271,544号;米国特許第5,275,322号;米国特許第5,285,945号;米国特許第5,292,053号;米国特許第5,333,773号;米国特許第5,350,104号;米国特許第5,533,661号;米国特許第8,910,847号;及び/又は米国特許出願公開第2016/0374684号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。更に他の好適な構成については、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0025】
C.例示的なシャフトアセンブリ
図10A図10Dに示したように、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)及びトロカール(230)は、シャフトアセンブリ(60)の遠位端に位置している。本実施例のシャフトアセンブリ(60)は、外側管状部材(62)、ドライバアクチュエータ(64)、及び接続バンド部分(235)を備える。外側管状部材(62)は、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)の管状ケーシング(210)に、かつアクチュエータハンドルアセンブリ(70)の本体(72)に連結され、それによって、外側管状部材の中で作動する構成要素に対して機械的土台を提供する。図7A図7Bに見られるように、ドライバアクチュエータ(64)の近位端は、以下に説明するように、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)のトリガ作動アセンブリ(84)に連結されている。ドライバアクチュエータ(64)の遠位端は、トリガ(74)の回転でステープルドライバ部材(250)が長手方向に作動するように、ステープルドライバ部材(250)に連結されている。図10A図10Dに示したように、ドライバアクチュエータ(64)は、トロカール(230)に連結されたトロカールアクチュエータ(231)及び接続バンド部分(235)が、ドライバアクチュエータ(64)内で、かつドライバアクチュエータ(64)に対して、長手方向に作動できるように、開放した長手方向軸線を有する管状部材を備える。本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、ドライバアクチュエータ(64)内に他の構成要素を配設してもよい。
【0026】
本実施例では、シャフトアセンブリ(60)は、予め形成された屈曲部を有して、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)から遠位に延在している。一部の形態では、予め形成された屈曲部は、患者の大腸内にステープル留めヘッドアセンブリ(200)を配置することを容易にするように構成されている。使用できる様々な好適な曲がり角度又は曲率半径が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。上述したように、アクチュエータ(231)は、可撓性バンド部分(235)を介してトロカール(230)と連結されている。可撓性バンド部分(235)は、予め形成された屈曲部の近位に位置するアクチュエータ(231)の遠位端から延在して、予め形成された屈曲部の遠位に位置するトロカール(230)と連結されている。可撓性バンド部分(235)は、シャフトアセンブリ(60)の予め形成された屈曲部の長手方向輪郭に沿った直動の間に屈曲するように寸法決めされてもよい。そのような場合、トロカールアクチュエータ(231)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)内に摺動可能に収容されてもよく、一方で、トロカール(230)は、管状ケーシング(210)内に摺動可能に収容される。可撓性バンド部分(235)は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、ピン又は任意の他の好適な手段を介して、トロカール(230)及びアクチュエータ(231)の両方に接続されていてもよい。
【0027】
シャフトアセンブリ(60)は、米国特許第5,205,459号;米国特許第5,271,544号;米国特許第5,275,322号;米国特許第5,285,945号;米国特許第5,292,053号;米国特許第5,333,773号;米国特許第5,350,104号;米国特許第5,533,661号;米国特許第8,910,847号;及び/又は米国特許第9,936,949号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)の少なくとも一部の教示に従って、かつ/又は本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなる他の構成に従って、更に構築されてもよい。
【0028】
D.例示的なアクチュエータハンドルアセンブリ
次に、図6図8及び図12A図12Bを参照すると、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)は、本体(72)、トリガ(74)、ロックアウト機構(82)、トリガ作動アセンブリ(84)、及びトロカール作動アセンブリ(90)を備える。本実施例のトリガ(74)は、トリガ(74)が未発射位置(図12Aに図示)から発射済位置(図12Bに図示)に回転することで上述したドライバアクチュエータ(64)が作動するように、本体(72)に枢軸旋回可能に取り付けられ、トリガ作動アセンブリ(84)に連結されている。ばね(78)は、本体(72)及びトリガ(74)に連結され、未発射位置に向かってトリガ(74)を付勢する。ロックアウト機構(82)は、本体(72)に連結された枢軸旋回可能な部材である。図12Aに示すように、第1のロック位置では、ロックアウト機構(82)がトリガ(74)と係合してユーザによるトリガ(74)の作動に機械的に抵抗するように、ロックアウト機構(82)は上方へと本体(72)から離れるように枢軸旋回される。図1及び図12Bに示されているような第2のロック解除位置では、ロックアウト機構(82)は、ユーザがトリガ(74)を作動できるように下方へ枢軸旋回される。したがって、ロックアウト機構(82)が第2の位置にある状態では、トリガ(74)は、トリガ作動アセンブリ(84)と係合して器具(10)を発射させることができる。
【0029】
図12A図12Bに示したように、本実施例のトリガ作動アセンブリ(84)は、ドライバアクチュエータ(64)の近位端と係合する摺動可能なトリガキャリッジ(86)を備える。キャリッジ(86)は、キャリッジ(86)の近位端上に、トリガ(74)から延在する一対のトリガアーム(76)を保持し係合するための一組のタブ(88)を備える。したがって、トリガ(74)が枢軸旋回するとき、キャリッジ(86)は、長手方向に作動し、長手方向への動きをドライバアクチュエータ(64)に伝達する。図示されている例では、キャリッジ(86)は、ドライバアクチュエータ(64)の近位端に固定的に連結されているが、これは任意選択的なものに過ぎない。実際には、1つの単なる例示的な代替例では、遠位のばね(図示せず)がドライバアクチュエータ(64)を、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)に対して近位に付勢した状態で、キャリッジ(86)はドライバアクチュエータ(64)に単に当接してもよい。
【0030】
トリガ作動アセンブリ(84)は、米国特許第5,205,459号;米国特許第5,271,544号;米国特許第5,275,322号;米国特許第5,285,945号;米国特許第5,292,053号;米国特許第5,333,773号;米国特許第5,350,104号;米国特許第5,533,661号;米国特許第8,910,847号;及び/又は米国特許第9,936,949号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)の少なくとも一部の教示に従って、かつ/又は本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなる他の構成に従って、更に構築されてもよい。
【0031】
本体(72)はまた、調節ノブ(98)の回転に応じてトロカール(230)を長手方向に作動するように構成されたトロカール作動アセンブリ(90)を収容する。図6図8に最もよく示されているように、本実施例のトロカール作動アセンブリ(90)は、調節ノブ(98)、溝付きシャンク(94)、及びスリーブ(92)を備える。溝付きシャンク(94)は、調節ノブ(98)及びスリーブ(92)の両方によって画定されるチャネル(93)内に摺動可能に収容されている。本実施例の溝付きシャンク(94)は、トロカールアクチュエータ(231)の近位端に位置する。他の変形形態では、溝付きシャンク(94)及びトロカールアクチュエータ(231)は、その代わりに、長手方向の移動を伝達するように係合する別個の構成要素であってもよい。溝付きシャンク(94)は本体(72)の内部で直動するように構成されているが、溝付きシャンク(94)は本体(72)の内部で回転しない。調節ノブ(98)は、本体(72)の近位端によって回転可能に支持され、内部タブ(95)を介して溝付きシャンク(94)と係合するスリーブ(92)を回転させるように動作可能である。調節ノブ(98)はまた、以下により詳細に説明するように、雌ねじ(97)を画定する。本実施例の溝付きシャンク(94)は、溝付きシャンク(94)の外表面に形成された連続的な溝(96)を備える。したがって、調節ノブ(98)を回転させると、スリーブ(92)の内部タブ(95)が溝(96)内に載り、溝付きシャンク(94)はスリーブ(92)に対して長手方向に作動する。溝付きシャンク(94)はトロカールアクチュエータ(231)の近位端に位置するため、調節ノブ(98)が第1の方向に回転することによって、トロカールアクチュエータ(231)がアクチュエータハンドルアセンブリ(70)に対して遠位に前進する。トロカール(230)がアンビル(40)と連結されると、アンビル(40)もまたステープル留めヘッドアセンブリ(200)に対して遠位に前進することによって、間隙距離dとして知られる、アンビル(40)の近位表面(50)とデッキ部材(220)の遠位に提示されたデッキ表面(222)間の距離を増加させる。調節ノブ(98)を反対方向に回転させることにより、トロカールアクチュエータ(231)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)に対して近位に作動して、トロカール(230)がアンビル(40)と連結されると、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)との間の間隙距離dを減少させる。このように、トロカール作動アセンブリ(90)は、調節ノブ(98)の回転に応じてトロカール(230)を作動させるように動作可能である。トロカール作動アセンブリ(90)のための他の好適な構成は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。
【0032】
本実施例の溝(96)は、軸方向距離当たりの溝のピッチ又は溝の数が異なる、複数の異なる部分(96A、96B、96C)を備える。この溝(96)は、遠位部分(96A)、中間部分(96B)、及び近位部分(96C)に分けられている。図7及び図8に示したように、遠位部分(96A)は、溝付きシャンク(94)の軸方向の短い距離にわたって細かいピッチ又は多くの溝を備える。中間部分(96B)は、スリーブ(92)の内部タブ(95)が軸方向距離に沿って通過するために必要な回転が比較的少なくなるように、軸方向長さ当たりに比較的粗いピッチ又は数少ない溝を有する区分を備える。(図10Aに示すように)アンビル(40)がステープル留めヘッドアセンブリ(200)に対して最初の遠位位置にあるとき、スリーブ(92)の内部タブ(95)は中間部分(96B)に位置している。したがって、間隙距離dは、スリーブ(92)の内部タブ(95)が中間部分(96B)を通過する間に、調節ノブ(98)の比較的少ない回転によって急速に減少してもよい。本実施例の近位部分(96C)は、遠位部分(96A)と実質的に同様であり、軸方向に短い距離を通過するために必要な回転数が多くなるように、溝付きシャンク(94)の軸方向の短い距離にわたって細かいピッチ又は数多くの溝を備える。本実施例の近位部分(96C)は、(図10Bに示されるように)アンビル(40)がステープル留めヘッドアセンブリ(200)に実質的に近いときは、ノブ(98)によって画定される雌ねじ(97)と係合し、その結果、以下により詳細に説明するように、表示バー(110)は表示窓(120)内を目盛り(130)に沿って移動して、アンビルの間隙が所望の動作範囲内にあることを示す。したがって、溝(96)の近位部分(96C)がノブ(98)の雌ねじ(97)と係合する近位位置に溝付きシャンク(94)が到達すると、調節ノブ(98)が回転するたびに比較的少量だけ間隙距離dが減少して、微調節ができる。近位部分(96C)がノブ(98)の雌ねじ(97)と係合したとき、スリーブ(92)の内部タブ(95)は溝(96)から係合解除されてよい。
【0033】
トロカール作動アセンブリ(90)は、米国特許第5,205,459号;米国特許第5,271,544号;米国特許第5,275,322号;米国特許第5,285,945号;米国特許第5,292,053号;米国特許第5,333,773号;米国特許第5,350,104号;米国特許第5,533,661号;及び/又は米国特許第9,936,949号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)の少なくとも一部の教示に従って、かつ/又は本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなる他の構成に従って、更に構築されてもよい。
【0034】
上記したように、間隙距離dは、アンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)間の距離に相当する。器具(10)が患者の体内に挿入されるとき、この間隙距離dは容易に視認できないことがある。したがって、トリガ(74)の反対側に位置する表示窓(120)を通して視認できるように、図8図9に示す可動式の表示バー(110)が提供される。以下に更に詳細に説明されるように、表示バー(110)は、調節ノブ(98)の回転に応じて動くように動作可能であり、表示バー(110)の位置は、間隙距離dを表すようにする。図9に示すように、表示窓(120)は、目盛り(130)を更に備え、その目盛り(130)は、アンビルの間隙が所望の動作範囲(例えば、緑色の領域つまり「グリーンゾーン」)内にあることと、目盛り(130)の各端部に対応するステープルの圧縮の表現と、を示す。単なる一例として、図9に示したように、第1のステープル画像(132)は高ステープル高を示し、第2のステープル画像(134)は高さの低ステープル高を示している。したがって、ユーザは、連結されたアンビル(40)の、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)に対する位置を、表示バー(110)及び目盛り(130)を介して視認できる。したがって、その後、ユーザは、調節ノブ(98)を介してアンビル(40)の配置を調節することができる。
【0035】
図6図8に示す例では、溝付きシャンク(94)の遠位に位置する貫通孔(233)を介して、トロカールアクチュエータ(231)の中間部分に、U字クリップ(100)が取り付けられる。本実施例では、トロカールアクチュエータ(231)の延長部が、ハンドルアセンブリ(70)のハウジング内にあるスロットと係合し、調節ノブ(98)を回転させたときにトロカールアクチュエータ(231)がその軸周りに回転するのを防ぐ。表示バー(110)が例示的な使用中に適切な間隙距離dを示し得るように、器具(10)内のトロカールアクチュエータ(231)の適切な配置を較正する必要があり得る。本実施例のU字クリップ(100)は、その対向する各側面上に、ねじ、ボルト、ピンなどの取り付け部材を受け入れるための細長いスロット(102)を更に備え、目盛り(130)に対して表示バー(110)を較正する目的で、U字クリップ(100)の細長いスロット(102)の長手方向の位置をトロカールアクチュエータ(231)に対して選択的に調節する。一部の形態では、取り付け部材(例えば、ねじ、ボルト、ピンなど)は、本体(72)の一部分と係合して、調節ノブ(98)を回転させたときにトロカールアクチュエータ(231)がその軸周りに回転するのを実質的に防ぐ。
【0036】
図6図8に示したように、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)は、インジケータ(104)と係合して枢軸旋回させるように構成されたインジケータブラケット(140)を更に含む。本実施例のインジケータブラケット(140)は、本体(72)に形成された一対のスロットに沿って、本体(72)に対して摺動可能である。インジケータブラケット(140)は、長方形のプレート(144)、インジケータアーム(146)、及び角度付きフランジ(142)を備える。角度付きフランジ(142)は、長方形のプレート(144)の近位端に形成され、トロカールアクチュエータ(231)及び/又は溝付きシャンク(94)上に摺動可能に取り付けるための孔(143)を備える。フランジ(142)をU字クリップ(100)に対して付勢するために、フランジ(142)と本体(72)のボス(152)との間にコイルばね(150)が介在している。したがって、U字クリップ(100)がトロカールアクチュエータ(231)及び/又は溝付きシャンク(94)により遠位に作動するとき、コイルばね(150)は、インジケータブラケット(140)を付勢して、U字クリップ(100)と共に遠位に移動させる。それに加えて、U字クリップ(100)は、トロカールアクチュエータ(231)及び/又は溝付きシャンク(94)が近位に直動するときに、インジケータブラケット(140)をボス(152)に対して近位に付勢し、これによってコイルばね(150)を圧縮する。一部の形態では、インジケータブラケット(140)は、トロカールアクチュエータ(231)及び/又は溝付きシャンク(94)にしっかりと固定されてもよい。
