(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】リニアモータ磁石アセンブリ及びラウドスピーカユニット
(51)【国際特許分類】
H04R 9/02 20060101AFI20240708BHJP
H01F 7/02 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
H04R9/02 102A
H01F7/02 Z
(21)【出願番号】P 2021559885
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2019069355
(87)【国際公開番号】W WO2020207608
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-07-14
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519100170
【氏名又は名称】ソノス・マイティ・ホールディングス・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Sonos Mighty Holdings BV
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】シーク, ティモシー ルーベン
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-308174(JP,A)
【文献】実開平06-054397(JP,U)
【文献】特開2009-033382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/00- 7/02
H04R 1/20- 1/40
H04R 9/00
H04R 9/02- 9/10
H04R 9/18
H04R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラウドスピーカユニットで使用するためのリニアモータ磁石アセンブリ(2)であって、
直線運動軸線(A)に沿って軸線方向に移動するように構成されたボイスコイル(5)と、
前記直線運動軸線(A)に沿って整列され、それぞれが第1及び第2の磁場を有する第1及び第2の磁気素子(7、7*)と、
前記ボイスコイル(5)に固定して接続され、第3の磁場を有する第3の磁気素子(8)であって、前記ボイスコイル(5)が
、第1及び第2の磁場と相互作用するコイル磁場を生成して、前記ボイスコイル(5)が前記第1及び第2の磁気素子(7、7’)の周りで前記直線運動軸線(A)に沿って移動するときに、前記第1及び第2の磁気素子(7、7’)と少なくとも部分的に重なり合うように構成されている第3の磁気素子(8)と
を備え、
前記ボイスコイル(5)は、当該リニアモータ磁石アセンブリが作動されるときに前記直線運動軸線(A)に沿って移動するように構成されており、
前記ボイスコイルの移動が、前記第1及び第2の磁場
と前記第3の磁場との相互作用に基づいて増幅される、
リニアモータ磁石アセンブリ(2)。
【請求項2】
前記第3の磁気素子(8)が、前記ボイスコイル(5)から前記直線運動軸線(A)に沿って第1の距離に配置されている、請求項1に記載のリニアモータ磁石アセンブリ(2)。
【請求項3】
前記第1及び第2の磁場が、当該リニアモータ磁石アセンブリ(2)の第1の予め定められた運動範囲(E1)にわたって重なり合い、
前記第1及び第2の磁場が、当該リニアモータ磁石アセンブリ(2)の第2の予め定められた運動範囲(E2)にわたって部分的にのみ重なり合う、請求項1又は2に記載のリニアモータ磁石アセンブリ(2)。
【請求項4】
前記第1の磁気素子(7)が、当該リニアモータ磁石アセンブリ(2)の固定基部アクチュエータ構成要素(4)に固定して接続されている、請求項1又は2に記載のリニアモータ磁石アセンブリ(2)。
【請求項5】
前記ボイスコイル(5)及び前記固定基部アクチュエータ構成要素(4)に接続された支持アセンブリ(6)をさらに備え、
前記支持アセンブリ(6)が、前記ボイスコイル(5)と前記固定基部アクチュエータ構成要素(4)との間の、前記直線運動軸線(A)に沿った相互運動を可能にし、前記直線運動軸線(A)に沿った前記ボイスコイル(5)の静止位置を画定するように配置構成されている、請求項4に記載のリニアモータ磁石アセンブリ(2)。
【請求項6】
