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特許7516446画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/10 20230101AFI20240708BHJP
【FI】
H04N23/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022042912
(22)【出願日】2022-03-17
(65)【公開番号】P2023136957
(43)【公開日】2023-09-29
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】西尾 太介
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-314616(JP,A)
【文献】特開2016-187121(JP,A)
【文献】特開2004-086031(JP,A)
【文献】特開平05-284521(JP,A)
【文献】特開2005-045559(JP,A)
【文献】特開平07-307945(JP,A)
【文献】実開昭61-007179(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222- 5/257
H04N 9/01 - 9/11
H04N 9/44 - 9/78
H04N 23/00
H04N 23/10
H04N 23/12 -23/17
H04N 23/40 -23/76
H04N 23/90 -23/959
H04N 25/10 -25/17
H04N 25/611
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像におけるブラックバランスのずれを検出する検出手段と、
前記入力画像に適用するホワイトバランスに関する情報を取得する取得手段と、
前記検出手段によって前記ブラックバランスのずれを検出した場合、前記ホワイトバランスに関する情報に基づいて、前記ブラックバランスのずれを補正する補正値を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された補正値に従って、前記ブラックバランスのずれを調整する調整手段と、
前記入力画像に対する赤外光の影響の有無を判定する判定手段と、を有し、
前記算出手段は、前記検出手段によって前記ブラックバランスのずれを検出した場合、前記入力画像に対する赤外光の影響の有無に基づいて前記補正値を算出する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ホワイトバランスに関する情報はホワイトバランスのずれに関する情報である、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記入力画像の撮影環境に関する情報を取得し、
前記算出手段は、前記検出手段によって前記ブラックバランスのずれを検出した場合、前記撮影環境に関する情報に基づいて前記補正値を算出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記撮影環境に関する情報は、撮影環境の光源の色温度であることを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記撮影環境に関する情報は、撮影環境の赤外光の量である、ことを特徴とする請求項またはに記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像のホワイトバランスを制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記ホワイトバランスに関する情報に応じて前記画像のホワイトバランスをずらすように制御することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記検出手段が検出したブラックバランスのずれに基づいて、前記ホワイトバランスを制御することを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記検出手段は、前記入力画像におけるセンサゲイン、シャッタ速度、温度、撮像装置の稼働時間及び撮影環境の赤外光の光量のうちの少なくとも1つを検出することにより、前記ブラックバランスのずれを検出することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記検出手段は、前記入力画像における前記センサゲインが大きいほど、前記シャッタ速度が速いほど、前記温度が高いほど、撮像装置の稼働時間が長いほど、撮影環境の赤外光の光量が多いほど、前記ブラックバランスのずれを大きく検出することを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
階調値の優先度を設定する設定手段を更に備え、前記算出手段は、前記階調値の優先度に応じて前記補正値を算出することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
入力画像におけるブラックバランスのずれを検出する検出ステップと、
前記入力画像に適用するホワイトバランスに関する情報を取得する取得ステップと、
前記検出ステップで前記ブラックバランスのずれを検出した場合、前記ホワイトバランスに関する情報に基づいて、前記ブラックバランスのずれを補正する補正値を算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出された補正値に従って、前記ブラックバランスのずれを調整する調整ステップと、
前記入力画像に対する赤外光の影響の有無を判定する判定ステップを更に有し、
前記算出ステップでは、前記検出ステップで前記ブラックバランスのずれを検出した場合、前記入力画像に対する赤外光の影響の有無に基づいて前記補正値を算出する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
前記取得ステップでは、前記入力画像の撮影環境に関する情報を取得し、
