(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】熱処理システムにおける局所加熱のための支持板
(51)【国際特許分類】
H01L 21/26 20060101AFI20240708BHJP
H01L 21/268 20060101ALI20240708BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
H01L21/26 Q
H01L21/268 G
H01L21/68 N
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022036197
(22)【出願日】2022-03-09
(62)【分割の表示】P 2020550638の分割
【原出願日】2019-03-18
【審査請求日】2022-04-08
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502278714
【氏名又は名称】マトソン テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mattson Technology, Inc.
【住所又は居所原語表記】47131 Bayside Parkway, Fremont, CA 94538, USA
(73)【特許権者】
【識別番号】520111187
【氏名又は名称】ベイジン イータウン セミコンダクター テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing E-Town Semiconductor Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Building, No. 28 Jinghai Er Rd., Economic and Technical Development Zone, 100176 Beijing, China
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ブレーメンスドルファー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ケップラー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エックス. ヤン
(72)【発明者】
【氏名】トルステン フルスマン
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102011100055(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0076965(US,A1)
【文献】特開2018-032758(JP,A)
【文献】特開2016-225429(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0103907(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0113458(US,A1)
【文献】特開2015-018909(JP,A)
【文献】特開2012-169308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/26
H01L 21/268
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを加熱するよう構成された複数の熱源と、
熱処理中、前記ワークピースを支持するよう動作可能な回転可能な支持板と、
光源と、
を備え、
前記回転可能な支持板は、
ベースと、
前記ワークピースに接触するよう構成された透過性支持構造であって、第1の端部および第2の端部を備え、前記支持構造の該第1の端部が前記ワークピースを支持するよう配置された、透過性支持構造と、
前記ベースおよび前記光源を制御するよう構成されているコントローラと、
を備え、
前記光源は、前記透過性支持構造を通してコヒーレント光を放射し、該コヒーレント光が前記ワークピースの、前記透過性支持構造に接触する部分を加熱するよう動作可能であり、
前記コントローラは、回転方向および
回転速度の命令に従って回転するように前記ベースを制御し、前記コントローラは、前記ベースの前記回転方向および
前記回転速度に従って前記コヒーレント光を放出するように前記光源を制御する、
熱処理装置。
【請求項2】
前記透過性支持構造は、前記複数の熱源からの熱を前記ワークピースに透過するよう構成されている、請求項1記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記透過性支持構造は、石英材料を備える、請求項1記載の熱処理装置。
【請求項4】
前記光源は、前記ワークピースの熱処理中の前記回転可能な支持板の回転中に、前記回転可能な支持板に対して静止位置に維持されるよう構成されている、請求項1記載の熱処理装置。
【請求項5】
前記光源は、レーザを備える、請求項1記載の熱処理装置。
【請求項6】
前記透過性支持構造は、複数の支持ピンを備える、請求項1記載の熱処理装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記支持板の回転中に複数の支持ピンの1つが前記光源を通過するときに前記光源が前記複数の支持ピンの1つにかつ前記ワークピース上に前記コヒーレント光を放射し、かつ、前記複数の支持ピンの1つが前記光源の前方に位置していないときに前記光源が前記コヒーレント光の放射を停止するように、前記光源からの前記コヒーレント光の放射をベースの動きと同期させるよう構成されている、請求項1記載の熱処理装置。
【請求項8】
前記透過性支持構造は、リング支持体を備える、請求項1記載の熱処理装置。
【請求項9】
前記リング支持体は、前記ワークピースの中心に対して芯だしされている、請求項8記載の熱処理装置。
【請求項10】
前記リング支持体の幅は、前記リング支持体に接触する前記コヒーレント光の接触領域の直径を下回らない、請求項8記載の熱処理装置。
【請求項11】
コヒーレント光源を制御して前記コヒーレント光を前記リング支持体に連続的に放射するよう構成されたコントローラをさらに備える、請求項8記載の熱処理装置。
【請求項12】
処理チャンバ内でワークピースを加熱するためのプロセスであって、
前記処理チャンバ内の支持板上に前記ワークピースを配置するステップであって、
前記支持板は、熱処理中に前記ワークピースを支持するよう動作可能であり、
該支持板は、
ベースと、
該ベースから延びる少なくとも1つの支持構造と、
を備え、
前記少なくとも1つの支持構造は、熱処理中に前記ワークピースを支持するよう構成され、
前記少なくとも1つの支持構造は、複数の支持ピンを備え、
