(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-05
(45)【発行日】2024-07-16
(54)【発明の名称】圧縮された信号併合処理方法
(51)【国際特許分類】
H03M 7/30 20060101AFI20240708BHJP
H03M 7/24 20060101ALI20240708BHJP
H03M 7/50 20060101ALI20240708BHJP
【FI】
H03M7/30 Z
H03M7/24
H03M7/50
(21)【出願番号】P 2022076661
(22)【出願日】2022-05-06
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0093666
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517223668
【氏名又は名称】ソリッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ホ シク
(72)【発明者】
【氏名】ホン,フ ピョ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ウ ジェ
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ドン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】カン,ジョン ウォン
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/098179(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0310756(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0401414(US,A1)
【文献】米国特許第04648089(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 7/30
H03M 7/24
H03M 7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントホール区間で信号を中継する装置が圧縮された上向き信号を直接的に併合処理する方法において、
二つ以上のラジオユニットから圧縮された上向き信号を受信する信号受信段階;
圧縮された上向き信号はμ-Law圧縮方法で圧縮された信号であり、
併合する圧縮された上向き信号からそれぞれリソースブロック単位の共通パラメータとサンプルデータを抽出する入力データ処理段階;
共通パラメータは圧縮シフトであり、
サンプルデータは符号と圧縮シフト値によって左側にシフトされた仮数部であり、
共通パラメータのうち最も小さい値を、併合結果に使う共通パラメータとして決定し、共通パラメータとサンプルデータの上位2ビットに基づいてサンプルデータをそれぞれ変更する前処理段階;
変更された各サンプルデータを合算する併合段階;および、
併合段階でオーバーフロー発生の有無を確認し、発生したオーバーフローを処理する後処理段階;を含む、方法。
【請求項2】
後処理段階は、併合段階でオーバーフロー発生時に併合結果に使う共通パラメータの値を1だけ減少させ、合算されたサンプルデータの上位2ビットの位置に3を挿入する、請求項
1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は信号中継装置に関し、より詳細には信号中継装置がフロントホール区間で圧縮された上向き信号を併合する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
世界各国の移動通信事業者の速度およびサービスに対する品質競争が加速化している。動画サービスなどによるモバイルトラフィックが急激に増加しており各事業者は基地局サイトを増やせざるを得ず、費用および運営の問題を解決するためにC-RAN(Centralized/Cloud RAN)構造を導入した。C-RANはDU(Digital Unit)とRU(Radio Unit)を分離してDUを1ヶ所に集めて運営する構造であり、LTE網ではDUとRU間CPRI(Common Public Radio Interface)の通信インターフェースを使用し、5G網ではeCPRI(enhanced CPRI)の通信インターフェースを使用する。
【0003】
CPRIの場合、2×2MIMO構造で20MHz帯域幅の信号を伝送する時に2.5Gbpsが要求され、システムの増大につれて持続的に伝送量が増加する。これに伴い、CPRIでIQデータ圧縮技術が導入されたし、eCPRIもIQデータを圧縮して伝送している。
