(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】希土類二ケイ酸塩および第2相物質を含む環境バリアコーティングを有する被覆された構成要素
(51)【国際特許分類】
B32B 9/00 20060101AFI20240708BHJP
C04B 41/90 20060101ALN20240708BHJP
【FI】
B32B9/00 A
C04B41/90 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022025706
(22)【出願日】2022-02-22
【審査請求日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】202111056416
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】レザ・サラフィ-ノウル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィドヤ・ラマスワミ
(72)【発明者】
【氏名】アダーシュ・シュクラ
(72)【発明者】
【氏名】モハンダス・ナヤク
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・マーク・イードン
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-043839(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03640229(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03842563(EP,A1)
【文献】特開2018-114754(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0186237(US,A1)
【文献】特開2021-169403(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0092701(US,A1)
【文献】特開2006-143570(JP,A)
【文献】特開2012-254914(JP,A)
【文献】特開2006-028015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C04B 41/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆された構成要素であって、
構成要素基層(400)と、
前記構成要素基層(400)上に堆積されたケイ素を含むボンドコート層(310)と、
前記ボンドコート層(310)上に堆積された複合材料層(340)であって、希土類二ケイ酸塩および第2相物質を含み、0.05mm~2.25mmの厚さ(T)と、前記ボンドコート層(310)が上に堆積される前記構成要素基層(400)の熱膨張率とは異なる熱膨張率とを有し、前記第2相物質は、1つまたは複数の希土類ガーネットを含
み、前記第2相物質は、2体積%~50体積%の量で存在する、複合材料層(340)と
を含む、被覆された構成要素。
【請求項2】
前記厚さ(T)は、0.5mm~2.25mmである、請求項1に記載の被覆された構成要素。
【請求項3】
前記厚さ(T)は、0.10mm~0.75mmである、請求項1に記載の被覆された構成要素。
【請求項4】
前記厚さ(T)は、0.03mm~0.13mmである、請求項1に記載の被覆された構成要素。
【請求項5】
前記厚さ(T)は、0.1mm~0.80mmである、請求項1に記載の被覆された構成要素。
【請求項6】
前記第2相物質は、前記複合材料層(340)にわたりグレーディングされる、請求項1に記載の被覆された構成要素。
【請求項7】
前記1つまたは複数の希土類ガーネットは、イットリウムアルミニウムガーネットを含む、請求項1に記載の被覆された構成要素。
【請求項8】
前記第2相物質は、1つまたは複数の希土類タンタル酸塩をさらに含む、請求項1に記載の被覆された構成要素。
【請求項9】
前記第2相物質は、1つまたは複数の希土類アルミン酸塩をさらに含む、請求項1に記載の被覆された構成要素。
【請求項10】
前記1つまたは複数の希土類アルミン酸塩は、2Gd
2O
3・Al
2O
3、2Dy
2O
3・Al
2O
3、2Y
2O
3・Al
2O
3、2Er
2O
3・Al
2O
3、LaAlO
3、NdAlO
3、SmAlO
3、EuAlO
3、GdAlO
3、DyAlO
3、ErAlO
3、Dy
3Al
5O
12、Y
3Al
5O
12、Er
3Al
5O
12、Yb
3Al
5O
12およびLu
3Al
5O
12を含む、請求項
9に記載の被覆された構成要素。
【請求項11】
前記第2相物質は、1つもしくは複数の希土類ジルコン酸塩および/または1つもしくは複数の希土類ハフニウム酸塩をさらに含む、請求項1に記載の被覆された構成要素。
【請求項12】
前記第2相物質は、イットリア安定化ジルコニアをさらに含む、請求項1に記載の被覆された構成要素。
【請求項13】
前記第2相物質は、シリカをさらに含む、請求項1に記載の被覆された構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権情報
本願は、2021年12月6日に出願されたインド国仮特許出願第202111056416号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本開示は、一般的には、環境バリアコーティング(EBC)を備える被覆された構成要素および同環境バリアコーティングで被覆されたガスタービンエンジン構成要素に関する。より詳細には、本明細書において説明される実施形態は、一般的には、希土類二ケイ酸塩および第2相物質を含む複合材料層を備える被覆された構成要素のためのEBCに関する。
【背景技術】
【0003】
ガスタービンエンジン内の動作環境は、熱的および化学的に過酷な条件となり得る。鉄、ニッケル、およびコバルトベース高温超合金が、エンジン構成要素向けに展開されてきたが、かかる合金から形成された構成要素は、例えばタービンセクションおよび/または燃焼器セクションなどのガスタービンエンジンの特定のセクションに配置される場合には、長期間にわたり使用環境にさらされることをしばしば余儀なくされる場合がある。EBCは、高温エンジンセクション内の過酷な環境から構成要素を保護するためにそれらの構成要素に対して施すことが可能である。しかし、当技術においては、耐腐食性および/またはCMAS浸入耐性を有する代替となるEBCが好ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