【0037】
本実施例では、インジケータブラケット(140)が、間隙距離dが所望の動作範囲(例えば、緑色の領域つまり「グリーンゾーン」)内にあるときには該当しない長手方向の位置にあるとき、ロックアウト機構(82)の一部分がインジケータブラケット(140)の表面(141)に当接する。間隙距離dが所望の動作範囲(例えば、緑色の領域つまり「グリーンゾーン」)内にあるとき、インジケータブラケット(140)が狭くなって、インジケータアーム(146)のどちらかの側に一対の間隙(145)ができ、ロックアウト機構(82)が枢軸旋回することが可能になり、それによってトリガ(74)が解放される。したがって、ロックアウト機構(82)及びインジケータブラケット(140)は、アンビル(40)が所定の動作範囲に来るまでにユーザがトリガ(74)を解除して動作させてしまうことを実質的に防ぐことができる。ロックアウト機構(82)は、一部の形態では、完全に省略され得る。
【0038】
この動作範囲は、簡潔に上述した通り、目盛り(130)に対して示されたインジケータ(104)の表示バー(110)を介して、ユーザに視覚的に伝達されてもよい。インジケータブラケット(140)の遠位端には、インジケータ(104)の移動を制御するために横方向に突出するフィンガ(148)で終端する、遠位に突出するインジケータアーム(146)がある。図7に最もよく示されている、インジケータアーム(146)及びフィンガ(148)は、インジケータ(104)のタブ(106)と係合するように構成され、インジケータブラケット(140)が長手方向に作動したときにインジケータ(104)が枢軸旋回する。本実施例では、インジケータ(104)は、インジケータ(104)の第1の端部で本体(72)に枢軸旋回可能に連結されていたが、これは任意選択的なものに過ぎず、インジケータ(104)のための他の枢軸点が、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるであろう。表示バー(110)は、表示バー(110)がインジケータブラケット(140)の作動に応じて移動するように、インジケータ(104)の第2の端部に配置されている。したがって、上述したように、表示バー(110)は、アンビル(40)の近位表面(50)とデッキ部材(220)の遠位に提示されたデッキ表面(222)間の相対的な間隙距離dを示すために、表示窓(120)を通して目盛り(130)(図9に図示)に対して表示される。
【0039】
当然のことながら、インジケータブラケット(140)、インジケータ(104)、及び/又はアクチュエータハンドルアセンブリ(70)は、米国特許第5,205,459号;米国特許第5,271,544号;米国特許第5,275,322号;米国特許第5,285,945号;米国特許第5,292,053号;米国特許第5,333,773号;米国特許第5,350,104号;米国特許第5,533,661号;及び/又は米国特許第8,910,847号;及び/又は米国特許第9,936,949号(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)の少なくとも一部の教示に従って、かつ/又は本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなる他の構成に従って、更に構築されてもよい。
【0040】
E.円形ステープル留め外科用器具の例示的な使用
図12A図12B及び図10A図10Eは、上記の説明に従った円形ステープル留め外科用器具(10)の例示的な使用を示す。上述したように、アンビル(40)は、管状ケーシング(210)及びデッキ部材(220)に対するトロカール(230)の移動が、管状ケーシング(210)及びデッキ部材(220)に対するアンビル(40)の移動をもたらすように、トロカール(230)と選択的に連結することができる。別個の構成要素としてのアンビル(40)の場合は、アンビル(40)は、トロカール(230)と連結される前に、最初に、組織(2)の一部分に挿入され、固定されてもよいことを理解すべきである。例示的なものに過ぎないが、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)が組織(2)の第2の管状部分に挿入され、固定された状態で、アンビル(40)が、組織(2)の第1の管状部分に挿入され、固定されてもよい。例えば、組織(2)の第1の管状部分は、アンビル(40)の一部分に対して、又はアンビル(40)の一部分の周囲に縫合されてもよく、組織(2)の第2の管状部分は、トロカール(230)に対して、又はトロカール(230)の周囲に縫合されてもよい。
【0041】
図10Aに示したように、次に、アンビル(40)は、アンビル(40)のラッチ部材(30)とトロカール(230)のヘッド(234)との間のスナップ嵌めなど、上記の説明に従ってトロカール(230)に連結されてもよい。図10Aでは、トロカール(230)は、最も遠位の作動位置に示されている。トロカール(230)は、上記の説明に従ってノブ(98)の回転によって、最も遠位の作動位置に作動されてもよい。このようにトロカール(230)が伸長した位置にくることで、アンビル(40)と結合する前に組織(2)が連結され得る面積をより広く与えることができる。トロカール(230)が伸長した位置にくることで、アンビル(40)のトロカール(230)に対する結合をより容易にすることもできる。図10Aに示す位置では、ロックアウト機構(82)は、上記の説明に従ってインジケータブラケット(140)の表面(141)によって引き起こされる干渉によってトリガ(74)をロック解除するように枢軸旋回できないため、ロックアウト機構(82)によって図7Aに示す位置にトリガ(74)がロックされる。
【0042】
上述したように、アンビル(40)がトロカール(230)に連結されると、調節ノブ(98)の回転により、トロカール(230)及びアンビル(40)の両方を直動させ、それによって間隙距離dを拡大又は減少させることができる。例えば、図10A図10Bに順次示されるように、アンビル(40)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(70)に対して、初期の開放位置(図10A)から閉鎖位置(図10B)へと近位に作動することが示されており、間隙距離dは好適な所定の範囲内にある。図10Aに示す位置では、溝付きシャンク(94)は、溝(96)の中間部分(96B)がスリーブ(92)の内部タブ(95)と係合する遠位位置にあることを理解されたい。
【0043】
間隙距離dが好適な所定の範囲内にあると、上記の説明に従って、表示バー(110)は、表示窓(120)内で移動することができ、相対間隙距離dが所望の動作範囲(例えば、緑色の領域つまり「グリーンゾーン」)内にあることを示す。同様に、図10Bに示す位置では、溝付きシャンク(94)は、溝(96)の近位部分(96C)がノブ(98)の雌ねじ(97)に係合する近位位置にあることを理解されたい。したがって、調節ノブ(98)を回転させる度に、比較的少量だけ間隙距離dを減少させて、微調節を行うことができる。
【0044】
図12A図12Bに示すように、間隙距離dが好適な所定の範囲内にあるとき、上記の説明に従って、ロックアウト機構(82)は、本体(72)に対してロック解除位置へと枢軸旋回することができ、これにより、トリガ(74)は、本体(72)に対して枢軸旋回して、トリガ作動アセンブリ(84)と係合することができる。図12Bに示されるように、ロックアウト機構(82)がロック解除位置へと枢軸旋回すると、トリガ(74)は、本体(72)に向かって枢軸旋回して、トリガアーム(76)が、タブ(88)に対して駆動し、摺動可能なトリガキャリッジ(86)及びドライバアクチュエータ(64)を遠位に作動させるようにする。図10Cに示すように、ドライバアクチュエータ(64)の遠位作動は、摺動可能なステープルドライバ部材(250)、ステープルドライバ(252)、及び円筒状ナイフ部材(240)を遠位に駆動する。ステープルドライバ(252)の遠位前進は、ステープル(66)を対応するステープル成形ポケット(52)に対して駆動し、それによってアンビル(40)とステープル留めヘッドアセンブリ(200)との間の組織(2)をステープル留めして、組織(2)の連続的な管状部分を形成する。加えて、円筒状ナイフ部材(240)の遠位前進は、新たに形成されたステープル(66)の半径方向内側に位置する余分な組織を切断する。ステープル留めヘッドアセンブリ(200)は、以下により詳細に説明するように、ユーザがアクチュエータハンドルアセンブリ(70)のトリガ(74)を枢軸旋回させることによって、組織(2)をステープル留めして切断するように動作可能である。
【0045】
図10Dに最もよく示されるように、トリガ(74)が組織(2)をステープル留めして切断するように作動されると、ユーザは次に回転可能なノブ(98)を回してアンビル(40)を遠位に前進させ、それによって、アンビル(40)の近位表面(50)とデッキ部材(220)の遠位に提示されたデッキ表面(222)との間に把持された組織(2)の部分を解放することができる。図10Eに最もよく示されるように、以前に把持された組織(2)が解放された状態で、ユーザは次に器具(10)を取り出し、それによって、組織(2)の連続的な管状部分を背後に残すことができる。
【0046】
II.円形ステープル留め外科用器具用の例示的な二段階閉鎖システム
上述したように、調節ノブ(98)及びスリーブ(92)は、本体(72)に対して回転することで、溝付きシャンク(94)を直動させ、それによってトロカールアクチュエータ(231)、接続バンド部分(235)、トロカール(230)を移動させるように構成されている。また上述したように、溝付きシャンク(94)は、連続的な溝(96)を画定し、連続的な溝(96)は、軸方向距離当たりの溝のピッチ又は溝の数が異なる、複数の部分(96A、96B、96C)を有する。具体的には、中間部分(96B)は、軸方向長さ当たりのピッチが粗くなっているか、又は軸方向長さ当たりの溝数が少なく、スリーブ(92)の内部タブ(95)と噛み合うように構成されており、一方で、遠位部分(96A)及び近位部分(96C)は、軸方向の短い距離にわたって細かいピッチ又は数多くの溝を備えており、内部タブ(95)及び雌ねじ(97)とそれぞれ噛み合うように構成されている。したがって、上記の説明に従ってトロカール(230)がアンビル(40)と連結されると、スリーブ(92)の内部タブ(95)が連続的な溝(96)の中間部分(96B)を通過する間、間隙距離dは、調節ノブ(98)の比較的少ない回転によって急速に減少され得る。内部タブ(95)が連続的な溝(96)の中間部分(96B)と係合しなくなると、溝(96)の近位部分(96C)がノブ(98)の雌ねじ(97)と係合し、これにより、同じ方向に調節ノブ(98)を回転させることにより、比較的少量だけ間隙距離dが減少させて微調節を行うことができるようになる。換言すれば、ノブ(98)の第1の回転移動範囲の間は、間隙距離dを比較的速い速度で減少させることができ、その後のノブ(98)の第2の回転移動範囲の間は、比較的遅い速度で減少させることができる。
【0047】
トロカール(230)が最初にアンビル(40)と開放位置で連結される場合、間隙距離dの急速な減少は、アンビル(40)を、所望の動作範囲(例えば、緑色の領域つまり「グリーンゾーン」)内における、ある位置に向かって素早く作動させるために望ましい場合がある。アンビル(40)が所望の動作範囲(例えば、緑色の領域つまり「グリーンゾーン」)に入ったとき、又は入ろうとするときは、間隙距離dの微調節が望ましい場合がある。換言すれば、図9に示すように、目盛り(130)における表示バー(110)の位置を通じて、第1のステープル画像(132)に示す高ステープル高圧縮(すなわち、「背の高いB字」状のステープル形成)と、第2のステープル画像(134)に示す低ステープル高圧縮(すなわち、「背の低いB字」状のステープル形成)と、の間で、間隙距離dが可視化されている場合には、間隙距離dのより小さなずれ(deviation)が望ましい場合があり、一方で、開放位置と、第1のステープル画像(132)によって示される高ステープル高圧縮において、目盛り(130)における表示バー(110)の位置を通じて間隙距離dが可視化されるところに近い位置と、の間でアンビル(40)を急速に作動させるためには、間隙距離dのより大きなずれが望ましい場合がある。
【0048】
当業者であれば、適切な間隙距離dは、吻合の成功にとって特に重要となり得ることを理解するであろう。したがって、操作者にとっては、間隙距離dが、調節ノブ(98)の角度位置に基づいて、また、間隙距離dを表示する表示バー(110)の精度に基づいて、操作者の考えるとおりに一貫して正確に達成されるとの確信を持つことが重要な場合がある。場合によっては、間隙距離dは、所望の動作範囲内ではあるが、高ステープル高圧縮付近にあり、これにより、トロカール(230)を更に遠位に移動させると、間隙距離dが所望の動作範囲外となる位置までアンビル(40)が作動させられ得るようになっているかもしれない。加えて、溝付きシャンク(94)は、溝(96C)の近位部分が雌ねじ(97)から係合解除されて、内部タブ(95)が溝(96B)の中間部分と係合する位置に近づいているかもしれない。こうした場合、操作者は、所望の動作範囲内での小さな移動により、間隙距離dを微調整するつもりで、調節ノブ(98)を回転させるかもしれないが、代わりに、所望の動作範囲外への大きな移動により、間隙距離dを急速に作動させてしまうかもしれない。
【0049】
換言すれば、操作者は、調節ノブ(98)の角度変位によって、トロカール(230)を第1の距離にわたって移動させようとしたつもりが、代わりに、調節ノブ(98)の同じ角度変位により、トロカール(230)を予期せぬ距離にわたって移動させてしまうかもしれない。予期せぬ大きな移動により、間隙距離dが、所望の動作範囲外に移動させられるか、又は所望の動作範囲外の更に遠くに移動させられ得、これは、吻合の成功に悪影響を及ぼし得る。
【0050】
したがって、調節ノブ(98)の回転によってトロカール(230)の大きな移動と、小さな移動の両方を行うのではなく、トロカール(230)を大きく移動させるための駆動動作と、トロカール(230)の小さな、微調整された移動を行うための駆動動作と、を別個のものとして有する、二段階閉鎖システムを備えたトロカール作動アセンブリを提供することが望ましい場合がある。以下は、トロカール(230)の小さな、微調整された移動、並びにトロカール(230)の大きな、粗い移動の両方を提供するトロカール作動アセンブリの様々な例である。
【0051】
A.例示的な二段階トロカール作動アセンブリの複数入力作動機構
図13A図13Cは、代替的な例示的円形外科用ステープル留め器具(300)を示す。以下に明示的に記載されていないが、器具(300)は、器具(10)について上述した様々な機構及び機能を有していてもよい。それ故、器具(300)は、上記の器具(10)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有する。器具(300)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(302)、シャフトアセンブリ(310)、ステープルヘッドアセンブリ(320)、及びアンビル(322)を備え、これらはそれぞれ、上記のアクチュエータハンドルアセンブリ(70)、シャフトアセンブリ(60)、ステープルヘッドアセンブリ(200)、及びアンビル(40)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有する。
【0052】
アクチュエータハンドルアセンブリ(302)は、本体(304)、トリガ(306)、及びロックアウト機構(308)を備え、これらはそれぞれ、上記の本体(72)、トリガ(74)、及びロックアウト機構(82)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有する。加えて、アクチュエータハンドルアセンブリ(302)は、二段階式のトロカール作動アセンブリ(330)を含む。以下でより詳細に説明するように、トロカールアクチュエータアセンブリ(330)は、トロカール(316)を、アンビル(322)と連結された状態で、開放位置から第1の閉鎖位置に向かって、枢軸旋回ハンドル(340)を用いて、作動させるように構成されている。加えて、トロカールアクチュエータアセンブリ(330)は、トロカール(316)を、アンビル(322)と連結された状態で、第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間で調節ノブ(336)を用いて、作動させるように構成されている。
【0053】
シャフトアセンブリ(310)は、外側管状部材(312)、ドライバアクチュエータ(314)、及びトロカール(316)を含み、これらはそれぞれ、上記の外側管状部材(62)、ドライバアクチュエータ(64)、及びトロカール(230)と実質的に同様である。明示的に示されていないが、トロカール(316)は、上記のトロカールアクチュエータ(231)、及び接続バンド部分(235)と同様の機構を含んでもよい。ドライバアクチュエータ(314)は、ステープルヘッドアセンブリ(320)とトリガ(306)との間に延在しており、これにより、本明細書の教示に従い、トリガ(306)が本体(304)に向かって枢軸旋回すると、ステープルヘッドアセンブリ(320)が発射され、アンビル(322)とステープルヘッドアセンブリ(320)との間に適切に捕捉された組織のステープル留め及び切断が同時に行われ得るようになっている。