前記第3の磁気素子(8)が、永久磁性材料と電磁石のうちの少なくとも1つからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のリニアモータ磁石アセンブリ(2)。
【請求項7】
前記第1の磁気素子(7)が、永久磁性材料と電磁石のうちの少なくとも1つからなる、請求項1~6のいずれか一項に記載のリニアモータ磁石アセンブリ(2)。
【請求項8】
前記第1の磁気素子(7)が、前記固定基部アクチュエータ構成要素(4)と一体的に形成されている、請求項4又は先行する請求項のいずれかと組み合わされた請求項4に記載のリニアモータ磁石アセンブリ(2)。
【請求項9】
前記第1の磁気素子(7)が、円筒状の軸線方向に磁化された永久磁石である、請求項1~8のいずれか1項に記載のリニアモータ磁石アセンブリ(2)。
【請求項10】
前記第3の磁気素子(8)が、前記第1の磁気素子(7)の最大断面直径よりも大きい中心開口を有する、軸線方向に整列された磁極(8a、8b)を有するリング状である、請求項9に記載のリニアモータ磁石アセンブリ(2)。
【請求項11】
前記第1の磁気素子(7)が、当該リニアモータ磁石アセンブリ(2)の
運動範囲にわたって予め定められた第1の補助空間磁場プロファイルを提供するように構成された予め定められた形状を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のリニアモータ磁石アセンブリ(2)。
【請求項12】
前記予め定められた形状が、前記第1の磁気素子(7)の中間部で最大直径を有する二重円錐形状である、請求項11に記載のリニアモータ磁石アセンブリ(2)。
【請求項13】
前記第1の磁気素子(7)が、前記直線運動軸線(A)に沿って互いに予め定められた距離にある2つの磁性体(7’)を備え、前記第3の磁気素子(8)が、前記2つの磁性体(7’)の間に配置された軸線方向に磁化された磁性体(8’)を備える、請求項1~12のいずれか1項に記載のリニアモータ磁石アセンブリ(2)。
【請求項14】
膜(3)と、請求項1~13のいずれか1項に記載のリニアモータ磁石アセンブリ(2)とを備えるラウドスピーカユニット(1)であって、前記ボイスコイル(5)及び前記第3の磁気素子(8)が、前記膜(3)に固定して接続されている、ラウドスピーカユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラウドスピーカユニットにおいて使用するためのリニアモータ磁石アセンブリに関し、リニアモータ磁石アセンブリは、固定基部アクチュエータ構成要素(fixed base actuator component)と膜作動素子(membrane actuating element)とを備え、膜作動素子は直線運動軸線を有する。
【背景技術】
【0002】
そのようなリニアモータ磁石アセンブリは、例えば、膜と、膜を駆動する複数の駆動ユニットとを有するラウドスピーカユニットを開示する国際公開第2018/056814号から知られている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、リニアモータアクチュエータシステムの性能を向上させることができるラウドスピーカユニットで使用するためのリニアモータ磁石アセンブリを提供しようとするものである。
【0004】
本発明によれば、固定基部アクチュエータ構成要素及び膜作動素子を有する、上で定義したようなリニアモータ磁石アセンブリが提供され、膜作動素子は直線運動軸線を有する。第1の補助磁気素子及び第2の補助磁気素子が存在し、第1の補助磁気素子は、リニアモータ磁石アセンブリの直線運動軸線と整列された主軸線を有する第1の補助空間磁場を提供する。第2の補助磁気素子は、リニアモータ磁石アセンブリの膜作動素子に固定して接続され、第2の補助空間磁場を有し、第2の補助空間磁場は、第1の補助空間磁場と重なり合い、リニアモータ磁石アセンブリの第1の予め定められた運動範囲にわたる第1の補助空間磁場と実質的に同様に配向される。
【0005】
第1の補助磁気素子及び第2の補助磁気素子は、リニアモータ磁石アセンブリが移動すると、第1の補助磁気素子及び第2の補助磁気素子によって生成された合成力がモータの移動を増幅するように配置される。したがって、本発明は、リニアモータの運動範囲にわたるスチフネスを低下させることによって、エネルギー効率が高く改善された直線運動システムを提供する。この改善は、完全な運動を行うためにリニアモータシステムが必要とする電力を効果的に減少させる。さらなる実施形態は、従属請求項によって、図面に示す例示的な実施形態を参照して説明する。