前記算出ステップでは、前記検出ステップで前記ブラックバランスのずれを検出した場合、前記撮影環境に関する情報に基づいて前記補正値を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項1に記載のプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影環境の光源に応じてホワイトバランス(White Balance:WB)制御を行い、カラー画像を出力する撮像装置が知られている。また、撮像センサの特性に応じてブラックバランス(Black Balance:BB)を補正する撮像装置が知られている。
【0003】
撮像センサの入出力特性は、個体ばらつき、温度特性、感度(センサゲイン)特性などの影響で変わってしまうことがあり、撮像センサの入出力特性が変化するとブラックバランスがずれてしまうことがある。ブラックバランスがずれてしまうと、撮像画像において本来存在しない色づきが生じてしまい、被写体の色再現性が低下してしまう。
【0004】
それに対して、例えば、特許文献1では輝度信号と色差信号のオフセット値とを対応付けるテーブルデータを記憶し、輝度信号に応じて色差信号のオフセット値を決定する技術が開示されている。この技術によれば、製造時に決まり、使用時の状況によって変動しないオプティカルブラックのずれ量を考慮して適切なホワイトバランス制御を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-208884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、撮影条件やホワイトバランスに適したブラックバランス補正を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像処理装置は、入力画像におけるブラックバランスのずれを検出する検出手段と、前記入力画像に適用するホワイトバランスに関する情報を取得する取得手段と、前記検出手段によって前記ブラックバランスのずれを検出した場合、前記ホワイトバランスに関する情報に基づいて、前記ブラックバランスのずれを補正する補正値を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された補正値に従って、前記ブラックバランスのずれを調整する調整手段と、前記入力画像に対する赤外光の影響の有無を判定する判定手段と、を有し、前記算出手段は、前記検出手段によって前記ブラックバランスのずれを検出した場合、前記入力画像に対する赤外光の影響の有無に基づいて前記補正値を算出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮影条件やホワイトバランスに適したブラックバランス補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る画像処理装置の機能構成の一例を示す図。
図2】本発明に係るテーブルデータの一例を示す図。
図3】本発明に係るホワイトバランス制御の一例を示す図。
図4】本発明に係る処理フローの一部の一例を示すフローチャート。
図5】第1の実施形態に係るブラックバランス制御の一例を示す図。
図6】第1の実施形態に係るブラックバランス制御の一例を示す図。
図7】第2の実施形態に係る画像処理装置の機能構成の一例を示す図。
図8】第2の実施形態に係るブラックバランス制御の一例を示す図。
図9】第2の実施形態に係るブラックバランス制御の一例を示す図。
図10】第3の実施形態に係る画像処理装置の機能構成の一例を示す図。
図11】第3の実施形態に係るブラックバランス制御の一例を示す図。
図12】第3の実施形態に係るブラックバランス制御の一例を示す図。
図13】第4の実施形態に係る画像処理装置の機能構成の一例を示す図。
図14】第4の実施形態に係るブラックバランス制御の一例を示す図。
図15】第5の実施形態に係る画像処理装置の機能構成の一例を示す図。
図16】本発明に係るテーブルデータの一例を示す図。
図17】第5の実施形態に係るブラックバランス制御の一例を示す図。
図18】本発明に係る画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、後述する各実施形態の一部を適宜組み合わせて構成してもよい。
【0011】
<実施形態1>
以下、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置について説明する。
【0012】
入力画像は不図示のレンズおよび撮像センサからなる撮像ユニットで撮像される。また、入力画像は複数の画素からなる画像データ、または、画像信号であり、複数の色情報を含む。複数の色は、例えば、赤(Red:R)、緑(Green:G)、青(Blue:B)の各色であり、画像データ(信号)は、不図示の撮像センサ上に設けられた各色に対応するカラーフィルタを透過して、撮像センサで電気信号に変換された光量に相当する。カラーフィルタは赤色、緑色、青色に相当する可視光だけでなく、一部の赤外光(非可視光)も透過する。そのため、一般的な撮像装置では、赤外カットフィルタ(Infra-Red Cut-оff Filter:IRCF)を設けて、赤外光成分を除去することにより、ヒトの視覚に近い画像が得られるようにしている。
【0013】
出力画像は入力画像の色毎の画素値に、オフセット値を加算することでブラックバランス(BB)を適切に補正し、ホワイトバランスゲイン(WBゲイン)を乗じることでホワイトバランスが適切に補正された画像である。ホワイトバランスゲインは、例えば、出力画像の赤みを調整するRedゲインと出力画像の青みを調整するBlueゲインとがある。オフセット値は色毎に、Red(赤)のオフセット値、Green(緑)のオフセット値、Blue(青)のオフセット値がある。
【0014】
本実施形態は、入力画像にオフセット加算した後で、ホワイトバランスゲインを乗じる構成において、ブラックバランスのずれ量とホワイトバランスのずれ量に基づいて、ブラックバランスを補正するためのオフセット量を決定するものである。また、本実施形態は、赤外光を取り込んで撮像する場合に、設定値に応じてホワイトバランスを意図的にずらすことができるものである。