【0054】
トロカール作動アセンブリ(330)は、近位フレーム(332)、調節ノブ(336)、ねじ付きロッド(338)、及び枢軸旋回ハンドル(340)を含む。上述したように、かつ以下でより詳細に説明するように、枢軸旋回ハンドル(340)は、開放位置と第1の閉鎖位置との間でトロカール(316)を作動させるように構成され、一方で、調節ノブ(336)及びねじ付きロッド(338)は、トロカール(316)を第1の閉鎖位置から更に第2の閉鎖位置に向かって作動させるように構成されている。
【0055】
開放位置では、トロカール(316)の遠位端は、トロカール(316)が本明細書の教示に従ってアンビル(322)と適切に連結し得るように、ステープルヘッドアセンブリ(320)を越えて遠位に伸長され得ることを理解されたい。第1の閉鎖位置は、ドライバアクチュエータ(314)が本明細書の教示に従って発射された場合、ステープル(66)が適切な高ステープル高圧縮を形成するような、アンビル(322)とステープルヘッドアセンブリ(320)との間の間隙距離dに対応してもよい。あるいは、第1の閉鎖位置は、アンビル(322)が、ステープル(66)が適切な高ステープル高圧縮を形成するのに必要な位置と比較してわずかに遠位となるような、アンビル(322)とステープルヘッドアセンブリ(320)との間の間隙距離dに対応してもよい。そのような例では、操作者が、調節ノブ(336)及びねじ付きロッド(338)を利用して、トロカール(316)及びアンビル(322)を第1の閉鎖位置から近位に作動させて、高ステープル高圧縮に対応する好適な間隙距離dを達成することが必要となり得る。第2の閉鎖位置は、ドライバアクチュエータ(314)が本明細書の教示に従って発射された場合、ステープル(66)が適切な低ステープル高圧縮を形成するような、アンビル(322)とステープルヘッドアセンブリ(320)との間の間隙距離dに対応してもよい。
【0056】
近位フレーム(332)は、近位フレーム(332)の移動によりトロカール(316)が移動するようにトロカール(316)の近位端に取り付けられている。近位フレーム(332)は、近位フレーム(332)が本体(304)に対して直動し得るように、本体(304)内に摺動可能に配設されている。しかしながら、近位フレーム(332)は、近位フレーム(332)がその長手方向軸線を中心に回転し得ないよう、本体(304)内で回転方向において固定(rotationally fixed)されている。近位フレーム(332)は、ピンとスロットの関係、又は本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであろう任意の他の好適な連結を介して、本体(304)に対して、回転方向において固定されるとともに、摺動可能に連結されていてよい。近位フレーム(332)は、枢軸旋回ハンドル(340)によって画定されるスロット(344)内に摺動可能に収容された横断突出部(333)を含む。加えて、近位フレーム(332)は、ねじ付きロッド(338)を選択的に受容し、かつねじ付きロッド(338)と噛み合うように寸法決めされたねじ付きチャネル(334)を画定する。
【0057】
枢軸旋回ハンドル(340)は、枢軸旋回ピン(342)を介して本体(304)に枢軸旋回可能に連結されている。枢軸旋回ハンドル(340)は、トロカール(316)と(トロカール(316)に適切に連結されたときの)アンビル(322)を、開放位置と第1の閉鎖位置との間で作動させるように構成されている。枢軸旋回ハンドル(340)の第1の部分は本体(304)から離れる方向に延在し、一方で、枢軸旋回ハンドル(340)の第2の部分は本体(304)内に延在している。枢軸旋回ハンドル(340)の第1の部分は、操作者によって把持されるように寸法決めされている。ハンドル内に延在する枢軸旋回ハンドル(340)の第2の部分は、近位フレーム(332)の横断突出部(333)を摺動可能に収容する、スロット(344)を画定している。
【0058】
操作者が(図13Aに示す)開放位置から(図13Bに示す)第1の閉鎖位置に向かってトロカール(316)を作動させることを望む場合、操作者は、枢軸旋回ハンドル(340)の第1の部分を把持し、枢軸旋回ハンドル(340)の第1の部分を遠位に押せばよい。枢軸旋回ハンドル(340)の第1の部分が遠位に枢軸旋回すると、枢軸旋回ハンドル(340)の第2の部分は近位に枢軸旋回する。枢軸旋回ハンドル(340)のスロット(344)内に、横断突出部(333)が摺動可能に収容されているため、枢軸旋回ハンドル(340)の第2の部分によって近位フレーム(332)が駆動され、これにより、トロカール(316)が第1の閉鎖位置に向かって近位に駆動される。スロット(344)の長さは、枢軸旋回ハンドル(340)が弧を描くように移動するにつれて、近位フレーム(332)が、トロカール(316)の全範囲又は動きにわたって(すなわち、開放位置から第2の閉鎖位置までずっと)、実質的に直線運動で移動し得るように寸法決めされる。操作者がトロカール(316)を第1の閉鎖位置から開放位置に戻すように作動させることを望む場合、操作者は、単にハンドル(340)の第1の部分を近位に枢軸旋回させて、本明細書に記載されるように、近位フレーム(332)及びトロカール(316)を遠位に駆動すればよい。
【0059】
調節ノブ(336)は、本体(304)の近位端に回転可能に配設されている。したがって、調節ノブ(336)は、上記の調節ノブ(98)と本体(72)との間の関係と同様に、本体(304)に対して回転することができる。ねじ付きロッド(338)は、調節ノブ(336)から本体(304)の内部へと遠位に延在する。ねじ付きロッド(338)は、調節ノブ(336)の回転によってねじ付きロッド(338)の回転が生じるように、調節ノブ(336)に取り付けられている。
【0060】
上述したように、ねじ付きロッド(338)は、近位フレーム(332)のねじ付きチャネル(334)と適切に噛み合うように寸法決めされる。図13Bに示すように、トロカール(316)が第1の閉鎖位置にくる位置まで、近位フレーム(332)が枢軸旋回ハンドル(340)によって作動されたとき、ねじ付きロッド(338)の遠位端は、ねじ付きチャネル(334)の近位端に対して直接隣接し、かつ位置合わせされている。このとき、ねじ付きロッド(338)は、ハンドル(340)の更なる枢軸旋回により近位フレーム(332)が更に近位に直動されることを防止することになる。その代わり、図13B及び図13Cに示されるように、操作者が、トロカール(316)が第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間で作動するように、近位フレーム(332)を更に近位に作動させたい場合は、操作者は、ねじ付きロッド(338)の遠位端がねじ付きチャネル(334)と係合して、ねじ付きロッド(338)及びねじ付きチャネル(334)が噛み合い始めるまで、第1の角度方向に調節ノブ(336)を回転させればよい。
【0061】
近位フレーム(332)は、本体(304)内において、摺動可能に収容されるとともに、回転方向において拘束されている(rotationally constrained)ため、ねじ付きロッド(338)がねじ付きチャネル(334)と噛み合うと、ねじ付きロッド(338)の回転により近位フレーム(332)の直動が駆動され、したがってトロカール(316)の直動が駆動される。したがって、図13Cに示すように、操作者は、調節ノブ(336)を第1の角度方向に回転させて、近位フレーム(332)及びトロカール(316)を第2の閉鎖位置に向かって近位に付勢することができる。逆に、操作者は、調節ノブ(336)を第2の角度方向に回転させて、近位フレーム(332)及びトロカール(316)を第1の閉鎖位置に向かって遠位に付勢することもできる。仮に、操作者が誤って、近位フレーム(332)及びトロカール(316)が第1の閉鎖位置に到達するように、調節ノブ(336)を第2の角度方向に回転させた場合、ねじ付きロッド(338)及びねじ付きチャネル(334)はもはや噛み合わなくなる。したがって、トロカール(316)が第1の閉鎖位置にある状態で、調節ノブ(336)を第2の角度方向へ更に回転させても、近位フレーム(332)又はトロカール(316)が遠位方向に作動されなくなる。
【0062】
第1の閉鎖位置が、アンビル(322)が、ステープル(66)について適切な高ステープル高圧縮を形成するのに必要な位置と比較してわずかに遠位にあるような、アンビル(322)とステープルヘッドアセンブリ(320)との間の間隙距離dに対応する例においては、アンビル(322)とステープルヘッド(320)アセンブリが高ステープル高圧縮に適したギャップ距離dを画定したときに、ねじ付きロッド(338)とねじ付きチャネル(334)が噛み合うことを理解されたい。
【0063】
本実施例では、ねじ付きロッド(338)及びねじ付きチャネル(334)は、調節ノブ(336)の回転運動を近位フレーム(332)の直動運動に変換するために使用される。しかしながら、これは任意選択的なものに過ぎない。本明細書の教示を考慮して当業者には明らかとなるように、回転運動を直動運動に変換するための、又はその逆の変換のための任意の好適な機構が使用されてよいからである。例えば、ねじ無しロッド及びローリングリング軸受アセンブリを使用することができる。
【0064】
図14A図15は、上記の器具(10、300)に容易に組み込まれ得る代替的な例示的なアクチュエータハンドルアセンブリ(350)を示す。以下に明示的に記載されていないが、アクチュエータハンドルアセンブリ(350)は、上記のアクチュエータハンドルアセンブリ(70、302)について上記の様々な機構及び機能を有していてもよい。アクチュエータハンドルアセンブリ(350)は、本体(352)及びトリガ(354)を含み、これらはそれぞれ、上記の本体(72)及びトリガ(74)と実質的に同様のものである。加えて、アクチュエータハンドルアセンブリ(350)は、二段階式のトロカール作動アセンブリ(360)を含む。
【0065】
トロカール(356)は、本体(352)内で近位に延在している。トロカール(356)は、上記のトロカール(230)と実質的に同様のものであってよいが、以下に詳述する相違点を有する。明示的に示されていないが、トロカール(356)は、上記のトロカールアクチュエータ(231)、接続バンド部分(235)、及びトロカール(230)と同様の機構を含んでもよい。トリガ(354)は、本体(352)に枢軸旋回可能に連結されており、また、本明細書の教示に従って、ステープルヘッドアセンブリを発射して、アンビルとステープルヘッドアセンブリとの間に適切に捕捉された組織のステープル留め及び切断を同時に行うために、上記のドライブアクチュエータ(64、314)と同様のドライバアクチュエータを作動させるように構成されている。
【0066】
トロカール作動アセンブリ(360)は、近位フレーム(362)、調節ノブ(366)、ねじ付きロッド(368)、枢軸旋回ハンドル(370)、及び連結リンク(372)を含む。以下でより詳細に説明するように、トロカールアクチュエータアセンブリ(360)は、トロカール(356)を、アンビルと連結された状態で、開放位置から第1の閉鎖位置に向かって、枢軸旋回ハンドル(370)を用いて、作動させるように構成されている。加えて、トロカールアクチュエータアセンブリ(360)は、トロカール(356)を、アンビル(322)と連結された状態で、第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間で調節ノブ(366)を用いて、作動させるように構成されている。
【0067】
開放位置では、トロカール(356)の遠位端は、トロカール(356)が本明細書の教示に従ってアンビルと適切に連結し得るように、ステープルヘッドアセンブリ(320)を越えて遠位に伸長され得ることを理解されたい。第1の閉鎖位置は、ドライバアクチュエータ(314)が本明細書の教示に従って発射された場合、ステープル(66)が適切な高ステープル高圧縮を形成するような、アンビル(322)とステープルヘッドアセンブリ(320)との間の間隙距離dに対応してもよい。あるいは、第1の閉鎖位置は、アンビル(322)が、ステープル(66)が適切な高ステープル高圧縮を形成するのに必要な位置と比較してわずかに遠位となるような、アンビル(322)とステープルヘッドアセンブリ(320)との間の間隙距離dに対応してもよい。そのような例では、操作者が、調節ノブ(366)及びねじ付きロッド(368)を利用して、トロカール(356)及びアンビル(322)を第1の閉鎖位置から近位に作動させて、高ステープル高圧縮に対応する好適な間隙距離dを達成することが必要となり得る。第2の閉鎖位置は、ドライバアクチュエータ(314)が本明細書の教示に従って発射された場合、ステープル(66)が適切な低ステープル高圧縮を形成するような、アンビル(322)とステープルヘッドアセンブリ(320)との間の間隙距離dに対応してもよい。
【0068】
近位フレーム(362)は、近位フレーム(362)の移動によりトロカール(356)が移動するようにトロカール(356)の近位端に取り付けられている。近位フレーム(362)は、近位フレーム(362)が本体(352)に対して直動し得るように、本体(352)内に摺動可能に配設されている。しかしながら、近位フレーム(362)は、近位フレーム(362)がその長手方向軸線を中心に回転し得ないよう、本体(352)内で回転方向において固定されている。近位フレーム(362)は、ピンとスロットの関係、又は本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであろう任意の他の好適な連結を介して、本体(352)に対して、回転方向において固定されるとともに、摺動可能に連結されていてよい。図15に示されるように、近位フレーム(362)は、ねじ付きロッド(368)を選択的に受容し、かつねじ付きロッド(368)と噛み合うように寸法決めされたねじ付きチャネル(364)を画定する。近位フレーム(362)は、枢軸連結(376)を介して連結リンク(372)と枢軸旋回式に連結されている。
【0069】
枢軸旋回ハンドル(370)は、枢軸連結(378)を介して本体(352)と枢軸旋回可能に連結されている。枢軸旋回ハンドル(370)はスロット(375)を画定している。枢軸旋回ハンドル(370)は、スロット(375)及び枢軸連結(374)を介して連結リンク(372)と回転可能かつ摺動可能に連結されている。したがって、連結リンク(372)は、枢軸旋回ハンドル(370)と近位フレーム(362)との間の仲介部として機能する。
【0070】
枢軸旋回ハンドル(370)は本体(352)に対して回転するように構成されており、本体(352)に対する枢軸旋回ハンドル(370)の回転に応じて、連結リンク(372)が近位フレーム(362)を駆動し、結果としてトロカール(356)が開放位置と第1の閉鎖位置との間で駆動されるようになっている。また、枢軸旋回ハンドル(370)は、枢軸旋回ハンドル(370)が第1の閉鎖位置に関連する位置に回転するまで、ロックアウト機構として機能し得る。したがって、枢軸旋回ハンドル(370)は、図14Bに示す位置まで枢軸旋回されるまでは、トリガ(354)の本体(352)に向かう枢軸旋回を機械的に防止し得る。
【0071】
操作者がトロカール(356)を、(図14Aに示す)開放位置から(図14Bに示す)第1の閉鎖位置に向かって作動させることを望む場合、操作者は枢軸旋回ハンドル(370)を本体(352)に向かって回転させればよい。枢軸旋回ハンドル(370)が本体(352)に向かって回転させられると、連結リンク(372)は、本体枢軸旋回ハンドル(370)及び近位フレーム(362)に対して回転し得る。枢軸旋回ハンドル(370)が連結リンク(372)を回転させたことに応じて、近位フレーム(362)が近位に駆動され、これによりトロカール(356)が第1の閉鎖位置に作動される。スロット(375)の長さは、枢軸旋回ハンドル(370)が弧を描くように移動するにつれて、近位フレーム(362)が、トロカール(356)の全範囲又は動きにわたって(すなわち、開放位置から第2の閉鎖位置までずっと)、実質的に直線運動で移動するように、連結リンク(372)が直動及び回転することが可能となるような寸法である。操作者がトロカール(356)を第1の閉鎖位置から開放位置に戻すことを望む場合、操作者は、単に枢軸旋回ハンドル(370)を上記とは反対の角度方向に回転させて、本明細書の説明に従って、近位フレーム(362)及びトロカール(356)を遠位に駆動すればよい。
【0072】
調節ノブ(366)は、本体(352)の近位端に回転可能に配設されている。したがって、調節ノブ(366)は、上記の調節ノブ(98)と本体(72)との間の関係と同様に、本体(352)に対して回転することができる。ねじ付きロッド(368)は、調節ノブ(366)から本体(352)の内部へと遠位に延在する。ねじ付きロッド(368)は、調節ノブ(366)の回転によってねじ付きロッド(368)の回転が生じるように、調節ノブ(366)に取り付けられている。
【0073】
上述したように、ねじ付きロッド(368)は、近位フレーム(362)のねじ付きチャネル(364)と適切に噛み合うように寸法決めされる。図14Bに示すように、トロカール(356)が第1の閉鎖位置にくる位置まで、近位フレーム(362)が枢軸旋回ハンドル(370)及び連結リンク(372)によって作動されたとき、ねじ付きロッド(368)の遠位端は、ねじ付きチャネル(364)の近位端に対して直接隣接し、かつ位置合わせされている。このとき、ねじ付きロッド(368)は、ハンドル(370)の更なる枢軸旋回により近位フレーム(362)が更に近位に直動されることを防止することになる。その代わり、図14B及び図14Cに示されるように、操作者が、トロカール(356)が第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間で作動するように、近位フレーム(362)を更に近位に作動させたい場合は、操作者は、ねじ付きロッド(368)の遠位端がねじ付きチャネル(364)と係合して、ねじ付きロッド(338)及びねじ付きチャネル(364)が噛み合い始めるまで、第1の角度方向に調節ノブ(366)を回転させればよい。