【0006】
本発明は、添付の図面を参照して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本発明の第1の実施形態のリニアモータ磁石アセンブリによる、2つの動作状況における永久磁石補助構造体の一例を示す図である。
【
図1B】本発明の第1の実施形態のリニアモータ磁石アセンブリによる、2つの動作状況における永久磁石補助構造体の一例を示す図である。
【
図2A】さらなる実施形態による2つのリニアモータ磁石アセンブリによってそれぞれ駆動される、2つの対向する膜を有するラウドスピーカユニットの断面図である。
【
図2B】さらなる実施形態による2つのリニアモータ磁石アセンブリによってそれぞれ駆動される、2つの対向する膜を有するラウドスピーカユニットの斜視図である。
【
図3】本発明のさらなる実施形態によるリニアモータ磁石アセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、リニアモータアクチュエータによって生成される運動を支援して増幅するためにそれらの磁場を使用する永久磁石の組み合わせと、リニアモータと永久磁石補助装置との組み合わせを使用することによってラウドスピーカ装置全体のスチフネスにおける非直線性に対抗する特徴の応用形態とを備える、(本明細書ではアクチュエータ増幅装置又は永久磁石補助装置という用語でも示す)リニアモータ磁石アセンブリに関する。
【0009】
本発明は、国際公開第2018/056814号と、同じ出願人からの未公開出願、PCT/NL2018/050263、PCT/EP2018/079509、PCT/EP2019/055831、及びEP19162460.0とに説明して開示している例のような、様々なタイプのラウドスピーカユニット1に適用することができることに留意されたい。リニアモータ磁石アセンブリ2は、本明細書で説明する例示的な実施形態のいずれかに従って実装することができる。
【0010】
電気力学的トランスデューサは、概して、リニアモータ、膜、及びリニアモータの支持を有する。中周波応答及び低周波応答のためのトランスデューサは、通常、エンクロージャの中に取り付けられる。トランスデューサを(例えば、密閉型又はバスレフ型であってもよい)エンクロージャに取り付けると、リニアモータによって打ち勝つ必要がある支持の総スチフネスが増加する。密閉型又はバスレフ型のエンクロージャの中で低周波数応答(10Hz~200Hz)を提供することができる電気力学的トランスデューサシステムは、通常、トランスデューサ自体の支持から、並びにエンクロージャの中の空気圧縮から生じるスチフネスを有する。膜が空気を圧縮する必要がある場合、空気圧縮に誘起されたスチフネスは増加し、必要な圧縮が高いほど、スチフネスはより高くなる。空気に誘起されたスチフネスが増加すると、空気に誘起されたスチフネスによって引き起こされる支持の望ましくない変形を防止するために、トランスデューサ自体の支持スチフネスも増加させる必要がある。結果として、リニアモータアクチュエータは、所望の空気圧縮を生成するために増加した電力入力を必要とする。理想的には、密閉型又はバスレフ型のエンクロージャの中に配置されたときのスチフネスの非直線性によって引き起こされる歪みが最も小さい電気力学的トランスデューサを作成するためには、エンクロージャから生じる効果によって、引き起こされ、又は必要とされる可能な限り低いスチフネス増加を達成しようとする。トランスデューサは、理想的には、自由空気中にあるかのように動作する。
【0011】
本発明は、様々な実施形態では、少なくとも2つの永久磁石の組み合わせを使用して、リニアモータアクチュエータシステムの性能を改善する装置を提供し、この提供は、リニアモータの完全な運動範囲にわたってスチフネスを低下させ、運動範囲にわたって移動するためにリニアモータシステムによって必要とされる電力を効果的に低下させることによって、行われる。
【0012】
図1A及び
図1Bは、2つの動作状況におけるリニアモータ磁石アセンブリ2又は永久磁石補助構造体の一部の例を示す。この例示的な実施形態は、軸線方向に磁化された磁石を備え、第2の補助磁気素子8は、円筒形磁石である第1の補助磁気素子7の周りを移動するリング状磁石である。
【0013】