【0004】
分散アンテナシステム(Distributed Antenna System)などのような中継装置は、多数のリモートユニットから受信された上向き信号を併合して伝送する必要がある。CPRIまたはeCPRIのIQデータは圧縮されて使われるのが一般的であるので、分散アンテナシステムは上向き信号併合のために圧縮された信号を圧縮解除した後に合算し、合算された信号をさらに圧縮して上位ノードに伝送する。信号を併合する過程で圧縮解除と圧縮の過程が追加で発生することになって信号伝送の遅延が発生することになる問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、フロントホール区間で上向き信号の圧縮されたIQデータを圧縮を解除することなく併合する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一様相に係る圧縮された上向き信号処理方法は、信号受信段階と、入力データ処理段階と、前処理段階と、併合段階と、後処理段階と、を含む。
【0007】
圧縮された上向き信号処理方法は、デジタルユニット(DU)とラジオユニット(RU)の間のフロントホール区間で信号を中継する装置が圧縮されたIQデータを処理する方法である。
【0008】
信号受信段階は二つ以上のラジオユニットから圧縮された上向き信号を受信する段階であり、入力データ処理段階は併合する圧縮された上向き信号からそれぞれリソースブロック単位の共通パラメータとサンプルデータを抽出する段階であり、前処理段階は各上向き信号から抽出した共通パラメータの中から併合結果に使う共通パラメータを決定し、決定された共通パラメータに基づいてサンプルデータを変更する段階であり、併合段階は各サンプルデータを圧縮された状態で合算する段階であり、後処理段階は併合段階でオーバーフロー発生の有無を確認し、発生したオーバーフローを処理する段階である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の圧縮された上向き信号併合方法によると、信号中継装置がフロントホール区間で上向き信号の圧縮されたIQデータを圧縮を解除することなく併合することができるため、信号併合による遅延を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】従来技術の圧縮されたIQデータ併合過程の概念を図示したものである。
【
図2】本発明の圧縮されたIQデータ併合過程の概念を図示したものである。
【
図3】本発明の一様相に係る圧縮されたIQデータの併合方法のフローチャートである。
【
図4】本発明のさらに他の様相によりブロック浮動小数点圧縮方法で圧縮されたIQデータを併合する手続きを図示したものである。
【
図5】本発明によってブロック浮動小数点圧縮方法で圧縮されたIQデータを併合する例示を図示したものである。
【
図6】本発明のさらに他の様相によりブロックスケーリング圧縮方法で圧縮されたIQデータを併合する手続きを図示したものである。
【
図7】本発明のさらに他の様相によりμ-Law圧縮方法で圧縮されたIQデータを併合する手続きを図示したものである。
【
図8】
図7に図示された手続きで仮数部の上位2ビットマッピングを処理する概念を図示したものである。
【
図9】本発明によってμ-Law圧縮方法で圧縮されたIQデータを併合する例示を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前述した、そして追加的な様相は添付された図面を参照して説明する実施例を通じて具体化される。各実施例の構成要素は他の言及や相互間に矛盾がない限り、実施例内で多様な組み合わせが可能なものと理解される。ブロック図の各ブロックは、ある場合においては物理的な部品を表現し得るが、さらに他の場合においては一つの物理的な部品の機能の一部あるいは複数の物理的な部品にわたる機能の論理的な表現であり得る。時にはブロックあるいはその一部の実体はプログラム命令語の集合(set)であり得る。このようなブロックは全部あるいは一部がハードウェア、ソフトウェアあるいはこれらの結合によって具現され得る。
【0012】
本発明の圧縮された上向き信号併合処理方法が適用される信号中継装置は、C-RAN構造のデジタルユニットとラジオユニットの間のフロントホール区間に位置して、デジタルユニットからラジオユニットへ向かう下向き信号はコピーして複数のラジオユニットに伝達し、複数のラジオユニットから受信された上向き信号は併合して一つの上向き信号にしてデジタルユニットに伝達する装置である。
【0013】