【0074】
近位フレーム(362)は、本体(352)内において、摺動可能に収容されるとともに、回転方向において拘束されているため、ねじ付きロッド(368)がねじ付きチャネル(364)と噛み合うと、ねじ付きロッド(368)の回転により近位フレーム(362)とトロカール(356)の直動が駆動される。したがって、図14Cに示すように、操作者は、調節ノブ(366)を第1の角度方向に回転させて、近位フレーム(362)及びトロカール(356)を第2の閉鎖位置に向かって近位に付勢することができる。逆に、操作者は、調節ノブ(366)を第2の角度方向に回転させて、近位フレーム(362)及びトロカール(356)を第1の閉鎖位置に向かって遠位に付勢することもできる。仮に、操作者が誤って、近位フレーム(362)及びトロカール(356)が第1の閉鎖位置に到達するように、調節ノブ(366)を第2の角度方向に回転させた場合、ねじ付きロッド(368)及びねじ付きチャネル(364)はもはや噛み合わなくなる。したがって、トロカール(356)が第1の閉鎖位置にある状態で、調節ノブ(366)を第2の角度方向へ更に回転させても、近位フレーム(362)又はトロカール(356)が遠位方向に作動されなくなる。
【0075】
第1の閉鎖位置が、アンビルが、ステープル(66)について適切な高ステープル高圧縮を形成するのに必要な位置と比較してわずかに遠位にあるような、アンビルとステープルヘッドアセンブリとの間の間隙距離dに対応する例においては、アンビルとステープルヘッドアセンブリが高ステープル高圧縮に適したギャップ距離dを画定したときに、ねじ付きロッド(368)とねじ付きチャネル(364)が噛み合うことを理解されたい。
【0076】
本実施例では、ねじ付きロッド(368)及びねじ付きチャネル(364)は、調節ノブ(366)の回転運動を近位フレーム(362)の直動運動に変換するために使用される。しかしながら、これは任意選択的なものに過ぎない。本明細書の教示を考慮して当業者には明らかとなるように、回転運動を直動運動に変換するための、又はその逆の変換のための任意の好適な機構が使用されてよいからである。例えば、ねじ無しロッド及びローリングリング軸受アセンブリを使用することができる。
【0077】
場合によっては、トロカール(230)を大きく移動させるための駆動動作と、トロカール(230)の小さな、微調整された移動を行うための駆動動作と、を別個のものとして有する一方で、好適な操作中に、トロカール(230)を器具(10)の残りの部分に対して特定の望ましい位置に選択的に掛止するように構成された機構も有する、デュアル閉鎖トロカール作動アセンブリを有することが望ましい場合がある。
【0078】
図16A図17Dは、代替的な例示的円形外科用ステープル留め器具(400)を示す。以下に明示的に記載されていないが、器具(400)は、器具(10)について上述した様々な機構及び機能を有していてもよい。それ故、器具(400)は、上記の器具(10)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有する。器具(400)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(402)、シャフトアセンブリ(410)、ステープルヘッドアセンブリ(420)、及びアンビル(422)を備え、これらはそれぞれ、上記のアクチュエータハンドルアセンブリ(70)、シャフトアセンブリ(60)、ステープル留めヘッドアセンブリ(200)、及びアンビル(40)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有する。
【0079】
アクチュエータハンドルアセンブリ(402)は、本体(404)、及びトリガ(406)を備え、これらはそれぞれ、上記の本体(72)、及びトリガ(74)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有する。加えて、アクチュエータハンドルアセンブリ(402)は、二段階式のトロカール作動アセンブリ(430)を含む。以下により詳細に記載されるように、トロカール作動アセンブリ(430)は、第1の移動止め(446)及び第2の移動止め(448)を備え、第1の移動止め(446)及び第2の移動止め(448)はそれぞれ、トロカール(416)を、略面一位置及び開放位置において、器具(400)の残りの部分に対して選択的に固定するように構成されている。トロカールアクチュエータアセンブリ(430)は更に、トロカール(416)を、アンビル(422)と連結された状態で、開放位置から第1の閉鎖位置に向かって、枢軸旋回ハンドル(440)を用いて、作動させるように構成されている。加えて、トロカールアクチュエータアセンブリ(430)は、トロカール(416)を、アンビル(422)と連結された状態で、第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間で調節ノブ(436)を用いて、作動させるように構成されている。
【0080】
シャフトアセンブリ(410)は、外側管状部材(412)、ドライバアクチュエータ(414)、及びトロカール(416)を含み、これらはそれぞれ、上記の外側管状部材(62)、ドライバアクチュエータ(64)、及びトロカール(230)と実質的に同様である。明示的に示されていないが、トロカール(416)は、上記のトロカールアクチュエータ(231)、及び接続バンド部分(235)と同様の機構を含んでもよい。ドライバアクチュエータ(414)は、ステープルヘッドアセンブリ(420)とトリガ(406)との間に延在しており、これにより、本明細書の教示に従い、トリガ(406)が本体(404)に向かって枢軸旋回すると、ステープルヘッドアセンブリ(420)が発射され、アンビル(422)とステープルヘッドアセンブリ(420)との間に適切に捕捉された組織のステープル留め及び切断が同時に行われ得るようになっている。
【0081】
トロカール作動アセンブリ(430)は、近位フレーム(432)、調節ノブ(436)、ねじ付きロッド(438)、枢軸旋回ハンドル(440)、及び第1の移動止め(446)、及び第2の移動止め(448)を含む。第1の移動止め(446)は、トロカール(416)を略面一位置で選択的に固定するように構成され、第2の移動止め(448)は、トロカール(416)を開放位置に選択的に固定するように構成されている。上述したように、かつ以下でより詳細に説明するように、枢軸旋回ハンドル(440)は、開放位置と第1の閉鎖位置との間でトロカール(416)を作動させるように構成され、一方で、調節ノブ(436)及びねじ付きロッド(438)は、トロカール(416)を第1の閉鎖位置から更に第2の閉鎖位置に向かって作動させるように構成されている。
【0082】
略面一位置では、トロカール(416)の遠位端は、ステープルヘッドアセンブリ(420)内に収容されていることを理解されたい。トロカール(416)は、器具(400)の輸送中、及び器具(400)の好適な使用の前において、初期的には略面一位置に固定されていてもよい。トロカール(416)は、トロカール(416)の遠位端が好適な使用の前に意図せず露出又は損傷してしまわないよう、略面一位置に配置されてよい。
【0083】
開放位置では、トロカール(416)の遠位端は、トロカール(416)が本明細書の教示に従ってアンビル(422)と適切に連結し得るように、ステープルヘッドアセンブリ(420)を越えて遠位に伸長され得ることを理解されたい。第1の閉鎖位置は、ドライバアクチュエータ(414)が本明細書の教示に従って発射された場合、ステープル(66)が適切な高ステープル高圧縮を形成するような、アンビル(422)とステープルヘッドアセンブリ(420)との間の間隙距離dに対応してもよい。あるいは、第1の閉鎖位置は、アンビル(422)が、ステープル(66)が適切な高ステープル高圧縮を形成するのに必要な位置と比較してわずかに遠位となるような、アンビル(422)とステープルヘッドアセンブリ(420)との間の間隙距離dに対応してもよい。そのような例では、操作者が、調節ノブ(436)及びねじ付きロッド(438)を利用して、トロカール(416)及びアンビル(422)を第1の閉鎖位置から近位に作動させて、高ステープル高圧縮に対応する好適な間隙距離dを達成することが必要となり得る。第2の閉鎖位置は、ドライバアクチュエータ(414)が本明細書の教示に従って発射された場合、ステープル(66)が適切な低ステープル高圧縮を形成するような、アンビル(422)とステープルヘッドアセンブリ(420)との間の間隙距離dに対応してもよい。
【0084】
近位フレーム(432)は、近位フレーム(432)の移動によりトロカール(416)が移動するようにトロカール(416)の近位端に取り付けられている。近位フレーム(432)は、近位フレーム(432)が本体(404)に対して直動し得るように、本体(304)内に摺動可能に配設されている。しかしながら、近位フレーム(432)は、近位フレーム(432)がその長手方向軸線を中心に回転し得ないよう、本体(404)内で回転方向において固定されている。近位フレーム(432)は、ピンとスロットの関係、又は本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであろう任意の他の好適な連結を介して、本体(404)に対して、回転方向において固定されるとともに、摺動可能に連結されていてよい。近位フレーム(432)は、枢軸旋回ハンドル(440)によって画定されるスロット(445)内に摺動可能に収容された横断突出部(444)を含む。加えて、近位フレーム(432)は、ねじ付きチャネル(434)及びチャネル(431)を画定する。ねじ付きチャネル(434)は、ねじ付きロッド(438)を選択的に受容し、かつねじ付きロッド(438)と噛み合うように寸法決めされている。チャネル(431)は、トロカール(416)の位置を器具(400)の残りの部分に対して固定するために、第1の移動止め(446)及び第2の移動止め(448)を選択的に受容するように寸法決めされる。
【0085】
近位フレーム(432)の遠位表面と本体(404)の肩部(405)との間には、コイルばねなどの付勢要素(435)が配設されている。本実施例では、付勢要素(435)は、肩部(405)と近位フレーム(432)との間に延在するトロカール(416)の一部の周囲に延在する。しかしながら、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、付勢要素(435)は、近位フレーム(432)の遠位表面と、任意の好適な構成要素と、の間に配設され、トロカール(416)を好適な位置に向かって付勢してもよい。一実施形態では、付勢要素(435)は、近位フレーム(432)を、したがってトロカール(416)を、(図16C及び図17Cに示す)第1の閉鎖位置に向かって付勢する。しかしながら、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、付勢要素(435)は、近位フレーム(432)を、したがってトロカール(416)を、任意の適切な位置に向かって付勢してよい。
【0086】
第1の移動止め(446)及び第2の移動止め(448)は両方とも本体(404)の一部分と摺動可能に連結されている。移動止め(446、448)は、長手方向では本体(404)に対して固定されているが、本体(404)に対して横断方向には作動され得、これにより、チャネル(431)に入ることで、近位フレーム(432)と選択的に連結され得る。移動止め(446、448)は、長手方向では本体(404)に対して固定されているため、近位フレーム(432)のチャネル(431)内にあるときには、移動止め(446、448)は、近位フレーム(432)を、したがってトロカール(416)を、長手方向において本体(404)に対して固定するように構成されている。移動止め(446、448)はそれぞれ、ばね(447、449)などの付勢要素によって(図16A図16D、及び図16Dに示されるように)内側の位置に付勢されている。移動止め(446、448)は、操作者がばね(447、449)の付勢力を超える力で、移動止め(446、448)をチャネル(431)の外に作動させた場合に、チャネル(431)の外へ横断方向に作動させられるように構成されていてもよい。移動止め(446、448)がチャネル(431)の外に作動されると、操作者は、本明細書の説明に従って、近位フレーム(432)を本体(404)に対して長手方向に作動させることができる。
【0087】
本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、操作者は、任意の好適な手段によって、ばね(447、449)の付勢力を超える力をかけて、近位フレーム(432)のチャネル(431)から移動止め(446、448)を連結解除してよい。例えば、操作者は、本体(404)の外側に位置する移動止め(446、448)の一部分を手で引っ張ることにより、移動止め(446、448)をチャネル(431)から外してもよい。この時点で、操作者は、ハンドル(440)を回転させて、本明細書の説明に従って、近位フレーム(432)を作動させることによって、チャネル(431)が、もはや長手方向において、対応する移動止め(446、448)と整列しなくなるようにすることができる。あるいは、チャネル(431)と移動止め(446、448)とはカム係合する関係にあってもよく、これにより、操作者が枢軸旋回ハンドル(440)を十分に回転させると、チャネル(431)の内表面が、チャネル(431)内にある移動止め(446、448)の一部分とカム係合するように、近位フレーム(432)が作動され、これにより、ばね(447、449)の付勢力を超える力がかかって、移動止め(446、448)がチャネル(431)から係合解除されるように駆動されるようになっていてもよい。
【0088】
本実施例では、移動止め(446、448)とチャネル(431)とは、それぞれ略面一位置及び開放位置において位置合わせされ、移動止め(446、448)がチャネル(431)内にあるときは、ハンドル(440)が近位フレーム(432)の移動を制御するようになっている。これが単に任意選択的なものに過ぎないことを理解されたい。本明細書に記載されるように調節ノブ(436)が近位フレーム(432)の移動を制御する間に、チャネル(431)と位置合わせされるように、移動止め(446、448)又は追加の移動止めを本体(404)に沿って配置してもよい。
【0089】
枢軸旋回ハンドル(440)は、枢軸旋回ピン(442)を介して本体(404)に枢軸旋回可能に連結されている。枢軸旋回ハンドル(440)は、トロカール(416)と(トロカール(416)に適切に連結されたときの)アンビル(422)を、略面一位置、開放位置、及び第1の閉鎖位置の間で作動させるように構成されている。枢軸旋回ハンドル(440)の一部分は本体(404)から離れる方向に延在し、一方で、枢軸旋回ハンドル(440)の別の部分は本体(404)内に延在している。枢軸旋回ハンドル(440)の第1の部分は、操作者によって把持されるように寸法決めされている。ハンドル内に延在する枢軸旋回ハンドル(440)の第2の部分は、近位フレーム(432)の横断突出部(444)を摺動可能に収容する、スロット(445)を画定している。また、枢軸旋回ハンドル(440)は、枢軸旋回ハンドル(440)が第1の閉鎖位置に関連する位置に回転するまで、ロックアウト機構として機能し得る。したがって、枢軸旋回ハンドル(440)は、図17C図17Dに示す位置まで枢軸旋回されるまでは、トリガ(406)の本体(404)に向かう枢軸旋回を機械的に防止し得る。
【0090】
操作者がトロカール(416)を(図16A及び図17Aに示す)略面一位置から(図16B及び図17Bに示す)開放位置に向かって作動させようとするときは、操作者は、本明細書の説明に従って、第1の移動止め(446)をチャネル(431)から連結解除し、枢軸旋回ハンドル(440)の第1の部分を把持して、枢軸旋回ハンドル(440)を第1の角度方向に回転させればよい。枢軸旋回ハンドル(440)のスロット(445)内に、横断突出部(444)が摺動可能に収容されているため、枢軸旋回ハンドル(440)の第2の部分によって近位フレーム(432)及びトロカール(416)が開放位置に向かって遠位に駆動される。スロット(445)の長さは、枢軸旋回ハンドル(440)が弧を描くように移動するにつれて、近位フレーム(432)が、トロカール(416)の全範囲又は動きにわたって(すなわち、開放位置から第2の閉鎖位置までずっと)、実質的に直線運動で移動し得るように寸法決めされる。トロカール(416)が開放位置に来ると、第2の移動止め(448)がチャネル(431)内に入って、トロカール(416)を開放位置に選択的に固定することを理解されたい。本明細書の説明に従って、開放位置では、トロカール(416)をアンビル(422)と選択的に連結し得る。
【0091】