本発明は、リニアモータの運動を行うためにリニアモータシステムが必要とする電力をより少なくする、ラウドスピーカユニットで使用するための改良されたリニアモータ磁石アセンブリを提供する。したがって、本発明は、費用効果が高く、さらにシステムの構造的変更をあまり必要としない、電力効率の良いシステムを提供する。
【0014】
図2Aは、本発明のラウドスピーカユニット1の例示的な実施形態であって、2つの対向する膜3を有し、膜3の各々が2つのリニアモータ磁石アセンブリ2によって駆動され、本発明の実施形態が実装されている、例示的な実施形態の断面図を示し、
図2Bは、その斜視図を示す。
【0015】
リニアモータ磁石アセンブリ2は、例えば、ラウドスピーカユニット1で使用するために適用される。リニアモータ磁石アセンブリ2は、固定基部アクチュエータ構成要素4と、膜作動素子5とを備える。固定基部アクチュエータ構成要素4は、リニアモータ磁石アセンブリ2の一部である、2つの軸線方向に整列された磁気素子7及び7*を機械的に接続する。固定基部アクチュエータ構成要素4の材料は非磁性材料であり、2つの軸線方向に整列された磁気素子7、7*と膜作動素子5との間の連携のための適切な磁場分布を確実にする。膜作動素子5は移動可能であり、直線運動軸線A、すなわち膜3が上下に移動する方向を有する。作動時に、膜作動素子5は、膜3に接続されたリニアモータ磁石アセンブリ2を移動させる。したがって、膜3は、作動方向に応じて上下に移動する。対向する2つの膜3は、予め定められた距離だけ分離されている。リニアモータ磁石アセンブリ2は、第1の補助磁気素子7(2つの軸線方向に整列された磁気素子7、7*のうちの1つ)及び第2の補助磁気素子8をさらに備える。第1の補助磁気素子7は、リニアモータ磁石アセンブリ2の直線運動軸線Aと整列された主軸線を有する第1の補助空間磁場を提供する。第2の補助磁気素子8は、リニアモータ磁石アセンブリ2の膜作動素子5に固定して接続され、第2の補助空間磁場を有する。第2の補助磁場は、第1の補助空間磁場と重なり合い、リニアモータ磁石アセンブリ2の第1の予め定められた運動範囲E1にわたって第1の補助空間磁場と実質的に同様に配向される。
【0016】
ラウドスピーカユニット1の本発明の実施形態は、ラウドスピーカユニット1の上面及び下面に配置された2つの対向する膜3を有する。ラウドスピーカユニット1は、
図2A及び
図2Bでは長方形のユニットとして示しているが、この形状寸法に限定されるわけではない。膜3の各々の基部素子は、膜3の対角端部の2つで2つのリニアモータ磁石アセンブリ2に構造的に接続されている。
図2Bに示すように、下部膜3の基部素子は、膜の下側対角端部の両方に配置された2つの異なるリニアモータ磁石アセンブリ2によって構造的に接続されている。同様に、上部膜3の基部素子は、膜の上側対角端部の両方に配置された2つの異なるリニアモータ磁石アセンブリ2によって構造的に接続されている。この特徴の組み合わせの効果は、第1の予め定められた運動範囲における運動方向の磁力の増加(又はスチフネスの低下)であり、すなわち、第1の補助磁気素子及び第2の補助磁気素子は、ラウドスピーカユニット1における支持力及び空気圧縮力に打ち勝つのを助ける。第2の補助磁気素子8は、例えば
図2Aの断面図に示すようなホルダ本体を使用して、膜作動素子5に取り付けられることに留意されたい。固定された接続は、必ずしもこれら2つの素子の互いに対する直接的な物理的取り付けを意味しないことに留意されたい。
【0017】
さらなる実施形態では、第2の補助磁気素子8は、膜作動素子5から直線運動軸線Aに沿って第1の距離に配置される。
図1Aは、第2の補助磁気素子8が直線運動軸線Aに沿って第1の補助磁気素子7の中心に配置される動作状況を示す。さらに、
図1Bは、第2の補助磁気素子8が直線運動軸線Aに沿って第1の補助磁気素子7の中心から離れて配置される動作状況を示す。
【0018】
本発明のさらなる実施形態は、リニアモータ磁石アセンブリ2に関し、第2の補助空間磁場及び第1の補助空間磁場は、リニアモータ磁石アセンブリ2の第2の予め定められた運動範囲E2にわたって部分的にのみ重なり合う。この特徴により、第2の予め定められた運動範囲E2における運動方向の力が小さくなる。
図1A及び
図1Bの例示的な実施形態では、第1の補助磁気素子7は、軸線Aに沿って有限の寸法を有し、第2の予め定められた運動範囲E2は、第1の予め定められた運動範囲E1を超えて延びる。
【0019】