説明の便宜のために、フロントホール通信プロトコルはeCPRIを使うものとし、IQデータは圧縮されて伝送されるものとして説明する。
【0014】
図1は、従来技術の圧縮されたIQデータ併合過程の概念を図示したものである。eCPRIはイーサネット(登録商標)を通じて伝送され、パケット内にIQデータが圧縮されて伝送される。eCPRIは高い伝送要求量のため物理的に光ケーブルを通じて伝送される。
図1に図示されたように、信号中継装置は上向きパケットを受信すると(S100)O-RAN規格に沿ってパケットをパーシングする(S110)。パケットパーシング結果を利用して圧縮方法を把握した後、IQデータを圧縮解除して(S120)保存する。この時、信号中継装置にはバッファーなどのメモリに圧縮解除されたパケットを保存し、多数のラジオユニットから受信されたパケットをバッファーオーバーフローされないように管理する(受信ウインドウ管理、S130)。信号中継装置は受信バッファーに保存されたパケットから併合する信号データを抽出した後、信号を合算する(S140)。信号中継装置は、合算後に合算された結果のIQデータを受信した本来の圧縮方法または装置に設定された圧縮方法で圧縮して(S150)O-RAN規格のパケットで生成した後(S160)、デジタルユニットに上向きパケットを伝送する(S170)。
【0015】
図1に図示されたように、従来には上向き信号を併合して伝送するためには、圧縮されたIQデータを圧縮解除した後にIQデータを合算し、再びIQデータを圧縮して伝送する。また、信号中継装置に連結されたラジオユニットが多いほどこの過程が繰り返して発生することになるため、圧縮解除と再圧縮による遅延が発生することになる問題が発生する。
【0016】
図2は、本発明の圧縮されたIQデータ併合過程の概念を図示したものである。
図1とは異なり、本発明は、受信されたパケットの圧縮されたIQデータを圧縮解除していない状態ですぐに併合をする。
図2を参照して説明すると、信号中継装置は上向きパケットを受信すると(S200)O-RAN規格に沿ってパケットをパーシングする(S210)。この時、信号中継装置にはバッファーなどのメモリに受信されたパケットを保存するものの、多数のラジオユニットから受信されたパケットをバッファーオーバーフローされないように管理する(受信ウインドウ管理、S220)。信号中継装置は受信バッファーに保存されたパケットから併合する信号データを抽出した後、圧縮解除せずに圧縮された状態で信号を合算する(S230)。信号中継装置は合算後に合算された結果をO-RAN規格のパケットで生成した後(S240)、デジタルユニットに上向きパケットを伝送する(S250)。
【0017】
このように本発明によると、併合過程でIQデータを圧縮解除して合算結果を再圧縮する過程が省略されるため、従来技術に比べて併合に必要とされる遅延が減少することになる。
【0018】
図3は、本発明の一様相に係る圧縮されたIQデータの併合方法のフローチャートである。
図3を参照して説明すると、本発明の一様相に係る圧縮された上向き信号処理方法は、上向き信号を受信する信号受信段階と、共通パラメータとサンプルデータを抽出する入力データ処理段階と、共通パラメータの決定とサンプルデータを変更する前処理段階と、サンプルデータを合算する併合段階と、オーバーフローの発生を処理する後処理段階を含んで上向き信号に含まれた圧縮されたIQデータを併合する。
【0019】
圧縮された上向き信号処理方法は、C-RAN構造のデジタルユニット(DU)とラジオユニット(RU)の間のフロントホール区間で信号を中継する装置が圧縮されたIQデータを処理する方法である。信号中継装置はO-RAN規格のフロントホールマルチプレクサ機能を遂行する装置であり、分散アンテナシステムのヘッドエンドユニットであり得る。
【0020】
信号中継装置は複数のラジオユニットと連結され得る。複数のラジオユニットは一つのセルに属してもよく、多数のセルに分散して属してもよい。信号中継装置は上向き信号を併合する時、同一のセルに属したラジオユニットから伝送された上向き信号を併合する。
【0021】
信号受信段階は信号中継装置が二つ以上のラジオユニットから圧縮された上向き信号を受信する段階である(S3000)。本発明の信号中継装置は圧縮された状態でIQデータを併合するので、従来技術とは異なってラジオユニットから受信したパケットを受信バッファーに圧縮された状態そのまま保存する。ただし、信号受信段階でO-RANに定義されたU-planeデータに対してパーシングをした後に受信バッファーに保存する。
【0022】