前記ベースは、第1の熱透過率に関連する第1の部分と、第2の熱透過率に関連する第2の部分とを備え、前記第2の熱透過率は前記第1の熱透過率とは異なり、前記第2の部分は、前記複数の支持ピンに近接して位置する、
支持板上に前記ワークピースを配置するステップと、
前記ワークピースを複数のランプ熱源で前記ベースおよび前記少なくとも1つの支持構造を通して加熱し、
光源から前記少なくとも1つの支持構造を通してコヒーレント光を放射し、該コヒーレント光が前記ワークピースの、前記少なくとも1つの支持構造に接触する部分を加熱し、
回転方向および
回転速度の命令に従って回転するように前記ベースを制御し、
前記ベースの前記回転方向および
前記回転速度に従って前記コヒーレント光を放出するように前記光源を制御する、
ステップと、
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、2018年3月20日に出願され、「熱処理システムにおける局所加熱のための支持板」という発明の名称の米国仮出願第62/645,476号の優先権の利益を主張し、その全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、熱処理システムに関する。
【0003】
背景
本明細書で使用される熱処理チャンバは、半導体ウェハなどのワークピースを加熱するデバイスを指す。そのようなデバイスは、1つまたは複数の半導体ウェハを支持するための支持板と、加熱ランプ、レーザまたは他の熱源などの、半導体ウェハを加熱するためのエネルギ源とを含むことができる。熱処理中、半導体ウェハは、事前設定された温度状況に従い制御された条件下で加熱することができる。
【0004】
多くの半導体加熱プロセスでは、ウェハがデバイスに組み入れられている際に様々な化学的かつ物理的変化が起こり得るように、ウェハを高温に加熱する必要がある。例えば、急速熱処理中、半導体ウェハは、典型的には数分未満である時間の間、支持板を通してランプのアレイによって約300℃~約1,200℃の温度に加熱され得る。これらのプロセス中の主な目標は、ウェハをできるだけ均一に加熱することであり得る。
【0005】
概要
本開示の実施形態の態様および利点は、以下の説明で部分的に説明されるか、またはその説明から学ぶことができ、または実施形態の実施を通じて学ぶことができる。
【0006】
本開示の1つの例示的な態様は、熱処理装置を対象とする。この装置は、ワークピースを加熱するように構成された複数の熱源を含む。この装置は、熱処理中にワークピースを支持するように動作可能な回転可能な支持板を含む。この回転可能な支持板は、ワークピースに接触するように構成された透過性支持構造を含む。この透過性支持構造は、第1の端部および第2の端部を含む。支持構造の第1の端部は、ワークピースを支持するように配置される。装置は、透過性支持構造を通してコヒーレント光を放射し、該コヒーレント光がワークピースの、透過性支持構造に接触する部分を加熱するよう動作可能な光源を含む。
【0007】
本開示の他の例示的な態様は、半導体基板を熱的に加工するためのシステム、方法、デバイス、およびプロセスを対象とする。
【0008】
様々な実施形態のこれらのおよび他の特徴、態様および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照してよりよく理解されるであろう。本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を示し、説明とともに、関連する原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
当業者を対象とする実施形態の詳細な説明は、添付の図面を参照する明細書に記載されている。
【
図1】本開示の例示的な実施形態による、空間的に配置された低透過ゾーンを有する支持板を有する例示的な急速熱処理(RTP)システムを示す。
【
図2A】本開示の例示的な実施形態による、空間的に配置された低透過ゾーンを有する例示的な支持板を示す。
【
図2B】本開示の例示的な実施形態による、空間的に配置された低透過ゾーンを有する例示的な支持板を示す。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による、空間的に配置された低透過ゾーンを有する支持板を通してワークピースを加熱するためのプロセスのフロー図を示す。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による、回転可能な支持板およびコヒーレント光源を有する例示的なRTPシステムを示す。
【
図5】本開示の例示的な実施形態による、空間的に配置された低透過ゾーンを有する例示的なベースを示す。
【
図6】本開示の例示的な実施形態による、空間的に配置された低透過ゾーンを有する回転可能な支持板を通してワークピースを加熱するコヒーレント光の例を示す。
【
図7】本開示の例示的な実施形態による、リング支持体を有する例示的な回転可能な支持板を示す。
【
図8】本開示の例示的な実施形態による、回転可能な支持板およびコヒーレント光源に基づいてワークピースを加熱するためのプロセスのフロー図を示す。
【0010】
詳細な説明
次に、実施形態を詳細に参照し、その1つまたは複数の例が図面に示されている。各例は、本開示を限定するものではなく、実施形態の説明のために提供される。実際、当業者には、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、実施形態に様々な修正および変更を加えることができることが明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明される特徴は、別の実施形態と共に使用して、さらに別の実施形態を生み出すことができる。したがって、本開示の態様は、そのような修正および変形を網羅することが意図されている。
【0011】
本開示の例示的な態様は、半導体ワークピース、光電子ワークピース、フラットパネルディスプレイまたは他の適切なワークピースなどのワークピースを均一に加熱するための、熱処理システムにおける局所加熱のための支持板を対象とする。ワークピース材料は、例えば、シリコン、シリコンゲルマニウム、ガラス、プラスチック、または他の適切な材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、ワークピースは半導体ウェハであり得る。支持板は、真空アニールプロセスに限定されないが急速熱プロセスなどを含む様々なワークピース製造プロセスを実施する様々な熱処理システムでワークピースを支持するために使用することができる。支持板は、ワークピースの片面(例えば、裏面)または両面が1つまたは複数の熱源に曝される上記の熱処理システムに適用することができる。
【0012】