当業者を対象とするベストモードを含む本開示の十全かつ実施可能な開示を、添付の図面を参照として本明細書に示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本対象のいくつかの態様による、航空機内で使用され得るガスタービンエンジンの一実施形態の断面図である。具体的には高バイパスターボファンジェットエンジンとして構成されたガスタービンエンジンを示す。
【
図2】本開示の例示の実施形態によるEBCの断面図である。
【
図3】本開示の例示の実施形態による一構成要素に対して施されたEBCの断面図である。
【
図4】本開示の例示の実施形態による一構成要素に対して施されたEBCの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書および図面において反復使用される参照符号は、本開示の同一または類似の特徴または要素を表すように意図されたものである。
【0007】
以下、本開示の実施形態を詳細に参照する。その中の1つまたは複数の例を図面に示す。各例は、本開示を限定するものではなく本開示を説明するものとして提示される。実際には、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく本開示において様々な変更および変形を行い得ることが、当業者には明らかになろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明される特徴は、さらなる実施形態をもたらすために別の実施形態と共に使用することが可能である。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内となるようなかかる変更および変形を範囲に含むように意図される。
【0008】
本明細書では、「例示の」という語は、「例、実例、または例図としての役割を果たす」を意味するように使用される。「例示の」ものとして本明細書において説明される実装形態は、他の実装形態よりも好ましいまたは有利であると必ずしも解釈されるべきではない。さらに、別様のことが具体的に指定されない限り、本明細書において説明される実施形態はいずれも、例示のものとしてみなされるべきである。
【0009】
単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、別様のことが文脈により明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0010】
本明細書において、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から識別するために互換的に使用され得るものであり、それぞれの構成要素の位置または重要性を示唆するようには意図されない。
【0011】
本明細書において、「実質的に含まない」という用語は、前記構成成分をまったく含まない、または微量の同構成成分を含むことを意味するように理解される。「微量」は、ほぼ検出不能であり、対象組成物の機能的もしくは外観的な特性に対して利益をもたらさない化学成分の定量レベルである。
【0012】
本開示では、化学元素が、例えば元素周期表において通常みられるような一般的な化学略語を使用して論じられる。例えば、水素はその一般的な化学略語Hで表され、ヘリウムはその一般的な化学略語Heで表される、等となる。
【0013】
本明細書および特許請求の範囲の全体にわたり使用されるような近似的表現は、その関連する基本機能に変化を及ぼすことなく許容的に変化し得る任意の定量表現を修飾するために使用される。したがって、「約」、「およそ」、および「実質的に」などの用語により修飾された数値は、明示された厳密な数値に限定されない。少なくともいくつかの例では、近似的表現は、数値を測定するための計器の精度に、あるいは構成要素および/またはシステムを作製または製造するための方法もしくは機械の精度に相当し得る。例えば、近似的表現は、1、2、4、10、15、または20パーセントの許容範囲内であることを示し得る。これらの近似的許容範囲は、単一の数値、数的範囲を規定する一方もしくは両方の端点、および/または端点間の範囲に関する許容範囲に該当し得る。
【0014】
本明細書および特許請求の範囲の全体において、文脈または表現により別様のことが示されない限り、範囲限度値同士は、範囲が特定されその範囲内に含まれるあらゆる下位範囲を包含するように、組み合わされ相互に置換される。例えば、本明細書において開示されるすべての範囲は、それらの端点を含み、これらの端点は、相互に自由に組合せ可能である。
【0015】
ガスタービンエンジンに関しては、動作温度のさらなる高温化が、ガスタービンエンジンの効率改善のために常に追求されている。しかし、動作温度が上昇するにつれて、エンジンの構成要素の高温耐久性もまた対応して高くなければならない。鉄、ニッケル、およびコバルトベース超合金の組成により、高温性能の著しい進歩が達成されてきた。超合金は、ガスタービンエンジンの全体にわたり使用される構成要素、および特に高温セクションにおいて使用される構成要素において広く見受けられるが、代替的なさらに軽量の構成要素材料が提案されてきた。
【0016】
セラミック基複合材料(CMC)は、セラミックマトリックス相で囲まれた補強材料からなる材料分類である。現行では、かかる材料は、いくつかのモノリシックセラミックス(すなわち補強材料を含まないセラミック材料)と共に、より高温の用途に対して使用されている。これらのセラミック材料は、超合金と比較して軽量であるが、それらのセラミック材料から作製された構成要素に対して依然として強度および耐久性を与えることができる。したがって、現行では、かかる材料は、例えばエーロフォイル(例えばタービンおよび翼)、燃焼器、シュラウド、ならびにこれらの材料がもたらし得るさらなる軽量性およびさらなる高温性能によって利益を享受し得る他の同様の構成要素などの、ガスタービンエンジンのより高温のセクションにて使用される多数のガスタービン構成要素向けのものとして考えられている。
【0017】
CMCおよびモノリシックセラミック構成要素は、高温エンジンセクションの過酷な環境からの保護のためにEBCで被覆され得る。EBCは、ケイ素含有CMCおよびモノリシックセラミックスを急速に酸化させ得る高温燃焼環境内の腐食性ガスに対する高密度の気密シールを提供し得る。さらに、使用条件下において、エンジンの高温セクション内のいくつかのEBCは、燃焼気体生成物に対してさらされることによる浸食、酸化、および腐食、異物損傷、ならびに環境汚染物質による腐食を含む、様々な損傷モードにさらされ得る。
【0018】