入力データ処理段階は、信号中継装置が受信バッファーに保存されたパケットから同一のセルに属したラジオユニットから伝送された併合する上向き信号を選択し、併合する圧縮された上向き信号からそれぞれリソースブロック単位の共通パラメータとサンプルデータを抽出する段階である(S3010)。共通パラメータはIQデータの圧縮方法により他の意味を有し得る。例えば、IQデータの圧縮方法がブロック浮動小数点圧縮方法である場合、共通パラメータはリソースブロック単位に伝送される指数部(Exponent)であり、この指数部は各サンプル単位のサンプルデータである仮数部(Mantissa)の指数を意味する。パーシングされたU-planeデータのudCompHdrに圧縮方法(Compression Method)情報が含まれている。
【0023】
前処理段階は、信号中継装置が各上向き信号から抽出した共通パラメータの中から併合結果に使う共通パラメータを決定し(S3020)、決定された共通パラメータに基づいてサンプルデータを変更(S3030)すなわち、合算するデータのケタ数を揃う(bit align)段階である。共通パラメータの値によりサンプルデータの値のケタ数が異なるため、単純にサンプルデータを合算できない。前処理段階は、後述する併合段階でサンプルデータを単純合算できるようにビットシフト演算を遂行してケタ数を揃う段階である。
【0024】
併合段階は、各サンプルデータを圧縮された状態で合算する段階(S3040)であり、単純にビット列であるサンプルデータを足す演算を遂行する段階である。
【0025】
後処理段階は、併合段階でオーバーフロー発生の有無を確認し、発生したオーバーフローを処理する段階である(S3050)。
【0026】
本発明のさらに他の様相に係る圧縮された上向き信号処理方法は、ブロック浮動小数点圧縮方法で圧縮された上向き信号を受信する信号受信段階と、共通パラメータである指数部とサンプルデータである仮数部を抽出する入力データ処理段階と、指数部の決定と仮数部を変更する前処理段階と、サンプルデータを合算する併合段階と、オーバーフローの発生を処理する後処理段階を含んで上向き信号に含まれたブロック浮動小数点圧縮方法によって圧縮されたIQデータを併合する。
【0027】
信号受信段階と入力データ処理段階と合算段階は、前述した信号受信段階と同一である。ただし、共通パラメータは浮動小数点の指数部データであり、サンプルデータは仮数部データである。
【0028】
前処理段階は信号中継装置が各上向き信号から抽出した共通パラメータすなわち、指数部データの中で最も大きい指数部を併合結果に使う指数部として決定する。指数部データが異なるとサンプルデータすなわち、仮数部データをそのまま合算できない。指数部データが同一となるように仮数部データを変更しなければならない。したがって、決定された指数部データに基づいて小さい指数部値を有する仮数部を決定された指数部データに符合するようにシフト演算を通じて変更する。
【0029】
後処理段階は併合段階でオーバーフローが発生したかどうかを確認する。ブロック浮動小数点圧縮方法の場合、合算する両データの符号が異なる場合にはオーバーフローが発生しない。したがって、信号中継装置は合算するデータの符号が同じである場合にのみオーバーフロー発生の有無を確認するようにすることができる。信号中継装置はオーバーフロー発生の確認結果、オーバーフローが発生した場合に併合結果に使う共通パラメータすなわち、指数部の値を1増加させ、合算された仮数部データを1ビット右側にシフト(算術演算で2で割ると同一)する。
【0030】
図4は、本発明のさらに他の様相によりブロック浮動小数点圧縮方法で圧縮されたIQデータを併合する手続きを図示したものである。
図4を参照して説明すると、信号中継装置は二つ以上のラジオユニットからブロック浮動小数点圧縮方法でIQデータが圧縮された上向き信号を受信する(S4000)。信号中継装置は合算する2個のラジオユニットのデータを選択し、該当データからリソースブロック単位で指数部とサンプル単位で仮数部を抽出する(S4010)。信号中継装置は指数部のうち大きい値を合算結果の指数部として決定し(S4020)、合算結果の指数部と他の指数部の仮数部を合算結果の指数部に符合するようにシフト演算を通じて変更する(S4030)。信号中継装置は仮数部を合算し(S4040)、合算過程でオーバーフローが発生したかどうかを確認する(S4050)。確認結果オーバーフローが発生した場合、信号中継装置は合算結果の指数部を1だけ増加させ、仮数部を1ビット右側にシフトしてオーバーフローを処理する(S4060)。信号中継装置は合算結果の指数部と仮数部を合算結果に伝達する(S4070)。
【0031】
図5は、本発明によってブロック浮動小数点圧縮方法で圧縮されたIQデータを併合する例示を図示したものである。
図5の(a)はオーバーフローが発生していない例を図示しており、(b)はオーバーフローが発生してこれを処理する例を図示している。