【0015】
BB検知部(検出手段)101は、ブラックバランス(Black Balance:BB)のずれ量を検知(検出)して、ブラックバランスのずれ量をBBオフセット算出部103に出力する。センサ内、または、センサの出力信号に乗じられるゲイン(センサゲイン)が大きいほどブラックバランスのずれが大きくなるので、BB検知部101は、例えば、センサゲインの値をブラックバランスのずれ量として、BBオフセット算出部103に出力する。ゲインの値は、例えば、デシベル(dB)値で表される。
【0016】
WB補正設定部102は、ホワイトバランス(White Balance:WB)のずれ量を設定され、赤外光検知部104から検知結果を取得し、ホワイトバランスのずれ量をBBオフセット算出部103とWBゲイン制御部105に出力する。ホワイトバランスのずれ量は、例えば、ユーザが設定できる0~10の値(WB補正設定)で表し、値が小さいほどマゼンタ(紫)側へのずれ量が大きくなり、値が大きいほどグリーン(緑)側へのずれ量が大きくなるようにする。
【0017】
また、WB補正設定部102は、赤外光検知部104から取得した検知結果に基づき、入力画像の色が赤外光の影響を受けている場合に、設定されたホワイトバランスのずれ量をBBオフセット算出部103とWBゲイン制御部105に出力する。入力画像の色が赤外光の影響を受けていない場合には、設定されたホワイトバランスのずれ量をBBオフセット算出部103とWBゲイン制御部105に出力せず、ホワイトバランスのずれが無いことを表す情報を出力する。
【0018】
BBオフセット算出部103は、BB検知部101からブラックバランスのずれ量を取得する。さらに、BBオフセット算出部103は、WB補正設定部102からホワイトバランスのずれ量を取得し、Red(赤)、Green(緑)、Blue(青)のオフセット量を算出し、BBオフセット加算部106に出力する。オフセット量は、例えば、図2に示すようなセンサゲイン(ブラックバランスのずれ量)とWB補正設定(ホワイトバランスのずれ量)とに紐づけられたテーブルデータ(Look-Up Table:LUT)を参照して決定すればよい。なお、図2においてMはWB補正設定値の最大値を、Nはセンサゲインの最大値を表している。
【0019】
赤外光検知部(判定手段)104は、入力画像の色が、撮像センサで取り込んだ赤外光の影響を受けているか否かを判定し、その検知結果をWB補正設定部102とWBゲイン制御部105に出力する。赤外光検知部104は、例えば、不図示のIRCFが前記撮像ユニットのレンズの光軸上に挿入されている場合に、入力画像の色は赤外光の影響を受けていないことを検知する。一方、赤外光検知部104は、IRCFが前記撮像ユニットのレンズの光軸上に挿入されていない(光軸上から抜去されている)場合に、入力画像の色は赤外光の影響を受けていることを検知する。
【0020】
WBゲイン制御部(制御手段)105は、WB補正設定部102からホワイトバランスのずれ量を、赤外光検知部104から検知結果を取得し、ホワイトバランスゲインを算出するためのパラメータを決定し、WBゲイン算出部108に出力する。ホワイトバランスゲインを算出するためのパラメータは、例えば、ホワイトバランスゲインの有効範囲を決定するパラメータである。
【0021】
ホワイトバランスゲインの有効範囲は、例えば、入力画像に対する赤外光の影響がある場合において、ホワイトバランスのマゼンタ(紫)側へのずれ量が大きいほど、RedゲインとBlueゲインが大きな値となり得るように決定される(例えば図3のA1)。一方、ホワイトバランスゲインの有効範囲は、入力画像に対する赤外光の影響がある場合において、ホワイトバランスのグリーン(緑)側へのずれ量が大きいほど、RedゲインとBlueゲインが小さな値となり得るように決定される(例えば図3のA2)。
【0022】
BBオフセット加算部106は、BBオフセット算出部103から、Red(赤)、Green(緑)、Blue(青)のオフセット量を取得し、入力画像に加算して、オフセット加算後の画像を特徴量取得部107とWBゲイン乗算部109に出力する。
【0023】
特徴量取得部107は、BBオフセット加算部106からオフセット加算後の画像を取得し、色に関する特徴量を算出し、WBゲイン算出部108に出力する。より具体的には、画像を複数の矩形領域に分割した場合の各矩形領域内に含まれる画像データによって決定される矩形領域毎の色情報を算出する。色情報は、例えば、矩形領域毎の色差信号の代表値であり、代表値は、例えば、平均値や最頻値などである。
【0024】
WBゲイン算出部108は、WBゲイン制御部105からホワイトバランスゲインの有効範囲を決定するパラメータを、特徴量取得部107から領域毎の色情報を取得して、ホワイトバランスゲイン(WBゲイン)を算出し、WBゲイン乗算部109に出力する。
【0025】
より具体的には、WBゲイン算出部108は、取得した領域毎の色情報の代表値を算出する。そして、色情報の代表値が所定の目標値となるような第1ホワイトバランスゲイン(例えば図3のW0)を算出する。また、WBゲイン算出部108は、ホワイトバランスゲインの有効範囲を決定するパラメータに基づいて、ホワイトバランスゲインの有効範囲を決定する。そして、WBゲイン算出部108は、第1ホワイトバランスゲインがホワイトバランスゲインの有効範囲に含まれる場合に、第1ホワイトバランスゲインをWBゲイン乗算部109に出力する。一方、WBゲイン算出部108は、第1ホワイトバランスゲインがホワイトバランスゲインの有効範囲に含まれない場合には、第1ホワイトバランスゲインを修正して得られる第2ホワイトバランスゲイン(例えば図3のW1やW2)をWBゲイン乗算部109に出力する。第2ホワイトバランスゲインは、例えば、ホワイトバランスゲインの有効範囲に含まれ、かつ、第1ホワイトバランスゲインに最も近いホワイトバランスゲインである。
【0026】
WBゲイン乗算部109は、BBオフセット加算部106からオフセット加算後の画像を、WBゲイン算出部108からホワイトバランスゲインを取得し、オフセット加算後の画像にWBゲインを乗じることで出力画像を生成して、出力する。