操作者がトロカール(416)を(図16B及び図17Bに示す)開放位置から(図16C及び図17Cに示す)第1の閉鎖位置に向かって作動させようとするときは、本明細書の説明に従って、操作者はチャネル(431)から第2の移動止め(448)を連結解除すればよい。操作者は次に、枢軸旋回ハンドル(440)の第1の部分を把持し、枢軸旋回ハンドル(440)を第2の角度方向に回転させて、近位フレーム(432)を近位に作動させてよい。付勢要素(435)により、近位フレーム(432)及びトロカール(416)を更に近位方向に第1の閉鎖位置に向かって作動させやすくできる。操作者は、近位フレーム(432)を更に作動させて、本明細書の説明に従って、チャネル(431)が第1の移動止め(446)を通り過ぎて長手方向に移動するようにする必要があり得る。付勢要素(435)により、トロカール(416)が第1の閉鎖位置にあるときに、ねじ付きチャネル(434)がねじ付きロッド(438)の遠位端に直接隣接することが、保証されやすくなり得る。
【0092】
操作者がトロカール(416)を第1の閉鎖位置から略面一位置又は開放位置のいずれかに戻すように作動させることを望む場合、操作者は、単にハンドル(440)の第1の部分を第1の角度方向に枢軸旋回させて、本明細書の説明に従って、近位フレーム(432)及びトロカール(416)を遠位に駆動すればよい。
【0093】
調節ノブ(436)は、本体(404)の近位端に回転可能に配設されている。したがって、調節ノブ(436)は、上記の調節ノブ(98)と本体(72)との間の関係と同様に、本体(404)に対して回転することができる。ねじ付きロッド(438)は、調節ノブ(436)から本体(404)の内部へと遠位に延在する。ねじ付きロッド(438)は、調節ノブ(436)の回転によってねじ付きロッド(438)の回転が生じるように、調節ノブ(436)に取り付けられている。
【0094】
上述したように、ねじ付きロッド(438)は、近位フレーム(432)のねじ付きチャネル(434)と適切に噛み合うように寸法決めされる。図16C及び図17Cに示すように、トロカール(416)が第1の閉鎖位置にくる位置まで、近位フレーム(432)が枢軸旋回ハンドル(440)及び/又は付勢要素(435)によって作動されたとき、ねじ付きロッド(438)の遠位端は、ねじ付きチャネル(434)の近位端に対して直接隣接し、かつ位置合わせされている。このとき、ねじ付きロッド(438)は、ハンドル(440)の更なる枢軸旋回又は付勢要素(435)からの力により近位フレーム(432)が更に近位に直動されることを防止することになる。その代わり、図16C図16D及び図17C図17Dに示されるように、操作者が、トロカール(416)が第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間で作動するように、近位フレーム(432)を更に近位に作動させたい場合は、操作者は、ねじ付きロッド(438)の遠位端がねじ付きチャネル(434)と係合して、ねじ付きロッド(438)及びねじ付きチャネル(434)が噛み合い始めるまで、第1の角度方向に調節ノブ(436)を回転させればよい。
【0095】
近位フレーム(432)は、本体(404)内において、摺動可能に収容されるとともに、回転方向において拘束されているため、ねじ付きロッド(438)がねじ付きチャネル(434)と噛み合うと、ねじ付きロッド(438)の回転により近位フレーム(432)の直動が駆動され、したがってトロカール(416)の直動が駆動される。したがって、図16D及び図17Dに示すように、操作者は、調節ノブ(436)を第1の角度方向に回転させて、近位フレーム(432)及びトロカール(416)を第2の閉鎖位置に向かって近位に付勢することができる。逆に、操作者は、調節ノブ(436)を第2の角度方向に回転させて、近位フレーム(432)及びトロカール(416)を第1の閉鎖位置に向かって遠位に付勢することもできる。仮に、操作者が誤って、近位フレーム(432)及びトロカール(416)が第1の閉鎖位置に到達するように、調節ノブ(436)を第2の角度方向に回転させた場合、ねじ付きロッド(438)及びねじ付きチャネル(434)はもはや噛み合わなくなる。付勢要素(435)は、近位フレーム(432)及びトロカール(416)を第1の閉鎖位置に維持してもよい。したがって、トロカール(416)が第1の閉鎖位置にある状態で、調節ノブ(436)を第2の角度方向へ更に回転させても、近位フレーム又はトロカール(416)が遠位方向に作動されなくなる。
【0096】
第1の閉鎖位置が、アンビル(422)が、ステープル(66)について適切な高ステープル高圧縮を形成するのに必要な位置と比較してわずかに遠位にあるような、アンビル(422)とステープルヘッドアセンブリ(420)との間の間隙距離dに対応する例においては、アンビル(422)とステープルヘッドアセンブリ(420)が高ステープル高圧縮に適したギャップ距離dを画定したときに、ねじ付きロッド(438)とねじ付きチャネル(434)が噛み合うことを理解されたい。
【0097】
本実施例では、ねじ付きロッド(438)及びねじ付きチャネル(434)は、調節ノブ(436)の回転運動を近位フレーム(432)の直動運動に変換するために使用される。しかしながら、これは任意選択的なものに過ぎない。本明細書の教示を考慮して当業者には明らかとなるように、回転運動を直動運動に変換するための、又はその逆の変換のための任意の好適な機構が使用されてよいからである。例えば、ねじ無しロッド及びローリングリング軸受アセンブリを使用することができる。
【0098】
図18A図19は、代替的な例示的円形外科用ステープル留め器具(450)を示す。以下に明示的に記載されていないが、器具(450)は、器具(10)について上述した様々な機構及び機能を有していてもよい。それ故、器具(450)は、上記の器具(10)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有する。器具(450)は、アクチュエータハンドルアセンブリ(452)、シャフトアセンブリ(460)、ステープルヘッドアセンブリ(470)、及びアンビル(472)を備え、これらはそれぞれ、上記のアクチュエータハンドルアセンブリ(70)、シャフトアセンブリ(60)、ステープルヘッドアセンブリ(200)、及びアンビル(40)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有する。
【0099】
アクチュエータハンドルアセンブリ(452)は、本体(454)、及びトリガ(456)を備え、これらはそれぞれ、上記の本体(72)、及びトリガ(74)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有する。加えて、アクチュエータハンドルアセンブリ(452)は、二段階式のトロカール作動アセンブリ(480)を含む。以下でより詳細に説明するように、トロカールアクチュエータアセンブリ(480)は、トロカール(466)を、アンビル(472)と連結された状態で、開放位置から第1の閉鎖位置に向かって、摺動ハンドル(486)を用いて、作動させるように構成されている。加えて、トロカールアクチュエータアセンブリ(480)は、トロカール(466)を、アンビル(472)と連結された状態で、第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間で調節ノブ(490)を用いて、作動させるように構成されている。
【0100】
シャフトアセンブリ(460)は、外側管状部材(462)、ドライバアクチュエータ(464)、及びトロカール(466)を含み、これらはそれぞれ、上記の外側管状部材(62)、ドライバアクチュエータ(64)、及びトロカール(230)と実質的に同様である。明示的に示されていないが、トロカール(466)は、上記のトロカールアクチュエータ(231)、及び接続バンド部分(235)と同様の機構を含んでもよい。ドライバアクチュエータ(464)は、ステープルヘッドアセンブリ(470)とトリガ(456)との間に延在しており、これにより、本明細書の教示に従い、トリガ(456)が本体(454)に向かって枢軸旋回すると、ステープルヘッドアセンブリ(470)が発射され、アンビル(472)とステープルヘッドアセンブリ(470)との間に適切に捕捉された組織のステープル留め及び切断が同時に行われ得るようになっている。
【0101】
トロカール作動アセンブリ(480)は、近位フレーム(482)、調節ノブ(490)、ねじ付きロッド(492)、及び摺動ハンドル(486)を含む。上述したように、かつ以下でより詳細に説明するように、摺動ハンドル(486)は、開放位置と第1の閉鎖位置との間でトロカール(466)を作動させるように構成され、一方で、調節ノブ(490)及びねじ付きロッド(492)は、トロカール(466)を第1の閉鎖位置から更に第2の閉鎖位置に向かって作動させるように構成されている。
【0102】
開放位置では、トロカール(466)の遠位端は、トロカール(466)が、本明細書の教示に従って、アンビル(472)と好適に連結し得るようにステープルヘッドアセンブリ(470)を越えて遠位に伸長され得ることを理解されたい。第1の閉鎖位置は、ドライバアクチュエータ(464)が本明細書の教示に従って発射された場合、ステープル(66)が、好適な高ステープル高圧縮を形成するような、アンビル(472)とステープルヘッドアセンブリ(470)との間の間隙距離dに対応してもよい。あるいは、第1の閉鎖位置は、アンビル(472)が、ステープル(66)が好適な高ステープル高圧縮を形成するのに必要な位置と比較してわずかに遠位となるような、アンビル(472)とステープルヘッドアセンブリ(470)との間の間隙距離dに対応してもよい。このような例では、操作者は、調節ノブ(490)及びねじ付きロッド(492)を利用して、トロカール(466)及びアンビル(472)を第1の閉鎖位置から近位に作動させて、高ステープル高圧縮に対応する好適な間隙距離dを達成することが必要となり得る。第2の閉鎖位置は、ドライバアクチュエータ(464)が本明細書の教示に従って発射される場合、ステープル(66)が、好適な低ステープル高圧縮を形成することとなるような、アンビル(472)とステープルヘッドアセンブリ(470)との間の間隙距離dに対応してもよい。
【0103】
近位フレーム(482)は、近位フレーム(482)の移動によりトロカール(466)が移動するように、トロカール(466)の近位端に取り付けられている。近位フレーム(482)は、近位フレーム(482)が本体(454)に対して直動し得るように、本体(454)内に摺動可能に配設されている。しかしながら、近位フレーム(482)は、近位フレーム(482)が近位フレーム(482)の長手方向軸線を中心に回転し得ないように本体(454)内に回転方向に固定されている。更に、近位フレーム(332)は、ねじ付きロッド(338)を選択的に受容し、かつねじ付きロッド(338)と噛み合うように寸法決めされたねじ付きチャネル(334)を画定する。近位フレーム(482)は、連結機構(485、488)を介して摺動ハンドル(486)に連結されている。摺動ハンドル(486)は、本体(454)の外部から本体(454)の内部に延在して、近位フレーム(482)を近位フレーム(482)の長手方向軸線を中心に合理的に固定する。したがって、本体(454)は、摺動ハンドル(486)の部分を受容するスロットを画定する。
【0104】
摺動ハンドル(486)は、操作者が摺動ハンドル(486)を把持し、ハンドル(486)を本体(454)に対して直動させることができるように、本体(454)に摺動可能に取り付けられている。特に、操作者は、近位フレーム(482)及びトロカール(466)が(図18A図18Bに示すように)開放位置と第1の閉鎖位置との間で作動するように、摺動ハンドル(486)を近位に直動させ得る。操作者が、第1の閉鎖位置から開放位置に戻すようにトロカール(466)を作動させることを所望する場合、操作者は、本明細書の説明に従って近位フレーム(482)及びトロカール(466)を遠位に駆動するために、単にハンドル(486)を遠位に直動させればよい。
【0105】
調節ノブ(490)は、本体(454)の近位端に回転可能に配設されている。したがって、調節ノブ(490)は、上述した調節ノブ(98)と本体(72)との間の関係と同様に、本体(454)に対して回転することができる。ねじ付きロッド(492)は、調節ノブ(490)から本体(454)の内部へと遠位に延在する。ねじ付きロッド(492)は、調節ノブ(490)の回転によってねじ付きロッド(492)の回転が生じるように、調節ノブ(490)に取り付けられている。
【0106】
上述したように、ねじ付きロッド(492)は、近位フレーム(482)のねじ付きチャネル(484)と適切に噛み合うように寸法決めされている。図18Bに示すように、近位フレーム(482)が、トロカール(466)が第1の閉鎖位置にある位置まで摺動ハンドル(486)によって作動される場合、ねじ付きロッド(492)の遠位端は、ねじ付きチャネル(484)の近位端に直接隣接し、かつ位置合わせされている。このとき、ねじ付きロッド(492)は、ハンドル(486)の更なる直動によって、近位フレーム(482)が更に近位に直動することを防止することになる。その代わり、図18B及び図18Cに示されるように、操作者が、トロカール(466)が第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間で作動するように、近位フレーム(486)を更に近位に作動させたい場合は、操作者は、ねじ付きロッド(492)の遠位端がねじ付きチャネル(484)と係合して、ねじ付きロッド(492)及びねじ付きチャネル(484)が噛み合い始めるまで、第1の角度方向に調節ノブ(490)を回転させればよい。
【0107】
近位フレーム(482)が本体(454)内で摺動可能に収容され、回転方向に拘束されているので、ねじ付きロッド(492)がねじ付きチャネル(484)と噛み合うと、ねじ付きロッド(492)の回転により近位フレーム(482)の直動を駆動し、それ故に、トロカール(466)の直動を駆動する。したがって、図18Cに示すように、操作者は、調節ノブ(490)を第1の角度方向に回転させて、近位フレーム(482)及びトロカール(466)を第2の閉鎖位置に向かって近位に付勢することができる。逆に、操作者は、調節ノブ(490)を第2の角度方向に回転させて、近位フレーム(482)及びトロカール(466)を第1の閉鎖位置に向かって遠位に付勢することができる。操作者が誤って、近位フレーム(482)及びトロカール(466)が第1の閉鎖位置に到達するように、調節ノブ(490)を第2の角度方向に回転させると、ねじ付きロッド(492)及びねじ付きチャネル(484)はもはや噛み合わなくなる。したがって、トロカール(466)が第1の閉鎖位置にある状態で、調節ノブ(490)を第2の角度方向へ更に回転させても、近位フレーム(482)又はトロカール(466)が遠位方向に作動されなくなる。
【0108】
第1の閉鎖位置が、ステープル(66)が好適な高ステープル高圧縮を形成するのに必要な位置と比較して、アンビル(472)がわずかに遠位であるような、アンビル(472)とステープルヘッドアセンブリ(470)との間の間隙距離dに対応する例において、アンビル(472)及びステープルヘッドアセンブリ(470)が高ステープル高圧縮に好適な間隙距離dを画定したときに、ねじ付きロッド(492)とねじ付きチャネル(484)は噛み合うことを理解されたい。
【0109】
本実施例では、ねじ付きロッド(492)及びねじ付きチャネル(484)を使用して、調節ノブ(490)の回転運動を近位フレーム(482)の直動運動に変換している。しかしながら、これは任意選択的なものに過ぎない。本明細書の教示を考慮して当業者には明らかとなるように、回転運動を直動運動に変換するための、又はその逆の変換のための任意の好適な機構が使用されてよいからである。例えば、ねじ無しロッド及びローリングリング軸受アセンブリを使用することができる。
【0110】
上述したように、ねじ付きロッド(338、368、438、492)及び近位フレーム(332、362、432、482)のねじ付きチャネル(334、364、434、484)は、ねじ付きロッド(338、368、438、492)の第1の角度方向への回転により、ねじ付きロッド(338、368、438、492)及びねじ付きチャネル(334、364、434、484)が好適に噛み合い又は係合するように、第1の閉鎖位置で互いに直接隣接して位置合わせされるように構成されている。場合によっては、ねじ付きロッド(338、368、438、492)は、ねじ付きチャネル(334、364、434、484)と好適に噛み合い又はねじ付きチャネル(334、364、434、484)を好適に係合するように、複数回回転してもよい。これは、ねじ付きロッド(338、368、438、492)の初期の回転中に、ねじ山が最初に互いを「捕捉する」か又は互いと係合することを失敗したことによって引き起こされ得る。これは、実際に近位フレーム(332、362、432、482)が直動していないときに、操作者が、回転が近位フレーム(332、362、432、482)の直動を駆動すると想定して、ねじ付きロッド(338、368、438、492)を回転させる結果となり得る。したがって、近位フレームが第1の閉鎖位置にあるとき、ねじ付きロッドの初期回転中に、より正確に初期に「捕捉」又は係合するように構成された代替的なねじ付きロッド及び/又はねじ付きチャネルを有することが所望され得る。
【0111】
B.代替的なねじ式係合デバイス
図20は、上記のねじ付きロッド(338、368、438、492)の代わりに使用することができる代替的なねじ付きロッド(380)を示す。ねじ付きロッド(380)は、第1の閉鎖位置でのねじ付きロッド(380)の初期回転中に、初期にねじ付きチャネル(334、364、434、484)とより確実に係合するか又はねじ付きチャネル(334、364、434、484)を「捕捉」するように構成された遠位漏斗様式導入部(382)を含む。遠位漏斗様式導入部(382)は、傾斜遠位対向面(384)と、傾斜近位対向面(386)と、2つの傾斜面(384、386)の間に延在するランディング面(388)と、を含む。遠位対向面(384)は、第1の軸(381)に沿って延在し、一方、近位対向面(386)は、第2の軸(383)に沿って延在する。第1の軸(381)及び第2の軸(383)は、ランディング面(388)及び傾斜面(384、386)が漏斗様式導入部を画定するように、開き角度(385)を画定する。角度(385)によって画定された漏斗様式導入部は、より従来様式の導入部と比較して、ねじ付きロッド(380)が、近位フレーム(332、362、432、482)のねじ付きチャネル(334、364、434、484)をより容易に捕捉するか又はねじ付きチャネル(334、364、434、484)と係合することを可能にするより大きい初期係合エリアを提供することができる。