空気中に存在し得る環境汚染物質としては、砂、埃、火山灰、二酸化硫黄の形態の硫黄、フライアシュ、セメント粒子、滑走路塵埃、および大気中に排出され得る他の汚染物が含まれる。この大気中に排出され得る他の汚染物としては、例えばマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、クロム、ニッケル、鉄、バリウム、チタン、アルカリ金属、ならびにそれらの化合物、例えば酸化物、炭化物、リン酸化物、塩、およびそれらの混合物を含む、金属粒子などがある。これらの環境汚染物質が、燃料燃焼の結果として生ずる腐食性汚染物質および酸化性汚染物質に対して加えられる。これらの汚染物質は、EBCで典型的に被覆される高温セクション構成要素の表面に対して付着し得る。
【0019】
エンジンの動作温度にて、これらの汚染物質はEBC上に汚染性組成物を形成し得る。これらの汚染性組成物は、典型的にはカルシウム、マグネシウム、アルミニウム、シリカ(CMAS)を含み、それらの堆積物は、CMASと呼ばれる。約2240°F超の温度にて、これらのCMAS組成物は、液体になり、EBC中に浸入し、有害な物理的および化学的相互作用を引き起こし得る。
【0020】
CMASによるEBC破砕は、ジェットエンジンの動作温度が効率性改善のために上昇してきたため、ジェットエンジンにおいて特に注目すべき点である。大気中における高濃度の細砂および細埃は、CMAS劣化を加速させ得るため、したがってEBCおよび関連するエンジン構成要素の有効耐用寿命を低下させる。
【0021】
本開示は、希土類ケイ酸塩および第2相物質を含む複合材料レイヤリングを備えるEBCを提示する。有利には、この第2相物質は、EBCの機能的性能を改善するように設計されたいくつかの材料を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2相物質は、EBCの耐腐食性を改善するために耐腐食性材料を含み得る。いくつかの他の実施形態では、第2相物質は、CMAS侵入および/またはEBC劣化を軽減するように構成された材料を含み得る。
【0022】
次に図面を参照すると、
図1は、本主題の態様による航空機内において使用され得るガスタービンエンジン10の一実施形態の断面図を示す。より具体的には、
図1の実施形態に関して、ガスタービンエンジンは、高バイパスターボファンジェットエンジンであり、ガスタービンエンジン10は、参考までに、ガスタービンエンジン10を貫通しておよび軸方向Aに沿って延在する長手方向中心軸または軸方向中心軸12を有して示される。さらに、ガスタービンエンジン10は、中心線12から延在する径方向Rを規定する。例示のターボファン実施形態が図示されるが、本開示は、船舶用タービンエンジンおよび工業用タービンエンジンならびに補助電源装置を含む、例えばオープンロータターボファンエンジン(例えば外方ナセルを有さないターボファン)、ターボシャフト、ターボジェット、またはターボプロップ構成などの、ターボ機械類一般に対して同様に該当し得ることが予期される。
【0023】
一般的に、ガスタービンエンジン10は、ターボマシン14と、ターボマシン14の上流に位置決めされたファンセクション16とを備える。ターボマシン14は、環状入口20を画定する実質的にチューブ状の外方ケーシング18を一般的に備える。さらに、外方ケーシング18は、ターボマシン14に進入する空気の圧力を第1の圧力レベルへ上昇させるための低圧(LP)圧縮機22をさらに囲み支持し得る。次いで、多段軸流高圧(HP)圧縮機24が、LP圧縮機22から圧縮空気を受領し、さらにかかる空気の圧力を上昇させ得る。HP圧縮機24を退出した圧縮空気は、次いで燃焼器26へ流れることができ、この燃焼器26内で、燃料が圧縮空気流に対して注入され、結果として得られる混合物が、燃焼器26内で燃焼される。高エネルギー燃焼生成物は、高圧(HP)シャフト30またはスプールによるHP圧縮機24の駆動のために燃焼器26からガスタービンエンジン10の高温ガス経路に沿って高圧(HP)タービン28まで送られ、次いでHPシャフト30とほぼ同軸の低圧(LP)シャフト34またはスプールによるLP圧縮機22およびファンセクション16の駆動のために低圧(LP)タービン32まで送られる。タービン28および32のそれぞれを駆動した後に、これらの燃焼生成物は、推進ジェットスラストを生成するために噴出口36を介してターボマシン14から排出され得る。
【0024】
さらに、ガスタービンエンジン10のファンセクション16は、環状ファンケーシング40により囲まれるように構成された回転可能軸流ファンロータ38を一般的に備える。特定の実施形態では、LPシャフト34は、直接駆動構成などで、ファンロータ38に対して直接的に連結され得る。代替的な構成では、LPシャフト34は、間接駆動構成または歯車駆動構成の減速歯車装置などの減速デバイス37を介してファンロータ38に対して連結され得る。かかる減速デバイスは、所望に応じてまたは所要に応じて、ガスタービンエンジン10内の任意の適切なシャフト/スプール間に備えられ得る。
【0025】
ファンケーシング40は、複数の実質的に径方向に延在する周方向に離間された出口案内翼42によりターボマシン14に対して支持されるように構成され得る点を、当業者には理解されたい。そのため、ファンケーシング40は、ファンロータ38およびその対応するファンロータブレード(ファンブレード44)を囲み得る。さらに、ファンケーシング40の下流セクション46は、追加の推進ジェットスラストを生成する二次空気導管またはバイパス空気流導管48を画定するように、ターボマシン14の外方部分を覆って延在し得る。
【0026】
ガスタービンエンジン10の動作中に、初期空気流(矢印50により示す)は、ファンケーシング40の関連する入口52を通りガスタービンエンジン10に進入し得る点を理解されたい。次いで、空気流50は、ファンブレード44を通過し、バイパス導管48を通り移動する第1の圧縮空気流(矢印54により示す)と、LP圧縮機22に進入する第2の圧縮空気流(矢印56により示す)とに分離される。次いで、第2の圧縮空気流56の圧力が上昇し、HP圧縮機24に進入する(矢印58により示すように)。燃焼器26内で燃料と混合され燃焼された後に、燃焼生成物60は、燃焼器26から退出し、HPタービン28を通り流れる。その後、燃焼生成物60は、LPタービン32を通り流れ、ガスタービンエンジン10にスラストを提供するために噴出口36から退出する。
【0027】
ガスタービンエンジン10の様々な構成要素が、本開示のEBCを備え得る。例えば、様々な実施形態において、本開示の製品としては、燃焼器構成要素、タービンブレード、シュラウド、ノズル、ヒートシールド、および翼からなる群より選択されるタービンエンジン構成要素が含まれ得るが、それらに限定されない。
【0028】
図2は、本開示のコーティングの断面を示す。EBC300は、複合材料層340が堆積されたボンドコート310(例えばケイ素)を備える。複合材料層340は、希土類ケイ酸塩(例えば希土類二ケイ酸塩)および第2相物質を含み得る。