【0027】
本実施形態に係る画像処理装置の処理フローの一例について、図4を用いて説明する。
【0028】
図3は、本実施形態に係る画像処理装置の処理の一部の流れの一例を示すフローチャートである。
【0029】
S01では、赤外光検知部104が、入力画像の色が撮像センサで取り込んだ赤外光の影響を受けているか否かを検知する。入力画像の色が赤外光の影響を受けていることが検知された場合にはS02に進み、入力画像の色が赤外光の影響を受けていないことが検知された場合には処理を終了する。
【0030】
S02では、BB検知部101が、ブラックバランスがずれているか否かを検知する。ブラックバランスがずれていることが検知された場合にはS03に進み、ブラックバランスがずれていないことが検知された場合には処理を終了する。
【0031】
S03では、WB補正設定部102が、ホワイトバランスがGreen(緑)方向にずれているか否かを検知する。ホワイトバランスが緑方向にずれていることが検知された場合にはS04に進み、ホワイトバランスが緑方向にずれていないことが検知された場合にはS05に進む。
【0032】
S04では、BBオフセット算出部103が、ホワイトバランスが緑方向にずれている場合に適したオフセット値Pを出力し、処理を終了する。
【0033】
S05では、WB補正設定部102が、ホワイトバランスがMagenta(紫)方向にずれているか否かを検知する。ホワイトバランスが紫方向にずれていることが検知された場合にはS06に進み、ホワイトバランスが紫方向にずれていないことが検知された場合にはS07に進む。
【0034】
S06では、BBオフセット算出部103が、ホワイトバランスが紫方向にずれている場合に適したオフセット値Qを出力し、処理を終了する。
【0035】
S07では、BBオフセット算出部103が、ホワイトバランスがずれていない場合に適したオフセット値Rを出力し、処理を終了する。
【0036】
BBオフセット算出部103で算出されたオフセット値(補正値)に従って、BBオフセット加算部(調整手段)106によりブラックバランスのずれが調整される。
【0037】
以下、本発明の効果について説明する。図5図6は、本実施形態に係るブラックバランス補正値(オフセット)の制御の一例を表している。
【0038】
図5図6のグラフは黒(Black)から白(White)までの無彩色の被写体を撮影したときの入力画像の画素値と出力画像の画素値の特性を表している。一番左の図5(a)、図6(a)はブラックバランスの補正をしない場合、中央の図5(b)、図6(b)と一番右の図5(c)、図6(c)はブラックバランスの補正を行った場合の例を表している。図5(b)、図6(b)と図5(c)、図6(c)のオフセット量は異なるが、図5(b)と図6(b)、あるいは、図5(c)と図6(c)のオフセット量はそれぞれ等しい。図5(b)、図6(b)のBlue(青)のオフセットをBo1、Red(赤)のオフセットをRo1、Green(緑)のオフセットをGo1で表している。一方、図5(c)、図6(c)のBlue(青)のオフセットをBo2、Red(赤)のオフセットをRo2、Green(緑)のオフセットをGo2で表している。それぞれのオフセット量の大きさを矢印の長さで表しており、上向きの矢印は正のオフセット(加算)、下向きの矢印は負のオフセット(減算)を表している。また、矢印の表記がない場合はオフセットなし(0)を表している。図5(b)、図6(b)は図5(c)、図6(c)と比較してオフセット量が小さくなっており、ブラックバランスの補正を控えめにしている。一方、図5(c)、図6(c)は図5(b)、図6(b)と比較してオフセット量が大きくなっており、ブラックバランスの補正を積極的に行っている。また、簡単化のため、Red(赤)とBlue(青)の特性は同じにしており、Green(緑)だけ異なる。
【0039】
図5(a)の補正なしの場合、Blackの出力画素値は、BlueとRedがGreenよりも大きくなっており、ブラックバランスはマゼンタ(紫)にずれていることを表している。このような現象は、センサゲインが大きいほど生じやすく、センサゲインが大きいほどブラックバランスのずれ量も大きくなる。一方、Whiteの出力画素値は、GreenがBlueとRedよりも大きくなっており、ホワイトバランスはWB補正設定部102の設定値に基づいてGreen(緑)にずらしていることを表している。即ち、ホワイトバランスとブラックバランスが互いに逆方向にずれている場合である。
【0040】
図6(a)の補正なしの場合、Blackの出力画素値は、BlueとRedがGreenよりも大きくなっており、ブラックバランスはマゼンタ(紫)にずれていることを表している。一方、Whiteの出力画素値は、BlueとRedがGreenよりも大きくなっており、ホワイトバランスはWB補正設定部102の設定値に基づいてマゼンタ(紫)にずらしていることを表している。即ち、ホワイトバランスとブラックバランスが互いに同方向にずれている場合である。
【0041】
図5(b)の場合、ブラックバランス補正後であっても、Blackの出力画素値は、BlueとRedがGreenよりもやや大きくなっており、ブラックバランスはマゼンタ(紫)にずれていることを表している。この場合、WhiteとBlackが異なる色にずれているため、ブラックバランスのずれが目立ちやすい。
【0042】
一方、図6(b)の場合、図5(b)と同じオフセット量だが、WhiteとBlackがともにマゼンタ(紫)にずれているため、ブラックバランスのずれが目立ちにくい。
【0043】
同様に、図5(c)の場合、ブラックバランス補正後において、WhiteとBlackがともにGreen(緑)にずれているため、ブラックバランスのずれが目立ちにくい。
【0044】
一方、図6(c)の場合、ホワイトバランスはマゼンタ(紫)に、ブラックバランスはGreen(緑)にずれており、WhiteとBlackが異なる色にずれているため、ブラックバランスのずれが目立ちやすい。
【0045】