熱処理チャンバは、紫外線から近赤外線電磁スペクトルの範囲の光を放射する熱源を含むことができる。ワークピースの片面または両面を熱源に曝すために、ワークピースは、通常はワークピースの下方のベースである、キャリア構造に取り付けられた1つまたは複数の支持ピンによって支持される。支持ピンおよびベースは支持板を形成する。いくつかの構成では、ベースは、熱源からの光を遮らないように、非常に透明で均一な材料(例えば、石英ガラス)から作られる。しかしながら、支持ピンによる光の妨害は避けられない。そのため、支持ピンと接触するワークピースの接触領域でワークピースの温度を低下させるピンスポット効果が生じ得る。
【0013】
ワークピースの加熱中、ワークピースは、熱処理チャンバ内の壁および支持板と熱平衡状態にない。支持ピンの材料(例えば、石英材料)の熱伝導率が低く、また支持ピンと接触しているワークピースの接触領域が小さい場合でも、支持ピンに関連したより低温の接触領域への熱伝導による冷却効果が依然として存在する。さらに、高速熱過渡現象(例えば、急速熱処理アプリケーション)では、増加した支持ピンの熱質量が、接触領域でのワークピースの昇温速度を低下させる可能性がある。その結果、接触領域でワークピースの温度が低下し、冷温スポットが形成される。通常、1つまたは複数の冷温スポットは、支持板と接触しているワークピースの1つまたは複数の接触領域に残され得る。冷温スポットは、シャドウイング、熱伝導、およびより高い熱質量などの3つの主な効果によって引き起こされ得る。本開示の例示的な態様によれば、接触領域の局所加熱を使用して、ワークピースに残った冷温スポットを補償することができる。
【0014】
本開示の例示的な態様は、ワークピース上の冷温スポットを補償するための、熱処理システムにおける局所加熱のための支持板を対象とする。局所加熱は、冷温スポットを引き起こす領域に近接する、支持板の1つまたは複数の部分が支持板の残りの部分よりも多くの熱を透過するように、支持板の熱透過率を修正することで実現される。
【0015】
例えば、支持板は、ベースと、処理中にワークピースと接触するための1つまたは複数の支持ピンとを含むことができる。1つまたは複数の熱源(例えば、ランプ、レーザ、または他の熱源)が、ワークピースを加熱するために使用される。局所加熱は、支持ピンに近接する(例えば、下方および/または周囲、上方および/または周囲など)支持板の領域が支持板の残りの部分よりも熱源からの光をより多く透過するように、支持板の光透過率を修正することで実現される。例えば、支持板の光透過率は、支持ピンがベースに接合されるベースの部分のみがベースの未加工の材料(例えば、石英ガラス)に対して変化しないように修正される。ベースの、支持ピンから離れた部分では、ベースの石英ガラスを加工することにより光透過率が低下させられる。光透過率を低下させる加工には、研削、コーティング、彫刻(engraving)、またはドーピングが含まれ得る。ベースの、未加工の石英ガラスを有する部分は、ベースの、加工済みの石英ガラスを有する部分と比較して、より高い熱流束を透過する。そのようにして、ワークピースは、ベースの、支持ピンに近接して位置する部分からのより高い熱流束に曝され、結果として、支持ピンによって引き起こされる冷温スポットは補償される。
【0016】
本開示の別の例示的な態様は、ワークピース上の冷温スポットを補償するための、熱処理システムにおける局所加熱のための熱処理装置を対象とする。熱処理装置は、1つまたは複数の熱源(例えば、ランプ、または他のあらゆる熱源)と、コヒーレント光源(例えば、レーザ、または他のあらゆる適切な光源)と、支持構造(例えば、1つまたは複数の支持ピンまたはリング支持体など)を有する回転可能な支持板とを含む。ワークピースの、支持構造との接触から生じる冷温スポットは、熱源からの光によってワークピースを全体的に加熱することに加えて、コヒーレント光源がワークピースを支持構造を通して加熱することにより、補償することができる。そのようにして、冷温スポットはコヒーレント光源からの光によって局所的に加熱される。
【0017】
例えば、いくつかの実施形態において、冷温スポットは、コヒーレント光源からのコヒーレント光のビーム(例えば、レーザビーム)を支持ピンに照射することによって補償される。支持ピンは、石英などの透過性材料から作られている。コヒーレント光は透過性の支持ピンを通過して、ワークピースの、支持ピンに接触している部分を加熱する。
【0018】
いくつかの実施形態では、コヒーレント光源は熱処理装置の静止部分に取り付けられ、支持板の回転中に支持ピンはコヒーレント光を通って回転する。コヒーレント光源は、いくつかの実施形態では、ワークピースの、支持ピンと接触している接触領域のみを加熱するように、ワークピースの回転に同期してオンとオフとが切り替えられるように制御することができる。例えば、支持板の回転中に支持ピンがコヒーレント光源の前方を通過するときのみコヒーレント光を放射するようにコヒーレント光源を制御することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、同期は、光源から放射されるコヒーレント光のパワーを整形することによって達成することができる。例えば、支持ピンがコヒーレント光源の前方を通過していないときは、コヒーレント光のパワーを第1の値になるように制御することができる。支持ピンがコヒーレント光源に近づくにつれて、コヒーレント光のパワーを増加させることができる。支持ピンがコヒーレント光源を通過するとき、コヒーレント光のパワーは、第1の値より大きい第2の値になるように制御することができる。支持ピンが回転してコヒーレント光源から離れるにつれて、コヒーレント光のパワーは減少させることができ、例えば、第1の値に戻すか、または第2の値よりも小さい第3の値にすることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、この同期は、電気制御回路によって達成することができ、トリガ信号は、回転方向および回転速度を示すセンサ信号から生成される。例えば、回転可能な支持板のまたはワークピースの回転方向および速度の既知の情報に基づいて、コヒーレント光源の放射を、回転可能な支持板の動きと同期させることができる。コヒーレント光源は、支持板の回転中に支持ピンがコヒーレント光源の上方を通過するときに支持ピン内にかつワークピース上にコヒーレント光を放射し、またコヒーレント光源は、支持ピンがコヒーレント光源の前方に位置しないときにコヒーレント光の放射を停止する。
【0021】