【0032】
まず、オーバーフローが発生していない例である(a)を参照して説明すると、信号中継装置は指数部が6である仮数部と4である仮数部を合算する例として、指数部が4である仮数部を指数部が6であるデータに変更するために右側に2ビットシフト演算した後に仮数部を合算する。信号中継装置は合算結果、最上位ビットの結果が変わっていないのでオーバーフローが発生していないため、合算結果の指数部と仮数部を出力する。
【0033】
オーバーフローが発生した例である(b)を参照して説明すると、信号中継装置は(a)と同じ方式で仮数部を変更して合算する。合算結果、最上位ビットが1であって、合算前と異なるためオーバーフローが発生したということが分かる。信号中継装置はオーバーフローを処理するために、指数部を6から7に1だけ増加させ、仮数部を1ビット右側にシフトさせた後に指数部と仮数部を出力する。
【0034】
本発明のさらに他の様相に係る圧縮された上向き信号処理方法は、ブロックスケーリング圧縮方法で圧縮された上向き信号を受信する信号受信段階と、共通パラメータであるブロックスケーラーとサンプルデータであるブロックスケーラーによってスケーリングされたデータを抽出する入力データ処理段階と、ブロックスケーラーの決定とスケーリングされたデータを変更する前処理段階と、サンプルデータを合算する併合段階と、オーバーフローの発生を処理する後処理段階を含んで上向き信号に含まれたブロックスケーリング圧縮方法によって圧縮されたIQデータを併合する。
【0035】
信号受信段階と入力データ処理段階と合算段階は、前述した信号受信段階と同一である。ただし、共通パラメータはブロックスケーラーであり、サンプルデータはブロックスケーラーによってスケーリングされたデータである。
【0036】
前処理段階は信号中継装置が各上向き信号から抽出した共通パラメータすなわち、ブロックスケーラーの中から最も大きいブロックスケーラーを併合結果に使うブロックスケーラーとして決定する。ブロックスケーラーが異なるとサンプルデータをそのまま合算できない。ブロックスケーラーが同一となるようにサンプルデータを変更しなければならない。
【0037】
信号中継装置は小さいブロックスケーラーのサンプルデータを変更するために、大きいブロックスケーラーの逆ブロックスケーラー(Inverse Block Scaler)値を求める。この時、逆ブロックスケーラー値はブロックスケーラー値がQ1.7フォーマットの固定小数点で定義されると、27をブロックスケーラー値で割った値であり、逆ブロックスケーラー値は計算の効率のためにテーブルに保存されていてもよい。信号中継装置は小さいブロックスケーラー値と求めた逆ブロックスケーラー値を積算し、積算の結果に小さいブロックスケーラーのサンプルデータを積算し、ケタ数を揃うために右側にシフト演算を遂行する。
【0038】
下記の<数1>は、ブロックスケーリング圧縮方法で圧縮されたIQデータが、圧縮解除して合算するものと圧縮解除せずに合算するものの結果が同一であることを示す数式である。
【0039】
【0040】
X1、X2はサンプルデータ、sblockScaler1とsblockScaler2はブロックスケーラー、InverseSblockScaler1はsblockScaler1の逆ブロックスケーラー
【0041】
【0042】
が前処理段階で小さいブロックスケーラーのサンプルデータを変更する過程を表す部分式である。
【0043】
後処理段階は併合段階でオーバーフローが発生したかどうかを確認する。信号中継装置はオーバーフロー発生の確認結果、オーバーフローが発生した場合に併合結果に使う共通パラメータすなわち、ブロックスケーラーの値を1ビット左側にシフトさせ、合算されたサンプルデータを1ビット右側にシフトする。
【0044】
図6は、本発明のさらに他の様相によりブロックスケーリング圧縮方法で圧縮されたIQデータを併合する手続きを図示したものである。
図6を参照して説明すると、信号中継装置は二つ以上のラジオユニットからブロックスケーリング圧縮方法でIQデータが圧縮された上向き信号を受信する(S6000)。信号中継装置は合算する2個のラジオユニットのデータを選択し、該当データからリソースブロック単位でブロックスケーラーとサンプル単位でサンプルデータを抽出する(S6010)。サンプルデータはブロックスケーラーによってスケーリングされたデータである。信号中継装置はブロックスケーラーのうち大きい値を合算結果のブロックスケーラーとして決定し(S6020)、大きいブロックスケーラーに対する逆ブロックスケーラーを獲得して(S6030)小さい値のブロックスケーラーに積算した後(S6040)、その結果を再び小さいブロックスケーラーのサンプルデータに積算し(S6050)、積算の結果をN(ブロックスケーラーがQ1.7で定義されるとNは7すなわち、ブロックスケーラーの固定小数点表現の小数点ビット数である)ビット右側にシフトし(S6060)、大きいブロックスケーラーのサンプルデータに合算する(S6070)。