以上のことから、ブラックバランス補正前にWhiteとBlackが異なる色にずれている場合においては、補正不足となることを避けた方が良い。一方、ブラックバランス補正前にWhiteとBlackが同色にずれている場合においては、過補正となることを避けた方が良い。換言すると、WhiteとBlackが異なる色にずれている場合においては、オフセット量を大きめにした方が良い、一方、WhiteとBlackが同じ色にずれている場合においては、オフセット量を小さめにした方が良い。つまり、図5のケースにおいては図5(c)のオフセット量を、図6のケースにおいては図6(b)のオフセット量を適用するのが望ましい。
【0046】
本実施形態のブラックバランス補正においては、BBオフセット算出部103が、ブラックバランスのずれ量と、ホワイトバランスのずれ量とを参照して、オフセット量を決定できる構成としている。そのため、ホワイトバランスのずれ方に応じて適切なオフセット量を適用することができる。それゆえ、上述したような、WhiteとBlackが異なる色にずれている場合においてはオフセット量を大きめに、WhiteとBlackが同じ色にずれている場合においてはオフセット量を小さめにすることができる。即ち、ホワイトバランスに適したブラックバランス補正を行うことが可能となる。
【0047】
なお、本実施形態においては、ブラックバランスのずれ量を、センサゲインの大きさとしたが、これに限らない。例えば、シャッタ速度、センサ温度、環境温度、または撮像装置の連続稼働時間などでも良い。
【0048】
なお、本実施形態においては、ホワイトバランスのずれ量を、WB補正設定部102が設定するWB補正設定値としたが、これに限らない。ホワイトバランスのずれ量は、例えば、過去(例えば1フレーム前)にWBゲイン算出部108が算出した、第1ホワイトバランスゲインと第2ホワイトバランスゲインの差分などでも良い。
【0049】
<実施形態2>
以下、図7を参照して、本発明の第2の実施形態による画像処理装置について説明する。
【0050】
本実施形態は、入力画像にオフセット加算した後で、ホワイトバランスゲインを乗じる構成において、ブラックバランスのずれ量と赤外光の影響の有無に基づいて、ブラックバランスを補正するためのオフセット量を決定するものである。また、本実施形態は、赤外光を取り込んで撮像する場合でもホワイトバランスを適切に保つことができるものである。
【0051】
図7は、本実施形態に係る画像処理装置の機能構成の一例を示す構成図である。
【0052】
なお、実施形態1と同じ機能部には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0053】
BBオフセット算出部203は、BB検知部101からブラックバランスのずれ量を、赤外光検知部204から赤外光の影響の検知結果を取得し、Red(赤)、Green(緑)、Blue(青)のオフセット量を算出し、BBオフセット加算部106に出力する。
【0054】
赤外光検知部204は、入力画像の色が、撮像センサで取り込んだ赤外光の影響を受けているか否かを検知し、その検知結果をBBオフセット算出部203とWBゲイン制御部205に出力する。
【0055】
WBゲイン制御部205は、赤外光検知部204から検知結果を取得し、ホワイトバランスゲインを算出するためのパラメータを決定し、WBゲイン算出部108に出力する。ホワイトバランスゲインを算出するためのパラメータは、例えば、ホワイトバランスゲインの有効範囲を決定するパラメータである。
【0056】
ホワイトバランスゲインの有効範囲は、例えば、入力画像に対する赤外光の影響がある場合において、赤外光の影響が無い場合よりもRedゲインとBlueゲインが小さな値となり得るように決定される。入力画像に対する赤外光の影響がある場合、ホワイトバランスはマゼンタ方向にずれるため、赤外光の影響が無い場合よりもRedゲインとBlueゲインを小さな値とすることで、赤外光の影響がある場合であっても適切なホワイトバランスを保つことができる。
【0057】
以下、本実施形態の効果について説明する。図8図9は、本実施形態に係るブラックバランス補正値(オフセット)の制御の一例を表している。図8は入力画像に対する赤外光の影響が無い場合の例を表しており、図9は入力画像に対する赤外光の影響がある場合の例を表している。
【0058】
図8(a)の補正なしの場合、Blackの出力画素値は、BlueとRedがGreenよりも大きくなっており、ブラックバランスはマゼンタ(紫)にずれていることを表している。このような現象は、センサゲインが大きいほど生じやすく、センサゲインが大きいほどブラックバランスのずれ量も大きくなる。一方、Whiteの出力画素値は、適切なホワイトバランスとなっており、RedとGreenとBlueの画素値がほぼ一致していて、色づきが生じていない。
【0059】
図9(a)の補正なしの場合も、Blackの出力画素値は、BlueとRedがGreenよりも大きくなっており、ブラックバランスはマゼンタ(紫)にずれていることを表している。ただし、赤外光の影響を受けているため、赤外光の影響が無い場合と比較してブラックバランスのずれが大きくなっている。一方、Whiteの出力画素値は、適切なホワイトバランスとなっており、RedとGreenとBlueの画素値がほぼ一致していて、色づきが生じていない。
【0060】
図8(b)の場合、ブラックバランス補正後、Blackの出力画素値は、RedとGreenとBlueの画素値がほぼ一致していて、色づきが生じていない。
【0061】
一方、図9(b)の場合、図8(b)と同じオフセット量だが、赤外光の影響でブラックバランスのずれが拡大した分補正不足となっており、ブラックバランスはマゼンタ(紫)にずれている。
【0062】
図8(c)の場合、図8(b)の場合と比較して、ブラックバランスの補正量を大きくしている。そのため、ブラックバランスは過補正となり、ブラックバランスはGreen(緑)にずれている。
【0063】
一方、図9(c)の場合、図8(c)と同じオフセット量だが、Blackの出力画素値は、RedとGreenとBlueの画素値がほぼ一致していて、ブラックバランスがずれていない。
【0064】