いくつかの実施形態では、局所加熱は、ベースの、支持ピンに近接する1つまたは複数の部分がコヒーレント光を透過させ、かつベースの残りがコヒーレント光源からのコヒーレント光に対して不透明になるように、ベースの光透過率を修正することによって達成することができる。ベースの不透明部分は、研削、コーティング、彫刻、またはドーピングによって生成することができる。ベースの不透明部分は、熱源からの光を妨げないように小さくすることができる。いくつかの実施形態では、不透明部分は、準環状不透明部分(例えば、分断リング)の形態をなす、ベースの片面(例えば、裏面)または両面の波長選択コーティングである。準環状不透明部分は、コヒーレント光源に対する支持板の回転中にベースに沿ったコヒーレント光の経路に沿って支持ピンの間に延びることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、準環状不透明部分の幅は、ベースに接触するコヒーレント光の接触領域の直径以下とすることができる。接触領域の例には、ベース上へのコヒーレント光の焦点、またはベースと接触するコヒーレント光の断面が含まれる。波長選択コーティングは、コヒーレント光放射の狭帯域のみを遮断する一方、熱源からの広帯域光をほぼ完全に透過させるよう選択され、これにより全体的な温度均一性への影響は低減される。そのようにして、回転可能な支持板の回転に対するコヒーレント光源の同期は、回転可能な支持板自体によって本来的にもたらされる。この例示的な実施形態では、コヒーレント光源は、熱サイクル全体または熱サイクルの関連部分の間、オンに維持してコヒーレント光を放射することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、支持板はリング支持体を含むことができる。リング支持体は、コヒーレント光源からのコヒーレント光を通過させてワークピースを加熱することを可能にする透過性材料(例えば、石英)であり得る。この例示的な実施形態では、コヒーレント光源は、熱サイクル全体または熱サイクルの関連部分の間、オンに維持してコヒーレント光を放射することができる。リング支持体は、ワークピースの中心に対して芯だし(centered)してベースに取り付けることができる。リング支持体の高さは、支持ピンの高さとほぼ同じにすることができる。追加の加熱がない場合、リング支持体はワークピースに回転対称の冷温パターンを引き起こす可能性がある。コヒーレント光源をリング支持体に近接させて(例えば、下方)に配置するとともに、ワークピースおよびリング支持体を共通の中心周りに回転させることにより、冷温パターンは、コヒーレント光源からのコヒーレント光をリング支持体を通してワークピースに連続的に放射することにより補償される。
【0024】
本開示の態様は、多くの技術的効果および利益を達成することができる。例えば、本開示の態様は、熱処理ツールにおける支持ピンに関連した冷温スポットの存在を減らすことができる。
【0025】
本開示のこれらの例示的な実施形態に対して変更および修正を行うことができる。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「and」、および「the」は、文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。「第1」、「第2」、「第3」、および「第4」の使用は、識別子として使用され、処理の順序に向けられている。例示的な態様は、例示および説明の目的で、「基板」、「ウェハ」または「ワークピース」を参照して説明され得る。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本開示の例示的な態様をあらゆる適切なワークピースと共に使用できることを理解するであろう。数値と併せて「約」という用語を使用することは、言及される数値の20%以内を指す。
【0026】
ここで図を参照して、本開示の例示的な実施形態を詳細に説明する。
図1は、本開示の例示的な実施形態による例示的な急速熱処理(RTP)システム100であって、空間的に配置された低透過ゾーンを有する支持板120を有する例示的な急速熱処理(RTP)システム100を示す。図示のように、RTPシステム100は、RTPチャンバ105、ワークピース110、支持板120、熱源130および140、空気軸受145、高温計165、コントローラ175、ドア180、およびガス流量コントローラ185を含む。
【0027】
処理すべきワークピース110は、支持板120によってRTPチャンバ105(例えば、石英RTPチャンバ)内で支持される。支持板120は、熱処理中にワークピース110を支持する。支持板120は、回転可能なベース135と、回転可能なベース135から延びる少なくとも1つの支持構造115とを含む。支持構造は、熱処理中にワークピースに接触して支持する構造を表す。支持構造の例には、1つまたは複数の支持ピン、リング支持体、あるいはワークピースに接触して支持する他のあらゆる適切な支持体が含まれ得る。
図1に示すように、支持構造115は、1つまたは複数の支持ピン(1つのみが示される)を含む。支持構造115および回転可能なベース135は、熱源140からの熱を透過し、ワークピース110から熱を吸収することができる。いくつかの実施形態では、支持構造115および回転可能なベース135は、石英から作られ得る。以下でさらに説明するように、回転可能なベース135は、規定の回転方向および規定の回転速度でワークピース110を回転させる。
【0028】
ガードリング(図示せず)を使用して、ワークピース110の1つまたは複数のエッジからの放射のエッジ効果を低減することができる。端板190はチャンバ105を密閉し、ドア180はワークピース110の入室を可能にし、閉鎖時にはチャンバ105の密閉と、チャンバ105内へのプロセスガス125の導入とを可能にする。2段の熱源(例えば、ランプ、または他の適切な熱源)130および140が、ワークピース110の両面側に示されている。コントローラ175(例えば、コンピュータ、1つまたは複数のマイクロコントローラ、他の1つまたは複数の制御デバイスなど)は、熱源130および140を制御するために使用される。コントローラ175は、ガス流量コントローラ185、ドア180、および/またはここでは高温計165として示される温度測定システムを制御するために使用することができる。
【0029】
ガス流150は、ワークピース110と反応しない不活性ガスとすることができ、またはガス流150は、ワークピース110の材料(例えば、半導体ウェハなど)と反応してワークピース110上に層を形成する酸素または窒素などの反応性ガスとすることができる。ガス流150は、処理中のワークピース110の加熱表面で反応してワークピース110の表面からいかなる材料も消費することなく該加熱表面上に層を形成するシリコン化合物を含み得るガスとすることができる。ガス流150が反応して表面上に層を形成するとき、このプロセスは急速熱化学蒸着(RT-CVD)と呼ばれる。いくつかの実施形態では、RTPシステム100内の雰囲気中に電流を走らせることによって、表面とまたは表面で反応するイオンを生成することができるとともに、表面に高エネルギイオンを衝突させて表面に追加のエネルギを与えることができる。