本発明のさらに別のさらなる実施形態によれば、リニアモータ磁石アセンブリ2が提供され、第1の補助磁気素子7は、リニアモータ磁石アセンブリ2の固定基部アクチュエータ構成要素4に固定して接続される。固定された接続は、必ずしもこれら2つの素子の互いに直接取り付け又は構造的接続を意味するものではない。これは、例えば、単純な磁気接続又は浮上による磁気接続であり得る。
【0020】
本発明のさらに別のさらなる実施形態は、膜作動素子5及び固定基部アクチュエータ構成要素4に接続された支持アセンブリ6を備えるリニアモータ磁石アセンブリ2に関し、支持アセンブリ6は、直線運動軸線Aに沿った膜作動素子5と固定基部アクチュエータ構成要素4との間の相互運動を可能にし、直線運動軸線Aに沿った膜作動素子5(及び、膜作動素子5に固定して接続された第2の補助磁気素子8)の静止位置を画定するように配置される。
【0021】
本発明は、様々な実施形態では、ラウドスピーカユニットで使用するためのリニアモータ磁石アセンブリをさらに提供しようとするものであり、その目的は、少なくとも2つの永久磁石の組み合わせを使用して、リニアモータの完全な運動範囲にわたってスチフネスを低下させ、完全な運動範囲を形成するためにリニアモータシステムによって必要とされる電力を効果的に低下させることによって、リニアモータアクチュエータシステムの性能を改善するためである。本発明の実施形態はまた、リニアモータアクチュエータによって生成される運動を支援して増幅するためにそれらの磁場を使用する永久磁石の組み合わせと、リニアモータと永久磁石補助装置との組み合わせを使用することによって完全なシステムのスチフネスにおける非直線性に対抗する特徴の応用形態とを備える、リニアモータアクチュエータ増幅装置(又は永久磁石補助装置)に関する。
【0022】
一実施形態によれば、本発明は、第2の補助磁気素子8が永久磁性材料を含むリニアモータ磁石アセンブリ2に関する。本発明の別の実施形態は、第2の補助磁気素子8が電磁石を備えるリニアモータ磁石アセンブリ2に関する。そのようなシステムでは、第2の補助磁気素子8は、例えば特定の期間の間に電気的に磁化される。同様に、本発明のさらなる実施形態は、第1の補助磁気素子7が永久磁性材料を含むリニアモータ磁石アセンブリ2に関する。本発明のさらに別のさらなる実施形態は、第1の補助磁気素子7が電磁石を備えるリニアモータ磁石アセンブリ2に関する。
【0023】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、リニアモータ磁石アセンブリ2又はモータ補助装置が提供され、補助ユニットは、少なくとも2つの永久磁石7、8を備える。1つの磁石が、リニアモータアクチュエータシステムの可動部に取り付けられる。少なくとも2つの磁石7、8の他方は、同じ前述のリニアモータアクチュエータシステムの静的部分に取り付けられている。磁石7、8は、リニアモータアクチュエータが移動すると、組み合わされた移動する磁石及び静止磁石7、8の補助磁場によって生成される力がモータの移動を増幅するように配置される。永久磁石補助装置の構造は、リニアモータシステムのスチフネスに対抗する永久磁石システムの運動範囲にわたる合力、及び反力における変動を決定する。本発明の構造及び相互素子配向は、よりエネルギー効率の良い直線運動システムを提供することを可能にする。
【0024】
例示的な実施形態は、リニアモータアクチュエータシステムと組み合わせて使用することができる永久磁石構造体に関し、永久磁石構造体は、少なくとも2つの永久磁石を備え、少なくとも2つの永久磁石のうちの1つが、リニアモータアクチュエータシステムの可動部に取り付けられ、少なくとも1つの永久磁石が、リニアモータアクチュエータシステムの静止部に取り付けられ、永久磁石は、永久磁石システムの永久磁石の合成された磁場が、リニアモータアクチュエータシステムの運動範囲にわたるスチフネスの増加に対抗するように配置される。
【0025】
さらなる実施形態では、永久磁石構造体及びリニアモータアクチュエータシステムは、リニアモータアクチュエータの可動部を静的な静止位置に戻す支持と組み合わせて設けられる。支持は、支持装置の機械的スチフネスによって引き起こされ、又は空気圧力若しくは流体圧力によって引き起こされるスチフネスによって引き起こされる。
【0026】
本発明はまた、ラウドスピーカユニットに適用される永久磁石構造体及びリニアモータアクチュエータシステムに関し、永久磁石はラウドスピーカユニットの膜上にあり、静止磁石は膜の上方及び下方に配置される。