以上のことから、赤外光の影響が無い場合に最適なオフセット量とすると、赤外光の影響がある場合においてブラックバランスは補正不足となってしまう。一方、赤外光の影響がある場合に最適なオフセット量とすると、赤外光の影響が無い場合においてブラックバランスは過補正となってしまう。つまり、赤外光の影響が無い場合においては図8(b)のオフセット量を、赤外光の影響がある場合においては図9(c)のオフセット量を適用するのが望ましい。
【0065】
本実施形態のブラックバランス補正においては、BBオフセット算出部103が、ブラックバランスのずれ量と、赤外光の影響の有無を参照して、オフセット量を決定できる構成としている。そのため、赤外光の影響の有無に応じて適切なオフセット量を適用することができる。それゆえ、上述したような、赤外光の影響がある場合においてはオフセット量を大きめに、赤外光の影響が無い場合においてはオフセット量を小さめにすることができる。即ち、赤外光の影響の有無に応じて好適なブラックバランス補正を行うことが可能となる。
【0066】
<実施形態3>
以下、図10を参照して、本発明の第3の実施形態による画像処理装置について説明する。
【0067】
本実施形態は、入力画像にホワイトバランスゲインを乗じた後で、オフセット加算する構成において、ブラックバランスのずれ量とホワイトバランスのずれ量に基づいて、ブラックバランスを補正するためのオフセット量を決定するものである。また、本実施形態は、赤外光を取り込んで撮像する場合に、設定値に応じてホワイトバランスを意図的にずらすことができるものである。
【0068】
本来であれば、オフセット加算によりブラックバランスを調整した後で、ホワイトバランスゲイン乗算によりホワイトバランスを調整するのが望ましい。しかし、システム構成の都合などにより、ホワイトバランスゲイン乗算後に、ブラックバランス調整するためのオフセット加算を行う場合がある。本実施形態は、このような場合において、本発明を適用するものである。
【0069】
図10は、本実施形態に係る画像処理装置の機能構成の一例を示す構成図である。
【0070】
なお、実施形態1と同じ機能部には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0071】
BBオフセット加算部306は、WBゲイン乗算部309からホワイトバランスゲイン乗算後の画像を、BBオフセット算出部103から、Red(赤)、Green(緑)、Blue(青)のオフセット量を取得する。そして、ホワイトバランスゲイン乗算後の画像にオフセット量を加算することで出力画像を生成して、出力する。
【0072】
WBゲイン乗算部309は、WBゲイン算出部108からホワイトバランスゲインを取得し、入力画像に乗算して、ホワイトバランスゲイン乗算後の画像をBBオフセット加算部306に出力する。
【0073】
以下、本実施形態の効果について説明する。図11図12は、本実施形態に係るブラックバランス補正値(オフセット)の制御の一例を表している。
【0074】
図11(a)の補正なしの場合、Blackの出力画素値は、BlueとRedがGreenよりも大きくなっており、ブラックバランスはマゼンタ(紫)にずれていることを表している。このような現象は、センサゲインが大きいほど生じやすく、センサゲインが大きいほどブラックバランスのずれ量も大きくなる。一方、Whiteの出力画素値は、GreenがBlueとRedよりも大きくなっており、ホワイトバランスはWB補正設定部102の設定値に基づいてGreen(緑)にずらしていることを表している。即ち、ホワイトバランスとブラックバランスが互いに逆方向にずれている場合である。
【0075】
図12(a)の補正なしの場合、Blackの出力画素値は、BlueとRedがGreenよりも大きくなっており、ブラックバランスはマゼンタ(紫)にずれていることを表している。一方、Whiteの出力画素値も、BlueとRedがGreenよりも大きくなっており、ホワイトバランスはWB補正設定部102の設定値に基づいてマゼンタ(紫)にずらしていることを表している。即ち、ホワイトバランスとブラックバランスが互いに同方向にずれている場合である。
【0076】
図11(b)の場合、ブラックバランス補正後、Blackの出力画素値は、RedとGreenとBlueの画素値がほぼ一致していて、色づきが生じていない。一方、本実施形態ではホワイトバランスゲインを乗算した後でオフセット加算をするため、図11(a)と比べてホワイトバランスのずれ量が拡大している。結果として、図11(b)の場合、出力画像の緑がかりが目立ってしまう。
【0077】
一方、図12(b)の場合、ブラックバランス補正後、Blackの出力画素値は、RedとGreenとBlueの画素値がほぼ一致していて、色づきが生じていない。ホワイトバランスは図12(a)のホワイトバランスを維持できないものの、ホワイトバランスのずれ量が減少する方向、つまり、色づきが減る方向の変化のため、画質上の違和感は少ない。
【0078】
図11(c)の場合、図11(b)の場合よりもオフセット量を小さくしている。そのため、ブラックバランスとホワイトバランスのずれは、図11(a)の場合と図11(b)の場合との中間になる。すなわち、図11(a)の場合と比べてブラックバランスがマゼンタにずれることを改善しつつ、図11(b)の場合と比べてホワイトバランスが過剰にGreenにずれることを抑制できる。
【0079】
図12(c)の場合も、図12(b)の場合よりもオフセット量を小さくしている。そのため、ブラックバランスとホワイトバランスのずれは、図12(a)の場合と図12(b)の場合との中間になる。すなわち、図12(a)の場合と比べてブラックバランスがマゼンタにずれることを改善しつつ、図12(b)の場合と比べて図12(a)の場合のホワイトバランスを維持しやすくなる。
【0080】
以上のことから、ブラックバランス補正前にWhiteとBlackが異なる色にずれている場合においては、ブラックバランスを補正すると、ホワイトバランスのずれが拡大してしまう。ずれが大きく拡大すると画質上の違和感が増大してしまうので、ブラックバランス補正前にWhiteとBlackが異なる色にずれている場合においては、オフセット量は小さめにしておく方が良い。つまり、図11のように、ブラックバランス補正前にWhiteとBlackが異なる色にずれている場合においては、図11(c)のオフセット量を適用するのが望ましい。