図3は、ガスタービンエンジン構成要素などの構成要素400上に堆積された
図2のEBC300を断面で示す。
【0029】
構成要素400は、例えばセラミック合金または金属合金などの、ケイ素を含む任意の材料であってもよい。構成要素400は、例えば炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、および酸窒化ケイ素アルミニウムなどの、セラミック材料を含み得る。いくつかの実施形態では、構成要素400は、金属基複合材料(MMC)またはセラミック基複合材料(CMC)などの複合材料を含むことが可能である。複合材料は、ポリマー材料、セラミック材料、または金属材料などのマトリックス材料中に埋設された繊維補強材料から一般的になる。補強材料は、複合材料の耐荷重構成要素としての役割を果たし、一方で複合材料のマトリックスは、繊維同士を共に結合し、外部印加された応力がこれらの繊維に伝達および分散されるための媒体としての役割を果たす。
【0030】
本明細書において、セラミック基複合材料すなわち「CMC」は、ケイ素含有または酸化物-酸化物のマトリックス材料および補強材料を指す。本明細書における使用に許容されるCMCのいくつかの例としては、炭化ケイ素、窒化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、およびそれらの混合物などの、非酸化ケイ素ベース材料を含むマトリックスおよび補強繊維を有する材料が含まれ得るが、それらに限定されない。例としては、炭化ケイ素マトリックスおよび炭化ケイ素繊維を含むCMC、窒化ケイ素マトリックスおよび炭化ケイ素繊維を含むCMC、炭化ケイ素マトリックスおよび炭素繊維を含むCMC、ならびに炭化ケイ素/窒化ケイ素マトリックス混合物および炭化ケイ素繊維を含むCMCが含まれるが、これらに限定されない。さらに、CMCは、酸化セラミックスから構成されたマトリックスおよび補強繊維を有することが可能である。具体的には、酸化物-酸化物CMCは、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、アルミノケイ酸塩、およびそれらの混合物などの、酸化物ベース材料を含むマトリックスおよび補強繊維から構成され得る。アルミノケイ酸塩としては、ムライト(3Al2O32SiO2)などの結晶質材料およびガラス質アルミノケイ酸塩が含まれ得る。
【0031】
例示のCMC材料としては、炭化ケイ素(SiC)、ケイ素、シリカ、またはアルミナマトリックス材料、およびそれらの組合せが含まれ得る。例えばサファイアおよび炭化ケイ素などのモノフィラメント(例えばTextronのSCS-6)を含む酸化安定性補強繊維、ならびに炭化ケイ素を含む粗糸およびヤーン(例えばNippon CarbonのNICALON(登録商標)、Ube IndustriesのTYRANNO(登録商標)、およびDow CorningのSYLRAMIC(登録商標))、アルミノケイ酸塩を含む粗糸およびヤーン(例えばNextelの440および480)、炭素繊維を含む粗糸およびヤーン、およびチョップドウイスカおよび短繊維を含む粗糸およびヤーン(例えばNextelの440およびSAFFIL(登録商標))を含む酸化安定性補強繊維、ならびに任意にセラミック粒子(例えばSi酸化物、Al酸化物、Zr酸化物、Y酸化物、およびそれらの組合せ)および無機フィラー(例えばパイロフィライト、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カイヤナイト、およびモンモリロナイト)を含むこれらの酸化安定性補強繊維などの、セラミック繊維および/または炭素繊維が、このマトリックス内に埋設され得る。例えば、いくつかの実施形態では、セラミック耐火性材料コーティングを備え得る繊維束が、一方向強化テープなどの強化テープとして形成される。複数のこれらのテープが、プレフォーム構成要素を形成するために一体にレイアップされ得る。これらの繊維束は、プレフォームの形成前にまたはプレフォームの形成後に、スラリ組成物で含浸され得る。次いで、プレフォームは、プレフォーム中に高いチャー残留をもたらすための硬化または燃焼などの熱処理と、その後のケイ素での溶融含浸などの化学処理とを受けることにより、所望の化学組成を有するCMC材料から形成された構成要素を実現し得る。
【0032】
構成要素400は、ケイ素を含むボンドコート310で被覆され得る。一実施形態によれば、ボンドコート310は、構成要素400に対して施されたケイ素金属を含む。ボンドコート310は、約50マイクロメートル~約150マイクロメートルの範囲内の厚さを有することが可能であり、例えば約70マイクロメートル~約120マイクロメートルの範囲の厚さを、例えば約100マイクロメートルの厚さを有し得る。しかし、他の実施形態では、ボンドコート310は、約0.0253~約0.506mm(1~20ミル)の厚さを有することが可能であり、より典型的には約0.051~約0.152mm(2~6ミル)の厚さを有し得る。代替的には、構成要素400は、シリカ(SiO2)ボンドコートを実現するために事前酸化され得る。ボンドコート310は、土台となる構成要素の酸化および対応するガス放出、気泡形成、ならびに環境バリアコーティングの破砕を防止し得る。また、ボンドコート310は、複合材料層340などの、後に施されるコートの接着性を改善し得る。また、ボンドコート310は、複合材料層340を施すことにより土台となる構成要素400に損傷が与えられるリスクを軽減し得る。ボンドコート310は、例えば溶射、プラズマ溶射、および任意の既知の施工技術によってなど、任意の既知のソリッドコーティング堆積方法により構成要素400に対して施され得る。さらに、「施される」および「堆積される」という用語は、本明細書においては互換的に使用され得る。
【0033】
複合材料層340は、ケイ素ボンドコート310に隣接しておよび/またはケイ素ボンドコート310の上に堆積される。複合材料層340は、土台となる構成要素400基層に対して十分に一致するCTEを有する希土類二ケイ酸塩材料と、土台となる構成要素400基層のCTEに対して十分に一致する材料を含まなくてもよい第2相物質との両方を含むことが可能である。例えば、土台となる構成要素400は、第1のCTE(C1)を有することが可能である一方で、希土類二ケイ酸塩材料および第2相物質の両方を含む複合材料層340は、第2のCTE(C2)を有する。C1とC2との差ΔCは、変更可能である。例えば、構成要素400の材料および選択された第2相物質に応じて、ΔCは、約0~約2.25のいずれかの範囲に及び得る。基層とコーティング材料との間のCTEの不一致が過度に大きい場合には、これは、コーティング材料のクラッキングおよび/または粉砕ならびに故障をもたらし得る。さらに、CTEが一致しない場合に複合材料層340が過度に大きな厚さで施されると、複合材料層340の劣化(例えば剥離および粉砕)が生じ得る。