【0030】
コントローラ175は、回転可能なベース135を制御して、ワークピース110を回転させる。例えば、コントローラ175は、回転可能なベース135の回転方向および回転速度を規定する命令を生成し、回転可能なベース135を制御してワークピース110を規定の回転方向および規定の回転速度で回転させる。回転可能なベース135は、空気軸受145によって支持されている。回転可能なベース135に衝突するガス流150は、回転可能なベース135を軸線155周りに回転させる。
【0031】
いくつかの実施形態では、回転可能なベース135は、第1の熱透過率に関連する第1の部分と、第2の熱透過率に関連する第2の部分とを有することができる。第2の熱透過率は、第1の熱透過率とは異なる。第2の部分は、支持ピン115に近接して位置させられている。回転可能なベース135の例は、
図2Aおよび
図2Bと共に以下でさらに説明される。
【0032】
図2Aおよび
図2Bは、本開示の例示的な実施形態による、空間的に配置された低透過ゾーンを有する例示的な支持板200を示す。
図2Aおよび
図2Bの実施形態では、支持板200は、3つの支持ピン210および回転可能なベース230を含む。本開示の範囲から逸脱することなく、より多いまたはより少ない支持ピンを使用することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、支持板200は、支持板120(
図1)の例示的な実施形態であり、1つの支持ピン210は、例示的な支持ピン115(
図1)の実施形態である。各支持ピン210は、第1の端部212および第2の端部214を有する。支持ピン210の第1の端部212は、ワークピース(図示せず)に接触して該ワークピースを支持する。支持ピン210の第2の端部214は、回転可能なベース230に接触する(例えば、結合される)。いくつかの実施形態では、支持ピン210は、回転可能なベース230と一体であり得る。
【0034】
図示のように、回転可能なベース230は、3つの円形領域220を含む。各円形領域220は、1つの支持ピン210の第2の端部214に近接して位置させられている。1つの円形領域220の直径は、回転可能なベース230に接触する対応する支持ピン210の接触領域の直径よりも大きい。1つの円形領域220の中心は、対応する支持ピン210の中心と一致する。回転可能なベース230の残余領域240は、回転可能なベース230内の3つの円形領域220を除く領域を表す。残余領域240は第1の熱透過率に関連し、3つの円形領域220は第2の熱透過率に関連する。第2の熱透過率は、第1の熱透過率とは異ならせることができる。例えば、第2の熱透過率は、第1の熱透過率よりも高くすることができる。領域240は、円形領域220よりも低い熱透過率を有する低透過ゾーンと呼ばれる。そのようにして、円形領域220は、残余領域240よりも多くの熱を透過して、支持ピン210によって支持されたワークピース上に残り得る冷温スポットを補償する。その結果、支持板200を介して、より均一な熱がワークピースに分配される。
【0035】
本開示は、例示および説明の目的で、円形の形状を有する領域220を用いて説明される。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、領域220が本開示の範囲から逸脱することなく他の形状を有することができることを理解するであろう。
【0036】
いくつかの実施形態では、支持板200の光透過率は、円形領域220が回転可能なベース230の未加工の材料(例えば、未加工の石英)から変化しないように修正される。残余領域は、円形領域220と比較して光透過率が低下させられた加工済みの材料(例えば、加工済みの石英)とすることができる。加工済みの石英は、研削、コーティング、彫刻、またはドーピングの1つまたは複数で加工され得る。未加工の石英を有する円形領域220は、加工済みの石英を有する残余領域240と比較して、より高い熱流束を透過する。そのようにして、ワークピースは、円形領域220からのより高い熱流束に曝され、その結果、支持ピン220によって引き起こされる冷温スポットは補償される。
【0037】
本開示の態様は、例示および説明の目的で、支持構造として1つまたは複数の支持ピンと回転可能なベースとを有する支持板を参照して説明される。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本開示の範囲から逸脱することなく回転不能なベースを使用できることを理解するであろう。例えば、回転不能なベースは、第1の熱透過率に関連する第1の部分と、第2の熱透過率に関連する第2の部分とを有することができる。第2の熱透過率は、第1の熱透過率とは異なり、第2の部分は、支持構造(例えば、支持ピン、リング支持体など)に近接して位置させられる。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本開示の範囲から逸脱することなく、あらゆる支持構造(例えば、支持ピン、リング支持体、任意の形状の支持構造など)も使用できることを理解するであろう。
【0038】
図3は、本開示の例示的な実施形態による、空間的に配置された低透過ゾーンを有する支持板を通してワークピースを加熱するためのプロセス(300)のフロー図を示す。このプロセス(300)は、
図1のRTPシステム100を使用して実施することができる。しかしながら、以下で詳細に説明するように、本開示の例示的な態様によるプロセス(300)は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の熱処理システムを使用して実施することができる。
図3は、例示および説明の目的ために特定の順序で実行されるステップを示している。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本明細書で説明される方法のいずれかの様々なステップを、本開示の範囲から逸脱することなく、省略し、拡張し、同時に実行し、再配置し、かつ/または様々に修正できることを理解するであろう。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な追加のステップ(図示せず)を実行することができる。
【0039】
ステップ(310)で、このプロセスは、処理チャンバ内の支持板上にワークピースを配置することを含むことができる。例えば、