【0112】
図21図22は、多条ねじアセンブリ(392)を有する別の代替的なねじ付きロッド(390)を示す。本実施例の多条ねじアセンブリ(392)は、第1のねじ山(394)と、第2のねじ山(396)と、第3のねじ山(398)と、を含む。各ねじ山(394、396、398)は、他方から平行に配列される。換言すれば、ねじ付きチャネルが第1のねじ山(394)と係合する場合、ねじ付きチャネルは、第2のねじ山(396)又は第3のねじ山(398)の経路に沿って移動することなく、第1のねじ山(394)の経路に沿って移動することとなる。
【0113】
図22で最も良く分かるように、各ねじ山(394、396、398)は、各ねじ山(394、396、398)がねじ付きチャネル(334、364、434、484)を捕捉するか、又はねじ付きチャネル(334、364、434、484)と係合する機会を有するように遠位に終端する。したがって、ねじ付きロッド(338、368、438、492)の1回転は、ねじ付きチャネル(334、364、434、484)を捕捉するか、又はねじ付きチャネル(334、364、434、484)と係合する1つの機会を含む一方、多条ねじアセンブリ(392)の1回転は、ねじ付きチャネル(334、364、434、484)と係合する3つの機会を含む。本実施例では、3つのねじ山(394、396、398)が使用されているが、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、任意の好適な数の平行なねじ山が使用されてもよい。
【0114】
図23は、従来のねじ付きチャネルの代わりに、係合ポスト(397、399)を有する代替的な近位フレーム(395)がねじ付きチャネルと係合する様子を示す。2つの係合ポスト(397、399)が本実施例では示されているが、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、任意の好適な数の平行な係合ポストが使用されてもよい。
【0115】
C.多方向入力作動機構を有する例示的な二段階式のトロカール作動アセンブリ
図24A図25は、上記の器具(10)に容易に組み込まれ得る代替の例示的アクチュエータハンドルアセンブリ(500)を示す。以下に明示的に記載されていないが、アクチュエータハンドルアセンブリ(500)は、器具(10)について上述した様々な機構及び機能を有していてもよい。したがって、アクチュエータハンドルアセンブリ(500)は、上記のアクチュエータハンドルアセンブリ(70)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有する。
【0116】
アクチュエータハンドルアセンブリ(500)は、本体(502)と、トリガ(504)と、ロックアウト機構(506)と、を含み、これらはそれぞれ、上記の本体(72)、トリガ(74)、及びロックアウト機構(82)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有する。トロカール(508)は、本体(502)内に近位に延在する。トロカール(508)は、上記のトロカール(230)と実質的に同様であってよいが、以下に詳述する相違点を有する。明示的に示されていないが、トロカール(508)は、上述のトロカールアクチュエータ(231)、接続バンド部分(235)、及びトロカール(230)と同様の機構を含んでもよい。トリガ(504)は、本明細書の教示に従って、ステープルヘッドアセンブリを発射して、アンビルとステープルヘッドアセンブリとの間に好適に捕捉された組織を同時にステープル留め及び切断するために、本体(502)に枢軸旋回可能に連結され、上述のドライバアクチュエータ(64,314)と同様のドライバアクチュエータを作動させるように構成されている。
【0117】
更に、アクチュエータハンドルアセンブリ(500)は、多段階式のトロカール作動アセンブリ(510)を含む。トロカール作動アセンブリ(510)は、近位フレーム(512)と、多方向調節ノブ(520)と、ねじ付きシャフト(524)と、長方形ワッシャ(530)と、係止体(540)と、を含む。以下により詳細に記載されるように、多方向調節ノブ(520)は、略面一位置と開放位置との間でトロカール(508)を駆動するために、第1の方向に作動するように構成されている。加えて、多方向調節ノブ(520)は、略面一位置と第1の閉鎖位置との間でトロカール(508)を駆動するために、第2の方向に作動するように構成されている。最後に、多方向調節ノブ(520)は、第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間でトロカール(508)を駆動するために、第3の方向に作動するように構成されている。
【0118】
上記の器具(400)と同様に、略面一位置では、トロカール(508)の遠位端は、ステープルヘッドアセンブリ内に収容されていることを理解されたい。トロカール(508)は、器具の残りの部分と共にハンドルアセンブリ(500)の輸送中、及びトロカール(508)の好適な使用の前に、初期的には略面一位置に固定されていてもよい。トロカール(508)は、トロカール(508)の遠位端が、好適な使用の前に意図せず露出又は損傷しないように、略面一位置に配置され得る。開放位置では、トロカール(508)の遠位端は、本明細書の教示に従って、トロカール(508)がアンビルと好適に連結することができるように、ステープルヘッドアセンブリを越えて遠位に伸長され得る。第1の閉鎖位置は、ドライバアクチュエータが、本明細書の教示に従って発射される場合、ステープル(66)が、好適な高ステープル高圧縮を形成することとなるような、アンビルとステープルヘッドアセンブリとの間の間隙距離dに対応してもよい。あるいは、第1の閉鎖位置は、アンビルが、ステープル(66)が好適な高ステープル高圧縮を形成するのに必要な位置と比較してわずかに遠位となるような、アンビルとステープルヘッドアセンブリとの間の間隙距離dに対応してもよい。そのような例では、操作者は、多方向調節ノブ(520)を第3の方向に作動させて、高ステープル高圧縮に対応する好適な間隙距離dを達成することによって、トロカール(508)及びアンビルを第1の閉鎖位置から近位に作動させる必要があり得る。第2の閉鎖位置は、ドライバアクチュエータが本明細書の教示に従って発射された場合、ステープル(66)が好適な低ステープル高圧縮を形成することとなるような、アンビルとステープルヘッドアセンブリとの間の間隙距離dに対応してもよい。
【0119】
近位フレーム(512)は、近位フレーム(512)の移動によりトロカール(508)が移動するようにトロカール(508)の近位端に取り付けられている。近位フレーム(512)は、近位フレーム(512)が本体(502)に対して直動し得るように、本体(502)内に摺動可能に配設されている。しかしながら、近位フレーム(512)は、近位フレーム(512)が近位フレーム(512)の長手方向軸線を中心に回転し得ないように本体(502)内に回転方向に固定されている。近位フレーム(512)は、ピンとスロットの関係、又は本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであろう任意の他の好適な連結によって、本体(502)に対して回転方向に固定され、かつ摺動可能に連結され得る。近位フレーム(512)は、ねじ付きチャネル(514)、近位凹部(516)、及び遠位凹部(518)を画定する。
【0120】
近位フレーム(512)は、ねじ付きチャネル(514)とシャフト(524)のねじ付き部分(526)との間の係合によってねじ付きシャフト(524)と連結されている。ねじ付きシャフト(524)は、遠位ねじ付き部分(526)から、本体(502)の近位端を通って、長方形ワッシャ(530)を通って延在し、近位端(525)内で終端する。ねじ付きシャフト(524)は、枢軸旋回可能な連結部(528)を介して近位端(525)において多方向調節ノブ(520)と連結している。多方向調節ノブ(520)は、ハンドル(522)を含む。調節ノブ(520)は、ねじ付きシャフト(524)をねじ付きシャフト(524)の長手方向軸線を中心に回転させる上に、ねじ付きシャフト(524)を本体(502)に対して直動させるように構成されている。以下により詳細に記載されるように、ねじ付きシャフト(524)の回転により、近位フレーム(512)が、ねじ付きシャフト(524)及び本体(502)の両方に対して直動するように構成され、一方、ねじ付きシャフト(524)の直動により、近位フレーム(512)及びトロカール(508)は、本体(502)に対してねじ付きシャフト(524)と共に直動するように動作可能である。
【0121】
長方形ワッシャ(530)は、ばねなどの付勢要素(534)によって多方向調節ノブ(520)に対して近位に付勢されている。付勢要素(534)は、近位に提示された床部(507)及び本体(502)の近位に提示された環状肩部(503)によって画定された近位凹部(505)内に収容されている。長方形ワッシャ(530)は、シャフト(524)を受容する貫通孔(532)を画定する。長方形ワッシャ(530)は、(図25Aに示されるような)阻害位置と(図25Bに示されるような)非阻害位置との間で、シャフト(524)及び近位に提示された環状肩部(503)に対して回転するように構成されている。阻害位置にあるとき、長方形ワッシャ(530)は、長方形ワッシャ(530)が、調節ノブ(520)及びシャフト(524)の遠位への直動を防止するように、環状肩部(503)と多方向調節ノブ(520)との間に位置付けられている。非阻害位置にあるとき、長方形ワッシャ(530)は、長方形ワッシャ(530)が、調節ノブ(520)及びシャフト(524)の遠位への直動を防止しないように、環状肩部(503)の外周内に位置付けられている。以下により詳細に記載されるように、操作者は、多方向調節ノブ(520)を遠位に押すために、長方形ワッシャ(530)を非阻害位置に回転させることによって、トロカール(508)が略面一位置から開放位置に移動するように、シャフト(524)及び近位フレーム(512)を遠位に押し得る。
【0122】
しかしながら、長方形ワッシャ(530)が阻害位置にある間、調節ノブ(520)及びシャフト(524)は、近位フレーム(512)のねじ付きチャネル(514)とシャフト(524)のねじ付き部分(526)との間の係合によって、近位フレーム(512)を直動させるために、依然としてシャフト(524)の長手方向軸線を中心に回転し得る。更に、長方形ワッシャ(530)が阻害位置にある間、調節ノブ(520)は、長方形ワッシャ(530)に対してカム動作して、シャフト(524)、近位フレーム(512)、及びトロカール(508)を近位に直動させるために、依然として枢軸旋回可能な連結部(528)を中心に回転し得る。以下により詳細に記載されるように、調節ノブ(520)は、シャフト(524)をシャフト(524)の長手方向軸線を中心に回転させて、トロカール(508)を略面一位置と第1の閉鎖位置との間で作動させ得、その一方、調節ノブ(520)は、その後、枢軸旋回可能な連結部(528)を中心に回転して、長方形ワッシャ(530)に対してカム動作して、第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間でトロカール(508)を更に作動させ得る。
【0123】
係止体(540)は、本体(502)の一部分と摺動可能に連結されている。係止体(540)は、本体(502)に対して長手方向に固定されているが、近位フレーム(512)の凹部(516、518)と選択的に連結するために、本体(502)に対して横断方向に作動し得る。係止体(540)は、本体(502)に対して長手方向に固定されているので、係止体(540)が凹部(516、518)内にあるとき、係止体(540)は、本体(502)に対して近位フレーム(512)並びにトロカール(508)の長手方向の位置を維持するように役立つ。特に、係止体(540)が遠位凹部(518)内にあるとき、近位フレーム(512)及びトロカール(508)は、略面一位置に位置する。係止体(540)が近位凹部(516)内にあるとき、近位フレーム(512)及びトロカール(508)は、開放位置に位置する。係止体(540)は、ばね(542)などの付勢要素によって、近位フレーム(512)に対して付勢されている。係止体(540)は、操作者が、ばね(542)の付勢力を超えるように、近位フレーム(512)に対して長手方向の十分な力を与えることによって、係止体(540)を凹部(516、518)の外へ作動させると、凹部(516、518)の外へ横断方向に作動するように構成され得る。
【0124】
操作者が(図24A及び24Bに示すような)略面一位置から(図24Cに示すような)開放位置に向かってトロカール(508)を作動させることを所望する場合、操作者は、(図25Aに示すような)阻害位置から(図25Bに示すような)非阻害位置まで長方形ワッシャ(530)を回転させ得る。長方形ワッシャ(530)が非阻害位置にある状態で、操作者は、長方形ワッシャ(530)が凹部(505)内で遠位に作動し、付勢要素(534)を圧縮させるように、多方向調節ノブ(520)を遠位に押圧し得る。これに応答して、シャフト(524)は、本体(502)内で遠位に作動する。シャフト(524)は、ねじ付きチャネル(514)及びねじ付き部分(526)の噛み合いによって近位フレーム(512)と連結されているため、近位フレーム(512)及びトロカール(508)はまた、シャフト(524)と共に遠位に作動する。係止体(540)は、遠位凹部(518)と係合解除され、近位凹部(516)と係合する。このとき、図24Cに示すように、操作者は、多方向調節ノブ(520)を解放し得る。係止体(540)を近位凹部(516)に付勢するばね(542)によって提供される力は、長方形ワッシャ(530)上の付勢要素(534)の近位付勢力よりも強いことを理解されたい。したがって、係止体(540)及び近位凹部(516)が、トロカール(508)が開放位置に留まるのを助けるため、操作者は、上記の説明に従って、トロカール(508)の遠位端をアンビルと好適に連結することができる。
【0125】
図24C図24Dに示されるように、1つのトロカール(508)がアンビルと好適に連結されており、操作者は、多方向調節ノブ(520)を近位に引くことができ、その結果、係止体(540)が近位凹部(516)との係合から外れて駆動され、遠位凹部(518)と係合することによって、トロカール(508)を略面一位置に戻すことができる。このとき、操作者は、長方形ワッシャ(530)を阻害位置に戻すように回転させることができる。
【0126】
次に、図24D図24Eに示されるように、操作者は、シャフト(524)の長手方向軸線を中心に調節ノブ(520)及びシャフト(524)を回転させることができる。近位フレーム(512)は、本体(502)内に摺動可能に収容され、かつ回転方向に拘束されているため、ねじ付きシャフト(524)がねじ付きチャネル(514)と噛み合うと、ねじ付きシャフト(524)の回転により近位フレーム(512)の直動が駆動され、それ故に、トロカール(508)の直動が駆動される。したがって、操作者は、調節ノブ(520)を第1の角度方向に回転させて、近位フレーム(512)及びトロカール(508)を第1の閉鎖位置に向かって近位に付勢することができる。逆に、操作者は、第2の角度方向に調節ノブ(490)を回転させて、近位フレーム(512)及びトロカール(508)を、略面一位置に向かって遠位に付勢することができる。
【0127】
次に、図24E図24Fに示されるように、操作者は、調節ノブ(520)を長方形ワッシャ(530)に対してカム動作させるために、調節ノブ(520)を枢軸旋回可能な連結部(528)を中心に回転させることができる。調節ノブ(520)の外部が長方形ワッシャに対してカム動作を行うと、シャフト(524)は近位に駆動される。シャフト(524)が近位フレーム(512)と噛み合うため、シャフト(524)の近位への直動により、近位フレーム(512)及びトロカール(508)を第2の閉鎖位置まで近位に駆動する。操作者が第2の閉鎖位置から第1の閉鎖位置へトロカール(508)を作動させることを望む場合、操作者は、本明細書の説明に従って、調節ノブ(520)を枢軸旋回可能な連結部(528)を中心に反対方向に回転させることによって、シャフト(524)、近位フレーム(512)、及びトロカール(508)を遠位に駆動することができる。
【0128】
本実施例では、調節ノブ(520)が、シャフト(524)の長手方向軸線を中心に回転して、トロカール(508)を略面一位置から第1の閉鎖位置へ駆動し、調節ノブ(520)が、枢軸旋回可能な連結部(528)を中心に回転して、トロカール(508)を第1の閉鎖位置から第2の閉鎖位置へ駆動するが、これらの2つの機能は容易に逆転され得る。したがって、枢軸旋回可能な連結部(528)を中心とした調節ノブ(520)の回転を使用して、トロカールを略面一位置から第1の閉鎖位置へと作動させることができ、一方、シャフト(524)の長手方向軸線を中心とした調節ノブ(520)の回転を使用して、トロカールを第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間で作動させることができる。
【0129】