【0034】
したがって、本開示の発明者らは、第2相物質の特定の選択と複合材料層340の特定の厚さでの施工とにより、コーティングの剥離、粉砕、および/または故障を防ぐことが可能であることを発見した。したがって、複合材料層340は、コーティングの劣化を防ぐ厚さで施され得る、種々のCTEを有する様々な第2相物質との組合せにおいて希土類二ケイ酸塩を含むように組成され得る。したがって、EBCシステムのシリケートベース層への組み込みが困難であるとかつて考えられていた材料が、EBC全体の動作を保護するために特定の厚さで組み込まれ施されることが可能となる。したがって、複合材料層340は、そのCTEが基層構成要素と一致しない場合に、以前であれば特定のEBCコーティングシステムでは使用不可能であると考えられていた第2相物質を組み込むことが可能となる。
【0035】
本明細書において提示される実施形態では、土台となる構成要素400のCTEに対する複合材料層340のCTEの比較により、複合材料層340の厚さ(T)を示すことができる。一般的には、複合材料層340の厚さ(T)は、ΔCに応じて変化し得る。次のTable1(表1)は、例示のΔC値と、適切な対応する複合材料層340の厚さ(T)とを示す。
【0036】
【0037】
さらに、いくつかの実施形態では、ΔCは、約0~約0.25であり、厚さ(T)は、約0.5~約2.25である。他の実施形態では、ΔCは、約0.25~約1.00であり、厚さ(T)は、約0.10~約0.75である。さらに、他の実施形態では、ΔCは、約1~約2.25であり、厚さ(T)は、約0.03~約0.13である。厚さ(T)は、約0.1mm~約0.80mmの範囲であることが可能である。
【0038】
したがって、本明細書において提示されるような厚さ(T)を有する複合材料層340は、構成要素パーツの動作中に複合材料層が破砕または劣化するリスクを伴うことなく、EBC300の機能的動作を改善するために特定の第2相物質を組み込むことが可能となる。
【0039】
複合材料層340は、RE2Si2O7の一般組成を有する任意の希土類二ケイ酸塩を含むことが可能である。ここで、RE(希土類元素)=La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Th、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuであり、準希土類の元素YおよびScを含む。様々な実施形態において、希土類二ケイ酸塩は、(Ybx,Y1-x)2Si2O7であり、ここで、0≦x≦1である。ある特定の実施形態では、希土類二ケイ酸塩は、(Yb0.6Y0.4)2Si2O7である。別の実施形態では、希土類二ケイ酸塩は、イッテルビウム二ケイ酸塩、ルテチウム二ケイ酸塩、またはスカンジウム二ケイ酸塩を含み得る。これらの希土類二ケイ酸塩は、CMC基層材料のCTEとほぼ十分に一致するCTEを有する。
【0040】
また、複合材料層340は、第2相物質を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、複合材料層340は、約2体積%~約50体積%の第2相物質を含むことが可能である。この第2相物質は、複合材料層340の1つまたは複数の特性(例えば耐腐食性および/または耐CMAS性)を改善するように構成された特定の材料を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2相物質は、1つまたは複数の希土類ガーネットを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、希土類ガーネットは、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)を含む。この希土類ガーネットは、希土類酸化物ドープされたYAG材料などのドープされたYAGを含み得る。このYAGは、以下の元素、すなわちLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、TB、Dy、Ho、Er.Tm、Yb、Lu、ならびにY、Sr、およびScのうちの1つまたは複数の酸化物であることが可能な1つまたは複数のドーパントでドープされ得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、第2相物質は、1つまたは複数の希土類タンタル酸塩を含む。例えば、いくつかの実施形態では、第2相物質は、以下の組成式の希土類化合物、すなわち
A1-bBbZ1-dDdMO6
を含み得る。ここで、Aは、Al、Ga、In、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Fe、Cr、Co、Mn、Bi、またはそれらの混合物であり、Bは、ホウ素であり、bは、0~約0.5であり、Zは、Hf、Ti、またはそれらの混合物であり、Dは、Zr、Ce、Ge、Si、またはそれらの混合物であり、dは、0~約0.5であり、Mは、Ta、Nb、またはそれらの混合物であり、Oは、酸素である。
【0042】
この化合物は、その組成中に個別の「サイト」を有し、組成式1のAおよび/またはBにより形成される「Aサイト」と、組成式1のZおよび/またはDにより形成される「Zサイト」と、「Mサイト」と、酸素とを有する。
【0043】
第2相物質は、希土類アルミン酸塩を含み得る。例えば、1つまたは複数の希土類アルミン酸塩としては、2Gd2O3・Al2O3、2Dy2O3・Al2O3、2Y2O3・Al2O3、2Er2O3・Al2O3、LaAlO3、NdAlO3、SmAlO3、EuAlO3、GdAlO3、DyAlO3、ErAlO3・、Dy3Al5O12、Y3Al5O12、Er3Al5O12、Lu3Al5O12、Yb3Al5O12およびそれらの組合せが含まれ得る。
【0044】
さらに、いくつかの実施形態では、第2相物質としては、ハフニア、ジルコニア、安定化されたハフニア、安定されたジルコニア(例えば、イットリア安定化されたジルコニア(YSZ))、希土類ハフニウム酸塩、希土類ジルコニウム酸塩、希土類ガリウム酸塩およびそれらの組合せが含まれ得る。いくつかの実施形態では、第2相物質は、アルミノケイ酸塩(例えば、ムライト、バリウムストロンチウムアルミノケイ酸塩(BSAS)、希土類アルミノケイ酸塩等)を含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、第2相物質は、1つまたは複数の希土類二ケイ酸塩を含み得る。第2相物質が1つまたは複数の希土類二ケイ酸塩を含む実施形態では、第2相物質として選択された希土類二ケイ酸塩は、複合材料コーティングの希土類二ケイ酸塩とは異なってもよい。換言すれば、少なくとも2つの異なる希土類二ケイ酸塩を複合材料層340に組み込むことが可能である。