図1の実施形態では、支持板120は、支持ピン115および回転可能なベース135を含む。ワークピース110は、ドア180を介してRTPチャンバ120内の支持ピン115上に配置される。いくつかの実施形態では、支持板120は、アニール処理チャンバで使用することができる。例えば、アニーリング用のワークピースは、アニール処理チャンバ内の支持板120上に配置することができる。いくつかの実施形態では、支持板120は、他の支持構造(例えば、リング支持体、任意の形状の支持構造など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、支持板120は、空間的に配置された低透過ゾーンを有する回転不能なベースを含むことができる。
【0040】
ステップ(320)で、プロセスは、処理チャンバ内で支持板を用いてワークピースを回転させることを含むことができる。例えば、
図1の実施形態では、コントローラ175は、回転可能なベース135に、RTPチャンバ105内のワークピース110を回転させるように命令する。
【0041】
ステップ(330)で、このプロセスは、複数の熱源を用いて支持板を通してワークピースを加熱することを含むことができる。例えば、
図1の実施形態では、コントローラ175は熱源140を制御して、回転可能なベース135および支持ビン115を通してワークピース110を事前設定された温度まで加熱する。
【0042】
ステップ(340)で、このプロセスは、ワークピースを支持板から取り外すことを含むことができる。例えば、
図1の実施形態では、ワークピース110を、支持ビン115から取り外し、ドア180を介してRTPチャンバ105から排出することができる。
【0043】
図4は、本開示の例示的な実施形態による、回転可能な支持板410とコヒーレント光源430とを有する例示的なRTPシステム400を示す。図示のように、RTPシステム400は、RTPチャンバ105と、ワークピース110と、支持ピン415およびベース420を有する回転可能な支持板410と、コヒーレント光源430と、コントローラ440と、熱源130および140と、空気軸受145と、高温計165と、ドア180と、ガス流量コントローラ185とを含む。
【0044】
コヒーレント光源430(例えば、レーザ)は、チャンバ105にコヒーレント光435を提供することができる。いくつかの実施形態では、コヒーレント光源430は、チャンバ105の外部に位置させられ、光435を、光パイプまたは光導体435(例えば、光ファイバ)を介してチャンバ105に伝送する。
【0045】
回転可能な支持板410は、熱処理中にワークピース110を支持する。回転可能な支持板410は、透過性支持構造と回転可能なベース415とを含む。透過性支持構造は、ワークピース110に接触して該ワークピースを支持し、かつ熱処理中にコヒーレント光源430(例えば、レーザ)からの光435をワークピース110に透過させる構造を表す。透過性支持構造の例には、1つまたは複数の支持ピン、リング支持体、あるいはワークピース110に接触して該ワークピース110を支持しかつ光をワークピース110に透過させる他のあらゆる適切な支持体が含まれ得る。
【0046】
透過性支持構造は、第1の端部および第2の端部を含む。透過性支持構造の第1の端部は、ワークピース110を支持するように配置される。透過性支持構造の第2の端部は、回転可能なベース420の第1の表面と接触する(例えば、結合される)。
図1の例示的な実施形態では、透過性支持構造は、1つまたは複数の支持ピン415(1つのみが示される)を含む。1つの支持ピン415の一方の端部は、ワークピース110の裏面に接触し、該支持ピン415の他方の端部は、ベース420の表面に接触する。以下でさらに説明するように、ベース420は、コントローラ440から受け取った命令に基づいて、規定の回転方向および規定の回転速度でワークピース110を回転させる。
【0047】
いくつかの実施形態では、透過性支持構造およびベース420は、熱源140から熱を透過し、ワークピース110から熱を吸収することができる。例えば、透過性支持構造およびベース420は、石英から作られ得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、回転可能な支持板410は、1つまたは複数の支持ピン415と、少なくとも2つの支持ピン415の間に配置された準環状不透明部分(
図5および
図6に示す)を有するベース420とを含む。準環状不透明部分は、ワークピース110の回転中にコヒーレント光源430がコヒーレント光をベース420内およびベース420上に連続的に放射できるようにするために、コヒーレント光源430のコヒーレント光がワークピース110を加熱するのを妨げることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、回転可能な支持板410は、リング支持体(
図7に示す)およびベース420を含む。例えば、リング支持体およびベース420の両方は、コヒーレント光源430から連続的に放射されるコヒーレント光を通過させてワークピース110を加熱することができる透過性材料(例えば、石英)であり得る。
【0050】
コヒーレント光がワークピース110の、透過性支持構造に接触する部分を加熱するように、コヒーレント光源430は、回転可能ベース420および透過性支持構造を通してコヒーレント光435を放射する。コヒーレント光源430の例は、連続波レーザ、パルスレーザ、またはコヒーレント光を放射する他の適切な光源を含み得る。
【0051】
図4の例示的な実施形態では、コヒーレント光源430は、RTPチャンバ105の静止部分に取り付けられ、回転可能な支持板410の回転中に支持ピン415はコヒーレント光435を通って回転する。コヒーレント光源430は、ベース420の裏面にコヒーレント光435を放射し、放射されたコヒーレント光は、支持ピン415を通過して、ワークピース110の、該支持ピン415に接触する接触領域を加熱することができる。そのようにして、ワークピース110が支持ピン415と接触することで生じる冷温スポットは、熱源140からの光によってワークピース110を全体的に加熱することに加えて、コヒーレント光源430で支持ピン415を通してワークピース110を加熱することによって補償することができる。いくつかの実施形態では、コヒーレント光源430は、ワークピースの、支持ピン415に接触する接触領域を加熱するようにワークピース110の回転に同期してオンとオフとが切り替えられるようにコントローラ440によって制御される。コントローラ440は、回転可能なベース415と、コヒーレント光源430と、熱源130および140と、ガス流量コントローラ185と、ドア180と、高温計165とのうちの1つまたは複数を制御する。コントローラ440は、ベース420を制御して、規定の回転方向および規定の回転速度でワークピース110を回転させる。例えば、コントローラ440は、ベース420の回転方向および回転速度を規定する命令を生成し、ベース420を制御してワークピース110を規定の回転方向および規定の回転速度で回転させる。