図26A図26Dは、上記の器具(10)に容易に組み込まれ得る別の代替的なアクチュエータハンドルアセンブリ(550)を示す。以下に明示的に記載されていないが、アクチュエータハンドルアセンブリ(550)は、器具(10)について上述した様々な機構及び機能を有していてもよい。したがって、アクチュエータハンドルアセンブリ(550)は、上記のアクチュエータハンドルアセンブリ(70)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有する。
【0130】
アクチュエータハンドルアセンブリ(550)は、本体(552)と、トリガ(554)と、ロックアウト機構(556)と、を含み、これらはそれぞれ、上記の本体(72)、トリガ(74)、及びロックアウト機構(82)と実質的に同様であり得るが、以下に詳述する相違点を有する。トロカール(558)は、本体(522)内に近位に延在する。トロカール(558)は、上記のトロカール(230)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有していてよい。明示的に示されていないが、トロカール(558)は、上記のトロカールアクチュエータ(231)、接続バンド部分(235)、及びトロカール(230)と同様の機構を含んでもよい。トリガ(554)は、本明細書の教示に従って、ステープルヘッドアセンブリを発射して、アンビルとステープルヘッドアセンブリとの間に好適に捕捉された組織を同時にステープル留め及び切断するために、本体(552)に枢軸旋回可能に連結され、上述のドライバアクチュエータ(64,314)と同様のドライバアクチュエータを作動させるように構成されている。
【0131】
更に、アクチュエータハンドルアセンブリ(550)は、多段階式のトロカール作動アセンブリ(560)を含む。トロカール作動アセンブリ(560)は、中空遠位シャフト(562)と、ローリングリング軸受アセンブリ(568)と、調節ノブ(570)と、近位シャフト部分(572)と、係止体(580)と、連結体(584)と、固定シャフト(590)と、を含む。以下により詳細に記載されるように、調節ノブ(570)は、トロカール(558)を開放位置から第1の閉鎖位置へ作動させるために、(図26Aに示すような)遠位位置から(図26Bに示すような)近位位置へ引っ張られ得る。以下にもまたより詳細に記載されるように、調節ノブ(570)は、第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間でトロカール(558)を作動させるために、調節ノブ(570)の長手方向軸線を中心に回転し得る。
【0132】
調節ノブ(570)、近位シャフト部分(572)、中空遠位シャフト(562)、及びローリングリング軸受アセンブリ(568)は、互いに接続され、本体(552)に対してこれらの長手方向軸線を中心に回転し、かつ本体(552)に対して直動するように構成されている。中空遠位シャフト(562)は、開放遠位端(564)及び遠位環状凹部(566)を画定する。開放遠位端(564)は、固定シャフト(590)の近位部分を受容するように寸法決めされている。ローリングリング軸受アセンブリ(568)は、中空遠位シャフト(562)の内部に位置する。以下により詳細に記載されるように、ローリングリング軸受アセンブリ(568)は、ローリングリング軸受アセンブリ(568)の駆動シャフト区分(594)を中心とした回転によって、調節ノブ(570)、近位シャフト部分(572)、中空遠位シャフト(562)、及びローリングリング軸受アセンブリ(568)が駆動シャフト区分(594)に対して遠位及び近位に直動するように、固定シャフト(590)の大径の駆動シャフト区分(594)と係合するように構成されている。
【0133】
連結体(584)は、トロカール(558)を中空遠位シャフト(562)と連結する。具体的には、連結体(584)は、トロカール連結端部(586)及びシャフト連結端部(588)を含む。トロカール連結端部(586)は、トロカール(558)にしっかりと固定され、一方、シャフト連結端部(588)は、遠位環状凹部(566)を介して中空遠位シャフト(562)に回転可能に取り付けられている。したがって、中空遠位シャフト(562)は、連結体(584)及びトロカール(558)と共に直動し得る一方で、連結体(584)及びトロカール(558)に対して回転し得る。連結体(584)は、固定シャフト(590)が連結体(584)を通って延在し得るように貫通孔を有する。加えて、連結体(584)は、トロカール(558)が、間隙距離dが所望の動作範囲内でないように位置付けられる場合、ロックアウト機構(556)と干渉するように寸法決めされている。
【0134】
近位シャフト部分(572)は、遠位環状凹部(574)と、近位環状凹部(576)と、凹部(574、576)間に延在する中間部分(578)と、を含む。係止体(580)は、付勢ばね(582)を介して近位シャフト部分(572)に向かって付勢されている。係止体(580)は、本体(552)に対して長手方向に固定されているが、近位シャフト部分(572)の凹部(574、576)と選択的に連結するために、本体(552)に対して横断方向に作動し得る。係止体(580)は本体(552)に対して長手方向に固定されているので、係止体(580)が凹部(574、576)内にあるとき、係止体(580)は、本体(552)に対して、近位シャフト部分(572)、並びに連結体(584)及びトロカール(558)の長手方向の位置を維持するのに役立つ。具体的には、係止体(580)が近位環状凹部(576)内にあるとき、トロカール(558)は開放位置に位置する。係止体(580)が遠位環状凹部(574)内にあるとき、トロカール(558)は開放位置に位置する。操作者が、ばね(582)の付勢力を超えるように、近位シャフト部分(572)に十分な長手方向の力を提供することによって、係止体(580)を凹部(574、576)の外に作動させると、係止体(580)は、凹部(574、576)の外へ横断方向に作動するように構成されてもよい。
【0135】
固定シャフト(590)は、本体(552)に取り付けられている。固定シャフト(590)は、小径区分(592)及び大径の駆動シャフト区分(594)を含む。小径区分(592)は、小径区分(592)がローリングリング軸受アセンブリ(568)に直接隣接し、小径区分(592)がローリングリング軸受アセンブリ(568)と係合しないように寸法決めされている。駆動シャフト区分(594)は、駆動シャフト区分(594)がローリングリング軸受アセンブリ(568)の領域内にあるときに、駆動シャフト区分(594)を中心としたローリングリング軸受アセンブリ(568)の回転により、ローリングリング軸受アセンブリ(568)が調節ノブ(570)、近位シャフト部分(572)、中空遠位シャフト(562)、及びローリングリング軸受アセンブリ(568)を長手方向に作動させるように寸法決めされている。調節ノブ(570)、近位シャフト部分(572)、中空遠位シャフト(562)、及びローリングリング軸受アセンブリ(568)の長手方向の作動により、連結体(584)並びにトロカール(558)の長手方向の作動を引き起こす。換言すれば、ローリングリング軸受アセンブリ(568)及び駆動シャフト区分(594)は、ねじ山のないロッド及びローリングリング軸受アセンブリとして機能する。
【0136】
図26Aは、開放位置にあるトロカール(558)に関連する位置にあるトロカール作動アセンブリ(560)を示す。開放位置において、係止体(580)は、トロカール(558)を開放位置に維持するのを助けるために、近位環状凹部(576)と係合されている。この時点で、ロックアウト機構(556)は、連結体(584)によって阻止され、トリガ(554)の発射を防止する。更に、開放位置では、固定シャフト(590)の小径区分(592)は、ローリングリング軸受アセンブリ(568)の領域内にある。したがって、操作者が、図26Aに示す位置で調節ノブ(570)を回転させると、トロカール(558)は、ローリングリング軸受アセンブリ(568)の回転に起因して作動しないこととなる。
【0137】
上記の説明に従って、操作者がトロカール(558)の遠位端をアンビルと好適に連結した後、操作者は、調節ノブ(570)、近位シャフト部分(572)、中空遠位シャフト(562)、及びローリングリング軸受アセンブリ(568)を図26Bに示す位置に直動させるために、調節ノブ(570)を引っ張ることができる。調節ノブ(570)を十分な力で引っ張ることにより、近位シャフト部分(572)の直動が引き起こされて、係止体(580)を近位環状凹部(576)から係合解除させることとなる。係止体(580)は、トロカール(558)を第1の閉鎖位置に維持するよう助けるために、係止体(580)が遠位環状凹部(574)に入るまで近位シャフト部分(572)の中間部分(578)に存在することとなる。この時点で、ロックアウト機構(556)は、依然として連結体(584)によって阻止され、トリガ(554)の発射を防止する。加えて、第1の閉鎖位置では、駆動シャフト区分(594)の遠位部分は、ローリングリング軸受アセンブリ(568)の領域に入り始める。したがって、操作者が調節ノブ(570)をある角度方向に回転させると、ローリングリング軸受アセンブリ(568)は、駆動シャフト区分(594)を把持し、トロカール(558)を近位に作動させ始めることとなる。しかしながら、操作者が調節ノブ(570を反対の角度方向に回転させると、ローリングリング軸受アセンブリ(568)は、駆動シャフト区分(594)を把持しないこととなり、トロカール(558)は静止したままである。
【0138】
図26Cは、調節ノブ(570)が第2の閉鎖位置でトロカール(558)を駆動するように十分に回転した後のトロカール作動アセンブリ(560)を示す。この移動において、連結体(584)は、所望する場合には操作者がトリガ(554)を発射できるように、ロックアウト機構(556)をもはや妨害しない。ロックアウト機構(556)は、第2の閉鎖位置に到達する前に妨害され得ないことを理解されたい。ロックアウト機構(556)は、間隙距離dが所望の動作範囲内にある任意の時点で妨害され得ない。次に、図26Dに示すように、操作者は、本明細書の説明に従って、トリガ(554)を発射して、同時に組織をステープル留め及び切断することができる。
【0139】
図27図28は、上述のトロカール作動アセンブリ(560)に容易に組み込まれ得る代替的な調節ノブアセンブリ(600)を示す。具体的には、環状凹部(574、576)内に付勢された係止体(580)を有する代わりに、調節ノブアセンブリ(600)は、キックスタンド(610)を有して、調節ノブ(606)が第1の閉鎖位置に維持されるのを助ける。調節ノブアセンブリ(600)は、近位体(602)と、一対の近位肩部(604)と、調節ノブ(606)と、直動バー(608)と、枢軸旋回ピン(612)を介して直動バー(608)と枢軸旋回可能に連結されたキックスタンド(610)と、調節ノブ(606)から延在する近位シャフト部分(614)と、を含む。調節ノブ(606)及び近位シャフト部分(614)は、それぞれ、上述の調節ノブ(570)及び近位シャフト部分(572)と実質的に同様であり得る。
【0140】
例示的な使用では、操作者は、第1の閉鎖位置のトロカールに関連する位置までノブ(606)及びシャフト(614)を作動させるために、直動バー(608)を引くことができる。次いで、操作者は、第1の位置にトロカールを維持するのを助けるために、キックスタンド(610)を肩部(604)上へと枢軸旋回させることができる。
【0141】
D.複合ラック及びピニオン機構を有する例示的な二段階式のトロカール作動アセンブリ
図29図32は、上記の器具(10)に容易に組み込まれ得る代替的な例示的アクチュエータハンドルアセンブリ(620)を示す。以下に明示的に記載されていないが、アクチュエータハンドルアセンブリ(620)は、器具(10)について上述した様々な機構及び機能を有していてもよい。したがって、アクチュエータハンドルアセンブリ(620)は、上記のアクチュエータハンドルアセンブリ(70)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有する。
【0142】
アクチュエータハンドルアセンブリ(620)は、本体(622)及びトリガ(624)を含み、これらは、それぞれ、上記の本体(72)及びトリガ(74)と実質的に同様であるが、以下に詳述する相違点を有する。したがって、トリガ(624)は、上記の説明に従って、組織を同時にステープル留め及び切断するために、ドライバアクチュエータ(628)を作動させるように動作可能である。アクチュエータハンドルアセンブリ(620)はまたトロカール作動アセンブリ(630)を含む。以下により詳細に記載されるように、トロカール作動アセンブリ(630)は、開放位置と、第1の閉鎖位置と、第2の閉鎖位置と、の間でトロカール(626)を作動させるように構成されている。トロカール(626)は、上述したトロカール(230)と実質的に同様であり得る。明示的に示されていないが、トロカール(626)は、上述のトロカールアクチュエータ(231)、接続バンド部分(235)、及びトロカール(230)と同様の機構を含んでもよい。
【0143】
トロカール作動アセンブリ(630)は、ピニオンアセンブリ(632)と、ラックアセンブリ(640)と、サイドクランク(645)と、を含む。ピニオンアセンブリ(632)は、方向の歯(635)を有する大きいピニオン(634)と、細かい歯(637)を有する小さいピニオン(636)と、ピン(638)と、を含む。大きいピニオン(634)及び小さいピニオン(636)は、ピン(638)を介して本体(622)と回転可能に連結され、互いに一体的に回転するように構成されている。換言すれば、大きいピニオン(634)及び小さいピニオン(636)は、互いに対して固定されている。サイドクランク(645)は、ピニオンアセンブリ(632)を回転させるように構成されている。ラックアセンブリ(640)は、ラックアセンブリ(640)の直動がトロカール(626)の直動を引き起こすようにトロカール(626)に取り付けられている。ラックアセンブリ(640)は、粗いラック(642)及び細かいラック(644)を含む。粗いラック(642)は、大きいピニオン(634)の粗い歯(635)と噛み合うように構成され、一方で、細かいラック(644)は、小さいピニオン(636)の細かい歯(637)と噛み合うように構成されている。トロカール(626)が開放位置と第1の閉鎖位置との間を移動するとき、粗いラック(642)が大きいピニオン(634)と噛み合い、一方で、トロカール(626)が開放位置と第1の閉鎖位置との間を移動するとき、細かいラック(644)は小さいピニオン(636)と係合解除されている。反対に、トロカール(626)が第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間を移動するとき、細かいラック(644)が小さいピニオン(636)と噛み合い、一方で、トロカール(626)が第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間を移動するとき、粗いラック(642)は大きいピニオン(634)と係合解除されている。したがって、トロカール(626)が開放位置と第1の閉鎖位置との間を移動するとき、サイドクランク(645)の角度変位により、トロカール(626)のより大きい変位が引き起こされ、一方、トロカール(626)が第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間を移動するとき、サイドクランク(645)の同じ角度変位により、トロカール(626)のより小さい変位が引き起こされる。サイドクランク(645)を使用して、ピニオンアセンブリ(632)を回転させたが、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、任意の他の好適に入力される機構が使用されてもよい。例えば、回転モータが使用されてもよい。
【0144】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの特許請求の範囲の適用範囲をも限定することを目的としたものではない。一切の否定要素を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0145】
装置であって、(a)本体を含むハンドルアセンブリと、(b)本体から遠位に延在する外側管状部材を含むシャフトアセンブリと、(c)エンドエフェクタであって、(i)外側管状部材に対して固定されたステープルデッキと、(ii)ステープルドライバであって、ステープルドライバは、未発射位置と発射済位置との間でステープルデッキに対して作動するように動作可能である、ステープルドライバと、(iii)ステープルデッキ及びステープルドライバに対して作動するように構成されたトロカールと、を含む、エンドエフェクタと、(d)トロカールと選択的に連結するように構成されたアンビルであって、アンビルがトロカールと選択的に連結されると、トロカールは、ステープルデッキに対してアンビルを作動させるように動作可能である、アンビルと、(e)トロカールを遠位位置と第1の閉鎖位置との間で駆動するために、本体に対して第1の動きで作動するように構成された第1のトロカール閉鎖アセンブリと、(f)トロカールを第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間で駆動するために、本体に対して第2の動きで作動するように構成された第2のトロカール閉鎖アセンブリであって、第2の閉鎖位置は、第1の閉鎖位置及び遠位位置の両方に対して近位であり、ステープルドライバは、少なくとも第1のトロカール閉鎖アセンブリがトロカールを第1の閉鎖位置まで作動させるまで、動作不能なままであるように構成されている、第2のトロカール閉鎖アセンブリと、を備える、装置。