【0046】
一般的には、本明細書において説明される第2相物質は、現行のEBC複合材料と比較して、溶融ダスト作用、浸食作用、衝撃作用、および/または混合モードの劣化作用を被りにくい。したがって、第2相物質を加えることにより、タービンエンジン環境内の水蒸気に当たることによりくぼみが形成されるのを防ぐために基層材料上に留まる現時点の最新技術によるEBCに比べて、より高いロバスト性を有するEBCが結果的に得られる。要するに、複合材料層中に第2相物質を組み込むことにより、BSASおよび希土類ケイ酸塩EBC材料に比べて溶融ダストに対する耐性がより高い、ならびに特に溶融ダスト(例えばCMAS)にさらされた後にBSASおよび希土類ケイ酸塩材料よりも高い硬度を有し得る、複合材料層が実現される。したがって、第2相物質は、かかる材料から形成されたコーティング(例えばEBC)において、CMAS、粒子浸食、および衝撃に対する耐性を増強させ得る。
【0047】
第2相物質は、希土類二ケイ酸塩と共に吹き付けるためにスラリまたはフィードストック中に組み込むことが可能であり、構成要素400に対して施され得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2相物質は、構成要素400に対して施され、複合材料層340の厚さ全体にわたり均一に分散され得る。しかし、他の実施形態では、複合材料層340は、1つまたは複数の下位層から形成され得ることが予期される。かかる実施形態では、各下位層が、それぞれ異なる量の第2相物質を含むことが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、第2相物質は、複合材料層340の厚さ(T)にわたりグレーディングされることが可能である。かかる実施形態では、各下位層が、複合材料層340が底部から頂部へと形成されるにつれて量を減少および/または増加された第2相物質を含むことが可能である。しかし、他の実施形態では、下位層は、形成されたいくつかの下位層が任意の第2相物質を含まないように形成されることも可能である。したがって、所望に応じて、第2相物質を含まない下位層が、複合材料層340内の第2相物質を含む層の間に備えられることが可能である。
【0048】
次に
図4を参照すると、EBC300は、ケイ素ボンドコート310と、複合材料層340と、複合材料層340上に堆積された希土類一ケイ酸塩層350とを備え得る。希土類(RE)一ケイ酸塩は、RE
2SiO
5の一般組成を有し、ここで、RE=RE=La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Th、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLuであり、希土類様元素YおよびScを含む。いくつかの実施形態では、希土類一ケイ酸塩は、(Yb
y-Y
1-y)
2SiO
5を含むことが可能であり(0≦y≦1である)、またはそれらの混合物を含むことが可能である。
【0049】
EBC300の層は、任意の適切な方法により構成要素400の基層に対して施され得る。この構成要素は、CMC構成要素を備え得る。コーティングは、ブラッシング、ローリング、吹付け、および浸漬を含むがそれらに限定されない任意の既知の被覆技術により施され得る。吹付け技術としては、溶射、プラズマ溶射(例えば空気プラズマ溶射)、およびそれらの組合せが含まれる。例えば、ボンドコート310は、溶射プロセス、化学気相堆積プロセス、電子ビーム物理気相堆積プロセス、溶融ケイ素中への浸漬、スパッタリングプロセス、および当業者には既知である他の従来的な施工プロセスによって施され得る。
【0050】
任意には、この構成要素の表面上にボンドコート層を施す前に、構成要素が、その表面のEBCに対する受容性をより高めるために、機械的に、化学的に、またはそれらの両方により前処理され得る。適切な前処理方法としては、グリットブラスト処理されるべきでない表面へのマスキングを伴うまたは伴わないグリットブラスト、マイクロマシニング、ショットピーニング、レーザエッチング、塩酸、フッ化水素酸、硝酸、重フッ化アンモニウム、およびそれらの混合物を含むものなどの化学エッチャントでの処理、研磨性粒子での負荷を伴うまたは伴わない圧力下にある水での処理(すなわちウォータージェット処理)、ならびにこれらの方法の様々な組合せが含まれる。いくつかの実施形態では、ケイ素ボンドコートの堆積は、構成要素の表面に対してケイ素金属層を堆積する。このケイ素は、例えば構成要素が高温にある場合に構成要素城への溶射などによって、構成要素のグリッドブラスト処理済み表面に対して直接的に施され得る。ケイ素ボンドコートは、薄層として施され得るが、一方で未施工箇所が残らないように構成要素を完全に覆う。典型的には、ボンドコートは、約50マイクロメートル~約150マイクロメートルの範囲内の厚さを有し、例えば約70マイクロメートル~約120マイクロメートルの範囲内の厚さを有し、例えば約100マイクロメートルの厚さを有する。
【0051】
任意には、この構成要素の表面上にボンドコート層を施す前に、構成要素が、その表面のEBCに対する受容性をより高めるために、機械的に、化学的に、またはそれらの両方により前処理され得る。適切な前処理方法としては、グリットブラスト処理されるべきでない表面へのマスキングを伴うまたは伴わないグリットブラスト、マイクロマシニング、ショットピーニング、レーザエッチング、塩酸、フッ化水素酸、硝酸、重フッ化アンモニウム、およびそれらの混合物を含むものなどの化学エッチャントでの処理、研磨性粒子での負荷を伴うまたは伴わない圧力下にある水での処理(すなわちウォータージェット処理)、ならびにこれらの方法の様々な組合せが含まれる。
【0052】
次いで、複合材料層340は、ブラッシング、ローリング、吹付け、および浸漬を含むがそれらに限定されない既知の被覆技術により構成要素400に対して施され得る。吹付け技術としては、溶射、プラズマ溶射(例えば空気プラズマ溶射(APS))、およびそれらの組合せが含まれる。さらに、複合材料層340の材料は、スラリへと組成され、さらなる処理のために構成要素に対して施され得る。複合材料層340は、吹付け技術により堆積され得るが、いくつかの実施形態では、APSにより堆積される。例えば、希土類ケイ酸塩を含むAPSフィードストックが調製され得る。例えば、このAPSフィードストックは、本明細書において説明される第2相物質の1つまたは複数の組合せとの組合せにおいて、希土類一ケイ酸塩および/または希土類二ケイ酸塩を含むことが可能である。
【0053】
本開示のさらなる態様は、以下の項の主題によって提供される。
【0054】