信号中継装置は合算過程でオーバーフローが発生したかどうかを確認する(S6080)。確認結果オーバーフローが発生した場合、信号中継装置は合算結果のブロックスケーラーを1ビット左側にシフトさせ、サンプルデータすなわち、合算されたスケーリングされたデータを1ビット右側にシフトしてオーバーフローを処理する(S6090)。信号中継装置は合算結果のブロックスケーラーとサンプルデータを合算結果に伝達する(S6100)。
【0045】
本発明のさらに他の様相に係る圧縮された上向き信号処理方法は、μ-Law圧縮方法で圧縮された上向き信号を受信する信号受信段階と、共通パラメータである圧縮シフト(compShift)とサンプルデータである符号と仮数部を抽出する入力データ処理段階と、圧縮シフトの決定と仮数部を変更する前処理段階と、仮数部を合算する併合段階と、オーバーフローの発生を処理する後処理段階を含んで上向き信号に含まれたμ-Law圧縮方法によって圧縮されたIQデータを併合する。
【0046】
信号受信段階と入力データ処理段階と合算段階は、前述した信号受信段階と同一である。ただし、共通パラメータは圧縮シフトであり、サンプルデータは符号と仮数部である。
【0047】
前処理段階は信号中継装置が各上向き信号から抽出した共通パラメータすなわち、圧縮シフトの中で最も小さい圧縮シフトを併合結果に使う圧縮シフトとして決定する。圧縮シフトが異なると、サンプルデータをそのまま合算できない。圧縮シフトが同一となるようにサンプルデータを変更しなければならない。
【0048】
信号中継装置は圧縮シフトと仮数部の上位2ビットに基づいてサンプルデータをそれぞれ変更する。サンプルデータ変更方法は、仮数部(U-plane IQデータフォーマットのcompBitWidth大きさ)を1ビットさらに大きい値に変更し(compBitWidth+1)上位2ビットの値が3であれば上位2ビット値を0に変更した後、ビット1に上位2ビットを除いた残りのビットを結合した後に2ビット左側にシフトし、上位2ビットの値が2であれば上位2ビット値を0に変更した後、ビット1に上位2ビットを除いた残りのビットを結合した後に1ビット左側にシフトし、上位2ビットの値が0または1であれば上位2ビット値を0に変更した後、上位2ビット値に該当するビット列に上位2ビットを除いた残りのビットを結合する。
【0049】
後処理段階は併合段階でオーバーフローが発生したかどうかを確認する。μ-Law圧縮方法の場合、合算する両データの符号が異なる場合にはオーバーフローが発生しない。したがって、信号中継装置は合算するデータの符号が同じである場合にのみオーバーフロー発生の有無を確認するようにすることができる。信号中継装置はオーバーフロー発生の確認結果、オーバーフローが発生した場合に併合結果に使う共通パラメータすなわち、圧縮シフトの値を1減少させ、合算された仮数部データを上位2ビットの値を3に設定し、残りのビットは残りの上位ビットの値に設定する(上位compBitWidth-2ビットを仮数部の下位ビットに設定)。信号中継装置はオーバーフローが発生していない場合、合算された仮数部の左側から最初に1が出るビットの位置によって、上位2ビットを4-最初に1が出るビットの位置の値に設定し、最初に1が出る位置が4以上である場合には0の値に上位2ビットを設定する。
【0050】
図7は、本発明のさらに他の様相によりμ-Law圧縮方法で圧縮されたIQデータを併合する手続きを図示したものである。
図7を参照して説明すると、信号中継装置は二つ以上のラジオユニットからμ-Law圧縮方法でIQデータが圧縮された上向き信号を受信する(S7000)。信号中継装置は合算する2個のラジオユニットのデータを選択し、該当データからリソースブロック単位で圧縮シフトとサンプル単位で符号と仮数部を抽出する(S7010)。信号中継装置は圧縮シフトのうち小さい値を合算結果の圧縮シフトとして決定し(S7020)、各仮数部を圧縮シフトと仮数部の上位2ビット値に基づいて合算のためのシフト演算を遂行する(S7030)。信号中継装置は仮数部を合算し(S7040)、合算過程でオーバーフローが発生したかどうかを確認する(S7050)。確認結果オーバーフローが発生した場合、信号中継装置は合算結果の圧縮シフトを1だけ減少させ、仮数部の上位2ビットに3を挿入する(S7060)。確認結果オーバーフローが発生していないと、仮数部の上位2ビットを合算結果に基づいてマッピングする(S7065)。信号中継装置は合算結果の圧縮シフトと符号および仮数部を合算結果に伝達する(S7070)。この時、仮数部の変換時に1ビット拡張して変換しおよびオーバーフロー処理で仮数部のビット数を1ビット減少させる。データの精度を高めるために拡張させるビットの数は1ビットより大きく設定して使用してもよい。