【実施例2】
【0146】
第2のトロカール作動アセンブリは、トロカールが第1の閉鎖位置に到達するまで、トロカール内で係合解除されたままであるように構成されている、実施例1に記載の装置。
【実施例3】
【0147】
第2のトロカール作動アセンブリは、第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間に位置する複数の位置の間でトロカールを作動させるように構成されている、実施例1又は2のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例4】
【0148】
第1のトロカール閉鎖アセンブリは、トロカールを第1の移動速度で作動させるように構成され、第2のトロカール閉鎖アセンブリは、トロカールを第2の移動速度で作動させるように構成され、第1の移動速度は、第2の移動速度よりも大きい、実施例1~3のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例5】
【0149】
トロカールは、本体内に摺動可能に収容された近位フレームを含む、実施例1~4のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例6】
【0150】
近位フレームは、ピンとスロットとの関係によって本体内に摺動可能に収容されている、実施例5に記載の装置。
【実施例7】
【0151】
第1のトロカール閉鎖アセンブリは、本体と枢軸旋回可能に連結されたハンドルを含む、実施例5に記載の装置。
【実施例8】
【0152】
ハンドルはまた近位フレームと連結されている、実施例7に記載の装置。
【実施例9】
【0153】
ハンドルはスロットを画定し、近位フレームは突出部を含み、突出部は、スロット内に摺動可能に収容されている、実施例8に記載の装置。
【実施例10】
【0154】
第1の閉鎖アセンブリは連結リンクを更に含み、連結リンクは、ハンドル及び近位フレームの両方に連結されている、実施例7に記載の装置。
【実施例11】
【0155】
ハンドルはスロットを画定し、連結リンクはピンを含み、ピンは、スロット内に摺動可能に収容されている、実施例10に記載の装置。
【実施例12】
【0156】
第2のトロカール閉鎖アセンブリは、本体に回転可能に配設された調節ノブを含む、実施例5に記載の装置。
【実施例13】
【0157】
第2のトロカール閉鎖アセンブリは、調節ノブから本体内に延在するねじ付きシャフトを含む、実施例12に記載の装置。
【実施例14】
【0158】
近位フレームは連結チャネルを画定し、ねじ付きシャフトは、トロカールが第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間にあるときに、連結チャネルと係合するように構成されている、実施例13に記載の装置。
【実施例15】
【0159】
トロカールは第1の閉鎖位置に向かって付勢されている、実施例5に記載の装置。
【実施例16】
【0160】
装置であって、(a)本体を含むハンドルアセンブリと、(b)本体から遠位に延在する外側管状部材を含むシャフトアセンブリと、(c)エンドエフェクタであって、(i)外側管状部材に対して固定されたステープルデッキと、(ii)ステープルドライバであって、ステープルドライバは、未発射位置と発射済位置との間でステープルデッキに対して作動するように動作可能である、ステープルドライバと、(iii)ステープルデッキ及びステープルドライバに対して作動するように構成されたトロカールと、を含む、エンドエフェクタと、(d)トロカールと選択的に連結するように構成されたアンビルであって、アンビルがトロカールと選択的に連結されると、トロカールは、ステープルデッキに対してアンビルを作動させるように動作可能である、アンビルと、(e)第1の作動体を含む第1のトロカール閉鎖アセンブリであって、第1の作動体は、遠位位置と第1の閉鎖位置との間でトロカールを作動させるように構成されている、第1のトロカール閉鎖アセンブリと、(f)第2の作動体を含む第2のトロカール閉鎖アセンブリであって、第2の作動体は、第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間でトロカールを作動させるように構成され、トロカールが遠位位置と第1の閉鎖位置との間にある間に、第2の作動体は、トロカールを係合解除するように構成されている、第2のトロカール閉鎖アセンブリと、を備える、装置。
【実施例17】
【0161】
第1の作動体は、本体に対して直動するように構成されている、実施例16に記載の装置。
【実施例18】
【0162】
第2の作動体は、トロカールが固定されている、実施例17に記載の装置。
【実施例19】
【0163】
第1の作動体は、本体に対して枢軸旋回するように構成されている、実施例16~18のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例20】
【0164】
装置であって、(a)本体を含むハンドルアセンブリと、(b)本体から遠位に延在する外側管状部材を含むシャフトアセンブリと、(c)エンドエフェクタであって、(i)外側管状部材に対して固定されたステープルデッキと、(ii)ステープルドライバであって、ステープルドライバは、未発射位置と発射済位置との間でステープルデッキに対して作動するように動作可能である、ステープルドライバと、(iii)ステープルデッキ及びステープルドライバに対して作動するように構成されたトロカールと、を含む、エンドエフェクタと、(d)トロカールと選択的に連結するように構成されたアンビルであって、アンビルがトロカールと選択的に連結されると、トロカールは、ステープルデッキに対してアンビルを作動させるように動作可能である、アンビルと、(e)調節体を含むトロカール閉鎖システムであって、トロカール閉鎖システムは、遠位位置と、第1の閉鎖位置と、第2の閉鎖位置と、の間でトロカールを作動させるように構成され、調節体は、遠位位置と第1の閉鎖位置との間でトロカールを駆動するように、第1の動きで作動するように構成され、調節体は、第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間でトロカールを駆動するように、第2の動きで作動するように構成されている、トロカール閉鎖システムと、を備える、装置。
【0165】
IV.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わされてもよい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示を考慮することで、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0166】
更に、本明細書に記載された教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人参照番号END8627USNP]号、発明の名称「Latch to Prevent Back-Driving of Circular Surgical Stapler」、及び本願と同日に出願された米国特許出願第[代理人参照番号END8629USNP]号、発明の名称「Dual Lever to Reduce Force to Fire in Circular Surgical Stapler」に記載された教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせてもよい。これらの出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0167】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるいかなる特許、公報、又はその他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0168】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手術における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置及び手術における用途をも有することができる。単に一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。
【0169】
上述の変形形態は、1回の使用後に廃棄するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置の一部の変更例は、再調整用の施設で、又は処置の直前にオペレータによって、その後の使用のために再組み立てされてもよい。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本発明の範囲内にある。
【0170】
単に一例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0171】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0172】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)本体を含むハンドルアセンブリと、
(b)前記本体から遠位に延在する外側管状部材を含むシャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記外側管状部材に対して固定されたステープルデッキと、
(ii)ステープルドライバであって、前記ステープルドライバは、未発射位置と発射済位置との間で前記ステープルデッキに対して作動するように動作可能である、ステープルドライバと、
(iii)前記ステープルデッキ及び前記ステープルドライバに対して作動するように構成されたトロカールと、を含む、エンドエフェクタと、
(d)前記トロカールと選択的に連結するように構成されたアンビルであって、前記アンビルが前記トロカールと選択的に連結されると、前記トロカールは、前記ステープルデッキに対して前記アンビルを作動させるように動作可能である、アンビルと、
(e)前記トロカールを遠位位置と第1の閉鎖位置との間で駆動するために、前記本体に対して第1の動きで作動するように構成された第1のトロカール閉鎖アセンブリと、
(f)前記トロカールを前記第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間で駆動するために、前記本体に対して第2の動きで作動するように構成された第2のトロカール閉鎖アセンブリであって、前記第2の閉鎖位置は、前記第1の閉鎖位置及び前記遠位位置の両方に対して近位であり、前記ステープルドライバは、少なくとも前記第1のトロカール閉鎖アセンブリが前記トロカールを前記第1の閉鎖位置まで作動させるまで動作不能なままであるように構成されている、第2のトロカール閉鎖アセンブリと、を備える、装置。
(2) 前記第2のトロカール作動アセンブリは、前記トロカールが前記第1の閉鎖位置に到達するまで、前記トロカール内で係合解除されたままであるように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記第2のトロカール作動アセンブリは、前記第1の閉鎖位置と前記第2の閉鎖位置との間に位置する複数の位置の間で前記トロカールを作動させるように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記第1のトロカール閉鎖アセンブリは、前記トロカールを第1の移動速度で作動させるように構成され、前記第2のトロカール閉鎖アセンブリは、前記トロカールを第2の移動速度で作動させるように構成され、前記第1の移動速度は、前記第2の移動速度よりも大きい、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記トロカールは、前記本体内に摺動可能に収容された近位フレームを含む、実施態様1に記載の装置。
【0173】
(6) 前記近位フレームは、ピンとスロットとの関係によって前記本体内に摺動可能に収容されている、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記第1のトロカール閉鎖アセンブリは、前記本体と枢軸旋回可能に連結されたハンドルを含む、実施態様5に記載の装置。
(8) 前記ハンドルはまた前記近位フレームと連結されている、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記ハンドルはスロットを画定し、前記近位フレームは突出部を含み、前記突出部は、前記スロット内に摺動可能に収容されている、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記第1の閉鎖アセンブリは連結リンクを更に含み、前記連結リンクは、前記ハンドル及び前記近位フレームの両方に連結されている、実施態様7に記載の装置。
【0174】
(11) 前記ハンドルはスロットを画定し、前記連結リンクはピンを含み、前記ピンは、前記スロット内に摺動可能に収容されている、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記第2のトロカール閉鎖アセンブリは、前記本体に回転可能に配設された調節ノブを含む、実施態様5に記載の装置。
(13) 前記第2のトロカール閉鎖アセンブリは、前記調節ノブから前記本体内に延在するねじ付きシャフトを含む、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記近位フレームは連結チャネルを画定し、前記ねじ付きシャフトは、前記トロカールが前記第1の閉鎖位置と前記第2の閉鎖位置との間にあるときに、前記連結チャネルと係合するように構成されている、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記トロカールは前記第1の閉鎖位置に向かって付勢されている、実施態様5に記載の装置。
【0175】
(16) 装置であって、
(a)本体を含むハンドルアセンブリと、
(b)前記本体から遠位に延在する外側管状部材を含むシャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記外側管状部材に対して固定されたステープルデッキと、
(ii)ステープルドライバであって、前記ステープルドライバは、未発射位置と発射済位置との間で前記ステープルデッキに対して作動するように動作可能である、ステープルドライバと、
(iii)前記ステープルデッキ及び前記ステープルドライバに対して作動するように構成されたトロカールと、を含む、エンドエフェクタと、
(d)前記トロカールと選択的に連結するように構成されたアンビルであって、前記アンビルが前記トロカールと選択的に連結されると、前記トロカールは、前記ステープルデッキに対して前記アンビルを作動させるように動作可能である、アンビルと、
(e)第1の作動体を含む第1のトロカール閉鎖アセンブリであって、前記第1の作動体は、遠位位置と第1の閉鎖位置との間で前記トロカールを作動させるように構成されている、第1のトロカール閉鎖アセンブリと、
(f)第2の作動体を含む第2のトロカール閉鎖アセンブリであって、前記第2の作動体は、前記第1の閉鎖位置と第2の閉鎖位置との間で前記トロカールを作動させるように構成され、前記トロカールが前記遠位位置と前記第1の閉鎖位置との間にある間に、前記第2の作動体は、前記トロカールを係合解除するように構成されている、第2のトロカール閉鎖アセンブリと、を備える、装置。
(17) 前記第1の作動体は、前記本体に対して直動するように構成されている、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記第2の作動体は、前記トロカールが固定されている、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記第1の作動体は、前記本体に対して枢軸旋回するように構成されている、実施態様16に記載の装置。
(20) 装置であって、
(a)本体を含むハンドルアセンブリと、
(b)前記本体から遠位に延在する外側管状部材を含むシャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記外側管状部材に対して固定されたステープルデッキと、
(ii)ステープルドライバであって、前記ステープルドライバは、未発射位置と発射済位置との間で前記ステープルデッキに対して作動するように動作可能である、ステープルドライバと、
(iii)前記ステープルデッキ及び前記ステープルドライバに対して作動するように構成されたトロカールと、を含む、エンドエフェクタと、
(d)前記トロカールと選択的に連結するように構成されたアンビルであって、前記アンビルが前記トロカールと選択的に連結されると、前記トロカールは、前記ステープルデッキに対して前記アンビルを作動させるように動作可能である、アンビルと、
(e)調節体を含むトロカール閉鎖システムであって、前記トロカール閉鎖システムは、遠位位置と、第1の閉鎖位置と、第2の閉鎖位置と、の間で前記トロカールを作動させるように構成され、前記調節体は、前記遠位位置と前記第1の閉鎖位置との間で前記トロカールを駆動するように、第1の動きで作動するように構成され、前記調節体は、前記第1の閉鎖位置と前記第2の閉鎖位置との間で前記トロカールを駆動するように、第2の動きで作動するように構成されている、トロカール閉鎖システムと、を備える、装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図18C
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図24F
図25A
図25B
図26A
図26B
図26C
図26D
図27
図28
図29
図30
図31A
図31B
図31C
図32