構成要素基層と、構成要素基層上に堆積されたケイ素を含むボンドコート層と、ボンドコート層上に堆積された複合材料層とを含む被覆された構成要素であって、複合材料層は、希土類二ケイ酸塩および第2相物質を含み、複合材料層は、約0.05mm~約2.25mmの厚さ(T)と、ボンドコート層が堆積される構成要素基層の熱膨張率から約0~約2.25の数値だけ異なる熱膨張率とを有する、被覆された構成要素。
【0055】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、ΔCが、約0~約0.25であり、厚さ(T)が、約0.5~約2.25である、被覆された構成要素。
【0056】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、ΔCが、約0.25~約1.00であり、厚さ(T)が、約0.10~約0.75である、被覆された構成要素。
【0057】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、ΔCが、約1~約2.25であり、厚さ(T)が、約0.03~約0.13である、被覆された構成要素。
【0058】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、厚さ(T)が、約0.1mm~約0.80mmである、被覆された構成要素。
【0059】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、第2相物質が、約2体積%~約50体積%の量で存在する、被覆された構成要素。
【0060】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、第2相物質が、複合材料層にわたりグレーディングされる、被覆された構成要素。
【0061】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、第2相物質が、1つまたは複数の希土類ガーネットを含む、被覆された構成要素。
【0062】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、1つまたは複数の希土類ガーネットが、イットリウムアルミニウムガーネットを含む、被覆された構成要素。
【0063】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、第2相物質が、1つまたは複数の希土類タンタル酸塩を含む、被覆された構成要素。
【0064】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、第2相物質が、1つまたは複数の希土類アルミン酸塩を含む、被覆された構成要素。
【0065】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、1つまたは複数の希土類アルミン酸塩が、2Gd2O3・Al2O3、2Dy2O3・Al2O3、2Y2O3・Al2O3、2Er2O3・Al2O3、LaAlO3、NdAlO3、SmAlO3、EuAlO3、GdAlO3、DyAlO3、ErAlO3、Dy3Al5O12、Y3Al5O12、Er3Al5O12、Yb3Al5O12およびLu3Al5O12を含む、被覆された構成要素。
【0066】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、第2相物質が、1つもしくは複数の希土類ジルコン酸塩および/または1つもしくは複数の希土類ハフニウム酸塩を含む、被覆された構成要素。
【0067】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、第2相物質が、イットリア安定化ジルコニアを含む、被覆された構成要素。
【0068】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、第2相物質が、シリカを含む、被覆された構成要素。
【0069】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、希土類二ケイ酸塩が、第1の希土類二ケイ酸塩を含み、第2相物質が、第2の希土類二ケイ酸塩を含み、第1の希土類二ケイ酸塩および第2の希土類二ケイ酸塩が、それぞれ異なる、被覆された構成要素。
【0070】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、第1の希土類二ケイ酸塩または第2の希土類二ケイ酸塩の少なくとも一方が、イッテルビウム(Yb)、イットリウム(Y)、スカンジウム(Sc)、ルテチウム(Lu)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、プロメチウム(Pm)、またはそれらの組合せを含む希土類元素を含む、被覆された構成要素。
【0071】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、第1の希土類二ケイ酸塩または第2の希土類二ケイ酸塩の少なくとも一方が、イッテルビウム二ケイ酸塩、ルテチウム二ケイ酸塩、またはスカンジウム二ケイ酸塩を含む、被覆された構成要素。
【0072】
任意の既出の項の被覆された構成要素であって、複合材料層上に堆積された希土類一ケイ酸塩層を含み、希土類一ケイ酸塩層は、約1ミル~約3ミルの厚さを有する、被覆された構成要素。
【0073】
第1の熱膨張率(C1)を有する構成要素基層と、構成要素基層上に堆積された環境バリアコーティングとを含む、ガスタービンエンジン構成要素であって、環境バリアコーティングは、構成要素基層上に堆積されたボンドコート層であって、ケイ素を含むボンドコート層と、ボンドコート層上に堆積された複合材料層であって、希土類二ケイ酸塩および第2相物質を含む複合材料層とを含み、複合材料層は、第2の熱膨張率(C2)および厚さ(T)を有し、Tは、約0.05mm~約2.25mmであり、C1とC2との差(ΔC)は、約0~約2.25である、ガスタービンエンジン構成要素。
【0074】
この本発明の詳細な説明は、ベストモードを含む様々な例を開示するために、およびさらには任意のデバイスまたはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実施を含む、当業者が開示された実施形態の実施を可能にするために、例示の実施形態を用いる。開示した実施形態の特許請求可能範囲は、特許請求の範囲により定義され、当業者に想起される他の例を含み得る。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言から相違のない構造的要素を含む場合には、または特許請求の範囲の文言から実質的な相違のない均等な構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲内に含まれるように意図される。