【0051】
図8は、
図7に図示された手続きで仮数部の上位2ビットマッピングを処理する概念を図示したものである。
図8の(a)は、前処理段階で仮数部を変換する概念を図示している。(a)で仮数部がcomBitWidthビット大きさのデータからcomBitWidth+1ビット大きさのデータに変更される。
【0052】
最上位ビットが11bであれば、最上位ビットを00bに設定した後、1bに本来仮数部の上位2ビットを除いた残りのビット(ビット列abcdefg)を結合した後に2ビット左側にシフトする(ビット列11abcdefgが1abcdefg00に変更)。
【0053】
最上位ビットが10bであれば、最上位ビットを00bに設定した後、1bに本来仮数部の上位2ビットを除いた残りのビット(ビット列abcdefg)を結合した後に1ビット左側にシフトする(ビット列10abcdefgが01abcdefg0に変更)。
【0054】
最上位ビットが01bであれば、最上位ビットを00bに設定した後、最上位ビットに該当する値のビット列(1b)に本来仮数部の上位2ビットを除いた残りのビット(ビット列abcdefg)を結合する(ビット列01abcdefgが001abcdefgに変更)。
【0055】
最上位ビットが00bであれば、最上位ビットを00bに設定した後、最上位ビットに該当する値のビット列(0b)に本来仮数部の上位2ビットを除いた残りのビット(ビット列abcdefg)を結合する(ビット列00abcdefgが000abcdefgに変更)。
【0056】
図8の(b)は、後処理段階で仮数部を変換する概念を図示している。(b)で仮数部がcomBitWidth+1ビット大きさのデータからcomBitWidthビット大きさのデータに変更される。
【0057】
最初のビット1が出る位置が左側から1番目のビットであれば上位ビットを11bに設定し、最初の1以後の残りのcompBitWidth-2ビット(abcdefg)を仮数部の下位ビットに設定する(ビット列1abcdefg00が11abcdefgに変更)。
【0058】
最初のビット1が出る位置が左側から2番目のビットであれば上位ビットを10bに設定し、最初の1以後の残りのcompBitWidth-2ビット(abcdefg)を仮数部の下位ビットに設定する(ビット列01abcdefg0が10abcdefgに変更)。
【0059】
最初のビット1が出る位置が左側から3番目のビットであれば上位ビットを01bに設定し、最初の1以後の残りのcompBitWidth-2ビット(abcdefg)を仮数部の下位ビットに設定する(ビット列001abcdefgが01abcdefgに変更)。
【0060】
最初のビット1が出る位置が左側から4番目のビット以上であれば上位ビットを00bに設定し、4番目のビットからcompBitWidth-2ビット(abcdefg)を仮数部の下位ビットに設定する(ビット列000abcdefg00が00abcdefgに変更)。
【0061】
図9は、本発明によってμ-Law圧縮方法で圧縮されたIQデータを併合する例示を図示したものである。
図9の(a)はオーバーフローが発生していない例を図示しており、(b)はオーバーフローが発生してこれを処理する例を図示している。
【0062】
まず、オーバーフローが発生していない例である(a)を参照して説明すると、信号中継装置はcompShiftが6である仮数部と4である仮数部を合算する例として、各仮数部を
図8の(a)に図示された方法で変更し、compShiftが4である仮数部をcompShiftが2であるデータに変更するために右側に2ビットシフト演算した後、仮数部を合算する。信号中継装置は合算結果を再び
図8の(b)に図示された方法でマッピングして、合算結果のcompShiftと符号と仮数部を出力する。
【0063】
オーバーフローが発生した例である(b)を参照して説明すると、信号中継装置は(a)と同じ方式で仮数部を変更して合算する。合算結果オーバーフローが発生したので、信号中継装置はオーバーフローを処理するためにcompShiftを2から1に1だけ減少させ、仮数部の最上位2ビット11bを挿入する。
【0064】
以上、本発明を添付された図面を参照する実施例を通じて説明したが、これに限定されるものではなく、これから当業者であれば自明に導出できる多様な変形例を包括するものと解釈されるべきである。特許請求の範囲はこのような変形例を包括するように意図された。