【0081】
一方、ブラックバランス補正前にWhiteとBlackが同じ色にずれている場合においては、ブラックバランスを補正しても、ホワイトバランスのずれが拡大しない。したがって、オフセット量を大きくしても、画質上の違和感は少ない。つまり、図12のように、ブラックバランス補正前にWhiteとBlackが同じ色にずれている場合においては、図12(b)のオフセット量を適用するのが望ましい。
【0082】
本実施形態は、入力画像にホワイトバランスゲインを乗じた後でオフセット加算する場合に、BBオフセット算出部103が、ブラックバランスのずれ量と、ホワイトバランスのずれ量とを参照して、オフセット量を決定できる構成としている。そのため、ホワイトバランスのずれ方に応じて適切なオフセット量を適用することができる。それゆえ、上述したような、WhiteとBlackが異なる色にずれている場合においてはオフセット量を小さめに、WhiteとBlackが同じ色にずれている場合においてはオフセット量を大きめにすることができる。即ち、ホワイトバランスに適したブラックバランス補正を行うことが可能となる。
【0083】
<実施形態4>
以下、図13を参照して、本発明の第4の実施形態による画像処理装置について説明する。
【0084】
本実施形態は、BlackからWhiteの間の中間階調のうち、何れかの階調を優先階調として設定し、優先階調を優先してブラックバランス補正を行うものである。
【0085】
本実施形態は、実施形態3と同様に、入力画像にホワイトバランスゲインを乗じた後で、オフセット加算する構成において、ブラックバランスのずれ量とホワイトバランスのずれ量に基づいて、ブラックバランスを補正するためのオフセット量を決定するものである。また、本実施形態は、赤外光を取り込んで撮像する場合に、設定値に応じてホワイトバランスを意図的にずらすことができるものである。
【0086】
図13は、本実施形態に係る画像処理装置の機能構成の一例を示す構成図である。
【0087】
なお、実施形態1、実施形態3と同じ機能部には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0088】
BBオフセット算出部403は、BB検知部101からブラックバランスのずれ量を、WB補正設定部102からホワイトバランスのずれ量を、優先度設定部410から優先階調値を取得する。そして、Red(赤)、Green(緑)、Blue(青)のオフセット量を算出し、BBオフセット加算部106に出力する。
【0089】
優先度設定部410は、BlackからWhiteの間の中間階調のうち、何れかの階調を優先階調として設定し、優先階調値をBBオフセット算出部403に出力する。
【0090】
本実施形態に係るBBオフセット算出部403の動作と本実施形態の効果について図14を用いて説明する。図14は、本実施形態に係るブラックバランス補正値(オフセット)の制御の一例を表している。
【0091】
図14(a)の補正なしの場合、Blackの出力画素値は、BlueとRedがGreenよりも大きくなっており、ブラックバランスはマゼンタ(紫)にずれていることを表している。このような現象は、センサゲインが大きいほど生じやすく、センサゲインが大きいほどブラックバランスのずれ量も大きくなる。一方、Whiteの出力画素値は、GreenがBlueとRedよりも大きくなっており、ホワイトバランスはWB補正設定部102の設定値に基づいてGreen(緑)にずらしていることを表している。即ち、ホワイトバランスとブラックバランスが互いに逆方向にずれている場合である。
【0092】
このような場合に、入力画像にホワイトバランスゲインを乗じた後で、オフセット加算する構成とすると、オフセット量を大きくするとブラックバランスのずれが小さくなる一方で、ホワイトバランスのずれが大きくなってしまう。逆に、オフセット量を小さくするとブラックバランスのずれを小さくできないものの、ホワイトバランスのずれが大きくなってしまうことを防止できる。つまり、ブラックバランスのずれ量とホワイトバランスのずれ量とがトレードオフになってしまう。
【0093】
そこで、本実施形態では、BBオフセット算出部403が優先度設定部410から取得した優先階調を優先してオフセット量を決定する。具体的には、例えば、優先階調のホワイトバランスのずれが無くなるように、オフセット量を決定する。
【0094】
図14(b)は優先階調としてBlackとWhiteのちょうど中間の階調を設定した場合を表している。図14(b)の場合、ブラックバランスのずれは図14(a)と比べて小さくなっており、優先階調に係るホワイトバランスのずれは無い。
【0095】
一方、図14(c)は優先階調として図14(b)の場合よりも低階調の階調値を設定した場合を表している。オフセット量は、図14(b)の場合よりも大きくなっている。そのため、Whiteのホワイトバランスずれは大きくなっているものの、ブラックバランスのずれは図14(b)と比べて小さくなっており、優先階調に係るホワイトバランスのずれは無い。
【0096】
なお、本実施形態では優先度設定部410が優先階調を設定する際に直接階調値を設定したが、これに限らない。例えば、不図示の撮像装置の明るさ設定値、撮像装置の露出をアンダー側やオーバー側にシフトする設定値、入力画像の輝度ヒストグラムの最頻値などに基づいて、優先階調を設定するようにしても良い。
【0097】
<実施形態5>
以下、図15を参照して、本発明の第5の実施形態による画像処理装置について説明する。
【0098】
本実施形態は、入力画像にオフセット加算した後で、ホワイトバランスゲインを乗じる構成において、ブラックバランスのずれ量と撮影環境の光源の色温度に基づいて、ブラックバランスを補正するためのオフセット量を決定するものである。
【0099】
図15は、本実施形態に係る画像処理装置の機能構成の一例を示す構成図である。
【0100】
なお、実施形態1と同じ機能部には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0101】