【0075】
本開示のさらなる態様は、以下の項の主題によって提供される。
【0076】
[項1]構成要素基層と、前記構成要素基層上に堆積されたケイ素を含むボンドコート層と、前記ボンドコート層上に堆積された複合材料層とを含む被覆された構成要素であって、前記複合材料層は、希土類二ケイ酸塩および第2相物質を含み、前記複合材料層は、約0.05mm~約2.25mmの厚さ(T)と、前記ボンドコート層が堆積される前記構成要素基層の熱膨張率から約0~約2.25の数値だけ異なる熱膨張率とを有する、被覆された構成要素。
【0077】
[項2]ΔCが、約0~約0.25であり、厚さ(T)が、約0.5~約2.25である、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0078】
[項3]ΔCが、約0.25~約1.00であり、厚さ(T)が、約0.10~約0.75である、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0079】
[項4]ΔCが、約1~約2.25であり、厚さ(T)が、約0.03~約0.13である、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0080】
[項5]厚さ(T)が、約0.1mm~約0.80mmである、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0081】
[項6]前記第2相物質が、約2体積%~約50体積%の量で存在する、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0082】
[項7]前記第2相物質が、前記複合材料層にわたりグレーディングされる、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0083】
[項8]前記第2相物質が、1つまたは複数の希土類ガーネットを含む、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0084】
[項9]1つまたは複数の希土類ガーネットが、イットリウムアルミニウムガーネットを含む、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0085】
[項10]前記第2相物質が、1つまたは複数の希土類タンタル酸塩を含む、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0086】
[項11]前記第2相物質が、1つまたは複数の希土類アルミン酸塩を含む、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0087】
[項12]1つまたは複数の希土類アルミン酸塩が、2Gd2O3・Al2O3、2Dy2O3・Al2O3、2Y2O3・Al2O3、2Er2O3・Al2O3、LaAlO3、NdAlO3、SmAlO3、EuAlO3、GdAlO3、DyAlO3、ErAlO3、Dy3Al5O12、Y3Al5O12、Er3Al5O12、Yb3Al5O12およびLu3Al5O12を含む、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0088】
[項13]前記第2相物質が、1つもしくは複数の希土類ジルコン酸塩および/または1つもしくは複数の希土類ハフニウム酸塩を含む、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0089】
[項14]前記第2相物質が、イットリア安定化ジルコニアを含む、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0090】
[項15]前記第2相物質が、シリカを含む、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0091】
[項16]前記希土類二ケイ酸塩が、第1の希土類二ケイ酸塩を含み、前記第2相物質が、第2の希土類二ケイ酸塩を含み、前記第1の希土類二ケイ酸塩および前記第2の希土類二ケイ酸塩は異なる、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0092】
[項17]前記第1の希土類二ケイ酸塩または第2の希土類二ケイ酸塩の少なくとも一方が、イッテルビウム(Yb)、イットリウム(Y)、スカンジウム(Sc)、ルテチウム(Lu)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、プロメチウム(Pm)、またはそれらの組合せを含む希土類元素を含む、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0093】
[項18]前記第1の希土類二ケイ酸塩または第2の希土類二ケイ酸塩の少なくとも一方が、イッテルビウム二ケイ酸塩、ルテチウム二ケイ酸塩、またはスカンジウム二ケイ酸塩を含む、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0094】
[項19]前記複合材料層上に堆積された希土類一ケイ酸塩層を含み、希土類一ケイ酸塩層は、約1ミル~約3ミルの厚さを有する、任意の前項に記載の被覆された構成要素。
【0095】
[項20]第1の熱膨張率(C1)を有する構成要素基層と、前記構成要素基層上に堆積された環境バリアコーティングとを含む、ガスタービンエンジン構成要素であって、前記環境バリアコーティングは、前記構成要素基層上に堆積されたボンドコート層であって、ケイ素を含むボンドコート層と、前記ボンドコート層上に堆積された複合材料層であって、希土類二ケイ酸塩および第2相物質を含む複合材料層とを含み、前記複合材料層は、第2の熱膨張率(C2)および厚さ(T)を有し、Tは、約0.05mm~約2.25mmであり、C1とC2との差(ΔC)は、約0~約2.25である、ガスタービンエンジン構成要素。
【符号の説明】
【0096】
10 ガスタービンエンジン
12 長手方向中心軸、軸方向中心軸、中心線
14 ターボマシン
16 ファンセクション
18 外方ケーシング
20 環状入口
22 低圧圧縮機
24 多段軸流高圧圧縮機
26 燃焼器
28 高圧タービン
30 高圧シャフト
32 低圧タービン
34 低圧シャフト
36 噴出口
37 減速デバイス
38 回転可能軸流ファンロータ
40 環状ファンケーシング
42 出口案内翼
44 ファンロータブレード、ファンブレード
46 下流セクション
48 二次空気導管、バイパス空気流導管
50 初期空気流
52 入口
54 第1の圧縮空気流
56 第2の圧縮空気流
60 燃焼生成物
300 EBC
310 ボンドコート
340 複合材料層
350 希土類一ケイ酸塩層
400 構成要素