いくつかの実施形態では、コントローラ440は、ベース420の回転方向および回転速度に基づいてコヒーレント光435を放射するようにコヒーレント光源430を制御する。例えば、コントローラ440は、ベース420の回転方向および回転速度を示すセンサ信号に基づいてコヒーレント光源430をトリガしてコヒーレント光435を放射させるトリガ信号を生成する電気制御回路を含むことができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、コントローラ440は、ベース420の回転中に支持ピン415がコヒーレント光源430を通過するときにコヒーレント光源430が支持ピン415の1つにおよびワークピース110にコヒーレント光を放射し、また支持ピン415がコヒーレント光源430の前方に位置していないときにコヒーレント光源430がコヒーレント光の放射を停止するように、コヒーレント光源430からのコヒーレント光の放射をベース420の動きと同期させる。例えば、コントローラ440は、ベース420の回転方向および回転速度に基づいてコヒーレント光源430にコヒーレント光を放射するように命令する命令を生成する。この命令は、コヒーレント光源430にコヒーレント光を放射するように命令するコマンド、コヒーレント光源430にコヒーレント光の放射を停止するように命令するコマンド、ワークピース110の回転方向および回転速度に基づいてコヒーレント光源430の放射とその次の放射との間の時間間隔を計算するコマンドなどを含むことができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、コントローラ440はコヒーレント光源430を制御して、コヒーレント光を透過性支持構造内に連続的に放射させる。例えば、コントローラ440は、コヒーレント光源430をオンに維持してコヒーレント光をベース420上に連続的に放射するように命令する命令を生成する。ベース420は、コヒーレント光源430のコヒーレント光が、ワークピース110の、支持構造と接触していない部分を加熱するのを妨げる準環状不透明部分を含むことができる。支持ピン415がコヒーレント光源430の前方に位置しない場合、コントローラ440は、コヒーレント光源430をオンに維持し、コヒーレント光を準環状不透明部分に連続的に放射するようコヒーレント光源430に命令し、放射されたコヒーレント光は準環状不透明部分によって遮断される。支持ピン415が連続的に放射されるコヒーレント光の前方を通過するとき、コヒーレント光は支持ピン415を通過してワークピース110を加熱する。
【0054】
別の例では、コントローラ440は、コヒーレント光源430をオンに維持し、コヒーレント光をリング支持体を有する回転可能な支持板410上に連続的に放射するように命令する命令を生成する。ワークピース110の回転中、リング支持体は常にコヒーレント光源430を通過し、コヒーレント光を透過させてワークピース110を加熱する。コントローラ440は、コヒーレント光源430にコヒーレント光をリング支持体内に連続的に放射するように命令する。そのようにして、リング支持体によって引き起こされる冷温パターンは、コヒーレント光源430からのコヒーレント光をリング支持体を通してワークピース110上に連続的に照射することによって補償される。
【0055】
図5は、本開示の例示的な実施形態による、空間的に配置された低透過ゾーンを有する例示的なベース500を示す。
図5の実施形態では、ベース500は、ベース420の実施形態であり得る。ベース500は、3つの丸形部分510と、複数の準環状不透明部分520と、残余部分530とを含む。1つの丸形部分510は、ワークピースの、支持ピン(図示せず)に接触する接触領域である。各準環状不透明部分は、3つの丸形部分510のうちのいずれか2つの間に配置される。ベース500の残余部分530は、ベース500内の3つの丸形部分510および複数の準環状不透明部分520を除いた部分を表す。
【0056】
図6は、本開示の例示的な実施形態による、ベース500および支持ピン415を通してワークピース110を加熱するコヒーレント光610の例を示す。コヒーレント光610は、コヒーレント光源(図示せず)から放射される。コヒーレント光610は、支持ピン415を通過して、ワークピース110を加熱する。ベース500が回転すると、支持ピン415はコヒーレント光610の前方に位置しないが、1つの準環状不透明部分520がコヒーレント光610の上方を通過し、コヒーレント光610がワークピース110を加熱するのを妨げる。そのようにして、冷温スポットは、ベース500の回転中に、連続的に放射するコヒーレント光を各支持ピンに照射することによって補償される。
【0057】
図5および6の実施形態では、準環状不透明部分520の幅は、ベース500と接触しているコヒーレント光610の接触領域の直径を下回らない。コヒーレント光610の接触領域の例には、ベース500上へのコヒーレント光610の焦点、またはベース500に接触するコヒーレント光610の断面が含まれる。丸形部分510および残余部分530は、ベース500の未加工の材料(例えば、未加工の石英)に関して不変であり得る。準環状不透明部分520は、コヒーレント光源(図示せず)のコヒーレント光がワークピース110を加熱するのを妨げる加工済みの材料(例えば、加工済みの石英)であり得る。加工済みの材料は、研削、コーティング、彫刻、またはドーピングの1つまたは複数で加工され得る。いくつかの実施形態では、準環状不透明部分520は、ベース500の片面(例えば、裏面)または両面上の波長選択コーティングを含む。波長選択コーティングは、コヒーレント光放射の狭帯域のみを遮断する一方、熱源からの広帯域光をほぼ完全に透過させるよう選択され、これにより全体的な温度均一性への影響は低減される。
【0058】
いくつかの実施形態では、準環状不透明部分520は、コヒーレント光源(図示せず)に対するベース500の回転中に、ベース500に沿ったコヒーレント光610の経路に沿って支持ピン415の間を延びることができる。準環状不透明部分520は、熱源(図示せず)からの光を妨げないように小さくすることができる。準環状不透明部分520は、コヒーレント光がワークピースを加熱するのを妨げる低透過ゾーンとも呼ばれる。
【0059】
本開示の態様は、例示および説明の目的で、透過性支持構造としての3つの支持ピンを有する回転可能な支持板を参照して説明される。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本開示の範囲から逸脱することなく、回転可能な対称配置を有する複数の分離された支持体を使用できることを理解するであろう。例えば、複数の支持体は相互に接続されていないが、これらの複数の支持体はベース上で回転可能な対称パターンで配置される。支持体は任意の形状を持つことができる。
【0060】