BBオフセット算出503は、BB検知部101からブラックバランスのずれ量を、WBゲイン算出部508から撮影環境の色温度を取得し、Red(赤)、Green(緑)、Blue(青)のオフセット量を算出し、BBオフセット加算部106に出力する。
【0102】
オフセット量は、例えば、図16に示すようなセンサゲイン(ブラックバランスのずれ量)と撮影環境の色温度とに紐づけられたテーブルデータ(Look-Up Table:LUT)を参照して決定すればよい。
【0103】
WBゲイン算出部508は、特徴量取得部107から画像の領域毎の色情報を取得して、ホワイトバランスゲイン(WBゲイン)を算出し、WBゲイン乗算部109に出力する。また、WBゲイン算出部508は、特徴量取得部107から取得した色情報、または、算出したWBゲインから撮影環境の色温度を算出し、BBオフセット算出503に出力する。色温度は、予め作成したホワイトバランスゲインと色温度の対応を表すテーブルデータ、または、画像の色情報と色温度の対応を表すテーブルデータを参照して算出するなどすればよい。
【0104】
以下、本実施形態の効果について説明する。図17は、本実施形態に係るブラックバランス補正値(オフセット)の制御の一例を表している。
【0105】
図17のグラフは黒(Black)から白(White)までの無彩色の被写体を撮影したときの入力画像の画素値と出力画像の画素値の特性を表している。図17のグラフは、Red(赤)、Green(緑)、Blue(青)の各色の画素値の特性を表している。
【0106】
図17(a)の補正なしの場合、Blackの出力画素値は、BlueとRedがGreenよりも大きくなっており、また、RedがBlueよりも大きくなっており、ブラックバランスは赤~紫にずれていることを表している。このような現象は、センサゲインが大きいほど生じやすく、センサゲインが大きいほどブラックバランスのずれ量も大きくなる。
【0107】
図17(b)の場合、Blackの出力画素値は、RedがGreenよりも大きく、BlueがGreenより小さくなっている。従って、ブラックバランスはアンバーにずれている。即ち、ブラックバランスは低色温度の照明の色に近い色にずれている。撮影環境の照明の色温度が低色温度である場合は、ブラックバランスが低色温度側にずれても違和感は少ない。一方、撮影環境の照明の色温度が高色温度である場合に、ブラックバランスが低色温度側にずれると違和感が大きい。
【0108】
図17(c)の場合、図17(b)の場合と比較してオフセット量が大きくなっている。また、図17(c)の場合、Blackの出力画素値は、BlueがGreenよりも大きく、RedがGreenより小さくなっている。従って、ブラックバランスは青~シアンにずれている。即ち、ブラックバランスは高色温度の照明の色に近い色にずれている。撮影環境の照明の色温度が高色温度である場合は、ブラックバランスが高色温度側にずれても違和感は少ない。一方、撮影環境の照明の色温度が低色温度である場合に、ブラックバランスが高色温度側にずれると違和感が大きい。
【0109】
以上のことから、ブラックバランスが赤~紫にずれている場合において、撮影環境の照明の色温度が低色温度である場合は、オフセット量は図17(b)のように比較的小さい方が望ましい。一方、ブラックバランスが赤~紫にずれている場合において、撮影環境の照明の色温度が高色温度である場合は、オフセット量は図17(c)のように比較的大きい方が望ましい。
【0110】
なお、ブラックバランスがシアン~青にずれている場合においては、これらは逆になる。即ち、ブラックバランスがシアン~青にずれている場合において、撮影環境の照明の色温度が低色温度である場合は、オフセット量は図17(c)のように比較的大きい方が望ましい。一方、ブラックバランスがシアン~青にずれている場合において、撮影環境の照明の色温度が高色温度である場合は、オフセット量は図17(b)のように比較的小さい方が望ましい。
【0111】
本実施形態において、BB検知部101で検出されたブラックバランスのずれに基づいて、WBゲイン制御部106がホワイトバランスを制御するようにしても良い。例えば、ブラックバランスのオフセット値に応じたホワイトバランスを制御する。これにより、ブラックバランスのオフセットによって、中間輝度以降の被写体の色味をユーザの意図通りに維持しやすくなる。
【0112】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0113】
図18は本発明に係る画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。画像処理装置は入力I/F1、出力I/F2、CPU(Central Processing Unit)3、RAM(Random Access Memory)4及びROM(Read Only Memory)5を有している。入力I/F1は入力画像を受け入れるためのインターフェースである。CPU3がROM5に格納されたプログラムをRAM4にロードし、実行することによって上述の実施形態の1以上の機能を実現する。出力I/F2は入力画像に対して上述の画像処理が実行された後の画像を出力するインターフェースである。
【0114】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを読み出し実行する処理によって実現可能である。このプログラムは、ネットワークまたは記憶媒体を介してシステム又は装置に供給され、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサによって読み出され、実行される。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0115】
101 BB検知部
102 WB補正設定部
103 BBオフセット算出部
104 赤外光検知部
105 WBゲイン制御部
106 BBオフセット加算部
107 特徴量取得部
108 WBゲイン算出部
109 WBゲイン乗算部
410 優先度設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18