【0027】
本発明のさらなる実施形態は、リニアモータ磁石アセンブリ2に関し、第1の補助磁気素子7は、固定基部アクチュエータ構成要素4と一体的に形成される。この形態は、リニアモータ磁石アセンブリが1つのより少ない構造素子(共有構成要素)を有するという利点を有し、その結果、コストがより低くなり、製造がより容易になる。第1の補助磁気素子7は、永久磁性材料又は電磁石材料のいずれかを含む。
【0028】
本発明の例示的な実施形態は、リニアモータ磁石アセンブリ2に関し、第1の補助磁気素子7は、(
図1A及び
図1Bに示す例示的な実施形態に示すように、その外側端部に対向する磁極7a、7bが存在する)円筒(又は棒)状の軸線方向に磁化された永久磁石である。本発明のさらなる実施形態は、リニアモータ磁石アセンブリ2に関し、第2の補助磁気素子8が、第1の補助磁気素子7の最大断面直径よりも大きい中心開口を有する、軸線方向に整列された磁極8a、8bを有するリング状である。この形状寸法により、第1の補助磁気素子7を第2の補助磁気素子8内の異なる動作位置に配置することが可能である。
【0029】
本発明のさらなる実施形態は、リニアモータ磁石アセンブリ2に関し、第1の補助磁気素子7は、予め定められた形状を有し、リニアモータ磁石アセンブリ2の運動範囲にわたって予め定められた第1の補助空間磁場プロファイルを提供する。本発明のさらに別のさらなる実施形態は、リニアモータ磁石アセンブリ2に関し、予め定められた形状は、第1の補助磁気素子7の中間部で最大直径を有する二重(例えば、円錐台)円錐形状である。この形状は、磁石のうちの1つを円錐状磁石として有することによって実装することができ、その形状は、運動にわたって様々な強度の磁場を生成する。このような磁場により、磁界の強さの変化を考慮して、第1の補助磁気素子7に対する第2の補助磁気素子8の相対的な移動をより効率的に制御することができる。
【0030】
図3は、本発明のさらなる実施形態によるリニアモータ磁石アセンブリであって、互いに対向して第1の補助磁気素子を形成する2つの磁性体7’を備え、間に配置された第2の補助磁気素子を形成する磁性体8’を有する、リニアモータ磁石アセンブリの断面図を示す。2つの磁性体は、同様のタイプの磁化を有することができ、例えば、両方が永久磁石であってもよく、又は両方が電磁石であってもよい。あるいは、2つの磁性体7’は異なる方法で磁化することができ、例えば、それらの一方は永久磁石であってもよく、他方は電磁石であってもよい。
【0031】
第1の補助磁気素子及び第2の補助磁気素子の、寸法及び形状は、異なっていてもよい。例えば、第1の補助磁気素子は、平ら又はディスク状であってもよい。第2の補助磁気素子は、ディスク又はリング状であってもよい。さらに、第1の補助磁気素子のサイズと第2の補助磁気素子のサイズとが異なっていてもよい。前述のように、本発明のさらなる実施形態は、リニアモータ磁石アセンブリ2に関し、第1の補助磁気素子7は、直線運動軸線Aに沿って互いに予め定められた距離にある2つの(例えば、永久的)(例えば、平ら又はディスク状の)磁性体7を備え、第2の補助磁気素子8は、2つの磁性体7’の間に配置された(例えば、ディスク状又はリング状の、)軸線方向に磁化された磁性体8’を備える。2つの磁性体7’があることに起因して、第2の補助空間磁場及び第1の補助空間磁場は、対称方向のリニアモータ磁石アセンブリ2の第2の予め定められた運動範囲E2にわたって部分的に重なり合う。この特徴は、第2の予め定められた運動範囲E2における運動方向の力をさらに減少させることになる。
【0032】
本発明のさらなる実施形態は、リニアモータ磁石アセンブリ2の直線運動軸線Aに整列された主軸線を有する主空間磁場を有する2つの軸線方向に整列された磁気素子7、7*をさらに備えるリニアモータ磁石アセンブリ2に関し、膜作動素子5は、ボイスコイルを備え、ボイスコイルは、主空間磁場と相互作用して、ボイスコイルを直線運動軸線Aに沿って移動させる(すなわち、膜3を駆動するための)コイル磁場を生成するように構成されている。
【0033】
本発明の別の実施形態は、膜3と、リニアモータ磁石アセンブリ2とを備えるラウドスピーカユニット1に関し、膜作動素子5及び第2の補助磁気素子8は、膜3に固定して接続される。
【0034】
本発明を、図面に示すいくつかの例示的な実施形態を参照して説明した。いくつかの部分又は素子の、変更形態及び代替の実装形態が可能であり、添付の特許請求の範囲に定義する保護の範囲に含まれる。