図7は、本開示の例示的な実施形態による、リング支持体720を有する例示的な回転可能な支持板700を示す。
図7の実施形態では、回転可能な支持体700は、回転可能な支持板410の実施形態であり得る。回転可能な支持体700は、回転可能なベース710およびリング支持体720を含む。リング支持体720は、回転可能なベース710の中心に対して芯だしされる。いくつかの実施形態では、リング支持体720は、リング支持体720に接触するワークピース(図示せず)の中心に対して芯だしされる。リング支持体720の幅は、リング支持体720と接触するコヒーレント光(図示せず)の接触領域の直径を下回らない。コヒーレント光の接触領域の例には、リング支持体720上へのコヒーレント光の焦点、またはリング支持体720に接触するコヒーレント光の断面が含まれる。いくつかの実施形態では、リング支持体720の高さは、支持ピン415の高さとほぼ同じにすることができる。いくつかの実施形態では、回転可能なベース710およびリング支持体720の両方は、コヒーレント光源からのコヒーレント光の通過を可能にしてワークピースを加熱する透過性材料(例えば、未加工の石英)であり得る。そのようにして、コヒーレント光源は、回転可能なベース710およびリング支持体720を通過するコヒーレント光を連続的に放射して、リング支持体720に接触するワークピースを加熱することができる。さらに、リング支持体720によって引き起こされる冷温パターンは、コヒーレント光源から連続的に放射してワークピースを加熱することよって補償することができる。
【0061】
本開示の態様は、例示および説明の目的で、透過性支持構造としてのリング支持体を有する回転可能な支持板を参照して説明される。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本開示の範囲から逸脱することなく、回転可能な対称形状を有するあらゆる透過性支持構造も使用できることを理解するであろう。
【0062】
図8は、本開示の例示的な実施形態による、回転可能な支持板およびコヒーレント光源に基づいてワークピースを加熱するためのプロセス(800)のフロー図を示す。このプロセス(800)は、RTPシステム400を使用して実施することができる。しかしながら、以下で詳細に説明するように、本開示の例示的な態様によるプロセス(800)は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の熱処理システムを使用して実施することができる。
図8は、例示および説明の目的ために特定の順序で実行されるステップを示している。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本明細書で説明される方法のいずれかの様々なステップを、本開示の範囲から逸脱することなく、省略し、拡張し、同時に実行し、再配置し、かつ/または様々に修正できることを理解するであろう。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な追加のステップ(図示せず)を実行することができる。
【0063】
ステップ(810)で、このプロセスは、処理チャンバ内の回転可能な支持板上にワークピースを配置することを含むことができる。回転可能な支持板は、透過性支持構造およびベースを含む。例えば、
図4の実施形態では、回転可能な支持板410は、支持ピン415およびベース420を含む。ワークピース110は、ドア180を介してRTPチャンバ105内の支持ピン415上に配置される。いくつかの実施形態では、回転可能な支持板410は、アニール処理チャンバ内で使用することができる。例えば、アニーリングのためのワークピースは、アニール処理チャンバ内の回転可能な支持板410上に配置することができる。
【0064】
ステップ(820)で、このプロセスは、1つまたは複数の熱源を用いてワークピースを加熱することを含むことができる。例えば、
図4の実施形態では、コントローラ440は熱源140を制御して、ベース420および支持ビン415を通してワークピース110を事前設定された温度に加熱する。
【0065】
ステップ(830)で、このプロセスは、ワークピースの加熱中に、1つまたは複数の熱源に対して回転可能な支持板でワークピースを回転させることを含むことができる。例えば、
図4の実施形態では、コントローラ440は、ベース420に、規定の回転方向および規定の回転速度でRTPチャンバ105内のワークピース110を回転させるように命令する。
【0066】
ステップ(840)で、このプロセスは、コヒーレント光源からコヒーレント光をベースおよび透過性支持構造を通して放射し、該コヒーレント光が、ワークピースの、透過性支持構造に接触する部分を加熱することを含むことができる。例えば、
図4の実施形態では、コントローラ440は、ベース420の回転中に支持ピン415がコヒーレント光源430を通過するときにコヒーレント光源430が支持ピン415の1つにおよびワークピース110にコヒーレント光を放射し、また支持ピン415がコヒーレント光源430の前方に位置していないときにコヒーレント光源430がコヒーレント光の放射を停止するように、コヒーレント光源430からのコヒーレント光の放射をベース420の動きと同期させる。別の例では、コントローラ440は、コヒーレント光源430を制御してコヒーレント光を連続的に放射し、回転可能な支持板410(例えば、
図5および
図6の支持ピン415およびベース500を有する回転可能な支持板または
図7の回転可能な支持板700)を通してワークピース110を加熱する。
【0067】
ステップ(850)で、このプロセスは、回転可能な支持板からワークピースを取り外すことを含むことができる。例えば、
図4の実施形態では、ワークピース110を、支持ビン415から取り外し、ドア180を介してRTPチャンバ105から排出することができる。
【0068】
本開示の態様は、回転可能な支持板を参照して説明される。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本開示の例示的な態様が静止支持板で実施できることを理解するであろう。例えば、1つまたは複数のコヒーレント光源は、静止支持板上の支持ピンを考慮して位置決めされ得る。コヒーレント光源は、ワークピースの冷温スポットを低減するために、コヒーレント光を静止支持板にかつ支持ピンを通して放射することができる。
【0069】
本主題は、その特定の例示的な実施形態に関して詳細に説明されているが、当業者は、前述の理解を得ると、そのような実施形態の代替、変形、および同等物を容易に作り出すことができることが理解されよう。したがって、本開示の範囲は、限定ではなく例としてのものであり、主題とする開示は、当業者に容易に明らかになるような本主題に対するそのような修正、変形および/または追加を包含することを排除しない。